JP2004323368A - 4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料用増感剤及び医農薬合成中間体として有用な4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体は例えば、感熱記録材料用増感剤、医農薬合成中間体として有用である(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
この化合物の製造方法としては、フェノールをアルキル化後、クロロ硫酸でスルホニルクロリドへ変換した後、アンモニア水を作用させてアミド化して得る方法が知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら、この方法ではクロロ硫酸を作用させる際、選択的に収率良く目的物を得るためには、低温で反応を行なう必要があり、工業的に大量に製造する場合は特殊な冷却装置を有する反応設備が必要となる。また、反応性の高い酸クロリドと反応させないという理由のため、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような環境に有害なハロゲン系溶剤中で反応を行なう方法が一般的であり、環境上好ましくない。更に、アルキル基を最初の工程で導入しているため、アルキル基の異なる多品種の化合物を製造する場合は、工程数、コスト等の点で効率の悪い製造方法である。
【0004】
また、フェノールスルホン酸誘導体又はその塩を塩化チオニル等でスルホニルクロリドへ変換した後、アンモニア水を作用させても4―アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造原料である4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体は主生成物として得られない。
更に、4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミドの水酸基をブロモクロロアルカンを用いて、アセトン中でアルキル化する方法が知られているが(非特許文献2参照)、収率が満足すべきものではない。またN−アルキル化が進行するという問題点もあり、カラムクロマトグラフィーによる単離操作を必要とするため工業的に大量に製造するには適した方法ではない。
【0005】
【非特許文献1】
Australian Journal of Chemistry, 31(12), 2669(1978)
【非特許文献2】
Journal of Medicinal Chemistry, 32(1), 105(1989)
【特許文献1】
特開平9−39389号公報
【特許文献2】
特開平9−77737号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、このような従来の4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造方法の欠点を克服し、環境に有害なハロゲン系溶剤を使用せず、温和な反応条件下での製造を可能にする方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、下記の製造方法が、上記目的を達成する有利な方法であることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の方法を提供するものである。
【0008】
<1>4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)をジアゾ化後、熱分解して4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)を得た後、(III)の水酸基をアルキル化することを特徴とする4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体(I)の製造方法。
【0009】
【化2】
【0010】
[式中、R1は置換又は無置換のアルキル基を表す。R2はベンゼン環に置換可能な原子又は基を表す。nは0〜4の整数を表す。]
【0011】
<2>式中、R2が水素原子であることを特徴とする<1>記載の製造方法。
<3>4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)のジアゾ化を希硫酸中で行なうことを特徴とする<1>又は<2>記載の製造方法。
<4>4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)の水酸基のアルキル化を、アミド系溶媒中で行なうことを特徴とする<1>、<2>又は<3>記載の製造方法。
<5>4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)の水酸基のアルキル化に際して、塩基としてアルカリ金属炭酸塩を使用することを特徴とする<1>〜<4>の何れか1項記載の製造方法。
<6>アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムである<5>記載の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体(I)の製造方法は、4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)をジアゾ化後、熱分解して4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)を得た後、(III)の水酸基をアルキル化することを特徴とする。
【0013】
まず、原料化合物(II)、中間体(III)、製造物(I)について説明する。
(置換基R1の説明)
(I)の一般式において、置換基R1は、アルキル基を示す。ここで、アルキル基は、特に限定されないが、通常、炭素数1〜30のものが用いられる。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。また、不飽和結合を有していても良い。更にこれらのアルキル基は置換されていても良く、置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
