JP2004345127A - 液体噴射ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護部材をヘッドケースと一体化された状態で形成して、インクの異常溜まり現象を回避する液体噴射ヘッドとその製造方法を提供する。
【解決手段】平坦なノズル形成面16Aにノズル開口11が列設されたノズルプレート16と、ノズル開口11に連通し圧力発生手段14により液体を加圧する圧力発生室12とを含む液体噴射ユニット13が、主走査方向に往復移動するヘッドケース15に接合された液体噴射ヘッド10であって、液体噴射ユニット13の保護部材31がヘッドケース15と一体化された状態で設けられ、保護部材31の先端部はノズル形成面16Aよりも液体の被噴射物側に突出した位置に配置されている。これにより、液体が毛細管現象等で滞留する箇所がなくなり、被噴射物を液体で汚すようなことが防止できる。また。保護部材31の配置により接合基準面32の研磨加工が行ないやすくなり、高精度の研磨加工ができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体噴射ユニットを保護する構造を有する液体噴射ヘッドとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体をノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドは、種々な液体を対象にしたものが知られているが、そのなかでも代表的なものとして、インクジェット式記録装置に装着されるインク噴射ヘッドをあげることができる。そこで、従来の技術を上記インクジェット式記録装置を例にとって説明する。
【0003】
一般に、インクジェット式記録装置に装着されるインク噴射ヘッド10は、図12および図13に示すように、ノズル開口11と圧力発生室12が形成されたインク噴射ユニット13と、圧力発生手段である圧電振動子14が収容されたヘッドケース15とが接合されて構成されている。上記インク噴射ユニット13は、ノズル開口11が穿設されたノズル形成面16Aを有するノズルプレート16と、圧力発生室12と共通のインク室17ならびにこれらを連通させるインク供給路18とに対応する空間が形成された流路形成板19と、上記圧力発生室12の開口を塞ぐ振動板20とが積層されて形成されている。また、圧電振動子14に接続されたフレキシブル回路板22がヘッドケース15に取り付けられたプリント基板25に接続されている。そして、上記ノズル形成面16Aは平坦面とされている。
【0004】
ワイパー部材9でノズル形成面16Aをワイピングするときには、ワイパー部材9によりインク噴射ユニット13がノズル形成面16Aの方向(主走査方向)に押されたり、インク噴射ユニット13の角部に傷がついたりするのを防止するために、保護カバー26が取付けられている。上記保護カバー26は、例えば、厚さ0.2mmのステンレス板をプレス加工したもので、ノズル形成面16Aの周縁部分を額縁のような形状の保護枠27で覆っている。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−339658号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなインク噴射ヘッド10においては、インク噴射ユニット13内等のインク性状を適正なものとするために、インクを強制的に吸引するクリーニング動作やインクを定期的に空吐出をするフラッシング動作を行なうのであるが、これらの動作終了後には、液状のインクがノズル形成面16Aに付着しているので、それを除去するために、上記のワイピングが行なわれる。このワイピングによってノズル形成面16Aの片側に掻き寄せられたインクのうち大半のものは、ワイパー部材9を伝って廃インク貯留部に導かれる。しかし、一部のインクは、保護枠27とノズル形成面16Aとの間の隙間からインク噴射ユニット13およびヘッドケース15の表面を伝わって行き、このような現象が繰り返されると、保護カバー26とヘッドケース15の横側面との間の隙間に、毛細管現象をともなって溜まることとなる。
【0007】
上記のようにして溜まったインクが異常に多くなると、インク滴吐出を受ける記録紙上に滴下して紙面を汚すおそれがある。さらに上記のようにして溜まったインクがインク噴射ヘッド10の奥の方へ流動したりした場合には、インクがプリント基板25にまで達し、最悪の場合には、プリント基板25の正常な通電機能に支障をきたすおそれがある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、保護部材をヘッドケースと一体化された状態で形成して、インクの異常溜まり現象を回避する液体噴射ヘッドとその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドは、少なくとも平坦なノズル形成面にノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通し圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室とを含んで構成された液体噴射ユニットが、主走査方向に往復移動するヘッドケースに接合された液体噴射ヘッドであって、上記液体噴射ユニットを保護する保護部材が上記ヘッドケースと一体化された状態で設けられているとともに、上記保護部材の先端部は上記ノズル形成面よりも液体の被噴射物側に突出した位置に配置されていることを要旨とする。
【0010】
すなわち、上記液体噴射ユニットを保護する保護部材が上記ヘッドケースと一体化された状態で設けられているとともに、上記保護部材の先端部は上記ノズル形成面よりも液体の被噴射物側に突出した位置に配置されている。
【0011】
このため、上記ノズル形成面に付着している液体がワイパー部材でワイピングされると、掻き寄せられた液体は突出した上記保護部材に堰き止められるので、堰き止められた液体はより多くの量がワイパー部材を伝わって廃液貯留部に誘導される。そして、保護部材がヘッドケースと一体化され、上記従来技術のように、液体が毛細管現象で滞留するような隙間等の構造が存在していないので、保護部材をオーバーフローした液体は、隙間等の特定の箇所に滞留することがなく、上述のように被噴射物に滴下するような現象が防止でき、プリント基板のような電気的作用をする部品に液体が付着することが防止できる。
