JP2004321868A - 湿式排煙脱硫方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】設備コストを上昇させることなく、変化する排ガス性状に対しても充分に要求脱硫率を満足することができるフレキシビリティに優れた湿式排煙脱硫方法及びその装置を提供すること。
【解決手段】吸収塔内の第一吸収ゾーン4に導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーン5に導入し、その排ガスを第二吸収ゾーン5において吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーン6に導入し、さらに、その排ガスを第三吸収ゾーン6において吸収液と接触させた後に吸収塔外に排出する。
【選択図】 図1
【解決手段】吸収塔内の第一吸収ゾーン4に導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーン5に導入し、その排ガスを第二吸収ゾーン5において吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーン6に導入し、さらに、その排ガスを第三吸収ゾーン6において吸収液と接触させた後に吸収塔外に排出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所などから排出される燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫方法及びその方法の実施に用いられる湿式排煙脱硫装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および背景】
火力発電所等から排出されるガス中には硫黄分が多量に含まれているため、排煙脱硫装置と呼ばれる排ガス処理設備が一般的に必要である。要求される脱硫率は脱硫設備が設置される地域ごとに異なっており、一瞬でもその要求脱硫率を下回ることがないように脱硫設備を設計する必要がある。そのため、運転条件の幅が狭くてフレキシビリティが小さい設備の場合には、通常必要とされる以上の過大な処理能力を備えている必要がある。ところが、脱硫設備の場合、特に高さ方向に大きくなると、ガス配管等の付帯設備の総延長も本体脱硫設備に付随して長くなるので、設備コストが大幅に上昇する。
【0003】
また、要求脱硫率は地域ごとに異なるだけでなく、設備稼働後も各種事情により変化し、火力発電の原料である石炭の種類も当初予定していなかった炭種を使用しなければならないこともあり、炭種が異なれば硫黄含有量も異なるのが普通である。ところが、石炭中の硫黄含有量の急激な増大のため、設備の運転条件を変更するだけでは要求脱硫率を満たすことができない場合がある。このようなときは、要求脱硫率を満たすための新たな付帯設備の追加をする必要があるなど、大幅に設備コストを上昇させる。そのため、できる限り運転条件の変更により要求脱硫率を満足できるように、運転条件の幅が広くてフレキシビリティの大きな脱硫設備が好ましいが、上記したように、石炭原料中に含まれる硫黄分は炭種により千差万別であり、運転条件の幅が狭くてフレキシビリティが小さい脱硫設備の場合は、使用できない石炭原料が出てくることもある。
【0004】
そこで、効率よく気液を接触し、硫黄酸化物を含有する排ガスの脱硫率を向上することを目的とする湿式排煙脱硫装置として、各種のものが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1に開示された湿式排煙脱硫装置によれば、図7に示すように、硫黄酸化物含有排ガス31は、円筒槽32の上部より円筒面に対して接線方向に流入させるダクト33より円筒槽32内に流入して旋回流を形成し、吸液ダクト34から二重管排出ダクト35内に供給された石灰石スラリー等の吸収液は二重管外壁に半径方向に多数取り付けられたスプレーノズル36から噴出されてミスト状吸収液となって旋回ガス流中の硫黄酸化物を吸収し、硫黄酸化物を吸収されたガスはダクト35を経て排出される。
【0006】
特許文献2に開示された湿式排煙脱硫装置によれば、図8に示すように、硫黄酸化物含有排ガス41は石灰石スラリー等の吸収液が供給されるタンク42の上方に設けられた液柱式の導入側吸収塔43においてタンク42内の吸収液と気液接触し、導入側吸収塔43から排出されたガスはタンク42の上方に設けられた液柱式の導出側吸収塔44においてタンク42内の吸収液と再度気液接触した後、出口45を経て排出される。
【0007】
また、図9に示す湿式排煙脱硫装置によれば、硫黄酸化物含有排ガス51をスプレー型吸収塔52内に導入し、このガスに吸収塔内下部のボトムタンク53から循環液ライン54、55、56を通して汲み上げた石灰石スラリー等の吸収液をスプレー噴霧段57、58、59より噴霧して排ガス中の硫黄酸化物を吸収し、硫黄酸化物を吸収されたガスは出口60を経て排出される。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−281055号公報
【特許文献2】
特開平10−5524号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、脱硫設備に要求される運転条件の幅は広く、地域事情や原料事情などの変化に柔軟に対応しうる設備が求められているが、従来の脱硫設備には下記のような欠点がある。
【0010】
図7に記載された湿式排煙脱硫装置は硫黄酸化物吸収ゾーンを1つしか有していないため、変化する排ガス性状に対する運転条件の幅が狭く、排ガス中の硫黄酸化物量の変動に対する具体的な運転方法としては、スプレーノズル36から噴出されるミスト状吸収液の量を増減するしかない。
【0011】
図8に記載された湿式排煙脱硫装置は、吸収ゾーンが2つあり、変化する排ガス性状に対する運転条件の幅は図7の装置よりは広くなるが、排ガス中の硫黄酸化物量の変動に対する具体的な運転方法としては、導入側吸収塔43と導出側吸収塔44のスプレーパイプ46と47から噴射される吸収液の量を増減するしかなく、噴水ように吹き上げる液柱式でガスと接触させる方式であるため、気液の接触面積を大幅に変化させるのは困難である。
【0012】
また、図9に記載された湿式排煙脱硫装置は、仕切板61によって吸収塔52内が2分割されているが、図7や図8に記載された装置と同様に、変化する排ガス性状に対して要求脱硫率を確保するためには、仕切板61によって仕切られた左右の部分にあるスプレー噴霧段57、58、59から噴霧される吸収液の量を増減するしかなく、変化する排ガス性状に対する運転条件の幅が広いとは言えない。
