JP2004330570A - インクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気圧を用いた噴霧器を用いて、後処理液を印刷記録媒体にまんべんなく塗布することのできるインクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法を提供する。
【解決手段】インクジェット式印刷機に、記録ヘッドからインクを噴霧して印刷を行う印刷処理工程部の下流側に、UVニスを塗布する後処理工程部13を設ける。この後処理工程部13には、界面活性剤塗布部82及びその下流側にUVニス塗布部92が設けられている。界面活性剤塗布部82には、UVニスのヌレ性を向上させる界面活性剤を連続紙CPに対して噴霧して塗布する噴霧器83が配置されている。また、UVニス塗布部92には、UVニスを連続紙CPに噴霧する第1及び第2噴霧器93A,93Bが設けられている。
【選択図】 図5
【解決手段】インクジェット式印刷機に、記録ヘッドからインクを噴霧して印刷を行う印刷処理工程部の下流側に、UVニスを塗布する後処理工程部13を設ける。この後処理工程部13には、界面活性剤塗布部82及びその下流側にUVニス塗布部92が設けられている。界面活性剤塗布部82には、UVニスのヌレ性を向上させる界面活性剤を連続紙CPに対して噴霧して塗布する噴霧器83が配置されている。また、UVニス塗布部92には、UVニスを連続紙CPに噴霧する第1及び第2噴霧器93A,93Bが設けられている。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドを備えたキャリッジを印刷記録媒体に対して相対移動させながら、この記録ヘッドからインクを噴射させて、印刷記録媒体に印刷を行うインクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、本や雑誌などの印刷物や生鮮食品などのラベルは、オフセット印刷機により印刷されている。オフセット印刷機においては、例えば多数の単位画像を1枚の紙に印刷する。すなわち、従来の印刷機においては、一度に多量の印刷物を製造することにより、安価に印刷物を製造している。
【0003】
近年の技術の発達により、高画質の印刷物を製造するためにインクジェット式印刷機が出現してきている(例えば特許文献1参照)。このインクジェット式印刷機は、記録ヘッドを備えており、その記録ヘッドには複数のノズルとこのノズルからインクを噴射させるための駆動素子とが設けられている。このため、インクジェット式印刷機は、駆動素子を制御してインクの噴射タイミングや噴射量を細かく制御でき、高画質の印刷が行える。
【0004】
この種のインクジェット式印刷機には、良好な保存性が得られることから顔料インクが用いられている。しかしながら、顔料インクは、染料インクと異なり、印刷用紙に染み込まずに、いわば印刷用紙の上に色材が載置された状態となっている。このため、顔料インクによって印刷が行われた印刷用紙の表面が擦られると、インクが印刷用紙から簡単に剥がれることがあるという問題があった。
【0005】
そこで、従来のオフセット印刷機においても行われていたように、印刷が行われた印刷用紙に保護膜を形成することがなされていた。
本出願人は、印刷用紙に保護膜を形成する方法として、大掛かりな準備が不要で、後処理液の特性に係わらずスムーズに後処理液の塗布が行えてメンテナンスが容易であるという利点のために、空気圧を用いた噴霧器によって行うことを提案している。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−225254号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような噴霧器では、噴霧される後処理液の噴霧滴の位置や大きさを制御することはできず、印刷用紙の全面にまんべんなく噴霧滴を塗布することは難しかった。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされ、その目的は、空気圧を用いた噴霧器を用いて、後処理液を印刷記録媒体にまんべんなく塗布することのできるインクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット式印刷機は、インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体を前記噴霧手段に対して相対移動させる搬送手段が設けられており、前記噴霧手段は、移動する前記印刷記録媒体に対して前記後処理液を複数回噴霧する。
【0010】
これによれば、空気圧を用いて噴霧を行う噴霧手段は、移動する印刷記録媒体に対して後処理液が複数回噴霧されるので、印刷記録媒体にむらのある状態で噴霧される後処理液を、印刷記録媒体に対してよりまんべんなく塗布することができる。
【0011】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、複数の噴霧器を備え、各噴霧器から前記印刷記録媒体に対して後処理液を噴霧する。
これによれば、複数の噴霧器のそれぞれから噴霧することにより後処理液を印刷記録媒体に塗布する。すなわち、印刷記録媒体は、一方向に搬送されるだけで、後処理液を複数回噴霧される。従って、簡単な構造で、印刷記録媒体に後処理液をよりまんべんなく塗布することができる。
【0012】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、噴霧される回数分の1の濃度に調節された後処理液を噴霧する。
これによれば、噴霧手段から噴霧される後処理液は、その噴霧される回数分の1の濃度に調節されている。例えば、ある特定領域に対して後処理液がn回噴霧されるならば、噴霧される後処理液の濃度はn分の1になり、その固形成分もn分の1になっている。従って、後処理液が複数回噴霧されて重なった部分があっても、固形成分が少ないので、固形成分により印刷記録媒体の表面の凹凸形状が大きくならない。従って、紙面のざらつきが少なくなるので、摩擦係数を低く抑えることができ、画像を形成するインクを、より剥がれ難くすることができる。
【0013】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部に、前記後処理液のヌレ性を向上させるための界面活性剤を前記印刷記録媒体に塗布する界面活性剤塗布手段を設けた。
【0014】
これによれば、印刷記録媒体に塗布された界面活性剤により、後処理液のヌレ性が向上させられて、後処理液はより広がりやすくなる。このため、後処理液を更にまんべんなく塗布することができる。
【0015】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、前記界面活性剤を混合した後処理液を塗布する。
これによれば、界面活性剤が後処理液に混合されて塗布される。従って、界面活性剤を塗布する噴霧手段を別途設けなくても、後処理液のヌレ性を向上させて、印刷記録媒体上において後処理液をよりまんべんなく塗布することができる。
【0016】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部に、前記後処理液を受け止める作用位置と、それ以外の非作用位置とに、前記噴霧手段に対して相対移動可能な遮断手段を設けた。
【0017】
これによれば、遮断手段は、作用位置にある場合には、後処理液を受け止めて印刷記録媒体に後処理液の塗布を遮断する。このため、荒い噴霧滴の後処理液が噴霧されている場合や、ノズルの清掃のために噴霧する場合には、噴霧手段から噴射された噴霧滴を遮断手段が受け止め、その噴霧滴が印刷記録媒体に塗布されないようにすることができる。従って、均一な噴霧滴のみを印刷記録媒体に供給して後処理液を塗布することができる。また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により後処理液が噴霧されるため、噴霧滴による班が目立たず、より綺麗に塗布することができる。
【0018】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体を、前記後処理液が塗布される前に加熱する予備加熱手段が設けられている。
これによれば、後処理液が塗布される印刷記録媒体を、その後処理液が塗布される前に加熱する。これにより、後処理液は、印刷記録媒体の熱により温度が上昇されてヌレ性が向上し、印刷記録媒体上に後処理液がより広範囲にわたって広がり、より均一な塗布を行うことができる。また、後処理液の温度が高いので、後処理液に含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、水分が印刷記録媒体内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0019】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部には、前記噴霧手段から噴霧される前の前記後処理液を加熱する液加熱手段が設けられている。
これによれば、後処理液が加熱されており、この加熱された後処理液が印刷記録媒体に塗布される。このため、温度が高いためにヌレ性が高くなっている後処理液が印刷記録媒体に塗布される。従って、高いヌレ性の後処理液が噴霧されて塗布されるので、印刷記録媒体上に後処理液がより広範囲にわたって広がり、よりまんべんなく塗布を行うことができる。また、後処理液の温度が高いので、後処理液に含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、水分が印刷記録媒体内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0020】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体に風を供給する送風手段が設けられている。
これによれば、送風手段から供給される風に印刷記録媒体に噴霧された後処理液が押し流される。すなわち、印刷記録媒体に塗布された後処理液を押し広げるので、後処理液をよりまんべんなく印刷記録媒体に塗布することができる。
【0021】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、紫外線を受けることにより固化するUVニスを後処理液として噴霧する。
これによれば、紫外線が照射されるまで後処理液は固化されないので、紫外線を照射する前に、すなわちUVニスが固化して固まる前に、UVニスを均一にすることが容易に行える。従って、後処理液を均一に塗布することを容易に行うことができる。
【0022】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、前記印刷記録媒体を移動させながら、空気圧を用いて前記後処理液を噴霧する。
【0023】
これによれば、空気圧を用いて噴霧を行う噴霧手段は、移動する印刷記録媒体に対して後処理液が複数回噴霧されるので、印刷記録媒体にむらのある状態で噴霧される後処理液を、印刷記録媒体に対してよりまんべんなく塗布することができる。
【0024】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、空気圧を用いて噴霧される前記後処理液が前記印刷記録媒体に対して噴霧される前又は同時に、前記後処理液のヌレ性を向上させる界面活性剤を前記印刷記録媒体に対して塗布する。
【0025】
これによれば、印刷記録媒体には、後処理液が塗布される前に又は同時に、後処理液のヌレ性を向上させる界面活性剤が塗布される。このため、後処理液が噴霧によって塗布されると、後処理液は界面活性剤によりヌレ性が向上させられるため、印刷記録媒体上においてより広範囲にわたって広がる。従って、より均一な塗布を行うことができる。
【0026】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、空気圧を用いて噴霧される前記後処理液の噴霧の開始時には、前記後処理液を前記印刷記録媒体以外に噴霧してから、続けて前記印刷記録媒体に噴霧する。
【0027】
これによれば、噴霧開始時に、後処理液を印刷記録媒体以外に続けて噴霧するようにしている。例えば、空気圧を用いて噴霧する噴霧手段は、噴霧開始時に空気圧が安定せずに、噴霧滴が荒くなる場合がある。従って、荒い噴霧滴が印刷記録媒体に噴霧されないように、後処理液を印刷記録媒体以外に噴霧してから、ほぼ同じ大きさの噴霧滴が噴射されるようになったところで後処理液を印刷記録媒体に噴霧する。このため、印刷記録媒体により均一に後処理液を塗布することができる。また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により後処理液が噴霧されるため、噴霧滴による班が目立たず、より綺麗に塗布することができる。
【0028】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、空気圧を用いて噴霧される前記後処理液は、前記印刷記録媒体以外に噴霧してから、噴霧を停止する。
【0029】
これによれば、後処理液の噴霧の停止時には、印刷記録媒体以外に噴霧した後に停止している。例えば、空気圧を用いて噴霧する噴霧手段は、噴霧停止時に空気圧が安定せずに、噴霧滴が荒くなる場合がある。従って、荒い噴霧滴が印刷記録媒体に噴霧されないように、印刷記録媒体以外に噴霧させてから後処理液の噴射を停止する。これにより、ほぼ同じ大きさの噴霧滴の後処理液のみを印刷記録媒体に噴霧して塗布することができ、より均一に後処理液を塗布することができる。また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により後処理液が噴霧されるため、噴霧滴による班が目立たず、より綺麗に塗布することができる。
【0030】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、前記後処理液を空気圧を用いて噴霧する噴霧手段が、前記印刷記録媒体以外に前記後処理液を噴霧することによりクリーニングを行う。
【0031】
これによれば、噴霧手段は印刷記録媒体以外に後処理液を噴霧してクリーニングを行う。従って、簡単にクリーニングを行うことができ、ほとんど常に良好な状態で後処理液を噴霧することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したインクジェット式印刷機の一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、インクジェット式印刷機10は、前処理工程部11と、印刷処理工程部12と、後処理工程部13とを備えている。前処理工程部11は、印刷記録媒体である連続紙CPの表面に、前処理液であるプレコート液を塗布して、連続紙CPの表面にインク受容層を形成し、顔料インクの顔料を凝集させる作用を連続紙CPに与える。印刷処理工程部12は、連続紙CPの表面にインクを噴射して、連続紙CPの表面のインク受容層の上に画像を形成する。後処理工程部13は、連続紙CPの表面に後処理液であるUVニスを塗布して、画像の上に保護膜を形成する。
【0034】
前処理工程部11と印刷処理工程部12との間には、第1バッファ部15が設けられている。この第1バッファ部15は、連続紙CPが弛ませられている部分であって、前処理工程部11と印刷処理工程部12との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。また、印刷処理工程部12と後処理工程部13との間にも、第2バッファ部16が設けられている。この第2バッファ部16は、印刷処理工程部12と後処理工程部13との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。
【0035】
前処理工程部11の連続紙CPの受け入れ側には、駆動ローラ17及び貯留手段としての繰り出しローラ17aが配置されている。繰り出しローラ17aには図示しないトルクコントローラが内蔵されているとともに、巻回された連続紙CPが着脱可能に取り付けられている。トルクコントローラは、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPの張力を検出する。駆動ローラ17は、トルクコントローラの検出に基づいて連続紙CPの繰り出し量を調節しながら前記繰り出しローラ17aから連続紙CPを前処理工程部11に搬送している。すなわち、駆動ローラ17の回転力により繰り出しローラ17aは回転させられる。
【0036】
また、後処理工程部13の連続紙CPの送り出し側には、巻き取りローラ18が配置されている。この巻き取りローラ18には、後処理工程部13から排出された連続紙CPが離脱可能に巻き取られる。従って、連続紙CPは繰り出しローラ17aから巻き取りローラ18に向かって(y方向に)搬送される。
【0037】
次に、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13のそれぞれについて詳細に説明する。
(前処理工程部11)
まず、前処理工程部11について図2に基づいて説明する。図2に示すように、前処理工程部11には、基台20が配置されている。
【0038】
この基台20上には、その上流側(反y方向側)に、連続紙CPにプレコート液が塗布される前に予備加熱を行うプレヒート部21が配設されている。プレヒート部21には、上側にヒータ22が、下側にファン23が設けられており、このヒータ22とファン23との間を連続紙CPが通過する。ヒータ22は、この下側を通過する連続紙CPを加熱する。また、ファン23は、前記ヒータ22によって加熱されたプレヒート部21内の空気を対流させて、加熱むらを減らし連続紙CPをできるだけ均一に加熱する。
