JP2004317693A - 波長フィルタ、露光装置および撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複雑な制御システムを必要としない波長フィルタ、その波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置を提供する。
【解決手段】特定波長域の光をカットするフィルタ3であって、光軸にその面を交差させて、その回折溝13a,13bを互いに平行にして配置された2枚以上の透過型回折格子3a,3bを備え、2枚以上の透過型回折格子が互いに間隙Lをおいて配置されている。
【選択図】 図2
【解決手段】特定波長域の光をカットするフィルタ3であって、光軸にその面を交差させて、その回折溝13a,13bを互いに平行にして配置された2枚以上の透過型回折格子3a,3bを備え、2枚以上の透過型回折格子が互いに間隙Lをおいて配置されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長フィルタ、露光装置および撮像装置に関し、より具体的には、波長分布を有しその波長分布域がX線域、紫外線域、可視光域および赤外線域のいずれかの光(または電磁波)に対して所定の波長部分をカットする波長フィルタ、その波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置に関するものである。なお、以後の説明で、上記の各波長域の電磁波を光として総称する。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線フィルタはX線ミラーを用いたローパスフィルタと薄膜を用いたハイパスフィルタを組み合わせて特定の波長域を取り出す構造となっていた。長い波長域をカットしたい場合には挿入するフィルタの厚さを変えればよいが、短い波長域のみをカットしたい場合にはミラーの反射角度を変える必要が生じる。波長可変となるような露光装置の構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
たとえば、シンクロトロン放射源から出射された放射光は、連動する3個の平面X線ミラーに順次反射された後、集光ミラーと、拡大ミラーと、ベリリウム窓とを経て、X線マスクにいたる。このX線マスクには半導体装置のマスクパターンが内蔵されていて、ここを通ったX線は、半導体ウエハにX線マスクのパターンを転写する。上記の3個の連動X線ミラーはベリリウムから形成されている。この連動X線ミラーでは、連動する際に、斜入射角度を変えながら、次の集光ミラーに入射する光の光軸の位置を一定に保つように、3枚のミラーの位置と回転角とが制御される。
【0004】
次に、この光学系における波長フィルタ作用について説明する。短波長側でカットする波長域は、連動X線ミラーへの斜入射角で決まる。その斜入射角での短波長側をカットされた光は、連動X線ミラーを出射した後、集光ミラーと拡大ミラーとで光の形状を整えられ、次いでベリリウム窓とX線マスクとを通過する。長波長側でカットされる波長域は、ベリリウム窓の厚さとX線マスクの支持材料であるメンブレンの厚さとで決定される。X線マスクを通り、長波長側をカットされ、所定の波長域の範囲に切り出された光は、X線マスク上に描かれた回路パターンを等倍で半導体ウエハへ投影し、そこに塗布されたレジスト中に潜像を形成する。
【0005】
従来の放射光を用いたX線露光装置は、上記のように構成されるため、波長域を変更すること、すなわち短波長側のカットのみを目的に3枚の連動ミラーを要し、かつそれらの回転角や位置を制御する必要があった。
【0006】
また、例えば、レーザー励起による点光源を用いたX線露光装置については、非特許文献1に開示されている。このX線露光装置から発生するX線のスペクトルでは、広い波長域にわたって多数のピークが分布している。X線マスクの寸法やウエハとのギャップによっては、波長フィルタを光路の適切な位置に挿入し、半導体ウエハを露光した方がぼやけの小さい転写を行なうことができ、より良い結果が得られるはずである。
【0007】
上記のようなX線露光に回折格子で構成される波長フィルタを用いる提案もいくつかなされている(たとえば、特許文献2)。このX線露光装置では、透過型回折格子を用い、その透過型回折格子に垂直に入射させた光が、波長毎に透過していく方向が異なることを利用し、下流側に別の回折格子を置き、特定波長のみ取り出す。このような波長フィルタを用いることにより、露光に用いるX線の波長域を狭めることができ、その結果、ぼやけの小さい転写を行なうことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−338299号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平7−301696号公報
【0010】
【非特許文献1】
C.J.Gaeta et al.,Jpn. J. Appl. Phys. Vol.41 (2002)pp.4111−4121 “High−Power Compact Laser−Plasma Source for X−ray Lithography”
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記の透過型回折格子ともう1つの回折格子を用いるX線露光装置においては、波長域に応じて回折角が変化する。このため、波長域に応じて光学素子をスィープする必要がある。また、3枚のX線ミラーを連動させて短波長側をカットする方式も連動機構が必要である。これらの装置はいずれも光学素子を移動させる制御システムが必要となり、装置が複雑化するという欠点があった。
【0012】
本発明は、上記のような複雑な制御システムを必要としない波長フィルタ、その波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の波長フィルタは、特定波長域の光をカットするフィルタであって、光軸にその面を交差させて、その回折溝を互いに平行にして配置された2枚以上の透過型回折格子を備える。そして、2枚以上の透過型回折格子(以後、回折格子と記す)が互いに間隙をおいて配置されている。
【0014】
この構成によれば、間隙の大きさに応じて、入射側の回折格子から見て次段の回折格子の回折溝(明格子)上にフーリエイメージを形成する波長が変わる。次段の回折格子の回折溝(明格子)上にフーリエイメージを形成しない波長は、カットされることとなる。この結果、上記の波長フィルタは特定波長域の光をカットすることができる。
【0015】
ここで、回折格子は、回折溝が所定ピッチ(周期)で配列された光学素子である。また、回折溝を開口部、または明格子と呼ぶ場合がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるX線露光装置を示す図である。シンクロトロン1から出射された放射光2aは、本実施の形態における重要構成要素であるフィルタ3で所定の波長域の光をカットされる。フィルタ3により所定波長域をカットされた光2bは、集光ミラー4aと、拡大ミラー4bとを経て、広がる放射光2cとしてベリリウム窓5に入射する。次いでX線マスク6を透過することによりパターン化された放射光2dは、半導体ウエハ7に照射され、半導体ウエハに塗布されたレジストに潜像を形成する。
【0018】
これまでの経験より、集光ミラー4aおよび拡大ミラー4bはロジウムをコートしたものを用い、光を89°の入射角で反射させる配置とする。また、ベリリウム窓5の厚さは20μmとし、X線マスク6のメンブレンは厚さ2μmのダイヤモンドで構成されている場合について説明する。
【0019】
図2は、上記フィルタの構成を示す図である。上記のフィルタ3は、1段目の回折格子3aと2段目の回折格子3bとによって構成されている。1段目の回折格子3aは透過率の高い材料、例えばダイヤモンド、ベリリウム、シリコン、アルミニウム、チタンおよびこれらの窒化物、炭化物、酸化物等の軽元素で形成されている。2段目回折格子3bは透過率の低い材料、モリブデン、タンタル、タングステン、オスミウム、金、白金等の重い金属で形成されている。
