JP2004352521A - 重質油燃焼灰の処理方法 - Google Patents

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賢二 野崎
Keiichi Miura
啓一 三浦
Kazuhiro Kidoguchi
和浩 木戸口
Saburo Hara
三郎 原
Masami Ashizawa
正美 芦澤
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Abstract

【課題】重質油燃焼灰から、バナジウム、鉄等の有用物を、簡易な設備と低いコストで、しかも高純度及び高い回収率で効率的に回収することのできる重質油燃焼灰の処理方法を提供する。
【解決手段】バナジウム及び鉄を含む重質油燃焼灰と、硫酸等の水溶液とを混合して、酸性スラリーを得た後、この酸性スラリーを固液分離して、バナジウム及び鉄を含む液分、及び固形分を得る工程と、得られた液分に対し、必要に応じて酸を添加して、pHを3以下に調整した後、この液分と、鉄抽出溶媒とを混合して、液分中の鉄を鉄抽出溶媒に抽出する工程と、鉄除去後の液分に対して、アルカリ化剤を添加してpHを8〜10に調整した後、酸化剤を加えて、液分中のバナジウムを酸化する工程と、得られた液分と、バナジウム抽出溶媒とを混合して、液分中のバナジウムをバナジウム抽出溶媒に抽出する工程とからなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重質油燃焼灰から効率的にかつ高い純度でバナジウム、鉄等の有用物を回収するための重質油燃焼灰の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年開発された火力発電システムであるガス化複合発電システムや、各種プラントのボイラー等において、燃料として、重油等の重質油を用いることが多い。
この重質油は、燃焼させると、多量の燃焼灰を生じる。この重質油燃焼灰は、燃焼炉の炉底や、煙道等から回収され、その大部分が埋め立て処分されている。しかし、重質油燃焼灰には、バナジウム等の有用物が含まれており、環境汚染の防止、廃棄物の量の削減、及び資源の有効利用等の観点から、これら有用物を回収して再資源化することが求められている。
そのため、従来より、重質油燃焼灰から、バナジウム等の有用物を回収して再資源化する方法が、種々提案されている。
【0003】
例えば、重油灰に水を加えてスラリーとした後、このスラリーに対して、pHの調整や、所定の薬剤の添加等の処理を行なって、鉄分を含有する析出物や、バナジウム分を含有する析出物や、ニッケル硫化物等を回収する技術が、提案されている(特許文献1参照)。
また、石油系燃料の燃焼灰に水を加えてスラリーとした後、このスラリーに対して、pHの調整や、所定の薬剤の添加等の処理を行なって、鉄スラッジや、バナジウム化合物や、ニッケル及びマグネシウムの水酸化物等を回収する技術が、提案されている(特許文献2参照)。
さらに、石油系燃焼灰を水性スラリーとして固液分離した後、その溶液(濾液)からバナジウム化合物を抽出し、固形分からは、バナジウム、ニッケル、石膏、マグネシウムを回収し、さらには、処理工程で使用したアンモニアを再利用する技術が、提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−46930号公報(第1頁の特許請求の範囲)
【特許文献2】
特公平05−13718号公報(第1頁の特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開2002−166244(第2頁の特許請求の範囲)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1及び特許文献2に記載の処理方法は、何れも、液部を70℃以上に加温する工程等を含むため、熱源及び温度調整手段が必要であることに加えて、強酸性下での加温による浸出槽等の腐蝕が懸念される。また、これらの処理方法は、酸性の液部をアルカリ性に変化させ、かつ酸化剤を添加した後に、再び酸性に戻すなど、液性(pH)の調整が煩雑である。さらに、これらの処理方法は、液温の変化によってバナジウム化合物を析出させるため、液部に含まれるバナジウムの濃度が高い場合には、バナジウムの回収率が小さくなるなどの問題がある。
【0006】
