JP2004350520A - 釣り餌 - Google Patents
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Abstract
【課題】魚の好む摂餌材料に、光沢を有するレーヨン繊維を混入することにより集魚効果を高めることを可能とするとともに、レーヨン繊維自体も生分解性であることから、魚の視覚を刺激する素材としてレーヨン繊維を混入した釣り餌の全てを分解し、環境に与える影響を最小にすることを可能としている。
【解決手段】魚の好む餌材料に、光沢を有するレーヨン繊維を混入して釣り餌を形成する。
【解決手段】魚の好む餌材料に、光沢を有するレーヨン繊維を混入して釣り餌を形成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、釣りに使用する撒き餌、練り餌、擬似餌などの釣り餌に係るもので、釣りの対象となる魚の視覚における注目度を特に高めることにより、集魚効果を向上させて釣果を増すことを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特公平6−53043号公報
【特許文献2】特公昭60−46929号公報
【0003】
魚は、嗅覚・味覚・視覚などによって策餌行動を起こすことが知られている。従って、魚の好む摂餌材料を釣り餌として用いれば、魚は好みの摂餌材料を嗅覚・味覚・視覚などによって識別するため、集魚効果を高めることが可能となる。このことから、従来よりオキアミ、イワシ、サナギその他、魚が好む摂餌材料を主原料として嗅覚・味覚・視覚などを刺激するものが釣り餌として一般的に用いられている。
【0004】
また、近年では集魚効果を更に高めることを目的として、魚の好む摂餌材料に特定の物質を添加したものも開発されている。例えば、特許文献1の発明の如く、魚の好む摂餌材料に繊維粉末を混入した釣り餌などが提案されている。
【0005】
また、同じく集魚効果を更に高めることを目的としたものとして、魚の好む摂餌材料とともに光輝性を有する物質を海中などに散布して、魚の視覚を刺激する方法についても開発されている。例えば、特許文献2の発明の如く、魚の好む摂餌材料とともに、光輝性を有する鉱物を散布する集魚方法などが提案されている。
【0006】
特許文献2の発明に係る光輝性を有する鉱物としては、例えば、マイカのようなりん片状に劈解できる鉱物が用いられている。この鉱物は、受けた光を反射することにより、光輝性を発揮するものである。そのため、この鉱物自身が有する光輝性によって、魚の視覚を刺激することが可能となる。
【0007】
従って、この鉱物を着色し、適度な大きさに粉砕して、こませ餌など魚の好む摂餌材料とともに海中などに散布すれば、鉱物自身が有する光輝性及び着色した色彩により、魚の視覚を刺激することが可能となるため、これにより集魚効果を高めようとするものである。
【0008】
また、特許文献2と同様に、乾燥させた魚鱗に着色及び粉砕加工を施して魚の好む摂餌材料に添加し、魚鱗の有する光輝性と魚鱗に施した色彩によって、魚の視覚を刺激し、集魚効果を高めるようとする方法も従来より提案されている。
【0009】
また、着色した合成樹脂の小片を、魚の視覚を刺激する素材として魚の好む摂餌材料に混合することにより、魚へのアピールを向上させて集魚効果を高めることを目的とした釣り餌が開発されている。この素材は、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムに、視覚的に目立つ色に着色して金属蒸着などを施した後、小片に裁断することにより得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に係る発明に用いられている繊維粉末は、主に他の添加物を保持することを目的として用いられているため、容易に他の添加物を吸収したり、絡めたりすることができるものを用いなければならない。従って、この繊維粉末には、表面に多くの凹凸を有したり、先端がフィブリル化した合成繊維や天然繊維の廃繊維が主に使用されている。