【0020】
2枚の回折格子3a、3bのピッチをdとし、両回折格子の距離(間隙)をLとする。2つの回折格子の間の間隙を変化させる間隙可変機構については、回折格子の支持体は圧電型、静電型、形状記憶合金型、熱膨張型のいずれかのアクチュエータを用い、回折格子3aと回折格子3bとの距離を任意に変更することができる構成とする。また、上記のアクチュエータに限らず、並進距離の精度が所定レベル以上あればどのような機械装置を用いてもよい。
【0021】
上記の波長フィルタは、光に垂直に回折格子を置き、光軸方向にできる光波の疎密を利用した分光方法であり、分光感度を犠牲にするかわり、強度の損失が少ないという特徴がある。この波長フィルタは次の原理に基づいている。
【0022】
等間隔(ピッチ)で平行に配列された明暗格子を光で照明すると、その背後にほぼ等しい周期で、格子状の透過率分布と相似の強度分布が繰り返し現れる。明暗格子のピッチがdの明暗格子に対し、(1)式に示すzだけ格子から離れた位置では、常に同じ強度分布が得られる。
【0023】
z=2nd2/λ (n=1,2,・・・)・・・・・・・・・・(1)
これはフーリエイメージと呼ばれ、モアレ計測用格子の配置や電子顕微鏡におけるレンズなしの拡大法に応用されている。さらに、2つの格子を一定距離Lだけ離して平行に置き、単色光を用いて変位や長さの測定に応用している。本件はzを変えることにより、同式を満たす波長が変わることを利用し、波長フィルタとして用いるものである。
【0024】
また、後で説明するように、2段目の回折格子を1段目の回折格子に対して開口部の配列ピッチ方向に半ピッチずらす方法(本発明の実施の形態3)や、開口部の配列ピッチ方向に圧縮あるいは伸長させピッチを変える方法(本発明の実施の形態4)もある。これらの方法を組み合わせることにより、透過させる波長域を自由に変えることが可能である。
【0025】
次に0.3〜1.5nmの波長域のX線に対して、具体的に波長可変のバンドパスフィルタとして働くことを示す。波長フィルタの構成として1段目回折格子3aに厚さ0.6μmのダイヤモンドを用い、2段目の回折格子3bに厚さ1μmのタングステンを用いる。1段目回折格子3aと2段目回折格子3bのピッチdをともに140nmとし、回折溝の幅wをともに70nmとした場合について述べる。
【0026】
1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合の透過率を図3に示す。一方、両回折格子の距離Lを徐々に広げていき75μmとした場合の透過率の波長分布を図4に示す。両回折格子の距離30μmから75μm間の透過率は、図3から図4へと連続的に変化する。図1に示す露光装置では、このような回折格子間の間隙Lに応じて変化する透過率特性を持つフィルタをフィルタ3としてビームラインに挿入する。
【0027】
図5に、上記の波長フィルタの有無によるウエハ7に照射されるスペクトルを示す。図5において実線は波長フィルタを挿入しない場合の半導体ウエハ7に照射されるスペクトルを表している。太線は1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合の半導体ウエハ7に照射されるスペクトルを表している。太線のスペクトルによれば、上記の波長フィルタは、長波長側をカットするフィルタとして働いていることがわかる。
【0028】
また、図5における点線のスペクトルは、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合の半導体ウエハ7に照射されるスペクトルを表している。この点線のスペクトルによれば、この場合の波長フィルタは、短波長成分および長波長成分をカットし、中間領域を切り出すフィルタとして働くことがわかる。
【0029】
上記より、2つの回折格子の間隙Lを変えることにより、フィルタにおいてカットされる波長域が変化することが分った。本実施の形態によれば、半導体集積回路の製造を中心とした微細パターンの転写において、簡便に照射スペクトルを変更して転写することができる。このような照射スペクトルの変更は、基板材料や解像させるパターン寸法により、照射する波長を変更する必要がある場合に非常に有用である。
【0030】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における波長フィルタを示す成図である。この波長フィルタは、1段目の回折格子3aと、2段目の回折格子3bと、3段目の回折格子3cとで構成される。1段目の回折格子3aの材料として、厚さ1μmのダイヤモンドを、2段目の回折格子3bと3段目の回折格子3cの材料として厚さ1μmのタングステンを用いる。回折溝のピッチdをいずれも140nmとし、回折溝の幅wをいずれも70nmとする。また、1段目の回折格子3aと2段目の回折格子3bの距離L1を45μm、2段目の回折格子3bと3段目の回折格子3cの距離L2を40μmとする。
【0031】
上記の構成の波長フィルタを図1に示す露光装置にフィルタ3として挿入したときの透過率を図7に示す。図中、点線は2段目の回折格子3b通過後の透過率を示し、実線は3段目の回折格子3c通過後の透過率を示す。図7における点線のスペクトルと実線のスペクトルとを比較して分るように、回折格子を3枚用いることにより、より幅の狭いスペクトルを切り出すことができる。
【0032】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3におけるフィルタを示す図である。本実施の形態におけるフィルタは、1段目の回折格子3aに対して2段目の回折格子3bをy方向に半ピッチ、すなわち(d/2)だけずらした配置をとっている。回折溝のピッチdはいずれも140nmとし、回折溝の幅wはいずれも70nmとする。図2においては、1段目の回折格子3aと2段目の回折格子3bとの垂直方向(z方向)間隙Lを可変とするz方向の間隙可変機構の作用について説明した。このz方向の間隙可変機構とともにまたはz方向の間隙可変機構とは別に、回折格子の回折溝配列ピッチ方向(y方向)に可変となるy方向シフト機構を備えても良い。
【0033】
本実施の形態では、実施の形態1に示したフィルタ構成において、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとし、かつy方向に半ピッチすなわち70nmシフトさせた。
【0034】
この本実施の形態におけるフィルタの透過率を、図9に示す。図3に示した透過率と比べると、図3では0.9nm付近で透過率が最小となったが、図9では逆に0.9nm付近で透過率が最大となる透過率分布が得られる。透過率の大小関係が、図3と図9とで逆になっていることが分る。
【0035】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、回折格子の開口部のピッチを小さくすることにより、透過スペクトル形状を変える例について説明する。実施の形態1で紹介したフィルタを構成する2つの回折格子の開口部のピッチはともに140nmであった。本発明の実施の形態4では、図2に示すフィルタを構成する2つの回折格子のピッチをともに100nmとしている。回折溝の幅は50nmである。このように、開口部のピッチをより細かくすることで透過させるスペクトルの幅をより狭くすることができる。1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを50μmとした。
【0036】
上記のフィルタにおける透過率の波長分布を図10に示す。図4と比べて、図10に示すスペクトルでは、切り出された波長域の範囲が狭くなっていることが分る。すなわち、ピッチを小さくすることにより、分光度が向上していることがわかる。上記の場合、回折溝の幅w=(開口部のピッチd)/2であるが、回折溝の幅w>(開口部のピッチd)/2とすることにより、さらに切り出される波長域の範囲を狭くでき、分光度を向上させることができる。
【0037】
