JP2004351123A - キャリングベッド - Google Patents

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Abstract

【課題】保管場所の省スペース化が図れて、簡単かつ軽快な取扱いが可能なキャリングベッドを提供する。
【解決手段】患者を横臥して搬送可能なベッド部2と、このベッド部2上に設置され、患者を所定の立体形状の空間内に収容する隔離部3と、前記空間内を換気して所定の圧力差に保つ換気ユニット4とを具え、患者を隔離して搬送するキャリングベッド1であって、隔離部3は、気密性および柔軟性を有した透明または半透明の材質により形成され、空気圧により膨張し、前記隔離部3を、少なくとも、立体形状に保持する保持部材6を有している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、新型肺炎(SARS)と呼称される重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)などの感染症患者および感染症の疑いがある患者を隔離して搬送するキャリングベッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、あらゆる分野においてグローバル化が進み、海外への渡航者や海外からの入国者が急増している。このため、疾病の疑いのある者の出入国の増加や、地球環境の温暖化による国内の気候変化によって、各種の伝染病の大規模な感染が懸念されている。そこで一般に、感染症の発症患者および感染症の疑いがある患者が発見された場合に、これらの患者を隔離して、医療機関などに搬送する患者搬送装置が提案されている。
【0003】
すなわち、これまでの患者搬送装置は、可搬性を有したベッド上に半円筒形状の硬質ビニールを設けてカプセル状の密閉空間を形成し、この密閉空間内を陰圧に保つ換気手段を設けた患者搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、この患者搬送装置では、ろ過部材を有した換気手段によって密閉空間から排気し、感染症の病原菌をろ過部材によって捕捉するとともに、密閉空間内を陰圧にして、上記の患者を隔離するようにしている。したがって、陰圧に維持した密閉空間内に患者を収容した状態で、患者の検査や移送を行うことにより、病原菌の外部への拡散防止を図り、治療者などの安全性を確保するとともに利便性や汎用性の向上を図っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−17784号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の患者搬送装置においては、未使用時に大きな保管スペースが必要であるという問題がある。すなわち、患者搬送装置では、硬質ビニール自体が有した剛性強度によって、内部の陰圧に対抗して形状を保つように構成されている。このため、未使用時にも内部に人体を収容できる大きさの形状が維持されるので、多数の患者搬送装置を保管するためには、広い空間スペースが必要であるという不都合がある。
【0006】
他方、患者搬送装置では、硬質ビニールを所定の厚みで形成したり、強度を補強する金属部材を追加して設けたりして、耐圧用の剛性強度を確保する結果、重量が嵩むことになる。このため、患者搬送装置の単体でも取り扱い性が低下し、これに患者の体重が加わると、人力による搬送作業性が低下するという不都合も生じた。
【0007】
そこでこの発明は、前記のような従来の問題点を解決し、保管場所の省スペース化が図れて、簡単かつ軽快な取扱いが可能なキャリングベッドを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、患者を横臥して搬送可能なベッド部と、このベッド部上に設置され、患者を所定の立体形状の空間内に収容する隔離部と、前記空間内を換気して所定の圧力差に保つ換気ユニットとを具え、患者を隔離して搬送するキャリングベッドであって、隔離部は、気密性および柔軟性を有した透明または半透明の材質により形成され、空気圧により膨張し、前記隔離部を、少なくとも、立体形状に保持する保持部材を有していることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、保持部材は、隔離部の所定箇所に配置され、支柱形状に膨張する複数の膨張部を有し、これらの膨張部のうち、長手方向に対向する膨張部同士の上端が、少なくとも気密性および柔軟性を有した材質の長尺形状に膨張する第2膨張部により空気通路を確保して接続され、この第2膨張部により前記膨張部同士の上端の間に介在する隔離部の上側を支持していることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2において、隔離部の立体形状が、略長方形状とされ、この隔離部の平面視で四隅部に、前記膨張部を配置していることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、隔離部は、長手方向に互いに対向する一方の面の下部から、上面を介して、対向する他方の面に至るまで設置された開閉部材によって、長手方向に沿って分割開閉可能になっていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、隔離部は、ベッド部に着脱可能で、隔離部