JP2004327414A - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】上部透明電極作製時のスパッタリングによるダメージを緩和する一方で、十分な導電性および光透過性を有し、さらに電子注入効率に優れたバッファ層を備えた有機EL素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】基板上に、下部電極と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、上部透明電極側から光を取り出す有機EL素子であって、バッファ層を、透明材料を含む2以上の第1の層と、第1の層の上に積層され金属または合金を含む2以上の第2の層とからなる多層構造とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機EL素子の構造およびその製造方法に関する。より詳細には、トップエミッション方式の有機EL素子におけるバッファ層の構造およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表示装置に適用される発光素子の一例として、有機化合物の薄膜積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」と称する)が知られている。1987年、イーストマンコダック社のC.W.Tangらによって、高効率の発光を実現する2層積層構造の素子が発表されて以来、有機EL素子の実用化に向けて様々な検討がなされている(非特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、有機ELディスプレイの分野では、近年、アクティブマトリックス駆動方式のディスプレイの開発が盛んに行われている。アクティブマトリックス駆動方式のディスプレイでは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)が設置された基板の上に、複数個の有機EL素子を形成し、それらを発光源とすることによってディスプレイを構成している。現状におけるアクティブマトリックス駆動方式のディスプレイでは、TFTまたは有機EL素子の特性のバラツキが大きく、そのようなバラツキを補正するために様々な駆動回路が必要となる。そして、駆動回路が複雑になると、一画素を駆動するために必要とされるTFTの数が増加することになる。
【0004】
ディスプレイに適用される有機EL素子は、一般に、光をガラス基板面から取り出す、いわゆるボトムエミッション方式(以下、「Bottom−Em型」と称す)として構成する場合が多い。図1(a)にBottom−Em型有機EL素子の模式的断面図を示す。しかし、このようなBottom−Em型有機EL素子をアクティブマトリックス駆動方式のディスプレイに適用した場合、TFTの数の増加に伴い、下部電極における光の取り出し面積が小さくなってしまう。したがって、アクティブマトリックス駆動方式のディスプレイを構成する場合、Bottom−Em型有機EL素子(図1(a))よりも、光を上部電極側から取り出す「トップエミッション」方式(以下「Top−Em型」と称す)の方が構造的に有利となり、そのような素子の開発が進められている。図1(b)にTop−Em型有機EL素子の模式的断面図を示す。
【0005】
Top−Em型有機EL素子において、上部電極は十分な光透過性を有する必要がある。そのため、一般に、可視光に対して透過率が大きく、かつ大きな電気伝導性を示す物質からなる透明導電性膜を上部電極として使用する。透明導電性膜には、Au、Ag、Cu、Pt、Phなどの金属薄膜(膜厚5nm以下)、SnO、TiO、CdO、In、ZnOなどの酸化物半導体薄膜およびそれらの複合系であるITO(インジウム−スズ酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)などの酸化物半導体薄膜がある。金属薄膜は光の吸収が大きく、しかも硬度が低く安定性も悪いため、透明導電性膜としては主に酸化物半導体薄膜が用いられる。特に、ITO、IZOなどからなる透明導電性膜は、テレビ、透明ヒータ、液晶表示素子などの広い用途で電極として使用されている。
【0006】
上述のように、Top−Em型有機EL素子において、ITOまたはIZOなどの酸化物半導体薄膜は優れた上部電極となり得るが、その一方で、いくつかの解決すべき課題がある。
【0007】
第1に、ITOまたはIZOを上部電極(陰極)として用いることによる電子注入効率の低下を改善することである。陰極をIZOなどの透明導電性膜とするTop−Em型有機EL素子の電子注入効率は、陰極をAlまたはAgなどの金属電極とするBottom−Em型有機EL素子における電子注入効率よりも低くなる。これは、表1に示すような材料特性の違いに起因する。すなわち、IZOは、AgおよびAlと比較してより大きな仕事関数を有し、かつキャリヤ密度が著しく低い。したがって、電子注入効率に優れたTop−Em型有機EL素子を形成するために、陰極のキャリア密度を向上させ、その一方で下部電極(陽極)の仕事関数よりも低く、かつBottom−Em型有機EL素子における陰極の仕事関数の値と合わせる技術が望まれている。
【0008】
【表1】
Figure 2004327414
【0009】
第2に、上部電極を形成するための成膜による有機EL層へのダメージを緩和することである。スパッタ法は、成膜効率および簡便性の点で優れた成膜方法である。そのため、IZOなどの透明導電性膜の成膜にもスパッタ法が適用されることが多い。しかし、成膜時のエネルギーは、蒸着法では約0.1eV、イオンプレーティング法では約20〜30eVであるのに対し、スパッタ法では約300〜400eVであり、他の成膜方法の場合と比較して非常に大きい。そのため、上部電極を形成するためにスパッタ法を適用した場合、下層として存在する有機EL層はスパッタリング時の高エネルギー粒子(ターゲット物質の中性原子および負イオン、ガス成分の中性原子および正イオン、電子)の衝突によりダメージを受け易い。成膜時に有機EL層がダメージを受けると、ショートまたはリークあるいは発光効率の低下といった素子の性能劣化を招くことが多い。したがって、上部電極の成膜にスパッタ法などの高エネルギー成膜法を適用した場合に懸念される有機EL層に対するダメージを緩和する技術が望まれている。
【0010】
第3に、酸素による有機EL層の劣化を改善することである。有機EL素子の電子注入効率を改善するために、一般に陰極の下層として電子注入層が設けられる。しかし、上部電極(陰極)の成膜工程において系中に酸素が存在すると、電子注入層および電子輸送層が酸化され易く、それらが酸化されることにより有機EL層としての性能が劣化する場合がある。特に、陰極を透明導電性膜とする上部電極の形成工程において、電極材料として透明導電性酸化物を使用する場合には酸素による影響が無視できない。系中に存在する酸素によって有機EL層が酸化されると、電子注入層が酸化され所定の物性値が変化し所期の設計値を満たさなくなる場合がある。また、上部電極の成膜にスパッタ法を適用した場合、酸化物または導入ガスに由来して系中に存在する酸素によるプラズマが発生し有機EL層にダメージを与える可能性がある。酸素によるプラズマは、Arなどの不活性ガスによるプラズマよりも有機EL層に対するダメージが大きく、著しい輝度の低下を招く傾向がある。したがって、成膜時に系中に存在する酸素に起因する有機EL層の劣化を改善する方法が望まれている。
