JP2004349666A - 静電チャック - Google Patents
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Abstract
【課題】ウエハの大口径化、温度制御に関して、半導体素子量産現場で主流になりつつある12インチシリコンウエハに対する静電チャック装置の確実な吸着性と、極温状態400℃以上での処理を可能にする静電チャックを安価に提供することを課題とする。
【解決手段】絶縁誘電体部は高温下の積層融着技法を取り入れる。窒化アルミのグリーンシートを焼結、整形した後に吸着電極形成の金属ペーストを一つの焼結体に塗布し、複数の焼結体を高温下で圧着させる。また絶縁誘電体の体積低効率を吸着面側と、その他の部分で吸着効果が最適となるよう変化させることにより、吸着力の均一性を図る。複数の絶縁誘電体層の二つ以上の異なる層間に吸着電極と電熱ヒーターのパターンを形成する。また恒温基盤には多孔質構造の炭化シリコン(SiC)母材にアルミニュウームを含浸し、絶縁誘電体と吸着電極で形成される吸着部とアルミニュームでロウ付けする。
【選択図】 図2
【解決手段】絶縁誘電体部は高温下の積層融着技法を取り入れる。窒化アルミのグリーンシートを焼結、整形した後に吸着電極形成の金属ペーストを一つの焼結体に塗布し、複数の焼結体を高温下で圧着させる。また絶縁誘電体の体積低効率を吸着面側と、その他の部分で吸着効果が最適となるよう変化させることにより、吸着力の均一性を図る。複数の絶縁誘電体層の二つ以上の異なる層間に吸着電極と電熱ヒーターのパターンを形成する。また恒温基盤には多孔質構造の炭化シリコン(SiC)母材にアルミニュウームを含浸し、絶縁誘電体と吸着電極で形成される吸着部とアルミニュームでロウ付けする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子製造プロセスで用いられているエッチング処理、化学気相蒸着(CVD)による薄膜形成などのプラズマ処理装置、イオン注入装置などに具備されている半導体ウエハの静電吸着機構の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置では被処理物である半導体ウエハをその装置内で位置決め、そして支持面への確固な保持を確保する必要がある。また、同時にこの行為は被処理半導体ウエハになんら損傷を与えるものであってはならない。一世代前には半導体ウエハの表面をなんらかの機構により、爪などで支持面へ抑えるクランプ方式が一般的であった。現在は処理基準が厳しく制限され、被処理半導体ウエハへの汚染量を管理する必要がある。これは、クランプ自身の材質、多くの場合はアルミニウム材、が処理プラズマ中にさらされることにより遊離、あるいはイオン注入ではそのイオン照射によりクランプ母材からスパッタされ浮遊し、被処理半導体ウエハに降りかかることにより、半導体素子の特性、歩留まりに著しく影響を与えるからである。
【0003】
そこで考案されたのが前述のような機械的でない、電気的な静電吸着力を利用した被処理ウエハの支持面への保持方法である。この方法では支持面下に組み込まれた電極に高電位を与え、支持面を構成する絶縁誘電体に分布した静電気と、被処理ウエハに分極帯電した電荷による静電気のクーロン力あるいはジャンセン−ラーベック力によって、被処理ウエハを支持面に吸着させる方法である。従い、被処理ウエハの表面上には前述のクランプは存在しない。特許出願の傾向から判断すると、日本国ではこの関連の技術進歩はおよそ1980年代の後半から始まっていると考えられ、現在半導体製造装置では不可欠な技術に成長している。
【0004】
近年の半導体素子製造は製造コスト低減のため、より大口径の半導体ウエハ基板上に形成される傾向がある。従い、静電チャックもこの技術要求にこたえるため、当然大口径対応のものが開発されているが、その要点となるのは、第一に均一吸着性の大口径化対応、第二に被処理半導体ウエハの温度制御である。以下これら項目についての従来技術の説明を行う。
【0005】
半導体ウエハの大口径化に伴い、静電チャックの吸着面との密着性が重要となる。これは、ウエハの大口径化にともない、その取り扱い勝手を維持するため厚みが増し、結果、局所的な静電チャック吸着面に対する柔軟性が失われやすいことが一つの要因であると考えることができる。例えば、6インチから12インチウエハの口径拡大に伴い、シリコンウエハの厚みは約24%増加している。被処理半導体ウエハ面内の吸着度に不均一があると、ウエハ面内の温度ばらつき、プラズマ処理などでのプロセス進行具合のばらつき、また極端な場合、吸着不良によるウエハの脱落、などが発生することが考えられるためである。特開平04−73950号では、絶縁誘電体に埋め込まれた吸着電極と被吸着半導体ウエハの吸着面の距離を、その外周部に向かって大きくすることにより、大口径ウエハでのより確実な吸着性を維持する提案が開示されている。また特開平9−260472では大口径ウエハを高温処理状態でも吸着力が維持できる、複数のサファイアピースを吸着面に複数はり合わせた静電チャックが開示されている。
【0006】
