JP2004324931A - 冷凍機用ヒートシンク - Google Patents
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Abstract
【課題】冷媒ガスを補給する必要が無く、そのための配管が不要で、構成が単純な冷凍機用ヒートシンクを提供する。
【解決手段】冷却ステージ28の温度振幅を低減させるための冷凍機用ヒートシンク40であって、冷却ステージ28と直接又は間接的に接触された、極低温域で高い比熱を持つ酸化物蓄冷材60と、該酸化物蓄冷材60を収容又は被覆する金属材42、44、46、48、50、52、54を備える。
【選択図】 図5
【解決手段】冷却ステージ28の温度振幅を低減させるための冷凍機用ヒートシンク40であって、冷却ステージ28と直接又は間接的に接触された、極低温域で高い比熱を持つ酸化物蓄冷材60と、該酸化物蓄冷材60を収容又は被覆する金属材42、44、46、48、50、52、54を備える。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍機用ヒートシンクに係り、特に、到達温度が5K以下の極低温冷凍機に用いるのに好適な、冷凍機の温度変動を低減することが可能なヒートシンク、及び、該ヒートシンクを備えた冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
SQUID素子、超電導磁石、極低温で動作させるセンサ等、被冷却物の一部には、動作時の温度が安定している必要があり、例えば0.1K以下の温度振幅が必要となるものがある。そこで、GM冷凍機やパルス管冷凍機、スターリング冷凍機のように、圧縮と膨張を繰り返す冷凍機により、これらの被冷却物を冷却する場合、冷凍機の温度振幅が大きいため、次のような方法で、温度振幅を減少させている。
【0003】
(1)絶対温度15K以下の領域では、図1に示す如く、ヘリウムポットと呼ばれるガス状又は液体ヘリウムを収容する蓄冷器16を冷凍機20の最終(図では2段)冷却ステージ28に設け、温度ダンパとして作用させて、周期的に寒冷が発生することにより引き起こされる冷却ステージ28の温度振幅を、図2に示す如く、減少させている(特許文献1乃至3)。蓄冷には十分なヘリウム量が必要となることから、ヘリウムポット16の外部より配管17を介してヘリウムが供給される。図において、8は被冷却物、10は圧縮機、12は高圧側配管、14は低圧側配管、18はヘリウム供給配管17を必要に応じて閉じるためのバルブ、22は1段シリンダ、24は1段冷却ステージ、26は2段シリンダである。
【0004】
又、エルビニウム3ニッケルEr3Ni等の低温で比熱の高い化合物32を加工し、図3に示す如く、容器30に収納した状態で冷却ステージ28に取り付けて、温度振幅を低減することも提案されている(特許文献4)。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−16592号公報
【特許文献2】
特許第2773797号公報
【特許文献3】
特開平7−146020号公報
【特許文献4】
特開平9−287836号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図1に示したヘリウムポット16を用いる方法は、次のような問題点を有する。
【0007】
(1)ヘリウム供給配管17や熱交換部、又、ガス量が多い場合にはヘリウムガス貯蔵容器が冷凍機20に付属した形で設けられることにより、冷凍機の構造が複雑になり、又、取り合い設計においては、ヘリウムガス供給配管17が必要とする空間を考慮しなければならない。更に、冷凍機脱着時には配管を傷めることがないような注意も必要となる。
【0008】
(2)冷凍装置の循環ヘリウムを供給源とするため、冷凍機内で膨張し寒冷を発生させることに使用されるヘリウム量が減り、冷凍能力が低下する。冷凍機の循環ヘリウムガスが例えば0.1MPa減ると、4.2Kステージは少なくとも0.01K温度が上昇する。冷凍機の循環ヘリウムをヘリウムポット16に使用する場合、非常に多くのガスを必要とするため、ヘリウムポットを使用しない場合に比べて、冷却ステージの温度は、最低でも0.1K程度上昇してしまう。ヘリウムガス貯蔵器を追加する場合には、冷凍機を起動し、定常運転になるまでの間、変動する圧力を調整する複雑な機構も必要となる。
【0009】
(3)冷凍装置の循環ヘリウムを供給源とするため、ヘリウムポット16の蓄冷に供給できるヘリウムの量に限度があり、温度振幅を、より小さくすることができない。
【0010】
一方、特許文献4で用いられるエルビニウム3ニッケルEr3Niは、図4に示す如く、ヘリウムHeに比べて、4.2K付近で十分な比熱をもっていないため、温度振幅を低減させるためには、これらの高価な化合物が多量に必要となる。又、従来容器の単純な形状では、温度振幅低減と冷凍能力の確保を同時に行なうのは難しい等の問題点を有する。
【0011】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、冷媒を補給する必要がなく、配管が不要な単純な構成で、温度振幅を低減しつつ冷凍能力を確保することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷却ステージの温度振幅を低減させるための冷凍機用ヒートシンクであって、冷却ステージと直接又は間接的に接触された、極低温域で高い比熱を持つ酸化物蓄冷材と、該酸化物蓄冷材を収容又は被覆する金属材とを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