【0014】
R1の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、オクタデシル、トリフルオロメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−エチルペンチル、イソペンチル、ヘプチル、ノニル、ウンデシル、プロペニル、ヘプタデセニル、t−オクチル、エトキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル、1−(エトキシカルボニル)エチル、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル、エトキシカルボニルエチル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル、ジベンジルアミノカルボニルエチル、エトキシカルボニルプロピル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルプロピル、2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシプロピル、アセチルアミノエチル、メタンスルホニルアミノプロピル等が挙げられる。
【0015】
(置換基R2の説明)
一般式(I)〜(III)において、R2は、ベンゼン環に置換可能な原子または基を表わす。即ち、R2は特に限定されず、R2同士が結合してベンゼン環あるいは5〜7員の複素環を形成してもよい。R2としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基のような環状アルキル基を含む)、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基が例として挙げられる。
【0016】
好ましくは、R2は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、5〜7員の複素環基(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜30のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、炭素数6〜30のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、炭素数1〜30のアルキルスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ)、炭素数6〜30のアリールスルホニルアミノ(例えば、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、
【0017】
炭素数1〜30のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、炭素数6〜30のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル)、炭素数6〜30のアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、炭素数2〜30のアルキルカルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル)、炭素数7〜30のアリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)である。
【0018】
R2は互いに結合してベンゼン環あるいは5〜7員の複素環を形成してもよい。複素環としては、飽和、不飽和のものを含み、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる少なくとも一つの原子を有する環構造を表わす。この中で、5員複素環としては、好ましくは、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール並びにこれらのジヒドロ体、ジオキソランなどが挙げられ、6員複素環としては、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン並びにこれらのジヒドロ体、テトラヒドロ体、ジオキサン、ジチアン、モルホリンなどが挙げられ、7員複素環としては、アゼピン、オキセピン、チエピン並びにこれらのジヒドロ体、テトラヒドロ体が挙げられ、これら5〜7員の複素環は、ベンゼン環が縮環していてもよい。さらに、これらの複素環の炭素原子には、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、好ましくは、炭素数6〜30のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル)などが、置換していてもよい。
【0019】
(nの説明)
nは0〜4の整数を表すが、特に好ましくは0である。換言すれば、R2が水素原子であることが好ましい。
【0020】
以下に、4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体(I)の具体例を挙げる。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
<製造方法の説明>
(II)→(III)の工程(ジアゾ化工程)
【0024】
ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸塩、亜硝酸イソアミル、亜硝酸n―ブチル、亜硝酸t−ブチル等の亜硝酸エステル類、ニトロシル硫酸等を使用することができる。好ましくは亜硝酸ナトリウムである。
ジアゾ化剤の使用量は(II)1モルに対して0.8〜2モルが好ましく、特に0.9〜1.2モルが好ましい。
ここで溶媒としては、希ハロゲン化水素酸、希硝酸、希硫酸を使用することができる。好ましくは希硫酸である。
ジアゾ化剤として、亜硝酸イソアミル、亜硝酸n―ブチル、亜硝酸t−ブチルを用いる場合は、非水系溶媒を使用することができる。非水系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル等の二トリル類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、酢酸等が挙げられる。
