JP2004330183A - 塗布膜の製造方法、光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

塗布膜の製造方法、光学フィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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誠 小松原
Seiji Kondo
誠司 近藤
Kazuyoshi Tsuchimoto
一喜 土本
Yutaka Fujita
裕 藤田
Mie Ota
美絵 太田
Ryuichi Inoue
龍一 井上
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Abstract

【課題】 厚みのバラツキの少ない塗布膜を製造すること。
【解決手段】 連続して走行する長尺状支持体10に塗布液を塗布することによって塗布膜11を形成する方法において、塗布液の表面張力が、溶質濃度の変化に対応して変化し、かつ特定濃度において最小値を示す場合、その溶質濃度が前記特定濃度の±10重量%ポイント以内に調整された塗布液が用いられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続して走行する長尺状支持体に塗布液を塗布することによって塗布膜を形成する技術に関するものであり、特に、その塗布膜を製造する方法、その方法によって形成される光学機能層を積層した構造を有する光学フィルム、その光学フィルムを有する偏光板、及び、その偏光板を備えた画像表示装置に関する。
シート状の長尺状支持体に対して塗布膜を形成する方法として、長尺状支持体を所定方向に一定速度で走行させ、その走行経路に配置されたコーター等の塗工装置によって長尺状支持体の表面に塗布液を塗布し、さらに走行経路の下流側に配置された乾燥装置によって塗布液の乾燥を行う方法が知られている(例えば、特許文献1)。
ところで、近年、液晶表示装置等の光学用途向けフィルム等の分野において、そのフィルム等の使用用途によっては塗布膜形成後の外観に厳しい要求がなされている。特に膜厚が10μm以下の薄層塗工がなされる商品では、塗布膜の斑(ムラ)によって生じる外観のムラが非常に顕著に現れやすい反面、そのような外観ムラを低減することが望まれている。
特開平11−244764号公報
しかしながら、従来の塗布膜の製造方法では、塗工装置において走行する長尺状支持体に塗布液を塗布してから、乾燥装置において乾燥させるまでの間は、装置周辺の周囲環境下にさらされる区間が存在し、周囲環境からの不規則な速度・方向の風等による外乱因子の影響で乾燥速度にバラツキが生じる。そのため、塗布膜の表面張力に差が生じて塗布液が流動し、塗布膜の厚みにムラが生じることによって、外観ムラが発生するという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、厚みのバラツキの少ない塗布膜を安定して形成することにより、外観ムラの少ない塗布膜を製造できる、塗布膜の製造方法を提供するとともに、その方法によって形成される光学機能層を積層した構造を有する光学フィルム、その光学フィルムを有する偏光板、及び、その偏光板を備えた画像表示装置を提供することをその目的としている。
本発明者らによる検討の結果、問題となる外観ムラの発生要因は以下の通りであることが判明した。すなわち、(1)長尺状支持体上に塗布液を塗布してから乾燥装置にて乾燥されるまでの区間では、装置周辺の環境からの例えば不規則な速度・方向の風等による外乱の影響で、塗布液からの溶媒の乾燥速度にバラツキが生じる。(2)乾燥速度のバラツキによって、蒸発潜熱による塗布膜の温度低下にバラツキが生じ、塗布面において塗布膜の表面張力に差が生じる。(3)表面張力の差がマランゴニ流動による塗布液の流動を生じさせ、塗布膜の厚みムラが生じる。(4)塗布膜の厚みムラが外観ムラとして目立つようになる。
このような外観ムラの発生要因に鑑みて、塗布液の表面張力について検討してみると、塗布膜形成に用いる塗布液によっては、その溶質濃度の変化に対応して塗布液の表面張力が変化し、かつ、ある溶質濃度においてその表面張力が最小になる特性を示すことがあり、本発明者らは、上記のように塗布液の表面張力が、溶質濃度の変化に対応して変化し、かつ特定濃度において最小値を示す場合、塗布液の溶質濃度を、その特定濃度に近い濃度とすることで、初期乾燥で溶質濃度が上昇しても、表面張力があまり変化しないようになり、表面張力差を駆動力としたマランゴニ流動の発生を防止して、外観ムラを低減することができることを見出した。
それ故、本発明は、連続して走行する長尺状支持体に塗布液を塗布することによって塗布膜を形成する、塗布膜の製造方法において、塗布液の表面張力が、溶質濃度の変化に対応して変化し、かつ特定濃度において最小値を示す場合、溶質濃度が前記特定濃度の±10重量%ポイント以内に調整された塗布液を用いて長尺状支持体に塗布することを特徴とするものである。これにより、塗工装置での塗布膜形成後、塗布膜が乾燥するまでの間、塗布膜の表面張力を塗布面においてほぼ均等な状態に保ち、塗布膜に厚みムラが生じることを防止できる。その結果、厚みのバラツキの少ない塗布膜を安定して形成することができ、外観ムラを抑制することができる。
また、上記の塗布膜の製造方法においては、溶質濃度が前記特定濃度の±7重量%ポイント以内に調整された塗布液を用いることがより好ましく、さらに好ましくは±5重量%ポイントである。塗布液の溶質濃度をこれらの範囲内とすることによって、より確実に外観ムラを抑制することができるようになる。
