JP2004353698A - 直動案内装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スライダ本体端面の平坦度を全域について維持することなく、油路に供給された潤滑剤の漏れを効果的に防止する。
【解決手段】エンドキャップ3におけるスライダ本体2と対向する接合面に、油路形成位置に沿って篏め込み凹部8を形成する。その篏め込み凹部8に嵌め込まれ且つ上記エンドキャップ3よりも素材硬さが低い別体部材6を備える。その別体部材6の篏め込み凹部8への接合面に対し油路用の溝を形成し、その溝の両側に油路用の溝に沿って延びる1条若の凸部15をそれぞれ設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】エンドキャップ3におけるスライダ本体2と対向する接合面に、油路形成位置に沿って篏め込み凹部8を形成する。その篏め込み凹部8に嵌め込まれ且つ上記エンドキャップ3よりも素材硬さが低い別体部材6を備える。その別体部材6の篏め込み凹部8への接合面に対し油路用の溝を形成し、その溝の両側に油路用の溝に沿って延びる1条若の凸部15をそれぞれ設ける。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直動案内装置に係り、特に、劣悪な環境で潤滑不良が予想される場所や切削液などで潤滑剤が洗い流されるような場所での使用に好適な直動案内装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の直動案内装置にあっては、案内レールに沿って相対移動する断面略コ字状のスライダ本体の軸方向両端面に対し、それぞれエンドキャップがボルト止めによって接合されている。上記案内レール側面とスライダ本体の内周面との間に形成された負荷転動路の端部と、スライダ本体を貫通する戻り路の端部とが、各エンドキャップに形成された半円弧状の方向転換路によって接続されることで無限循環路が形成され、該無限循環路に複数の転動体に配置されている。
【0003】
ここで、上記半円弧状の方向転換路は、エンドキャップ接合面に形成された方向転換路用の凹部にリターンガイドが嵌め込まれて構成される。
そして、先行文献1や先行文献2に記載のように、スライダ本体端面に接合する上記エンドキャップの接合面に、油路形成位置に沿って給油溝が形成され、その給油溝とスライダ本体端面(スライダ本体側の接合面)とで油路が形成される。ここで、上記油路は、リターンガイドに形成された給油路に連通し該給油路を通じて上記無限循環路内の転動体列に潤滑剤が供給される。
【0004】
また、転動体がころの場合の例が特許文献3に記載されているが、やはり、上記油路の構成は、エンドキャップの接合面に対し、油路形成位置に沿って給油溝が形成され、その給油溝とスライダ本体端面(スライダ本体側の接合面)とで閉じた油路を形成している。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−114224号公報
【特許文献2】
実公平6−2024号公報
【特許文献3】
特開平6−43345号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、エンドキャップはプラスチック成型により安価に製作されているが、樹脂部品は成形時のひけや収縮で完全なフラット面を構成することが難しい。したがって、鋼製のスライダ本体の端面を切削加工により平坦に仕上げても、スライダ本体端面への取付けが部分的に設けられたネジで固定されることが一般的なので、エンドキャップ接合面をスライダ本体の端面に隙間なく接合させることは難しく、そのため両者で構成される油路は完全な閉空間に構成することが困難である。このため、流動性の高いオイルを採用した潤滑を想定すると、油路に給油された潤滑剤が、スライダ本体端面とエンドキャップ接合面との間に形成された隙間を通じ漏れや毛細管現象によって、本来の経路以外のところへ流れ出てしまうおそれがある。したがって、劣悪な環境で潤滑不良が予想される場所や切削液などで潤滑剤が洗い流されるような場所での使用では早期に潤滑不良を招く恐れがあった。特に、エンドキャップの上記接合面部分で精度が出にくい部分は、下向きコの字形状の中央部付近である。
【0007】
また仕様によっては、スライダの姿勢でも重力の影響でオイルの流れやすいところと流れにくいところが存在していた。この場合、油路で流動性の高いオイルが保持されていさえすれば、それなりに各軌道面に潤滑剤は行き渡るものの、上記したように接合面の隙間等で保持性が悪い場合、やはり潤滑不良になる軌道面が出てくることが予想される。
【0008】
ここで、実公平6−39144号公報に記載されているように、エンドキャップの接合面に給油溝が形成され、その接合面には給油溝に沿いボール循環路の凹所に近接する位置まで微小な山形の帯状突起が一体成形していることが開示されているが、この場合、鋼製からなるスライダ本体端面(エンドキャップとの接合面)の切削加工において所要以上の平坦度を出す必要があり、コストアップに繋がる。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、スライダ本体端面の平坦度を全域について維持することなく、油路に供給された潤滑剤の漏れを効果的に防止することとができる直動案内装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、軸方向に延びる軌道面を有する案内レールと、その案内レールの軌道面に対向する軌道面を有して相対移動可能に当該案内レールに跨架するスライダ本体と、そのスライダ本体の軸方向両端面に取り付けられるエンドキャップと、上記対向する軌道面で形成される負荷部軌道路、スライダ本体に形成される戻り路、及び上記各エンドキャップに形成されて上記負荷部軌道路及び戻り路を接続する方向転換路からなる無限循環路内を移動する複数の転動体と、を備え、且つ上記無限循環路中の転動体列に潤滑剤を供給するための油路が上記エンドキャップに形成される直動案内装置において、