【0011】
従って、この繊維粉末の表面は滑らかではなく、光を反射しにくい構造となっているため、受けた光をほとんど反射せず、絹やレーヨン繊維などのような優れた光輝性を発揮し得ない。そのため、魚の好む摂餌材料にこの繊維粉末を添加しても、繊維粉末自体が光ることによって魚の視覚を刺激することは少ない。
【0012】
以上の通り、特許文献1の発明に係る釣り餌においては、魚の好む摂餌材料に繊維粉末を添加することにより、嗅覚などを刺激することは可能であるが、魚の視覚を更に刺激することは少ないため、魚の視覚を刺激することにより集魚効果が高まる可能性は少ない。
【0013】
また、特許文献2に係る発明において、光輝性を有する鉱物を着色することは可能であっても、鉱物に着色した場合は色彩が鮮明でない場合が多い。そのような場合は、着色した色彩によって魚の視覚を十分に刺激することが困難となる。
【0014】
また、光輝性を有する鉱物は粉砕して使用するが、粉砕により生じた粉粒体は、メッシュなどを使用して一定寸法以下のものを選択することはできるが、同一寸法のものを揃えることは困難である。
【0015】
そのため、このような粉粒体をゼリー状の摂餌材料などに混入した場合、粉粒体は大きさ、重量などが大きく異なるため、摂餌材料に粉粒体を均一に分散させることが困難となり、分散に偏りが生じる。従って、製造工程において不都合が生じるとともに、粉粒体が均一に分散していないために、粉粒体の光輝性や色彩によって魚の視覚を刺激する効果が、使用する釣り餌ごとに異なるものとなる欠点が生じる
【0016】
以上の通り、特許文献2の発明に係る光輝性を有する鉱物においては、着色及び粉砕加工を施して、魚の好む摂餌材料とともに海中などに散布しても、魚の視覚を十分に刺激することができるものとできないものとが生じ、製品に大きなバラつきを生じるため、信頼性の低いものとなる。
【0017】
また、魚鱗を用いる方法においても、特許文献2の発明に係る方法と同様に、魚鱗に着色を施しても鮮明な色彩を施すことが困難であるとともに、粉砕することにより得た粉粒体は、粉粒体の個々の大きさや重量などが異なったものとなる。従って、不鮮明な色彩で大きさや重量が著しく異なる粉粒体を使用しても、上述の如く製品のバラつきが大きくなり、信頼性に欠ける釣り餌となる。
【0018】
一方、合成樹脂の小片を摂餌材料に混入した釣り餌においては、合成樹脂の小片の色彩を、着色により鮮明なものとすることが可能であるとともに、小片の大きさや重量を均一なものとすることも可能である。しかし、ポリプロピレン等の合成樹脂は難分解性であるため、これらの樹脂を加工して魚の好む摂餌材料に混入すると、摂餌材料は生分解してもポリプロピレン等の合成樹脂が自然界に長期間にわたって残存してしまい、環境に好ましくない影響を与えるものとなる。
【0019】
また、合成樹脂自体は魚の視覚を刺激するほどの光輝性を有しておらず、魚の視覚を刺激し得る程度の光輝性を持たせるためには、改めて金属蒸着やメッキ加工を施すなどの手数を必要とするため、製造に手間がかかる。
【0020】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、水中において光輝性を有する素材への魚の注目度が高いことに着目し、魚の好む摂餌材料に魚の視覚を刺激する素材を混入して魚の注目度を高め、集魚効果を向上させることを可能とするとともに、この素材が自然界に長期間残存することなく短期間で分解し、環境に与える影響を最小限にすることを可能とするものである。
【0021】
また、魚の視覚を刺激する素材の製造を容易かつ安価にすることを可能とするとともに、大きなバラつきのない、信頼性の高い製品を得ることを可能とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、魚の好む摂餌材料に、光沢を有するレーヨン繊維を混入して形成したものである。
