JP2004340287A - 自動変速機の変速制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチツークラッチ変速に際して係合側および解放側のトルク容量をそれぞれ直接制御する場合に、変速ショックを損なうことなく面倒な適合作業を軽減するとともに必要なデータ量を低減する。
【解決手段】係合側油圧P1については予め適合により定められた油圧指令パターンに従ってフィードフォワード制御を主体として制御する一方、解放側油圧P2については、S4で上記係合側油圧P1の油圧指令値DP1に基づいて係合側トルク容量T1を算出した後、S5で予め定められた釣り合い運動方程式に従って係合側トルク容量T1、入力トルクTinに基づいて解放側トルク容量T2を算出し、S6でその解放側トルク容量T2を解放側油圧P2に換算してリアルタイムで制御する。
【選択図】 図7
【解決手段】係合側油圧P1については予め適合により定められた油圧指令パターンに従ってフィードフォワード制御を主体として制御する一方、解放側油圧P2については、S4で上記係合側油圧P1の油圧指令値DP1に基づいて係合側トルク容量T1を算出した後、S5で予め定められた釣り合い運動方程式に従って係合側トルク容量T1、入力トルクTinに基づいて解放側トルク容量T2を算出し、S6でその解放側トルク容量T2を解放側油圧P2に換算してリアルタイムで制御する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の変速制御方法に係り、特に、クラッチツークラッチ変速を行う際の係合側および解放側の摩擦係合装置のトルク制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の摩擦係合装置の係合、解放状態に応じて変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機が、例えば車両用自動変速機などに広く用いられている。例えば、特許文献1に記載の自動変速機はその一例で、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置が用いられているとともに、2−3変速や3−4変速では、複数の摩擦係合装置の何れかを解放するとともに他の何れかを係合させて変速段を切り換えるクラッチツークラッチ変速が行われるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−97325号公報
【特許文献2】
特開2000−97324号公報
【特許文献3】
特開平7−310812号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなクラッチツークラッチ変速に際して、係合側および解放側の各々のトルク容量(油圧など)をそれぞれリニアソレノイド弁などで直接制御することが考えられているが、その初期値や変化率、変化タイミングが合わないと駆動力源の吹き上がりやタイアップ(両係合)などによる変速ショックが発生する恐れがあるため、種々の運転状態(アクセル操作量や車速など)をパラメータとして係合側および解放側についてそれぞれきめ細かく設定する必要があり、データ量(ソフト容量)が膨大になるとともに、それ等の定数の適合(調整)に多大な時間が掛かるという問題があった。また、このような適合は変速の種類毎に行う必要があるため、総ての変速がクラッチツークラッチ変速である場合など、クラッチツークラッチ変速の数が多い場合に特に問題になる。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、クラッチツークラッチ変速に際して係合側および解放側のトルク容量をそれぞれ直接制御する場合に、変速ショックを損なうことなく面倒な適合作業を軽減するとともに必要なデータ量を低減することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、複数の摩擦係合装置の係合、解放状態に応じて変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機において、その複数の摩擦係合装置の何れかを解放するとともに他の何れかを係合させて前記変速段を切り換えるクラッチツークラッチ変速を行う際に、そのクラッチツークラッチ変速に関与する前記複数の摩擦係合装置のうち係合側の摩擦係合装置のトルク容量T1、解放側の摩擦係合装置のトルク容量T2、および前記自動変速機の入力トルクTinの釣り合い関係を表す運動方程式から、それ等の係合側および解放側の何れか一方のトルク容量をリアルタイムで逐次算出して制御することを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の自動変速機の変速制御方法において、前記運動方程式は、変速後の変速段において釣り合う前記入力トルクTinと前記トルク容量T1とのトルク比をA、変速前の変速段において釣り合う前記入力トルクTinと前記トルク容量T2とのトルク比をBとした時、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて次式(1) のように設定されていることを特徴とする。
Tin=A・T1+B・T2+C ・・・(1)
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の自動変速機の変速制御方法において、変速比を小さくするアップシフト時のクラッチツークラッチ変速において、トルク相における解放側のトルク容量T2を、前記トルク容量T1に関するトルク指令値を用いて前記運動方程式に従って算出して制御することを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
このような自動変速機の変速制御方法においては、係合側の摩擦係合装置のトルク容量T1、解放側の摩擦係合装置のトルク容量T2、および自動変速機の入力トルクTinの釣り合い関係を表す運動方程式から、それ等の係合側および解放側の何れか一方のトルク容量をリアルタイムで逐次算出して制御するため、その一方のトルク容量の直接制御に関するデータや適合作業が不要になる。このため、例えば他方のトルク制御に関する初期値や変化率、変化タイミングなどを運転状態に応じて設定するだけで良く、全体のデータ量が低減されるとともに面倒な適合作業が軽減される。
【0010】
第2発明では、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて運動方程式が設定されているため、入力トルクTinやトルク容量T1、T2に誤差が含まれる場合や個体差、摩擦要素などの経時変化等に拘らず、クラッチツークラッチ変速が適切に行われるようになり、変速ショック等を安定して防止できるロバスト性が向上する。
【0011】
第3発明では、アップシフト時に変速に伴う入力側の回転速度変化が殆ど認められないトルク相においても、解放側および係合側のトルク容量が適切に制御されて駆動力変動が抑制される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、車両用の自動変速機の変速制御に好適に適用されるが、車両用以外の自動変速機にも適用され得る。自動変速機は、例えば油圧アクチュエータによって摩擦係合させられるクラッチやブレーキ等の油圧式摩擦係合装置を有する遊星歯車式等の自動変速機が好適に用いられるが、トルク容量を制御可能な他の摩擦係合装置によって変速段が切り換えられる自動変速機にも適用され得る。
【0013】
クラッチツークラッチ変速は、必ずしもクラッチとクラッチとの繋ぎ替えである必要はなく、クラッチとブレーキとの繋ぎ替えであっても良い。また、一般には係合側および解放側の摩擦係合装置はそれぞれ1個であることが望ましいが、複数の摩擦係合装置を同時に解放したり、複数の摩擦係合装置を同時に係合したりして変速を行う場合にも適用され得る。
【0014】
トルク容量T1およびT2の一方は運動方程式に従って制御されるが、他方のトルク容量については、例えば従来と同様に種々の運転状態をパラメータとして初期値や変化率、変化タイミングなどが定められ、フィードフォワード制御を主体として制御されるが、フィードバック制御など他の制御方法を採用することもできる。
【0015】
第2発明では、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて運動方程式が定められているが、第1発明の実施に際しては必ずしも補正項Cは必要でなく、補正項C=0であっても良い。補正項Cは、例えば入力トルクTinが正のパワーON時の変速の場合、入力回転速度の吹き上がりやタイアップを検出して、それ等を抑制するようにリアルタイムでトルク容量T1またはT2を変化させるフィードバック補正項であるが、次回の変速時にトルク容量T1またはT2を増減させる学習補正項などでも良く、種々の態様が可能である。
【0016】
第3発明では、解放側のトルク容量T2が運動方程式に従って算出されて制御されるが、他の発明の実施に際しては、係合側のトルク容量T1を運動方程式に従って算出して制御するようにしても良い。係合側のトルク容量T1の制御は、クラッチツークラッチ変速の全域で運動方程式に従って制御する必要はなく、例えば解放側の摩擦係合装置が完全に解放された後のイナーシャ相などでは、入力側の回転速度が所定の変化率で変化するように制御するなど、種々の態様が可能である。
【0017】
また、第3発明では、係合側のトルク容量T1に関するトルク指令値を用いて解放側のトルク容量T2が求められるが、実際のトルク容量T1を検出することが可能であれば、その実際のトルク容量T1を用いて計算するようにしても良い。トルク容量T1を運動方程式に従って算出する場合の解放側のトルク容量T2についても同様である。
【0018】
