JP2004332731A - 高圧タービンの弾性間隙制御システム及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ケーシングの機械的変形によって高圧タービンの間隙制御を行うためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】 シュラウド(16)の近くで回転するブレード(14)に作用するアクティブ間隙制御システムを設ける。シュラウド(16)は、シュラウド支持位置においてケース(24)に取付けられるか又はシュラウドハンガ(22)に取付けられる。ブレード(14)の先端とシュラウド(16)との間には必要とする間隙(18)がある。ブレード(14)先端及びシュラウド(16)は、弾性ケース(24)によって囲まれる。このケース(24)は、熱膨張のみならずケース(24)の内径及び外径に作用する圧力差に応答して半径方向に変形できる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、高圧タービンのアクティブ間隙制御システムに関し、より具体的には高圧タービンのケーシングを機械的に変形させることに関する。
高圧タービン(HPT)のアクティブ間隙制御システム(ACC)は、2つの基本的な機能を有する。第1の機能は、過渡運転時に狭いブレード−シュラウド間隙を維持して排気ガス温度(EGT)を最小にすることである。第2の機能は、定常運転時に先端間隙を塞いでタービン効率を増大させかつ燃料燃焼量を低減することである。
両方の形式の設計、すなわち単一段及び二段形式の場合には、ケースは、空気冷却温度とケース温度への影響とに応じて収縮又は膨張することになる。ケース温度が変化することにより、間隙変化が生じることになる。間隙システムの熱的側面は、およそ30〜60秒の低応答性変形である。
最新式のアクティブ間隙制御システムは、アイドル時に大きい間隙を有することによってアイドル状態から離陸までのディスク弾性変形及びブレード熱膨張を補償している。このようなシステムは、間隙を最小レベルにまで減少させるために定常状態での大きい温度変化を必要とする。しかしながら、所望のケース温度変化は、システム能力を越える場合がある。そのうえ、最新式のシステムでは、瞬間加速又は再加速(リバースト)により翼形部がシュラウドに接触又は擦過することになるため、あらゆるロータ弾性伸張を克服するように即座に応答することは困難である。
現在の技術における問題を克服する高圧タービンの改良型アクティブ間隙制御システム及び方法を提供することは望ましいと思われる。
ケーシングの弾性変形を用いて高圧タービンのアクティブ間隙制御を改良するシステム及び方法を提案する。
従って、本発明は、ケーシングの機械的変形によって高圧タービンの間隙制御を行うためのシステム及び方法を提供する。シュラウドの近くで回転するブレードに作用するアクティブ間隙制御システムを設ける。シュラウドは、シュラウド支持位置においてケースに取付けられるか又はシュラウドハンガに取付けられる。ブレードの先端とシュラウドとの間には必要とする間隙がある。ブレード先端及びシュラウドは、弾性ケースによって囲まれる。このケースは、熱膨張のみならずケースの内径及び外径に作用する圧力差に応答して半径方向に変形できる。
最新のガスタービンエンジン制御システムは、一般的に運転時にブレード−シュラウド間隙及び先端間隙を維持するためのアクティブ間隙制御システムを必要とする。それぞれ図1及び図2に示す単一段及び二段HPTの場合には、ブレード14とシュラウド16との間の適当な間隙18は、ケース10の温度を制御することによって得られる。単一段高圧タービン形式の場合には、ケースは、圧縮機中間段12及び吐出圧力源からくる空気により加熱及び冷却される。さらに、二段高圧タービン形式の場合には、第1段タービンのケースは、圧縮機吐出圧力空気によって制御される。第2段は、圧縮機段間抽気によって制御される。適当な時に、ケースは、ケースリング25の温度を低下させるためにファン空気によって冷却される。
図1及び図2では、ブレード14及びブレード先端は、タービンを通って流れる高温空気の結果として回転する。シュラウド16は、ブレード14先端とシュラウド16自体との間の距離すなわち間隙を形成する金属部品である。アクティブ間隙制御システムの目的は、間隙18を最小にすることである。間隙が大きければ大きいほどタービンの効率は低下することになる。シュラウド16は、ハンガ22によってACCのケースに取付けられる。ケースが膨張することによりシュラウド16は半径方向に移動する。現在の技術では、ケース10は、熱膨張によってのみ拡大する。本発明の場合には、ケースは、熱膨張と該ケースの内径及び外径に作用する圧力とにより変形することになる。
