JP2004337925A - レーザ加工機 - Google Patents

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Abstract

【課題】現在の生産性を維持しながらTEAレーザ光なみの加工品質が達成できるようにすること。
【解決手段】多モードで直線偏光状態のレーザ光30の伝搬光路に電気信号により選択的にレーザ光の進路が変更できる音響光学素子(AO)29を挿入し、加工完了に至る手前の1ショットまたは2ショットまでの数ショットは、通過光32として合成素子40に導き、照射系に引き渡す。そして、加工完了に至る手前の1ショットまたは2ショットを取出光31として別の光路に引き出し、ミラー41,分光素子42を介してパルス圧縮装置43に導き、パルス圧縮装置43にて高ピーク短パルス幅に圧縮整形されたレーザ光を分光素子42,ミラー44を介して元の光路である合成素子40に導き、照射系に引き渡す。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、レーザ光パルスを加工対象材料に照射して止まり穴や貫通穴を形成するレーザ加工機に係り、特にプリント基板の穴あけ加工に好適なレーザ加工機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機やパソコンマザーボードに用いられるプリント基板の代表的材料にガラスエポキシ材があるが、近年では、プリント基板の低価格化および高信頼性の要求を満たすものとして、このガラスエポキシ材の需要が延びてきている。このガラスエポキシ材にレーザ加工機にて穴加工を行った場合、品質的な評価のポイントは、主にガラスクロスの突き出しと穴底径バラツキとの2点がある。
【0003】
図11は、ガラスエポキシ材加工時のガラス突き出しの様子を説明する図である。図11では、ガラスエポキシ材のプリント基板に内層ランド101に至る穴あけ加工を施した場合が示されている。ガラスエポキシ材は、ガラスクロス103の周囲をエポキシ材100で覆う構造になっている。また、ガラスクロス103は織物のようにガラスの細線を束ねたものを交互に織り合わせたような構造になっている。
【0004】
エポキシ材100は柔らかく、ガラスクロス103は堅い特性である。このため、ガラスクロス103とその周りを覆うエポキシ材100との間でレーザ光による加工性に違いが生じ、加工後の壁面102には、ガラスクロス103が突き出した形状のクロス突き出し104が見られる。
【0005】
穴底径バラツキは、加工材料の2次元的な構造面でのバラツキに起因する。ガラスエポキシ材では、広く平面的にみると、ガラスクロス103がある位置では多く、ある位置では少ないといったガラスクロス103の粗密バラツキが必ず発生する。この粗密の差が、加工性の差となり、引いては加工後の穴底径の違いとなって現れてくる。
【0006】
従来では、これらの問題に対する方策として、レーザ光パルスの波長最適化と高ピーク短パルス幅化とを図ってきた。図12は、ガラスクロス材の光吸収特性を示す図である。図12では、典型的なガラスクロス材におけるレーザ光吸収率の波長依存性が示されている。図12から、ガラスクロス材がレーザ光吸収率のピークを示す波長は9〜9.5μm付近であることがわかる。吸収率が高いほどエネルギーが有効に加工に寄与することは明らかであるので、レーザ光パルスの波長としては9〜9.5μm付近が望ましいことになる。
【0007】
炭酸ガス(CO2)レーザ光パルスの波長は、一般的には10.6μmであるが、実際には9〜9.5μm内でも発振が可能であるので、こちらの波長域を選択した炭酸ガス(CO2)レーザ発振器が提案され、実用化されてきている。しかし、これによる穴あけ加工性の改善はみられたが、最適波長選択だけでは十分ではなかった。
【0008】
また、図13は、高ピークパルス照射と低ピークパルス照射での加工穴品質を比較した図である。一般的にレーザ加工においては、レーザ光パルスのピーク値(W/cm2)が高いほど加工のバラツキが少ないので、図13に示すように、加工穴の品質は、(A)高ピーク短パルス幅レーザ光を照射した方が、(B)低ピーク広パルス幅レーザ光を照射した場合よりも高品質である。
【0009】