入力トルクTinについては、例えば電動モータから入力される場合には、その電動モータのトルク指令値を用いることができるが、エンジン等の内燃機関からトルクコンバータ等を介して入力される場合は、スロットル弁開度や吸入空気量、回転速度、トルクコンバータの速度比などをパラメータとして入力トルクTinを算出(推定)するようにしても良い。この入力トルクTinについては、従来から広く知られている算出方法に従って求められた推定値を用いることができる。
【0019】
また、第3発明はアップシフト時のクラッチツークラッチ変速に関するものであるが、ダウンシフト時のクラッチツークラッチ変速のトルク相などに適用することも可能である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の(a) は、本発明が適用された車両用自動変速機10の骨子図で、(b) は複数の変速段を成立させる際の係合要素を説明する作動表である。この車両用自動変速機10は、FF車両などの横置き用のもので、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを同軸線上に有し、入力軸22の回転を変速して出力歯車24から出力する。入力軸22は入力部材に相当するもので、走行用駆動力源としてのエンジン40によって回転駆動されるトルクコンバータ42のタービン軸であり、出力歯車24は出力部材に相当するもので、図示しない差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、この車両用自動変速機10は中心線に対して略対称的に構成されており、図1(a) では中心線の下半分が省略されている。
【0021】
上記第1変速部14を構成している第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、プラネタリキャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸22に連結されて回転駆動されるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能にケース26に固定されることにより、プラネタリキャリアCA1が中間出力部材として入力軸22に対して減速回転させられて出力する。また、第2変速部20を構成している第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置16のプラネタリキャリアCA2および第3遊星歯車装置18のプラネタリキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。
【0022】
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレーキB1によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸22に連結され、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸22に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS3)は中間出力部材である前記第1遊星歯車装置12のプラネタリキャリアCA1に一体的に連結され、第3回転要素RM3(プラネタリキャリアCA2、CA3)は前記出力歯車24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。
【0023】
上記第1ブレーキB1〜第3ブレーキB3、第1クラッチC1、第2クラッチC2(以下、特に区別しない場合は単にブレーキB、クラッチCという)は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置で、油圧制御回路98(図2参照)のソレノイド弁Sol1〜Sol5、およびリニアソレノイド弁SL1、SL2の励磁、非励磁や図示しないマニュアルバルブによって油圧回路が切り換えられることにより、図1(b) に示すように係合、解放状態が切り換えられ、シフトレバー72(図4参照)の操作位置(ポジション)に応じて6つの前進変速段(1st〜6th)および1つの後進変速段が成立させられる。図1(b) の「1st」〜「6th」は前進の第1変速段〜第6変速段を意味しており、第1変速段「1st」から第6変速段「6th」へ向かうに従って変速比(入力軸22の回転速度Nin/出力歯車24の回転速度Nout )は小さくなり、第4変速段「4th」の変速比は1.0である。また、図1(b) において「○」は係合、「×」は解放を表しており、本実施例では総ての前進変速段の切換えに際して、何れか1つの摩擦係合装置を解放するとともに他の1つの摩擦係合装置を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われる。
【0024】
図2の油圧制御回路98は、上記変速用のソレノイド弁Sol1〜Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2の他に、主にロックアップ油圧を制御するリニアソレノイド弁SLU、主にライン油圧PLを制御するリニアソレノイド弁SLTを備えており、油圧制御回路98内の作動油は、トルクコンバータ42のロックアップクラッチへも供給されるとともに、自動変速機10等の各部の潤滑にも使用される。
【0025】
図2は、図1の自動変速機10やエンジン40などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、アクセルペダル50の操作量Accがアクセル操作量センサ51により検出されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。エンジン40の吸気配管には、スロットルアクチュエータ54によってアクセル操作量Accに応じた開き角(開度)θTHとされる電子スロットル弁56が設けられている。また、アイドル回転速度制御のために上記電子スロットル弁56をバイパスさせるバイパス通路52には、エンジン40のアイドル回転速度NEIDL を制御するために電子スロットル弁56の全閉時の吸気量を制御するISC(アイドル回転速度制御)バルブ53が設けられている。この他、エンジン40の回転速度NEを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン40の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ62、上記電子スロットル弁56の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ64、車速V(出力歯車24の回転速度Nout に対応)を検出するための車速センサ66、エンジン40の冷却水温TW を検出するための冷却水温センサ68、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度Nin)を検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ78、アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82などが設けられており、それらのセンサやスイッチから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL 、変速レンジのアップ指令RUP、ダウン指令RDN、などを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。
【0026】
電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン40の出力制御や自動変速機10の変速制御などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。
【0027】
エンジン40の出力制御は、スロットルアクチュエータ54により電子スロットル弁56を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射装置92を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置94を制御し、アイドル回転速度制御のためにISCバルブ53を制御する。電子スロットル弁56の制御は、例えば図3に示す関係から実際のアクセル操作量Accに基づいてスロットルアクチュエータ54を駆動し、アクセル操作量Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させる。また、エンジン40の始動時には、スタータ(電動モータ)96によってエンジン40のクランク軸をクランキングする。
【0028】
自動変速機10の変速制御は、シフトレバー72のレバーポジションPSHに応じて行われる。シフトレバー72は運転席の近傍に配設され、図4に示す4つのレバーポジション「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、または「S(シーケンシャル)」へ手動操作されるようになっている。「R」ポジションは後進走行位置で、「N」ポジションは動力伝達遮断位置で、「D」ポジションは自動変速による前進走行位置で、「S」ポジションは変速可能な高速側の変速段が異なる複数の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行位置であり、シフトレバー72がどのレバーポジションへ操作されているかが前記レバーポジションセンサ74によって検出される。また、レバーポジション「R」、「N」、「D(S)」は車両の前後方向(図4の上方が車両前側)に沿って設けられており、シフトレバー72にケーブルやリンクなどを介して連結された図示しないマニュアルバルブがシフトレバー72の前後操作に伴って機械的に作動させられることにより、油圧回路が切り換えられるようになっており、「R」ポジションではリバース用回路が機械的に成立させられるなどして後進変速段が成立させられ、「N」ポジションではニュートラル回路が機械的に成立させられて総てのクラッチCおよびブレーキBが解放され、動力伝達を遮断するニュートラルが成立させられる。