又、前記酸化物蓄冷材を、熱伝導性の良い金属材で挟んだサンドイッチ型としたものである。
【0014】
あるいは、前記金属材を、金属ブロックに、前記酸化物蓄冷材を収容する多数の穴を開けた多孔型としたものである。
【0015】
あるいは、前記金属材を、金属ブロックに、前記酸化物蓄冷材を収容するスリットを設けたスリット型としたものである。
【0016】
あるいは、前記冷却ステージを前記酸化物蓄冷材で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材で覆った外部覆い型としたものである。
【0017】
あるいは、前記冷却ステージを冷却する手段の内面を前記酸化物蓄冷材で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材で覆った内部覆い型としたものである。
【0018】
又、前記金属材と酸化物蓄冷材の接触面を、半田、接着、グリース、インジウム、ウッドメタル等の熱伝導性の良い材料で加工したものである。
【0019】
又、前記金属材を容器とし、該容器に、前記酸化物蓄冷材と共に冷媒ガスを封入したものである。
【0020】
又、前記酸化物蓄冷材を、ガドリニウム酸化イオウGd2O2S(GOSと略する)、ガドリニウムアルミナGdAlO3(GAPと略する)、又は、それらの混合物としたものである。
【0021】
本発明は、又、前記のヒートシンクを備えたことを特徴とする冷凍機を提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明の第1実施形態は、図5に示す如く、粒状、板状、ブロック状、あるいは網状に形成した酸化物蓄冷材60を、銅、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属材42で挟んだサンドイッチ型のヒートシンク40を、冷却ステージ28に配設したものである。
【0024】
前記酸化物蓄冷材60としては、図6に示す如く、従来用いられることがあるホロミウム銅HoCu2よりも5K以下の極低温域で高い比熱を持つガドリニウム酸化イオウGOSを用いる。なお、GOSの代りに、ガドリニウムアルミナGAPや、それらの混合物等を用いることができる。
【0025】
該酸化物蓄冷材60と前記金属材42間の熱移動を容易にするため、インジウム、半田、接着、グリース、ウッドメタル等、熱伝導性の良い材料を一緒に挟むことができる。
【0026】
このようにして、ヒートシンク40は、コンパクトで大きな熱容量を得ることが可能になり、冷却ステージ28側では、図7に破線Aで示す如く大であった温度振幅を、ヒートシンク40の下側では、実線Bで示す如く小さくすることができる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
【0028】
本実施形態は、図8(A)(縦断面図)、図8(B)(図8(A)のB−B線に沿う横断面図)に示す如く、ヒートシンク40を、円柱若しくは多角柱の熱伝導性の良い金属ブロック44に多数の穴45を開けた多孔型とし、該穴45の中に、粒状又は棒状の酸化物蓄冷材60を入れたものである。
【0029】
前記穴45内には、酸化物蓄冷材60に熱を伝え易くするために、半田やグリース等を流し込むことができる。又、ヘリウムガスを封入して熱容量を増やし、伝熱性を高めることもできる。穴45の形状は、6角形、8角形や、はちの巣状とすることもできる。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を詳細に説明する。
【0031】
本実施形態は、図9(A)(縦断面図)及び(B)(図9(A)のB−B線に沿う横断面図)に示す如く、ヒートシンク40を、円柱若しくは多角柱の熱伝導性の良い金属ブロック46に、スリット47を縦、横、又は縦横両方向に設けたスリット型とし、該スリット47の中に、粒状若しくは棒状の酸化物蓄冷材60を入れたものである。他の点に関しては第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態を詳細に説明する。
【0033】
本実施形態は、図10に示す如く、ヒートシンク40の金属材を、銅、アルミニウム等の熱伝導率が大きい金属容器48とし、該金属容器48内に、粒、棒、網状の酸化物蓄冷材60を充填したものである。他の点に関しては、第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0034】
次に、本発明の第5実施形態を詳細に説明する。
【0035】
本実施形態は、図11に示す如く、ヒートシンク40を、冷凍機の4Kに冷える部分である冷却ステージ28を、粒状若しくは板状の酸化物蓄冷材60で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材50で覆った外部覆い型としたものである。
【0036】
前記金属材50は、例えば蝋付けや半田付けで冷却ステージ28に固定することができる。
【0037】
次に、本発明の第6実施形態を詳細に説明する。
【0038】
本実施形態は、図12に示す如く、ヒートシンク40を、冷却ステージ28を冷却する手段であるシリンダ26の内面を、粒状若しくは板状の酸化物蓄冷材60で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材52で覆った内部覆い型としたものである。
