JP2004321280A - 画像式弾球遊技機、画像式弾球遊技機のプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】予め記憶するデータ量および制御負担を軽減し、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を実現できる画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムを提供することである。
【解決手段】ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いて特定し、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いて特定する。
【選択図】 図3
【解決手段】ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いて特定し、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いて特定する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、画像式のパチンコ遊技機などで代表される画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムに関し、詳しくは、入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備える画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムとして従来から一般的に知られているものに、たとえば、画像式のパチンコ遊技機のような、入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備えるものがある。
【0003】
このような画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムにおいて、遊技盤面画像に入射された打玉画像の発射レベルと遊技状態とに応じて複数設定されているルートから流下表示するために用いるルートを選択し、選択されたルートにしたがって打玉画像を流下表示するもの(たとえば、特許文献1参照)があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−9768号公報(第8頁〜第10頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような画像式弾球遊技機においては、選択されたルートにより打玉画像の軌道データおよび速度データが決定されていた。このため、実際のパチンコ遊技機のようにバラエティー豊かな自然な演出を行うためには、大量のルートデータを記憶する必要があり、また、大量のルートデータを記憶した場合であっても、記憶されたルートを用いた演出に限られるため、遊技者に違和感を与えていた。なお、ルートデータを全く記憶させずに、制御回路により打玉画像の表示位置を特定し表示する処理を行なうようにしたときには、制御回路の処理負担が増大するといった不都合が生じる。
【0006】
この発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め記憶するデータ量および制御負担を軽減し、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を実現できる画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段の具体例およびその効果】
(1) 入賞口を表わす画像(たとえば、始動入賞口画像14,入賞口画像24等参照)を含む遊技盤面画像(たとえば、遊技盤面画像4等)と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像(たとえば、遊技球画像等)と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道(たとえば、進行方向,流下経路,軌道等)を変化させる障害物画像(たとえば、釘画像,役物画像,風車画像等参照)とを表示可能な画像表示装置(たとえば、表示装置3、図17のSC26等)を備える画像式弾球遊技機(画像式パチンコ機1)であって、
前記遊技球画像の軌道を変化制御(たとえば、ベクトル制御、ルート制御等参照)するためのデータ(たとえば、ベクトル制御データ、ベクトル制御領域データ、ルート制御データ、ルート制御領域データ等参照)を記憶するデータ記憶手段(たとえば、ROM95等参照)と、
該データ記憶手段のデータを用いて、経過した時間に応じた当該遊技球画像を表示するための表示位置を特定する表示位置特定手段(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図12、図17のSC16等参照)と、
該表示位置特定手段により表示位置を特定された遊技球画像を表示する遊技球表示制御手段(たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ81,VDP82,VRAM83,キャラクタROM84、図17のSC20等参照)とを備え、
前記データ記憶手段は、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上に発射された後の、または、前記障害物画像と衝突した後の、該遊技球画像の初期速度(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期速度、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期速度等)と、初期軌道(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期軌道(角度,方向)、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期軌道等)と、を特定可能な初期速度ベクトル(たとえば、初期速度と初期軌道を有する初期速度ベクトル等)と、所定の重力加速度(たとえば、重力加速度:g等)とに基づき、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのベクトル制御データ(たとえば、図5、図14、図17のSC08等参照)と、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上を移動し得る軌道を予め複数に分岐した分岐軌道ルート(たとえば、図12の実線、点線、一点鎖線等の予め定められた複数のルート等参照)にもとづいて、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのルート制御データ(たとえば、図13、図17のSC11等参照)と、
前記ベクトル制御データを用いて前記表示位置特定手段が前記遊技球画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのベクトル制御領域データ(たとえば、ベクトル特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域(遊技盤面画像4上に表示される釘画像,役物画像,風車画像等の障害物画像に衝突しながら流下する領域)に対応するデータ、図3の斜線部以外の遊技領域、図17のSC09等参照)と、
前記ルート制御データを用いて前記表示位置特定手段が前記遊技球の画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのルート制御領域データ(たとえば、ルート特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域に対応するデータ、図3の斜線部、図17のSC12等参照)とを含み、
前記表示位置特定手段は、
前記ベクトル制御データを用いて、前記ベクトル制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するベクトル表示位置特定手段(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図17のSC17等参照)と、
前記ルート制御データを用いて、前記ルート制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するルート表示位置特定手段(たとえば、図12、図17のSC18等参照)とを含み、
前記遊技球表示制御手段は、
前記ベクトル表示位置特定手段により特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するベクトル表示制御手段(たとえば、図17のSC21等参照)と、
前記ルート表示位置特定手段により特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するルート表示制御手段(たとえば、図17のSC22等参照)とを含む。
【0008】
上述の構成によれば、ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いて特定することができ、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いて特定することができる。これにより、ルート制御データの占めるデータ量を低減させるとともに、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させて、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0009】
(2) 前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記遊技球画像の軌道が水平方向または奥行き方向となる領域(たとえば、始動用電動役物画像15,通過ゲート画像11,可変入賞球装置画像19等の遊技球画像が遊技者側からみて水平方向,奥行き方向に強制的に移動表示される領域およびその領域に近接する領域等)である。
【0010】
上述の構成によれば、軌道が水平方向または奥行き方向となる領域では、ルート表示位置特定手段により遊技球画像の表示位置が特定されるため、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させることができる。
【0011】
(3) 前記遊技盤面画像上に含まれる入賞口画像に、前記遊技球画像が入賞すると遊技者に所定の遊技価値数を付与する遊技価値付与手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53、図17のSC04等)と、
前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記入賞口画像に近接または隣接する領域(たとえば、各入賞口画像に近接または隣接する領域、図3の斜線部参照)であり、
前記ルート制御データは、前記遊技球画像が前記入賞口画像に入賞する分岐軌道ルート(たとえば、図12の釘画像h〜i間の領域を通過するルート等)を含む(たとえば、図13の入賞率10%時テーブルにおいてはL1〜L5、入賞率30%テーブルにおいてはL1〜L8等を30通りのルートに含んでいる)。
【0012】
上述の構成によれば、入賞口画像に近接または隣接する領域では、ルート表示位置特定手段により遊技球画像の表示位置が特定され、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させることができる。また、ルート制御データを用いて、遊技球画像が入賞口画像に入賞する表示を行なうことができる。
【0013】
(4) 前記画像表示装置は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報(たとえば、特別図柄「0」〜「9」の10種類の数字等)を変動表示するための変動表示部(たとえば、変動表示装置画像8等参照)と、
前記遊技球画像が入賞したことを条件として前記識別情報の変動表示を開始させる変動入賞口画像(たとえば、始動入賞口画像14等)とがさらに表示され、
前記変動表示部は、前記識別情報を遊技者が認識できるように前面に表示窓が形成された表飾り部(たとえば、遊技盤面画像4上に設けられている変動表示装置画像8の表飾画像17等参照)を含み、
前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記表飾り部の表示されている領域(たとえば、表飾画像17および表飾画像17上に設けられた仮想ステージ部18が表示された領域等)であり、
前記ルート制御データは、前記遊技球画像が前記変動入賞口画像に入賞する分岐軌道ルート(たとえば、図12の釘画像h〜i間の領域を通過するルート等)を含む(たとえば、図13の入賞率10%時テーブルにおいてはL1〜L5、入賞率30%テーブルにおいてはL1〜L8等を30通りのルートに含んでいる)。
【0014】
上述の構成によれば、表飾り部の表示されている領域では、ルート表示位置特定手段により遊技球画像の表示位置が特定されるため、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させることができる。また、ルート制御データを用いて、遊技球画像が変動入賞口画像に入賞する表示を行なうことができる。
【0015】
(5) 入賞口を表わす画像(たとえば、始動入賞口画像14,入賞口画像24等参照)を含む遊技盤面画像(たとえば、遊技盤面画像4等)と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像(たとえば、遊技球画像等)と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道(たとえば、進行方向,流下経路,軌道等)を変化させる障害物画像(たとえば、釘画像,役物画像,風車画像等参照)とを表示可能な画像表示装置(たとえば、表示装置3、図17のSC22等)を備える画像式弾球遊技機のプログラム(画像式パチンコ機1のROM54,ROM95に格納されている各種プログラム)であって、
前記遊技球画像の軌道を変化制御(たとえば、ベクトル制御、ルート制御等参照)するためのデータ(たとえば、ベクトル制御データ、ベクトル制御領域データ、ルート制御データ、ルート制御領域データ等参照)を用いて、経過した時間に応じた当該遊技球画像を表示するための表示位置を特定する表示位置特定ステップ(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図12、図17のSC16等参照)と、
該表示位置特定ステップにより表示位置を特定された遊技球画像を表示する遊技球表示制御ステップ(たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ81,VDP82,VRAM83,キャラクタROM84、図17のSC20等参照)とを備え、
前記表示位置特定ステップは、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上に発射された後の、または、前記障害物画像と衝突した後の、該遊技球画像の初期速度(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期速度、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期速度等)と、初期軌道(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期軌道(角度,方向)、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期軌道等)と、を特定可能な初期速度ベクトル(たとえば、初期速度と初期軌道を有する初期速度ベクトル等)と、所定の重力加速度(たとえば、重力加速度:g等)とに基づき、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのベクトル制御データ(たとえば、図5、図14、図17のSC08等参照)を用いて、前記表示位置特定ステップが前記遊技球画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのベクトル制御領域データ(たとえば、ベクトル特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域(遊技盤面画像4上に表示される釘画像,役物画像,風車画像等の障害物画像に衝突しながら流下する領域)に対応するデータ、図3の斜線部以外の遊技領域、図17のSC09等参照)から特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するベクトル表示位置特定ステップ(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図17のSC17等参照)と、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上を移動し得る軌道を予め複数に分岐した分岐軌道ルート(たとえば、図12の実線、点線、一点鎖線等の予め定められた複数のルート等参照)にもとづいて、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのルート制御データ(たとえば、図13、図17のSC11等参照)を用いて、前記表示位置特定ステップが前記遊技球の画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのルート制御領域データ(たとえば、ルート特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域に対応するデータ、図3の斜線部、図17のSC12等参照)から特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するルート表示位置特定ステップ(たとえば、図12、図17のSC18等参照)とを含み、
前記遊技球表示制御ステップは、
前記ベクトル表示位置特定ステップにより特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するベクトル表示制御ステップ(たとえば、図17のSC21等参照)と、
前記ルート表示位置特定ステップにより特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するルート表示制御ステップ(たとえば、図17のSC22等参照)とを含む。
【0016】
上述の構成によれば、ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いて特定することができ、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いて特定することができる。これにより、ルート制御データの占めるデータ量を低減させるとともに、ベクトル表示位置特定ステップにかかる負担を軽減させて、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムの一例として画像式パチンコ機を示すが、本発明はこれに限らず、入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備える画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムであればすべてに適用することが可能である。
【0018】
第1実施形態
まず、画像式弾球遊技機の一例である画像式パチンコ機の全体構成について説明する。図1は画像式パチンコ機1を正面から見た正面図である。
【0019】
図1に示すように、画像式パチンコ機1の上部には、遊技状態が予め定められた遊技者にとって有利な特定遊技状態(たとえば、大当り状態)となったときに点灯または点滅する枠ランプ7が設けられている。枠ランプ7の両側には、遊技の興趣を向上するために所定の効果音を発生させるスピーカ27が備えられている。画像式パチンコ機1の中央部には、液晶表示器よりなる表示装置2の表示画面3が配置される。遊技開始時には、図1に示すように実際のパチンコ遊技機の遊技盤面に対応する遊技盤面画像4が表示画面3に表示される。なお、この表示装置2は、液晶表示器に限らず、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field EmisSJon Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス等その他の画像表示式の表示装置により構成されてもよい。かかる遊技盤面画像4については図3を用いて後述する。
【0020】
画像式パチンコ機1の下方部には、遊技者が遊技により獲得した持ち点および/または購入した額に対応する点数を表示する遊技持点表示器5が設けられている。この遊技持点表示器5の下方には、遊技者が遊技に用いるための情報を入力するための操作部および該操作により入力された情報を表示するための表示器等が設けられている。
【0021】
画像式パチンコ機1の右下方部には、遊技ハンドル6が設けられている。遊技ハンドル6は、遊技球画像を遊技盤面画像4上に形成された遊技領域に打込む(表示する)ために使用されるものであって、この遊技ハンドル6を遊技者が操作することにより、遊技球画像が1個ずつ遊技盤面画像4上に形成された遊技領域に発射されるような表示制御が行なわれる。
【0022】
本実施形態における画像式パチンコ機1には、それぞれ、カードユニット41が対応して設置されている。このカードユニット41は、紙幣投入口44または硬貨投入口45に現金を投入すること、または、所定の持ち点が記憶されたICカードを購入しICカード挿入口46に挿入することにより、現金の金額に対応する点数または記憶された持ち点を付与(許容)するものである。この持ち点は、遊技盤面画像4上に一の遊技球画像が打込まれるごとに1減算され、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示される入賞口画像等に入賞したときに、該入賞した入賞口に対応して予め定められている点数分増加される。
【0023】
次に、本実施形態における画像式パチンコ機1に用いられる制御回路について説明する。図2は、本実施形態における画像式パチンコ機1に用いられる制御回路の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態では、以下に説明する制御回路により所定の遊技を所定の順序で制御し表示することができる。
【0024】
図2を参照して、制御回路は、遊技制御基板31、演出制御基板80、カード制御基板40、電源基板60等の基板で構成されている。電源基板60から供給される電力で遊技制御基板31と演出制御基板80とによる処理が行なわれる。カード制御基板40には、遊技制御基板31を介して電力が供給される。
【0025】
遊技制御基板31には、プログラムに従って画像式パチンコ機1の遊技を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ53を搭載している。この遊技制御用マイクロコンピュータ53は、遊技制御用のプログラム等を記憶する記憶手段の一例であるROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段の一例であるRAM55、制御用プログラムに従って制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む遊技制御用のマイクロコンピュータである。
【0026】
本実施形態では、ROM54,RAM55はCPU56に搭載されている。すなわちCPU56は、ワンチップマイクロコンピュータである。なお、CPU56とROM54,RAM55とはワンチップ化されていなくてもよい。つまり、ROM54、RAM55およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
【0027】
また、I/Oポート部57は、マイクロコンピュータにおける情報入出力可能な端子である。このI/Oポート部57を介して、前述した遊技ハンドル6の操作度合いを検出する発射強度検出SW70と、表示装置2に表示する遊技の内容を選択(たとえば、第1種パチンコ遊技機、第2種パチンコ遊技機、第3種パチンコ遊技機等の遊技内容からいずれかを選択)するためのゲーム選択SW71と、遊技場側が遊技者の獲得する利益価値数に影響を与える出玉率や入賞率を設定するための出玉率設定SW72,入賞率設定SW73とから発信される信号を受信することができる。また、カード制御基板40から送信される信号に基づき遊技持点表示器5の表示状態を制御する処理が行なわれる。
【0028】
遊技制御用マイクロコンピュータ53は、発射強度検出SW70からの信号に基づき、遊技球画像を遊技盤面画像4上の遊技領域内に発射するときの初期速度ベクトル(初期速度と初期軌道)を算出し、算出された数値に対応する遊技球制御コマンドを演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する。なお、初期速度ベクトルは、発射強度検出SW70からの信号が同一であるときには同一の初期速度ベクトルが算出されるようにしてもよい。また、これに限らず、発射強度検出SW70からの信号が同一であっても微妙に初期速度ベクトルが変化するようにランダムに算出されるようにしてもよい。すなわち、同一の発射レベルであっても異なる初期速度ベクトルを算出する初期速度ベクトル決定手段を設けてもよい。
【0029】
発射強度検出SW70は、遊技ハンドル6に内蔵されており、遊技ハンドル6の操作状態に応じて遊技球画像の発射状態を制御するためのスイッチである。すなわち、遊技球画像の発射時の初期速度ベクトルおよび発射間隔等を設定する。発射強度検出SW70は、操作状態に応じた発射状態を指令するための制御信号を遊技制御用マイクロコンピュータ53へ出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ53は、発射強度検出SW70から入力された制御信号に応じた初期速度ベクトルを算出し、該初期速度ベクトルで遊技球画像が発射されたように表示するための遊技球制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する。演出制御用マイクロコンピュータ81は、入力された遊技球制御コマンドに応じて遊技球画像の表示位置を特定し、表示装置2上に表示する処理を行なう。
【0030】
なお、出玉率設定SW72や入賞率設定SW73についても同様に、入力された制御信号に応じた出玉率設定コマンドや入賞率設定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する処理が行なわれる。この出玉率設定コマンドや入賞率設定コマンドにより、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像が入賞口画像等に入賞するような表示が行なわれる割合を異ならせることができる。なお、本実施形態における出玉率設定SW72や入賞率設定SW73は、遊技場側が操作できるように設けられている。たとえば、画像式パチンコ機1の内部に設けられておりキー操作で出玉率や入賞率を設定できるものや、遊技場に設置されている遊技機を管理するホールコンピュータにより遊技場側が所望する出玉率や入賞率を設定できるものであってもよい。また、本実施形態においては、出玉率設定SW72により設定された出玉率にしたがい入賞口ごとの入賞率が設定される例について説明するが、これに限らず、出玉率設定SW72で設定された出玉率となるように算出された複数の入賞率から、入賞率設定SW73により選択設定するようにしてもよい。また、出玉率設定SW72による設定とは無関係に、入賞率設定SW73で入賞口ごとの入賞率を設定できるようにしてもよい。なお、本実施形態における出玉率とは、1分間の遊技において、入賞口画像等への入賞により遊技者が獲得した点数を、遊技盤面画像4上に打込まれた遊技球画像数で除することにより得られる値の平均をいう。
【0031】
