JP2004327838A - 半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】電流ブロック層で挟まれた領域で発生するジュール熱を放散する。
【解決手段】n型クラッド層13と、活性層14と、p型第1クラッド層15とからなるダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層17とp型コンタクト層18とを積層してリッジ部19を略台形状に形成すると共に、リッジ部19の両側に一対のn型電流ブロック層20A,20Aを形成した半導体レーザ素子10Aにおいて、一対のn型電流ブロック層20A,20Aは、複数の元素材料(AlGaAs)を用いて複数の化合物層(AlAs),(GaAs)を積層して形成し、且つ、複数の化合物層内に複数の元素材料を全て含ませると共に、複数の化合物層内に複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませた。
【選択図】 図4
【解決手段】n型クラッド層13と、活性層14と、p型第1クラッド層15とからなるダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層17とp型コンタクト層18とを積層してリッジ部19を略台形状に形成すると共に、リッジ部19の両側に一対のn型電流ブロック層20A,20Aを形成した半導体レーザ素子10Aにおいて、一対のn型電流ブロック層20A,20Aは、複数の元素材料(AlGaAs)を用いて複数の化合物層(AlAs),(GaAs)を積層して形成し、且つ、複数の化合物層内に複数の元素材料を全て含ませると共に、複数の化合物層内に複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませた。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、光ディスク装置や通信機器などでは、光源として半導体レ−ザ素子が多用されている。上記した半導体レ−ザ素子は各種の構造形態があるものの、レーザ光を高出力で出射させるために、AlGaAs電流ブロック層を有する内部狭窄型の半導体レーザ素子がある(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
【非特許文献1】
第41回応用物理学関係連合講演会/講演予稿集No.3/p989/28p−K−4
【0004】
【非特許文献2】
第57回応用物理学会学術講演会/講演予稿集No.3/p921/7a−KH−7
【0005】
図1は従来例1として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaAs第2クラッド層とp型GaAsコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlGaAs電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【0006】
尚、以下の説明において、半導体レ−ザ素子を構成する各層のドーピング材料は必要に応じて説明すると共に、各層の成分組成も必要に応じて説明し、必要箇所以外では同じ符番を付して簡素化した部品名を用いて説明する。
【0007】
図1に示した如く、従来例1の半導体レ−ザ素子10では、基板上の各層にAlGaAs系の材料を主として用いている。即ち、n型GaAs基板11の上面上に、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型GaAsバッファ層12と、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型Al0.5Ga0.5Asクラッド層13と、ノンド−プMQW活性層14(以下、活性層14と呼称する)と、亜鉛(Zn)を5×1017cm−3ドーピングしたp型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層15とが順次積層されており、n型クラッド層13と活性層14とp型第1クラッド層15とで周知のダブルヘテロ構造を構成している。
【0008】
この際、上記した活性層14は、例えば、二重量子井戸構造(MQW)で、ノンドープAl0.1Ga0.9Asウェル層とノンドープAl0.3Ga0.7Asバリヤ層とにより構成されている。
【0009】
また、p型第1クラッド層15上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3ドーピングしたp型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層16が膜厚15nm〜50nm程度成膜されている。この際、p型エッチング停止層16は、p型第1クラッド層15の上方に後述するリッジ部19をエッチング処理により略台形状に形成するために設けたものである。
【0010】
また、p型エッチング停止層16上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3ドーピングしたp型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層17と、亜鉛(Zn)を2×1018cm−3ドーピングしたp型GaAsコンタクト層18とが積層され、且つ、p型第2クラッド層17及びp型コンタクト層18の左右両側をp型エッチング停止層16に至るまでエッチング処理することで、両層17,18を合わせて略台形状のリッジ部19がp型エッチング停止層16上の略中央部位に形成されている。この際、リッジ部19はエッチング処理により底辺の長さL1が上辺の長さL2より大きく略台形状に形成されている。
【0011】
また、シリコン(Si)を1×1018cm−3以上ドーピングした一対のn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層(電流狭窄層とも呼称する)20,20がp型エッチング停止層16上の左右及び略台形状のリッジ部19の左右両側に沿って形成されている。これら一対のn型電流ブロック層20,20は、p型第2クラッド層17のみに電流経路を狭窄するためのものである。
【0012】
また、リッジ部19の上部及び一対のn型電流ブロック層20,20の上部には、亜鉛(Zn)を2×1019cm−3ドーピングしたp型GaAsコンタクト層21が形成されている。
【0013】
また、p型コンタクト層21上には、金(Au)系のp型オ−ミック電極22が形成され、更に、n型GaAs基板11の下面には、金(Au)系のn型オ−ミック電極23が形成されて、従来例1の半導体レーザ素子10が作製されている。
【0014】
ここで、上記のように構成した従来例1の半導体レーザ素子10の動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極22側から図示下方のn型オ−ミック電極23側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極22→p型コンタクト層21→一対のn型電流ブロック層20,20で狭窄されたリッジ部19→p型エッチング停止層16を介してp型第1クラッド層15→活性層14→n型クラッド層13→n型バッファ層12→n型GaAs基板11→n型オ−ミック電極23の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部19の下部に対応した部位の活性層14でレ−ザ発振して、活性層14からレーザ光を出射している。
【0015】
次に、各層にAlGaAs系の材料を主として用いた従来例1の半導体レ−ザ素子10に対して、各層にAlGaInP系の材料を主として用いた半導体レ−ザ素子について図2を用いて説明する。
【0016】
図2は従来例2として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaInP第2クラッド層とp型InGaPコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlInP電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【0017】
図2に示した如く、従来例2の半導体レ−ザ素子30では、n型GaAs基板31の上面上に、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型GaAsバッファ層32と、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層33と、ノンド−プMQW活性層34(以下、活性層34と呼称す)と、亜鉛(Zn)を5×1017cm−3ドーピングしたp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層35とが順次積層されており、n型クラッド層33と活性層34とp型第1クラッド層35とで周知のダブルヘテロ構造を構成している。
【0018】
この際、上記した活性層34は、例えば、二重量子井戸構造(MQW)で、ノンドープIn0.5Ga0.5Pウェル層とノンドープ(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pバリヤ層とにより構成されている。
【0019】
また、p型第1クラッド層35上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3ドーピングしたp型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層36が膜厚15nm〜50nm程度成膜されている。この際、p型エッチング停止層36は、p型第1クラッド層35の上方に後述するリッジ部39をエッチング処理により略台形状に形成するために設けたものである。
【0020】
また、p型エッチング停止層36上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3にドーピングしたp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層37と、亜鉛(Zn)を2×1018cm−3ドーピングしたp型In0.5Ga0.5Pコンタクト層38とが積層され、且つ、p型第2クラッド層37及びp型コンタクト層38の左右両側をp型エッチング停止層36に至るまでエッチング処理することで、両層37,38を合わせて略台形状のリッジ部39がp型エッチング停止層36上の略中央部位に形成されている。この際、リッジ部39はエッチング処理により底辺の長さL1が上辺の長さL2より大きく略台形状に形成されている。
【0021】
