JP2004315354A - 無アルカリガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】歪点を顕著に高くすることなく、加熱処理の際に発生するコンパクションを低減することができる無アルカリガラスの提供。
【解決手段】徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.64未満であることを特徴とする無アルカリガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ用基板、フォトマスク用基板に好適な無アルカリガラスに関する。
従来、ディスプレイ用基板、特にその表面に電極や薄膜トランジスタ(TFT)等を形成するために、金属または酸化物の薄膜が形成されるディスプレイ用基板に使用されるガラスは、アルカリ金属酸化物を実質的に含有しない無アルカリガラスであることが求められている。このようなディスプレイ用基板に好適な無アルカリガラスが、特許文献1〜6に開示されている。
ディスプレイ用基板に使用されるガラスは、無アルカリガラスであることに加えて、(1)薄膜形成工程における加熱によるガラス基板の変形、特に熱収縮(コンパクション)が少ないこと、(2)ガラス基板上に形成されたSiOx やSiNx のエッチングに用いられるバッファードフッ酸(フッ酸とフッ化アンモニウムの混合液)に対する耐久性(耐BHF性)が高いこと、(3)ガラス基板上に形成された金属電極またはITO(スズがドープされたインジウム酸化物)のエッチングに用いられる硝酸、硫酸、塩酸、等のエッチングに対する耐久性(耐酸性)が高いこと、(4)アルカリ性のレジスト剥離液に対する充分な耐久性を有すること、(5)ディスプレイの軽量化のために比重(密度)が小さいこと、(6)ディスプレイ製造工程における昇降温速度を大きくし、また耐熱衝撃性を向上させるために膨張係数が小さいこと、(7)失透しにくいこと等、が求められる。
これらディスプレイ用基板に使用される無アルカリガラスに求められる特性のうち、(1)、すなわち薄膜形成行程における加熱によるガラス基板の変形および/またはコンパクションの低減に関して、特許文献1〜6に記載の無アルカリガラスを含めて、従来の無アルカリガラスでは、ガラスの歪点を高くすることで対応している。しかしながら、歪点を高くすると、溶解、成形といったガラスの製造プロセスをより高温で実施することが必要となる。これはすなわち、溶融炉のようなガラス製造プロセスで使用する設備をより高温での使用に耐えうるものにすることが必要となり、また、設備の寿命が短かくなるので好ましくない。
液晶ディスプレイの駆動回路としてガラス基板上に形成される薄膜トランジスタ(TFT)は、アモルファスシリコン膜から製造されるTFT(a−Si TFT)から、低温プロセスを用いて多結晶シリコン膜から製造させるTFT(p−Si TFT)へと移行が進んでいる。しかしながら、a−Si TFTに比べて、p−Si TFTでは、薄膜形成行程をより高温で実施することが必要である。これは、ガラス基板の歪点をさらに高くすることが必要であることを意味し、製造プロセスはさらに高温で実施することが必要となる。また、p−TFTへの移行の主な理由の1つは、ディスプレイの高精細化および高性能化であり、ディスプレイ用基板にはより高い表面精度が求められる。このこともまた、コンパクションの低減が求められる理由である。
特開平8−109037号公報 特開平9−169539号公報 特開平10−72237号公報 特表2001−506223号公報 特開2002−29775号公報 特表2003−503301号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するため、歪点を顕著に高くすることなしに、ディスプレイ基板として使用する際の薄膜形成行程のような、加熱処理の際に発生するコンパクションを低減することができる無アルカリガラスを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、下記特性をも有する無アルカリガラスを提供することを第2の目的とする。
・耐BHF性が高い。
・耐酸性が高い。
・アルカリ性のレジスト剥離液に対する充分な耐久性を有する。
・比重(密度)が小さい。
・膨張係数が小さい。
・失透しにくい。
