JP2004360635A - 冷却水温制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率良く且つ素早く冷却水温度を調節できるようにする。
【解決手段】車両のエンジン運転状態に応じて冷却水温を制御する冷却水温制御装置において、エンジン1の冷却水温TAを検出するエンジン水温検出手段26と、エンジン1と接続されエンジン1を冷却した後の冷却水を保温しながら蓄える蓄熱器23と、蓄熱器23の冷却水温TBを検出する蓄熱器水温検出手段24と、エンジン1が低負荷状態で蓄熱器水温検出手段24により検出された蓄熱器水温TBがエンジン水温検出手段26により検出されたエンジン水温TAよりも高い場合には、蓄熱器23の冷却水をエンジン1へ供給する一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも低い場合には、蓄熱器23の冷却水をエンジン1へ供給せずに保持する制御手段11を備えるように構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】車両のエンジン運転状態に応じて冷却水温を制御する冷却水温制御装置において、エンジン1の冷却水温TAを検出するエンジン水温検出手段26と、エンジン1と接続されエンジン1を冷却した後の冷却水を保温しながら蓄える蓄熱器23と、蓄熱器23の冷却水温TBを検出する蓄熱器水温検出手段24と、エンジン1が低負荷状態で蓄熱器水温検出手段24により検出された蓄熱器水温TBがエンジン水温検出手段26により検出されたエンジン水温TAよりも高い場合には、蓄熱器23の冷却水をエンジン1へ供給する一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも低い場合には、蓄熱器23の冷却水をエンジン1へ供給せずに保持する制御手段11を備えるように構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載されたエンジンに用いて好適な、冷却水温制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンには冷却水の温度を適温(例えば、80℃前後)に保つため、サーモスタットが設けられるのが一般的である。このようなサーモスタットの弁体は、冷却水温が所定温度よりも高くなると開弁され、ラジエータからの冷たい冷却水がエンジンに供給されるようになっている。
【0003】
ところで、上述の冷却水温を一定に保つということに加え、エンジンの負荷に応じて積極的に冷却水温を変更したいという要望がある。これは、エンジンが低負荷で運転している場合には、エンジン温度を積極的に上昇させることによって、フリクションロスを低減させて燃費向上を図る一方で、エンジンが高負荷で運転中である場合にはエンジン温度を積極的に低下させることによって、吸入空気密度を高めて出力増大を図るとともにノッキングを抑制したい、という要望に基づくものである。
【0004】
しかしながら、上述の一般的なサーモスタットによれば、エンジン負荷が増大した場合であっても、冷却水温度が所定温度以下であればラジエータからの冷たい冷却水がエンジンに供給されないため、エンジン温度は上昇してしまう。一方、冷却水温度が所定温度以上であれば、エンジン負荷が低下した場合であっても、ラジエータからの冷却水がエンジンに対して供給され、エンジン温度は低下してしまう。
【0005】
つまり、上述の一般的なサーモスタットによれば、冷却水温度を一定に保つという目的は達成できるものの、エンジンの負荷に応じて冷却水温度を制御するという目的は達成できない。
このため、エンジン負荷に対して冷却水温度を制御する手法の一例として、以下の特許文献1のような技術が開示されている。この技術では、エンジンと蓄熱器とが冷媒配管によって接続され、前記冷媒配管と蓄熱器との間で冷却水が循環され、蓄熱器によって保温された冷却水によってエンジンが暖められる旨が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−195035号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、エンジンの負荷が小さいとき(部分負荷時)には蓄熱器に対する冷却水循環を開始し、一方、エンジン負荷が大きいとき(全負荷時)には蓄熱器に対する冷却水循環が停止されるため、例えば、部分負荷時には蓄熱器の冷却水温が低温である場合であっても、蓄熱器の冷却水がエンジンに供給される。このため、エンジン温度を上昇させたいという状況であるにもかかわらず、むしろエンジン温度を低下させてしまう場合がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、効率良く且つ素早く冷却水温度を調節できるようにした、冷却水温制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の冷却水温制御装置は、車両のエンジン運転状態に応じて冷却水温を制御する冷却水温制御装置において、該エンジンの冷却水温を検出するエンジン水温検出手段と、該エンジンと接続され該エンジンを冷却した後の冷却水を保温しながら蓄える蓄熱器と、該蓄熱器の冷却水温を検出する蓄熱器水温検出手段と、該エンジンが低負荷状態で該蓄熱器水温検出手段により検出された蓄熱器水温が該エンジン水温検出手段により検出されたエンジン水温よりも高い場合には、該蓄熱器の冷却水を該エンジンへ供給する一方、該エンジンが低負荷状態であっても該蓄熱器水温が該エンジン水温よりも低い場合には、該蓄熱器の冷却水を該エンジンへ供給せずに保持する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
これにより、エンジンが低負荷状態になると、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも高い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給することによって素早くエンジン温度を上昇させるとともに、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも低い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給しないので、効率よく冷却水温を調整することが可能となる。
【0011】
また、請求項2記載の本発明の冷却水温制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該蓄熱器水温が該エンジン水温よりも低く且つ該エンジン水温が所定温度以上である場合に、該エンジンを冷却した後の冷却水を該蓄熱器へ導入することを特徴としている。