【0039】
次に、本発明の第7実施形態を詳細に説明する。
【0040】
本実施形態は、図13に示す如く、ヒートシンク40を、S字型に形成した熱伝導性の良い金属42の隙間に、粒、板、網状の酸化物蓄冷材60を入れ、金属42より熱伝導性の悪い金属板54で抑えた形状としたものである。他の点に関しては第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0041】
なお、前記実施形態においては、酸化物蓄冷材としてGOSが用いられていたが、酸化物蓄冷材の種類はこれに限定されず、GAPや、GOSとGAPの混合物、あるいは更に他の酸化物蓄冷材を用いることができる。又、金属材の材質も銅やアルミニウムに限定されない。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、小型のヒートシンクで大きな熱容量を得ることができ、効果的に温度振幅を低減させることができる。従って、温度振幅減少機構と、これを組み込む冷凍装置全体が小型で簡素になり、冷凍装置の信頼性が向上する。
【0043】
又、ヘリウムを供給する配管や熱交換器の無い単純な構造とすることができ、被冷却物側との取り合いも単純になる。従って、保守時には、細い配管の損傷を気にすることなく冷凍機の着脱が容易になる。
【0044】
更に、ヘリウムガスを外部から供給する必要がないので、ヘリウムガスの供給量が従来のヘリウムポットに比べて少なくて済む。このため、冷凍機の作動ヘリウムガスを用いる場合には、その冷凍能力に大きな影響を与えず、ヘリウム貯蔵用に容器を設置する場合にも、大きな容積を必要としない。従って、冷凍機の動作ガスを節約し、冷凍機の能力を向上させると共に、極低温冷凍機の温度振幅を安定的に小さくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のヘリウムポットが配設された冷凍機を示す構成図
【図2】ヘリウムポットの有無による温度振幅の違いを示す線図
【図3】特開平9−287836で提案されたヒートシンクを示す断面図
【図4】特開平9−287836で用いられるエルビニウム3ニッケルEr3NiとヘリウムHeの比熱を比較して示す線図
【図5】本発明に係るヒートシンクの第1実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図6】第1実施形態で用いられる酸化物蓄冷材の例の比熱を示す線図
【図7】第1実施形態の作用を示すタイムチャート
【図8】本発明の第2実施形態の要部構成を示す縦断面図及び横断面図
【図9】本発明の第3実施形態の要部構成を示す縦断面図及び横断面図
【図10】本発明の第4実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図11】本発明の第5実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図12】本発明の第6実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図13】本発明の第7実施形態の要部構成を示す断面図
【符号の説明】
26…2段シリンダ
28…(2段)冷却ステージ
40…ヒートシンク
42、50、52、54…金属材
44、46…金属ブロック
45…穴
47…スリット
48…金属容器
60…酸化物蓄冷材
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍機用ヒートシンクに係り、特に、到達温度が5K以下の極低温冷凍機に用いるのに好適な、冷凍機の温度変動を低減することが可能なヒートシンク、及び、該ヒートシンクを備えた冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
SQUID素子、超電導磁石、極低温で動作させるセンサ等、被冷却物の一部には、動作時の温度が安定している必要があり、例えば0.1K以下の温度振幅が必要となるものがある。そこで、GM冷凍機やパルス管冷凍機、スターリング冷凍機のように、圧縮と膨張を繰り返す冷凍機により、これらの被冷却物を冷却する場合、冷凍機の温度振幅が大きいため、次のような方法で、温度振幅を減少させている。
【0003】
(1)絶対温度15K以下の領域では、図1に示す如く、ヘリウムポットと呼ばれるガス状又は液体ヘリウムを収容する蓄冷器16を冷凍機20の最終(図では2段)冷却ステージ28に設け、温度ダンパとして作用させて、周期的に寒冷が発生することにより引き起こされる冷却ステージ28の温度振幅を、図2に示す如く、減少させている(特許文献1乃至3)。蓄冷には十分なヘリウム量が必要となることから、ヘリウムポット16の外部より配管17を介してヘリウムが供給される。図において、8は被冷却物、10は圧縮機、12は高圧側配管、14は低圧側配管、18はヘリウム供給配管17を必要に応じて閉じるためのバルブ、22は1段シリンダ、24は1段冷却ステージ、26は2段シリンダである。
【0004】
又、エルビニウム3ニッケルEr3Ni等の低温で比熱の高い化合物32を加工し、図3に示す如く、容器30に収納した状態で冷却ステージ28に取り付けて、温度振幅を低減することも提案されている(特許文献4)。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−16592号公報
【特許文献2】