【0023】
また、レーヨン繊維は、ビスコースレーヨン又はキュプラであっても良い。
【0024】
また、レーヨン繊維は、魚の好む摂餌材料に対し0.1wt%〜3.0wt%混入するものであっても良い。
【0025】
また、レーヨン繊維は、太さ17デニール〜330デニールであっても良い。
【0026】
また、レーヨン繊維は、長さ0.3mm〜30.0mmであっても良い。
【0027】
【作用】
本発明は、上述の如く構成したものであり、本発明で用いるレーヨン繊維は、絹様の光沢を有することを特徴としている。従って、魚の好む摂餌材料に光沢を有するレーヨン繊維を混入すれば、レーヨン繊維の有する光沢により魚へのアピール度を向上させることができるため、高い集魚効果を得ることが可能となる。
【0028】
また、レーヨン繊維は、自然界に存在するセルロースを原料とした生分解性繊維であるとともに親水性であるため、海、川、池等に投入した場合に水中で分解し易い。従って、魚の好む摂餌材料に混入して使用すると、魚の好む摂餌材料とともにレーヨン繊維も分解し、環境に与える影響を小さくすることが可能となる。
【0029】
また、レーヨン繊維の太さを均一なものとすることは容易であり、レーヨン繊維の繊維方向の長さを一定にすることも容易である。そのため、レーヨン繊維を小片に裁断する場合に、小片の個々の大きさを均一にすることが可能である。そして、このように均一な大きさのレーヨン繊維の小片を、ゼリー状の魚の好む摂餌材料などに混入すれば、大きさ、重量が同一の小片が摂餌材料に均一に分散するため、製品に大きなバラつきが生じず、信頼性の高いものを得ることが可能となる。
【0030】
また、レーヨン繊維は、ビスコース法により紡糸したビスコースレーヨン、又は銅アンモニア法により紡糸したキュプラを用いるのが好ましい。ビスコースレーヨンは、今日レーヨン繊維の中で最も多く生産されており、生産費用も安いため、容易かつ安価に魚の視覚を刺激する素材を製造することが可能となる。また、キュプラは、レーヨン繊維の中でも特に優れた光沢を有しているため、魚の好む摂餌材料に混入することにより、更に高い集魚効果を得ることが可能となる。
【0031】
また、レーヨン繊維は、魚の好む餌材料に対する混入量が0.1wt%〜3.0wt%であることが好ましい。混入量が0.1wt%よりも少ない場合は、魚の視覚を刺激する効果が少ないため集魚効果が低下する可能性があり、また、混入量が3.0wt%よりも多い場合は、魚が本発明の餌を異物として認識する可能性があるため、高い集魚効果を得ることが困難となる。
【0032】
また、レーヨン繊維の太さは、17デニール〜330デニールであることが好ましい。太さが17デニールよりも細い場合は、魚の視覚を刺激する効果が少ないため集魚効果が低下する可能性があり、330デニールよりも太い場合は、レーヨン繊維の製造が困難となる可能性がある。
【0033】
また、レーヨン繊維の長さは、0.3mm〜30.0mmであることが好ましい。長さが0.3mmよりも短い場合は、魚の視覚を刺激する効果が少ないため集魚効果が低下する可能性がある。一方、長さが30.0mmよりも長い場合は、魚がこのレーヨン繊維を異物として認識する可能性があるため、高い集魚効果を得にくくなるとともに、繊維どうしが絡まるなど釣り餌としての扱いに不都合が生じる可能性がある。
【0034】
【実施例】
本発明により形成する釣り餌は、生オキアミや粉末状の摂餌材料などを水中にばら撒く撒き餌、粘性のある摂餌材料を釣行時に一定の形状に形作って用いる練り餌、摂餌材料にゲル化剤を添加し、虫などの生物を模した形にゲル化させて用いるゼリー状の擬似餌などである。
【0035】
以下、本発明の一実施例を説明すれば、魚の好む摂餌材料としてパン粉、おから粉末、エビ粉を用いた。また、ビスコースレーヨンは桃色に染色し、長さ10.0mmに裁断したものを用いた。また、これらの配合比をそれぞれ、パン粉55.6wt%、おから粉末27.9wt%、エビ粉13.8wt%、ビスコースレーヨン2.7wt%とした。そして、パン粉、おから粉末、エビ粉、ビスコースレーヨンを攪拌機にて混合することにより、本発明の実施例に係る釣り餌とした。この釣り餌に、この釣り餌の2倍の重量の生オキアミを添加して混合した後、海水を加えたものを、実釣実験に使用した。