【0029】
また、前進走行位置である「D」ポジションまたは「S」ポジションへ操作された場合は、同じくシフトレバー72の操作に従ってマニュアルバルブにより油圧回路が切り換えられることにより前進用回路が機械的に成立させられ、前進変速段である第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」で変速しながら前進走行することが可能となる。シフトレバー72が「D」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断して自動変速モードを成立させ、第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の総ての前進変速段を用いて変速制御を行う。すなわち、前記ソレノイド弁Sol1〜Sol5、およびリニアソレノイド弁SL1、SL2の励磁、非励磁をそれぞれ制御することにより、油圧回路を切り換えて第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の何れかの前進変速段を成立させるのである。この変速制御は、例えば図5に示すように車速Vおよびスロットル弁開度θTHをパラメータとして予め記憶された変速マップ(変速条件)に従って行われ、車速Vが低くなったりスロットル弁開度θTHが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段を成立させる。
【0030】
シフトレバー72が「S」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断してマニュアル変速モードを成立させる。「S」ポジションは、車両の前後方向において上記「D」ポジションと同じ位置において車両の幅方向に隣接して設けられており、油圧回路は「D」ポジションの時と同じであるが、「D」ポジションで変速可能な変速範囲内すなわち第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の間で定められた複数の変速レンジを任意に選択できるマニュアル変速モードを電気的に成立させるのである。「S」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「(+)」、およびダウンシフト位置「(−)」が設けられており、シフトレバー72がそれ等のアップシフト位置「(+)」またはダウンシフト位置「(−)」へ操作されると、そのことが前記アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82によって検出され、アップ指令RUPやダウン指令RDNに従って最高速段すなわち変速比が小さい高速側の変速範囲が異なる複数の変速レンジが電気的に成立させられる。したがって、例えば下り坂などでシフトレバー72をダウンシフト位置「−」へ繰り返し操作すると、変速レンジが切り換えられて最高速段が低下させられることにより、例えば第4変速段「4th」から第3変速段「3rd」、第2変速段「2nd」、第1変速段「1st」へ順次ダウンシフトされて、エンジンブレーキが段階的に増大させられる。
【0031】
上記アップシフト位置「(+)」およびダウンシフト位置「(−)」は何れも不安定で、シフトレバー72はスプリング等の付勢手段により自動的に「S」ポジションへ戻されるようになっており、アップシフト位置「(+)」またはダウンシフト位置「(−)」への操作回数或いは保持時間などに応じて変速レンジが変更される。
【0032】
電子制御装置90はまた、自動変速機10の変速制御に関して図6に示すように、変速判断手段100、入力トルク推定手段102、係合側油圧指令手段104、および解放側油圧指令手段110の各機能を備えているとともに、解放側油圧指令手段110は更に係合側トルク容量算出手段112、解放側トルク容量算出手段114、および解放側油圧換算手段116を備えており、図7、図8に示すフローチャートに従ってクラッチツークラッチ変速を行うようになっている。図9は、アクセルペダル50が踏込み操作されているパワーON時に変速比が小さい高速側の変速段へ切り換えるパワーONアップシフトの際に、図7のフローチャートに従ってクラッチツークラッチ変速が行われた場合の各部の作動状態の変化を示すタイムチャートの一例である。
【0033】
図7のステップS1では、前記変速判断手段100により前記図5の変速マップに従って変速すべき判断が為されたか否か、具体的にはパワーON時のアップシフト指令が出力されたか否かを判断する。そして、パワーON時のアップシフト指令が出力されると、ステップS2を実行し、係合側油圧P1については予め定められた油圧指令パターンに従って油圧指令値DP1を係合側油圧制御装置120に出力する一方、解放側油圧P2については予め定められたサージ制御用の油圧指令値DP2を解放側油圧制御装置122に出力する。係合側油圧制御装置120、解放側油圧制御装置122は、変速に関与する前記クラッチCやブレーキBの油圧すなわちトルク容量を直接制御できるもので、前記リニアソレノイド弁SL1、SL2などにより油圧を直接制御したりコントロールバルブを介して制御したりするように構成され、その励磁電流のデューティ比などを制御する油圧指令値DP1、DP2はトルク容量T1、T2に対応する。なお、これ等の係合側油圧制御装置120、解放側油圧制御装置122によってトルク容量が制御されるクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3には、油圧制御の応答性を損なうことなく油圧の振動を抑制するために、必要に応じて小型のアキュムレータが設けられる。
【0034】
上記油圧指令値DP1の油圧指令パターンは、例えば図10に示すように予め定められていて、フィードフォワード制御を主体として出力されるようになっている。図10の第1フェーズ▲1▼は、油圧アクチュエータのピストンを速やかにストロークエンドまで移動させるためのピストン詰め制御部で、油圧指令値DP1の最大値(デューティ比100%)が、1→2変速、2→3変速等の変速の種類やクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3のうちの何れかの制御対象に応じて、アクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして予め適合により定められた所定時間だけ出力される。第2フェーズ▲2▼は待機圧制御部で、上記油圧アクチュエータのピストンがストロークエンドに達することができる程度の予め定められた待機圧に相当する油圧指令値DP1が、同じく制御対象などに応じてアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして予め適合により定められた所定時間だけ出力される。第3フェーズ▲3▼は、応答性向上のためのサージ制御部で、その大きさおよび時間は制御対象などに応じて適合により予め最適値が設定されており、これにより以後の油圧指令値DP1の変化に対する実際の係合側油圧P1の追従性が向上する。第4フェーズ▲4▼は、イナーシャ相開始までの第1スウィープ制御部で、その変化率は制御対象などに応じてアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして予め適合により定められる。第5フェーズ▲5▼は、イナーシャ相で行う第2スウィープ制御部で、同じく制御対象などに応じてアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして変化率が予め定められるが、必要に応じてタービン回転速度NTの変化率などに基づいてフィードバック補正や学習補正を行うこともできる。第6フェーズ▲6▼は終期制御部で、タービン回転速度NTが変速後の同期回転速度に達する直前に、油圧指令値DP1を予め定められた所定量だけ低下させ、完全係合する際のショックを抑制する。第7フェーズ▲7▼は制御終了部で、タービン回転速度NTが変速後の同期回転速度に達したら、油圧指令値DP1を最大値まで上昇させて係合側摩擦係合装置を完全係合させる。図9の時間t1 は変速指令が出力された時間で、時間t1 〜t2 は油圧指令値DP1の第1フェーズ▲1▼のピストン詰め制御部に相当する。
【0035】
解放側の油圧指令値DP2のサージ制御は、応答性向上のためのもので、図9に示されているように変速指令(時間t1 )から制御対象などに応じて予め適合により定められた一定時間だけ油圧指令値DP2=0とすることにより、解放側油圧P2を速やかに低下させるとともに、サージ制御後は、解放側摩擦係合装置が未だ係合状態を維持できるようにアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして定められる一定値に保持される。
【0036】
図7に戻って、ステップS3では、係合側の油圧制御が第2フェーズ▲2▼の待機圧制御部に入ったか否かを、例えば油圧指令値DP1などに基づいて判断し、待機圧制御部に入ったらステップS4〜S6を所定のサイクルタイムで繰り返し実行することにより、係合側の油圧指令値DP1に応じて解放側油圧P2を予め定められた運動方程式に従って逐次算出してリアルタイムで制御する。ステップS4では、待機圧制御部以降では油圧指令値DP1が実際の係合側油圧P1と略一致するものと見做して、前記係合側トルク容量算出手段112によりその油圧指令値DP1をパラメータとして油圧アクチュエータの受圧面積や係合側摩擦係合装置の摩擦板の枚数、径寸法などに応じて予め定められた演算式に従って係合側トルク容量T1を算出する。油圧指令値DP1は、係合側のトルク容量T1に関するトルク指令値に相当する。