【0012】
同時に、保護部材はヘッドケースと一体化された状態で設けられているので、保護部材自体の剛性を高くすることができ、ワイパー部材が直接液体噴射ユニットの端部に接触することがなく、液体噴射ユニットの保護機能が高い信頼性のもとで実現する。液体噴射ユニットは、通常、ノズルプレートやそれに合体される部品が積層構造となって構成され、それがヘッドケースに接合されている。したがって、ワイパー部材等により何等かの外力が液体噴射ユニットの端部に作用すると、上記積層構造部分に剥離現象が発生したり、ヘッドケースに対する接合部が外れたりしやすいのであるが、上記保護部材によりそのような不都合な現象が防止できる。さらに、液体噴射ヘッドを装置本体に組み付けたり搬送したりする際に、近隣の部材に接触することがあっても、上記保護部材により部品としての液体噴射ヘッドを傷めることが最小化できる。また、保護部材の形成に際しては特別な部品を準備する必要がないので、部品点数の削減,原価低減,構造簡素化等において有効である。
【0013】
さらに、保護部材がヘッドケースと一体化されてその剛性が高くなるため、ノズル形成面からの保護部材の突出量を極限まで小さくすることができる。このため、ノズル形成面と被噴射物との距離をその分小さくすることができ、吐出精度を大幅に高めることができる。
【0014】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記ヘッドケースの一部に液体噴射ユニットが接合される接合基準面が形成されている場合には、上記接合基準面に液体噴射ユニットを接合することにより、ノズル形成面の向きやノズル開口の位置が正確に設定できる。
【0015】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材が、上記主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面の両端部近傍に配置され、上記接合基準面が上記両保護部材の間に配置されている場合には、上記保護部材の間の接合基準面に液体噴射ユニットを接合することにより、直ちに保護部材がノズル形成面の両端部近傍の適正な位置に配置される。したがって、保護部材の保護機能が確実に果たされ、また、液体噴射ユニットのヘッドケースへの組み付け工程が簡素化される。
【0016】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材が、上記主走査方向におけるノズル形成面の両端部にのみ沿って主走査方向に略直交する方向に延びた状態で配置されている場合には、保護部材を主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面の両端部にのみ配置することにより、上記保護部材以外の箇所は開放された状態になるので、ヘッドケースに形成される液体噴射ユニットの接合基準面の研磨加工が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。また、主走査方向と同方向に延びる保護部材が存在しないので、保護部材を乗り越えたワイパー部材はノズル形成面のノズル列方向の全域にわたって接触することとなる。したがって、ノズル列方向で見ていわゆる拭き残しが発生しないので、ノズル列の端部近くのノズル開口を含めて全てのノズル開口が正常に機能する状態が確保される。
【0017】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材は、ノズル形成面を包囲する枠状保護部材の形態で配置され、上記枠状保護部材の内側に上記接合基準面が形成されている場合には、液体噴射ユニットを枠状保護部材内に挿入し接合基準面に接合するだけで、液体噴射ユニットの主走査方向とそれに直交する方向(副走査方向)の位置、および被噴射物に向う方向との各位置が確実に設定される。
【0018】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記枠状保護部材が、主走査方向に略直交する方向に延びた部分において、その先端部がノズル形成面よりも被噴射物側に突出している場合には、主走査方向と同方向に延びる保護部材が存在しないので、保護部材を乗り越えたワイパー部材はノズル形成面のノズル列方向の全域にわたって接触することとなる。したがって、ノズル列方向で見ていわゆる拭き残しが発生しないので、ノズル列の端部近くのノズル開口を含めて全てのノズル開口が正常に機能する状態が確保される。
【0019】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記枠状保護部材の内側に補助枠部材が挿入され、上記補助枠部材に上記接合基準面が形成されている場合には、液体噴射ユニットを枠状保護部材内に挿入し、補助枠部材に形成した接合基準面に接合するだけで、液体噴射ユニットの主走査方向とそれに直交する方向(副走査方向)の位置、および被噴射物に向う方向との各位置が確実に設定される。この場合において、上記補助枠部材の端面が接合基準面である場合には、補助枠部材単品の状態で接合基準面の研磨加工を行なうので、研磨加工が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。さらに、補助枠部材の内側に液体噴射ユニットの一部である圧力発生手段等を収容することができる。
【0020】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材が、ヘッドケースの端面部に突条部材を接合して構成されている場合には、上記突条部材を付加的にヘッドケースに取付けて、液体噴射ユニットを保護するものであるから、簡単な構造の部品追加だけで保護部材が形成でき、液体噴射ヘッドの構造簡素化ができ製作が行ないやすくなる。とくに、ヘッドケースの構造を大きく変更することなく、保護部材が構成できるので、容易に実用化が可能となる。
【0021】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材の先端部が、上記ノズル形成面と同一平面上の位置に配置されている場合には、ワイピングの開始位置においては、ワイパー部材が保護部材の先端部からノズル形成面にかけて滑らかに移動でき、ワイピングの終了位置においては、掻き寄せられた液体が、ノズル形成面から保護部材の先端部へ円滑に払拭される。したがって、ノズル形成面に付着している液体が全て確実にワイピングされ、ワイピング機能が完全なものとなる。