近年、半導体ウエハを高温状態にしてエッチング処理、化学気相蒸着(CVD)などの諸プロセスの性能向上、安定化を行うことが必要となっている。このために電熱型のヒーター、あるいは抵抗発熱体を誘電層内に組み込まれる。あるいは別途前記のような加熱体を高温基盤に組み込み、静電チャックの吸着部を形成する吸着電極を含む絶縁誘電体部と、熱伝導性良く密着接合させることが考案されている。特開平7−106317号では、吸着電極の極近傍に隣接したヒーターを取り付けることにより、静電チャックの温度制御を広範囲なものとした一例が開示されている。また、特開2002−190372号では高温基盤の構造例が開示されており、その円周部でのクランプによる組み立て例が掲載されている。200℃以上での高温動作安定化を図るため特開平08−330402号ではモリブデン合金の高温基盤を使った静電チャックが開示されている。
【0007】
静電チャックを積層構造とする技術事例は特開2002−173378号、特開平02−22166号など多数存在する。いずれの場合も基本となる部分は誘電体部をグリーンシートと呼ばれるセラミック原材料から製造する方法である。複数のグリーンシートと呼ばれる粘土状の素材にタングステンペーストなどを、電極部を形成するようグリーンシート表面に印刷あるいは塗布する。後、以上処理済みのグリーンシートを高圧化で高温焼結させた後、表面状態を整えるための研磨、そして外形形状を整えるための整形作業を行う。この吸着電極を含有させた絶縁誘電体層部は、焼結工程の熱処理により板全体のゆがみ、たわみが発生し、またその表面は凸凹な状態になっているためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ウエハの大口径化、温度制御に関して、上記技術的進捗があるが、最先端半導体素子量産現場で主流である12インチシリコンウエハに対する静電チャック装置の吸着動作信頼性、そして200℃前後の従来の高温での処理に対して、さらに高い極温状態400℃以上での処理を可能にする静電チャックについて、以下の課題を有している。
【0009】
大口径ウエハでの静電チャック吸着動作信頼性については二つの問題がある。一つは吸着電極と被吸着ウエハまでの距離の均一性維持。もう一つは、その間に介在させる絶縁誘電体の材質選択と特性の向上である。
【0010】
最初の問題に関しては絶縁誘電体材の形成方法にある。グリーンシートと呼ばれるセラミック母材にタングステンペーストなどを吸着電極形成のため塗布、印刷した後、高圧、高温下で焼結すると、やわらかい粘土状の板を釜で焼く場合と同様、大口径の12インチ用では、その焼き上がり精度、再現性に限界がある。焼結完了した板全体に、すなわち、吸着電極を含む絶縁誘電体にうねりがある場合には、表面を切削することで、物理的には被処理ウエハが装着可能となるが、吸着電極とこの被処理ウエハの距離は、元々のうねりのため、不均一のままとなり、結果吸着力のばらつき、そしてウエハ温度のばらつきをもたらす。現実にはこのうねり、たわみは100μm程度あるとされており、これを10μm程度まで小さくすることが求められている。吸着電極に近い部分は吸着力が強く、遠い部分は弱くなる。これを補うため、グリーンシートにチタニア、酸化クロムなどの添加物を混入させ、抵抗率を低下させて、吸着不均一性を補うことが対症療法的に実施されているが、添加物均一性困難性、添加物混入のためのプラズマ処理耐性劣化などの新たな問題を生じることとなる。また、静電チャック運用面での対応方法として、吸着電極への印加電圧を条件によって変化させることも考えられるが、これは新たな管理項目が増えるため、製造現場では評価されにくい手法である。絶縁誘電体材形成にグリーンシートなどは使わず、サファイア板を多数貼り付けることで実現する、まったく異なった手段も考案されているが、価格的に高価になりすぎるため、これも製造現場では受け入れ困難と考えられる。
【0011】
ウエハ大口径化での高温400℃での静電チャック運転には加熱対象となる絶縁誘電体に対する発熱体の種類、場所だけでなく、周囲の環境に対しても技術改善が必要となる。すなわち、大口径化に伴い静電チャック自身の質量が増加することにより、加熱に必要な熱量の増大と、被加熱物からの放射による熱損失の低減を同時に実現する必要がある。従来の電熱部を吸着電極に沿わせて設置する手法では、吸着力にかかわる電極面積の減少と、電熱部分の減少による熱量不足が懸念される。機械的なクランプ方式による絶縁誘電体部と高温基盤の組み立てでは、装置運転停止の熱サイクルによるクランプの緩み、あるいは、締め付け部の損傷などの問題が生じるため、200℃以上の加熱には適さない。線膨張率が小さく、反応性ガス、高熱に耐性が高いモリブデンを主とした合金を恒温基盤の材料とすることも提案されているが、この種の希少金属は大変高価であるため、材料を多く使う大口径化には不適当である。
【0012】
そこで、本発明では、半導体ウエハの大口径化においても確実な吸着性と、高温での処理が可能な静電チャックを安価に提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、絶縁誘電体部は2ステップで行う積層融着技法を取り入れる。従来の手法、すなわちグリーンシートを吸着電極形成のためのタングステンペーストを塗布、印刷した後に、焼結過程に進むのではなく、グリーンシートを一度焼結、整形した後に吸着電極形成の金属ペーストを一つの既焼結体に塗布し、複数の焼結体を高温下で圧着させる。この接合方法に適した素材が窒化アルミ(AlN)であることは従来から知られているが、本発明ではこの絶縁誘電体の体積低効率を吸着面側と、その他の部分で吸着効果が最適となるよう変化させることにより、吸着力の維持、均一性を図る。