上記エンドキャップにおけるスライダ本体と対向する面に、油路形成位置の少なくとも一部分に沿って延びる篏め込み凹部を形成すると共に、その篏め込み凹部に嵌め込まれ且つ上記エンドキャップと素材硬さが同じ又は低い別体部材を備え、上記篏め込み凹部と別体部材との互いに対向する接合面の少なくとも一方に対し油路用の溝を形成し、且つ当該対向する接合面の少なくとも一方に対し上記油路用の溝に沿って延びる1条若しくは2条以上の凸部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、エンドキャップに形成する油路の少なくとも一部を、エンドキャップの篏め込み凹部と、その凹部に嵌め込まれる別体部材とで構成しているので、スライダ本体端面の平坦度を全域について維持する必要がない。
また、篏め込み凹部と別体部材との互いに対向する接合面位置に油路用の溝を形成、つまり両部品で形成される閉空間に油路を形成することで、その位置については、潤滑剤の漏れが防止される。
【0011】
このとき、油路用の溝に沿って形成された1条以上の凸部が対向する接合面に当接して接合する際に、硬さの低いほうの素材である別部材側が、また材質が同じで硬さが等しければ少なくとも凸部の部分が、弾性変形することで、仮にエンドキャップ及び別部材間の接合面に対し、成形でひけ等のゆがみがあっても閉じた空間を確実に形成することができ、油路からの漏れを防止できる。
【0012】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記篏め込み凹部の深さと上記別体部材の篏め込み方向の厚さとは等しいか略等しいことを特徴とするものである。
本発明によれば、スライダ本体の端面にエンドキャップを接合することによって確実に上記凸部で油路用の溝をシールすることが行われる。
【0013】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記エンドキャップの方向転換路は、エンドキャップに形成された方向転換路形成用溝にリターンガイドが嵌め込まれることで形成される直動案内装置において、上記別体部材とリターンガイドとが一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載した構成に対し、上記潤滑剤は潤滑油であり、且つ上記エンドキャップに形成される油路の一部に潤滑剤保持部材が介挿されていることを特徴とするものである。
なお、上記潤滑剤保持材は、上記別部材で形成される部分の油路位置に限定されず、エンドキャップの溝とスライダ本体の端面とで形成する油路位置であっても良い。エンドキャップの溝とスライダ本体の端面とで形成する油路位置に配置した場合には、流動性の高い潤滑油が潤滑剤保持材に保持されることで、その位置からの潤滑油の漏れを低減することに繋がる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態にあっては、転動体としてころを例示し、且つ転動体軌道列が左右2条づつの計4条の直動案内装置を例にして説明する。もっとも、これに限定されるものではない。
【0016】
まず、構成について説明すると、図1に示すように、軸方向に延びる案内レール1に対し断面コ字状のスライドユニット4が跨架し、当該スライドユニット4が上記案内レール1に案内されて相対移動可能となっている。上記スライドユニット4は、スライダ本体2、及びそのスライダ本体2の軸方向端面にそれぞれ当接し接合されるエンドキャップ3を少なくとも有する。なお、説明上、断面コ字状のエンドキャップ3における左右部分を脚部3bと、その左右の脚部3b間を繋ぐ上側部分を基部3aと、呼ぶ。
【0017】
上記案内レール1の左右側面には、それぞれ軸方向に延びる2条のレール側軌道溝1aが形成されると共に、スライダ本体2の内周面には、上記レール側軌道溝1aと対向配置されるスライダ側軌道溝がそれぞれ形成されて、対向する各軌道溝によってそれぞれの負荷部軌道路を構成する。また、スライダ本体2には、各負荷部軌道路と平行な貫通孔によって転動体戻り路が形成されている。さらに、対応する各負荷軌道路の端部と転動体戻り路の端部とを接続して両者を連通させる半円弧状の方向転換路がエンドキャップ3に形成されることで、4条の無限循環路が形成され、当該無限循環路内に配置された複数の転動体が、スライダ本体2の相対移動に伴って無限循環路内を転動する。
【0018】
ここで、上記方向転換路は、エンドキャップ3のスライダ本体2への接合面(以下、単に接合面と呼ぶ場合もある)に対して、円弧状の底面を有する方向転換路用凹部9が形成され、且つ、当該方向転換路用凹部9にリターンガイド7が嵌め込まれることによって形成される。なお、転動体がころの場合には、各脚部に形成される2条の方向転換路はタスキがけ状(×状)に配置されるが。転動体が球の場合には、タスキがけ状には配置されていない。
【0019】