これにより、エンジン水温が蓄熱器水温よりも低く且つエンジン水温が所定温度以上である場合に、エンジン冷却後の冷却水を蓄熱器に導入して蓄熱することにより、その後、エンジン温度を高めることが好ましい状況になった場合に、蓄熱器内の冷却水をエンジンへ放出することができるので、昇温性能を大幅に向上させることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態にかかる冷却水温制御装置について図1〜図5を用いて説明すると、図1はその構成を示す模式図、図2はその作用を説明するためのタイムチャート、図3〜5はその動作を示すフローチャートである。
図1に示す水冷式エンジン(以下、単にエンジン)1には、ウォータポンプ4,ヒータコア5,ラジエータ6,サーモスタット(水温制御バルブ)7により主に構成される冷却系10が接続されるとともに、エンジン水温TAを検出する水温センサ(エンジン水温検出手段)26が付設されている。また、エンジン1のクランクシャフト2にはベルト3を介して上記ウォータポンプ4が接続されており、冷却水はウォータポンプ4によりエンジン1と冷却系10との間で循環されるようになっている。
【0013】
また、この冷却系10に設けられたサーモスタット7はエンジン1の第1ポート1aとラジエータ6とウォータポンプ4との間に介装されており、エンジン1の出口水温(エンジン水温)TAに応じてサーモスタット7の感温部(図示略)が伸縮するようになっている。そして、この感温部の伸縮に応じてサーモスタット7の弁体(図示略)が開閉されるようになっている。
【0014】
これにより、サーモスタット7は、エンジン1からラジエータ6を経由せず再びエンジン1へ流れ込む冷却水(図中矢印F4,F6参照)と、エンジン1からラジエータ6を経由して再びエンジン1へ流れ込む冷却水(図中矢印F5,F6)との流量を調節できるようになっている。また、上述のサーモスタット7の弁体は、上述したエンジン水温TAの変化に応じて開閉するだけではなく、後述するECU(制御手段)11によっても開閉するように制御される、いわゆる電御サーモスタットが適用されている。
【0015】
また、ラジエータ6は冷却水を放熱させて冷却するものであり、エンジン1の第2ポート1bとサーモスタット7との間に介装されている。また、ヒータコア5は入力ポート5aと出力ポート5bとをそなえ、このうち入力ポート5aがエンジン1の第3ポート1cと接続されるとともに、出力ポート5bがウォータポンプ4と接続されている。これにより、ヒータコア5にはエンジン1を冷却した後の冷却水が入力ポート5aを通じて供給され、この冷却水から熱を奪うことで図示しないヒータの熱源として機能するようになっている。また、ヒータコア5で熱が奪われた冷却水は、出力ポート5bからウォータポンプ4経由で再びエンジン1に戻されるようになっている。
【0016】
また、本実施形態に係る冷却水温制御装置においては、冷却系10中、上述したヒータコア5、ラジエータ6およびサーモスタット7をバイパスする水路21,22の間に蓄熱器23が設けられ、この蓄熱器23によりエンジン1を冷却した後の冷却水(図中矢印F2参照)が保温された状態で蓄えられるようになっている。さらに、この蓄熱器23には水温センサ(蓄熱器水温検出手段)24がそなえられ、蓄熱器23内に蓄えられた冷却水温TBを検出できるようになっている。
【0017】
また、上記の水路21,22と蓄熱器23との間には蓄熱器バルブ25が介装されている。この蓄熱器バルブ25はエンジン1から水路21を介して蓄熱器23へ流入する冷却水量を制御するとともに、蓄熱器23から水路22およびウォータポンプ4を介してエンジン1へ放出される冷却水量を制御することができるようになっている。なお、この蓄熱器バルブ25は後述するECU11と電気的に接続され、蓄熱器バルブ25はこのECU11によって制御されるようになっている。
【0018】
ECU11は、エンジン1,サーモスタット7,蓄熱器バルブ25と電気的に接続されるとともに、目標水温設定手段11a,エンジン負荷判定手段11b,蓄熱器バルブ制御手段11c,サーモスタット制御手段(図示略)を内蔵して構成されている。
また、このECU11には、エンジン1に付設された水温センサ26によって検出されたエンジン水温TA、蓄熱器23に付設された水温センサ24によって検出された水温TB、回転数センサ(図示略)によって検出されたエンジン回転数NE、エンジン負荷LDなど各種の情報を受信するようになっている。なお、ここでエンジン負荷LDは、例えば、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)や吸気マニホールド内圧などをパラメータとして設定されるようになっている。
【0019】
上述のうち、目標水温設定手段11aは、エンジン負荷LDに応じた目標水温TTを設定するものであり、ここではマップとして設けられている。つまり、この目標水温設定手段11aに、上述のエンジン負荷LDを適用することで、目標水温TTが得られるようになっている。また、この目標水温TTは、エンジン負荷が増大するにつれて低くなるように設定される一方、エンジン負荷が減少するにつれて高くなるように設定されている。これは、従来の技術の欄において上述したように、エンジンが低負荷で運転している場合にはエンジン温度を積極的に上昇させることによってフリクションロスを低減させて燃費向上を図る一方で、エンジンが高負荷で運転している場合にはエンジン温度を積極的に低下させることによって、吸入空気密度を高めて出力増大を図るとともにノッキングを抑制したい、という要望に基づいて設定されたものである。
【0020】
また、エンジン負荷判定手段11bは、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)に基づいて、エンジン1の負荷が高負荷であるか低負荷であるかを判定するようになっている。
また、蓄熱器バルブ制御手段11cは、エンジン1の冷却水温度TAやエンジン負荷LDに応じて設定された目標水温TTや蓄熱器水温TBに基づいて蓄熱器バルブ25を制御するものである。
【0021】
そして、上記のエンジン負荷判定手段11bによってエンジン負荷LDが低負荷であると判定されるとともに、上記の蓄熱器バルブ制御手段11cにより、TT>TA,且つTA<TBという条件が満たされたと判定された場合には、蓄熱器バルブ25を開弁して蓄熱器23内に蓄えられている冷却水をエンジン1に対して放出し、エンジン1に供給される冷却水(図中矢印F6参照)の温度を素早く上昇させる水温上昇制御(詳しくは後述する)を実行するようになっている。
【0022】
一方、上記のエンジン負荷判定手段11bによってエンジン負荷が高負荷であると判定されるとともに、エンジン水温TAが蓄熱器水温TB以上であるという条件が満たされた場合には、蓄熱器バルブ25を開弁して蓄熱器23内に蓄えられている比較的冷たい冷却水をエンジン1に対して放出し、エンジン1に供給される冷却水(図中矢印F6参照)の温度を素早く低減させる水温低下制御(詳しくは後述する)を実行するようになっている。
【0023】