【0011】
このような状況に鑑み、電子注入効率の改善および上部電極形成時の有機EL層へのダメージの緩和に向けて、有機EL層と上部電極(陰極)との間にバッファ層を設けた有機EL素子の検討がなされている。
【0012】
例えば、抵抗値が低くかつ透過性に優れた上部電極(陰極)を得るために、陰極を電子注入性金属と非晶質透明導電層とによって構成することが知られている(特許文献1を参照)。特許文献1によれば、有機EL層の上に極めて薄い金属膜が設けられることになるが、そのような金属膜は電子注入効率を改善したとしても、スパッタリングによる衝撃を緩和するバッファとして機能させるには膜厚が不十分である。仮に、金属膜の厚さを増加させて耐スパッタ衝撃性を高めたとしても、金属膜の厚さとその光透過率とはトレードオフの関係になるため、良好な発光特性を得ることは非常に困難である。
【0013】
また、スパッタリングによる有機EL層へのダメージを低減し、かつ電子注入効率を向上させるために、有機EL層(電子輸送層)の上に、フタロシアニンからなるバッファ層を設け、さらにCe、Li、Ca、Mgなどをドーパントとして拡散させることが知られている(特許文献2を参照)。しかし、特許文献2に記載のバッファ層によれば、電子注入性の改善は可能であるが、フタロシアニン自体は耐スパッタ衝撃性が低い。そのため、バッファ層の膜厚が5〜100nm程度ではスパッタリングによる有機EL層への衝撃を効果的に緩和するには不十分である。
【0014】
また、スパッタリングによる有機EL層の損傷を低減するために、有機EL層の上に、アルカリハロゲン化物からなる第1バッファ層とフタロシアニンからなる第2バッファ層とを設けることが知られている(特許文献3を参照)。しかし、第1バッファ層を構成するアルカリハロゲン化物は絶縁体であり、導電性を維持するために、その膜厚の上限は3nm程度までに制限されている。一方、第2バッファ層を構成するフタロシアニン自体は、耐スパッタ衝撃性が低い。そのため、フタロシアニンから構成される第2バッファ層の膜厚を200nm程度にまで厚膜化することが開示されている。しかし、バッファ層の膜厚が増加するに伴って導電性および光透過性が低下するという課題がある。
【0015】
さらに、スパッタリングによる有機EL層の損傷を改善するために、有機EL層の上に、アルカリハロゲン化物からなる第1バッファ層と仕事関数の低い金属からなる第2バッファ層とを設けることが知られている(特許文献4を参照)。特許文献4では、バッファ層を上述のように構成することによって、電子注入効率の改善、スパッタリングによるダメージの緩和、光透過率の向上を実現可能としている。なお、バッファ層全体の膜厚は、好ましくは5nm以下としている。しかし、特許文献4の実施例で開示されているカソード(上部電極)はAg、Alなどの金属電極であり、Top−Em型有機EL素子として適用するには限界がある。すなわち、上部電極(陰極)としてIZOなどの透明導電性膜をスパッタ法に従い形成する場合、上部電極を金属電極とする場合と比較して有機EL層へのダメージはより大きくなる。そのため、バッファ層全体の厚さが5nm程度では、電子注入効率の改善と透過率の向上が達成できるとしても、耐スパッタ衝撃性の点では不十分である。また、仮にバッファ層の膜厚を増加させたとしても、耐スパッタ衝撃性と光透過率とはトレードオフの関係になり、良好な有機EL特性を得ることは困難である。
【0016】
【特許文献1】
特開平10−162959号公報
【0017】
【特許文献2】
特開2000−58265号公報
【0018】
【特許文献3】
特開2002−75658号公報
【0019】
【特許文献4】
特開2002−260862号公報
【0020】
【非特許文献1】
C.W.Tang,S.A.VanSlyke,Appl.Phys.Lett.,51,913(1987)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、電子注入効率の改善、スパッタリングによる有機EL層へのダメージの緩和といった個々の観点から、バッファ層について様々な検討が行われている。しかし、従来のバッファ層では、十分な光透過率および導電性を維持する一方で、電子注入効率を改善し、かつスパッタリングによる有機EL層へのダメージを緩和することは困難であり、さらなる改善が望まれている。特に、上部電極(陰極)をIZOなどの透明導電性膜とするTop−Em型有機EL素子では、酸素に起因する有機EL層の劣化が無視できないため、酸素から有機EL層を効果的に保護するバッファ層が望まれている。
【0022】
したがって、本発明の課題は、十分な光透過率および導電性を維持する一方で、IZOなどの透明導電性膜を上部電極(陰極)とすることにより派生する問題点、すなわち電子注入性の低下、上部電極形成時における有機EL層のスパッタリングによる損傷および酸素による劣化を効果的に改善することができるバッファ層を備えた有機EL素子およびその製造方法を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明者らは、上部透明電極と有機EL層との間に設けられるバッファ層について鋭意検討した結果、バッファ層を多層構造とすることによって良好な結果が得られることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0024】
本発明の有機EL素子は、基板上に、下部電極と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、上記上部透明電極側から光を取り出すものであって、上記バッファ層が、透明材料を含む2以上の第1の層と、該第1の層の上に積層され金属または合金を含む2以上の第2の層とからなる多層構造を有することを特徴とする。
【0025】
ここで、上記バッファ層の厚さは20nm以下であることが好ましい。また、上記バッファ層において、上記第1の層と上記第2の層との膜厚比が1:5〜5:1であることが好ましい。上記第2の層は、4.8eV未満の仕事関数を有することが好ましい。
【0026】
上記透明材料は、LiF、MgFおよびSbからなる群から選択されることが好ましい。
【0027】
