JP2004352789A - 樹脂組成物及び成形物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂と、下記のポリエーテルアミドエラストマー(X)を50重量%以上含むポリアミド系エラストマーからなる樹脂組成物。
・ポリエーテルアミドエラストマー(X):
下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)を重合して得られる重合体である。
【化1】
(但し、x及びzは1〜20であり、yは4〜50を示す。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明の樹脂組成物は、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂と、ポリアミドをハードセグメントとし、ABA型トリブロックポリエーテルをソフトセグメントとするポリアミド系エラストマーとを含む樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物は、押出成形などのより成形物を得ることが出来る。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド樹脂の柔軟性や耐衝撃性を改良する目的で、アイオノマー樹脂や酸変性ポリオレフィン樹脂を配合することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポリアミド樹脂にエチレン−α,β−不飽和酸共重合体のアイオノマーを配合することが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特公昭55−41659号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
熱可塑性樹脂の柔軟性や耐衝撃性を改良する目的で、熱可塑性樹脂にエラストマー成分をブレンドすることが広く行われている。エラストマー成分により柔軟性や耐衝撃性は改良されるものの、溶融粘度がベースの熱可組成樹脂に比べ高くなる、あるいは高温高湿状態など過酷な条件では材料が劣化し使用を制限されるという問題があった。
【0006】
本発明は、ベースの熱可塑性樹脂の溶融粘度に影響を与えることなく成形性を変化させることなく、柔軟性や耐衝撃性を改良することができ、かつ耐加水分解性に優れた樹脂組成物の提供を目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂と、下記のポリエーテルアミドエラストマー(X)を50重量%以上含むポリアミド系エラストマーからなる樹脂組成物である。
・ポリエーテルアミドエラストマー(X):
下記式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)を重合して得られる重合体。
【0008】
【化5】
(但し、x及びzは1〜20であり、yは4〜50を示す。)
【0009】
本発明の好ましい態様を次に挙げる。
1:熱可塑性樹脂が、ポリアミドであり、さらに好ましくは脂肪族ポリアミドである。
2:熱可塑性樹脂が、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12及びナイロン612から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリアミドである。
3:熱可塑性樹脂95〜50重量%と、ポリアミド系エラストマー5〜50重量%を含む。
【0010】
4:ジカルボン酸化合物(C)が、下記式(2)で表される。
【化6】
(但し、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
5:ポリアミド形成性モノマー(B)が、アミノカルボン酸化合物、ラクタム化合物、或いはジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種の脂肪族、脂環族及び/又は芳香族を含むもの。
6:ポリアミド形成性モノマー(B)が、式(3)及び/又は式(4)で表される。
【化7】
(但し、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
【化8】
(但し、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表す。)
7:ジカルボン酸化合物(C)が、脂肪族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環族ジカルボン酸化合物である。
8:式(2)のmが1で、R1が炭素原子数1〜20のアルキレン基を含む。
9:式(3)のR2が、炭素原子数2〜20のアルキレン基を含む。
10:式(4)のR3が、炭素原子数3〜20のアルキレン基を含む。
11:ポリアミド系エラストマーにおいて、ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、式(1)からジアミン基を除く単位を15〜80重量%含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、下記のポリエーテルアミドエラストマー(X)を50重量%以上含むポリアミド系エラストマーからなる樹脂組成物である。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)を重合して得られる重合体である。
【化9】
(但し、x及びzは1〜20であり、yは4〜50を示す。)
【0012】
本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂95〜50重量%と、ポリアミド系エラストマー5〜50重量%を含むことが好ましく、
さらに熱可塑性樹脂90〜60量%と、ポリアミド系エラストマー10〜40重量%を含むことが好ましく、
特に熱可塑性樹脂85〜70重量%と、ポリアミド系エラストマー15〜30重量%を含むことが好ましい(熱可塑性樹脂とポリアミド系エラストマーの合計は100重量%である)。
【0013】
熱可塑性樹脂は、脂肪族ポリアミド、脂環族ポリアミド、芳香族ポリアミドなどを少なくとも一種含むポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなど又はこれらのマレイン酸などの変性物などのポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ASB樹脂などを挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、成形温度が好ましくは300℃以下、さらに好ましくは290℃以下、特に好ましくは280℃以下のものが好ましい。
【0014】
熱可塑性樹脂において、ポリアミドは、主鎖中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、脂肪族、脂環族及び/又は芳香族から選ばれる少なくとも一種を含むもの、或いは少なくとも二種を含む共重合体を含むものを用いることが出来る。
熱可塑性樹脂において、ポリアミドは、主鎖中に酸アミド結合(−CONH−)を有するものであり、脂肪族及び脂環族から選ばれる少なくとも一種の成分から得られる重合体、或いは少なくとも二種の成分から得られる重合体などの脂肪族或いは脂環族のポリアミドが好ましい。
特に熱可塑性樹脂は、脂肪族ポリアミドが好ましい。
【0015】
熱可塑性樹脂において、ポリアミドは、脂肪族、脂環族及び芳香族ポリアミド及びこれらの2種以上の混合物や共重合体物などを好ましく用いることができる。