【0039】
基台20の上には、その中央側はプレコート塗布部26が配設されている。プレコート塗布部26では、プレコート液が連続紙CPに塗布される。本実施形態において、このプレコート液は、通常のインク受容層形成用顔料、例えば、シリカやアルミナ、バインダー樹脂成分、有機あるいは無機系のカチオン成分、熱可塑性樹脂エマルジョンの単独の溶剤又はこれらの混合溶液である。または、インク中の色材である顔料を凝集させるカチオン性高分子化合物や多価金属塩を含む溶剤である。
【0040】
プレコート塗布部26には、通過する連続紙CPの上側に、噴霧器27が内設されている。噴霧器27には、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられる。噴霧器27のノズル27aは、下側に向いており、連続紙CPの上面に向かってプレコート液を噴射する。
【0041】
噴霧器27には、空気供給管28を介して加圧ポンプ29が接続されている。また、空気供給管28の途中にはバルブ32が設けられている。従って、噴霧器27には、加圧ポンプ29の駆動によりこれから空気供給管28を介して高圧空気が供給され、バルブ32の開閉により供給される高圧空気の供給時期(すなわちプレコート液の噴霧又は停止)や供給量が調節される。また、噴霧器27には、液供給管30を介してプレコート液が貯留されているタンク31が接続されている。同タンク31は、プレコート液を加熱する加熱ヒータ36が配設されているとともに、加圧空気供給管34を介して加圧ポンプ29が接続されている。このため、加圧ポンプ29から高圧空気がタンク31に供給されると、タンク31内のプレコート液が噴霧器27に供給される。従って、噴霧器27は、空気供給管28を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク31内から供給されたプレコート液が乗って、このプレコート液が霧状になってノズル27aから噴射される。
【0042】
プレコート塗布部26の下流側には、アフターヒート部37が配設されている。アフターヒート部37では、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液を加熱乾燥させる。このアフターヒート部37は、前記プレヒート部21と同じ構造をしている。すなわち、アフターヒート部37は、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ38と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部37内の空気を対流させるファン39とを備えている。
【0043】
また、前記プレヒート部21よりも上流側には第1前処理搬送部41が配設されており、プレヒート部21とプレコート塗布部26との間には第2前処理搬送部42が配設されている。また、プレコート塗布部26とアフターヒート部37との間には第3前処理搬送部43が、アフターヒート部37の下流側には第4前処理搬送部44が配設されている。第1〜第4前処理搬送部41〜44は、同期して連続紙CPをy方向に搬送する。また、各前処理搬送部41〜44は、同一の構造をしている。
【0044】
詳述すると、各第1〜第4前処理搬送部41〜44は、基台20上に設置される相対向する一対の支持部41a,42a,43a,44aを有している。この一対の支持部41a〜44aは、第1ローラ41b,42b,43b,44bと、これに所定の間隙をおいて対向する第2ローラ41c,42c,43c,44cとを回転可能に支持している。第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cの間は、連続紙CPが挿入可能な大きさで、かつ連続紙CPが挿入されると第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cが当接可能となる大きさとなっている。つまり、連続紙CPの下面に第1ローラ41b〜44bが当接し、連続紙CPの上面に第2ローラ41c〜44cが当接する。なお、本実施形態では、アフターヒート部37の下流側にある第4前処理搬送部の第1ローラ44bのみが駆動ローラであり、その他の第1及び第2ローラ41b〜43b,41c〜44cは、前記第1ローラ44bの搬送力によりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受ける従動ローラである。
【0045】
従って、前処理工程部11に至った連続紙CPは、前記第1ローラ44bの搬送力によりy方向に搬送される。そして、連続紙CPは、プレヒート部21において予備加熱された後、プレコート塗布部26の噴霧器27によって噴射されたプレコート液が塗布されて、その上面に、インク受容層が形成され又は顔料インクの凝集作用を有した層が形成される。そして、このような層が形成された連続紙CPは、アフターヒート部37において乾燥される。すなわち、乾燥されたインク受容層などの層が上面に形成された連続紙CPが、前記第1ローラ44bの駆動力を受けて前処理工程部11から第1バッファ部15に搬送される。
【0046】
(印刷処理工程部12)
次に、印刷処理工程部12について、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示すように、印刷処理工程部12には、基台50が配置されている。この基台50上には、連続紙CPの上面に画像が形成する印刷部51が配置されている。印刷部51の基台50上には、ベッド52が載置されている。このベッド52は、搬送されてくる連続紙CPを吸着保持する。詳述すると、ベッド52には、内部空間Sが形成されているとともに、この内部空間Sを臨むように吸着用ファン53が内設されている。吸着用ファン53は内部空間Sの空気を外部に排出するためのものである。また、図3及び図4に示すように、ベッド52の上面には複数の孔54が形成されており、各孔54は前記内部空間Sに接続されている。従って、吸着用ファン53が駆動されると、内部空間Sを介して孔54の上面の空気が下側に排出され、ベッド52の上面に連続紙CPが吸着保持される。
【0047】
また、図3に示すように、ベッド52の内部空間S内には、ヒータ55が配設されている。このヒータ55は、ベッド52の上面を加熱して、この上面に吸着保持される連続紙CPを加熱する。
【0048】
図4に示すように、ベッド52の上面には、連続紙CPを挟むように1対のガイド部材57,58がy方向に延在して固着されている。更に、ガイド部材57に近接して、主走査ねじ軸59がy方向に延在して配置されている。この主走査ねじ軸59には、その先端に移動手段を構成するy軸位置決めモータ60が連結されており、このy軸位置決めモータ60の回転により回転させられる。また、同主走査ねじ軸59に螺合する移動ブロック61が、ガイド部材57に摺動可能に設けられている。すなわち、移動ブロック61は、y軸位置決めモータ60が駆動されて主走査ねじ軸59が回転されると、この回転を受けて、ガイド部材57に案内されながらy方向及び反y方向に移動させられる。
【0049】
移動ブロック61には、移動手段を構成する図示しないx軸位置決めモータが内蔵されている。このx軸位置決めモータは、その先端にx方向に延びる副走査ねじ軸62が連結されており、この副走査ねじ軸62を回転させる。また、副走査ねじ軸62は、その先端が移動ブロック63に回転可能に支持されており、移動ブロック63はガイド部材58に案内されながらy方向に摺動可能とされている。この副走査ねじ軸62は、キャリッジ65と螺合しており、キャリッジ65には図示しない回り止めが設けられている。このため、キャリッジ65は、移動ブロック61内の副走査ねじ軸62が回転するとこの回転力を受け、回り止めにより回転せずに、x方向及び反x方向に移動する。
【0050】
キャリッジ65の下面には、記録ヘッド66が形成されており、この記録ヘッド66は隙間をおいて前記ベッド52と対向している。記録ヘッド66は、24個のノズル列として下面に開口した図示しない複数のノズルを有している。これら各ノズルのそれぞれには、それぞれに対応する図示しない圧電素子が配設されている。記録ヘッド66は、前記ノズル列のそれぞれに対応する24本の供給チューブ68(図においては1本のみ図示する。)を介して図示しない12個のサブタンクに接続されている。すなわち、12個のサブタンクにはそれぞれ2本の供給チューブ68が接続されており、この供給チューブ68がそれぞれ前記記録ヘッド66に接続されている。なお、記録ヘッド66と供給チューブ68との接合部は、キャリッジ65に設けられたカバー67によって覆われている。そして、各サブタンクは、図示しないチューブを介して、基台50の下に配置された6つのインクカートリッジに接続されている。インクカートリッジは、それぞれマゼンタ、ライトマゼンタ、シアン、ライトシアン、イエロ及びブラックの色の顔料インクをそれぞれ収容している。すなわち、6色のそれぞれのインクは、インクカートリッジからそれぞれ2本のチューブを介して12個のサブタンクに供給され、更にサブタンクから24本の供給チューブ68を介して、記録ヘッド66の各ノズル列のノズルに供給される。そして、記録ヘッド66の圧電素子が駆動されると、各インクカートリッジから記録ヘッド66にインクが供給されて、記録ヘッド66の各ノズルの吐出口から各色の顔料インクがベッド52上の連続紙CPに向かって噴射される。
【0051】
また、キャリッジ65のy方向側及び反y方向側には、乾燥手段及び熱風供給手段としてのドライヤ69,70がそれぞれ設けられている。これらドライヤ69,70は、図示しないファン及びヒータが設けられており、熱風を連続紙CPの上面に向かって送出し、インクが噴射される前の連続紙CP又は記録ヘッド66から連続紙CP上に噴射されたインクを乾燥させる。
【0052】
一方、図3に示すように印刷部51の下流側の基台50上には、アフターヒート部72が配設されている。このアフターヒート部72では、連続紙CPの上面に塗布されたインクを加熱乾燥させる。このアフターヒート部72は前記アフターヒート部37とほぼ同じ構造をしており、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ73と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部72内の空気を対流させるファン74とを備えている。
【0053】
また、印刷部51よりも上流側には第1印刷処理搬送部76が配設されており、アフターヒート部72よりも下流側には第2印刷処理搬送部77が配設されている。第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、前記第1〜第4前処理搬送部41〜44と同じ構造をしている。詳述すると、第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、基台50上に設置される相対向する一対の支持部76a,77aを有し、これら一対の支持部76a,77aは第1ローラ76b,77b及びこれに対向する第2ローラ76c,77cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ76b,77bは連続紙CPの下面に、第2ローラ76c,77cは連続紙CPの上面に当接する。本実施形態では、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bが駆動ローラであり、その他のローラ76b,76c,77cが従動ローラである。すなわち、ローラ76b,76c,77cは、駆動ローラである前記第1ローラ77bによりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受けて回転する。
【0054】
従って、搬送されて前処理工程部11から印刷処理工程部12に至った連続紙CPは、第1ローラ77bにより印刷部51に供給される。この印刷部51おいて、インク受容層などの層が形成された連続紙CPの上面に、記録ヘッド66のノズルからインクが噴射(吐出)されて、画像が形成される。そして、この連続紙CPは、ベッド52のヒータ55、キャリッジ65のドライヤ69,70及びアフターヒート部72によってインクが乾燥されて、前記第1ローラ77bの駆動力を受けて第2バッファ部16に搬送される。
【0055】
(後処理工程部13)
次に、後処理工程部13について、図5〜図9に基づいて説明する。図5に示すように、後処理工程部13は、基台80が配置されている。この基台80上には、その上流側(反y方向側)に、連続紙CPにUVニスが塗布される前に予備加熱を行う予備加熱手段としてのプレヒート部81が配設されている。プレヒート部81は、前記プレヒート部21と同一の構成をしている。すなわち、上側にヒータ81aが、下側にファン81bが設けられており、このヒータ81aとファン81bとの間を連続紙CPが通過する。そのため、ヒータ81aは、連続紙CPを加熱し、ファン81bはヒータ81aによって加熱されたプレヒート部81内の空気を対流させて、加熱むらを減らし連続紙CPをできるだけ均一に加熱する。
【0056】
プレヒート部81の下流側の基台80の上には、界面活性剤塗布部82が配設されている。界面活性剤塗布部82には、界面活性剤塗布手段としての噴霧器83が内設されている。噴霧器83は、UVニスのヌレ性を向上させる界面活性剤を連続紙CPに噴霧して塗布する。なお、この界面活性剤は、本実施形態ではエタノールである。
【0057】
更に、図7に示すように、同噴霧器83のノズル83aは、連続紙CPの中心位置Cに位置しており、下方を向いている。そして、このノズル83aから噴霧される界面活性剤が、連続紙CPの幅(x方向の長さ)よりも大きい範囲に噴霧されるように、噴霧器83は連続紙CPに対して上側に配置されている。
【0058】
この噴霧器83には、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられる。詳述すると、図6に示すように、同噴霧器83には、空気供給管84を介して加圧ポンプ85が接続されている。この加圧ポンプ85は、クリーニング時に回転速度を変更して噴霧圧力を高くすることができる。また、空気供給管84の途中には、バルブ88が設けられている。従って、噴霧器83には、加圧ポンプ85の駆動によりこれから空気供給管84を介して高圧空気が供給され、バルブ88の開閉により供給される高圧空気の供給時期(すなわち界面活性剤の噴霧又は停止)や供給量が調節される。また、噴霧器83には、液供給管86を介して界面活性剤が貯留されているタンク87が接続されている。同タンク87は、加圧空気供給管90を介して前記加圧ポンプ85が接続されている。このため、加圧ポンプ85から高圧空気がタンク87に供給されると、タンク87から界面活性剤が噴霧器83に供給される。従って、噴霧器83は、空気供給管84を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク87内から供給された界面活性剤が乗って、この界面活性剤が霧状になってノズル83aから噴射される。
【0059】
一方、ノズル83aの下側には、シャッタSHPが水平方向移動可能に配置されている。このシャッタSHPは、図6の実線及び図7(a)に示す非作用位置と、図6の二点鎖線及び図7(b)に示す作用位置との2位置の間を移動する。非作用位置とはシャッタSHPがノズル83aの噴霧滴が噴霧する範囲を邪魔しない位置であり、作用位置とはノズル83aから噴霧される界面活性剤の噴霧滴を受け止めて、界面活性剤が連続紙CPに噴霧しないように阻止している位置である。
【0060】
図5において前記界面活性剤塗布部82の下流側の基台80上には、UVニス塗布部92が配設されている。このUVニス塗布部92には、噴霧手段としての第1噴霧器93A及び第2噴霧器93Bが内設されている。これら第1及び第2噴霧器93A,93Bは、それぞれUV(紫外線硬化性樹脂)ニスを噴霧する。
【0061】
更に、同噴霧器93A,93Bのノズル93Aa,93Baは、図7に示すように、それぞれ前記中心位置Cからずれた位置C1,C2を中心として配置されており、下方を向いている。このノズル93Aa,93Baから噴霧されたUVニスがx方向において連続紙CPの幅よりも大きい範囲に噴霧されるように、第1及び第2噴霧器93A,93Bは、連続紙CPに対して上側に配置されている。なお、各第1及び第2噴霧器93A,93Bは、そのノズル93Aa,93Baを中心としたy方向及び反y方向の所定範囲にUVニスが噴霧される。
【0062】
第1及び第2噴霧器93A,93Bは、前記噴霧器83と同じく、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられており、噴霧器83と同じ構成をしている。すなわち、図9に示すように、第1及び第2噴霧器93A,93Bには、その途中にバルブ98A,98Bが設けられた空気供給管94A,94Bを介して、加圧ポンプ95が接続されている。従って、第1及び第2噴霧器93A,93Bには、加圧ポンプ95の駆動によりこれから空気供給管94A,94Bを介して高圧空気が供給され、バルブ98A,98Bの開閉により供給される高圧空気の供給時期(すなわちUVニスの噴霧又は停止)や供給量が調節される。加圧ポンプ95は、クリーニング時に回転速度を変更して噴霧圧力を高くすることができる。
【0063】
