JP2004316025A - 三次元交絡構造体及びその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の合成繊維を用いた三次元交絡構造体とは異なる、新しい風合いを有すると共に機能性、特に消臭機能と吸保湿機能に優れた三次元交絡構造体を提供する。
【解決手段】平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維を基体繊維とし、基体繊維の少なくとも一部が基体繊維の平均酢化度未満のセルロースアセテート及び又はセルロースに変性された繊維A、或いは更に繊維A以外の他の繊維Bを交絡要素として三次元交絡構造体とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セルロースアセテート繊維を基体繊維とし、優雅な光沢、発色性、ドライ感、更には適度な吸湿性、消臭性等の優れた機能が付与され、合成皮革や不織布として有用な三次元交絡構造体及びその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
合成皮革は、天然皮革に似せた製品で、その開発の歴史は古いが、近年の合成皮革としては、編織布や不織布等のシート地に多孔質被覆層や非多孔質被覆層を形成させたものが知られており、その製造方法も数多く提案されている。その中でも特に繊度0.6dtex以下の極細繊維を交絡要素に用いて三次元交絡構造体とすると、天然皮革に類似した優れた製品が得られる。
【0003】
しかしながら、従来の合成皮革が求めたものは、高級感のあるスエード調のものが主体であり、スエード調のみでは、嗜好や要求が非常に多様化している現在のニーズには必ずしも対応しきれない。特に、汎用感のあるワイルドな風合いを持ったものについては、対応が不十分であり、新規な風合いを有する合成皮革が求められている。
【0004】
かかる対応の一つとして、アクリル繊維及び他の繊維を用いた合成皮革が提案(特許文献1、特許文献2参照)されているが、風合いは改良されるものの、アクリル繊維を主体としているため、機能面、特に消臭機能、吸保湿機能に関しては要求を満足するものではなかった。また、一般に不織布の機能付与は、後加工に多く見られるが、耐久性が悪く、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等のバインダーが必要となり、繊維そのものの風合いが損なわれるといった問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−248471号公報
【特許文献2】
特開2002−45206号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解消するべく検討の結果なされたもので、本発明の目的は、従来の合成繊維を用いた三次元交絡構造体とは異なる、新しい風合いを有すると共に機能性、特に消臭機能と吸保湿機能に優れた三次元交絡構造体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維を基体繊維aとし、基体繊維aの少なくとも一部が基体繊維の平均酢化度未満のセルロースアセテート及び又はセルロースに変性された繊維A、或いは繊維A及び繊維A以外の他の繊維Bを、交絡要素とする三次元交絡構造体、及び、平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維からなる基体繊維a或いは基体繊維a及び他の繊維Bを交絡要素として三次元交絡構造体を形成した後、アルカリ処理を施し基体繊維aの少なくとも一部又は全部を基体繊維の平均酢化度未満のセルロースアセテート及び又はセルロースに変性することを特徴とする三次元交絡構造体の製法、にある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明における繊維Aを形成する基体繊維は、平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維であり、具体的には、平均酢化度56.2%以上62.5%以下のセルローストリアセテート繊維又は平均酢化度48.8%以上56.2%未満のセルロースジアセテート繊維である。かかる基体繊維のセルロースアセテート繊維は、平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテートを塩化メチレン等の溶剤或いは塩化メチレンとメタノール等の混合溶剤に溶解し、溶液濃度15〜30重量%、好ましくは18〜27重量%とした紡糸原液を調製し、紡糸原液をノズルへ供給し、高温雰囲気中に吐出する乾式紡糸法により製造する。