【0014】
高温対応については、前記絶縁誘電体部製作手法にて複数の絶縁誘電体層の二つ以上の異なる層間に吸着電極と電熱ヒーターのパターンを形成することにより、十分な吸着力と、発熱量を確保する。また恒温基盤には多孔質構造の炭化シリコン(SiC)母材にアルミニウムを含浸し、絶縁誘電体と吸着電極で形成される吸着部とアルミニウムでロウ付けする。この方法では一切の機械的締め付け方法、中間媒体を介すことなく、恒温基盤と吸着部との理想的な接合が実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として一実施例を先ず図1に基づいて説明する。積層絶縁誘電体部1は三つの絶縁誘電体層からなる。第一の絶縁誘電体2と第二の絶縁誘電体3の層間には第一の吸着電極5が形成される。第一の吸着電極5の形成は1μmのタングステン(W)と0.2μmのチタン(Ti)のペーストを塗布、あるいは印刷することにより行う。これらペーストを塗布される、例えば第一の絶縁誘電体層は窒化アルミ(AlN)製で、吸着電極5形成の厚みの分、機械的に所定の深さの座ぐり加工する場合もある。第二の絶縁誘電体層3との密着性をより完全なものにするためである。またそれぞれの焼結済み絶縁誘電体層は精密な機械研磨処理を行い、およそ5μmの平坦度を有する。第二の絶縁誘電体層3は第一の絶縁誘電体層2と同じく窒化アルミ(AlN)製であるが、その体積抵抗値を高くする。すなわち、第一の絶縁誘電体2は1×1010〜1012Ω・cm、そして第二の絶縁誘電体層3は1×1014Ω・cm以上とする。ウエハの吸着面側の体積抵抗値を低く設定することにより被吸着ウエハへの漏れ電流値を最適化できるため、吸着力を通常得られる分極による静電力以上のものが得られることが、本発明者らの実験で確認されている。これら第一の絶縁誘電層2と第二の絶縁誘電層3は不活性である窒素ガス雰囲気下で高温1700〜1900℃での圧接を行うことにより、それぞれの誘電体層は溶着する。図1ではさらに、第三の誘電体層4により、電熱ヒーター6を第二の層間に形成することを開示している。この電熱ヒーター6には、例えばタングステン、モリブデンを用いた金属ペーストを焼き付けて吸着電極と同様なパターン形成により形成できる。この場合においても、全体の絶縁誘電体部の焼結作業は一回で行う。すなわち、吸着電極5のパターン形成準備と、電熱ヒーター6のパターン形成準備は同時に行い、第一の絶縁誘電体層2、第二の絶縁誘電体層3、そして第三の誘電体層4を同時に融着する。
【0016】
図2では第一の吸着電極5に加え、第二の吸着電極10を具備する静電チャックの絶縁誘電体部を示す。複数の吸着電極を具備しなければならない理由は、プラズマ処理装置でのエッチング、化学気相蒸着(CVD)の処理均一性を図る一手段として有効と考えられるからである。この必要性は大口径になるほど顕著である。プラズマは元来無電界の領域でのみ存在する。なんらかの電界が存在するとその正電荷、負電荷の構成荷電粒子は、互いに逆方向に運動を開始し移動するため、プラズマ状態が維持できなくなるためである。静電チャックには吸着電極を設け500〜数kVの高電位を印加するが、この電位により被処理ウエハを吸着可能とすることのほか、処理雰囲気であるプラズマに対して電位を与えるため、プラズマ中の荷電粒子を引き寄せることになる。従い図2において、第一の吸着電極5はその周辺部においては、被処理ウエハ14の直下に存在せず、上述のようなプラズマ処理の不均一性を生じる要因となる。そこで、被処理ウエハ14の周辺部の下部、第三の絶縁誘電体層8と第四の絶縁誘電体層9の層間に第二の吸着電極10を設け、第一の吸着電極5による電界分布の補償を行い、被処理ウエハ14の周辺部におけるプラズマ処理均一性を向上させるこれら吸着電極に与える電位は直流の場合、そして直流とプラズマ発生のための高周波と同等の周波数を有する高周波の重複の場合が実施される。高周波を印加する理由は、プラズマに対する被処理ウエハの均一性改善と、吸着保持力の調整がある。第二の吸着電極10には、図3に示すよう、第二の吸着電極を中心軸に導く内部配線パターン10を形成することにより、第二の給電接触部12に接続し、第一の吸着電極5に接続されている第一の給電接触部11とは別系統とすることにより、それぞれ別々の電位を印加することができる。また、図には示していないが、第二の給電接触部12を第一の給電接触部の一部、例えば図2にて第三の絶縁誘電体層8と第四の絶縁誘電体層9の層間部にてロウ付けなどによる接続を行うことにより、吸着電極を複数有する積層誘電体部7に、一つの電位供給部で複数の吸着電極に電位供給可能となる。第一の給電接触部11の材質はモリブデン(Mo)または炭化シリコン(SiC)が好ましい。接続先の窒化アルミ(AlN)材と同程度の熱膨張係数を有すため、高温熱サイクル起因の機械ストレスによる、われ、ひびなどの問題を低減できるためである。第一の吸着電極5と第一の給電接触部11の接合は銀、ニッケルなどのロウ付けにより行う。図2で示した4つの絶縁誘電体層の融着においても、図1で示したと同様、複数の吸着電極形成準備を終えた後、同時に行う。また図2では示していないが、電熱ヒーターを含有する場合も、その製法は同様である。