また、シリコン(Si)を1×1018cm−3以上ドーピングした一対のn型Al0.5In0.5P電流ブロック層(電流狭窄層とも呼称する)40,40がp型エッチング停止層36上の左右及び略台形状のリッジ部39の左右両側に沿って形成されている。これら一対のn型電流ブロック層40,40は、p型第2クラッド層37のみに電流経路を狭窄するためのものである。
【0022】
また、リッジ部39の上部及び一対のn型電流ブロック層40,40の上部には、亜鉛(Zn)を2×1019cm−3ドーピングしたp型GaAsコンタクト層41が形成されている。
【0023】
また、p型コンタクト層41上には、金(Au)系のp型オ−ミック電極42が形成され、更に、n型GaAs基板31の下面には、金(Au)系のn型オ−ミック電極43が形成されて、従来例2の半導体レーザ素子30が作製されている。
【0024】
ここで、上記のように構成した従来例2の半導体レーザ素子30の動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極42側から図示下方のn型オ−ミック電極43側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極42→p型コンタクト層41→一対のn型電流ブロック層40,40で狭窄されたリッジ部39→p型エッチング停止層36を介してp型第1クラッド層35→活性層34→n型クラッド層33→n型バッファ層32→n型GaAs基板31→n型オ−ミック電極43の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部39の下部に対応した部位の活性層34でレ−ザ発振して、活性層34からレーザ光を出射している。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来例1,2の半導体レ−ザ素子10,30のような構造では、動作時に、一対のn型電流ブロック層(20,20),(40,40)で狭窄されたリッジ部19,39を電流が通過する際に生じるジュール熱により、半導体レ−ザ素子10,30の温度が上昇する。
【0026】
この際、高出力動作させるために大きな電流が必要な場合や、半導体レ−ザ素子10,30そのものが高い温度環境に置かれて動作せざるを得ない場合などでは、良好なレーザ特性を維持する上で、半導体レ−ザ素子10,30内部で生じる熱の外部への放散が非常に重要になる。
【0027】
しかしながら、従来例1,2の半導体レ−ザ素子10,30では、もっともジュール熱の発生が著しいリッジ部19,39の両側が一対のn型電流ブロック層(20,20),(40,40)で囲まれ、且つ、一対のn型電流ブロック層(20,20),(40,40)が熱抵抗率の大きい材料で構成されているために、発生した熱の放散が効率的に行われず、結果として、半導体レ−ザ素子10,30の温度が上昇し易いという問題があった。
【0028】
例えば、各層にAlGaAs系の材料を主として用いた従来例1の半導体レ−ザ素子10のような構造では、一対のn型電流ブロック層20,20として一般的にはAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)の組成が用いられており、その具体例として従来例1ではx=0.7に設定した場合に一対のn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層20,20について述べた。これに類似の構造は、ここでの図示を省略するものの、例えば、前記した非特許文献1,2等に公表されている。
【0029】
ここで、図3はAlxGa1−xAsの熱抵抗率のx依存性(半導体レーザ/p.35/応用物理学会編・伊賀健一編著/オーム社)を示している。この図3から一対のn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層20,20にAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)を用いた場合には熱抵抗率が大きくなり、半導体レ−ザ素子10の温度上昇が発生し易くなってしまう。
【0030】
一方、各層にAlGaInP系の材料を主として用いた従来例2の半導体レ−ザ素子30のような構造でも、一対のn型電流ブロック層40,40にAlInPからなる3元化合物が用いられており、この3元化合物を用いた場合にも熱抵抗率が大きくなり、半導体レ−ザ素子30の温度上昇が発生し易くなってしまう。
【0031】
そこで、上記のような問題点を解消するために、電流ブロック層で挟まれた狭い領域で発生するジュール熱を効果的に放散し、高温動作に対して強い半導体レ−ザ素子が望まれている。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、前記ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、前記リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した半導体レーザ素子において、
前記一対のn型電流ブロック層は、複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、前記複数の化合物層内に前記複数の元素材料を全て含ませると共に、該複数の化合物層内に該複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴とする半導体レーザ素子である。
【0033】
また、第2の発明は、上記した第1の発明の半導体レーザ素子において、
前記一対のn型電流ブロック層は、前記複数の元素材料としてAlGaAs系の材料又はAlInP系の材料を用いたことを特徴とする半導体レーザ素子である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る半導体レーザ素子の一実施例を図4乃至図8を参照して<第1実施例>,<第2実施例>の順に詳細に説明する。
【0035】
<第1実施例>
図4は本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子を示した断面図、
図5(a)〜(d)は本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【0036】
図4に示した本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子10Aは、先に図1を用いて説明した従来例1の半導体レーザ素子10に対して略台形状のリッジ部の両側に形成した一対のn型電流ブロック層の層構造のみが異なるものであり、ここでは説明の便宜上、従来例1に対して同じ構成部材に同一符号を付して適宜説明し、且つ、従来例1に対して異なる構成部材に新たな補助符号を付して異なる点を中心に説明する。
【0037】
図4に示した如く、本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子10Aでは、n型GaAs基板11の上面上に、n型GaAsバッファ層12と、n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層13と、ノンド−プMQW活性層14と、p型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層15とが順次積層されており、n型クラッド層13と活性層14とp型第1クラッド層15とで周知のダブルヘテロ構造を構成し、更に、p型第1クラッド層15上にp型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層16が膜厚15nm程度成膜され、且つ、p型エッチング停止層16上の中央部位にp型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層17とp型GaAsコンタクト層18とを積層したリッジ部19が略台形状に形されている点は従来例1と同じである。
【0038】
また、p型エッチング停止層16上の左右及び略台形状のリッジ部19の左右両側に沿って一対のn型電流ブロック層20A,20Aが先に説明した従来例1に対して層構造が異なって形成されており、この一対のn型電流ブロック層20A,20Aについては後述する。
【0039】
また、リッジ部19の上部及び一対のn型電流ブロック層20A,20Aの上部に、p型GaAsコンタクト層21が形成され、また、p型コンタクト層21上に金(Au)系のp型オ−ミック電極22が形成され、更に、n型GaAs基板11の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極23が形成されて、第1実施例の半導体レーザ素子10Aが作製されている。
【0040】
ここで、従来例1に対して異なる層構造を有する一対のn型電流ブロック層20A,20Aは、AlGaAs系の複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、複数の化合物層内に複数の元素材料を全て含ませると共に、複数の化合物層内に複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴としている。
【0041】
即ち、一対のn型電流ブロック層20A,20Aをより具体的に説明すると、一対のn型電流ブロック層20A,20Aは、薄い厚みのn型Alx1Ga1−x1As層(但し、0.8≦x1≦1)と、薄い厚みのn型Alx2Ga1−x2As層(但し、0≦x2≦0.2)とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜として形成されている。この際、上記したx1の範囲内において例えばx1=1に設定した場合に、薄い厚み(例えば7nm)のn型Alx1Ga1−x1As層がn型AlAs層となり、一方、上記したx2の範囲内において例えばx2=0に設定した場合に、薄い厚み(例えば3nm)のn型Alx2Ga1−x2As層がn型GaAs層となり、これに伴って一対のn型電流ブロック層20A,20Aが例えば厚み7nmのn型AlAs層と例えば厚み3nmのn型GaAs層とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜として形成されている。
【0042】
ここで、一対のn型電流ブロック層20A,20A内において、上記したn型AlAs層はバンドギャップエネルギーが大きい第1薄膜層として機能し、一方、上記したn型GaAs層はn型AlAs層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2薄膜層として機能した状態で、第1薄膜層と第2薄膜層とを交互に繰り返して多層膜を形成しているが、これに限ることなく、第1薄膜層と第2薄膜層との間に他の第3薄膜層を挟んで繰り返して多層膜を形成しても良く、且つ、各薄膜層の1層当たりの厚みが10nm以下で成膜されている。
【0043】