【0025】
反応温度は、0℃〜30℃が好ましく、特に0℃〜10℃が好ましい。また、反応時間は0.1〜5時間が好ましく、0.2〜1時間が特に好ましい。
【0026】
(II)→(III)の工程(熱分解工程)
ジアゾ化後そのまま加熱して分解させることも可能だが、反応時の発泡、着色度低減の点で希硫酸中にジアゾ溶液を滴下し、その後加熱する方法が好ましい。またその際、着色度低減の点で希硫酸中に硫酸ナトリウムを添加してもよい。
反応温度は20℃〜120℃が好ましく、特に50℃〜100℃が好ましい。
反応時間は0.5〜5時間が好ましく、特に0.5〜2時間が好ましい。
反応終了後、常法により抽出、濃縮し、(III)を取り出すことができる。更に必要に応じて、活性炭で処理することで着色度の少ない(III)を得ることができる。また、抽出後濃縮することなく貧溶媒を添加して目的物を析出させることも可能である。
【0027】
(III)→(I)の工程(アルキル化工程)
アルキル化に用いるアルキル化剤としては、塩化アルキル、臭化アルキル、よう化アルキル、アルキルスルホネート、硫酸ジアルキル等が挙げられるが、好ましくは臭化アルキルである。アルキル化剤の使用量は(III)1モルに対して1〜5モルが好ましく、1〜2モルが特に好ましい。
アルキル化に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の有機塩基、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムブチラート等の金属アルコラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の低級カルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。好ましくはアルカリ金属炭酸塩、より好ましくは炭酸ナトリウムが挙げられる。
塩基の使用量は、(III)1モルに対して1〜5モルが好ましく、特に好ましくは1〜2モルである。
【0028】
溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の各種溶媒またはこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち好ましくは、アミド類である。
【0029】
溶媒は、水に不溶な溶媒と水の2層系でも良い。水に不溶な溶媒としては酢酸エチル、トルエン等を挙げることができる。この場合には相関移動触媒を添加することが好ましい。相関移動触媒としては、よう化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム等を挙げることができる。
【0030】
反応温度は、20℃〜150℃が好ましく、80℃〜120℃がより好ましい。
反応時間は、反応温度にもよるが通常0.5〜24時間が好ましい。
反応終了後、抽出等の通常の後処理操作により目的物を取り出すことができる。また、再結晶、蒸留等の通常の精製手段により精製することができる。更に必要に応じてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することもできる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0032】
<実施例1>
4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミド(化合物8)の製造
スルファニルアミド34.4g(0.2mol)に水190mlを加え、氷浴で冷却した。そこへ濃硫酸36mlを加えた。亜硝酸ナトリウム14g(98.5%として0.2mol)を水40mlに溶かした液を滴下した。内温が5℃を超えないように滴下速度をコントロールした。全量滴下するのに20分を要した。反応液は白色懸濁状態から黄色均一溶液へと変化した。その後更に内温2℃で20分攪拌した(ジアゾ溶液A)。
【0033】
硫酸ナトリウム75gに硫酸100g、水50mlを加え昇温した。ジアゾ溶液Aを内温85℃でゆっくり滴下した。熱分解により発泡が観測された。全量滴下するのに40分を要した。その後、内温92℃で30分攪拌した(発泡が止まるまで攪拌した)。室温まで冷却後、酢酸エチル(300ml)を加えて抽出、分液し、有機層に硫酸マグネシウムと活性炭1.73gを加え乾燥、脱色を行なった。その後セライト濾過、濃縮を行い、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドを淡黄色固体として得た(32.4g,収率94%)。
【0034】
4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド17.32g(0.1mol)にN,N−ジメチルアセトアミド40ml、炭酸ナトリウム15.92g(0.15mol)を加えた。そこへ2−エチルヘキシルブロミド23.2g(0.12mol)を内温80℃で20分かけて滴下した。更に内温92〜95℃で8時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(150ml)と水を加え抽出、分液した。次いで、1N水酸化ナトリウム水溶液(100ml)を加え有機層を洗浄した後、分液、水洗した。次いで1N塩酸(150ml)を加え洗浄した後、分液、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、淡褐色油状物24gを得た。これにヘキサン(80ml)を加え、溶解させた後、冷却した(内温3℃まで冷却した)。析出した固体を濾取、冷却したヘキサン(20ml)で洗浄し、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミドを微黄色固体として得た(16.8g,収率59%)。
2工程でのトータル収率は55%であった。
融点:48〜49℃