また、第1及び第2噴霧器93A,93Bには、液供給管96A,96Bを介してUVニスが貯留されているタンク97A,97Bが接続されている。本実施形態では、タンク97A,97Bには、従来使用されていたUVニスの2分の1の濃度(例えば通常、紫外線硬化樹脂が20%含まれていた場合には、本実施形態では、紫外線硬化樹脂は10%含まれている)となっている。更に、タンク97A,97Bには、加圧空気供給管100A,100Bをそれぞれ介して前記加圧ポンプ95が接続されている。このため、この加圧ポンプ95からタンク97A,97Bに高圧空気が供給されると、タンク97A,97BのUVニスが第1及び第2噴霧器93A,93Bに供給される。従って、第1及び第2噴霧器93A,93Bは、空気供給管94A,94Bを介して加圧ポンプ95から高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク97A,97B内から供給されたUVニスが乗って、このUVニスが霧状になってノズル93Aa,93Baから噴射される。
【0064】
このとき、本実施形態では、第1噴霧器93Aには、例えば図8(a)に示すようにノズル93Aaの左側領域Z1にUVニスの噴霧滴(これは図8にのみD1として示す)が集中し易いという傾向がある。また、本実施形態の第2噴霧器93Bは、図8(b)に示すようにノズル93Baの左側領域Z2にUVニスの噴霧滴(これも図8にのみD2として示す)が集中し易いという傾向がある。そこで、第1噴霧器93Aのノズル93Aaを位置C1に配置し、第2噴霧器93Bのノズル93Baを位置C2に配置することにより、第1及び第2噴霧器93A,93Bから噴霧されたUVニスの噴霧状態が平均化される。
【0065】
一方、各ノズル93Aa,93Baの下側にはそれぞれ、遮断手段としてのシャッタSHA,SHBが水平方向移動可能に配置されている。このシャッタSHA,SHBは、前記シャッタSHPと同様に、図7(a)及び図9の実線に示される非作用位置と、図7(b)及び図9の二点鎖線に示される作用位置との2位置の間を移動する。なお、非作用位置とは、ノズル93Aa,93Baの噴霧滴が噴霧する範囲を邪魔しない非作用位置であり、作用位置とはノズル93Aa,93Baから噴霧されるUVニスの噴霧滴を受け止めて、連続紙CPにUVニスが塗布されないようにする位置である。
【0066】
更に、図5に示すように、UVニス塗布部92の下流側の隣には、レベリング装置105が設けられている。このレベリング装置105は、UVニス塗布部92で連続紙CPの上面に塗布されたUVニスのむらを均すためのものである。詳述すると、レベリング装置105は、水平に搬送される連続紙CPの上側に、送風手段としての送風機106が配設されている。この送風機106の送風ノズル106aは、通過する連続紙CPの幅(y方向に直角な図6及び図9で示したx方向の大きさ)よりも大きな幅を有している。そして、この送風ノズル106aは、UVニス塗布部92の下側を向くように、通過する連続紙CPの上面(すなわちy方向)に対して斜めに向いている。
【0067】
一方、レベリング装置105には、その基台80上にベッド107が送風機106に対向するように配設されている。このベッド107は、通過する連続紙CPが送風機106の風力を受けてもほとんど撓まないように、連続紙CPの撓みを規制するための支持台である。従って、撓みが規制された連続紙CPの上面に、送風ノズル106aから風が供給されると、塗布されたUVニスが反y方向に押し流される。
【0068】
更に、レベリング装置105の下流側には、UV照射装置110が配置されている。このUV照射装置110内には、UVを照射するUVランプ111が上側に配設されており、このUVランプ111の下方を連続紙CPが通過する。すなわち、UV照射装置110は、UVニスが塗布された表面にUVランプ111からの紫外線を照射する。
【0069】
また、プレヒート部81よりも上流側には第1後処理搬送部116が配設されている。更に、プレヒート部81と界面活性剤塗布部82の間には、第2後処理搬送部117が配設されており、UV照射装置110よりも下流側には第3後処理搬送部118が配設されている。第1〜第3後処理搬送部116〜118は、搬送手段を構成しており、前記第1及び第2印刷処理搬送部76,77と同じ構造をしており、これらと同期して連続紙CPをy方向に搬送する。詳述すると、第1〜第3後処理搬送部116〜118は、基台80上に設置される相対向する一対の支持部116a,117a,118aを有している。また、これら一対の支持部116a,117a,118aは第1ローラ116b,117b,118b及びこれに対向する第2ローラ116c,117c,118cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ116b,117b,118bは連続紙CPの下面に、第2ローラ116c,117c,118cは連続紙CPの上面に当接している。また、第3後処理搬送部118の第1ローラ118bが駆動ローラであり、その他のローラ116b,117b,116c〜118cが従動ローラである。
【0070】
従って、後処理工程部13に至った連続紙CPは、まずプレヒート部81において連続紙CPが予備加熱された後、界面活性剤塗布部82において界面活性剤が噴射されて連続紙CPに塗布される。そして、界面活性剤が塗布された連続紙CPは、UVニス塗布部92において第1噴霧器93Aから噴霧されるUVニスを受け、第2噴霧器93Bから噴霧されるUVニスを受ける。これにより、画像が形成された連続紙CPの上面にUVニスが塗布される。そして、レベリング装置105において、送風機106の送風ノズル106aからの風により、UVニスのむらが均された後、UV照射装置110にてUV照射されてUVニスが硬化される。そして、UVニスの保護膜が画像の上に形成された連続紙CPは、前記第1ローラ97bの駆動力を受けて後処理工程部13の下流に、すなわち巻き取りローラ18へと搬送される。
【0071】
次に、インクジェット式印刷機10の作用について、生鮮食品のラベルなどに用いられるタック紙(裏面に糊の付いたラベル用の紙)を印刷する場合を例として説明する。
【0072】
連続紙CPとして、例えば幅が150mmで長さが600mのタック紙を巻回された状態で、繰り出しローラ17aに装着装着させ、駆動ローラ17に掛け装する。そして、連続紙CPを巻き取りローラ18に巻き取る動作を行うために、図示しないスイッチが押されると、駆動ローラ17及び各処理工程部11,12,13の駆動ローラである第1ローラ44b,77b,118bが駆動される。これにより連続紙CPは、繰り出しローラ17aから前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13をy方向に移動して、巻き取りローラ18に巻き取られる。従って、連続紙CPがインクジェット式印刷機10に装着される。
【0073】
その後、インクジェット式印刷機10が印刷を実行する。すると、インクジェット式印刷機10は、各ヒータ22,38,73,81a及び各ファン23,39,74,81bに通電を行って、プレヒート部21,81、アフターヒート部37,72内の空気を対流させながら加熱を始める。また、インクジェット式印刷機10は、加熱ヒータ102A,102Bに通電を行って、タンク97A,97Bに貯留されたUVニスの加熱を始める。更に、インクジェット式印刷機10は、ヒータ55に通電を行って、ベッド52の表面の加熱を行う。
【0074】
そして、繰り出しローラ17aに巻回されたタック紙の連続紙CPは、駆動ローラ17の搬送力により前処理工程部11に至ると、第1ローラ44bの搬送力により前処理工程部11をy方向に搬送される。このy方向に搬送される連続紙CPは、まず、プレヒート部21を通過する。このとき、連続紙CPは、プレヒート部21のヒータ22により加熱される。そして、インクジェット式印刷機10は、プレヒート部21から連続紙CPが排出される時期に、バルブ32を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ29を駆動する。これにより、タンク31から加熱されたプレコート液が噴霧器27に供給される。そして、この供給されたプレコート液が、霧状になってノズル27aから下方に噴射される。すなわち、プレコート塗布部26内に至った連続紙CPの上面に、プレコート液が噴霧器27から噴射される。これにより、連続紙CPの上面にプレコート液が塗布され、連続紙CPの上面にインク受容層が形成される。なお、プレヒート部21において連続紙CPが予備加熱されたため、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液は、連続紙CPの予備加熱の熱によって少し乾燥される。
【0075】
そして、プレコート塗布部26を通過してプレコート液が上面に塗布された連続紙CPは、アフターヒート部37に供給されると、その上面がアフターヒート部37のヒータ38によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液が完全に乾燥される。そして、連続紙CPは、第4前処理搬送部44の第1ローラ44bの駆動力を受ける。このため、第1バッファ部15を通過して印刷処理工程部12に至った連続紙CPは、印刷処理工程部12をy方向に搬送される。
【0076】
そして、連続紙CPの最初の印刷可能領域PS(図4参照)がベッド52に至ると、インクジェット式印刷機10は印刷処理を開始する。詳述すると、インクジェット式印刷機10は、吸着用ファン53を駆動する。これにより、孔54を介して連続紙CPの下側の空気が排出されて、印刷可能領域PSの連続紙CPが吸着保持される。このとき、連続紙CPはヒータ55の熱を受けて加熱される。
【0077】
そして、インクジェット式印刷機10は、印刷データに基づいて、y軸位置決めモータ60及びx軸位置決めモータを駆動しながら、圧電素子を駆動する。これにより、供給チューブ68を介して供給されるインクがベッド52の連続紙CPのインク受容層の上に、噴霧されて画像が形成される。更に、ドライヤ69,70が駆動される。すなわち、図4の軌跡tのようにキャリッジ65が反y方向に移動すると、ドライヤ70がインクが噴射される連続紙CP上に熱風を供給し、インクの噴射前に連続紙CPを加熱する。また、ドライヤ69がインクが噴射された連続紙CP上に熱風を供給して、連続紙CP上に噴射されたばかりのインクを乾燥させる。そして、キャリッジ65が反y方向の端部まで移動して、ベッド52上にある連続紙CPの全面の印刷が終了する。印刷が終了すると、インクジェット式印刷機10は、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを駆動して、連続紙CPをy方向に搬送させる。
【0078】
そして、インクジェット式印刷機10は、次の印刷可能領域PSがベッド52上に至ったと判断すると、再び第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを停止して、連続紙CPの搬送を停止する。そして、インクジェット式印刷機10は、駆動されている吸着用ファン53により吸着保持された連続紙CPの次の印刷可能領域PSに対して、y軸位置決めモータ60、x軸位置決めモータ及び圧電素子を駆動して、印刷を行う。このとき、キャリッジ65は印刷部51の反y方向の端部にあるので、すなわち軌跡tを逆走するようにキャリッジ65が移動される。そして、このとき、ドライヤ69,70も駆動されており、ドライヤ69によりインクが噴射される前の連続紙CPが加熱され、ドライヤ70により連続紙CPに噴射されたばかりのインクが乾燥される。
【0079】
再び印刷が終了すると、インクジェット式印刷機10は、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを駆動させて、次の印刷可能領域PSをベッド52上に導くように、連続紙CPをy方向に搬送する。
【0080】
そして、印刷部51を通過してインクにより画像が上面に形成された連続紙CPは、アフターヒート部72に供給されると、その上面がヒータ73によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたインクが完全に乾燥させられる。
【0081】
その後、インクジェット式印刷機10は、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bにより連続紙CPを、第2バッファ部16を経て、後処理工程部13に導く。そして、y方向に搬送される連続紙CPは、まず、プレヒート部81を通過する。このとき、連続紙CPは、プレヒート部81のヒータ81aにより加熱される。
【0082】
また、このとき、インクジェット式印刷機10は、バルブ88を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ85を駆動して、界面活性剤塗布部82においてタンク87から界面活性剤が噴霧器83に供給される。すなわち、噴霧器83に供給された界面活性剤が、霧状になってノズル83aから下方に噴霧される。ただし、このときの高圧空気はまだ安定していないため、ノズル83aからは荒い噴霧滴が噴霧されている。更に、このとき、シャッタSHPが作用位置に移動しているため、ノズル83aから噴霧される荒い噴霧滴は、シャッタSHPに受け止められている。
【0083】
そして、ヒータ81aにより加熱されてプレヒート部81から排出された連続紙CPは、界面活性剤塗布部82に供給される。このときまでに、噴霧器83に供給される加圧ポンプ85からの空圧が安定して、ノズル83aから噴霧される界面活性剤の噴霧滴が均一状態になる。そこで、シャッタSHPが非作用位置に移動させられて、噴霧器83から噴霧される界面活性剤が、その下方を通過する連続紙CPに塗布される。
【0084】
また、このとき、インクジェット式印刷機10は、加圧ポンプ95を駆動し、バルブ98A,98Bを開弁状態とする。これにより、UVニス塗布部92においてタンク97A,97BからUVニスが噴霧器93A,93Bに供給される。すなわち、第1及び第2噴霧器93A,93Bに供給されたUVニスが、霧状になってノズル93Aa,93Baから下方に噴霧される。ただし、このときの高圧空気はまだ安定していないため、ノズル93Aa,93Baからは荒い噴霧滴が噴霧されている。更に、このとき、シャッタSHA,SHBが作用位置に移動しているため、ノズル93Aa,93Baから噴霧される荒い噴霧滴は、シャッタSHA,SHBに受け止められている。
【0085】
そして、界面活性剤塗布部82において界面活性剤が塗布された連続紙CPは、UVニス塗布部92に供給される。このときまでに、第1及び第2噴霧器93A,93Bに供給される空圧が安定して、ノズル93Aa,93Baから噴霧されるUVニスの噴霧滴が均一状態になる。そこで、連続紙CPがUVニス塗布部92に至ると、シャッタSHAが非作用位置に移動させられて、第1噴霧器93Aから1回目のUVニスが、図8(a)に示すように噴霧されて塗布される。続いて、シャッタSHBが非作用位置に移動させられて、第2噴霧器93Bから2回目のUVニスが噴霧されて塗布される。連続紙CPには、図8(c)に示すように、各噴霧器93A,93Bから噴霧されたUVニスが塗布されることになる。すなわち、図8(c)に示される連続紙CPは、図8(a)に示す第1噴霧器93Aからの噴霧滴D1と、図8(b)に示す第2噴霧器93Bからの噴霧滴D2とが合成された状態となっている。
【0086】
なお、連続紙CPは、プレヒート部81において予備加熱されているため、連続紙CPの上面に塗布された界面活性剤及びUVニスは、連続紙CPの予備加熱の熱によって少し乾燥される。
【0087】
その後、連続紙CPがUVニス塗布部92を通過して、レベリング装置105に至ると、インクジェット式印刷機10は、送風機106を駆動して送風ノズル106aから、UVニスが上面に塗布された連続紙CPに対して斜めに風を送出する。これにより、連続紙CP上に塗布されたUVニスの噴霧滴の上側が、送風機106からの風圧によって押し流される。すなわち、連続紙CPはy方向に搬送されるので、送風機106からの風圧によって、連続紙CPに塗布されたUVニスは、順次反y方向に広がって、より均一に塗布されることになる。
【0088】
そして、レベリング装置105を通過した連続紙CPは、そのままUV照射装置110を通過する。連続紙CPは、このUV照射装置110において、紫外線が照射されることにより、UVニスが固化されて、画像の上にUVニスの保護膜が形成される。そして、保護膜が形成された連続紙CPは、後処理工程部13から下流へと排出される。そして、これにより、後処理工程部13から排出された連続紙CPは、巻き取りローラ18に巻き取られる。
【0089】
従って、連続紙CPの印刷可能領域PSは、繰り出しローラ17aから、前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13を通過して、巻き取りローラ18に至る。すると、連続紙CPには、プレコート液によるインク受容層などの層が形成され、この層の上にインクによる画像が形成され、更にこの画像の上にUVニスによる保護膜が形成されて、印刷が完了する。
【0090】
そこで、次に、界面活性剤塗布部82、UVニス塗布部92のクリーニング作用について、詳細に説明する。
後処理搬送部116〜118が停止される直前に、シャッタSHP,SHA,SHBが、図7(b)に示すように作用位置に移動される。そして、後処理搬送部118の第1ローラ118bの停止と同期して、加圧ポンプ85,95が高速に回転させられる。従って、通常より高い圧力の空気が空気供給管84,94A,94Bを介して噴霧器83,93A,93Bに供給される。これにより、噴霧器83内で結晶化又は増粘化した界面活性剤、噴霧器93A,93B内で結晶化又は増粘化したUVニスや、ノズル83a,93Aa,93Baに付着したゴミなどが噴霧器83,93A,93Bから吹き飛ばされる。そして、この吹き飛ばされたゴミ、結晶化又は増粘化された界面活性剤及びUVニスなどは、シャッタSHP,SHA,SHBによって受け止められて、連続紙CPには到達しない。