【0037】
ステップS5では、前記解放側トルク容量算出手段114により入力トルク推定手段102によって算出された入力トルクTinおよび上記係合側トルク容量T1をパラメータとして予め定められた演算式に従って解放側トルク容量T2を算出する。入力トルク推定手段102は、例えばエンジン40の吸入空気量Qやエンジン回転速度NE、トルクコンバータ42の速度比などをパラメータとして予め定められた演算式に従って入力トルクTinを算出するもので、解放側トルク容量算出手段114は、前記(1) 式の釣り合い運動方程式を基本として自動変速機10の具体的構成に基づいて変速の種類毎に予め定められた次式(2) 〜(6) の演算式に従って解放側トルク容量T2を算出する。
【0038】
【0039】
上記演算式(2) 〜(6) のρ1、ρ2、ρ3は、それぞれ前記第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、第3遊星歯車装置18のギヤ比(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)で、Cは補正項であり、各演算式における入力トルクTinの係数は、前記(1) 式におけるトルク比Bの逆数に相当し、係合側トルク容量T1の係数は、前記(1) 式におけるトルク比Aとトルク比Bとの比A/Bに相当する。また、1→2変速時の係合側トルク容量T1は第1ブレーキB1のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第2ブレーキB2のトルク容量であり、2→3変速時の係合側トルク容量T1は第3ブレーキB3のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第1ブレーキB1のトルク容量であり、3→4変速時の係合側トルク容量T1は第2クラッチC2のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第3ブレーキB3のトルク容量であり、4→5変速時の係合側トルク容量T1は第3ブレーキB3のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第1クラッチC1のトルク容量であり、5→6変速時の係合側トルク容量T1は第1ブレーキB1のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第3ブレーキB3のトルク容量である。
【0040】
また、補正項Cは、変速の種類毎にアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして設定されているとともに、図8に示すように実際の変速状態に基づいて適宜フィードバック補正または学習補正されるようになっている。フィードバック補正は、変速時に逐次図8のフローチャートを実行してリアルタイムで補正項Cを変更するもので、学習補正は、一連の変速制御が終了した後に図8のフローチャートを実行し、必要に応じて補正項Cを書き換えることにより、次回の変速時に新たな補正項Cを用いて制御が行われるようにするものであり、フィードバック補正および学習補正の両方を含んでいても良い。
【0041】
図8のステップR1では、入力回転すなわちタービン回転速度NTが所定値以上吹き上がったか否かを判断し、所定値以上吹き上がった場合にはステップR3で補正項Cを予め定められた所定値αだけ増大させることにより、解放側トルク容量T2を増大させて吹き上がりを抑制する。所定値αは、予め定められた一定値であっても良いが、タービン回転速度NTの吹き量をパラメータとして異なる値が設定されるようにしても良い。
【0042】
ステップR1の判断がNOの場合、すなわち入力回転吹きが発生していない場合は、ステップR2を実行し、タイアップが発生したか否かをタービン回転速度NTの変化などに基づいて判断する。そして、タイアップが発生した場合は、ステップR4で補正項Cを予め定められた所定値βだけ減少させることにより、解放側トルク容量T2を減少させてタイアップを抑制する。所定値βは、予め定められた一定値であっても良いが、タイアップの程度に応じて異なる値が設定されるようにしても良い。また、ステップR2の判断がNOの場合、すなわち入力回転吹きもタイアップも発生していない場合は、ステップR5で現在の補正項Cの値をそのまま維持して終了する。
【0043】
図7に戻って、ステップS6では、前記解放側油圧換算手段116により前記ステップS5で求めた解放側トルク容量T2が得られる解放側油圧P2を算出するとともに、その解放側油圧P2となるように油圧を制御するための油圧指令値DP2を解放側油圧制御装置122に出力する。解放側油圧P2は、例えば油圧アクチュエータの受圧面積や解放側摩擦係合装置の摩擦板の枚数、径寸法などに応じて予め定められた演算式に従って求められる。
【0044】
次のステップS7では、イナーシャ相が始まったか否かをタービン回転速度NTに基づいて判断し、イナーシャ相が始まるまでステップS4〜S6を繰り返す。これにより、イナーシャ相が始まるまでのトルク相等における解放側油圧P2が、係合側油圧P1および入力トルクTinに応じて、入力回転吹きやタイアップを防止しつつ適切に制御される。なお、係合側の油圧制御が第3フェーズ▲3▼のサージ制御部の間は、前記ステップS4〜S6の解放側油圧制御を一時的に中断し、制御対象などに応じて予め適合により定められた所定の大きさの油圧指令値DP2を所定時間出力することにより、係合側と同様にその後の油圧変化に対する応答性を向上させる。また、前記演算式(2) 〜(6) に従って求められる解放側トルク容量T2が0になった場合には、ステップS7の判断がNOの場合でも直ちにステップS8以下を実行する。図9の時間t3 は、上記第3フェーズ▲3▼のサージ制御部が始まった時間で、時間t4 は、イナーシャ相が始まってタービン回転速度NTが低下し始めた時間であり、それ等の時間t3 〜t4 の間が略トルク相に相当する。
【0045】
イナーシャ相が始まったらステップS8を実行し、解放側油圧P2を0とする油圧指令値DP2を出力するとともに、ステップS9で変速が終了したか否かを判断し、変速が終了したら一連の変速制御を終了する。変速が終了したか否かは、例えばタービン回転速度NTが変速後の同期回転速度に達したか否かによって判断することができる。図9の時間t5 は変速終了時間で、係合側油圧P1については、変速が終了するまで前記図10の油圧指令パターンに従って油圧制御が行われる。
【0046】
このように、本実施例では係合側油圧P1については従来と同様に予め適合により定められた油圧指令パターンに従ってフィードフォワード制御を主体として制御しているが、解放側油圧P2については、(2) 〜(6) 式の釣り合い運動方程式に従って係合側トルク容量T1、入力トルクTinに基づいて解放側トルク容量T2をリアルタイムで算出し、その解放側トルク容量T2に応じて制御するようになっているため、その解放側油圧P2の制御に関する初期値や変化率、変化タイミングなどのデータや適合作業が不要になり、全体のデータ量が低減されるとともに面倒な適合作業が軽減される。
【0047】
また、本実施例では実際の変速状態に基づいてフィードバック制御や学習制御により逐次変更される補正項Cを用いて運動方程式(2) 〜(6) が設定されているため、入力トルクTinや係合側トルク容量T1に誤差が含まれる場合や個体差、摩擦要素などの経時変化等に拘らず、クラッチツークラッチ変速が常に適切に行われるようになり、変速ショック等を安定して防止できるロバスト性が向上する。
【0048】
また、アップシフト時に変速に伴う入力側の回転速度変化、すなわちタービン回転速度NTの変化が殆ど認められないトルク相においても、係合側トルク容量T1に応じて解放側トルク容量T2が適切に制御されて駆動力変動が抑制される。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用自動変速機を説明する図で、(a) は骨子図、(b) は各変速段を成立させるための作動表である。
【図2】図1の車両用自動変速機が備えている制御系統の要部を説明するブロック線図である。
【図3】図2の電子スロットル弁のスロットル弁開度とアクセル操作量との関係を示す図である。
【図4】図2のシフトレバーを具体的に示す斜視図である。
【図5】図1の自動変速機の変速段を運転状態に応じて自動的に切り換える変速マップの一例を説明する図である。
【図6】図1の自動変速機の変速制御に関して図2の電子制御装置が備えている各機能を説明するブロック線図である。
【図7】変速制御に関して図6の各機能によって実施される信号処理の具体的内容を説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップS5で解放側トルク容量T2を算出する際に用いられる補正項Cを説明するフローチャートである。
【図9】図7のフローチャートに従ってクラッチツークラッチ変速が行われる際の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
【図10】図7のステップS2で出力される係合側油圧P1の油圧指令パターンの一例を説明する図である。
【符号の説明】
10:車両用自動変速機(自動変速機) 90:電子制御装置 C1、C2:クラッチ(摩擦係合装置) B1、B2、B3:ブレーキ(摩擦係合装置) P1:係合側油圧 P2:解放側油圧 DP1:係合側油圧指令値(トルク指令値) DP2:解放側油圧指令値
【発明の属する技術分野】
