JP3959551B2 - 翼チップクリアランスの調整方法 - Google Patents

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  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジェットエンジンに係わり、更に詳しくは、ジェットエンジンのガスタービンにおけるロータとステータの熱変位追従性の相違により発生する非定常時ラビングの防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3(A)は、ジェットエンジンのガスタービン部の部分断面図であり、図3(B)はその部分拡大図である。図3において、図示しない圧縮機で圧縮された空気1の一部が燃焼器2に流入し、燃焼器2で高温ガス3を発生させ、この高温ガス3で高圧タービン4及び低圧タービン5を回転駆動し、この駆動力により圧縮機を駆動するようになっている。タービン4,5の外周部には、タービン翼4a,5aが円周上に複数配置され翼列を形成している。また、円弧状の複数のシュラウド6,7が、タービン翼4a,5aを囲んで配置され、これらのシュラウド6,7は、シュラウドサポート6aを介して円筒形状のタービンケーシング8に取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
軽量な従来のジェットエンジンでは、最大定常保持後の急減速・再急加速時に、ロータとステータ(ケーシング)の熱容量差による熱変位追従性の違いによりラビングが発生することがある。ケーシングとロータチップのクリアランス(隙間)は、加速時には高温ガスの温度上昇により両方が半径方向に膨張するが、ロータチップは遠心力の影響で更に外側に変位し、クリアランスが小さくなる。更に、一旦急減速し、次いで再急加速した場合には、熱収縮した熱容量の小さいシュラウドの内面に、熱容量が大きく熱変位追従性の遅いロータチップが接触する場合がある。この接触(ラビングと呼ぶ)により、シュラウド又はロータチップが摩耗してクリアランスが大きくなり、タービン効率を低下させると共に、エンジン部品の寿命を短縮する問題点があった。
【0004】
この問題点を解決するために、大型エンジンでは、アクティブ・クリアランス・コントロール・システム(ACCS)或いはタービン・ケース・クーリング・システム(TCCS)と呼ばれる翼チップクリアランスの調整方法が用いられている。この方法は、タービンケース外周に空気マニホールドを設置し、このマニホールドから巡航時に冷却空気をタービンケース外面に吹き付けてケースを収縮させ、翼チップクリアランスを適正に補正するものである。
【0005】
しかし、この方法では、大がかりなシステムを必要とし、重量が大きくなり、かつ冷却空気を抽気するためその分のエンジン効率が低下する問題点があった。そのため、軽量で高性能を要求される比較的小型のジェットエンジンでは、適用が困難であった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、重量増加や効率低下がほとんどなく、かつ複雑な制御装置を用いることなく、ラビングの発生を抑制できる翼チップクリアランスの調整方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した非定常時のラビングは、主として肉厚が薄い(熱容量が小さい)ケーシングと、肉厚が厚い(熱容量が大きい)ロータとで、非定常時の周囲空気温度の変化に対する体積変化の追従性(熱変位追従性の違いに起因すると考えられる。そこで、本願発明者は、重量を増すことなくステータ側の熱に対する変位の追従性を遅らせてロータ側に近づけることにより、非定常時のラビングを防止できることに着眼した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。
【0008】
すなわち本発明によれば、タービン翼と該タービン翼の先端を間隔を隔てて囲むケーシング部材との間に形成される翼チップクリアランスの調整方法であって、前記ケーシング部材の表面に、該ケーシング部材と前記タービン翼を含むロータの周囲空気温度の変化に対する体積変化の追従性がほぼ同一となる程度に厚いサーマルバリアコーティングを施すことにより、前記の程度に前記ケーシング部材の温度伝導率を前記タービン翼を含むロータの温度伝導率に近づけて形成し、かつ前記サーマルバリアコーティングにケーシング部材との熱膨張量差による剥がれを防止するスリットを設ける、ことを特徴とする翼チップクリアランスの調整方法が提供される。
【0009】
上述した本発明の方法によれば、ケーシング部材の表面に、ケーシング部材とタービン翼を含むロータの周囲空気温度の変化に対する体積変化の追従性(熱変位追従性)がほぼ同一となる程度に厚いサーマルバリアコーティングを施すことにより、前記の程度に前記ケーシング部材の温度伝導率を前記タービン翼を含むロータの温度伝導率に近づけて形成するので、非定常時の熱膨張・熱収縮による翼チップクリアランスを適正範囲に調整することが可能となる。ここで、温度伝導率kは、熱伝導率λ/熱容量Cpで定義され、この値が大きいほど温度変化がはやい。また、ケーシング部材とタービン翼を含むロータの熱変位追従性をほぼ同一にすることにより、定常状態における熱膨張・熱収縮時の翼チップクリアランスも適正に調整することができる。
【0010】
また、前記サーマルバリアコーティングは、熱伝導率の低いセラミック材からなる、ことが好ましい。
【0011】
