JP2004356965A - 誘電体共振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】導体損失を低減させて電気的特性を良好になすことができるとともに、生産性を向上させることが可能な誘電体共振器を提供する。
【解決手段】4層以上の誘電体層を積層してなる積層体1の少なくとも両主面にグランド電極3を被着させるとともに、積層体1の内部に、グランド電極3と接続される主伝送線路4と、該主伝送線路4に対し間に少なくとも2層の誘電体層を挟んで対向し、且つ主伝送線路4と線路幅の異なる副伝送線路5と、これら両伝送線路を電気的に接続する連結導体7とを配設してなる誘電体共振器において、連結導体7を、主伝送線路4及び副伝送線路5間の各誘電体層に埋設されたビアホール導体同士を連結してなり、且つ前記積層体1の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが、主伝送線路4と副伝送線路5のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、前記ビアホール導体ごとに漸次大きくなるようにして形成する。
【選択図】図1
【解決手段】4層以上の誘電体層を積層してなる積層体1の少なくとも両主面にグランド電極3を被着させるとともに、積層体1の内部に、グランド電極3と接続される主伝送線路4と、該主伝送線路4に対し間に少なくとも2層の誘電体層を挟んで対向し、且つ主伝送線路4と線路幅の異なる副伝送線路5と、これら両伝送線路を電気的に接続する連結導体7とを配設してなる誘電体共振器において、連結導体7を、主伝送線路4及び副伝送線路5間の各誘電体層に埋設されたビアホール導体同士を連結してなり、且つ前記積層体1の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが、主伝送線路4と副伝送線路5のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、前記ビアホール導体ごとに漸次大きくなるようにして形成する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種通信機器や電子機器等の共振回路、高周波回路フィルタ等に用いられる誘電体共振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通信機器や電子機器等の共振回路や高周波回路用フィルタとして誘電体共振器が用いられている。
【0003】
このような従来の誘電体共振器としては、例えば図4に示すように、誘電体層101a〜101fを積層してなる積層体102の内部に主伝送線路105及び該主伝送線路105と線路幅の異なる副伝送線路106を形成し、前記主伝送線路105と副伝送線路106とを、誘電体層101a〜101cに埋設されているビアホール導体107a〜107c同士を接続してなる連結導体108を介して接続した構造のものが知られている。
【0004】
上記のように、主伝送線路105の線路幅と副伝送線路106の線路幅とを異ならせているのは、共振器の長さ方向のインピーダンスをステップ状に変化させることにより、種々のフィルタ特性に対応した誘電体共振器を得るためである。
【0005】
一方、前記連結導体108を構成するビアホール導体107a〜107cは、積層体102の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが全て等しく設定されている。
【0006】
また、連結導体108と主伝送線路105及び副伝送線路106とのインピーダンス整合をとるために、主伝送線路105と副伝送線路106のうち、線路幅の狭い伝送線路の線路幅と連結導体108の幅とを合致させておく必要があり、例えば、連結導体108が円柱形状をなし、主伝送線路105の線路幅が副伝送線路106の線路幅よりも狭い場合、図5に示すごとく主伝送線路105の幅と連結導体108の径とが等しくなるように設計さている。
【0007】
更に、前記連結導体108を構成しているビアホール導体107a〜107c間の接続部には、ビアホール導体の開口部を覆うようにして、ビアホール導体の断面積よりも広い面積を有するビアランド109が形成されており、誘電体層を積層する際に誘電体層の位置がずれてしまった場合でも、このビアランド109によって、ビアホール導体107a〜107c間の電気的接続を確実に行うことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−111332号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような誘電体共振器の電気的な特性は、主伝送線路105や連結導体107等の配線導体における導体損失や誘電体損失及び放射損失等に影響されるが、特に導体損失による影響が大きいとされている。
【0010】
この導体損失については、主伝送線路105等の伝送線路と連結導体108との接続部に発生するインピーダンス不整合や抵抗値の増加、あるいは連結導体108の断面積の大きさ等によって決まることが知られている。
【0011】
しかしながら、上述した従来の積層体の積層方向に対して直交する方向に係る全てのビアホール導体の断面積の大きさが等しく、且つ連結導体108の径が、主伝送線路105と副伝送線路106のうち線路幅の狭い伝送線路の線路幅と等しく設計されていることから、連結導体108と線路幅の広い伝送線路との接続部の接続面積が小さくなってしまい、それ故、連結導体108と線路幅の広い伝送線路との接続部において導体損失が大きくなり、誘電体共振器の電気的特性が劣化するという問題を有していた。
【0012】