ピーク値の違いによる加工穴品質の相違を示すものの一つにパルス幅で表記されるビーム照射時間がある。レーザ光による加熱時間が短いほど、入熱が少なくなるので、炭化等熱影響の少ない加工になることが理解できる。また、短時間に強いエネルギーが照射されると、当然急峻な加熱が行われる。ガラスクロスとエポキシ材との加工性の違いを加工閾値の違いとして捉えると、ゆっくりと加熱すれば違いが大きくなることが容易に推測できる。しかし、高ピーク短パルスレーザ光で照射すれば、急激な加熱が可能になるので、ほぼ両者間では時間差なく閾値を超えて加工が進行していくと予想され、両者における加工性のバラツキが少なくなると考えられる。
【0010】
図14は、ガラスエポキシ材の加工に高ピーク短パルス幅のレーザ光と低ピーク広パルス幅のレーザ光とを適用した場合の加熱時間を比較した図である。図14(A)に示すように、高ピーク短パルス幅レーザ光を用いた場合は、ガラス加工閾値111での加工時間121と、エポキシ加工閾値112での加工時間122とは大差ない。しかし、図14(B)に示すように、低ピーク広パルス幅レーザ光を用いた場合は、ガラス加工閾値111での加工時間121が短く、エポキシ加工閾値112での加工時間122が長くなり、大きな差が見られる。
【0011】
エポキシ材の加工では、最初のレーザ光パルスを照射したときには、どちらの場所にもガラスクロスがあったとすると、最初のショットでは、加工性には差が出ない。次のレーザ光パルスを照射するときに、ガラスクロスの疎密から、一方はガラスクロスを照射し、もう一方はエポキシ材を照射することになったとしても、上記の考えから、両者に大きな差は発生しないことになる。このため、高ピーク短パルス幅レーザ光で照射すれば、ガラスクロスの疎密によるバラツキは緩和される。
【0012】
こうした点からすると、ガラスエポキシ材を高品質で加工するには、最適波長で、かつ高ピーク短パルス幅レーザ光を使用すれば良いことになる。従来では、この要求を満たすパルスレーザ光として波長9〜9.5μm付近のTEAレーザ光が使用されていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガラスエポキシ材の加工に高ピーク短パルス幅レーザ光を用いる場合には、高品位加工とは裏腹な関係ではあるが、1回の照射で加工できる体積が少ないので、1つの穴をあけるのに、かなりの数のレーザ光パルスを照射しなければならない。つまり、通常1つの穴を加工するのに必要なパルスの数をレーザ光パルスで加工対象材料を射るという意味でショット数と呼んでいるが、高ピーク短パルス幅レーザ光では、ショット数が多くなるという問題がある。
【0014】
また、高ピーク短パルス幅レーザ光を発生するTEAレーザ発振器では、その高ピーク性を発揮するために、特殊な放電によってレーザ励起を行っている。Qスイッチ的なものであり、貯めこんだエネルギーを一気に解放し高い出力を得る方法である。この方法では、一度エネルギーをため込むため一定の時間を必要とする。そのため、TEAレーザ発振器では、高い繰り返し発振ができないという欠点がある。
【0015】
要するに、ガラスエポキシ材の高品質加工には、高いピーク値が得られるTEAレーザ光が適しているが、加工するのに沢山のショット数が必要であるのに関わらず、低い繰り返し発振しかできないので、材料を加工する上では、生産性が著しく低下するという問題があった。
【0016】
図15は、各種レーザの特徴を説明する図である。図15に示すように、TEAレーザ131は、一般的な炭酸ガス(CO2)レーザ132よりも相当にパルス幅の短いレーザ光が得られる。しかし、TEAレーザ131の発振器では、上記のように高い繰り返し発振ができない。そこで、近年では、低ピーク値・広パルス幅の一般的な炭酸ガス(CO2)レーザ132と高ピーク値・短パルス幅のTEAレーザ131の中間を目指した改良型炭酸ガス(CO2)レーザ133の発振器が開発され、実用化されている。
【0017】