また、上記の水温上昇制御において、ECU11のサーモスタット制御手段(図示略)によりサーモスタット7が閉弁されることで、ラジエータ6からエンジン1への冷却水の流入が遮断してエンジン水温TAを上昇させ、エンジン1の昇温がさらに促進されるようになっている。一方、上記の水温低減制御においては、上記のサーモスタット制御手段によりサーモスタット7が開弁されることで、ラジエータ6からの冷たい冷却水をエンジン1へ供給して、高負荷運転中のエンジン1が積極的に冷却されるようになっている。
【0024】
本願発明の冷却水温制御装置は上述のように構成されているので、以下、その作用を説明すると、まず、図2のタイムチャートに示すように、エンジン負荷が低い場合(区間A参照)、TB>TAであれば、蓄熱器バルブ制御手段11cによって蓄熱器バルブ25が開弁され、エンジン水温TA=目標水温TT1となるように上記の水温上昇制御が実行される。
【0025】
その後、エンジン1の負荷が高まると(区間B参照)、TB>TAであれば蓄熱器バルブ25が閉弁するとともにサーモスタット7が開弁し、冷却水はラジエータ6を通過しながら循環することによってエンジン水温TAを低下させるべく、上記の水温低下制御が実行される。このとき、サーモスタット7の弁開度が感温部によって調整され、エンジン冷却水温TAは目標水温TT2で安定する。
【0026】
その後、再びエンジン1の負荷が低下し(区間C参照)、且つ、エンジン冷却後の冷却水の温度TAが蓄熱器23内に蓄えられている冷却水の温度TBを下回る(すなわち、TB>TAとなる)と、蓄熱器23内に蓄えられている高温の冷却水がエンジン1に対して供給され、エンジン水温TAは目標水温TT1まで上昇する。
【0027】
このように、エンジン負荷が高負荷から低負荷に移行した場合であっても、図中矢印Dで示すように、急速にエンジン水温TAを上昇させることができる。なお、図中鎖線矢印Eで示す線は、従来の冷却系によって冷却水温度を目標水温TT1まで上昇させた場合の特性を示している。つまり、本実施形態に係る本願発明によれば、矢印Fで示す時間分、エンジンの昇温を早期化させることができる。
【0028】
次に、図3に示すフローチャートを用いて本実施形態に係る本願発明の作用について説明すると、まず、エンジン水温TA,蓄熱器水温TB,エンジン回転数NE,エンジン負荷LDなどがECU11によって読み込まれる(ステップS11)。次に、読み込んだエンジン負荷LDに基づいて、ECU11の目標温度設定手段11aにより、目標水温TTが得られる(ステップS12)。
【0029】
そして、エンジン負荷LDが、高負荷であるか低負荷であるかが判定される(ステップS13)。つまり、このステップS13において、エンジン1に対する冷却水温を上昇させる制御を実行するのかもしくは、冷却水温を低下させる制御を実行するのかが決定されるようになっている。
【0030】
そして、このステップS13においてエンジン1が低負荷運転中であると判定された場合には(図中、“低負荷”ルート)、ステップS20においてサブルーチンとして設定された水温上昇制御が実行され、一方、エンジン1が高負荷運転中であると判定された場合には(図中、“高負荷”ルート)、ステップS30においてサブルーチンとして設定された冷却水温を低減させる水温低下制御が実行される。
【0031】
このうち、水温上昇制御は、図4に示すように、まずエンジン水温TAが目標水温TT未満であるか否かが判定される(ステップS21)。ここで、エンジン水温TAが目標水温TT以上である場合には(Noルート)、後述する水温低下制御へ移行する。これは、エンジン1のオーバーヒートを防ぐことを目的としている。一方、上記のステップS21において、エンジン水温TAが目標水温TT未満である場合には(Yesルート)、サーモスタット(水温制御バルブ)7の弁が閉弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水が再びエンジン1に供給される(ステップS22)。
【0032】
その後、ステップS23において、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高温であるか否かが判定される。ここで、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高温であると判定された場合には(Yesルート)、蓄熱器バルブ25が開弁することで蓄熱器23内の冷却水がエンジン1へ放出され、エンジン1の昇温が促進される(ステップS27)。
【0033】
一方、上記のステップS23において、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高温であると判定されない場合(つまり、エンジン水温TAが蓄熱器水温TB以上である場合)には(Noルート)、さらにエンジン水温TAが所定温度TCよりも高温であるか否かが判定される(ステップS24)。この所定温度TCは目標水温TTよりも低い温度(例えば約20℃)に設定されており、換言すれば、この所定温度TCとは、この水温TC以下の冷却水を蓄熱器23内に導入したとしても十分に蓄熱効果が得ることができないという温度である。
【0034】
そして、このステップS24において、エンジン水温TAが所定温度TCよりも高温であると判定された場合には(Yesルート)、蓄熱器バルブ25が開弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水が蓄熱器23へ導入され、蓄熱器23内に蓄熱されるようになっている。つまり、水温上昇制御中であっても、エンジン水温TAが蓄熱器水温TB以上であり且つ所定水温TCよりも高温である場合には、積極的にエンジン1を冷却した後の冷却水を蓄熱器23へ導入するようになっている。これにより、その後、エンジン1が停止した後に、再び始動した場合(特に冷態始動した場合など)においてエンジン昇温に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0035】
また、上記のステップS24において、エンジン水温TAが所定温度TC以下であると判定された場合には(Noルート)、蓄熱器バルブ25が閉弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水は蓄熱器23に導入されず、そのまま再びエンジン1に供給される。これにより、蓄熱器23の蓄熱よりもエンジン1の昇温を優先し、エンジン1の昇温性を促進できる。
【0036】
一方、図3に示す上述の動作フローのステップS13においてエンジン負荷LDが高負荷であると判定された場合、もしくは、図4に示す上述の動作フローのステップS21においてエンジン水温TAが目標水温TT以上であると判定された場合には、図5に示す水温低下制御に移行する。以下、この水温低下制御について説明すると、まずステップS31において、サーモスタット(水温制御バルブ)7が開弁してラジエータ6からの冷却水がエンジン1へ供給され、エンジン1の冷却が促進される。その後、蓄熱器23内に設けられた水温センサ24によって検出された蓄熱器23内の冷却水温TBと、エンジン1に設けられた水温センサ26によって検出されたエンジン1の冷却水温TAとが比較され、蓄熱器水温TB>エンジン水温TAであるか否かが判定される(ステップS32)。