上記金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択され、上記合金がアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択される金属を含有することが好ましい。上記金属または合金の電気陰性度は0.2〜2.0の範囲であることが好ましい。上記金属はAl、Ag、MgまたはMnのいずれかであり、上記合金はAl、Ag、MgおよびMnからなる群から選択される1以上の金属を含有することが好ましい。
【0028】
本発明の有機EL素子の製造方法は、基板の上に、下部電極と、有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、上記上部透明電極側から光を取り出す有機EL素子に向けたものであって、(a)基板上に、下部電極および少なくとも有機発光層を含む有機EL層を順次形成する工程と、(b)上記有機EL層の上に、透明材料を含む第1の層と金属または合金を含む第2の層とを交互に積層することによって、2以上の上記第1の層と2以上の上記第2の層とからなる多層構造を有するバッファ層を形成する工程と、(c)上記バッファ層の上に、スパッタリングによって上部透明電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0029】
ここで、上記バッファ層の厚さは20nm以下であることが好ましい。上記バッファ層において、上記第1の層と上記第2の層との膜厚比は1:5〜5:1であることが好ましい。上記第2の層は4.8eV未満の仕事関数を有することが好ましい。
【0030】
上記透明材料は、LiF、MgFおよびSbからなる群から選択されることが好ましい。
【0031】
上記金属はアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択され、上記合金はアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択される金属を含有することが好ましい。上記金属または合金の電気陰性度は0.2〜2.0の範囲であることが好ましい。上記金属はAl、Ag、MgまたはMnのいずれかであり、前記合金はAl、Ag、MgおよびMnからなる群から選択される1以上の金属を含有することが好ましい。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明にもとづく第1の態様は、Top−Em型有機EL素子に向けた有機EL素子に関する。本発明の有機EL素子は、基板上に、下部電極と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、上部透明電極側から光を取り出す有機EL素子であって、上記バッファ層が、透明材料を含む2以上の第1の層(透明材料層)と、該第1の層の上に積層され金属または合金を含む2以上の第2の層(金属層)とからなる多層構造を有することを特徴する。
【0033】
図2は、本発明の有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。図2に示すように、本発明の有機EL素子は、基板10と、反射膜20と、下部電極(陽極)30と、有機EL層40と、バッファ層50と、上部透明電極(陰極)60とを有し、バッファ層50は2以上の第1の層(透明材料層)51および2以上の第2の層(金属層)52からなる多層構造を有する。さらに、有機EL層40は、陽極30上に隣接する正孔注入層41と、正孔輸送層42と、有機発光層43と、電子輸送層44とから構成される。
【0034】
上述のように、本発明では、上部透明電極と有機EL層との間に第1の層(透明材料層)と第2の層(金属層)とが交互に積層されてなる多層構造を有するバッファ層を設けることを特徴としている。バッファ層を多層構造とすることによって、バッファ層の厚膜化にともなって低下する透過性および導電性の問題を解決することが可能となる。すなわち、バッファ層を多層構造とすることにより、各層の膜厚を極めて薄くすることができる。その結果、バッファ層を構成する第1の層(透明材料層)および第2の層(金属層)を、それぞれ一面の完全な連続膜としてではなく、複数の島状粒子から構成される不連続な膜の状態に留めることが可能となる。ここで、「不連続な膜」とは、複数の島状粒子がそれぞれ独立して存在するか、または複数の島状粒子が互いに部分的に接触して存在するかのいずれかの状態を示し、被積層表面を完全に覆い尽くさないことを意味する。
【0035】
このような島状薄膜においては、金属または合金を含む島状粒子が、部分的に層間(上下方向)で接触している。すなわち、バッファ層において、少なくとも透明材料層を不連続な膜とすることにより、微視的に透明材料層は金属層を完全に相分離することがない。したがって、絶縁性の透明材料を使用した場合であってもバッファ層の導電性を十分に維持することが可能となる。すなわち、本願発明によれば透過性および導電性を低下することなくバッファ層の厚膜化を達成することが可能となる。なお、本願発明によるバッファ層は、従来型のバッファ層と比較して、有機EL層より生じた光の損失を低減させると同時に、十分な導電性を維持することが可能となる。
【0036】
先の説明から明らかなように、バッファ層において良好な透過性および導電性を得るためには、バッファ層を構成する各々の層が十分に薄くなければならない。すなわち、透明材料からなる第1の層が厚くなると、透明材料が絶縁体であるために導電性が低下することになる。また、金属または合金からなる第2の層が厚くなると金属粒子が連続的に配列するため透過率が低下してしまう。
【0037】
したがって、第1および第2の層の一層あたりの膜厚は、金属または透明材料がそれぞれ微細な島状粒子の状態を維持する範囲が好ましく、1〜5nm、より好ましくは1〜2nmの範囲とすることが望ましい。一層あたりの膜厚が5nmを超えると、金属または透明材料がそれぞれ連続膜を形成し、光透過性が低下することになる。なお、島状薄膜では膜の平均厚さと平均高さは一致しないが、本願における層の膜厚とは、基板表面に関する平均厚さを意味する。また、バッファ層における第1の層と第2の層との一層あたりの膜厚比は1:5〜5:1の範囲であり、より好ましくは1:1である。さらに、バッファ層は、有機EL層からの光を十分に透過する一方で、耐スパッタ衝撃性を有する膜厚を有する必要がある。バッファ層全体の膜厚は20nm以下、より好ましくは10nm以下とすることが好ましい。また、バッファ層は、可視光の領域である380〜780nmの波長において、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上の透過率を有することが望ましい。
【0038】
バッファ層における第1の層を構成する透明材料は、有機EL層からの光を十分に透過する程度に透明であることが好ましい。なお、透明材料は特に限定されるものではないが、被加熱方式の蒸着法または電子ビーム法などの成膜時に有機EL層に与えるダメージが少ない成膜方法を適用できるものが好ましい。さらに、透明材料は、電子注入性および導電性に優れたものが好ましい。本発明で好適に使用できる透明材料としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属などのフッ化物、あるいは酸化物である。より具体的には、透明材料はLiF、MgF、CaF、NaF、SiO、Sbから選択されることが好ましい。さらに具体的には、被加熱方式の蒸着法などの成膜方法によって成膜を良好に実施できるLiF、MgFまたはSbが好ましい。