上記コ字状のエンドキャップ3の接合面3Aには、従来と同様に、当該接合面3Aに沿って油路が形成されている。すなわち、油路は、図2に示すように、エンドキャップ3の基部3aに沿って水平に延びる水平部、その水平部に連通し左右の脚部3bを垂直に延びる垂直部とを備え、該垂直部は、上記リターンガイド7に形成される油路(給油路11)に連通している。
【0020】
本実施形態では、上記油路は、エンドキャップ3と別体部材6とで構成される。さらに、本実施形態では、上記別体部材6はリターンガイド7と一体成形されている。
その構造について説明する。図3(b)に示すように、エンドキャップ3の接合面3Aには、油路形成位置に沿って、基部位置を横方向に延びると共に各脚部位置を上下方向に延びる篏め込み凹部8が形成され、その篏め込み凹部8は、上記方向転換路用凹部9に連通している。
【0021】
また、図3(a)及びスライダ本体2側から見た図4に示すように、上記篏め込み可能な形状の別体部材6を備える。その別体部材6と、方向転換路用凹部9に嵌め込まれる上記リターンガイド7とが一体に成形されている。
その別体部材6のエンドキャップ3側を向く接合面6Aには、当該別体部材6の延び方向に沿って、油路を形成する油路用溝10が形成されている。また、本実施形態では、当該別体部材6と一体のリターンガイド7についても、エンドキャップ3側を向く面に対して、上記油路用溝10に連通する給油路11が形成されている。
【0022】
この結果、スライダ本体2の軸方向端面(スライダ側接合面)は油路形成には直接関与していない。
なお、図中、符号12は給油ニップルのエンドキャップ3に設けられた取り付け穴を、符号13は、エンドキャップ3をスライダ本体2にボルト止めするためのボルト取付け穴を示す。
【0023】
さらに、上記別体部材6の接合面には、図3(a)、図4、及び図5に示すように、上記油路用溝10の両側に当該溝10の延在方向に沿って延びる各1条の凸部15が形成されている。なお、上記凸部15の先端部は、図5に示すように、角部が面取りされてアールが付けられている。該凸部15は、リターンガイド7の給油路11の両側にも形成されている。
【0024】
ここで、上記篏め込み凹部8における底面(別体部材6との接合面)は、図5のように、平坦に形成されている。また、上記別体部材6の厚さ(篏め込み方向の寸法)は、篏め込み凹部8の深さと等しい寸法、若しくはほぼ等しくなるように設定されている。すなわち、凸部15の突起高さをT、篏め込み凹部8の深さをD、別体部材6の厚さHとすると、下記の値となるように設定されている。なお、上記凸部15の突起高さTは例えば0.2mm程度あれば十分である。
【0025】
D−T< H <D+T
また、別体部材6の素材は、上記エンドキャップ3の素材よりも硬さが小さい素材で形成されている。ここで、油路からの潤滑剤の漏れ防止には軟弾性素材同士の接合が望ましい。しかしながら、エンドキャップ3は転動体5のすくい上げ機構をもっているため、転動体5の衝突に伴う耐衝撃性などに優れる素材で構成する必要がある。さらにスライダユニット4の高速運動の際に、どうしても所定の素材強度が必要であることから一般にはポリアミド(66ナイロン)やポリアセタール(デュポン製のデルリンや旭化成製のテナックなど)などが用いられることが多い。したがって、別体部材6は、耐油性のある軟弾性素材であるゴム系材料やエラストマー材が望まく、一例を挙げると東洋紡製のペルプレンや東レデュポン製のハイトレルなどが使用可能である。これらの素材でも潤滑剤の膨潤はあり、膨潤することでより隙間ないエンドキャップ3との接合が可能となる。なお、別体部材6をエンドキャップと同じ材料から形成しても良い。
【0026】
上記構成の直動案内装置では、篏め込み凹部8に別体部材6を篏め込んだ状態で、エンドキャップ3をスライダ本体2の端面にボルト止めして接合すると、当該ボルト止めによって、別体部材6のスライダ本体2側の面がエンドキャップ3の接合面と面一となるまで、別体部材6が篏め込み凹部8内に押し込まれる結果、上記篏め込み凹部8の接合面8Aと別体部材6の接合面6Aとが接合すると共に、上記油路用溝10の両側に形成された各凸部15が篏め込み凹部8の接合面(底面)に押し付けられて弾性変形し、もって、所定の接触圧で油路用溝10の両側をシールする。なお、後述のように凸部を篏め込み凹部8側に形成した場合には、凸部に当接する別体部材6の接合面部分が弾性変形してシールが行われる。
【0027】
すなわち、本実施形態では、鋼製等からなるスライダ本体2の端面で油路を形成しないので、剛性が高いスライダ本体2の端面に対して、潤滑剤の漏れ防止を目的とした所定精度以上の平坦度を確保するように仕上加工をする必要がなく、図2に示すように、エンドキャップ3と別体部材6とで形成された油路を通じてリターンガイド7の給油路に潤滑剤が供給される。さらに、リターンガイド7の給油路もエンドキャップ3側の面に形成しているので、潤滑剤は、漏れることなく、方向転換路を通過する転動体5に供給される。
【0028】
また、本実施形態では、エンドキャップ3の篏め込み凹部8の接合面と、当該篏め込み凹部8に嵌め込まれた別体部材6の接合面(油路用溝10の部分)とで形成される閉空間が形成されることで、油路からの潤滑剤の漏れが防止される。すなわち、従来のような、剛性の高いスライダ本体2の端面と、所定の剛性を持ったエンドキャップ3との接合に比べて、軟弾性材料からなる別体部材6と、スライダ本体2よりも剛性の低いエンドキャップ3との間の接合であることから、より接合面の密着度が向上することに併せて、篏め込みにより閉空間を形成することから、成形によって引けなどの歪が多少できていても潤滑剤の漏れが防止される。