また、遊技制御基板31は、上記処理以外に、大当りの発生に関する情報を示すための大当り情報および始動入賞口を表わす始動入賞口画像14への遊技球画像の入賞個数のうち実際に遊技に使用された個数等を示すための有効始動情報とを含む管理データをホストコンピュータであるホール用管理コンピュータ等に対して出力する。また、遊技者が遊技を終了した後その売上データをホストコンピュータであるホール用管理コンピュータ等に対して出力する。
【0032】
カード制御基板40は、カードユニット41に設けられた紙幣投入口44等に投入された現金に対応する点数、および、ICカード挿入口46に挿入されたICカードに記憶された持ち点を読出し、これらのデータを遊技制御用マイクロコンピュータ53へ出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ53では、これらのデータに応じた持ち点が表示されるように遊技持点表示器5の表示状態を制御する。なお、ICカード挿入口46は、ICカードに記憶された持ち点を読込・書込できるカードR/W装置42から構成されている。このカードR/W装置42には、精算SW47と持点消化SW48とが搭載されており、かかるSWを操作することにより挿入されているICカードに記憶されている持ち点を読込、遊技持点表示器5に表示されている持ち点を挿入されているICカードに書込できるように構成されている。
【0033】
次に、演出制御基板80について説明する。演出制御基板80には、プログラムに従って遊技制御用マイクロコンピュータ53から送信される各種制御コマンドを解析し画像式パチンコ機1に搭載されている演出機器を制御する演出制御用マイクロコンピュータ81と、演出制御用マイクロコンピュータ81からの指令に応答して表示装置2を実際に表示駆動するためのVDP82(Video Display Processor )と、VDP82により生成された画像データを一時的に記憶するためのVRAM83(Video Random Access Memory)と、遊技球画像、釘・役物等を含む遊技盤面画像4等を表示するためのスプライトデータを記憶しているキャラクタROM84とが搭載されている。
【0034】
演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技制御用マイクロコンピュータ53と同様に、演出制御用のプログラム等を記憶する記憶手段の一例であるROM95、ワークメモリとして使用される記憶手段の一例であるRAM94、制御用プログラムに従って制御動作を行なうCPU93およびI/Oポート部96を含む演出制御用のマイクロコンピュータである。
【0035】
演出制御用マイクロコンピュータ81は、ROM95に格納されたプログラムに従って動作し、遊技制御用マイクロコンピュータ53から入力されるストローブ信号としての演出制御信号INT(割込信号ともいう)が入力されると割込動作状態となって演出制御コマンドを取り込む。そして、取込んだ演出制御コマンドに従って、表示装置2に表示する遊技球画像の表示制御や、スピーカ27から出力する遊技音の音制御や、遊技状態を報知するための枠ランプ7等の点灯状態を制御する点灯制御を行なう。
【0036】
ROM95には、演出制御信号INTが入力されるごとに、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている釘等の障害物画像に衝突したか否かを判定し衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するベクトル設定用プログラム、それぞれの遊技球画像ごとに設定されている初期速度ベクトルと重力加速度(g=9.8m/s2)にしたがって遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置を特定するベクトル制御用プログラム、遊技球画像に設定されているルートにしたがって該遊技球画像の表示位置を特定するルート制御用プログラム、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている入賞口画像に入賞したか否かを判定する入賞判定プログラム、遊技状態に応じて遊技盤面画像4上に表示された役物,風車等の障害物画像の動作状態を決定するためのプログラム等が格納されている。
【0037】
また、ROM95には、格納されているプログラムに従って動作するときに用いられるデータを記憶している。たとえば、ベクトル設定用プログラムに従って初期速度ベクトルを設定するときに用いられる変数値や、入賞判定プログラムによる判定が行なわれるときに参照される入賞率や、ルート制御用プログラムに従って表示位置を特定するときに用いられる複数のルート等が記憶されている。
【0038】
CPU93は、演出制御コマンドに基づきプログラム処理により算出されたデータをVDP82に送信する。たとえば、表示位置を特定するためのプログラムにより算出された遊技球画像を表示する位置に対応するデータをVDP82に送信する処理を行なう。
【0039】
VDP82は、VRAM83の表示画面バッファ領域(図示省略)に、送信されてきたデータにしたがって、指定されるデータ(遊技球スプライトデータ,遊技盤面スプライトデータ等含む)を指定された位置に表示されるようにマッピングする。VRAM83の表示画面バッファ領域にマッピングされたデータをマップデータという。
【0040】
VDP82は、所定のタイミングでVRAM83の表示画面バッファ領域に記憶されているマップデータを読み出し、マップデータに含まれる各画像に基づいて、キャラクタROM84から各画像のスプライトデータ等を読み出す。
【0041】
次に、VDP82は、VRAM83の表示画面バッファ領域にマッピングされたマップデータに着色処理を行ない画像表示信号を生成する。そして、VDP82は、生成した画像表示信号をD/A変換回路(図示省略)で変換したアナログのRGB信号と、複合同期信号SYNCを表示装置2に送信する。表示装置2は、送信されてきたRGB信号と複合同期信号SYNCに基づいて遊技盤面画像4や遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像等を表示する。
【0042】
以上のように、演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技制御用マイクロコンピュータ53から入力される演出制御コマンドを用いて算出されたデータに応じた画面を表示装置2に表示する制御を行なう。
【0043】
なお、受信した演出制御コマンドがランプ制御コマンドであったときには、演出制御用マイクロコンピュータ81では、ランプ制御コマンドに応じて、枠ランプ7等の発光体駆動制御(発光動作制御)を行なう。
【0044】
また、受信した演出制御コマンドが音制御コマンドであったときには、演出制御用マイクロコンピュータ81では、音制御コマンドに応じて、スピーカ27から出力される(発生される)音の制御を行なう。
【0045】
以上、図2においては、変動表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能のすべてを1つのマイクロコンピュータ81に含ませ、そのマイクロコンピュータ81が前述したような表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、および、音制御コマンドを受信し、そのコマンドに応じて各種制御を行なうようにした例を示した。このような構成を採用することにより、この画像式パチンコ機1では、表示制御、ランプ制御、および、音制御を同期させた演出を容易に行なうことができる。
【0046】
なお、このように変動表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能のすべてを1つのマイクロコンピュータ81に含ませる構成に限らず、変動表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能を複数個のそれぞれのマイクロコンピュータに分割構成したり、適宜組合せて複数個のマイクロコンピュータで構成し、各マイクロコンピュータ用に定められたコマンドに応じて各種制御を行なうようにしてもよい。
【0047】
なお、ROM95に格納された入賞判定プログラムを用いて遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている入賞口画像に入賞した判定がなされたときには、入賞コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ53に送信され、入賞コマンドに対応する持ち点を加算する処理が行なわれる。さらに、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている始動入賞口画像14に入賞した判定がなされたときには、始動入賞コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ53に送信され、遊技盤面画像4上に表示される変動表示装置画像8に表示される特別図柄を変動表示させる態様および停止図柄の決定等が行なわれる。以下、演出制御用マイクロコンピュータ81から始動入賞コマンドが入力されたときの遊技制御用マイクロコンピュータ53により実行されるプロセス処理についての手順を簡単に説明する。
【0048】
まず、始動入賞コマンド受信に伴い、大当りとするか否かが決定される。この決定は、大当り決定用のランダムカウンタのカウント値が抽出され、その抽出値が、予め定められた大当り判定値と一致するか否かの判断により決定される。なお、大当りとは、遊技者にとって有利な第1の状態に制御される状態であって、たとえば、可変入賞球装置画像19の開閉板画像20が開成して大入賞口が開口する表示がなされる状態をいう。これにより、遊技球画像を大入賞口に入賞させ、遊技者に持ち点を付与することができる。
【0049】
次に、大当りとならない旨の判定がなされたときには、特別図柄の変動表示においてリーチ状態とするか否かの決定(リーチ判定ともいう)は、リーチ決定用のランダムカウンタのカウント値を用いて行なわれる。
【0050】
また、特別図柄の変動表示においてリーチ状態となる決定がされた場合(大当りとする決定が行なわれた場合と、はずれとする決定が行なわれた場合との両方を含む)には、リーチ状態の変動パターンが複数種類の変動パターンのうちから選択的に決定(ランダムに決定)される。このような変動パターンの決定(選択)は、変動パターン決定用のランダムカウンタのカウント値を用いて行なわれる。このランダムカウンタは、リーチ状態の変動パターンをランダムに決定するためのものであって、大当り決定用のランダムカウンタと同様に機能する数値データ更新手段であり、特別図柄の変動表示開始時等の所定タイミングで抽出されたカウンタの値が、複数種類予め定められた変動パターン決定値のうちの一致するものに対応する変動パターンとすることが決定される。
【0051】
また、特別図柄の変動表示における停止図柄の決定は、左,中,右の各図柄に対応する3つの停止図柄決定用ランダムカウンタから抽出したそれぞれのカウント値を用いて行なわれる。本実施形態における特別図柄は、「0」〜「9」の10種類の数字から構成されている。この各ランダムカウンタは、対応する特別図柄の停止図柄をランダムに決定するためのものであって、大当り決定用のランダムカウンタと同様に機能する数値データ更新手段である。左,中,右の各図柄として表示される複数種類の特別図柄には、左,中,右の特別図柄ごとに図柄の配列順序が予め定められている。複数種類の特別図柄は、図柄の配列順序に従って変動表示されていく。なお、特別図柄の配列順序は、変動パターンの種類に応じて異なるように変動表示・更新表示されるようにしてもよい。このような複数種類の停止図柄のそれぞれには図柄決定用の数値データが対応付けられており、はずれとする決定がされた場合には、特別図柄の変動表示開始時等の所定タイミングで各ランダムカウンタから抽出されたカウンタの値と一致する数値データに対応する図柄が左,中,右の各停止図柄として決定される。
【0052】
一方、大当りとする決定がされた場合には、特別図柄の変動表示開始時等の所定タイミングで左特別図柄決定用のランダムカウンタから抽出されたカウンタの値と一致する数値データに対応する図柄が左,中,右の各停止図柄として決定される。また、はずれとなる場合においてリーチ状態とすることが決定された場合には、左,右の各停止図柄が一致するように決定される。
【0053】
以上に示したような、大当り判定機能、リーチ判定機能、変動パターン決定機能および、停止図柄決定機能は、遊技制御用マイクロコンピュータ53の制御機能により実現される。
【0054】
以上のように、特別図柄大当り判定処理、停止図柄設定処理に続いて、変動パターン設定処理(変動表示装置画像8における図柄(識別情報)の変動表示のパターンすなわち変動パターンを決定(選択)し、決定された変動パターンおよび停止図柄等を通知するための演出制御コマンドを演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81に対して出力する。)その後、特別図柄変動処理に移行する。以下、特別図柄停止処理、大入賞口開放前処理(カウンタやフラグを初期化して可変入賞球装置画像19の開閉板画像20を開成表示し大入賞口を開放する。)、大入賞口開放中処理(大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行なう。)、特定領域有効時間処理(特定領域スイッチ(V入賞スイッチ)21の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行なう。)、大当り終了処理(大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を演出制御手段等に行なわせる制御を行なう。)が行なわれる。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ53で行なわれた処理結果に対応する演出制御コマンドが演出制御用マイクロコンピュータ81に送信され、表示装置2の表示制御が行なわれる。
【0055】
図3は、画像式パチンコ機1の表示装置2に表示された遊技盤面画像4を説明するための図である。この遊技盤面画像4は、前述した演出制御基板80に搭載されているキャラクタROM84に記憶されている実写画像データ(釘,役物,風車等の障害物画像や遊技球画像のデータ等)をもとに表示されている。したがって、表示装置2に表示される遊技盤面画像4は非常にリアルな表示となり、遊技者はあたかも実際のパチンコ遊技機により遊技をしているかのような実感を得ることができる。
【0056】
図3に示すように、遊技盤面画像4上の中央付近には、各々が識別可能な複数種類の識別情報の一例となる特別図柄を変動表示させる変動表示装置画像8が表示されている。この変動表示装置画像8には、特別図柄を変動表示させるための図柄表示部と、普通図柄を変動表示させるための普通図柄表示部とから構成されている。なお、特別図柄の変動表示は、始動入賞口画像14に遊技球画像が入賞する表示がなされたことに起因し開始される。普通図柄の変動表示は、通過ゲート画像11に遊技球画像が通過する表示がなされたことに起因し開始される。具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ53から送信される演出制御コマンドに基づき、演出制御用マイクロコンピュータ81により表示制御されている。
【0057】
さらに、変動表示装置画像8の下方には始動入賞口画像14が構成された可動片部を含む始動用電動役物画像15と、そのさらに下方には開閉板画像20の傾動により遊技球画像が入賞するような表示を行なうことのできる開成状態となる可変入賞球装置画像19とが表示される。
【0058】
また、一般入賞口画像として、変動表示装置画像8の左右下方に入賞口画像24が表示されている。また、遊技球画像が進入できる通過ゲート画像11が変動表示装置画像8の下方に表示されている。また、打込まれた遊技球画像が入賞口画像24や可変入賞球装置画像19のいずれにも入賞する表示がなされなかったときにはずれとして回収するアウト口画像16が表示され、遊技盤面画像4を装飾するための装飾ランプ画像22が表示されている。
【0059】
なお、前述した変動表示装置画像8上で行なわれる特別図柄の変動表示は、始動入賞口画像14に入賞した表示がなされたときに、始動入賞コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ53に送信され、所定のランダムカウンタから乱数が抽出され、その乱数の値に応じた演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する処理が行なわれ、かかる演出制御コマンドを受信したことを条件として、特別図柄の変動表示が一斉に開始される。変動表示は、上から下へ特別図柄をスクロールさせることによって行なわれ、所定時間が経過すると、特別図柄が停止表示される。
【0060】
特別図柄の表示結果が予め定められた特定表示結果(たとえば、「333」等のゾロ目が表示されたとき。以下大当り図柄ともいう。)となると、「大当り」となり、遊技状態が特定遊技状態(大当り状態)に移行する。特定遊技状態では、可変入賞球装置画像19の開閉板画像20が開成する表示がなされ、大入賞口が開口する。これにより、遊技球画像が大入賞口に入賞できる表示状態に変化し、遊技者にとって有利な第1の状態に制御される。
【0061】
特別図柄の表示結果が特別の識別情報の組合せ(たとえば、「777」の奇数のゾロ目が表示されたとき。以下確変大当り図柄ともいう。)となると、「確変大当り」となり、次に大当りとなる確率が通常遊技状態より高くなる。すなわち、特別遊技状態として、遊技者にとってさらに有利な確率変動状態となる。特別遊技状態とは、大当りとなる確率が高くなる(大当りが発生しやすくなる)確率変動状態のことをいう。また、この確率変動状態では、普通図柄の表示結果が当り図柄になる確率が高められる。この確率変動状態への制御は、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ53により行なわれる。
【0062】
なお、特別遊技状態は、特別図柄の表示結果が大当り図柄のうちの確変図柄による大当り図柄となったときに、大当り図柄のうち確変図柄以外の大当り図柄となったときと比べて、付与される価値が大きくなる付加価値が付与されるものであればよい。よって、特別遊技状態としては、特別図柄および普通図柄の変動表示が開始してから表示結果が表示されるまでの時間が短縮される時短制御が行なわれる、変動時間短縮状態(以下「時短」ともいう。)であってもよい。さらに、特別遊技状態としては、始動用電動役物画像15における可動片部の開放時間の増加と開放回数の増加(複数回開放するようになる)とが行なわれる、開放延長状態であってもよい。この変動時間短縮状態、開放延長状態への制御は、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ53により行なわれる。
【0063】
本実施形態における遊技球画像の表示位置を特定する方法として、画像式パチンコ機1の遊技盤面画像4上の領域に応じて、ROM95に格納されているベクトル制御用プログラムにより特定するベクトル特定法と、ルート制御用プログラムにより特定するルート特定法とのいずれかが用いられる。
【0064】
具体的に、始動用電動役物画像15,通過ゲート画像11,可変入賞球装置画像19,遊技盤面画像4上に設けられている変動表示装置画像8の表飾画像17上に設けられた仮想ステージ部18等の遊技球画像が遊技者側からみて垂直方向,水平方向,奥行き方向に強制的に移動表示させるような領域や各入賞口画像に近接する領域(図中の斜線部分参照)においては、予め定められたルートにしたがって遊技球画像の表示位置を特定するルート制御用プログラムによるルート特定法が用いられる。
【0065】
一方、ルート特定法を用いて表示位置を特定する領域以外の領域、たとえば、遊技盤面画像4上に表示される釘画像,役物画像,風車画像等の障害物画像に衝突しながら流下する領域については、遊技球画像ごとに設定されている初期速度ベクトルと重力加速度にしたがって遊技球画像の表示位置を特定するベクトル制御用プログラムによるベクトル特定法が用いられる。以下、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置を特定する方法としてのベクトル特定法とルート特定法とについて説明する。
【0066】
図4は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置をベクトル特定法で特定するときの概念を説明するための図である。なお、ここでは地上から所定の初期速度ベクトルで遊技球が投げ上げられた場合を想定し、投げ上げられた球体が自由落下運動を経て地面に衝突し、衝突したときの速度および軌道(衝突角度)から衝突後の初期速度および初期軌道(跳ね返り角度)を算出し、算出された初期速度および初期軌道を有する初期速度ベクトルを衝突後の初期速度ベクトルに設定することにより、該投げ出された球体の位置を特定する方法について説明する。なお、X軸は地上を示し、Y軸の正方向は鉛直上向きを示しているものとし、原点から投げ出された球体が地上のA点、B点、C点で衝突する例について説明する。
【0067】
球***置特定方法(原点〜A点間)
原点から初期速度Voの大きさで初期軌道αoの方向を有する初期速度ベクトルで投げ出された球体の所定時間(t)経過後の位置は、X軸、Y軸においてそれぞれ自由落下式から特定することができる。
X軸方向の初期速度:Vx=cosαoとなることから、
所定時間(t)経過後のX軸方向の移動距離:ΔX=Vx・tとなる。
Y軸方向の初期速度:Vy=sinαoとなることから、
所定時間(t)経過後のY軸方向の移動距離:ΔY=Vy・t−g・t2/2となる。
よって、所定時間(t)経過後の遊技球の位置は、
(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)となる。
【0068】
衝突後の初期速度ベクトル算出方法(A点)
原点から初期速度Voの大きさで初期軌道αoの方向を有する初期速度ベクトルで投げ出された球体がA点に衝突したときの速度の大きさVo’と軌道αo’とを自由落下式から算出し、所定の変数値(N)を乗ずることにより特定することができる。なお、変数値とは、遊技球がスピン回転していることを考慮し、衝突速度および衝突軌道に乗じた値を衝突後の初期速度および衝突後の初期軌道として設定するのための数値である。
衝突後の初期速度:V1=Vo’・Nvとなり、
衝突後の初期軌道:α1=αo’・Nαとなることから、
衝突後の初期速度ベクトルは、
(大きさ,方向)=(Vo’・Nv,αo’・Nα)となる。
【0069】
以下、A点〜B点間における球体の位置は、A点から初期速度Vo’・Nvの大きさで初期軌道αo’・Nαの方向を有する初期速度ベクトルで跳ね返った球体の所定時間(t)経過後の位置を同様に特定することができる。さらに、B点における衝突後の初期速度ベクトルは、A点から初期速度Vo’・Nvの大きさで初期軌道αo’・Nαの方向を有する初期速度ベクトルで跳ね返った球体がB点に衝突したときの速度の大きさV1’と軌道α1’とを自由落下式から算出し、所定の変数値(N)を乗ずることにより同様に特定することができる。
【0070】
以上のように、地上から球体が所定の初期速度ベクトルで投げ上げられた場合を想定し、自由落下式にあてはめて所定時間経過後の球体の位置を特定し、かつ、衝突後の初期速度ベクトルを衝突前の速度と軌道とにそれぞれ変数値を乗じて特定する例について説明した。これと同様に、本実施形態における遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置を特定するベクトル特定法についても、初期速度ベクトルから特定される衝突前の速度と軌道とから衝突後の初期速度ベクトルを設定し、設定された初期速度ベクトルを自由落下の算術式にあてはめて表示位置を特定することとなる。
【0071】
図5は、遊技盤面画像4上に表示される釘,役物,風車等の障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期軌道決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。このテーブルに記憶されている初期軌道決定用変数値は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像が障害物に衝突した後の初期軌道をランダムに設定するために用いられる数値である。また、障害物の種類(釘,役物,風車)ごとに設定される初期軌道決定用変数値が異なるようにテーブルが構成されており、障害物の種類に応じて複数の変数値が特定され、特定された複数の変数値からランダムに一の初期軌道決定用変数値を選択できるように構成されている。
【0072】
たとえば、衝突した障害物画像が釘であるときには、ランダムカウンタR3から抽出した値が「0〜19」であるときには「0.7」が、「20〜49」のときには「0.8」が、「50〜97」であるときは「0.9」が、「98〜157」であるときには「1.0」が、「158〜205」のときには「1.1」が「206〜235」のときには「1.2」が、「236〜255」のときには「1.3」が、衝突後の初期軌道を設定するために用いる初期軌道決定用変数値として決定される。釘画像に遊技球画像が衝突したときの軌道(衝突角度)に決定された初期軌道決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの方向の要素として設定されることとなる。
【0073】
障害物画像が役物または風車であるときにおいても同様に、このテーブルを用いて、衝突後の初期軌道を設定するために用いる初期軌道決定用変数値が決定され、衝突するときの軌道に決定された初期軌道決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの方向の要素として設定されることとなる。なお、本実施形態においては、障害物の種類によって設定される変数値の値が異なるようにテーブルが構成されている。これは、実際のパチンコ遊技機において遊技球が釘に衝突する場合とプラスチック製の役物や回転する風車に衝突した場合とでは、素材により特定される硬度定数が異なるため、それぞれ軌道(跳ね返り角度)が異なることを考慮し、変数値の取り得る範囲を異ならせている。これにより、より自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を遊技者に提供することができる。
【0074】
図6は、画像式パチンコ機1の表示制御に用いられる乱数を生成するための算術式を説明するための図である。本実施形態で用いる乱数は5バイトの大きさを有する乱数算術式を用いて作成している。
【0075】
式:Mn=M×5+211 mod 2566
かかる算術式の「M」は、現在の乱数値を表しそれを5倍して211を加算する。「mod 2566」は前記で作成した値を2566で割った余り値を意味し、この余りが次の乱数値「Mn」となる。この算術式を用いて作成した値をそれぞれ1バイトごとに分割し1バイトの乱数としてそれぞれRAMに記憶する。それぞれの1バイトに分割された乱数は、たとえば、ランダムカウンタR1は障害物に衝突したときの衝突位置に基づいて該障害物に対して左か右のどちらに軌道(進路方向)を取るかを決定するための進路方向決定に用いられ、ランダムカウンタR2は設定されている出玉率・入賞率に基づいて遊技球画像を入賞させるか否かの入賞決定に用いられ、ランダムカウンタR3,ランダムカウンタR4は衝突した障害物画像の種類ごとに複数特定される変数値から一の変数値(初期速度決定用,初期軌道決定用)を選択するために用いられ、ランダムカウンタR5は予め複数定められているルートから一のルートを選択するために用いられる。それぞれの乱数は1バイトであるので0〜255の値をとり、それぞれ256通りの値を有する。ランダムカウンタR1〜ランダムカウンタR4は、遊技球画像が障害物画像に衝突したときに抽出され記憶バッファに格納される。また、ランダムカウンタR5は、遊技球画像の表示位置がルート特定法により特定される領域に突入したときに、抽出され記憶バッファに格納される。
【0076】