【0037】
ここで、蓄熱器水温TBの方がエンジン水温TAよりも高い場合(Yesルート)、蓄熱器バルブ25は開弁せず、蓄熱器23に蓄えられた冷却水はエンジン1に対して放出されないので、蓄熱器23からエンジン1に対する放熱は行なわれない。これにより、エンジン1の冷却を促進することができる。
一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下である場合(Noルート)、蓄熱器バルブ25が開弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水が蓄熱器23へ導入されることで蓄熱器23に蓄熱される。また、このとき、エンジン水温TAよりも低温である蓄熱器23内の冷却水がエンジン1に供給されるので、エンジン1の冷却が促進される。
【0038】
上述のように、本実施形態に係る本願発明によれば、エンジン1に付設された水温センサ26(エンジン水温検出手段)によってエンジン水温TAが測定されるとともに、蓄熱器23に付設された水温センサ(蓄熱器水温検出手段)24によって蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度TBが測定される。このとき、エンジン1が低負荷運転中であって且つ、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高い場合には、蓄熱器23内の冷却水がエンジンに供給される一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下である場合には、原則的に、蓄熱器23内の冷却水がエンジンに供給されないようになっている。
【0039】
これにより、蓄熱器23に蓄えられている冷却水の温度TBとエンジン1の冷却水温TAとを比較し、この比較判定結果に基づいて、速やかに水温の上昇を図ることができ、また、効率よくエンジン1の昇温を促進できる。
また、低負荷運転時において、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下であり、且つ、エンジン水温TAが所定温度TCよりも高い場合には、エンジン1を冷却した後の冷却水を蓄熱器23に導入して蓄熱するので、その後、エンジン温度を上昇させたい場合(例えば、エンジン再始動時など)において、蓄熱器23に蓄えられた熱(つまり、保温された冷却水)をエンジンに供給することで、効率よくエンジン1の昇温を促進し、昇温性能の向上に寄与することができる。
【0040】
また、高負荷運転時もしくは、低負荷運転時であってもエンジン水温TAが目標水温TT以上であると判定されたときには、ラジエータ6からの冷却水がエンジン1へ供給されてエンジン1の冷却が促進される。このとき、蓄熱器水温TB>エンジン水温TAである場合には、蓄熱器バルブ25は閉弁したまま保持され、蓄熱器23からエンジン1に対する放熱は行なわれない。これにより、エンジン1の冷却を促進することができる。一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下である場合には、蓄熱器バルブ25が開弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水を蓄熱器23へ導入することで効率よく蓄熱器23に蓄熱することができるとともに、蓄熱器23内に蓄えられていた比較的冷たい冷却水をエンジン1に供給することによって、エンジン1の冷却を促進することも可能である。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、蓄熱器バルブの弁開度を0〜100%の間で適宜変更できるように構成してもよい。これにより、蓄熱器への導入水量または放出水量を正確に制御することができるので、エンジンの温度制御をよりきめ細やかに行なうことが可能となる。
【0042】
また、上述の実施形態においては、蓄熱器内に蓄えられた熱をエンジンに適用する場合を説明したが、この他にも、例えば、蓄熱器内の冷却水温が十分に高い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンのみならずヒータコアにも供給できるように構成し、エンジンの昇温性能を向上させるとともにヒータ性能の向上を図ることも可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の冷却水温制御装置によれば、効率よく且つレスポンス良く冷却水温度を調節できる。つまり、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも高い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給することによって素早くエンジン温度を上昇させるとともに、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも低い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給しないので、効率よく冷却水温を調整することが可能となる(請求項1)。
【0044】
また、エンジン水温が蓄熱器水温よりも低く且つエンジン水温が所定温度以上である場合に、エンジン冷却後の冷却水を蓄熱器に導入して蓄熱することで、その後、エンジン温度を高めることが好ましい状況になった場合に、蓄熱器内の冷却水をエンジンへ放出することにより、エンジンの昇温性能を大いに向上させることができる(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すタイムチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すフローチャートであって、サブルーチンである水温上昇制御を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すフローチャートであって、サブルーチンである水温低下制御を示す。
【符号の説明】
1 エンジン
11 ECU(制御手段)
11a 目標水温設定手段
11b エンジン負荷判定手段
11c 蓄熱器バルブ制御手段
23 蓄熱器
24 水温センサ(蓄熱器水温検出手段)
26 水温センサ(エンジン水温検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に搭載されたエンジンに用いて好適な、冷却水温制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンには冷却水の温度を適温(例えば、80℃前後)に保つため、サーモスタットが設けられるのが一般的である。このようなサーモスタットの弁体は、冷却水温が所定温度よりも高くなると開弁され、ラジエータからの冷たい冷却水がエンジンに供給されるようになっている。
【0003】