【0013】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、設備コストを上昇させることなく、変化する排ガス性状に対しても充分に要求脱硫率を満足することができるフレキシビリティに優れた湿式排煙脱硫方法及びその装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、吸収塔内の第一吸収ゾーンに導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーンに導入し、その排ガスを第二吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーンに導入し、さらにその排ガスを第三吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させるというように、3つの硫黄酸化物吸収ゾーンを有するので、処理対象とする排ガス性状の変化に対して柔軟に対応して第一〜第三の各吸収ゾーンの機能を巧みに使い分けることにより、要求脱硫率を満足することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の湿式排煙脱硫方法は、スプレー型吸収塔内に導入した硫黄酸化物含有排ガスに、スプレー噴霧段より吸収液である石灰石スラリーを噴霧して、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収させて吸収塔内底部に貯留し、塔内底部に貯留した吸収液を循環液ラインを介してスプレー噴霧段に汲み上げて循環させる湿式排煙脱硫方法において、吸収塔内の第一吸収ゾーンに導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーンに導入し、その排ガスを第二吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーンに導入し、さらに、その排ガスを第三吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に吸収塔外に排出することを特徴としている。
【0016】
例えば、第一吸収ゾーンでは、要求脱硫率の50〜60%を達成し、第二吸収ゾーンでは、要求脱硫率の60〜95%を達成し、第三吸収ゾーンでは、要求脱硫率の95%以上を達成するように、各吸収ゾーンの機能を使い分けることができる。これらの脱硫率の数値は一例であって、3つの吸収ゾーンがあるので、排ガス性状や要求脱硫率の変化にフレキシブルに対応するように設備を運転することができる。
【0017】
最初に硫黄酸化物が吸収される第一吸収ゾーンの排ガス中の硫黄酸化物の含有量は3ゾーンの中で最も多いので、排ガスの流れ方向と吸収液の流れ方向が反対である、いわゆる向流気液接触であると、スプレー噴霧段の各スプレーノズルが排ガス中の析出固形分(亜硫酸カルシウムや硫酸カルシウム)により閉塞することがある。しかし、排ガスの流れ方向と吸収液の流れ方向が同じである、いわゆる並流気液接触であると、スプレー噴霧段の各スプレーノズルは固形分により閉塞しにくい。しかも、第一吸収ゾーンは、もともと排ガス中の硫黄酸化物濃度が非常に高いため、並流気液接触による硫黄酸化物の吸収であっても、向流気液接触と遜色ない程度の吸収効果が期待できる。
【0018】
そこで、第一吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を並流方式で接触させ、排ガスを反転させて第二吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を向流方式で接触させ、さらに排ガスを反転させて第三吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を並流方式で接触させる方法であれば、並流気液接触である第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段の各スプレーノズルが固形分により閉塞することはなく、排ガス中の相当量の硫黄酸化物は吸収液に吸収されてガス中の硫黄酸化物濃度は大幅に低下する。
【0019】
続く第二吸収ゾーンでは並流接触に比べてより効率的な気液接触が期待できる向流接触により排ガス中の硫黄酸化物が吸収液に吸収されるので、要求脱硫率への幅広い対応が可能になる。
【0020】
そして、並流接触である第三吸収ゾーンが設けられているので、排ガス中の硫黄酸化物濃度が急激に増加した場合においても、要求脱硫率を達成することが可能である。
【0021】
このように、並流→向流→並流と続く各吸収ゾーンの特徴を活かして適正な運転条件を選択することにより、合理的に要求脱硫率を満足することができる。さらに、向流気液接触方式は並流気液接触方式に比べて排ガスの圧損が大きいが、並流→向流→並流というように並流気液接触方式が多いことにより排ガスの圧損が少なくなるので、排ガスを送給するブロアの動力コストを低減することが可能である。また、向流気液接触では反対方向に流れるガス流が吸収液の流れに対する大きな抵抗になるので、良好な気液接触を確保するためには吸収液の送給圧力を高める必要がある。そこで、並流→向流→並流というように並流気液接触方式が多いことにより、吸収液の送給動力を低減することもできる。
【0022】
しかしながら、スプレー噴霧段の各スプレーノズルが固形分により閉塞した場合、脱硫装置の運転を停止して、閉塞ノズルの洗浄をして閉塞を解消するなどのメンテナンス作業が必要である。そこで、スプレー噴霧段を洗浄する洗浄液を、塔内底部に貯留した吸収液をスプレー噴霧段に汲み上げる循環液ラインに供給し、スプレー噴霧段から吸収液または洗浄液のいずれかの液を噴霧可能であるような方式にすることにより、脱硫装置を運転しつつ吸収液供給機器を洗浄することができる。例えば、第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段のスプレーノズルが閉塞した場合、第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段には洗浄液(例えば、水や塩酸など)を供給し、第二吸収ゾーンと第三吸収ゾーンのスプレー噴霧段には吸収液を供給することにより、第二および第三吸収ゾーンで要求脱硫率を確保するように排ガス中の硫黄酸化物を除去しつつ、第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段のスプレーノズルの洗浄をして閉塞を解消することが可能である。このように、脱硫装置を連続運転しつつ吸収液供給機器の洗浄と脱硫操作を同時に実行することができる。
【0023】
以上のようにして本発明によれば、機能の異なる3つの硫黄酸化物吸収ゾーンを一つの塔に組み込むことにより、運転操作条件の幅が広くて非常にフレキシビリティに富んだコンパクトな設備を実現できる。また、変化する排ガス性状に適応するように3つの各硫黄酸化物吸収ゾーンの運転制御方法を選択することで要求脱硫率を達成することができるので、必要以上に余剰のスプレーノズルを備えておく必要がない。
【0024】
スプレー型吸収塔内にスプレー噴霧段を備えた第一、第二および第三吸収ゾーンを有する脱硫装置としては、吸収塔内上部空間の頂部付近を残して吸収塔内を上下方向に仕切るように仕切板を配して第一および第二吸収ゾーンからなる排ガス導入部と第三吸収ゾーンからなる排ガス排出部に2分割し、第一吸収ゾーンを形成するように、吸収塔頂部を貫通して吸収塔内上部に至るように排ガスダクトを導入して、この排ガスダクト内にスプレー噴霧段を設置し、上記排ガスダクトを囲むようにスプレー噴霧段を設置して第二吸収ゾーンを形成し、第三吸収ゾーンを形成するように排ガス排出部にスプレー噴霧段を設置するとともに吸収塔側面に排ガス出口を形成した構成のものを採用することができる。