上記のピッチ100nmとして、両回折格子の間隙Lを25μmとした場合、すなわち図10の間隙Lの半分の間隙の場合の透過率を図11に示す。回折格子の間隙25μmは、図9に示すフィルタにおける間隙30μmとほぼ同じである。図11と図9とを比べることにより、やはりピッチを小さくすることにより、切り出すスペクトル幅が狭くなっていることが分る。
【0038】
(実施の形態5)
図12(a)および図12(b)は、本発明の実施の形態5におけるフィルタを構成する回折格子を示す図である。本実施の形態では、回折格子の開口を調整することにより、より透過効率の良いフィルタの最適化を図ることができることを示す。図12(a)および(b)において、1段目回折格子3a、2段目回折格子3bはともにピッチdは140nmである。しかし1段目の回折格子3aの開口幅w1は70nmであるのに対し、2段目回折格子3bの開口幅w2を80nmとする。
【0039】
実施例1において示した2段目回折格子3bの開口幅70nmの場合(1段目回折格子の開口幅と同じ)と、本実施の形態のように、開口幅80nmとバイアスをつけた場合とを、比較して図13に示す。図13には、1段目回折格子と2段目回折格子との間隙Lを30μmと70μmの2種類について、上記の開口幅のバイアスの影響を示している。
【0040】
図13によれば、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合も、またLを75μmとした場合も、いずれにおいても2段目回折格子の開口部の幅w2を80nmと大きくした場合のほうが、透過スペクトルの強度が強くなっていることが分る。
【0041】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6では、波長フィルタを構成する1段目の回折格子と2段目の回折格子の材料を変えることを特徴とする。すなわち、本実施の形態では、図2のフィルタ構成において1段目の回折格子3aの材料にダイヤモンドではなくシリコンを用い、2段目の回折格子3bの材料にダイヤモンドを用いる。本実施の形態では、フィルタ材料、すなわち回折格子を形成している材料の吸収端を利用し、特定波長域についてよりシャープにスペクトルを切り出すことができる。
【0042】
用いたフィルタは、図2に示したフィルタ構成において、開口部のピッチd50nmとし、1段目回折格子3aを、厚さ1μmのシリコンで形成し、2段目の回折格子3bをダイヤモンドで形成した。また、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lを50μmとした。
【0043】
上記の構成のフィルタに対して放射光を照射したときの透過率を図14に示す。図14によれば、シリコン元素の吸収端が0.67nm近傍にあるため、1段目回折格子3aを透過した後の透過率は、0.65nm付近で大きく低下する。そして、その影響が2段目の回折格子3bを透過した後の透過率にも認められる。
【0044】
図10とくらべて分るように、図14に示す透過スペクトルでは0.65nm付近の透過率が小さくなり、逆に0.85nm付近の透過率が大きくなっている。すなわち、1段目回折格子を対象波長域に吸収端をもつ材料で形成することにより、切り出す波長域のコントラストをよりシャープにできることがわかる。
【0045】
また、両回折格子の材料構成を同じにしたまま、両回折格子の距離Lを25μmとしたフィルタについて透過率を測定した結果を図15に示す。図15においても、0.65nm以下の透過率を抑え、0.9nm付近の透過率を増大させる効果が働いていることがわかる。
【0046】
(実施の形態7)
図16および図17は、本発明の実施の形態7のフィルタを構成する回折格子を示す図である。回折格子のパターン形状は、一方向に長い1本のライン状開口部が所定のピッチで横方向に配列された、上記実施の形態1〜6に示したパターンに限定されない。図16に示すように、2つの矩形開口部が1つの直線に沿って、間隙をおいて配列された単位パターンが所定のピッチで配列された形状であってもよいし、また、図17に示すように、平行四辺形のコーナー部に矩形開口部を配置したパターン形状であってもよい。本実施の形態における回折格子のパターン形状は、図16および図17のパターン形状に限定されず、開口部が配列方向にdのピッチの周期性をもっていればどのようなものでもよい。
【0047】
図16に示す回折格子を2枚組み合わせたフィルタ、また図17に示す回折格子を2枚組み合わせたフィルタは、これまで説明した実施の形態において得られた所定の波長域をカットする機能を有する。
【0048】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8では、撮像装置30に上述の原理に基づくフィルタ3を用いた例について説明する。本実施の形態では、図18に示すように、2枚組の回折格子3a,3bによって構成されるフィルタ3を、赤外線の撮像素子31の前に置く。2枚の回折格子の距離Lを、間隙可変機構32を用いて、あるステップ間隙で変えていき、1ステップ移動する毎に画像を取り込むように制御する。
【0049】
上記の装置では赤外線領域の波長域3〜12μmを分光し、撮影することを考える。フィルタ3は、図2と同様の構成とする。1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bの回折溝のピッチdはともに80μmとする。また、1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bの回折溝の幅は、ともに40μmとする。また、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの間隙Lは、500μmおよび1000μmの2種類とする。
【0050】
1段目の回折格子3aには、ゲルマニウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、弗化カルシウム、シリコン等の比較的透明で光の損失が少なく、かつ位相を変化させる材料を用いる。2段目の回折格子3bには、硼珪酸ガラス等の吸収率の大きい材料か、または金属等の光を散乱させる材料のいずれかを用いる。
【0051】
次に、得られた結果について説明する。(a1)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lが500μmの場合には、2段目の回折格子3bを透過する光は主に12μm以下の波長域となる。また、(a2)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lが1000μmの場合、2段目の回折格子3bを透過する光は主に5μm以下の波長域となる。
【0052】
したがって、距離Lを500μmから1000μmまで、あるステップ間隙で移動させながら画像データを取り込むことにより、12μm〜5μmの波長域に対してスペクトル分解した形で像を得ることができる。
【0053】
回折格子間距離Lを、さらに1500μmまで、あるステップ間隙で大きくしてゆくと、波長域5μm〜3μmの分光スペクトルと12μm〜9μmの分光スペクトルとを足し合わせた形で像を得ることができる。12μm〜5μmの波長域の強度は、上述のように回折格子間距離Lが500μm〜1000μmの測定によってすでに分っているので、この強度を差し引くことにより波長域5μm〜3μmのスペクトル分解した形の像を得ることができる。
【0054】
(実施の形態9)
図19は、本発明の実施の形態9における撮像装置30を示す図である。図19に示す撮像装置は、実施の形態8における撮像装置と同様の構成である。図19に示す撮像装置30では、可視光の撮像素子33の前に、間隙可変機構32に組み込まれた2枚組みの回折格子3a,3bを用いたフィルタ3を配置する。この結果、色分解した画像を得ることができる。
【0055】