【0022】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材の角部に、丸み形状が形成されている場合には、ワイパー部材が保護部材を滑らかに乗り越えるので、ワイパー部材に無理な力が作用することがなく、ワイパー部材の耐久性向上にとって有効である。また、ワイパー部材のすりへりや傷つきを防止し、ワイパー部材の損傷に伴うふき取り不良の発生が防止される。
【0023】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記保護部材とヘッドケースが、導電性の合成樹脂材料から形成されている場合には、被噴射物に帯電した静電気がノズルプレート等に移動するのを防止できる。すなわち、上記導電性のある合成樹脂材料で保護部材やヘッドケースが成型されているので、上記静電気は保護部材からヘッドケースを経て装置本体に接地され、装置本体内部の電子部品が保護される。
【0024】
上記目的を達成するため、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、少なくとも平坦なノズル形成面にノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通し圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室とを含んで構成された液体噴射ユニットが、主走査方向に往復移動するヘッドケースに接合された液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記液体噴射ユニットを保護する保護部材を上記主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面の両端部近傍に配置し、上記両保護部材の間のヘッドケースの一部に形成される上記液体噴射ユニットの接合基準面を、両保護部材の間において研磨することを要旨とする。
【0025】
すなわち、上記液体噴射ユニットを保護する保護部材を上記主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面の両端部近傍に配置し、上記両保護部材の間のヘッドケースの一部に形成される上記液体噴射ユニットの接合基準面を、両保護部材の間において研磨するのである。
【0026】
このため、保護部材を主走査方向に略直交する方向に延びた状態で配置することにより、上記保護部材以外の箇所は開放された状態になるので、ヘッドケースに形成される液体噴射ユニットの接合基準面の研磨加工が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。つまり、保護部材以外の箇所が開放されているので、研磨工具を所要の方向や研磨領域に移動させることが行ないやすくなるのである。とくに、研磨工具を上記保護部材と平行な方向に沿って移動させながら接合基準面の研磨が可能となるので、面精度の高い接合基準面がえられる。同時に、研磨加工の制約が上記のように少なくなるので、加工時間の短縮ができ、経済的である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【0028】
本発明における液体噴射ヘッドは、上述のように種々な液体を対象にして機能させることができ、図示の実施の形態においてはその代表的な事例として、インクジェット式記録装置に採用されるインク噴射ヘッドを実施の形態の対象にしている。
【0029】
図1〜図3は、本発明の液体噴射ヘッドの一実施の形態を示す。
【0030】
図1は、インクジェット式記録装置1の周辺構造の一例を示す図である。この装置は、インクカートリッジ2が搭載されるとともにインク噴射ヘッド10が取付けられたキャリッジ3を備えている。
【0031】
上記キャリッジ3は、タイミングベルト4を介してステッピングモータ5に接続され、ガイドバー6に案内されて記録紙7の紙幅方向(主走査方向)に往復移動するようになっている。上記キャリッジ3は、上部に開放する箱型を呈し、記録紙7と対向する面(この例では下面)に、インク噴射ヘッド10のノズル面が露呈するよう取付けられるとともに、インクカートリッジ2が収容されるようになっている。
【0032】
そして、上記インク噴射ヘッド10にインクカートリッジ2からインクが供給され、キャリッジ3を移動させながら記録紙7上面にインク滴を吐出させて記録紙7に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。図1において、8は印刷休止中にインク噴射ヘッド10のノズル開口を封止することによりノズルの乾燥をできるだけ防ぐキャップ、9はインク噴射ヘッド10のノズル面をワイピングするワイパー部材である。また、キャリッジ3には、図1に示すように、ガイドバー6が挿通されている。さらに、9Aはワイパー部材9でワイピングされたインクを貯留する廃インク貯留部である。
【0033】
図2に示すように、上記ワイパー部材9は、スポンジやゴムのような柔軟な弾性材料で形成され、ワイピングをするときにはノズル形成面16Aをワイピングできる位置まで移動させるように構成され、そのために進退機構29が設けられている。なお、プリント基板25の端部に圧電振動子14の動作信号を入力するターミナル30が配置されている。
【0034】
上記インク噴射ヘッド10の基本構造の一例を図2にしたがって説明すると、このインク噴射ヘッド10は、ノズル開口11と圧力発生室12が形成されたインク噴射ユニット13と、圧力発生手段である圧電振動子14が収容されたヘッドケース15とが接合されて構成されている。
【0035】
上記インク噴射ユニット13は、ノズル開口11が穿設されたノズル形成面16Aを有するノズルプレート16と、圧力発生室12と共通のインク室17ならびにこれらを連通させるインク供給路18とに対応する空間が形成された流路形成板19と、上記圧力発生室12の開口を塞ぐ振動板20とが積層されて形成されている。そして、上記ノズル形成面16Aは平坦面とされている。
【0036】
上記圧電振動子14は、駆動信号の入力により、充電状態で長手方向に収縮し、充電状態から放電する過程で長手方向に伸長する、いわゆる縦振動モードの振動子である。上記圧電振動子14は、その先端が圧力発生室12の一部を形成する振動板20の島部20Aに固着された状態で、他端が基台21に固定されている。