上記目的を達成するため、本発明は、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.64未満であることを特徴とする無アルカリガラスを提供する。
また、本発明は、主として以下の構成要素よりなる無アルカリガラスを提供する。
68%≦SiO2 ≦80%
0%≦Al2 3 <12%
0%<B2 3 <7%
0%≦MgO≦12%
0%≦CaO≦15%
0%≦SrO≦4%
0%≦BaO≦1%
5%≦RO≦18%
ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
さらにまた、本発明は、主として以下の構成要素よりなり、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.64未満であることを特徴とする無アルカリガラスを提供する。
68%≦SiO2 ≦80%
0%≦Al2 3 <12%
0%<B2 3 <7%
0%≦MgO≦12%
0%≦CaO≦15%
0%≦SrO≦4%
0%≦BaO≦1%
5%≦RO≦18%
ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記(Δan-st /α50-350)は0以上3.5以下であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記SiO2 の含有割合が68%≦SiO2 ≦75%であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記Al2 3 の含有割合が5%≦Al2 3 ≦11.5%であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記B2 3 の含有割合が2%≦B2 3 <7%であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記MgOの含有割合が3%≦MgO≦10%であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記CaOの含有割合が0.5%≦CaO≦12%であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、前記ROの割合が5.5%≦RO≦18%であることが好ましい。
本発明の無アルカリガラスにおいて、液相温度における粘度ηL が、103.8 dPa・s以上であることが好ましい。
さらにまた、本発明は、主として以下の構成要素よりなり、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.5以下であり、
液相温度における粘度ηL が、103.8 dPa・s以上であることを特徴とする無アルカリガラスを提供する。
68%≦SiO2 ≦72.5%
8%≦Al2 3 ≦10.5%
4.5%≦B2 3 <7%
3%≦MgO≦10%
2.5%≦CaO≦7%
0%≦SrO≦4%
0%≦BaO≦1%
5.5%≦RO≦18%
ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
本発明のガラスは、歪点を顕著に高くすることなしに、加熱処理の際に生じるコンパクションを低減することができる。したがって、溶融、成型といったガラス製造プロセスの温度を(顕著に)上げることなく、ディスプレイ用基板での薄膜形成工程等の加熱処理の際に発生するコンパクションを、ディスプレイ用基板に要求されるレベル以下にすることができる。
したがって、本発明のガラスは、ディスプレイ用基板、特に、その表面にp−Si TFTが形成されるアクティブマトリクス型LCDディスプレイ用基板のような、比較的高温で加熱処理されるにもかかわらず、高い表面精度が要求されるディスプレイ用基板として好ましい。
また、コンパクションが同一であったとしても、ガラス基板のサイズが大きくなるほど、基板全体としての熱収縮の量が大きくなるので、本発明のガラスでのコンパクションの低減による効果は、大型のディスプレイ用基板において特に著しい。
本発明のガラスは、ディスプレイ用ガラス基板として好適な様々な特性を有している。すなわち、低比重(低密度)のゆえに液晶ディスプレイ等のディスプレイを軽量化でき、また低膨張係数のゆえにその製造効率を上げることができる。さらに、ITO等のエッチングに用いられる塩酸等に対する耐久性に優れ、また、SiOx やSiNx のエッチングに用いられるバッファードフッ酸に対する耐久性に優れるディスプレイ基板を提供できる。加えて、失透しにくいガラスが得られ、製造効率を上げることができる。