ところで、上述の冷却水温を一定に保つということに加え、エンジンの負荷に応じて積極的に冷却水温を変更したいという要望がある。これは、エンジンが低負荷で運転している場合には、エンジン温度を積極的に上昇させることによって、フリクションロスを低減させて燃費向上を図る一方で、エンジンが高負荷で運転中である場合にはエンジン温度を積極的に低下させることによって、吸入空気密度を高めて出力増大を図るとともにノッキングを抑制したい、という要望に基づくものである。
【0004】
しかしながら、上述の一般的なサーモスタットによれば、エンジン負荷が増大した場合であっても、冷却水温度が所定温度以下であればラジエータからの冷たい冷却水がエンジンに供給されないため、エンジン温度は上昇してしまう。一方、冷却水温度が所定温度以上であれば、エンジン負荷が低下した場合であっても、ラジエータからの冷却水がエンジンに対して供給され、エンジン温度は低下してしまう。
【0005】
つまり、上述の一般的なサーモスタットによれば、冷却水温度を一定に保つという目的は達成できるものの、エンジンの負荷に応じて冷却水温度を制御するという目的は達成できない。
このため、エンジン負荷に対して冷却水温度を制御する手法の一例として、以下の特許文献1のような技術が開示されている。この技術では、エンジンと蓄熱器とが冷媒配管によって接続され、前記冷媒配管と蓄熱器との間で冷却水が循環され、蓄熱器によって保温された冷却水によってエンジンが暖められる旨が記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2002−195035号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、エンジンの負荷が小さいとき(部分負荷時)には蓄熱器に対する冷却水循環を開始し、一方、エンジン負荷が大きいとき(全負荷時)には蓄熱器に対する冷却水循環が停止されるため、例えば、部分負荷時には蓄熱器の冷却水温が低温である場合であっても、蓄熱器の冷却水がエンジンに供給される。このため、エンジン温度を上昇させたいという状況であるにもかかわらず、むしろエンジン温度を低下させてしまう場合がある。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、効率良く且つ素早く冷却水温度を調節できるようにした、冷却水温制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明の冷却水温制御装置は、車両のエンジン運転状態に応じて冷却水温を制御する冷却水温制御装置において、該エンジンの冷却水温を検出するエンジン水温検出手段と、該エンジンと接続され該エンジンを冷却した後の冷却水を保温しながら蓄える蓄熱器と、該蓄熱器の冷却水温を検出する蓄熱器水温検出手段と、該エンジンが低負荷状態で該蓄熱器水温検出手段により検出された蓄熱器水温が該エンジン水温検出手段により検出されたエンジン水温よりも高い場合には、該蓄熱器の冷却水を該エンジンへ供給する一方、該エンジンが低負荷状態であっても該蓄熱器水温が該エンジン水温よりも低い場合には、該蓄熱器の冷却水を該エンジンへ供給せずに保持する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
これにより、エンジンが低負荷状態になると、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも高い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給することによって素早くエンジン温度を上昇させるとともに、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも低い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給しないので、効率よく冷却水温を調整することが可能となる。
【0011】
また、請求項2記載の本発明の冷却水温制御装置は、上記請求項1記載の構成において、該蓄熱器水温が該エンジン水温よりも低く且つ該エンジン水温が所定温度以上である場合に、該エンジンを冷却した後の冷却水を該蓄熱器へ導入することを特徴としている。
これにより、エンジン水温が蓄熱器水温よりも低く且つエンジン水温が所定温度以上である場合に、エンジン冷却後の冷却水を蓄熱器に導入して蓄熱することにより、その後、エンジン温度を高めることが好ましい状況になった場合に、蓄熱器内の冷却水をエンジンへ放出することができるので、昇温性能を大幅に向上させることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施形態にかかる冷却水温制御装置について図1〜図5を用いて説明すると、図1はその構成を示す模式図、図2はその作用を説明するためのタイムチャート、図3〜5はその動作を示すフローチャートである。
図1に示す水冷式エンジン(以下、単にエンジン)1には、ウォータポンプ4,ヒータコア5,ラジエータ6,サーモスタット(水温制御バルブ)7により主に構成される冷却系10が接続されるとともに、エンジン水温TAを検出する水温センサ(エンジン水温検出手段)26が付設されている。また、エンジン1のクランクシャフト2にはベルト3を介して上記ウォータポンプ4が接続されており、冷却水はウォータポンプ4によりエンジン1と冷却系10との間で循環されるようになっている。
【0013】
また、この冷却系10に設けられたサーモスタット7はエンジン1の第1ポート1aとラジエータ6とウォータポンプ4との間に介装されており、エンジン1の出口水温(エンジン水温)TAに応じてサーモスタット7の感温部(図示略)が伸縮するようになっている。そして、この感温部の伸縮に応じてサーモスタット7の弁体(図示略)が開閉されるようになっている。
【0014】
これにより、サーモスタット7は、エンジン1からラジエータ6を経由せず再びエンジン1へ流れ込む冷却水(図中矢印F4,F6参照)と、エンジン1からラジエータ6を経由して再びエンジン1へ流れ込む冷却水(図中矢印F5,F6)との流量を調節できるようになっている。また、上述のサーモスタット7の弁体は、上述したエンジン水温TAの変化に応じて開閉するだけではなく、後述するECU(制御手段)11によっても開閉するように制御される、いわゆる電御サーモスタットが適用されている。
【0015】
また、ラジエータ6は冷却水を放熱させて冷却するものであり、エンジン1の第2ポート1bとサーモスタット7との間に介装されている。また、ヒータコア5は入力ポート5aと出力ポート5bとをそなえ、このうち入力ポート5aがエンジン1の第3ポート1cと接続されるとともに、出力ポート5bがウォータポンプ4と接続されている。これにより、ヒータコア5にはエンジン1を冷却した後の冷却水が入力ポート5aを通じて供給され、この冷却水から熱を奪うことで図示しないヒータの熱源として機能するようになっている。また、ヒータコア5で熱が奪われた冷却水は、出力ポート5bからウォータポンプ4経由で再びエンジン1に戻されるようになっている。
【0016】