【0037】
また、上記ヘッドケース15には、そのインク室17に対応する部分に、インク室17にインクカートリッジ2のインクを導入するヘッド流路24が形成されている。上記ヘッド流路24の開口縁には、環状突起23が形成されている。
【0038】
上記インク噴射ヘッド10では、上記圧電振動子14の収縮・伸長を受けて圧力発生室12が拡張・収縮し、圧力発生室12の圧力変動によりインクの吸引とインク滴の吐出とが行なわれるようになっている。図2において、22は圧電振動子14に駆動信号を入力するフレキシブル回路板であり、ヘッドケース15に結合されたプリント基板25に結線されている。
【0039】
上記インク噴射ヘッド10では、図2において紙面に垂直な方向に圧電振動子14,圧力発生室12,ノズル開口11が列設されており、ノズルプレート16には、2列のノズル列が一対となり、3対のものが形成されている(図3参照)。上記のノズル開口11は一直線上に列設され、このようなノズル列に符号11Aが付してある。
【0040】
上記インク噴射ユニット13は、接着剤等を用いてヘッドケース15に接合されている。上記のワイパー部材9でノズル形成面16Aをワイピングするときには、ワイパー部材9によりインク噴射ユニット13がノズル形成面16Aの方向(主走査方向)に押されたり、インク噴射ユニット13の角部に傷がついたりするのを防止するために、保護部材31が設けられている。
【0041】
インク噴射ヘッド10の主走査方向は、図2および図3(A)の左右方向であり、この主走査方向に略直交する方向に2つの保護部材31が配置されている。上記保護部材31は、それぞれヘッドケース15の左右両側にのみ略平行に配置されている。ヘッドケース15は、合成樹脂で成型されており、この成型と同時に保護部材31も一体に成型されている。保護部材31の先端部31Aは、上記ノズル形成面16Aよりも記録紙7側に突出した位置に配置されている。この例におけるノズル形成面16Aの寸法は、主走査方向が42mm、副走査方向が30mmであり、このような寸法下にあって記録紙7側への保護部材31の突出量Lは、0.1mmである。上記合成樹脂は導電性のある樹脂材料が用いられ、ここでは、カーボンパウダーを合成樹脂に混入したものが使用されている。なお、ヘッドケース15には、圧電振動子14や基台21等が収容される空間38が形成されている。
【0042】
上記両保護部材31の間隔は、インク噴射ユニット13の左右長さよりもわずかに大きく設定されている。そして、両保護部材31の間のヘッドケース15の表面には、インク噴射ユニット13が接着剤等を用いて接合される接合基準面32が形成されている。上記接合基準面32は、研磨加工によって平坦な基準面として仕上げられている。接合基準面32の左右には、保護部材31が起立した状態で配置されているが、接合基準面32の主走査方向と直交する側の部分は開放された状態になっている。したがって、接合基準面32を研磨加工で仕上げるときには、研磨工具の移動の自由度が高まり研磨加工が行いやすくなる。また、図3(A)に示すように、矢線33の方向に研磨工具を動作させる場合には、研磨工具の挙動を阻害する部材が存在しないので、面精度の高い研磨が短時間で行える。
【0043】
図3(B)は、保護部材31の角部に丸み形状が形成されている状態を示す断面図である。この例では、保護部材31の先端部全体が円弧状のカマボコ型になった円弧部34とされている。また、同図(C)に示した例は、保護部材31の副走査方向に沿う端縁の角の部分に丸みのあるアール部35が両側に形成されている。上記のように保護部材31の角部に丸み形状を付与することにより、ワイパー部材9に対して図2の矢線36の方向にインク噴射ヘッド10が移動したときに、ワイパー部材9が丸みのある保護部材31の先端部を滑らかに乗り越えて、円滑な作動がえられる。したがって、ワイパー部材9に無理な力が作用することがなく、ワイパー部材9の耐久性向上にとって有効である。また、ワイパー部材9のすりへりや傷つきを防止し、ワイパー部材9の損傷に伴うふき取り不良の発生が防止される。
【0044】
上記インク噴射ヘッド10では、上記ノズル形成面16Aに付着しているインクがワイパー部材9でワイピングされると、掻き寄せられたインクは突出した上記保護部材31に堰き止められるので、堰き止められたインクはより多くの量がワイパー部材9を伝わって廃インク貯留部9Aに誘導される。そして、保護部材31がヘッドケース15と一体化され、上記従来技術のように、インクが毛細管現象で滞留するような隙間等の構造が存在していないので、保護部材31をオーバーフローしたインクは、隙間等の特定の箇所に滞留することがなく、上述のように記録紙7に滴下するような現象が防止でき、プリント基板25のような電気的作用をする部品にインクが付着することが防止できる。
【0045】
同時に、保護部材31はヘッドケース15と一体化された状態で設けられているので、保護部材31自体の剛性を高くすることができ、ワイパー部材9が直接インク噴射ユニット13の端部に接触することがなく、インク噴射ユニット13の保護機能が高い信頼性のもとで実現する。インク噴射ユニット13は、通常、ノズルプレート16やそれに合体される部品が積層構造となって構成され、それがヘッドケース15に接合されている。したがって、ワイパー部材9等により何等かの外力がインク噴射ユニット13の端部に作用すると、上記積層構造部分に剥離現象が発生したり、ヘッドケース15に対する接合部が外れたりしやすいのであるが、上記保護部材31によりそのような不都合な現象が防止できる。さらに、インク噴射ヘッド10を装置本体に組み付けたり搬送したりする際に、近隣の部材に接触することがあっても、上記保護部材31により部品としてのインク噴射ヘッド10を傷めることが最小化できる。また、保護部材31の形成に際しては特別な部品を準備する必要がないので、部品点数の削減,原価低減,構造簡素化等において有効である。
【0046】
さらに、保護部材31がヘッドケース15と一体化されてその剛性が高くなるため、ノズル形成面16Aからの保護部材31の突出量Lを極限まで小さくすることができる。このため、ノズル形成面16Aと記録紙7との距離をその分小さくすることができ、吐出精度を大幅に高めることができる。具体的には、上記の突出量Lは0.1mmであり、図12および図13に示した保護枠27の厚さ0.2mmよりも大幅に薄くすることができた。