更に、n型Alx1Ga1−x1As層(但し、0.8≦x1≦1)とn型Alx2Ga1−x2As層(但し、0≦x2≦0.2)とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜からなる一対のn型電流ブロック層20A,20A内で少なくとも1層の薄膜層は、熱抵抗率が各薄膜層を多層化した積層部分の平均の熱抵抗率よりも小さい材料を用いることで、熱抵抗率の低減を図っている。
【0044】
そして、上記のように構成した第1実施例の半導体レーザ素子10Aの動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極22側から図示下方のn型オ−ミック電極23側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極22→p型コンタクト層21→一対のn型電流ブロック層20A,20Aで狭窄されたリッジ部19→p型エッチング停止層16を介してp型第1クラッド層15→活性層14→n型クラッド層13→n型バッファ層12→n型GaAs基板11→n型オ−ミック電極23の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部19の下部に対応した部位の活性層14でレ−ザ発振して、活性層14からレーザ光を出射している。
【0045】
従って、この第1実施例の半導体レーザ素子10Aでは、一対のn型電流ブロック層20A,20Aを、先に従来例1で説明したようなAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に代えて、AlGaAs系の材料を用いて複数の化合物層を積層する際に元素数を削減した化合物層として例えば厚み7nmのn型AlAs層と例えば厚み3nmのn型GaAs層とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜としているので、とくに、元素数を削減したn型AlAs層及びn型GaAs層の熱抵抗率は、先に用いた図3により明らかなように、AlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に比べ非常に小さいため、この第1実施例で導入した一対のn型電流ブロック層20A,20Aは全体として熱抵抗率を非常に低く抑えることができる。
【0046】
この結果、第1実施例における活性層14に対応する発振波長(おおよそ785nm近傍)に対して、一対のn型電流ブロック層20A,20Aでは、実効的に、屈折率は平均組成(即ち、Al0.7Ga0.3As)に対応し、かつ、透明となるので、先に説明した従来例1の一対のn型電流ブロック層20,20(図1)に対し、同等の効果を備えつつ、熱抵抗率のみを格段に低く抑えられることになる。これに伴って、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な第1実施例の半導体レ−ザ素子10Aが得られる。
【0047】
次に、第1実施例の半導体レーザ素子10Aの製造方法について、図5(a)〜(d)を用いて工程順に説明する。
【0048】
まず、図5(a)に示した第1工程では、MOCVD(Metal Orgnic Chemical Vapour Deposition )法により第1回目の成長を行い、n型GaAs基板11の上面上に、n型GaAsバッファ層12(Siドーピング…1×1018cm−3)と、n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層13(Siドーピング…1×1018cm−3)と、ノンド−プMQW活性層14と、p型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層15(Znドーピング…5×1017cm−3)と、p型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層16(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層17(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型GaAsコンタクト18(Znドーピング…2×1018cm−3)とを順次積層して成膜する。
【0049】
次に、図5(b)に示した第2工程では、フォトリソグラフィ法を用いて、p型コンタクト層18上にSiO2等の絶縁層25及びレジスト26を成膜してレジストパタ−ンを形成し、p型エッチング停止層16が露出するまで選択エッチング液を用いてエッチング処理を施して略台形状のリッジ部19を形成する。ここで、リッジ部19の上辺の長さをL2に設定してエッチング処理を施すと、p型第2クラッド層17及びp型コンタクト層18の結晶方位と、エッチング処理速度との関係からリッジ部19が必然的に略台形状にエッチングされてリッジ部19の底辺の長さがL1となる。また、p型エッチング停止層16の膜厚は、15nm程度に設定している。
【0050】
次に、図5(c)に示した第3工程では、レジスト26を除去後、リッジ部19を覆った絶縁層25上及びp型エッチング停止層16上からMOCVD法により第2回目の成長を行い、n型AlAs層とn型GaAs層とを交互に複数回繰り返して積層した多層膜からなる一対のn型電流ブロック層20A,20A(Siドーピング…1×1018cm−3)を形成する。この時、絶縁層25上には結晶成長は行われないので、成長は選択的に行われる。
【0051】
次に、図5(d)に示した第4工程では、絶縁層25を除去後、MOCDV法により第3回目の成長を行い、リッジ部19のp型コンタクト層18上及び一対のn型電流ブロック層20A,20A上にp型GaAsコンタクト層21(Znドーピング…2×1019cm−3)を積層し、また、p型コンタクト層21上に金(Au)系のpオ−ミック電極22を積層し、更に、n型GaAs基板11の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極23を成膜することで、第1実施例の半導体レ−ザ10Aを製造している。
【0052】
次に、第1実施例を一部変形させた変形例について図6を用いて簡略に説明する。
【0053】
図6は本発明に係る第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0054】
図6に示した如く、本発明に係る第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子10Bでは、n型クラッド層13と活性層14とp型第1クラッド層15とによるダブルヘテロ構造の上方で、略台形状のリッジ部19の両側に形成した一対のn型電流ブロック層20B,20Bの層構造のみが先に説明した第1実施例と異なっている。
【0055】
ここで、上記した一対のn型電流ブロック層20B,20Bは、n型Al0. 5Ga0.5As層20B1と、n型AlAs層20B2と、n型Al0.5Ga0.5As層20B3とがそれぞれ略同じ膜厚で3層膜として形成されている。
【0056】
従って、この変形例では、一対のn型電流ブロック層20B,20Bを、先に従来例1で説明したようなAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に代えて、AlGaAs系の材料を用いて複数の化合物層を積層する際に等しい厚みを有するn型Al0.5Ga0.5As層20B1と、n型AlAs層20B2と、n型Al0.5Ga0.5As層20B3とで3層膜としているので、とくに、元素数を削減したn型AlAs層20B2の熱抵抗率は、先に用いた図3により明らかなように、AlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に比べ非常に小さいため、この変形例で導入した一対のn型電流ブロック層20B,20Bは全体として熱抵抗率を低く抑えることになる。これに伴って、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な変形例の半導体レ−ザ素子10Bが得られる。
【0057】
<第2実施例>
図7は本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子を示した断面図、
図8(a)〜(d)は本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【0058】
図7に示した本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子30Aは、先に図2を用いて説明した従来例2の半導体レーザ素子30に対して略台形状のリッジ部の両側に形成した一対のn型電流ブロック層の層構造のみが異なるものであり、ここでは説明の便宜上、従来例2に対して同じ構成部材に同一符号を付して適宜説明し、且つ、従来例2に対して異なる構成部材に新たな補助符号を付して異なる点を中心に説明する。
【0059】
図7に示した如く、本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子30Aでは、n型GaAs基板31の上面上に、n型GaAsバッファ層32と、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層33と、ノンド−プMQW活性層34と、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層35とが順次積層されており、n型クラッド層33と活性層34とp型第1クラッド層35とで周知のダブルヘテロ構造を構成し、更に、p型第1クラッド層35上にp型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層36が膜厚15nm程度成膜され、且つ、p型エッチング停止層36上の中央部位にp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層37とp型In0.5Ga0.5Pコンタクト層38とを積層したリッジ部39が略台形状に形されている点は従来例2と同じである。
【0060】
また、p型エッチング停止層36上の左右及び略台形状のリッジ部39の左右両側に沿って一対のn型電流ブロック層40A,40Aが先に説明した従来例2に対して層構造が異なって形成されており、この一対のn型電流ブロック層40A,40Aについては後述する。
【0061】
また、リッジ部39の上部及び一対のn型電流ブロック層40A,40Aの上部に、p型GaAsコンタクト層41が形成され、また、p型コンタクト層41上に金(Au)系のp型オ−ミック電極42が形成され、更に、n型GaAs基板31の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極43が形成されて、第2実施例の半導体レーザ素子30Aが作製されている。
【0062】