本発明は自動変速機の変速制御方法に係り、特に、クラッチツークラッチ変速を行う際の係合側および解放側の摩擦係合装置のトルク制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の摩擦係合装置の係合、解放状態に応じて変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機が、例えば車両用自動変速機などに広く用いられている。例えば、特許文献1に記載の自動変速機はその一例で、油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置が用いられているとともに、2−3変速や3−4変速では、複数の摩擦係合装置の何れかを解放するとともに他の何れかを係合させて変速段を切り換えるクラッチツークラッチ変速が行われるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−97325号公報
【特許文献2】
特開2000−97324号公報
【特許文献3】
特開平7−310812号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなクラッチツークラッチ変速に際して、係合側および解放側の各々のトルク容量(油圧など)をそれぞれリニアソレノイド弁などで直接制御することが考えられているが、その初期値や変化率、変化タイミングが合わないと駆動力源の吹き上がりやタイアップ(両係合)などによる変速ショックが発生する恐れがあるため、種々の運転状態(アクセル操作量や車速など)をパラメータとして係合側および解放側についてそれぞれきめ細かく設定する必要があり、データ量(ソフト容量)が膨大になるとともに、それ等の定数の適合(調整)に多大な時間が掛かるという問題があった。また、このような適合は変速の種類毎に行う必要があるため、総ての変速がクラッチツークラッチ変速である場合など、クラッチツークラッチ変速の数が多い場合に特に問題になる。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、クラッチツークラッチ変速に際して係合側および解放側のトルク容量をそれぞれ直接制御する場合に、変速ショックを損なうことなく面倒な適合作業を軽減するとともに必要なデータ量を低減することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、複数の摩擦係合装置の係合、解放状態に応じて変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機において、その複数の摩擦係合装置の何れかを解放するとともに他の何れかを係合させて前記変速段を切り換えるクラッチツークラッチ変速を行う際に、そのクラッチツークラッチ変速に関与する前記複数の摩擦係合装置のうち係合側の摩擦係合装置のトルク容量T1、解放側の摩擦係合装置のトルク容量T2、および前記自動変速機の入力トルクTinの釣り合い関係を表す運動方程式から、それ等の係合側および解放側の何れか一方のトルク容量をリアルタイムで逐次算出して制御することを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明の自動変速機の変速制御方法において、前記運動方程式は、変速後の変速段において釣り合う前記入力トルクTinと前記トルク容量T1とのトルク比をA、変速前の変速段において釣り合う前記入力トルクTinと前記トルク容量T2とのトルク比をBとした時、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて次式(1) のように設定されていることを特徴とする。
Tin=A・T1+B・T2+C ・・・(1)
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明の自動変速機の変速制御方法において、変速比を小さくするアップシフト時のクラッチツークラッチ変速において、トルク相における解放側のトルク容量T2を、前記トルク容量T1に関するトルク指令値を用いて前記運動方程式に従って算出して制御することを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】
このような自動変速機の変速制御方法においては、係合側の摩擦係合装置のトルク容量T1、解放側の摩擦係合装置のトルク容量T2、および自動変速機の入力トルクTinの釣り合い関係を表す運動方程式から、それ等の係合側および解放側の何れか一方のトルク容量をリアルタイムで逐次算出して制御するため、その一方のトルク容量の直接制御に関するデータや適合作業が不要になる。このため、例えば他方のトルク制御に関する初期値や変化率、変化タイミングなどを運転状態に応じて設定するだけで良く、全体のデータ量が低減されるとともに面倒な適合作業が軽減される。
【0010】
第2発明では、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて運動方程式が設定されているため、入力トルクTinやトルク容量T1、T2に誤差が含まれる場合や個体差、摩擦要素などの経時変化等に拘らず、クラッチツークラッチ変速が適切に行われるようになり、変速ショック等を安定して防止できるロバスト性が向上する。
【0011】
第3発明では、アップシフト時に変速に伴う入力側の回転速度変化が殆ど認められないトルク相においても、解放側および係合側のトルク容量が適切に制御されて駆動力変動が抑制される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、車両用の自動変速機の変速制御に好適に適用されるが、車両用以外の自動変速機にも適用され得る。自動変速機は、例えば油圧アクチュエータによって摩擦係合させられるクラッチやブレーキ等の油圧式摩擦係合装置を有する遊星歯車式等の自動変速機が好適に用いられるが、トルク容量を制御可能な他の摩擦係合装置によって変速段が切り換えられる自動変速機にも適用され得る。
【0013】
クラッチツークラッチ変速は、必ずしもクラッチとクラッチとの繋ぎ替えである必要はなく、クラッチとブレーキとの繋ぎ替えであっても良い。また、一般には係合側および解放側の摩擦係合装置はそれぞれ1個であることが望ましいが、複数の摩擦係合装置を同時に解放したり、複数の摩擦係合装置を同時に係合したりして変速を行う場合にも適用され得る。
【0014】
トルク容量T1およびT2の一方は運動方程式に従って制御されるが、他方のトルク容量については、例えば従来と同様に種々の運転状態をパラメータとして初期値や変化率、変化タイミングなどが定められ、フィードフォワード制御を主体として制御されるが、フィードバック制御など他の制御方法を採用することもできる。
【0015】
第2発明では、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて運動方程式が定められているが、第1発明の実施に際しては必ずしも補正項Cは必要でなく、補正項C=0であっても良い。補正項Cは、例えば入力トルクTinが正のパワーON時の変速の場合、入力回転速度の吹き上がりやタイアップを検出して、それ等を抑制するようにリアルタイムでトルク容量T1またはT2を変化させるフィードバック補正項であるが、次回の変速時にトルク容量T1またはT2を増減させる学習補正項などでも良く、種々の態様が可能である。
【0016】
第3発明では、解放側のトルク容量T2が運動方程式に従って算出されて制御されるが、他の発明の実施に際しては、係合側のトルク容量T1を運動方程式に従って算出して制御するようにしても良い。係合側のトルク容量T1の制御は、クラッチツークラッチ変速の全域で運動方程式に従って制御する必要はなく、例えば解放側の摩擦係合装置が完全に解放された後のイナーシャ相などでは、入力側の回転速度が所定の変化率で変化するように制御するなど、種々の態様が可能である。
【0017】
また、第3発明では、係合側のトルク容量T1に関するトルク指令値を用いて解放側のトルク容量T2が求められるが、実際のトルク容量T1を検出することが可能であれば、その実際のトルク容量T1を用いて計算するようにしても良い。トルク容量T1を運動方程式に従って算出する場合の解放側のトルク容量T2についても同様である。
【0018】
入力トルクTinについては、例えば電動モータから入力される場合には、その電動モータのトルク指令値を用いることができるが、エンジン等の内燃機関からトルクコンバータ等を介して入力される場合は、スロットル弁開度や吸入空気量、回転速度、トルクコンバータの速度比などをパラメータとして入力トルクTinを算出(推定)するようにしても良い。この入力トルクTinについては、従来から広く知られている算出方法に従って求められた推定値を用いることができる。
【0019】
また、第3発明はアップシフト時のクラッチツークラッチ変速に関するものであるが、ダウンシフト時のクラッチツークラッチ変速のトルク相などに適用することも可能である。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1の(a) は、本発明が適用された車両用自動変速機10の骨子図で、(b) は複数の変速段を成立させる際の係合要素を説明する作動表である。この車両用自動変速機10は、FF車両などの横置き用のもので、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを同軸線上に有し、入力軸22の回転を変速して出力歯車24から出力する。入力軸22は入力部材に相当するもので、走行用駆動力源としてのエンジン40によって回転駆動されるトルクコンバータ42のタービン軸であり、出力歯車24は出力部材に相当するもので、図示しない差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、この車両用自動変速機10は中心線に対して略対称的に構成されており、図1(a) では中心線の下半分が省略されている。
【0021】