【0047】
主走査方向と同方向に延びる保護部材が存在しないので、保護部材31を乗り越えたワイパー部材9はノズル形成面16Aのノズル列11A方向の全域にわたって接触することとなる。したがって、ノズル列11A方向で見ていわゆる拭き残しが発生しないので、ノズル列11Aの端部近くのノズル開口11を含めて全てのノズル開口11が正常に機能する状態が確保される。また、保護部材31を主走査方向に略直交する方向に延びた状態で配置して主走査方向に配置しないことにより、上記保護部材31以外の箇所は開放された状態になるので、ヘッドケース15に形成されるインク噴射ユニット13の接合基準面32の研磨加工が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。そして、このように高精度に仕上げられた接合基準面32にインク噴射ユニット13を接合することにより、ヘッドケース15に対するインク噴射ユニット13の取付け位置が正確に設定されて、インク滴吐出が正確になされる。
【0048】
上記保護部材31が、主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面16Aの両端部近傍に配置され、上記接合基準面32が両保護部材31の間に配置されている。これにより、両保護部材31の間の接合基準面32にインク噴射ユニット13を接合することにより、直ちに保護部材31がノズル形成面16Aの両端部近傍の適正な位置に配置される。したがって、保護部材31の保護機能が確実に果たされ、また、インク噴射ユニット13のヘッドケース15への組み付け工程が簡素化される。
【0049】
さらに、上記インク噴射ヘッド10では、記録紙7に帯電した静電気がノズルプレート16等に移動するのが防止される。すなわち、上記導電性のある合成樹脂材料で保護部材31やヘッドケース15が成型されているので、上記静電気は保護部材31からヘッドケース15を経て装置本体に接地され、装置本体内部の電子部品が保護される。
【0050】
上記保護部材31が、ノズル形成面16Aを払拭するワイパー装置がインク噴射ユニット13の端部に直接接触しないようにしている。このため、上記ノズル形成面16Aに付着しているインクがワイパー装置でワイピングされると、掻き寄せられたインクは突出した保護部材31に堰き止められるので、堰き止められたインクはより多くの量がワイパー装置を伝わって廃インク貯留部9Aに誘導される。そして、保護部材31がヘッドケース15と一体化され、上記従来技術のように、インクが毛細管現象で滞留するような隙間等の構造が存在していないので、保護部材31をオーバーフローしたインクは、隙間等の特定の箇所に滞留することがなく、上述のように記録紙7に滴下するような現象が防止でき、プリント基板25のような電気的作用をする部品にインクが付着することが防止できる。
【0051】
上記インク噴射ヘッド10の製造方法はつぎのとおりである。
【0052】
すなわち、左右両側に保護部材31が配置され、空間38やヘッド流路24等を有するヘッドケース15を、導電性のある合成樹脂を用いて、例えば、インジェクション成型で成型する。その後、上記成型部品を研磨加工装置にセットし、接合基準面32の研磨加工を行う。この研磨加工においては、保護部材31が上記のように、左右両側にのみ存在していて主走査方向に沿った方向には存在していないので、研磨工具を図3に示した矢線33の方向に動作させて研磨が行われる。そして、このようにして形成したヘッドケース15の研磨仕上げされた接合基準面32に、接着剤等によりインク噴射ユニット13を接合することにより、本発明のインク噴射ヘッド10が得られる。
【0053】
上述の製造方法では、左右両側の保護部材31以外の箇所は開放された状態になるので、ヘッドケース15に形成されるインク噴射ユニット13の接合基準面32の研磨加工が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。つまり、保護部材31以外の箇所が開放されているので、研磨工具を所要の方向や研磨領域に移動させることが行ないやすくなるのである。とくに、研磨工具を上記保護部材31と平行な方向に沿って移動させながら接合基準面32の研磨が可能となるので、面精度の高い接合基準面32がえられる。同時に、研磨加工の制約が上記のように少なくなるので、加工時間の短縮ができ、経済的である。
【0054】
図4は、本発明による液体噴射ヘッドの第2の実施の形態を示す。
【0055】
この実施の形態は、上記保護部材31は、ノズル形成面16Aを包囲する枠状に形成され、主走査方向に直交する方向で延びた部分において、その先端部がノズル形成面16Aよりも被噴射物側に突出し、主走査方向に延びた部分の表面15Aの部分において、その先端部がノズル形成面16Aと面一またはやや表面15Aの方が低くなるように形成された例である。すなわち、ヘッドケース15の表面15Aよりも一段下がった位置に接合基準面32が形成され、インク噴射ユニット13を接合基準面32に接合すると、図4(A)に示すように、上記表面15Aとノズル形成面16Aとが略同一仮想平面状に配置されるものである。
【0056】
図4(B)に示したように、左右両側の保護部材31と、主走査方向に延びる表面15Aと、表面15Aよりも一段低い箇所に位置し、枠状の保護部材31の内側に形成された枠状の接合基準面32と、接合基準面32の内側に配置される空間38等が、ヘッドケース15の成型時に形成される。そして、必要に応じて接合基準面32を研磨加工で仕上げる。ここで、上記表面15Aと接合基準面32との段差寸法は、インク噴射ユニット13の厚さと略同じ値とされ、インク噴射ユニット13を接合基準面32に接合すると、(A)のような状態に組み立てられる。それ以外は、上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0057】
上記構成により、インク噴射ユニット13がヘッドケース15の表面15Aに埋め込まれたような状態になるので、副走査方向からの何等かの外力がインク噴射ユニット13に作用することが防止できる。また、上記表面15Aとノズル形成面16Aとが略同一平面上に配置されているので、ワイパー部材9はノズル列11A方向において拭き残しなく、全てのノズル開口11に対してワイピングが可能となる。それ以外は、上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0058】