また、上述した従来の誘電体共振器においては、ビアホール導体同士の電気的接続を確実に行うために、ビアランド109が設けられているため、ビアランドの形成が別途必要になり、その分製造工程が複雑化するとともに、生産性の低下を招くという問題も有していた。
【0013】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、導体損失を低減させて電気的特性を良好になすことができるとともに、生産性を向上させることが可能な誘電体共振器を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体共振器は、4層以上の誘電体層を積層してなる積層体の少なくとも両主面にグランド電極を被着させるとともに、前記積層体の内部に、前記グランド電極と接続される主伝送線路と、該主伝送線路に対し間に少なくとも2層の誘電体層を挟んで対向し、且つ前記主伝送線路と線路幅の異なる副伝送線路と、これら両伝送線路を電気的に接続する連結導体とを配設してなる誘電体共振器において、前記連結導体は、前記主伝送線路及び副伝送線路間の各誘電体層に埋設されたビアホール導体同士を連結してなり、且つ前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、前記ビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の誘電体共振器は、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面形状が、全て相似形であることを特徴とするものである。
【0016】
更に、本発明の誘電体共振器は、前記主伝送線路の線路幅に対して、前記副伝送線路の線路幅を広くなしてあることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る前記連結導体の断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、連結導体を構成するビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることから、インピーダンス整合をとるために連結導体と線路幅の狭い伝送線路との接続部の接続面積に制約を受けたとしても、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部の接続面積が広く確保されるようになり、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部で生じる導体損失を有効に抑えて、誘電体共振器のQ値を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面積の大きさが上下方向に隣接するビアホール導体間で異なっており、主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向って断面積が段階的に広くなしてあることから、誘電体層を積層する際、誘電体層間で位置ずれが生じたとしても、断面積の大きなビアホール導体の外周よりも内側に断面積の小さなビアホール導体が位置している限り、ビアホール導体間の電気的接続を確実に行うことができ、これによってビアホール導体同士のずれがある程度許容されるようになる。よって、ビアランドを形成することなく誘電体共振器の生産性を向上させることが可能となる。
【0019】
更に、本発明の誘電体共振器によれば、連結導体を伝播する高周波信号は、表皮効果によって、導体の表面を伝って伝播することから、これによっても導体損失を低減させ、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る誘電体共振器の断面図、図2は図1の誘電体共振器の一主面側から見たときの透視図である。
【0022】
これらの図に示す誘電体共振器は、複数の誘電体層2a〜2fを積層して成る積層体1の両主面及び側面にグランド電極3を被着させるとともに、積層体1の内部に、主伝送線路4と、副伝送線路5と、これら両伝送線路を接続する連結導体7とを配設した構造を有している。
【0023】
前記積層体1は、例えば6層の誘電体層2a〜2fを積層して形成されており、各誘電体層2a〜2fは、誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等によって構成されている。誘電体セラミック材料としては、例えばBaO−TiO2系、Ca−TiO2系、MgO−TiO2系等のセラミック材料が用いられる。これらのセラミック材料は比誘電率が15〜20と比較的高く、小さな面積でも充分な静電容量を得ることができるので、誘電体共振器を小型化することができる。また焼結助剤としては、例えばBiVO4、CuO、Li2O、B2O3等が用いられる。誘電体層2a〜2fの厚みは、1層あたり50〜300μm程度に設定される。
【0024】
このような積層体1は、まず上記誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等からなるスラリーを従来周知のドクターブレード法等によってテープ成形することにより複数枚のセラミックグリーンシートを作成し、次にこれらのセラミックグリーンシートを積層してプレス成形することにより一体化し、しかる後、焼成することにより得られる。尚、前記セラミックグリーンシートの表面には、その積層前に予め、後述する主伝送線路4や副伝送線路5等の内部配線パターンを形成するための導体ペーストが塗布されるとともに、連結導体7を構成するビアホール導体形成用の貫通穴が穿設される。
【0025】
