JP2004316846A - 乾式ベルト式無段変速機 - Google Patents

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雅彦 山崎
Kenichi Iso
賢一 磯
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Abstract

【課題】回転支持部に組み込んだ転がり軸受3、3の耐久性を向上させて、この転がり軸受3、3を含む乾式ベルト式無段変速機の耐久性を向上させる。
【解決手段】これら各転がり軸受3、3内に、リチウム石けんを増ちょう剤とし、エステル油を基油とし、この基油粘度が40℃で20〜80mm/sであり、混和ちょう度が200〜300であるグリースを封入する。転がり接触部に良好な油膜を形成しつつ温度上昇を抑えて、この転がり接触部での金属接触の発生を防止し、上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明に係る乾式ベルト式無段変速機は、スクータ等の自動二輪車用の自動変速機として、或は産業機械等、各種機械装置用の変速機として利用する。特に本発明は、この様な乾式ベルト式無段変速機の駆動軸及び従動軸をハウジングに対し回転自在に支持する転がり軸受等、グリースにより潤滑する転がり軸受の耐久性向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
図1は、本発明の対象となる乾式ベルト式無段変速機の基本構造を略示している。この乾式ベルト式無段変速機は、互いに平行に配置された駆動側回転軸1と従動側回転軸2とを有する。これら各回転軸1、2は、図示しないケーシング内に、それぞれ複数ずつの、図2に詳示する様な転がり軸受3、3により、回転自在に支持している。これら各転がり軸受3、3としては、単列の深溝型或はアンギュラ型の玉軸受が使用される。
【0003】
上記両回転軸1、2のうちの駆動側回転軸1は、エンジン等の駆動源4により、遠心クラッチ等の発進クラッチ5を介して回転駆動される。又、上記駆動側回転軸1の中間部で1対の転がり軸受3、3の間に位置する部分に駆動側プーリ6を設け、この駆動側プーリ6と上記駆動側回転軸1とが同期して回転する様にしている。この駆動側プーリ6の溝幅は、駆動側アクチュエータ7により拡縮自在である。
【0004】
一方、上記従動側回転軸2の中間部で1対の転がり軸受3、3の間に位置する部分に従動側プーリ8を設け、この従動側プーリ8と上記従動側回転軸2とが同期して回転する様にしている。この従動側プーリ8の溝幅は、従動側アクチュエータ9により拡縮自在である。そして、この従動側プーリ8と上記駆動側プーリ6とに、無端ベルト10を掛け渡している。自動二輪車用自動変速機として使用する乾式ベルト式無段変速機の場合、上記無端ベルト10としては、ゴム材料を繊維で強化した、複合ゴム系のものを使用している。
【0005】
上述の様に構成するベルト式無段変速機では、上記駆動源4から上記発進クラッチ5を介して上記駆動側回転軸1に伝達された動力は、上記駆動側プーリ6から上記無端ベルト10を介して、上記従動側プーリ8に伝達される。この従動側プーリ8に伝達された動力は、上記従動側回転軸2から減速歯車列11を介して、図示しない駆動輪に伝達される。上記駆動側回転軸1と従動側回転軸2との間の変速比を変える場合には、上記両プーリ6、8の溝幅を互いに関連させつつ拡縮する。
【0006】
例えば、上記駆動側回転軸1と従動側回転軸2との間の減速比を大きくする場合には、上記駆動側プーリ6の溝幅を大きくすると共に、上記従動側プーリ8の溝幅を小さくする。この結果、上記無端ベルト10の一部でこれら両プーリ6、8に掛け渡された部分の径が、上記駆動側プーリ6部分で小さく、上記従動側プーリ8部分で大きくなり、上記駆動側回転軸1と従動側回転軸2との間で減速が行なわれる。反対に上記駆動側回転軸1と従動側回転軸2との間の増速比を大きく(減速比を小さく)する場合には、上記駆動側プーリ6の溝幅を小さくすると共に、上記従動側プーリ8の溝幅を大きくする。この結果、上記無端ベルト10の一部でこれら両プーリ6、8に掛け渡された部分の径が、上記駆動側プーリ6部分で大きく、上記従動側プーリ8部分で小さくなり、上記駆動側回転軸1と従動側回転軸2との間で増速が行なわれる。
【0007】