【0025】
スプレー型吸収塔内に3つの吸収ゾーンを設けることにより、上記したように多くの利点が得られるが、一方、吸収ゾーンを仕切るための固定の仕切板は塔内を流れるガスの大きな抵抗にもなるという不都合な点がある。そこで、上下方向に伸縮可能な仕切板を採用すれば、3つの吸収ゾーンが必要とされない性状の排ガス(例えば、排ガス中のSO2 濃度が500ppm 以下である硫黄酸化物濃度の低いガス)を処理する場合は、仕切板を収縮させて2つの吸収ゾーンにすることで、必要な脱硫率を確保しつつ、しかも、排ガスの圧損が少なくなるので、動力コストを低減できる。
【0026】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
【0027】
図1は、本発明の一実施例である湿式排煙脱硫装置の概略構成を示す透視斜視図である。スプレー型吸収塔1の塔内上部空間の頂部付近を残して吸収塔内を上下方向に仕切るように仕切板2を配して、塔内は排ガス導入部と排ガス排出部に2分割されている。排ガス導入部は後記する第一および第二吸収ゾーンからなり、仕切板2の左側部分に形成される。排ガス排出部は後記する第三吸収ゾーンからなり、仕切板2の右側部分に形成される。
【0028】
すなわち、スプレー型吸収塔1の頂部を貫通して吸収塔内上部に至るように排ガスダクト3を導入し、この排ガスダクト3内にスプレー噴霧段4a、4bおよび4cを設置し、これら排ガスダクト3内に設置されたスプレー噴霧段4a、4bおよび4cにより第一吸収ゾーン4が形成される。また、排ガスダクト3を囲むようにスプレー噴霧段5a、5bおよび5cが設置されており、これら排ガスダクト3の周囲に設置されたスプレー噴霧段5a、5bおよび5cにより第二吸収ゾーン5が形成される。
【0029】
仕切板2の右側部分である排ガス排出部には、スプレー噴霧段6a、6bおよび6cが設置されており、これらスプレー噴霧段6a、6bおよび6cにより第三吸収ゾーン6が形成される。また、最下段のスプレー噴霧段6cの下方の吸収塔側面に排ガス出口7が形成されている。
【0030】
以上のスプレー噴霧段はすべて下方に向けて吸収液を噴霧しており、第一吸収ゾーン4においては排ガスダクト3内を下降する排ガスと吸収液を並流接触させ、第二吸収ゾーン5において上昇する排ガスと吸収液を向流接触させ、第三吸収ゾーン6においては下降する排ガスと吸収液を並流接触させている。
【0031】
吸収塔1の底部に貯留した吸収液(石灰石粉粒体と水の混合物である石灰石スラリー)は循環液ライン8、9、10を経由して、それぞれ第一、第二および第三吸収ゾーン4、5、6の各スプレー噴霧段に接続されている。11は吸収液送給ポンプである。
【0032】
以上のように構成される湿式排煙脱硫装置によれば、排ガス出口7の右方にある図示しない吸引ブロワーにより排ガスダクト3内に導入された硫黄酸化物含有排ガスに、スプレー噴霧段4a、4bおよび4cより吸収液である石灰石スラリーを噴霧して、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収させて吸収塔1内底部に貯留する。スプレー噴霧段4a、4bおよび4cから噴霧される吸収液は下方を向いており、排ガスダクト3より導入されるガスの流れ方向と一致する並流による気液接触であり、固形分によりスプレー噴霧段4a、4bおよび4cの各スプレーノズルが閉塞される可能性は少ない。しかも、第一吸収ゾーン4は3つの吸収ゾーンの中で排ガス中の硫黄酸化物量が最も多いので、効率よく硫黄酸化物が吸収液に吸収される。また、並流による気液接触であるから、排ガスの圧力損失が少なく、ブロワーの吸引動力を低減し、ポンプ11の吸収液送給動力を低減することもできる。
【0033】
次に、排ガスは導入方向とは逆方向に反転され、第二吸収ゾーン5に導入される。スプレー噴霧段5a、5bおよび5cから噴霧される吸収液は下方を向いており、上方へ向かって流れるガスの流れ方向とは反対である向流による気液接触であり、効率よく排ガス中の硫黄酸化物を吸収することができ、幅広い要求脱硫率への対応が可能となる。
【0034】
さらに、排ガスは反転され、第三吸収ゾーン6に導入される。スプレー噴霧段6a、6bおよび6cから噴霧される吸収液は下方を向いており、下方へ向かって流れるガスの流れ方向と一致する並流による気液接触であり、固形分によりスプレー噴霧段6a、6bおよび6cの各スプレーノズルが閉塞される可能性は少ない。並流による気液接触であるから、排ガスの圧力損失が少なく、吸収液送給に対する抵抗力も小さい。このような第三吸収ゾーンを設けることで、突発的な排ガス中の硫黄酸化物濃度の増加があっても、要求脱硫率を満たすことが可能である。
【0035】
また、仕切板2で吸収塔1の底部に貯留した吸収液は2分割されているので、必要に応じて左側と右側の吸収液の種類や濃度を変えることもできる。例えば、左側には濃い石灰石スラリーを、右側には薄い石灰石スラリーを貯留することもできる。
【0036】
以上のようにして、ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収されて所定の清浄度に達したガスは出口7から排出されて、さらに、必要な場合には他のガス処理設備で付加的な処理が施される。
【0037】
図2は、本発明の別の実施例である湿式排煙脱硫装置の概略構成を示す透視斜視図である。
【0038】
本実施例では、スプレー噴霧段の各スプレーノズルが固形分により閉塞した場合、脱硫装置の運転を停止することなく、閉塞ノズルの洗浄をして閉塞を解消することができる。すなわち、スプレー噴霧段の各スプレーノズルを洗浄する洗浄液(水や塩酸など)を貯留したタンク12と各循環液ライン8、9、10が接続されている。バルブ13と14、15と16および17と18を開閉することにより、第一、第二または第三吸収ゾーン4、5、6の各スプレー噴霧段から吸収液または洗浄液のいずれかを噴霧することができる。例えば、第一吸収ゾーン4のスプレー噴霧段4a、4bおよび4cのスプレーノズルが閉塞した場合、バルブ13を閉じてバルブ14を開くことによりスプレー噴霧段4a、4b、4cには洗浄液を供給してスプレーノズルの洗浄をしつつ、バルブ15と17を開いてバルブ16と18を閉じることにより第二吸収ゾーン5と第三吸収ゾーン6のスプレー噴霧段には吸収液を供給し、第二および第三吸収ゾーン5、6で要求脱硫率を確保するように排ガス中の硫黄酸化物を吸収することが可能であって、脱硫装置を連続運転しつつ吸収液供給機器の洗浄と脱硫操作を同時に実行することができる。
【0039】
図3は、第一吸収ゾーン内のスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の一例を示す図であり、図4は、第二吸収ゾーンと第三吸収ゾーン内のスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の一例を示す図である。
【0040】