図7は、遊技球画像が入賞口画像24の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【0077】
まず、SA01においては、遊技球画像が釘画像に衝突したときにランダムカウンタR1からランダムカウンタR4のそれぞれから値を抽出する処理が行なわれる。SA02においては、軌道(進路方向)を決定するためのランダムカウンタR1から抽出した値に基づき遊技球画像が釘画像に衝突した軌道を基準として左側の軌道を取るかまたは右側の軌道を取るかを決定する処理が行なわれる。
【0078】
SA03においては、ランダムカウンタR3から抽出した値と図5を用いて前述したテーブルの振分率とに基づき初期軌道決定用変数値を選択し、選択された初期軌道決定用変数値から初期軌道を設定する処理が行なわれる。すなわち、複数の変数値から一の変数値を選択し、選択した初期軌道決定用変数値を衝突するときの軌道(衝突角度)に乗ずることにより得られた値を衝突後の初期軌道として設定する処理が行なわれる。
【0079】
SA04においては、SA02によって振分けられた軌道が入賞する軌道を進路方向として選択したか否かの判別がなされる。入賞する軌道を進路方向として選択した旨の判別がなされたときには、設定されている入賞率に基づきSA05においてランダムカウンタR2から抽出した値が入賞する値であるか否かの判別がなされる。入賞する値である旨の判別がなされたときには、SA06においてSA03で設定された衝突後の初期軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させることのできる速度を逆算し、衝突後の初期速度として設定する処理が行なわれる。
【0080】
一方、SA04またはSA05において否定的な判別がなされたときには、SA07においてSA03で設定された衝突後の初期軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させない速度を逆算し、衝突後の初期速度として設定する処理が行なわれる。
【0081】
このように、SA03で複数特定される初期軌道決定用変数値から一の初期軌道決定用変数値を軌道(衝突角度)に乗ずることにより得られる値を衝突後の初期軌道に設定し、SA04およびSA05で入賞する旨の判別がなされたときには設定されている初期軌道に対し入賞できる初期速度を逆算し、入賞しない旨の判別がなされたときには設定されている初期軌道に対し入賞しない速度を逆算して得られる値を衝突後の速度に設定し、設定された初期軌道と速度を有する初期速度ベクトルにより衝突後の遊技球画像の表示位置を特定することができる。これにより、より自然でバリエーション豊かな流下演出を遊技者に提供しつつ、設定されている入賞率に応じて遊技球画像を入賞させることができる。
【0082】
図8は、遊技球画像と重畳して設定されている判定点と、障害物画像に衝突した後の進路方向を決定するために用いられるテーブルを説明するための図である。
【0083】
図8(a)は、本実施形態における遊技球画像が障害物画像等と衝突したことを判定するための判定点を説明するための図である。
【0084】
遊技球画像の判定点は、遊技球画像の外周を等間隔に32分割して得られる32の点から構成されている。遊技盤面画像4上を流下しているときにこの32の判定点のうちいずれかの判定点により障害物画像等と衝突した旨の判定がなされたとき(たとえば、障害物画像の判定用色情報を判定点において判定されたとき等)には、前述した各種ランダムカウンタから乱数を抽出し、衝突後の初期速度ベクトルを算出する処理が行なわれる。また、衝突を判定した判定点が進行方向により決定される判定位置のいずれであるかにより、衝突後の進路方向を左とするか右とするかの割合が異なるように構成されている。
【0085】
図8(b)は、衝突を判定した判定点ごとに異なる割合で進路方向を決定するために用いられるテーブルを説明するための図である。
【0086】
図8(a)を参照して、進路方向(矢印方向参照)に応じて決定される「0」の判定点で衝突が判定されランダムカウンタR1から抽出した値が「0」であったときは進行方向に対し左側に進路方向を取る決定がなされ、「1〜255」であったときは進行方向に対し右側に進路方向を取る決定がなされる。進路方向に応じて決定される「4」の判定点で衝突が判定されランダムカウンタR1から抽出した値が「0〜75」であったときは進行方向に対し左側に進路方向を取る決定がなされ、「76〜255」であったときは進行方向に対し右側に進路方向を取る決定がなされる。進路方向に応じて決定される「12」の判定点で衝突が判定されランダムカウンタR1から抽出した値が「0〜199」であったときは進行方向に対し左側に進路方向を取る決定がなされ、「200〜255」であったときは進行方向に対し右側に進路方向を取る決定がなされる。
【0087】
このように、衝突するときの進行方向に応じて決定される判定点のうち、いずれの判定点で衝突が判定されたかに基づいて、衝突後の進路方向を決定することができる。これにより、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像と障害物画像との衝突位置を考慮して、衝突後の進行方向をランダムに決定することができるため、より実際のパチンコ遊技機に近い流下演出を遊技者に提供することができる。
【0088】
図9は、入賞口画像24の上方(近隣)に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。なお、図9(a)と図9(b)は、入賞口画像24の上方に表示された釘画像に対し同一の軌道で衝突した場合について説明する。
【0089】
図9(a)は、釘画像の接線方向に対し60°の軌道で衝突し、衝突後の初期軌道が接線方向に対し約60°の軌道を有する初期速度ベクトルと重力加速度とに基づき表示される遊技球画像の流下経路を説明するための図である。
【0090】
入賞口画像24に入賞したaの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「1.0」が選択され衝突後の初期軌道として60°が設定され、SA04およびSA05で「YES」の判別がなされ、SA06で入賞させることのできる速度が逆算され設定されたものによる。
【0091】
一方、入賞口画像24に入賞しなかったbの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「1.0」が選択され衝突後の初期軌道として60°が設定され、SA04で「YES」の判別がなされたがSA05で「NO」の判別がなされ、SA07で入賞させない速度が逆算され設定されたものによる。
【0092】
図9(b)は、釘画像の接線方向に対し60°の軌道で衝突し、衝突後の初期軌道が接線方向に対し約45°の軌道を有する初期速度ベクトルと重力加速度とに基づき表示される遊技球画像の流下経路を説明するための図である。
【0093】
入賞口画像24に入賞したaの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の初期軌道として48°が設定され、SA04およびSA05で「YES」の判別がなされ、SA06で入賞させることのできる速度が逆算され設定されたものによる。
【0094】
一方、入賞口画像24に入賞しなかったbの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の初期軌道として48°が設定され、SA04で「YES」の判別がなされたがSA05で「NO」の判別がなされ、SA07で入賞させない初期速度が逆算され設定されたものによる。
【0095】
図10は、遊技場側が画像式パチンコ機毎に出玉率を設定したときに用いられる入賞率を入賞口画像毎に記憶したテーブルを説明するための図である。なお、入賞口画像毎とは、たとえば、入賞口画像24に対しては図9で説明した上方(近隣)に表示された釘画像毎であり、入賞口画像24の近隣に表示される障害物画像毎である。
【0096】
たとえば、遊技場側が出玉率として「80%」を設定したときには、出玉率が80%となるように各入賞口毎の入賞率が決定されているテーブルを選択することとなる。始動入賞口画像14については、始動入賞口画像14の上方に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときにランダムカウンタR2から抽出した値が、「0〜24」であるときに入賞し、入賞口画像24についてはランダムカウンタR2から抽出した値が「0〜49」であるときに入賞するといったように各入賞口毎にランダムカウンタR2から抽出した値のうち入賞する値がそれぞれ設定されている。
【0097】
また、遊技場側が出玉率として「110%」を設定したときには、出玉率が110%となるように各入賞口毎の入賞率が決定されているテーブルを選択することとなる。始動入賞口画像14についてはランダムカウンタR2から抽出した値が、「0〜76」であるときに入賞し、入賞口画像24についてはランダムカウンタR2から抽出した値が「0〜38」であるときに入賞するといったように各入賞口毎にランダムカウンタR2から抽出した値のうち入賞する値がそれぞれ設定されている。
【0098】
なお、前述したように、出玉率を「80%」に設定したときは、たとえば、遊技盤面画像4上に100の遊技球画像を打込んだことにより、80の点数が遊技者に付与される。また、出玉率を「110%」に設定したときは、同様に、遊技盤面画像4上に100の遊技球画像を打込んだことにより、110の点数が遊技者に付与される。
【0099】
次に、図10で説明したテーブルを用い入賞口画像毎に決定される入賞率に対応させて、遊技盤面画像4上の各入賞口画像の上方に表示された釘画像の表示状態を変化させたときの表示状態を説明する。
【0100】
図11は、各入賞口画像毎に設定された入賞率に対応させて変化する障害物画像の表示状態と障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報とを説明するための図である。ここでは、入賞口画像24の上方に表示された釘画像の表示状態と釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報とについて説明する。
【0101】
本実施形態においては、釘画像の表示状態に合わせて、釘画像の縁に沿ってドット単位で判定用色情報が配置され、図8を参照し説明した判定点のいずれか判定用色情報であったときに、衝突した旨の判定がなされる。ここで、判定用色情報とは、表示装置2で表示される色情報とは別の情報であって、遊技球画像が障害物画像等に衝突したか否かの判定に用いられる情報である。
【0102】
遊技球画像に設定される32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうち、少なくとも一の判定点の位置に対応する判定用色情報が、障害物画像等の判定用色情報である旨の判定がなされることにより、遊技球画像が障害物画像等に衝突した旨の判別がなされる。なお、判定用色情報を配置するデータは、設定された入賞率から特定されるようにROM95に格納されており、特定されるデータに基づき障害物画像の縁に沿って所定のドット数に亘り判定用色情報を配置することができる。
【0103】
図11(a)は、入賞口画像24への入賞率が10%のときの釘画像の表示状態を示す図である。
【0104】
本実施形態において、10%のときの釘画像の表示状態として、表示装置2において、たとえば横幅が5ドットとなるように表示される。これと併せて、ROM95に格納されている、入賞率10%から特定される判定用色情報を配置するためのデータが読み出され、釘画像の縁に沿って幅5ドットに亘り判定用色情報が配置される。これにより、遊技球画像の外周に構成されている32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうちいずれかの判定点の位置に対応する判定用色情報が、釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報であるか否かを判定することにより、衝突判定を行なうことができる。
【0105】
図11(b)は、入賞口画像24への入賞率が20%のときの釘画像の表示状態を示す図である。
【0106】
本実施形態において、20%のときの釘画像の表示状態として、表示装置2において、たとえば横幅10ドットとなるように表示される。これと併せて、ROM95に格納されている、入賞率20%から特定される判定用色情報を配置するためのデータが読み出され、釘画像の縁に沿って幅10ドットに亘り判定用色情報が配置される。
【0107】
このように、入賞率が10%のときよりも20%のときの方が遊技球画像の外周に形成されている32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうち少なくとも一の判定点の位置に対応する判定用色情報が、釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報となる確率が高くなるため、釘画像に衝突する旨の判別がなされる確率も高くなり、入賞率に応じた軌道制御を行なうことができ、遊技球画像のコントロール性が向上したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0108】
また、実際のパチンコ遊技機における軌道制御を行なうために調整された釘の遊技盤面に対する角度状態と対応するように、釘画像の表示状態を変化させることができるため、より実際のパチンコ遊技機に近づけることにより、遊技の興趣を向上させることができる。なお、設定された入賞率に対応して釘画像等の障害物画像を表示するためのデータは、キャラクタROM84に格納されている。
【0109】
このように、本実施形態においては、入賞率が10%のときと20%のときとの釘画像の表示状態と釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報とについて説明したが、入賞率と比例して、表示されたときの横幅ドット数が変化するように表示されることとなる。たとえば、入賞率が2倍になれば、配置される判定用色情報のドット数も2倍となるようにしてもよい。
【0110】
なお、本実施形態においては、入賞させるか否かの決定に用いられる入賞率に対応させて、障害物画像等の判定用色情報を配置するドット数を変化させる例について説明したが、これに限らず、入賞させるか否かの決定に用いられる入賞率を一定にして、障害物画像等の判定用色情報を配置するドット数だけを変化させるようにして、設定された出玉率から特定される入賞率となるようにしてもよい。たとえば、入賞率が10%のときに横幅5ドットに亘り判定用色情報を配置し、入賞率が20%のときに横幅10ドット(5ドット×2)に亘り判定用色情報を配置し、また、入賞率が30%のときに横幅15ドット(5ドット×3)に亘り判定用色情報を配置するようにしてもよい。これにより、遊技球画像が釘画像に衝突する旨の判定がなされる確率が入賞率と比例して変化するため、入賞率に応じた軌道制御を行なうことができ遊技球画像のコントロール性が向上したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0111】
図12は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置をルート特定法で特定するときの概念を説明するための図である。
【0112】
本実施形態におけるルート特定法は、ルート特定法を用いて表示位置を特定する領域内に表示されている所定の障害物画像と障害物画像の間(たとえば、釘画像,役物画像,風車画像等の間)を遊技球画像が通過したときの位置に対し予め記憶されている複数のルートから一のルートを選択し、該選択されたルートにしたがって流下する遊技球画像を表示する位置を特定する。
【0113】
ここでは、始動入賞口画像14に近接する領域をルート制御領域(図3の斜線部分の領域)の一例として説明する。始動入賞口画像14に近接する上方の領域には、a〜iの計9本の釘画像が表示されており、そのうちa〜gの相互に隣合う釘画像により形成された領域を通過するときに、その通過した領域の位置に対し予め定められた複数のルートから一つのルートを選択し、該選択されたルートに基づき遊技球画像を流下表示させる。なお、ルート制御用プログラムに従って表示位置を特定するときに用いられる流下経路データは、演出制御基板80に搭載されているROM95に複数記憶されている。
【0114】
たとえば、釘画像eと釘画像fとにより形成された領域の真中に位置するM点を通過するときに、M点を始点とする予め定められたL1〜L30(図中の点線、一点鎖線、実線等の曲線を参照)から一のルートを選択し、選択されたルートに基づき遊技球画像が流下する表示が行なわれる。なお、釘画像eと釘画像fとにより形成された領域の通過する位置ごとにそれぞれ30通りのルートから選択できるように流下経路データが記憶されている。このように、予め定められた複数のルートから一のルートを選択することにより、遊技球画像の流下表示を制御するときであっても、所定領域内の流下経路データを記憶することにより、ランダム性のある自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0115】
なお、本実施形態においては、設定された出玉率から特定される入賞口ごとの入賞率と、遊技状態に応じて予め定められている振分率にしたがい、一のルートを選択することができる。以下、図13を参照し、30通りのルートから一のルートを選択するときに用いるテーブルについて説明する。
【0116】
図13は、入賞口画像それぞれに設定された入賞率となるように一のルートを選択するために用いる振分率を記憶したテーブルを説明するための図である。このテーブルには、遊技場側が設定した出玉率により特定される入賞率毎に30通りのルートそれぞれに対する振分率が記憶されている。選択に際しては、前述したランダムカウンタR5を用い抽出した値と、遊技状態とに基づき、30通りのルートから一のルートを選択するように構成されている。
【0117】
図13(a)は、入賞率10%時のテーブルである。すなわち、出玉率設定SW72により出玉率を「80%」に設定したときに用いられるテーブルである。
【0118】
まず、遊技状態が通常遊技状態であるときにおいて、ランダムカウンタR5から抽出した値が「0〜25」であるときには、ルートとしてL1からL5のいずれかから入賞するルートが選択され、ランダムカウンタR5から抽出した値が「26〜255」であるときには、ルートとしてL6〜L30のいずれかから入賞しないルートが選択されることとなる。
【0119】
遊技状態が確率向上状態であるときにおいては、ランダムカウンタR5から抽出した値が「0〜51」であるときには、ルートとしてL1からL5のいずれかから入賞するルートが選択され、ランダムカウンタR5からの抽出した値が「52〜255」であるときには、ルートとしてL6〜L30のいずれかから入賞しないルートが選択されることとなる。
【0120】
遊技状態が変動時間短縮状態であるときにおいても同様に、ランダムカウンタR5からの抽出した値が「0〜41」であるときには、ルートとしてL1からL5のいずれかから入賞するルートが選択され、ランダムカウンタR5からの抽出した値が「42〜255」であるときには、ルートとしてL6〜L30のいずれかから入賞しないルートが選択されることとなる。
【0121】
図13(b)は、入賞率30%時のテーブルである。すなわち、出玉率設定SW72により出玉率を「110%」に設定したときに用いられるテーブルである。なお、かかるテーブルについても図13(a)で説明した内容と同様であるため、説明を省略する。また、入賞率として「15%」または「20%」のときに用いられるテーブルについても同様にランダムカウンタR5から抽出した値と、遊技状態とにより、一のルートを選択できるようにテーブルが設けられている。
【0122】
このように、出玉率設定SW72により設定された出玉率に基づき特定される入賞率となるように設定された振分率にしたがって、釘画像と釘画像とにより形成される領域を通過したときにランダムカウンタR5から抽出された値と、遊技状態とにより特定される振分率とから、その領域を通過した位置ごとに予め定められた30通りのルートから一つのルートを選択することができるように構成されている。
【0123】
また、本実施形態においては、遊技状態に応じて入賞するルートが選択される割合を異ならせることにより遊技者の獲得できる利益率を変化させることができるように構成されている。すなわち、遊技状態が確変状態中または変動時間短縮状態中であるかそれ以外の通常遊技状態であるかに基づいて、入賞する割合を異ならせることができる。これにより、よく入賞するときとあまり入賞しないとき等、遊技内容にメリハリをつけることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0124】
次に、この実施の形態により得られる主な効果をまとめて説明する。
前述したように、図5のテーブルを用いて特定される複数の変数値から一の変数値を任意に選択し、選択された初期軌道決定用変数値を衝突したときの軌道(衝突角度)に乗じて得られる値を衝突後の軌道(跳ね返り角度)に設定することができる。これにより、障害物画像に衝突したときの衝突したときの軌道が同一であっても、衝突後の軌道をランダムに選択することができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にすることができる。また、衝突角度より跳ね返り角度の方が大きいときや、その逆のときも発生し得るため、実際の弾球遊技機における遊技球のスピン回転を考慮した自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0125】
また、遊技球画像が衝突した障害物画像の種類によって、特定される複数の変数値が異なるように図5のテーブルが構成されているため、衝突後の遊技球画像の初期軌道を障害物画像の種類ごとに異ならせることができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。また、障害物画像の種類ごとに遊技球のスピン回転を考慮したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0126】
前述したように、図7のSA05で遊技場側により設定された出玉率に基づき入賞口画像に遊技球画像を入賞させる表示をするか否かを決定し、「YES」の判別がなされたときにはSA06で、SA03において設定されている初期軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させることのできる初期速度を逆算し、衝突後の初期速度を設定することができる。また、「NO」の判別がなされたときにはSA07で、SA03において設定されている軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させない速度を逆算し、衝突後の初期速度を設定することができる。これにより、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にしつつ、設定されている出玉率で遊技者に所定の持ち点を付与することができる。また、出玉率を設定することにより、入賞口画像毎の入賞率を設定することができるため、遊技者に付与される持ち点をより容易に管理することができる。
【0127】
前述したように、遊技球画像が障害物画像に衝突したか否かの判定に用いられる判定点を所定数配置するためのデータであって、各々配置される数が異なるように複数種類記憶されたデータから任意のデータを設定し、設定されたデータに基づき、障害物画像の縁に沿って判定用色情報を所定のドット数に亘り配置することができる。これにより、設定されたデータにより配置されるドット数が異なるため流下軌道をランダムに変化させることができ、コントロール性の向上したより自然な演出を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0128】
前述したように、キー操作やホールコンピュータにより設定された出玉率から特定される入賞口毎の入賞率に対応するデータを設定し、設定されたデータに基づき障害物画像の縁に沿って判定用色情報を所定のドット数に亘り配置するとともに、配置される判定用色情報に応じた態様で障害物画像を表示することができる。これにより、遊技球画像の流下演出に則した表示を行なうことができ、より実際のパチンコ遊技機に近い画像式パチンコ機を提供することができる。
【0129】
前述したように、ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いたベクトル特定法により特定することができ、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いたルート特定法により特定することができる。これにより、ルート制御データの占めるデータ量を低減させるとともに、ベクトル特定法により表示位置を特定するためにかかる制御負担を軽減させて、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0130】
第2実施形態
次に、第2実施形態を説明する。前述した第1実施形態では、図5を用いて複数の変数値から選択された一の初期軌道決定用変数値を遊技球画像が障害物画像に衝突するときの軌道に乗じて、得られた値を衝突後の初期軌道として設定する例について説明したが、この第2実施形態においては、複数の変数値から選択された一の初期速度決定用変数値を遊技球画像が障害物画像に衝突するときの速度に乗じて、得られた値を衝突後の初期速度として設定する例について説明する。なお、第1実施形態の内容と重複する部分についてはその説明を省略する。
【0131】
図14は、遊技盤面画像4上に表示される釘,役物,風車等の障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期速度決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。このテーブルに記憶されている初期速度決定用変数値は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像が障害物に衝突した後の速度をランダムに設定するために用いられる数値である。また、障害物の種類(釘,役物,風車)ごと用いるテーブルが異なるように構成されており、それぞれのテーブルごとに複数の変数値が特定され、特定された複数の変数値からランダムに一の変数値を選択できるように構成されている。
【0132】
たとえば、衝突した障害物画像が風車であるときには、ランダムカウンタR3から抽出した値が「0」であるときには「0.2」が、「1」のときには「0.3」が、「2〜21」であるときは「0.4」が、「22〜89」であるときには「0.5」が、「90〜253」のときには「0.6」が、「254」のときには「0.7」が、「255」のときには「0.8」が、衝突後の速度を設定するために用いる初期速度決定用変数値として決定される。釘画像に遊技球画像が衝突したときの速度に決定された初期速度決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの速度の要素として設定されることとなる。
【0133】
障害物画像が釘または役物であるときにおいても同様に、このテーブルを用いて、衝突後の速度を設定するために用いる初期速度決定用変数値が決定され、衝突速度に決定された初期速度決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの速度の要素として設定されることとなる。なお、本実施形態においても、障害物の種類によって設定される初期速度決定用変数値の値が異なるようにテーブルが構成されている。これは、実際のパチンコ遊技機において遊技球が釘に衝突する場合とプラスチック製の役物や回転する風車に衝突した場合とでは、素材により特定される硬度定数が異なるため、それぞれ跳ね返り速度が異なることを考慮し、初期速度決定用変数値の取り得る範囲を異ならせている。これにより、より自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を遊技者に提供することができる。