【0029】
さらに、油路の両側がそれぞれ弾性変形した凸部15でシールされることで、油路からの潤滑剤の漏れが確実に防止される。
ここで、上記実施形態では、油路となる溝は別体部材6に形成し、その接合面に対応するエンドキャップ3の篏め込み凹部8の接合面を平坦形状としているが、エンドキャップ3に油路用の溝や凸部を設けたりすることも可能であるが、篏め込み凹部8の凹面が複雑になり、転動体5のすくい上げ部等をもっているエンドキャップ3の寸法精度出しが難しくなる。したがって、別体部材6側に油路用の溝や凸部15を設けることが好ましい。
【0030】
また、上記説明では、1条の凸部15の場合を例示しているが、図6のように2条、さらには3条以上の凸部15を形成しても良い。
また、篏め込み凹部8に油路用溝及び凸部を設けたり、篏め込み凹部8側に油路用溝を別体部材6側に凸部を形成させたり。篏め込み凹部8側に凸部、別体部材6側に油路用溝を形成したりしても良い。さらに、両方6,8の接合面に共に凸部及び油路用溝を設けても良い。さらに油路用溝10の両側に位置する凸部15についても、溝10の両側に限定されず、一方の側だけでも良い。
【0031】
また、上記実施形態では、別体部材6とリターンガイド7とを一体成形する場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、別体部材6とリターンガイド7とを別体部材6で構成しても良い。図7では、リターンガイド7の給油路を、従来と同様に、スライダ本体2側の面に形成する例を図示しているが、上述のように、エンドキャップ3側に設けても良い。また、別体部材6を1つの部材として構成する場合を例示しているが、油路形成方向に沿って複数に分割されていても良い。
【0032】
また、リターンガイド7を除く油路の全部を別体部材6で構成する必要がなく、図8〜図10に示すように、基部2A位置の油路部分だけを、上述と同様に、別体部材6を使用して構成し、一部の油路を従来と同様に、エンドキャップ3に形成した油路用溝10とスライダ本体2の端面とで形成しても良い。
【0033】
また、図11に示すように、流動性のある油を潤滑剤として使用する場合には、油路内の一部に対し、当該流動性のある潤滑剤の保持性を高めるため、油に対する吸収性能の高いオイル保持部材であるppフェルトやスポンジなどを上記油路用の溝に入れても良い。潤滑剤が圧送された際、異物として軌道面に送り込まれないよう、末端部の油路形状より大きい寸法で構成されている部分に入れることが好ましい。なお、図11では、別体部材6で構成した油路位置に入れているが、図8のように別体部材6を使用することなく油路を形成している部分(図8中の符号A部分)があれば、その部分の油路用の溝に上記潤滑剤保持材を介装させても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明してきたように、剛性の高いスライダ本体の端面の全域に亘って平坦度を出さなくても、無限循環路の転動体に潤滑剤を供給する油路からの潤滑剤の漏れを効果的に防止することが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る直動案内装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係るエンドキャップ及び別体部材をスライダ本体2側から見た図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係るエンドキャップと別体部材との篏め込みを説明する図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る別体部材をスライダ本体側から見た図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る別体部材を示す断面図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係る凸部の別の例を説明する図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を説明する図である。
【図8】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を説明する図である。
【図9】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を示すエンドキャップ側からみた図である。
【図10】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を示す断面図である。
【図11】本発明に基づく実施形態に係る潤滑剤保持材を使用した例を説明する図である。
【符号の説明】
1 案内レール
2 スライダ本体
3 エンドキャップ
3A 接合面
5 転動体
6 別体部材
6A 接合面
7 リターンガイド
8 篏め込み凹部
8A 接合面
9 方向転換用凹部
10 油路用凹部
11 給油路
15 凸部
【発明の属する技術分野】