本発明の無アルカリガラス(以下本発明のガラスという。)は実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない。具体的には、アルカリ金属酸化物の含有量の合計が、好ましくは0.5モル%以下である。
本発明のガラスは、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.64未満であることを特徴とする。
コンパクション(compaction)とは、加熱処理の際に、ガラス構造の緩和によって発生するガラスの熱収縮である。コンパクションは、密度変化から下記式で導くことができる。
C=(1−(d0 /d)1/3 )×106
C :コンパクション(ppm)
0 :加熱処理前のガラス密度(g/cm3
d :加熱処理後のガラス密度(g/cm3
ここから、ガラスの温度変化による密度変化を小さくすれば、コンパクションを低減できることになる。
本発明者らは、鋭意検討した結果、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域におけるガラスの平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)をある特定の値よりも小さくすれば、歪点を顕著に高くすることなしに、加熱処理の際に生じるコンパクションを低減できることを見いだした。
なお、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域において、平衡密度曲線はほぼ直線に近似することができる。従って、本発明において、Δan-st はこの直線の傾きを意味する。
本発明のガラスは、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.64未満であることにより、加熱処理の際に生じるコンパクションが低減される。具体的には、例えば、後述する実施例で用いた下記手順で求められるコンパクションが190ppm未満である。
コンパクションの特定
溶融ガラスを板状に成形した後、徐冷点付近の温度で1時間保持してから降温速度1℃/分で室温まで徐冷する。得られたガラスを、所定の形状に加工した後、900℃まで加熱し、該温度で1分間保持した後、降温速度100℃/分で室温まで冷却して試料Aを得る。次に、試料Aをガラスの粘度が17.8dPa・sとなる温度(理論値)まで昇温速度100℃/時で加熱し、該温度で8時間保持した後、降温速度100℃/時で徐冷して試料Bを得る。得られる試料A、B密度(dA、dB)を重液法で決定する。コンパクションC(ppm)は、このようにして得られる密度(dA、dB)と下記式を用いて算出することができる。
C=(1−(dA/dB)1/3 )×106
重液法とは、ブロモホルムとペンタクロロエタンをガラスの密度とほぼ等しくなるように混合した液を用い、これを入れたガラスビンを温度勾配を持たせた水槽に入れ、ガラス試料がとどまる位置を測定することによりガラスの密度を測定する方法である。アルキメデス法で予め測定し、密度値既知の標準サンプルと比較することで対象となるガラスの密度値を決定する。
ガラスの粘度が17.8dPa・sとなる温度(理論値)は、徐冷点(粘度:13.0dPa・s)および歪点(粘度:14.5dPa・s)を用いて、横軸を1000/T(K)、縦軸を粘度(dPa・s)としてアレニウスプロットにて得ることができる。
Δan-st /α50-350は、好ましくは3.50以下である。Δan-st /α50-350が3.50以下であると、上記手順で求められるコンパクションが180ppm以下にもなりうる。上記手順で求められるコンパクションが180ppm以下であれば、歪点を顕著に高くすることなしに、加熱処理の際に発生するコンパクションが十分に低減されることになる。歪点が上昇すると、ガラス溶解粘性が上昇し、溶融炉等、ガラスの製造プロセスに使用する設備をより高温での使用に耐えうるものへと変更することが必要になるが、本発明のガラスは、この問題が解消されている。
Δan-st /α50-350は、より好ましくは3.40以下であり、さらに好ましくは3.20以下であり、さらに好ましくは3.00以下であり、2.80以下であることが特に好ましい。