上記の塗布膜の製造方法は、例えば、外観ムラに対して厳しい要求がなされる光学用途向けフィルム等の製造に適している。すなわち、塗布膜が光学機能を有する光学機能層として形成されることにより、近年、シビアな外観が要求される光学用途向けの塗工物であっても、外観ムラの少ない塗工物を得ることができる。
また、上記の製造方法によって得られる光学フィルムを積層して偏光板を形成することにより、外観ムラの少ない光学用途に適した偏光板が得られる。さらに、その偏光板を用いて、液晶表示装置等の画像表示装置を製造すれば、外観ムラの少ない、高品位な装置を実現することができる。
本発明によれば、塗布液の表面張力が、溶質濃度の変化に対応して変化し、かつ特定濃度において最小値を示す場合、溶質濃度が特定濃度の±10重量%ポイント以内に調整された塗布液を用いて、長尺状支持体に対する塗布膜形成が行われる。そのため、厚みのバラツキが少なく、外観ムラのない塗布膜を安定して形成することができる。
以下、本発明を画像表示装置の偏光板等の製造プロセスに適用可能に構成した実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、塗布膜の製造装置を概念的に示す図である。長尺状支持体10は塗布膜形成の基材となるものであって、例えば液晶表示装置等の画像表示装置に適した光学フィルムの製造においては、ウエブ状のフィルムやシート等で構成された平坦な長尺可撓性の面状基材であり、複数のローラ35等に支持された状態で矢印の示す方向にほぼ一定速度で走行するようになっている。
長尺状支持体10の走行経路には、長尺状支持体10の少なくとも一面側に塗布液を塗布するダイコーター等の塗工装置30が設けられており、長尺状支持体10が塗工装置30を走行する際、その一面側に塗布液が均一な状態で塗布されて塗布膜11が形成される。このとき塗工装置30においては、表面張力が最小となる溶質濃度(特定濃度)の±10重量%ポイント以内に、溶質濃度が調整された塗布液が使用される。また、より好ましくは溶質濃度が特定濃度の±7重量%ポイント以内に調整された塗布液が用いられ、さらにより好ましくは±5重量%ポイント以内に調整された塗布液が用いられる。
そして塗工装置30の下流側には乾燥装置40が配置され、塗工装置30によって形成された塗布膜は乾燥装置40において乾燥される。
以上のように、長尺状支持体10に塗布液を塗布する際、表面張力が最小となる特定濃度に近い溶質濃度の塗布液が用いられることにより、塗布面の各部における表面張力がほぼ均等な状態となって、マランゴニ流動の発生が防止される。その結果、上記の製造工程によって形成される塗布膜は外観ムラの少ないものとなる。
そして上記のような塗布膜の製造工程によって、上記塗布膜11を例えば光学機能を有する光学機能層として形成することにより、外観ムラがなく、均一な光学特性を示す光学機能層が実現できる。そして、液晶表示装置等に使用される光学フィルムや偏光板を、上記光学機能層が積層された構造として形成することにより、外観ムラのない優れた光学フィルムや偏光板を得ることができる。すなわち、上述した製造工程は、光学フィルムや偏光板に積層される光学機能層を形成する上で特に有益なものとなる。
偏光板は、例えば、二色性物質含有のポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の片面又は両面に、保護シートやその他の光学フィルムを設けた構造として構成される。
偏光子としては、特に限定されることなく各種のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配合フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素等の二色性物質からなる偏光子が好適である。
偏光子の片面又は両面に設けられる保護シートは、上記製造方法における塗布膜11として偏光子に対して直接塗布することで形成することもできるし、基材となるシート材に対して上記製造工程による塗布膜形成を行うことによって偏光子とは別個に保護シート単体を形成した後、該保護シートを偏光子に貼り付けることによっても形成することができる。保護シートに使用する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性等に優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキチ系ポリマー、又は前記ポリマーのブレンド物なども保護シートを形成するポリマーの例としてあげられる。
また、保護シートは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。この場合、熱硬化作用又は紫外線硬化作用を示す塗布液が用いられる。
また、偏光板は、実用に際して各種光学機能層を積層して用いられる。そして上述した塗布膜の製造方法は偏光板に積層される各種光学機能層を積層形成する際にも使用しうる。例えば、光学機能層は、上記製造工程によって、偏光板とは別の光学フィルム上に積層され、その後、光学機能層が積層された光学フィルムが偏光板に貼り付けられることなどによって偏光板に積層される。また、光学フィルムと偏光板とを貼り合わせた後、その光学フィルムに対して塗布液を塗布することにより、光学機能層を偏光板に積層してもよい。