改良型炭酸ガス(CO2)レーザ133を光源とするレーザ加工機では、TEAレーザ131を光源とするレーザ加工機には及ばないが、高ピーク短パルス幅での加工が行える。しかも、改良型炭酸ガス(CO2)レーザ133の発振器では、特殊な高周波放電により高い繰り返し発振が行える特徴を持つので、この改良型炭酸ガス(CO2)レーザ133を光源とするレーザ加工機は、生産性よくガラスエポキシ材の高品質加工が行えるとして高い評価を得ている。しかし、TEAレーザ光による高品質加工に近い加工が実現できているに留まり、TEAレーザ光なみの加工品質は達成できないでいるのが実状である。
【0018】
この発明は、上記に鑑みてなされたもので、現在の生産性を維持しながらTEAレーザ光なみの加工品質が達成できるレーザ加工機を得ることを目的とする。
【0019】
また、この発明は、直線偏光のパルスレーザ光を用いて穴加工する場合に穴形状が楕円状になるのを防止できるレーザ加工機を得ることを目的とする。
【0020】
さらに、この発明は、パルスレーザ光を用いた加工において問題になる過加熱が抑制できるレーザ加工機を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかるレーザ加工機は、多モードのレーザ光パルスを照射して穴加工を行う照射過程における任意のレーザ光パルスを穴加工を行う照射光路から取り出す任意パルス取出手段と、レーザ光パルスを圧縮し高ピーク短パルス幅のレーザ光を生成するパルス圧縮手段と、取り出された任意のレーザ光パルスを前記パルス圧縮手段に導き、生成された高ピーク短パルス幅のレーザ光を前記照射光路に戻す光学系とを備えたことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、多モードのレーザ光パルスを照射して穴加工を行う照射過程で、照射光路から任意のレーザ光パルスを取り出し、高ピーク短パルス幅のレーザ光に変成して照射光路に戻すことができる。したがって、高ピーク短パルス幅のレーザ光による穴加工を必要とする時に必要な高ピーク短パルス幅のレーザ光を生成して照射することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるレーザ加工機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
実施の形態1.
この実施の形態1では、改良型炭酸ガスレーザ発振器のパルスレーザ光を用いてプリント基板に穴あけ加工を行う場合に、現状の生産性を維持しつつ加工品質を高める方法として、穴加工が完了するショット数の数ショット前(例えば1,2ショット前)までは、現状のレーザ光パルスを照射してほぼ加工穴を完成させておき、最後の1,2ショットを高ピーク短パルス幅レーザ光を照射して仕上げ加工を行う方法を採用する。
【0025】
これを実現するには、現状のレーザ光パルスから高ピーク短パルス幅レーザ光を生成するパルス圧縮装置と、加工対象物に照射されるレーザ光パルスから任意のレーザ光パルスを取り出す任意パルス取出装置とが必要である。図1〜図5は、パルス圧縮技術に関し、図6は任意パルス取り出し技術に関し、図7は両技術を組み合わせた選択取り出し高ピーク短パルス幅レーザ光の生成を行う光学系に関する。以下、この順に従って説明する。
【0026】
図1は、この発明の実施の形態1であるレーザ加工機における選択取り出し高ピーク化パルス光を生成する光学系で用いるパルス圧縮装置の構成を示す概念図である。図2は、図1に示す回折格子の動作を説明する図である。図3は、図1に示すパルス圧縮装置でのパルス圧縮動作を説明する図である。図4は、エネルギー順位とレーザ発振との関係を説明する図である。図5は、気体レーザのレーザ媒質におけるドップラー効果の影響を説明する図である。
【0027】
炭酸ガスレーザ光にパルス圧縮技術を適用することは、従来では、考えられていなかったが、この実施の形態1では、炭酸ガスレーザ光の特徴を利用して適用できるようにしている。まず、図1〜図3を参照して、パルス圧縮の原理的説明を行う。
【0028】
パルス圧縮技術は、固体レーザ(チタンサファイヤレーザ)や色素レーザ等で使用されているが、パルス圧縮装置の光学系は、図1に示すように、レーザ光を選択分光素子11から対向配置される一対の回折格子12a,12bに導き、回折光を反射ミラー13を用いて往復させ、その過程で圧縮されたパルス光を選択分光素子11から反射光として取り出すように構成される。
【0029】