【0017】
高温、特に本発明で実現可能となる400℃での静電チャックにおいては、恒温基盤は必須のものである。理由は断熱的温度保持と放射冷却に対抗する熱量供給にある。静電チャックを高温で真空中に維持する場合でも、必ず大気側の室温の部分に断熱的に接続されなければならない。そして物体の放射冷却で失われるエネルギーは、その絶対温度の4乗に比例して増加するため、実際には200〜300℃くらいから、この減少は特に顕著になる。本発明対象となる大口径対応の静電チャックではその面積、質量とも大きくなるため、熱消費対策は本発明のごとく万全でなければならない。
【0018】
図4は第一の吸着電極5と電熱ヒーター6を含有する積層絶縁誘電体部1に恒温基盤を接合させた静電チャックを示している。第三の絶縁誘電体層4の下部にアルミニウムを含浸させた第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16を接合させる。多孔質炭化シリコン(SiC)層のポーラスは平均20μm程度で、気孔率は5〜30%である。アルミニウムは溶融状態のものを高圧下でポーラスに強制含浸させる。そして580℃のアルミニウムにより第三の絶縁誘電体層4と第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16を接合させる。このアルミニウムを含浸させた多孔質炭化シリコン(SiC)は熱膨張係数を4.5×10−6/Kと窒化アルミ(AlN)の同係数4.4〜4.7×10−6/Kと同等な値に設定できるため、それらを接合させても、高温でのそり、たわみ、熱サイクルの機械ストレスなどがまったく生じないので、低温から400℃以上の高温までの幅広い温度範囲で機械的に非常に安定である。またアルミニウムを含浸させた多孔質炭化シリコン(SiC)の熱伝導率は非常に高く、アルミニウムを上回り、多孔質炭化シリコン(SiC)に匹敵する200〜300W/m・Kである。さらに、この複合材は非常に割れにくい。図4では第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16の下部にアルミニウムを含浸させた第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層17を設置している。この第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層17には温度維持用の温水あるいは冷却用の水などの媒体を流すことができる恒温媒体用経路17が配備されており、恒温基盤として機能する。アルミニウムを含浸させた、第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16と第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層17の接合はアルミのロウ付けで行うが、これら二層に同時にアルミニウムを含浸させ、高圧接合させても良い。
【0019】
図5に静電チャックに用いられる双極型吸着電極パターンの一例を示す。第一極吸着電極パターン19と第二極吸着電極パターン20が同心円を櫛状に分布させ、それぞれの電極に正極と負極の電位を与える。これまでの本発明開示例では単極型吸着電極パターンについての実施例を説明してきたが双極型においてもその基本となるところは同様であるので以下記述の重複を省略する。
【0020】
【発明の効果】
本発明の実施例による絶縁誘電体部形成によると、最終工程での吸着電極のうねりは10μm以内にとどまり、表面絶縁誘電体層の体積抵抗率低減の効果も含め、12インチのシリコンウエハがほぼ完全な再現性で吸着できることを実験により確認している。400℃での温度上昇安定性試験により高温動作も良好で、室温から400℃のサイクル加熱冷却試験でも、絶縁誘電体部、恒温基盤になんらの損傷、動作不具合が見られない。製造コスト面においてはモリブデン合金を使った恒温基盤に比べ数十分の1のコストで製作可能である。本発明は今後進展が予測される更なるウエハの大口径化450mmに対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸着電極と電熱ヒーターを含有する静電チャックの積層絶縁誘電体
【図2】複数の吸着電極を含有する静電チャック
【図3】複数の吸着電極を含有する静電チャックにおいて第二吸着電極から中心の給電部に導く電極パターン
【図4】恒温基盤を接合させた積層絶縁誘電体部を有する静電チャック
【図5】静電チャックに用いられる双極型吸着電極パターンの一例
【符号の説明】
1 積層絶縁誘電体部
2 第一の絶縁誘電体層
3 第二の絶縁誘電体層
4 第三の絶縁誘電体層
5 第一の吸着電極
6 電熱ヒーター
7 吸着電極を複数有する積層誘電体部
8 第四の絶縁誘電体層
9 第五の絶縁誘電体層
10 第二の吸着電極
11 第一の給電接触部
12 第二の給電接触部
13 内部配線パターン
14 被処理ウエハ
15 恒温基盤付積層誘電体部
16 アルミニウムを含浸させた第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層
17 アルミニウムを含浸させた第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層