また、前記グランド電極3は、積層体1の少なくとも両主面に被着させておけばよいが、外部からのノイズを有効に遮蔽しフィルタ特性をより良好なものとなすためには、積層体1の両主面に加え側面にもグランド電極を被着させることが好ましく、本実施形態では図1に示す如く、積層体1の一主面の上面グランド電極3a、積層体1の他主面の下面グランド電極3cに加え、積層体1の側面にも側面グランド電極3bを被着させている。これらのグランド電極3の表面には、誘電体共振器をマザーボード等の外部基板に実装する際、グランド電極3の酸化腐食を防止して半田濡れ性を良好になすために、例えば、Auメッキ膜やNi−Auメッキ膜を被着・形成しておくことが好ましい。
【0026】
尚、このようなグランド電極3は、Ag、Ag−Pd、Cu等の金属を主成分とする導体ペーストに前記積層体1の両端面を浸漬させ、焼成することによって形成される。
【0027】
一方、前記主伝送線路4は、積層体1の内部、具体的には誘電体層2dと誘電体層2eとの間にグランド電極3a、3cに対向して配置される。この主伝送線路4は、帯状をなすようにして形成され、その線路幅は例えば、400μmに設定される。また、主伝送線路4は、その一方端側が積層体1の側面に被着されている側面グランド電極3cに接続されており、他方端側は連結導体7に接続している。
【0028】
また、前記副伝送線路5は、主伝送線路4の他方端側に接続している連結導体7と接続し、誘電体層2a〜2b間に主伝送線路4側に折り返すように帯状をなして形成されている。この副伝送線路5の線路幅は、主伝送線路4の線路幅よりも広くなるようにして形成され、その線路幅は主伝送線路4の線路幅が400μmの場合、例えば800μmに設定される。このように、主伝送線路4の開放短側に接続された副伝送線路5の線路幅を主伝送線路4の線路幅より広く形成することにより、容量成分が大きくなり、共振器長を短縮して誘電体共振器を小型化することができる。
【0029】
このような主伝送線路4及び副伝送線路5は、例えばAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg系粉末、ホウ珪酸系低融点ガラスフリット、エチルセルロース等の有機バインダー、有機溶剤等を含有してなる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって、誘電体層2d及び誘電体層2bに対応するセラミックグリーンシート上に塗布し、該セラミックグリーンシートを他の誘電体層2a〜2c、2fに対応するセラミックグリーンシートと共に積層し、前記セラミックグリーンシートと同時に焼成することにより形成される。
【0030】
そして、主伝送線路4と副伝送線路5とを電気的に接続している連結導体7は、誘電体層2dに埋設されている下部ビアホール導体6c、誘電体層2cに埋設されている中部ビアホール導体6b、誘電体層2bに埋設されている上部ビアホール導体6aとで構成され、これらビアホール導体同士を誘電体層の積層方向に連続的に接続して形成されている。この連結導体6は、主伝送線路4側から副伝送線路5側に向かって、即ち、下部ビアホール導体6c、中部ビアホール導体6b、上部ビアホール導体6aの順で、積層体1の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面積が漸次大きくなるようにして形成されている。従って、連結導体7と主伝送線路4より線路幅の広い副伝送線路5との接続部の接続面積を広く確保することができ、その結果、連結導体7と副伝送線路5との接続部で生じる導体損失を有効に抑えて、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0031】
また、連結導体7を構成している複数のビアホール導体の断面積の大きさは、主伝送線路4側から副伝送線路5側に向って断面積が広くなしてあることから、誘電体層を積層する際、誘電体層間で位置ずれが生じてたとしても、断面積の大きな副伝送線路5側のビアホール導体の外周よりも内側に主伝送線路4側のビアホール導体が位置している限り、ビアホール導体間の電気的接続を確実に行うことができるため、これによってビアホール導体同士のずれが許容され、ビアランドを形成する必要がなくなり誘電体共振器の生産性が向上される。
【0032】
更に、連結導体を伝播する高周波信号は、表皮効果によって導体の表面を伝って伝播することから、これによっても導体損失を低減させ、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0033】
また、このような連結導体7を構成するビアホール導体6a〜6cは、積層体1の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体6a〜6cの断面形状が全て相似形になしてあり、誘電体層の積層ずれ及びビアホール導体間のインピーダンス整合を考慮すると、隣接するビアホール導体間の断面積の大きさの比を、1.1〜2.3倍の範囲にすることが好ましく、例えば、下部ビアホール導体6cの断面積が0.15mm2のとき、中部ビアホール導体6bの断面積が0.30mm2、上部ビアホール導体6aの断面積が0.50mm2に設定される。
【0034】
尚、これらビアホール導体6a〜6cは、その断面形状が例えば円形状をなすように形成され、その場合、ビアホール導体6a〜6cのうち、断面積が最小の下部ビアホール導体6cは、その断面積が主伝送線路4の線路幅を直径とする円の面積と略等しくなるように設定され、断面積が最大の上部ビアホール導体6aは、その断面積が副伝送線路5の線路幅を直径とする円の面積と略等しくなるように設定される。
【0035】
更に、各ビアホール導体6a〜6cは、その中心軸が揃うようにして接続され、下部ビアホール導体6cは伝送線路4の端部付近に接続するように配置される。
【0036】