【0036】
また、比較例として、パン粉57.1wt%、おから粉末28.6wt%、エビ粉14.3wt%を上記と同様に攪拌機にて混合した釣り餌に、この釣り餌の2倍の重量の生オキアミを添加して混合した後、海水を加えたものを使用した。
【0037】
この両者の釣り餌で、平成15年2月18日午前7時〜午後2時まで、南伊豆の入間にて実釣比較試験を行った。当日の天候は快晴、水温は16℃で、釣りのコンディションとしては良好であった。本実施例及び比較例では、上記の釣り餌をコマセとして使用するとともに、くわせ餌として生オキアミを使用した。
【0038】
そして、実施例の釣り餌及びくわせ餌を海中に投じた結果、メジナの群が水面近くまで浮上したが、比較例の釣り餌及びくわせ餌を海中に投じても、水面近くにメジナの群を視認することができなかった。また、本発明実施例の釣り餌をコマセとして用いた場合は、メジナが15匹、比較例の釣り餌ではメジナが7匹の釣果であった。以上より、ビスコースレーヨンを魚の好む摂餌材料に混入することにより、集魚効果が高まることを確認することができた。
【0039】
また、本実施例で使用したビスコースレーヨンは、一般的に広く用いられている普通レーヨンと呼ばれるものを使用しているが、その他にも、繊維内を中空に加工したものや、全体の形状を扁平に加工したものなど、あらゆる種類のものを使用することが可能である。
【0040】
また、本実施例では魚の好む摂餌材料として、パン粉、おから粉末、エビ粉を混合したものを使用しているが、その他にも、生オキアミ、イワシ、サナギ、小麦など、釣りの用途に応じてあらゆる種類の摂餌材料に使用することが可能である。更に、これらの摂餌材料及びビスコースレーヨンをゼラチンに添加して、ゼリー状の釣り餌として使用することもできる。
【0041】
ゼリー状の釣り餌については、添加するビスコースレーヨンの小片の大きさや重量を均一にすることができるため、この小片を釣り餌内に均一に分散することが可能となる。従って、製品に大きなバラつきが生じず、信頼性の高いものを得ることが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は上述の如く、魚の好む摂餌材料に魚の視覚を刺激する素材としてレーヨン繊維を混入した場合にも、魚の視覚を刺激する素材が自然界に長期間残存することなく比較的短期間で分解し、環境に与える影響を最小限にすることを可能とする。また、本発明で用いるレーヨン繊維は、他の添加物を保持して摂餌材料のばらけ度合いを調節するものではないことから、フィブリル化しておらず表面が平滑なものを用いることができる。そのため、受けた光を容易に反射し得る構造とすることが可能となり、優れた光輝性を発揮することができる。
【0043】
このように優れた光輝性を有するレーヨン繊維を、魚の視覚を刺激する素材として魚の好む摂餌材料に混入することにより魚にアピールすることができるため、集魚効果を向上させることが可能となる。
【0044】
また、レーヨン繊維は親水性で染色が容易であり、染色のみによって光沢のある色彩を得ることが可能となるため、魚の視覚を刺激する素材を容易かつ安価に製造することができる。また、均一な太さのレーヨン繊維を一定の長さに裁断することにより、均一な大きさ及び重さの小片を得ることができるため、ゼリー状の摂餌材料などに均一に分散させることが可能となり、製品に大きなバラつきが生じず、信頼性の高いものを得ることが可能となる。
【産業上の利用分野】
本発明は、釣りに使用する撒き餌、練り餌、擬似餌などの釣り餌に係るもので、釣りの対象となる魚の視覚における注目度を特に高めることにより、集魚効果を向上させて釣果を増すことを目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特公平6−53043号公報
