JP2004359789A - スチレン系樹脂組成物及びそのシート - Google Patents
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Abstract
【課題】従来にない透明性に優れ、シート加工時にシートの汚染が少ない熱可塑性樹脂組成物を工業上極めて有利に提供すること。
【解決手段】下記(a)成分、(b)成分からなるシート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物。
(a)成分:スチレン系単量体単位20〜80質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位80〜20質量%からなる共重合体であり、かつその共重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下であるスチレン系共重合体中に、メルカプト残基を4000〜8000ppm含有するスチレン系樹脂。
(b)成分:ガラスビーズ、及び/又は架橋樹脂ビーズ。
【選択図】 なし
【解決手段】下記(a)成分、(b)成分からなるシート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物。
(a)成分:スチレン系単量体単位20〜80質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位80〜20質量%からなる共重合体であり、かつその共重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下であるスチレン系共重合体中に、メルカプト残基を4000〜8000ppm含有するスチレン系樹脂。
(b)成分:ガラスビーズ、及び/又は架橋樹脂ビーズ。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物及びそのシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体からなる共重合体にガラスビーズや架橋樹脂ビーズを配合してなる光拡散性樹脂が知られているが、押出し機にてシート押出しすると、押出し機のダイス(吐出口)等に樹脂が付着しやすくなり、樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染し商品価値を低下させる問題があった。また、この問題を解消するために、適宜ダイスの掃除を行うことが必要となり、著しく生産性を低下させ、経済性に乏しいという欠点を有していた。
このダイスへの樹脂付着を防止する方法として、に記載されているような、ダイスへのWCコーティングによるエッジのシャープ化が効果的であるが、長時間の使用でのエッジ部の摩耗により、再び樹脂付着が発生する欠点を有している。
また、樹脂の改良によるダイスへの樹脂付着防止技術は未だ見出されていない。
【0003】
【非特許文献1】
川辺剛士著「コンバーテック」(株)加工技術研究会発行、2001年12月号、p.24
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、光拡散性が優れ、シート押出し時にシートの汚染が少ないスチレン−メタアクリル酸エステル系共重合体を含有するスチレン系樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体中にメルカプト残基を特定量存在させることによりこの課題にかなうことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(1)下記(a)成分、(b)成分からなるシート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物、(a)成分:スチレン系単量体単位20〜80質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位80〜20質量%からなる共重合体であり、かつその共重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下であるスチレン系共重合体中に、メルカプト残基を4000〜8000ppm含有するスチレン系樹脂、(2)(a)成分100質量部に対して、(b)成分が0.1〜20質量部含有してなる(1)記載のスチレン系樹脂組成物、(3)(b)成分の平均粒子径が5〜25μmである(1)又は(2)記載のスチレン系樹脂組成物、(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物からなるシートである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用してもよい。
【0008】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上を併用してもよい。好ましくは、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはこれらの混合物である。
【0009】
また、必要に応じてアクリロニトリル等のその他共重合性単量体を用いることもできる。
【0010】
本発明のスチレン系樹脂を構成するスチレン系単量体単位は20〜80質量%であり、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位は80〜20質量%である。
この範囲から外れると、得られるスチレン系樹脂の透明性が低下し好ましくない。
【0011】
また、本発明で用いられるメルカプト基を有する化合物としては、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のアルキル基、置換アルキル基を有する第一級、第二級及び第三級メルカプタン、フェニルメルカプタン、チオクレゾール等の芳香族メルカプタン、チオグリコール酸とそのエステル及びエチレンチオグリコール等が挙げられる。これらは単独で使用するかあるいは2種類以上を併用してもよい。
好ましくは、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンまたは、これらの混合物である。
【0012】
本発明のスチレン系樹脂に含有されるメルカプト残基は、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体中に、10〜8000ppm、好ましくは4000〜8000ppmである。
メルカプト残基が10ppm以下では、シート押出し時にシート汚染が発生し、8000ppmを超えるとシート押出しが安定しなくなる。
【0013】
本発明のスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.5以下であることが必要である。2.5を越えると強度が低下し、シート巻き取り時に割れてしまう。重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnとも、下記記載のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作成し、重量平均分子量Mw、数平均分子量MnはPS換算値で表した。
【0014】
本発明のスチレン系樹脂に含有されるメルカプト残基由来のイオウの定量は、下記操作により行った。
スチレン系樹脂1gをMEK100mlに25℃で24時間かけて溶解させ、日立工機社製遠心分離機CR26Hを用いて、温度10℃、回転数8500rpmで15分間遠心分離を行った。次に、不溶分を60℃の真空乾燥機で24時間乾燥させた。
その後、乾燥した不溶分を250mg分取し、以下の条件で燃焼させ、得られた吸収液中の吸収させた硫酸イオンをイオンクロマトグラフにより定量分析しイオウ量に換算して求めた。
<燃焼条件>
装置名:試料燃焼装置 QF−02型(ダイアインスツルメンツ社製)
キャリアガス:Air/O2 100ml/分
700℃でAirからO2に切替え、試料を完全燃焼する。
吸収液:0.3%過酸化水素水
燃焼時間:60分
【0015】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズは、平均粒子径が5〜25μmが好ましい。平均粒子径が5μm未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、25μmを超えると全光線透過率が低下し光拡散性が低下する。
ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの平均粒子径は、コールター・マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
【0016】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。0.1質量部未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、20質量部を超えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下する。
【0017】
本発明の(a)成分のスチレン系樹脂の製造方法に特に制限はないが、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体を重合する際に、メルカプト基を有する化合物を添加する方法が、好ましい製造方法である。
【0018】
スチレン系樹脂体の製造に特に制限はないが、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法を好適に採用できる。
【0019】
また、(b)成分であるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの配合方法に特に制限はなく、(a)成分の重合前、重合途中、重合後に配合する方法、(a)成分との混合により配合する方法等が挙げられる。
【0020】
(a)成分、(b)成分の混合方法については特に制限はないが、例えば、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等の公知の混合装置にて予備混合した後、単軸押出機または二軸押出機等の押出機を用いて溶融混練を行うことにより、均一に混合することができる。
【0021】
本発明のスチレン系樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を配合することができる。例えば、流動性や離型性を向上させるために、可塑剤、滑剤、シリコンオイル等を配合することができる。また、成形品の防塵のために帯電防止剤を配合することができる。また、耐熱性を付与するため、熱安定剤を配合することができる。また、耐光性を付与するため、光安定剤や紫外線吸収剤を配合することができるが、成形品の表面に紫外線硬化剤を塗布して紫外線硬化する場合は、硬化に影響を及ぼすので注意が必要である。その他、着色剤等を配合することもできる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中の部、%はいずれも質量基準で表した。
【0023】
スチレン系樹脂(A)の製造
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート(MMA)57.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A1)を得た。スチレン系樹脂(A1)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0024】
メルカプト基を有する化合物を用いなかった以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A2)を得た。スチレン系樹脂(A2)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.1であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0025】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート(MMA)57.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.5部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて4時間後、さらにt−ドデシルメルカプタン0.5部を添加し、温度95℃にて2時間重合し、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A3)を得た。スチレン系樹脂(A3)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.6であった。また、組成はスチレン/MMA=43.1/56.9であった。
【0026】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン22.5部及びメチルメタクリレート(MMA)77.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A4)を得た。スチレン系樹脂(A4)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=22.4/77.6であった。
【0027】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン77.5部及びメチルメタクリレート(MMA)22.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A5)を得た。スチレン系樹脂(A5)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=77.4/22.6であった。
【0028】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン15.5部及びメチルメタクリレート(MMA)84.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A6)を得た。スチレン系樹脂(A6)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=15.4/84.6であった。
【0029】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン84.5部及びメチルメタクリレート(MMA)15.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A7)を得た。スチレン系樹脂(A7)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=84.6/15.4であった。
【0030】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを0.05部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A8)を得た。スチレン系樹脂(A8)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0031】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを3.7部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A9)を得た。スチレン系樹脂(A9)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0032】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを0.01部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A10)を得た。スチレン系樹脂(A10)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0033】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを6.1部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A11)を得た。スチレン系樹脂(A11)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0034】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを2.2部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A12)を得た。スチレン系樹脂(A12)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0035】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを2.7部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A13)を得た。スチレン系樹脂(A13)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0036】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを4.5部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A14)を得た。スチレン系樹脂(A14)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0037】