図2に示すように、回折格子12a,12bの入射角度θiとm次の回折角度φmとの関係は、格子間隔をd、波長をλとして、
sinθi−sinφm=(mλ)÷d …(1)
と表され、回折方向は波長に応じて決まる。ここで、光の波長λと周波数νは、光速Cに対して、C=νλの関係があるので、式(1)における波長λを周波数νに置き換えて考える。
【0030】
この周波数νに分散が存在すると、その分散に応じて回折後の光の光路は異なることになる。図1に示した回折格子の組み合わせでは、高周波成分は短い光路を通り、低周波成分は長い光路を通ることになる。ある種のレーザ媒質から発生するパルスレーザ光や光路中の光学系を通過してきたパルスレーザ光は、図3(A)に示すように、パルスの立ち上がり付近14に低周波成分が偏って存在し、パルスの立ち下がり付近13に高周波成分が偏って存在する傾向になる。すなわち、図3(A)に示すようなパルスレーザ光を図1に示す圧縮光学系に通すと、パルス先頭部分は長い光路を進み、パルス後方部分は短い光路を進むので、圧縮光学系を通過した後には、図3(B)に示すように、パルス幅が圧縮され、高ピーク短パルス幅のレーザ光15が得られる。
【0031】
要するに、上記のようなパルス圧縮が行えるレーザ光は、周波数の分散が大きなレーザ光でなくてはならない。すなわち、一般のレーザ媒質では、図4(A)に示すように、発振に寄与する2つのエネルギー準位E1,E2はバンド幅が狭く、E1−E2=hν=h(C/λ)なる1つの波長λで発振するので、波長や周波数には、バラツキは発生しない。一方、チタンサファイヤレーザや色素レーザでは、図4(B)に示すように、発振に寄与する2つのエネルギー準位E1,E2はバンド幅19が広いので、複数の波長で発振することが可能となり、発振波長、周波数に分散を持つことになる。これが、チタンサファイヤレーザや色素レーザでは、パルス圧縮が行える理由である。
【0032】
しかしながら、炭酸ガスレーザの場合は、図4(A)に示すようなエネルギー準位での発振となるので、通常、分散は期待できない。つまり、従来では、炭酸ガスレーザ発振器のレーザ光は、パルス圧縮に適するとは考えられていなかった。ところが、炭酸ガスレーザ等の気体レーザの場合には、レーザ媒質は気体であるので、その分子の熱運動を利用してパルス圧縮に適するレーザ光を得ることができる。
【0033】
すなわち、炭酸ガスレーザの発振源である分子が熱運動するということは、その速度成分によりドップラー効果が発生していることを意味している。今、速度vで運動している分子が周波数ν0の光を放出するとすれば、図5に示すように、その周波数の変化はドップラー効果により、ν=ν0(1±v/C)の幅を持つことになる。このことは、周波数に分散が存在することを示している。
【0034】
気体レーザでは、そのままでは、このドップラー幅の存在により発振周波数は単一モードではなく多重モードとなるので、通常は、プリズムやエタロン等により単一モードを選択して発振を行っている。つまり、これらのプリズムやエタロン等を外し分散を拡大することにより、パルス圧縮に適したパルスレーザ光が得られるようになる。
【0035】
この実施の形態1では、従来見逃されてきたこのような気体レーザの特徴を利用して加工技術的に有効な圧縮パルスレーザ光である高ピーク短パルス幅レーザ光を得るようにしている。そして、図6に示すような任意パルス取出装置を用いてパルス圧縮が必要なときに必要なパルスレーザ光を光路から取り出すようにしている。
【0036】
図6は、任意パルス取出装置の構成例を示す図である。図6(A)は音響光学素子(AO)を用いた場合の構成を示し、図6(B)は電気光学素子(EO)を用いた場合の構成を示している。
【0037】
図6に示す任意パルス取出装置は、多モードで直線偏光状態のレーザ光の伝搬光路途中に配置される。この多モードで直線偏光状態のレーザ光は、気体レーザ発振器から出力されるレーザ光、もしくは、伝搬光路途中で変換されたレーザ光である。
【0038】
図6(A)において、音響光学素子(AO)29では、加える電気信号28により素子内に超音波33が発生し、超音波33の定在波が形成される。この超音波33の定在波によるブラッグ反射によって、素子内を伝搬する光の光路を曲げることができる。したがって、AO29に多モードで直線偏光状態のレーザ光30が入射している状態で、加える電気信号28を調節してブラッグ反射を起こさせ、通過光32の光路を曲げて取り出した取出光31が得られる。