18 恒温媒体用経路
19 第一極吸着電極パターン
20 第二極吸着電極パターン
21 電位供給部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体素子製造プロセスで用いられているエッチング処理、化学気相蒸着(CVD)による薄膜形成などのプラズマ処理装置、イオン注入装置などに具備されている半導体ウエハの静電吸着機構の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置では被処理物である半導体ウエハをその装置内で位置決め、そして支持面への確固な保持を確保する必要がある。また、同時にこの行為は被処理半導体ウエハになんら損傷を与えるものであってはならない。一世代前には半導体ウエハの表面をなんらかの機構により、爪などで支持面へ抑えるクランプ方式が一般的であった。現在は処理基準が厳しく制限され、被処理半導体ウエハへの汚染量を管理する必要がある。これは、クランプ自身の材質、多くの場合はアルミニウム材、が処理プラズマ中にさらされることにより遊離、あるいはイオン注入ではそのイオン照射によりクランプ母材からスパッタされ浮遊し、被処理半導体ウエハに降りかかることにより、半導体素子の特性、歩留まりに著しく影響を与えるからである。
【0003】
そこで考案されたのが前述のような機械的でない、電気的な静電吸着力を利用した被処理ウエハの支持面への保持方法である。この方法では支持面下に組み込まれた電極に高電位を与え、支持面を構成する絶縁誘電体に分布した静電気と、被処理ウエハに分極帯電した電荷による静電気のクーロン力あるいはジャンセン−ラーベック力によって、被処理ウエハを支持面に吸着させる方法である。従い、被処理ウエハの表面上には前述のクランプは存在しない。特許出願の傾向から判断すると、日本国ではこの関連の技術進歩はおよそ1980年代の後半から始まっていると考えられ、現在半導体製造装置では不可欠な技術に成長している。
【0004】
近年の半導体素子製造は製造コスト低減のため、より大口径の半導体ウエハ基板上に形成される傾向がある。従い、静電チャックもこの技術要求にこたえるため、当然大口径対応のものが開発されているが、その要点となるのは、第一に均一吸着性の大口径化対応、第二に被処理半導体ウエハの温度制御である。以下これら項目についての従来技術の説明を行う。
【0005】
半導体ウエハの大口径化に伴い、静電チャックの吸着面との密着性が重要となる。これは、ウエハの大口径化にともない、その取り扱い勝手を維持するため厚みが増し、結果、局所的な静電チャック吸着面に対する柔軟性が失われやすいことが一つの要因であると考えることができる。例えば、6インチから12インチウエハの口径拡大に伴い、シリコンウエハの厚みは約24%増加している。被処理半導体ウエハ面内の吸着度に不均一があると、ウエハ面内の温度ばらつき、プラズマ処理などでのプロセス進行具合のばらつき、また極端な場合、吸着不良によるウエハの脱落、などが発生することが考えられるためである。特開平04−73950号では、絶縁誘電体に埋め込まれた吸着電極と被吸着半導体ウエハの吸着面の距離を、その外周部に向かって大きくすることにより、大口径ウエハでのより確実な吸着性を維持する提案が開示されている。また特開平9−260472では大口径ウエハを高温処理状態でも吸着力が維持できる、複数のサファイアピースを吸着面に複数はり合わせた静電チャックが開示されている。
【0006】
近年、半導体ウエハを高温状態にしてエッチング処理、化学気相蒸着(CVD)などの諸プロセスの性能向上、安定化を行うことが必要となっている。このために電熱型のヒーター、あるいは抵抗発熱体を誘電層内に組み込まれる。あるいは別途前記のような加熱体を高温基盤に組み込み、静電チャックの吸着部を形成する吸着電極を含む絶縁誘電体部と、熱伝導性良く密着接合させることが考案されている。特開平7−106317号では、吸着電極の極近傍に隣接したヒーターを取り付けることにより、静電チャックの温度制御を広範囲なものとした一例が開示されている。また、特開2002−190372号では高温基盤の構造例が開示されており、その円周部でのクランプによる組み立て例が掲載されている。200℃以上での高温動作安定化を図るため特開平08−330402号ではモリブデン合金の高温基盤を使った静電チャックが開示されている。
【0007】
静電チャックを積層構造とする技術事例は特開2002−173378号、特開平02−22166号など多数存在する。いずれの場合も基本となる部分は誘電体部をグリーンシートと呼ばれるセラミック原材料から製造する方法である。複数のグリーンシートと呼ばれる粘土状の素材にタングステンペーストなどを、電極部を形成するようグリーンシート表面に印刷あるいは塗布する。後、以上処理済みのグリーンシートを高圧化で高温焼結させた後、表面状態を整えるための研磨、そして外形形状を整えるための整形作業を行う。この吸着電極を含有させた絶縁誘電体層部は、焼結工程の熱処理により板全体のゆがみ、たわみが発生し、またその表面は凸凹な状態になっているためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ウエハの大口径化、温度制御に関して、上記技術的進捗があるが、最先端半導体素子量産現場で主流である12インチシリコンウエハに対する静電チャック装置の吸着動作信頼性、そして200℃前後の従来の高温での処理に対して、さらに高い極温状態400℃以上での処理を可能にする静電チャックについて、以下の課題を有している。