一方、特許文献3に記載の処理方法は、上述の特許文献1や特許文献2の問題点が解消されているものの、燃焼灰中に鉄を含む場合に、鉄を回収する工程を有していないため、有用物である鉄を再資源化することができない。
ここで、水性スラリーのpHを調整して、水酸化鉄を回収しようとしても、水酸化鉄と共にバナジウム化合物も沈澱するため、鉄とバナジウムを分離して回収することはできない。
また、特許文献3に記載の処理方法は、固液分離後の固形分及び溶液の各々に対して、バナジウム抽出操作等の工程が必要であるため、工程の数が多く、工程の簡素化の余地があると考えられる。
そこで、本発明は、重質油燃焼灰から、バナジウム、鉄等の有用物を、簡易な設備と低いコストで、しかも高純度及び高い回収率で効率的に回収することのできる重質油燃焼灰の処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、重質油燃焼灰を酸性スラリーとする工程と、バナジウムを抽出するための工程との間に、鉄抽出溶媒を用いた鉄抽出工程を設けることによって、設備の複雑化や高コスト化を招くことなく、重質油燃焼灰に含まれているバナジウム及び鉄を、高純度及び高い回収率で効率的に分別して回収することができること等に想到し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明(請求項1)の重質油燃焼灰の処理方法は、(A)バナジウム及び鉄を含む重質油燃焼灰と、水または酸性水溶液(例えば、硫酸や塩酸等を含む水溶液)とを混合して、酸性スラリーを得た後、該酸性スラリーを固液分離して、バナジウム及び鉄を含む液分、及び固形分を得るスラリー化工程と、(B)前記バナジウム及び鉄を含む液分に対し、必要に応じて酸(例えば、硫酸、塩酸等)を添加して、pHを3以下に調整した後、該液分と、鉄抽出溶媒とを混合して、前記液分中の鉄を前記鉄抽出溶媒に抽出する鉄抽出工程と、(C)前記工程(B)を経た前記液分に対して、アルカリ化剤(例えば、アンモニア、苛性ソーダ等)を添加してpHを8〜10に調整した後、酸化剤(例えば、空気、過酸化水素等)を加えて、前記液分中のバナジウムを酸化するバナジウム酸化工程と、(D)前記工程(C)を経た前記液分と、バナジウム抽出溶媒とを混合して、前記液分中のバナジウムを前記バナジウム抽出溶媒に抽出するバナジウム抽出工程とを含むことを特徴としている。
本発明の処理方法は、スラリー化工程(A)の次工程として、鉄抽出溶媒を用いた鉄抽出工程(B)を含むため、バナジウム及び鉄を高純度及び高い回収率で効率的に分別して回収することができる。
【0009】
本発明の処理方法は、前記工程(A)において、前記重質油燃焼灰100質量部当たりの前記水または酸性水溶液の配合量を100〜2,000質量部に定めることが好ましい(請求項2)。
水または酸性水溶液の配合量をこの数値範囲内とすれば、バナジウム、鉄等の有用物の大部分を、工程(A)における固液分離後の液分中に浸出させることができ、これら有用物の回収工程を単一化することができるなどの利点がある。
【0010】
本発明の処理方法は、前記重質油燃焼灰がニッケルを含むものであって、前記工程(D)の前工程または後工程として、(E)前記液分と、ニッケル抽出溶媒とを混合して、前記液分中のニッケルを前記ニッケル抽出溶媒に抽出するニッケル抽出工程、を含むように構成することができる(請求項3)。
このように構成すれば、バナジウム及び鉄に加えて、ニッケルを高純度及び高い回収率で効率的に回収することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の重質油燃焼灰の処理方法を詳細に説明する。図1は、本発明の重質油燃焼灰の処理方法の一例を示すフロー図である。
本発明の重質油燃焼灰の処理方法は、(A)重質油燃焼灰と、水または酸性水溶液とを混合して、酸性スラリーを得た後、この酸性スラリーを固液分離して、バナジウム及び鉄を含む液分、及び固形分を得るスラリー化工程と、(B)工程(A)を経た液分に対し、必要に応じて酸を添加して、pHを3以下に調整した後、この液分と、鉄抽出溶媒とを混合して、当該液分中の鉄を鉄抽出溶媒に抽出する鉄抽出工程と、(C)工程(B)を経た液分に対して、アルカリ化剤を添加してpHを8〜10に調整した後、酸化剤を加えて、この液分中のバナジウムを酸化するバナジウム酸化工程と、(D)工程(C)を経た液分と、バナジウム抽出溶媒とを混合して、当該液分中のバナジウムをバナジウム抽出溶媒に抽出するバナジウム抽出工程と、(E)工程(D)を経た液分と、ニッケル抽出溶媒とを混合して、当該液分中のニッケルをニッケル抽出溶媒に抽出するニッケル抽出工程と、(F)工程(E)を経た液分に対して、CaO源を添加して、石膏及び水酸化マグネシウムを含む固体分(ただし、水酸化マグネシウムの生成量が微量であることもある。)を生成させた後、必要に応じて、石膏と水酸化マグネシウムの沈降速度の相違を利用して、石膏と水酸化マグネシウムを分別して回収する石膏・マグネシウム回収工程とからなるものである。