図3は、自動二輪車用として一般的に使用されている乾式ベルト式無段変速機の、より具体的な構造として、特許文献1に記載された構造の1例を示している。この図3に示した構造では、駆動側回転軸1aの回転速度が速くなる程、この駆動側回転軸1aと従動側回転軸2aとの間の変速比を増速側に変化させる様にしている。この為に、駆動側プーリ6aを構成する駆動側固定プーリ素子12と駆動側変位プーリ素子13との間隔が、上記駆動側回転軸1aの回転速度が速くなる程狭くなる様にしている。上記駆動側固定プーリ素子12は、上記駆動側回転軸1aに、軸方向の変位を阻止され、且つ、この駆動側回転軸1aと同期して回転する状態で支持されている。そして、上記駆動側変位プーリ素子13の外側面と、上記駆動側固定プーリ素子12に結合固定したスリーブ14に固定したカム板15との間に遠心ウェイト16を設けている。図3に示した構造の場合、これらカム板15及び遠心ウェイト16と上記駆動側変位プーリ素子13の外側面とが、駆動側アクチュエータを構成する。
【0008】
一方、上記従動側回転軸2aに固定した従動側固定プーリ素子17と共に従動側プーリ8aを構成する、駆動側変位プーリ素子18には、圧縮コイルばね19により、上記従動側固定プーリ素子17に向かう方向の弾力を付与している。従って、上記従動側プーリ8aの幅は、外力(次述する無端ベルト10aの突っ張り力)が作用しない限り狭まる。上記圧縮コイルばね19が、従動側アクチュエータを構成する。
この様な従動側プーリ8aと上記駆動側プーリ6aとの間には、無端ベルト10aを掛け渡して、上記駆動側回転軸1aから上記従動側回転軸2aへの動力の伝達を自在としている。
【0009】
上述の様な乾式ベルト式無段変速機の運転時、上記駆動側回転軸1aが低速で回転する場合には、上記遠心ウェイト16に作用する遠心力が小さく、この遠心ウェイト16は図3に示す様に、上記駆動側プーリ6aの径方向内側に存在する。この状態では、この駆動側プーリ6aの幅が広くなり、上記無端ベルト10aは、この駆動側プーリ6aの径方向内側に存在する。一方、上記従動側プーリ8aの幅は、上記圧縮コイルばね19の弾力に基づいて狭まり、上記無端ベルト10aは、この従動側プーリ8aの径方向外側に存在する。この状態では、上記駆動側回転軸1aと上記従動側回転軸2aとの間の変速状態が減速状態となる。
【0010】
これに対して、上記駆動側回転軸1aが高速で回転する場合には、上記遠心ウェイト16に作用する遠心力が大きくなり、この遠心ウェイト16が上記駆動側プーリ6aの径方向外側に移動する。この状態では、この駆動側プーリ6aの幅が狭くなり、上記無端ベルト10aは、この駆動側プーリ6aの径方向外側に押し出される。この結果、この無端ベルト10a全体が図3の上方に引っ張られ、上記従動側プーリ8aの幅が、上記圧縮コイルばね19の弾力に抗して拡がり、上記無端ベルト10aは、この従動側プーリ8aの径方向内側に移動する。この状態では、上記駆動側回転軸1aと上記従動側回転軸2aとの間の変速状態が増速状態となる。
【0011】
ところで、上述の様に構成し作用する乾式ベルト式無段変速機は、複合ゴム系の無端ベルト10aを使用する為、動力伝達部への油の侵入を嫌う装置である。即ち、この無端ベルト10aと上記駆動側、従動側両プーリ6a、8aとの摩擦係合部に油が存在するとこれら摩擦係合部で滑りを生じ、動力伝達の効率が低下したり、著しい場合には動力伝達を行なえなくなる。又、ゴム系の無端ベルト10aは油の存在によって劣化し易い為、この無端ベルト10aの耐久性を確保する面からも、上記動力伝達部への油の侵入を防止する必要がある。
【0012】
一方、上記駆動側回転軸1a及び上記従動側回転軸2aを支持する為の転がり軸受3、3は、乾式ベルト式無段変速機の運転時に高速(例えば10000min−1 )で回転する為、十分な潤滑が必要である。この為従来から、前記図2に示した様に、上記各転がり軸受3、3として、外輪20の内周面と内輪21の外周面との間で複数の転動体22を設置した空間23の両端開口部をシール板24、24により塞いだシールリング付のものを使用し、上記空間23内にグリースを封入していた。そして、このグリースとして、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニット用のグリースを使用していた。このグリースは、鉱油を基油とし、リチウム石けん若しくはウレア系増ちょう剤を使用したものである。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−372140号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