【0009】
大口径ウエハでの静電チャック吸着動作信頼性については二つの問題がある。一つは吸着電極と被吸着ウエハまでの距離の均一性維持。もう一つは、その間に介在させる絶縁誘電体の材質選択と特性の向上である。
【0010】
最初の問題に関しては絶縁誘電体材の形成方法にある。グリーンシートと呼ばれるセラミック母材にタングステンペーストなどを吸着電極形成のため塗布、印刷した後、高圧、高温下で焼結すると、やわらかい粘土状の板を釜で焼く場合と同様、大口径の12インチ用では、その焼き上がり精度、再現性に限界がある。焼結完了した板全体に、すなわち、吸着電極を含む絶縁誘電体にうねりがある場合には、表面を切削することで、物理的には被処理ウエハが装着可能となるが、吸着電極とこの被処理ウエハの距離は、元々のうねりのため、不均一のままとなり、結果吸着力のばらつき、そしてウエハ温度のばらつきをもたらす。現実にはこのうねり、たわみは100μm程度あるとされており、これを10μm程度まで小さくすることが求められている。吸着電極に近い部分は吸着力が強く、遠い部分は弱くなる。これを補うため、グリーンシートにチタニア、酸化クロムなどの添加物を混入させ、抵抗率を低下させて、吸着不均一性を補うことが対症療法的に実施されているが、添加物均一性困難性、添加物混入のためのプラズマ処理耐性劣化などの新たな問題を生じることとなる。また、静電チャック運用面での対応方法として、吸着電極への印加電圧を条件によって変化させることも考えられるが、これは新たな管理項目が増えるため、製造現場では評価されにくい手法である。絶縁誘電体材形成にグリーンシートなどは使わず、サファイア板を多数貼り付けることで実現する、まったく異なった手段も考案されているが、価格的に高価になりすぎるため、これも製造現場では受け入れ困難と考えられる。
【0011】
ウエハ大口径化での高温400℃での静電チャック運転には加熱対象となる絶縁誘電体に対する発熱体の種類、場所だけでなく、周囲の環境に対しても技術改善が必要となる。すなわち、大口径化に伴い静電チャック自身の質量が増加することにより、加熱に必要な熱量の増大と、被加熱物からの放射による熱損失の低減を同時に実現する必要がある。従来の電熱部を吸着電極に沿わせて設置する手法では、吸着力にかかわる電極面積の減少と、電熱部分の減少による熱量不足が懸念される。機械的なクランプ方式による絶縁誘電体部と高温基盤の組み立てでは、装置運転停止の熱サイクルによるクランプの緩み、あるいは、締め付け部の損傷などの問題が生じるため、200℃以上の加熱には適さない。線膨張率が小さく、反応性ガス、高熱に耐性が高いモリブデンを主とした合金を恒温基盤の材料とすることも提案されているが、この種の希少金属は大変高価であるため、材料を多く使う大口径化には不適当である。
【0012】
そこで、本発明では、半導体ウエハの大口径化においても確実な吸着性と、高温での処理が可能な静電チャックを安価に提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、絶縁誘電体部は2ステップで行う積層融着技法を取り入れる。従来の手法、すなわちグリーンシートを吸着電極形成のためのタングステンペーストを塗布、印刷した後に、焼結過程に進むのではなく、グリーンシートを一度焼結、整形した後に吸着電極形成の金属ペーストを一つの既焼結体に塗布し、複数の焼結体を高温下で圧着させる。この接合方法に適した素材が窒化アルミ(AlN)であることは従来から知られているが、本発明ではこの絶縁誘電体の体積低効率を吸着面側と、その他の部分で吸着効果が最適となるよう変化させることにより、吸着力の維持、均一性を図る。
【0014】
高温対応については、前記絶縁誘電体部製作手法にて複数の絶縁誘電体層の二つ以上の異なる層間に吸着電極と電熱ヒーターのパターンを形成することにより、十分な吸着力と、発熱量を確保する。また恒温基盤には多孔質構造の炭化シリコン(SiC)母材にアルミニウムを含浸し、絶縁誘電体と吸着電極で形成される吸着部とアルミニウムでロウ付けする。この方法では一切の機械的締め付け方法、中間媒体を介すことなく、恒温基盤と吸着部との理想的な接合が実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態として一実施例を先ず図1に基づいて説明する。積層絶縁誘電体部1は三つの絶縁誘電体層からなる。第一の絶縁誘電体2と第二の絶縁誘電体3の層間には第一の吸着電極5が形成される。第一の吸着電極5の形成は1μmのタングステン(W)と0.2μmのチタン(Ti)のペーストを塗布、あるいは印刷することにより行う。これらペーストを塗布される、例えば第一の絶縁誘電体層は窒化アルミ(AlN)製で、吸着電極5形成の厚みの分、機械的に所定の深さの座ぐり加工する場合もある。第二の絶縁誘電体層3との密着性をより完全なものにするためである。またそれぞれの焼結済み絶縁誘電体層は精密な機械研磨処理を行い、およそ5μmの平坦度を有する。第二の絶縁誘電体層3は第一の絶縁誘電体層2と同じく窒化アルミ(AlN)製であるが、その体積抵抗値を高くする。