【0012】
なお、本発明の処理方法においては、工程(D)の前に工程(E)を設けてもよい。また、工程(E)及び工程(F)の一方または両方は、重質油燃焼灰の成分組成や、使用する薬剤の種類等によっては省略することもできる。例えば、重質油燃焼灰に含まれるニッケルの含有量が少ない場合には、工程(E)を省略してもよい。
【0013】
[(A)スラリー化工程]
本工程は、重質油燃焼灰を酸性スラリーとした後、固液分離する工程である。
本工程では、まず、重質油燃焼灰と、水または酸性水溶液とを混合して、酸性スラリーを得る。
ここで、重質油燃焼灰とは、重質油の燃焼によって発生する灰をいう。重質油の具体例としては、重油、石油残渣油、オリマルジョン等が挙げられる。
重質油燃焼灰は、例えば、ボイラーで重質油を燃焼させて生じる燃焼排ガスに対し、電気集塵機やバグフィルター等の集塵手段で集塵した灰や、ガス化複合発電の燃料として重質油を燃焼させた後に残る灰等として得られるものである。
なお、本発明においては、定期修理の時に熱分解炉から取り出されるスラグも、重質油燃焼灰と共に処理することができる。
【0014】
酸性水溶液としては、例えば、硫酸や塩酸等の酸の水溶液が挙げられる。酸の濃度は、例えば、0.1モル/リットル以上である。
水または酸性水溶液の配合量は、重質油燃焼灰100質量部当たり、好ましくは100〜2,000質量部、より好ましくは200〜1,000質量部、特に好ましくは300〜800質量部である。該使用量が100質量部未満では、固液分離後の固形分に残存するバナジウム等の有用物の量が多くなり、これら有用物の回収率が低くなることに加えて、固形分に付着する塩類等の量が多くなるため、固形分をセメント原料等として用いるに際して、固形分を十分に洗浄しなければならなくなるなどの問題がある。該使用量が2,000質量部を超えると、酸性スラリーを固液分離して得られる液分の量が多くなるため、後工程において大容量の処理槽を用いる必要が生じたり、pH調整用に多量の薬剤を必要とするなどの問題がある。
【0015】
酸性スラリーは、pHを3以下、好ましくは0.3〜1.5に調整しておけば、バナジウム等の浸出率が高くなるとともに、次工程でpH調整を行なう必要がなくなるので、好都合である。
pH調整用の酸としては、例えば、硫酸、塩酸等が挙げられる。
なお、重質油燃焼灰と水とを混合した場合、得られるスラリーのpHは、通常、0.1〜7程度である。
酸性スラリーは、濾過等によって固液分離し、固形分と液分とに分離する。
このうち、固形分は、例えば、珪素、アルミニウム、カルシウム、鉄等の成分を含むものであり、セメント原料等として用いられる。本工程におけるスラリー化に際して、上述の好ましい配合量の水または酸性水溶液を用いた場合、固形分は、比較的多量の水を含むスラリーを固液分離して得られるので、バナジウム等の有用物の含有量が少なく、固液分離して得られる液分の処理工程とは別にバナジウム等の除去処理を行なわなくてもよい。
【0016】
[(B)鉄抽出工程]
本工程は、工程(A)で得られた液分と、鉄抽出溶媒とを混合して、鉄を抽出した後、さらに、鉄を含む鉄抽出溶媒に対して、逆抽出等の操作を加えて、水酸化鉄を得る工程である。
本工程では、まず、工程(A)で得られた液分に対し、必要に応じて酸を添加して、液分のpHを3以下、好ましくは0.3〜1.5に調整する。pHをこの数値範囲内に調整することによって、高純度及び高い回収率で鉄を回収することができる。
ここで、pH調整用の酸としては、硫酸、塩酸等が挙げられる。なお、pH調整用の酸として硫酸を用いた場合、硫酸イオンは、後工程の石膏・マグネシウム回収工程(F)で石膏として回収することができる。
【0017】
pHを調整した後、この液分と鉄抽出溶媒とを混合して、液分中の鉄を鉄抽出溶媒に抽出する。
ここで、鉄抽出溶媒としては、例えば、D2EHPA(ジ−(2−エチルヘキシル)リン酸)等のジアルキルリン酸を含有する有機溶媒等が挙げられる。