自動二輪車用の自動変速機として使用される乾式ベルト式無段変速機に組み込まれる駆動側回転軸1a及び上記従動側回転軸2aは、場合によって10000min−1 又はそれ以上の速度で回転する。又、これら各回転軸1a、2aには、無端ベルト10aの張力に基づくラジアル荷重、及び(又は)、無端ベルト10aの側縁が各プーリ素子12、13、17、18の内側面を押圧する事に基づくアキシアル荷重が、常に加わる。従って、上記各回転軸1a、2aを支持する転がり軸受3、3の使用条件は非常に厳しくなる。この為、上述の様な車輪支持用転がり軸受ユニット用のグリースでは、必ずしも十分な耐久性を確保できず、上記各転がり軸受3、3に、比較的早期に、剥離等の損傷を生じる可能性がある。そして、運転時に異音や振動を発生したり、著しい場合には焼き付きを生じる可能性がある。
【0015】
即ち、上記各転がり軸受の使用条件は、d n(ピッチ円直径d [mm]×回転速度n[min−1 ])が70〜80万を超える場合がある。この様な条件下で、上記車輪支持用転がり軸受ユニット用のグリースにより上記各転がり軸受3、3の潤滑を行なうと、これら各転がり軸受3、3のうちで転動体22を設置した空間23内の温度は、140℃程度まで上昇する。一方、上記各転がり軸受3、3に加わる荷重は、駆動側、従動側各プーリ6、6a、8、8aの幅を規制する為の(無端ベルト10、10aの側縁からの突っ張り力に基づく)アキシアル荷重、及び、無端ベルト10、10aの張力に基づくラジアル荷重であるが、これらの荷重は、上記各転がり軸受3、3の動定格荷重の10〜20%程度である。これらの事を考慮すれば、乾式ベルト式無段変速機に組み込まれる上記各転がり軸受3、3の使用条件は、高速・高荷重である。
【0016】
そこで発明者は、運転時に於ける上記各転がり軸受3、3の温度に着目して解析を重ねた結果、これら各転がり軸受3、3の発熱の原因は、外部からの熱の影響よりも、これら各転がり軸受3、3自身の発熱が主である事を突き止めた。そして、この発熱の程度は、これら各転がり軸受3、3に封入するグリースの種類により大きく変わる事を発見した。即ち、これら各転がり軸受3、3が常温から高速・高荷重下で回転すると、これら各転がり軸受3、3の内部の軌道面(外輪軌道及び内輪軌道)と各転動体22の転動面との転がり接触部に介在するグリース若しくはグリースから離油した油が油膜を形成して、これら各転がり接触部の潤滑を行なう。
【0017】
但し、この油膜の抵抗が適度でない場合には、これら各転がり接触部でかなりの熱を発生するものと考えられる。そして、この熱により、先ず、上記各転動体22が加熱されて膨張する。この場合に、内輪21及び外輪20が各転動体22と共に熱膨張すれば、特に問題は生じない。但し、外輪20に関しては、ハウジングに拘束されている等の要因により、上記各転動体22及び内輪21程は膨張しない為、上記各転がり軸受3、3の内部隙間が減少する。この結果、上記各転がり接触部の面圧が上昇して、これら各転がり接触部の油膜抵抗が更に大きくなり、発熱が益々増大する。そして、最終的には、これら各転がり接触部の油膜が破断し、これら各転がり接触部で金属接触に基づく早期剥離が発生して、異音、振動等が発生するものと考えられる。
【0018】
早期剥離に基づいて異音や振動が発生するメカニズムは、上述の様に考えられるが、前記車輪支持用転がり軸受ユニット用のグリースによっては、この様なメカニズムで生じる早期剥離を十分に防止できない事が、本発明者の研究により分かった。即ち、従来、乾式ベルト式無段変速機の回転支持部に設けた転がり軸受3、3に封入していた、上記車輪支持用転がり軸受ユニット用の、鉱油を基油とし、増ちょう剤としてリチウム石けん若しくはウレア系のものを使用したグリースでは、次の様に、上記メカニズムによる温度上昇を抑えられない。
【0019】
先ず第一に、増ちょう剤のウレアは、グリースに使われる増ちょう剤の中では、剪断安定性が良好である。この為、乾式ベルト式無段変速機の回転支持部に設けた転がり軸受3、3の様に、大きな剪断力が加わる場合には、剪断抵抗が大きくなり過ぎて、発熱量の増大に繋がると考えられる。次に、基油として使用する鉱油に就いては、圧力粘度係数(圧力による粘度変化)が比較的大きい。この為、高荷重・高速で使用された場合、前記軌道面と上記各転動体22の転動面との転がり接触部に存在する油の粘度は、EHL理論から考えて、相当上昇するものと考えられる。そして、この粘度上昇に基づき、上記各転がり接触部に存在する油膜の抵抗が大きくなり、上記発熱をより促進すると考えられる。