1H−NMR(CDCl3): δppm 7.86(d,2H),6.96(d,2H),4.76(brs,2H),3.90(d,2H),1.68〜1.81(m,1H),1.23〜1.55(m,8H),0.85〜0.98(m,6H)
【0035】
<参考例1>
4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミド(化合物8)の製造
(従来法)
フェノール66g(0.7mol)にN,N−ジメチルアセトアミド300mlを加え、炭酸カリウム115.9g(0.84mol)を加えた。そこへ2−エチルヘキシルブロミド162.2g (0.84mol)を内温80℃で30分かけて滴下した。更に内温100℃で8時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチルと水を加え抽出、分液した。次いで水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、残渣を減圧蒸留し、2−エチルヘキシルオキシベンゼンを得た(108.5g,収率75%)。
【0036】
2−エチルヘキシルオキシベンゼン25g(0.121mol)に塩化メチレン75mlを加え、−25℃でクロロ硫酸35.3g(0.303mol)を滴下した。その後−20℃で1時間攪拌した。この溶液を氷水200ml中に添加し、内温15℃以下で25%アンモニア水124ml(1.82mol)を滴下した。更に、内温20℃〜30℃で5時間攪拌した。分液し、塩化メチレン層を減圧下に濃縮した。残渣へヘキサン100mlを加え、40℃に加熱して溶解させた。そこへ活性炭1.25gを加え脱色を行なった。セライト濾過後、5℃以下に冷却し、析出した固体を濾取、冷却したヘキサン(25ml)で洗浄し、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミドを微黄色固体として得た(23.6g,収率68%)。2工程でのトータル収率は51%であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明方法は特殊な冷却装置を必要とせず、環境上も好ましく、工業的に大量に製造するのに適した製造方法である。また、本発明方法はアルキル基を最初の工程で導入しないため、多品種製造を行なう場合は、工程数が少なく、コスト等の点で効率の良い製造方法である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料用増感剤及び医農薬合成中間体として有用な4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体は例えば、感熱記録材料用増感剤、医農薬合成中間体として有用である(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
この化合物の製造方法としては、フェノールをアルキル化後、クロロ硫酸でスルホニルクロリドへ変換した後、アンモニア水を作用させてアミド化して得る方法が知られている(非特許文献1参照)。
しかしながら、この方法ではクロロ硫酸を作用させる際、選択的に収率良く目的物を得るためには、低温で反応を行なう必要があり、工業的に大量に製造する場合は特殊な冷却装置を有する反応設備が必要となる。また、反応性の高い酸クロリドと反応させないという理由のため、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのような環境に有害なハロゲン系溶剤中で反応を行なう方法が一般的であり、環境上好ましくない。更に、アルキル基を最初の工程で導入しているため、アルキル基の異なる多品種の化合物を製造する場合は、工程数、コスト等の点で効率の悪い製造方法である。
【0004】
また、フェノールスルホン酸誘導体又はその塩を塩化チオニル等でスルホニルクロリドへ変換した後、アンモニア水を作用させても4―アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造原料である4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体は主生成物として得られない。
更に、4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミドの水酸基をブロモクロロアルカンを用いて、アセトン中でアルキル化する方法が知られているが(非特許文献2参照)、収率が満足すべきものではない。またN−アルキル化が進行するという問題点もあり、カラムクロマトグラフィーによる単離操作を必要とするため工業的に大量に製造するには適した方法ではない。
【0005】
【非特許文献1】
Australian Journal of Chemistry, 31(12), 2669(1978)
【非特許文献2】
Journal of Medicinal Chemistry, 32(1), 105(1989)
【特許文献1】
特開平9−39389号公報
【特許文献2】
特開平9−77737号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、このような従来の4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体の製造方法の欠点を克服し、環境に有害なハロゲン系溶剤を使用せず、温和な反応条件下での製造を可能にする方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状に鑑み、本発明者は鋭意研究を行った結果、下記の製造方法が、上記目的を達成する有利な方法であることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の方法を提供するものである。
【0008】
<1>4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)をジアゾ化後、熱分解して4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)を得た後、(III)の水酸基をアルキル化することを特徴とする4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体(I)の製造方法。