【0134】
図15は、遊技球画像が入賞口画像24の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【0135】
まず、SB01においては、遊技球画像が釘画像に衝突したときにランダムカウンタR1〜ランダムカウンタR4のそれぞれから値を抽出する処理が行なわれる。SB02においては、進路方向を決定すためのランダムカウンタR1から抽出した値に基づき遊技球画像が釘画像に衝突した方向を基準として左側に移動させるかまたは右側に移動させるかを決定する処理が行なわれる。
【0136】
SB03においては、ランダムカウンタR4から抽出した値と図14を用いて前述したテーブルの振分率とに基づき初期速度決定用変数値を選択し、選択された初期速度決定用変数値から速度を設定する処理が行なわれる。すなわち、複数の変数値から一の変数値を選択し、選択した初期速度決定用変数値を衝突速度に乗ずることにより得られた値を衝突後の初期速度として設定する処理が行なわれる。
【0137】
SB04においては、SB02によって振分けられた方向が入賞する方向を進路方向として選択したか否かの判別がなされる。入賞する方向を進路方向として選択した旨の判別がなされたときには、設定されている入賞率に基づきSB05においてランダムカウンタR2から抽出した値が入賞する値であるか否かの判別がなされる。入賞する値である旨の判別がなされたときには、SB06においてSB03で設定された衝突後の速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させることのできる軌道を逆算し、衝突後の初期軌道として設定する処理が行なわれる。
【0138】
一方、SB04またはSB05において否定的な判別がなされたときには、SB07においてSB03で設定された衝突後の速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させない軌道を逆算し、衝突後の初期軌道として設定する処理が行なわれる。
【0139】
このように、SB03で複数特定される初期速度決定用変数値から一の初期速度決定用変数値を衝突速度に乗ずることにより得られる値を衝突後の初期速度に設定し、SB04およびSB05で入賞する旨の判別がなされたときには設定されている初期速度に対し入賞できる軌道を逆算し、入賞しない旨の判別がなされたときには設定されている速度に対し入賞しない軌道を逆算して得られる値を衝突後の初期軌道に設定し、設定された速度と初期軌道を有する初期速度ベクトルにより衝突後の遊技球画像の表示位置を特定することができる。これにより、より自然でバリエーション豊かな流下演出を遊技者に提供しつつ、設定されている入賞率に応じて遊技球画像を入賞させることができる。
【0140】
図16は、入賞口画像24の上方(近隣)に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。
【0141】
図16は、釘画像の接線方向に対し60°の軌道で速度Vを有する初期速度ベクトルで衝突し、衝突後の初期軌道が接線方向に対し約45°と約0°の軌道を有する初期速度ベクトルと重力加速度とに基づき表示される遊技球画像の流下経路を説明するための図である。
【0142】
入賞口画像24に入賞したaの流下経路は、図15のSB02において入賞する軌道に振分けられ、SB03で初期速度決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の初期速度として0.8Vが設定され、SB04およびSB05で「YES」の判別がなされ、SB06で入賞させることのできる初期軌道として「45°」が逆算され設定されたものによる。
【0143】
一方、入賞口画像24に入賞しなかったbの流下経路は、図16のSB02において入賞する軌道に振分けられ、SB03で初期速度決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の速度として0.8Vが設定され、SB04で「YES」の判別がなされたがSB05で「NO」の判別がなされ、SB07で入賞させない初期軌道として「0°」が逆算され設定されたものによる。
【0144】
次に、この実施の形態により得られる主な効果をまとめて説明する。
前述したように、図14のテーブルを用いて特定される複数の初期速度決定用変数値から一の初期速度決定用変数値を任意に選択し、選択された初期速度決定用変数値を衝突したときの速度に乗じて得られる値を衝突後の初期速度(跳ね返り速度)に設定することができる。これにより、障害物画像に衝突したときの速度が同一であっても、衝突後の初期速度をランダムに選択することができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にすることができる。また、衝突したときの速度より衝突後の初期速度の方が速いときや、その逆のときも発生し得るため、実際の弾球遊技機における遊技球のスピン回転を考慮した自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0145】
また、遊技球画像が衝突した障害物画像の種類によって、特定される複数の初期速度決定用変数値が異なるように図14のテーブルが構成されているため、衝突後の遊技球画像の初期速度を障害物画像の種類ごとに異ならせることができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。また、障害物画像の種類ごとに遊技球のスピン回転を考慮したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0146】
前述したように、図15の遊技場側により設定された出玉率に基づきSB05で入賞口画像に遊技球画像を入賞させる表示をするか否かを決定し、「YES」の判別がなされたときにはSB06で、SB03において設定されている初期速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させることのできる軌道を逆算し、衝突後の初期軌道を設定することができる。また、「NO」の判別がなされたときにはSB07で、SB03において設定されている初期速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させない初期軌道を逆算し、衝突後の初期軌道を設定することができる。これにより、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にしつつ、設定されている出玉率で遊技者に所定の持ち点を付与することができる。
【0147】
また、以上に示した第2実施形態については、前述した第1実施形態と共通する技術思想による構成について、前述した第1実施形態の場合と同様の技術的効果を得ることができる。
【0148】
次に、第1実施形態と第2実施形態とで説明した、遊技制御用マイクロコンピュータ53および演出制御用マイクロコンピュータ81の機能を図17を参照しまとめて説明する。
【0149】
SC01の遊技制御手段は、大当り状態に制御するSC02の特定遊技状態制御手段と、確率変動状態または変動時間短縮状態等に制御するSC03の特別遊技状態制御手段と、遊技者に持ち点等を付与するSC04の遊技価値付与手段と、遊技盤面画像4上に遊技球画像が打ち込まれたときの遊技球画像の初期速度ベクトルを算出し設定するSC05の発射ベクトル設定手段とを搭載している。
【0150】
SC02の特定遊技状態制御手段は、演出制御用マイクロコンピュータ81からの始動入賞コマンドに基づいて大当り判定を行ない、大当りとなる旨の判定がなされたときに変動表示装置画像8に表示される特別図柄の表示結果として予め定められた大当り図柄を表示し、大当りを発生させる機能を有する。
【0151】
SC03の特別遊技状態制御手段は、大当りとなる旨の判定がなされたときに表示する大当り図柄を、確変大当り図柄を表示するか否かの判定を行ない、確変大当り図柄を表示する旨の判定がなされたときに変動表示装置画像8に表示される特別図柄の表示結果として予め定められた確変大当り図柄を表示し、確変大当りを発生させる機能を有する。
【0152】
SC04の遊技価値付与手段は、演出制御用マイクロコンピュータ81からの入賞コマンドに基づいて持ち点を遊技者に付与する機能を有する。
【0153】
SC05の発射ベクトル設定手段は、発射強度検出SW70から発信される信号に基づき、遊技球画像を遊技盤面画像4上の遊技領域内に発射するときの初期速度ベクトルを算出し、算出された数値に対応する遊技球制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する機能を有する。
【0154】
なお、SC01の遊技制御手段には、SC24の入賞割合設定手段により設定された各入賞口ごとの入賞割合を特定するための入賞割合情報に基づき、入賞割合に対応する入賞割合コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する機能を有する。また、SC24の入賞割合設定手段には、SC23の付与割合設定手段から入力される付与割合情報に基づき、入賞口ごとの入賞割合を特定する機能を有する。SC25の割合入力手段は、SC23の付与割合設定手段やSC24の入賞割合設定手段により割合を設定させるための入力情報を送信する機能を有する。たとえば、画像式パチンコ機1の内部に設けられており出玉率や入賞率を設定するためのキー部材や、遊技場に設置されている遊技機を管理するホールコンピュータ等である。
【0155】
SC06の演出制御手段は、SC09のベクトル制御領域データから特定されるベクトル制御領域における初期ベクトルを設定するときに用いるSC08のベクトル制御データ,SC12のルート制御領域データから特定されるルート制御領域における流下経路を設定するためのSC11のルート制御データ,および,障害物画像等の判定用色情報を障害物画像の縁に沿って配置させるためのデータ(同一の障害物画像であっても判定用色情報が配置されるドット数が異なる複数のデータ)を記憶したSC10の判定点配置データ記憶手段とを含むSC07のデータ記憶手段と、出玉率または入賞率等に基づいてデータを設定するSC13の判定点データ設定手段と、設定されたデータに従い障害物画像等の判定用色情報を配置するSC14の判定点配置手段と、障害物画像等に衝突した後の遊技球画像の初期速度ベクトルを設定するSC15の速度ベクトル設定手段と、初期速度ベクトルまたはルート制御データに基づいて遊技球画像の表示位置を特定するSC16の表示位置特定手段と、特定された表示位置に遊技球画像や障害物画像等を表示するSC20の表示制御手段と、遊技球画像と障害物画像との衝突を判定するSC19の衝突判定手段とを搭載している。
【0156】
SC16の表示位置特定手段は、衝突後の初期速度ベクトルに基づき遊技球画像の表示位置を特定するSC17のベクトル表示位置特定手段と、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置をルート制御データに基づき特定するSC18のルート表示位置特定手段とを搭載している。
【0157】
SC15の速度ベクトル設定手段は、SC19の衝突判定手段等から入力される衝突情報と、SC08のベクトル制御データおよびSC09のベクトル制御領域データとに基づいて、衝突時の速度ベクトルから衝突後の初期速度ベクトルを設定する機能を有する。
【0158】
SC17のベクトル表示位置特定手段は、SC05の発射ベクトル設定手段またはSC15の速度ベクトル設定手段により設定された初期速度ベクトル情報に基づき、所定時間経過後の遊技球画像の表示位置を特定し、SC20の表示制御手段に位置情報を、SC19の衝突判定手段に遊技球画像の表示位置に対応した判定点情報を送信する機能を有する。
【0159】
SC18のルート表示位置特定手段は、SC11のルート制御データおよびSC12のルート制御領域データとに基づき、所定時間経過後の遊技球画像の表示位置を特定し、SC20の表示制御手段に位置情報を、SC19の衝突判定手段に遊技球画像の表示位置に対応した判定点情報を送信する機能を有する。
【0160】
SC20の表示制御手段は、SC17のベクトル表示位置特定手段により特定された表示位置に遊技球画像を表示するSC21のベクトル表示制御手段と、SC18のルート表示位置特定手段により特定された表示位置に遊技球画像を表示するSC22のルート表示制御手段とを搭載している。
【0161】
SC20の表示制御手段は、SC21のベクトル表示制御手段と、SC22のルート表示制御手段とにより遊技球画像をSC26の画像表示装置に表示する機能を有する。
【0162】
SC13の判定点データ設定手段は、SC01の遊技制御手段から入力される入賞割合情報に基づき、障害物画像等の判定用色情報を配置するために用いるデータを設定し、設定したデータをSC14の判定点配置手段に送信する機能を有する。
【0163】
SC14の判定点配置手段は、障害物画像の縁に沿って、SC13の判定点データ設定手段から入力された設定データに対応したドット数に亘り判定用色情報を配置し、配置情報をSC19の衝突判定手段に送信する機能を有する。
【0164】
SC19の衝突判定手段は、SC16の表示位置特定手段から入力される遊技球画像の判定点情報と、SC14の判定点配置手段により判定用色情報が配置された配置情報とに基づき、遊技球画像が障害物画像等に衝突した否かの判定を行ない、衝突情報をSC15の速度ベクトル設定手段に送信する機能を有する。
【0165】
なお、衝突判定方法としては、遊技球画像に重畳して設定されている判定点の位置に対応する判定用色情報のうちいずれかの判定点の位置に対応する判定用色情報が、障害物画像等の判定用色情報と同一色であるか否かを判別することにより、衝突の有無を判定する方法が採用されている。たとえば、釘の判定用色情報が「黒」で、遊技盤面画像4の判定用色情報が「白」であるときにおいて、判定点32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報がすべて「白」のときは衝突していない旨の判別がなされ、判定点32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうち1箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報でも「黒」と判別したときは、衝突した旨の判別がなされる。よって、前述したように、たとえば、一の釘の判定用色情報の占めるドット数を多くするほど、遊技球画像が釘画像と衝突する確率を高くすることができる。
【0166】
なお、SC19の衝突判定手段により遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示された入賞口画像に入賞した旨の判別がなされたときには、その入賞口画像に対応する入賞コマンドをSC04の遊技価値付与手段に送信する機能を有する。
【0167】
なお、SC19の衝突判定手段により、SC16の表示位置特定手段から入力される判定点情報に基づいて、遊技球画像の表示位置がベクトル制御領域データから特定される領域であるか、ルート制御領域データから特定される領域であるかを判定し、その判定結果に対応した表示位置領域情報をSC16の表示位置特定手段に送信するようにしてもよい。SC16の表示位置特定手段は、入力された表示位置領域情報に基づき、遊技球画像の表示位置を特定する手段として、SC17のベクトル表示位置特定手段か、SC18のルート表示位置特定手段かのいずれかを設定する表示位置特定設定手段を含み、この表示位置特定設定手段により設定された表示位置特定手段により、遊技球画像毎の表示位置を特定するようにしてもよい。
【0168】
以上、図17を参照して、遊技制御用マイクロコンピュータ53および演出制御用マイクロコンピュータ81の機能を説明したが、その各手段の構成はこれに限られるものではなく、たとえば、SC05の発射ベクトル設定手段をSC06の演出制御手段に搭載される構成等、各手段がどのように構成されてもよい。
【0169】
次に、以上説明した実施の形態の変形例や特徴点を以下に列挙する。
(1) 前述した実施形態においては、障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報の一例として、入賞口画像24の上方に表示される釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報に関し、出玉率から設定される入賞率に基づき、判定用色情報が配置されるドット数が異なるように複数のデータを記憶した例を説明したが、これに限らず、遊技盤面画像4上に表示されるすべての釘画像や、風車画像の縁に沿って配置される判定用色情報に関し、出玉率等に基づき、釘画像や風車画像それぞれの縁に沿って配置されるドット数が異なるように複数のデータを記憶するようにしてもよい。これによって、遊技球画像の流下軌道をより細かくコントロールすることができ、より実際のパチンコ遊技機に近い自然な演出を遊技者に提供することができる。
【0170】
(2) 前述した実施形態においては、ベクトル制御領域における障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報のドット数に応じて、その障害物画像の表示態様も変化させて表示する例について説明したが、これに限らず、ルート制御領域における障害物画像の表示態様も変化させて表示するようにしてもよい。たとえば、設定された出玉率から特定される入賞率に基づき、図12の釘画像a〜iの表示態様を変化させて表示するようにしてもよい。これにより、出玉率や入賞率に則した障害物画像を表示することができ、より実際のパチンコ遊技機に近い画像式パチンコ機を提供することができる。
【0171】
(3) 前述した第1実施形態においては、図5を用いて複数の初期軌道決定用変数値から選択された一の初期軌道決定用変数値を、遊技球画像が障害物画像に衝突するときの軌道に乗じて、得られた値を衝突後の初期軌道として設定する例、すなわち、複数の軌道(衝突角度)から衝突後の初期軌道(跳ね返り角度)を任意に選択できる例について説明し、第2実施形態においては、図15を用いて複数の初期速度決定用変数値から選択された一の初期速度決定用変数値を、遊技球画像が障害物画像に衝突するときの速度に乗じて、得られた値を衝突後の初期速度(跳ね返り速度)として設定する例、すなわち、複数の速度(衝突速度)から衝突後の初期速度(跳ね返り速度)を任意に選択できる例について説明した。しかし、これに限るものではなく、初期軌道と初期速度との双方を、複数の初期軌道と初期速度とから任意に選択できるようにしてもよい。たとえば、複数の変数値から選択された一の初期速度決定用変数値と初期軌道決定用変数値とを、それぞれ、遊技球画像が障害物画像に衝突するときの軌道と速度とに乗じて、得られた値を衝突後の初期軌道と初期速度として設定するようにしてもよい。これにより、衝突後の軌道と速度とが複数の軌道と速度から選択的に設定されるため、衝突後の遊技球画像のランダム性を向上させることができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。また、実際の弾球遊技機における遊技球のスピン回転を考慮したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0172】
(4) 前述した実施形態においては、図10を用いて、出玉率設定SW72により出玉率を設定することにより、各入賞口画像ごとの入賞率が決定されるテーブルを説明したが、これに限らず、入賞率設定SW73により入賞口ごとに入賞率を設定できるように構成してもよい。たとえば、遊技場側により設定された入賞率に基づき入賞口画像に遊技球画像を入賞させる表示をするか否かを決定し、その決定結果の表示が行なえる初期軌道や初期速度を逆算し、設定することができる。これにより、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にしつつ、設定されている入賞率で遊技者に所定の持ち点を付与することができる。
【0173】
また、図10を参照して、遊技状態に関係無く、出玉率設定SW72で設定された出玉率に基づき入賞率が一律に決定するテーブルを説明したが、これに限らず、出玉率設定SW72で設定された出玉率と遊技状態とに基づき入賞率が決定されるテーブルを用いてもよい。たとえば、遊技状態が確率変動状態中であるときの方が、遊技状態が通常遊技状態中であるときよりも、高い入賞率が設定されるようにデータが記憶されたテーブルを用いてもよい。これにより、確率変動状態中であるときはよく入賞し、通常遊技状態中であるときはあまり入賞しないといったように、遊技内容にメリハリをつけることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0174】
(5) 前述した実施形態においては、遊技状態が確率変動状態か通常遊技状態であるか否かに関わらず、図5,図15で説明したテーブルを用い、初期軌道または初期速度を設定するための変数値を選択する例について説明したが、これに限らず、遊技状態が確率変動状態中であるときと、通常遊技状態中であるときとで、異なる変数値が選択されるようにテーブルを設けてもよい。これにより、衝突後の遊技球画像の初期軌道および初期速度が遊技状態に応じてランダムに設定されるため、遊技球画像による流下演出内容を遊技状態に応じて異ならせることができる。また、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。
【0175】
(6) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像式パチンコ機を正面から見た正面図である。
【図2】画像式パチンコ機に用いられる制御回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】画像式パチンコ機の表示装置に表示された遊技盤面画像を説明するための図である。
【図4】遊技盤面画像上を流下する遊技球画像の表示位置をベクトル特定法で特定するときの概念を説明するための図である。
【図5】遊技盤面画像上に表示される障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期軌道決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。
【図6】画像式パチンコ機の表示制御に用いられる乱数を生成するための算術式を説明するための図である。
【図7】遊技球画像が入賞口画像の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図8】遊技球画像と重畳して設定されている判定点と、障害物画像に衝突した後の進路方向を決定するために用いられるテーブルを説明するための図である。
【図9】入賞口画像の上方に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。
【図10】遊技場側が画像式パチンコ機毎に出玉率を設定したときに用いられる入賞率を入賞口画像毎に記憶したテーブルを説明するための図である。
【図11】入賞率に対応させて変化する障害物画像の表示状態と障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報とを説明するための図である。
【図12】遊技盤面画像上を流下する遊技球画像の表示位置をルート特定法で特定するときの概念を説明するための図である。
【図13】入賞率となるように一のルートを選択するために用いる振分率を記憶したテーブルを説明するための図である。
【図14】第2実施形態における遊技盤面画像上に表示される障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期速度決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。
【図15】第2実施形態における遊技球画像が入賞口画像の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態における入賞口画像の上方に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。
【図17】遊技制御用マイクロコンピュータおよび演出制御用マイクロコンピュータの機能を説明するための図である。
【符号の説明】
1 画像式パチンコ機、2 表示装置、3 表示画面、4 遊技盤面画像、5遊技持点表示器、6 遊技ハンドル、7 枠ランプ、8 変動表示装置画像、11 通過ゲート画像、14 始動入賞口画像、15 始動用電動役物画像、16 アウト口画像、17 表飾画像、18 仮想ステージ部、19 可変入賞球装置画像、20 開閉板画像、22 装飾ランプ画像、24 入賞口画像、27スピーカ、31 遊技制御基板、40 カード制御基板、41 カードユニット、42 カードR/W装置、44 紙幣投入口、45 硬貨投入口、46 ICカード挿入口、53 遊技制御用マイクロコンピュータ、60 電源基板、80 演出制御基板、81 演出制御用マイクロコンピュータ、84 キャラクタROM、47 精算SW、48 持点消化SW、70 発射強度検出SW、71
ゲーム選択SW、72 出玉率設定SW、73 入賞率設定SW。
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、画像式のパチンコ遊技機などで代表される画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムに関し、詳しくは、入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備える画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムとして従来から一般的に知られているものに、たとえば、画像式のパチンコ遊技機のような、入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備えるものがある。
【0003】
このような画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムにおいて、遊技盤面画像に入射された打玉画像の発射レベルと遊技状態とに応じて複数設定されているルートから流下表示するために用いるルートを選択し、選択されたルートにしたがって打玉画像を流下表示するもの(たとえば、特許文献1参照)があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−9768号公報(第8頁〜第10頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような画像式弾球遊技機においては、選択されたルートにより打玉画像の軌道データおよび速度データが決定されていた。このため、実際のパチンコ遊技機のようにバラエティー豊かな自然な演出を行うためには、大量のルートデータを記憶する必要があり、また、大量のルートデータを記憶した場合であっても、記憶されたルートを用いた演出に限られるため、遊技者に違和感を与えていた。なお、ルートデータを全く記憶させずに、制御回路により打玉画像の表示位置を特定し表示する処理を行なうようにしたときには、制御回路の処理負担が増大するといった不都合が生じる。
【0006】
この発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、予め記憶するデータ量および制御負担を軽減し、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を実現できる画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段の具体例およびその効果】
(1) 入賞口を表わす画像(たとえば、始動入賞口画像14,入賞口画像24等参照)を含む遊技盤面画像(たとえば、遊技盤面画像4等)と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像(たとえば、遊技球画像等)と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道(たとえば、進行方向,流下経路,軌道等)を変化させる障害物画像(たとえば、釘画像,役物画像,風車画像等参照)とを表示可能な画像表示装置(たとえば、表示装置3、図17のSC26等)を備える画像式弾球遊技機(画像式パチンコ機1)であって、