本発明の乾式ベルト式無段変速機は、この様な事情に鑑みて、乾式ベルト式無段変速機の回転支持部に設けた転がり軸受の温度上昇を抑えるべく発明したものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の乾式ベルト式無段変速機は、前述した従来から知られている乾式ベルト式無段変速機と同様に、駆動側回転軸と、駆動側プーリと、従動側回転軸と、従動側プーリと、無端ベルトとを備える。
このうちの駆動側回転軸は、ケーシング内に駆動側転がり軸受により回転自在に支持されている。
又、上記駆動側プーリは、上記駆動側回転軸の周囲に設けられたもので、この駆動側回転軸に、軸方向の変位を阻止され、且つ、この駆動側回転軸と同期して回転する状態で支持された駆動側固定プーリ素子と、上記駆動側回転軸に、軸方向移動を可能として、且つ、この駆動側回転軸と同期して回転する状態で支持された駆動側変位プーリ素子とを備える。
又、上記従動側回転軸は、上記ケーシング内に従動側転がり軸受により回転自在に支持されている。
又、上記従動側プーリは、上記従動側回転軸の周囲に設けられたもので、この従動側回転軸に、軸方向の変位を阻止され、且つ、この従動側回転軸と同期して回転する状態で支持された従動側固定プーリ素子と、この従動側回転軸に、軸方向移動を可能として、且つ、この従動側回転軸と同期して回転する状態で支持された従動側変位プーリ素子とを備えたものである。
又、上記無端ベルトは、上記従動側プーリと上記駆動側プーリとの間に掛け渡されている。
そして、上記従動側変位プーリ素子と上記駆動側変位プーリ素子とのうちの少なくとも一方の変位側プーリ素子を、当該変位側プーリ素子が対向する固定側プーリ素子に、弾性部材により押圧している。
更に、上記駆動側、従動側両転がり軸受の設置部分を含めて上記ケーシング内に潤滑油を流通させない状態で使用される。
特に、本発明の乾式ベルト式無段変速機に於いては、上記ハウジング内の回転支持部に設置した少なくとも1個の転がり軸受内に、リチウム石けんを増ちょう剤とし、エステル油を基油とし、この基油の粘度(動粘度)が40℃で20〜80mm/sであり、混和ちょう度が200〜300であるグリースを封入している。
【0021】
【作用】
上述の様に構成する本発明の乾式ベルト式無段変速機の場合、転がり軸受内に封入するグリースの耐久性を確保して、この転がり軸受の耐久性を確保できる。即ち、本発明の乾式ベルト式無段変速機の回転支持部に設けた転がり軸受内に封入したグリースの増ちょう剤として使用するリチウム石けんは、適度な剪断安定性を有する。この結果、グリース状を保持しつつ、高速剪断時(剪断力が高速で作用した場合)には、素早く軟化流動し、上記転がり軸受の発熱の原因となりにくいと考えられる。
【0022】
又、基油として使用するエステル油は、圧力粘度指数が比較的低く、高速・高荷重での油膜の抵抗が小さい。この為、上記転がり軸受の発熱の原因となりにくいと考えられる。又、上記エステル油は、一般的に極性が高い為、比較的低粘度であるにも拘らず、エステル分子が軌道面及び各転動体の転動面に良好に吸着し、これら各面同士の転がり接触部で金属接触が発生する事を効果的に防止するものと考えられる。
【0023】
但し、エステル油を使用した場合でも、基油としての粘度が高くなると、上記各転がり接触部に存在する油膜の強度が過大になり、油膜抵抗が大きくなって、これら各転がり接触部での発熱量が増大する原因となるものと考えられる。但し「日石レビュー第39巻、第2号、46−56、1997」に記載されている様に、エステル系化合物の圧力粘度指数は、パラフィン系鉱油の1/2程度であるから、高荷重・高速で使用された場合でも、粘度上昇は低く抑えられ、上記各転がり接触部に存在する油膜の抵抗の増大を抑えて、上記各転がり接触部での発熱量の増大を抑えられるものと考えられる。
【0024】
上記エステル油により構成する、グリースの基油の、40℃での動粘度は、20〜80mm /sとする。更に好ましくは、25〜50mm /s、最も好ましくは、25〜35mm /sとする。上記基油の粘度が20mm /s未満の場合には、転がり軸受の内部での発熱抑制の面からは好適であるが、基油の蒸発量抑制や耐熱性確保の面からは不利になる。その結果、転がり軸受の寿命を十分に確保する事が難しくなる為、好ましくない。逆に、上記基油の粘度が80mm /sを越えると、上述した様に油膜の強度が過大になり、各転がり接触部での発熱量が増大する。従って、基油の40℃での動粘度は、20〜80mm /s、好ましくは25〜50mm /s、より好ましくは、25〜35mm /sとする。
【0025】