の周囲を取り囲んで保持する第2保持部材を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかにおいて、換気ユニットは、フィルタを有して換気する空気を清浄化し、二次電源を内蔵して単独動作を可能とし、この換気ユニットの空気送給方向を逆転して、前記空間内を陰圧状態または陽圧状態に切替え可能になっていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかにおいて、換気ユニットは、隔離部に空気通路としてのフレキシブルホースを介して接続され、少なくとも前記ベッド部に対する換気ユニットの設置箇所を変更可能になっていることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかにおいて、保持部材に、前記空気圧を供給する送圧手段を有していることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
この発明の第1実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1は、キャリングベッドを示し、(A)は平面図、(B)は正面図であり、図2は、キャリングベッドの隔離部を示し、(A)は左側面図、(B)は右側面図であり、図3は、キャリングベッドの斜視図である。
【0017】
キャリングベッド1は、図1ないし図3に示すように、患者を横臥して搬送可能なベッド部2と、このベッド部2上に横臥した患者を所定の立体形状の空間内に収容する隔離部3と、前記空間内を空気を清浄化するフィルタ4aを介して換気し所定の圧力差に保つ換気ユニット4とを有している。
【0018】
キャリングベッド1は、台車5上に載置され、この台車5により、利便性の向上を図っている。すなわち、この台車5は、キャリングベッド1を載せる水平枠状の台座フレーム5Aと、下端に車輪5bが装着された支持フレーム5Bとを有し、この支持フレーム5Bの上端は、台座フレーム5Aに支軸を介して接続され、起倒式に2位置の状態を占めるように構成されている。したがって、台車5は、キャリングベッド1を図示しない搬送車両の床面よりも高い位置に確保し、かつ搬送や治療などの諸作業を行ないやすい高さに持ち上げた展開状態と、図4に示すように低く折り畳んだ状態にできるようにしている。これに加えて、キャリングベッド1を載せた台車5を、展開状態のまま搬送車両の格納庫に前進させると、搬送車両の床面よりも下側の部分に、台車5の支持フレーム5Bが当接して上方に跳ね上げられ、台車5が折り畳んだ状態に移行し、この状態で搬送車両の床面に接する台座フレーム5Aが有した車輪5aと、支持フレーム5Bの車輪とによって、搬送車両内の所定の格納位置まで自走させて移動することができる。このため、搬送車両内へのキャリングベッド1の搭載作業を迅速かつ容易に行なえる。
【0019】
再び図1ないし図3に示すように、ベッド部2は、成人男性を横臥した状態で載置できる長さと幅が確保され、た長方形状のベッド部本体2Aと、このベッド部本体2Aの下側周囲を支持した略長方形状にパイプ状部材により形成されたフレーム部材2Bとを有し、このフレーム部材2Bの下側の所定箇所には、車輪が設けられ、フレーム部材2Bの長辺の略中央には、上方に突出した長四角状のフレーム部材2Bを軸として回転する方式の取っ手部2bが設けられている。すなわち、この取っ手部2bにより、患者を落下させないようになっていて、下部の図示しないノブを操作すると、図示している姿勢から下側に倒せるようになっている。このため、患者をベッド部2に乗せる場合に、取っ手部2bが障害とならないようにしている。
【0020】
隔離部3は、気密性と柔軟性を有した透明または半透明の材質のビニールなどの薄型軽量のシート状部材を用いて、成人男性を収容できる程度の内部容積を有した中空の略長方形状に形成されている。また隔離部3は、帯電防止処理が施され、周囲の医療機器からの静電気的な影響を受けたり、与えたりしないようにしている。さらに隔離部3の各コーナー部は、丸みが付けられ、隔離部3自体を移動させる場合に、各コーナー部が損傷する機会を減少させるとともに、隔1離部3の内外圧力差がコーナー部に集中して損傷することを防止している。
【0021】
保持部材6は、平面視で隔離部3内の4つの隅部に設置された4つの膨張部6A〜6Dを有し、これらの膨張部6A〜6Dは、上下方向に立設した外形状つまり内部の空間形状が角柱状となるように設けられている。すなわち、膨張部6A〜6Dは、それぞれ所定の長方シート状部材を隔離部3の内壁面に接着剤や溶着などにより接合して、角柱状の空間を隔離部3の各隅部に区画形成している。膨張部6A〜6Dは、隔離部3と同様に、気密性と柔軟性を有した透明または半透明の材質のビニールなどの薄型軽量のシート状部材を用いており、隔離部3よりも厚さが厚いなどのように、内部に充填される空気の内圧に対抗できる強度が確保されている。
【0022】
また、これらの膨張部6A〜6Dにおいて、これらの膨張部6A〜6Dのうち、長手方向に対向する膨張部6A〜6D同士の上端が、少なくとも気密性と柔軟性を有した透明または半透明の材質のビニールなどの薄型軽量のシート状部材を用いた長尺形状に膨張する第2膨張部7A,7Bにより空気通路を確保して接続されている。すなわち、第2膨張部7A,7Bは、角チューブ状に膨張するように形成され、内部の空間が一方の膨張部6A,6Bの上端から他方の膨張部6C,6Dの上端に接続されて連絡する空気通路となっている。