ここで、従来例2に対して異なる層構造を有する一対のn型電流ブロック層40A,40Aは、AlInP系の複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、複数の化合物層内に複数の元素材料を全て含ませると共に、複数の化合物層内に複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴としている。
【0063】
即ち、一対のn型電流ブロック層40A,40Aをより具体的に説明すると、一対のn型電流ブロック層40A,40Aは、厚みが薄いn型AlP層と、厚みが薄いn型InP層とを1層当たり10nm以下の厚みにそれぞれ設定した上で、両層を交互に複数回繰り返して積層した多層膜として形成されており、より具体的には、厚み5nmのn型AlP層と、厚み5nmのn型InP層とを交互に複数回繰り返して積層している。
【0064】
そして、上記のように構成した第2実施例の半導体レーザ素子30Aの動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極42側から図示下方のn型オ−ミック電極43側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極42→p型コンタクト層41→一対のn型電流ブロック層40A,40Aで狭窄されたリッジ部39→p型エッチング停止層36を介してp型第1クラッド層35→活性層34→n型クラッド層33→n型バッファ層32→n型GaAs基板31→n型オ−ミック電極43の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部39の下部に対応した部位の活性層34でレ−ザ発振して、活性層34からレーザ光を出射している。
【0065】
従って、この第2実施例の半導体レーザ素子30Aでは、一対のn型電流ブロック層40A,40Aを、先に従来例2で説明したようなAl0.5In0.5Pに代えて、例えば厚み5nmのn型AlP層と、厚み5nmのn型InP層とを複数回繰り返し積層した多層膜としている。ここで、一般にIII−V族化合物半導体では、三元化合物よりも二元化合物の方が熱抵抗率が小さいことが知られているので、上記したAlP及びInPの各熱抵抗率はAlInPに比べ小さいため、この第2実施例で導入した一対のn型電流ブロック層40A,40Aは全体として熱抵抗率を非常に低く抑えることができる。
【0066】
この結果、第2実施例における活性層34に対応する発振波長(おおよそ650nm近傍)に対して、一対のn型電流ブロック層40A,40Aでは、実効的に、屈折率は平均組成(即ち、Al0.5In0.5P)に対応し、かつ、透明となるので、先に説明した従来例2のp型第2クラッド層37(図2)に対し、同等の効果を備えつつ、熱抵抗率のみを格段に低く抑えられることになる。これに伴って、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な第2実施例の半導体レ−ザ素子30Aが得られる。
【0067】
次に、第2実施例の半導体レーザ素子30Aの製造方法について、図8(a)〜(d)を用いて工程順に説明する。
【0068】
まず、図8(a)に示した第1工程では、MOCVD(Metal Orgnic Chemical Vapour Deposition )法により第1回目の成長を行い、n型GaAs基板31の上面上に、n型GaAsバッファ層32(Siドーピング…1×1018cm−3)と、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層33(Siドーピング…1×1018cm−3)と、ノンド−プMQW活性層34と、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層35(Znドーピング…5×1017cm−3)と、p型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層36(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層37(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型In0.5Ga0.5Pコンタクト層38(Znドーピング…2×1018cm−3)とを順次積層して成膜する。
【0069】
次に、図8(b)に示した第2工程では、フォトリソグラフィ法を用いて、p型コンタクト層38上にSiO2等の絶縁層45及びレジスト46を成膜してレジストパタ−ンを形成し、p型エッチング停止層36が露出するまで選択エッチング液を用いてエッチング処理を施して略台形状のリッジ部39を形成する。ここで、リッジ部39の上辺の長さをL2に設定してエッチング処理を施すと、p型第2クラッド層37及びp型コンタクト層38の結晶方位と、エッチング処理速度との関係からリッジ部39が必然的に略台形状にエッチングされてリッジ部39の底辺の長さがL1となる。また、p型エッチング停止層36の膜厚は、15nm程度に設定している。
【0070】
次に、図8(c)に示した第3工程では、レジスト46を除去後、リッジ部39を覆った絶縁層45上及びp型エッチング停止層36上からMOCVD法により第2回目の成長を行い、n型AlP層とn型InP層と交互に複数回繰り返し積層した一対のn型電流ブロック層40A,40A(Siドーピング…1×1018cm−3)を形成する。この時、絶縁層45上には結晶成長は行われないので、成長は選択的に行われる。
【0071】
次に、図8(d)に示した第4工程では、絶縁層45を除去後、MOCDV法により第3回目の成長を行い、リッジ部39のp型コンタクト層38上及び一対のn型電流ブロック層40A,40A上にp型GaAsコンタクト層41(Znドーピング…2×1019cm−3)を積層し、また、p型コンタクト層41上に金(Au)系のpオ−ミック電極4を積層し、更に、n型GaAs基板31の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極43を成膜することで、第2実施例の半導体レ−ザ10Aを製造している。
【0072】
尚、以上の第1,第2実施例では、半導体レーザの層材料としてAlGaAs系又はAlGaInP系の材料を用いたが、言うまでもなく、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。さらに、本実施例では、内部狭窄型の半導体レーザ構造の例として順メサのリッジ導波路を備える構造を取り上げたが、本発明はこの例に限定されるものではなく、広く一般の内部狭窄型の半導体レーザに適用可能であることは言うまでもない。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る半導体レーザ素子によれば、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した際、前記一対のn型電流ブロック層は、複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、前記複数の化合物層内に前記複数の元素材料を全て含ませると共に、該複数の化合物層内に該複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませているので、一対のn型電流ブロック層は全体として熱抵抗率を非常に低く抑えることができ、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な半導体レ−ザ素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例1として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaAs第2クラッド層とp型GaAsコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlGaAs電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【図2】従来例2として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaInP第2クラッド層とp型InGaPコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlInP電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【図3】AlxGa1−xAsの熱抵抗率のx依存性を示した図である。
【図4】本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【図6】本発明に係る第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図7】本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図8】(a)〜(d)は本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【符号の説明】
10A…第1実施例の半導体レーザ素子、
11…n型GaAs基板、12…n型GaAsバッファ層、
13…n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層、
14…ノンド−プMQW活性層、
15…p型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層、
16…p型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層、
17…p型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層、
18…p型GaAsコンタクト層、
19…リッジ部、
20A,20A…多層膜からなるn型電流ブロック層、
21…p型GaAsコンタクト層、
22…p型オ−ミック電極、23…n型オ−ミック電極、
10B…第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子、
20B,20B…3層膜からなるn型電流ブロック層、
30A…第2実施例の半導体レーザ素子、
31…n型GaAs基板、32…n型GaAsバッファ層、
33…n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層、
34…ノンド−プMQW活性層、
35…p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層、
36…p型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層、
37…p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層、