図19に示す撮像装置を用いて、可視光の波長域300nm〜700nmを分光し、撮影するシステムについて説明する。フィルタ構成は図2と同様とし、1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bのピッチはともに8μmとする。また、1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bの開口幅は、ともに4μmとする。1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lは、80μmおよび150μmの2種類とした。
【0056】
1段目の回折格子3aには、硼珪酸ガラス、アクリル、石英ガラス等の比較的透明で光の損失が少なく、かつ位相を変化させる材料を用いる。2段目の回折格子3bには、NDフィルタに用いられているガラス等の吸収率の大きい材料か、または金属等の光を散乱させる材料かのいずれかを用いる。
【0057】
(b1)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lが80μmの場合、2段目の回折格子3bを透過する光は主に700nm以下の波長域となる。また、(b2)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lが150μmの場合、2段目の回折格子3bを透過する光は主に300nm以下の波長域となる。
【0058】
したがって距離Lを80μmから150μmまで、間隙可変機構32を用いて、あるステップ間隙で大きくしながら画像データを取り込むことにより、700nm〜300nmの波長域に対してスペクトル分解した形で像を得ることができる。
【0059】
本実施の形態および実施の形態8では、可視光域および赤外域の光について説明したが、波長の大きさによらず、どの波長域の光についても、たとえば紫外線についても上記の撮像装置を組みたてることができる。
【0060】
(実施の形態に対する付言)
(1)実施の形態1〜7では、X線に対する波長フィルタ、とくに放射光発生装置、たとえばシンクロトロンからのX線を用いる系について説明した。しかし、本実施の形態における原理から放射光装置からのX線に限るものでは無く、プラズマX線源を含む各種のX線源についても適用することができる。たとえば、各種X線源からの光のサブピークの除去にも用いることができる。
(2)上記のように、X線近接露光技術ばかりでなく、撮像素子などの光源側に本波長フィルタを置き、本波長フィルタの特徴である波長可変機能を用いることで、スペクトル毎の強度分布を撮影することができる。この原理は、すべての光に適用できる。例えば、実施の形態8において説明したように、赤外線領域の撮像素子と組み合わせた場合、従来モノクロでしか表示できなかったものが、分光して見ることができるようになる。このようなカメラは防衛用機器、地雷探知、ガス探知、温度測定、あるいは惑星の地学探査などの応用が考えられる。また、実施の形態9において説明したように、可視光領域でも、本フィルタを用いることが可能である。従来は色フィルタを用い4画素を使って色素を同定していたものを、1画素で同定することができるばかりでなく、4つの色素以上に細かく分光させて画像を得ることができる。
(3)また、紫外線域、赤外線域などに限定されることなく、たとえば紫外線域と可視光域とにまたがる波長分布を有する光に対して、その波長分布に対応した回折格子を用いることにより対応できることは言うまでもない。
【0061】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0062】
【発明の効果】
本発明の波長フィルタを用いることにより、複雑な制御システムを必要とせず、最低2枚の回折格子を配置することにより所定の波長域をカットし、さらに両者の間隙をを調整することにより容易に照射スペクトルを変更することができる。その結果、この波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置は簡単な機構により照射スペクトルを変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における露光装置を示す図である。
【図2】図1の露光装置に組み込まれる波長フィルタを示す図である。
【図3】図2の波長フィルタ(L=30μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図4】図2の波長フィルタ(L=75μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図5】図2および図3の波長フィルタを用いた場合の半導体ウエハへの照射スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2における波長フィルタを示す図である。
【図7】図6の波長フィルタの透過率の波長分布を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3における波長フィルタを示す図である。
【図9】図8の波長フィルタの透過率の波長分布を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態4における波長フィルタ(L=50μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4における波長フィルタ(L=25μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態5における波長フィルタを示す図であり、(a)は1段目回折格子を、また(b)は2段目回折格子を示す図である。
【図13】図12の波長フィルタの透過率の波長分布を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態6における波長フィルタ(L=50μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態6における波長フィルタ(L=25μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態7における波長フィルタの回折格子を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態7における波長フィルタの別の回折格子を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態8における撮像装置を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態9における撮像装置を示す図である。
【符号の説明】
1 シンクロトロン、2a,2b,2c,2d 放射光、3 波長フィルタ、3a 1段目回折格子、3b 2段目回折格子、4a 集光ミラー、4b 拡大ミラー、5 ベリリウム窓、6 X線マスク、7 半導体ウエハ、13a 1段目回折格子の開口部、13b 2段目回折格子の開口部、30 撮像装置、31赤外域の撮像素子、32 間隙可変機構、33 可視光の撮像素子、d ピッチ、L,L1,L2 回折格子間の間隙、w,w1,w2 開口部の幅。
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長フィルタ、露光装置および撮像装置に関し、より具体的には、波長分布を有しその波長分布域がX線域、紫外線域、可視光域および赤外線域のいずれかの光(または電磁波)に対して所定の波長部分をカットする波長フィルタ、その波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置に関するものである。なお、以後の説明で、上記の各波長域の電磁波を光として総称する。
【0002】
【従来の技術】
従来のX線フィルタはX線ミラーを用いたローパスフィルタと薄膜を用いたハイパスフィルタを組み合わせて特定の波長域を取り出す構造となっていた。長い波長域をカットしたい場合には挿入するフィルタの厚さを変えればよいが、短い波長域のみをカットしたい場合にはミラーの反射角度を変える必要が生じる。波長可変となるような露光装置の構成は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