本発明は、図3に示すようにタービンケースを変更することによって現在の高圧タービンアクティブ間隙制御システムを改良するためのシステム及び方法を提案する。本発明によると、弾性ケース24は、該ケース24の外径に作用する圧力P低圧と該ケース24の内径に作用するP高圧との間の差により半径方向に変形するのに充分な弾性を有する連続した360度シェルとなることになる。ケース24の可撓性は、ケーシングの弾性変形が従来技術の設計よりも増大するように、ハンガを支持する位置でのケースの平均厚さを薄くすることによって達成されることになる。具体的な厚さは変わる場合があるが、従来技術では、シュラウド支持体がケーシングに取付けられる位置でのケーシングの厚さは、本発明で提案する厚さよりもかなり厚く、従って従来技術の構成ではケーシングが無視できる程度しか変形しないことになる。本発明の好ましい実施形態では、厚さは、ケースリング25を排除することによって現在の設計よりも薄くなり、単に例としてではあるが、典型的には現在のケーシングの厚さ25.4mm〜50.8mm(1インチ〜2インチ)よりもおよそ2.54mm〜5.08mm(0.1インチ〜0.2インチ)程度又はそれとは別に著しく薄くなることになる。しかしながら、厚さは、それでもなお現在の技術が備えるよりも薄ければ、本発明の技術的範囲から逸脱することなく例示的な実施形態の厚さの範囲を超えて変えることができることは当業者には明らかであろう。現在のシステムについてもそうであるように、シュラウド16は、シュラウドハンガ22によってケース24に取付けられることになる。シュラウド及びケースは、耐熱合金で作られることになる。
本発明を適用した場合には、シュラウド16に対するブレード14の間隙18は、圧力によりケース24が半径方向に変形すると変化することになる。シュラウドに対するブレード先端の間隙は、ケースに作用する圧力の大きさによって決まることになる。ケースに作用する圧力は、エンジン運転状態によって決まる。ここで図4を参照すると、圧力と速度との間の関係を示している。本発明は、この圧力及び速度を利用して、図5に示す結果をもたらす。図4では、圧力は、領域26におけるように、エンジンがアイドル状態にあるとき最小値になっている。圧力は、領域28におけるように、低高度での高出力時に最大値に達することになる。巡航状態では、領域30におけるように、エンジンが高高度にあるとき速度をほとんど一定(〜10%の変化)に保ちながら、圧力は低下(〜30%の変化)することになる。図4に示す圧力と速度との間のこの関係によると、間隙は、エンジンがアイドル状態から離陸状態になった時に増大することになる。この速度に対する圧力の関係は、アイドル時に大きい間隙を有することを必要とせず、システムがディスク弾性伸張及びブレード熱膨張の一部を補償することを可能にすることになる。さらに、高高度では、ロータ速度変化が小さく従って高い弾性伸張を維持したままで、ケースに作用する圧力が低下してケースが収縮することになる。このことによって、現在の最新式のシステムが必要とする間隙に比較して巡航時での間隙がより小さくなることになる。
本発明は、圧力と速度との間の関係を利用する。図5は、本発明の弾性ケースを単一段又は二段高圧タービンに適用した場合のステータ及びロータの変形を示す。ケースの弾性値は、図5に破線32で示す。従来技術のステータ応答は、線34で示しており、これは熱膨張を表している。本発明及び従来技術の両方におけるロータ応答は、線36で示しており、アイドル、加速及び巡航時のディスク弾性伸張及びブレード熱膨張を表している。本発明では、瞬間加速(リバースト)により翼形部がシュラウドに接触しないように保護することになる。瞬間加速時に圧力はロータ速度とほぼ同じ割合で上昇し、翼形部がシュラウドと接触(擦過)するのを回避するようにケースが変形するのを可能にすることになる。