【0009】
【化2】
【0010】
[式中、R1は置換又は無置換のアルキル基を表す。R2はベンゼン環に置換可能な原子又は基を表す。nは0〜4の整数を表す。]
【0011】
<2>式中、R2が水素原子であることを特徴とする<1>記載の製造方法。
<3>4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)のジアゾ化を希硫酸中で行なうことを特徴とする<1>又は<2>記載の製造方法。
<4>4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)の水酸基のアルキル化を、アミド系溶媒中で行なうことを特徴とする<1>、<2>又は<3>記載の製造方法。
<5>4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)の水酸基のアルキル化に際して、塩基としてアルカリ金属炭酸塩を使用することを特徴とする<1>〜<4>の何れか1項記載の製造方法。
<6>アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムである<5>記載の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体(I)の製造方法は、4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)をジアゾ化後、熱分解して4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)を得た後、(III)の水酸基をアルキル化することを特徴とする。
【0013】
まず、原料化合物(II)、中間体(III)、製造物(I)について説明する。
(置換基R1の説明)
(I)の一般式において、置換基R1は、アルキル基を示す。ここで、アルキル基は、特に限定されないが、通常、炭素数1〜30のものが用いられる。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよい。また、不飽和結合を有していても良い。更にこれらのアルキル基は置換されていても良く、置換基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
【0014】
R1の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、オクタデシル、トリフルオロメチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−エチルペンチル、イソペンチル、ヘプチル、ノニル、ウンデシル、プロペニル、ヘプタデセニル、t−オクチル、エトキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル、1−(エトキシカルボニル)エチル、2’,4’−ジイソペンチルフェニルオキシメチル、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシメチル、エトキシカルボニルエチル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルエチル、ジブチルアミノカルボニルメチル、ジベンジルアミノカルボニルエチル、エトキシカルボニルプロピル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルプロピル、2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシプロピル、1−(2’,4’−ジ−t−アミルフェニルオキシ)プロピル、2’,4’−ジ−t−ブチルフェニルオキシプロピル、アセチルアミノエチル、メタンスルホニルアミノプロピル等が挙げられる。
【0015】
(置換基R2の説明)
一般式(I)〜(III)において、R2は、ベンゼン環に置換可能な原子または基を表わす。即ち、R2は特に限定されず、R2同士が結合してベンゼン環あるいは5〜7員の複素環を形成してもよい。R2としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基のような環状アルキル基を含む)、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基が例として挙げられる。
【0016】
好ましくは、R2は、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜30のアルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、5〜7員の複素環基(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜30のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、炭素数6〜30のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、炭素数1〜30のアルキルスルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ)、炭素数6〜30のアリールスルホニルアミノ(例えば、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、
【0017】
炭素数1〜30のアルキルチオ基(例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、炭素数6〜30のアリールチオ基(例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、炭素数1〜30のアルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル)、炭素数6〜30のアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、炭素数2〜30のアルキルカルボニル基(例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル)、炭素数7〜30のアリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、炭素数2〜30のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)である。
