JP2004352148A - 車両用制動装置 - Google Patents

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雅彦 神谷
Hirosuke Kondo
博資 近藤
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Abstract

【課題】摩擦ブレーキとエンジンブレーキとにより車両の総制動力を維持したままブレーキ鳴きを抑制する。
【解決手段】各輪の振動センサ5の信号よりブレーキ鳴きの発生が検出されたら、ECU10は自動変速機AT9へシフトダウン指令を出す。AT9のシフトダウンにより駆動輪FL、FRにはエンジンブレーキが作用し、制動力がα分増加する。同時に、ブレーキ鳴きが検出された方の左右輪(駆動輪または非駆動輪)の目標制動力を増加量α分、減少させ、ブレーキ鳴き検出輪の摩擦制動力がα減少して共振状態の変化によりブレーキ鳴きが抑制される。また、車両全体の総制動力は、エンジンブレーキによる増加分と摩擦制動力の減少分とが相殺されることにより一定に維持され、これにより異常な車両挙動の発生が阻止される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用制動装置に係り、特に、摩擦ブレーキにエンジンブレーキを併用してブレーキ鳴きを抑制する車両用制動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、回生ブレーキと摩擦ブレーキとをあわせ持つブレーキ装置において、ブレーキ鳴きを検出した場合に、鳴きが発生した車輪の総制動力を維持しながら、回生ブレーキと摩擦ブレーキとの制動力比率を制御して、設定された制動力が鳴き発生領域を回避できるようにしたものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、この従来技術では、回生ブレーキを有する電気自動車やハイブリッド車ではブレーキ鳴きの抑制と当該車輪の総制動力は保証されるものの、通常の内燃機関を用いた車両など、回生ブレーキを備えていない車両では実現困難であった。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−329681号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記点に鑑みて、摩擦ブレーキとエンジンブレーキとにより車両の総制動力を維持したままブレーキ鳴きを抑制することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、摩擦制動力を発生する摩擦ブレーキ手段(1FL、1FR、1RL、1RR、2FL、2FR、2RL、2RR、3FL、3FR、3RL、3RR、4FL、4FR、4RL、4RR、7)と、エンジンブレーキを発生するエンジンブレーキ手段(8、9)と、摩擦ブレーキ手段のブレーキ鳴きを検出するブレーキ鳴き検出手段(5FL、5FR、5RL、5RR)と、ブレーキ鳴きが検出された場合に、エンジンブレーキ手段によりエンジンブレーキを発生させるとともに、そのエンジンブレーキによる制動力の増加分に相当する制動力を摩擦ブレーキ手段による摩擦制動力より減少させる制御手段(10)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ブレーキ鳴きが検出された場合には、エンジンブレーキを発生させるとともに、摩擦ブレーキ装置が発生する摩擦制動力より発生させたエンジンブレーキに相当する制動力分を減少させる、すなわち、制動力の増減分を相殺することにより、車両全体の総制動力を不変としたまま摩擦制動力の減少によるブレーキ鳴きの抑制を行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、制御手段は、エンジンブレーキ手段により発生しうるエンジンブレーキによる制動力の増加分が、摩擦制動力より大きい場合には、エンジンブレーキの発生を禁止することを特徴とする。
【0009】