又、上記グリースの基油としては、上述の様にエステル油が好適であるが、エステル油の中でも、その分子中に、脂環式炭化水素基や芳香族基を持たないものが好適である。分子中にこれら脂環式炭化水素基や芳香族基が存在すると、耐熱性の向上を期待できる反面、圧力粘度指数の上昇をもたらす。その結果、前述した様に、各転がり接触部に存在する油膜の抵抗が増大して、これら各転がり接触部での発熱量が増大する。従って、エステル油の中でも、脂肪族アルコールと脂肪酸から成るエステルが、上記基油として良好である。例示すれば、脂肪酸ジエステル油やネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等に代表される脂肪酸系のポリオールエステル油が挙げられる。
【0026】
尚、グリース組成物としての好ましい混和ちょう度は、200〜300である。この混和ちょう度が200未満の場合には、増ちょう剤としてリチウム石けんを使用しても剪断抵抗が大きくなり、上記各転がり接触部で著しく発熱する原因となる。これに対して、上記混和ちょう度が300を越えると、上記各転がり接触部で生じる剪断力によりグリースが軟化し、シールリングと相手面との隙間を通じてこのグリースが漏洩する可能性を生じる。これらの事を考慮して、上記混和ちょう度は200〜300、好ましくは220〜280、最も好ましくは、240〜270とする。
【0027】
グリース中への増ちょう剤の添加量は、上記範囲の混和ちょう度を得られる量とするが、一般的には5〜25重量%である。最も好ましい混和ちょう度(240〜270)を得る場合の添加量は、10〜20重量%である。
又、本発明の乾式ベルト式無段変速機の転がり軸受内に封入するグリース組成物には、各種添加剤を添加する事ができる。好ましくは、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤を添加する。添加量は、上述した作用・効果を阻害しない程度に納める。好ましくは、合計しても、グリース全量中の10重量%以下とする。
更に、上述の様なグリースは、上記転がり軸受のうちで転動体を設置した空間内に、この空間容積の10〜50%程度充填する。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の特徴は、乾式ベルト式無段変速機の回転支持部に組み込む各転がり軸受の耐久性を向上させるべく、これら各転がり軸受内に封入するグリースの組成を工夫した点にある。図面に表れる部分の構成及び作用は、前述の図1〜3に示した構造を含め、従来から知られている各種乾式ベルト式変速機と同様であるから、図示並びに説明は省略する。尚、乾式ベルト式無段変速機のハウジング内には、複数個の転がり軸受を組み込むが、上記組成を工夫したグリースは、少なくとも使用条件が最も厳しい転がり軸受に封入する。但し、好ましくは、ハウジング内に組み込む転がり軸受の全部に、上記グリース封入する。
【0029】
【実施例】
本発明の効果を確認する為に行なった実験に就いて説明する。
この実験では、非接触金属シールド付単列深溝型で、呼び番号が6210(内径=50mm、外径=90mm、幅=20mm)の玉軸受(動等価荷重6800N、基本定格荷重35000N)にグリースを、空間容積の35%封入した。そして、この玉軸受に5000Nのアキシアル荷重と100Nのラジアル荷重とを負荷した状態で、回転数12000min−1 で回転させた。試験温度は、室温雰囲気環境(20〜25℃)とした。上記玉軸受から異常音、異常振動が発生した時は、機能停止と判断して、その時点で試験を打ち切った。又、異常音、異常振動が発生しない場合でも、500時間で試験を打ち切った。この場合には、打ち切り直前に、外輪の温度を測定した。試験後、軸受重量を測定し、グリースの漏洩量を測定した。上記空間内に封入したグリースの種類と試験結果とを、次の表1に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004316846
【0031】
この表1中、比較例1に使用したグリースは、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニット用として一般的に使用されているグリースである。尚、本発明の技術的範囲に属する、実施例1〜3のグリースには、酸化防止剤として、アルキル化ジフェニルアミンを1重量%、防錆剤として、バリウムスルホネートを0.5重量%、腐食防止剤として、べンゾトリアゾール0. 05重量%を添加した。
この様な条件で行なった実験の結果を表した表1から明らかな通り、本発明によれば、乾式ベルト式無段変速機の回転支持部を構成する転がり軸受の耐久性を飛躍的に向上させる事ができる。