上記第1変速部14を構成している第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、プラネタリキャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸22に連結されて回転駆動されるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能にケース26に固定されることにより、プラネタリキャリアCA1が中間出力部材として入力軸22に対して減速回転させられて出力する。また、第2変速部20を構成している第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置16のプラネタリキャリアCA2および第3遊星歯車装置18のプラネタリキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。
【0022】
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレーキB1によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース26に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸22に連結され、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸22に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS3)は中間出力部材である前記第1遊星歯車装置12のプラネタリキャリアCA1に一体的に連結され、第3回転要素RM3(プラネタリキャリアCA2、CA3)は前記出力歯車24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。
【0023】
上記第1ブレーキB1〜第3ブレーキB3、第1クラッチC1、第2クラッチC2(以下、特に区別しない場合は単にブレーキB、クラッチCという)は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる多板式の油圧式摩擦係合装置で、油圧制御回路98(図2参照)のソレノイド弁Sol1〜Sol5、およびリニアソレノイド弁SL1、SL2の励磁、非励磁や図示しないマニュアルバルブによって油圧回路が切り換えられることにより、図1(b) に示すように係合、解放状態が切り換えられ、シフトレバー72(図4参照)の操作位置(ポジション)に応じて6つの前進変速段(1st〜6th)および1つの後進変速段が成立させられる。図1(b) の「1st」〜「6th」は前進の第1変速段〜第6変速段を意味しており、第1変速段「1st」から第6変速段「6th」へ向かうに従って変速比(入力軸22の回転速度Nin/出力歯車24の回転速度Nout )は小さくなり、第4変速段「4th」の変速比は1.0である。また、図1(b) において「○」は係合、「×」は解放を表しており、本実施例では総ての前進変速段の切換えに際して、何れか1つの摩擦係合装置を解放するとともに他の1つの摩擦係合装置を係合させるクラッチツークラッチ変速が行われる。
【0024】
図2の油圧制御回路98は、上記変速用のソレノイド弁Sol1〜Sol5、リニアソレノイド弁SL1、SL2の他に、主にロックアップ油圧を制御するリニアソレノイド弁SLU、主にライン油圧PLを制御するリニアソレノイド弁SLTを備えており、油圧制御回路98内の作動油は、トルクコンバータ42のロックアップクラッチへも供給されるとともに、自動変速機10等の各部の潤滑にも使用される。
【0025】
図2は、図1の自動変速機10やエンジン40などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、アクセルペダル50の操作量Accがアクセル操作量センサ51により検出されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。エンジン40の吸気配管には、スロットルアクチュエータ54によってアクセル操作量Accに応じた開き角(開度)θTHとされる電子スロットル弁56が設けられている。また、アイドル回転速度制御のために上記電子スロットル弁56をバイパスさせるバイパス通路52には、エンジン40のアイドル回転速度NEIDL を制御するために電子スロットル弁56の全閉時の吸気量を制御するISC(アイドル回転速度制御)バルブ53が設けられている。この他、エンジン40の回転速度NEを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン40の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ62、上記電子スロットル弁56の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ64、車速V(出力歯車24の回転速度Nout に対応)を検出するための車速センサ66、エンジン40の冷却水温TW を検出するための冷却水温センサ68、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度NT(=入力軸22の回転速度Nin)を検出するためのタービン回転速度センサ76、油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ78、アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82などが設けられており、それらのセンサやスイッチから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V、エンジン冷却水温TW 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL 、変速レンジのアップ指令RUP、ダウン指令RDN、などを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。
【0026】
電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン40の出力制御や自動変速機10の変速制御などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。
【0027】
エンジン40の出力制御は、スロットルアクチュエータ54により電子スロットル弁56を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射装置92を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置94を制御し、アイドル回転速度制御のためにISCバルブ53を制御する。電子スロットル弁56の制御は、例えば図3に示す関係から実際のアクセル操作量Accに基づいてスロットルアクチュエータ54を駆動し、アクセル操作量Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させる。また、エンジン40の始動時には、スタータ(電動モータ)96によってエンジン40のクランク軸をクランキングする。
【0028】
自動変速機10の変速制御は、シフトレバー72のレバーポジションPSHに応じて行われる。シフトレバー72は運転席の近傍に配設され、図4に示す4つのレバーポジション「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」、「D(ドライブ)」、または「S(シーケンシャル)」へ手動操作されるようになっている。「R」ポジションは後進走行位置で、「N」ポジションは動力伝達遮断位置で、「D」ポジションは自動変速による前進走行位置で、「S」ポジションは変速可能な高速側の変速段が異なる複数の変速レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行位置であり、シフトレバー72がどのレバーポジションへ操作されているかが前記レバーポジションセンサ74によって検出される。また、レバーポジション「R」、「N」、「D(S)」は車両の前後方向(図4の上方が車両前側)に沿って設けられており、シフトレバー72にケーブルやリンクなどを介して連結された図示しないマニュアルバルブがシフトレバー72の前後操作に伴って機械的に作動させられることにより、油圧回路が切り換えられるようになっており、「R」ポジションではリバース用回路が機械的に成立させられるなどして後進変速段が成立させられ、「N」ポジションではニュートラル回路が機械的に成立させられて総てのクラッチCおよびブレーキBが解放され、動力伝達を遮断するニュートラルが成立させられる。
【0029】
また、前進走行位置である「D」ポジションまたは「S」ポジションへ操作された場合は、同じくシフトレバー72の操作に従ってマニュアルバルブにより油圧回路が切り換えられることにより前進用回路が機械的に成立させられ、前進変速段である第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」で変速しながら前進走行することが可能となる。シフトレバー72が「D」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断して自動変速モードを成立させ、第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の総ての前進変速段を用いて変速制御を行う。すなわち、前記ソレノイド弁Sol1〜Sol5、およびリニアソレノイド弁SL1、SL2の励磁、非励磁をそれぞれ制御することにより、油圧回路を切り換えて第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の何れかの前進変速段を成立させるのである。この変速制御は、例えば図5に示すように車速Vおよびスロットル弁開度θTHをパラメータとして予め記憶された変速マップ(変速条件)に従って行われ、車速Vが低くなったりスロットル弁開度θTHが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段を成立させる。