鉄を抽出した鉄抽出溶媒は、pH1以下の酸溶液(通常、硫酸または塩酸の水溶液)からなる逆抽出液と混合して、鉄を逆抽出する。その後、逆抽出液に苛性ソーダを添加して、pHを6〜13、好ましくは8〜11に調整すると、液中の鉄が水酸化鉄となり、固体分として回収することができる。なお、鉄抽出溶媒は、逆抽出液と混合処理された後、逆抽出液と分離され、鉄の抽出に再利用し、以後、循環して使用することができる。
【0018】
本工程を設けることによって、次の利点がある。
第一に、酸性スラリーを固液分離した後の液分に、アンモニアや苛性ソーダの如きアルカリ化剤を加えて、pHを弱アルカリ性領域に調整した場合には、バナジウム及び鉄が共に沈澱物となるため、鉄のみを分別して回収することができなくなる。この点、本工程によれば、バナジウムを混入させることなく、鉄のみを回収することができる。
第二に、鉄の回収のために他の方法を用いた場合には、処理工程が複雑化したり、多量の薬剤を必要とするなど、処理に要する設備面及びコスト面での負担が増大する。この点、本工程によれば、簡易な設備及び循環使用可能な媒体(鉄抽出溶媒)を用いて、効率的にかつ高い回収率で鉄を回収することができる。
【0019】
[(C)バナジウム酸化工程]
本工程は、工程(B)を経た液分(鉄が除去されたもの)に対して、pHの調整と酸化剤の添加を行なうことによって、液分中のバナジウムを酸化する工程である。
本工程では、まず、工程(B)を経た液分(Feラフィネート溶液)に対して、アルカリ化剤を添加して、pHを8〜10に調整する。pHが8未満であると、次の処理で酸化剤を多量に必要とし、pHが10を超えると、次工程におけるバナジウムの抽出量(回収率)が少なくなるので、好ましくない。
ここで、アルカリ化剤としては、例えば、アンモニア、苛性ソーダ等が挙げられる。なお、アンモニアを用いる場合、液中のバナジウム濃度が大きいと、次工程でのバナジウムの抽出に要する時間が長くなったり、抽出率が低下するので、液中のバナジウム濃度が3,000ppm以下になるように希釈した後に、pHを調整することが望ましい。
【0020】
pHを調整した後、液分(Feラフィネート溶液)に酸化剤を加えて、液分中のバナジウムを酸化する。
ここで、酸化剤としては、例えば、酸素(空気でもよい)、過酸化水素、次亜塩素酸ソーダ等が挙げられる。
バナジウムは、酸化剤の添加によって、3価または4価から5価へと酸化される。3価及び4価のバナジウムは、pHが弱アルカリ性領域(8〜10)であると、沈澱物を生じるので、次工程でのバナジウム抽出溶媒を用いた回収に適さない。5価のバナジウムは、pHが弱アルカリ性領域であっても沈澱物を生じないので、次工程でバナジウム抽出溶媒によって容易に抽出される。
【0021】
[(D)バナジウム抽出工程]
本工程は、工程(C)を経た液分と、バナジウム抽出溶媒とを混合して、バナジウムを抽出し、さらに、バナジウムを含むバナジウム抽出溶媒に対して、逆抽出等の操作を加えて、バナジウム含有化合物(バナジン酸アンモニウム)を得る工程である。
本工程では、まず、工程(C)を経た液分(5価のバナジウムを含むもの)と、バナジウム抽出溶媒とを混合して、液分中の5価のバナジウムをバナジウム抽出溶媒に抽出する。
【0022】
ここで、バナジウム抽出溶媒としては、例えば、キレート剤であるトリカプリリル・メチル・アンモニウム・クロライド(Tricaprylyl Methyl Ammonium Chloride)をケロシンで5容量%の濃度に希釈してなる有機溶媒等が挙げられる。
抽出手段としては、ミキサーセトラー等を用いることができる。
抽出操作の例としては、5価のバナジウムを含む液分と、バナジウム抽出溶媒とを容量比で1:1の割合で混合し、液性を中性(pH=7.5程度)に保つ方法等が挙げられる。
【0023】
抽出操作の終了後、バナジウムを含むバナジウム抽出溶媒を、バナジウムが除去された液分から分離し、次いで、バナジウム抽出溶媒と逆抽出液(水相)とを混合して、バナジウム抽出溶媒中のバナジウムを逆抽出液(水相)に移行させる。
ここで、逆抽出液としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、苛性ソーダ、硝酸、塩酸、硫酸からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液が挙げられる。
より具体的には、例えば、塩化アンモニウムとアンモニア水(NHOH)とを3:1(質量比)で混合してなる混合液等が挙げられる。
【0024】