【0091】
このようにして通常より高い圧力の空気が供給されてクリーニング作用が行われると、再び加圧ポンプ85,95A,95Bを通常に回転させて、界面活性剤及びUVニスを噴霧するための高圧空気が空気供給管84,94A,94Bを介して噴霧器83,93A,93Bに供給される。そして、圧力が安定して、噴霧滴の大きさがほぼ一定となるころに、印刷処理工程部12における印刷可能領域PSの印刷が終了する。そして、印刷処理工程部12の第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bの駆動と同期して、後処理工程部13の第3後処理搬送部118の第1ローラ118bが駆動されて、かつ送風機106が駆動される。従って、連続紙CPをy方向に搬送しながら、界面活性剤塗布部82において界面活性剤の塗布が続けて行われ、UVニス塗布部92においてUVニスの塗布が続けて行われ、レベリング装置105においてUVニスが均一に広げられる。
【0092】
本実施形態のインクジェット式印刷機10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、後処理工程部13において、連続紙CPを移動させながら噴霧器93A,93Bからそれぞれ1回噴射して、連続紙CPに対して複数回噴射した。このため、むらのある状態で噴霧されるUVニスは、連続紙CPに対してよりまんべんなく噴霧される。
【0093】
(2)本実施形態では、後処理工程部13において、第1噴霧器93Aを位置C1に、第2噴霧器93Bを位置C2に配置した。すなわち、第1噴霧器93Aから噴霧されるUVニスの密の左側領域Z1と第2噴霧器93Bから噴霧されるUVニスの密の左側領域Z2とを重ならないようにしたので、UVニスをより均一に塗布することができる。
【0094】
(3)本実施形態では、後処理工程部13において、噴霧器83から界面活性剤を連続紙CPに噴霧して塗布した後に噴霧器93A,93BからUVニスを連続紙CPに噴霧して塗布した。このため、連続紙CPに塗布された界面活性剤によってUVニスはそのヌレ性が向上させられ、UVニスは連続紙CP上により広がりやすくなる。従って、UVニスを更にまんべんなく、いっそう均一にUVニスを塗布することができる。
【0095】
(4)本実施形態では、後処理工程部13において、噴霧器93A,93Bから最初に噴霧されるUVニスはシャッタSHA,SHBによって受け止められて、連続紙CPに噴霧されない。噴霧器93A,93Bは、噴霧開始時に空気圧が安定しないため、噴霧滴が荒くなる傾向があるが、この荒い噴霧滴のUVニスは連続紙CPに噴霧されないので、連続紙CPにはほぼ同じ大きさの噴霧滴のUVニスのみを噴霧することができる。従って、連続紙CPに、より均一にUVニスを噴霧することができる。
【0096】
また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴によりUVニスが噴霧されるため、噴霧滴による斑が目立たず、より綺麗に塗布することができる。特に、インクジェット式印刷機10を印刷中に一時停止して再び印刷を行うような間欠印刷を行う場合であっても、より綺麗にUVニスを塗布することができる。
【0097】
(5)本実施形態では、後処理工程部13において、噴霧器83から最初に噴霧される界面活性剤はシャッタSHPによって受け止められる。従って、荒く大きな噴霧滴は連続紙CPに供給されずに、ほぼ同じ大きさの界面活性剤の噴霧滴のみが噴霧される。従って、連続紙CPに、より均一に界面活性剤を噴霧することができる。
【0098】
また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により界面活性剤が噴霧されるため、噴霧滴による斑が目立たず、より綺麗に塗布することができる。特に、インクジェット式印刷機10を印刷中に一時停止して再び印刷を行うような間欠印刷を行う場合であっても、より綺麗に界面活性剤を塗布することができる。
【0099】
(6)本実施形態では、レベリング装置105において、送風機106から供給される風により、連続紙CP上に噴霧されたUVニスが反y方向に押し流されて広がる。このため、UVニスを、より均一に連続紙CPに塗布することができる。
【0100】
(7)本実施形態では、後処理工程部13の噴霧器83,93A,93Bは、連続紙CPの幅よりも大きな幅に対して噴霧を行えるように配置した。このため、連続紙CPのx方向及び反x方向の端部においても、界面活性剤及びUVニスが十分に噴霧されて塗布されるので、より均一な塗布を行うことができる。
【0101】
(8)本実施形態では、UVニスに含まれている水分を蒸発させるために、プレヒート部81において、UVニスが塗布される前の連続紙CPを事前に加熱した。このため、加熱された連続紙CPに、UVニスが噴霧されて塗布されると、UVニスは、連続紙CPの熱によって温度が上昇されて、ヌレ性が向上する。このため、UVニスは連続紙CP上により広範囲にわたって広がることができ、UVニスをより均一に連続紙CPに塗布することができる。また、UVニスに含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、濃度の低いUVニスを用いても、UVニス中の水分が連続紙CP内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0102】
(9)本実施形態では、後処理工程部13においてUVニスを貯留するタンク97A,97B内に加熱ヒータ102A,102Bを設けて、UVニスを加熱した。このため、UVニスは、より高い温度になっているため、高いヌレ性を得ることができる。従って、UVニスは、連続紙CP上により広範囲にわたって広がることができ、UVニスをより均一に連続紙CPに塗布することができる。また、UVニスに含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、濃度の低いUVニスを用いても、中の水分が連続紙CP内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0103】
(10)本実施形態では、後処理工程部13の噴霧器93A,93Bから合計2回噴霧されるUVニスは、通常のUVニスの2分の1の濃度に調節されたUVニスを用いた。このUVニスは、その液中に含まれる紫外線硬化樹脂も2分の1である。このため、UVニスが2回とも同じ部分に噴霧されたとしても、UVニスの固形成分が薄いため連続紙CP上で厚くならず、連続紙CPの表面の凹凸形状が大きくならない。従って、連続紙CP上の上面のざらつきが少なくなるので、摩擦係数を低く抑えることができ、画像を形成するインクを、より剥がれ難くすることができる。
【0104】
(11)本実施形態では、後処理工程部13において、連続紙CPに2回の噴霧を行うために、2つの噴霧器93A,93Bを設け、それぞれから1回噴霧した。従って、搬送手段である後処理搬送部116〜118は、y方向に搬送するだけで、連続紙CPに対してUVニスを複数回塗布することができる。すなわち、後処理搬送部116〜118を簡単に制御して、UVニスを連続紙CPに対して複数回噴霧して塗布することができる。
【0105】
(12)本実施形態では、後処理工程部13の噴霧器83,93A,93Bに通常よりも高い圧力を与えて、結晶化又は増粘化された界面活性剤やUVニスやゴミを吹き飛ばしてクリーニング動作を行う。従って、簡単にクリーニングを行うことができ、ほとんど常に良好な状態で界面活性剤及びUVニスを噴霧することができる。
【0106】
(13)本実施形態では、後処理液として紫外線が照射されることにより固化するUVニスを用いた。このため、印刷処理工程部12の搬送と同期して後処理工程部13において連続紙CPの搬送が停止する際に、UVニス塗布部92において塗布されたUVニスが固化することがない。このため、UV照射装置110に連続紙CPが到達する前に、レベリング装置105を設けることができ、このレベリング装置105においてUVニスを均一にすることが容易にできる。
【0107】
(14)本実施形態では、UV照射装置110の前にレベリング装置105を設けたので、レベリング装置105でUVニスをより均一に広げた後に、UVニスを固化させて保護膜を画像の上に形成することができる。
【0108】
(15)本実施形態では、バルブ98A,98Bの開弁状態や加圧ポンプ95の駆動を変更することにより、容易に噴霧条件を変更することができる。そのため、紙種や印刷される画像に応じてUVニスの噴霧条件を容易に調節することができ、より効率よくUVニスを噴霧することができる。
【0109】
(16)本実施形態では、水平方向に通過する連続紙CPに対して、噴霧器83,93A,93Bは上方から噴霧を行った。従って、界面活性剤及びUVニスは重力を受けて連続紙CPに、より確実に塗布されるので、より確実に高画質の印刷を行うことができる。
【0110】
また、連続紙CPを水平方向から垂直方向に向きを変えて搬送した後、再び水平方向に搬送させて、連続紙CPが垂直方向に搬送される箇所において連続紙CPに対して横方向から界面活性剤及びUVニスを噴霧する場合に比べて、経路を短くすることができる。このため、UVニス塗布部92を小型化することができ、ひいてはインクジェット式印刷機10を小型化することができる。
【0111】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○更に多くの噴霧器93A,93Bを設けること。
【0112】
○UVニスを噴霧する噴霧器93A,93Bをいずれか1つとし、この噴霧器から連続紙CPに後処理液を複数回噴霧するように、連続紙CPを反y方向及びy方向に往復移動させること。
【0113】
○図10(a)に示すように、第1及び第2噴霧器93A,93Bの位置をx方向の一直線上に離隔して配置すること。又は、図10(b)に示すように、x方向にずれた位置に離隔させて配置すること。更に、図10(c)に示すようにy方向の一直線上に離隔して配置すること。なお、図10(a)、図10(b)、図7、図10(c)という配置になる程、すなわちノズル93Aa,93Baがy方向に並ぶ程、均一な噴霧効果が得られる傾向があることが実験から判明している。これは、むらのある状態で噴霧する噴霧器は、それぞれむらの仕方に個体差があると考えられる。
【0114】
○シャッタSHP,SHA,SHBは、回動させることにより、非作用位置と、作用位置との2つの位置を取るようにすること。例えば、シャッタSHP,SHA,SHBは、垂直状態のときにノズル83a,93Aa,93Baの噴霧滴が噴霧する範囲を邪魔しない非作用位置にあり、水平状態のときに、ノズル83a,93Aa,93Baから噴霧される界面活性剤又はUVニスの噴霧滴を受け止める作用位置とすること。
【0115】
○シャッタSHP,SHA,SHBを移動させる代わりに、噴霧器83,93A,93Bを移動させること。この場合であっても、このシャッタSHP,SHA,SHBが、噴霧器83,93A,93Bに対して非作用位置と作用位置とのいずれかの位置を取るようにすれば、同様な作用を行うことができる。
【0116】
○界面活性剤をUVニスに混合した液体を噴霧器93A,93Bから噴霧すること。この場合には、噴霧器83を設けなくても、界面活性剤の作用によりUVニスのヌレ性を向上させることができる。
【0117】
○インクジェット式印刷機10の印刷を停止するときには、シャッタSHA,SHBを作用位置に配置すること。すなわち、空気圧を用いて噴霧する噴霧手段は、噴霧停止のときに、空気圧が安定せずに、噴霧滴が荒くなる場合がある。この場合には、インクジェット式印刷機10の印刷が停止されたときに、シャッタSHA,SHBを図7(b)に示す作用位置に移動させて、このシャッタSHA,SHBにより噴霧滴が受け止められた後に、バルブ98A,98Bを閉弁して噴霧を停止する。これにより、停止時に生じる荒い噴霧滴は、連続紙CPに噴霧されずに、ほぼ同じ大きさの噴霧滴のUVニスによってのみが連続紙CPに塗布される。従って、より均一にUVニスを塗布することができる。
【0118】
○UVニスのヌレ性を向上させる界面活性剤として、エタノール以外のものを用いること。例えばアルキルスルホカルボン酸塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等を有機溶剤に溶解させたものであってもよい。すなわち、連続紙CPに塗布されるUVニスの表面張力を低下させて、ヌレ性を向上させることのできる界面活性剤であれば、何でもよい。
【0119】
○UVニスが貯留されたタンク97A,97Bに加熱ヒータ102A,102Bを設けずに、液供給管96A,96Bを加熱することにより、UVニスを加熱すること。
【0120】
○後処理液として、UVニス以外のものを用いること。例えば、水溶性樹脂、油溶性樹脂、熱可塑性樹脂エマルジョン、コロイダルシリカ等の無機顔料の単体あるいは混合溶液などでもよい。
【0121】
○連続紙CPの代わりに、他の単票紙に印刷すること。また、印刷記録媒体は、例えば布などの紙以外の材料であってもよい。
○液供給管86,96A,96Bにバルブを設け、このバルブと、前記空気供給管84,94A,94Bに設けたバルブ88,98A,98Bとの両方を制御することにより、前記噴霧器83,93A,93Bを制御すること。
【0122】
○上記実施形態でUVニスが貯留されている2つのタンク97A,97Bを1つのタンクとすること。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0123】
(A)インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、前記後処理工程部に、前記後処理液のヌレ性を向上させるための界面活性剤を前記印刷記録媒体に塗布する界面活性剤塗布手段を設けたことを特徴とするインクジェット式印刷機。
【0124】
従って、この(A)に記載の発明によれば、後処理液が印刷記録媒体に塗布されると、後処理液は界面活性剤によってヌレ性が向上されて、印刷記録媒体上において、より広がりやすくなる。このため、後処理液をよりまんべんなく塗布することができる。
【0125】
(B)インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、前記後処理工程部に、前記後処理液を受け止める作用位置と、それ以外の非作用位置とに、前記噴霧手段に対して相対移動可能な遮断手段を設けたことを特徴とするインクジェット式印刷機。
【0126】
従って、この(B)に記載の発明によれば、遮断手段は、作用位置にある場合には、後処理液を受け止めて印刷記録媒体に後処理液の塗布を遮断する。このため、後処理液の噴霧滴が荒くなっている場合や、ノズルの詰まりを清掃するために噴霧を行いたい場合には、印刷記録媒体に噴霧滴を塗布しない。従って、均一な噴霧滴のみを印刷記録媒体に供給して後処理液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式印刷機の全体構成を示す模式図。
【図2】図1における前処理工程部の構成を示す模式図。
【図3】図1における印刷処理工程の構成を示す模式図。
【図4】図3における印刷処理工程部の要部の斜視図。
【図5】図1における後処理工程部の構成を示す模式図。
【図6】図5における6−6線断面の模式図。
【図7】図5における前処理工程部の要部の平面図。
【図8】図5において噴霧されるUVニスの噴霧状態を説明する説明図。
【図9】図5における9−9線断面の模式図。
【図10】変更例における噴霧器を複数配置したときの配置図。
【符号の説明】
SHA,SHB…遮断手段としてのシャッタ、13…後処理工程部、81…予備加熱手段としてプレヒート部、83…界面活性剤塗布手段としての噴霧器、93A…噴霧手段としての第1噴霧器、93B…噴霧手段としての第2噴霧器、102A,102B…液加熱手段としての加熱ヒータ、105…送風手段としての送風機、116…搬送手段を構成する第1後処理搬送部、117…搬送手段を構成する第2後処理搬送部、118…搬送手段を構成する第3後処理搬送部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドを備えたキャリッジを印刷記録媒体に対して相対移動させながら、この記録ヘッドからインクを噴射させて、印刷記録媒体に印刷を行うインクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、本や雑誌などの印刷物や生鮮食品などのラベルは、オフセット印刷機により印刷されている。オフセット印刷機においては、例えば多数の単位画像を1枚の紙に印刷する。すなわち、従来の印刷機においては、一度に多量の印刷物を製造することにより、安価に印刷物を製造している。
【0003】
近年の技術の発達により、高画質の印刷物を製造するためにインクジェット式印刷機が出現してきている(例えば特許文献1参照)。このインクジェット式印刷機は、記録ヘッドを備えており、その記録ヘッドには複数のノズルとこのノズルからインクを噴射させるための駆動素子とが設けられている。このため、インクジェット式印刷機は、駆動素子を制御してインクの噴射タイミングや噴射量を細かく制御でき、高画質の印刷が行える。
【0004】
この種のインクジェット式印刷機には、良好な保存性が得られることから顔料インクが用いられている。しかしながら、顔料インクは、染料インクと異なり、印刷用紙に染み込まずに、いわば印刷用紙の上に色材が載置された状態となっている。このため、顔料インクによって印刷が行われた印刷用紙の表面が擦られると、インクが印刷用紙から簡単に剥がれることがあるという問題があった。
【0005】
そこで、従来のオフセット印刷機においても行われていたように、印刷が行われた印刷用紙に保護膜を形成することがなされていた。