【0023】
図2(B)に示す膨張部6A,6Bの下側に相当する隔離部3の箇所には、これらの膨張部6A,6Bの内部空間に至るプラグ状金具の空気注入用コネクタ8A,8Bが、それぞれ外部に突出して設けられている。したがって、これらのコネクタ8A,8Bのそれぞれに、所定圧の空気を送給できるエアポンプなどの図示しない空気送圧手段からの空気供給用チューブの先端を、または単一の図示しない送圧手段から2分岐した空気供給用チューブの先端を、ワンタッチで、空気漏れを防止しながら、装着および離脱可能にしている。他方、図2(A)に示す第2膨張部7A,7Bにより接続された膨張部6C,6Dにおいて、この膨張部6C,6Dの下側に対応する隔離部3の箇所には、膨張部6C,6Dからの空気の排出量を微調整可能なバルブ9C,9Dが設けられている。
【0024】
したがって、保管状態の隔離部3を、使用状態にする場合には、送圧手段のチューブを各コネクタ8A,8Bに接続し、次に送圧手段を動作させる。すると送圧手段から所定圧の空気がチューブ、各コネクタ8A,8Bを介して膨張部6A,6B内に供給される。空気圧により各膨張部6A,6Bおよびこの膨張部6A,6Bに第2膨張部7A,7Bにより接続された各膨張部6C,6Dが支柱形状に膨張する。このため、これらの膨張部6A〜6Dが、ベッド部2から上方に向けて立設した状態となり、隔離部3を略長方形状に形成して保持することができる。また、各膨張部6A〜6Dの上端を接続したパイプ部材により、各膨張部6A〜6D同士の上端の間に介在する隔離部3の上側を支持することができ、つまり長方形状の隔離部3における上側の長辺を支持することができ、隔離部3の形状維持を補助することができる。つまり、各膨張部6A〜6Dおよび第2膨張部7A,7Bにより形成された内部空間が所定の空気圧の空気で充填されて膨張することにより、この膨張した部分が、略長方形状に形成された隔離部3の長手方向に平行な側面を、下方に開口したコ字状の略枠状に支持および保持することになる。また第2膨張部7A,7Bにより接続された膨張部6A〜6Dのうち一方の膨張部6A,6Bに空気を注入すれば、他方の2つの膨張部6C,6Dおよび第2膨張部7A,7Bを膨張できるので、2つの空気注入口であるコネクタ8A,8Bで済み、注入口が少なくなり、構造が簡素化できるとともに、コネクタ接続する作業数を減少でき、使い勝手を向上できる。
【0025】
なお、送圧手段は、小型軽量で二次電源を内蔵して単独動作を可能としており、常時、空気を供給して、保持部材6の空気圧を安定して一定の維持できるようにしている。すなわち、この空気を注入して膨張させる際および膨張させた後には、送圧手段から膨張部6A,6Bに供給される流入空気量に対して、バルブ9C,9Dによって、膨張部6C,6Dからの空気排出量を微調整することにより、保持部材6としての各膨張部6A〜6Dおよび第2膨張部7A,7B内の空気圧を調整して、これらの膨張部6A〜6D,7A,7Bに余計なストレスを与えることなく、隔離部3の形状を保持するようにしている。他方、バルブ9C,9Dによって、これらの膨張部6A〜6D,7A,7B内の空気圧を調整することにより、隔離部3の形状を任意に変形できる。すなわち、例えば保持部材6内の空気圧を低下させることにより、図5に示すように、隔離部3を少なくとも高さを減少された略長方形状にできる。このため、レントゲン撮影を行なう検査時などの場合に、キャリングベッド1による隔離状態を解除することなく、隔離部3を介して、レントゲン撮像カメラなどの検査用センサ部10を患者の検査箇所の近くに位置させることができる。他方、患者の心臓マッサージや多数の治療者による全身マッサージも、同様に隔離部3をしぼませて、隔離状態を解除することなく、行なうことができる。このため、患者に対するこれらの治療作業が簡単で容易になる。
【0026】
隔離部3は、再び図1ないし図3に示すように、長手方向に互いに対向する一方の面の下部から、上面を介して、対向する他方の面に至るまで設置された開閉部材としてのファスナー部材11を有し、このファスナー部材11を開いて、隔離部3を長手方向に沿って分割開閉可能になっている。すなわち、このファスナー部材11は、隔離部3の側面における側面がベッド部2に接する箇所を始点とし、この側面、上面、他方の側面を介して、この他方の側面における他方の側面がベッド部2に接する箇所を終点とした連続したライン上に設けられている。このファスナー部材11は、平面視における隔離部3の上面において、一方の長辺に近い箇所に長手方向に平行に設けられ、かつ長手方向に互いに対向する側面を、それぞれ他方の長辺に向かう方向の斜め下方に、側面がベッド部2に接する箇所まで設けられている。したがって、ファスナー部材11を開くことによって、長手方向に沿って分割した開状態にできるので、ベッド部2上が大きく解放され、患者をベッド部2上に横臥またはベッド部2上から移動させる作業が容易化かつ迅速化される。
【0027】