逆抽出操作の終了後、バナジウムを含む逆抽出液にアンモニア水を加えて、pHを9前後に調整すれば、メタバナジン酸アンモニウムが生成して沈澱する。この沈澱物は、濾過して固形分として回収することができる。なお、メタバナジン酸アンモニウムを短時間で析出させるために、液温を75℃程度に加熱してもよい。
メタバナジン酸アンモニウムを濾別した後の濾液は、バナジウムを含まない逆抽出液として、逆抽出操作に再利用し、以後、循環して使用することができる。
回収したメタバナジン酸アンモニウムは、乾燥または加水分解すると、バナジン酸アンモニウムとなる。
一方、逆抽出液から分離したバナジウム抽出溶媒は、バナジウムが除去されているので、工程(C)を経た液分中のバナジウムを抽出する操作に再利用し、以後、循環して使用することができる。
【0025】
[(E)ニッケル抽出工程]
本工程は、工程(B)を経た鉄が除去された液分と、ニッケル抽出溶媒とを混合して、ニッケルを抽出し、さらに、ニッケルを含むニッケル抽出溶媒に対して、逆抽出等の操作を加えて、硫酸ニッケルを得る工程である。
本工程は、バナジウム抽出工程の前と後のいずれに設けてもよい。
ニッケル抽出溶媒としては、例えば、バーサチック酸や、キレート剤である2−ヒドロキシ−5−ノニルアセトフェノン−オキシム(2−Hydroxy−5−Nonylacetophenone−Oxime)をケロシンで10容量%の濃度に希釈したものや、リン酸系抽出剤等が挙げられる。
【0026】
このうち、バーサチック酸は、工程(C)のアルカリ化剤がアンモニアである場合に、好ましく用いられる。この場合、バーサチック酸を用いることによって、マグネシウム等を混入させずにニッケルのみを効率良く抽出することができる。
バーサチック酸によるニッケルの抽出は、液分のpHを弱アルカリ性、好ましくはpH7.5〜11に調整して行なうことが望ましい。バーサチック酸の濃度は、好ましくは5容量%以上、より好ましくは10容量%以上である。
【0027】
抽出操作後、ニッケルを含むニッケル抽出溶媒は、ニッケルが除去された液分と分離した後、希硫酸と混合して洗浄される。この洗浄によって、ニッケル抽出溶媒中にニッケルと共に抽出されたマグネシウムが、希硫酸中に洗い出される。この洗浄は、セトラー部にて、pH2〜7のpH条件で、0.1〜100g/リットルの濃度の硫酸を用いて行なうことが望ましい。特に、0.01〜5g/リットル、好ましくは0.1〜2g/リットルの希硫酸を用いることによって、ニッケルをニッケル抽出溶媒中に残したまま、マグネシウムのみを選択的に希硫酸中に洗い出すことができる。
洗浄によって得られたマグネシウムを含む希硫酸は、上述のニッケルが除去された液分と共に、石膏・マグネシウム回収工程に導かれる。なお、マグネシウムを洗い出す際の希硫酸の液量は、ニッケル抽出溶媒(有機相)に対して容積比で1/100〜1/5程度でよい。
【0028】
希硫酸で洗浄したニッケル抽出溶媒は、マグネシウムが除去されてニッケルのみを含むものであり、さらに、濃硫酸によるニッケルの逆抽出が行なわれる。すなわち、ニッケルを含むニッケル抽出溶媒と、濃硫酸とを混合し、この濃硫酸中にニッケルを逆抽出する。この逆抽出は、pH1以下の酸性下で行なわれる。なお、濃硫酸としては、50〜300g/リットル程度の濃度を有する硫酸を用いるのがよい。
【0029】
逆抽出後、ニッケル抽出溶媒と濃硫酸とを分離する。得られたニッケル抽出溶媒は、ニッケルが除去されており、ニッケル抽出用の溶媒として、本工程の最初の操作に戻して再利用し、以後、循環して使用することができる。
一方、濃硫酸には、逆抽出したニッケルが硫酸ニッケルの形で含まれている。
濃硫酸中の硫酸ニッケルを析出させる方法としては、(a)濃硫酸を減圧下で30〜80℃程度に加熱して、水分を蒸発させて濃縮することによって、硫酸ニッケルを析出させる方法や、(b)濃硫酸を硫酸ニッケルの溶解度以下に冷却して、硫酸ニッケルを析出させる方法等が挙げられる。
析出した硫酸ニッケルを濾過して回収し、乾燥すれば、硫酸ニッケルの粉粒体を得ることができる。この濾液(ニッケルが除去された濃硫酸)は、逆抽出の操作に戻して再利用し、以後、循環して使用することができる。
【0030】
[(F)石膏・マグネシウム回収工程]
本工程は、バナジウム(及びニッケル)を抽出した後の液分(ラフィネート溶液)に対して、CaO源を添加して、石膏(CaSO・2HO)及び水酸化マグネシウムを含む固体分を生成させた後、石膏と水酸化マグネシウムの沈降速度の相違を利用して、石膏と水酸化マグネシウムを分別して回収する工程である。