本発明のガラスは、Δan-st /α50-350が0以上3.64未満になるように、ガラスの構成成分、具体的には下記7成分の組成比を選択することで好適に製造することができる。
無アルカリガラスは、主として以下の7成分で構成される。
SiO2 ,Al2 3 ,B2 3
MgO,CaO,SrO,BaO
上段に記載した3成分は、主としてガラスを形成する成分であり、下段に記載した4成分は、ガラスを溶かすための融剤成分である。
本発明者らは、ガラスにおける上記7成分の含有割合を変えて実験を行い、上記7成分と、Δan-st /α50-350と、の間には、以下の関係があることを見いだした。
Δan-st /α50-350 小 SiO2 <Al2 3 <B2 3
小 MgO<CaO<SrO 大
さらに、物性を考慮すると以下の関係が成り立つことが推定される。
小 MgO<CaO<SrO<BaO 大
本発明者らは、Δan-st /α50-350が0以上3.64未満になることに加えて、ディスプレイ基板に使用される無アルカリガラスに要求される他の特性、例えば耐BHF性、耐酸性、アルカリ性のレジスト剥離液に対する耐久性、耐衝撃性、失透しにくさ等の観点からも検討し、以下に示す本発明の無アルカリガラスの好適組成を見いだした。
68%≦SiO2 ≦80%
0%≦Al2 3 <12%
0%<B2 3 <7%
0%≦MgO≦12%
0%≦CaO≦15%
0%≦SrO≦4%
0%≦BaO≦1%
5%≦RO≦18%
ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
次に本発明のガラスの組成について、モル%を単に%と表記して説明する。
SiO2 はネットワークフォーマであり、必須である。上記したように、SiO2 は、ガラスを形成する3成分(SiO2 、Ai2 3 、B2 3 )中、Δan-st /α50-350を最も小さくする。そのため、本発明のガラスは、SiO2 の含有割合が高いことが好ましい。具体的には、本発明のガラスは、SiO2 の含有割合が68%以上80%以下である。SiO2 の含有割合が80%超ではガラスの溶解性が低下し、また失透しやすくなる。好ましくは75%以下、より好ましくは74%以下、さらに好ましくは73%以下、さらに好ましくは72.5%以下であり、特に好ましくは72%以下である。SiO2 の含有割合が72.5%以下であると、ガラスの成形性および失透温度の低減に特に優れる。但し、68%未満では比重増加(密度増加)、歪点低下、膨張係数増加、耐酸性低下、耐アルカリ性低下、または耐BHF性低下が起る。好ましくは69%以上、より好ましくは70%以上である。
Al2 3 は、必須ではないがガラスの分相を抑制し、また歪点を高くするため、含有することが好ましい。但し、上記したように、Al2 3 はガラスを形成する3成分中、SiO2 に比べてΔan-st /α50-350を大きくする。そのため、本発明のガラスはAl2 3 の含有割合が低いことが好ましい。具体的には、本発明のガラスは、Al2 3 の含有割合が0%以上12%未満である。Al2 3 の含有割合は、好ましくは11.5%以下であり、より好ましくは11.0%以下であり、さらに好ましくは10.5%以下であり、さらに好ましくは10.0%以下であり、9.5%以下であることが特に好ましい。下限値は特に限定されないが、分相抑制のためには適量添加することが好ましく、5%以上であることが好ましい。Al2 3 が5%以上であると、ガラスの分相を抑制する効果、および歪点を高める効果に優れている。好ましくは6%以上、より好ましくは7%以上、さらに好ましくは7.5%以上、特に好ましくは8%以上である。Al2 3 が8%以上であると、ガラスの分相を抑制する効果、および歪点を高める効果が特に優れている。
SiO2 とAl2 3 の含有量の合計は76%以上であることが好ましい。76%以上であると歪点を高める効果に優れている。より好ましくは77%以上、特に好ましくは79%以上である。