特許第2773797号公報
【特許文献3】
特開平7−146020号公報
【特許文献4】
特開平9−287836号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図1に示したヘリウムポット16を用いる方法は、次のような問題点を有する。
【0007】
(1)ヘリウム供給配管17や熱交換部、又、ガス量が多い場合にはヘリウムガス貯蔵容器が冷凍機20に付属した形で設けられることにより、冷凍機の構造が複雑になり、又、取り合い設計においては、ヘリウムガス供給配管17が必要とする空間を考慮しなければならない。更に、冷凍機脱着時には配管を傷めることがないような注意も必要となる。
【0008】
(2)冷凍装置の循環ヘリウムを供給源とするため、冷凍機内で膨張し寒冷を発生させることに使用されるヘリウム量が減り、冷凍能力が低下する。冷凍機の循環ヘリウムガスが例えば0.1MPa減ると、4.2Kステージは少なくとも0.01K温度が上昇する。冷凍機の循環ヘリウムをヘリウムポット16に使用する場合、非常に多くのガスを必要とするため、ヘリウムポットを使用しない場合に比べて、冷却ステージの温度は、最低でも0.1K程度上昇してしまう。ヘリウムガス貯蔵器を追加する場合には、冷凍機を起動し、定常運転になるまでの間、変動する圧力を調整する複雑な機構も必要となる。
【0009】
(3)冷凍装置の循環ヘリウムを供給源とするため、ヘリウムポット16の蓄冷に供給できるヘリウムの量に限度があり、温度振幅を、より小さくすることができない。
【0010】
一方、特許文献4で用いられるエルビニウム3ニッケルEr3Niは、図4に示す如く、ヘリウムHeに比べて、4.2K付近で十分な比熱をもっていないため、温度振幅を低減させるためには、これらの高価な化合物が多量に必要となる。又、従来容器の単純な形状では、温度振幅低減と冷凍能力の確保を同時に行なうのは難しい等の問題点を有する。
【0011】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、冷媒を補給する必要がなく、配管が不要な単純な構成で、温度振幅を低減しつつ冷凍能力を確保することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、冷却ステージの温度振幅を低減させるための冷凍機用ヒートシンクであって、冷却ステージと直接又は間接的に接触された、極低温域で高い比熱を持つ酸化物蓄冷材と、該酸化物蓄冷材を収容又は被覆する金属材とを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
又、前記酸化物蓄冷材を、熱伝導性の良い金属材で挟んだサンドイッチ型としたものである。
【0014】
あるいは、前記金属材を、金属ブロックに、前記酸化物蓄冷材を収容する多数の穴を開けた多孔型としたものである。
【0015】
あるいは、前記金属材を、金属ブロックに、前記酸化物蓄冷材を収容するスリットを設けたスリット型としたものである。
【0016】
あるいは、前記冷却ステージを前記酸化物蓄冷材で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材で覆った外部覆い型としたものである。
【0017】
あるいは、前記冷却ステージを冷却する手段の内面を前記酸化物蓄冷材で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材で覆った内部覆い型としたものである。
【0018】
又、前記金属材と酸化物蓄冷材の接触面を、半田、接着、グリース、インジウム、ウッドメタル等の熱伝導性の良い材料で加工したものである。
【0019】
又、前記金属材を容器とし、該容器に、前記酸化物蓄冷材と共に冷媒ガスを封入したものである。
【0020】
又、前記酸化物蓄冷材を、ガドリニウム酸化イオウGd2O2S(GOSと略する)、ガドリニウムアルミナGdAlO3(GAPと略する)、又は、それらの混合物としたものである。
【0021】
本発明は、又、前記のヒートシンクを備えたことを特徴とする冷凍機を提供するものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明の第1実施形態は、図5に示す如く、粒状、板状、ブロック状、あるいは網状に形成した酸化物蓄冷材60を、銅、アルミニウム等の熱伝導性の良い金属材42で挟んだサンドイッチ型のヒートシンク40を、冷却ステージ28に配設したものである。
【0024】
前記酸化物蓄冷材60としては、図6に示す如く、従来用いられることがあるホロミウム銅HoCu2よりも5K以下の極低温域で高い比熱を持つガドリニウム酸化イオウGOSを用いる。なお、GOSの代りに、ガドリニウムアルミナGAPや、それらの混合物等を用いることができる。
【0025】
該酸化物蓄冷材60と前記金属材42間の熱移動を容易にするため、インジウム、半田、接着、グリース、ウッドメタル等、熱伝導性の良い材料を一緒に挟むことができる。
【0026】
このようにして、ヒートシンク40は、コンパクトで大きな熱容量を得ることが可能になり、冷却ステージ28側では、図7に破線Aで示す如く大であった温度振幅を、ヒートシンク40の下側では、実線Bで示す如く小さくすることができる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
【0028】