図3において、19はスプレーヘッダー、20は分岐スプレー管である。図4において、21、22はスプレーヘッダー、23、24は分岐スプレー管である。スプレーヘッダー19、21、22はそれぞれ循環液ライン8、9、10と接続されている。
【0041】
図5は上下方向に伸縮可能な仕切板を示し、この仕切板は上部25aと下部5bの2部分よりなる。上部仕切板25a内には受信器が埋めこまれており、脱硫装置外部からの信号を受信すると、上部仕切板25aはガイド部材26、26に挟持されて上下方向に伸縮可能である。例えば、排ガス中の硫黄酸化物濃度が低くて(≦500ppm) 、2つの吸収ゾーンでも充分に必要な脱硫率を確保することが可能な場合には、上部仕切板25aを収縮し、スプレー型吸収塔1内の硫黄酸化物吸収ゾーンを2つ(排ガスダクト3内の第一吸収ゾーンと排ガスダクト3を除く吸収ゾーン)にすることができる。上部仕切板25aを収縮すれば、ガス流れの抵抗となる仕切板がなくなるので、動力コストを低減することが可能になる。図6は、図5の伸縮仕切板をスプレー型吸収塔1に配置した一例を示す平面図である。
【0042】
以下の表1は、図1に示す本発明の湿式排煙脱硫装置と図9に示す従来の湿式排煙脱硫装置において、排ガス中の硫黄酸化物濃度が通常の場合(入口濃度が1000ppm 以下)における運転データの一例を示す。表1および以下の表2において、SO2 濃度は乾燥ベースの数値である。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、図9に示す従来方式の湿式排煙脱硫装置では、仕切板61で仕切られた入口側および出口側のゾーンがともに向流気液接触方式であり、ガスの圧力損失が大きいが、本発明方式の湿式排煙脱硫装置は、並流→向流→並流による気液接触方式であり、並流による気液接触部が多いのでガスの圧力損失が小さい。しかも、脱硫率は、従来方式と同等以上のレベルである。
【0045】
以下の表2は、図1に示す本発明の湿式排煙脱硫装置と図9に示す従来の湿式排煙脱硫装置において、排ガス中の硫黄酸化物濃度が高い場合(入口濃度が1000ppm 超)における運転データの一例を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示すように、図9に示す従来方式の湿式排煙脱硫装置は向流による気液接触方式であるから、ガスの圧力損失が大きいが、本発明方式の湿式排煙脱硫装置は、並流→向流→並流による気液接触方式であり、並流による気液接触部が多いのでガスの圧力損失が小さい。本例は、排ガス中の硫黄酸化物濃度が高濃度の場合であるから、本発明方式および従来方式ともに吸収液循環量は表1の場合より多いが、本発明方式は硫黄酸化物を吸収するための3つの吸収ゾーンを有しており、各吸収ゾーンのL/G比率を適正に設定することにより、脱硫率は従来方式と比べて遜色ないレベルを維持しつつ、吸収液循環量を従来方式より少なくすることができる。従って、吸収液を送給するポンプのモータ動力を低減することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、上記のとおり構成されているので、次の効果を奏する。
(1)請求項1記載の発明によれば、変化する排ガス性状に対しても充分に要求脱硫率を満足することができるフレキシビリティに優れた湿式排煙脱硫方法を提供することができる。特に、ガス中の硫黄酸化物濃度が高い場合には、本発明の特徴である3吸収ゾーン方式による効果(動力コスト低減メリット)は大きくなる。
(2)請求項2記載の発明によれば、ガスの圧力損失と吸収液の流れに対する抵抗を少なくすることができるので、排ガスを送給するブロワーや吸収液を送給するポンプの動力コストを低減することができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、脱硫装置を連続運転しつつ吸収液供給機器の洗浄と脱硫操作を同時に実行することができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の方法を実施するに好適である、運転操作条件の幅が広くて非常にフレキシビリティに富んだコンパクトな湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、請求項2記載の方法を実施するに好適である、設備コストの低い湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、請求項3記載の方法を実施するに好適である、設備コストの低い湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
(7)請求項7記載の発明によれば、さらにフレキシビリティに優れた動力コストの低い湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式排煙脱硫装置の一実施例の概略構成を示す透視斜視図である。
【図2】本発明の湿式排煙脱硫装置の別の実施例の概略構成を示す透視斜視図である。
【図3】本発明の湿式排煙脱硫装置に使用するスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の湿式排煙脱硫装置に使用するスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の別の例を示す平面図である。
【図5】上下方向に伸縮可能である仕切板の斜視図である。
【図6】図5の仕切板を本発明のスプレー型吸収塔に配置した一例を示す平面図である。
【図7】従来の湿式排煙脱硫装置の概略構成図である。
【図8】従来の別の湿式排煙脱硫装置の概略構成図である。
【図9】従来のさらに別の湿式排煙脱硫装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…スプレー型吸収塔
2…仕切板
3…排ガスダクト
4…第一吸収ゾーン
4a、4b、4c…スプレー噴霧段
5…第二吸収ゾーン
5a、5b、5c…スプレー噴霧段
6…第三吸収ゾーン
6a、6b、6c…スプレー噴霧段
7…排ガス出口
8、9、10…循環液ライン
11…ポンプ
12…洗浄液貯留タンク
13、14、15、16、17、18…バルブ
19、21、22…スプレーヘッダー
20、23、24…分岐スプレー管
25a、25b…仕切板
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電所などから排出される燃焼排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫方法及びその方法の実施に用いられる湿式排煙脱硫装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および背景】
火力発電所等から排出されるガス中には硫黄分が多量に含まれているため、排煙脱硫装置と呼ばれる排ガス処理設備が一般的に必要である。要求される脱硫率は脱硫設備が設置される地域ごとに異なっており、一瞬でもその要求脱硫率を下回ることがないように脱硫設備を設計する必要がある。そのため、運転条件の幅が狭くてフレキシビリティが小さい設備の場合には、通常必要とされる以上の過大な処理能力を備えている必要がある。ところが、脱硫設備の場合、特に高さ方向に大きくなると、ガス配管等の付帯設備の総延長も本体脱硫設備に付随して長くなるので、設備コストが大幅に上昇する。