2 3 は比重(密度)を小さくし、耐BHF性を高くし、ガラスの溶解性を高くし、失透しにくくし、また膨張係数を小さくする成分であり、必須である。但し、上記したように、ガラスを形成する3成分中、Δan-st /α50-350を最も大きくする。そのため、本発明のガラスはB2 3 の含有割合が低いことが好ましい。B2 3 は化学物質管理促進法の指定化学物質であるので、B2 3 の含有割合が低いことは環境への影響を考えても好ましいことである。具体的には、本発明のガラスはB2 3 の含有割合が0%超7%未満である。下限値は特に限定されないが、2%以上であることが好ましい。2%以上であると、比重(密度)がより小さく、耐BHF性およびガラスの溶解性に優れており、膨張係数を小さくする効果が優れており、かつより失透しにくくなる。好ましくは3%以上、より好ましくは4%以上、さらに好ましくは4.5%以上であり、最も好ましくは5%以上である。B2 3 の含有割合が、4.5%以上であると、成形性、失透温度の低減および耐BHF性に特に優れる。また、基板の軽量化にも寄与する。
SiO2 とB2 3 の含有量の合計SiO2 +B2 3 は75%以上であることが好ましい。75%以上であると、比重(密度)および膨張係数が適度な値である。より好ましくは77%以上、さらに好ましくは78%以上、最も好ましくは79%以上である。
Al2 3 の含有量をB2 3 の含有量によって除したAl2 3 /B2 3 は2.0以下であることが好ましい。2.0以下であると、耐BHF性に優れている。より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.5以下である。また、Al2 3 /B2 3 は0.8以上であることが好ましい。0.8以上であると、歪点を高める効果に優れている。より好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.0以上である。
Al2 3 とB2 3 の含有量の合計をSiO2 の含有量によって除した(Al2 3 +B2 3 )/SiO2 は0.32以下であることが好ましい。0.32超では耐酸性が低下するおそれがある。より好ましくは0.31以下、特に好ましくは0.30以下、最も好ましくは0.29以下である。
MgOは必須ではないが、比重(密度)を小さくし、ガラスの溶解性を高くするため、含有することが好ましい。12%超ではガラスが分相しやすくなる、失透しやすくなる、耐BHF性が低下する、または耐酸性が低下する。なお、ガラスの分相抑制、失透防止、耐BHF性および耐酸性の向上という観点から、MgOの含有割合は10%以下であることが好ましい。また、MgOの含有割合が10%以下であると、ガラスの溶解性に優れている。下限値は特に限定されないが、上記したように、ガラスを溶融させる融剤成分(MgO,CaO,SrO,BaO)中、Δan-st /α50-350を最も小さくすることから、本発明のガラスは、MgOの含有割合を大きくすることが好ましい。具体的には、本発明のガラスは、MgOの含有割合が2%以上であることが好ましい。より好ましくは、3%以上であり、さらに好ましくは4%以上であり、さらに好ましくは5%以上であり、6%以上であることが特に好ましい。
CaOは必須ではないが、比重(密度)を小さくするため、ガラスの溶解性を高くするため、または失透しにくくするために15%まで含有してもよい。15%超では、比重増加(密度増加)または膨張係数増加が起るおそれがあり、また、かえって失透しやすくなるおそれがある。CaOは、好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは7%以下であり、最も好ましくは6%以下である。CaOを含有する場合、その含有量は0.5%以上であることが好ましい。より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上であり、特に好ましくは2.5%以上である。CaOの含有割合が2.5%以上7%以下であると、ガラスの溶解性を高めつつ、失透特性を向上させるうえで特に優れている。
MgOの含有量をMgOとCaOの含有量の合計によって除したMgO/(MgO+CaO)は0.2以上であることが好ましい。0.2以上であると、比重(密度)および膨張係数が適度な値であり、Δan-st /α50-350を最小化するのに好ましく、かつヤング率を増大するのにも好ましい。より好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.4以上である。
SrOは、必須ではないがガラスの分相を抑制し、また失透しにくくする成分であり、以下に述べる理由により含有することが好ましい。