また、本実施形態に係る冷却水温制御装置においては、冷却系10中、上述したヒータコア5、ラジエータ6およびサーモスタット7をバイパスする水路21,22の間に蓄熱器23が設けられ、この蓄熱器23によりエンジン1を冷却した後の冷却水(図中矢印F2参照)が保温された状態で蓄えられるようになっている。さらに、この蓄熱器23には水温センサ(蓄熱器水温検出手段)24がそなえられ、蓄熱器23内に蓄えられた冷却水温TBを検出できるようになっている。
【0017】
また、上記の水路21,22と蓄熱器23との間には蓄熱器バルブ25が介装されている。この蓄熱器バルブ25はエンジン1から水路21を介して蓄熱器23へ流入する冷却水量を制御するとともに、蓄熱器23から水路22およびウォータポンプ4を介してエンジン1へ放出される冷却水量を制御することができるようになっている。なお、この蓄熱器バルブ25は後述するECU11と電気的に接続され、蓄熱器バルブ25はこのECU11によって制御されるようになっている。
【0018】
ECU11は、エンジン1,サーモスタット7,蓄熱器バルブ25と電気的に接続されるとともに、目標水温設定手段11a,エンジン負荷判定手段11b,蓄熱器バルブ制御手段11c,サーモスタット制御手段(図示略)を内蔵して構成されている。
また、このECU11には、エンジン1に付設された水温センサ26によって検出されたエンジン水温TA、蓄熱器23に付設された水温センサ24によって検出された水温TB、回転数センサ(図示略)によって検出されたエンジン回転数NE、エンジン負荷LDなど各種の情報を受信するようになっている。なお、ここでエンジン負荷LDは、例えば、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)や吸気マニホールド内圧などをパラメータとして設定されるようになっている。
【0019】
上述のうち、目標水温設定手段11aは、エンジン負荷LDに応じた目標水温TTを設定するものであり、ここではマップとして設けられている。つまり、この目標水温設定手段11aに、上述のエンジン負荷LDを適用することで、目標水温TTが得られるようになっている。また、この目標水温TTは、エンジン負荷が増大するにつれて低くなるように設定される一方、エンジン負荷が減少するにつれて高くなるように設定されている。これは、従来の技術の欄において上述したように、エンジンが低負荷で運転している場合にはエンジン温度を積極的に上昇させることによってフリクションロスを低減させて燃費向上を図る一方で、エンジンが高負荷で運転している場合にはエンジン温度を積極的に低下させることによって、吸入空気密度を高めて出力増大を図るとともにノッキングを抑制したい、という要望に基づいて設定されたものである。
【0020】
また、エンジン負荷判定手段11bは、アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)に基づいて、エンジン1の負荷が高負荷であるか低負荷であるかを判定するようになっている。
また、蓄熱器バルブ制御手段11cは、エンジン1の冷却水温度TAやエンジン負荷LDに応じて設定された目標水温TTや蓄熱器水温TBに基づいて蓄熱器バルブ25を制御するものである。
【0021】
そして、上記のエンジン負荷判定手段11bによってエンジン負荷LDが低負荷であると判定されるとともに、上記の蓄熱器バルブ制御手段11cにより、TT>TA,且つTA<TBという条件が満たされたと判定された場合には、蓄熱器バルブ25を開弁して蓄熱器23内に蓄えられている冷却水をエンジン1に対して放出し、エンジン1に供給される冷却水(図中矢印F6参照)の温度を素早く上昇させる水温上昇制御(詳しくは後述する)を実行するようになっている。
【0022】
一方、上記のエンジン負荷判定手段11bによってエンジン負荷が高負荷であると判定されるとともに、エンジン水温TAが蓄熱器水温TB以上であるという条件が満たされた場合には、蓄熱器バルブ25を開弁して蓄熱器23内に蓄えられている比較的冷たい冷却水をエンジン1に対して放出し、エンジン1に供給される冷却水(図中矢印F6参照)の温度を素早く低減させる水温低下制御(詳しくは後述する)を実行するようになっている。
【0023】
また、上記の水温上昇制御において、ECU11のサーモスタット制御手段(図示略)によりサーモスタット7が閉弁されることで、ラジエータ6からエンジン1への冷却水の流入が遮断してエンジン水温TAを上昇させ、エンジン1の昇温がさらに促進されるようになっている。一方、上記の水温低減制御においては、上記のサーモスタット制御手段によりサーモスタット7が開弁されることで、ラジエータ6からの冷たい冷却水をエンジン1へ供給して、高負荷運転中のエンジン1が積極的に冷却されるようになっている。
【0024】
本願発明の冷却水温制御装置は上述のように構成されているので、以下、その作用を説明すると、まず、図2のタイムチャートに示すように、エンジン負荷が低い場合(区間A参照)、TB>TAであれば、蓄熱器バルブ制御手段11cによって蓄熱器バルブ25が開弁され、エンジン水温TA=目標水温TT1となるように上記の水温上昇制御が実行される。
【0025】
その後、エンジン1の負荷が高まると(区間B参照)、TB>TAであれば蓄熱器バルブ25が閉弁するとともにサーモスタット7が開弁し、冷却水はラジエータ6を通過しながら循環することによってエンジン水温TAを低下させるべく、上記の水温低下制御が実行される。このとき、サーモスタット7の弁開度が感温部によって調整され、エンジン冷却水温TAは目標水温TT2で安定する。
【0026】
その後、再びエンジン1の負荷が低下し(区間C参照)、且つ、エンジン冷却後の冷却水の温度TAが蓄熱器23内に蓄えられている冷却水の温度TBを下回る(すなわち、TB>TAとなる)と、蓄熱器23内に蓄えられている高温の冷却水がエンジン1に対して供給され、エンジン水温TAは目標水温TT1まで上昇する。
【0027】
このように、エンジン負荷が高負荷から低負荷に移行した場合であっても、図中矢印Dで示すように、急速にエンジン水温TAを上昇させることができる。なお、図中鎖線矢印Eで示す線は、従来の冷却系によって冷却水温度を目標水温TT1まで上昇させた場合の特性を示している。つまり、本実施形態に係る本願発明によれば、矢印Fで示す時間分、エンジンの昇温を早期化させることができる。
【0028】
次に、図3に示すフローチャートを用いて本実施形態に係る本願発明の作用について説明すると、まず、エンジン水温TA,蓄熱器水温TB,エンジン回転数NE,エンジン負荷LDなどがECU11によって読み込まれる(ステップS11)。次に、読み込んだエンジン負荷LDに基づいて、ECU11の目標温度設定手段11aにより、目標水温TTが得られる(ステップS12)。
【0029】
そして、エンジン負荷LDが、高負荷であるか低負荷であるかが判定される(ステップS13)。つまり、このステップS13において、エンジン1に対する冷却水温を上昇させる制御を実行するのかもしくは、冷却水温を低下させる制御を実行するのかが決定されるようになっている。
【0030】