【0003】
また、要求脱硫率は地域ごとに異なるだけでなく、設備稼働後も各種事情により変化し、火力発電の原料である石炭の種類も当初予定していなかった炭種を使用しなければならないこともあり、炭種が異なれば硫黄含有量も異なるのが普通である。ところが、石炭中の硫黄含有量の急激な増大のため、設備の運転条件を変更するだけでは要求脱硫率を満たすことができない場合がある。このようなときは、要求脱硫率を満たすための新たな付帯設備の追加をする必要があるなど、大幅に設備コストを上昇させる。そのため、できる限り運転条件の変更により要求脱硫率を満足できるように、運転条件の幅が広くてフレキシビリティの大きな脱硫設備が好ましいが、上記したように、石炭原料中に含まれる硫黄分は炭種により千差万別であり、運転条件の幅が狭くてフレキシビリティが小さい脱硫設備の場合は、使用できない石炭原料が出てくることもある。
【0004】
そこで、効率よく気液を接触し、硫黄酸化物を含有する排ガスの脱硫率を向上することを目的とする湿式排煙脱硫装置として、各種のものが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1に開示された湿式排煙脱硫装置によれば、図7に示すように、硫黄酸化物含有排ガス31は、円筒槽32の上部より円筒面に対して接線方向に流入させるダクト33より円筒槽32内に流入して旋回流を形成し、吸液ダクト34から二重管排出ダクト35内に供給された石灰石スラリー等の吸収液は二重管外壁に半径方向に多数取り付けられたスプレーノズル36から噴出されてミスト状吸収液となって旋回ガス流中の硫黄酸化物を吸収し、硫黄酸化物を吸収されたガスはダクト35を経て排出される。
【0006】
特許文献2に開示された湿式排煙脱硫装置によれば、図8に示すように、硫黄酸化物含有排ガス41は石灰石スラリー等の吸収液が供給されるタンク42の上方に設けられた液柱式の導入側吸収塔43においてタンク42内の吸収液と気液接触し、導入側吸収塔43から排出されたガスはタンク42の上方に設けられた液柱式の導出側吸収塔44においてタンク42内の吸収液と再度気液接触した後、出口45を経て排出される。
【0007】
また、図9に示す湿式排煙脱硫装置によれば、硫黄酸化物含有排ガス51をスプレー型吸収塔52内に導入し、このガスに吸収塔内下部のボトムタンク53から循環液ライン54、55、56を通して汲み上げた石灰石スラリー等の吸収液をスプレー噴霧段57、58、59より噴霧して排ガス中の硫黄酸化物を吸収し、硫黄酸化物を吸収されたガスは出口60を経て排出される。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−281055号公報
【特許文献2】
特開平10−5524号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、脱硫設備に要求される運転条件の幅は広く、地域事情や原料事情などの変化に柔軟に対応しうる設備が求められているが、従来の脱硫設備には下記のような欠点がある。
【0010】
図7に記載された湿式排煙脱硫装置は硫黄酸化物吸収ゾーンを1つしか有していないため、変化する排ガス性状に対する運転条件の幅が狭く、排ガス中の硫黄酸化物量の変動に対する具体的な運転方法としては、スプレーノズル36から噴出されるミスト状吸収液の量を増減するしかない。
【0011】
図8に記載された湿式排煙脱硫装置は、吸収ゾーンが2つあり、変化する排ガス性状に対する運転条件の幅は図7の装置よりは広くなるが、排ガス中の硫黄酸化物量の変動に対する具体的な運転方法としては、導入側吸収塔43と導出側吸収塔44のスプレーパイプ46と47から噴射される吸収液の量を増減するしかなく、噴水ように吹き上げる液柱式でガスと接触させる方式であるため、気液の接触面積を大幅に変化させるのは困難である。
【0012】
また、図9に記載された湿式排煙脱硫装置は、仕切板61によって吸収塔52内が2分割されているが、図7や図8に記載された装置と同様に、変化する排ガス性状に対して要求脱硫率を確保するためには、仕切板61によって仕切られた左右の部分にあるスプレー噴霧段57、58、59から噴霧される吸収液の量を増減するしかなく、変化する排ガス性状に対する運転条件の幅が広いとは言えない。
【0013】
本発明は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、設備コストを上昇させることなく、変化する排ガス性状に対しても充分に要求脱硫率を満足することができるフレキシビリティに優れた湿式排煙脱硫方法及びその装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、吸収塔内の第一吸収ゾーンに導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーンに導入し、その排ガスを第二吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーンに導入し、さらにその排ガスを第三吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させるというように、3つの硫黄酸化物吸収ゾーンを有するので、処理対象とする排ガス性状の変化に対して柔軟に対応して第一〜第三の各吸収ゾーンの機能を巧みに使い分けることにより、要求脱硫率を満足することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の湿式排煙脱硫方法は、スプレー型吸収塔内に導入した硫黄酸化物含有排ガスに、スプレー噴霧段より吸収液である石灰石スラリーを噴霧して、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収させて吸収塔内底部に貯留し、塔内底部に貯留した吸収液を循環液ラインを介してスプレー噴霧段に汲み上げて循環させる湿式排煙脱硫方法において、吸収塔内の第一吸収ゾーンに導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーンに導入し、その排ガスを第二吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーンに導入し、さらに、その排ガスを第三吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に吸収塔外に排出することを特徴としている。
【0016】
例えば、第一吸収ゾーンでは、要求脱硫率の50〜60%を達成し、第二吸収ゾーンでは、要求脱硫率の60〜95%を達成し、第三吸収ゾーンでは、要求脱硫率の95%以上を達成するように、各吸収ゾーンの機能を使い分けることができる。これらの脱硫率の数値は一例であって、3つの吸収ゾーンがあるので、排ガス性状や要求脱硫率の変化にフレキシブルに対応するように設備を運転することができる。
【0017】