前記遊技球画像の軌道を変化制御(たとえば、ベクトル制御、ルート制御等参照)するためのデータ(たとえば、ベクトル制御データ、ベクトル制御領域データ、ルート制御データ、ルート制御領域データ等参照)を記憶するデータ記憶手段(たとえば、ROM95等参照)と、
該データ記憶手段のデータを用いて、経過した時間に応じた当該遊技球画像を表示するための表示位置を特定する表示位置特定手段(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図12、図17のSC16等参照)と、
該表示位置特定手段により表示位置を特定された遊技球画像を表示する遊技球表示制御手段(たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ81,VDP82,VRAM83,キャラクタROM84、図17のSC20等参照)とを備え、
前記データ記憶手段は、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上に発射された後の、または、前記障害物画像と衝突した後の、該遊技球画像の初期速度(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期速度、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期速度等)と、初期軌道(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期軌道(角度,方向)、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期軌道等)と、を特定可能な初期速度ベクトル(たとえば、初期速度と初期軌道を有する初期速度ベクトル等)と、所定の重力加速度(たとえば、重力加速度:g等)とに基づき、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのベクトル制御データ(たとえば、図5、図14、図17のSC08等参照)と、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上を移動し得る軌道を予め複数に分岐した分岐軌道ルート(たとえば、図12の実線、点線、一点鎖線等の予め定められた複数のルート等参照)にもとづいて、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのルート制御データ(たとえば、図13、図17のSC11等参照)と、
前記ベクトル制御データを用いて前記表示位置特定手段が前記遊技球画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのベクトル制御領域データ(たとえば、ベクトル特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域(遊技盤面画像4上に表示される釘画像,役物画像,風車画像等の障害物画像に衝突しながら流下する領域)に対応するデータ、図3の斜線部以外の遊技領域、図17のSC09等参照)と、
前記ルート制御データを用いて前記表示位置特定手段が前記遊技球の画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのルート制御領域データ(たとえば、ルート特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域に対応するデータ、図3の斜線部、図17のSC12等参照)とを含み、
前記表示位置特定手段は、
前記ベクトル制御データを用いて、前記ベクトル制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するベクトル表示位置特定手段(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図17のSC17等参照)と、
前記ルート制御データを用いて、前記ルート制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するルート表示位置特定手段(たとえば、図12、図17のSC18等参照)とを含み、
前記遊技球表示制御手段は、
前記ベクトル表示位置特定手段により特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するベクトル表示制御手段(たとえば、図17のSC21等参照)と、
前記ルート表示位置特定手段により特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するルート表示制御手段(たとえば、図17のSC22等参照)とを含む。
【0008】
上述の構成によれば、ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いて特定することができ、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いて特定することができる。これにより、ルート制御データの占めるデータ量を低減させるとともに、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させて、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0009】
(2) 前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記遊技球画像の軌道が水平方向または奥行き方向となる領域(たとえば、始動用電動役物画像15,通過ゲート画像11,可変入賞球装置画像19等の遊技球画像が遊技者側からみて水平方向,奥行き方向に強制的に移動表示される領域およびその領域に近接する領域等)である。
【0010】
上述の構成によれば、軌道が水平方向または奥行き方向となる領域では、ルート表示位置特定手段により遊技球画像の表示位置が特定されるため、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させることができる。
【0011】
(3) 前記遊技盤面画像上に含まれる入賞口画像に、前記遊技球画像が入賞すると遊技者に所定の遊技価値数を付与する遊技価値付与手段(たとえば、遊技制御用マイクロコンピュータ53、図17のSC04等)と、
前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記入賞口画像に近接または隣接する領域(たとえば、各入賞口画像に近接または隣接する領域、図3の斜線部参照)であり、
前記ルート制御データは、前記遊技球画像が前記入賞口画像に入賞する分岐軌道ルート(たとえば、図12の釘画像h〜i間の領域を通過するルート等)を含む(たとえば、図13の入賞率10%時テーブルにおいてはL1〜L5、入賞率30%テーブルにおいてはL1〜L8等を30通りのルートに含んでいる)。
【0012】
上述の構成によれば、入賞口画像に近接または隣接する領域では、ルート表示位置特定手段により遊技球画像の表示位置が特定され、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させることができる。また、ルート制御データを用いて、遊技球画像が入賞口画像に入賞する表示を行なうことができる。
【0013】
(4) 前記画像表示装置は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報(たとえば、特別図柄「0」〜「9」の10種類の数字等)を変動表示するための変動表示部(たとえば、変動表示装置画像8等参照)と、
前記遊技球画像が入賞したことを条件として前記識別情報の変動表示を開始させる変動入賞口画像(たとえば、始動入賞口画像14等)とがさらに表示され、
前記変動表示部は、前記識別情報を遊技者が認識できるように前面に表示窓が形成された表飾り部(たとえば、遊技盤面画像4上に設けられている変動表示装置画像8の表飾画像17等参照)を含み、
前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記表飾り部の表示されている領域(たとえば、表飾画像17および表飾画像17上に設けられた仮想ステージ部18が表示された領域等)であり、
前記ルート制御データは、前記遊技球画像が前記変動入賞口画像に入賞する分岐軌道ルート(たとえば、図12の釘画像h〜i間の領域を通過するルート等)を含む(たとえば、図13の入賞率10%時テーブルにおいてはL1〜L5、入賞率30%テーブルにおいてはL1〜L8等を30通りのルートに含んでいる)。
【0014】
上述の構成によれば、表飾り部の表示されている領域では、ルート表示位置特定手段により遊技球画像の表示位置が特定されるため、ベクトル表示位置特定手段にかかる負担を軽減させることができる。また、ルート制御データを用いて、遊技球画像が変動入賞口画像に入賞する表示を行なうことができる。
【0015】
(5) 入賞口を表わす画像(たとえば、始動入賞口画像14,入賞口画像24等参照)を含む遊技盤面画像(たとえば、遊技盤面画像4等)と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像(たとえば、遊技球画像等)と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道(たとえば、進行方向,流下経路,軌道等)を変化させる障害物画像(たとえば、釘画像,役物画像,風車画像等参照)とを表示可能な画像表示装置(たとえば、表示装置3、図17のSC22等)を備える画像式弾球遊技機のプログラム(画像式パチンコ機1のROM54,ROM95に格納されている各種プログラム)であって、
前記遊技球画像の軌道を変化制御(たとえば、ベクトル制御、ルート制御等参照)するためのデータ(たとえば、ベクトル制御データ、ベクトル制御領域データ、ルート制御データ、ルート制御領域データ等参照)を用いて、経過した時間に応じた当該遊技球画像を表示するための表示位置を特定する表示位置特定ステップ(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図12、図17のSC16等参照)と、
該表示位置特定ステップにより表示位置を特定された遊技球画像を表示する遊技球表示制御ステップ(たとえば、演出制御用マイクロコンピュータ81,VDP82,VRAM83,キャラクタROM84、図17のSC20等参照)とを備え、
前記表示位置特定ステップは、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上に発射された後の、または、前記障害物画像と衝突した後の、該遊技球画像の初期速度(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期速度、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期速度等)と、初期軌道(たとえば、遊技盤面画像4上に表示された直後の遊技球画像の初期軌道(角度,方向)、釘画像に衝突した直後の遊技球画像の初期軌道等)と、を特定可能な初期速度ベクトル(たとえば、初期速度と初期軌道を有する初期速度ベクトル等)と、所定の重力加速度(たとえば、重力加速度:g等)とに基づき、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのベクトル制御データ(たとえば、図5、図14、図17のSC08等参照)を用いて、前記表示位置特定ステップが前記遊技球画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのベクトル制御領域データ(たとえば、ベクトル特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域(遊技盤面画像4上に表示される釘画像,役物画像,風車画像等の障害物画像に衝突しながら流下する領域)に対応するデータ、図3の斜線部以外の遊技領域、図17のSC09等参照)から特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するベクトル表示位置特定ステップ(たとえば、図4参照、(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)、図17のSC17等参照)と、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上を移動し得る軌道を予め複数に分岐した分岐軌道ルート(たとえば、図12の実線、点線、一点鎖線等の予め定められた複数のルート等参照)にもとづいて、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのルート制御データ(たとえば、図13、図17のSC11等参照)を用いて、前記表示位置特定ステップが前記遊技球の画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのルート制御領域データ(たとえば、ルート特定法により遊技球画像の表示位置を特定する領域に対応するデータ、図3の斜線部、図17のSC12等参照)から特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するルート表示位置特定ステップ(たとえば、図12、図17のSC18等参照)とを含み、
前記遊技球表示制御ステップは、
前記ベクトル表示位置特定ステップにより特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するベクトル表示制御ステップ(たとえば、図17のSC21等参照)と、
前記ルート表示位置特定ステップにより特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するルート表示制御ステップ(たとえば、図17のSC22等参照)とを含む。
【0016】
上述の構成によれば、ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いて特定することができ、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いて特定することができる。これにより、ルート制御データの占めるデータ量を低減させるとともに、ベクトル表示位置特定ステップにかかる負担を軽減させて、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムの一例として画像式パチンコ機を示すが、本発明はこれに限らず、入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備える画像式弾球遊技機および画像式弾球遊技機のプログラムであればすべてに適用することが可能である。
【0018】
第1実施形態
まず、画像式弾球遊技機の一例である画像式パチンコ機の全体構成について説明する。図1は画像式パチンコ機1を正面から見た正面図である。
【0019】
図1に示すように、画像式パチンコ機1の上部には、遊技状態が予め定められた遊技者にとって有利な特定遊技状態(たとえば、大当り状態)となったときに点灯または点滅する枠ランプ7が設けられている。枠ランプ7の両側には、遊技の興趣を向上するために所定の効果音を発生させるスピーカ27が備えられている。画像式パチンコ機1の中央部には、液晶表示器よりなる表示装置2の表示画面3が配置される。遊技開始時には、図1に示すように実際のパチンコ遊技機の遊技盤面に対応する遊技盤面画像4が表示画面3に表示される。なお、この表示装置2は、液晶表示器に限らず、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field EmisSJon Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクス等その他の画像表示式の表示装置により構成されてもよい。かかる遊技盤面画像4については図3を用いて後述する。
【0020】
画像式パチンコ機1の下方部には、遊技者が遊技により獲得した持ち点および/または購入した額に対応する点数を表示する遊技持点表示器5が設けられている。この遊技持点表示器5の下方には、遊技者が遊技に用いるための情報を入力するための操作部および該操作により入力された情報を表示するための表示器等が設けられている。
【0021】
画像式パチンコ機1の右下方部には、遊技ハンドル6が設けられている。遊技ハンドル6は、遊技球画像を遊技盤面画像4上に形成された遊技領域に打込む(表示する)ために使用されるものであって、この遊技ハンドル6を遊技者が操作することにより、遊技球画像が1個ずつ遊技盤面画像4上に形成された遊技領域に発射されるような表示制御が行なわれる。
【0022】
本実施形態における画像式パチンコ機1には、それぞれ、カードユニット41が対応して設置されている。このカードユニット41は、紙幣投入口44または硬貨投入口45に現金を投入すること、または、所定の持ち点が記憶されたICカードを購入しICカード挿入口46に挿入することにより、現金の金額に対応する点数または記憶された持ち点を付与(許容)するものである。この持ち点は、遊技盤面画像4上に一の遊技球画像が打込まれるごとに1減算され、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示される入賞口画像等に入賞したときに、該入賞した入賞口に対応して予め定められている点数分増加される。
【0023】
次に、本実施形態における画像式パチンコ機1に用いられる制御回路について説明する。図2は、本実施形態における画像式パチンコ機1に用いられる制御回路の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態では、以下に説明する制御回路により所定の遊技を所定の順序で制御し表示することができる。
【0024】
図2を参照して、制御回路は、遊技制御基板31、演出制御基板80、カード制御基板40、電源基板60等の基板で構成されている。電源基板60から供給される電力で遊技制御基板31と演出制御基板80とによる処理が行なわれる。カード制御基板40には、遊技制御基板31を介して電力が供給される。
【0025】
遊技制御基板31には、プログラムに従って画像式パチンコ機1の遊技を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ53を搭載している。この遊技制御用マイクロコンピュータ53は、遊技制御用のプログラム等を記憶する記憶手段の一例であるROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段の一例であるRAM55、制御用プログラムに従って制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む遊技制御用のマイクロコンピュータである。
【0026】
本実施形態では、ROM54,RAM55はCPU56に搭載されている。すなわちCPU56は、ワンチップマイクロコンピュータである。なお、CPU56とROM54,RAM55とはワンチップ化されていなくてもよい。つまり、ROM54、RAM55およびI/Oポート部57は外付けであっても内蔵されていてもよい。
【0027】
また、I/Oポート部57は、マイクロコンピュータにおける情報入出力可能な端子である。このI/Oポート部57を介して、前述した遊技ハンドル6の操作度合いを検出する発射強度検出SW70と、表示装置2に表示する遊技の内容を選択(たとえば、第1種パチンコ遊技機、第2種パチンコ遊技機、第3種パチンコ遊技機等の遊技内容からいずれかを選択)するためのゲーム選択SW71と、遊技場側が遊技者の獲得する利益価値数に影響を与える出玉率や入賞率を設定するための出玉率設定SW72,入賞率設定SW73とから発信される信号を受信することができる。また、カード制御基板40から送信される信号に基づき遊技持点表示器5の表示状態を制御する処理が行なわれる。
【0028】
遊技制御用マイクロコンピュータ53は、発射強度検出SW70からの信号に基づき、遊技球画像を遊技盤面画像4上の遊技領域内に発射するときの初期速度ベクトル(初期速度と初期軌道)を算出し、算出された数値に対応する遊技球制御コマンドを演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する。なお、初期速度ベクトルは、発射強度検出SW70からの信号が同一であるときには同一の初期速度ベクトルが算出されるようにしてもよい。また、これに限らず、発射強度検出SW70からの信号が同一であっても微妙に初期速度ベクトルが変化するようにランダムに算出されるようにしてもよい。すなわち、同一の発射レベルであっても異なる初期速度ベクトルを算出する初期速度ベクトル決定手段を設けてもよい。
【0029】
発射強度検出SW70は、遊技ハンドル6に内蔵されており、遊技ハンドル6の操作状態に応じて遊技球画像の発射状態を制御するためのスイッチである。すなわち、遊技球画像の発射時の初期速度ベクトルおよび発射間隔等を設定する。発射強度検出SW70は、操作状態に応じた発射状態を指令するための制御信号を遊技制御用マイクロコンピュータ53へ出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ53は、発射強度検出SW70から入力された制御信号に応じた初期速度ベクトルを算出し、該初期速度ベクトルで遊技球画像が発射されたように表示するための遊技球制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する。演出制御用マイクロコンピュータ81は、入力された遊技球制御コマンドに応じて遊技球画像の表示位置を特定し、表示装置2上に表示する処理を行なう。
【0030】
なお、出玉率設定SW72や入賞率設定SW73についても同様に、入力された制御信号に応じた出玉率設定コマンドや入賞率設定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する処理が行なわれる。この出玉率設定コマンドや入賞率設定コマンドにより、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像が入賞口画像等に入賞するような表示が行なわれる割合を異ならせることができる。なお、本実施形態における出玉率設定SW72や入賞率設定SW73は、遊技場側が操作できるように設けられている。たとえば、画像式パチンコ機1の内部に設けられておりキー操作で出玉率や入賞率を設定できるものや、遊技場に設置されている遊技機を管理するホールコンピュータにより遊技場側が所望する出玉率や入賞率を設定できるものであってもよい。また、本実施形態においては、出玉率設定SW72により設定された出玉率にしたがい入賞口ごとの入賞率が設定される例について説明するが、これに限らず、出玉率設定SW72で設定された出玉率となるように算出された複数の入賞率から、入賞率設定SW73により選択設定するようにしてもよい。また、出玉率設定SW72による設定とは無関係に、入賞率設定SW73で入賞口ごとの入賞率を設定できるようにしてもよい。なお、本実施形態における出玉率とは、1分間の遊技において、入賞口画像等への入賞により遊技者が獲得した点数を、遊技盤面画像4上に打込まれた遊技球画像数で除することにより得られる値の平均をいう。
【0031】
また、遊技制御基板31は、上記処理以外に、大当りの発生に関する情報を示すための大当り情報および始動入賞口を表わす始動入賞口画像14への遊技球画像の入賞個数のうち実際に遊技に使用された個数等を示すための有効始動情報とを含む管理データをホストコンピュータであるホール用管理コンピュータ等に対して出力する。また、遊技者が遊技を終了した後その売上データをホストコンピュータであるホール用管理コンピュータ等に対して出力する。
【0032】
カード制御基板40は、カードユニット41に設けられた紙幣投入口44等に投入された現金に対応する点数、および、ICカード挿入口46に挿入されたICカードに記憶された持ち点を読出し、これらのデータを遊技制御用マイクロコンピュータ53へ出力する。遊技制御用マイクロコンピュータ53では、これらのデータに応じた持ち点が表示されるように遊技持点表示器5の表示状態を制御する。なお、ICカード挿入口46は、ICカードに記憶された持ち点を読込・書込できるカードR/W装置42から構成されている。このカードR/W装置42には、精算SW47と持点消化SW48とが搭載されており、かかるSWを操作することにより挿入されているICカードに記憶されている持ち点を読込、遊技持点表示器5に表示されている持ち点を挿入されているICカードに書込できるように構成されている。
【0033】
次に、演出制御基板80について説明する。演出制御基板80には、プログラムに従って遊技制御用マイクロコンピュータ53から送信される各種制御コマンドを解析し画像式パチンコ機1に搭載されている演出機器を制御する演出制御用マイクロコンピュータ81と、演出制御用マイクロコンピュータ81からの指令に応答して表示装置2を実際に表示駆動するためのVDP82(Video Display Processor )と、VDP82により生成された画像データを一時的に記憶するためのVRAM83(Video Random Access Memory)と、遊技球画像、釘・役物等を含む遊技盤面画像4等を表示するためのスプライトデータを記憶しているキャラクタROM84とが搭載されている。
【0034】
演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技制御用マイクロコンピュータ53と同様に、演出制御用のプログラム等を記憶する記憶手段の一例であるROM95、ワークメモリとして使用される記憶手段の一例であるRAM94、制御用プログラムに従って制御動作を行なうCPU93およびI/Oポート部96を含む演出制御用のマイクロコンピュータである。
【0035】
演出制御用マイクロコンピュータ81は、ROM95に格納されたプログラムに従って動作し、遊技制御用マイクロコンピュータ53から入力されるストローブ信号としての演出制御信号INT(割込信号ともいう)が入力されると割込動作状態となって演出制御コマンドを取り込む。そして、取込んだ演出制御コマンドに従って、表示装置2に表示する遊技球画像の表示制御や、スピーカ27から出力する遊技音の音制御や、遊技状態を報知するための枠ランプ7等の点灯状態を制御する点灯制御を行なう。
【0036】
ROM95には、演出制御信号INTが入力されるごとに、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている釘等の障害物画像に衝突したか否かを判定し衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するベクトル設定用プログラム、それぞれの遊技球画像ごとに設定されている初期速度ベクトルと重力加速度(g=9.8m/s2)にしたがって遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置を特定するベクトル制御用プログラム、遊技球画像に設定されているルートにしたがって該遊技球画像の表示位置を特定するルート制御用プログラム、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている入賞口画像に入賞したか否かを判定する入賞判定プログラム、遊技状態に応じて遊技盤面画像4上に表示された役物,風車等の障害物画像の動作状態を決定するためのプログラム等が格納されている。
【0037】
また、ROM95には、格納されているプログラムに従って動作するときに用いられるデータを記憶している。たとえば、ベクトル設定用プログラムに従って初期速度ベクトルを設定するときに用いられる変数値や、入賞判定プログラムによる判定が行なわれるときに参照される入賞率や、ルート制御用プログラムに従って表示位置を特定するときに用いられる複数のルート等が記憶されている。
【0038】