【0039】
バッファ層における第2の層は、上部透明電極を形成する際のスパッタリングによるダメージを直に吸収することになる。また、上部電極材料となる透明導電性酸化物に起因する酸素による影響を直に受けることになる。したがって、第2の層となる金属層は、耐スパッタ性に優れ、有機EL層を酸素から効果的に保護し得る金属または合金から構成されることが好ましい。また、キャリア密度の向上およびBottom−Em型有機EL素子における陰極(LiF/Al)の仕事関数の値と合わせることを考慮して、第2の層となる金属層は仕事関数が4.8eV未満、好ましくは2.0〜4.5eV、より好ましくは2.0〜4.0eVの範囲となることが好ましい。
【0040】
第2の層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、遷移金属および3B族元素からなる群から選択される金属、またはそれら金属を含有する合金から構成することが可能である。さらに、特に限定されるものではないが、第2の層を構成する金属または合金を、それ自身が酸素を取り込み易い、すなわち酸化されやすい材料から選択することによって、酸素から有機EL層を効果的に保護することが可能となる。すなわち、本発明において好適な金属または合金は、それらの電気陰性度が好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは0.2〜1.6、さらに好ましくは0.2〜1.0の範囲であるものである。より具体的には、接触ゲッターとして知られているBe、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属およびそれらを含む合金、またはDy、Er、Ybなどの希土類元素およびそれらを含む合金、あるいは分散ゲッターとして知られているTi、V、Zrなどの酸素吸着性の遷移元素およびそれらを含む合金が挙げられる。
【0041】
特に限定されるものではないが、仕事関数の観点から第2の層を構成する材料としてAl、Ag、MgまたはMnを使用することが好ましい。また、それらの金属を含有する合金も好ましい。好ましい合金の具体例としては、AlLi、MgAg、AgLi、AlZn、MgAgZn、AlBa、AlDyなどが挙げられる。
【0042】
上述のように構成される金属層を形成するための成膜は、有機EL層への影響が少ない、例えば抵抗加熱方式による蒸着法または電子ビーム法などの成膜方法に従って良好に実施することが可能である。
【0043】
なお、第1および第2の層を構成する材料の組み合わせによっては、バッファ層自体を優れた電子注入層として機能させることも可能である。そのような組み合わせの例としては、第1の層をLiFとし、第2の層をAlとする場合が挙げられる。
【0044】
以上説明したように、バッファ層を多層構造として構成することによって、バッファ層の導電性および透過性を確保すると同時にバッファ層全体を厚膜化することが可能となる。そのことにより、上部電極の形成が系中に酸素が存在するスパッタリングによって実施された場合であっても、有機EL層のダメージおよび劣化が極めて少ない有機EL素子を提供することが可能となる。
【0045】
以下、バッファ層以外の構成エレメントについて詳細に説明する。
基板は、例えば、ガラスまたはプラスチックなどの透明基板であっても、光を反射する金属または合金であってもよい。
【0046】
下部電極は基板の上に設けられる。下部電極の材料は、特に限定されるものではなく、Cr、Ag、Cu、またはAuなどの金属またはそれら金属を含むCrB、NiPなどの合金、あるいはITOまたはIZOなどの透明導電性材料であってよい。下部電極材料として透明導電性材料を使用する場合には何らかの反射手段を設けることが好ましい。反射手段としては、特に限定されるものではなく、有機EL層からの光を上部透明電極側に効率良く反射させることが可能であればよい。例えば、ガラスまたはプラスチックなどの透明基板の表面または裏面(背面)に設けられる、光を反射する金属または合金からなる反射膜が挙げられる。また、下部電極の形状に合わせてパターン化された反射膜を透明基板上に設けてもよい。透明基板上に設けられる反射膜は、有機EL層の下地層にもなるため平坦性に優れたアモルファス膜とすることが好ましい。アモルファス膜を形成するのに好適な金属および合金としては、CrB、CrP、またはNiPなどが挙げられる。さらに、透明基板の代りに絶縁層を介して、光を反射する金属または合金からなる基板を用いることにより、基板自体を反射膜として機能させてもよい。
【0047】
なお、ディスプレイなどの応用に向けて複数の発光部を有する有機EL素子を形成する場合、下部電極の形状および基板に設けられる駆動回路は特に限定されるものではなく、アクティブマトリクス駆動方式またはパッシブマトリクス駆動方式のどちらを選択してもよい。
【0048】
有機EL層は下部電極の上に設けられる。有機EL層は、陽極および陰極に電圧が印加されることによって生じる正孔および電子が再結合することで発光する有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。より具体的には、以下に示すような構造が挙げられる。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
【0049】
なお、上述の(1)〜(6)の構造を有する有機EL層において、有機発光層または正孔注入層に下部電極(陽極)が接続され、有機発光層、電子輸送層または電子注入層にバッファ層を介して上部透明電極(陰極)が接続される。なお、本願発明の有機EL素子では材料を適宜選択することで、バッファ層を優れた電子注入層として機能させることも可能である。
【0050】
有機EL層における各層の材料としては、特に限定されるものではなく公知のものが使用される。正孔注入層の材料としては、例えば銅フタロシアニン(Cu−Pc)を使用することができる。正孔輸送層の材料としては、例えば4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を使用することができる。有機発光層の材料は、所望する色調に応じて選択することが可能であり、例えば青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などを使用することができる。電子輸送層の材料としては、特に限定されるものではないがアルミキレート(Alq)、ベンズアズールなどを使用することができる。さらに、電子注入層の材料としては、特に限定されるものではないが、Li、Na、K、またはCsなどのアルカリ金属、Ba、Srなどのアルカリ土類金属、希土類元素、あるいはそれらのフッ化物等を使用することができる。なお、電子注入層の透過率は40%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、このような透過率を達成するための材料を適宜選択することができる。各層を形成するための成膜には、通常、真空蒸着法が適用されるが、塗布法を適用することも可能である。