【0030】
シフトレバー72が「S」ポジションへ操作された場合は、そのことをレバーポジションセンサ74の信号から判断してマニュアル変速モードを成立させる。「S」ポジションは、車両の前後方向において上記「D」ポジションと同じ位置において車両の幅方向に隣接して設けられており、油圧回路は「D」ポジションの時と同じであるが、「D」ポジションで変速可能な変速範囲内すなわち第1変速段「1st」〜第6変速段「6th」の間で定められた複数の変速レンジを任意に選択できるマニュアル変速モードを電気的に成立させるのである。「S」ポジションには、車両の前後方向にアップシフト位置「(+)」、およびダウンシフト位置「(−)」が設けられており、シフトレバー72がそれ等のアップシフト位置「(+)」またはダウンシフト位置「(−)」へ操作されると、そのことが前記アップシフトスイッチ80、ダウンシフトスイッチ82によって検出され、アップ指令RUPやダウン指令RDNに従って最高速段すなわち変速比が小さい高速側の変速範囲が異なる複数の変速レンジが電気的に成立させられる。したがって、例えば下り坂などでシフトレバー72をダウンシフト位置「−」へ繰り返し操作すると、変速レンジが切り換えられて最高速段が低下させられることにより、例えば第4変速段「4th」から第3変速段「3rd」、第2変速段「2nd」、第1変速段「1st」へ順次ダウンシフトされて、エンジンブレーキが段階的に増大させられる。
【0031】
上記アップシフト位置「(+)」およびダウンシフト位置「(−)」は何れも不安定で、シフトレバー72はスプリング等の付勢手段により自動的に「S」ポジションへ戻されるようになっており、アップシフト位置「(+)」またはダウンシフト位置「(−)」への操作回数或いは保持時間などに応じて変速レンジが変更される。
【0032】
電子制御装置90はまた、自動変速機10の変速制御に関して図6に示すように、変速判断手段100、入力トルク推定手段102、係合側油圧指令手段104、および解放側油圧指令手段110の各機能を備えているとともに、解放側油圧指令手段110は更に係合側トルク容量算出手段112、解放側トルク容量算出手段114、および解放側油圧換算手段116を備えており、図7、図8に示すフローチャートに従ってクラッチツークラッチ変速を行うようになっている。図9は、アクセルペダル50が踏込み操作されているパワーON時に変速比が小さい高速側の変速段へ切り換えるパワーONアップシフトの際に、図7のフローチャートに従ってクラッチツークラッチ変速が行われた場合の各部の作動状態の変化を示すタイムチャートの一例である。
【0033】
図7のステップS1では、前記変速判断手段100により前記図5の変速マップに従って変速すべき判断が為されたか否か、具体的にはパワーON時のアップシフト指令が出力されたか否かを判断する。そして、パワーON時のアップシフト指令が出力されると、ステップS2を実行し、係合側油圧P1については予め定められた油圧指令パターンに従って油圧指令値DP1を係合側油圧制御装置120に出力する一方、解放側油圧P2については予め定められたサージ制御用の油圧指令値DP2を解放側油圧制御装置122に出力する。係合側油圧制御装置120、解放側油圧制御装置122は、変速に関与する前記クラッチCやブレーキBの油圧すなわちトルク容量を直接制御できるもので、前記リニアソレノイド弁SL1、SL2などにより油圧を直接制御したりコントロールバルブを介して制御したりするように構成され、その励磁電流のデューティ比などを制御する油圧指令値DP1、DP2はトルク容量T1、T2に対応する。なお、これ等の係合側油圧制御装置120、解放側油圧制御装置122によってトルク容量が制御されるクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3には、油圧制御の応答性を損なうことなく油圧の振動を抑制するために、必要に応じて小型のアキュムレータが設けられる。
【0034】
上記油圧指令値DP1の油圧指令パターンは、例えば図10に示すように予め定められていて、フィードフォワード制御を主体として出力されるようになっている。図10の第1フェーズ▲1▼は、油圧アクチュエータのピストンを速やかにストロークエンドまで移動させるためのピストン詰め制御部で、油圧指令値DP1の最大値(デューティ比100%)が、1→2変速、2→3変速等の変速の種類やクラッチC1、C2、ブレーキB1〜B3のうちの何れかの制御対象に応じて、アクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして予め適合により定められた所定時間だけ出力される。第2フェーズ▲2▼は待機圧制御部で、上記油圧アクチュエータのピストンがストロークエンドに達することができる程度の予め定められた待機圧に相当する油圧指令値DP1が、同じく制御対象などに応じてアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして予め適合により定められた所定時間だけ出力される。第3フェーズ▲3▼は、応答性向上のためのサージ制御部で、その大きさおよび時間は制御対象などに応じて適合により予め最適値が設定されており、これにより以後の油圧指令値DP1の変化に対する実際の係合側油圧P1の追従性が向上する。第4フェーズ▲4▼は、イナーシャ相開始までの第1スウィープ制御部で、その変化率は制御対象などに応じてアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして予め適合により定められる。第5フェーズ▲5▼は、イナーシャ相で行う第2スウィープ制御部で、同じく制御対象などに応じてアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして変化率が予め定められるが、必要に応じてタービン回転速度NTの変化率などに基づいてフィードバック補正や学習補正を行うこともできる。第6フェーズ▲6▼は終期制御部で、タービン回転速度NTが変速後の同期回転速度に達する直前に、油圧指令値DP1を予め定められた所定量だけ低下させ、完全係合する際のショックを抑制する。第7フェーズ▲7▼は制御終了部で、タービン回転速度NTが変速後の同期回転速度に達したら、油圧指令値DP1を最大値まで上昇させて係合側摩擦係合装置を完全係合させる。図9の時間t1 は変速指令が出力された時間で、時間t1 〜t2 は油圧指令値DP1の第1フェーズ▲1▼のピストン詰め制御部に相当する。
【0035】
解放側の油圧指令値DP2のサージ制御は、応答性向上のためのもので、図9に示されているように変速指令(時間t1 )から制御対象などに応じて予め適合により定められた一定時間だけ油圧指令値DP2=0とすることにより、解放側油圧P2を速やかに低下させるとともに、サージ制御後は、解放側摩擦係合装置が未だ係合状態を維持できるようにアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして定められる一定値に保持される。
【0036】
図7に戻って、ステップS3では、係合側の油圧制御が第2フェーズ▲2▼の待機圧制御部に入ったか否かを、例えば油圧指令値DP1などに基づいて判断し、待機圧制御部に入ったらステップS4〜S6を所定のサイクルタイムで繰り返し実行することにより、係合側の油圧指令値DP1に応じて解放側油圧P2を予め定められた運動方程式に従って逐次算出してリアルタイムで制御する。ステップS4では、待機圧制御部以降では油圧指令値DP1が実際の係合側油圧P1と略一致するものと見做して、前記係合側トルク容量算出手段112によりその油圧指令値DP1をパラメータとして油圧アクチュエータの受圧面積や係合側摩擦係合装置の摩擦板の枚数、径寸法などに応じて予め定められた演算式に従って係合側トルク容量T1を算出する。油圧指令値DP1は、係合側のトルク容量T1に関するトルク指令値に相当する。
【0037】
ステップS5では、前記解放側トルク容量算出手段114により入力トルク推定手段102によって算出された入力トルクTinおよび上記係合側トルク容量T1をパラメータとして予め定められた演算式に従って解放側トルク容量T2を算出する。入力トルク推定手段102は、例えばエンジン40の吸入空気量Qやエンジン回転速度NE、トルクコンバータ42の速度比などをパラメータとして予め定められた演算式に従って入力トルクTinを算出するもので、解放側トルク容量算出手段114は、前記(1) 式の釣り合い運動方程式を基本として自動変速機10の具体的構成に基づいて変速の種類毎に予め定められた次式(2) 〜(6) の演算式に従って解放側トルク容量T2を算出する。
【0038】
【0039】
上記演算式(2) 〜(6) のρ1、ρ2、ρ3は、それぞれ前記第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、第3遊星歯車装置18のギヤ比(サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)で、Cは補正項であり、各演算式における入力トルクTinの係数は、前記(1) 式におけるトルク比Bの逆数に相当し、係合側トルク容量T1の係数は、前記(1) 式におけるトルク比Aとトルク比Bとの比A/Bに相当する。また、1→2変速時の係合側トルク容量T1は第1ブレーキB1のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第2ブレーキB2のトルク容量であり、2→3変速時の係合側トルク容量T1は第3ブレーキB3のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第1ブレーキB1のトルク容量であり、3→4変速時の係合側トルク容量T1は第2クラッチC2のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第3ブレーキB3のトルク容量であり、4→5変速時の係合側トルク容量T1は第3ブレーキB3のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第1クラッチC1のトルク容量であり、5→6変速時の係合側トルク容量T1は第1ブレーキB1のトルク容量で、解放側トルク容量T2は第3ブレーキB3のトルク容量である。