その光学機能層については特に限定されるものではないが、例えば、保護シートの偏光子を設けない面に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層することがあげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償層等の画像表示装置の形成に用いられる光学機能層を1層又は2層以上積層したものがあげられる。特に、画像表示装置に用いられる偏光板としては、偏光板に反射板又は半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板又は半透過型偏光板、位相差板が積層されてなる楕円偏光板又は円偏光板、視角補償層が積層されてなる広視野角偏光板、あるいは輝度向上層が積層されてなる偏光板が好ましい。そのため、上記のような光学機能を有する光学機能層が光学フィルムとして形成され、さらにその光学フィルムが偏光板に積層されることが好ましい。
視角補償層は、画像表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜め方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明に見えるように視野角を広げるための光学機能層である。このような視角補償層が積層された広視野角偏光板としては、例えば位相差板、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され、厚さ方向にも延伸された、厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また、良視認の広い視野角を達成する点などにより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
輝度向上層が積層された偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上層は液晶表示装置等の画像表示装置のバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上層を積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得るとともに、前記所定偏光状態以外の光を透過させずに反射させる。このような輝度向上層のフィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上層に再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上層を透過する光の増量を図るとともに、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して、画像表示に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させるものである。すなわち、輝度向上層(輝度向上フィルム)を使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。例えば、用いる偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、画像表示に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上層は偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに、輝度向上層でいったん反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上層に再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過しうるような偏光方向となった偏光のみを透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に画像表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
また、輝度向上層と反射層等との間に拡散板を設けることもできる。輝度向上層によって反射した偏光状態の光は反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態とする。すなわち元の自然光状態にもどす。この非偏光状態すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射して、拡散板を再び通過して輝度向上層に再入射することを繰り返す。元の自然光状態に戻す拡散板を設けることにより、表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのムラを少なくし、均一の明るい画面を提供することができる。元の自然光状態に戻す拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能とあいまって均一の明るい表示画面を提供することができる。
以上のような光学的機能を示す輝度向上層としては、例えばコレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。そしてこの種の輝度向上層の形成にも上記製造方法を適用することができる。例えば長尺状のフィルム基材上に配向液晶層を形成するための塗布液を塗布し、その塗布膜を乾燥させることにより、外観ムラの少ない輝度向上層を形成することができる。