38…p型In0.5Ga0.5Pコンタクト層、
39…リッジ部、
40A,40A…多層膜からなるn型電流ブロック層、
41…p型GaAsコンタクト層、
42…p型オ−ミック電極、43…n型オ−ミック電極。
【発明の属する技術分野】
本発明は、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、光ディスク装置や通信機器などでは、光源として半導体レ−ザ素子が多用されている。上記した半導体レ−ザ素子は各種の構造形態があるものの、レーザ光を高出力で出射させるために、AlGaAs電流ブロック層を有する内部狭窄型の半導体レーザ素子がある(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
【非特許文献1】
第41回応用物理学関係連合講演会/講演予稿集No.3/p989/28p−K−4
【0004】
【非特許文献2】
第57回応用物理学会学術講演会/講演予稿集No.3/p921/7a−KH−7
【0005】
図1は従来例1として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaAs第2クラッド層とp型GaAsコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlGaAs電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【0006】
尚、以下の説明において、半導体レ−ザ素子を構成する各層のドーピング材料は必要に応じて説明すると共に、各層の成分組成も必要に応じて説明し、必要箇所以外では同じ符番を付して簡素化した部品名を用いて説明する。
【0007】
図1に示した如く、従来例1の半導体レ−ザ素子10では、基板上の各層にAlGaAs系の材料を主として用いている。即ち、n型GaAs基板11の上面上に、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型GaAsバッファ層12と、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型Al0.5Ga0.5Asクラッド層13と、ノンド−プMQW活性層14(以下、活性層14と呼称する)と、亜鉛(Zn)を5×1017cm−3ドーピングしたp型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層15とが順次積層されており、n型クラッド層13と活性層14とp型第1クラッド層15とで周知のダブルヘテロ構造を構成している。
【0008】
この際、上記した活性層14は、例えば、二重量子井戸構造(MQW)で、ノンドープAl0.1Ga0.9Asウェル層とノンドープAl0.3Ga0.7Asバリヤ層とにより構成されている。
【0009】
また、p型第1クラッド層15上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3ドーピングしたp型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層16が膜厚15nm〜50nm程度成膜されている。この際、p型エッチング停止層16は、p型第1クラッド層15の上方に後述するリッジ部19をエッチング処理により略台形状に形成するために設けたものである。
【0010】
また、p型エッチング停止層16上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3ドーピングしたp型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層17と、亜鉛(Zn)を2×1018cm−3ドーピングしたp型GaAsコンタクト層18とが積層され、且つ、p型第2クラッド層17及びp型コンタクト層18の左右両側をp型エッチング停止層16に至るまでエッチング処理することで、両層17,18を合わせて略台形状のリッジ部19がp型エッチング停止層16上の略中央部位に形成されている。この際、リッジ部19はエッチング処理により底辺の長さL1が上辺の長さL2より大きく略台形状に形成されている。
【0011】
また、シリコン(Si)を1×1018cm−3以上ドーピングした一対のn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層(電流狭窄層とも呼称する)20,20がp型エッチング停止層16上の左右及び略台形状のリッジ部19の左右両側に沿って形成されている。これら一対のn型電流ブロック層20,20は、p型第2クラッド層17のみに電流経路を狭窄するためのものである。
【0012】
また、リッジ部19の上部及び一対のn型電流ブロック層20,20の上部には、亜鉛(Zn)を2×1019cm−3ドーピングしたp型GaAsコンタクト層21が形成されている。
【0013】
また、p型コンタクト層21上には、金(Au)系のp型オ−ミック電極22が形成され、更に、n型GaAs基板11の下面には、金(Au)系のn型オ−ミック電極23が形成されて、従来例1の半導体レーザ素子10が作製されている。
【0014】
ここで、上記のように構成した従来例1の半導体レーザ素子10の動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極22側から図示下方のn型オ−ミック電極23側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極22→p型コンタクト層21→一対のn型電流ブロック層20,20で狭窄されたリッジ部19→p型エッチング停止層16を介してp型第1クラッド層15→活性層14→n型クラッド層13→n型バッファ層12→n型GaAs基板11→n型オ−ミック電極23の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部19の下部に対応した部位の活性層14でレ−ザ発振して、活性層14からレーザ光を出射している。
【0015】
次に、各層にAlGaAs系の材料を主として用いた従来例1の半導体レ−ザ素子10に対して、各層にAlGaInP系の材料を主として用いた半導体レ−ザ素子について図2を用いて説明する。
【0016】
図2は従来例2として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaInP第2クラッド層とp型InGaPコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlInP電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【0017】
図2に示した如く、従来例2の半導体レ−ザ素子30では、n型GaAs基板31の上面上に、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型GaAsバッファ層32と、シリコン(Si)を1×1018cm−3ドーピングしたn型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層33と、ノンド−プMQW活性層34(以下、活性層34と呼称す)と、亜鉛(Zn)を5×1017cm−3ドーピングしたp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層35とが順次積層されており、n型クラッド層33と活性層34とp型第1クラッド層35とで周知のダブルヘテロ構造を構成している。
【0018】
この際、上記した活性層34は、例えば、二重量子井戸構造(MQW)で、ノンドープIn0.5Ga0.5Pウェル層とノンドープ(Al0.3Ga0.7)0.5In0.5Pバリヤ層とにより構成されている。
【0019】
また、p型第1クラッド層35上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3ドーピングしたp型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層36が膜厚15nm〜50nm程度成膜されている。この際、p型エッチング停止層36は、p型第1クラッド層35の上方に後述するリッジ部39をエッチング処理により略台形状に形成するために設けたものである。
【0020】
また、p型エッチング停止層36上には、亜鉛(Zn)を1×1018cm−3にドーピングしたp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層37と、亜鉛(Zn)を2×1018cm−3ドーピングしたp型In0.5Ga0.5Pコンタクト層38とが積層され、且つ、p型第2クラッド層37及びp型コンタクト層38の左右両側をp型エッチング停止層36に至るまでエッチング処理することで、両層37,38を合わせて略台形状のリッジ部39がp型エッチング停止層36上の略中央部位に形成されている。この際、リッジ部39はエッチング処理により底辺の長さL1が上辺の長さL2より大きく略台形状に形成されている。
【0021】
また、シリコン(Si)を1×1018cm−3以上ドーピングした一対のn型Al0.5In0.5P電流ブロック層(電流狭窄層とも呼称する)40,40がp型エッチング停止層36上の左右及び略台形状のリッジ部39の左右両側に沿って形成されている。これら一対のn型電流ブロック層40,40は、p型第2クラッド層37のみに電流経路を狭窄するためのものである。
【0022】
また、リッジ部39の上部及び一対のn型電流ブロック層40,40の上部には、亜鉛(Zn)を2×1019cm−3ドーピングしたp型GaAsコンタクト層41が形成されている。
【0023】
また、p型コンタクト層41上には、金(Au)系のp型オ−ミック電極42が形成され、更に、n型GaAs基板31の下面には、金(Au)系のn型オ−ミック電極43が形成されて、従来例2の半導体レーザ素子30が作製されている。
【0024】
ここで、上記のように構成した従来例2の半導体レーザ素子30の動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極42側から図示下方のn型オ−ミック電極43側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極42→p型コンタクト層41→一対のn型電流ブロック層40,40で狭窄されたリッジ部39→p型エッチング停止層36を介してp型第1クラッド層35→活性層34→n型クラッド層33→n型バッファ層32→n型GaAs基板31→n型オ−ミック電極43の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部39の下部に対応した部位の活性層34でレ−ザ発振して、活性層34からレーザ光を出射している。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来例1,2の半導体レ−ザ素子10,30のような構造では、動作時に、一対のn型電流ブロック層(20,20),(40,40)で狭窄されたリッジ部19,39を電流が通過する際に生じるジュール熱により、半導体レ−ザ素子10,30の温度が上昇する。