【0009】
本発明においては、基体繊維である平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維の一部又は全部が、基体繊維の平均酢化度未満のセルロースアセテート及び又はセルロースに変性された繊維Aを三次元交絡構造体の必須の交絡要素とし、繊維A以外の他の繊維Bを交絡要素として含みうる。
【0010】
本発明における交絡要素の繊維Aは、基体繊維のセルローストリアセテート繊維やセルロースジアセテート繊維をアルカリ処理によって鹸化し、基体繊維がセルローストリアセテート繊維であれば、セルローストリアセテートの一部又は全部が平均酢化度56.2%未満のセルロースアセテート或いは更にセルロースに、基体繊維がセルロースジアセテート繊維であれば、セルロースジアセテートの一部又は全部が平均酢化度48.8%未満のセルロースアセテート或いは更にはセルロースに変性した繊維Aを用いて、三次元交絡構造体としたものであってもよい。
【0011】
また、基体繊維のセルローストリアセテート繊維やセルロースジアセテート繊維を用いて三次元交絡構造体とした後、アルカリ処理によって鹸化し、基体繊維がセルローストリアセテート繊維であれば、セルローストリアセテートの一部又は全部が平均酢化度56.2%未満のセルロースアセテート或いは更にセルロースに、また基体繊維がセルロースジアセテート繊維であれば、セルロースジアセテートの一部又は全部が平均酢化度48.8%未満のセルロースアセテート或いは更にはセルロースに変性して繊維Aとしたものであってもよい。
【0012】
また、本発明において、交絡要素として用いうる繊維A以外の他の繊維Bとしては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリクラール繊維、ポリノジック繊維、レーヨン、キュプラ、プロミックス、木綿、麻、羊毛、絹等が挙げられる。
【0013】
本発明の三次元交絡構造体においては、交絡要素が繊維Aと繊維B或いは更に他の繊維とからなるときは、交絡要素に占める繊維Aは30重量%以上であることが好ましく、繊維A30重量%未満では、繊維Aによってもたらされる風合い、機能性、特に消臭機能と吸保湿機能が十分に発揮されない。
【0014】
また、本発明の三次元交絡構造体は、交絡要素が三次元的に交絡した構造体をなすものであるが、繊維Aのみからなる或いは繊維Aと繊維Bからなる交絡要素が補強材に交絡一体化されて構造体を構成することが好ましい。補強材としては、編物、織物或いは不織布の形態であってもよく、補強材の構成繊維として、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、セルロース繊維、セルロースアセテート繊維、木綿、羊毛、絹等が用いられる。またこれら構成繊維のうちでも熱収縮性、特に沸水収縮性を有するものであることが好ましい。編織布は、通常は目の粗い低目付のものでよく、例えば、編物の場合、ラッセル編物等が用いられる。不織布の場合、ポリオレフィンのスパンボンド、アクリル短繊維をニードルパンチングした不織布等も用いることができる。
【0015】
本発明の三次元交絡構造体は、次のごとき方法で製造することができる。
三次元交絡構造体の形成には、従来から不織シートの形成に採用されている方法が用いられ、湿式法又は乾式法のいずれの方法によってもよい。例えば、基体繊維のセルローストリアセテート繊維又はセルロースジアセテート繊維と他繊維のポリエステル繊維との不織シートを作製するには、各繊維の短繊維をカード機とウエッバーによりクロスウエブとしてもよいし、ランダムウエッバーでランダムウエブとしてもよく、この場合、繊維長25〜75mm程度の短繊維を用いる。また、不織シートの作製にあたっては、繊維をフロック状にカットした繊維長1〜25mmの短繊維を用い、通常の抄造プロセスにより不織シートとしてもよいし、更に後述する高圧液体噴射処理により短繊維同士を交絡させてもよい。また、フロック懸濁液を補強材上に流し、後述する高圧液体噴射処理により補強材と交絡させてもよい。また抄造プロセスによる不織シートは、少量の接着剤或いは水溶性ポリビニルアルコール繊維等の繊維状接着剤を用いて作製してもよい。
