JP2004353141A - 強化繊維束ならびにそれを用いた成形用材料および成形品 - Google Patents

強化繊維束ならびにそれを用いた成形用材料および成形品 Download PDF

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Atsuki Tsuchiya
敦岐 土谷
Kenichi Igai
賢一 猪飼
Masato Honma
雅登 本間
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Abstract

【課題】優れた取り扱い性をもち、かつ複合材料としたときにも優れた力学的特性を発現できる複合材料用強化繊維束を提供する。
【解決手段】強化繊維を集束成分により集束した強化繊維束であって、集束成分の吸水容量比Rvが2以上であることを特徴とする強化繊維束。
ここで吸水容量比Rvは、
Rv=V2/V1
V1:絶乾時の体積
V2:飽和吸水時の体積
である。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強化繊維が集束された強化繊維束に関する。
【0002】
【従来の技術】
強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量で優れた力学特性を有するために、スポーツ用品用途、航空宇宙用途、一般産業用途に広く用いられている。
【0003】
強化繊維は通常、フィラメント又はトウの形で製造され、更に、一方向に引き揃えたシート、テープ、フィラメントワインディング、織物、又はチョップドファイバー等に加工されて使用されている。また、強化繊維は本質的に剛直で脆く、取り扱いにおいて毛羽、糸切れを発生しやすいため、通常、強化繊維の集束性、耐屈曲性や耐擦過性を向上させるべくサイジング剤を付与している。
【0004】
一方、繊維強化複合材料は、成形品としたときに高い力学特性を有することが要求される。この力学特性を向上させるには、強化繊維とマトリックス樹脂との間に介在することになるサイジング剤の付与量を軽減あるいは省略することが考えられるが、上記のようにサイジング剤は実質的に不可欠であり、この付与量を軽減あるいは省略すると集束性、耐屈曲性や耐擦過性の向上の効果を得られなくなるというジレンマがあった。
【0005】
サイジング剤に関しては、例えば特許文献1には、反応性の高いエポキシ基含有脂肪族化合物をサイジング剤として採用することにより、マトリックス樹脂との接着強度を向上させることができることが開示されているが、この技術では、接着性の向上に伴い強化繊維の耐擦過性等の取り扱い性が低下するという問題があった。
【0006】
また例えば、特許文献2にはポリアミド・イミドを、特許文献3にはポリエーテルイミドをサイジング剤として採用することがそれぞれ開示されている。しかしこれらのサイジング剤を採用した強化繊維束は、柔軟性が良好でなく製織工程やプリプレグ工程での通糸作業がやり難いという問題点があった。また、これらのサイジング剤は有機溶媒にのみ可溶であり、水系での使用は不可能なため、付与設備の煩雑化や環境面での問題などで実用化困難である。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−279040号公報(第1頁、第7行)
【0008】
【特許文献2】
特開昭61−75880号公報(第1頁、第4行)
【0009】
【特許文献3】
特開昭62−299580号公報(第1頁、第5行)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、強化繊維束としての取り扱い性や品質にも優れ、かつ複合材料としたときにも優れた力学特性を発現できる強化繊維束を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、強化繊維を集束成分により集束した強化繊維束であって、集束成分の吸水容量比Rvが2以上であることを特徴とする強化繊維束である(第1の強化繊維束発明)。
ここで吸水容量比Rvは、
Rv=V2/V1
V1:絶乾時の体積
V2:飽和吸水時の体積
である。
【0012】
また本発明は、強化繊維を集束成分により集束した強化繊維束であって、集束成分の吸水重量比Rwが2以上であることを特徴とする強化繊維束である(第2の強化繊維束発明)。
ここで吸水重量比Rwは、
Rw=W2/W1
W1:絶乾時の重量
W2:飽和吸水時の重量
である。
【0013】
また本発明は、本発明の強化繊維と熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなることを特徴とする繊維強化樹脂組成物である。
【0014】
また本発明は、本発明の繊維強化樹脂組成物からなることを特徴とする成形品である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の強化繊維束は、強化繊維を集束成分(サイジング剤)により集束してなる。
【0016】
強化繊維としては例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、PBO繊維、ポリエステル繊維、炭化珪素繊維、ホウ素繊維、パルプ等の天然繊維、ステンレススチール繊維などが挙げられる。
【0017】