【0040】
また、補正項Cは、変速の種類毎にアクセル操作量θTHなどの運転状態をパラメータとして設定されているとともに、図8に示すように実際の変速状態に基づいて適宜フィードバック補正または学習補正されるようになっている。フィードバック補正は、変速時に逐次図8のフローチャートを実行してリアルタイムで補正項Cを変更するもので、学習補正は、一連の変速制御が終了した後に図8のフローチャートを実行し、必要に応じて補正項Cを書き換えることにより、次回の変速時に新たな補正項Cを用いて制御が行われるようにするものであり、フィードバック補正および学習補正の両方を含んでいても良い。
【0041】
図8のステップR1では、入力回転すなわちタービン回転速度NTが所定値以上吹き上がったか否かを判断し、所定値以上吹き上がった場合にはステップR3で補正項Cを予め定められた所定値αだけ増大させることにより、解放側トルク容量T2を増大させて吹き上がりを抑制する。所定値αは、予め定められた一定値であっても良いが、タービン回転速度NTの吹き量をパラメータとして異なる値が設定されるようにしても良い。
【0042】
ステップR1の判断がNOの場合、すなわち入力回転吹きが発生していない場合は、ステップR2を実行し、タイアップが発生したか否かをタービン回転速度NTの変化などに基づいて判断する。そして、タイアップが発生した場合は、ステップR4で補正項Cを予め定められた所定値βだけ減少させることにより、解放側トルク容量T2を減少させてタイアップを抑制する。所定値βは、予め定められた一定値であっても良いが、タイアップの程度に応じて異なる値が設定されるようにしても良い。また、ステップR2の判断がNOの場合、すなわち入力回転吹きもタイアップも発生していない場合は、ステップR5で現在の補正項Cの値をそのまま維持して終了する。
【0043】
図7に戻って、ステップS6では、前記解放側油圧換算手段116により前記ステップS5で求めた解放側トルク容量T2が得られる解放側油圧P2を算出するとともに、その解放側油圧P2となるように油圧を制御するための油圧指令値DP2を解放側油圧制御装置122に出力する。解放側油圧P2は、例えば油圧アクチュエータの受圧面積や解放側摩擦係合装置の摩擦板の枚数、径寸法などに応じて予め定められた演算式に従って求められる。
【0044】
次のステップS7では、イナーシャ相が始まったか否かをタービン回転速度NTに基づいて判断し、イナーシャ相が始まるまでステップS4〜S6を繰り返す。これにより、イナーシャ相が始まるまでのトルク相等における解放側油圧P2が、係合側油圧P1および入力トルクTinに応じて、入力回転吹きやタイアップを防止しつつ適切に制御される。なお、係合側の油圧制御が第3フェーズ▲3▼のサージ制御部の間は、前記ステップS4〜S6の解放側油圧制御を一時的に中断し、制御対象などに応じて予め適合により定められた所定の大きさの油圧指令値DP2を所定時間出力することにより、係合側と同様にその後の油圧変化に対する応答性を向上させる。また、前記演算式(2) 〜(6) に従って求められる解放側トルク容量T2が0になった場合には、ステップS7の判断がNOの場合でも直ちにステップS8以下を実行する。図9の時間t3 は、上記第3フェーズ▲3▼のサージ制御部が始まった時間で、時間t4 は、イナーシャ相が始まってタービン回転速度NTが低下し始めた時間であり、それ等の時間t3 〜t4 の間が略トルク相に相当する。
【0045】
イナーシャ相が始まったらステップS8を実行し、解放側油圧P2を0とする油圧指令値DP2を出力するとともに、ステップS9で変速が終了したか否かを判断し、変速が終了したら一連の変速制御を終了する。変速が終了したか否かは、例えばタービン回転速度NTが変速後の同期回転速度に達したか否かによって判断することができる。図9の時間t5 は変速終了時間で、係合側油圧P1については、変速が終了するまで前記図10の油圧指令パターンに従って油圧制御が行われる。
【0046】
このように、本実施例では係合側油圧P1については従来と同様に予め適合により定められた油圧指令パターンに従ってフィードフォワード制御を主体として制御しているが、解放側油圧P2については、(2) 〜(6) 式の釣り合い運動方程式に従って係合側トルク容量T1、入力トルクTinに基づいて解放側トルク容量T2をリアルタイムで算出し、その解放側トルク容量T2に応じて制御するようになっているため、その解放側油圧P2の制御に関する初期値や変化率、変化タイミングなどのデータや適合作業が不要になり、全体のデータ量が低減されるとともに面倒な適合作業が軽減される。
【0047】
また、本実施例では実際の変速状態に基づいてフィードバック制御や学習制御により逐次変更される補正項Cを用いて運動方程式(2) 〜(6) が設定されているため、入力トルクTinや係合側トルク容量T1に誤差が含まれる場合や個体差、摩擦要素などの経時変化等に拘らず、クラッチツークラッチ変速が常に適切に行われるようになり、変速ショック等を安定して防止できるロバスト性が向上する。
【0048】
また、アップシフト時に変速に伴う入力側の回転速度変化、すなわちタービン回転速度NTの変化が殆ど認められないトルク相においても、係合側トルク容量T1に応じて解放側トルク容量T2が適切に制御されて駆動力変動が抑制される。
【0049】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された車両用自動変速機を説明する図で、(a) は骨子図、(b) は各変速段を成立させるための作動表である。
【図2】図1の車両用自動変速機が備えている制御系統の要部を説明するブロック線図である。
【図3】図2の電子スロットル弁のスロットル弁開度とアクセル操作量との関係を示す図である。
【図4】図2のシフトレバーを具体的に示す斜視図である。
【図5】図1の自動変速機の変速段を運転状態に応じて自動的に切り換える変速マップの一例を説明する図である。
【図6】図1の自動変速機の変速制御に関して図2の電子制御装置が備えている各機能を説明するブロック線図である。
【図7】変速制御に関して図6の各機能によって実施される信号処理の具体的内容を説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップS5で解放側トルク容量T2を算出する際に用いられる補正項Cを説明するフローチャートである。
【図9】図7のフローチャートに従ってクラッチツークラッチ変速が行われる際の各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
【図10】図7のステップS2で出力される係合側油圧P1の油圧指令パターンの一例を説明する図である。
【符号の説明】
10:車両用自動変速機(自動変速機) 90:電子制御装置 C1、C2:クラッチ(摩擦係合装置) B1、B2、B3:ブレーキ(摩擦係合装置) P1:係合側油圧 P2:解放側油圧 DP1:係合側油圧指令値(トルク指令値) DP2:解放側油圧指令値
Claims (3)
- 複数の摩擦係合装置の係合、解放状態に応じて変速比が異なる複数の変速段が成立させられる自動変速機において、該複数の摩擦係合装置の何れかを解放するとともに他の何れかを係合させて前記変速段を切り換えるクラッチツークラッチ変速を行う際に、
該クラッチツークラッチ変速に関与する前記複数の摩擦係合装置のうち係合側の摩擦係合装置のトルク容量T1、解放側の摩擦係合装置のトルク容量T2、および前記自動変速機の入力トルクTinの釣り合い関係を表す運動方程式から、該係合側および解放側の何れか一方のトルク容量をリアルタイムで逐次算出して制御する
ことを特徴とする自動変速機の変速制御方法。 - 前記運動方程式は、変速後の変速段において釣り合う前記入力トルクTinと前記トルク容量T1とのトルク比をA、変速前の変速段において釣り合う前記入力トルクTinと前記トルク容量T2とのトルク比をBとした時、実際の変速状態に基づいて適宜変更される補正項Cを用いて次式(1) のように設定されている
Tin=A・T1+B・T2+C ・・・(1)
ことを特徴とする請求項1に記載の自動変速機の変速制御方法。 - 変速比を小さくするアップシフト時のクラッチツークラッチ変速において、トルク相における解放側のトルク容量T2を、前記トルク容量T1に関するトルク指令値を用いて前記運動方程式に従って算出して制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機の変速制御方法。
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JP2017044239A (ja) * | 2015-08-25 | 2017-03-02 | トヨタ自動車株式会社 | 自動変速機の制御装置 |
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- 2003-05-16 JP JP2003138568A patent/JP2004340287A/ja active Pending
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