熱可塑性樹脂において、ポリアミドは、脂肪族、脂環族及び/又は芳香族としては、ラクタム、アミノカルボン酸、またはジアミンとジカルボン酸との組合せから誘導されるポリアミドが挙げられる。
【0016】
ラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどを、アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができる。
【0017】
熱可塑性樹脂のポリアミドにおいて、ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミドの原料となるジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3/1,4−シクロヘキシルジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、1,3/1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、5−アミノ−2,2,4−トリメチル−1−シクロペンタンメチルアミン、5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、ノルボルナンジメチレンアミンなどの脂環式ジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等を挙げることができる。
【0018】
熱可塑性樹脂のポリアミドにおいて、ジアミンとジカルボン酸から誘導されるポリアミドの原料となるジカルボン酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3/1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキサンメタン−4,4’−ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4/1,8/2,6/2,7−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等を挙げることができる。
【0019】
熱可塑性樹脂のポリアミドにおいて、これらのポリアミドは、それぞれ単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。更に、2種以上の組合せからなる共重合ポリアミドを用いることができる。
【0020】
脂肪族ポリアミドとしては、例えば、ポリカプロアミド(ナイロン−6)、ポリアミノウンデカン酸(ナイロン−11)、ポリラウリルラクタム(ナイロン−12)、ポリヘキサメチレンジアミノアジピン酸(ナイロン−66)、ポリヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−610)、ポリヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−612)の如き重合体、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ナイロン−6/12)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ナイロン−6/11)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸共重合体(ナイロン−6/66)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/アミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム(ナイロン−6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸(ナイロン−6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカン二酸(ナイロン−6/66/612)などの(共)重合体などの脂肪族ポリアミドなどを挙げることが出来る。これらのポリアミド樹脂は、それぞれ単独で用いることもできるし、また2種以上を混合して用いることもできる。
熱可塑性樹脂は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12及びナイロン612から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ポリアミドが好ましい。
【0021】
ポリアミド系エラストマーは、公知のポリアミドエラストマーを用いることが出来る。
ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ナイロンからなるポリアミドブロックと、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる少なくとも1種のポリエーテルブロックとから構成されるエラストマーなどを用いることが出来る。
【0022】
ポリアミドエラストマーは、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックからなる熱可塑性エラストマーが好ましく、硬度(ショアD)は、好ましくは15〜70の範囲、さらに好ましくは18〜70の範囲、より好ましくは20〜70の範囲、特に好ましくは25〜70の範囲が好ましい。
【0023】
ポリアミドエラストマーの弾性率は、好ましくは20〜450MPa、さらに好ましくは20〜400MPa、より好ましくは20〜350MPa、特に好ましくは20〜300MPaが好ましい。
ポリアミドエラストマーは、破断伸びは600%以上が好ましい。
【0024】
本発明の樹脂組成物において、ポリアミド系エラストマーとしてポリエーテルアミドエラストマー(X)は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に90重量%以上含むことが好ましい。
【0025】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックからなるポリアミド系熱可塑性エラストマーである。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、式(1)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)に含まれる末端のカルボン酸及び/又はカルボキシル基と、末端のアミノ基とがほぼ等モルになるような割合が好ましい。
【0026】
特にポリエーテルアミドエラストマー(X)において、ポリアミド形成性モノマー(B)の一方の末端がアミノ基で、他方の末端がカルボン酸及び/又はカルボキシル基の場合、トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)のアミノ基と、ジカルボン酸化合物(C)のカルボン酸及び/又はカルボキシル基とがほぼ等モルになるような割合が好ましい。
【0027】
ABA型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)は、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコールなどの両末端に、プロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニアなどを反応させることによって製造されるポリエーテルジアミンなどを用いることが出来る。