なかでも、軽量で高強度・高弾性率である炭素繊維がとりわけ好ましい。かかる炭素繊維としては例えば、ポリアクリロニトリル繊維を原料とするPAN系、石炭タールや石油ピッチを原料とするピッチ系(内部構造により等方性、メソフェーズなどがある。)、ビスコースレーヨンや酢酸セルロースなどを原料とするセルロース系、炭化水素などを原料とする気相成長系などがある。またこれらの黒鉛繊維でも良い。またこれらをニッケル、イッテルビウム、金、銀、銅などの金属を、メッキ法(電解、無電解)、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、蒸着法などにより少なくとも1層以上被覆してなる金属被覆炭素繊維でも良い。また、これらを2種類以上ブレンドして構成しても良い。なかでも、強度と弾性率などの力学的特性とコストとのバランスに優れるPAN系炭素繊維がとりわけ好ましい。
【0018】
また本発明の強化繊維束は、集束成分の吸水容量比Rvが2以上であることが重要である(第1の強化繊維束発明)。
ここで吸水容量比Rvは、
Rv=V2/V1
V1:絶乾時の体積
V2:飽和吸水時の体積
である。
吸水容量比Rvが2以上であることで、集束成分が吸水により膨張して、少量の付着量の集束成分でも良好な集束性を発現する強化繊維束を得ることができる。すなわちこの強化繊維束を用いて成形すれば、集束成分の分解ガス等によるボイドの発生を抑えることができ、成形品の力学特性を向上させることができる。また、吸水容量比Rvの上限値としては、後述するような吸水性高分子のポテンシャルから6000程度と考える。
【0019】
また本発明の強化繊維束は、集束成分の吸水重量比Rwが2以上であることが重要である(第2の強化繊維束発明)。
ここで吸水重量比Rwは、
Rw=W2/W1
W1:絶乾時の重量
W2:飽和吸水時の重量
である。
吸水重量比Rwが2以上であることで、集束成分が吸水することにより膨張して、少量の付着量の集束成分でも良好な集束性を発現する強化繊維束を得ることができる。すなわちこの強化繊維束を用いて成形すれば、集束成分の分解ガス等によるボイドの発生を抑えることができ、成形品の力学特性を向上させることができる。また、吸水容量比Rwの上限値としては、後述するような吸水性高分子のポテンシャルから6000程度と考える。
【0020】
上記のような特性を有する集束成分としては、吸水性高分子を含むものが好ましく適用できる。
【0021】
かかる吸水性高分子としては、例えば以下にあげるものなどが好適に使用される。N−アルキル基置換(メタ)アクリルアミド類を主成分モノマーとして重合、架橋したもので、使用できるN−アルキル基置換(メタ)アクリルアミドとしては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルピペリジン、アクリロイルピロリジンなど。アミノ酸系吸水性高分子、ポリエチレングリコール、セルロース、トレハロース若しくはポリメチルビニルエーテルからなる重合体、または該重合体のいずれか1種以上を架橋させてなる架橋重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体架橋物、アクリル酸−2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸共重合体塩の架橋物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩の架橋物などがある。
【0022】
高い吸水性をもち、さらにある程度の耐熱性をもっていて成形時に熱分解しにくいという点からは、ポリアクリル酸骨格を有するものが好ましい。ポリアクリル酸骨格を有する吸水性高分子としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物の架橋物、ポリアクリル酸及び/又はその塩を主構成単位とするエチレン性不飽和単量体の架橋重合体などが挙げられる。
【0023】
また、高い吸水性をもつという点からは、糖骨格を有するものが好ましい。糖骨格をもつ吸水性高分子としては、デンプン、デンプン−アクリル酸グラフト共重合体架橋物、デンプン−アクリロニトリルグラフト重合体架橋物の加水分解物、架橋カルボキシメチルセルロース塩、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0024】
また、吸水性を向上させるという点においては吸水性高分子が塩を形成しているものが好ましく、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン、トリメチルアミンなどのアルキルアミンの塩;トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンの塩など)などが挙げられる。好ましい塩はナトリウム塩またはカリウム塩である。ポリアクリル酸の塩はポリアクリル酸をアルカリで中和して得られるものであり、好ましくは酸基の50〜90モル%、特に好ましくは60〜80モル%である。中和度がこの範囲であると得られる吸水性高分子のPHが中性領域となり安全性の面で好ましい。
【0025】
吸水性高分子の集束成分に対する含有量としては、10重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。10重量%以上とすることにより、吸水性高分子が大気中の水分を吸収して平衡に達し、集束成分として少量でも効率良く強化繊維束を集束することができる。
【0026】