すなわち、第一の絶縁誘電体2は1×1010〜1012Ω・cm、そして第二の絶縁誘電体層3は1×1014Ω・cm以上とする。ウエハの吸着面側の体積抵抗値を低く設定することにより被吸着ウエハへの漏れ電流値を最適化できるため、吸着力を通常得られる分極による静電力以上のものが得られることが、本発明者らの実験で確認されている。これら第一の絶縁誘電層2と第二の絶縁誘電層3は不活性である窒素ガス雰囲気下で高温1700〜1900℃での圧接を行うことにより、それぞれの誘電体層は溶着する。図1ではさらに、第三の誘電体層4により、電熱ヒーター6を第二の層間に形成することを開示している。この電熱ヒーター6には、例えばタングステン、モリブデンを用いた金属ペーストを焼き付けて吸着電極と同様なパターン形成により形成できる。この場合においても、全体の絶縁誘電体部の焼結作業は一回で行う。すなわち、吸着電極5のパターン形成準備と、電熱ヒーター6のパターン形成準備は同時に行い、第一の絶縁誘電体層2、第二の絶縁誘電体層3、そして第三の誘電体層4を同時に融着する。
【0016】
図2では第一の吸着電極5に加え、第二の吸着電極10を具備する静電チャックの絶縁誘電体部を示す。複数の吸着電極を具備しなければならない理由は、プラズマ処理装置でのエッチング、化学気相蒸着(CVD)の処理均一性を図る一手段として有効と考えられるからである。この必要性は大口径になるほど顕著である。プラズマは元来無電界の領域でのみ存在する。なんらかの電界が存在するとその正電荷、負電荷の構成荷電粒子は、互いに逆方向に運動を開始し移動するため、プラズマ状態が維持できなくなるためである。静電チャックには吸着電極を設け500〜数kVの高電位を印加するが、この電位により被処理ウエハを吸着可能とすることのほか、処理雰囲気であるプラズマに対して電位を与えるため、プラズマ中の荷電粒子を引き寄せることになる。従い図2において、第一の吸着電極5はその周辺部においては、被処理ウエハ14の直下に存在せず、上述のようなプラズマ処理の不均一性を生じる要因となる。そこで、被処理ウエハ14の周辺部の下部、第三の絶縁誘電体層8と第四の絶縁誘電体層9の層間に第二の吸着電極10を設け、第一の吸着電極5による電界分布の補償を行い、被処理ウエハ14の周辺部におけるプラズマ処理均一性を向上させるこれら吸着電極に与える電位は直流の場合、そして直流とプラズマ発生のための高周波と同等の周波数を有する高周波の重複の場合が実施される。高周波を印加する理由は、プラズマに対する被処理ウエハの均一性改善と、吸着保持力の調整がある。第二の吸着電極10には、図3に示すよう、第二の吸着電極を中心軸に導く内部配線パターン10を形成することにより、第二の給電接触部12に接続し、第一の吸着電極5に接続されている第一の給電接触部11とは別系統とすることにより、それぞれ別々の電位を印加することができる。また、図には示していないが、第二の給電接触部12を第一の給電接触部の一部、例えば図2にて第三の絶縁誘電体層8と第四の絶縁誘電体層9の層間部にてロウ付けなどによる接続を行うことにより、吸着電極を複数有する積層誘電体部7に、一つの電位供給部で複数の吸着電極に電位供給可能となる。第一の給電接触部11の材質はモリブデン(Mo)または炭化シリコン(SiC)が好ましい。接続先の窒化アルミ(AlN)材と同程度の熱膨張係数を有すため、高温熱サイクル起因の機械ストレスによる、われ、ひびなどの問題を低減できるためである。第一の吸着電極5と第一の給電接触部11の接合は銀、ニッケルなどのロウ付けにより行う。図2で示した4つの絶縁誘電体層の融着においても、図1で示したと同様、複数の吸着電極形成準備を終えた後、同時に行う。また図2では示していないが、電熱ヒーターを含有する場合も、その製法は同様である。
【0017】
高温、特に本発明で実現可能となる400℃での静電チャックにおいては、恒温基盤は必須のものである。理由は断熱的温度保持と放射冷却に対抗する熱量供給にある。静電チャックを高温で真空中に維持する場合でも、必ず大気側の室温の部分に断熱的に接続されなければならない。そして物体の放射冷却で失われるエネルギーは、その絶対温度の4乗に比例して増加するため、実際には200〜300℃くらいから、この減少は特に顕著になる。本発明対象となる大口径対応の静電チャックではその面積、質量とも大きくなるため、熱消費対策は本発明のごとく万全でなければならない。
【0018】
図4は第一の吸着電極5と電熱ヒーター6を含有する積層絶縁誘電体部1に恒温基盤を接合させた静電チャックを示している。第三の絶縁誘電体層4の下部にアルミニウムを含浸させた第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16を接合させる。多孔質炭化シリコン(SiC)層のポーラスは平均20μm程度で、気孔率は5〜30%である。アルミニウムは溶融状態のものを高圧下でポーラスに強制含浸させる。そして580℃のアルミニウムにより第三の絶縁誘電体層4と第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16を接合させる。このアルミニウムを含浸させた多孔質炭化シリコン(SiC)は熱膨張係数を4.5×10−6/Kと窒化アルミ(AlN)の同係数4.4〜4.7×10−6/Kと同等な値に設定できるため、それらを接合させても、高温でのそり、たわみ、熱サイクルの機械ストレスなどがまったく生じないので、低温から400℃以上の高温までの幅広い温度範囲で機械的に非常に安定である。