最初に硫黄酸化物が吸収される第一吸収ゾーンの排ガス中の硫黄酸化物の含有量は3ゾーンの中で最も多いので、排ガスの流れ方向と吸収液の流れ方向が反対である、いわゆる向流気液接触であると、スプレー噴霧段の各スプレーノズルが排ガス中の析出固形分(亜硫酸カルシウムや硫酸カルシウム)により閉塞することがある。しかし、排ガスの流れ方向と吸収液の流れ方向が同じである、いわゆる並流気液接触であると、スプレー噴霧段の各スプレーノズルは固形分により閉塞しにくい。しかも、第一吸収ゾーンは、もともと排ガス中の硫黄酸化物濃度が非常に高いため、並流気液接触による硫黄酸化物の吸収であっても、向流気液接触と遜色ない程度の吸収効果が期待できる。
【0018】
そこで、第一吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を並流方式で接触させ、排ガスを反転させて第二吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を向流方式で接触させ、さらに排ガスを反転させて第三吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を並流方式で接触させる方法であれば、並流気液接触である第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段の各スプレーノズルが固形分により閉塞することはなく、排ガス中の相当量の硫黄酸化物は吸収液に吸収されてガス中の硫黄酸化物濃度は大幅に低下する。
【0019】
続く第二吸収ゾーンでは並流接触に比べてより効率的な気液接触が期待できる向流接触により排ガス中の硫黄酸化物が吸収液に吸収されるので、要求脱硫率への幅広い対応が可能になる。
【0020】
そして、並流接触である第三吸収ゾーンが設けられているので、排ガス中の硫黄酸化物濃度が急激に増加した場合においても、要求脱硫率を達成することが可能である。
【0021】
このように、並流→向流→並流と続く各吸収ゾーンの特徴を活かして適正な運転条件を選択することにより、合理的に要求脱硫率を満足することができる。さらに、向流気液接触方式は並流気液接触方式に比べて排ガスの圧損が大きいが、並流→向流→並流というように並流気液接触方式が多いことにより排ガスの圧損が少なくなるので、排ガスを送給するブロアの動力コストを低減することが可能である。また、向流気液接触では反対方向に流れるガス流が吸収液の流れに対する大きな抵抗になるので、良好な気液接触を確保するためには吸収液の送給圧力を高める必要がある。そこで、並流→向流→並流というように並流気液接触方式が多いことにより、吸収液の送給動力を低減することもできる。
【0022】
しかしながら、スプレー噴霧段の各スプレーノズルが固形分により閉塞した場合、脱硫装置の運転を停止して、閉塞ノズルの洗浄をして閉塞を解消するなどのメンテナンス作業が必要である。そこで、スプレー噴霧段を洗浄する洗浄液を、塔内底部に貯留した吸収液をスプレー噴霧段に汲み上げる循環液ラインに供給し、スプレー噴霧段から吸収液または洗浄液のいずれかの液を噴霧可能であるような方式にすることにより、脱硫装置を運転しつつ吸収液供給機器を洗浄することができる。例えば、第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段のスプレーノズルが閉塞した場合、第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段には洗浄液(例えば、水や塩酸など)を供給し、第二吸収ゾーンと第三吸収ゾーンのスプレー噴霧段には吸収液を供給することにより、第二および第三吸収ゾーンで要求脱硫率を確保するように排ガス中の硫黄酸化物を除去しつつ、第一吸収ゾーンのスプレー噴霧段のスプレーノズルの洗浄をして閉塞を解消することが可能である。このように、脱硫装置を連続運転しつつ吸収液供給機器の洗浄と脱硫操作を同時に実行することができる。
【0023】
以上のようにして本発明によれば、機能の異なる3つの硫黄酸化物吸収ゾーンを一つの塔に組み込むことにより、運転操作条件の幅が広くて非常にフレキシビリティに富んだコンパクトな設備を実現できる。また、変化する排ガス性状に適応するように3つの各硫黄酸化物吸収ゾーンの運転制御方法を選択することで要求脱硫率を達成することができるので、必要以上に余剰のスプレーノズルを備えておく必要がない。
【0024】
スプレー型吸収塔内にスプレー噴霧段を備えた第一、第二および第三吸収ゾーンを有する脱硫装置としては、吸収塔内上部空間の頂部付近を残して吸収塔内を上下方向に仕切るように仕切板を配して第一および第二吸収ゾーンからなる排ガス導入部と第三吸収ゾーンからなる排ガス排出部に2分割し、第一吸収ゾーンを形成するように、吸収塔頂部を貫通して吸収塔内上部に至るように排ガスダクトを導入して、この排ガスダクト内にスプレー噴霧段を設置し、上記排ガスダクトを囲むようにスプレー噴霧段を設置して第二吸収ゾーンを形成し、第三吸収ゾーンを形成するように排ガス排出部にスプレー噴霧段を設置するとともに吸収塔側面に排ガス出口を形成した構成のものを採用することができる。
【0025】
スプレー型吸収塔内に3つの吸収ゾーンを設けることにより、上記したように多くの利点が得られるが、一方、吸収ゾーンを仕切るための固定の仕切板は塔内を流れるガスの大きな抵抗にもなるという不都合な点がある。そこで、上下方向に伸縮可能な仕切板を採用すれば、3つの吸収ゾーンが必要とされない性状の排ガス(例えば、排ガス中のSO2 濃度が500ppm 以下である硫黄酸化物濃度の低いガス)を処理する場合は、仕切板を収縮させて2つの吸収ゾーンにすることで、必要な脱硫率を確保しつつ、しかも、排ガスの圧損が少なくなるので、動力コストを低減できる。
【0026】
【実施例】
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
【0027】
図1は、本発明の一実施例である湿式排煙脱硫装置の概略構成を示す透視斜視図である。スプレー型吸収塔1の塔内上部空間の頂部付近を残して吸収塔内を上下方向に仕切るように仕切板2を配して、塔内は排ガス導入部と排ガス排出部に2分割されている。排ガス導入部は後記する第一および第二吸収ゾーンからなり、仕切板2の左側部分に形成される。排ガス排出部は後記する第三吸収ゾーンからなり、仕切板2の右側部分に形成される。
【0028】
すなわち、スプレー型吸収塔1の頂部を貫通して吸収塔内上部に至るように排ガスダクト3を導入し、この排ガスダクト3内にスプレー噴霧段4a、4bおよび4cを設置し、これら排ガスダクト3内に設置されたスプレー噴霧段4a、4bおよび4cにより第一吸収ゾーン4が形成される。また、排ガスダクト3を囲むようにスプレー噴霧段5a、5bおよび5cが設置されており、これら排ガスダクト3の周囲に設置されたスプレー噴霧段5a、5bおよび5cにより第二吸収ゾーン5が形成される。
【0029】
仕切板2の右側部分である排ガス排出部には、スプレー噴霧段6a、6bおよび6cが設置されており、これらスプレー噴霧段6a、6bおよび6cにより第三吸収ゾーン6が形成される。また、最下段のスプレー噴霧段6cの下方の吸収塔側面に排ガス出口7が形成されている。
【0030】