上記連結導体7を作製するには、まず、上部ビアホール導体6a、中部ビアホール導体6b、下部ビアホール導体6cを形成するための上部貫通穴、中部貫通穴、下部貫通穴が穿設されたセラミックグリーンシートを準備する。これらの貫通穴は下部貫通穴、中部貫通穴、上部貫通穴の順にその開口面積を漸次広くなしてある。次に、これらの貫通穴に、例えば、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg系粉末、ホウ珪酸系低融点ガラスフリット、エチルセルロース等の有機バインダー、有機溶剤等を含浸してなる導体ペーストを、従来周知のスクリーン印刷等により塗布・充填する。その後、これら導体ペーストが充填された貫通穴同士が、下部貫通穴、中部貫通穴、上部貫通穴の順に接続されるようにして上述のセラミックグリーンシートを積層し、前記導体ペーストをセラミックグリーンシートと同時に焼成することによって連結導体7が得られる。
【0037】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。
【0038】
上述の実施形態においては、全てのビアホール導体6a〜6cの断面形状を円形状になしたが、これに代えて、ビアホール導体の断面形状を図3に示すように長方形にしてもかまわない。このようにビアホール導体の断面形状を長方形にし、且つ長方形の長径方向を帯状の主伝送線路4の長手方向に対し垂直方向に向けて配置させることにより、下部ビアホール導体6cと主伝送線路4との接続部及び上部ビアホール導体6aと副伝送線路5との接続部に発生していたインピーダンス不整合が改善され、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0039】
また、上述の実施形態においては、連結導体7を3つのビアホール導体によって形成したが、これに代えて、2つのビアホール導体でも良いし、4つ以上のビアホール導体で形成しても良い。
【0040】
更に、上述の実施形態においては、主伝送線路4の一方端側を側面グランド電極3bに接続することで両者を電気的に接続するようにしたが、これに代えて、主伝送線路4の一方端側と下面グランド電極3cとを、両者の間に介在されている誘電体層中に埋設されたビアホール導体等を介して電気的に接続するようにしても良い。
【0041】
また、上述の実施形態においては、予めビアホール導体形成用の貫通穴に導体ペーストを充填しておき、該貫通穴同士が接続されるようにして各セラミックグリーンシートを積層することにより連結導体7を形成するようにしたが、これに代えて、導体ペーストの充填されていないビアホール導体形成用の貫通穴同士が接続されるようにセラミックグリーンシートを積層してから、この連結した貫通穴に導体ペーストを充填することにより連結導体7を形成するようにしてもよい。この場合、積層するセラミックグリーンシートの枚数に関係なく導体ペーストの充填作業を1回で行うことができるようになるため、誘電体共振器の生産性を向上させることが可能となる利点がある。
【0042】
【発明の効果】
本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る前記連結導体の断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、連結導体を構成するビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることから、インピーダンス整合をとるために連結導体と線路幅の狭い伝送線路との接続部の接続面積が制約を受けたとしても、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部の接続面積が広く確保されるようになり、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部で生じる導体損失を有効に抑えて、誘電体共振器のQ値を向上させることが可能となる。
【0043】
また、本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面積の大きさが上下方向に隣接するビアホール導体間で異なっており、主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向って断面積が段階的に広くなしてあることから、誘電体層を積層する際、誘電体層間で位置ずれが生じたとしても、断面積の大きなビアホール導体の外周よりも内側に断面積の小さなビアホール導体が位置している限り、ビアホール導体間の電気的接続を確実に行うことができるため、これによってビアホール導体同士のずれがある程度許容されるようになる。よって、ビアランドを形成することなく誘電体共振器の生産性を向上させることが可能となる。
【0044】
更に、本発明の誘電体共振器によれば、連結導体を伝播する高周波信号は、表皮効果によって導体の表面を伝って伝播することから、これによっても導体損失を低減させ、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘電体共振器の断面図である。
【図2】図1のA方向から誘電体共振器を見た透視図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る誘電体共振器の透視図である。
【図4】従来の誘電体共振器の断面図である。
【図5】図4のB方向から誘電体共振器を見た透視図である。
【符号の説明】
1・・・・積層体
2a〜2f・・・・誘電体層
3・・・・グランド電極
4・・・・主伝送線路
5・・・・副伝送線路
6・・・・ビアホール導体
7・・・・連結導体