本出願人は、印刷用紙に保護膜を形成する方法として、大掛かりな準備が不要で、後処理液の特性に係わらずスムーズに後処理液の塗布が行えてメンテナンスが容易であるという利点のために、空気圧を用いた噴霧器によって行うことを提案している。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−225254号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような噴霧器では、噴霧される後処理液の噴霧滴の位置や大きさを制御することはできず、印刷用紙の全面にまんべんなく噴霧滴を塗布することは難しかった。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされ、その目的は、空気圧を用いた噴霧器を用いて、後処理液を印刷記録媒体にまんべんなく塗布することのできるインクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット式印刷機は、インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体を前記噴霧手段に対して相対移動させる搬送手段が設けられており、前記噴霧手段は、移動する前記印刷記録媒体に対して前記後処理液を複数回噴霧する。
【0010】
これによれば、空気圧を用いて噴霧を行う噴霧手段は、移動する印刷記録媒体に対して後処理液が複数回噴霧されるので、印刷記録媒体にむらのある状態で噴霧される後処理液を、印刷記録媒体に対してよりまんべんなく塗布することができる。
【0011】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、複数の噴霧器を備え、各噴霧器から前記印刷記録媒体に対して後処理液を噴霧する。
これによれば、複数の噴霧器のそれぞれから噴霧することにより後処理液を印刷記録媒体に塗布する。すなわち、印刷記録媒体は、一方向に搬送されるだけで、後処理液を複数回噴霧される。従って、簡単な構造で、印刷記録媒体に後処理液をよりまんべんなく塗布することができる。
【0012】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、噴霧される回数分の1の濃度に調節された後処理液を噴霧する。
これによれば、噴霧手段から噴霧される後処理液は、その噴霧される回数分の1の濃度に調節されている。例えば、ある特定領域に対して後処理液がn回噴霧されるならば、噴霧される後処理液の濃度はn分の1になり、その固形成分もn分の1になっている。従って、後処理液が複数回噴霧されて重なった部分があっても、固形成分が少ないので、固形成分により印刷記録媒体の表面の凹凸形状が大きくならない。従って、紙面のざらつきが少なくなるので、摩擦係数を低く抑えることができ、画像を形成するインクを、より剥がれ難くすることができる。
【0013】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部に、前記後処理液のヌレ性を向上させるための界面活性剤を前記印刷記録媒体に塗布する界面活性剤塗布手段を設けた。
【0014】
これによれば、印刷記録媒体に塗布された界面活性剤により、後処理液のヌレ性が向上させられて、後処理液はより広がりやすくなる。このため、後処理液を更にまんべんなく塗布することができる。
【0015】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、前記界面活性剤を混合した後処理液を塗布する。
これによれば、界面活性剤が後処理液に混合されて塗布される。従って、界面活性剤を塗布する噴霧手段を別途設けなくても、後処理液のヌレ性を向上させて、印刷記録媒体上において後処理液をよりまんべんなく塗布することができる。
【0016】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部に、前記後処理液を受け止める作用位置と、それ以外の非作用位置とに、前記噴霧手段に対して相対移動可能な遮断手段を設けた。
【0017】
これによれば、遮断手段は、作用位置にある場合には、後処理液を受け止めて印刷記録媒体に後処理液の塗布を遮断する。このため、荒い噴霧滴の後処理液が噴霧されている場合や、ノズルの清掃のために噴霧する場合には、噴霧手段から噴射された噴霧滴を遮断手段が受け止め、その噴霧滴が印刷記録媒体に塗布されないようにすることができる。従って、均一な噴霧滴のみを印刷記録媒体に供給して後処理液を塗布することができる。また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により後処理液が噴霧されるため、噴霧滴による班が目立たず、より綺麗に塗布することができる。
【0018】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体を、前記後処理液が塗布される前に加熱する予備加熱手段が設けられている。
これによれば、後処理液が塗布される印刷記録媒体を、その後処理液が塗布される前に加熱する。これにより、後処理液は、印刷記録媒体の熱により温度が上昇されてヌレ性が向上し、印刷記録媒体上に後処理液がより広範囲にわたって広がり、より均一な塗布を行うことができる。また、後処理液の温度が高いので、後処理液に含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、水分が印刷記録媒体内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0019】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部には、前記噴霧手段から噴霧される前の前記後処理液を加熱する液加熱手段が設けられている。
これによれば、後処理液が加熱されており、この加熱された後処理液が印刷記録媒体に塗布される。このため、温度が高いためにヌレ性が高くなっている後処理液が印刷記録媒体に塗布される。従って、高いヌレ性の後処理液が噴霧されて塗布されるので、印刷記録媒体上に後処理液がより広範囲にわたって広がり、よりまんべんなく塗布を行うことができる。また、後処理液の温度が高いので、後処理液に含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、水分が印刷記録媒体内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0020】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体に風を供給する送風手段が設けられている。
これによれば、送風手段から供給される風に印刷記録媒体に噴霧された後処理液が押し流される。すなわち、印刷記録媒体に塗布された後処理液を押し広げるので、後処理液をよりまんべんなく印刷記録媒体に塗布することができる。
【0021】
このインクジェット式印刷機は、前記噴霧手段は、紫外線を受けることにより固化するUVニスを後処理液として噴霧する。
これによれば、紫外線が照射されるまで後処理液は固化されないので、紫外線を照射する前に、すなわちUVニスが固化して固まる前に、UVニスを均一にすることが容易に行える。従って、後処理液を均一に塗布することを容易に行うことができる。
【0022】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、前記印刷記録媒体を移動させながら、空気圧を用いて前記後処理液を噴霧する。
【0023】
これによれば、空気圧を用いて噴霧を行う噴霧手段は、移動する印刷記録媒体に対して後処理液が複数回噴霧されるので、印刷記録媒体にむらのある状態で噴霧される後処理液を、印刷記録媒体に対してよりまんべんなく塗布することができる。
【0024】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、空気圧を用いて噴霧される前記後処理液が前記印刷記録媒体に対して噴霧される前又は同時に、前記後処理液のヌレ性を向上させる界面活性剤を前記印刷記録媒体に対して塗布する。
【0025】
これによれば、印刷記録媒体には、後処理液が塗布される前に又は同時に、後処理液のヌレ性を向上させる界面活性剤が塗布される。このため、後処理液が噴霧によって塗布されると、後処理液は界面活性剤によりヌレ性が向上させられるため、印刷記録媒体上においてより広範囲にわたって広がる。従って、より均一な塗布を行うことができる。
【0026】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、空気圧を用いて噴霧される前記後処理液の噴霧の開始時には、前記後処理液を前記印刷記録媒体以外に噴霧してから、続けて前記印刷記録媒体に噴霧する。
【0027】
これによれば、噴霧開始時に、後処理液を印刷記録媒体以外に続けて噴霧するようにしている。例えば、空気圧を用いて噴霧する噴霧手段は、噴霧開始時に空気圧が安定せずに、噴霧滴が荒くなる場合がある。従って、荒い噴霧滴が印刷記録媒体に噴霧されないように、後処理液を印刷記録媒体以外に噴霧してから、ほぼ同じ大きさの噴霧滴が噴射されるようになったところで後処理液を印刷記録媒体に噴霧する。このため、印刷記録媒体により均一に後処理液を塗布することができる。また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により後処理液が噴霧されるため、噴霧滴による班が目立たず、より綺麗に塗布することができる。
【0028】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、空気圧を用いて噴霧される前記後処理液は、前記印刷記録媒体以外に噴霧してから、噴霧を停止する。
【0029】
これによれば、後処理液の噴霧の停止時には、印刷記録媒体以外に噴霧した後に停止している。例えば、空気圧を用いて噴霧する噴霧手段は、噴霧停止時に空気圧が安定せずに、噴霧滴が荒くなる場合がある。従って、荒い噴霧滴が印刷記録媒体に噴霧されないように、印刷記録媒体以外に噴霧させてから後処理液の噴射を停止する。これにより、ほぼ同じ大きさの噴霧滴の後処理液のみを印刷記録媒体に噴霧して塗布することができ、より均一に後処理液を塗布することができる。また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により後処理液が噴霧されるため、噴霧滴による班が目立たず、より綺麗に塗布することができる。
【0030】
本発明の後処理液塗布方法によれば、印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、前記後処理液を空気圧を用いて噴霧する噴霧手段が、前記印刷記録媒体以外に前記後処理液を噴霧することによりクリーニングを行う。
【0031】
これによれば、噴霧手段は印刷記録媒体以外に後処理液を噴霧してクリーニングを行う。従って、簡単にクリーニングを行うことができ、ほとんど常に良好な状態で後処理液を噴霧することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したインクジェット式印刷機の一実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、インクジェット式印刷機10は、前処理工程部11と、印刷処理工程部12と、後処理工程部13とを備えている。前処理工程部11は、印刷記録媒体である連続紙CPの表面に、前処理液であるプレコート液を塗布して、連続紙CPの表面にインク受容層を形成し、顔料インクの顔料を凝集させる作用を連続紙CPに与える。印刷処理工程部12は、連続紙CPの表面にインクを噴射して、連続紙CPの表面のインク受容層の上に画像を形成する。後処理工程部13は、連続紙CPの表面に後処理液であるUVニスを塗布して、画像の上に保護膜を形成する。
【0034】
前処理工程部11と印刷処理工程部12との間には、第1バッファ部15が設けられている。この第1バッファ部15は、連続紙CPが弛ませられている部分であって、前処理工程部11と印刷処理工程部12との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。また、印刷処理工程部12と後処理工程部13との間にも、第2バッファ部16が設けられている。この第2バッファ部16は、印刷処理工程部12と後処理工程部13との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。
【0035】
前処理工程部11の連続紙CPの受け入れ側には、駆動ローラ17及び貯留手段としての繰り出しローラ17aが配置されている。繰り出しローラ17aには図示しないトルクコントローラが内蔵されているとともに、巻回された連続紙CPが着脱可能に取り付けられている。トルクコントローラは、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPの張力を検出する。駆動ローラ17は、トルクコントローラの検出に基づいて連続紙CPの繰り出し量を調節しながら前記繰り出しローラ17aから連続紙CPを前処理工程部11に搬送している。すなわち、駆動ローラ17の回転力により繰り出しローラ17aは回転させられる。
【0036】
また、後処理工程部13の連続紙CPの送り出し側には、巻き取りローラ18が配置されている。この巻き取りローラ18には、後処理工程部13から排出された連続紙CPが離脱可能に巻き取られる。従って、連続紙CPは繰り出しローラ17aから巻き取りローラ18に向かって(y方向に)搬送される。
【0037】
次に、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13のそれぞれについて詳細に説明する。
(前処理工程部11)
まず、前処理工程部11について図2に基づいて説明する。図2に示すように、前処理工程部11には、基台20が配置されている。
【0038】
この基台20上には、その上流側(反y方向側)に、連続紙CPにプレコート液が塗布される前に予備加熱を行うプレヒート部21が配設されている。プレヒート部21には、上側にヒータ22が、下側にファン23が設けられており、このヒータ22とファン23との間を連続紙CPが通過する。ヒータ22は、この下側を通過する連続紙CPを加熱する。また、ファン23は、前記ヒータ22によって加熱されたプレヒート部21内の空気を対流させて、加熱むらを減らし連続紙CPをできるだけ均一に加熱する。
【0039】
基台20の上には、その中央側はプレコート塗布部26が配設されている。プレコート塗布部26では、プレコート液が連続紙CPに塗布される。本実施形態において、このプレコート液は、通常のインク受容層形成用顔料、例えば、シリカやアルミナ、バインダー樹脂成分、有機あるいは無機系のカチオン成分、熱可塑性樹脂エマルジョンの単独の溶剤又はこれらの混合溶液である。または、インク中の色材である顔料を凝集させるカチオン性高分子化合物や多価金属塩を含む溶剤である。
【0040】
プレコート塗布部26には、通過する連続紙CPの上側に、噴霧器27が内設されている。噴霧器27には、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられる。噴霧器27のノズル27aは、下側に向いており、連続紙CPの上面に向かってプレコート液を噴射する。
【0041】
噴霧器27には、空気供給管28を介して加圧ポンプ29が接続されている。また、空気供給管28の途中にはバルブ32が設けられている。従って、噴霧器27には、加圧ポンプ29の駆動によりこれから空気供給管28を介して高圧空気が供給され、バルブ32の開閉により供給される高圧空気の供給時期(すなわちプレコート液の噴霧又は停止)や供給量が調節される。また、噴霧器27には、液供給管30を介してプレコート液が貯留されているタンク31が接続されている。同タンク31は、プレコート液を加熱する加熱ヒータ36が配設されているとともに、加圧空気供給管34を介して加圧ポンプ29が接続されている。このため、加圧ポンプ29から高圧空気がタンク31に供給されると、タンク31内のプレコート液が噴霧器27に供給される。従って、噴霧器27は、空気供給管28を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク31内から供給されたプレコート液が乗って、このプレコート液が霧状になってノズル27aから噴射される。
【0042】
プレコート塗布部26の下流側には、アフターヒート部37が配設されている。アフターヒート部37では、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液を加熱乾燥させる。このアフターヒート部37は、前記プレヒート部21と同じ構造をしている。すなわち、アフターヒート部37は、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ38と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部37内の空気を対流させるファン39とを備えている。
【0043】
また、前記プレヒート部21よりも上流側には第1前処理搬送部41が配設されており、プレヒート部21とプレコート塗布部26との間には第2前処理搬送部42が配設されている。また、プレコート塗布部26とアフターヒート部37との間には第3前処理搬送部43が、アフターヒート部37の下流側には第4前処理搬送部44が配設されている。第1〜第4前処理搬送部41〜44は、同期して連続紙CPをy方向に搬送する。また、各前処理搬送部41〜44は、同一の構造をしている。
【0044】