【0026】
この際、高出力動作させるために大きな電流が必要な場合や、半導体レ−ザ素子10,30そのものが高い温度環境に置かれて動作せざるを得ない場合などでは、良好なレーザ特性を維持する上で、半導体レ−ザ素子10,30内部で生じる熱の外部への放散が非常に重要になる。
【0027】
しかしながら、従来例1,2の半導体レ−ザ素子10,30では、もっともジュール熱の発生が著しいリッジ部19,39の両側が一対のn型電流ブロック層(20,20),(40,40)で囲まれ、且つ、一対のn型電流ブロック層(20,20),(40,40)が熱抵抗率の大きい材料で構成されているために、発生した熱の放散が効率的に行われず、結果として、半導体レ−ザ素子10,30の温度が上昇し易いという問題があった。
【0028】
例えば、各層にAlGaAs系の材料を主として用いた従来例1の半導体レ−ザ素子10のような構造では、一対のn型電流ブロック層20,20として一般的にはAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)の組成が用いられており、その具体例として従来例1ではx=0.7に設定した場合に一対のn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層20,20について述べた。これに類似の構造は、ここでの図示を省略するものの、例えば、前記した非特許文献1,2等に公表されている。
【0029】
ここで、図3はAlxGa1−xAsの熱抵抗率のx依存性(半導体レーザ/p.35/応用物理学会編・伊賀健一編著/オーム社)を示している。この図3から一対のn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層20,20にAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)を用いた場合には熱抵抗率が大きくなり、半導体レ−ザ素子10の温度上昇が発生し易くなってしまう。
【0030】
一方、各層にAlGaInP系の材料を主として用いた従来例2の半導体レ−ザ素子30のような構造でも、一対のn型電流ブロック層40,40にAlInPからなる3元化合物が用いられており、この3元化合物を用いた場合にも熱抵抗率が大きくなり、半導体レ−ザ素子30の温度上昇が発生し易くなってしまう。
【0031】
そこで、上記のような問題点を解消するために、電流ブロック層で挟まれた狭い領域で発生するジュール熱を効果的に放散し、高温動作に対して強い半導体レ−ザ素子が望まれている。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、前記ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、前記リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した半導体レーザ素子において、
前記一対のn型電流ブロック層は、複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、前記複数の化合物層内に前記複数の元素材料を全て含ませると共に、該複数の化合物層内に該複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴とする半導体レーザ素子である。
【0033】
また、第2の発明は、上記した第1の発明の半導体レーザ素子において、
前記一対のn型電流ブロック層は、前記複数の元素材料としてAlGaAs系の材料又はAlInP系の材料を用いたことを特徴とする半導体レーザ素子である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る半導体レーザ素子の一実施例を図4乃至図8を参照して<第1実施例>,<第2実施例>の順に詳細に説明する。
【0035】
<第1実施例>
図4は本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子を示した断面図、
図5(a)〜(d)は本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【0036】
図4に示した本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子10Aは、先に図1を用いて説明した従来例1の半導体レーザ素子10に対して略台形状のリッジ部の両側に形成した一対のn型電流ブロック層の層構造のみが異なるものであり、ここでは説明の便宜上、従来例1に対して同じ構成部材に同一符号を付して適宜説明し、且つ、従来例1に対して異なる構成部材に新たな補助符号を付して異なる点を中心に説明する。
【0037】
図4に示した如く、本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子10Aでは、n型GaAs基板11の上面上に、n型GaAsバッファ層12と、n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層13と、ノンド−プMQW活性層14と、p型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層15とが順次積層されており、n型クラッド層13と活性層14とp型第1クラッド層15とで周知のダブルヘテロ構造を構成し、更に、p型第1クラッド層15上にp型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層16が膜厚15nm程度成膜され、且つ、p型エッチング停止層16上の中央部位にp型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層17とp型GaAsコンタクト層18とを積層したリッジ部19が略台形状に形されている点は従来例1と同じである。
【0038】
また、p型エッチング停止層16上の左右及び略台形状のリッジ部19の左右両側に沿って一対のn型電流ブロック層20A,20Aが先に説明した従来例1に対して層構造が異なって形成されており、この一対のn型電流ブロック層20A,20Aについては後述する。
【0039】
また、リッジ部19の上部及び一対のn型電流ブロック層20A,20Aの上部に、p型GaAsコンタクト層21が形成され、また、p型コンタクト層21上に金(Au)系のp型オ−ミック電極22が形成され、更に、n型GaAs基板11の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極23が形成されて、第1実施例の半導体レーザ素子10Aが作製されている。
【0040】
ここで、従来例1に対して異なる層構造を有する一対のn型電流ブロック層20A,20Aは、AlGaAs系の複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、複数の化合物層内に複数の元素材料を全て含ませると共に、複数の化合物層内に複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴としている。
【0041】
即ち、一対のn型電流ブロック層20A,20Aをより具体的に説明すると、一対のn型電流ブロック層20A,20Aは、薄い厚みのn型Alx1Ga1−x1As層(但し、0.8≦x1≦1)と、薄い厚みのn型Alx2Ga1−x2As層(但し、0≦x2≦0.2)とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜として形成されている。この際、上記したx1の範囲内において例えばx1=1に設定した場合に、薄い厚み(例えば7nm)のn型Alx1Ga1−x1As層がn型AlAs層となり、一方、上記したx2の範囲内において例えばx2=0に設定した場合に、薄い厚み(例えば3nm)のn型Alx2Ga1−x2As層がn型GaAs層となり、これに伴って一対のn型電流ブロック層20A,20Aが例えば厚み7nmのn型AlAs層と例えば厚み3nmのn型GaAs層とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜として形成されている。
【0042】
ここで、一対のn型電流ブロック層20A,20A内において、上記したn型AlAs層はバンドギャップエネルギーが大きい第1薄膜層として機能し、一方、上記したn型GaAs層はn型AlAs層よりもバンドギャップエネルギーが小さい第2薄膜層として機能した状態で、第1薄膜層と第2薄膜層とを交互に繰り返して多層膜を形成しているが、これに限ることなく、第1薄膜層と第2薄膜層との間に他の第3薄膜層を挟んで繰り返して多層膜を形成しても良く、且つ、各薄膜層の1層当たりの厚みが10nm以下で成膜されている。
【0043】
更に、n型Alx1Ga1−x1As層(但し、0.8≦x1≦1)とn型Alx2Ga1−x2As層(但し、0≦x2≦0.2)とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜からなる一対のn型電流ブロック層20A,20A内で少なくとも1層の薄膜層は、熱抵抗率が各薄膜層を多層化した積層部分の平均の熱抵抗率よりも小さい材料を用いることで、熱抵抗率の低減を図っている。
【0044】
そして、上記のように構成した第1実施例の半導体レーザ素子10Aの動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極22側から図示下方のn型オ−ミック電極23側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極22→p型コンタクト層21→一対のn型電流ブロック層20A,20Aで狭窄されたリッジ部19→p型エッチング停止層16を介してp型第1クラッド層15→活性層14→n型クラッド層13→n型バッファ層12→n型GaAs基板11→n型オ−ミック電極23の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部19の下部に対応した部位の活性層14でレ−ザ発振して、活性層14からレーザ光を出射している。
【0045】