また、隔離部3の側面に水平に並べて、3つのウデ枠部材17,17,17が等間隔に離して設けられ、これらのうちから適宜のウデ枠部材17を用いて、外部の治療者が手腕部分を隔離部3内に挿入して、治療行為などを行なえるようにしている。すなわち、隔離部3のウデ枠部材が配置された箇所には、図示しない円形の開口が形成され、この開口には、軟質プラスチック材料を用いて、中心から放射状の切込みが形成された円形蓋状の図示しない第1ウデ枠部材が固定され、この第1ウデ枠部材には、同一パターンの中心から放射状の切込みが形成された円形蓋状の第2ウデ枠部材17Bが、回転可能に嵌合されている。したがって、第1ウデ枠部材に対して、第2ウデ枠部材17Bを回転させて、両者の切込みを一致させない場合には、所定の吸い込み量以下の隔離状態が保持される。他方、第2ウデ枠部材17Bを回転させて、両者の切込みを一致させた場合には、第1,2ウデ枠部17Bの切り込みに沿った変形が可能となるので、治療者が、長手袋などの対伝染防護処置を施した手腕部分を、第1,2ウデ枠部材17Bを通過させて、隔離部3内に差込んで、患者の治療を行える。
【0028】
換気ユニット4は、小型軽量化が図られ、かつ外部電源に依存することなく独立して一定時間の換気動作が可能に構成されている。すなわち、アルミニウムなどの軽合金製で略長箱状に形成されたケース内に、病原菌を捕捉可能な高性能フィルタであるHEPAフィルタ4aと、図示しないモータにより回転駆動される換気ファン4bと、この換気ファン用モータに電力を供給する二次電源4cと、これらの二次電源4cやモータの動作を制御する図示しない電気回路とを収納している。また、このケースの前面側には、電気回路に電気的に接続された操作パネル4dが設けられ、換気ユニット4としての動作状態を示す作動ランプやモータの動作を切換える操作スイッチが配列されている。すなわち、このケース内には、ケース前面に開口された通気口から、側面のフレキシブルホース18用の接続口に至る空気流路が区画して形成され、この空気流路の経路上における通気口側には、換気ファン4bが、接続口側には、HEPAフィルタ4aが、それぞれ設置されている。
【0029】
このHEPAフィルタ4aは、HEPAフィルタ4aを通過する空気に含まれる粒径がO.3μm以上の微細な埃などを、99.99%以上の集塵率で捕捉できるフィルタ性能を有している。したがって、換気のために換気ユニット4に取り込まれた空気は、HEPAフィルタ4aでろ過され、微細な埃や感染菌などが除去されて清浄化される。
【0030】
二次電源4cは、所定の蓄電容量が確保され、例えば6時間の搬送などに必要な所定の連続時間は充分に換気ユニット4を動作させて、隔離空間内を排気または給気できるようにしている。また二次電源4cは、交換可能なバッテリなどが用いられているので、予め予備のバッテリを用意しておくことにより、より長時間の動作を可能としている。
【0031】
したがって、このように構成された換気ユニット4によれば、操作パネル4dの所定のスイッチを操作することによって、正逆回転方向に換気ファン4bの回転方向が変更可能に構成され、これに応じて、隔離部3内の隔離空間に対して換気ユニット4が排気または給気のいずれかになる。このため、換気ユニット4によって、隔離空間を任意の陰圧または陽圧状態に変更して選択できる。すなわち、自身が感染症などの病原菌を保有している患者または保有の疑いのある患者を、隔離空間内に収容し、この隔離空間を陰圧にして外部への病原菌の拡散を防止するとともに、HEPAフィルタ4aにより患者の呼気などに含まれた病原菌を、隔離空間から排出された空気から除去し、患者からの空気を媒介とした感染経路を封鎖することができる。他方、例えば白血病などの血液疾病患者、つまり免疫力が低下して感染に弱い患者を搬送する場合には、この患者を隔離空間内に収容し、この隔離空間を陽圧にして外部からの病原菌の侵入を防止するとともに、HEPAフィルタ4aにより隔離空間に供給する空気から病原菌を除去し、患者への空気を媒介とした感染経路を封鎖することができる。この結果、2つの用途を兼用することができ、医療基材としての多機能性を確保できる。
【0032】
また換気ユニット4は、隔離部3の隔離空間内に空気通路としてのフレキシブルホース18を介して接続され、ベッド部2に対する換気ユニット4の設置箇所を変更可能にしている。すなわち、換気ユニット4の背面側には、ベッド部2のフレーム部材2Bに着脱可能な図示しない取付金具が設けられ、この取付金具によって、ベッド部2に対して垂直な姿勢状態を維持しながら、換気ユニット4をフレーム部材2Bの任意箇所に取り付け可能にしている。したがって、フレキシブルホース18の長さにより規定される到達範囲内であれば、ベッド部2のフレーム部材2Bのいずれの箇所でも、換気ユニット4の取り付け箇所を変更できる。例えば、図示したベッド部2の平面視で長辺となる側面箇所から、短辺となる側面箇所に、換気ユニット4の設置箇所を変更できる。したがって、この場合には、キャリングベッド1の横幅が、換気ユニット4の分だけ狭まるので、キャリングベッド1を狭い通路などを通過させることができる。他方、キャリングベッド1の横幅方向の重量バランスを向上でき、体重の軽い弱年者や高齢者を安定して搬送することができる。
【0033】
これに加えて、キャリングベッド1を置いた場所に、換気ユニット4を安置できる場所があるならば、ベッド部2から換気ユニット4を取り外して、他の場所に安置してもよい。したがって、この場合には、換気ユニット4がベッド部2から離れ、しかも柔軟なフレキシブルホース18を介在させているので、ベッド部2上の患者に換気ユニット4の作動音や僅かな振動も伝達させずに済むことになり、患者の心理的な面のケアを充分に図ることができる。また、換気ユニット4は、当然、キャリングベッド1が未使用で不必要な場合には、取り外して別の場所に保管できるので、電気機器としての性能を維持できる、他方、換気ユニット4の修理が必要な場合には、同様に取り外して、別の換気ユニット4と交換できるので、保守性を向上できるとともに、キャリングベッド1が必要な機会に充分対処できる。