本発明は、直動案内装置に係り、特に、劣悪な環境で潤滑不良が予想される場所や切削液などで潤滑剤が洗い流されるような場所での使用に好適な直動案内装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の直動案内装置にあっては、案内レールに沿って相対移動する断面略コ字状のスライダ本体の軸方向両端面に対し、それぞれエンドキャップがボルト止めによって接合されている。上記案内レール側面とスライダ本体の内周面との間に形成された負荷転動路の端部と、スライダ本体を貫通する戻り路の端部とが、各エンドキャップに形成された半円弧状の方向転換路によって接続されることで無限循環路が形成され、該無限循環路に複数の転動体に配置されている。
【0003】
ここで、上記半円弧状の方向転換路は、エンドキャップ接合面に形成された方向転換路用の凹部にリターンガイドが嵌め込まれて構成される。
そして、先行文献1や先行文献2に記載のように、スライダ本体端面に接合する上記エンドキャップの接合面に、油路形成位置に沿って給油溝が形成され、その給油溝とスライダ本体端面(スライダ本体側の接合面)とで油路が形成される。ここで、上記油路は、リターンガイドに形成された給油路に連通し該給油路を通じて上記無限循環路内の転動体列に潤滑剤が供給される。
【0004】
また、転動体がころの場合の例が特許文献3に記載されているが、やはり、上記油路の構成は、エンドキャップの接合面に対し、油路形成位置に沿って給油溝が形成され、その給油溝とスライダ本体端面(スライダ本体側の接合面)とで閉じた油路を形成している。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−114224号公報
【特許文献2】
実公平6−2024号公報
【特許文献3】
特開平6−43345号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
通常、エンドキャップはプラスチック成型により安価に製作されているが、樹脂部品は成形時のひけや収縮で完全なフラット面を構成することが難しい。したがって、鋼製のスライダ本体の端面を切削加工により平坦に仕上げても、スライダ本体端面への取付けが部分的に設けられたネジで固定されることが一般的なので、エンドキャップ接合面をスライダ本体の端面に隙間なく接合させることは難しく、そのため両者で構成される油路は完全な閉空間に構成することが困難である。このため、流動性の高いオイルを採用した潤滑を想定すると、油路に給油された潤滑剤が、スライダ本体端面とエンドキャップ接合面との間に形成された隙間を通じ漏れや毛細管現象によって、本来の経路以外のところへ流れ出てしまうおそれがある。したがって、劣悪な環境で潤滑不良が予想される場所や切削液などで潤滑剤が洗い流されるような場所での使用では早期に潤滑不良を招く恐れがあった。特に、エンドキャップの上記接合面部分で精度が出にくい部分は、下向きコの字形状の中央部付近である。
【0007】
また仕様によっては、スライダの姿勢でも重力の影響でオイルの流れやすいところと流れにくいところが存在していた。この場合、油路で流動性の高いオイルが保持されていさえすれば、それなりに各軌道面に潤滑剤は行き渡るものの、上記したように接合面の隙間等で保持性が悪い場合、やはり潤滑不良になる軌道面が出てくることが予想される。
【0008】
ここで、実公平6−39144号公報に記載されているように、エンドキャップの接合面に給油溝が形成され、その接合面には給油溝に沿いボール循環路の凹所に近接する位置まで微小な山形の帯状突起が一体成形していることが開示されているが、この場合、鋼製からなるスライダ本体端面(エンドキャップとの接合面)の切削加工において所要以上の平坦度を出す必要があり、コストアップに繋がる。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、スライダ本体端面の平坦度を全域について維持することなく、油路に供給された潤滑剤の漏れを効果的に防止することとができる直動案内装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、軸方向に延びる軌道面を有する案内レールと、その案内レールの軌道面に対向する軌道面を有して相対移動可能に当該案内レールに跨架するスライダ本体と、そのスライダ本体の軸方向両端面に取り付けられるエンドキャップと、上記対向する軌道面で形成される負荷部軌道路、スライダ本体に形成される戻り路、及び上記各エンドキャップに形成されて上記負荷部軌道路及び戻り路を接続する方向転換路からなる無限循環路内を移動する複数の転動体と、を備え、且つ上記無限循環路中の転動体列に潤滑剤を供給するための油路が上記エンドキャップに形成される直動案内装置において、
上記エンドキャップにおけるスライダ本体と対向する面に、油路形成位置の少なくとも一部分に沿って延びる篏め込み凹部を形成すると共に、その篏め込み凹部に嵌め込まれ且つ上記エンドキャップと素材硬さが同じ又は低い別体部材を備え、上記篏め込み凹部と別体部材との互いに対向する接合面の少なくとも一方に対し油路用の溝を形成し、且つ当該対向する接合面の少なくとも一方に対し上記油路用の溝に沿って延びる1条若しくは2条以上の凸部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明によれば、エンドキャップに形成する油路の少なくとも一部を、エンドキャップの篏め込み凹部と、その凹部に嵌め込まれる別体部材とで構成しているので、スライダ本体端面の平坦度を全域について維持する必要がない。
また、篏め込み凹部と別体部材との互いに対向する接合面位置に油路用の溝を形成、つまり両部品で形成される閉空間に油路を形成することで、その位置については、潤滑剤の漏れが防止される。