【0028】
ABA型トリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)において、式(1)のx及びzは1〜20、好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜16、より好ましくは1〜14、特に好ましくは1〜12であり、
yは4〜50、好ましくは5〜45、さらに好ましくは6〜40、より好ましくは7〜35、特に好ましくは8〜30である。
【0029】
ポリアミド形成性モノマー(B)としては、アミノカルボン酸化合物、ラクタム化合物、或いはジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種の脂肪族、脂環族及び/又は芳香族を含むものを使用できる。
特に、ポリアミド形成性モノマー(B)としては、アミノカルボン酸化合物、ラクタム化合物、或いはジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩から選ばれる少なくとも一種の脂肪族、或いは脂環族からなるものが好ましい。
【0030】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、アミノカルボン酸化合物は、アミノ基と、カルボン酸或いはカルボキシル基を有する化合物を用いることが出来る。アミノカルボン酸化合物は、ω−アミノカルボン酸化合物が好ましく、さらに、式(3)で表される化合物が好ましい。
【0031】
式(3)で表される化合物において、
R2は、炭素原子数2〜20の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数2〜20を有するアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは炭素原子数3〜18の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数3〜18を有するアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜15の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数4〜15を有するアルキレン基であり、特に好ましくは炭素原子数5〜11の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数5〜11を有するアルキレン基を示す。
【0032】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、アミノカルボン酸化合物の具体例としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸のような炭素原子数5〜20の脂肪族ω−アミノカルボン酸などを挙げることが出来る。
【0033】
ラクタム化合物は、式(4)で表される化合物などを用いることが出来る。
式(4)で表される化合物において、R3は、炭素原子数3〜20の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数3〜20を有するアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは炭素原子数3〜18の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数3〜18を有するアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜15の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数4〜15を有するアルキレン基であり、特に好ましくは炭素原子数5〜11の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数5〜11を有するアルキレン基を示す。
【0034】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、ラクタム化合物の具体例としては、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−ウンデカラクタム、ω−ドデカラクタムのような炭素原子数5〜20の脂肪族ラクタム化合物などを挙げることが出来る。
【0035】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、ジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩において、ジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン及び芳香族ジアミン、或いはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジアミン化合物などを挙げることが出来、
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸、或いはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸などを挙げることが出来る。
特にジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩において、脂肪族ジアミン化合物と脂肪族カルボン酸化合物の組み合わせが好ましい。
【0036】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、ジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及びそれらの塩において、ジアミンとジカルボン酸のモル比(ジアミン/ジカルボン酸)は0.9〜1.1の範囲が好ましく、0.93〜1.07の範囲がさらに好ましく、0.95〜1.05の範囲がより好ましく、0.97〜1.03の範囲が特に好ましい。この範囲から外れると高分子量化しにくくなる場合がある。
【0037】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、ジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及び/又はそれらの塩において、
ジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルペンタメチレンジアミンなどの炭素原子数2〜20の脂肪族ジアミンなどのジアミン化合物を挙げることが出来る。
ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸のような炭素原子数2〜20の脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸化合物(C)を挙げることが出来る。
【0038】
ジカルボン酸化合物(C)としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸、或いはこれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のジカルボン酸などを挙げることが出来る。
ジカルボン酸化合物(C)としては、式(2)で表されるジカルボン酸化合物を用いることができる。ジカルボン酸化合物(C)は、脂肪族或いは脂環族のジカルボン酸化合物が好ましい。
【0039】