温度伝導率kの定義における熱伝導率λは、部材の表面を断熱することにより、実質的に変えることができる。従って、熱容量の小さいケーシング部材の表面に十分厚いサーマルバリアコーティングを施すことにより、温度伝導率kをロータに近づけることができる。このサーマルバリアコーティングは、例えば、熱伝導率の低いセラミック材からなり、熱膨張時に割れや剥がれが生じやすいため、スリットを設け、耐熱金属材との熱膨張量差による剥がれを防止する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付して使用する。
図1は、従来のケーシング部材(図3におけるケーシング8及びシュラウドサポート6a)の金属材料(Inco718)とサーマルバリアコーティング(TBC)の熱伝導率の比較図である。この図に示すように、TBCのコーティング部は、金属材料の1/10以下の熱伝導率であり、TBCのボンド部は、その中間の熱伝導率を有する。ここで、TBCは、熱伝導率の低いセラミック材からなる。
【0013】
TBCは、従来のジェットエンジンでも、タービンノズルやタービン翼の耐熱性を高めるために用いられている。この場合のTBCの厚さは、ボンド部で0.05〜0.1mm、コーティング部で0.15〜0.1mm程度であり、耐熱性を高めることはできるが、上述した温度伝導率kにはほとんど影響しない厚さであった。
【0014】
本発明によれば、タービン翼の先端を間隔を隔てて囲むケーシング部材(図3におけるケーシング8及びシュラウドサポート6a)として、従来の金属材料(例えばInco718)をそのまま用い、接合面を除くその表面にタービン翼よりも十分厚いサーマルバリアコーティング(TBC)を施す。このTBCの厚さは、コーティング部を少なくとも1mm以上とするのがよい。また、TBCを厚くすると、ケーシング部材との熱膨張量差による割れや剥がれが生じやすくなるので、これを防ぐためにTBCに適当な間隔でスリット(隙間)を設ける。このスリットの向きは、部材の熱膨張方向に直交させるのがよいが、方眼状に設けてもよい。
【0015】
上述した方法により、ケーシング部材の温度伝導率k(=熱伝導率λ/熱容量Cp)をロータに近ずけることができ、非定常時の温度変化に対する温度の追従性をロータ側に近づけることができ、非定常時の熱膨張・熱収縮による翼チップクリアランスを適正範囲に調整し、かつ定常状態における熱膨張・熱収縮時の翼チップクリアランスを適正に調整することが可能となる。
【0016】
図2は、非定常時の翼チップクリアランスの変化を示す模式図であり、(A)は従来例、(B)は本発明の適用例を示している。各図において、横軸は時間、縦軸は熱変位量とエンジン負荷であり、一点鎖線がエンジン負荷、上下の実線がステータとロータの熱変位を示している。
図2(A)に示すように、従来例では、最大定常保持後の急減速・再急加速時に、ロータとステータ(ケーシング)の熱容量差による熱変位追従性の違いにより図にAで示す位置でラビングが発生した。
【0017】
これに対して、本発明の翼チップクリアランスの調整方法を適用した図2(B)では、ケーシング部材(ステータ)を、ロータの温度伝導率に近ずけているため、最大定常保持後の急減速・再急加速時であっても、ラビングが生じにくくなる。
【0018】
なお、図2は熱変位量のみを概念的に示したものであり、実際には、ロータの全変位は、熱変位に遠心力による変位を加えたものとなる。また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0019】
【発明の効果】
上述したように、本発明の方法によれば、ケーシング部材の温度伝導率をロータに近づけて形成することにより、非定常時の温度変化に対する変位の追従性をロータ側に近づけることができ、非定常時の熱膨張・熱収縮による翼チップクリアランスを適正範囲に調整することができ、かつ定常状態における熱膨張・熱収縮時の翼チップクリアランスを適正に調整することが可能となる。
【0020】
また、本発明の方法は、従来のアクティブ・クリアランス・コントロール・システム(ACCS)に比べ特別な配管や制御装置が不要なため、重量増がほとんどなく、かつ冷却空気の抽気等も必要ないため、エンジン効率の低下がない。
【0021】
従って、本発明の翼チップクリアランスの調整方法は、重量増加や効率低下がほとんどなく、かつ複雑な制御装置を用いることなく、ラビングの発生を抑制できる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】金属材料(Inco718)とサーマルバリアコーティング(TBC)の熱伝導率の比較図である。
【図2】非定常時の翼チップクリアランスの変化を示す模式図である。
【図3】ジェットエンジンのガスタービン部の部分断面図である。

Claims (2)

  1. タービン翼と該タービン翼の先端を間隔を隔てて囲むケーシング部材との間に形成される翼チップクリアランスの調整方法であって、
    前記ケーシング部材の表面に、該ケーシング部材と前記タービン翼を含むロータの周囲空気温度の変化に対する体積変化の追従性がほぼ同一となる程度に厚いサーマルバリアコーティングを施すことにより、前記の程度に前記ケーシング部材の温度伝導率を前記タービン翼を含むロータの温度伝導率に近づけて形成し、かつ前記サーマルバリアコーティングにケーシング部材との熱膨張量差による剥がれを防止するスリットを設ける、ことを特徴とする翼チップクリアランスの調整方法。
  2. 前記サーマルバリアコーティングは、熱伝導率の低いセラミック材からなる、ことを特徴とする請求項1に記載の翼チップクリアランスの調整方法。
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