【0018】
R2は互いに結合してベンゼン環あるいは5〜7員の複素環を形成してもよい。複素環としては、飽和、不飽和のものを含み、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子から選ばれる少なくとも一つの原子を有する環構造を表わす。この中で、5員複素環としては、好ましくは、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール並びにこれらのジヒドロ体、ジオキソランなどが挙げられ、6員複素環としては、好ましくは、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン並びにこれらのジヒドロ体、テトラヒドロ体、ジオキサン、ジチアン、モルホリンなどが挙げられ、7員複素環としては、アゼピン、オキセピン、チエピン並びにこれらのジヒドロ体、テトラヒドロ体が挙げられ、これら5〜7員の複素環は、ベンゼン環が縮環していてもよい。さらに、これらの複素環の炭素原子には、ヒドロキシル基、メルカプト基、アミノ基、好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(例えば、メチル、エチル)、好ましくは、炭素数6〜30のアリール基(例えば、フェニル、ナフチル)などが、置換していてもよい。
【0019】
(nの説明)
nは0〜4の整数を表すが、特に好ましくは0である。換言すれば、R2が水素原子であることが好ましい。
【0020】
以下に、4−アルコキシベンゼンスルホンアミド誘導体(I)の具体例を挙げる。
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
<製造方法の説明>
(II)→(III)の工程(ジアゾ化工程)
【0024】
ジアゾ化剤としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の亜硝酸塩、亜硝酸イソアミル、亜硝酸n―ブチル、亜硝酸t−ブチル等の亜硝酸エステル類、ニトロシル硫酸等を使用することができる。好ましくは亜硝酸ナトリウムである。
ジアゾ化剤の使用量は(II)1モルに対して0.8〜2モルが好ましく、特に0.9〜1.2モルが好ましい。
ここで溶媒としては、希ハロゲン化水素酸、希硝酸、希硫酸を使用することができる。好ましくは希硫酸である。
ジアゾ化剤として、亜硝酸イソアミル、亜硝酸n―ブチル、亜硝酸t−ブチルを用いる場合は、非水系溶媒を使用することができる。非水系溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル等の二トリル類、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル類、酢酸等が挙げられる。
【0025】
反応温度は、0℃〜30℃が好ましく、特に0℃〜10℃が好ましい。また、反応時間は0.1〜5時間が好ましく、0.2〜1時間が特に好ましい。
【0026】
(II)→(III)の工程(熱分解工程)
ジアゾ化後そのまま加熱して分解させることも可能だが、反応時の発泡、着色度低減の点で希硫酸中にジアゾ溶液を滴下し、その後加熱する方法が好ましい。またその際、着色度低減の点で希硫酸中に硫酸ナトリウムを添加してもよい。
反応温度は20℃〜120℃が好ましく、特に50℃〜100℃が好ましい。
反応時間は0.5〜5時間が好ましく、特に0.5〜2時間が好ましい。
反応終了後、常法により抽出、濃縮し、(III)を取り出すことができる。更に必要に応じて、活性炭で処理することで着色度の少ない(III)を得ることができる。また、抽出後濃縮することなく貧溶媒を添加して目的物を析出させることも可能である。
【0027】
(III)→(I)の工程(アルキル化工程)
アルキル化に用いるアルキル化剤としては、塩化アルキル、臭化アルキル、よう化アルキル、アルキルスルホネート、硫酸ジアルキル等が挙げられるが、好ましくは臭化アルキルである。アルキル化剤の使用量は(III)1モルに対して1〜5モルが好ましく、1〜2モルが特に好ましい。
アルキル化に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、DBU等の有機塩基、水素化ナトリウム、水素化カリウム等のアルカリ金属水素化物、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムブチラート等の金属アルコラート、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の低級カルボン酸のアルカリ金属塩等が挙げられる。好ましくはアルカリ金属炭酸塩、より好ましくは炭酸ナトリウムが挙げられる。
塩基の使用量は、(III)1モルに対して1〜5モルが好ましく、特に好ましくは1〜2モルである。
【0028】
溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の二トリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の各種溶媒またはこれらの混合溶媒が挙げられる。これらのうち好ましくは、アミド類である。
【0029】
溶媒は、水に不溶な溶媒と水の2層系でも良い。水に不溶な溶媒としては酢酸エチル、トルエン等を挙げることができる。この場合には相関移動触媒を添加することが好ましい。相関移動触媒としては、よう化テトラエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム等を挙げることができる。
【0030】
反応温度は、20℃〜150℃が好ましく、80℃〜120℃がより好ましい。
反応時間は、反応温度にもよるが通常0.5〜24時間が好ましい。