【0051】
上部電極は、有機EL層の上にバッファ層を介して設けられる。本発明の有機EL素子は上部電極側から光を取り出すTop−Em型有機EL素子に向けたものである。したがって、上部電極は、可視光の領域である380〜780nmの波長において80%以上の透過率を有することが望ましい。上部電極は、IZOまたはITOなどの透明導電性酸化物からなる膜から形成されることが好ましい。
【0052】
なお、上述のように構成される本発明の有機EL素子は、気密性を高めるために、必要に応じてガラス製封止部材または透明樹脂製封止部材などを用いて封止されることが好ましい。本発明の有機EL素子には慣用の封止方法を適用することができる。特に限定されるものではないが、例えば、封止用基板(透明基板)、外周封止層および充填剤層によって有機EL素子を封止することができる。外周封止層は、封止用基板と、下部電極、有機EL層、上部電極を設けた支持基板を接着すると共に、内部の各構成要素を外部環境の酸素、水分などから保護する機能を有する。外周封止層は、例えば紫外線硬化型樹脂から形成することができる。外周封止層の形成は、封止用基板と支持基板とのアライメントが完了した後に紫外線を照射し、紫外線硬化型樹脂を硬化させることによって達成することが可能である。なお、内部空間に充填剤を封入する場合には、外周封止層の一部に孔を設けて外周封止層を硬化させ、この孔から充填剤を注入した後、この孔を塞げばよい。封止用基板は、有機EL素子を封止し、外部の水分や有害なガスなどを透過させないものであれば特に限定されない。また封止用基板の膜厚は当業界で一般に用いられる範囲であればよい。充填剤層は、外周封止層、封止用基板、有機EL素子、および必要に応じて内部空間を充填して、有機EL素子の密閉性を高めるためのものである。充填剤層を形成するための充填剤は、有機EL素子部の特性に悪影響を及ぼさない不活性な液体または不活性なゲルであればよい。また、充填剤は、内部空間に注入した後にゲル化する液体であってもよい。そのような充填剤の例としては、シリコーン樹脂、フッ素系不活性液体、またはフッ素系オイルなどが挙げられる。なお、封止用基板、外周封止層および充填剤層などの封止部材に、酸化カルシウムなどのゲッター材を予め塗布しておくことにより、酸素から有機EL素子をより効果的に保護することが可能となる。
【0053】
以上、本発明の第1の態様である有機EL素子について説明したが、本発明の有機EL素子を用いて、例えば、情報機器用ディスプレイなどの表示装置を構成することが可能である。特に、本発明の有機EL素子はTop−Em型の素子であるため、大画面化が要求される表示装置を構成する素子として有効である。
【0054】
本発明にもとづく第2の態様は、Top−Em型有機EL素子の製造方法に関する。本発明の製造方法は、基板の上に、下部電極と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、上部透明電極側から光を取り出す有機EL素子の製造方法に向けた方法であり、(a)基板上に、下部電極および少なくとも有機発光層を含む有機EL層を順次形成する工程と、(b)有機EL層の上に、透明材料を含む第1の層と、金属または合金を含む第2の層とを交互に積層することによって、2以上の第1の層と2以上の第2の層とからなる多層構造を有するバッファ層を形成する工程と、(c)バッファ層の上に、スパッタリングによって上部透明電極を形成する工程とを有することを特徴とする。なお、上記金属または合金および上記透明材料に関する材料特性および具体例については、先に第1の態様で説明したとおりである。
【0055】
上述のように、本発明の製造方法によれば、透明材料を含む第1の層と金属または合金を含む第2の層とを交互に積層することによって多層構造を有するバッファ層を形成するため、バッファ層を構成する各層の膜厚を薄くすることが可能である。各層の膜厚を薄くすることによって、先に説明したように十分な導電性および透過性を確保することが可能となる。その結果、良好な導電性および透過性を維持しながら、スパッタリングによる衝撃を緩和するのに十分な厚さを有するバッファ層を形成することが可能となる。なお、バッファ層の形成には、成膜時のダメージが大きいスパッタ法ではなく、有機EL層への影響がより少ない被加熱方式の蒸着法または電子ビーム法などを適用することが好ましい。
【0056】
本発明の製造方法では、バッファ層を設けた後に上部透明電極を形成するため、上部電極形成時においてバッファ層は有機EL層の保護層として機能し、スパッタリングによる有機EL層へのダメージを効果的に緩和することが可能となる。特に、上部透明電極を形成する工程において、Arプラズマに加えて、Oプラズマの存在が予測される酸化物をターゲットとして使用するスパッタ法を適用した場合または系中に酸素ガスを導入する場合であっても、バッファ層における第2の層を酸化されやすい金属または合金から構成することにより、スパッタリングによるダメージに起因する有機EL層の損傷および劣化を改善することが可能となる。すなわち、第2の層によってスパッタリングにおける衝撃を吸収、および系中に存在する酸素を吸収(第2の層自体が酸化される)ことによって、有機EL層と酸素との反応を抑制し、有機EL層の性能低下を低減することが可能となる。したがって、本発明の製造方法によれば、バッファ層によって上部電極形成時における有機EL層の損傷および劣化が改善されるため、有機EL層へのダメージが大きいスパッタ法を用いた場合であっても、より高品質な有機EL素子を効率良く提供することが可能となる。
【0057】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、それらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0058】
(実施例1)
バッファ層の性能を評価するために、有機EL層(電子輸送層)上に、LiF層(透明材料層)とAl層(金属層)とを交互に積層して構成される多層構造のバッファ層を備えたサンプルを作製した。サンプルの作製は、3室型(ロードロック室、有機チャンバー、メタルチャンバー)蒸着装置を使用し、以下の手順により実施した。なお、真空槽内圧は1×10−5Paまで減圧し、抵抗加熱式の蒸発源を用い、るつぼ材質は蒸着材料に応じて石英、MoまたはBNとした。
【0059】