なお、重質油燃焼灰中のマグネシウムの含有量が少ない場合には、石膏と水酸化マグネシウムを分別して回収する操作を省略してもよい。
本工程で用いられるCaO源としては、例えば、消石灰(水酸化カルシウム)、生石灰、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0031】
本工程の具体的手段の一例としては、ラフィネート溶液が貯留されかつCaO源が添加される晶析槽と、晶析槽の上部から供給路を介して晶析槽内の懸濁液が供給される第一の液体サイクロンと、第一の液体サイクロンの上部から供給路を介して第一の液体サイクロン内の懸濁液が供給される第二の液体サイクロンと、第二の液体サイクロンの上部から供給路を介して第二の液体サイクロン内の懸濁液が供給される固液分離手段とを備えたものが挙げられる。
ここで、晶析槽の槽底には、晶析槽内で生成して沈澱した石膏を抜き出すための石膏回収手段が設けられている。また、第一及び第二の液体サイクロンの下部には、これら液体サイクロン内の下部の凝集物(石膏及び水酸化マグネシウムを含むもの)を抜き出して、晶析槽に戻すための凝集物返送手段が設けられている。
【0032】
この例において、ラフィネート溶液は、次のように処理される。まず、鉄、バナジウム等が除去された液分であるラフィネート溶液と、消石灰の如きCaO源を含むスラリーとを、晶析槽内に供給して、均一に撹拌し、オーバーフローした後に、槽底の沈澱物(石膏)を石膏回収手段によって抜き出す。抜き出した沈澱物を固液分離して、固体分である石膏と、液分とを得る。液分は、次工程のアンモニア回収工程(G)に送られる。
【0033】
一方、晶析槽の上部の懸濁液を、供給路を介して第一の液体サイクロンに導き、分級した後、当該サイクロンの下部に集まった凝集物を晶析槽に戻す。この凝集物は、概ね平均粒径20〜80μm、大部分が平均粒径50μmの粒子であり、石膏を主体とし一部に水酸化マグネシウムを含むものである。
次いで、第一の液体サイクロンの上部の懸濁液を、供給路を介して第二の液体サイクロンに導き、微分級した後、当該サイクロンの下部に集まった凝集物の一部を第一の液体サイクロンに戻し、残部を晶析槽に戻す。この凝集物は、平均粒径約2〜20μm、大部分が平均粒径約15μmの粒子であり、石膏を主体とし一部に水酸化マグネシウムを含むものである。
【0034】
さらに、第二の液体サイクロンの上部の懸濁液を、供給路を介して固液分離手段に導き、固液分離することにより、平均粒径約2μm程度の水酸化マグネシウム(濃度:約90質量%以上)を回収することができる。固液分離後の液分は、次工程のアンモニア回収工程(G)に送られる。
なお、本発明の処理対象液(ラフィネート溶液)は、重質油系燃焼灰中の硫安分に由来するアンモニアや、pH調整で用いたアンモニアを含むので、本工程で石膏及び水酸化マグネシウムを除去した後、アンモニア回収工程(G)でアンモニア(アンモニウムイオン)の除去処理を行なう。
【0035】
[(G)アンモニア回収工程]
本工程は、石膏及び水酸化マグネシウムを除去した後の液分から、アンモニアを回収する工程である。
アンモニア回収工程の具体的手段の一例としては、蒸留塔と冷却器(コンデンサー)を組み合わせたものが挙げられる。この例においては、まず、前工程で石膏及び水酸化マグネシウムを除去した液分を、蒸留塔に導き、約110℃に加熱してアンモニアを蒸発させる。この際、液分を構成する水の一部は、アンモニアと共に蒸発するが、大部分は蒸発せずに塔内に残る。蒸発したアンモニアガスは、冷却器に導かれ、凝縮してアンモニア水になる。このアンモニア水、及び、凝縮せずにガスとして残ったアンモニアを回収することによって、アンモニアの回収が完了する。一方、アンモニアが除去された液分は、系外に排出される。
【0036】
[(H)排水処理工程(H)]
バナジウム等を除去した後の液分中の硫酸分(硫黄酸化物)、マグネシウム、アンモニア等の含有量が少ない場合には、CaO源の添加等による処理を行なわずに、一般的な排水処理方法を採用することができる。一般的な排水処理方法としては、例えば、▲1▼水酸化物法、▲2▼硫黄化合物による難溶性塩の生成法、▲3▼フェライト生成−磁気分離法、▲4▼イオン交換法、▲5▼鉄粉法等が挙げられる。これらの方法のうち、1つまたは2つ以上を組み合わせて用いて、排水処理を行なうことができる。
【0037】
以上の工程(A)〜(H)は、ニッケル抽出工程(E)中の硫酸ニッケルの濃縮操作、及び、アンモニア回収工程(G)中のアンモニアの蒸発操作を除いて、全て、5〜50℃の温度範囲、好ましくは常温で行なうことができる。