詳述すると、各第1〜第4前処理搬送部41〜44は、基台20上に設置される相対向する一対の支持部41a,42a,43a,44aを有している。この一対の支持部41a〜44aは、第1ローラ41b,42b,43b,44bと、これに所定の間隙をおいて対向する第2ローラ41c,42c,43c,44cとを回転可能に支持している。第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cの間は、連続紙CPが挿入可能な大きさで、かつ連続紙CPが挿入されると第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cが当接可能となる大きさとなっている。つまり、連続紙CPの下面に第1ローラ41b〜44bが当接し、連続紙CPの上面に第2ローラ41c〜44cが当接する。なお、本実施形態では、アフターヒート部37の下流側にある第4前処理搬送部の第1ローラ44bのみが駆動ローラであり、その他の第1及び第2ローラ41b〜43b,41c〜44cは、前記第1ローラ44bの搬送力によりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受ける従動ローラである。
【0045】
従って、前処理工程部11に至った連続紙CPは、前記第1ローラ44bの搬送力によりy方向に搬送される。そして、連続紙CPは、プレヒート部21において予備加熱された後、プレコート塗布部26の噴霧器27によって噴射されたプレコート液が塗布されて、その上面に、インク受容層が形成され又は顔料インクの凝集作用を有した層が形成される。そして、このような層が形成された連続紙CPは、アフターヒート部37において乾燥される。すなわち、乾燥されたインク受容層などの層が上面に形成された連続紙CPが、前記第1ローラ44bの駆動力を受けて前処理工程部11から第1バッファ部15に搬送される。
【0046】
(印刷処理工程部12)
次に、印刷処理工程部12について、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示すように、印刷処理工程部12には、基台50が配置されている。この基台50上には、連続紙CPの上面に画像が形成する印刷部51が配置されている。印刷部51の基台50上には、ベッド52が載置されている。このベッド52は、搬送されてくる連続紙CPを吸着保持する。詳述すると、ベッド52には、内部空間Sが形成されているとともに、この内部空間Sを臨むように吸着用ファン53が内設されている。吸着用ファン53は内部空間Sの空気を外部に排出するためのものである。また、図3及び図4に示すように、ベッド52の上面には複数の孔54が形成されており、各孔54は前記内部空間Sに接続されている。従って、吸着用ファン53が駆動されると、内部空間Sを介して孔54の上面の空気が下側に排出され、ベッド52の上面に連続紙CPが吸着保持される。
【0047】
また、図3に示すように、ベッド52の内部空間S内には、ヒータ55が配設されている。このヒータ55は、ベッド52の上面を加熱して、この上面に吸着保持される連続紙CPを加熱する。
【0048】
図4に示すように、ベッド52の上面には、連続紙CPを挟むように1対のガイド部材57,58がy方向に延在して固着されている。更に、ガイド部材57に近接して、主走査ねじ軸59がy方向に延在して配置されている。この主走査ねじ軸59には、その先端に移動手段を構成するy軸位置決めモータ60が連結されており、このy軸位置決めモータ60の回転により回転させられる。また、同主走査ねじ軸59に螺合する移動ブロック61が、ガイド部材57に摺動可能に設けられている。すなわち、移動ブロック61は、y軸位置決めモータ60が駆動されて主走査ねじ軸59が回転されると、この回転を受けて、ガイド部材57に案内されながらy方向及び反y方向に移動させられる。
【0049】
移動ブロック61には、移動手段を構成する図示しないx軸位置決めモータが内蔵されている。このx軸位置決めモータは、その先端にx方向に延びる副走査ねじ軸62が連結されており、この副走査ねじ軸62を回転させる。また、副走査ねじ軸62は、その先端が移動ブロック63に回転可能に支持されており、移動ブロック63はガイド部材58に案内されながらy方向に摺動可能とされている。この副走査ねじ軸62は、キャリッジ65と螺合しており、キャリッジ65には図示しない回り止めが設けられている。このため、キャリッジ65は、移動ブロック61内の副走査ねじ軸62が回転するとこの回転力を受け、回り止めにより回転せずに、x方向及び反x方向に移動する。
【0050】
キャリッジ65の下面には、記録ヘッド66が形成されており、この記録ヘッド66は隙間をおいて前記ベッド52と対向している。記録ヘッド66は、24個のノズル列として下面に開口した図示しない複数のノズルを有している。これら各ノズルのそれぞれには、それぞれに対応する図示しない圧電素子が配設されている。記録ヘッド66は、前記ノズル列のそれぞれに対応する24本の供給チューブ68(図においては1本のみ図示する。)を介して図示しない12個のサブタンクに接続されている。すなわち、12個のサブタンクにはそれぞれ2本の供給チューブ68が接続されており、この供給チューブ68がそれぞれ前記記録ヘッド66に接続されている。なお、記録ヘッド66と供給チューブ68との接合部は、キャリッジ65に設けられたカバー67によって覆われている。そして、各サブタンクは、図示しないチューブを介して、基台50の下に配置された6つのインクカートリッジに接続されている。インクカートリッジは、それぞれマゼンタ、ライトマゼンタ、シアン、ライトシアン、イエロ及びブラックの色の顔料インクをそれぞれ収容している。すなわち、6色のそれぞれのインクは、インクカートリッジからそれぞれ2本のチューブを介して12個のサブタンクに供給され、更にサブタンクから24本の供給チューブ68を介して、記録ヘッド66の各ノズル列のノズルに供給される。そして、記録ヘッド66の圧電素子が駆動されると、各インクカートリッジから記録ヘッド66にインクが供給されて、記録ヘッド66の各ノズルの吐出口から各色の顔料インクがベッド52上の連続紙CPに向かって噴射される。
【0051】
また、キャリッジ65のy方向側及び反y方向側には、乾燥手段及び熱風供給手段としてのドライヤ69,70がそれぞれ設けられている。これらドライヤ69,70は、図示しないファン及びヒータが設けられており、熱風を連続紙CPの上面に向かって送出し、インクが噴射される前の連続紙CP又は記録ヘッド66から連続紙CP上に噴射されたインクを乾燥させる。
【0052】
一方、図3に示すように印刷部51の下流側の基台50上には、アフターヒート部72が配設されている。このアフターヒート部72では、連続紙CPの上面に塗布されたインクを加熱乾燥させる。このアフターヒート部72は前記アフターヒート部37とほぼ同じ構造をしており、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ73と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部72内の空気を対流させるファン74とを備えている。
【0053】
また、印刷部51よりも上流側には第1印刷処理搬送部76が配設されており、アフターヒート部72よりも下流側には第2印刷処理搬送部77が配設されている。第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、前記第1〜第4前処理搬送部41〜44と同じ構造をしている。詳述すると、第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、基台50上に設置される相対向する一対の支持部76a,77aを有し、これら一対の支持部76a,77aは第1ローラ76b,77b及びこれに対向する第2ローラ76c,77cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ76b,77bは連続紙CPの下面に、第2ローラ76c,77cは連続紙CPの上面に当接する。本実施形態では、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bが駆動ローラであり、その他のローラ76b,76c,77cが従動ローラである。すなわち、ローラ76b,76c,77cは、駆動ローラである前記第1ローラ77bによりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受けて回転する。
【0054】
従って、搬送されて前処理工程部11から印刷処理工程部12に至った連続紙CPは、第1ローラ77bにより印刷部51に供給される。この印刷部51おいて、インク受容層などの層が形成された連続紙CPの上面に、記録ヘッド66のノズルからインクが噴射(吐出)されて、画像が形成される。そして、この連続紙CPは、ベッド52のヒータ55、キャリッジ65のドライヤ69,70及びアフターヒート部72によってインクが乾燥されて、前記第1ローラ77bの駆動力を受けて第2バッファ部16に搬送される。
【0055】
(後処理工程部13)
次に、後処理工程部13について、図5〜図9に基づいて説明する。図5に示すように、後処理工程部13は、基台80が配置されている。この基台80上には、その上流側(反y方向側)に、連続紙CPにUVニスが塗布される前に予備加熱を行う予備加熱手段としてのプレヒート部81が配設されている。プレヒート部81は、前記プレヒート部21と同一の構成をしている。すなわち、上側にヒータ81aが、下側にファン81bが設けられており、このヒータ81aとファン81bとの間を連続紙CPが通過する。そのため、ヒータ81aは、連続紙CPを加熱し、ファン81bはヒータ81aによって加熱されたプレヒート部81内の空気を対流させて、加熱むらを減らし連続紙CPをできるだけ均一に加熱する。
【0056】
プレヒート部81の下流側の基台80の上には、界面活性剤塗布部82が配設されている。界面活性剤塗布部82には、界面活性剤塗布手段としての噴霧器83が内設されている。噴霧器83は、UVニスのヌレ性を向上させる界面活性剤を連続紙CPに噴霧して塗布する。なお、この界面活性剤は、本実施形態ではエタノールである。
【0057】
更に、図7に示すように、同噴霧器83のノズル83aは、連続紙CPの中心位置Cに位置しており、下方を向いている。そして、このノズル83aから噴霧される界面活性剤が、連続紙CPの幅(x方向の長さ)よりも大きい範囲に噴霧されるように、噴霧器83は連続紙CPに対して上側に配置されている。
【0058】
この噴霧器83には、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられる。詳述すると、図6に示すように、同噴霧器83には、空気供給管84を介して加圧ポンプ85が接続されている。この加圧ポンプ85は、クリーニング時に回転速度を変更して噴霧圧力を高くすることができる。また、空気供給管84の途中には、バルブ88が設けられている。従って、噴霧器83には、加圧ポンプ85の駆動によりこれから空気供給管84を介して高圧空気が供給され、バルブ88の開閉により供給される高圧空気の供給時期(すなわち界面活性剤の噴霧又は停止)や供給量が調節される。また、噴霧器83には、液供給管86を介して界面活性剤が貯留されているタンク87が接続されている。同タンク87は、加圧空気供給管90を介して前記加圧ポンプ85が接続されている。このため、加圧ポンプ85から高圧空気がタンク87に供給されると、タンク87から界面活性剤が噴霧器83に供給される。従って、噴霧器83は、空気供給管84を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク87内から供給された界面活性剤が乗って、この界面活性剤が霧状になってノズル83aから噴射される。
【0059】
一方、ノズル83aの下側には、シャッタSHPが水平方向移動可能に配置されている。このシャッタSHPは、図6の実線及び図7(a)に示す非作用位置と、図6の二点鎖線及び図7(b)に示す作用位置との2位置の間を移動する。非作用位置とはシャッタSHPがノズル83aの噴霧滴が噴霧する範囲を邪魔しない位置であり、作用位置とはノズル83aから噴霧される界面活性剤の噴霧滴を受け止めて、界面活性剤が連続紙CPに噴霧しないように阻止している位置である。
【0060】
図5において前記界面活性剤塗布部82の下流側の基台80上には、UVニス塗布部92が配設されている。このUVニス塗布部92には、噴霧手段としての第1噴霧器93A及び第2噴霧器93Bが内設されている。これら第1及び第2噴霧器93A,93Bは、それぞれUV(紫外線硬化性樹脂)ニスを噴霧する。
【0061】
更に、同噴霧器93A,93Bのノズル93Aa,93Baは、図7に示すように、それぞれ前記中心位置Cからずれた位置C1,C2を中心として配置されており、下方を向いている。このノズル93Aa,93Baから噴霧されたUVニスがx方向において連続紙CPの幅よりも大きい範囲に噴霧されるように、第1及び第2噴霧器93A,93Bは、連続紙CPに対して上側に配置されている。なお、各第1及び第2噴霧器93A,93Bは、そのノズル93Aa,93Baを中心としたy方向及び反y方向の所定範囲にUVニスが噴霧される。
【0062】
第1及び第2噴霧器93A,93Bは、前記噴霧器83と同じく、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられており、噴霧器83と同じ構成をしている。すなわち、図9に示すように、第1及び第2噴霧器93A,93Bには、その途中にバルブ98A,98Bが設けられた空気供給管94A,94Bを介して、加圧ポンプ95が接続されている。従って、第1及び第2噴霧器93A,93Bには、加圧ポンプ95の駆動によりこれから空気供給管94A,94Bを介して高圧空気が供給され、バルブ98A,98Bの開閉により供給される高圧空気の供給時期(すなわちUVニスの噴霧又は停止)や供給量が調節される。加圧ポンプ95は、クリーニング時に回転速度を変更して噴霧圧力を高くすることができる。
【0063】
また、第1及び第2噴霧器93A,93Bには、液供給管96A,96Bを介してUVニスが貯留されているタンク97A,97Bが接続されている。本実施形態では、タンク97A,97Bには、従来使用されていたUVニスの2分の1の濃度(例えば通常、紫外線硬化樹脂が20%含まれていた場合には、本実施形態では、紫外線硬化樹脂は10%含まれている)となっている。更に、タンク97A,97Bには、加圧空気供給管100A,100Bをそれぞれ介して前記加圧ポンプ95が接続されている。このため、この加圧ポンプ95からタンク97A,97Bに高圧空気が供給されると、タンク97A,97BのUVニスが第1及び第2噴霧器93A,93Bに供給される。従って、第1及び第2噴霧器93A,93Bは、空気供給管94A,94Bを介して加圧ポンプ95から高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク97A,97B内から供給されたUVニスが乗って、このUVニスが霧状になってノズル93Aa,93Baから噴射される。
【0064】
このとき、本実施形態では、第1噴霧器93Aには、例えば図8(a)に示すようにノズル93Aaの左側領域Z1にUVニスの噴霧滴(これは図8にのみD1として示す)が集中し易いという傾向がある。また、本実施形態の第2噴霧器93Bは、図8(b)に示すようにノズル93Baの左側領域Z2にUVニスの噴霧滴(これも図8にのみD2として示す)が集中し易いという傾向がある。そこで、第1噴霧器93Aのノズル93Aaを位置C1に配置し、第2噴霧器93Bのノズル93Baを位置C2に配置することにより、第1及び第2噴霧器93A,93Bから噴霧されたUVニスの噴霧状態が平均化される。
【0065】
一方、各ノズル93Aa,93Baの下側にはそれぞれ、遮断手段としてのシャッタSHA,SHBが水平方向移動可能に配置されている。このシャッタSHA,SHBは、前記シャッタSHPと同様に、図7(a)及び図9の実線に示される非作用位置と、図7(b)及び図9の二点鎖線に示される作用位置との2位置の間を移動する。なお、非作用位置とは、ノズル93Aa,93Baの噴霧滴が噴霧する範囲を邪魔しない非作用位置であり、作用位置とはノズル93Aa,93Baから噴霧されるUVニスの噴霧滴を受け止めて、連続紙CPにUVニスが塗布されないようにする位置である。
【0066】
更に、図5に示すように、UVニス塗布部92の下流側の隣には、レベリング装置105が設けられている。このレベリング装置105は、UVニス塗布部92で連続紙CPの上面に塗布されたUVニスのむらを均すためのものである。詳述すると、レベリング装置105は、水平に搬送される連続紙CPの上側に、送風手段としての送風機106が配設されている。この送風機106の送風ノズル106aは、通過する連続紙CPの幅(y方向に直角な図6及び図9で示したx方向の大きさ)よりも大きな幅を有している。そして、この送風ノズル106aは、UVニス塗布部92の下側を向くように、通過する連続紙CPの上面(すなわちy方向)に対して斜めに向いている。
【0067】
一方、レベリング装置105には、その基台80上にベッド107が送風機106に対向するように配設されている。このベッド107は、通過する連続紙CPが送風機106の風力を受けてもほとんど撓まないように、連続紙CPの撓みを規制するための支持台である。従って、撓みが規制された連続紙CPの上面に、送風ノズル106aから風が供給されると、塗布されたUVニスが反y方向に押し流される。
【0068】