従って、この第1実施例の半導体レーザ素子10Aでは、一対のn型電流ブロック層20A,20Aを、先に従来例1で説明したようなAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に代えて、AlGaAs系の材料を用いて複数の化合物層を積層する際に元素数を削減した化合物層として例えば厚み7nmのn型AlAs層と例えば厚み3nmのn型GaAs層とを交互に複数回繰り返し積層した多層膜としているので、とくに、元素数を削減したn型AlAs層及びn型GaAs層の熱抵抗率は、先に用いた図3により明らかなように、AlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に比べ非常に小さいため、この第1実施例で導入した一対のn型電流ブロック層20A,20Aは全体として熱抵抗率を非常に低く抑えることができる。
【0046】
この結果、第1実施例における活性層14に対応する発振波長(おおよそ785nm近傍)に対して、一対のn型電流ブロック層20A,20Aでは、実効的に、屈折率は平均組成(即ち、Al0.7Ga0.3As)に対応し、かつ、透明となるので、先に説明した従来例1の一対のn型電流ブロック層20,20(図1)に対し、同等の効果を備えつつ、熱抵抗率のみを格段に低く抑えられることになる。これに伴って、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な第1実施例の半導体レ−ザ素子10Aが得られる。
【0047】
次に、第1実施例の半導体レーザ素子10Aの製造方法について、図5(a)〜(d)を用いて工程順に説明する。
【0048】
まず、図5(a)に示した第1工程では、MOCVD(Metal Orgnic Chemical Vapour Deposition )法により第1回目の成長を行い、n型GaAs基板11の上面上に、n型GaAsバッファ層12(Siドーピング…1×1018cm−3)と、n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層13(Siドーピング…1×1018cm−3)と、ノンド−プMQW活性層14と、p型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層15(Znドーピング…5×1017cm−3)と、p型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層16(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層17(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型GaAsコンタクト18(Znドーピング…2×1018cm−3)とを順次積層して成膜する。
【0049】
次に、図5(b)に示した第2工程では、フォトリソグラフィ法を用いて、p型コンタクト層18上にSiO2等の絶縁層25及びレジスト26を成膜してレジストパタ−ンを形成し、p型エッチング停止層16が露出するまで選択エッチング液を用いてエッチング処理を施して略台形状のリッジ部19を形成する。ここで、リッジ部19の上辺の長さをL2に設定してエッチング処理を施すと、p型第2クラッド層17及びp型コンタクト層18の結晶方位と、エッチング処理速度との関係からリッジ部19が必然的に略台形状にエッチングされてリッジ部19の底辺の長さがL1となる。また、p型エッチング停止層16の膜厚は、15nm程度に設定している。
【0050】
次に、図5(c)に示した第3工程では、レジスト26を除去後、リッジ部19を覆った絶縁層25上及びp型エッチング停止層16上からMOCVD法により第2回目の成長を行い、n型AlAs層とn型GaAs層とを交互に複数回繰り返して積層した多層膜からなる一対のn型電流ブロック層20A,20A(Siドーピング…1×1018cm−3)を形成する。この時、絶縁層25上には結晶成長は行われないので、成長は選択的に行われる。
【0051】
次に、図5(d)に示した第4工程では、絶縁層25を除去後、MOCDV法により第3回目の成長を行い、リッジ部19のp型コンタクト層18上及び一対のn型電流ブロック層20A,20A上にp型GaAsコンタクト層21(Znドーピング…2×1019cm−3)を積層し、また、p型コンタクト層21上に金(Au)系のpオ−ミック電極22を積層し、更に、n型GaAs基板11の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極23を成膜することで、第1実施例の半導体レ−ザ10Aを製造している。
【0052】
次に、第1実施例を一部変形させた変形例について図6を用いて簡略に説明する。
【0053】
図6は本発明に係る第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【0054】
図6に示した如く、本発明に係る第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子10Bでは、n型クラッド層13と活性層14とp型第1クラッド層15とによるダブルヘテロ構造の上方で、略台形状のリッジ部19の両側に形成した一対のn型電流ブロック層20B,20Bの層構造のみが先に説明した第1実施例と異なっている。
【0055】
ここで、上記した一対のn型電流ブロック層20B,20Bは、n型Al0. 5Ga0.5As層20B1と、n型AlAs層20B2と、n型Al0.5Ga0.5As層20B3とがそれぞれ略同じ膜厚で3層膜として形成されている。
【0056】
従って、この変形例では、一対のn型電流ブロック層20B,20Bを、先に従来例1で説明したようなAlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に代えて、AlGaAs系の材料を用いて複数の化合物層を積層する際に等しい厚みを有するn型Al0.5Ga0.5As層20B1と、n型AlAs層20B2と、n型Al0.5Ga0.5As層20B3とで3層膜としているので、とくに、元素数を削減したn型AlAs層20B2の熱抵抗率は、先に用いた図3により明らかなように、AlxGa1−xAs(但し、0.5<x<0.8)に比べ非常に小さいため、この変形例で導入した一対のn型電流ブロック層20B,20Bは全体として熱抵抗率を低く抑えることになる。これに伴って、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な変形例の半導体レ−ザ素子10Bが得られる。
【0057】
<第2実施例>
図7は本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子を示した断面図、
図8(a)〜(d)は本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【0058】
図7に示した本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子30Aは、先に図2を用いて説明した従来例2の半導体レーザ素子30に対して略台形状のリッジ部の両側に形成した一対のn型電流ブロック層の層構造のみが異なるものであり、ここでは説明の便宜上、従来例2に対して同じ構成部材に同一符号を付して適宜説明し、且つ、従来例2に対して異なる構成部材に新たな補助符号を付して異なる点を中心に説明する。
【0059】
図7に示した如く、本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子30Aでは、n型GaAs基板31の上面上に、n型GaAsバッファ層32と、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層33と、ノンド−プMQW活性層34と、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層35とが順次積層されており、n型クラッド層33と活性層34とp型第1クラッド層35とで周知のダブルヘテロ構造を構成し、更に、p型第1クラッド層35上にp型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層36が膜厚15nm程度成膜され、且つ、p型エッチング停止層36上の中央部位にp型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層37とp型In0.5Ga0.5Pコンタクト層38とを積層したリッジ部39が略台形状に形されている点は従来例2と同じである。
【0060】
また、p型エッチング停止層36上の左右及び略台形状のリッジ部39の左右両側に沿って一対のn型電流ブロック層40A,40Aが先に説明した従来例2に対して層構造が異なって形成されており、この一対のn型電流ブロック層40A,40Aについては後述する。
【0061】
また、リッジ部39の上部及び一対のn型電流ブロック層40A,40Aの上部に、p型GaAsコンタクト層41が形成され、また、p型コンタクト層41上に金(Au)系のp型オ−ミック電極42が形成され、更に、n型GaAs基板31の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極43が形成されて、第2実施例の半導体レーザ素子30Aが作製されている。
【0062】
ここで、従来例2に対して異なる層構造を有する一対のn型電流ブロック層40A,40Aは、AlInP系の複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、複数の化合物層内に複数の元素材料を全て含ませると共に、複数の化合物層内に複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴としている。
【0063】
即ち、一対のn型電流ブロック層40A,40Aをより具体的に説明すると、一対のn型電流ブロック層40A,40Aは、厚みが薄いn型AlP層と、厚みが薄いn型InP層とを1層当たり10nm以下の厚みにそれぞれ設定した上で、両層を交互に複数回繰り返して積層した多層膜として形成されており、より具体的には、厚み5nmのn型AlP層と、厚み5nmのn型InP層とを交互に複数回繰り返して積層している。
【0064】
そして、上記のように構成した第2実施例の半導体レーザ素子30Aの動作を説明すると、図示上方のp型オ−ミック電極42側から図示下方のn型オ−ミック電極43側に向かって順方向電流を注入すると、電流はp型オ−ミック電極42→p型コンタクト層41→一対のn型電流ブロック層40A,40Aで狭窄されたリッジ部39→p型エッチング停止層36を介してp型第1クラッド層35→活性層34→n型クラッド層33→n型バッファ層32→n型GaAs基板31→n型オ−ミック電極43の順で流れ、発振しきい値以上になるとリッジ部39の下部に対応した部位の活性層34でレ−ザ発振して、活性層34からレーザ光を出射している。
【0065】