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種通信機器や電子機器等の共振回路、高周波回路フィルタ等に用いられる誘電体共振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通信機器や電子機器等の共振回路や高周波回路用フィルタとして誘電体共振器が用いられている。
【0003】
このような従来の誘電体共振器としては、例えば図4に示すように、誘電体層101a〜101fを積層してなる積層体102の内部に主伝送線路105及び該主伝送線路105と線路幅の異なる副伝送線路106を形成し、前記主伝送線路105と副伝送線路106とを、誘電体層101a〜101cに埋設されているビアホール導体107a〜107c同士を接続してなる連結導体108を介して接続した構造のものが知られている。
【0004】
上記のように、主伝送線路105の線路幅と副伝送線路106の線路幅とを異ならせているのは、共振器の長さ方向のインピーダンスをステップ状に変化させることにより、種々のフィルタ特性に対応した誘電体共振器を得るためである。
【0005】
一方、前記連結導体108を構成するビアホール導体107a〜107cは、積層体102の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが全て等しく設定されている。
【0006】
また、連結導体108と主伝送線路105及び副伝送線路106とのインピーダンス整合をとるために、主伝送線路105と副伝送線路106のうち、線路幅の狭い伝送線路の線路幅と連結導体108の幅とを合致させておく必要があり、例えば、連結導体108が円柱形状をなし、主伝送線路105の線路幅が副伝送線路106の線路幅よりも狭い場合、図5に示すごとく主伝送線路105の幅と連結導体108の径とが等しくなるように設計さている。
【0007】
更に、前記連結導体108を構成しているビアホール導体107a〜107c間の接続部には、ビアホール導体の開口部を覆うようにして、ビアホール導体の断面積よりも広い面積を有するビアランド109が形成されており、誘電体層を積層する際に誘電体層の位置がずれてしまった場合でも、このビアランド109によって、ビアホール導体107a〜107c間の電気的接続を確実に行うことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−111332号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このような誘電体共振器の電気的な特性は、主伝送線路105や連結導体107等の配線導体における導体損失や誘電体損失及び放射損失等に影響されるが、特に導体損失による影響が大きいとされている。
【0010】
この導体損失については、主伝送線路105等の伝送線路と連結導体108との接続部に発生するインピーダンス不整合や抵抗値の増加、あるいは連結導体108の断面積の大きさ等によって決まることが知られている。
【0011】
しかしながら、上述した従来の積層体の積層方向に対して直交する方向に係る全てのビアホール導体の断面積の大きさが等しく、且つ連結導体108の径が、主伝送線路105と副伝送線路106のうち線路幅の狭い伝送線路の線路幅と等しく設計されていることから、連結導体108と線路幅の広い伝送線路との接続部の接続面積が小さくなってしまい、それ故、連結導体108と線路幅の広い伝送線路との接続部において導体損失が大きくなり、誘電体共振器の電気的特性が劣化するという問題を有していた。
【0012】
また、上述した従来の誘電体共振器においては、ビアホール導体同士の電気的接続を確実に行うために、ビアランド109が設けられているため、ビアランドの形成が別途必要になり、その分製造工程が複雑化するとともに、生産性の低下を招くという問題も有していた。
【0013】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、導体損失を低減させて電気的特性を良好になすことができるとともに、生産性を向上させることが可能な誘電体共振器を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体共振器は、4層以上の誘電体層を積層してなる積層体の少なくとも両主面にグランド電極を被着させるとともに、前記積層体の内部に、前記グランド電極と接続される主伝送線路と、該主伝送線路に対し間に少なくとも2層の誘電体層を挟んで対向し、且つ前記主伝送線路と線路幅の異なる副伝送線路と、これら両伝送線路を電気的に接続する連結導体とを配設してなる誘電体共振器において、前記連結導体は、前記主伝送線路及び副伝送線路間の各誘電体層に埋設されたビアホール導体同士を連結してなり、且つ前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、前記ビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の誘電体共振器は、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面形状が、全て相似形であることを特徴とするものである。
【0016】
更に、本発明の誘電体共振器は、前記主伝送線路の線路幅に対して、前記副伝送線路の線路幅を広くなしてあることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る前記連結導体の断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、連結導体を構成するビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることから、インピーダンス整合をとるために連結導体と線路幅の狭い伝送線路との接続部の接続面積に制約を受けたとしても、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部の接続面積が広く確保されるようになり、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部で生じる導体損失を有効に抑えて、誘電体共振器のQ値を向上させることが可能となる。