ここで図6を参照すると、ケース弾性変形を運転時間の経過における翼形部先端損失を補償するように変更することによって、薄形ケース・アクティブ間隙制御の別の実施形態を適用することができる。この別の実施形態は、ケース外径に装着したバンド38を含む。バンドは、任意の適当な耐熱合金又は皮膜から成ることが好ましい。バンド厚さは、翼形部材料の損失量に応じて寸法が決まることになる。バンドは、翼形部材料の同一損失量についてケース弾性変形がより小さくなるようにする。
好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができ、また均等物を実施形態の要素と置き換えることができることは、当業者には明らかであろう。そのうえ、本発明の教示に対して特定の状況を適合させるために、本発明の本質的な技術的範囲から逸脱することなく多くの変更を加えることができる。なお、特許請求の範囲に記載された符号は、理解容易のためであってなんら発明の技術的範囲を実施例に限縮するものではない。
ケーシングを機械的に変形させる本発明の技術を利用することができる形式の単一段アクティブ間隙制御システムの概略図。 ケーシングを機械的に変形させる本発明の技術を利用することができる形式の二段アクティブ間隙制御システムの概略図。 本発明による薄形ケース・アクティブ間隙制御を示す図。 アイドル状態から巡航状態における圧力とロータ速度との間の関係を示す線図。 最新式のシステムと本発明を適用したシステムとにおけるロータ及びステータの半径方向の変形を比較した線図。 本発明による薄形ケース・アクティブ間隙制御の別の実施形態を示す図。
符号の説明
14 ブレード
16 シュラウド
18 間隙
22 ハンガ
24 ケース

Claims (10)

  1. ガスタービンエンジン内の間隙を制御する方法であって、
    組み合わされたシュラウドハンガ(22)を有する少なくとも1つのシュラウド(16)の近くで回転する少なくとも1つのブレード(14)に、該少なくとも1つのブレード(14)先端と少なくとも1つのシュラウド(16)との間に必要とする間隙(18)があるように作用するアクティブ間隙制御システムを設ける段階、及び
    その熱膨張と内径及び外径に作用する圧力差とに応答して半径方向に変形できる弾性ケース(24)によってブレード(14)先端及びシュラウド(16)を囲む段階、
    を含む方法。
  2. 運転時のブレード(14)先端損失を補償するように前記ケース(24)外径にバンド(38)を装着する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. アクティブ間隙制御システムを設ける前記段階が、単一段アクティブ間隙制御システムを設ける段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. アクティブ間隙制御システムを設ける前記段階が、二段アクティブ間隙制御システムを設ける段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  5. 弾性ケース(24)によってブレード(14)先端及びシュラウド(16)を囲む前記段階が、エンジン運転時に弾性変形する弾性ケース(24)を設ける段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  6. ガスタービンエンジン内の間隙を制御するためのシステムであって、
    組み合わされたシュラウドハンガ(22)を有する少なくとも1つのシュラウド(16)の近くで回転する少なくとも1つのブレード(14)に、該少なくとも1つのブレード(14)の先端と少なくとも1つのシュラウド(16)との間に必要とする間隙(18)があるように作用するアクティブ間隙制御システムと、
    ブレード(14)先端及びシュラウド(16)を囲みかつその内径及び外径に作用する圧力差に応答して半径方向に変形できる弾性ケース(24)と、
    を含むシステム。
  7. 運転時のブレード(14)先端損失を補償するように前記ケース(24)外径に装着したバンド(38)をさらに含む、請求項6記載のシステム。
  8. 前記アクティブ間隙制御システムが単一段アクティブ間隙制御システムを含む、請求項6記載のシステム。
  9. 前記アクティブ間隙制御システムが二段アクティブ間隙制御システムを含む、請求項6記載のシステム。
  10. 前記弾性ケース(24)が、エンジン運転時に弾性変形する弾性ケース(24)を含む、請求項6記載のシステム。
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