【0034】
なお、20A〜20Cは、それぞれ隔離部2の所定箇所に設けられた通気用の孔部であり、これらのうちの2つを給排気用に使用し、残りの1つを緊急用の孔部に任意に選択可能にしている。すなわち、一方の換気用に選択された孔部20Aには、換気ユニット4のフレキシブルホース18の一端が接続され、他方の換気用に選択された孔部20Bには、通気する空気流量を調節するシート状の流量調節部材20aが着脱可能に設けられている。この流量調節部材20aには、換気ユニット4の換気能力、つまり供給または排出風量に応じて合計した開口面積が設定された所定径の複数の孔が配列して設けられており、上記の陰圧または陽圧状態を保ちながら、孔部20Bが、換気ユニット4に対する他方の吸入口又は排出口になるようにしている。したがって、このように隔離部3に対して略長手方向に互いに離れて位置する2つの孔部20A,20Bが、それぞれ給排気用の通気孔に選択されているので、隔離部3内を長手方向の一方端から他方端に流れる空気流が形成され、隔離部3内の全域を効率的に換気できる。
【0035】
また、緊急通気用として選択された孔部20Cは、簡単に剥離可能な粘着シートや、マジックファスナー(登録商標)などを用いた封止部材20bによって、解除可能に封止されている。このため、通常の場合には、封止部材20bが、孔部20Cの開口周縁部に帯状に貼着されて、この孔部20Cを安定して封止する一方、何らかの理由で大空気量の換気が必要となった場合に、封止部材20aを剥がして、緊急通気用の孔部20Cとして開口を開放できるようしている。
【0036】
次に、この第1実施形態のキャリングベッド1の使用手順を説明する。すなわち、キャリングベッド1として使用状態にする場合には、折り畳まれた隔離部3をベッド部2上に載置し、展開する。次に、隔離部3に圧送手段から膨張空気を供給して、立体形状にする。また換気ユニット4を適宜の箇所に取り付け、フレキシブルホース18を所定に接続してセットが完了すると、キャリングベッド1の使用状態になる。
【0037】
そして、このキャリングベッド1で患者を隔離する場合には、隔離部3のファスナー部材11を開いて、患者を隔離部3内に収容し、ファスナー部材11を閉じる。そして、換気ユニット4を作動させて、隔離部3内を所定に陰圧または陽圧状態にする。
【0038】
他方、キャリングベッド1を保管状態にする場合には、まずフレキシブルホース18の接続を解除し、次に圧送手段のエアチューブの接続を解除し、膨張部6A〜6Dおよび第2膨張部7A,7Bから空気を抜く。これらの部材6A〜6D,7A,7Bから空気が完全に抜けると、隔離部3は、シート状の部材を重ね合わせた扁平な長四角形状になり、この長四角形状から、さらに折り畳むことにより、長四角形状の約1/6の面積にできる。さらに、換気ユニット4を取り外せば、ベッド部2単体のみを残して、この他の折り畳んだ隔離部3や換気ユニット4などを、ベッド部2から別の場所に保管することができる。したがって、救急車などの搬送車両に、ベッド部2および台車5からなる構成を通常の患者の搬送用途に用いながら、折り畳んだ隔離部3や換気ユニット4などを搬送車両の別の格納場所に搭載することができる。このため、隔離が必要な患者専用の搬送車両を不要とでき、一般の搬送車両を隔離が必要な患者に使用できる。
【0039】
このように第1実施形態によれば、ベッド部2上に隔離空間を形成する隔離部3を、気密性および柔軟性を有した材質により軽量薄型のシート状部材を用いて形成し、この隔離部3を隔離空間を形成するための立体形状に保持する保持部材6としての膨張部6A〜6Dおよび第2膨張部7A,7Bを、同様に気密性および柔軟性を有した材質により軽量薄型のシート状部材を用いて空気圧により支柱形状に膨張させることにより、構造強度を担当させる部材に構成したので、少なくとも、これらの隔離部3および保持部材6が薄く軽いものとなり、キャリングベッド1全体としての重量を軽量化が図れ、簡単かつ軽快な取扱いが可能なキャリングベッド1にできる。他方、保持部材6を含めて隔離部3を折り畳めるので、キャリングベッド1を保管するスペースの省スペース化を図ることができる。このため、搬送車両などの狭い保管スペースに、キャリングベッド1を予め搭載しておいたり、多数のキャリングベッド1を搭載したりできる。
【0040】
特に、このキャリングベッド1の従来構成に相当する患者搬送装置においては、キャリングベッド1の隔離部3に相当する部材が、自身の剛性強度で内外の気圧差に対抗して形状を保持する必要から、均一な面圧を受けるために曲面を有した半円筒形状に形成されているのに対して、このキャリングベッド1は、隔離部3の形状を維持するための剛性強度を担当する専用部材として保持部材6を設けているので、隔離部3の形状を、ベッドの形状に対応した長方形状にできる。すなわち、ベッドの横幅、長さ、高さなどに規定された空間を、そのまま隔離部3によって区画された隔離空間として効率的に利用できる。他方、患者搬送装置では、隔離部3に相当する部材を所定形状に製作するために大きな金型や、形状精度の確保、さらには多くの材料が必要となるのに対して、これらの隔離部3および保持部材6は変形してもよい構成なので、薄型軽量化が図れ、材料が少なくて済み、コストダウンを図ることができる。
【0041】