たとえば、シンクロトロン放射源から出射された放射光は、連動する3個の平面X線ミラーに順次反射された後、集光ミラーと、拡大ミラーと、ベリリウム窓とを経て、X線マスクにいたる。このX線マスクには半導体装置のマスクパターンが内蔵されていて、ここを通ったX線は、半導体ウエハにX線マスクのパターンを転写する。上記の3個の連動X線ミラーはベリリウムから形成されている。この連動X線ミラーでは、連動する際に、斜入射角度を変えながら、次の集光ミラーに入射する光の光軸の位置を一定に保つように、3枚のミラーの位置と回転角とが制御される。
【0004】
次に、この光学系における波長フィルタ作用について説明する。短波長側でカットする波長域は、連動X線ミラーへの斜入射角で決まる。その斜入射角での短波長側をカットされた光は、連動X線ミラーを出射した後、集光ミラーと拡大ミラーとで光の形状を整えられ、次いでベリリウム窓とX線マスクとを通過する。長波長側でカットされる波長域は、ベリリウム窓の厚さとX線マスクの支持材料であるメンブレンの厚さとで決定される。X線マスクを通り、長波長側をカットされ、所定の波長域の範囲に切り出された光は、X線マスク上に描かれた回路パターンを等倍で半導体ウエハへ投影し、そこに塗布されたレジスト中に潜像を形成する。
【0005】
従来の放射光を用いたX線露光装置は、上記のように構成されるため、波長域を変更すること、すなわち短波長側のカットのみを目的に3枚の連動ミラーを要し、かつそれらの回転角や位置を制御する必要があった。
【0006】
また、例えば、レーザー励起による点光源を用いたX線露光装置については、非特許文献1に開示されている。このX線露光装置から発生するX線のスペクトルでは、広い波長域にわたって多数のピークが分布している。X線マスクの寸法やウエハとのギャップによっては、波長フィルタを光路の適切な位置に挿入し、半導体ウエハを露光した方がぼやけの小さい転写を行なうことができ、より良い結果が得られるはずである。
【0007】
上記のようなX線露光に回折格子で構成される波長フィルタを用いる提案もいくつかなされている(たとえば、特許文献2)。このX線露光装置では、透過型回折格子を用い、その透過型回折格子に垂直に入射させた光が、波長毎に透過していく方向が異なることを利用し、下流側に別の回折格子を置き、特定波長のみ取り出す。このような波長フィルタを用いることにより、露光に用いるX線の波長域を狭めることができ、その結果、ぼやけの小さい転写を行なうことができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−338299号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平7−301696号公報
【0010】
【非特許文献1】
C.J.Gaeta et al.,Jpn. J. Appl. Phys. Vol.41 (2002)pp.4111−4121 “High−Power Compact Laser−Plasma Source for X−ray Lithography”
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記の透過型回折格子ともう1つの回折格子を用いるX線露光装置においては、波長域に応じて回折角が変化する。このため、波長域に応じて光学素子をスィープする必要がある。また、3枚のX線ミラーを連動させて短波長側をカットする方式も連動機構が必要である。これらの装置はいずれも光学素子を移動させる制御システムが必要となり、装置が複雑化するという欠点があった。
【0012】
本発明は、上記のような複雑な制御システムを必要としない波長フィルタ、その波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の波長フィルタは、特定波長域の光をカットするフィルタであって、光軸にその面を交差させて、その回折溝を互いに平行にして配置された2枚以上の透過型回折格子を備える。そして、2枚以上の透過型回折格子(以後、回折格子と記す)が互いに間隙をおいて配置されている。
【0014】
この構成によれば、間隙の大きさに応じて、入射側の回折格子から見て次段の回折格子の回折溝(明格子)上にフーリエイメージを形成する波長が変わる。次段の回折格子の回折溝(明格子)上にフーリエイメージを形成しない波長は、カットされることとなる。この結果、上記の波長フィルタは特定波長域の光をカットすることができる。
【0015】
ここで、回折格子は、回折溝が所定ピッチ(周期)で配列された光学素子である。また、回折溝を開口部、または明格子と呼ぶ場合がある。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるX線露光装置を示す図である。シンクロトロン1から出射された放射光2aは、本実施の形態における重要構成要素であるフィルタ3で所定の波長域の光をカットされる。フィルタ3により所定波長域をカットされた光2bは、集光ミラー4aと、拡大ミラー4bとを経て、広がる放射光2cとしてベリリウム窓5に入射する。次いでX線マスク6を透過することによりパターン化された放射光2dは、半導体ウエハ7に照射され、半導体ウエハに塗布されたレジストに潜像を形成する。
【0018】
これまでの経験より、集光ミラー4aおよび拡大ミラー4bはロジウムをコートしたものを用い、光を89°の入射角で反射させる配置とする。また、ベリリウム窓5の厚さは20μmとし、X線マスク6のメンブレンは厚さ2μmのダイヤモンドで構成されている場合について説明する。
【0019】
図2は、上記フィルタの構成を示す図である。上記のフィルタ3は、1段目の回折格子3aと2段目の回折格子3bとによって構成されている。1段目の回折格子3aは透過率の高い材料、例えばダイヤモンド、ベリリウム、シリコン、アルミニウム、チタンおよびこれらの窒化物、炭化物、酸化物等の軽元素で形成されている。2段目回折格子3bは透過率の低い材料、モリブデン、タンタル、タングステン、オスミウム、金、白金等の重い金属で形成されている。
【0020】
2枚の回折格子3a、3bのピッチをdとし、両回折格子の距離(間隙)をLとする。2つの回折格子の間の間隙を変化させる間隙可変機構については、回折格子の支持体は圧電型、静電型、形状記憶合金型、熱膨張型のいずれかのアクチュエータを用い、回折格子3aと回折格子3bとの距離を任意に変更することができる構成とする。また、上記のアクチュエータに限らず、並進距離の精度が所定レベル以上あればどのような機械装置を用いてもよい。
【0021】
上記の波長フィルタは、光に垂直に回折格子を置き、光軸方向にできる光波の疎密を利用した分光方法であり、分光感度を犠牲にするかわり、強度の損失が少ないという特徴がある。この波長フィルタは次の原理に基づいている。
【0022】
等間隔(ピッチ)で平行に配列された明暗格子を光で照明すると、その背後にほぼ等しい周期で、格子状の透過率分布と相似の強度分布が繰り返し現れる。明暗格子のピッチがdの明暗格子に対し、(1)式に示すzだけ格子から離れた位置では、常に同じ強度分布が得られる。
【0023】
z=2nd2/λ (n=1,2,・・・)・・・・・・・・・・(1)
これはフーリエイメージと呼ばれ、モアレ計測用格子の配置や電子顕微鏡におけるレンズなしの拡大法に応用されている。さらに、2つの格子を一定距離Lだけ離して平行に置き、単色光を用いて変位や長さの測定に応用している。本件はzを変えることにより、同式を満たす波長が変わることを利用し、波長フィルタとして用いるものである。
【0024】
また、後で説明するように、2段目の回折格子を1段目の回折格子に対して開口部の配列ピッチ方向に半ピッチずらす方法(本発明の実施の形態3)や、開口部の配列ピッチ方向に圧縮あるいは伸長させピッチを変える方法(本発明の実施の形態4)もある。これらの方法を組み合わせることにより、透過させる波長域を自由に変えることが可能である。
【0025】