先ず、ガラス基板を有機チャンバーに移動し、ガラス基板上に、成膜速度2Å/sで膜厚162nmのAlq層を有機EL層として成膜した。次に、Alq層が形成されたガラス基板をメタルチャンバーに移動し、Alq層の上に成膜速度0.25Å/sで膜厚1nmのLiF層を形成した。次に、LiF層の上に成膜速度2.5Å/sで膜厚1nmのAl層を形成した。さらに、先と同じ条件下において、膜厚1nmのLiF層および膜厚1nmのAl層を形成する成膜を交互に5回繰り返すことによって、それぞれ膜厚1nmのLiF層とAl層とが交互に積層された多層構造を有するバッファ層を形成した。なお、バッファ層は全体で10層とし、バッファ層全体の膜厚は10nmとした。
【0060】
上述のようにして得られたLiF/Al多層構造を有するサンプルの透明性について評価した。その結果を表2に示す。なお、透明性は、分光光度計を使用して、波長500nmにおける透過率を測定することにより評価した。
【0061】
(比較例1)
実施例1と同様の蒸着装置を使用し、以下の手順で比較サンプルを作製した。先ず、ガラス基板上に、成膜速度2Å/sで膜厚162nmのAlq層を有機EL層として形成した。次に、成膜速度0.25Å/sで膜厚5nmのLiF層を形成し、次いで成膜速度2.5Å/sで膜厚5nmのAl層を成膜することにより、LiF/Al単層構造を有するバッファ層を形成した。なお、バッファ層は全体で2層とし、バッファ層全体の膜厚は10nmとした。
【0062】
上述のようにして得られた比較サンプルの透明性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【0063】
(比較例2)
実施例1と同様の蒸着装置を使用し、以下の手順で比較サンプルを作製した。先ず、ガラス基板上に、成膜速度2Å/sで膜厚162nmのAlq層を有機EL層として形成した。次に、成膜速度0.25Å/sで膜厚1nmのLiF層を形成し、次いで成膜速度2.5Å/sで膜厚5nmのAl層を成膜することにより、LiF/Al単層構造を有するバッファ層を形成した。このようにして得られた比較サンプルの透明性を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
Figure 2004327414
【0065】
表2から明らかなように、単層構造のバッファ層(比較例1および2)と比較して、多層構造のバッファ層(実施例1)の透過率はより高い値を示している。このことから、バッファ層を厚膜化した場合であっても、バッファ層を多層構造とすることによって透過率の低下を改善することが可能であることが分かる。
【0066】
また、バッファ層におけるAlの厚さを同じにした場合であっても(実施例1および比較例2を参照)、本願発明のようにバッファ層を金属と透明材料とを交互に積層した多層膜とすることにより、単層の金属膜とするよりも高い透過率を得ることが可能であることが分かる。
【0067】
(実施例2)
多層構造のバッファ層を備えた有機EL素子を以下のようにして作製した。
【0068】
ガラス基板上にCrBを100nmの膜厚で成膜し、次いでパターニングを実施し、乾燥処理(150℃)およびUV処理(室温および150℃)を施すことによりCrBからなる反射電極を形成した。なお、CrBの成膜は、DCスパッタリング法に従って、室温下、スパッタリングガスとしてArを使用し、300Wのスパッタパワーを印加することにより実施した。
【0069】
次に、先の工程によって反射層および陽極が形成されたガラス基板を蒸着装置に移動し、真空槽内圧を1×10−5Paまで減圧し、真空を破らずに、有機EL層、バッファ層および陰極を順次形成した。有機EL層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、および電子輸送層から構成した。正孔注入層としては銅フタロシアニン(CuPc)を成膜し、膜厚20nmとした。正孔輸送層としては4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を成膜し、膜厚20nmとした。有機発光層としては4,4′−ビス(2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を成膜し、膜厚40nmとした。電子輸送層としてはアルミキレート(Alq)を成膜し、膜厚20nmとした。
【0070】
次に、メタルマスクを用いて、多層構造のバッファ層を形成した。バッファ層は、膜厚1nmのLiF層および膜厚1nmのAl層を形成する成膜を交互に5回繰り返すことによって、それぞれ膜厚1nmのLiF層とAl層とが交互に積層された多層構造を有するバッファ層を形成した。なお、バッファ層は全体で10層構造とし、バッファ層全体の膜厚は10nmとした。
【0071】
次に、先の工程で形成された多層構造のバッファ層の上に陰極IZOを形成した。陰極の形成は、IZOターゲットとしてIn−10%ZnOを用い、スパッタリングガスとしてArを用い、0.3Paの圧力下、100Wのスパッタパワーを印加することによって実施した。膜厚は75nmとした。
【0072】
上述のようにして得られた有機EL素子にパルス電圧を印加すること(パルスIVL)によって、電流密度および輝度について測定を行った。
【0073】
(比較例3)
本比較例は単層構造のバッファ層を備えた有機EL素子に関する。バッファ層を膜厚5nmのLiF層と膜厚5nmのAl層とから構成すること以外、実施例2と同様の方法により有機EL素子を作製した。バッファ層は、1つのLiF層と1つのAl層との2層構造とし、バッファ層全体の膜厚は10nmとした。
【0074】
上述のようにして得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表3に示す。本比較例におけるバッファ層全体の厚さは実施例2のバッファ層全体の厚さと同じであるが、LiFの1層あたりの膜厚が大きくなることによって実施例2の素子よりも導電率が低下し、電圧値が著しく増加することが分かった。
【0075】
(比較例4)
本比較例は単層構造のバッファ層を備えた有機EL素子に関する。バッファ層を膜厚1nmのLiF層と膜厚5nmのAl層とから構成すること以外、実施例2と同様の方法により有機EL素子を作製した。すなわち、バッファ層は、1つのLiF層と1つのAl層との2層構造とし、バッファ層全体の膜厚は6nmとした。
【0076】
上述のようにして得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表3に示す。本比較例におけるバッファ層全体の厚さは実施例2のバッファ層全体の厚さよりも小さいが、Al層の膜厚が5nmと大きいため、透過率が低下し、それにともなって輝度が低下することが分かった。
【0077】
(実施例3)
バッファ層を膜厚0.5nmのLiF層と膜厚1.5nmのAl層とを交互に5回積層することにより、全体で10層とし、全体の膜厚を10nmとすることを除き、実施例2と同様にして多層構造のバッファ層を備えた有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表3に示す。
【0078】