図5は、本発明による液体噴射ヘッドの第3の実施の形態を示す。
【0059】
この実施の形態は、保護部材が、ノズル形成面16Aを包囲する枠状保護部材37の形態で配置され、上記枠状保護部材37の内側に上記接合基準面32が形成されている場合である。枠状保護部材37は、主走査方向に直交する2つの保護部材31と、主走査方向に延びる平行に配置された2つの保護部材39によって四角い枠状の形態とされている。そして、枠状保護部材37の内側に一段低くなっている面が、ヘッドケース15の成型時に接合基準面32として形成され、この接合基準面32も枠状となっている。それ以外は、上記実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0060】
上記構成により、インク噴射ユニット13を枠状保護部材37内に挿入し接合基準面32に接合するだけで、インク噴射ユニット13の主走査方向とそれに直交する方向(副走査方向)の位置、および記録紙7に向う方向との各位置が確実に設定される。それ以外は、基本的に上記実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0061】
図6および図7は、本発明による液体噴射ヘッドの第4の実施の形態を示す。
【0062】
図6に示された例は、上記枠状保護部材37の内側に挿入された補助枠部材40の記録紙7側の端面に、上記接合基準面32が形成されている場合である。ヘッドケース15の保護部材31とは反対側の箇所に、内側に突出するフランジ状の底部部材41が形成され、その保護部材31側にストッパ面41Aが形成してある。上記補助枠部材40に接合基準面32を形成してから上記補助枠部材40をヘッドケース15内にはめ込み、補助枠部材40の下端面を上記ストッパ面41Aに接着剤等で接合する。補助枠部材40の高さは、インク噴射ユニット13を接合基準面32に接合したときに、上記突出量Lが所定の値になるように設定されている。また、図7に示された例は、補助枠部材40の保護部材31と反対側の外周縁に形成したフランジ状の底部部材40Aに、上記の場合と同様なストッパ面40Bが形成されていて、補助枠部材40の外側にヘッドケース15を嵌め合わせ、ヘッドケース15の下端面を上記ストッパ面40Bに接着剤等で接合したものである。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0063】
なお、上記補助枠部材40は、内部に圧電振動子14等を収容する空間38が形成されていれば、必ずしも枠状を呈するものでないものも含む趣旨である。
【0064】
上記構成により、インク噴射ユニット13を枠状保護部材37内に挿入し、補助枠部材40に形成した接合基準面32に接合するだけで、インク噴射ユニット13の主走査方向とそれに直交する方向(副走査方向)の位置、および被噴射物に向う方向との各位置が確実に設定される。また、補助枠部材40の内側にインク噴射ユニット13の一部である圧力発生手段等を収容することができる。さらに、補助枠部材40を枠状保護部材37内に挿入する前に補助枠部材単品の状態で接合基準面32の研磨加工が行なえるので、研磨加工等が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。さらに、補助枠部材の内側に液体噴射ユニットの一部である圧力発生手段等を収容することができる。そして、ストッパ面41Aや40Bに補助枠部材40やヘッドケース15を突き当てることにより接合基準面32の位置が設定できるので、接合基準面32の位置決めが簡単に行なえる。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0065】
図8は、本発明による液体噴射ヘッドの第5の実施の形態を示す。
【0066】
この実施の形態は、ヘッドケース15に一体化された状態で設けられる保護部材31あるいは枠状保護部材37が、突条部材42で構成されている場合である。図8(A)に示した例は、突条部材42で形成した枠状保護部材37がヘッドケース15の端面部すなわち接合基準面32の外周縁側に結合され、この枠状保護部材37の内側に露出した接合基準面32にインク噴射ユニット13が接合されている。上記突条部材42の結合は、枠状保護部材37の裏面に形成した突条43を、ヘッドケース15の端面部に設けた溝にはめ込む構造で行なわれている。
【0067】
(B)に示した例は、枠状保護部材37の裏面に形成した嵌合枠44を、ヘッドケース15の端面部の外周部に嵌め合わせてある。そして、この枠状保護部材37の内側の接合基準面32にインク噴射ユニット13が接合してある。
【0068】
(C)に示した例は、2本の突条部材42を主走査方向と直行する向きに配置したもので、図2および図3に示すような保護部材31が別部品である突条部材42によって構成されている。この突条部材42は、ヘッドケース15の端面部に設けた切り欠き状の段部45に接着等で固定されている。上記両突条部材42の間に配置されている接合基準面32にインク噴射ユニット13が接合されている。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0069】
上記保護部材31あるいは枠状保護部材37を付加的にヘッドケース15に取付けて、インク噴射ユニット13を保護するものであるから、簡単な構造の部品追加だけで保護部材31,枠状保護部材37が形成でき、インク噴射ヘッド10の構造簡素化ができ製作が行ないやすくなる。とくに、ヘッドケース15の構造を大きく変更することなく、保護部材31,枠状保護部材37が構成できるので、容易に実用化が可能となる。また、接合基準面32の研磨加工が行いやすい。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0070】
図9は、本発明による液体噴射ヘッドの第6の実施の形態を示す。
【0071】
この実施の形態は、主走査方向に略直交する向きに配置された保護部材31は、ヘッドケース15の成型時に同時成型されており、主走査方向に配置されている保護部材39は細長い別部品で構成されている。上記別部品の保護部材39は、前述した突条部材42と同様の構造である。図9(B)に示した例は、図4に示した例の表面15Aに突条部材42である保護部材39を接合した場合である。また、(C)に示した例は、図3に示した接合基準面32に突条部材42である保護部材39を接合した場合である。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0072】