次に0.3〜1.5nmの波長域のX線に対して、具体的に波長可変のバンドパスフィルタとして働くことを示す。波長フィルタの構成として1段目回折格子3aに厚さ0.6μmのダイヤモンドを用い、2段目の回折格子3bに厚さ1μmのタングステンを用いる。1段目回折格子3aと2段目回折格子3bのピッチdをともに140nmとし、回折溝の幅wをともに70nmとした場合について述べる。
【0026】
1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合の透過率を図3に示す。一方、両回折格子の距離Lを徐々に広げていき75μmとした場合の透過率の波長分布を図4に示す。両回折格子の距離30μmから75μm間の透過率は、図3から図4へと連続的に変化する。図1に示す露光装置では、このような回折格子間の間隙Lに応じて変化する透過率特性を持つフィルタをフィルタ3としてビームラインに挿入する。
【0027】
図5に、上記の波長フィルタの有無によるウエハ7に照射されるスペクトルを示す。図5において実線は波長フィルタを挿入しない場合の半導体ウエハ7に照射されるスペクトルを表している。太線は1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合の半導体ウエハ7に照射されるスペクトルを表している。太線のスペクトルによれば、上記の波長フィルタは、長波長側をカットするフィルタとして働いていることがわかる。
【0028】
また、図5における点線のスペクトルは、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合の半導体ウエハ7に照射されるスペクトルを表している。この点線のスペクトルによれば、この場合の波長フィルタは、短波長成分および長波長成分をカットし、中間領域を切り出すフィルタとして働くことがわかる。
【0029】
上記より、2つの回折格子の間隙Lを変えることにより、フィルタにおいてカットされる波長域が変化することが分った。本実施の形態によれば、半導体集積回路の製造を中心とした微細パターンの転写において、簡便に照射スペクトルを変更して転写することができる。このような照射スペクトルの変更は、基板材料や解像させるパターン寸法により、照射する波長を変更する必要がある場合に非常に有用である。
【0030】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2における波長フィルタを示す成図である。この波長フィルタは、1段目の回折格子3aと、2段目の回折格子3bと、3段目の回折格子3cとで構成される。1段目の回折格子3aの材料として、厚さ1μmのダイヤモンドを、2段目の回折格子3bと3段目の回折格子3cの材料として厚さ1μmのタングステンを用いる。回折溝のピッチdをいずれも140nmとし、回折溝の幅wをいずれも70nmとする。また、1段目の回折格子3aと2段目の回折格子3bの距離L1を45μm、2段目の回折格子3bと3段目の回折格子3cの距離L2を40μmとする。
【0031】
上記の構成の波長フィルタを図1に示す露光装置にフィルタ3として挿入したときの透過率を図7に示す。図中、点線は2段目の回折格子3b通過後の透過率を示し、実線は3段目の回折格子3c通過後の透過率を示す。図7における点線のスペクトルと実線のスペクトルとを比較して分るように、回折格子を3枚用いることにより、より幅の狭いスペクトルを切り出すことができる。
【0032】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3におけるフィルタを示す図である。本実施の形態におけるフィルタは、1段目の回折格子3aに対して2段目の回折格子3bをy方向に半ピッチ、すなわち(d/2)だけずらした配置をとっている。回折溝のピッチdはいずれも140nmとし、回折溝の幅wはいずれも70nmとする。図2においては、1段目の回折格子3aと2段目の回折格子3bとの垂直方向(z方向)間隙Lを可変とするz方向の間隙可変機構の作用について説明した。このz方向の間隙可変機構とともにまたはz方向の間隙可変機構とは別に、回折格子の回折溝配列ピッチ方向(y方向)に可変となるy方向シフト機構を備えても良い。
【0033】
本実施の形態では、実施の形態1に示したフィルタ構成において、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとし、かつy方向に半ピッチすなわち70nmシフトさせた。
【0034】
この本実施の形態におけるフィルタの透過率を、図9に示す。図3に示した透過率と比べると、図3では0.9nm付近で透過率が最小となったが、図9では逆に0.9nm付近で透過率が最大となる透過率分布が得られる。透過率の大小関係が、図3と図9とで逆になっていることが分る。
【0035】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、回折格子の開口部のピッチを小さくすることにより、透過スペクトル形状を変える例について説明する。実施の形態1で紹介したフィルタを構成する2つの回折格子の開口部のピッチはともに140nmであった。本発明の実施の形態4では、図2に示すフィルタを構成する2つの回折格子のピッチをともに100nmとしている。回折溝の幅は50nmである。このように、開口部のピッチをより細かくすることで透過させるスペクトルの幅をより狭くすることができる。1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを50μmとした。
【0036】
上記のフィルタにおける透過率の波長分布を図10に示す。図4と比べて、図10に示すスペクトルでは、切り出された波長域の範囲が狭くなっていることが分る。すなわち、ピッチを小さくすることにより、分光度が向上していることがわかる。上記の場合、回折溝の幅w=(開口部のピッチd)/2であるが、回折溝の幅w>(開口部のピッチd)/2とすることにより、さらに切り出される波長域の範囲を狭くでき、分光度を向上させることができる。
【0037】
上記のピッチ100nmとして、両回折格子の間隙Lを25μmとした場合、すなわち図10の間隙Lの半分の間隙の場合の透過率を図11に示す。回折格子の間隙25μmは、図9に示すフィルタにおける間隙30μmとほぼ同じである。図11と図9とを比べることにより、やはりピッチを小さくすることにより、切り出すスペクトル幅が狭くなっていることが分る。
【0038】
(実施の形態5)
図12(a)および図12(b)は、本発明の実施の形態5におけるフィルタを構成する回折格子を示す図である。本実施の形態では、回折格子の開口を調整することにより、より透過効率の良いフィルタの最適化を図ることができることを示す。図12(a)および(b)において、1段目回折格子3a、2段目回折格子3bはともにピッチdは140nmである。しかし1段目の回折格子3aの開口幅w1は70nmであるのに対し、2段目回折格子3bの開口幅w2を80nmとする。
【0039】
実施例1において示した2段目回折格子3bの開口幅70nmの場合(1段目回折格子の開口幅と同じ)と、本実施の形態のように、開口幅80nmとバイアスをつけた場合とを、比較して図13に示す。図13には、1段目回折格子と2段目回折格子との間隙Lを30μmと70μmの2種類について、上記の開口幅のバイアスの影響を示している。
【0040】
図13によれば、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lを30μmとした場合も、またLを75μmとした場合も、いずれにおいても2段目回折格子の開口部の幅w2を80nmと大きくした場合のほうが、透過スペクトルの強度が強くなっていることが分る。
【0041】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6では、波長フィルタを構成する1段目の回折格子と2段目の回折格子の材料を変えることを特徴とする。すなわち、本実施の形態では、図2のフィルタ構成において1段目の回折格子3aの材料にダイヤモンドではなくシリコンを用い、2段目の回折格子3bの材料にダイヤモンドを用いる。本実施の形態では、フィルタ材料、すなわち回折格子を形成している材料の吸収端を利用し、特定波長域についてよりシャープにスペクトルを切り出すことができる。