CPU93は、演出制御コマンドに基づきプログラム処理により算出されたデータをVDP82に送信する。たとえば、表示位置を特定するためのプログラムにより算出された遊技球画像を表示する位置に対応するデータをVDP82に送信する処理を行なう。
【0039】
VDP82は、VRAM83の表示画面バッファ領域(図示省略)に、送信されてきたデータにしたがって、指定されるデータ(遊技球スプライトデータ,遊技盤面スプライトデータ等含む)を指定された位置に表示されるようにマッピングする。VRAM83の表示画面バッファ領域にマッピングされたデータをマップデータという。
【0040】
VDP82は、所定のタイミングでVRAM83の表示画面バッファ領域に記憶されているマップデータを読み出し、マップデータに含まれる各画像に基づいて、キャラクタROM84から各画像のスプライトデータ等を読み出す。
【0041】
次に、VDP82は、VRAM83の表示画面バッファ領域にマッピングされたマップデータに着色処理を行ない画像表示信号を生成する。そして、VDP82は、生成した画像表示信号をD/A変換回路(図示省略)で変換したアナログのRGB信号と、複合同期信号SYNCを表示装置2に送信する。表示装置2は、送信されてきたRGB信号と複合同期信号SYNCに基づいて遊技盤面画像4や遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像等を表示する。
【0042】
以上のように、演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技制御用マイクロコンピュータ53から入力される演出制御コマンドを用いて算出されたデータに応じた画面を表示装置2に表示する制御を行なう。
【0043】
なお、受信した演出制御コマンドがランプ制御コマンドであったときには、演出制御用マイクロコンピュータ81では、ランプ制御コマンドに応じて、枠ランプ7等の発光体駆動制御(発光動作制御)を行なう。
【0044】
また、受信した演出制御コマンドが音制御コマンドであったときには、演出制御用マイクロコンピュータ81では、音制御コマンドに応じて、スピーカ27から出力される(発生される)音の制御を行なう。
【0045】
以上、図2においては、変動表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能のすべてを1つのマイクロコンピュータ81に含ませ、そのマイクロコンピュータ81が前述したような表示制御コマンド、ランプ制御コマンド、および、音制御コマンドを受信し、そのコマンドに応じて各種制御を行なうようにした例を示した。このような構成を採用することにより、この画像式パチンコ機1では、表示制御、ランプ制御、および、音制御を同期させた演出を容易に行なうことができる。
【0046】
なお、このように変動表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能のすべてを1つのマイクロコンピュータ81に含ませる構成に限らず、変動表示制御機能、ランプ制御機能、および、音制御機能を複数個のそれぞれのマイクロコンピュータに分割構成したり、適宜組合せて複数個のマイクロコンピュータで構成し、各マイクロコンピュータ用に定められたコマンドに応じて各種制御を行なうようにしてもよい。
【0047】
なお、ROM95に格納された入賞判定プログラムを用いて遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている入賞口画像に入賞した判定がなされたときには、入賞コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ53に送信され、入賞コマンドに対応する持ち点を加算する処理が行なわれる。さらに、遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示されている始動入賞口画像14に入賞した判定がなされたときには、始動入賞コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ53に送信され、遊技盤面画像4上に表示される変動表示装置画像8に表示される特別図柄を変動表示させる態様および停止図柄の決定等が行なわれる。以下、演出制御用マイクロコンピュータ81から始動入賞コマンドが入力されたときの遊技制御用マイクロコンピュータ53により実行されるプロセス処理についての手順を簡単に説明する。
【0048】
まず、始動入賞コマンド受信に伴い、大当りとするか否かが決定される。この決定は、大当り決定用のランダムカウンタのカウント値が抽出され、その抽出値が、予め定められた大当り判定値と一致するか否かの判断により決定される。なお、大当りとは、遊技者にとって有利な第1の状態に制御される状態であって、たとえば、可変入賞球装置画像19の開閉板画像20が開成して大入賞口が開口する表示がなされる状態をいう。これにより、遊技球画像を大入賞口に入賞させ、遊技者に持ち点を付与することができる。
【0049】
次に、大当りとならない旨の判定がなされたときには、特別図柄の変動表示においてリーチ状態とするか否かの決定(リーチ判定ともいう)は、リーチ決定用のランダムカウンタのカウント値を用いて行なわれる。
【0050】
また、特別図柄の変動表示においてリーチ状態となる決定がされた場合(大当りとする決定が行なわれた場合と、はずれとする決定が行なわれた場合との両方を含む)には、リーチ状態の変動パターンが複数種類の変動パターンのうちから選択的に決定(ランダムに決定)される。このような変動パターンの決定(選択)は、変動パターン決定用のランダムカウンタのカウント値を用いて行なわれる。このランダムカウンタは、リーチ状態の変動パターンをランダムに決定するためのものであって、大当り決定用のランダムカウンタと同様に機能する数値データ更新手段であり、特別図柄の変動表示開始時等の所定タイミングで抽出されたカウンタの値が、複数種類予め定められた変動パターン決定値のうちの一致するものに対応する変動パターンとすることが決定される。
【0051】
また、特別図柄の変動表示における停止図柄の決定は、左,中,右の各図柄に対応する3つの停止図柄決定用ランダムカウンタから抽出したそれぞれのカウント値を用いて行なわれる。本実施形態における特別図柄は、「0」〜「9」の10種類の数字から構成されている。この各ランダムカウンタは、対応する特別図柄の停止図柄をランダムに決定するためのものであって、大当り決定用のランダムカウンタと同様に機能する数値データ更新手段である。左,中,右の各図柄として表示される複数種類の特別図柄には、左,中,右の特別図柄ごとに図柄の配列順序が予め定められている。複数種類の特別図柄は、図柄の配列順序に従って変動表示されていく。なお、特別図柄の配列順序は、変動パターンの種類に応じて異なるように変動表示・更新表示されるようにしてもよい。このような複数種類の停止図柄のそれぞれには図柄決定用の数値データが対応付けられており、はずれとする決定がされた場合には、特別図柄の変動表示開始時等の所定タイミングで各ランダムカウンタから抽出されたカウンタの値と一致する数値データに対応する図柄が左,中,右の各停止図柄として決定される。
【0052】
一方、大当りとする決定がされた場合には、特別図柄の変動表示開始時等の所定タイミングで左特別図柄決定用のランダムカウンタから抽出されたカウンタの値と一致する数値データに対応する図柄が左,中,右の各停止図柄として決定される。また、はずれとなる場合においてリーチ状態とすることが決定された場合には、左,右の各停止図柄が一致するように決定される。
【0053】
以上に示したような、大当り判定機能、リーチ判定機能、変動パターン決定機能および、停止図柄決定機能は、遊技制御用マイクロコンピュータ53の制御機能により実現される。
【0054】
以上のように、特別図柄大当り判定処理、停止図柄設定処理に続いて、変動パターン設定処理(変動表示装置画像8における図柄(識別情報)の変動表示のパターンすなわち変動パターンを決定(選択)し、決定された変動パターンおよび停止図柄等を通知するための演出制御コマンドを演出制御基板80の演出制御用マイクロコンピュータ81に対して出力する。)その後、特別図柄変動処理に移行する。以下、特別図柄停止処理、大入賞口開放前処理(カウンタやフラグを初期化して可変入賞球装置画像19の開閉板画像20を開成表示し大入賞口を開放する。)、大入賞口開放中処理(大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行なう。)、特定領域有効時間処理(特定領域スイッチ(V入賞スイッチ)21の通過の有無を監視して、大当り遊技状態継続条件の成立を確認する処理を行なう。)、大当り終了処理(大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知するための表示を演出制御手段等に行なわせる制御を行なう。)が行なわれる。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ53で行なわれた処理結果に対応する演出制御コマンドが演出制御用マイクロコンピュータ81に送信され、表示装置2の表示制御が行なわれる。
【0055】
図3は、画像式パチンコ機1の表示装置2に表示された遊技盤面画像4を説明するための図である。この遊技盤面画像4は、前述した演出制御基板80に搭載されているキャラクタROM84に記憶されている実写画像データ(釘,役物,風車等の障害物画像や遊技球画像のデータ等)をもとに表示されている。したがって、表示装置2に表示される遊技盤面画像4は非常にリアルな表示となり、遊技者はあたかも実際のパチンコ遊技機により遊技をしているかのような実感を得ることができる。
【0056】
図3に示すように、遊技盤面画像4上の中央付近には、各々が識別可能な複数種類の識別情報の一例となる特別図柄を変動表示させる変動表示装置画像8が表示されている。この変動表示装置画像8には、特別図柄を変動表示させるための図柄表示部と、普通図柄を変動表示させるための普通図柄表示部とから構成されている。なお、特別図柄の変動表示は、始動入賞口画像14に遊技球画像が入賞する表示がなされたことに起因し開始される。普通図柄の変動表示は、通過ゲート画像11に遊技球画像が通過する表示がなされたことに起因し開始される。具体的には、遊技制御用マイクロコンピュータ53から送信される演出制御コマンドに基づき、演出制御用マイクロコンピュータ81により表示制御されている。
【0057】
さらに、変動表示装置画像8の下方には始動入賞口画像14が構成された可動片部を含む始動用電動役物画像15と、そのさらに下方には開閉板画像20の傾動により遊技球画像が入賞するような表示を行なうことのできる開成状態となる可変入賞球装置画像19とが表示される。
【0058】
また、一般入賞口画像として、変動表示装置画像8の左右下方に入賞口画像24が表示されている。また、遊技球画像が進入できる通過ゲート画像11が変動表示装置画像8の下方に表示されている。また、打込まれた遊技球画像が入賞口画像24や可変入賞球装置画像19のいずれにも入賞する表示がなされなかったときにはずれとして回収するアウト口画像16が表示され、遊技盤面画像4を装飾するための装飾ランプ画像22が表示されている。
【0059】
なお、前述した変動表示装置画像8上で行なわれる特別図柄の変動表示は、始動入賞口画像14に入賞した表示がなされたときに、始動入賞コマンドが遊技制御用マイクロコンピュータ53に送信され、所定のランダムカウンタから乱数が抽出され、その乱数の値に応じた演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する処理が行なわれ、かかる演出制御コマンドを受信したことを条件として、特別図柄の変動表示が一斉に開始される。変動表示は、上から下へ特別図柄をスクロールさせることによって行なわれ、所定時間が経過すると、特別図柄が停止表示される。
【0060】
特別図柄の表示結果が予め定められた特定表示結果(たとえば、「333」等のゾロ目が表示されたとき。以下大当り図柄ともいう。)となると、「大当り」となり、遊技状態が特定遊技状態(大当り状態)に移行する。特定遊技状態では、可変入賞球装置画像19の開閉板画像20が開成する表示がなされ、大入賞口が開口する。これにより、遊技球画像が大入賞口に入賞できる表示状態に変化し、遊技者にとって有利な第1の状態に制御される。
【0061】
特別図柄の表示結果が特別の識別情報の組合せ(たとえば、「777」の奇数のゾロ目が表示されたとき。以下確変大当り図柄ともいう。)となると、「確変大当り」となり、次に大当りとなる確率が通常遊技状態より高くなる。すなわち、特別遊技状態として、遊技者にとってさらに有利な確率変動状態となる。特別遊技状態とは、大当りとなる確率が高くなる(大当りが発生しやすくなる)確率変動状態のことをいう。また、この確率変動状態では、普通図柄の表示結果が当り図柄になる確率が高められる。この確率変動状態への制御は、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ53により行なわれる。
【0062】
なお、特別遊技状態は、特別図柄の表示結果が大当り図柄のうちの確変図柄による大当り図柄となったときに、大当り図柄のうち確変図柄以外の大当り図柄となったときと比べて、付与される価値が大きくなる付加価値が付与されるものであればよい。よって、特別遊技状態としては、特別図柄および普通図柄の変動表示が開始してから表示結果が表示されるまでの時間が短縮される時短制御が行なわれる、変動時間短縮状態(以下「時短」ともいう。)であってもよい。さらに、特別遊技状態としては、始動用電動役物画像15における可動片部の開放時間の増加と開放回数の増加(複数回開放するようになる)とが行なわれる、開放延長状態であってもよい。この変動時間短縮状態、開放延長状態への制御は、後述する遊技制御用マイクロコンピュータ53により行なわれる。
【0063】
本実施形態における遊技球画像の表示位置を特定する方法として、画像式パチンコ機1の遊技盤面画像4上の領域に応じて、ROM95に格納されているベクトル制御用プログラムにより特定するベクトル特定法と、ルート制御用プログラムにより特定するルート特定法とのいずれかが用いられる。
【0064】
具体的に、始動用電動役物画像15,通過ゲート画像11,可変入賞球装置画像19,遊技盤面画像4上に設けられている変動表示装置画像8の表飾画像17上に設けられた仮想ステージ部18等の遊技球画像が遊技者側からみて垂直方向,水平方向,奥行き方向に強制的に移動表示させるような領域や各入賞口画像に近接する領域(図中の斜線部分参照)においては、予め定められたルートにしたがって遊技球画像の表示位置を特定するルート制御用プログラムによるルート特定法が用いられる。
【0065】
一方、ルート特定法を用いて表示位置を特定する領域以外の領域、たとえば、遊技盤面画像4上に表示される釘画像,役物画像,風車画像等の障害物画像に衝突しながら流下する領域については、遊技球画像ごとに設定されている初期速度ベクトルと重力加速度にしたがって遊技球画像の表示位置を特定するベクトル制御用プログラムによるベクトル特定法が用いられる。以下、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置を特定する方法としてのベクトル特定法とルート特定法とについて説明する。
【0066】
図4は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置をベクトル特定法で特定するときの概念を説明するための図である。なお、ここでは地上から所定の初期速度ベクトルで遊技球が投げ上げられた場合を想定し、投げ上げられた球体が自由落下運動を経て地面に衝突し、衝突したときの速度および軌道(衝突角度)から衝突後の初期速度および初期軌道(跳ね返り角度)を算出し、算出された初期速度および初期軌道を有する初期速度ベクトルを衝突後の初期速度ベクトルに設定することにより、該投げ出された球体の位置を特定する方法について説明する。なお、X軸は地上を示し、Y軸の正方向は鉛直上向きを示しているものとし、原点から投げ出された球体が地上のA点、B点、C点で衝突する例について説明する。
【0067】
球***置特定方法(原点〜A点間)
原点から初期速度Voの大きさで初期軌道αoの方向を有する初期速度ベクトルで投げ出された球体の所定時間(t)経過後の位置は、X軸、Y軸においてそれぞれ自由落下式から特定することができる。
X軸方向の初期速度:Vx=cosαoとなることから、
所定時間(t)経過後のX軸方向の移動距離:ΔX=Vx・tとなる。
Y軸方向の初期速度:Vy=sinαoとなることから、
所定時間(t)経過後のY軸方向の移動距離:ΔY=Vy・t−g・t2/2となる。
よって、所定時間(t)経過後の遊技球の位置は、
(X,Y)=(Vx・t,Vy・t−g・t2/2)となる。
【0068】
衝突後の初期速度ベクトル算出方法(A点)
原点から初期速度Voの大きさで初期軌道αoの方向を有する初期速度ベクトルで投げ出された球体がA点に衝突したときの速度の大きさVo’と軌道αo’とを自由落下式から算出し、所定の変数値(N)を乗ずることにより特定することができる。なお、変数値とは、遊技球がスピン回転していることを考慮し、衝突速度および衝突軌道に乗じた値を衝突後の初期速度および衝突後の初期軌道として設定するのための数値である。
衝突後の初期速度:V1=Vo’・Nvとなり、
衝突後の初期軌道:α1=αo’・Nαとなることから、
衝突後の初期速度ベクトルは、
(大きさ,方向)=(Vo’・Nv,αo’・Nα)となる。
【0069】
以下、A点〜B点間における球体の位置は、A点から初期速度Vo’・Nvの大きさで初期軌道αo’・Nαの方向を有する初期速度ベクトルで跳ね返った球体の所定時間(t)経過後の位置を同様に特定することができる。さらに、B点における衝突後の初期速度ベクトルは、A点から初期速度Vo’・Nvの大きさで初期軌道αo’・Nαの方向を有する初期速度ベクトルで跳ね返った球体がB点に衝突したときの速度の大きさV1’と軌道α1’とを自由落下式から算出し、所定の変数値(N)を乗ずることにより同様に特定することができる。
【0070】
以上のように、地上から球体が所定の初期速度ベクトルで投げ上げられた場合を想定し、自由落下式にあてはめて所定時間経過後の球体の位置を特定し、かつ、衝突後の初期速度ベクトルを衝突前の速度と軌道とにそれぞれ変数値を乗じて特定する例について説明した。これと同様に、本実施形態における遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置を特定するベクトル特定法についても、初期速度ベクトルから特定される衝突前の速度と軌道とから衝突後の初期速度ベクトルを設定し、設定された初期速度ベクトルを自由落下の算術式にあてはめて表示位置を特定することとなる。
【0071】
図5は、遊技盤面画像4上に表示される釘,役物,風車等の障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期軌道決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。このテーブルに記憶されている初期軌道決定用変数値は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像が障害物に衝突した後の初期軌道をランダムに設定するために用いられる数値である。また、障害物の種類(釘,役物,風車)ごとに設定される初期軌道決定用変数値が異なるようにテーブルが構成されており、障害物の種類に応じて複数の変数値が特定され、特定された複数の変数値からランダムに一の初期軌道決定用変数値を選択できるように構成されている。
【0072】
たとえば、衝突した障害物画像が釘であるときには、ランダムカウンタR3から抽出した値が「0〜19」であるときには「0.7」が、「20〜49」のときには「0.8」が、「50〜97」であるときは「0.9」が、「98〜157」であるときには「1.0」が、「158〜205」のときには「1.1」が「206〜235」のときには「1.2」が、「236〜255」のときには「1.3」が、衝突後の初期軌道を設定するために用いる初期軌道決定用変数値として決定される。釘画像に遊技球画像が衝突したときの軌道(衝突角度)に決定された初期軌道決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの方向の要素として設定されることとなる。
【0073】
障害物画像が役物または風車であるときにおいても同様に、このテーブルを用いて、衝突後の初期軌道を設定するために用いる初期軌道決定用変数値が決定され、衝突するときの軌道に決定された初期軌道決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの方向の要素として設定されることとなる。なお、本実施形態においては、障害物の種類によって設定される変数値の値が異なるようにテーブルが構成されている。これは、実際のパチンコ遊技機において遊技球が釘に衝突する場合とプラスチック製の役物や回転する風車に衝突した場合とでは、素材により特定される硬度定数が異なるため、それぞれ軌道(跳ね返り角度)が異なることを考慮し、変数値の取り得る範囲を異ならせている。これにより、より自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を遊技者に提供することができる。
【0074】
図6は、画像式パチンコ機1の表示制御に用いられる乱数を生成するための算術式を説明するための図である。本実施形態で用いる乱数は5バイトの大きさを有する乱数算術式を用いて作成している。
【0075】
式:Mn=M×5+211 mod 2566
かかる算術式の「M」は、現在の乱数値を表しそれを5倍して211を加算する。「mod 2566」は前記で作成した値を2566で割った余り値を意味し、この余りが次の乱数値「Mn」となる。この算術式を用いて作成した値をそれぞれ1バイトごとに分割し1バイトの乱数としてそれぞれRAMに記憶する。それぞれの1バイトに分割された乱数は、たとえば、ランダムカウンタR1は障害物に衝突したときの衝突位置に基づいて該障害物に対して左か右のどちらに軌道(進路方向)を取るかを決定するための進路方向決定に用いられ、ランダムカウンタR2は設定されている出玉率・入賞率に基づいて遊技球画像を入賞させるか否かの入賞決定に用いられ、ランダムカウンタR3,ランダムカウンタR4は衝突した障害物画像の種類ごとに複数特定される変数値から一の変数値(初期速度決定用,初期軌道決定用)を選択するために用いられ、ランダムカウンタR5は予め複数定められているルートから一のルートを選択するために用いられる。それぞれの乱数は1バイトであるので0〜255の値をとり、それぞれ256通りの値を有する。ランダムカウンタR1〜ランダムカウンタR4は、遊技球画像が障害物画像に衝突したときに抽出され記憶バッファに格納される。また、ランダムカウンタR5は、遊技球画像の表示位置がルート特定法により特定される領域に突入したときに、抽出され記憶バッファに格納される。
【0076】
図7は、遊技球画像が入賞口画像24の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【0077】
まず、SA01においては、遊技球画像が釘画像に衝突したときにランダムカウンタR1からランダムカウンタR4のそれぞれから値を抽出する処理が行なわれる。SA02においては、軌道(進路方向)を決定するためのランダムカウンタR1から抽出した値に基づき遊技球画像が釘画像に衝突した軌道を基準として左側の軌道を取るかまたは右側の軌道を取るかを決定する処理が行なわれる。
【0078】
SA03においては、ランダムカウンタR3から抽出した値と図5を用いて前述したテーブルの振分率とに基づき初期軌道決定用変数値を選択し、選択された初期軌道決定用変数値から初期軌道を設定する処理が行なわれる。すなわち、複数の変数値から一の変数値を選択し、選択した初期軌道決定用変数値を衝突するときの軌道(衝突角度)に乗ずることにより得られた値を衝突後の初期軌道として設定する処理が行なわれる。
【0079】
SA04においては、SA02によって振分けられた軌道が入賞する軌道を進路方向として選択したか否かの判別がなされる。入賞する軌道を進路方向として選択した旨の判別がなされたときには、設定されている入賞率に基づきSA05においてランダムカウンタR2から抽出した値が入賞する値であるか否かの判別がなされる。入賞する値である旨の判別がなされたときには、SA06においてSA03で設定された衝突後の初期軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させることのできる速度を逆算し、衝突後の初期速度として設定する処理が行なわれる。
【0080】
一方、SA04またはSA05において否定的な判別がなされたときには、SA07においてSA03で設定された衝突後の初期軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させない速度を逆算し、衝突後の初期速度として設定する処理が行なわれる。
【0081】
このように、SA03で複数特定される初期軌道決定用変数値から一の初期軌道決定用変数値を軌道(衝突角度)に乗ずることにより得られる値を衝突後の初期軌道に設定し、SA04およびSA05で入賞する旨の判別がなされたときには設定されている初期軌道に対し入賞できる初期速度を逆算し、入賞しない旨の判別がなされたときには設定されている初期軌道に対し入賞しない速度を逆算して得られる値を衝突後の速度に設定し、設定された初期軌道と速度を有する初期速度ベクトルにより衝突後の遊技球画像の表示位置を特定することができる。これにより、より自然でバリエーション豊かな流下演出を遊技者に提供しつつ、設定されている入賞率に応じて遊技球画像を入賞させることができる。
【0082】
図8は、遊技球画像と重畳して設定されている判定点と、障害物画像に衝突した後の進路方向を決定するために用いられるテーブルを説明するための図である。
【0083】
図8(a)は、本実施形態における遊技球画像が障害物画像等と衝突したことを判定するための判定点を説明するための図である。
【0084】
遊技球画像の判定点は、遊技球画像の外周を等間隔に32分割して得られる32の点から構成されている。遊技盤面画像4上を流下しているときにこの32の判定点のうちいずれかの判定点により障害物画像等と衝突した旨の判定がなされたとき(たとえば、障害物画像の判定用色情報を判定点において判定されたとき等)には、前述した各種ランダムカウンタから乱数を抽出し、衝突後の初期速度ベクトルを算出する処理が行なわれる。また、衝突を判定した判定点が進行方向により決定される判定位置のいずれであるかにより、衝突後の進路方向を左とするか右とするかの割合が異なるように構成されている。
【0085】
図8(b)は、衝突を判定した判定点ごとに異なる割合で進路方向を決定するために用いられるテーブルを説明するための図である。
【0086】
図8(a)を参照して、進路方向(矢印方向参照)に応じて決定される「0」の判定点で衝突が判定されランダムカウンタR1から抽出した値が「0」であったときは進行方向に対し左側に進路方向を取る決定がなされ、「1〜255」であったときは進行方向に対し右側に進路方向を取る決定がなされる。進路方向に応じて決定される「4」の判定点で衝突が判定されランダムカウンタR1から抽出した値が「0〜75」であったときは進行方向に対し左側に進路方向を取る決定がなされ、「76〜255」であったときは進行方向に対し右側に進路方向を取る決定がなされる。進路方向に応じて決定される「12」の判定点で衝突が判定されランダムカウンタR1から抽出した値が「0〜199」であったときは進行方向に対し左側に進路方向を取る決定がなされ、「200〜255」であったときは進行方向に対し右側に進路方向を取る決定がなされる。
【0087】
このように、衝突するときの進行方向に応じて決定される判定点のうち、いずれの判定点で衝突が判定されたかに基づいて、衝突後の進路方向を決定することができる。これにより、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像と障害物画像との衝突位置を考慮して、衝突後の進行方向をランダムに決定することができるため、より実際のパチンコ遊技機に近い流下演出を遊技者に提供することができる。