ジカルボン酸化合物(C)としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの炭素数2〜25の直鎖脂肪族ジカルボン酸、又は、トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数2〜500の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)及びこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸及び、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などを挙げることが出来る。
ダイマー酸及び水添ダイマー酸としては、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」などを用いることが出来る。
【0040】
式(2)で表される化合物において、mは0又は1を示し、mが1の場合、R1は炭素原子数1〜12の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数1〜12を有するアルキレン基が好ましく、さらに好ましくは炭素原子数2〜12の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数2〜12を有するアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数4〜12の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数4〜12を有するアルキレン基であり、特に好ましくは炭素原子数4〜10の炭化水素の分子鎖又は炭素原子数4〜10を有するアルキレン基を示す。
【0041】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)において、式(1)のジアミンの割合は、式(1)からジアミン基を除く単位を好ましくは15〜80重量%、さらに好ましくは15〜75重量%、より好ましくは18〜70重量%、特に好ましくは20〜60重量%が好ましい。
【0042】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造方法として、一例を挙げると、ポリアミド形成性モノマー(B)、ABA型トリブロックポリエーテルジアミン(A)及びジカルボン酸化合物(C)の3成分を同時に、加圧及び/又は常圧下で溶融重合し、又は必要に応じさらに減圧下で溶融重合する工程からなる方法を用いることが出来る。製造に当たり原料の仕込む方法に特に制限はないが、ポリアミド形成性モノマー(B)、ABA型トリブロックポリエーテルジアミン(A)及びジカルボン酸化合物(C)の仕込み割合は、それぞれ全成分に対してポリアミド形成性モノマー(B)は10〜95重量%が好ましく、15〜90重量%が特に好ましい。原料のうち、ABA型トリブロックポリエーテルジアミン(A)及びジカルボン酸化合物(C)は、ABA型トリブロックポリエーテルジアミン(A)のアミノ基とジカルボン酸化合物(C)のカルボキシル基がほぼ等モルになるように仕込むことが好ましい。
【0043】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)の製造は、重合温度が好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは160〜280℃、特に好ましくは180〜250℃で行うことが出来る。
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、ポリアミド形成性モノマー(B)としてω−アミノカルボン酸を使用する場合、常圧溶融重合又は常圧溶融重合とそれに続く減圧溶融重合での工程からなる方法で製造することができる。
一方、ポリアミド形成性モノマー(B)としてラクタム、又はジアミンとジカルボン酸から合成されるもの及び/又はそれらの塩を用いる場合には、適量の水を共存させ、0.1〜5MPaの加圧下での溶融重合とそれに続く常圧溶融重合及び/又は減圧溶融重合からなる方法で製造することができる。
【0044】
ポリエーテルアミドエラストマー(X)は、回分式でも、連続式でも製造することができ、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置などを単独であるいは組み合わせて製造することができる。
【0045】
ポリアミド系エラストマー及びポリエーテルアミドエラストマー(X)は、相対粘度(ηr)が1.2〜3.5(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃)が好ましい。
【0046】
本発明の樹脂組成物は、その特性が阻害されない範囲で、耐熱剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、スリップ剤、結晶核剤、粘着性付与剤、シール性改良剤、防曇剤、離型剤、可塑剤、顔料、染料、香料、難燃剤、補強材、導電性フィラーなどを添加することができる。
【0047】
本発明の樹脂組成物において、熱可塑性樹脂は、ポリアミドを主体とすることが好ましく、ポリアミドを除く他の熱可塑性樹脂、エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0048】
本発明の樹脂組成物は、溶融成形性に優れ、成形加工性に優れ、強靭性に優れ、耐衝撃性に優れ、耐加水分解性などに優れている。
【0049】
本発明の樹脂組成物において、樹脂組成物を得る方法は特に制限されるものではなく、公知の種々の方法を用いることができる。例えば、ポリアミドとポリアミド系エラストマー、或いは必要に応じて各種の添加剤の所定量を、V型ブレンダー、タンブラーなどの低速回転混合機やヘンシェルミキサーなどの拘束回転混合機を用いてあらかじめ混合した後、一軸押出機、二軸押出機などで溶融混練後ペレット化する方法や、ポリアミドとポリアミド系エラストマー、或いは必要に応じて各種の添加剤の所定量を、低速回転混合機やヘンシェルミキサーなどの拘束回転混合機を用いてあらかじめ混合した後、射出成形機や押出成形機を用いて直接、樹脂組成物の成形品を得る方法が適用できる。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、スポーツシューズ材、スキー板の表面材、機械・電気精密機器のギア・コネクタ・シール、自動車用モール、シール材、各種チューブ・ホース、シート、フィルム、モノフィラメント、自動車用ミラーブーツ、等速ジョイントブーツなどに用いることができる。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、加水分解後の破断伸び保持率が90%以上であることが好ましい。
【0052】
本発明の樹脂組成物は、押出成形、射出成形などの公知の成形法を用いて、チューブ、フィラメント、シート、フィルムなどの成形物を製造することが出来る。
【0053】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
特性値は次のようにして測定した。
【0054】
1)相対粘度(ηr)(0.5重量/容量%メタクレゾール溶液、25℃):
試薬特級品のm−クレゾールを溶媒として、5g/dm3の濃度で、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
【0055】
2)曲げ試験(曲げ弾性率):