本発明において、石膏・マグネシウム回収工程(F)とアンモニア回収工程(G)は、いずれを先に設けてもよい。すなわち、必ずしも、上述のようにアンモニア回収工程(G)を石膏・マグネシウム回収工程(F)の後工程として設ける必要はなく、液分を蒸留塔に導いてアンモニアを回収した後に、CaO源を添加して石膏及び水酸化マグネシウムを沈澱させ、この沈澱物を晶析槽及び液体サイクロンを用いて分離し、回収してもよい。
【0038】
なお、石膏・マグネシウム回収工程(F)とアンモニア回収工程(G)は、別工程とせずに、組み合わせて単一の工程としてもよい。例えば、液分にCaO源を添加して、固体分である石膏及び水酸化マグネシウムを生成させた後、これら固体分を含むスラリーを蒸留塔に導いてアンモニアを蒸発させて回収し、次いで、蒸留塔の塔底に残留したスラリーをシックナーまたは液体サイクロンに導いて、石膏と水酸化マグネシウムを分離して回収してもよい。
【0039】
【実施例】
以下、実験例に基づいて本発明を説明する。
[実施例1]
オリマルジョンを燃料としてガス化複合発電後に残る副産灰(V:2.0質量%、Ni:0.58質量%、Mg:1.5質量%、Fe:4.6質量%、S:3.7質量%)に対して、硫酸(濃度:0.3モル/リットル)を添加して、pH0.8の酸性スラリーを得た後、このスラリーを固液分離して、濾液を得た。
この濾液と、鉄キレート剤(2−Ethylhexyl Phosphonic Acid mono−2−ethylhexyl Ester)をケロシンで10容量%に希釈してなる鉄抽出溶媒とを混合して、濾液中の鉄を鉄抽出溶媒に抽出した。抽出後、鉄抽出溶媒を濾液(Feラフィネート溶液)から分離した。そして、濾液(Feラフィネート溶液)にアンモニア水を加えてpHを8.9に調整した後、空気を吹き込んで均一に撹拌した。その後、濾液(Feラフィネート溶液)と、キレート剤(Tricaprylyl Methyl Ammonium Chloride)をケロシンで5容量%に希釈してなるバナジウム抽出溶媒とを混合して、濾液中のバナジウムをバナジウム抽出溶媒に抽出した。抽出後、バナジウム抽出溶媒をスラリー濾液(Fe・Vラフィネート溶液)から分離した。
【0040】
得られたバナジウム抽出溶媒と、0.8質量%の塩化アンモニウム及び0.6質量%のアンモニア(NHOH;濃度:25質量%)を含む水溶液(逆抽出液)とを混合して、この逆抽出液(水相)にバナジウムを逆抽出した。バナジウム抽出溶媒と逆抽出液とを分離した後、バナジウム抽出溶媒は、再びバナジウムの抽出に用い、以後、循環して使用した。
一方、得られた逆抽出液(バナジウムを含むもの)と、系外から新たに導入した逆抽出液とを混合して、これらの混合液である逆抽出液を得た後、得られた逆抽出液を、再び、バナジウム抽出溶媒と混合する操作を繰り返すことによって、逆抽出を繰り返し、逆抽出液中のバナジウムの量を増加させた。このように逆抽出を繰り返すことで濃縮されたバナジウムは、メタバナジン酸アンモニウムとして析出し、液底に沈降した。この析出物(メタバナジン酸アンモニウム)を分離槽に導いて濾過し、回収した。
【0041】
次に、バナジウムを抽出した後の濾液(Fe・Vラフィネート溶液)に、バーサチック酸(濃度:20容量%)を加えて混合し、ニッケルを抽出した。抽出後のニッケルを含むバーサチック酸を、濾液(Fe・Vラフィネート溶液)から分離した後、希硫酸(濃度:5g/リットル)を加えて、バーサチック酸を洗浄した。次いで、このバーサチック酸に濃硫酸(濃度:200g/リットル)を加えて、バーサチック酸に含まれているニッケルを濃硫酸に逆抽出した。この濃硫酸をバーサチック酸から分離した後、バーサチック酸を再びニッケルの抽出のために循環して使用した。
一方、ニッケルを含む濃硫酸(逆抽出液)と、ニッケルを含む新たなバーサチック酸とを混合する逆抽出の操作を繰り返して、濃硫酸中のニッケルを濃縮した。この操作を200回繰り返した後、ニッケルを除去した後の濾液(Fe・V・Niラフィネート溶液)と、消石灰スラリー(10質量%)とを混合し、液のpHを10.4に調整して、石膏(二水石膏)と水酸化マグネシウムを生成させた。
その後、石膏及び水酸化マグネシウムを含むスラリーを、晶析槽及び液体サイクロンを用いて処理し、石膏と水酸化マグネシウムを分別して回収した。回収後の濾液は、蒸留塔に導き、アンモニア水を回収した。