【特許文献2】特公昭60−46929号公報
【0003】
魚は、嗅覚・味覚・視覚などによって策餌行動を起こすことが知られている。従って、魚の好む摂餌材料を釣り餌として用いれば、魚は好みの摂餌材料を嗅覚・味覚・視覚などによって識別するため、集魚効果を高めることが可能となる。このことから、従来よりオキアミ、イワシ、サナギその他、魚が好む摂餌材料を主原料として嗅覚・味覚・視覚などを刺激するものが釣り餌として一般的に用いられている。
【0004】
また、近年では集魚効果を更に高めることを目的として、魚の好む摂餌材料に特定の物質を添加したものも開発されている。例えば、特許文献1の発明の如く、魚の好む摂餌材料に繊維粉末を混入した釣り餌などが提案されている。
【0005】
また、同じく集魚効果を更に高めることを目的としたものとして、魚の好む摂餌材料とともに光輝性を有する物質を海中などに散布して、魚の視覚を刺激する方法についても開発されている。例えば、特許文献2の発明の如く、魚の好む摂餌材料とともに、光輝性を有する鉱物を散布する集魚方法などが提案されている。
【0006】
特許文献2の発明に係る光輝性を有する鉱物としては、例えば、マイカのようなりん片状に劈解できる鉱物が用いられている。この鉱物は、受けた光を反射することにより、光輝性を発揮するものである。そのため、この鉱物自身が有する光輝性によって、魚の視覚を刺激することが可能となる。
【0007】
従って、この鉱物を着色し、適度な大きさに粉砕して、こませ餌など魚の好む摂餌材料とともに海中などに散布すれば、鉱物自身が有する光輝性及び着色した色彩により、魚の視覚を刺激することが可能となるため、これにより集魚効果を高めようとするものである。
【0008】
また、特許文献2と同様に、乾燥させた魚鱗に着色及び粉砕加工を施して魚の好む摂餌材料に添加し、魚鱗の有する光輝性と魚鱗に施した色彩によって、魚の視覚を刺激し、集魚効果を高めるようとする方法も従来より提案されている。
【0009】
また、着色した合成樹脂の小片を、魚の視覚を刺激する素材として魚の好む摂餌材料に混合することにより、魚へのアピールを向上させて集魚効果を高めることを目的とした釣り餌が開発されている。この素材は、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムに、視覚的に目立つ色に着色して金属蒸着などを施した後、小片に裁断することにより得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に係る発明に用いられている繊維粉末は、主に他の添加物を保持することを目的として用いられているため、容易に他の添加物を吸収したり、絡めたりすることができるものを用いなければならない。従って、この繊維粉末には、表面に多くの凹凸を有したり、先端がフィブリル化した合成繊維や天然繊維の廃繊維が主に使用されている。
【0011】
従って、この繊維粉末の表面は滑らかではなく、光を反射しにくい構造となっているため、受けた光をほとんど反射せず、絹やレーヨン繊維などのような優れた光輝性を発揮し得ない。そのため、魚の好む摂餌材料にこの繊維粉末を添加しても、繊維粉末自体が光ることによって魚の視覚を刺激することは少ない。
【0012】
以上の通り、特許文献1の発明に係る釣り餌においては、魚の好む摂餌材料に繊維粉末を添加することにより、嗅覚などを刺激することは可能であるが、魚の視覚を更に刺激することは少ないため、魚の視覚を刺激することにより集魚効果が高まる可能性は少ない。
【0013】
また、特許文献2に係る発明において、光輝性を有する鉱物を着色することは可能であっても、鉱物に着色した場合は色彩が鮮明でない場合が多い。そのような場合は、着色した色彩によって魚の視覚を十分に刺激することが困難となる。
【0014】