更に、レベリング装置105の下流側には、UV照射装置110が配置されている。このUV照射装置110内には、UVを照射するUVランプ111が上側に配設されており、このUVランプ111の下方を連続紙CPが通過する。すなわち、UV照射装置110は、UVニスが塗布された表面にUVランプ111からの紫外線を照射する。
【0069】
また、プレヒート部81よりも上流側には第1後処理搬送部116が配設されている。更に、プレヒート部81と界面活性剤塗布部82の間には、第2後処理搬送部117が配設されており、UV照射装置110よりも下流側には第3後処理搬送部118が配設されている。第1〜第3後処理搬送部116〜118は、搬送手段を構成しており、前記第1及び第2印刷処理搬送部76,77と同じ構造をしており、これらと同期して連続紙CPをy方向に搬送する。詳述すると、第1〜第3後処理搬送部116〜118は、基台80上に設置される相対向する一対の支持部116a,117a,118aを有している。また、これら一対の支持部116a,117a,118aは第1ローラ116b,117b,118b及びこれに対向する第2ローラ116c,117c,118cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ116b,117b,118bは連続紙CPの下面に、第2ローラ116c,117c,118cは連続紙CPの上面に当接している。また、第3後処理搬送部118の第1ローラ118bが駆動ローラであり、その他のローラ116b,117b,116c〜118cが従動ローラである。
【0070】
従って、後処理工程部13に至った連続紙CPは、まずプレヒート部81において連続紙CPが予備加熱された後、界面活性剤塗布部82において界面活性剤が噴射されて連続紙CPに塗布される。そして、界面活性剤が塗布された連続紙CPは、UVニス塗布部92において第1噴霧器93Aから噴霧されるUVニスを受け、第2噴霧器93Bから噴霧されるUVニスを受ける。これにより、画像が形成された連続紙CPの上面にUVニスが塗布される。そして、レベリング装置105において、送風機106の送風ノズル106aからの風により、UVニスのむらが均された後、UV照射装置110にてUV照射されてUVニスが硬化される。そして、UVニスの保護膜が画像の上に形成された連続紙CPは、前記第1ローラ97bの駆動力を受けて後処理工程部13の下流に、すなわち巻き取りローラ18へと搬送される。
【0071】
次に、インクジェット式印刷機10の作用について、生鮮食品のラベルなどに用いられるタック紙(裏面に糊の付いたラベル用の紙)を印刷する場合を例として説明する。
【0072】
連続紙CPとして、例えば幅が150mmで長さが600mのタック紙を巻回された状態で、繰り出しローラ17aに装着装着させ、駆動ローラ17に掛け装する。そして、連続紙CPを巻き取りローラ18に巻き取る動作を行うために、図示しないスイッチが押されると、駆動ローラ17及び各処理工程部11,12,13の駆動ローラである第1ローラ44b,77b,118bが駆動される。これにより連続紙CPは、繰り出しローラ17aから前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13をy方向に移動して、巻き取りローラ18に巻き取られる。従って、連続紙CPがインクジェット式印刷機10に装着される。
【0073】
その後、インクジェット式印刷機10が印刷を実行する。すると、インクジェット式印刷機10は、各ヒータ22,38,73,81a及び各ファン23,39,74,81bに通電を行って、プレヒート部21,81、アフターヒート部37,72内の空気を対流させながら加熱を始める。また、インクジェット式印刷機10は、加熱ヒータ102A,102Bに通電を行って、タンク97A,97Bに貯留されたUVニスの加熱を始める。更に、インクジェット式印刷機10は、ヒータ55に通電を行って、ベッド52の表面の加熱を行う。
【0074】
そして、繰り出しローラ17aに巻回されたタック紙の連続紙CPは、駆動ローラ17の搬送力により前処理工程部11に至ると、第1ローラ44bの搬送力により前処理工程部11をy方向に搬送される。このy方向に搬送される連続紙CPは、まず、プレヒート部21を通過する。このとき、連続紙CPは、プレヒート部21のヒータ22により加熱される。そして、インクジェット式印刷機10は、プレヒート部21から連続紙CPが排出される時期に、バルブ32を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ29を駆動する。これにより、タンク31から加熱されたプレコート液が噴霧器27に供給される。そして、この供給されたプレコート液が、霧状になってノズル27aから下方に噴射される。すなわち、プレコート塗布部26内に至った連続紙CPの上面に、プレコート液が噴霧器27から噴射される。これにより、連続紙CPの上面にプレコート液が塗布され、連続紙CPの上面にインク受容層が形成される。なお、プレヒート部21において連続紙CPが予備加熱されたため、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液は、連続紙CPの予備加熱の熱によって少し乾燥される。
【0075】
そして、プレコート塗布部26を通過してプレコート液が上面に塗布された連続紙CPは、アフターヒート部37に供給されると、その上面がアフターヒート部37のヒータ38によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液が完全に乾燥される。そして、連続紙CPは、第4前処理搬送部44の第1ローラ44bの駆動力を受ける。このため、第1バッファ部15を通過して印刷処理工程部12に至った連続紙CPは、印刷処理工程部12をy方向に搬送される。
【0076】
そして、連続紙CPの最初の印刷可能領域PS(図4参照)がベッド52に至ると、インクジェット式印刷機10は印刷処理を開始する。詳述すると、インクジェット式印刷機10は、吸着用ファン53を駆動する。これにより、孔54を介して連続紙CPの下側の空気が排出されて、印刷可能領域PSの連続紙CPが吸着保持される。このとき、連続紙CPはヒータ55の熱を受けて加熱される。
【0077】
そして、インクジェット式印刷機10は、印刷データに基づいて、y軸位置決めモータ60及びx軸位置決めモータを駆動しながら、圧電素子を駆動する。これにより、供給チューブ68を介して供給されるインクがベッド52の連続紙CPのインク受容層の上に、噴霧されて画像が形成される。更に、ドライヤ69,70が駆動される。すなわち、図4の軌跡tのようにキャリッジ65が反y方向に移動すると、ドライヤ70がインクが噴射される連続紙CP上に熱風を供給し、インクの噴射前に連続紙CPを加熱する。また、ドライヤ69がインクが噴射された連続紙CP上に熱風を供給して、連続紙CP上に噴射されたばかりのインクを乾燥させる。そして、キャリッジ65が反y方向の端部まで移動して、ベッド52上にある連続紙CPの全面の印刷が終了する。印刷が終了すると、インクジェット式印刷機10は、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを駆動して、連続紙CPをy方向に搬送させる。
【0078】
そして、インクジェット式印刷機10は、次の印刷可能領域PSがベッド52上に至ったと判断すると、再び第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを停止して、連続紙CPの搬送を停止する。そして、インクジェット式印刷機10は、駆動されている吸着用ファン53により吸着保持された連続紙CPの次の印刷可能領域PSに対して、y軸位置決めモータ60、x軸位置決めモータ及び圧電素子を駆動して、印刷を行う。このとき、キャリッジ65は印刷部51の反y方向の端部にあるので、すなわち軌跡tを逆走するようにキャリッジ65が移動される。そして、このとき、ドライヤ69,70も駆動されており、ドライヤ69によりインクが噴射される前の連続紙CPが加熱され、ドライヤ70により連続紙CPに噴射されたばかりのインクが乾燥される。
【0079】
再び印刷が終了すると、インクジェット式印刷機10は、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを駆動させて、次の印刷可能領域PSをベッド52上に導くように、連続紙CPをy方向に搬送する。
【0080】
そして、印刷部51を通過してインクにより画像が上面に形成された連続紙CPは、アフターヒート部72に供給されると、その上面がヒータ73によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたインクが完全に乾燥させられる。
【0081】
その後、インクジェット式印刷機10は、第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bにより連続紙CPを、第2バッファ部16を経て、後処理工程部13に導く。そして、y方向に搬送される連続紙CPは、まず、プレヒート部81を通過する。このとき、連続紙CPは、プレヒート部81のヒータ81aにより加熱される。
【0082】
また、このとき、インクジェット式印刷機10は、バルブ88を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ85を駆動して、界面活性剤塗布部82においてタンク87から界面活性剤が噴霧器83に供給される。すなわち、噴霧器83に供給された界面活性剤が、霧状になってノズル83aから下方に噴霧される。ただし、このときの高圧空気はまだ安定していないため、ノズル83aからは荒い噴霧滴が噴霧されている。更に、このとき、シャッタSHPが作用位置に移動しているため、ノズル83aから噴霧される荒い噴霧滴は、シャッタSHPに受け止められている。
【0083】
そして、ヒータ81aにより加熱されてプレヒート部81から排出された連続紙CPは、界面活性剤塗布部82に供給される。このときまでに、噴霧器83に供給される加圧ポンプ85からの空圧が安定して、ノズル83aから噴霧される界面活性剤の噴霧滴が均一状態になる。そこで、シャッタSHPが非作用位置に移動させられて、噴霧器83から噴霧される界面活性剤が、その下方を通過する連続紙CPに塗布される。
【0084】
また、このとき、インクジェット式印刷機10は、加圧ポンプ95を駆動し、バルブ98A,98Bを開弁状態とする。これにより、UVニス塗布部92においてタンク97A,97BからUVニスが噴霧器93A,93Bに供給される。すなわち、第1及び第2噴霧器93A,93Bに供給されたUVニスが、霧状になってノズル93Aa,93Baから下方に噴霧される。ただし、このときの高圧空気はまだ安定していないため、ノズル93Aa,93Baからは荒い噴霧滴が噴霧されている。更に、このとき、シャッタSHA,SHBが作用位置に移動しているため、ノズル93Aa,93Baから噴霧される荒い噴霧滴は、シャッタSHA,SHBに受け止められている。
【0085】
そして、界面活性剤塗布部82において界面活性剤が塗布された連続紙CPは、UVニス塗布部92に供給される。このときまでに、第1及び第2噴霧器93A,93Bに供給される空圧が安定して、ノズル93Aa,93Baから噴霧されるUVニスの噴霧滴が均一状態になる。そこで、連続紙CPがUVニス塗布部92に至ると、シャッタSHAが非作用位置に移動させられて、第1噴霧器93Aから1回目のUVニスが、図8(a)に示すように噴霧されて塗布される。続いて、シャッタSHBが非作用位置に移動させられて、第2噴霧器93Bから2回目のUVニスが噴霧されて塗布される。連続紙CPには、図8(c)に示すように、各噴霧器93A,93Bから噴霧されたUVニスが塗布されることになる。すなわち、図8(c)に示される連続紙CPは、図8(a)に示す第1噴霧器93Aからの噴霧滴D1と、図8(b)に示す第2噴霧器93Bからの噴霧滴D2とが合成された状態となっている。
【0086】
なお、連続紙CPは、プレヒート部81において予備加熱されているため、連続紙CPの上面に塗布された界面活性剤及びUVニスは、連続紙CPの予備加熱の熱によって少し乾燥される。
【0087】
その後、連続紙CPがUVニス塗布部92を通過して、レベリング装置105に至ると、インクジェット式印刷機10は、送風機106を駆動して送風ノズル106aから、UVニスが上面に塗布された連続紙CPに対して斜めに風を送出する。これにより、連続紙CP上に塗布されたUVニスの噴霧滴の上側が、送風機106からの風圧によって押し流される。すなわち、連続紙CPはy方向に搬送されるので、送風機106からの風圧によって、連続紙CPに塗布されたUVニスは、順次反y方向に広がって、より均一に塗布されることになる。
【0088】
そして、レベリング装置105を通過した連続紙CPは、そのままUV照射装置110を通過する。連続紙CPは、このUV照射装置110において、紫外線が照射されることにより、UVニスが固化されて、画像の上にUVニスの保護膜が形成される。そして、保護膜が形成された連続紙CPは、後処理工程部13から下流へと排出される。そして、これにより、後処理工程部13から排出された連続紙CPは、巻き取りローラ18に巻き取られる。
【0089】
従って、連続紙CPの印刷可能領域PSは、繰り出しローラ17aから、前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13を通過して、巻き取りローラ18に至る。すると、連続紙CPには、プレコート液によるインク受容層などの層が形成され、この層の上にインクによる画像が形成され、更にこの画像の上にUVニスによる保護膜が形成されて、印刷が完了する。
【0090】
そこで、次に、界面活性剤塗布部82、UVニス塗布部92のクリーニング作用について、詳細に説明する。
後処理搬送部116〜118が停止される直前に、シャッタSHP,SHA,SHBが、図7(b)に示すように作用位置に移動される。そして、後処理搬送部118の第1ローラ118bの停止と同期して、加圧ポンプ85,95が高速に回転させられる。従って、通常より高い圧力の空気が空気供給管84,94A,94Bを介して噴霧器83,93A,93Bに供給される。これにより、噴霧器83内で結晶化又は増粘化した界面活性剤、噴霧器93A,93B内で結晶化又は増粘化したUVニスや、ノズル83a,93Aa,93Baに付着したゴミなどが噴霧器83,93A,93Bから吹き飛ばされる。そして、この吹き飛ばされたゴミ、結晶化又は増粘化された界面活性剤及びUVニスなどは、シャッタSHP,SHA,SHBによって受け止められて、連続紙CPには到達しない。
【0091】
このようにして通常より高い圧力の空気が供給されてクリーニング作用が行われると、再び加圧ポンプ85,95A,95Bを通常に回転させて、界面活性剤及びUVニスを噴霧するための高圧空気が空気供給管84,94A,94Bを介して噴霧器83,93A,93Bに供給される。そして、圧力が安定して、噴霧滴の大きさがほぼ一定となるころに、印刷処理工程部12における印刷可能領域PSの印刷が終了する。そして、印刷処理工程部12の第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bの駆動と同期して、後処理工程部13の第3後処理搬送部118の第1ローラ118bが駆動されて、かつ送風機106が駆動される。従って、連続紙CPをy方向に搬送しながら、界面活性剤塗布部82において界面活性剤の塗布が続けて行われ、UVニス塗布部92においてUVニスの塗布が続けて行われ、レベリング装置105においてUVニスが均一に広げられる。
【0092】
本実施形態のインクジェット式印刷機10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、後処理工程部13において、連続紙CPを移動させながら噴霧器93A,93Bからそれぞれ1回噴射して、連続紙CPに対して複数回噴射した。このため、むらのある状態で噴霧されるUVニスは、連続紙CPに対してよりまんべんなく噴霧される。
【0093】
(2)本実施形態では、後処理工程部13において、第1噴霧器93Aを位置C1に、第2噴霧器93Bを位置C2に配置した。すなわち、第1噴霧器93Aから噴霧されるUVニスの密の左側領域Z1と第2噴霧器93Bから噴霧されるUVニスの密の左側領域Z2とを重ならないようにしたので、UVニスをより均一に塗布することができる。
【0094】
(3)本実施形態では、後処理工程部13において、噴霧器83から界面活性剤を連続紙CPに噴霧して塗布した後に噴霧器93A,93BからUVニスを連続紙CPに噴霧して塗布した。このため、連続紙CPに塗布された界面活性剤によってUVニスはそのヌレ性が向上させられ、UVニスは連続紙CP上により広がりやすくなる。従って、UVニスを更にまんべんなく、いっそう均一にUVニスを塗布することができる。
【0095】
(4)本実施形態では、後処理工程部13において、噴霧器93A,93Bから最初に噴霧されるUVニスはシャッタSHA,SHBによって受け止められて、連続紙CPに噴霧されない。噴霧器93A,93Bは、噴霧開始時に空気圧が安定しないため、噴霧滴が荒くなる傾向があるが、この荒い噴霧滴のUVニスは連続紙CPに噴霧されないので、連続紙CPにはほぼ同じ大きさの噴霧滴のUVニスのみを噴霧することができる。従って、連続紙CPに、より均一にUVニスを噴霧することができる。
【0096】
また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴によりUVニスが噴霧されるため、噴霧滴による斑が目立たず、より綺麗に塗布することができる。特に、インクジェット式印刷機10を印刷中に一時停止して再び印刷を行うような間欠印刷を行う場合であっても、より綺麗にUVニスを塗布することができる。
【0097】