従って、この第2実施例の半導体レーザ素子30Aでは、一対のn型電流ブロック層40A,40Aを、先に従来例2で説明したようなAl0.5In0.5Pに代えて、例えば厚み5nmのn型AlP層と、厚み5nmのn型InP層とを複数回繰り返し積層した多層膜としている。ここで、一般にIII−V族化合物半導体では、三元化合物よりも二元化合物の方が熱抵抗率が小さいことが知られているので、上記したAlP及びInPの各熱抵抗率はAlInPに比べ小さいため、この第2実施例で導入した一対のn型電流ブロック層40A,40Aは全体として熱抵抗率を非常に低く抑えることができる。
【0066】
この結果、第2実施例における活性層34に対応する発振波長(おおよそ650nm近傍)に対して、一対のn型電流ブロック層40A,40Aでは、実効的に、屈折率は平均組成(即ち、Al0.5In0.5P)に対応し、かつ、透明となるので、先に説明した従来例2のp型第2クラッド層37(図2)に対し、同等の効果を備えつつ、熱抵抗率のみを格段に低く抑えられることになる。これに伴って、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な第2実施例の半導体レ−ザ素子30Aが得られる。
【0067】
次に、第2実施例の半導体レーザ素子30Aの製造方法について、図8(a)〜(d)を用いて工程順に説明する。
【0068】
まず、図8(a)に示した第1工程では、MOCVD(Metal Orgnic Chemical Vapour Deposition )法により第1回目の成長を行い、n型GaAs基板31の上面上に、n型GaAsバッファ層32(Siドーピング…1×1018cm−3)と、n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層33(Siドーピング…1×1018cm−3)と、ノンド−プMQW活性層34と、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層35(Znドーピング…5×1017cm−3)と、p型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層36(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層37(Znドーピング…1×1018cm−3)と、p型In0.5Ga0.5Pコンタクト層38(Znドーピング…2×1018cm−3)とを順次積層して成膜する。
【0069】
次に、図8(b)に示した第2工程では、フォトリソグラフィ法を用いて、p型コンタクト層38上にSiO2等の絶縁層45及びレジスト46を成膜してレジストパタ−ンを形成し、p型エッチング停止層36が露出するまで選択エッチング液を用いてエッチング処理を施して略台形状のリッジ部39を形成する。ここで、リッジ部39の上辺の長さをL2に設定してエッチング処理を施すと、p型第2クラッド層37及びp型コンタクト層38の結晶方位と、エッチング処理速度との関係からリッジ部39が必然的に略台形状にエッチングされてリッジ部39の底辺の長さがL1となる。また、p型エッチング停止層36の膜厚は、15nm程度に設定している。
【0070】
次に、図8(c)に示した第3工程では、レジスト46を除去後、リッジ部39を覆った絶縁層45上及びp型エッチング停止層36上からMOCVD法により第2回目の成長を行い、n型AlP層とn型InP層と交互に複数回繰り返し積層した一対のn型電流ブロック層40A,40A(Siドーピング…1×1018cm−3)を形成する。この時、絶縁層45上には結晶成長は行われないので、成長は選択的に行われる。
【0071】
次に、図8(d)に示した第4工程では、絶縁層45を除去後、MOCDV法により第3回目の成長を行い、リッジ部39のp型コンタクト層38上及び一対のn型電流ブロック層40A,40A上にp型GaAsコンタクト層41(Znドーピング…2×1019cm−3)を積層し、また、p型コンタクト層41上に金(Au)系のpオ−ミック電極4を積層し、更に、n型GaAs基板31の下面に金(Au)系のn型オ−ミック電極43を成膜することで、第2実施例の半導体レ−ザ10Aを製造している。
【0072】
尚、以上の第1,第2実施例では、半導体レーザの層材料としてAlGaAs系又はAlGaInP系の材料を用いたが、言うまでもなく、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。さらに、本実施例では、内部狭窄型の半導体レーザ構造の例として順メサのリッジ導波路を備える構造を取り上げたが、本発明はこの例に限定されるものではなく、広く一般の内部狭窄型の半導体レーザに適用可能であることは言うまでもない。
【0073】
【発明の効果】
以上詳述した本発明に係る半導体レーザ素子によれば、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した際、前記一対のn型電流ブロック層は、複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、前記複数の化合物層内に前記複数の元素材料を全て含ませると共に、該複数の化合物層内に該複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませているので、一対のn型電流ブロック層は全体として熱抵抗率を非常に低く抑えることができ、効果的に素子内部で発生する熱の放散が行われるので、高温特性に優れ、信頼性の高い良好な半導体レ−ザ素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例1として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaAs第2クラッド層とp型GaAsコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlGaAs電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【図2】従来例2として、n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とからなるダブルヘテロ構造の上方に、p型AlGaInP第2クラッド層とp型InGaPコンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、リッジ部の両側に一対のn型AlInP電流ブロック層を形成した一般的な半導体レ−ザ素子を示した断面図である。
【図3】AlxGa1−xAsの熱抵抗率のx依存性を示した図である。
【図4】本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明に係る第1実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【図6】本発明に係る第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図7】本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子を示した断面図である。
【図8】(a)〜(d)は本発明に係る第2実施例の半導体レーザ素子の製造方法を工程順に示した断面図である。
【符号の説明】
10A…第1実施例の半導体レーザ素子、
11…n型GaAs基板、12…n型GaAsバッファ層、
13…n型Al0.5Ga0.5Asクラッド層、
14…ノンド−プMQW活性層、
15…p型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層、
16…p型Al0.7Ga0.3Asエッチング停止層、
17…p型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層、
18…p型GaAsコンタクト層、
19…リッジ部、
20A,20A…多層膜からなるn型電流ブロック層、
21…p型GaAsコンタクト層、
22…p型オ−ミック電極、23…n型オ−ミック電極、
10B…第1実施例を一部変形させた変形例の半導体レーザ素子、
20B,20B…3層膜からなるn型電流ブロック層、
30A…第2実施例の半導体レーザ素子、
31…n型GaAs基板、32…n型GaAsバッファ層、
33…n型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pクラッド層、
34…ノンド−プMQW活性層、
35…p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第1クラッド層、
36…p型In0.5Ga0.5Pエッチング停止層、
37…p型(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5P第2クラッド層、
38…p型In0.5Ga0.5Pコンタクト層、
39…リッジ部、
40A,40A…多層膜からなるn型電流ブロック層、
41…p型GaAsコンタクト層、
42…p型オ−ミック電極、43…n型オ−ミック電極。
Claims (2)
- n型クラッド層と、活性層と、p型第1クラッド層とを順に積層してダブルヘテロ構造を構成し、且つ、前記ダブルヘテロ構造の上方にp型第2クラッド層とp型コンタクト層とを積層してリッジ部を略台形状に形成すると共に、前記リッジ部の両側に一対のn型電流ブロック層を形成した半導体レーザ素子において、
前記一対のn型電流ブロック層は、複数の元素材料を用いて複数の化合物層を積層して形成し、且つ、前記複数の化合物層内に前記複数の元素材料を全て含ませると共に、該複数の化合物層内に該複数の元素材料の元素数よりも元素数を削減した化合物層を少なくとも一つ以上含ませたことを特徴とする半導体レーザ素子。 - 請求項1記載の半導体レーザ素子において、
前記一対のn型電流ブロック層は、前記複数の元素材料としてAlGaAs系の材料又はAlInP系の材料を用いたことを特徴とする半導体レーザ素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003122423A JP2004327838A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 半導体レーザ素子 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003122423A JP2004327838A (ja) | 2003-04-25 | 2003-04-25 | 半導体レーザ素子 |
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ID=33500658
Family Applications (1)
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-
2003
- 2003-04-25 JP JP2003122423A patent/JP2004327838A/ja active Pending
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