そして、このステップS13においてエンジン1が低負荷運転中であると判定された場合には(図中、“低負荷”ルート)、ステップS20においてサブルーチンとして設定された水温上昇制御が実行され、一方、エンジン1が高負荷運転中であると判定された場合には(図中、“高負荷”ルート)、ステップS30においてサブルーチンとして設定された冷却水温を低減させる水温低下制御が実行される。
【0031】
このうち、水温上昇制御は、図4に示すように、まずエンジン水温TAが目標水温TT未満であるか否かが判定される(ステップS21)。ここで、エンジン水温TAが目標水温TT以上である場合には(Noルート)、後述する水温低下制御へ移行する。これは、エンジン1のオーバーヒートを防ぐことを目的としている。一方、上記のステップS21において、エンジン水温TAが目標水温TT未満である場合には(Yesルート)、サーモスタット(水温制御バルブ)7の弁が閉弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水が再びエンジン1に供給される(ステップS22)。
【0032】
その後、ステップS23において、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高温であるか否かが判定される。ここで、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高温であると判定された場合には(Yesルート)、蓄熱器バルブ25が開弁することで蓄熱器23内の冷却水がエンジン1へ放出され、エンジン1の昇温が促進される(ステップS27)。
【0033】
一方、上記のステップS23において、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高温であると判定されない場合(つまり、エンジン水温TAが蓄熱器水温TB以上である場合)には(Noルート)、さらにエンジン水温TAが所定温度TCよりも高温であるか否かが判定される(ステップS24)。この所定温度TCは目標水温TTよりも低い温度(例えば約20℃)に設定されており、換言すれば、この所定温度TCとは、この水温TC以下の冷却水を蓄熱器23内に導入したとしても十分に蓄熱効果が得ることができないという温度である。
【0034】
そして、このステップS24において、エンジン水温TAが所定温度TCよりも高温であると判定された場合には(Yesルート)、蓄熱器バルブ25が開弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水が蓄熱器23へ導入され、蓄熱器23内に蓄熱されるようになっている。つまり、水温上昇制御中であっても、エンジン水温TAが蓄熱器水温TB以上であり且つ所定水温TCよりも高温である場合には、積極的にエンジン1を冷却した後の冷却水を蓄熱器23へ導入するようになっている。これにより、その後、エンジン1が停止した後に、再び始動した場合(特に冷態始動した場合など)においてエンジン昇温に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0035】
また、上記のステップS24において、エンジン水温TAが所定温度TC以下であると判定された場合には(Noルート)、蓄熱器バルブ25が閉弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水は蓄熱器23に導入されず、そのまま再びエンジン1に供給される。これにより、蓄熱器23の蓄熱よりもエンジン1の昇温を優先し、エンジン1の昇温性を促進できる。
【0036】
一方、図3に示す上述の動作フローのステップS13においてエンジン負荷LDが高負荷であると判定された場合、もしくは、図4に示す上述の動作フローのステップS21においてエンジン水温TAが目標水温TT以上であると判定された場合には、図5に示す水温低下制御に移行する。以下、この水温低下制御について説明すると、まずステップS31において、サーモスタット(水温制御バルブ)7が開弁してラジエータ6からの冷却水がエンジン1へ供給され、エンジン1の冷却が促進される。その後、蓄熱器23内に設けられた水温センサ24によって検出された蓄熱器23内の冷却水温TBと、エンジン1に設けられた水温センサ26によって検出されたエンジン1の冷却水温TAとが比較され、蓄熱器水温TB>エンジン水温TAであるか否かが判定される(ステップS32)。
【0037】
ここで、蓄熱器水温TBの方がエンジン水温TAよりも高い場合(Yesルート)、蓄熱器バルブ25は開弁せず、蓄熱器23に蓄えられた冷却水はエンジン1に対して放出されないので、蓄熱器23からエンジン1に対する放熱は行なわれない。これにより、エンジン1の冷却を促進することができる。
一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下である場合(Noルート)、蓄熱器バルブ25が開弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水が蓄熱器23へ導入されることで蓄熱器23に蓄熱される。また、このとき、エンジン水温TAよりも低温である蓄熱器23内の冷却水がエンジン1に供給されるので、エンジン1の冷却が促進される。
【0038】
上述のように、本実施形態に係る本願発明によれば、エンジン1に付設された水温センサ26(エンジン水温検出手段)によってエンジン水温TAが測定されるとともに、蓄熱器23に付設された水温センサ(蓄熱器水温検出手段)24によって蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度TBが測定される。このとき、エンジン1が低負荷運転中であって且つ、蓄熱器水温TBがエンジン水温TAよりも高い場合には、蓄熱器23内の冷却水がエンジンに供給される一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下である場合には、原則的に、蓄熱器23内の冷却水がエンジンに供給されないようになっている。
【0039】
これにより、蓄熱器23に蓄えられている冷却水の温度TBとエンジン1の冷却水温TAとを比較し、この比較判定結果に基づいて、速やかに水温の上昇を図ることができ、また、効率よくエンジン1の昇温を促進できる。
また、低負荷運転時において、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下であり、且つ、エンジン水温TAが所定温度TCよりも高い場合には、エンジン1を冷却した後の冷却水を蓄熱器23に導入して蓄熱するので、その後、エンジン温度を上昇させたい場合(例えば、エンジン再始動時など)において、蓄熱器23に蓄えられた熱(つまり、保温された冷却水)をエンジンに供給することで、効率よくエンジン1の昇温を促進し、昇温性能の向上に寄与することができる。
【0040】