また、輝度向上層として、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すものなども用いられる。この種の輝度向上層では、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸をそろえて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ、効率よく透過させることができるようになる。このような輝度向上層が、上述した製造方法によって形成された光学機能層にさらに積層されて、多層構造の偏光板が形成されてもよい。
一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上層では、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの単色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。したがって、偏光板と輝度向上層の間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってもよい。また、このような位相差層についても、塗布液を塗布することによって塗布膜を形成した後、その塗布膜を乾燥させることによって形成できる。
このように各種光学機能層は、母材となる長尺状支持体(フィルムなど)に塗布液を塗布して塗布膜を形成し、その塗布膜を乾燥させることによって形成される。そして、塗布膜を形成するために使用する塗布液の溶質濃度を、その表面張力が最小となる濃度に近いように調整して塗工工程を行うことにより、ムラのない高品質な光学フィルムが得られる。さらに、この光学フィルムが偏光板に積層されることにより、ムラのない高品質な偏光板が得られる。
また、偏光板は、偏光板と2層または3層以上の光学機能層とを積層したものからなっていてもよい。したがって、反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。また、多層構造を有する光学フィルムや偏光板では、少なくとも1層が上述した製造方法、すなわち塗布液の溶質濃度が表面張力の最小値付近に調整された塗布液を使用することによって形成され、他の層が従来の手法、すなわち上記のような溶質濃度の調整がなされていない塗布液を使用することによって形成された偏光板であってもよい。
上記のような光学機能層を有する光学フィルムを偏光板に積層する場合、光学フィルムと偏光板とを別個に生成して、液晶表示装置等の画像表示装置の製造プロセスでこれらを互いに貼り合わせることによって積層する方式にても形成することができるが、あらかじめ偏光板に対して光学フィルムを積層したものは、品質の安定性や組立作業等の優れていて画像表示装置の製造工程を効率化させるという利点がある。
以上のようにして得られる偏光板は、液晶表示装置の形成に好ましく用いられる。例えば、偏光板を液晶セルの片面又は両面に配置してなる反射型や半透過型、あるいは透過・反射両用型の液晶表示装置に用いることができる。液晶セル基板は、プラスチック基板、ガラス基板のいずれでもよい。また液晶表示装置を形成する液晶セルは任意であり、例えば薄型トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなど、適宜なタイプの液晶セルを用いたものであってもよい。そして上記製造方法によって形成された光学機能層を積層した構造を有する偏光板が、液晶表示装置に用いられることにより、液晶表示装置においてムラのない高品質な画像表示が実現される。
また、上記のようにして得られる偏光板は、液晶表示装置に限られず、有機EL表示装置やプラズマ表示装置等の画像表示装置にも好ましく用いることができる。そして画像表示装置に、上述した製造方法によって形成される光学機能層を積層した偏光板を用いることにより、外観上ムラのない画像表示装置を実現することができるとともに、そのような画像表示装置を安定して得ることができる。また、画像表示装置においてムラのない高品質な画像表示が実現される。
以下に、実施例及び比較例を示しつつ、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例及び比較例によって限定されるものではない。
実施例.
酸化ジルコニウムアクリレート系モノマーを溶質とし、キシレンメチルエチルケトンを溶媒とした、紫外線硬化型の微粒子分散溶液を塗布液として使用し、ダイコーターにてTAC(トリアセチルセルロース)フィルム上に前記塗布液を乾燥終了後の厚みで2.0μmになるように塗布し、70°Cの熱風で乾燥後、紫外線照射(積算光量300mJ/cm2)により硬化させることによって、光学機能層を有するシートを得た。
このとき、塗布液の表面張力と溶質濃度との関係は図2に示すようになり、塗布液の表面張力は溶質濃度が35重量%であるときに最小値を示した。すなわち、表1に記載の成分により、塗布液の表面張力が最小値を示した。
Figure 2004330183
なお、塗布液の表面張力は協和界面科学(株)製の接触角計CA−Xを用いて、ペンダントドロップ方式で測定したものである。
実施例として、溶質濃度を26重量%濃度、30重量%濃度、35重量%濃度、40重量%濃度、および44重量%濃度にそれぞれ調整して塗布液を生成し、それぞれの溶質濃度について硬化後のTACフィルム上に形成された塗布膜の厚み分布を光学干渉式膜厚計で測定するとともに、それによって形成される塗布膜の外観を観察した。また、比較例として溶質濃度を48重量%濃度の塗布液を用いて塗布膜を形成し、上記実施例と同様の評価を行った。
評価.