参考例1〜9、実施例1〜3、比較例1〜6
上記スチレン系樹脂(A1)〜(A14)を、それぞれ40mm径の単軸押出機にて、温度240℃、スクリュー回転数100rpmにて混練し、ペレット化を行い、ペレットを得た。
このペレットを用いてスチレン系樹脂の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び樹脂中のイオウ量を測定し、表1に示した。
また、このスチレン系樹脂と(b)成分としてガラスビーズを表2及び表3に示す配合比にて混合し、40mm径の単軸押出し機にて、温度240℃、スクリュー回転数100rpmにて混練し、ペレット化を行い、スチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
尚、ガラスビーズは、平均粒子径3μm、平均粒子径15μm、平均粒子径30μmを用いた。
このペレットを用いて温度220℃にて射出成形し、試験片を得た。この試験片を用いて各種物性測定を行った。結果を表2及び表3に示した。
また、更にTダイ方式の押出機にて、シリンダー温度230℃にてシートを成形した。得られたシートの物性、透明性、シート加工時の汚染開始時間を表2及び表3に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)全光線透過率、曇度:表2及び表3の射出成形品物性に示したものは、射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度220℃で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの厚さ2mm部を用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
また、表2及び表3のシート成形品物性に示したものは、得られたシートを用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
【0042】
また、表2及び表3のシート加工時汚染開始時間とは、シート加工時でシートの汚染が始まる時間のことをいう。例えば、参考例1のシート加工時汚染開始時間が14時間とは、シート加工を始めてから14時間後にシートの汚染が始まる意味である。シートの汚染とは、前述のように樹脂組成物を押出し機にてシート加工すると、押出し機のシリンダー内やダイス(吐出口)等に付着した樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染してシートの商品価値を低下させることをいう。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、従来にない透明性に優れ、シート加工時にシートの汚染が少ない熱可塑性樹脂組成物を工業上極めて有利に提供することができる。本発明のスチレン系樹脂組成物は、光拡散性に優れていることより、特にフレネルレンズやレンチキュラーレンズ等の光学用途に好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物及びそのシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体からなる共重合体にガラスビーズや架橋樹脂ビーズを配合してなる光拡散性樹脂が知られているが、押出し機にてシート押出しすると、押出し機のダイス(吐出口)等に樹脂が付着しやすくなり、樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染し商品価値を低下させる問題があった。また、この問題を解消するために、適宜ダイスの掃除を行うことが必要となり、著しく生産性を低下させ、経済性に乏しいという欠点を有していた。
このダイスへの樹脂付着を防止する方法として、に記載されているような、ダイスへのWCコーティングによるエッジのシャープ化が効果的であるが、長時間の使用でのエッジ部の摩耗により、再び樹脂付着が発生する欠点を有している。
また、樹脂の改良によるダイスへの樹脂付着防止技術は未だ見出されていない。
【0003】
【非特許文献1】
川辺剛士著「コンバーテック」(株)加工技術研究会発行、2001年12月号、p.24
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性、光拡散性が優れ、シート押出し時にシートの汚染が少ないスチレン−メタアクリル酸エステル系共重合体を含有するスチレン系樹脂組成物を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討をした結果、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位を主成分とする共重合体中にメルカプト残基を特定量存在させることによりこの課題にかなうことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(1)下記(a)成分、(b)成分からなるシート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物、(a)成分:スチレン系単量体単位20〜80質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位80〜20質量%からなる共重合体であり、かつその共重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下であるスチレン系共重合体中に、メルカプト残基を4000〜8000ppm含有するスチレン系樹脂、(2)(a)成分100質量部に対して、(b)成分が0.1〜20質量部含有してなる(1)記載のスチレン系樹脂組成物、(3)(b)成分の平均粒子径が5〜25μmである(1)又は(2)記載のスチレン系樹脂組成物、(4)(1)〜(3)のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物からなるシートである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明に用いられるスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等が挙げられるが、好ましくはスチレンである。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上併用してもよい。
【0008】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−メチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用するかあるいは2種類以上を併用してもよい。好ましくは、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートまたはこれらの混合物である。
【0009】
また、必要に応じてアクリロニトリル等のその他共重合性単量体を用いることもできる。
【0010】
本発明のスチレン系樹脂を構成するスチレン系単量体単位は20〜80質量%であり、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位は80〜20質量%である。
この範囲から外れると、得られるスチレン系樹脂の透明性が低下し好ましくない。