またアルミニウムを含浸させた多孔質炭化シリコン(SiC)の熱伝導率は非常に高く、アルミニウムを上回り、多孔質炭化シリコン(SiC)に匹敵する200〜300W/m・Kである。さらに、この複合材は非常に割れにくい。図4では第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16の下部にアルミニウムを含浸させた第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層17を設置している。この第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層17には温度維持用の温水あるいは冷却用の水などの媒体を流すことができる恒温媒体用経路17が配備されており、恒温基盤として機能する。アルミニウムを含浸させた、第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層16と第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層17の接合はアルミのロウ付けで行うが、これら二層に同時にアルミニウムを含浸させ、高圧接合させても良い。
【0019】
図5に静電チャックに用いられる双極型吸着電極パターンの一例を示す。第一極吸着電極パターン19と第二極吸着電極パターン20が同心円を櫛状に分布させ、それぞれの電極に正極と負極の電位を与える。これまでの本発明開示例では単極型吸着電極パターンについての実施例を説明してきたが双極型においてもその基本となるところは同様であるので以下記述の重複を省略する。
【0020】
【発明の効果】
本発明の実施例による絶縁誘電体部形成によると、最終工程での吸着電極のうねりは10μm以内にとどまり、表面絶縁誘電体層の体積抵抗率低減の効果も含め、12インチのシリコンウエハがほぼ完全な再現性で吸着できることを実験により確認している。400℃での温度上昇安定性試験により高温動作も良好で、室温から400℃のサイクル加熱冷却試験でも、絶縁誘電体部、恒温基盤になんらの損傷、動作不具合が見られない。製造コスト面においてはモリブデン合金を使った恒温基盤に比べ数十分の1のコストで製作可能である。本発明は今後進展が予測される更なるウエハの大口径化450mmに対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸着電極と電熱ヒーターを含有する静電チャックの積層絶縁誘電体
【図2】複数の吸着電極を含有する静電チャック
【図3】複数の吸着電極を含有する静電チャックにおいて第二吸着電極から中心の給電部に導く電極パターン
【図4】恒温基盤を接合させた積層絶縁誘電体部を有する静電チャック
【図5】静電チャックに用いられる双極型吸着電極パターンの一例
【符号の説明】
1 積層絶縁誘電体部
2 第一の絶縁誘電体層
3 第二の絶縁誘電体層
4 第三の絶縁誘電体層
5 第一の吸着電極
6 電熱ヒーター
7 吸着電極を複数有する積層誘電体部
8 第四の絶縁誘電体層
9 第五の絶縁誘電体層
10 第二の吸着電極
11 第一の給電接触部
12 第二の給電接触部
13 内部配線パターン
14 被処理ウエハ
15 恒温基盤付積層誘電体部
16 アルミニウムを含浸させた第一の多孔質炭化シリコン(SiC)層
17 アルミニウムを含浸させた第二の多孔質炭化シリコン(SiC)層
18 恒温媒体用経路
19 第一極吸着電極パターン
20 第二極吸着電極パターン
21 電位供給部
Claims (6)
- 複数の誘電体板を積層して形成する静電チャックにおいて、吸着表面側の第一の前記誘電体層の体積抵抗率を1×1010〜1012Ω・cmとし、この誘電体層から見て、前記吸着面と反対側に位置する第二の誘電体層の体積抵抗率を1×1014Ω・cm以上とする絶縁誘電体部を有する静電チャック。
- 前記絶縁誘電体部において、第一の誘電体材質を窒化アルミとする、請求項1の静電チャック。
- 前記絶縁誘電体部の前記第一の誘電体層と前記第二の誘電体層の層間に第一の吸着電極を形成し、前記第二の誘電体層から見て第一の誘電体層と反対側に位置する第三の誘電体層を設け、前期第二と第三の誘電体層の層間に絶縁誘電体部を加熱させる電熱ヒーターを形成することを特徴とする、請求項1の静電チャック。
- 前記第三の誘電体層から見て、第二の誘電体層と反対側に第四の誘電体層を設け、前期第三の誘電体層と第四の誘電体層にリング状の第二の吸着電極を形成することを特徴とする、請求項1の静電チャック。
- 複数の誘電体板を積層して形成する静電チャックにおいて、複数の層間に形成された一以上の複数の吸着電極の給電を一つの給電口から供給し、前記複数の吸着電極に分配する電位供給部を有する静電チャック。
- 複数の誘電体板を積層して絶縁誘電体部を形成する静電チャックにおいて、前記絶縁誘電体部を加熱するための恒温基盤を多孔質炭化シリコン(SiC)内にアルミニウムを含浸させた複合体とし、前記絶縁誘電体部に接合することを特徴とする静電チャック。
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