【0039】
図6(B)において、電気光学素子(EO)34では、印加する電気信号35の強さを調整すると、入射した直線偏光36を偏光方向が直交する直線偏光や円偏光に変えることができる。したがって、電気光学素子(EO)34の後段に、偏光方向によって透過したり、反射したりする分光素子(例えばブリュスターウィンドウ)39を設置すれば、通過光32と取出光31とが得られる。
【0040】
斯くして、この発明の実施の形態1であるレーザ加工機における選択取り出し高ピーク短パルス幅レーザ光を生成する光学系は、例えば図7に示すように構成できる。図7(A)は、音響光学素子を任意パルス取出装置として用いた場合の構成例である。図7(B)は、電気光学素子を任意パルス取出装置として用いた場合の構成例である。図7(A)(B)において、一度分けた光路の合成部分に設ける合成素子40,46は、元の光路を通過してきた通過光32,38は透過し、取り出した取出光31,39に対しては反射する向きに設置されている。なお、合成素子40,46には、ブリュースターウィンドウ等の素子を用いることができる。
【0041】
図7(A)において、多モードで直線偏光状態のレーザ光30の伝搬光路に電気信号により選択的にレーザ光の進路が変更できる音響光学素子(AO)29を挿入し、加工完了に至る手前の1ショットまたは2ショットまでの数ショットは、通過光32として合成素子40に導き、照射系に引き渡す。そして、加工完了に至る手前の1ショットまたは2ショットを取出光31として別の光路に引き出し、ミラー41,分光素子42を介してパルス圧縮装置43に導き、パルス圧縮装置43にて高ピーク短パルス幅に圧縮整形されたレーザ光を分光素子42,ミラー44を介して元の光路である合成素子40に導き、照射系に引き渡す。
【0042】
図7(B)において、多モードで直線偏光状態のレーザ光30の伝搬光路に電気信号により選択的にレーザ光の偏光状態が変更できる電気光学素子(EO)34を挿入し、加工完了に至る手前の1ショットまたは2ショットまでの数ショットは、元の偏光状態にて分光素子37から通過光38として取り出し合成素子46に導き、照射系に引き渡す。そして、加工完了に至る手前の1ショットまたは2ショットは偏光状態を変更し、分光素子37から取出光39として別の光路に引き出し、ミラー47,48,49,50および分光素子42を介してパルス圧縮装置43に導き、パルス圧縮装置43にて高ピーク短パルス幅に圧縮整形されたレーザ光を分光素子51を介して元の光路である合成素子46に導き、照射系に引き渡す。
【0043】
このように、実施の形態1によれば、穴加工が完了するショット数の数ショット(例えば1,2ショット)前までは、現状のレーザ光パルスを照射してほぼ加工穴を完成させておき、仕上げのレーザ光パルスである最後の1ショットまたは2ショットをTEAパルスレーザ光のような高ピーク短パルス幅レーザ光にすることができるので、この仕上げパルスの効果により、ガラスエポキシ材加工時の加工穴壁面に生ずるガラスクロスの突き出しや穴底径バラツキが緩和される。したがって、現在の生産性を維持しながらTEAレーザなみの高品位な加工を行うことができる。
【0044】
このとき、高ピーク短パルス幅レーザ光を用いてエポキシ材やポリイミド材を加工したときの樹脂残り量は、少なくなる傾向にあることが知られている。つまり、実施の形態1によれば、高ピーク短パルス幅レーザ光を仕上げ加工に使用するので、従来よりも更に樹脂残り量の少ない加工が実現できる効果が得られる。
【0045】
また、原理的には、照射過程における任意のレーザ光パルスを高ピーク短パルス幅レーザ光とすることができるので、例えば、最初のショットは高ピーク短パルス幅レーザ光とし、次のショットは通常のレーザパルス光とし、次のショットは再び高ピーク短パルス幅レーザ光とするいわゆる鋸歯状の照射方法も採用可能である。このような多数通りの組合わせパルス照射にすれば、バラツキの少ない加工が実現でき、加えて、従来高品質に加工することが難しかった銅箔の加工にも有効であることが期待できる。
【0046】
実施の形態2.