以上のスプレー噴霧段はすべて下方に向けて吸収液を噴霧しており、第一吸収ゾーン4においては排ガスダクト3内を下降する排ガスと吸収液を並流接触させ、第二吸収ゾーン5において上昇する排ガスと吸収液を向流接触させ、第三吸収ゾーン6においては下降する排ガスと吸収液を並流接触させている。
【0031】
吸収塔1の底部に貯留した吸収液(石灰石粉粒体と水の混合物である石灰石スラリー)は循環液ライン8、9、10を経由して、それぞれ第一、第二および第三吸収ゾーン4、5、6の各スプレー噴霧段に接続されている。11は吸収液送給ポンプである。
【0032】
以上のように構成される湿式排煙脱硫装置によれば、排ガス出口7の右方にある図示しない吸引ブロワーにより排ガスダクト3内に導入された硫黄酸化物含有排ガスに、スプレー噴霧段4a、4bおよび4cより吸収液である石灰石スラリーを噴霧して、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収させて吸収塔1内底部に貯留する。スプレー噴霧段4a、4bおよび4cから噴霧される吸収液は下方を向いており、排ガスダクト3より導入されるガスの流れ方向と一致する並流による気液接触であり、固形分によりスプレー噴霧段4a、4bおよび4cの各スプレーノズルが閉塞される可能性は少ない。しかも、第一吸収ゾーン4は3つの吸収ゾーンの中で排ガス中の硫黄酸化物量が最も多いので、効率よく硫黄酸化物が吸収液に吸収される。また、並流による気液接触であるから、排ガスの圧力損失が少なく、ブロワーの吸引動力を低減し、ポンプ11の吸収液送給動力を低減することもできる。
【0033】
次に、排ガスは導入方向とは逆方向に反転され、第二吸収ゾーン5に導入される。スプレー噴霧段5a、5bおよび5cから噴霧される吸収液は下方を向いており、上方へ向かって流れるガスの流れ方向とは反対である向流による気液接触であり、効率よく排ガス中の硫黄酸化物を吸収することができ、幅広い要求脱硫率への対応が可能となる。
【0034】
さらに、排ガスは反転され、第三吸収ゾーン6に導入される。スプレー噴霧段6a、6bおよび6cから噴霧される吸収液は下方を向いており、下方へ向かって流れるガスの流れ方向と一致する並流による気液接触であり、固形分によりスプレー噴霧段6a、6bおよび6cの各スプレーノズルが閉塞される可能性は少ない。並流による気液接触であるから、排ガスの圧力損失が少なく、吸収液送給に対する抵抗力も小さい。このような第三吸収ゾーンを設けることで、突発的な排ガス中の硫黄酸化物濃度の増加があっても、要求脱硫率を満たすことが可能である。
【0035】
また、仕切板2で吸収塔1の底部に貯留した吸収液は2分割されているので、必要に応じて左側と右側の吸収液の種類や濃度を変えることもできる。例えば、左側には濃い石灰石スラリーを、右側には薄い石灰石スラリーを貯留することもできる。
【0036】
以上のようにして、ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収されて所定の清浄度に達したガスは出口7から排出されて、さらに、必要な場合には他のガス処理設備で付加的な処理が施される。
【0037】
図2は、本発明の別の実施例である湿式排煙脱硫装置の概略構成を示す透視斜視図である。
【0038】
本実施例では、スプレー噴霧段の各スプレーノズルが固形分により閉塞した場合、脱硫装置の運転を停止することなく、閉塞ノズルの洗浄をして閉塞を解消することができる。すなわち、スプレー噴霧段の各スプレーノズルを洗浄する洗浄液(水や塩酸など)を貯留したタンク12と各循環液ライン8、9、10が接続されている。バルブ13と14、15と16および17と18を開閉することにより、第一、第二または第三吸収ゾーン4、5、6の各スプレー噴霧段から吸収液または洗浄液のいずれかを噴霧することができる。例えば、第一吸収ゾーン4のスプレー噴霧段4a、4bおよび4cのスプレーノズルが閉塞した場合、バルブ13を閉じてバルブ14を開くことによりスプレー噴霧段4a、4b、4cには洗浄液を供給してスプレーノズルの洗浄をしつつ、バルブ15と17を開いてバルブ16と18を閉じることにより第二吸収ゾーン5と第三吸収ゾーン6のスプレー噴霧段には吸収液を供給し、第二および第三吸収ゾーン5、6で要求脱硫率を確保するように排ガス中の硫黄酸化物を吸収することが可能であって、脱硫装置を連続運転しつつ吸収液供給機器の洗浄と脱硫操作を同時に実行することができる。
【0039】
図3は、第一吸収ゾーン内のスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の一例を示す図であり、図4は、第二吸収ゾーンと第三吸収ゾーン内のスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の一例を示す図である。
【0040】
図3において、19はスプレーヘッダー、20は分岐スプレー管である。図4において、21、22はスプレーヘッダー、23、24は分岐スプレー管である。スプレーヘッダー19、21、22はそれぞれ循環液ライン8、9、10と接続されている。
【0041】
図5は上下方向に伸縮可能な仕切板を示し、この仕切板は上部25aと下部5bの2部分よりなる。上部仕切板25a内には受信器が埋めこまれており、脱硫装置外部からの信号を受信すると、上部仕切板25aはガイド部材26、26に挟持されて上下方向に伸縮可能である。例えば、排ガス中の硫黄酸化物濃度が低くて(≦500ppm) 、2つの吸収ゾーンでも充分に必要な脱硫率を確保することが可能な場合には、上部仕切板25aを収縮し、スプレー型吸収塔1内の硫黄酸化物吸収ゾーンを2つ(排ガスダクト3内の第一吸収ゾーンと排ガスダクト3を除く吸収ゾーン)にすることができる。上部仕切板25aを収縮すれば、ガス流れの抵抗となる仕切板がなくなるので、動力コストを低減することが可能になる。図6は、図5の伸縮仕切板をスプレー型吸収塔1に配置した一例を示す平面図である。
【0042】
以下の表1は、図1に示す本発明の湿式排煙脱硫装置と図9に示す従来の湿式排煙脱硫装置において、排ガス中の硫黄酸化物濃度が通常の場合(入口濃度が1000ppm 以下)における運転データの一例を示す。表1および以下の表2において、SO2 濃度は乾燥ベースの数値である。
【0043】
【表1】
【0044】
表1に示すように、図9に示す従来方式の湿式排煙脱硫装置では、仕切板61で仕切られた入口側および出口側のゾーンがともに向流気液接触方式であり、ガスの圧力損失が大きいが、本発明方式の湿式排煙脱硫装置は、並流→向流→並流による気液接触方式であり、並流による気液接触部が多いのでガスの圧力損失が小さい。しかも、脱硫率は、従来方式と同等以上のレベルである。
【0045】