【0032】
又、図4は、グリースの混和ちょう度が500時間経過後のグリースの漏れ量に及ぼす影響を、図5は基油の動粘度が耐久時間に及ぼす影響を、それぞれ知る為に行なった実験の結果を示している。グリースの組成の基本としては、上記表1の実施例2に対応するものとし、それぞれ混和ちょう度又は基油の動粘度のみを変化させて、前述した条件で耐久試験を行なった。この様な結果を示す図4〜5から明らかなとおり、混和ちょう度を300以下に抑えれば、グリースの漏洩量を少なく(50%以下に)抑える事ができ、特に、好ましくは280以下、最も好ましくは270以下に抑えれば、上記漏洩量を十分に少なく抑えられる。又、基油の動粘度を20〜80mm /sにすれば、耐久時間を400時間以上確保でき、好ましくは25〜50mm /s、より好ましくは、25〜35mm /sにすれば、500時間以上確保できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成し作用する為、回転支持部に組み込んだ転がり軸受の耐久性を向上させて、この転がり軸受を含む乾式ベルト式無段変速機の耐久性向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる乾式ベルト式無段変速機の第1例を示す略断面図。
【図2】この乾式ベルト式無段変速機の回転支持部に組み込まれている転がり軸受の1例を示す部分略断面図。
【図3】本発明の対象となる乾式ベルト式無段変速機の第2例を示す略断面図。
【図4】グリースの混和ちょう度がグリースの漏れ量に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。
【図5】基油の動粘度が耐久時間に及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。
【符号の説明】
1、1a 駆動側回転軸
2、2a 従動側回転軸
3 転がり軸受
4 駆動源
5 発進クラッチ
6、6a 駆動側プーリ
7 駆動側アクチュエータ
8、8a 従動側プーリ
9 従動側アクチュエータ
10、10a 無端ベルト
11 減速歯車列
12 駆動側固定プーリ素子
13 駆動側変位プーリ素子
14 スリーブ
15 カム板
16 遠心ウェイト
17 従動側固定プーリ素子
18 従動側変位プーリ素子
19 圧縮コイルばね
20 外輪
21 内輪
22 転動体
23 空間
24 シール板

Claims (2)

  1. ケーシング内に回転自在に支持された駆動側回転軸と、この駆動側回転軸の周囲に設けられた駆動側プーリと、上記ケーシング内に回転自在に支持された従動側回転軸と、この従動側回転軸の周囲に設けられた従動側プーリと、この従動側プーリと上記駆動側プーリとの間に掛け渡された無端ベルトとを備え、上記駆動側プーリは、上記駆動側回転軸に、軸方向の変位を阻止され、且つ、この駆動側回転軸と同期して回転する状態で支持された駆動側固定プーリ素子と、上記駆動側回転軸に、軸方向移動を可能として、且つ、この駆動側回転軸と同期して回転する状態で支持された駆動側変位プーリ素子とを備えたものであり、上記従動側プーリは、上記従動側回転軸に、軸方向の変位を阻止され、且つ、この従動側回転軸と同期して回転する状態で支持された従動側固定プーリ素子と、この従動側回転軸に、軸方向移動を可能として、且つ、この従動側回転軸と同期して回転する状態で支持された従動側変位プーリ素子とを備えたものであり、上記ケーシング内に潤滑油を流通させない状態で使用される乾式ベルト式無段変速機に於いて、上記ハウジング内の回転支持部に設置した少なくとも1個の転がり軸受内に、リチウム石けんを増ちょう剤とし、エステル油を基油とし、この基油の動粘度が40℃で20〜80mm/sであり、混和ちょう度が200〜300であるグリースを封入した事を特徴とする乾式ベルト式無段変速機。
  2. エステル油が、その分子中に脂環式炭化水素基、芳香族基の何れも持たないものである、請求項1に記載した乾式ベルト式無段変速機。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006170340A (ja) * 2004-12-16 2006-06-29 Jtekt Corp V型プーリ無段変速機
JP2008025668A (ja) * 2006-07-19 2008-02-07 Koyo Sealing Techno Co Ltd 密封装置

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