本実施形態は、図8(A)(縦断面図)、図8(B)(図8(A)のB−B線に沿う横断面図)に示す如く、ヒートシンク40を、円柱若しくは多角柱の熱伝導性の良い金属ブロック44に多数の穴45を開けた多孔型とし、該穴45の中に、粒状又は棒状の酸化物蓄冷材60を入れたものである。
【0029】
前記穴45内には、酸化物蓄冷材60に熱を伝え易くするために、半田やグリース等を流し込むことができる。又、ヘリウムガスを封入して熱容量を増やし、伝熱性を高めることもできる。穴45の形状は、6角形、8角形や、はちの巣状とすることもできる。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態を詳細に説明する。
【0031】
本実施形態は、図9(A)(縦断面図)及び(B)(図9(A)のB−B線に沿う横断面図)に示す如く、ヒートシンク40を、円柱若しくは多角柱の熱伝導性の良い金属ブロック46に、スリット47を縦、横、又は縦横両方向に設けたスリット型とし、該スリット47の中に、粒状若しくは棒状の酸化物蓄冷材60を入れたものである。他の点に関しては第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0032】
次に、本発明の第4実施形態を詳細に説明する。
【0033】
本実施形態は、図10に示す如く、ヒートシンク40の金属材を、銅、アルミニウム等の熱伝導率が大きい金属容器48とし、該金属容器48内に、粒、棒、網状の酸化物蓄冷材60を充填したものである。他の点に関しては、第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0034】
次に、本発明の第5実施形態を詳細に説明する。
【0035】
本実施形態は、図11に示す如く、ヒートシンク40を、冷凍機の4Kに冷える部分である冷却ステージ28を、粒状若しくは板状の酸化物蓄冷材60で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材50で覆った外部覆い型としたものである。
【0036】
前記金属材50は、例えば蝋付けや半田付けで冷却ステージ28に固定することができる。
【0037】
次に、本発明の第6実施形態を詳細に説明する。
【0038】
本実施形態は、図12に示す如く、ヒートシンク40を、冷却ステージ28を冷却する手段であるシリンダ26の内面を、粒状若しくは板状の酸化物蓄冷材60で覆い、その上から熱伝導性の良い金属材52で覆った内部覆い型としたものである。
【0039】
次に、本発明の第7実施形態を詳細に説明する。
【0040】
本実施形態は、図13に示す如く、ヒートシンク40を、S字型に形成した熱伝導性の良い金属42の隙間に、粒、板、網状の酸化物蓄冷材60を入れ、金属42より熱伝導性の悪い金属板54で抑えた形状としたものである。他の点に関しては第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0041】
なお、前記実施形態においては、酸化物蓄冷材としてGOSが用いられていたが、酸化物蓄冷材の種類はこれに限定されず、GAPや、GOSとGAPの混合物、あるいは更に他の酸化物蓄冷材を用いることができる。又、金属材の材質も銅やアルミニウムに限定されない。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、小型のヒートシンクで大きな熱容量を得ることができ、効果的に温度振幅を低減させることができる。従って、温度振幅減少機構と、これを組み込む冷凍装置全体が小型で簡素になり、冷凍装置の信頼性が向上する。
【0043】
又、ヘリウムを供給する配管や熱交換器の無い単純な構造とすることができ、被冷却物側との取り合いも単純になる。従って、保守時には、細い配管の損傷を気にすることなく冷凍機の着脱が容易になる。
【0044】
更に、ヘリウムガスを外部から供給する必要がないので、ヘリウムガスの供給量が従来のヘリウムポットに比べて少なくて済む。このため、冷凍機の作動ヘリウムガスを用いる場合には、その冷凍能力に大きな影響を与えず、ヘリウム貯蔵用に容器を設置する場合にも、大きな容積を必要としない。従って、冷凍機の動作ガスを節約し、冷凍機の能力を向上させると共に、極低温冷凍機の温度振幅を安定的に小さくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のヘリウムポットが配設された冷凍機を示す構成図
【図2】ヘリウムポットの有無による温度振幅の違いを示す線図
【図3】特開平9−287836で提案されたヒートシンクを示す断面図
【図4】特開平9−287836で用いられるエルビニウム3ニッケルEr3NiとヘリウムHeの比熱を比較して示す線図
【図5】本発明に係るヒートシンクの第1実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図6】第1実施形態で用いられる酸化物蓄冷材の例の比熱を示す線図
【図7】第1実施形態の作用を示すタイムチャート
【図8】本発明の第2実施形態の要部構成を示す縦断面図及び横断面図
【図9】本発明の第3実施形態の要部構成を示す縦断面図及び横断面図
【図10】本発明の第4実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図11】本発明の第5実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図12】本発明の第6実施形態の要部構成を示す縦断面図
【図13】本発明の第7実施形態の要部構成を示す断面図