【0016】
不織シートの作製には、基体繊維aのセルローストリアセテート繊維又はセルロースジアセテート繊維と他の繊維Bを、基体繊維a/他繊維Bの重量比で100/0〜30/70の混率で用いることが好ましい。
【0017】
得られた不織シートを補強材に積層する場合は、好ましくは補強材が不織シートにて挟まれるように積層することが好ましい。補強材に不織シートを積層した後は、不織シート面より高圧液体噴射処理を行い、補強材を構成している繊維と不織シートを構成している繊維とを補強材と不織シート或いは不織シートと不織シートの間で相互に絡ませ交絡一体化する。
【0018】
高圧液体噴射処理法は、例えば、補強材と不織シートの積層体を実質的に表面平滑な支持部材上に、不織シート側を上にして載せ、10kg/cm以上の圧力で噴射される液体柱状流、液体扇形流、液体スリット流等を作用させることによって、補強材と不織シートを形成している繊維との交絡一体化処理を行う。ここで、実質的に表面平滑な支持部材とは、支持部材の模様が得られる三次元交絡構造体に形成されることなく、しかも、噴射された液体が速やかに除かれるようなものであれば、どのようなものでも用いることができる。例えば支持部材の具体例としては30〜200メッシュの金網又はプラスチックネット或いはロールネット等を挙げることができる。
【0019】
高圧液体噴射処理に用いる液体は、処理される繊維の溶剤以外なら何でもよいが、通常は水或いは温水が好ましく用いられる。噴射ノズルの孔径は、柱状流の場合、0.06〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.3mmの範囲である。ノズルの噴射孔と積層体の間の距離は、0.5〜10cm程度の範囲が適当である。液体の圧力は、10kg/cm以上、好ましくは15kg/cm以上で、交絡一体化処理は、通常数回行う。この場合、1回目よりも2回目以降の高圧液体噴射処理での圧力を高めることが有効である。
【0020】
不織シートと補強材の積層及び高圧液体噴射による交絡一体化処理は、複数回繰り返してもよい。即ち、不織シートと補強材の積層、高圧液体噴射処理を行った後、先に不織シートを積層した側に更に不織シートを積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよいし、出来つつある三次元交絡複合体を裏返し、反対側に不織シートを積層し、高圧液体噴射処理を行ってもよい。また、これらの操作を繰り返してもよい。更に、補強材が沸水収縮性の繊維で構成されるときは、三次元交絡複合体を沸水処理して補強材の構成繊維の熱収縮特性により収縮させ、交絡一体化をより強固なものとすることができる。
【0021】
本発明の三次元交絡構造体の製造には、好ましくは、前記の方法により得られた三次元交絡複合体を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ物質によるアルカリ処理によって基体繊維のセルローストリアセテート繊維又はセルロースジアセテート繊維を鹸化し、基体繊維がセルローストリアセテート繊維であれば、セルローストリアセテートの一部又は全部を元のセルローストリアセテートの平均酢化度未満のセルロースアセテート或いは更にセルロースに、基体繊維がセルロースジアセテート繊維であれば、セルロースジアセテートの一部又は全部を元のセルロースジアセテートの平均酢化度未満のセルロースアセテート或いは更にセルロースに、それぞれ変性する。
【0022】
基体繊維のアルカリ処理にての鹸化による変性化度、或いはそれらの変性部分の割合は、不織シートにおける基体繊維の割合、不織シートの目付、積層数、補強材との交絡度等に基づく不均質な鹸化反応により生じ、目的とする風合い、機能性、特に消臭機能と吸保湿機能に応じ、アルカリ処理において用いるアルカリ物質、処理液のアルカリ濃度、処理温度、時間等を適宜変更することができる。好ましくは、アルカリ処理においては、基体繊維の平均酢化度のセルロースアセテート、平均酢化度未満のセルロースアセテート及びセルロースが存在するように処理することが望ましい。アルカリ処理は、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液への浸漬によって行い、鹸化による変性化度は、アルカリ減量率を目安にすることが好ましい。また、形成された三次元交絡構造体に割繊処理を施すことにより、ソフトな風合い、かつ嵩高性に富んだ三次元交絡構造体にすることもできる。