【0018】
また、本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面積の大きさが上下方向に隣接するビアホール導体間で異なっており、主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向って断面積が段階的に広くなしてあることから、誘電体層を積層する際、誘電体層間で位置ずれが生じたとしても、断面積の大きなビアホール導体の外周よりも内側に断面積の小さなビアホール導体が位置している限り、ビアホール導体間の電気的接続を確実に行うことができ、これによってビアホール導体同士のずれがある程度許容されるようになる。よって、ビアランドを形成することなく誘電体共振器の生産性を向上させることが可能となる。
【0019】
更に、本発明の誘電体共振器によれば、連結導体を伝播する高周波信号は、表皮効果によって、導体の表面を伝って伝播することから、これによっても導体損失を低減させ、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る誘電体共振器の断面図、図2は図1の誘電体共振器の一主面側から見たときの透視図である。
【0022】
これらの図に示す誘電体共振器は、複数の誘電体層2a〜2fを積層して成る積層体1の両主面及び側面にグランド電極3を被着させるとともに、積層体1の内部に、主伝送線路4と、副伝送線路5と、これら両伝送線路を接続する連結導体7とを配設した構造を有している。
【0023】
前記積層体1は、例えば6層の誘電体層2a〜2fを積層して形成されており、各誘電体層2a〜2fは、誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等によって構成されている。誘電体セラミック材料としては、例えばBaO−TiO2系、Ca−TiO2系、MgO−TiO2系等のセラミック材料が用いられる。これらのセラミック材料は比誘電率が15〜20と比較的高く、小さな面積でも充分な静電容量を得ることができるので、誘電体共振器を小型化することができる。また焼結助剤としては、例えばBiVO4、CuO、Li2O、B2O3等が用いられる。誘電体層2a〜2fの厚みは、1層あたり50〜300μm程度に設定される。
【0024】
このような積層体1は、まず上記誘電体セラミック材料、焼結助剤、低融点ガラス材料等からなるスラリーを従来周知のドクターブレード法等によってテープ成形することにより複数枚のセラミックグリーンシートを作成し、次にこれらのセラミックグリーンシートを積層してプレス成形することにより一体化し、しかる後、焼成することにより得られる。尚、前記セラミックグリーンシートの表面には、その積層前に予め、後述する主伝送線路4や副伝送線路5等の内部配線パターンを形成するための導体ペーストが塗布されるとともに、連結導体7を構成するビアホール導体形成用の貫通穴が穿設される。
【0025】
また、前記グランド電極3は、積層体1の少なくとも両主面に被着させておけばよいが、外部からのノイズを有効に遮蔽しフィルタ特性をより良好なものとなすためには、積層体1の両主面に加え側面にもグランド電極を被着させることが好ましく、本実施形態では図1に示す如く、積層体1の一主面の上面グランド電極3a、積層体1の他主面の下面グランド電極3cに加え、積層体1の側面にも側面グランド電極3bを被着させている。これらのグランド電極3の表面には、誘電体共振器をマザーボード等の外部基板に実装する際、グランド電極3の酸化腐食を防止して半田濡れ性を良好になすために、例えば、Auメッキ膜やNi−Auメッキ膜を被着・形成しておくことが好ましい。
【0026】
尚、このようなグランド電極3は、Ag、Ag−Pd、Cu等の金属を主成分とする導体ペーストに前記積層体1の両端面を浸漬させ、焼成することによって形成される。
【0027】
一方、前記主伝送線路4は、積層体1の内部、具体的には誘電体層2dと誘電体層2eとの間にグランド電極3a、3cに対向して配置される。この主伝送線路4は、帯状をなすようにして形成され、その線路幅は例えば、400μmに設定される。また、主伝送線路4は、その一方端側が積層体1の側面に被着されている側面グランド電極3cに接続されており、他方端側は連結導体7に接続している。
【0028】
また、前記副伝送線路5は、主伝送線路4の他方端側に接続している連結導体7と接続し、誘電体層2a〜2b間に主伝送線路4側に折り返すように帯状をなして形成されている。この副伝送線路5の線路幅は、主伝送線路4の線路幅よりも広くなるようにして形成され、その線路幅は主伝送線路4の線路幅が400μmの場合、例えば800μmに設定される。このように、主伝送線路4の開放短側に接続された副伝送線路5の線路幅を主伝送線路4の線路幅より広く形成することにより、容量成分が大きくなり、共振器長を短縮して誘電体共振器を小型化することができる。
【0029】