図8は、この発明の実施の形態2であるレーザ加工機が実現する任意パルス偏光方向直交照射を可能にする光路構成を示す概念図である。図8において、この実施の形態2では、直線偏光状態にあるレーザ光54を実施の形態1にて説明した任意パルス取出装置55に与え、ミラー56,合成素子57に至る通常の光路とは異なるミラー58,59,60,61を経由して合成素子57に至る光路に選択的に取り出す。
【0047】
このミラー58,59,60,61を経由して合成素子57に至る光路では、任意パルス取出装置55からミラー58に至る光路と、ミラー61から合成素子57に至る光路とは、任意パルス取出装置55からミラー56,合成素子57に至る通常の光路と同一の平面内にあるが、ミラー58からミラー59,60,61に至る光路は、それと直交する平面内にある。
【0048】
つまり、任意パルス取出装置55にて選択的に取り出されたレーザ光は、ミラー58にて、任意パルス取出装置55からミラー56,合成素子57に至る通常の光路が存在する平面と直交する平面に向けて直角に折り曲げられてミラー59,60を伝搬し、ミラー61にて再び任意パルス取出装置55からミラー56,合成素子57に至る通常の光路が存在する元の平面上の光路に戻り、合成素子57にて合成される。
【0049】
したがって、合成素子57では、直交する2つの直線偏光レーザ光が切り替わって射出される。一方は選択操作をしない通常用いる直線偏光レーザ光であり、他方は選択操作された直線偏光レーザ光である。その結果、加工対象材料には、通常用いる直線偏光レーザ光を照射する過程で、選択的に、それと直交する偏光方向を持つ直線偏光レーザ光が照射される。
【0050】
穴加工に用いるレーザ加工機では、実施の形態1にて説明したように、直線偏光レーザ光が用いられるが、直線偏光レーザ光を用いて穴加工した場合には、加工穴が偏光方向に引き伸ばされて楕円形状になることがある。そのような場合に、この実施の形態2によれば、通常用いる直線偏光レーザ光パルスの複数ショットで加工を行い、その後、直線偏光方向が90度異なる2つのレーザ光パルスを交互に照射することができるので、加工穴の楕円化を防ぐことができる。
【0051】
実施の形態3.
図9は、この発明の実施の形態3であるレーザ加工機で実現するパルスレーザ光先鋭化に用いる過飽和吸収体の動作を説明する図である。図9に示すように、過飽和吸収体60は、透過閾値61を超える光強度の高い部分のみを透過させ、透過閾値61を超えない光強度の低い部分に対しては不透明になるという性質を有している。なお、炭酸ガスレーザ用の過飽和吸収体としてはフレオンガスなどが知られている。
【0052】
この実施の形態3では、過飽和吸収体60のこのような性質を利用してパルスレーザ光の先鋭化を図るようにしている。図10は、レーザ光パルスの一般的な波形を示す図である。一般にレーザ波形は、図10に示すように、急峻な立ち上がりを示す部分と、だらだらと尾を引いたようなテール部分65が組み合わされた形をしている。
【0053】
急峻な立ち上がりを示す部分は、レーザ発振の特徴である誘導放出によって発生する波形である。一方、テール部分65は、自然放出によって発生してしまう波形である。そのテール長については制御が難しく、かつ加工時にも余分な加熱を行ってしまう。
【0054】
このようなレーザ光パルスを過飽和吸収体60に当て透過させることで、自然放出によって生じるテール部分65をカットすることができる。この場合、炭酸ガスレーザ発振器では、過飽和吸収体60であるフレオンガスをレーザ媒質ガスに混入させ、発振時からテール部分65のない波形を得ることも可能である。しかし、このようにすると、ピーク値が低下し1パルスとしてのエネルギーも低下するので、生産性が低下する。
【0055】
そこで、生産性の低下を防ぐために、実施の形態1,2にて説明した任意パルス取出装置を用いてレーザ光パルスを選択的に取り出し、取り出したレーザ光パルスを光路に挿入した過飽和吸収体60に当て透過させることにより、テールのない先鋭化パルスレーザ光を作り出し、それを元の光路に戻すようにする。
【0056】
このように、実施の形態3によれば、テールのない先鋭化パルスレーザ光での照射が可能となるので、余分な加熱の発生が抑制でき、熱影響の少ない仕上げ加工が可能となる。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、多モードのレーザ光パルスを照射して穴加工を行う照射過程で、照射光路から任意のレーザ光パルスを取り出し、高ピーク短パルス幅のレーザ光に変成して照射光路に戻すことができる。したがって、高ピーク短パルス幅のレーザ光による穴加工を必要とする時に必要な高ピーク短パルス幅のレーザ光を生成して照射することができるので、現在の生産性を維持しながらTEAレーザ光なみの加工品質が達成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1であるレーザ加工機における選択取り出し高ピーク化パルス光を生成する光学系で用いるパルス圧縮装置の構成を示す概念図である。