【0023】
本発明の三次元交絡構造体は、従来のアクリル繊維等を用いた三次元交絡構造体では得られなかった消臭機能、吸保湿といった機能性を、後加工なしに付与することが可能である。また本発明の三次元交絡構造体は、ポリウレタン、合成ゴム、アクリル酸エステル重合体等の弾性重合体を用いて、不織布シート或いは人工皮革とすることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における評価方法、測定方法は、次のとおりである。
【0025】
(風合い評価)
三次元交絡構造体のドライ感等を手触りの官能試験により評価し、良好〜劣るの判定を◎、○、△、×で示した。
【0026】
(消臭率)
消臭評価の臭気成分として、イソ吉草酸、酢酸、アンモニア、ノネナール(C19O)を選定した。温度20℃、湿度65%の雰囲気下に24時間静置した試料1gを、臭気成分のイソ吉草酸或いは酢酸のガス濃度が50ppmになるように調整した370mlの三角フラスコ中に封入し、1時間放置後、検知管(北川式ガス検知器)にてフラスコ内のガス濃度を測定した。対象として、試料が未封入である以外は同様の測定を行い、1時間放置後のフラスコ内のガス濃度を測定した。消臭率は、対象ガス濃度に対する試料封入のガス濃度の割合から算出した。臭気成分がアンモニアの場合、上記の評価方法においてアンモニアガス濃度が110ppmになるように調整する以外は同様に評価した。また臭気成分がノネナールの場合、温度20℃、湿度65%の雰囲気下に24時間静置した試料1gを、ノネナールのガス濃度が30ppmになるように調整した125mlのガラス製バイアル瓶に封入し、2時間放置後、ガスクロマトグラフにてノネナールのガス濃度を測定した。対象として、試料が未封入である以外は同様の測定を行い、ガスクロマトグラフのピーク面積から相対消臭率を算出した。
【0027】
(吸湿率)
試料約5gを、温度40℃、湿度90%の雰囲気下に24時間放置後、採取し、その質量及び絶乾質量を測定し、次式にて吸湿率Aa(%)を算出した。同様に、温度20℃、湿度65%の雰囲気とする以外は評価方法が同じである吸湿率Abも次式にて算出した。これら吸湿率が高いほど鹸化による変性化度が高いことが判る。
吸湿率Aa又はAb(%)=〔(採取時の質量−絶乾質量)/絶乾質量〕×100
【0028】
(アルカリ減量率)
アルカリ処理前の乾燥試料重量(Wb)、アルカリ処理後の乾燥試料重量(Wa)をそれぞれ測定し、次式で算出した。
減量率(%)=〔(Wb−Wa)/Wb〕×100
【0029】
(実施例1〜10)
基体繊維(繊維a)として平均酢化度61.1%のセルローストリアセテート繊維の短繊維(単繊維繊度0.8dtex、繊維長5mm)又は平均酢化度55.2%のセルロースジアセテート繊維の短繊維(単繊維繊度1dtex、繊維長5mm)を用い、他の繊維(繊維B)の短繊維(単繊維繊度0.1dtex、繊維長3mm)と、表1に示す重量比で混合し、抄造プロセスにより目付20g/mの不織シート(抄造シート)を作製した。この抄造シートの作製に当たっては、バインダーとして水溶性ポリビニルアルコール系繊維を5重量%用いた。なお、表1中、ポリエステル繊維とあるはポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維とあるはナイロン6繊維を意味する。
【0030】
補強材として沸水収縮率32%のポリエチレンテレフタレートフィラメント糸(82dtex/36フィラメント)からなる目付40g/mの天竺編物を用い、編物上に作製した抄造シートを載置し、これを80メッシュの金網上に載置して、抄造シート層側から、孔径0.125mmのノズルを用いて、20kg/cm、30kg/cm、50kg/cmの圧力の順に3回高圧噴射水流処理を行った。その後このシートを反転し、抄造シートを新たに載置し、同様に20kg/cm、30kg/cm、50kg/cmの圧力の順に3回高圧噴射水流処理を行った。更にその上に抄造シートを新たに載置し、同様の高圧噴射水流処理を繰り返した。
【0031】