また、光輝性を有する鉱物は粉砕して使用するが、粉砕により生じた粉粒体は、メッシュなどを使用して一定寸法以下のものを選択することはできるが、同一寸法のものを揃えることは困難である。
【0015】
そのため、このような粉粒体をゼリー状の摂餌材料などに混入した場合、粉粒体は大きさ、重量などが大きく異なるため、摂餌材料に粉粒体を均一に分散させることが困難となり、分散に偏りが生じる。従って、製造工程において不都合が生じるとともに、粉粒体が均一に分散していないために、粉粒体の光輝性や色彩によって魚の視覚を刺激する効果が、使用する釣り餌ごとに異なるものとなる欠点が生じる
【0016】
以上の通り、特許文献2の発明に係る光輝性を有する鉱物においては、着色及び粉砕加工を施して、魚の好む摂餌材料とともに海中などに散布しても、魚の視覚を十分に刺激することができるものとできないものとが生じ、製品に大きなバラつきを生じるため、信頼性の低いものとなる。
【0017】
また、魚鱗を用いる方法においても、特許文献2の発明に係る方法と同様に、魚鱗に着色を施しても鮮明な色彩を施すことが困難であるとともに、粉砕することにより得た粉粒体は、粉粒体の個々の大きさや重量などが異なったものとなる。従って、不鮮明な色彩で大きさや重量が著しく異なる粉粒体を使用しても、上述の如く製品のバラつきが大きくなり、信頼性に欠ける釣り餌となる。
【0018】
一方、合成樹脂の小片を摂餌材料に混入した釣り餌においては、合成樹脂の小片の色彩を、着色により鮮明なものとすることが可能であるとともに、小片の大きさや重量を均一なものとすることも可能である。しかし、ポリプロピレン等の合成樹脂は難分解性であるため、これらの樹脂を加工して魚の好む摂餌材料に混入すると、摂餌材料は生分解してもポリプロピレン等の合成樹脂が自然界に長期間にわたって残存してしまい、環境に好ましくない影響を与えるものとなる。
【0019】
また、合成樹脂自体は魚の視覚を刺激するほどの光輝性を有しておらず、魚の視覚を刺激し得る程度の光輝性を持たせるためには、改めて金属蒸着やメッキ加工を施すなどの手数を必要とするため、製造に手間がかかる。
【0020】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、水中において光輝性を有する素材への魚の注目度が高いことに着目し、魚の好む摂餌材料に魚の視覚を刺激する素材を混入して魚の注目度を高め、集魚効果を向上させることを可能とするとともに、この素材が自然界に長期間残存することなく短期間で分解し、環境に与える影響を最小限にすることを可能とするものである。
【0021】
また、魚の視覚を刺激する素材の製造を容易かつ安価にすることを可能とするとともに、大きなバラつきのない、信頼性の高い製品を得ることを可能とするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、魚の好む摂餌材料に、光沢を有するレーヨン繊維を混入して形成したものである。
【0023】
また、レーヨン繊維は、ビスコースレーヨン又はキュプラであっても良い。
【0024】
また、レーヨン繊維は、魚の好む摂餌材料に対し0.1wt%〜3.0wt%混入するものであっても良い。
【0025】
また、レーヨン繊維は、太さ17デニール〜330デニールであっても良い。
【0026】
また、レーヨン繊維は、長さ0.3mm〜30.0mmであっても良い。
【0027】
【作用】
本発明は、上述の如く構成したものであり、本発明で用いるレーヨン繊維は、絹様の光沢を有することを特徴としている。従って、魚の好む摂餌材料に光沢を有するレーヨン繊維を混入すれば、レーヨン繊維の有する光沢により魚へのアピール度を向上させることができるため、高い集魚効果を得ることが可能となる。
【0028】
また、レーヨン繊維は、自然界に存在するセルロースを原料とした生分解性繊維であるとともに親水性であるため、海、川、池等に投入した場合に水中で分解し易い。従って、魚の好む摂餌材料に混入して使用すると、魚の好む摂餌材料とともにレーヨン繊維も分解し、環境に与える影響を小さくすることが可能となる。