【0042】
用いたフィルタは、図2に示したフィルタ構成において、開口部のピッチd50nmとし、1段目回折格子3aを、厚さ1μmのシリコンで形成し、2段目の回折格子3bをダイヤモンドで形成した。また、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lを50μmとした。
【0043】
上記の構成のフィルタに対して放射光を照射したときの透過率を図14に示す。図14によれば、シリコン元素の吸収端が0.67nm近傍にあるため、1段目回折格子3aを透過した後の透過率は、0.65nm付近で大きく低下する。そして、その影響が2段目の回折格子3bを透過した後の透過率にも認められる。
【0044】
図10とくらべて分るように、図14に示す透過スペクトルでは0.65nm付近の透過率が小さくなり、逆に0.85nm付近の透過率が大きくなっている。すなわち、1段目回折格子を対象波長域に吸収端をもつ材料で形成することにより、切り出す波長域のコントラストをよりシャープにできることがわかる。
【0045】
また、両回折格子の材料構成を同じにしたまま、両回折格子の距離Lを25μmとしたフィルタについて透過率を測定した結果を図15に示す。図15においても、0.65nm以下の透過率を抑え、0.9nm付近の透過率を増大させる効果が働いていることがわかる。
【0046】
(実施の形態7)
図16および図17は、本発明の実施の形態7のフィルタを構成する回折格子を示す図である。回折格子のパターン形状は、一方向に長い1本のライン状開口部が所定のピッチで横方向に配列された、上記実施の形態1〜6に示したパターンに限定されない。図16に示すように、2つの矩形開口部が1つの直線に沿って、間隙をおいて配列された単位パターンが所定のピッチで配列された形状であってもよいし、また、図17に示すように、平行四辺形のコーナー部に矩形開口部を配置したパターン形状であってもよい。本実施の形態における回折格子のパターン形状は、図16および図17のパターン形状に限定されず、開口部が配列方向にdのピッチの周期性をもっていればどのようなものでもよい。
【0047】
図16に示す回折格子を2枚組み合わせたフィルタ、また図17に示す回折格子を2枚組み合わせたフィルタは、これまで説明した実施の形態において得られた所定の波長域をカットする機能を有する。
【0048】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8では、撮像装置30に上述の原理に基づくフィルタ3を用いた例について説明する。本実施の形態では、図18に示すように、2枚組の回折格子3a,3bによって構成されるフィルタ3を、赤外線の撮像素子31の前に置く。2枚の回折格子の距離Lを、間隙可変機構32を用いて、あるステップ間隙で変えていき、1ステップ移動する毎に画像を取り込むように制御する。
【0049】
上記の装置では赤外線領域の波長域3〜12μmを分光し、撮影することを考える。フィルタ3は、図2と同様の構成とする。1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bの回折溝のピッチdはともに80μmとする。また、1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bの回折溝の幅は、ともに40μmとする。また、1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの間隙Lは、500μmおよび1000μmの2種類とする。
【0050】
1段目の回折格子3aには、ゲルマニウム、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、弗化カルシウム、シリコン等の比較的透明で光の損失が少なく、かつ位相を変化させる材料を用いる。2段目の回折格子3bには、硼珪酸ガラス等の吸収率の大きい材料か、または金属等の光を散乱させる材料のいずれかを用いる。
【0051】
次に、得られた結果について説明する。(a1)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lが500μmの場合には、2段目の回折格子3bを透過する光は主に12μm以下の波長域となる。また、(a2)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bの距離Lが1000μmの場合、2段目の回折格子3bを透過する光は主に5μm以下の波長域となる。
【0052】
したがって、距離Lを500μmから1000μmまで、あるステップ間隙で移動させながら画像データを取り込むことにより、12μm〜5μmの波長域に対してスペクトル分解した形で像を得ることができる。
【0053】
回折格子間距離Lを、さらに1500μmまで、あるステップ間隙で大きくしてゆくと、波長域5μm〜3μmの分光スペクトルと12μm〜9μmの分光スペクトルとを足し合わせた形で像を得ることができる。12μm〜5μmの波長域の強度は、上述のように回折格子間距離Lが500μm〜1000μmの測定によってすでに分っているので、この強度を差し引くことにより波長域5μm〜3μmのスペクトル分解した形の像を得ることができる。
【0054】
(実施の形態9)
図19は、本発明の実施の形態9における撮像装置30を示す図である。図19に示す撮像装置は、実施の形態8における撮像装置と同様の構成である。図19に示す撮像装置30では、可視光の撮像素子33の前に、間隙可変機構32に組み込まれた2枚組みの回折格子3a,3bを用いたフィルタ3を配置する。この結果、色分解した画像を得ることができる。
【0055】
図19に示す撮像装置を用いて、可視光の波長域300nm〜700nmを分光し、撮影するシステムについて説明する。フィルタ構成は図2と同様とし、1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bのピッチはともに8μmとする。また、1段目回折格子3aおよび2段目回折格子3bの開口幅は、ともに4μmとする。1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lは、80μmおよび150μmの2種類とした。
【0056】
1段目の回折格子3aには、硼珪酸ガラス、アクリル、石英ガラス等の比較的透明で光の損失が少なく、かつ位相を変化させる材料を用いる。2段目の回折格子3bには、NDフィルタに用いられているガラス等の吸収率の大きい材料か、または金属等の光を散乱させる材料かのいずれかを用いる。
【0057】
(b1)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lが80μmの場合、2段目の回折格子3bを透過する光は主に700nm以下の波長域となる。また、(b2)1段目回折格子3aと2段目回折格子3bとの距離Lが150μmの場合、2段目の回折格子3bを透過する光は主に300nm以下の波長域となる。
【0058】
したがって距離Lを80μmから150μmまで、間隙可変機構32を用いて、あるステップ間隙で大きくしながら画像データを取り込むことにより、700nm〜300nmの波長域に対してスペクトル分解した形で像を得ることができる。
【0059】
本実施の形態および実施の形態8では、可視光域および赤外域の光について説明したが、波長の大きさによらず、どの波長域の光についても、たとえば紫外線についても上記の撮像装置を組みたてることができる。
【0060】
(実施の形態に対する付言)
(1)実施の形態1〜7では、X線に対する波長フィルタ、とくに放射光発生装置、たとえばシンクロトロンからのX線を用いる系について説明した。しかし、本実施の形態における原理から放射光装置からのX線に限るものでは無く、プラズマX線源を含む各種のX線源についても適用することができる。たとえば、各種X線源からの光のサブピークの除去にも用いることができる。