以下の表2は、図1に示す本発明の湿式排煙脱硫装置と図9に示す従来の湿式排煙脱硫装置において、排ガス中の硫黄酸化物濃度が高い場合(入口濃度が1000ppm 超)における運転データの一例を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表2に示すように、図9に示す従来方式の湿式排煙脱硫装置は向流による気液接触方式であるから、ガスの圧力損失が大きいが、本発明方式の湿式排煙脱硫装置は、並流→向流→並流による気液接触方式であり、並流による気液接触部が多いのでガスの圧力損失が小さい。本例は、排ガス中の硫黄酸化物濃度が高濃度の場合であるから、本発明方式および従来方式ともに吸収液循環量は表1の場合より多いが、本発明方式は硫黄酸化物を吸収するための3つの吸収ゾーンを有しており、各吸収ゾーンのL/G比率を適正に設定することにより、脱硫率は従来方式と比べて遜色ないレベルを維持しつつ、吸収液循環量を従来方式より少なくすることができる。従って、吸収液を送給するポンプのモータ動力を低減することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明は、上記のとおり構成されているので、次の効果を奏する。
(1)請求項1記載の発明によれば、変化する排ガス性状に対しても充分に要求脱硫率を満足することができるフレキシビリティに優れた湿式排煙脱硫方法を提供することができる。特に、ガス中の硫黄酸化物濃度が高い場合には、本発明の特徴である3吸収ゾーン方式による効果(動力コスト低減メリット)は大きくなる。
(2)請求項2記載の発明によれば、ガスの圧力損失と吸収液の流れに対する抵抗を少なくすることができるので、排ガスを送給するブロワーや吸収液を送給するポンプの動力コストを低減することができる。
(3)請求項3記載の発明によれば、脱硫装置を連続運転しつつ吸収液供給機器の洗浄と脱硫操作を同時に実行することができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の方法を実施するに好適である、運転操作条件の幅が広くて非常にフレキシビリティに富んだコンパクトな湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
(5)請求項5記載の発明によれば、請求項2記載の方法を実施するに好適である、設備コストの低い湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、請求項3記載の方法を実施するに好適である、設備コストの低い湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
(7)請求項7記載の発明によれば、さらにフレキシビリティに優れた動力コストの低い湿式排煙脱硫装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湿式排煙脱硫装置の一実施例の概略構成を示す透視斜視図である。
【図2】本発明の湿式排煙脱硫装置の別の実施例の概略構成を示す透視斜視図である。
【図3】本発明の湿式排煙脱硫装置に使用するスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の一例を示す平面図である。
【図4】本発明の湿式排煙脱硫装置に使用するスプレー噴霧段のスプレーヘッダーの配置の別の例を示す平面図である。
【図5】上下方向に伸縮可能である仕切板の斜視図である。
【図6】図5の仕切板を本発明のスプレー型吸収塔に配置した一例を示す平面図である。
【図7】従来の湿式排煙脱硫装置の概略構成図である。
【図8】従来の別の湿式排煙脱硫装置の概略構成図である。
【図9】従来のさらに別の湿式排煙脱硫装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…スプレー型吸収塔
2…仕切板
3…排ガスダクト
4…第一吸収ゾーン
4a、4b、4c…スプレー噴霧段
5…第二吸収ゾーン
5a、5b、5c…スプレー噴霧段
6…第三吸収ゾーン
6a、6b、6c…スプレー噴霧段
7…排ガス出口
8、9、10…循環液ライン
11…ポンプ
12…洗浄液貯留タンク
13、14、15、16、17、18…バルブ
19、21、22…スプレーヘッダー
20、23、24…分岐スプレー管
25a、25b…仕切板
Claims (7)
- スプレー型吸収塔内に導入した硫黄酸化物含有排ガスに、スプレー噴霧段より吸収液である石灰石スラリーを噴霧して、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収させて吸収塔内底部に貯留し、塔内底部に貯留した吸収液を循環液ラインを介してスプレー噴霧段に汲み上げて循環させる湿式排煙脱硫方法において、吸収塔内の第一吸収ゾーンに導入した排ガスを吸収液と接触させた後に反転させて第二吸収ゾーンに導入し、その排ガスを第二吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に反転させて第三吸収ゾーンに導入し、さらに、その排ガスを第三吸収ゾーンにおいて吸収液と接触させた後に吸収塔外に排出することを特徴とする湿式排煙脱硫方法。
- 第一吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を並流方式で接触させ、第二吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を向流方式で接触させ、第三吸収ゾーンにおいて排ガスと吸収液を並流方式で接触させることを特徴とする請求項1記載の湿式排煙脱硫方法。
- スプレー噴霧段を洗浄する洗浄液を、塔内底部に貯留した吸収液をスプレー噴霧段に汲み上げる循環液ラインに供給し、スプレー噴霧段から吸収液または洗浄液のいずれかの液を噴霧可能であることを特徴とする請求項1または2記載の湿式排煙脱硫方法。
- スプレー型吸収塔内上部空間に導入した硫黄酸化物含有排ガスに、吸収塔内に設置されたスプレー噴霧段より吸収液である石灰石スラリーを噴霧して、排ガス中の硫黄酸化物を吸収液に吸収させて吸収塔内底部に貯留し、塔内底部に貯留した吸収液を循環液ラインを介してスプレー噴霧段に汲み上げて循環させる湿式排煙脱硫装置において、吸収塔内上部空間の頂部付近を残して吸収塔内を上下方向に仕切るように仕切板を配して第一および第二吸収ゾーンからなる排ガス導入部と第三吸収ゾーンからなる排ガス排出部に2分割し、第一吸収ゾーンを形成するように、吸収塔頂部を貫通して吸収塔内上部に至るように排ガスダクトを導入して、この排ガスダクト内にスプレー噴霧段を設置し、上記排ガスダクトを囲むようにスプレー噴霧段を設置して第二吸収ゾーンを形成し、第三吸収ゾーンを形成するように排ガス排出部にスプレー噴霧段を設置するとともに吸収塔側面に排ガス出口を形成したことを特徴とする湿式排煙脱硫装置。
- 第一、第二、第三の各吸収ゾーンに設けたスプレー噴霧段より下方に向けて吸収液を噴霧し、第一吸収ゾーンにおいては排ガスダクト内を下降する排ガスと吸収液を並流接触させ、第二吸収ゾーンにおいて上昇する排ガスと吸収液を向流接触させ、第三吸収ゾーンにおいては下降する排ガスと吸収液を並流接触させることを特徴とする請求項4記載の湿式排煙脱硫装置。
- スプレー噴霧段を洗浄する洗浄液を貯留した容器と、塔内底部に貯留した吸収液をスプレー噴霧段に汲み上げる循環液ラインとを接続し、スプレー噴霧段から吸収液または洗浄液のいずれかの液を噴霧可能であることを特徴とする請求項4または5記載の湿式排煙脱硫装置。
- 仕切板が上下方向に伸縮可能であることを特徴とする請求項4、5または6記載の湿式排煙脱硫装置。
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