次いで、作製した複合シートを沸水中で2分間処理して幅方向及び長手方向に25%収縮させ、乾燥して三次元交絡構造体を得た。次いで、得られた三次元交絡構造体を下記条件にて処理浴に浸漬してアルカリ処理を施した。得られた三次元交絡構造体の風合いを表1に、吸湿性能を表2に、消臭性能(実施例2、6で代表)を表3にそれぞれ示した。
アルカリ水溶液:水酸化ナトリウム1重量%水溶液
処理温度 :60℃
処理時間 :10分
浴比 :1:100
【0032】
かかるアルカリ処理によれば、三次元交絡構造体の交絡要素である基体繊維のセルローストリアセテート繊維又はセルロースジアセテート繊維は、それらの存在する部位の繊維及び繊維での部位により拘束状態を異にし不均質な鹸化を生じ、基体繊維全体からみれば、それぞれ元の平均酢化度のままのセルロースアセテート部、元の平均酢化度未満のセルロースアセテート部、セルロース部が混在する繊維Aとなり、また三次元交絡構造体の内部側に存在する繊維Aほど元の平均酢化度のままの或いは元の平均酢化度に近い平均酢化度のセルロースアセテートの割合が高く、外側に存在する繊維Aほどセルロースの割合の高いものであった。
【0033】
(比較例1〜2)
アクリル繊維の短繊維(単繊維繊度0.5dtex、繊維長5mm)、ポリエステル繊維の短繊維(単繊維繊度0.5dtex、繊維長5mm)を用い、バインダーとして水溶性ポリビニルアルコール系繊維を5重量%用いて、それぞれ目付20g/mのアクリル繊維の抄造シート、ポリエステル繊維の抄造シートを作製した。作製したこれらの抄造シートを用い、実施例1〜10と同様にして複合シートとした後、沸水中で2分間処理して幅方向及び長手方向に20%収縮させ、乾燥して三次元交絡構造体をそれぞれ得た。得られた三次元交絡構造体の風合いを表1に、吸湿性能を表2に、消臭性能を表3に示した。
【0034】
(比較例3〜4)
実施例1〜10において、基体繊維のセルローストリアセテート繊維又はセルロースジアセテート繊維と他繊維との混合比(重量比)を表1に示すように変えた以外は、実施例1〜10と同様にして、複合シート化、アルカリ処理を含む処理により、三次元交絡構造体をそれぞれ得た。得られた三次元交絡構造体の風合いを表1に、吸湿性能を表2に、消臭性能を表3に示した。
【0035】
【表1】
Figure 2004316025
【0036】
【表2】
Figure 2004316025
【0037】
【表3】
Figure 2004316025
【0038】
【発明の効果】
本発明の三次元交絡構造体は、平均酢化度が最大62.5%のセルローストリアセテートから平均酢化度0%のセルロースまで適宜変性された繊維を少なくとも交絡要素とするものであり、いわばセルローストリアセテート繊維、セルロースジアセテート繊維、低酢化度セルロースアセテート繊維、セルロース繊維に基づく、優雅な光沢、発色性、ドライ感といった従来の合成繊維を用いた三次元交絡構造体にはみられない風合いを有するものであり、また、後加工での機能性の付与を必要とせずに、消臭機能、吸保湿機能を発揮するものである。また、本発明の三次元交絡構造体は、その風合い、機能面から、不織布シート或いは人工皮革の素材シートとして極めて有用なるものであり、不織布シート及び人工皮革における用途の展開に大きく貢献するものである。

Claims (5)

  1. 平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維を基体繊維aとし、基体繊維aの少なくとも一部が基体繊維の平均酢化度未満のセルロースアセテート及び又はセルロースに変性された繊維A、或いは繊維A及び繊維A以外の他の繊維Bを、交絡要素とする三次元交絡構造体。
  2. 交絡要素に占める繊維Aが30重量%以上である請求項1に記載の三次元交絡構造体。
  3. 交絡要素が、補強材に交絡一体化されてなる請求項1又は2に記載の三次元交絡構造体。
  4. 平均酢化度48.8〜62.5%のセルロースアセテート繊維からなる基体繊維a或いは基体繊維a及び繊維A以外の他の繊維Bを交絡要素として三次元交絡構造体を形成した後、アルカリ処理を施し基体繊維aの少なくとも一部又は全部を基体繊維の平均酢化度未満のセルロースアセテート及び又はセルロースに変性することを特徴とする三次元交絡構造体の製法。
  5. 基体繊維a及び他の繊維Bを、a/B重量比で100/0〜30/70の混率で用いる請求項4に記載の三次元交絡構造体の製法。
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