試験片寸法6.35mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM D790に準拠して測定した。
【0056】
3)衝撃強度(アイゾットノッチ付):
試験片寸法3.18mm×12.7mm×127mmの試験片を用いてASTM
D256に準拠し、23℃で測定した。
【0057】
4)メルトフローレート:
ペレットを使用し、温度235℃、荷重2160gの条件で測定した。
【0058】
5)耐加水分解性:
射出成形により成形した100mm×300×厚さ2mmの板からJIS3号ダンベルを用いて切り出した試料を重ならないように、容量5リットルのステンレス容器に入れ、約2リットルの蒸留水を入れてふたをして密閉状態にした後80℃の湯浴中に入れた。2000時間処理後に試験片を取り出し表面の水分を除去した後、引張試験機を用い、チャック間距離50mmで挟み、500mm/minの速度で引張試験を行い、引張破断伸びを測定した。加水分解処理していない試験片の測定を行い、下記数式(1)より引張破断伸びの保持率を計算した。
【数1】
【0059】
[製造例1:PAE1の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸11.000kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)7.787kg及びアジピン酸1.122kg及びを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で6時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーはポリエーテルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr2.14であった。
【0060】
[製造例2:PAE2の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に宇部興産(株)製12−アミノドデカン酸7.000kg、ABA型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製、商品名:XTJ−542)11.380kg及びアジピン酸1.620kg及びを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/分で供給しながら徐々に加熱を行った。3時間かけて室温から230℃まで昇温し、230℃で6時間重合を行った。加熱を始めてから容器内の圧力は0.05MPaに調整した。次に、攪拌を停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーはポリエーテルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr2.14であった。
【0061】
[製造例3:PAE3の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産(株)製)12.600kg及びアジピン酸0.944kg(試薬特級)を仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1000)6.457kg、テトラブチルジルコネート0.020kg及び酸化防止剤(吉富製薬製、商品名:トミノックス917)0.050kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーはポリエーテルエステルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=2.09であった。
【0062】
[製造例4:PAE4の製造]
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた70リットルの圧力容器に12−アミノドデカン酸(宇部興産(株)製)9.800kg及びアジピン酸0.766kg(試薬特級)を仕込んだ。容器を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱した。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から240℃まで昇温し、230℃で4時間重合を行い、ナイロン12のオリゴマーを合成した。
このオリゴマーにポリテトラメチレングリコール(BASF社製、PolyTHF1800)9.434kg、テトラブチルジルコネート0.020kg及び酸化防止剤(吉富製薬製、商品名:トミノックス917)0.050kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換した後、窒素ガスを流速300リットル/時で供給しながら徐々に加熱を行った。攪拌は速度20rpmで行った。3時間かけて室温から210℃まで昇温し、210℃で3時間加熱し、次に徐々に減圧を行い、1時間かけて50Paとし、2時間重合を行った後、さらに30分かけて昇温、減圧を行い、230℃、約30Paで3時間重合を行い終了した。次に、攪拌を停止し、重合層内に窒素ガスを供給し圧力を常圧に戻した。次にポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明のポリマーを紐状に抜き出し、水冷した後、ペレタイズして、約13kgのペレットを得た。
得られたポリマーは、ポリエーテルエステルアミドであり、ペレットは白色強靭でゴム弾性に富む柔軟なポリマーであり、ηr=1.96であった。
【0063】
[実施例1〜3、比較例1〜3]
表1に示した割合の混合物を、シリンダー径40mmの二軸混練機を用い、240℃で溶融混練して、ストランド状に押出、水槽で冷却した後ペレタイザーを用いペレットを作成した。ナイロン12は宇部興産(株)製ナイロン12 3020Uを用いた。
【0064】
[実施例4]
実施例1に示す組成物を用いて、Plabor製チューブ成形機にて、チューブ状に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、内径6mm、外径8mmのチューブを得た。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、ベースの熱可塑性樹脂の溶融粘度に影響を与えることなく成形性を変化させることなく、柔軟性や耐衝撃性を改良することができ、かつ耐加水分解性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
本発明の樹脂組成物は、強靭性、溶融成形性、低温柔軟性、耐衝撃性に優れ、かつ耐加水分解性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂が、ポリアミドであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 樹脂組成物が、熱可塑性樹脂95〜50重量%と、ポリアミド系エラストマー5〜50重量%を含む樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- ジカルボン酸化合物(C)が、脂肪族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環族ジカルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜6に記載の樹脂組成物からなる成形物。
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