これにより、エンジンブレーキによる制動力が過大なときに、このエンジンブレーキによる制動力の増加分を摩擦制動力の減少により相殺できないために、車両全体の総制動力が増加してしまうことを阻止することができる。すなわち、車両挙動に異常が発生することを阻止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、制御手段は、エンジンブレーキ手段により発生しうるエンジンブレーキによる制動力の増加分が、摩擦ブレーキ手段の共振形態を変えるに必要な摩擦制動力の減少分より小さい場合には、エンジンブレーキの発生を禁止することを特徴とする。
【0011】
これにより、エンジンブレーキによる制動力の増加分が小さく、それに等しい摩擦制動力の減少分では、摩擦ブレーキ装置の共振状態を変化させることができない場合には、ブレーキ鳴きの抑制効果が得られないものとして、鳴き防止、抑制の制御を行わないようにすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、摩擦ブレーキ手段は、左右前輪(FL、FR)および左右後輪(RL、RR)のいずれか一方の第1の左右輪および他方の第2の左右輪に、それぞれ第1および第2の目標制動力に応じた摩擦制動力を与え、エンジンブレーキ手段は、第1の左右輪を所定のギア比によりエンジン回転数を減速して駆動する自動変速機(9)を備え、制御手段は、鳴き検出手段により第1および第2の左右輪のいずれか一方の左右輪にブレーキ鳴きが検出されたときに、自動変速機のギア比を低ギア比へ変更して第1の左右輪に所定量のエンジンブレーキを付与するとともに、ブレーキ鳴きが検出された左右輪に与える目標制動力を減少対象目標制動力とし、該減少対象目標制動力よりエンジンブレーキに相当する制動力分減少させることを特徴とする。
【0013】
この発明においては、第1の左右輪を駆動輪として、第1または第2の左右輪のいずれか一方にブレーキ鳴きが検出された場合に自動変速機のギア比を低ギア比へ変更して駆動輪にエンジンブレーキを発生させるとともに、ブレーキ鳴きが検出された方の左右輪(駆動輪または非駆動輪)の目標制動力である減少対象目標制動力よりエンジンブレーキに相当する制動力分を減少させる。これにより、ブレーキ鳴きが検出された左右輪(駆動輪または非駆動輪)の摩擦制動力がエンジンブレーキに相当する制動力分減少するため、ブレーキ鳴きを効果的に抑制することができるとともに、駆動輪にはエンジンブレーキにより制動力が増加するので、車両全体の総制動力は減少分と増加分とが相殺され一定に維持することができ、車両挙動に異常が発生することを抑制することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、摩擦ブレーキ手段は、左右前輪(FL、FR)および左右後輪(RL、RR)のいずれか一方の第1の左右輪および他方の第2の左右輪に、それぞれ第1および第2の目標制動力に応じた摩擦制動力を与え、エンジンブレーキ手段は、第1の左右輪を所定のギア比によりエンジン回転数を減速して駆動する自動変速機(9)を備え、制御手段は、鳴き検出手段により各車輪の少なくとも1つの車輪にブレーキ鳴きが検出されたときに、自動変速機のギア比を低ギア比へ変更して第1の左右輪に所定量のエンジンブレーキを付与するとともに、第1および第2の目標制動力の和を減少対象目標制動力とし、該減少対象目標制動力よりエンジンブレーキに相当する制動力分減少させることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、第1の左右輪を駆動輪として、各車輪の少なくとも1つの車輪にブレーキ鳴きが検出された場合に自動変速機のギア比を低ギア比へ変更して駆動輪にエンジンブレーキを発生させるとともに、減少対象目標制動力としての第1および第2の目標制動力の和よりエンジンブレーキに相当する制動力分を減少させる。これにより、第1および第2の左右輪の摩擦制動力の和を、エンジンブレーキにより発生した制動力分減少させることができるので、いずれかの車輪に発生するブレーキ鳴きを抑制することができるとともに、車両全体の総制動力を一定に維持することにより車両挙動に異常が発生することを抑制することができる。