上記構成により、後づけ的に配置された保護部材39(突条部材42)が、副走査方向からインク噴射ユニット13に及ぶおそれのある外力を規制し、インク噴射ユニット13に対する保護機能が一層向上する。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0073】
図10は、本発明による液体噴射ヘッドの第7の実施の形態を示す。
【0074】
この実施の形態は、ノズル形成面16Aからの保護部材31,39の突出量を極限まで小さくした一例であり、上記保護部材31あるいは枠状保護部材37の先端部31A,39Aを、ノズル形成面16Aと同一平面上の位置に配置したものである。上記先端部31A,39Aの内側に切欠き部47を形成し、それによって同時に接合基準面32も形成される。上記切欠き部47にインク噴射ユニット13の周縁部をはめ込み、先端部31A,39Aとノズル形成面16Aが、滑らかに連続した状態で同一平面上の位置に配置されている。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0075】
上記構成により、ワイピングの開始位置においては、ワイパー部材9が保護部材31あるいは枠状保護部材37の先端部からノズル形成面16Aにかけて滑らかに移動でき、ワイピングの終了位置においては、掻き寄せられたインクがノズル形成面16Aから保護部材31あるいは枠状保護部材37の先端部へ円滑に払拭される。したがって、ノズル形成面16Aに付着しているインクが全て確実にワイピングされ、ワイピングの機能が完全なものとなる。そして、アール部35が形成されているので、ワイピング動作はより一層円滑に実行される。それ以外は、上記各実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0076】
図11は、本発明による液体噴射ヘッドの第8の実施の形態を示す。
【0077】
この実施の形態は、たわみ振動モードでインク滴を吐出する圧力発生素子48が採用されている場合である。ここでは、内部にインク通路50が設けられ、先端部に尖部51が形成されたインク供給針49が、キャリッジ3に固定されている。キャリッジ3にインクカートリッジ2を取付けると、インク供給針49がインクカートリッジ2内に差し込まれて、インクがインク室17内へ流入するようになっている。それ以外は、上記各実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。また、作用効果の面においても、上記各実施の形態と同様である。
【0078】
上記各実施の形態では、圧力発生素子が圧電振動子であるものを例示したが、他に、液体の加熱素子で液体を噴射する形式のものであってもよい。また、本発明における液体貯留手段は、上記各実施の形態で示した、キャリッジにインクカートリッジを搭載する形式のものに加えて、インクタンクをインクジェット式記録装置の本体側に装着し、キャリッジには圧力変動を吸収するサブタンクを搭載した形式のものであってもよい。
【0079】
上記各実施の形態は、インクジェット式記録装置を対象にしたものであるが、本発明によってえられた液体噴射装置は、インクジェット式記録装置用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施の形態では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の液体噴射ヘッドによれば、上記ノズル形成面に付着している液体がワイパー部材でワイピングされると、掻き寄せられた液体は突出した上記保護部材に堰き止められるので、堰き止められた液体はより多くの量がワイパー部材を伝わって廃液貯留部に誘導される。そして、保護部材がヘッドケースと一体化され、上記従来技術のように、液体が毛細管現象で滞留するような隙間等の構造が存在していないので、保護部材をオーバーフローした液体は、隙間等の特定の箇所に滞留することがなく、上述のように被噴射物に滴下するような現象が防止でき、プリント基板のような電気的作用をする部品に液体が付着することが防止できる。
【0081】
同時に、保護部材はヘッドケースと一体化された状態で設けられているので、保護部材自体の剛性を高くすることができ、ワイパー部材が直接液体噴射ユニットに接触することがなく、液体噴射ユニットの保護機能が高い信頼性のもとで実現する。液体噴射ユニットは、通常、ノズルプレートやそれに合体される部品が積層構造となって構成され、それがヘッドケースに接合されている。したがって、ワイパー部材等により何等かの外力が液体噴射ユニットに作用すると、上記積層構造部分に剥離現象が発生したり接合部が外れたりしやすいのであるが、上記保護部材によりそのような不都合な現象が防止できる。さらに、液体噴射ヘッドを装置本体に組み付けたり搬送したりする際に、近隣の部材に接触することがあっても、上記保護部材により部品としての液体噴射ヘッドを傷めることが最小化できる。また、保護部材の形成に際しては特別な部品を準備する必要がないので、部品点数の削減,原価低減,構造簡素化等において有効である。
【0082】
また、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法によれば、保護部材を主走査方向に略直交する方向に延びた状態で配置することにより、上記保護部材以外の箇所は開放された状態になるので、ヘッドケースに形成される液体噴射ユニットの接合基準面の研磨加工が行ないやすくなり、加工精度の向上,加工時間の短縮等において有効である。つまり、保護部材以外の箇所が開放されているので、研磨工具を所要の方向や研磨領域に移動させることが行ないやすくなるのである。とくに、研磨工具を上記保護部材と平行な方向に沿って移動させながら接合基準面の研磨が可能となるので、面精度の高い接合基準面がえられる。同時に、研磨加工の制約が上記のように少なくなるので、加工時間の短縮ができ、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるインクジェット式記録装置の斜視図である。
【図2】上記記録装置に装着されるインク噴射ヘッドの断面図である。