(比較例5)
膜厚0.5nmのLiF層と膜厚1.5nmのAl層とから構成される、膜厚が2.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例2と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表3に示す。
【0079】
(比較例6)
膜厚0.5nmのLiF層と膜厚1.5nmのY(イットリウム)層とから構成される、膜厚が2.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例2と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表3に示す。極薄LiF層と極薄イットリウム層とから構成されるバッファ層は、AlまたはAgなどからなる上部金属電極を形成する際のスパッタリングによるダメージを改善することが知られている。しかし、IZOなどの上部透明電極材料として酸化物をターゲットに用いるスパッタリングに対してはその緩和効率が低下することが分かった。
【0080】
(比較例7)
膜厚0.5nmのLiF層と膜厚1.5nmのMn(マンガン)層とから構成される、膜厚が2.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例2と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表3に示す。LiF層とマンガン層とから構成されるバッファ層は、AlまたはAgなどからなる上部金属電極を形成する際のスパッタリングによるダメージを改善することが知られている。しかし、IZOなどの上部透明電極材料として酸化物をターゲットに用いるスパッタリングに対してはその緩和効率が低下することが分かった。
【0081】
【表3】
Figure 2004327414
【0082】
表3から明らかなように、多層構造を持たないバッファ層を備える有機EL素子(比較例3、4、5、6および7)よりも、多層構造のバッファ層を備える本願発明の素子(実施例2および3)の方が優れた性能を有することが明らかである。これは、本願発明におけるバッファ層が、十分な透過性および導電性を維持しながら厚膜化され、さらに酸化物をターゲットに用いるスパッタリングによる有機EL層へのダメージを効果的に緩和したためと考えられる。
【0083】
(実施例4)
ガラス基板上にCrBを100nmの膜厚で成膜し、次いでパターニングを実施し、乾燥処理(150℃)およびUV処理(室温および150℃)を施すことによりCrBからなる反射電極を形成した。なお、CrBの成膜は、DCスパッタリング法に従って、室温下、スパッタリングガスとしてArを使用し、300Wのスパッタパワーを印加することにより実施した。
【0084】
次に、先の工程によって反射電極が形成されたガラス基板を7室型蒸着装置に移動し、反射電極を備えた基板の上に有機EL層、バッファ層および陰極を、真空を破らずに順に形成した。各層の成膜において、真空槽内圧は1×10−5Paまで減圧した。
【0085】
有機EL層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、および電子注入層から構成した。各層を成膜する際の蒸発源は抵抗加熱式とし、るつぼ材質は各層の材料に応じて石英、Mo、BN、PBNを使用し、それぞれの蒸着レートは2〜4Å/sとした。なお、正孔注入層としては銅フタロシアニン(CuPc)を成膜し、膜厚20nmとした。正孔輸送層としてはt−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)を成膜し、膜厚20nmとした。有機発光層としては4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を成膜し、膜厚40nmとした。電子輸送層としてはアルミキレート(Alq)を成膜し、膜厚20nmとした。
【0086】
バッファ層は、LiF層とMgAg層とが順次交互に積層された多層構造とした。バッファ層の形成は、メタルマスクを用いて、膜厚1nmのLiF層および膜厚1nmのMgAg層を形成する成膜を交互に5回繰り返すことによって、それぞれ膜厚1nmのLiF層とMgAg層とが交互に積層された多層構造を有するバッファ層を形成した。なお、バッファ層は全体で10層構造とし、バッファ層全体の膜厚は10nmとした。
【0087】
次に、スパッタリング法に従って、バッファ層の上に陰極としてIZOを成膜した。IZOターゲットとしては、In−10%ZnOを使用し、スパッタリンスガスとしてArを用い、0.3Paの圧力下、100Wのスパッタパワーを印加することによって実施した。膜厚は75nmとし、真空を破らずに形成した。
【0088】
最後に、上述のように得られた有機EL素子を大気に曝露せずにグローボックス(酸素濃度および水分濃度がともに数ppm以下)に移動させ、有機EL素子に紫外線硬化型接着剤を用いて封止部材を貼り合わせた。なお、封止部材の内部にはゲッター材として予めCaOを塗布しておいた。
【0089】
上述のようにして得られた有機EL素子にパルス電圧を印加すること(パルスIVL)によって、電流密度および輝度について測定を行った。その結果を表4に示す。
【0090】
(比較例8)
膜厚5.0nmのLiF層と膜厚5.0nmのMgAg層とから構成される、膜厚が10.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例4と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0091】
(実施例5)
バッファ層を膜厚1.0nmのLiF層と膜厚1.0nmのAlLi層とを交互に5回積層することにより、全体で10層とし、全体の膜厚を10nmとすることを除き、実施例4と同様にして多層構造のバッファ層を備えた有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0092】
(比較例9)
膜厚5.0nmのLiF層と膜厚5.0nmのAlLi層とから構成される、膜厚が10.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例4と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0093】
(実施例6)
バッファ層を膜厚1.0nmのLiF層と膜厚1.0nmのAlDy層とを交互に5回積層することにより、全体で10層とし、全体の膜厚を10nmとすることを除き、実施例4と同様にして多層構造のバッファ層を備えた有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0094】
(比較例10)