【0088】
図9は、入賞口画像24の上方(近隣)に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。なお、図9(a)と図9(b)は、入賞口画像24の上方に表示された釘画像に対し同一の軌道で衝突した場合について説明する。
【0089】
図9(a)は、釘画像の接線方向に対し60°の軌道で衝突し、衝突後の初期軌道が接線方向に対し約60°の軌道を有する初期速度ベクトルと重力加速度とに基づき表示される遊技球画像の流下経路を説明するための図である。
【0090】
入賞口画像24に入賞したaの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「1.0」が選択され衝突後の初期軌道として60°が設定され、SA04およびSA05で「YES」の判別がなされ、SA06で入賞させることのできる速度が逆算され設定されたものによる。
【0091】
一方、入賞口画像24に入賞しなかったbの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「1.0」が選択され衝突後の初期軌道として60°が設定され、SA04で「YES」の判別がなされたがSA05で「NO」の判別がなされ、SA07で入賞させない速度が逆算され設定されたものによる。
【0092】
図9(b)は、釘画像の接線方向に対し60°の軌道で衝突し、衝突後の初期軌道が接線方向に対し約45°の軌道を有する初期速度ベクトルと重力加速度とに基づき表示される遊技球画像の流下経路を説明するための図である。
【0093】
入賞口画像24に入賞したaの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の初期軌道として48°が設定され、SA04およびSA05で「YES」の判別がなされ、SA06で入賞させることのできる速度が逆算され設定されたものによる。
【0094】
一方、入賞口画像24に入賞しなかったbの流下経路は、図7のSA02において入賞する方向に振分けられ、SA03で初期軌道決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の初期軌道として48°が設定され、SA04で「YES」の判別がなされたがSA05で「NO」の判別がなされ、SA07で入賞させない初期速度が逆算され設定されたものによる。
【0095】
図10は、遊技場側が画像式パチンコ機毎に出玉率を設定したときに用いられる入賞率を入賞口画像毎に記憶したテーブルを説明するための図である。なお、入賞口画像毎とは、たとえば、入賞口画像24に対しては図9で説明した上方(近隣)に表示された釘画像毎であり、入賞口画像24の近隣に表示される障害物画像毎である。
【0096】
たとえば、遊技場側が出玉率として「80%」を設定したときには、出玉率が80%となるように各入賞口毎の入賞率が決定されているテーブルを選択することとなる。始動入賞口画像14については、始動入賞口画像14の上方に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときにランダムカウンタR2から抽出した値が、「0〜24」であるときに入賞し、入賞口画像24についてはランダムカウンタR2から抽出した値が「0〜49」であるときに入賞するといったように各入賞口毎にランダムカウンタR2から抽出した値のうち入賞する値がそれぞれ設定されている。
【0097】
また、遊技場側が出玉率として「110%」を設定したときには、出玉率が110%となるように各入賞口毎の入賞率が決定されているテーブルを選択することとなる。始動入賞口画像14についてはランダムカウンタR2から抽出した値が、「0〜76」であるときに入賞し、入賞口画像24についてはランダムカウンタR2から抽出した値が「0〜38」であるときに入賞するといったように各入賞口毎にランダムカウンタR2から抽出した値のうち入賞する値がそれぞれ設定されている。
【0098】
なお、前述したように、出玉率を「80%」に設定したときは、たとえば、遊技盤面画像4上に100の遊技球画像を打込んだことにより、80の点数が遊技者に付与される。また、出玉率を「110%」に設定したときは、同様に、遊技盤面画像4上に100の遊技球画像を打込んだことにより、110の点数が遊技者に付与される。
【0099】
次に、図10で説明したテーブルを用い入賞口画像毎に決定される入賞率に対応させて、遊技盤面画像4上の各入賞口画像の上方に表示された釘画像の表示状態を変化させたときの表示状態を説明する。
【0100】
図11は、各入賞口画像毎に設定された入賞率に対応させて変化する障害物画像の表示状態と障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報とを説明するための図である。ここでは、入賞口画像24の上方に表示された釘画像の表示状態と釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報とについて説明する。
【0101】
本実施形態においては、釘画像の表示状態に合わせて、釘画像の縁に沿ってドット単位で判定用色情報が配置され、図8を参照し説明した判定点のいずれか判定用色情報であったときに、衝突した旨の判定がなされる。ここで、判定用色情報とは、表示装置2で表示される色情報とは別の情報であって、遊技球画像が障害物画像等に衝突したか否かの判定に用いられる情報である。
【0102】
遊技球画像に設定される32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうち、少なくとも一の判定点の位置に対応する判定用色情報が、障害物画像等の判定用色情報である旨の判定がなされることにより、遊技球画像が障害物画像等に衝突した旨の判別がなされる。なお、判定用色情報を配置するデータは、設定された入賞率から特定されるようにROM95に格納されており、特定されるデータに基づき障害物画像の縁に沿って所定のドット数に亘り判定用色情報を配置することができる。
【0103】
図11(a)は、入賞口画像24への入賞率が10%のときの釘画像の表示状態を示す図である。
【0104】
本実施形態において、10%のときの釘画像の表示状態として、表示装置2において、たとえば横幅が5ドットとなるように表示される。これと併せて、ROM95に格納されている、入賞率10%から特定される判定用色情報を配置するためのデータが読み出され、釘画像の縁に沿って幅5ドットに亘り判定用色情報が配置される。これにより、遊技球画像の外周に構成されている32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうちいずれかの判定点の位置に対応する判定用色情報が、釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報であるか否かを判定することにより、衝突判定を行なうことができる。
【0105】
図11(b)は、入賞口画像24への入賞率が20%のときの釘画像の表示状態を示す図である。
【0106】
本実施形態において、20%のときの釘画像の表示状態として、表示装置2において、たとえば横幅10ドットとなるように表示される。これと併せて、ROM95に格納されている、入賞率20%から特定される判定用色情報を配置するためのデータが読み出され、釘画像の縁に沿って幅10ドットに亘り判定用色情報が配置される。
【0107】
このように、入賞率が10%のときよりも20%のときの方が遊技球画像の外周に形成されている32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうち少なくとも一の判定点の位置に対応する判定用色情報が、釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報となる確率が高くなるため、釘画像に衝突する旨の判別がなされる確率も高くなり、入賞率に応じた軌道制御を行なうことができ、遊技球画像のコントロール性が向上したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0108】
また、実際のパチンコ遊技機における軌道制御を行なうために調整された釘の遊技盤面に対する角度状態と対応するように、釘画像の表示状態を変化させることができるため、より実際のパチンコ遊技機に近づけることにより、遊技の興趣を向上させることができる。なお、設定された入賞率に対応して釘画像等の障害物画像を表示するためのデータは、キャラクタROM84に格納されている。
【0109】
このように、本実施形態においては、入賞率が10%のときと20%のときとの釘画像の表示状態と釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報とについて説明したが、入賞率と比例して、表示されたときの横幅ドット数が変化するように表示されることとなる。たとえば、入賞率が2倍になれば、配置される判定用色情報のドット数も2倍となるようにしてもよい。
【0110】
なお、本実施形態においては、入賞させるか否かの決定に用いられる入賞率に対応させて、障害物画像等の判定用色情報を配置するドット数を変化させる例について説明したが、これに限らず、入賞させるか否かの決定に用いられる入賞率を一定にして、障害物画像等の判定用色情報を配置するドット数だけを変化させるようにして、設定された出玉率から特定される入賞率となるようにしてもよい。たとえば、入賞率が10%のときに横幅5ドットに亘り判定用色情報を配置し、入賞率が20%のときに横幅10ドット(5ドット×2)に亘り判定用色情報を配置し、また、入賞率が30%のときに横幅15ドット(5ドット×3)に亘り判定用色情報を配置するようにしてもよい。これにより、遊技球画像が釘画像に衝突する旨の判定がなされる確率が入賞率と比例して変化するため、入賞率に応じた軌道制御を行なうことができ遊技球画像のコントロール性が向上したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0111】
図12は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像の表示位置をルート特定法で特定するときの概念を説明するための図である。
【0112】
本実施形態におけるルート特定法は、ルート特定法を用いて表示位置を特定する領域内に表示されている所定の障害物画像と障害物画像の間(たとえば、釘画像,役物画像,風車画像等の間)を遊技球画像が通過したときの位置に対し予め記憶されている複数のルートから一のルートを選択し、該選択されたルートにしたがって流下する遊技球画像を表示する位置を特定する。
【0113】
ここでは、始動入賞口画像14に近接する領域をルート制御領域(図3の斜線部分の領域)の一例として説明する。始動入賞口画像14に近接する上方の領域には、a〜iの計9本の釘画像が表示されており、そのうちa〜gの相互に隣合う釘画像により形成された領域を通過するときに、その通過した領域の位置に対し予め定められた複数のルートから一つのルートを選択し、該選択されたルートに基づき遊技球画像を流下表示させる。なお、ルート制御用プログラムに従って表示位置を特定するときに用いられる流下経路データは、演出制御基板80に搭載されているROM95に複数記憶されている。
【0114】
たとえば、釘画像eと釘画像fとにより形成された領域の真中に位置するM点を通過するときに、M点を始点とする予め定められたL1〜L30(図中の点線、一点鎖線、実線等の曲線を参照)から一のルートを選択し、選択されたルートに基づき遊技球画像が流下する表示が行なわれる。なお、釘画像eと釘画像fとにより形成された領域の通過する位置ごとにそれぞれ30通りのルートから選択できるように流下経路データが記憶されている。このように、予め定められた複数のルートから一のルートを選択することにより、遊技球画像の流下表示を制御するときであっても、所定領域内の流下経路データを記憶することにより、ランダム性のある自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0115】
なお、本実施形態においては、設定された出玉率から特定される入賞口ごとの入賞率と、遊技状態に応じて予め定められている振分率にしたがい、一のルートを選択することができる。以下、図13を参照し、30通りのルートから一のルートを選択するときに用いるテーブルについて説明する。
【0116】
図13は、入賞口画像それぞれに設定された入賞率となるように一のルートを選択するために用いる振分率を記憶したテーブルを説明するための図である。このテーブルには、遊技場側が設定した出玉率により特定される入賞率毎に30通りのルートそれぞれに対する振分率が記憶されている。選択に際しては、前述したランダムカウンタR5を用い抽出した値と、遊技状態とに基づき、30通りのルートから一のルートを選択するように構成されている。
【0117】
図13(a)は、入賞率10%時のテーブルである。すなわち、出玉率設定SW72により出玉率を「80%」に設定したときに用いられるテーブルである。
【0118】
まず、遊技状態が通常遊技状態であるときにおいて、ランダムカウンタR5から抽出した値が「0〜25」であるときには、ルートとしてL1からL5のいずれかから入賞するルートが選択され、ランダムカウンタR5から抽出した値が「26〜255」であるときには、ルートとしてL6〜L30のいずれかから入賞しないルートが選択されることとなる。
【0119】
遊技状態が確率向上状態であるときにおいては、ランダムカウンタR5から抽出した値が「0〜51」であるときには、ルートとしてL1からL5のいずれかから入賞するルートが選択され、ランダムカウンタR5からの抽出した値が「52〜255」であるときには、ルートとしてL6〜L30のいずれかから入賞しないルートが選択されることとなる。
【0120】
遊技状態が変動時間短縮状態であるときにおいても同様に、ランダムカウンタR5からの抽出した値が「0〜41」であるときには、ルートとしてL1からL5のいずれかから入賞するルートが選択され、ランダムカウンタR5からの抽出した値が「42〜255」であるときには、ルートとしてL6〜L30のいずれかから入賞しないルートが選択されることとなる。
【0121】
図13(b)は、入賞率30%時のテーブルである。すなわち、出玉率設定SW72により出玉率を「110%」に設定したときに用いられるテーブルである。なお、かかるテーブルについても図13(a)で説明した内容と同様であるため、説明を省略する。また、入賞率として「15%」または「20%」のときに用いられるテーブルについても同様にランダムカウンタR5から抽出した値と、遊技状態とにより、一のルートを選択できるようにテーブルが設けられている。
【0122】
このように、出玉率設定SW72により設定された出玉率に基づき特定される入賞率となるように設定された振分率にしたがって、釘画像と釘画像とにより形成される領域を通過したときにランダムカウンタR5から抽出された値と、遊技状態とにより特定される振分率とから、その領域を通過した位置ごとに予め定められた30通りのルートから一つのルートを選択することができるように構成されている。
【0123】
また、本実施形態においては、遊技状態に応じて入賞するルートが選択される割合を異ならせることにより遊技者の獲得できる利益率を変化させることができるように構成されている。すなわち、遊技状態が確変状態中または変動時間短縮状態中であるかそれ以外の通常遊技状態であるかに基づいて、入賞する割合を異ならせることができる。これにより、よく入賞するときとあまり入賞しないとき等、遊技内容にメリハリをつけることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0124】
次に、この実施の形態により得られる主な効果をまとめて説明する。
前述したように、図5のテーブルを用いて特定される複数の変数値から一の変数値を任意に選択し、選択された初期軌道決定用変数値を衝突したときの軌道(衝突角度)に乗じて得られる値を衝突後の軌道(跳ね返り角度)に設定することができる。これにより、障害物画像に衝突したときの衝突したときの軌道が同一であっても、衝突後の軌道をランダムに選択することができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にすることができる。また、衝突角度より跳ね返り角度の方が大きいときや、その逆のときも発生し得るため、実際の弾球遊技機における遊技球のスピン回転を考慮した自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0125】
また、遊技球画像が衝突した障害物画像の種類によって、特定される複数の変数値が異なるように図5のテーブルが構成されているため、衝突後の遊技球画像の初期軌道を障害物画像の種類ごとに異ならせることができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。また、障害物画像の種類ごとに遊技球のスピン回転を考慮したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0126】
前述したように、図7のSA05で遊技場側により設定された出玉率に基づき入賞口画像に遊技球画像を入賞させる表示をするか否かを決定し、「YES」の判別がなされたときにはSA06で、SA03において設定されている初期軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させることのできる初期速度を逆算し、衝突後の初期速度を設定することができる。また、「NO」の判別がなされたときにはSA07で、SA03において設定されている軌道で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させない速度を逆算し、衝突後の初期速度を設定することができる。これにより、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にしつつ、設定されている出玉率で遊技者に所定の持ち点を付与することができる。また、出玉率を設定することにより、入賞口画像毎の入賞率を設定することができるため、遊技者に付与される持ち点をより容易に管理することができる。
【0127】
前述したように、遊技球画像が障害物画像に衝突したか否かの判定に用いられる判定点を所定数配置するためのデータであって、各々配置される数が異なるように複数種類記憶されたデータから任意のデータを設定し、設定されたデータに基づき、障害物画像の縁に沿って判定用色情報を所定のドット数に亘り配置することができる。これにより、設定されたデータにより配置されるドット数が異なるため流下軌道をランダムに変化させることができ、コントロール性の向上したより自然な演出を遊技者に提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0128】
前述したように、キー操作やホールコンピュータにより設定された出玉率から特定される入賞口毎の入賞率に対応するデータを設定し、設定されたデータに基づき障害物画像の縁に沿って判定用色情報を所定のドット数に亘り配置するとともに、配置される判定用色情報に応じた態様で障害物画像を表示することができる。これにより、遊技球画像の流下演出に則した表示を行なうことができ、より実際のパチンコ遊技機に近い画像式パチンコ機を提供することができる。
【0129】
前述したように、ベクトル制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はベクトル制御データを用いたベクトル特定法により特定することができ、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置はルート制御データを用いたルート特定法により特定することができる。これにより、ルート制御データの占めるデータ量を低減させるとともに、ベクトル特定法により表示位置を特定するためにかかる制御負担を軽減させて、自然かつバリエーション豊かな遊技球画像の流下演出を提供することができる。
【0130】
第2実施形態
次に、第2実施形態を説明する。前述した第1実施形態では、図5を用いて複数の変数値から選択された一の初期軌道決定用変数値を遊技球画像が障害物画像に衝突するときの軌道に乗じて、得られた値を衝突後の初期軌道として設定する例について説明したが、この第2実施形態においては、複数の変数値から選択された一の初期速度決定用変数値を遊技球画像が障害物画像に衝突するときの速度に乗じて、得られた値を衝突後の初期速度として設定する例について説明する。なお、第1実施形態の内容と重複する部分についてはその説明を省略する。
【0131】
図14は、遊技盤面画像4上に表示される釘,役物,風車等の障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期速度決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。このテーブルに記憶されている初期速度決定用変数値は、遊技盤面画像4上を流下する遊技球画像が障害物に衝突した後の速度をランダムに設定するために用いられる数値である。また、障害物の種類(釘,役物,風車)ごと用いるテーブルが異なるように構成されており、それぞれのテーブルごとに複数の変数値が特定され、特定された複数の変数値からランダムに一の変数値を選択できるように構成されている。
【0132】
たとえば、衝突した障害物画像が風車であるときには、ランダムカウンタR3から抽出した値が「0」であるときには「0.2」が、「1」のときには「0.3」が、「2〜21」であるときは「0.4」が、「22〜89」であるときには「0.5」が、「90〜253」のときには「0.6」が、「254」のときには「0.7」が、「255」のときには「0.8」が、衝突後の速度を設定するために用いる初期速度決定用変数値として決定される。釘画像に遊技球画像が衝突したときの速度に決定された初期速度決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの速度の要素として設定されることとなる。
【0133】
障害物画像が釘または役物であるときにおいても同様に、このテーブルを用いて、衝突後の速度を設定するために用いる初期速度決定用変数値が決定され、衝突速度に決定された初期速度決定用変数値を乗ずることにより得られた値を、衝突後の初期速度ベクトルの速度の要素として設定されることとなる。なお、本実施形態においても、障害物の種類によって設定される初期速度決定用変数値の値が異なるようにテーブルが構成されている。これは、実際のパチンコ遊技機において遊技球が釘に衝突する場合とプラスチック製の役物や回転する風車に衝突した場合とでは、素材により特定される硬度定数が異なるため、それぞれ跳ね返り速度が異なることを考慮し、初期速度決定用変数値の取り得る範囲を異ならせている。これにより、より自然かつバリエーション豊かな遊技球画像による流下演出を遊技者に提供することができる。
【0134】
図15は、遊技球画像が入賞口画像24の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【0135】
まず、SB01においては、遊技球画像が釘画像に衝突したときにランダムカウンタR1〜ランダムカウンタR4のそれぞれから値を抽出する処理が行なわれる。SB02においては、進路方向を決定すためのランダムカウンタR1から抽出した値に基づき遊技球画像が釘画像に衝突した方向を基準として左側に移動させるかまたは右側に移動させるかを決定する処理が行なわれる。
【0136】
SB03においては、ランダムカウンタR4から抽出した値と図14を用いて前述したテーブルの振分率とに基づき初期速度決定用変数値を選択し、選択された初期速度決定用変数値から速度を設定する処理が行なわれる。すなわち、複数の変数値から一の変数値を選択し、選択した初期速度決定用変数値を衝突速度に乗ずることにより得られた値を衝突後の初期速度として設定する処理が行なわれる。
【0137】
SB04においては、SB02によって振分けられた方向が入賞する方向を進路方向として選択したか否かの判別がなされる。入賞する方向を進路方向として選択した旨の判別がなされたときには、設定されている入賞率に基づきSB05においてランダムカウンタR2から抽出した値が入賞する値であるか否かの判別がなされる。入賞する値である旨の判別がなされたときには、SB06においてSB03で設定された衝突後の速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させることのできる軌道を逆算し、衝突後の初期軌道として設定する処理が行なわれる。
【0138】
一方、SB04またはSB05において否定的な判別がなされたときには、SB07においてSB03で設定された衝突後の速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像24に入賞させない軌道を逆算し、衝突後の初期軌道として設定する処理が行なわれる。
【0139】
このように、SB03で複数特定される初期速度決定用変数値から一の初期速度決定用変数値を衝突速度に乗ずることにより得られる値を衝突後の初期速度に設定し、SB04およびSB05で入賞する旨の判別がなされたときには設定されている初期速度に対し入賞できる軌道を逆算し、入賞しない旨の判別がなされたときには設定されている速度に対し入賞しない軌道を逆算して得られる値を衝突後の初期軌道に設定し、設定された速度と初期軌道を有する初期速度ベクトルにより衝突後の遊技球画像の表示位置を特定することができる。これにより、より自然でバリエーション豊かな流下演出を遊技者に提供しつつ、設定されている入賞率に応じて遊技球画像を入賞させることができる。
【0140】
図16は、入賞口画像24の上方(近隣)に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。
【0141】
図16は、釘画像の接線方向に対し60°の軌道で速度Vを有する初期速度ベクトルで衝突し、衝突後の初期軌道が接線方向に対し約45°と約0°の軌道を有する初期速度ベクトルと重力加速度とに基づき表示される遊技球画像の流下経路を説明するための図である。
【0142】
入賞口画像24に入賞したaの流下経路は、図15のSB02において入賞する軌道に振分けられ、SB03で初期速度決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の初期速度として0.8Vが設定され、SB04およびSB05で「YES」の判別がなされ、SB06で入賞させることのできる初期軌道として「45°」が逆算され設定されたものによる。
【0143】
一方、入賞口画像24に入賞しなかったbの流下経路は、図16のSB02において入賞する軌道に振分けられ、SB03で初期速度決定用変数値として「0.8」が選択され衝突後の速度として0.8Vが設定され、SB04で「YES」の判別がなされたがSB05で「NO」の判別がなされ、SB07で入賞させない初期軌道として「0°」が逆算され設定されたものによる。
【0144】
次に、この実施の形態により得られる主な効果をまとめて説明する。
前述したように、図14のテーブルを用いて特定される複数の初期速度決定用変数値から一の初期速度決定用変数値を任意に選択し、選択された初期速度決定用変数値を衝突したときの速度に乗じて得られる値を衝突後の初期速度(跳ね返り速度)に設定することができる。これにより、障害物画像に衝突したときの速度が同一であっても、衝突後の初期速度をランダムに選択することができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にすることができる。また、衝突したときの速度より衝突後の初期速度の方が速いときや、その逆のときも発生し得るため、実際の弾球遊技機における遊技球のスピン回転を考慮した自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0145】
また、遊技球画像が衝突した障害物画像の種類によって、特定される複数の初期速度決定用変数値が異なるように図14のテーブルが構成されているため、衝突後の遊技球画像の初期速度を障害物画像の種類ごとに異ならせることができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。また、障害物画像の種類ごとに遊技球のスピン回転を考慮したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0146】