【図3】上記インク噴射ヘッドの一部を示す斜視図と断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を示す断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の変形例を示す断面図と斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態を示す断面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態を示す斜視図と断面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態を示す断面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態を示す断面図である。
【図12】従来技術を示す分解斜視図である。
【図13】図12のものの断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録装置
2 インクカートリッジ
3 キャリッジ
4 タイミングベルト
5 ステッピングモータ
6 ガイドバー
7 記録紙
8 キャップ
9 ワイパー部材
9A 廃インク貯留部
10 インク噴射ヘッド
11 ノズル開口
11A ノズル列
12 圧力発生室
13 インク噴射ユニット,液体噴射ユニット
14 圧電振動子
15 ヘッドケース
15A 表面
16 ノズルプレート
16A ノズル形成面
17 インク室
18 インク供給路
19 流路形成板
20 振動板
20A 島部
21 基台
22 フレキシブル回路板
23 環状突起
24 ヘッド流路
25 プリント基板
26 保護カバー
27 保護枠
29 進退機構
30 ターミナル
31 保護部材
31A 先端部
32 接合基準面
33 矢線
34 円弧部
35 アール部
36 矢線
37 枠状保護部材
38 空間
39 保護部材
39A 先端部
40 補助枠部材
40A 底部部材
40B ストッパ面
41 底部部材
41A ストッパ面
42 突条部材
43 突条
44 嵌合枠
45 段部
47 切欠き部
48 圧力発生素子
49 インク供給針
50 インク通路
51 尖部
L 突出量

Claims (12)

  1. 少なくとも平坦なノズル形成面にノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通し圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室とを含んで構成された液体噴射ユニットが、主走査方向に往復移動するヘッドケースに接合された液体噴射ヘッドであって、上記液体噴射ユニットを保護する保護部材が上記ヘッドケースと一体化された状態で設けられているとともに、上記保護部材の先端部は上記ノズル形成面よりも液体の被噴射物側に突出した位置に配置されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 上記ヘッドケースの一部に液体噴射ユニットが接合される接合基準面が形成されている請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 上記保護部材は、上記主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面の両端部近傍に配置され、上記接合基準面が上記両保護部材の間に配置されている請求項2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 上記保護部材は、上記主走査方向におけるノズル形成面の両端部にのみ沿って主走査方向に略直交する方向に延びた状態で配置されている請求項3記載の液体噴射ヘッド。
  5. 上記保護部材は、ノズル形成面を包囲する枠状保護部材の形態で配置され、上記枠状保護部材の内側に上記接合基準面が形成されている請求項2記載の液体噴射ヘッド。
  6. 上記枠状保護部材は、主走査方向に略直交する方向に延びた部分において、その先端部がノズル形成面よりも被噴射物側に突出している請求項5記載の液体噴射ヘッド。
  7. 上記枠状保護部材の内側に補助枠部材が挿入され、上記補助枠部材に上記接合基準面が形成されている請求項5または6記載の液体噴射ヘッド。
  8. 上記保護部材は、ヘッドケースの端面部に突条部材を接合して構成されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  9. 上記保護部材の先端部は、上記ノズル形成面と同一平面上の位置に配置されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  10. 上記保護部材の角部に、丸み形状が形成されている請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  11. 上記保護部材とヘッドケースは、導電性の合成樹脂材料から形成されている請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  12. 少なくとも平坦なノズル形成面にノズル開口が列設されたノズルプレートと、上記ノズル開口に連通し圧力発生手段により液体を加圧する圧力発生室とを含んで構成された液体噴射ユニットが、主走査方向に往復移動するヘッドケースに接合された液体噴射ヘッドの製造方法であって、上記液体噴射ユニットを保護する保護部材を上記主走査方向に略直交する方向に延びた状態でノズル形成面の両端部近傍に配置し、上記両保護部材の間のヘッドケースの一部に形成される上記液体噴射ユニットの接合基準面を、両保護部材の間において研磨することを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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JP2009213949A (ja) * 2008-03-07 2009-09-24 Ricoh Printing Systems Ltd インクジェットヘッドユニット
JP2021000727A (ja) * 2019-06-19 2021-01-07 セーレン株式会社 画像形成装置

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