【0011】
このとき、油路用の溝に沿って形成された1条以上の凸部が対向する接合面に当接して接合する際に、硬さの低いほうの素材である別部材側が、また材質が同じで硬さが等しければ少なくとも凸部の部分が、弾性変形することで、仮にエンドキャップ及び別部材間の接合面に対し、成形でひけ等のゆがみがあっても閉じた空間を確実に形成することができ、油路からの漏れを防止できる。
【0012】
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、上記篏め込み凹部の深さと上記別体部材の篏め込み方向の厚さとは等しいか略等しいことを特徴とするものである。
本発明によれば、スライダ本体の端面にエンドキャップを接合することによって確実に上記凸部で油路用の溝をシールすることが行われる。
【0013】
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記エンドキャップの方向転換路は、エンドキャップに形成された方向転換路形成用溝にリターンガイドが嵌め込まれることで形成される直動案内装置において、上記別体部材とリターンガイドとが一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
次に、請求項4に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載した構成に対し、上記潤滑剤は潤滑油であり、且つ上記エンドキャップに形成される油路の一部に潤滑剤保持部材が介挿されていることを特徴とするものである。
なお、上記潤滑剤保持材は、上記別部材で形成される部分の油路位置に限定されず、エンドキャップの溝とスライダ本体の端面とで形成する油路位置であっても良い。エンドキャップの溝とスライダ本体の端面とで形成する油路位置に配置した場合には、流動性の高い潤滑油が潤滑剤保持材に保持されることで、その位置からの潤滑油の漏れを低減することに繋がる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態にあっては、転動体としてころを例示し、且つ転動体軌道列が左右2条づつの計4条の直動案内装置を例にして説明する。もっとも、これに限定されるものではない。
【0016】
まず、構成について説明すると、図1に示すように、軸方向に延びる案内レール1に対し断面コ字状のスライドユニット4が跨架し、当該スライドユニット4が上記案内レール1に案内されて相対移動可能となっている。上記スライドユニット4は、スライダ本体2、及びそのスライダ本体2の軸方向端面にそれぞれ当接し接合されるエンドキャップ3を少なくとも有する。なお、説明上、断面コ字状のエンドキャップ3における左右部分を脚部3bと、その左右の脚部3b間を繋ぐ上側部分を基部3aと、呼ぶ。
【0017】
上記案内レール1の左右側面には、それぞれ軸方向に延びる2条のレール側軌道溝1aが形成されると共に、スライダ本体2の内周面には、上記レール側軌道溝1aと対向配置されるスライダ側軌道溝がそれぞれ形成されて、対向する各軌道溝によってそれぞれの負荷部軌道路を構成する。また、スライダ本体2には、各負荷部軌道路と平行な貫通孔によって転動体戻り路が形成されている。さらに、対応する各負荷軌道路の端部と転動体戻り路の端部とを接続して両者を連通させる半円弧状の方向転換路がエンドキャップ3に形成されることで、4条の無限循環路が形成され、当該無限循環路内に配置された複数の転動体が、スライダ本体2の相対移動に伴って無限循環路内を転動する。
【0018】
ここで、上記方向転換路は、エンドキャップ3のスライダ本体2への接合面(以下、単に接合面と呼ぶ場合もある)に対して、円弧状の底面を有する方向転換路用凹部9が形成され、且つ、当該方向転換路用凹部9にリターンガイド7が嵌め込まれることによって形成される。なお、転動体がころの場合には、各脚部に形成される2条の方向転換路はタスキがけ状(×状)に配置されるが。転動体が球の場合には、タスキがけ状には配置されていない。
【0019】
上記コ字状のエンドキャップ3の接合面3Aには、従来と同様に、当該接合面3Aに沿って油路が形成されている。すなわち、油路は、図2に示すように、エンドキャップ3の基部3aに沿って水平に延びる水平部、その水平部に連通し左右の脚部3bを垂直に延びる垂直部とを備え、該垂直部は、上記リターンガイド7に形成される油路(給油路11)に連通している。
【0020】
本実施形態では、上記油路は、エンドキャップ3と別体部材6とで構成される。さらに、本実施形態では、上記別体部材6はリターンガイド7と一体成形されている。
その構造について説明する。図3(b)に示すように、エンドキャップ3の接合面3Aには、油路形成位置に沿って、基部位置を横方向に延びると共に各脚部位置を上下方向に延びる篏め込み凹部8が形成され、その篏め込み凹部8は、上記方向転換路用凹部9に連通している。
【0021】
また、図3(a)及びスライダ本体2側から見た図4に示すように、上記篏め込み可能な形状の別体部材6を備える。その別体部材6と、方向転換路用凹部9に嵌め込まれる上記リターンガイド7とが一体に成形されている。
その別体部材6のエンドキャップ3側を向く接合面6Aには、当該別体部材6の延び方向に沿って、油路を形成する油路用溝10が形成されている。また、本実施形態では、当該別体部材6と一体のリターンガイド7についても、エンドキャップ3側を向く面に対して、上記油路用溝10に連通する給油路11が形成されている。