【0011】
また、本発明で用いられるメルカプト基を有する化合物としては、n−ブチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のアルキル基、置換アルキル基を有する第一級、第二級及び第三級メルカプタン、フェニルメルカプタン、チオクレゾール等の芳香族メルカプタン、チオグリコール酸とそのエステル及びエチレンチオグリコール等が挙げられる。これらは単独で使用するかあるいは2種類以上を併用してもよい。
好ましくは、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンまたは、これらの混合物である。
【0012】
本発明のスチレン系樹脂に含有されるメルカプト残基は、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体中に、10〜8000ppm、好ましくは4000〜8000ppmである。
メルカプト残基が10ppm以下では、シート押出し時にシート汚染が発生し、8000ppmを超えるとシート押出しが安定しなくなる。
【0013】
本発明のスチレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は2.5以下であることが必要である。2.5を越えると強度が低下し、シート巻き取り時に割れてしまう。重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnとも、下記記載のゲルパーミエ−ションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。
装置名:SYSTEM−21 Shodex(昭和電工社製)
カラム:PL gel MIXED−Bを3本直列
温度:40℃
検出:示差屈折率
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
濃度:2質量%
検量線:標準ポリスチレン(PS)(PL社製)を用いて作成し、重量平均分子量Mw、数平均分子量MnはPS換算値で表した。
【0014】
本発明のスチレン系樹脂に含有されるメルカプト残基由来のイオウの定量は、下記操作により行った。
スチレン系樹脂1gをMEK100mlに25℃で24時間かけて溶解させ、日立工機社製遠心分離機CR26Hを用いて、温度10℃、回転数8500rpmで15分間遠心分離を行った。次に、不溶分を60℃の真空乾燥機で24時間乾燥させた。
その後、乾燥した不溶分を250mg分取し、以下の条件で燃焼させ、得られた吸収液中の吸収させた硫酸イオンをイオンクロマトグラフにより定量分析しイオウ量に換算して求めた。
<燃焼条件>
装置名:試料燃焼装置 QF−02型(ダイアインスツルメンツ社製)
キャリアガス:Air/O2 100ml/分
700℃でAirからO2に切替え、試料を完全燃焼する。
吸収液:0.3%過酸化水素水
燃焼時間:60分
【0015】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズは、平均粒子径が5〜25μmが好ましい。平均粒子径が5μm未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、25μmを超えると全光線透過率が低下し光拡散性が低下する。
ガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの平均粒子径は、コールター・マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。
【0016】
本発明に用いられるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。0.1質量部未満では、曇り度が小さくなり光拡散性が低下し、20質量部を超えると、全光線透過率が低下し光拡散性が低下する。
【0017】
本発明の(a)成分のスチレン系樹脂の製造方法に特に制限はないが、スチレン系単量体単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位からなる共重合体を重合する際に、メルカプト基を有する化合物を添加する方法が、好ましい製造方法である。
【0018】
スチレン系樹脂体の製造に特に制限はないが、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法を好適に採用できる。
【0019】
また、(b)成分であるガラスビーズ、架橋樹脂ビーズの配合方法に特に制限はなく、(a)成分の重合前、重合途中、重合後に配合する方法、(a)成分との混合により配合する方法等が挙げられる。
【0020】
(a)成分、(b)成分の混合方法については特に制限はないが、例えば、ヘンシェルミキサーやタンブラーミキサー等の公知の混合装置にて予備混合した後、単軸押出機または二軸押出機等の押出機を用いて溶融混練を行うことにより、均一に混合することができる。
【0021】
本発明のスチレン系樹脂組成物には、必要に応じて添加剤を配合することができる。例えば、流動性や離型性を向上させるために、可塑剤、滑剤、シリコンオイル等を配合することができる。また、成形品の防塵のために帯電防止剤を配合することができる。また、耐熱性を付与するため、熱安定剤を配合することができる。また、耐光性を付与するため、光安定剤や紫外線吸収剤を配合することができるが、成形品の表面に紫外線硬化剤を塗布して紫外線硬化する場合は、硬化に影響を及ぼすので注意が必要である。その他、着色剤等を配合することもできる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中の部、%はいずれも質量基準で表した。
【0023】
スチレン系樹脂(A)の製造
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート(MMA)57.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A1)を得た。スチレン系樹脂(A1)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0024】
メルカプト基を有する化合物を用いなかった以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A2)を得た。スチレン系樹脂(A2)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.1であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0025】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン42.5部及びメチルメタクリレート(MMA)57.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.5部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて4時間後、さらにt−ドデシルメルカプタン0.5部を添加し、温度95℃にて2時間重合し、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A3)を得た。スチレン系樹脂(A3)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.6であった。また、組成はスチレン/MMA=43.1/56.9であった。
【0026】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン22.5部及びメチルメタクリレート(MMA)77.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A4)を得た。スチレン系樹脂(A4)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=22.4/77.6であった。
【0027】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン77.5部及びメチルメタクリレート(MMA)22.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A5)を得た。スチレン系樹脂(A5)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=77.4/22.6であった。