なお、上記の第1実施形態では、直方体形状に形成した隔離部3の四隅部に、それぞれ膨張部6A〜6Dを設けた構成としたが、これに限られることなく、より多くの膨張部6A〜6dを設けてもよい。すなわち、図6に示すように、ウデ枠部材17,17を回避して、それぞれの隔離部3の側面の内側に2つの膨張部6A,6b、膨張部6C,6dを追加して設け、これらの膨張部6A,6b、膨張部6C,6dの上端を、それぞれ対応する第2膨張部7A、第2膨張部7Bに接続した構成としてもよい。さらに、膨張部6A〜6Dおよび膨張部6A〜6dの下端を、直方体形状に形成した隔離部3の側面における下側の長辺に沿って配設した第2膨張部7C、第2膨張部7Dに接続した構成としてもよい。したがって、この構成によれば、これらの膨張部6A,6b、膨張部6C,6dによって、隔離部3の長手方向の中間部がたるむことが、より回避できる。これに加えて、これらのすべての部材によって形成される内部空間が格子状に形成されるので、隔離部3の側面に面としての強度を付与することができる。他方、隔離部3内に収容された患者に対して、膨張部6A〜6dがクッション材としての機能を果たすことが期待できる。
【0042】
次に、この発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態のキャリングベッド25は、図7に示すように、ベッド部2に取付け取り外し可能な第2保持部材である枠部材12が設けられ、この枠部材12によって、立体形状の隔離部3の周囲を取り囲んで、隔離部3を保護するとともに、隔離部3の上側周縁部の適宜箇所を上方に吊り上げて、隔離部3の形状維持を補助できるようにしている。なお、前記した第1実施形態と同一の構成の部材には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略することにする。
【0043】
すなわち、この枠部材12は、下方に開口した幅広のU字形状に形成され、ベッド部2に着脱可能な2つのバ−支持部材13A,13Bと、これらのバ−支持部材13A,13Bの上側に、それぞれ着脱可能な直管状のバ−部材14A,14Bとを有している。バ−支持部材13A,13Bおよびバ−部材14A,14Bは、中空管状のパイプ部材をそれぞれ用いて形成されており、バ−支持部材13A,13Bの下端には、それぞれベッド部2のフレーム部材2Bの図中の左右方向の角部に取り付けられてバ−支持部材13A,13Bを上方に立設した姿勢でフレーム部材2Bに対して固定する取付け部15a,15bが設けられている。また、これらの取付け部15a,15bは、フレーム部材2Bに取り付けられた状態で、固定金具を下側に位置させるとバ−支持部材13A,13Bを立設した姿勢にロックする機構を有し、この固定金具を上側に位置させてロックを解除した場合には、バ−支持部材13A,13Bがフレーム部材2B側に向けて倒れるように構成されている。
【0044】
バ−支持部材13A,13Bの上側には、バ−部材14A,14Bを支持する上方に開口された略U字状の取付け金具16a,16a,16b,16bが設けられている。バ−部材14A,14Bは、隔離部3の長手方向長さよりも、長い長さが確保され、その中間には複数の貫通孔14a,14bが等間隔で設けられている。なお、このバ−部材14A,14Bとしては、複数の径の異なるパイプ部材を長手方向に収納した構成の伸縮式のものを用いてもよく、この構成によれば、保管時などの未使用時に、長さを縮めて短くできるので、コンパクトで取扱いやすいものとなる。
【0045】
略直方形状に形成された隔離部3の上側の長辺に相当する箇所には、図8(A)に示すように、この長辺に沿った筒状の差込部26が取り付けられ、差込部26は、バ−部材14A,14Bの外径よりも内径が大きくて設定されている。したがって、バ−部材14A,14Bを差込部26に差し込みながら、バ−支持部材13A,13Bの取付け金具16a、16bに掛け渡すことにより、隔離部3の上側の長辺の部分を連続した全域に渡って、上方に吊り上げることができる。このため、長辺の部分がバ−支持部材13A,13Bの形状に応じた直線状に維持できる。なお、バ−部材14A,14Bの両端には、差込部26よりも外径が大きなキャップ部が取着可能に設けられており、差込み後には、このキャップ部材により、差込部26からのバ−部材14A,14Bの抜け止めを図るとともに、バ−部材14A,14Bの端部の保護できるようにしている。
【0046】
次に、この第2実施形態のキャリングベッド25の使用手順を説明する。すなわち、このキャリングベッド25を使用状態にする場合には、上記第1実施形態の使用手順と異なり、ベッド部2の長手方向に対して前後となるバ−支持部材13A,13Bを取り付け、次に折り畳まれた隔離部3をベッド部2上に載置し、展開する。そして、隔離部3に圧送手段から膨張空気を供給して、立体形状にする。次にバ−部材14A,14Bを差込部26に差し込み、バ−支持部材13A,13Bの取付け金具16a、16bに掛け渡す。また換気ユニット4を適宜の箇所に取り付け、フレキスブルホース18を所定に接続しセットして、キャリングベッド25が使用状態となる。
【0047】
そして、キャリングベッド25で患者を隔離する場合には、上記第1実施形態と同様に、隔離部3のファスナー部材11を開くが、この際に差込部26に差し込まれているバ−部材14A,14Bを用いることにより、迅速かつ容易に隔離部3を分割した状態に開くことができる。また患者を隔離部3内に収容した後には、同様にバ−部材14A,14Bを用いることにより、迅速かつ容易に隔離部3を閉じた状態に復帰させることができる。そして、換気ユニット4を作動させて、隔離部3内を所定に陰圧または陽圧状態にする。