【0016】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、ブレーキ鳴きを抑制、防止する鳴き防止制御を行う本発明の実施の形態について説明する。図1には、前輪駆動車としての車両VLに本発明を適用した車両用制動装置の概略構成が示されている。本実施形態において、左前輪をFL、右前輪をFR、左後輪をRL、右後輪をRRとそれぞれ表す。また、第1の左右輪としての駆動輪は左右前輪FL、FRであり、第2の左右輪としての非駆動輪は左右後輪RL、RRに相当する。
【0018】
本実施形態の車両用制動装置は、車両VLの各車輪FL、FR、RL、RRに油圧による摩擦制動力を与える摩擦ブレーキ手段としての電気油圧式ブレーキ装置(以下、EHBという)7、エンジンブレーキ手段としてのエンジン8および自動変速機(以下、ATという)9、および制御手段としてのブレーキ制御装置(以下、ECUという)10を備えている。
【0019】
第1の左右輪である左右前輪FL、FRはそれぞれ車輪とともに回転する前輪ディスクロータ1FL、1FRと、前輪ディスクロータ1FL、1FRの両端に配設されたパッド(図示せず)を支持するキャリパ2FL、2FRと、パッドを駆動するシリンダ3FL、3FRと、前輪ディスクロータ1FL、1FRの回転速度を検出する車輪速センサ6FL、6FRを備えている。また、キャリパ2FL、2FRには、それぞれ振動センサ5FL、5FRが装着され、キャリパ2FL、2FRに発生する振動を検出する。
【0020】
第2の左右輪である左右後輪RL、RRは、左右前輪FL、FRと同様、後輪ディスクロータ1RL、1RRと、後輪ディスクロータ1RL、1RRの両端に配設されたパッド(図示せず)を支持するキャリパ2RL、2RRと、パッドを駆動するシリンダ3RL、3RRと、前輪ディスクロータ1RL、1RRの回転速度を検出する車輪速センサ6RL、6RRを備えている。また、キャリパ2RL、2RRには、それぞれ振動センサ5RL、5RRが装着され、キャリパ2RL、2RRに発生する振動を検出する。
【0021】
EHB7は、電気油圧式ブレーキ装置であり、図示しないポンプおよびアキュムレータにより蓄圧されたブレーキ液圧を、後述するECU10により設定された各輪の目標制動力(第1および第2目標制動力)に応じたブレーキ液圧となるよう各チャネルの管路に配置されたリニア弁を制御して調圧する。そして、各輪のシリンダ3FL、3FR、3RL、3RRにそれぞれ接続されたブレーキ液配管4FL、4FR、4RL、4RRを介して調圧したブレーキ液圧を与えて、各輪に設定された目標制動力を発生させる。
【0022】
エンジン(E/G)8が発生する回転トルク(エンジントルク)は、多段式の自動変速機(AT)9で選択、設定されたギア比により減速され、車軸9a、9bを介して第1の左右輪としての左右前輪FL、FRを駆動する。
【0023】
ECU10は、ブレーキペダル11の踏み込み量を検出するストロークセンサ12の検出信号が供給されている。また、ECU10には、各輪FL、FR、RL、RRより、それぞれ振動センサ5FL、5FR、5RL、5RRおよび車輪速センサ6FL、6FR、6RL、6RRからの検出信号が供給されている。なお、振動センサ5FL、5FR、5RL、5RRの検出信号より、ECU10において、ブレーキ鳴きに相当する周波数帯(たとえば、数100Hzないし10kHz)の信号である鳴き検出信号が抽出される。すなわち、振動センサ5FL、5FR、5RL、5RRおよびECU10が、本発明のブレーキ鳴き検出手段に相当する。
【0024】
ECU10は、各センサ信号に基づき車両を減速、あるいは停止すべく、各輪に与える制動力の目標値をそれぞれ独立に演算設定する。たとえば、車両の左右で路面摩擦係数が異なるような走行状態や旋回制動状態では、左右輪にそれぞれ異なった目標制動力を与えることにより、異常な車両挙動を発生することなく車両を制動することができる。ただし、本実施形態においては、駆動輪および非駆動輪に、それぞれ第1の目標制動力f1および第2の目標制動力f2を設定するものとする。