【0028】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン15.5部及びメチルメタクリレート(MMA)84.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A6)を得た。スチレン系樹脂(A6)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=15.4/84.6であった。
【0029】
攪拌機付きオートクレーブにスチレン84.5部及びメチルメタクリレート(MMA)15.5部、重合開始剤として、ベンゾイルパーオキサイド0.2部、メルカプト基を有する化合物としてt−ドデシルメルカプタン0.1部、懸濁安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.001部及び第三リン酸カルシウム0.5部、純水200部を仕込み、温度95℃にて6時間、さらに温度130℃にて2時間重合した。反応終了後、洗浄、脱水、乾燥を行い、ビーズ状のスチレン系樹脂(A7)を得た。スチレン系樹脂(A7)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=84.6/15.4であった。
【0030】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを0.05部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A8)を得た。スチレン系樹脂(A8)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0031】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを3.7部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A9)を得た。スチレン系樹脂(A9)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0032】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを0.01部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A10)を得た。スチレン系樹脂(A10)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0033】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを6.1部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A11)を得た。スチレン系樹脂(A11)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0034】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを2.2部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A12)を得た。スチレン系樹脂(A12)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0035】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを2.7部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A13)を得た。スチレン系樹脂(A13)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0036】
メルカプト基を有する化合物としてtert−ドデシルメルカプタンを4.5部を用いた以外はスチレン系樹脂(A1)の製造と、同様の方法にて重合を行い、スチレン系樹脂(A14)を得た。スチレン系樹脂(A14)のGPC法にて測定したポリスチレン換算のMw/Mn=2.0であった。また、組成はスチレン/MMA=43.0/57.0であった。
【0037】
参考例1〜9、実施例1〜3、比較例1〜6
上記スチレン系樹脂(A1)〜(A14)を、それぞれ40mm径の単軸押出機にて、温度240℃、スクリュー回転数100rpmにて混練し、ペレット化を行い、ペレットを得た。
このペレットを用いてスチレン系樹脂の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn及び樹脂中のイオウ量を測定し、表1に示した。
また、このスチレン系樹脂と(b)成分としてガラスビーズを表2及び表3に示す配合比にて混合し、40mm径の単軸押出し機にて、温度240℃、スクリュー回転数100rpmにて混練し、ペレット化を行い、スチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
尚、ガラスビーズは、平均粒子径3μm、平均粒子径15μm、平均粒子径30μmを用いた。
このペレットを用いて温度220℃にて射出成形し、試験片を得た。この試験片を用いて各種物性測定を行った。結果を表2及び表3に示した。
また、更にTダイ方式の押出機にて、シリンダー温度230℃にてシートを成形した。得られたシートの物性、透明性、シート加工時の汚染開始時間を表2及び表3に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
各物性値の測定方法は以下の通りである。
(1)全光線透過率、曇度:表2及び表3の射出成形品物性に示したものは、射出成形機(東芝機械社製IS−50EPN)を用いて、シリンダー温度220℃で厚さ1mm、2mm、3mmの3段プレートを成形した。この3段プレートの厚さ2mm部を用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
また、表2及び表3のシート成形品物性に示したものは、得られたシートを用いて、ASTM D−1003に準じて、HAZEメーター(日本電色工業社製NDH−1001DP)を用いて測定した。
【0042】
また、表2及び表3のシート加工時汚染開始時間とは、シート加工時でシートの汚染が始まる時間のことをいう。例えば、参考例1のシート加工時汚染開始時間が14時間とは、シート加工を始めてから14時間後にシートの汚染が始まる意味である。シートの汚染とは、前述のように樹脂組成物を押出し機にてシート加工すると、押出し機のシリンダー内やダイス(吐出口)等に付着した樹脂が熱履歴を受け、シートが変色したり、シート表面を汚染してシートの商品価値を低下させることをいう。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、従来にない透明性に優れ、シート加工時にシートの汚染が少ない熱可塑性樹脂組成物を工業上極めて有利に提供することができる。本発明のスチレン系樹脂組成物は、光拡散性に優れていることより、特にフレネルレンズやレンチキュラーレンズ等の光学用途に好適に用いることができる。
Claims (4)
- 下記(a)成分、(b)成分からなるシート押出し時にシート汚染が少ないスチレン系樹脂組成物。
(a)成分:スチレン系単量体単位20〜80質量%及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位80〜20質量%からなる共重合体であり、かつその共重合体のTHF可溶分の重量平均分子量と数平均分子量の比が2.5以下であるスチレン系共重合体中に、メルカプト残基を4000〜8000ppm含有するスチレン系樹脂。
(b)成分:ガラスビーズ、及び/又は架橋樹脂ビーズ。 - (a)成分100質重量部に対して、(b)成分が0.1〜20質量部含有してなる請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
- (b)成分の平均粒子径が5〜25μmである請求項1又は2記載のスチレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のスチレン系樹脂組成物からなるシート。
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