【0029】
また、レーヨン繊維の太さを均一なものとすることは容易であり、レーヨン繊維の繊維方向の長さを一定にすることも容易である。そのため、レーヨン繊維を小片に裁断する場合に、小片の個々の大きさを均一にすることが可能である。そして、このように均一な大きさのレーヨン繊維の小片を、ゼリー状の魚の好む摂餌材料などに混入すれば、大きさ、重量が同一の小片が摂餌材料に均一に分散するため、製品に大きなバラつきが生じず、信頼性の高いものを得ることが可能となる。
【0030】
また、レーヨン繊維は、ビスコース法により紡糸したビスコースレーヨン、又は銅アンモニア法により紡糸したキュプラを用いるのが好ましい。ビスコースレーヨンは、今日レーヨン繊維の中で最も多く生産されており、生産費用も安いため、容易かつ安価に魚の視覚を刺激する素材を製造することが可能となる。また、キュプラは、レーヨン繊維の中でも特に優れた光沢を有しているため、魚の好む摂餌材料に混入することにより、更に高い集魚効果を得ることが可能となる。
【0031】
また、レーヨン繊維は、魚の好む餌材料に対する混入量が0.1wt%〜3.0wt%であることが好ましい。混入量が0.1wt%よりも少ない場合は、魚の視覚を刺激する効果が少ないため集魚効果が低下する可能性があり、また、混入量が3.0wt%よりも多い場合は、魚が本発明の餌を異物として認識する可能性があるため、高い集魚効果を得ることが困難となる。
【0032】
また、レーヨン繊維の太さは、17デニール〜330デニールであることが好ましい。太さが17デニールよりも細い場合は、魚の視覚を刺激する効果が少ないため集魚効果が低下する可能性があり、330デニールよりも太い場合は、レーヨン繊維の製造が困難となる可能性がある。
【0033】
また、レーヨン繊維の長さは、0.3mm〜30.0mmであることが好ましい。長さが0.3mmよりも短い場合は、魚の視覚を刺激する効果が少ないため集魚効果が低下する可能性がある。一方、長さが30.0mmよりも長い場合は、魚がこのレーヨン繊維を異物として認識する可能性があるため、高い集魚効果を得にくくなるとともに、繊維どうしが絡まるなど釣り餌としての扱いに不都合が生じる可能性がある。
【0034】
【実施例】
本発明により形成する釣り餌は、生オキアミや粉末状の摂餌材料などを水中にばら撒く撒き餌、粘性のある摂餌材料を釣行時に一定の形状に形作って用いる練り餌、摂餌材料にゲル化剤を添加し、虫などの生物を模した形にゲル化させて用いるゼリー状の擬似餌などである。
【0035】
以下、本発明の一実施例を説明すれば、魚の好む摂餌材料としてパン粉、おから粉末、エビ粉を用いた。また、ビスコースレーヨンは桃色に染色し、長さ10.0mmに裁断したものを用いた。また、これらの配合比をそれぞれ、パン粉55.6wt%、おから粉末27.9wt%、エビ粉13.8wt%、ビスコースレーヨン2.7wt%とした。そして、パン粉、おから粉末、エビ粉、ビスコースレーヨンを攪拌機にて混合することにより、本発明の実施例に係る釣り餌とした。この釣り餌に、この釣り餌の2倍の重量の生オキアミを添加して混合した後、海水を加えたものを、実釣実験に使用した。
【0036】
また、比較例として、パン粉57.1wt%、おから粉末28.6wt%、エビ粉14.3wt%を上記と同様に攪拌機にて混合した釣り餌に、この釣り餌の2倍の重量の生オキアミを添加して混合した後、海水を加えたものを使用した。
【0037】
この両者の釣り餌で、平成15年2月18日午前7時〜午後2時まで、南伊豆の入間にて実釣比較試験を行った。当日の天候は快晴、水温は16℃で、釣りのコンディションとしては良好であった。本実施例及び比較例では、上記の釣り餌をコマセとして使用するとともに、くわせ餌として生オキアミを使用した。
【0038】