膜厚5.0nmのLiF層と膜厚5.0nmのAlDy層とから構成される、膜厚が10.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例4と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0095】
(実施例7)
バッファ層を膜厚1.0nmのLiF層と膜厚1.0nmのMgAgZn層とを交互に5回積層することにより、全体で10層とし、全体の膜厚を10nmとすることを除き、実施例4と同様にして多層構造のバッファ層を備えた有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0096】
(比較例11)
膜厚5.0nmのLiF層と膜厚5.0nmのMgAgZn層とから構成される、膜厚が10.0nmのバッファ層を備えた有機EL素子を実施例4と同様にして作製した。得られた有機EL素子について、パルス電圧を印加することにより電流密度および輝度特性を測定した。その結果を表4に示す。
【0097】
【表4】
Figure 2004327414
【0098】
表4から明らかなように、多層構造を持たないバッファ層を備える有機EL素子(比較例8〜11)よりも、多層構造のバッファ層を備える本願発明の素子(実施例4〜7)の方が優れた性能を有することが明らかである。これは、本願発明におけるバッファ層が、十分な透過性および導電性を維持しながら厚膜化され、さらに酸化物をターゲットに用いるスパッタリングによる有機EL層へのダメージを効果的に緩和したためと考えられる。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、有機EL層と上部電極との間に形成されるバッファ層を、透明材料を含む層と金属または合金を含む層とを交互に積層してなる多層構造とすることによって、バッファ層の厚膜化に伴う透明性および導電性の低下が改善され、より高品質な有機EL素子をスパッタ法により効率良く提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な有機EL素子の構造を示すものであり、(a)はBottom−Em型有機EL素子を示す模式的断面図であり、(b)はTop−Em型有機EL素子を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
10 基板
20 反射膜
30 下部電極(陽極)
40 有機EL層
41 正孔注入層
42 正孔輸送層
43 発光層
44 電子輸送層
50 バッファ層
51 第1の層(透明材料層)
52 第2の層(金属層)
60 上部透明電極(陰極)

Claims (16)

  1. 基板上に、下部電極と、少なくとも有機発光層を含む有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、前記上部透明電極側から光を取り出す有機EL素子であって、
    前記バッファ層が、透明材料を含む2以上の第1の層と、該第1の層の上に積層され金属または合金を含む2以上の第2の層とからなる多層構造を有することを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記バッファ層の厚さが20nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記バッファ層において、前記第1の層と前記第2の層との膜厚比が1:5〜5:1であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記第2の層が4.8eV未満の仕事関数を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記透明材料がLiF、MgFおよびSbからなる群から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 前記金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択され、前記合金がアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択される金属を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子。
  7. 前記金属または合金の電気陰性度が0.2〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の有機EL素子。
  8. 前記金属がAl、Ag、MgまたはMnのいずれかであり、前記合金がAl、Ag、MgおよびMnからなる群から選択される1以上の金属を含有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の有機EL素子。
  9. 基板の上に、下部電極と、有機EL層と、バッファ層と、上部透明電極とを順次有し、前記上部透明電極側から光を取り出す有機EL素子の製造方法であって、
    (a)基板上に、下部電極および少なくとも有機発光層を含む有機EL層を順次形成する工程と、
    (b)前記有機EL層の上に、透明材料を含む第1の層と金属または合金を含む第2の層とを交互に積層することによって、2以上の前記第1の層と2以上の前記第2の層とからなる多層構造を有するバッファ層を形成する工程と、
    (c)前記バッファ層の上に、スパッタリングによって上部透明電極を形成する工程と
    を有することを特徴とする方法。
  10. 前記バッファ層の厚さが20nm以下であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 前記バッファ層において、前記第1の層と前記第2の層との膜厚比が1:5〜5:1であることを特徴とする請求項9または10に記載の方法。
  12. 前記第2の層が4.8eV未満の仕事関数を有することを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記透明材料がLiF、MgFおよびSbからなる群から選択されることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択され、前記合金がアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、遷移元素および3B族元素からなる群から選択される金属を含有することを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記金属または合金の電気陰性度が0.2〜2.0の範囲であることを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記金属がAl、Ag、MgまたはMnのいずれかであり、前記合金がAl、Ag、MgおよびMnからなる群から選択される1以上の金属を含有することを特徴とする請求項9から15のいずれかに記載の方法。
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