また集束成分には、吸水性高分子の他に、界面活性剤、有機溶媒、潤滑剤、消泡剤などを添加してもよい。これらの添加剤は、集束成分の表面張力を低下させてその付着を均一にするのに有効である。
【0027】
また集束成分は、その高い皮膜性能と集束性から、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を含有することも好ましい。
【0028】
集束成分は、エマルジョン、懸濁液またはこれらの混合液の状態にて、強化繊維束に接触または浸漬させ、その後に、溶媒を乾燥させることにより、強化繊維束に付着させることができる。溶媒としては、環境面、設備コストなどを考慮すると水系のものを用いるのが好ましい。
【0029】
集束成分の付着量は、浸漬させる場合には懸濁液等の濃度により、また接触させる場合には懸濁液等の接触量と濃度により調整することができる。
【0030】
また吸水性高分子以外の添加剤は、吸水性高分子とは別個に強化繊維に付与しても良いし、前述のような懸濁液等に添加して、吸水性高分子と同時に付与しても良い。
【0031】
集束成分の強化繊維束に対する付着量としては、0.01〜8重量%が好ましく、より好ましくは0.03〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜2重量%である。付着量が0.01重量%以上とすることで、強化繊維束の集束性を十分に得ることができ、強化繊維束の取り扱い性が向上する。また8重量%以下とすることで、強化繊維束が過度に強固に集束されて開繊が困難となるのを防ぎマトリックス樹脂の含浸を促し、また、分解ガスによるボイドの発生も抑えることができる。
【0032】
次に本発明の繊維強化樹脂組成物は、本発明の強化繊維束に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなるものである。
【0033】
熱可塑性樹脂としては例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン等のポリオレフィンや、スチレン系樹脂や、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチレンメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルニトリル(PEN)、(ノボラック型などの)フェノールフェノキシ樹脂、フッ素樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体、変性体、あるいは2種類以上ブレンドした樹脂などであってもよい。また、更に耐衝撃性向上のために、上記熱可塑性樹脂にその他のエラストマーあるいはゴム成分を添加した樹脂であってもよい。特に、スチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリオレフィン樹脂、液晶性樹脂およびフェノール系樹脂から選ばれる少なくとも1種を好ましい熱可塑性樹脂として採用することができる。
【0034】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましく、このほか、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性マレイミド、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性マレイミド、多官能性シアン酸エステル、多官能性イソシアネート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ブタジエン、スチレン−ブタジエン・スチレン−ブタジエン−スチレン、ホルムアルデヒド樹脂、(ユリア樹脂,メラミン樹脂,ベンゾグアナミン樹脂などの)アミノ樹脂、アルキド樹脂、(ポリウレタンなどの)ウレタン樹脂などを用いることができる。
【0035】
また本発明の繊維強化樹脂組成物には、その用途に応じて更に(マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、ベントナイト、ゾノトライト、セピオライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ワラステナイト、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜カルシウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウムウィスカ、高分子などの)充填材、(金属系、金属酸化物系、カーボンブラック、グラファイト粉末などの)導電性付与材、(臭素化樹脂などの)ハロゲン系難燃剤、(三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの)アンチモン系難燃剤、(ポリリン酸アンモニウム、芳香族ホスフェート、赤燐などの)リン系難燃剤、(有ホウ酸金属塩、カルボン酸金属塩、芳香族スルホンイミド金属塩などの)有機酸金属塩系難燃剤、(硼酸亜鉛、亜鉛、酸化亜鉛、ジルコニウム化合物などの)無機系難燃剤、(シアヌル酸、イソシアヌル酸、メラミン、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、窒素化グアニジンなどの)窒素系難燃剤、(PTFEなどの)フッ素系難燃剤、(ポリオルガノシロキサンなどの)シリコーン系難燃剤、(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの)金属水酸化物系難燃剤、またその他の難燃剤、(酸化カドミウム、酸化亜鉛、酸化第一銅、酸化第二銅、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化スズおよび酸化チタンなどの)難燃助剤、顔料、染料、滑剤、離型剤、相溶化剤、分散剤、(マイカ、タルク、カオリンなどの)結晶核剤、(リン酸エステルなどの)可塑剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、発泡剤、抗菌剤、制振剤、防臭剤、摺動性改質剤、(ポリエーテルエステルアミドなどの)帯電防止剤等を更に添加することができる。
【0036】
また本発明の繊維強化樹脂組成物は、強化繊維が少なくとも一方向に配向したものであることが、成形用材料として好ましい。「少なくとも一方向に配向」の具体的な態様としては、成形品の強化したい方向に合わせて強化繊維が一方向に配向した連続繊維成形用材料が好ましく、あるいは、強化繊維を織物にした形態のものや、均一な強度を発現させる目的で連続繊維や織物を重ね合わせて擬似等方的に配向させたものなども採用することができる。
【0037】
次に、本発明の成形品は、本発明の繊維強化樹脂組成物からなるものである。前述のような強化繊維束(あるいは繊維強化樹脂組成物)により、ボイドの発生を抑え、優れた力学特性を発現することができる。
【0038】
成形方法としては、プレス成形、トランスファー成形、フィラメントワインディング成形、ハンドレイアップ成形、射出成形、ブロー成形、回転成形、押出成形などを採用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではない。
【0040】
[測定・評価方法]
(1)集束成分の吸水容量比Rv
集束成分を80℃において5時間真空乾燥し、乾燥状態の集束成分をメスシリンダーに入れて絶乾時の体積V1(ml)を測定した。次いで同集束成分を温度30℃、湿度90%の条件で飽和吸水させ、飽和吸水状態の集束成分をメスシリンダーに入れて飽和吸水時の体積V2(ml)を測定した。測定した体積V1、V2から次式により吸水容量比Rvを算出した。
Rv=V2/V1
尚、測定のn数は3とした。
【0041】
(2)集束成分の吸水重量比Rw
集束成分を80℃において5時間真空乾燥し、絶乾時の重量W1(g)を測定した。次いで同集束成分を温度30℃、湿度90%の条件で飽和吸水させ、飽和吸水時の重量W2(g)を測定した。測定した重量W1、W2から次式により吸水重量比Rwを算出した。
Rw=W2/W1
尚、測定のn数は3とした。
【0042】
(3)強化繊維束に対する集束成分の付着量
集束成分の付着した強化繊維束を約5g採取し、耐熱ガラス製の容器に投入した。次に、この容器ごと120℃で3時間乾燥し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した値をWb(g)とした。次いで、容器ごと、窒素雰囲気中、450℃で15分間加熱後、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却し、秤量した値をWf(g)とした。測定した重量Wb、Wfから次式により付着量(重量%)を算出した。
付着量(重量%)=100×(Wb−Wf)/Wf
尚、測定のn数は3とした。
【0043】
(4)強化繊維束の取り扱い性
強化繊維束の擦過毛羽の測定にておこなった。擦過による毛羽付与には、直径10mmのステンレス棒(クロムメッキ、表面粗さ1〜1.5S)5本を50mm間隔で各々平行に、かつそれらの表面を強化繊維糸条が120°の接触角で接触しながら通過し得るように棒をジグザグに配置した擦過装置を用いた。この装置により強化繊維糸条に1デニール(1.1デシテックス)当たり0.09gの入り側張力下、3m/分の糸条で通過させ、側面から繊維糸条に対し直角にレーザ光線を照射し、毛羽数を毛羽検出装置で検出カウントし、個/mで表示した。この擦過毛羽測定を以下の3段階で評価した。
◎:擦過毛羽が5個/m以下で極めて取り扱い性が良いもの
○:擦過毛羽が10個/m以下で取り扱い性が良いもの
×:擦過毛羽が11個/m以上で取り扱い性が悪いもの
尚、測定長は100mとした。
【0044】
(5)強化繊維の体積含有量
比重法により求めた。すなわち、オルトジクロロベンゼン系の勾配管を用いて試料(n=3)の比重を求め、マトリックス樹脂の比重(1.36)と強化繊維の比重(1.80)から算出した。
【0045】
(6)0°曲げ試験
ASTM D 790規格に記載の方法に準じて次の条件にて行った。
試験片サイズ:長さ600mm×幅15mm×厚み1mm。
Vf :60%
温度 :23℃
湿度 :50%
試験片水分率:0.1%以下。
尚、測定のn数は3とした。
【0046】
(7)成形品中のボイド率
成形品を、強化繊維の配向方向と直角方向に切断し、その切断片をエポキシ樹脂を用いて容器に包埋し、切断面を鏡面研磨した。
鏡面研磨は、乾式研磨と湿式バフ研磨とを順次施した。
乾式研磨は、自動研磨機としてリファインテック(株)社製“リファイン・ポリッシャー”200を使用して、粒度#600のサンドペーパーで5分間、粒度#800で5分間、粒度#1000で15分間、粒度#1200で20分間、粒度#1500で30分間、それぞれ100rpmの回転速度で順に行った。