また、高負荷運転時もしくは、低負荷運転時であってもエンジン水温TAが目標水温TT以上であると判定されたときには、ラジエータ6からの冷却水がエンジン1へ供給されてエンジン1の冷却が促進される。このとき、蓄熱器水温TB>エンジン水温TAである場合には、蓄熱器バルブ25は閉弁したまま保持され、蓄熱器23からエンジン1に対する放熱は行なわれない。これにより、エンジン1の冷却を促進することができる。一方、蓄熱器水温TBがエンジン水温TA以下である場合には、蓄熱器バルブ25が開弁し、エンジン1を冷却した後の冷却水を蓄熱器23へ導入することで効率よく蓄熱器23に蓄熱することができるとともに、蓄熱器23内に蓄えられていた比較的冷たい冷却水をエンジン1に供給することによって、エンジン1の冷却を促進することも可能である。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
例えば、蓄熱器バルブの弁開度を0〜100%の間で適宜変更できるように構成してもよい。これにより、蓄熱器への導入水量または放出水量を正確に制御することができるので、エンジンの温度制御をよりきめ細やかに行なうことが可能となる。
【0042】
また、上述の実施形態においては、蓄熱器内に蓄えられた熱をエンジンに適用する場合を説明したが、この他にも、例えば、蓄熱器内の冷却水温が十分に高い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンのみならずヒータコアにも供給できるように構成し、エンジンの昇温性能を向上させるとともにヒータ性能の向上を図ることも可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の冷却水温制御装置によれば、効率よく且つレスポンス良く冷却水温度を調節できる。つまり、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも高い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給することによって素早くエンジン温度を上昇させるとともに、蓄熱器に蓄えられた冷却水の温度がエンジンの冷却水よりも低い場合には蓄熱器の冷却水をエンジンに供給しないので、効率よく冷却水温を調整することが可能となる(請求項1)。
【0044】
また、エンジン水温が蓄熱器水温よりも低く且つエンジン水温が所定温度以上である場合に、エンジン冷却後の冷却水を蓄熱器に導入して蓄熱することで、その後、エンジン温度を高めることが好ましい状況になった場合に、蓄熱器内の冷却水をエンジンへ放出することにより、エンジンの昇温性能を大いに向上させることができる(請求項2)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すタイムチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すフローチャートであって、サブルーチンである水温上昇制御を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係る冷却水温制御装置の作用を模式的に示すフローチャートであって、サブルーチンである水温低下制御を示す。
【符号の説明】
1 エンジン
11 ECU(制御手段)
11a 目標水温設定手段
11b エンジン負荷判定手段
11c 蓄熱器バルブ制御手段
23 蓄熱器
24 水温センサ(蓄熱器水温検出手段)
26 水温センサ(エンジン水温検出手段)
Claims (2)
- 車両のエンジン運転状態に応じて冷却水温を制御する冷却水温制御装置において、
該エンジンの冷却水温を検出するエンジン水温検出手段と、
該エンジンと接続され該エンジンを冷却した後の冷却水を保温しながら蓄える蓄熱器と、
該蓄熱器の冷却水温を検出する蓄熱器水温検出手段と、
該エンジンが低負荷状態で該蓄熱器水温検出手段により検出された蓄熱器水温が該エンジン水温検出手段により検出されたエンジン水温よりも高い場合には、該蓄熱器の冷却水を該エンジンへ供給する一方、該エンジンが低負荷状態であっても該蓄熱器水温が該エンジン水温よりも低い場合には、該蓄熱器の冷却水を該エンジンへ供給せずに保持する制御手段と
を備えることを特徴とする、冷却水温制御装置。 - 該蓄熱器水温が該エンジン水温よりも低く且つ該エンジン水温が所定温度以上である場合に、該エンジンを冷却した後の冷却水を該蓄熱器へ導入する
ことを特徴とする、請求項1記載の冷却水温制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2003162213A JP2004360635A (ja) | 2003-06-06 | 2003-06-06 | 冷却水温制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003162213A JP2004360635A (ja) | 2003-06-06 | 2003-06-06 | 冷却水温制御装置 |
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Family Applications (1)
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JP2003162213A Withdrawn JP2004360635A (ja) | 2003-06-06 | 2003-06-06 | 冷却水温制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB2424474A (en) * | 2005-03-21 | 2006-09-27 | Bombardier Transp Gmbh | Cooling system for an internal combustion engine, and a method of use in a vehicle |
JP2007107844A (ja) * | 2005-10-14 | 2007-04-26 | Toyota Motor Corp | 潜熱蓄熱装置及びエンジン |
-
2003
- 2003-06-06 JP JP2003162213A patent/JP2004360635A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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GB2424474A (en) * | 2005-03-21 | 2006-09-27 | Bombardier Transp Gmbh | Cooling system for an internal combustion engine, and a method of use in a vehicle |
JP2007107844A (ja) * | 2005-10-14 | 2007-04-26 | Toyota Motor Corp | 潜熱蓄熱装置及びエンジン |
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