【0022】
この結果、スライダ本体2の軸方向端面(スライダ側接合面)は油路形成には直接関与していない。
なお、図中、符号12は給油ニップルのエンドキャップ3に設けられた取り付け穴を、符号13は、エンドキャップ3をスライダ本体2にボルト止めするためのボルト取付け穴を示す。
【0023】
さらに、上記別体部材6の接合面には、図3(a)、図4、及び図5に示すように、上記油路用溝10の両側に当該溝10の延在方向に沿って延びる各1条の凸部15が形成されている。なお、上記凸部15の先端部は、図5に示すように、角部が面取りされてアールが付けられている。該凸部15は、リターンガイド7の給油路11の両側にも形成されている。
【0024】
ここで、上記篏め込み凹部8における底面(別体部材6との接合面)は、図5のように、平坦に形成されている。また、上記別体部材6の厚さ(篏め込み方向の寸法)は、篏め込み凹部8の深さと等しい寸法、若しくはほぼ等しくなるように設定されている。すなわち、凸部15の突起高さをT、篏め込み凹部8の深さをD、別体部材6の厚さHとすると、下記の値となるように設定されている。なお、上記凸部15の突起高さTは例えば0.2mm程度あれば十分である。
【0025】
D−T< H <D+T
また、別体部材6の素材は、上記エンドキャップ3の素材よりも硬さが小さい素材で形成されている。ここで、油路からの潤滑剤の漏れ防止には軟弾性素材同士の接合が望ましい。しかしながら、エンドキャップ3は転動体5のすくい上げ機構をもっているため、転動体5の衝突に伴う耐衝撃性などに優れる素材で構成する必要がある。さらにスライダユニット4の高速運動の際に、どうしても所定の素材強度が必要であることから一般にはポリアミド(66ナイロン)やポリアセタール(デュポン製のデルリンや旭化成製のテナックなど)などが用いられることが多い。したがって、別体部材6は、耐油性のある軟弾性素材であるゴム系材料やエラストマー材が望まく、一例を挙げると東洋紡製のペルプレンや東レデュポン製のハイトレルなどが使用可能である。これらの素材でも潤滑剤の膨潤はあり、膨潤することでより隙間ないエンドキャップ3との接合が可能となる。なお、別体部材6をエンドキャップと同じ材料から形成しても良い。
【0026】
上記構成の直動案内装置では、篏め込み凹部8に別体部材6を篏め込んだ状態で、エンドキャップ3をスライダ本体2の端面にボルト止めして接合すると、当該ボルト止めによって、別体部材6のスライダ本体2側の面がエンドキャップ3の接合面と面一となるまで、別体部材6が篏め込み凹部8内に押し込まれる結果、上記篏め込み凹部8の接合面8Aと別体部材6の接合面6Aとが接合すると共に、上記油路用溝10の両側に形成された各凸部15が篏め込み凹部8の接合面(底面)に押し付けられて弾性変形し、もって、所定の接触圧で油路用溝10の両側をシールする。なお、後述のように凸部を篏め込み凹部8側に形成した場合には、凸部に当接する別体部材6の接合面部分が弾性変形してシールが行われる。
【0027】
すなわち、本実施形態では、鋼製等からなるスライダ本体2の端面で油路を形成しないので、剛性が高いスライダ本体2の端面に対して、潤滑剤の漏れ防止を目的とした所定精度以上の平坦度を確保するように仕上加工をする必要がなく、図2に示すように、エンドキャップ3と別体部材6とで形成された油路を通じてリターンガイド7の給油路に潤滑剤が供給される。さらに、リターンガイド7の給油路もエンドキャップ3側の面に形成しているので、潤滑剤は、漏れることなく、方向転換路を通過する転動体5に供給される。
【0028】
また、本実施形態では、エンドキャップ3の篏め込み凹部8の接合面と、当該篏め込み凹部8に嵌め込まれた別体部材6の接合面(油路用溝10の部分)とで形成される閉空間が形成されることで、油路からの潤滑剤の漏れが防止される。すなわち、従来のような、剛性の高いスライダ本体2の端面と、所定の剛性を持ったエンドキャップ3との接合に比べて、軟弾性材料からなる別体部材6と、スライダ本体2よりも剛性の低いエンドキャップ3との間の接合であることから、より接合面の密着度が向上することに併せて、篏め込みにより閉空間を形成することから、成形によって引けなどの歪が多少できていても潤滑剤の漏れが防止される。
【0029】
さらに、油路の両側がそれぞれ弾性変形した凸部15でシールされることで、油路からの潤滑剤の漏れが確実に防止される。
ここで、上記実施形態では、油路となる溝は別体部材6に形成し、その接合面に対応するエンドキャップ3の篏め込み凹部8の接合面を平坦形状としているが、エンドキャップ3に油路用の溝や凸部を設けたりすることも可能であるが、篏め込み凹部8の凹面が複雑になり、転動体5のすくい上げ部等をもっているエンドキャップ3の寸法精度出しが難しくなる。したがって、別体部材6側に油路用の溝や凸部15を設けることが好ましい。
【0030】
また、上記説明では、1条の凸部15の場合を例示しているが、図6のように2条、さらには3条以上の凸部15を形成しても良い。
また、篏め込み凹部8に油路用溝及び凸部を設けたり、篏め込み凹部8側に油路用溝を別体部材6側に凸部を形成させたり。篏め込み凹部8側に凸部、別体部材6側に油路用溝を形成したりしても良い。さらに、両方6,8の接合面に共に凸部及び油路用溝を設けても良い。さらに油路用溝10の両側に位置する凸部15についても、溝10の両側に限定されず、一方の側だけでも良い。
【0031】