(5)本実施形態では、後処理工程部13において、噴霧器83から最初に噴霧される界面活性剤はシャッタSHPによって受け止められる。従って、荒く大きな噴霧滴は連続紙CPに供給されずに、ほぼ同じ大きさの界面活性剤の噴霧滴のみが噴霧される。従って、連続紙CPに、より均一に界面活性剤を噴霧することができる。
【0098】
また、ほぼ同じ大きさの噴霧滴により界面活性剤が噴霧されるため、噴霧滴による斑が目立たず、より綺麗に塗布することができる。特に、インクジェット式印刷機10を印刷中に一時停止して再び印刷を行うような間欠印刷を行う場合であっても、より綺麗に界面活性剤を塗布することができる。
【0099】
(6)本実施形態では、レベリング装置105において、送風機106から供給される風により、連続紙CP上に噴霧されたUVニスが反y方向に押し流されて広がる。このため、UVニスを、より均一に連続紙CPに塗布することができる。
【0100】
(7)本実施形態では、後処理工程部13の噴霧器83,93A,93Bは、連続紙CPの幅よりも大きな幅に対して噴霧を行えるように配置した。このため、連続紙CPのx方向及び反x方向の端部においても、界面活性剤及びUVニスが十分に噴霧されて塗布されるので、より均一な塗布を行うことができる。
【0101】
(8)本実施形態では、UVニスに含まれている水分を蒸発させるために、プレヒート部81において、UVニスが塗布される前の連続紙CPを事前に加熱した。このため、加熱された連続紙CPに、UVニスが噴霧されて塗布されると、UVニスは、連続紙CPの熱によって温度が上昇されて、ヌレ性が向上する。このため、UVニスは連続紙CP上により広範囲にわたって広がることができ、UVニスをより均一に連続紙CPに塗布することができる。また、UVニスに含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、濃度の低いUVニスを用いても、UVニス中の水分が連続紙CP内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0102】
(9)本実施形態では、後処理工程部13においてUVニスを貯留するタンク97A,97B内に加熱ヒータ102A,102Bを設けて、UVニスを加熱した。このため、UVニスは、より高い温度になっているため、高いヌレ性を得ることができる。従って、UVニスは、連続紙CP上により広範囲にわたって広がることができ、UVニスをより均一に連続紙CPに塗布することができる。また、UVニスに含まれる水分の蒸発を促進することができる。このため、濃度の低いUVニスを用いても、中の水分が連続紙CP内に染み込んで耐久性が低下することを極力避けることができる。
【0103】
(10)本実施形態では、後処理工程部13の噴霧器93A,93Bから合計2回噴霧されるUVニスは、通常のUVニスの2分の1の濃度に調節されたUVニスを用いた。このUVニスは、その液中に含まれる紫外線硬化樹脂も2分の1である。このため、UVニスが2回とも同じ部分に噴霧されたとしても、UVニスの固形成分が薄いため連続紙CP上で厚くならず、連続紙CPの表面の凹凸形状が大きくならない。従って、連続紙CP上の上面のざらつきが少なくなるので、摩擦係数を低く抑えることができ、画像を形成するインクを、より剥がれ難くすることができる。
【0104】
(11)本実施形態では、後処理工程部13において、連続紙CPに2回の噴霧を行うために、2つの噴霧器93A,93Bを設け、それぞれから1回噴霧した。従って、搬送手段である後処理搬送部116〜118は、y方向に搬送するだけで、連続紙CPに対してUVニスを複数回塗布することができる。すなわち、後処理搬送部116〜118を簡単に制御して、UVニスを連続紙CPに対して複数回噴霧して塗布することができる。
【0105】
(12)本実施形態では、後処理工程部13の噴霧器83,93A,93Bに通常よりも高い圧力を与えて、結晶化又は増粘化された界面活性剤やUVニスやゴミを吹き飛ばしてクリーニング動作を行う。従って、簡単にクリーニングを行うことができ、ほとんど常に良好な状態で界面活性剤及びUVニスを噴霧することができる。
【0106】
(13)本実施形態では、後処理液として紫外線が照射されることにより固化するUVニスを用いた。このため、印刷処理工程部12の搬送と同期して後処理工程部13において連続紙CPの搬送が停止する際に、UVニス塗布部92において塗布されたUVニスが固化することがない。このため、UV照射装置110に連続紙CPが到達する前に、レベリング装置105を設けることができ、このレベリング装置105においてUVニスを均一にすることが容易にできる。
【0107】
(14)本実施形態では、UV照射装置110の前にレベリング装置105を設けたので、レベリング装置105でUVニスをより均一に広げた後に、UVニスを固化させて保護膜を画像の上に形成することができる。
【0108】
(15)本実施形態では、バルブ98A,98Bの開弁状態や加圧ポンプ95の駆動を変更することにより、容易に噴霧条件を変更することができる。そのため、紙種や印刷される画像に応じてUVニスの噴霧条件を容易に調節することができ、より効率よくUVニスを噴霧することができる。
【0109】
(16)本実施形態では、水平方向に通過する連続紙CPに対して、噴霧器83,93A,93Bは上方から噴霧を行った。従って、界面活性剤及びUVニスは重力を受けて連続紙CPに、より確実に塗布されるので、より確実に高画質の印刷を行うことができる。
【0110】
また、連続紙CPを水平方向から垂直方向に向きを変えて搬送した後、再び水平方向に搬送させて、連続紙CPが垂直方向に搬送される箇所において連続紙CPに対して横方向から界面活性剤及びUVニスを噴霧する場合に比べて、経路を短くすることができる。このため、UVニス塗布部92を小型化することができ、ひいてはインクジェット式印刷機10を小型化することができる。
【0111】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○更に多くの噴霧器93A,93Bを設けること。
【0112】
○UVニスを噴霧する噴霧器93A,93Bをいずれか1つとし、この噴霧器から連続紙CPに後処理液を複数回噴霧するように、連続紙CPを反y方向及びy方向に往復移動させること。
【0113】
○図10(a)に示すように、第1及び第2噴霧器93A,93Bの位置をx方向の一直線上に離隔して配置すること。又は、図10(b)に示すように、x方向にずれた位置に離隔させて配置すること。更に、図10(c)に示すようにy方向の一直線上に離隔して配置すること。なお、図10(a)、図10(b)、図7、図10(c)という配置になる程、すなわちノズル93Aa,93Baがy方向に並ぶ程、均一な噴霧効果が得られる傾向があることが実験から判明している。これは、むらのある状態で噴霧する噴霧器は、それぞれむらの仕方に個体差があると考えられる。
【0114】
○シャッタSHP,SHA,SHBは、回動させることにより、非作用位置と、作用位置との2つの位置を取るようにすること。例えば、シャッタSHP,SHA,SHBは、垂直状態のときにノズル83a,93Aa,93Baの噴霧滴が噴霧する範囲を邪魔しない非作用位置にあり、水平状態のときに、ノズル83a,93Aa,93Baから噴霧される界面活性剤又はUVニスの噴霧滴を受け止める作用位置とすること。
【0115】
○シャッタSHP,SHA,SHBを移動させる代わりに、噴霧器83,93A,93Bを移動させること。この場合であっても、このシャッタSHP,SHA,SHBが、噴霧器83,93A,93Bに対して非作用位置と作用位置とのいずれかの位置を取るようにすれば、同様な作用を行うことができる。
【0116】
○界面活性剤をUVニスに混合した液体を噴霧器93A,93Bから噴霧すること。この場合には、噴霧器83を設けなくても、界面活性剤の作用によりUVニスのヌレ性を向上させることができる。
【0117】
○インクジェット式印刷機10の印刷を停止するときには、シャッタSHA,SHBを作用位置に配置すること。すなわち、空気圧を用いて噴霧する噴霧手段は、噴霧停止のときに、空気圧が安定せずに、噴霧滴が荒くなる場合がある。この場合には、インクジェット式印刷機10の印刷が停止されたときに、シャッタSHA,SHBを図7(b)に示す作用位置に移動させて、このシャッタSHA,SHBにより噴霧滴が受け止められた後に、バルブ98A,98Bを閉弁して噴霧を停止する。これにより、停止時に生じる荒い噴霧滴は、連続紙CPに噴霧されずに、ほぼ同じ大きさの噴霧滴のUVニスによってのみが連続紙CPに塗布される。従って、より均一にUVニスを塗布することができる。
【0118】
○UVニスのヌレ性を向上させる界面活性剤として、エタノール以外のものを用いること。例えばアルキルスルホカルボン酸塩、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等を有機溶剤に溶解させたものであってもよい。すなわち、連続紙CPに塗布されるUVニスの表面張力を低下させて、ヌレ性を向上させることのできる界面活性剤であれば、何でもよい。
【0119】
○UVニスが貯留されたタンク97A,97Bに加熱ヒータ102A,102Bを設けずに、液供給管96A,96Bを加熱することにより、UVニスを加熱すること。
【0120】
○後処理液として、UVニス以外のものを用いること。例えば、水溶性樹脂、油溶性樹脂、熱可塑性樹脂エマルジョン、コロイダルシリカ等の無機顔料の単体あるいは混合溶液などでもよい。
【0121】
○連続紙CPの代わりに、他の単票紙に印刷すること。また、印刷記録媒体は、例えば布などの紙以外の材料であってもよい。
○液供給管86,96A,96Bにバルブを設け、このバルブと、前記空気供給管84,94A,94Bに設けたバルブ88,98A,98Bとの両方を制御することにより、前記噴霧器83,93A,93Bを制御すること。
【0122】
○上記実施形態でUVニスが貯留されている2つのタンク97A,97Bを1つのタンクとすること。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0123】
(A)インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、前記後処理工程部に、前記後処理液のヌレ性を向上させるための界面活性剤を前記印刷記録媒体に塗布する界面活性剤塗布手段を設けたことを特徴とするインクジェット式印刷機。
【0124】
従って、この(A)に記載の発明によれば、後処理液が印刷記録媒体に塗布されると、後処理液は界面活性剤によってヌレ性が向上されて、印刷記録媒体上において、より広がりやすくなる。このため、後処理液をよりまんべんなく塗布することができる。
【0125】
(B)インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、前記後処理工程部に、前記後処理液を受け止める作用位置と、それ以外の非作用位置とに、前記噴霧手段に対して相対移動可能な遮断手段を設けたことを特徴とするインクジェット式印刷機。
【0126】
従って、この(B)に記載の発明によれば、遮断手段は、作用位置にある場合には、後処理液を受け止めて印刷記録媒体に後処理液の塗布を遮断する。このため、後処理液の噴霧滴が荒くなっている場合や、ノズルの詰まりを清掃するために噴霧を行いたい場合には、印刷記録媒体に噴霧滴を塗布しない。従って、均一な噴霧滴のみを印刷記録媒体に供給して後処理液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式印刷機の全体構成を示す模式図。
【図2】図1における前処理工程部の構成を示す模式図。
【図3】図1における印刷処理工程の構成を示す模式図。
【図4】図3における印刷処理工程部の要部の斜視図。
【図5】図1における後処理工程部の構成を示す模式図。
【図6】図5における6−6線断面の模式図。
【図7】図5における前処理工程部の要部の平面図。
【図8】図5において噴霧されるUVニスの噴霧状態を説明する説明図。
【図9】図5における9−9線断面の模式図。
【図10】変更例における噴霧器を複数配置したときの配置図。
【符号の説明】
SHA,SHB…遮断手段としてのシャッタ、13…後処理工程部、81…予備加熱手段としてプレヒート部、83…界面活性剤塗布手段としての噴霧器、93A…噴霧手段としての第1噴霧器、93B…噴霧手段としての第2噴霧器、102A,102B…液加熱手段としての加熱ヒータ、105…送風手段としての送風機、116…搬送手段を構成する第1後処理搬送部、117…搬送手段を構成する第2後処理搬送部、118…搬送手段を構成する第3後処理搬送部。
Claims (15)
- インクを吐出させ印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、
この印刷処理工程部においてインクが吐出された前記印刷記録媒体に、空気圧を用いて後処理液を噴霧する噴霧手段を備えた後処理工程部とを有し、
前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体を前記噴霧手段に対して相対移動させる搬送手段が設けられており、
前記噴霧手段は、移動する前記印刷記録媒体に対して前記後処理液を複数回噴霧することを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1に記載のインクジェット式印刷機において、
前記噴霧手段は、複数の噴霧器を備え、
各噴霧器から前記印刷記録媒体に対して後処理液を噴霧することを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1又は2に記載のインクジェット式印刷機において、前記噴霧手段は、噴霧される回数分の1の濃度に調節された後処理液を噴霧することを特徴とするインクジェット式印刷機。
- 請求項1〜3のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記後処理工程部に、前記後処理液のヌレ性を向上させるための界面活性剤を前記印刷記録媒体に塗布する界面活性剤塗布手段を設けたことを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記噴霧手段は、前記界面活性剤を混合した後処理液を塗布することを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記後処理工程部に、
前記後処理液を受け止める作用位置と、それ以外の非作用位置とに、前記噴霧手段に対して相対移動可能な遮断手段を設けたことを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体を、前記後処理液が塗布される前に加熱する予備加熱手段が設けられていることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜7のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記後処理工程部には、前記噴霧手段から噴霧される前の前記後処理液を加熱する液加熱手段が設けられていることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜8のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記後処理工程部には、前記印刷記録媒体に風を供給する送風手段が設けられていることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜9のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記噴霧手段は、紫外線を受けることにより固化するUVニスを後処理液として噴霧することを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、
前記印刷記録媒体を移動させながら、空気圧を用いて前記後処理液を噴霧することを特徴とする後処理液塗布方法。 - 印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、
空気圧を用いて噴霧される前記後処理液が前記印刷記録媒体に対して噴霧される前又は同時に、
前記後処理液のヌレ性を向上させる界面活性剤を前記印刷記録媒体に対して塗布することを特徴とする後処理液塗布方法。 - 印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、
空気圧を用いて噴霧される前記後処理液の噴霧の開始時には、前記後処理液を前記印刷記録媒体以外に噴霧してから、続けて前記印刷記録媒体に噴霧することを特徴とする後処理液塗布方法。 - 印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、
空気圧を用いて噴霧される前記後処理液は、前記印刷記録媒体以外に噴霧してから、噴霧を停止することを特徴とする後処理液塗布方法。 - 印刷記録媒体に記録ヘッドからインクを吐出させて印刷が行われる印刷記録媒体に後処理液を塗布する後処理液塗布方法において、
前記後処理液を空気圧を用いて噴霧する噴霧手段が、前記印刷記録媒体以外に前記後処理液を噴霧することによりクリーニングを行うことを特徴とする後処理液塗布方法。
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JP2003128433A JP2004330570A (ja) | 2003-05-06 | 2003-05-06 | インクジェット式印刷機及びその後処理液塗布方法 |
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