上記したように、ガラスを溶融させる融剤成分(MgO,CaO,SrO,BaO)中、MgOはΔan-st /α50-350を小さくすることから、本発明のガラスは、MgOの含有割合を大きくすることが好ましい。しかしながら、MgOを多く含有させると、ガラスが比較的失透しやすくなる。本発明者らは、ガラスにSrOを適度な量含有させると、ガラスを失透させることなしに、MgOの含有量を高くすることができることを見いだした。但し、SrOは、4%超ではガラスの比重(密度)が大きくなりすぎる。好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下である。但し、ガラスを失透させることなしに、MgOの含有量を高めるためには、0.1%以上含有することが好ましい。より好ましくは0.5%以上であり、さらに好ましくは1%以上であり、さらに好ましくは1.5%以上であり、2%以上であることが特に好ましい。
BaOは必須ではないが、ガラスの分相を抑制し、また失透しにくくするために1%まで含有してもよい。1%超では比重(密度)が大きくなりすぎる。好ましくは0.5%以下である。比重(密度)をより小さくしたい場合はBaOを含有しないことが好ましい。BaOは、化学物質管理促進法で劇物に指定されているため、BaOを含有しないことは環境への影響を考えても好ましいことである。
SrOとBaOの含有量の合計SrO+BaOは6%以下であることが好ましい。6%超では比重(密度)が大きくなりすぎるおそれがある。より好ましくは4%以下である。比重をより小さくしたい場合、またはSiO2 +B2 3 が79%以下の場合、SrO+BaOは好ましくは4%以下、より好ましくは3%以下である。なお、より失透しにくくしたい場合には、SrO+BaOは0.5%以上であることが好ましく、より好ましくは1%以上であり、さらに好ましくは2%以上である。
本発明のガラスは、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有割合の合計、すなわちMgO+CaO+SrO+BaO(RO)が、5%以上18%以下である。ROが18%超であると、比重(密度)が大きくなりすぎるおそれがあり、また、膨張係数が大きくなりすぎるおそれがある。ROは、16.5%以下であることが好ましい。16.5%以下であれば、比重および膨張係数が適度な値である。
また、MgO+CaO+SrO+BaOは5%未満では、ガラスの溶解性が低下するおそれがある。より好ましくは5.5%以上、さらに好ましくは6%以上、特に好ましくは7%以上である。
本発明のガラスは実質的に上記成分からなるが、その他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。前記その他の成分の含有量の合計は10モル%以下であることが好ましい。より好ましくは5%以下である。
前記その他成分として次のようなものが挙げられる。すなわち、SO3 、F、Cl、SnO2 等を、溶解性、清澄性、成形性を向上させるために、下記範囲で適宜含有してもよい。
SO3 0〜2モル%、好ましくは0〜1モル%
F 0〜6モル%、好ましくは0〜3モル%
Cl 0〜6モル%、好ましくは0〜4モル%
SnO2 0〜4モル%、好ましくは0〜1モル%
なお、これらを含有させる場合、含有量の合計が10モル%まで、好ましくは5モル%まで、より好ましくは3モル%まで、特に好ましくは2モル%まで、更に好ましくは1ppm〜2モル%の範囲である。
また、同様の理由によりFe2 3 、ZrO2 、TiO2 、Y2 3 等を下記範囲で適宜含有してもよい。
Fe2 3 0〜1モル%、好ましくは0〜0.1モル%
ZrO2 0〜2モル%、好ましくは0〜1モル%
TiO2 0〜4モル%、好ましくは0〜2モル%
2 3 0〜4モル%、好ましくは0〜2モル%
CeO2 0〜2モル%、好ましくは0〜1モル%
なお、上記その他の成分を含有させる場合、含有量の合計(SO3 +F+Cl+SnO2 +Fe2 3 +ZrO2 +TiO2 +Y2 3 +CeO2 )が15モル%まで、好ましくは10モル%まで、より好ましくは5モル%まで、特に好ましくは3モル%まで、更に好ましくは1ppm〜3モル%の範囲である。
なお、環境およびリサイクルを考慮すると、As2 3 、Sb2 3 、PbO、ZnOおよびP2 5 は実質的に含有しないことが好ましい。すなわち、これら5成分の含有量はそれぞれ0.1%以下であることが好ましい。これら5成分の含有量は、合計で0.1%以下であることがより好ましい。