【0025】
ところで周知のように、自動変速機9は車速、エンジン回転数(およびシフト位置)およびアクセル開度などに応じて、予め設定されたシフトパターンマップに基づき選択されるギア比によりエンジントルクを減速し、駆動輪を駆動して車両を加速する。走行状態に変化が生じ、例えば、ドライバのアクセルペダルの踏み込み量減少、すなわちアクセル開度の減少により、車輪に働く駆動トルクよりもタイヤ−路面間の摩擦力によるブレーキトルクの方が大きくなると、車両にエンジンブレーキが作用し車両は減速することになる。このエンジンブレーキは、また、自動変速機9の変速ギア比を、低ギア比に変更するシフトダウンによっても発生する。
【0026】
この自動変速機9におけるギア比変更により発生するエンジンブレーキの大きさは、種々の走行条件(車速、走行時のギア比およびエンジン回転数など)に応じた量として予め把握され、このエンジンブレーキの大きさに相当する制動力がマップとしてECU10に記憶されている。
【0027】
ECU10は、AT9より供給される車速、エンジン回転数およびシフト位置の各信号と上記マップに基づき、AT9のシフトダウンが実行される場合に発生すると予想されるエンジンブレーキに相当する駆動輪に与えられる制動力増加量αを算出する。さらに、ECU10は、AT9のシフトダウンにより増加する制動力αを相殺する摩擦制動力の減少分(α相当分)を算出する。
【0028】
なお、この制動力増加量αは左右の駆動輪に等しく発生するものであり、シフトダウンにより車両に発生する総制動力の増加量は2αとなる。
【0029】
また、ECU10は、鳴き防止制御の作動中にAT9に対してシフトダウン指示を発する。AT9ではこのシフトダウン指示に基づき、現在より1段低いギア比にシフトダウンする。これにより、駆動輪である第1の左右輪FL、FRにエンジンブレーキによる制動力が発生する。
【0030】
なお、左右の駆動輪にはそれぞれ第1の目標制動力f1が与えられ、左右の非駆動輪にはそれぞれ第2の目標制動力f2が与えられるので、このときの車両VLの4輪に発生している総制動力は、2f1+2f2となる。また、エンジンブレーキによる制動力の増加量αは、左右の駆動輪に等しく発生するものであり、これによる総制動力の増加量は2αとなる。
【0031】
次に、ECU10が行うブレーキ制御の処理手順について説明する。図2はブレーキ制御のメインルーチンを示すフローチャートであり、イグニッションスイッチのON操作によって起動する。ステップS100で制動操作信号、すなわちストロークセンサ12の検出信号の有無を判定し、制動操作信号がなかった場合はステップS116へ移行しEHB7の制御を終了して各輪の摩擦制動力を解除する。制動操作信号があった場合はステップS102へ移行する。
【0032】
ステップS102では、ストロークセンサ12および各輪の車輪速センサ6FL〜6RRのセンサ信号に基づき、駆動輪FL、FRに与える第1の目標制動力f1、および非駆動輪RL、RRに与える第2の目標制動力f2を算出する。次のステップS104で、車輪速センサ6FL〜6RRのセンサ信号に基づき、車両VLが走行中か、停止したかを判定する。停止状態であれば、ステップS114へ移行し、走行中であればステップ106へ移行する。
【0033】
ステップS106で、4輪の振動センサ5FL〜5RRのセンサ信号に基づく鳴き検出信号を取り込み、その信号に基づきステップS108で4輪のいずれかの車輪にブレーキ鳴きが発生しているかを判定する。YESならばブレーキ鳴きを抑制するためステップS110へ移行して鳴き防止制御を実行する。すなわち、駆動輪(第1の左右輪)の少なくとも一方の車輪に鳴きが検出された場合は、ステップS110での鳴き防止制御は駆動輪に対して行い、非駆動輪(第2の左右輪)の少なくとも一方の車輪に鳴きが検出された場合は、ステップS110での鳴き防止制御は非駆動輪に対して行う。ステップS108での判定結果がNOならば、ブレーキ鳴きが発生していない(抑制された)ためステップS112へ移行して鳴き防止制御を終了する。