(2)上記のように、X線近接露光技術ばかりでなく、撮像素子などの光源側に本波長フィルタを置き、本波長フィルタの特徴である波長可変機能を用いることで、スペクトル毎の強度分布を撮影することができる。この原理は、すべての光に適用できる。例えば、実施の形態8において説明したように、赤外線領域の撮像素子と組み合わせた場合、従来モノクロでしか表示できなかったものが、分光して見ることができるようになる。このようなカメラは防衛用機器、地雷探知、ガス探知、温度測定、あるいは惑星の地学探査などの応用が考えられる。また、実施の形態9において説明したように、可視光領域でも、本フィルタを用いることが可能である。従来は色フィルタを用い4画素を使って色素を同定していたものを、1画素で同定することができるばかりでなく、4つの色素以上に細かく分光させて画像を得ることができる。
(3)また、紫外線域、赤外線域などに限定されることなく、たとえば紫外線域と可視光域とにまたがる波長分布を有する光に対して、その波長分布に対応した回折格子を用いることにより対応できることは言うまでもない。
【0061】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0062】
【発明の効果】
本発明の波長フィルタを用いることにより、複雑な制御システムを必要とせず、最低2枚の回折格子を配置することにより所定の波長域をカットし、さらに両者の間隙をを調整することにより容易に照射スペクトルを変更することができる。その結果、この波長フィルタを用いた露光装置および撮像装置は簡単な機構により照射スペクトルを変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における露光装置を示す図である。
【図2】図1の露光装置に組み込まれる波長フィルタを示す図である。
【図3】図2の波長フィルタ(L=30μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図4】図2の波長フィルタ(L=75μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図5】図2および図3の波長フィルタを用いた場合の半導体ウエハへの照射スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2における波長フィルタを示す図である。
【図7】図6の波長フィルタの透過率の波長分布を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3における波長フィルタを示す図である。
【図9】図8の波長フィルタの透過率の波長分布を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態4における波長フィルタ(L=50μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4における波長フィルタ(L=25μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態5における波長フィルタを示す図であり、(a)は1段目回折格子を、また(b)は2段目回折格子を示す図である。
【図13】図12の波長フィルタの透過率の波長分布を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態6における波長フィルタ(L=50μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態6における波長フィルタ(L=25μm)の透過率の波長分布を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態7における波長フィルタの回折格子を示す図である。
【図17】本発明の実施の形態7における波長フィルタの別の回折格子を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態8における撮像装置を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態9における撮像装置を示す図である。
【符号の説明】
1 シンクロトロン、2a,2b,2c,2d 放射光、3 波長フィルタ、3a 1段目回折格子、3b 2段目回折格子、4a 集光ミラー、4b 拡大ミラー、5 ベリリウム窓、6 X線マスク、7 半導体ウエハ、13a 1段目回折格子の開口部、13b 2段目回折格子の開口部、30 撮像装置、31赤外域の撮像素子、32 間隙可変機構、33 可視光の撮像素子、d ピッチ、L,L1,L2 回折格子間の間隙、w,w1,w2 開口部の幅。
Claims (13)
- 特定波長域の光をカットするフィルタであって、
光軸にその面を交差させて、その回折溝を互いに平行にして配置された2枚以上の透過型回折格子を備え、
前記2枚以上の透過型回折格子が互いに間隙をおいて配置されている、波長フィルタ。 - 前記透過型回折格子の配置において、前記間隙を可変とする間隙可変機構を備える、請求項1に記載の波長フィルタ。
- 光が入射される入射側の透過型回折格子よりも後方の透過型回折格子が、その回折溝の所定ピッチでの配列方向にシフトされて位置する、請求項1または2に記載の波長フィルタ。
- 前記透過型回折格子の回折溝の幅が、その回折溝の配列ピッチの半分よりも大きい、請求項1〜3のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記2つ以上の透過型回折格子のうち、光を入射される入射側の透過型回折格子の後に位置する透過型回折格子の回折溝の幅が、前記入射側の透過型回折格子の回折溝の幅より大きい、請求項1〜4のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記透過型回折格子の回折溝の単位パターンが、2つの矩形状の回折溝を直線に沿うように配置した形状、および平行四辺形のコーナーに矩形状の回折溝をその矩形の長辺が平行になるように配置した形状、のいずれかであり、その透過型回折格子の回折溝パターンが、その単位パターンを配列方向に所定ピッチで配列したものである、請求項1〜5のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記2つ以上の透過型回折格子のうち、少なくとも光を入射される入射側の透過型回折格子が、他の透過型回折格子と異なる材料で形成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記光がシンクロトロンから出射されるX線であり、前記透過型回折格子がX線回折用の透過型回折格子である、請求項1〜7のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記光が紫外線域の光であり、前記透過型回折格子が紫外線域用の透過型回折格子である、請求項1〜7のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記光が可視光域の光であり、前記透過型回折格子が可視光域用の透過型回折格子である、請求項1〜7のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 前記光が赤外線域の光であり、前記透過型回折格子が赤外線域用の透過型回折格子である、請求項1〜7のいずれかに記載の波長フィルタ。
- 半導体装置のマスクパターンを内蔵するマスクに光を照射して半導体基板に半導体装置パターンを転写するための露光装置であって、前記マスクの前段に、請求項1〜10のいずれかに記載の波長フィルタを備え、その波長フィルタを通した光を前記マスクに照射する、露光装置。
- 光を受光して対象物を撮像する撮像素子を備えた撮像装置であって、前記撮像素子の前段のいずれかの位置に、請求項1〜11のいずれかに記載の波長フィルタを備え、その波長フィルタを通した光を前記撮像素子に受光させる、撮像装置。
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