塗布膜の厚みバラツキの評価については、幅1000mmの塗布サンプルの膜厚を、幅方向に1mmピッチで1001点測定し、その測定結果から各サンプルについて厚みバラツキの分散σと厚みの平均値とを求めた。この膜厚測定は、光学干渉式膜厚計として測定器にオーシャンオプテクス社製USB2000を用いて反射分光スペクトルを測定し、ピークバレー法にて厚みを算出したものである。
塗布膜の厚み分布の測定結果として、厚みバラツキの分散σを厚みの平均値で除算した値を表2に示す。
Figure 2004330183
表2に示す厚みバラツキの値が0.015以上、0.017以下である場合、その塗布膜は実用上使用することはできるが、外観ムラがわずかに視認されうる状態になる。また、この値が0.017を超えると、その塗布膜の外観ムラは目立って視認されうる状態になる。表2において、外観ムラが全くなく良好なフィルムが得られたものには”○”を、外観ムラがわずかに視認されるものの上述した用途に実用できるものには”△”を、外観ムラが目立ち、上述した用途に使用できないものには”×”を付している。表2の結果から、溶質濃度と厚みバラツキの関係を示すと、図3のグラフのようになる。
表2および図3に示すように、溶質濃度が35重量%のときには、厚みバラツキの値が0.0129であり、塗布膜形成後の外観は良好なものであった。また、溶質濃度が35重量%のときよりも5重量%ポイント多い40重量%のとき、および、溶質濃度が35重量%のときよりも5重量%ポイント少ない30重量%のときにも、それぞれ厚みバラツキが0.015よりも小さな値(0.0130)となり、塗布膜形成後の外観は良好なものであった。
また、溶質濃度が35重量%のときよりも9重量%ポイント少ない26重量%のときには、厚みバラツキが0.0159であり、若干外観ムラが視認されるものの実用上は問題のないものであった。また、溶質濃度が35重量%のときよりも9重量%ポイント多い44重量%のときには、厚みバラツキが0.0160であり、この場合も若干外観ムラが視認されるものの実用上は問題のないものであった。
これに対し、溶質濃度が35重量%のときよりも13重量%ポイント多い48重量%のときには、厚みバラツキが0.0210であり、その外観においてムラが目立つ状態となっていた。
また図3から、溶質濃度が35重量%であることを基準とすると、溶質濃度が増加する場合と、減少する場合とで厚みバラツキはほぼ同等の変化を示すことがわかる。つまり、図3のグラフは35重量%を基準にほぼ左右対称となっている。
以上の結果から、塗布液の溶質濃度を、表面張力が最小となる濃度付近に調整することにより、塗布膜における厚みのバラツキを低減でき、外観ムラを抑制できることが判明した。
そして、塗布液の溶質濃度を、表面張力が最小となる特定濃度の±10重量%ポイント以内に調整した塗布液を使用することにより、硬化後の厚みバラツキが0.017以下に抑えられ、外観ムラがわずかに視認されるものの実用上は問題のない塗布膜を形成できることが判明した。
また、塗布液の溶質濃度を、表面張力が最小となる特定濃度の±7重量%ポイント以内に調整した塗布液を使用することにより、硬化後の厚みバラツキが0.015以下に抑えられ、外観ムラのない良好な塗布膜が得られることになる。
さらに塗布液の溶質濃度を、表面張力が最小となる特定濃度の±5重量%ポイント以内に調整した塗布液を使用することにより、図3に示されるように、硬化後の厚みバラツキが特定濃度の塗布液を使用したときとほぼ同等の状態となり、極めて良好な塗布膜が得られることになる。
塗布膜の製造装置を概念的に示す図である。 塗布液の表面張力と溶質濃度との関係を示す図である。 溶質濃度と厚みバラツキとの関係を示す図である。
符号の説明
10 長尺状支持体
11 塗布膜
30 塗工装置
40 乾燥装置

Claims (7)

  1. 連続して走行する長尺状支持体に塗布液を塗布することによって塗布膜を形成する、塗布膜の製造方法において、
    前記塗布液の表面張力が、溶質濃度の変化に対応して変化し、かつ特定濃度において最小値を示す場合、前記溶質濃度が前記特定濃度の±10重量%ポイント以内に調整された前記塗布液を用いて前記長尺状支持体に塗布することを特徴とする、塗布膜の製造方法。
  2. 前記溶質濃度が前記特定濃度の±7重量%ポイント以内に調整された前記塗布液を用いて前記長尺状支持体に塗布することを特徴とする請求項1記載の、塗布膜の製造方法。
  3. 前記溶質濃度が前記特定濃度の±5重量%ポイント以内に調整された前記塗布液を用いて前記長尺状支持体に塗布することを特徴とする請求項1記載の、塗布膜の製造方法。
  4. 前記塗布膜が光学機能を有する光学機能層として形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の、塗布膜の製造方法。
  5. 請求項4に記載の塗布膜の製造方法によって形成される前記光学機能層を積層した構造を有する光学フィルム。
  6. 請求項5に記載の光学フィルムを有する偏光板。
  7. 請求項6に記載の偏光板を備えた画像表示装置。
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