【0034】
ステップS114では、設定された第1および第2の目標制動力に応じたEHB7への油圧信号を出力するとともに、EHB7の各チャネルのブレーキ液配管4FL〜4RR内のブレーキ液圧をフィードバック制御してそれぞれ設定された目標値に一致させる。このステップS100〜S114の処理は車両走行中に繰り返し実行される。
【0035】
次に、ステップS110で実行される鳴き防止制御におけるサブルーチンを、図3のフローチャートに基づき説明する。なおこのサブルーチンは、駆動輪用および非駆動輪用にそれぞれ同じ処理手順を示すものが別に用意され、ステップS108でのブレーキ鳴きの発生判定の結果に応じたサブルーチンが選択されて実行される。以下では、主としてブレーキ鳴きが駆動輪FL、FRのいずれかに発生した場合について説明する。
【0036】
ステップS200で、AT9のシフトダウンにより発生するエンジンブレーキに相当する制動力増加量αをマップより読み出す。次に、ステップS202で、制動力増加量αが所定値β以上か否かを判定し、YESならばステップS204へ移行する。ここで所定値βは、各駆動輪のパッドの共振形態を変えるのに必要な油圧(制動力)減少分である。すなわち、ブレーキ鳴きが発生している車輪(駆動輪)の制動力を所定値β分以上減少させることにより、ブレーキ鳴きを抑制させることができる。したがって、ステップS202の判定結果がNO、すなわち制動力増加量αが所定値βより小さい場合は、鳴き防止制御を行ってもブレーキ鳴きが抑制できない可能性があるので、ステップS210へ移行し鳴き防止制御を終了する。
【0037】
ステップS204では、シフトダウンにより発生するエンジンブレーキに相当する制動力増加量αが駆動輪である第1の左右輪FL、FRに与えている、すなわち発生している制動力(第1の目標制動力)F=f1以下であるか否かを判定し、YESであればステップS206へ移行する。NO、すなわち制動力増加量αがF(=f1)より大きければ、鳴き防止制御において駆動輪の制動力を不変に保つことができないため、ステップS210へ移行し鳴き防止制御を終了する。
【0038】
ステップS206で、ECU10よりAT9へシフトダウン指令を出す。これにより、AT9は現在のシフト位置を1段低ギア比側へシフトダウンする。次のステップS208では、ブレーキ鳴きを抑制、防止するために、ブレーキ鳴きが検出された側の左右輪(ここでは駆動輪)のEHBの目標制動力を演算する。すなわち、駆動輪にブレーキ鳴きが検出された場合は、第1の目標制動力を減少対象目標制動力として、この減少対象目標制動力より駆動輪に発生するエンジンブレーキに相当する制動力増加量α分を減算して、新たな第1の目標制動力とする。そして、EHB7で、この減算された第1の目標制動力f1および変更されない第2の目標制動力f2に応じて、駆動輪および非駆動輪にそれぞれ摩擦制動力を発生させる。
【0039】
なお、鳴き防止制御によりブレーキ鳴きが完全に抑制されない場合は、サブルーチンのステップS200〜S210が繰り返され、AT9のシフトダウンがさらに行われる。
【0040】
以上のように、駆動輪FL、FRにブレーキ鳴きが検出された場合には、AT9をシフトダウンしてエンジンブレーキを発生させ、このエンジンブレーキによる制動力の増加量α分を、駆動輪の摩擦制動力の目標値である第1の目標制動力f1より減算することにより、駆動輪の総制動力の増加分(2α)および減少分(2α)を等しくして両者を相殺することができる。これにより、摩擦制動力の減少により駆動輪のブレーキ鳴きを抑制、防止することができるとともに、駆動輪の総制動力は不変のまま、すなわち車両全体の総制動力を不変のままとすることができ異常な車両挙動の発生を阻止することができる。
【0041】
換言すれば、本発明は、ブレーキ鳴きが検出されたら、このブレーキ鳴きを抑制するために摩擦制動力を減少させることにより摩擦ブレーキ装置の共振状態を変化させ、同時に、この摩擦制動力の減少分を相殺するようにエンジンブレーキにより制動力を増加させて車両全体の総制動力を不変にするものである。