このような主伝送線路4及び副伝送線路5は、例えばAg、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg系粉末、ホウ珪酸系低融点ガラスフリット、エチルセルロース等の有機バインダー、有機溶剤等を含有してなる導体ペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって、誘電体層2d及び誘電体層2bに対応するセラミックグリーンシート上に塗布し、該セラミックグリーンシートを他の誘電体層2a〜2c、2fに対応するセラミックグリーンシートと共に積層し、前記セラミックグリーンシートと同時に焼成することにより形成される。
【0030】
そして、主伝送線路4と副伝送線路5とを電気的に接続している連結導体7は、誘電体層2dに埋設されている下部ビアホール導体6c、誘電体層2cに埋設されている中部ビアホール導体6b、誘電体層2bに埋設されている上部ビアホール導体6aとで構成され、これらビアホール導体同士を誘電体層の積層方向に連続的に接続して形成されている。この連結導体6は、主伝送線路4側から副伝送線路5側に向かって、即ち、下部ビアホール導体6c、中部ビアホール導体6b、上部ビアホール導体6aの順で、積層体1の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面積が漸次大きくなるようにして形成されている。従って、連結導体7と主伝送線路4より線路幅の広い副伝送線路5との接続部の接続面積を広く確保することができ、その結果、連結導体7と副伝送線路5との接続部で生じる導体損失を有効に抑えて、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0031】
また、連結導体7を構成している複数のビアホール導体の断面積の大きさは、主伝送線路4側から副伝送線路5側に向って断面積が広くなしてあることから、誘電体層を積層する際、誘電体層間で位置ずれが生じてたとしても、断面積の大きな副伝送線路5側のビアホール導体の外周よりも内側に主伝送線路4側のビアホール導体が位置している限り、ビアホール導体間の電気的接続を確実に行うことができるため、これによってビアホール導体同士のずれが許容され、ビアランドを形成する必要がなくなり誘電体共振器の生産性が向上される。
【0032】
更に、連結導体を伝播する高周波信号は、表皮効果によって導体の表面を伝って伝播することから、これによっても導体損失を低減させ、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0033】
また、このような連結導体7を構成するビアホール導体6a〜6cは、積層体1の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体6a〜6cの断面形状が全て相似形になしてあり、誘電体層の積層ずれ及びビアホール導体間のインピーダンス整合を考慮すると、隣接するビアホール導体間の断面積の大きさの比を、1.1〜2.3倍の範囲にすることが好ましく、例えば、下部ビアホール導体6cの断面積が0.15mm2のとき、中部ビアホール導体6bの断面積が0.30mm2、上部ビアホール導体6aの断面積が0.50mm2に設定される。
【0034】
尚、これらビアホール導体6a〜6cは、その断面形状が例えば円形状をなすように形成され、その場合、ビアホール導体6a〜6cのうち、断面積が最小の下部ビアホール導体6cは、その断面積が主伝送線路4の線路幅を直径とする円の面積と略等しくなるように設定され、断面積が最大の上部ビアホール導体6aは、その断面積が副伝送線路5の線路幅を直径とする円の面積と略等しくなるように設定される。
【0035】
更に、各ビアホール導体6a〜6cは、その中心軸が揃うようにして接続され、下部ビアホール導体6cは伝送線路4の端部付近に接続するように配置される。
【0036】
上記連結導体7を作製するには、まず、上部ビアホール導体6a、中部ビアホール導体6b、下部ビアホール導体6cを形成するための上部貫通穴、中部貫通穴、下部貫通穴が穿設されたセラミックグリーンシートを準備する。これらの貫通穴は下部貫通穴、中部貫通穴、上部貫通穴の順にその開口面積を漸次広くなしてある。次に、これらの貫通穴に、例えば、Ag、Ag−Pd、Ag−Pt等のAg系粉末、ホウ珪酸系低融点ガラスフリット、エチルセルロース等の有機バインダー、有機溶剤等を含浸してなる導体ペーストを、従来周知のスクリーン印刷等により塗布・充填する。その後、これら導体ペーストが充填された貫通穴同士が、下部貫通穴、中部貫通穴、上部貫通穴の順に接続されるようにして上述のセラミックグリーンシートを積層し、前記導体ペーストをセラミックグリーンシートと同時に焼成することによって連結導体7が得られる。
【0037】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良が可能である。
【0038】
上述の実施形態においては、全てのビアホール導体6a〜6cの断面形状を円形状になしたが、これに代えて、ビアホール導体の断面形状を図3に示すように長方形にしてもかまわない。このようにビアホール導体の断面形状を長方形にし、且つ長方形の長径方向を帯状の主伝送線路4の長手方向に対し垂直方向に向けて配置させることにより、下部ビアホール導体6cと主伝送線路4との接続部及び上部ビアホール導体6aと副伝送線路5との接続部に発生していたインピーダンス不整合が改善され、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【0039】
また、上述の実施形態においては、連結導体7を3つのビアホール導体によって形成したが、これに代えて、2つのビアホール導体でも良いし、4つ以上のビアホール導体で形成しても良い。
【0040】
更に、上述の実施形態においては、主伝送線路4の一方端側を側面グランド電極3bに接続することで両者を電気的に接続するようにしたが、これに代えて、主伝送線路4の一方端側と下面グランド電極3cとを、両者の間に介在されている誘電体層中に埋設されたビアホール導体等を介して電気的に接続するようにしても良い。