前述したように、図15の遊技場側により設定された出玉率に基づきSB05で入賞口画像に遊技球画像を入賞させる表示をするか否かを決定し、「YES」の判別がなされたときにはSB06で、SB03において設定されている初期速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させることのできる軌道を逆算し、衝突後の初期軌道を設定することができる。また、「NO」の判別がなされたときにはSB07で、SB03において設定されている初期速度で遊技球画像を自由落下式により移動表示させたときに入賞口画像に入賞させない初期軌道を逆算し、衝突後の初期軌道を設定することができる。これにより、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にしつつ、設定されている出玉率で遊技者に所定の持ち点を付与することができる。
【0147】
また、以上に示した第2実施形態については、前述した第1実施形態と共通する技術思想による構成について、前述した第1実施形態の場合と同様の技術的効果を得ることができる。
【0148】
次に、第1実施形態と第2実施形態とで説明した、遊技制御用マイクロコンピュータ53および演出制御用マイクロコンピュータ81の機能を図17を参照しまとめて説明する。
【0149】
SC01の遊技制御手段は、大当り状態に制御するSC02の特定遊技状態制御手段と、確率変動状態または変動時間短縮状態等に制御するSC03の特別遊技状態制御手段と、遊技者に持ち点等を付与するSC04の遊技価値付与手段と、遊技盤面画像4上に遊技球画像が打ち込まれたときの遊技球画像の初期速度ベクトルを算出し設定するSC05の発射ベクトル設定手段とを搭載している。
【0150】
SC02の特定遊技状態制御手段は、演出制御用マイクロコンピュータ81からの始動入賞コマンドに基づいて大当り判定を行ない、大当りとなる旨の判定がなされたときに変動表示装置画像8に表示される特別図柄の表示結果として予め定められた大当り図柄を表示し、大当りを発生させる機能を有する。
【0151】
SC03の特別遊技状態制御手段は、大当りとなる旨の判定がなされたときに表示する大当り図柄を、確変大当り図柄を表示するか否かの判定を行ない、確変大当り図柄を表示する旨の判定がなされたときに変動表示装置画像8に表示される特別図柄の表示結果として予め定められた確変大当り図柄を表示し、確変大当りを発生させる機能を有する。
【0152】
SC04の遊技価値付与手段は、演出制御用マイクロコンピュータ81からの入賞コマンドに基づいて持ち点を遊技者に付与する機能を有する。
【0153】
SC05の発射ベクトル設定手段は、発射強度検出SW70から発信される信号に基づき、遊技球画像を遊技盤面画像4上の遊技領域内に発射するときの初期速度ベクトルを算出し、算出された数値に対応する遊技球制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する機能を有する。
【0154】
なお、SC01の遊技制御手段には、SC24の入賞割合設定手段により設定された各入賞口ごとの入賞割合を特定するための入賞割合情報に基づき、入賞割合に対応する入賞割合コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する機能を有する。また、SC24の入賞割合設定手段には、SC23の付与割合設定手段から入力される付与割合情報に基づき、入賞口ごとの入賞割合を特定する機能を有する。SC25の割合入力手段は、SC23の付与割合設定手段やSC24の入賞割合設定手段により割合を設定させるための入力情報を送信する機能を有する。たとえば、画像式パチンコ機1の内部に設けられており出玉率や入賞率を設定するためのキー部材や、遊技場に設置されている遊技機を管理するホールコンピュータ等である。
【0155】
SC06の演出制御手段は、SC09のベクトル制御領域データから特定されるベクトル制御領域における初期ベクトルを設定するときに用いるSC08のベクトル制御データ,SC12のルート制御領域データから特定されるルート制御領域における流下経路を設定するためのSC11のルート制御データ,および,障害物画像等の判定用色情報を障害物画像の縁に沿って配置させるためのデータ(同一の障害物画像であっても判定用色情報が配置されるドット数が異なる複数のデータ)を記憶したSC10の判定点配置データ記憶手段とを含むSC07のデータ記憶手段と、出玉率または入賞率等に基づいてデータを設定するSC13の判定点データ設定手段と、設定されたデータに従い障害物画像等の判定用色情報を配置するSC14の判定点配置手段と、障害物画像等に衝突した後の遊技球画像の初期速度ベクトルを設定するSC15の速度ベクトル設定手段と、初期速度ベクトルまたはルート制御データに基づいて遊技球画像の表示位置を特定するSC16の表示位置特定手段と、特定された表示位置に遊技球画像や障害物画像等を表示するSC20の表示制御手段と、遊技球画像と障害物画像との衝突を判定するSC19の衝突判定手段とを搭載している。
【0156】
SC16の表示位置特定手段は、衝突後の初期速度ベクトルに基づき遊技球画像の表示位置を特定するSC17のベクトル表示位置特定手段と、ルート制御領域データから特定される領域内の遊技球画像の表示位置をルート制御データに基づき特定するSC18のルート表示位置特定手段とを搭載している。
【0157】
SC15の速度ベクトル設定手段は、SC19の衝突判定手段等から入力される衝突情報と、SC08のベクトル制御データおよびSC09のベクトル制御領域データとに基づいて、衝突時の速度ベクトルから衝突後の初期速度ベクトルを設定する機能を有する。
【0158】
SC17のベクトル表示位置特定手段は、SC05の発射ベクトル設定手段またはSC15の速度ベクトル設定手段により設定された初期速度ベクトル情報に基づき、所定時間経過後の遊技球画像の表示位置を特定し、SC20の表示制御手段に位置情報を、SC19の衝突判定手段に遊技球画像の表示位置に対応した判定点情報を送信する機能を有する。
【0159】
SC18のルート表示位置特定手段は、SC11のルート制御データおよびSC12のルート制御領域データとに基づき、所定時間経過後の遊技球画像の表示位置を特定し、SC20の表示制御手段に位置情報を、SC19の衝突判定手段に遊技球画像の表示位置に対応した判定点情報を送信する機能を有する。
【0160】
SC20の表示制御手段は、SC17のベクトル表示位置特定手段により特定された表示位置に遊技球画像を表示するSC21のベクトル表示制御手段と、SC18のルート表示位置特定手段により特定された表示位置に遊技球画像を表示するSC22のルート表示制御手段とを搭載している。
【0161】
SC20の表示制御手段は、SC21のベクトル表示制御手段と、SC22のルート表示制御手段とにより遊技球画像をSC26の画像表示装置に表示する機能を有する。
【0162】
SC13の判定点データ設定手段は、SC01の遊技制御手段から入力される入賞割合情報に基づき、障害物画像等の判定用色情報を配置するために用いるデータを設定し、設定したデータをSC14の判定点配置手段に送信する機能を有する。
【0163】
SC14の判定点配置手段は、障害物画像の縁に沿って、SC13の判定点データ設定手段から入力された設定データに対応したドット数に亘り判定用色情報を配置し、配置情報をSC19の衝突判定手段に送信する機能を有する。
【0164】
SC19の衝突判定手段は、SC16の表示位置特定手段から入力される遊技球画像の判定点情報と、SC14の判定点配置手段により判定用色情報が配置された配置情報とに基づき、遊技球画像が障害物画像等に衝突した否かの判定を行ない、衝突情報をSC15の速度ベクトル設定手段に送信する機能を有する。
【0165】
なお、衝突判定方法としては、遊技球画像に重畳して設定されている判定点の位置に対応する判定用色情報のうちいずれかの判定点の位置に対応する判定用色情報が、障害物画像等の判定用色情報と同一色であるか否かを判別することにより、衝突の有無を判定する方法が採用されている。たとえば、釘の判定用色情報が「黒」で、遊技盤面画像4の判定用色情報が「白」であるときにおいて、判定点32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報がすべて「白」のときは衝突していない旨の判別がなされ、判定点32箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報のうち1箇所の判定点の位置に対応する判定用色情報でも「黒」と判別したときは、衝突した旨の判別がなされる。よって、前述したように、たとえば、一の釘の判定用色情報の占めるドット数を多くするほど、遊技球画像が釘画像と衝突する確率を高くすることができる。
【0166】
なお、SC19の衝突判定手段により遊技球画像が遊技盤面画像4上に表示された入賞口画像に入賞した旨の判別がなされたときには、その入賞口画像に対応する入賞コマンドをSC04の遊技価値付与手段に送信する機能を有する。
【0167】
なお、SC19の衝突判定手段により、SC16の表示位置特定手段から入力される判定点情報に基づいて、遊技球画像の表示位置がベクトル制御領域データから特定される領域であるか、ルート制御領域データから特定される領域であるかを判定し、その判定結果に対応した表示位置領域情報をSC16の表示位置特定手段に送信するようにしてもよい。SC16の表示位置特定手段は、入力された表示位置領域情報に基づき、遊技球画像の表示位置を特定する手段として、SC17のベクトル表示位置特定手段か、SC18のルート表示位置特定手段かのいずれかを設定する表示位置特定設定手段を含み、この表示位置特定設定手段により設定された表示位置特定手段により、遊技球画像毎の表示位置を特定するようにしてもよい。
【0168】
以上、図17を参照して、遊技制御用マイクロコンピュータ53および演出制御用マイクロコンピュータ81の機能を説明したが、その各手段の構成はこれに限られるものではなく、たとえば、SC05の発射ベクトル設定手段をSC06の演出制御手段に搭載される構成等、各手段がどのように構成されてもよい。
【0169】
次に、以上説明した実施の形態の変形例や特徴点を以下に列挙する。
(1) 前述した実施形態においては、障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報の一例として、入賞口画像24の上方に表示される釘画像の縁に沿って配置される判定用色情報に関し、出玉率から設定される入賞率に基づき、判定用色情報が配置されるドット数が異なるように複数のデータを記憶した例を説明したが、これに限らず、遊技盤面画像4上に表示されるすべての釘画像や、風車画像の縁に沿って配置される判定用色情報に関し、出玉率等に基づき、釘画像や風車画像それぞれの縁に沿って配置されるドット数が異なるように複数のデータを記憶するようにしてもよい。これによって、遊技球画像の流下軌道をより細かくコントロールすることができ、より実際のパチンコ遊技機に近い自然な演出を遊技者に提供することができる。
【0170】
(2) 前述した実施形態においては、ベクトル制御領域における障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報のドット数に応じて、その障害物画像の表示態様も変化させて表示する例について説明したが、これに限らず、ルート制御領域における障害物画像の表示態様も変化させて表示するようにしてもよい。たとえば、設定された出玉率から特定される入賞率に基づき、図12の釘画像a〜iの表示態様を変化させて表示するようにしてもよい。これにより、出玉率や入賞率に則した障害物画像を表示することができ、より実際のパチンコ遊技機に近い画像式パチンコ機を提供することができる。
【0171】
(3) 前述した第1実施形態においては、図5を用いて複数の初期軌道決定用変数値から選択された一の初期軌道決定用変数値を、遊技球画像が障害物画像に衝突するときの軌道に乗じて、得られた値を衝突後の初期軌道として設定する例、すなわち、複数の軌道(衝突角度)から衝突後の初期軌道(跳ね返り角度)を任意に選択できる例について説明し、第2実施形態においては、図15を用いて複数の初期速度決定用変数値から選択された一の初期速度決定用変数値を、遊技球画像が障害物画像に衝突するときの速度に乗じて、得られた値を衝突後の初期速度(跳ね返り速度)として設定する例、すなわち、複数の速度(衝突速度)から衝突後の初期速度(跳ね返り速度)を任意に選択できる例について説明した。しかし、これに限るものではなく、初期軌道と初期速度との双方を、複数の初期軌道と初期速度とから任意に選択できるようにしてもよい。たとえば、複数の変数値から選択された一の初期速度決定用変数値と初期軌道決定用変数値とを、それぞれ、遊技球画像が障害物画像に衝突するときの軌道と速度とに乗じて、得られた値を衝突後の初期軌道と初期速度として設定するようにしてもよい。これにより、衝突後の軌道と速度とが複数の軌道と速度から選択的に設定されるため、衝突後の遊技球画像のランダム性を向上させることができ、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。また、実際の弾球遊技機における遊技球のスピン回転を考慮したより自然な演出を遊技者に提供することができ遊技の興趣を向上させることができる。
【0172】
(4) 前述した実施形態においては、図10を用いて、出玉率設定SW72により出玉率を設定することにより、各入賞口画像ごとの入賞率が決定されるテーブルを説明したが、これに限らず、入賞率設定SW73により入賞口ごとに入賞率を設定できるように構成してもよい。たとえば、遊技場側により設定された入賞率に基づき入賞口画像に遊技球画像を入賞させる表示をするか否かを決定し、その決定結果の表示が行なえる初期軌道や初期速度を逆算し、設定することができる。これにより、遊技球画像による流下演出のバリエーションを豊富にしつつ、設定されている入賞率で遊技者に所定の持ち点を付与することができる。
【0173】
また、図10を参照して、遊技状態に関係無く、出玉率設定SW72で設定された出玉率に基づき入賞率が一律に決定するテーブルを説明したが、これに限らず、出玉率設定SW72で設定された出玉率と遊技状態とに基づき入賞率が決定されるテーブルを用いてもよい。たとえば、遊技状態が確率変動状態中であるときの方が、遊技状態が通常遊技状態中であるときよりも、高い入賞率が設定されるようにデータが記憶されたテーブルを用いてもよい。これにより、確率変動状態中であるときはよく入賞し、通常遊技状態中であるときはあまり入賞しないといったように、遊技内容にメリハリをつけることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0174】
(5) 前述した実施形態においては、遊技状態が確率変動状態か通常遊技状態であるか否かに関わらず、図5,図15で説明したテーブルを用い、初期軌道または初期速度を設定するための変数値を選択する例について説明したが、これに限らず、遊技状態が確率変動状態中であるときと、通常遊技状態中であるときとで、異なる変数値が選択されるようにテーブルを設けてもよい。これにより、衝突後の遊技球画像の初期軌道および初期速度が遊技状態に応じてランダムに設定されるため、遊技球画像による流下演出内容を遊技状態に応じて異ならせることができる。また、遊技球画像による流下演出のバリエーションをさらに豊富にすることができる。
【0175】
(6) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像式パチンコ機を正面から見た正面図である。
【図2】画像式パチンコ機に用いられる制御回路の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】画像式パチンコ機の表示装置に表示された遊技盤面画像を説明するための図である。
【図4】遊技盤面画像上を流下する遊技球画像の表示位置をベクトル特定法で特定するときの概念を説明するための図である。
【図5】遊技盤面画像上に表示される障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期軌道決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。
【図6】画像式パチンコ機の表示制御に用いられる乱数を生成するための算術式を説明するための図である。
【図7】遊技球画像が入賞口画像の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図8】遊技球画像と重畳して設定されている判定点と、障害物画像に衝突した後の進路方向を決定するために用いられるテーブルを説明するための図である。
【図9】入賞口画像の上方に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。
【図10】遊技場側が画像式パチンコ機毎に出玉率を設定したときに用いられる入賞率を入賞口画像毎に記憶したテーブルを説明するための図である。
【図11】入賞率に対応させて変化する障害物画像の表示状態と障害物画像の縁に沿って配置される判定用色情報とを説明するための図である。
【図12】遊技盤面画像上を流下する遊技球画像の表示位置をルート特定法で特定するときの概念を説明するための図である。
【図13】入賞率となるように一のルートを選択するために用いる振分率を記憶したテーブルを説明するための図である。
【図14】第2実施形態における遊技盤面画像上に表示される障害物画像に遊技球画像が衝突した後の初期速度ベクトルを算出するために用いる初期速度決定用変数値(N)を記憶したテーブルを説明するための図である。
【図15】第2実施形態における遊技球画像が入賞口画像の上方に表示される釘画像に衝突したときに衝突後の初期速度ベクトルを設定するプログラムを説明するためのフローチャートである。
【図16】第2実施形態における入賞口画像の上方に表示された釘画像に遊技球画像が衝突したときの流下経路を説明するための図である。
【図17】遊技制御用マイクロコンピュータおよび演出制御用マイクロコンピュータの機能を説明するための図である。
【符号の説明】
1 画像式パチンコ機、2 表示装置、3 表示画面、4 遊技盤面画像、5遊技持点表示器、6 遊技ハンドル、7 枠ランプ、8 変動表示装置画像、11 通過ゲート画像、14 始動入賞口画像、15 始動用電動役物画像、16 アウト口画像、17 表飾画像、18 仮想ステージ部、19 可変入賞球装置画像、20 開閉板画像、22 装飾ランプ画像、24 入賞口画像、27スピーカ、31 遊技制御基板、40 カード制御基板、41 カードユニット、42 カードR/W装置、44 紙幣投入口、45 硬貨投入口、46 ICカード挿入口、53 遊技制御用マイクロコンピュータ、60 電源基板、80 演出制御基板、81 演出制御用マイクロコンピュータ、84 キャラクタROM、47 精算SW、48 持点消化SW、70 発射強度検出SW、71
ゲーム選択SW、72 出玉率設定SW、73 入賞率設定SW。
Claims (5)
- 入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備える画像式弾球遊技機であって、
前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのデータを記憶するデータ記憶手段と、
該データ記憶手段のデータを用いて、経過した時間に応じた当該遊技球画像を表示するための表示位置を特定する表示位置特定手段と、
該表示位置特定手段により表示位置を特定された遊技球画像を表示する遊技球表示制御手段とを備え、
前記データ記憶手段は、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上に発射された後の、または、前記障害物画像と衝突した後の、該遊技球画像の初期速度と、初期軌道と、を特定可能な初期速度ベクトルと、所定の重力加速度とに基づき、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのベクトル制御データと、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上を移動し得る軌道を予め複数に分岐した分岐軌道ルートにもとづいて、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのルート制御データと、
前記ベクトル制御データを用いて前記表示位置特定手段が前記遊技球画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのベクトル制御領域データと、
前記ルート制御データを用いて前記表示位置特定手段が前記遊技球の画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのルート制御領域データとを含み、
前記表示位置特定手段は、
前記ベクトル制御データを用いて、前記ベクトル制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するベクトル表示位置特定手段と、
前記ルート制御データを用いて、前記ルート制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するルート表示位置特定手段とを含み、
前記遊技球表示制御手段は、
前記ベクトル表示位置特定手段により特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するベクトル表示制御手段と、
前記ルート表示位置特定手段により特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するルート表示制御手段とを含むことを特徴とする、画像式弾球遊技機。 - 前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記遊技球画像の軌道が水平方向または奥行き方向となる領域であることを特徴とする、請求項1に記載の画像式弾球遊技機。
- 前記遊技盤面画像上に含まれる入賞口画像に、前記遊技球画像が入賞すると遊技者に所定の遊技価値数を付与する遊技価値付与手段と、
前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記入賞口画像に近接または隣接する領域であり、
前記ルート制御データは、前記遊技球画像が前記入賞口画像に入賞する分岐軌道ルートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像式弾球遊技機。 - 前記画像表示装置は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示するための変動表示部と、前記遊技球画像が入賞したことを条件として前記識別情報の変動表示を開始させる変動入賞口画像とがさらに表示され、
前記変動表示部は、前記識別情報を遊技者が認識できるように前面に表示窓が形成された表飾り部を含み、
前記ルート制御領域データから特定される領域は、前記表飾り部の表示されている領域であり、
前記ルート制御データは、前記遊技球画像が前記変動入賞口画像に入賞する分岐軌道ルートを含むことを特徴とする、請求項1に記載の画像式弾球遊技機。 - 入賞口を表わす画像を含む遊技盤面画像と、該遊技盤面画像上を移動する遊技球を表わす遊技球画像と、該遊技球画像の衝突により該遊技球画像の軌道を変化させる障害物画像とを表示可能な画像表示装置を備える画像式弾球遊技機のプログラムであって、
前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのデータを用いて、経過した時間に応じた当該遊技球画像を表示するための表示位置を特定する表示位置特定ステップと、
該表示位置特定ステップにより表示位置を特定された遊技球画像を表示する遊技球表示制御ステップとを備え、
前記表示位置特定ステップは、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上に発射された後の、または、前記障害物画像と衝突した後の、該遊技球画像の初期速度と、初期軌道と、を特定可能な初期速度ベクトルと、所定の重力加速度とに基づき、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのベクトル制御データを用いて、前記表示位置特定ステップが前記遊技球画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのベクトル制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するベクトル表示位置特定ステップと、
前記遊技球画像が前記遊技盤面画像上を移動し得る軌道を予め複数に分岐した分岐軌道ルートにもとづいて、前記遊技球画像の軌道を変化制御するためのルート制御データを用いて、前記表示位置特定ステップが前記遊技球の画像の表示位置を特定する領域を他の領域と少なくとも区別するためのルート制御領域データから特定される領域内の前記遊技球画像の表示位置を特定するルート表示位置特定ステップとを含み、
前記遊技球表示制御ステップは、
前記ベクトル表示位置特定ステップにより特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するベクトル表示制御ステップと、
前記ルート表示位置特定ステップにより特定された表示位置に前記遊技球画像を表示するルート表示制御ステップとを含むことを特徴とする、画像式弾球遊技機のプログラム。
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---|---|---|---|
JP2003116758A Withdrawn JP2004321280A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 画像式弾球遊技機、画像式弾球遊技機のプログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004321280A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082942A (ja) * | 2005-09-26 | 2007-04-05 | Heiwa Corp | 映像式遊技機 |
JP2007259903A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Samii Kk | ゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
JP2007259904A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Samii Kk | ゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003116758A patent/JP2004321280A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007082942A (ja) * | 2005-09-26 | 2007-04-05 | Heiwa Corp | 映像式遊技機 |
JP2007259903A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Samii Kk | ゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
JP2007259904A (ja) * | 2006-03-27 | 2007-10-11 | Samii Kk | ゲーム装置、ゲームプログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060322 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20090511 |