【図2】図1に示す回折格子の動作を説明する図である。
【図3】図1に示すパルス圧縮装置でのパルス圧縮動作を説明する図である。
【図4】エネルギー順位とレーザ発振との関係を説明する図である。
【図5】気体レーザのレーザ媒質におけるドップラー効果の影響を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1であるレーザ加工機における選択取り出し高ピーク化パルス光を生成する光学系で用いる任意パルス取出装置の構成例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1であるレーザ加工機における選択取り出し高ピーク化パルス光を生成する光学系の構成例を示す概念図である。
【図8】この発明の実施の形態2であるレーザ加工機が実現する任意パルス偏光方向直交照射を可能にする光路構成を示す概念図である。
【図9】この発明の実施の形態3であるレーザ加工機で実現するパルスレーザ光先鋭化に用いる過飽和吸収体の動作を説明する図である。
【図10】レーザパルス光の一般的な波形を示す図である。
【図11】ガラスエポキシ材加工時のガラス突き出しの様子を説明する図である。
【図12】ガラスクロス材の光吸収特性を示す図である。
【図13】高ピークパルス照射と低ピークパルス照射での加工穴品質を比較した図である。
【図14】ガラスエポキシ材の加工に高ピークパルスと低ピークパルスを適用した場合の加熱時間を比較した図である。
【図15】各種レーザの特徴を説明する図である。
【符号の説明】
11 選択分光素子、12a,12b 回折格子、13 反射ミラー、29 音響光学素子(AO)、34 電気光学素子(EO)、32,38 通過光、31,39 取出光、43 パルス圧縮装置、40,46 合成素子、55 任意パルス取出装置、60 過飽和吸収体。

Claims (6)

  1. 多モードのレーザ光パルスを照射して穴加工を行う照射過程における任意のレーザ光パルスを穴加工を行う照射光路から取り出す任意パルス取出手段と、
    レーザ光パルスを圧縮し高ピーク短パルス幅のレーザ光を生成するパルス圧縮手段と、
    取り出された任意のレーザ光パルスを前記パルス圧縮手段に導き、生成された高ピーク短パルス幅のレーザ光を前記照射光路に戻す光学系と、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工機。
  2. 前記任意パルス取出手段は、
    穴加工の完成に必要なショット数のうち完了に至る数ショットまでのレーザ光パルスはそのまま穴加工を行う照射光路に送出し、完了に至る数ショットのレーザ光パルスは前記光学系に取り出すように制御される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工機。
  3. 前記任意パルス取出手段は、
    穴加工の完成に必要なショット数のレーザ光パルスを、1のレーザ光パルスはそのまま穴加工を行う照射光路に送出し、次の1のレーザ光パルスは前記光学系に取り出すことを交互に行うように制御される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工機。
  4. 直線偏光状態のレーザ光パルスを照射して穴加工を行う照射過程における任意のレーザ光パルスを穴加工を行う照射光路から取り出す任意パルス取出手段と、
    取り出された任意のレーザ光パルスをその偏光方向を90度回転させて前記照射光路に戻す光学系と、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工機。
  5. 前記任意パルス取出手段は、
    穴加工の完成に必要なショット数のうち、所定数のショットまでのレーザ光パルスはそのまま穴加工を行う照射光路に送出し、その後のショットでは、1のレーザ光パルスはそのまま穴加工を行う照射光路に送出し、次の1のレーザ光パルスは前記光学系に取り出すことを交互に行うように制御される、
    ことを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工機。
  6. レーザ光パルスを照射して穴加工を行う照射過程における任意のレーザ光パルスを穴加工を行う照射光路とは異なる光路に取り出す任意パルス取出手段と、
    閾値を超える高強度のレーザ光に対しては透明となり、閾値を超えない低強度のレーザ光に対しては不透明となる過飽和吸収体と、
    取り出された任意のレーザ光パルスを前記過飽和吸収体に導き、透過したレーザ光パルスを前記照射光路に戻す光学系と、
    を備えたことを特徴とするレーザ加工機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010016194A (ja) * 2008-07-03 2010-01-21 Shibuya Kogyo Co Ltd Qスイッチレーザ発振器

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