【符号の説明】
26…2段シリンダ
28…(2段)冷却ステージ
40…ヒートシンク
42、50、52、54…金属材
44、46…金属ブロック
45…穴
47…スリット
48…金属容器
60…酸化物蓄冷材
Claims (10)
- 冷却ステージの温度振幅を低減させるための冷凍機用ヒートシンクであって、
冷却ステージと直接又は間接的に接触された、極低温域で高い比熱を持つ酸化物蓄冷材と、
該酸化物蓄冷材を収容又は被覆する金属材と、
を備えたことを特徴とする冷凍機用ヒートシンク。 - 前記酸化物蓄冷材が、熱伝導性の良い金属材で挟まれたサンドイッチ型とされていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記金属材が、金属ブロックに、前記酸化物蓄冷材を収容する多数の穴が開けられた多孔型とされていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記金属材が、金属ブロックに、前記酸化物蓄冷材を収容するスリットが設けられたスリット型とされていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記冷却ステージが前記酸化物蓄冷材で覆われ、その上から熱伝導性の良い金属材で覆われた外部覆い型とされていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記冷却ステージを冷却する手段の内面が前記酸化物蓄冷材で覆われ、その上から熱伝導性の良い金属材で覆われた内部覆い型とされていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記金属材と酸化物蓄冷材の接触面が、熱伝導性の良い材料で加工されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記金属材が容器とされ、該容器に、前記酸化物蓄冷材と共に冷媒ガスが封入されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 前記酸化物蓄冷材が、ガドリニウム酸化イオウGOS、ガドリニウムアルミナGAP、又は、それらの混合物であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の冷凍機用ヒートシンク。
- 請求項1乃至9のいずれかに記載のヒートシンクを備えたことを特徴とする冷凍機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003117318A JP2004324931A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 冷凍機用ヒートシンク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003117318A JP2004324931A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 冷凍機用ヒートシンク |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004324931A true JP2004324931A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33497243
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003117318A Pending JP2004324931A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 冷凍機用ヒートシンク |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004324931A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006242484A (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-14 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | 蓄冷材、蓄冷器及び極低温蓄冷式冷凍機 |
JP2013217517A (ja) * | 2012-04-04 | 2013-10-24 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | 蓄冷器式冷凍機、蓄冷器 |
CN103574961A (zh) * | 2012-07-20 | 2014-02-12 | 住友重机械工业株式会社 | 蓄冷式制冷机 |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003117318A patent/JP2004324931A/ja active Pending
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JP2013217517A (ja) * | 2012-04-04 | 2013-10-24 | Sumitomo Heavy Ind Ltd | 蓄冷器式冷凍機、蓄冷器 |
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