また湿式バフ研磨は、自動研磨機として“オートマックス”AMO−210を使用して、パン・クロス(不織布)で5分間、スェード・クロスで5分間、それぞれアルミナの研磨粒子を水で流しながら100rpmの回転速度で順に行った。鏡面研磨した試験片の研磨面を、光学顕微鏡を用いて、100倍で写真撮影・観察した。当該ポジ写真において黒く観察される部分をボイド部分と判定し、画像処理により成形品の断面積Saと、この黒く観察されるボイド部分の面積Svを計算し次式によりボイド率(%)を算出した。
ボイド率(%)=(Sv/Sa)×100 。
【0047】
[実施例1]
(強化繊維束)
東レ(株)製炭素繊維“トレカ”T700SC−12K(8000デシテックス、12000フィラメント)を、ポリアクリル酸ナトリウムの濃度0.6重量%の水系懸濁液中に浸漬し、その後、炭素繊維を取り出して240℃で3分間乾燥した。得られた炭素繊維束におけるポリアクリル酸ナトリウムの付着量は0.3重量%であった。
【0048】
(繊維強化樹脂組成物)
上記の炭素繊維束を15本、同一方向に引き揃え、厚み120μmのPPS樹脂フィルムを、引き揃えた炭素繊維束の上下面にサンドイッチするように積層し、320℃で15分間、圧力6MPaで加熱プレスし、長さ(繊維方向)200mm×幅70mmの一方向炭素繊維強化PPS樹脂プリプレグを作製した。炭素繊維の体積含有量は60%であった。
【0049】
(成形品)
上記の一方向炭素繊維強化PPS樹脂プリプレグを積層し、320℃で20分間、圧力6MPaで加熱プレスし、長さ(繊維方向)200mm×幅70mm×厚み1mmの一方向炭素繊維強化PPS樹脂成形品を作製した。
【0050】
[実施例2〜5、比較例1〜2]
集束成分の種類と濃度をそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に、炭素繊維束、繊維強化樹脂組成物および成形品を作製した。
【0051】
各実施例・比較例の内訳と評価結果を表1に示す。尚、各成分の詳細は次の通りである。
ポリアクリル酸ナトリウム:シグマアルドリッチジャパン(株)製試薬
トレハロース :東京化成(株)製試薬
ヒアルロン酸ナトリウム :ナカライテスク(株)製試薬
エポキシ系化合物 :ビスAエポキシ乳化物
【0052】
【表1】
Figure 2004353141
【0053】
各実施例ではRw、Rvが2以上であって、低い付着量でも繊維の取り扱い性が良好で、成形品のボイド率も低く、力学的特性も良好である。
【0054】
比較例1ではエポキシ系化合物を0.05%付着させているが、集束性が不十分であり、繊維の取り扱い性が悪くなった。
【0055】
比較例2では、エポキシ系化合物を5%付着させたもので、繊維の取り扱い性は良好であったが、成形品のボイド率が高く、力学的特性は低くなった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、強化繊維束としての取り扱い性や品質にも優れ、かつ複合材料としたときにも優れた力学特性を発現できる強化繊維束を提供することができる。

Claims (12)

  1. 強化繊維を集束成分により集束した強化繊維束であって、集束成分の吸水容量比Rvが2以上であることを特徴とする強化繊維束。
    ここで吸水容量比Rvは、
    Rv=V2/V1
    V1:絶乾時の体積
    V2:飽和吸水時の体積
    である。
  2. 強化繊維を集束成分により集束した強化繊維束であって、集束成分の吸水重量比Rwが2以上である強化繊維束。
    ここで吸水重量比Rwは、
    Rw=W2/W1
    W1:絶乾時の重量
    W2:飽和吸水時の重量
    である。
  3. 集束成分が吸水性高分子を10重量%以上含有する請求項1または2のいずれか記載の強化繊維束。
  4. 該吸水性高分子がポリアクリル酸骨格を有する請求項3記載の強化繊維束。
  5. 該吸水性高分子が糖骨格を有する請求項3記載の強化繊維束。
  6. 該吸水性高分子がアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩の中から選ばれる少なくとも1つの塩を形成している請求項3〜5のいずれか記載の強化繊維束。
  7. 集束成分がエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜6のいずれか記載の強化繊維束。
  8. 集束成分の付着量が強化繊維束に対して0.01〜8重量%である請求項1〜7のいずれか記載の強化繊維束。
  9. 該強化繊維が炭素繊維である請求項1〜8のいずれか記載の強化繊維束。
  10. 請求項1〜9のいずれか記載の強化繊維と熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなることを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
  11. 強化繊維が少なくとも一方向に連続的に配向したものであり、成形用である請求項10記載の繊維強化樹脂組成物。
  12. 請求項10または11記載の繊維強化樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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