また、上記実施形態では、別体部材6とリターンガイド7とを一体成形する場合を例示しているが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、別体部材6とリターンガイド7とを別体部材6で構成しても良い。図7では、リターンガイド7の給油路を、従来と同様に、スライダ本体2側の面に形成する例を図示しているが、上述のように、エンドキャップ3側に設けても良い。また、別体部材6を1つの部材として構成する場合を例示しているが、油路形成方向に沿って複数に分割されていても良い。
【0032】
また、リターンガイド7を除く油路の全部を別体部材6で構成する必要がなく、図8〜図10に示すように、基部2A位置の油路部分だけを、上述と同様に、別体部材6を使用して構成し、一部の油路を従来と同様に、エンドキャップ3に形成した油路用溝10とスライダ本体2の端面とで形成しても良い。
【0033】
また、図11に示すように、流動性のある油を潤滑剤として使用する場合には、油路内の一部に対し、当該流動性のある潤滑剤の保持性を高めるため、油に対する吸収性能の高いオイル保持部材であるppフェルトやスポンジなどを上記油路用の溝に入れても良い。潤滑剤が圧送された際、異物として軌道面に送り込まれないよう、末端部の油路形状より大きい寸法で構成されている部分に入れることが好ましい。なお、図11では、別体部材6で構成した油路位置に入れているが、図8のように別体部材6を使用することなく油路を形成している部分(図8中の符号A部分)があれば、その部分の油路用の溝に上記潤滑剤保持材を介装させても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上説明してきたように、剛性の高いスライダ本体の端面の全域に亘って平坦度を出さなくても、無限循環路の転動体に潤滑剤を供給する油路からの潤滑剤の漏れを効果的に防止することが出来るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施形態に係る直動案内装置を示す斜視図である。
【図2】本発明に基づく実施形態に係るエンドキャップ及び別体部材をスライダ本体2側から見た図である。
【図3】本発明に基づく実施形態に係るエンドキャップと別体部材との篏め込みを説明する図である。
【図4】本発明に基づく実施形態に係る別体部材をスライダ本体側から見た図である。
【図5】本発明に基づく実施形態に係る別体部材を示す断面図である。
【図6】本発明に基づく実施形態に係る凸部の別の例を説明する図である。
【図7】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を説明する図である。
【図8】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を説明する図である。
【図9】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を示すエンドキャップ側からみた図である。
【図10】本発明に基づく実施形態に係る別体部材の別の例を示す断面図である。
【図11】本発明に基づく実施形態に係る潤滑剤保持材を使用した例を説明する図である。
【符号の説明】
1 案内レール
2 スライダ本体
3 エンドキャップ
3A 接合面
5 転動体
6 別体部材
6A 接合面
7 リターンガイド
8 篏め込み凹部
8A 接合面
9 方向転換用凹部
10 油路用凹部
11 給油路
15 凸部
Claims (4)
- 軸方向に延びる軌道面を有する案内レールと、その案内レールの軌道面に対向する軌道面を有して相対移動可能に当該案内レールに跨架するスライダ本体と、そのスライダ本体の軸方向両端面に取り付けられるエンドキャップと、上記対向する軌道面で形成される負荷部軌道路、スライダ本体に形成される戻り路、及び上記各エンドキャップに形成されて上記負荷部軌道路及び戻り路を接続する方向転換路からなる無限循環路内を移動する複数の転動体と、を備え、且つ上記無限循環路中の転動体列に潤滑剤を供給するための油路が上記エンドキャップに形成される直動案内装置において、
上記エンドキャップにおけるスライダ本体と対向する面に、油路形成位置の少なくとも一部分に沿って延びる篏め込み凹部を形成すると共に、その篏め込み凹部に嵌め込まれ且つ上記エンドキャップと素材硬さが同じ又は低い別体部材を備え、上記篏め込み凹部と別体部材との互いに対向する接合面の少なくとも一方に対し油路用の溝を形成し、且つ当該対向する接合面の少なくとも一方に対し上記油路用の溝に沿って延びる1条若しくは2条以上の凸部を設けたことを特徴とする直動案内装置。 - 上記篏め込み凹部の深さと上記別体部材の篏め込み方向の厚さとは等しいか略等しいことを特徴とする請求項1に記載した直動案内装置。
- 上記エンドキャップの方向転換路は、エンドキャップに形成された方向転換路形成用溝にリターンガイドが嵌め込まれることで形成される直動案内装置において、上記別体部材とリターンガイドとが一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した直動案内装置。
- 上記潤滑剤は潤滑油であり、且つ上記エンドキャップに形成される油路の一部に潤滑剤保持部材が介挿されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載した直動案内装置。
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