【0041】
また、上述の実施形態においては、予めビアホール導体形成用の貫通穴に導体ペーストを充填しておき、該貫通穴同士が接続されるようにして各セラミックグリーンシートを積層することにより連結導体7を形成するようにしたが、これに代えて、導体ペーストの充填されていないビアホール導体形成用の貫通穴同士が接続されるようにセラミックグリーンシートを積層してから、この連結した貫通穴に導体ペーストを充填することにより連結導体7を形成するようにしてもよい。この場合、積層するセラミックグリーンシートの枚数に関係なく導体ペーストの充填作業を1回で行うことができるようになるため、誘電体共振器の生産性を向上させることが可能となる利点がある。
【0042】
【発明の効果】
本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る前記連結導体の断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、連結導体を構成するビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることから、インピーダンス整合をとるために連結導体と線路幅の狭い伝送線路との接続部の接続面積が制約を受けたとしても、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部の接続面積が広く確保されるようになり、連結導体と線路幅の広い伝送線路との接続部で生じる導体損失を有効に抑えて、誘電体共振器のQ値を向上させることが可能となる。
【0043】
また、本発明の誘電体共振器によれば、前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面積の大きさが上下方向に隣接するビアホール導体間で異なっており、主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向って断面積が段階的に広くなしてあることから、誘電体層を積層する際、誘電体層間で位置ずれが生じたとしても、断面積の大きなビアホール導体の外周よりも内側に断面積の小さなビアホール導体が位置している限り、ビアホール導体間の電気的接続を確実に行うことができるため、これによってビアホール導体同士のずれがある程度許容されるようになる。よって、ビアランドを形成することなく誘電体共振器の生産性を向上させることが可能となる。
【0044】
更に、本発明の誘電体共振器によれば、連結導体を伝播する高周波信号は、表皮効果によって導体の表面を伝って伝播することから、これによっても導体損失を低減させ、誘電体共振器のQ値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘電体共振器の断面図である。
【図2】図1のA方向から誘電体共振器を見た透視図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る誘電体共振器の透視図である。
【図4】従来の誘電体共振器の断面図である。
【図5】図4のB方向から誘電体共振器を見た透視図である。
【符号の説明】
1・・・・積層体
2a〜2f・・・・誘電体層
3・・・・グランド電極
4・・・・主伝送線路
5・・・・副伝送線路
6・・・・ビアホール導体
7・・・・連結導体
Claims (3)
- 4層以上の誘電体層を積層してなる積層体の少なくとも両主面にグランド電極を被着させるとともに、前記積層体の内部に、前記グランド電極と接続される主伝送線路と、該主伝送線路に対し間に少なくとも2層の誘電体層を挟んで対向し、且つ前記主伝送線路と線路幅の異なる副伝送線路と、これら両伝送線路を電気的に接続する連結導体とを配設してなる誘電体共振器において、
前記連結導体は、前記主伝送線路及び副伝送線路間の各誘電体層に埋設されたビアホール導体同士を連結してなり、且つ前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係る断面積の大きさが、前記主伝送線路と副伝送線路のうち線路幅の狭い側から線路幅の広い側に向かって、前記ビアホール導体ごとに漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする誘電体共振器。 - 前記積層体の積層方向に対し直交する方向に係るビアホール導体の断面形状が、全て相似形であること特徴とする請求項1に記載の誘電体共振器。
- 前記主伝送線路の線路幅に対して、前記副伝送線路の線路幅を広くなしてあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘電体共振器。
Priority Applications (1)
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JP2003152389A JP2004356965A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | 誘電体共振器 |
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JP2014180035A (ja) * | 2014-05-20 | 2014-09-25 | Tdk Corp | 積層型電子部品 |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152389A patent/JP2004356965A/ja active Pending
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