処理工程中で得られた回収物の質量等の測定結果を、表1に示す。
【0042】
[実施例2]
残渣油を燃料としてガス化複合発電後に残る副産灰(V:0.38質量%、Ni:0.12質量%、Mg:0.11質量%、Fe:0.44質量%、S:3.9質量%)に対して、塩酸(濃度:0.5モル/リットル)を添加して、酸性スラリー(pH:0.5)とした後、固液分離した。
得られた濾液に対し、実施例1と同様にして鉄の抽出を行なった。鉄の抽出後に得られた濾液(Feラフィネート溶液)に対して、苛性ソーダを加えてpHを8.7に調整した後、過酸化水素を添加して均一に撹拌した。撹拌後、沈澱した水酸化ニッケルを濾過して分離し、次いで、得られた濾液に対して、実施例1と同様にして、バナジウム抽出溶媒を用いてバナジン酸アンモニウムを回収した。バナジウム抽出溶媒から分離した濾液(Fe・Vラフィネート溶液)は、砂を充填してなる濾過槽と、キレート塔に通した。キレート塔を通過した後の濾液は、排水基準を満たすものであった。
得られたバナジン酸アンモニウムの質量の測定結果を、表1に示す。
【0043】
[実施例3]
重油をボイラーで直接燃焼させて発電した後に残る副産灰(V:2.1質量%、Ni:0.76質量%、Mg:0.02質量%、Fe:0.23質量%、S:8.1質量%)に対して、硫酸(濃度:0.2モル/リットル)を加えて酸性スラリー(pH:0.8)とした後、固液分離した。
得られた濾液に対して、実施例1と同様にして鉄の抽出を行なった。鉄の抽出後に得られた濾液(Feラフィネート溶液)に対して、アンモニア水を加えてpHを8.9に調整した後、空気を吹き込んで均一に撹拌した。撹拌後、濾液に対して、実施例1と同様にして、バナジウムの抽出を行ない、メタバナジン酸アンモニウムを回収した。
【0044】
バナジウムを除去した後の濾液(Vラフィネート溶液)からは、ニッケル抽出溶媒(2−Hydroxy−5−Nonylacetophenone−Oxime)を用いて、硫酸ニッケルを回収した。
一方、ニッケルを除去した後の濾液(Fe・V・Niラフィネート溶液)と、消石灰スラリー(10質量%)とを混合して、液のpHを10.5に調整し、石膏を生成させた。この石膏を含むスラリーは、そのまま蒸留塔に導き、アンモニア水を回収した。アンモニア水を回収した後の石膏を含むスラリーは、固液分離して、石膏を回収した。
処理工程中で得られた回収物の質量等の測定結果を、表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 2004352521
【0046】
【発明の効果】
本発明の重質油燃焼灰の処理方法によれば、重質油燃焼灰から、バナジウム、鉄等の有用物を、簡易な設備と低いコストで、しかも高純度及び高い回収率で効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の重質油燃焼灰の処理方法の一例を示すフロー図である。

Claims (3)

  1. (A)バナジウム及び鉄を含む重質油燃焼灰と、水または酸性水溶液とを混合して、酸性スラリーを得た後、該酸性スラリーを固液分離して、バナジウム及び鉄を含む液分、及び固形分を得るスラリー化工程と、
    (B)前記バナジウム及び鉄を含む液分に対し、必要に応じて酸を添加して、pHを3以下に調整した後、該液分と、鉄抽出溶媒とを混合して、前記液分中の鉄を前記鉄抽出溶媒に抽出する鉄抽出工程と、
    (C)前記工程(B)を経た前記液分に対して、アルカリ化剤を添加してpHを8〜10に調整した後、酸化剤を加えて、前記液分中のバナジウムを酸化するバナジウム酸化工程と、
    (D)前記工程(C)を経た前記液分と、バナジウム抽出溶媒とを混合して、前記液分中のバナジウムを前記バナジウム抽出溶媒に抽出するバナジウム抽出工程と
    を含むことを特徴とする重質油燃焼灰の処理方法。
  2. 前記工程(A)において、前記重質油燃焼灰100質量部当たりの前記水または酸性水溶液の配合量が、100〜2,000質量部である請求項1に記載の重質油燃焼灰の処理方法。
  3. 前記重質油燃焼灰がニッケルを含むものであって、前記工程(D)の前工程または後工程として、
    (E)前記液分と、ニッケル抽出溶媒とを混合して、前記液分中のニッケルを前記ニッケル抽出溶媒に抽出するニッケル抽出工程
    を含む請求項1又は2に記載の重質油燃焼灰の処理方法。
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