【0042】
なお、非駆動輪RL、RRの少なくとも一方にブレーキ鳴きが発生した場合は、図3におけるステップS204で、エンジンブレーキによる制動力増加量αが非駆動輪に与える第2の目標制動力f2以下(α≦F=f2)であることを判定し、ステップS208で第2の目標制動力f2を減少対象制動力として、この減少対象目標制動力より駆動輪に発生するエンジンブレーキに相当する制動力増加量α分を減算して、新たな第2の目標制動力とする。そして、EHB7で、この減算された第2の目標制動力f2および変更されない第1の目標制動力f1に応じて、非駆動輪および駆動輪にそれぞれ摩擦制動力を発生させる。
【0043】
これにより、非駆動輪にブレーキ鳴きが発生する場合でも、上記と同様、AT9をシフトダウンして駆動輪にエンジンブレーキを発生させ、このエンジンブレーキによる制動力の増加量α分を、非駆動輪の摩擦制動力の目標値である第2の目標制動力f2より減算することにより、駆動輪の総制動力の増加分(2α)および非駆動輪の総制動力の減少分(2α)を等しくして両者を相殺することができる。これにより、摩擦制動力の減少により非駆動輪のブレーキ鳴きを抑制、防止することができるとともに、車両全体の総制動力は不変のままとすることができ異常な車両挙動の発生を阻止することができる。
【0044】
(他の実施形態)
上記実施形態では、AT9のシフトダウン時に駆動輪に発生するエンジンブレーキに相当する制動力増加量αを相殺するために、同じ駆動輪に摩擦制動力としての駆動輪に与える第1の目標制動力を増加量α分減少させる例、あるいは非駆動輪に与える第2の目標制動力を増加量α分減少させる例を示したが、これに限らず、第1および第2の目標制動力を同時に減少させてもよい。すなわち、駆動輪に発生するエンジンブレーキ相当の制動力増加量αを前後輪に(駆動輪と非駆動輪とに)分配する(α=αf+αr)。そして、第1の目標制動力をαf分減少させ、第2の目標制動力をαr分減少させるようにする、すなわち、エンジンブレーキ相当の制動力増加量αを、減少対象目標制動力である第1および第2の目標制動力の和に対して減少させる制動力に一致させることで、車両全体の総制動力を不変とすることができる。なお、この場合には、αf、αrのそれぞれの大きさを前後の制動力配分を考慮して決めることが望ましい。
【0045】
上記実施形態では、ステップS200において、AT9のシフトダウン時のエンジンブレーキに相当する制動力として、シフト位置を1段下げる場合の制動力αを演算する例を示したが、さらに、2段下げる場合の制動力α2も同時に演算するようにしてもよい。この場合には、まず制動力α2について、ステップS202、S204と同様に、所定値βおよび第1の目標制動力Fとの比較を行い、各条件を満たす場合に、鳴き防止制御としてATを2段シフトダウンし、EHBの第1または第2の目標制動力をα2減少させる制御を行うことができる。なお、α2がステップS202、S204のいずれかの条件を満たさない場合は、1段シフトダウン時の制動力αに対して上記実施形態と同様の処理を行うようにすればよい。
【0046】
上記実施形態では、AT9として、トルクコンバータを用いた多段式の自動変速機を用いる例を示したが、これに限らずCVT(Continuously Variable Transmission)のような自動変速機であってもよい。このCVTは、ギア比を連続的に変化させることができるので、鳴き防止制御においては、常に、ブレーキパッドの共振状態を変更するに足る減少量としての所定量βにほぼ等しい制動力αとなるギア比を選択することができる。
【0047】
上記実施形態では、摩擦ブレーキ手段として電気油圧式ブレーキ装置を用いる例を示したが、これ以外にも、各輪毎に備えられた電動モータおよび直動変換機構により摩擦部材を加圧して摩擦制動力を発生する電気機械式ブレーキ(EMB)を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両用制動装置の概略構成を示す図である。