反応終了後、抽出等の通常の後処理操作により目的物を取り出すことができる。また、再結晶、蒸留等の通常の精製手段により精製することができる。更に必要に応じてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することもできる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0032】
<実施例1>
4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミド(化合物8)の製造
スルファニルアミド34.4g(0.2mol)に水190mlを加え、氷浴で冷却した。そこへ濃硫酸36mlを加えた。亜硝酸ナトリウム14g(98.5%として0.2mol)を水40mlに溶かした液を滴下した。内温が5℃を超えないように滴下速度をコントロールした。全量滴下するのに20分を要した。反応液は白色懸濁状態から黄色均一溶液へと変化した。その後更に内温2℃で20分攪拌した(ジアゾ溶液A)。
【0033】
硫酸ナトリウム75gに硫酸100g、水50mlを加え昇温した。ジアゾ溶液Aを内温85℃でゆっくり滴下した。熱分解により発泡が観測された。全量滴下するのに40分を要した。その後、内温92℃で30分攪拌した(発泡が止まるまで攪拌した)。室温まで冷却後、酢酸エチル(300ml)を加えて抽出、分液し、有機層に硫酸マグネシウムと活性炭1.73gを加え乾燥、脱色を行なった。その後セライト濾過、濃縮を行い、4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミドを淡黄色固体として得た(32.4g,収率94%)。
【0034】
4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド17.32g(0.1mol)にN,N−ジメチルアセトアミド40ml、炭酸ナトリウム15.92g(0.15mol)を加えた。そこへ2−エチルヘキシルブロミド23.2g(0.12mol)を内温80℃で20分かけて滴下した。更に内温92〜95℃で8時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチル(150ml)と水を加え抽出、分液した。次いで、1N水酸化ナトリウム水溶液(100ml)を加え有機層を洗浄した後、分液、水洗した。次いで1N塩酸(150ml)を加え洗浄した後、分液、水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、淡褐色油状物24gを得た。これにヘキサン(80ml)を加え、溶解させた後、冷却した(内温3℃まで冷却した)。析出した固体を濾取、冷却したヘキサン(20ml)で洗浄し、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミドを微黄色固体として得た(16.8g,収率59%)。
2工程でのトータル収率は55%であった。
融点:48〜49℃
1H−NMR(CDCl3): δppm 7.86(d,2H),6.96(d,2H),4.76(brs,2H),3.90(d,2H),1.68〜1.81(m,1H),1.23〜1.55(m,8H),0.85〜0.98(m,6H)
【0035】
<参考例1>
4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミド(化合物8)の製造
(従来法)
フェノール66g(0.7mol)にN,N−ジメチルアセトアミド300mlを加え、炭酸カリウム115.9g(0.84mol)を加えた。そこへ2−エチルヘキシルブロミド162.2g (0.84mol)を内温80℃で30分かけて滴下した。更に内温100℃で8時間攪拌した。室温まで冷却した後、酢酸エチルと水を加え抽出、分液した。次いで水洗した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮し、残渣を減圧蒸留し、2−エチルヘキシルオキシベンゼンを得た(108.5g,収率75%)。
【0036】
2−エチルヘキシルオキシベンゼン25g(0.121mol)に塩化メチレン75mlを加え、−25℃でクロロ硫酸35.3g(0.303mol)を滴下した。その後−20℃で1時間攪拌した。この溶液を氷水200ml中に添加し、内温15℃以下で25%アンモニア水124ml(1.82mol)を滴下した。更に、内温20℃〜30℃で5時間攪拌した。分液し、塩化メチレン層を減圧下に濃縮した。残渣へヘキサン100mlを加え、40℃に加熱して溶解させた。そこへ活性炭1.25gを加え脱色を行なった。セライト濾過後、5℃以下に冷却し、析出した固体を濾取、冷却したヘキサン(25ml)で洗浄し、4−(2−エチルヘキシルオキシ)ベンゼンスルホンアミドを微黄色固体として得た(23.6g,収率68%)。2工程でのトータル収率は51%であった。
【0037】
【発明の効果】
本発明方法は特殊な冷却装置を必要とせず、環境上も好ましく、工業的に大量に製造するのに適した製造方法である。また、本発明方法はアルキル基を最初の工程で導入しないため、多品種製造を行なう場合は、工程数が少なく、コスト等の点で効率の良い製造方法である。
Claims (6)
- 式中、R2が水素原子であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
- 4−アミノベンゼンスルホンアミド誘導体(II)のジアゾ化を希硫酸中で行なうことを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
- 4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)の水酸基のアルキル化を、アミド系溶媒中で行なうことを特徴とする請求項1、2又は3記載の製造方法。
- 4―ヒドロキシベンゼンスルホンアミド誘導体(III)の水酸基のアルキル化に際して、塩基としてアルカリ金属炭酸塩を使用することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法。
- アルカリ金属炭酸塩が炭酸ナトリウムである請求項5記載の製造方法。
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