そして、実施例の釣り餌及びくわせ餌を海中に投じた結果、メジナの群が水面近くまで浮上したが、比較例の釣り餌及びくわせ餌を海中に投じても、水面近くにメジナの群を視認することができなかった。また、本発明実施例の釣り餌をコマセとして用いた場合は、メジナが15匹、比較例の釣り餌ではメジナが7匹の釣果であった。以上より、ビスコースレーヨンを魚の好む摂餌材料に混入することにより、集魚効果が高まることを確認することができた。
【0039】
また、本実施例で使用したビスコースレーヨンは、一般的に広く用いられている普通レーヨンと呼ばれるものを使用しているが、その他にも、繊維内を中空に加工したものや、全体の形状を扁平に加工したものなど、あらゆる種類のものを使用することが可能である。
【0040】
また、本実施例では魚の好む摂餌材料として、パン粉、おから粉末、エビ粉を混合したものを使用しているが、その他にも、生オキアミ、イワシ、サナギ、小麦など、釣りの用途に応じてあらゆる種類の摂餌材料に使用することが可能である。更に、これらの摂餌材料及びビスコースレーヨンをゼラチンに添加して、ゼリー状の釣り餌として使用することもできる。
【0041】
ゼリー状の釣り餌については、添加するビスコースレーヨンの小片の大きさや重量を均一にすることができるため、この小片を釣り餌内に均一に分散することが可能となる。従って、製品に大きなバラつきが生じず、信頼性の高いものを得ることが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
本発明は上述の如く、魚の好む摂餌材料に魚の視覚を刺激する素材としてレーヨン繊維を混入した場合にも、魚の視覚を刺激する素材が自然界に長期間残存することなく比較的短期間で分解し、環境に与える影響を最小限にすることを可能とする。また、本発明で用いるレーヨン繊維は、他の添加物を保持して摂餌材料のばらけ度合いを調節するものではないことから、フィブリル化しておらず表面が平滑なものを用いることができる。そのため、受けた光を容易に反射し得る構造とすることが可能となり、優れた光輝性を発揮することができる。
【0043】
このように優れた光輝性を有するレーヨン繊維を、魚の視覚を刺激する素材として魚の好む摂餌材料に混入することにより魚にアピールすることができるため、集魚効果を向上させることが可能となる。
【0044】
また、レーヨン繊維は親水性で染色が容易であり、染色のみによって光沢のある色彩を得ることが可能となるため、魚の視覚を刺激する素材を容易かつ安価に製造することができる。また、均一な太さのレーヨン繊維を一定の長さに裁断することにより、均一な大きさ及び重さの小片を得ることができるため、ゼリー状の摂餌材料などに均一に分散させることが可能となり、製品に大きなバラつきが生じず、信頼性の高いものを得ることが可能となる。
Claims (5)
- 魚の好む摂餌材料に、光沢を有するレーヨン繊維を混入して形成したことを特徴とする釣り餌。
- レーヨン繊維は、ビスコースレーヨン又はキュプラであることを特徴とする、請求項1の釣り餌。
- レーヨン繊維は、魚の好む摂餌材料に対し0.1wt%〜3.0wt%混入するものであることを特徴とする、請求項1又は2の釣り餌。
- レーヨン繊維は、太さ17デニール〜330デニールであることを特徴とする、請求項1、2又は3の釣り餌。
- レーヨン繊維は、長さ0.3mm〜30.0mmであることを特徴とする、請求項1、2、3又は4の釣り餌。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102318885A (zh) * | 2011-06-16 | 2012-01-18 | 大连金砣水产食品有限公司 | 一种刺参饵料熟化设备 |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003149164A patent/JP2004350520A/ja active Pending
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