【図2】ブレーキ制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】鳴き防止制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
FL…左前輪、FR…右前輪、RL…左後輪、RR…右後輪、
1FL、1FR…前輪ディスクロータ、
1RL、1RR…後輪ディスクロータ、
2FL、2FR、2RL、2RR…キャリパ、
3FL、3FR、3RL、3RR…シリンダ、
4FL、4FR、4RL、4RR…ブレーキ液配管、
5FL、5FR、5RL、5RR…振動センサ、
6FL、6FR、6RL、6RR…車輪速センサ、
7…摩擦ブレーキ装置、8…エンジン、9…自動変速機、
10…ブレーキ制御装置(ECU)、11…ブレーキペダル、
12…ストロークセンサ。

Claims (5)

  1. 摩擦制動力を発生する摩擦ブレーキ手段(1FL、1FR、1RL、1RR、2FL、2FR、2RL、2RR、3FL、3FR、3RL、3RR、4FL、4FR、4RL、4RR、7)と、
    エンジンブレーキを発生するエンジンブレーキ手段(8、9)と、
    前記摩擦ブレーキ手段のブレーキ鳴きを検出するブレーキ鳴き検出手段(5FL、5FR、5RL、5RR)と、
    前記ブレーキ鳴きが検出された場合に、前記エンジンブレーキ手段によりエンジンブレーキを発生させるとともに、そのエンジンブレーキによる制動力の増加分に相当する制動力を前記摩擦ブレーキ手段による摩擦制動力より減少させる制御手段(10)と、
    を備えることを特徴とする車両用制動装置。
  2. 前記制御手段は、前記エンジンブレーキ手段により発生しうるエンジンブレーキによる制動力の増加分が、前記摩擦制動力より大きい場合には、エンジンブレーキの発生を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車両用制動装置。
  3. 前記制御手段は、前記エンジンブレーキ手段により発生しうるエンジンブレーキによる制動力の増加分が、前記摩擦ブレーキ手段の共振形態を変えるに必要な摩擦制動力の減少分より小さい場合には、エンジンブレーキの発生を禁止することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用制動装置。
  4. 前記摩擦ブレーキ手段は、左右前輪(FL、FR)および左右後輪(RL、RR)のいずれか一方の第1の左右輪および他方の第2の左右輪に、それぞれ第1および第2の目標制動力に応じた摩擦制動力を与え、
    前記エンジンブレーキ手段は、前記第1の左右輪を所定のギア比によりエンジン回転数を減速して駆動する自動変速機(9)を備え、
    前記制御手段は、前記鳴き検出手段により前記第1および第2の左右輪のいずれか一方の左右輪にブレーキ鳴きが検出されたときに、前記自動変速機のギア比を低ギア比へ変更して前記第1の左右輪に所定量のエンジンブレーキを付与するとともに、前記ブレーキ鳴きが検出された左右輪に与える目標制動力を減少対象目標制動力とし、該減少対象目標制動力より前記エンジンブレーキに相当する制動力分減少させることを特徴とする請求項1に記載の車両用制動装置。
  5. 前記摩擦ブレーキ手段は、左右前輪(FL、FR)および左右後輪(RL、RR)のいずれか一方の第1の左右輪および他方の第2の左右輪に、それぞれ第1および第2の目標制動力に応じた摩擦制動力を与え、
    前記エンジンブレーキ手段は、前記第1の左右輪を所定のギア比によりエンジン回転数を減速して駆動する自動変速機(9)を備え、
    前記制御手段は、前記鳴き検出手段により前記各車輪の少なくとも1つの車輪にブレーキ鳴きが検出されたときに、前記自動変速機のギア比を低ギア比へ変更して前記第1の左右輪に所定量のエンジンブレーキを付与するとともに、前記第1および第2の目標制動力の和を減少対象目標制動力とし、該減少対象目標制動力より前記エンジンブレーキに相当する制動力分減少させることを特徴とする請求項1に記載の車両用制動装置。
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