【0048】
したがって、この第2実施形態によれば、枠部材12が、立体形状の隔離部3の全周囲を取り囲んで、隔離部3を保護するとともに、隔離部3の上側周縁部を上方に吊り上げて、隔離部3の形状維持を補助できる。すなわち、隔離部3の上側長辺を上方に吊り上げることができ、この長辺の中間部分が、中だるみすることが防止される。
【0049】
なお、図8(B)に示すように、リング状の吊り下げ環部材を、隔離部3の上側の所定箇所に、複数、接続して設けて、吊り下げ環部材27をバ−部材14A,14Bに差し込んだ構成としてもよい。したがって、この構成によれば、上記の効果に加えて、隔離部3の上側の任意箇所にリング状の吊り下げ環部材27を設けて、バ−部材14A,14Bにより吊り上げることができる。このため、例えば隔離部3の上側長辺の中央箇所のみを吊り上げたり、この長辺から離れた箇所を吊り上げることができる。この結果、隔離部3側の吊り上げられる箇所の選択幅を広げることができ、設計の自由度を向上できる。
【0050】
また、図9に示すように、隔離部3の横断面形状を上辺が狭い台形状に形成した構成とすることにより、隔離部3の上側周縁部とバ−部材14A,14Bとの距離を所定に確保して、バ−部材14A,14Bからの張力の調整や、より大きな直径の吊り下げ環部材などのように長い間隙距離が必要な構成の介装部材用に距離を確保するようにしてもよい。他方、吊り上げ方向が、斜めになるので、隔離部3に対して斜め方向から外力が加わった場合にも、隔離部3の形状の保持が図れる。すなわち、例えば野外活動で突風などで横風を受けても、隔離部3の安定した形状の維持が可能となる。
【0051】
さらに、上記の第1,第2実施形態では、保持部材6を隔離部3の内側に設け、この保持部材6が隔離部3を内側から支えて隔離部3を立体形状に保持する、謂わば内骨格の構造にしたが、これに限られることなく、隔離部3の外側に設けた外骨格の構造にしてもよく、さらに、これらの両者を適宜、組み合わせても良い。また、保持部材6を角柱形状に形成したが、これに限ることなく、例えば丸柱形状や多角柱形状などのように、空気圧による支柱としての強度が確保できるならば、隔離部3の垂直な辺に沿って上下に連続した柱形状であればよい。さらに、保持部材6を、隔離部3に接合して一体に設けたが、別部材として設けてもよく、少なくとも、この別部材の保持部材の上端および下端を、それぞれ対応した隔離部3の天井側および床側に着脱可能な構成としてもよい。
【0052】
【発明の効果】
この発明は前記のようであって、請求項1の発明によれば、隔離空間を形成する隔離部を、気密性および柔軟性を有した材質を用い、この隔離部を隔離空間を形成する立体形状に保持する保持部材を、同様に気密性および柔軟性を有した材質を用いて空気圧により支持する形状に膨張させる構成としたので、少なくとも、これらの隔離部および保持部材が薄く軽いものとなり、簡単かつ軽快な取扱いが可能なキャリングベッドにできる。他方、隔離部を折り畳めるので、キャリングベッドを保管するスペースの省スペース化を図ることができる。このため、搬送車両などの狭い保管スペースに、キャリングベッドを予め搭載しておいたり、多数のキャリングベッドを搭載したりできる。
【0053】
特に、ベッド部上に隔離して安置された患者は、周囲を柔軟性を有した隔離部および同様に柔軟性を有し空気圧で膨張した保持部材によって囲まれるので、何らかの理由でベッド部と患者とが相対移動して、患者の身体が隔離部または保持部材に接触しても、患者が傷つく可能性を最小限に留めることができる。このため、キャリングベッドを用いた患者の搬送時には、高い安全性を確保できる。
【0054】
請求項2の発明によれば、保持部材は、隔離部の所定箇所に配置され、支柱形状に膨張する複数の膨張部を有し、これらの膨張部のうち、長手方向に対向する膨張部同士の上端が、少なくとも気密性および柔軟性を有した材質の長尺形状に膨張する第2膨張部により空気通路を確保して接続され、この第2膨張部により前記膨張部同士の上端の間に介在する隔離部の上側を支持している第2膨張部材により保持部材同士の上端の間に介在する隔離部の上側を支持しているので、内外気圧差に対抗した隔離部の立体形状の維持を図ることができる。
【0055】
請求項3の発明によれば、隔離部の立体形状が略長方形状とされ、この隔離部の平面視で各隅部に保持部材を配置しているので、ベッド上の空間を隔離空間として有効に利用できる。すなわち、ベッドの横幅、長さ、高さなどに規定された空間を、そのまま隔離部によって区画された隔離空間として効率的に利用できる。このため、隔離空間に収容された患者に対して、心理的な圧迫感を与えることが軽減できる。
【0056】
請求項4の発明によれば、開閉部材によって、隔離部を長手方向に沿って分割した開状態にできるので、ベッド上が大きく解放され、患者をベッド上に横臥またはベッド上から移動させる作業が容易化かつ迅速化される。他方、これらの作業時には、患者に無理な姿勢を採らせるなどの負担をかけずに済む。しかも隔離部および保持部材が柔軟な材質で変形可能に構成されていることから、これらの作業中に、隔離部および保持部材が患者に接触しても、患者の着衣が引っ掛かったり、患者が傷ついたりしないで済む。このため、医療機材としての利便性や機能性を向上できる。
【0057】
請求項5の発明によれば、ベッド部に着脱可能で、隔離部の周囲を取り囲んで保持する第2保持部材を有しているので、この第2保持部材によって、隔離部の形状維持を補助できるとともに、隔離部の保護が図れる。また第2保持部材を、患者の治療に必要な器具の固定箇所として利用でき、利便性を向上できる。
【0058】
請求項6の発明によれば、換気ユニットが空気送給方向を逆転して、隔離部が形成した空間内を陰圧または陽圧に切替え可能にしているので、隔離空間内に陰圧が必要な感染症などの患者に対処するための用途と、陽圧が必要な白血病などの免疫不全症または免疫力が低下した患者に対処するための用途とを兼用することができる。このため、多機能化が図れ、医療機材としての汎用性を高めることができる。
【0059】
請求項7の発明によれば、換気ユニットを隔離部に空気通路としてのフレキシブルホースを介して接続し、少なくともベッド部に対する換気ユニットの設置箇所を変更可能にしているので、必要に応じて換気ユニットを起因とする重量バランスを適正化できる。
【0060】
請求項8の発明によれば、保持部材に空気圧を供給する送圧手段を有しているので、保持部材の空気圧を任意に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示し、(A)は、キャリングベッドの平面図であり、(B)は、キャリングベッドの全体構成を示す正面図である。
【図2】この発明の第1実施形態を示し、(A)は、キャリングベッドの隔離部の右側面図であり、(B)は、左側面図である。
【図3】この第1実施形態を示し、台車を展開した状態のキャリングベッドを示す斜視図である。
【図4】この第1実施形態を示し、台車を折り畳んだ状態のキャリングベッドを示す斜視図である。
【図5】この第1実施形態を示し、レントゲンなどの検査時に隔離部を縮小させた状態のキャリングベッドを示す概略図である。
【図6】この第1実施形態を示し、保持部材の他の構成例を示す概略図である。
【図7】この発明の第2実施形態を示し、枠部材を有したキャリングベッドの全体構成を示す斜視図である。
【図8】この発明の第2実施形態を示し、(A)は、吊り上げ構成の詳細を説明する部分拡大斜視図であり、(B)は、他の構成の部分拡大斜視図である。
【図9】この第2実施形態を示し、隔離部の横断面における外形状を台形状に形成して吊り上げた構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1,25 キャリングベッド 2 ベッド部
3 隔離部 4 換気ユニット
4a HEPAフィルタ 4b 換気ファン
4c 二次電源 4d 操作パネル
5 台車 6 保持部材
6A〜6D 膨張部 7A,7B 第2膨張部
8A,8B 空気注入用コネクタ 9C,9D バルブ
11 ファスナー部材(開閉部材) 12 枠部材(第2保持部材)
13A,13B バ−支持部材 14A,14B バ−部材
15a,15b バ−支持部材をベッド部に固定する取付け部
16a,16b バ−支持部材のバ−部材用取付け金具
18 フレキシブルホース
20A〜20C 通気用の孔部 20a 流量調節部材
20b 封止部材 26 差込部
27 吊り下げ環部材

Claims (8)

  1. 患者を横臥して搬送可能なベッド部と、このベッド部上に設置され、患者を所定の立体形状の空間内に収容する隔離部と、前記空間内を換気して所定の圧力差に保つ換気ユニットとを具え、患者を隔離して搬送するキャリングベッドであって、
    隔離部は、気密性および柔軟性を有した透明または半透明の材質により形成され、空気圧により膨張し、前記隔離部を、少なくとも、立体形状に保持する保持部材を有していることを特徴とするキャリングベッド。
  2. 保持部材は、隔離部の所定箇所に配置され、支柱形状に膨張する複数の膨張部を有し、
    これらの膨張部のうち、長手方向に対向する膨張部同士の上端が、少なくとも気密性および柔軟性を有した材質の長尺形状に膨張する第2膨張部により空気通路を確保して接続され、この第2膨張部により前記膨張部同士の上端の間に介在する隔離部の上側を支持している請求項1記載のキャリングベッド。
  3. 隔離部の立体形状が、略長方形状とされ、この隔離部の平面視で四隅部に、前記膨張部を配置している請求項1または2に記載のキャリングベッド。
  4. 隔離部は、長手方向に互いに対向する一方の面の下部から、上面を介して、対向する他方の面に至るまで設置された開閉部材によって、長手方向に沿って分割開閉可能になっている請求項1ないし3のいずれかに記載のキャリングベッド。
  5. 隔離部は、ベッド部に着脱可能で、隔離部の周囲を取り囲んで保持する第2保持部材を有している請求項1ないし4のいずれかに記載のキャリングベッド。
  6. 換気ユニットは、フィルタを有して換気する空気を清浄化し、二次電源を内蔵して単独動作を可能とし、この換気ユニットの空気送給方向を逆転して、前記空間内を陰圧状態または陽圧状態に切替え可能になっている請求項1ないし5のいずれかに記載のキャリングベッド。
  7. 換気ユニットは、隔離部に空気通路としてのフレキシブルホースを介して接続され、少なくとも前記ベッド部に対する換気ユニットの設置箇所を変更可能になっている請求項1ないし6のいずれかに記載のキャリングベッド。
  8. 保持部材に、前記空気圧を供給する送圧手段を有している請求項1ないし7のいずれかに記載のキャリングベッド。
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