但し、ZnOについては、特にフロート法による成形を行う場合は実質的に含有しないことが好ましいが、その他の成形法、たとえばダウンドロー法による成形を行う場合には0.1%を超えて適宜含有してもよい。特に、失透しにくくしたい場合には、2%までの範囲で含有することが好ましい。2%超では比重(密度)が大きくなりすぎるおそれがある。
また、As2 3 、Sb2 3 、特にSb2 3 については、より清澄性を向上させたい場合には0.1%を超えて適宜含有してもよい。
TiO2 はフロート法による成形を行う場合は実質的に含有しないことが好ましいが、その他の成形法、たとえばダウンドロー法による成形を行う場合には0.1%を超えて適宜含有してもよい。特に、失透しにくくしたい場合には、2%までの範囲で含有することが好ましい。2%超では比重(密度)が大きくなりすぎるおそれがある。
本発明のガラスの比重(密度)は2.46g/cm3 以下であることが好ましい。ガラスの比重が2.46g/cm3 以下であるとディスプレイの軽量化にとって好都合である。より好ましくは2.43g/cm3 以下、さらに好ましくは2.40g/cm3 以下、特に好ましくは2.39g/cm3 以下、最も好ましくは2.38g/cm3 以下である。
本発明のガラスの50〜350℃における平均線膨張係数α50-350は3.4×10-6/℃以下であることが好ましい。3.4×10-6/℃以下であると、耐熱衝撃性に優れている。より好ましくは3.2×10-6/℃以下、特に好ましくは3.0×10-6/℃以下、最も好ましくは2.9×10-6/℃以下である。また、α50-350は2.4×10-6/℃以上であることが好ましい。2.4×10-6/℃以上であると、ガラス基板上にSiOx やSiNx を成膜した場合に、ガラス基板とこれらの膜との膨張マッチングが良好である。この観点からは、より好ましくは2.6×10-6/℃以上、さらに好ましくは2.7×10-6/℃以上である。
コンパクションを低減する、具体的には190ppm未満とするためには、Δan-st (ppm/℃)は0以上12.0未満であることが好ましい。
本発明のガラスの歪点は650℃以上であることが好ましい。より好ましくは660℃以上であり、さらに好ましくは670℃以上であり、さらに好ましくは680℃以上であり、690℃以上であることが特に好ましい。
本発明のガラスの粘度が102 dPa・sとなる温度T2 は、1840℃以下であることが好ましい。1840℃以下であると、ガラスを溶解する上で好ましい。より好ましくは1820℃以下であり、さらに好ましくは1800℃以下であり、特に好ましくは1780℃以下、最も好ましくは1760℃以下である。
本発明のガラスの粘度が104 dPa・sとなる温度T4 は、1380℃以下であることが好ましい。1380℃以下であると、ガラスを成形する上で好ましい。より好ましくは1360℃以下、特に好ましくは1350℃以下、最も好ましくは1340℃以下である。
本発明のガラスの液相温度における粘度ηL は103.5 dPa・s以上であることが好ましい。103.5 dPa・s以上であると、ガラスを成形する上で好ましい。フロート法でのガラスの成形という点、およびガラスの失透温度を低減できることからηL は103.8 dPa・s以上であることが特に好ましい。ηL はさらに好ましくは104 dPa・s以上であり、最も好ましくは104.1 dPa・s以上である。
特にフロート法で成形する場合には、Δan-st /α50-350が3.64未満であっても、成形性を考慮するとηL が103.8 dPa・s以上であることが好ましい。したがって、後に示す実施例1〜5の中では、実施例4のガラスが成形性の面で良好である。
したがって、本発明のガラスの好適な実施形態は、下記組成を有し、Δan-st /α50-350が、0以上3.5以下であって、液相温度における粘度ηL が、103.8 dPa・s以上であることを特徴とする無アルカリガラスである。
68%≦SiO2 ≦72.5%
8%≦Al2 3 ≦10.5%
4.5%≦B2 3 <7%
3%≦MgO≦10%
2.5%≦CaO≦7%
0%≦SrO≦4%
0%≦BaO≦1%
5.5%≦RO≦18%
本発明のガラスを、濃度が0.1モル/リットルである塩酸水溶液中に90℃で20時間浸漬したとき、その表面に白濁、変色、クラック等が生じないことが好ましい。また、ガラスの表面積と前記浸漬によるガラスの質量変化とから求めたガラスの単位表面積当りの質量減少量(ΔWHCl )が0.6mg/cm2 以下であることが好ましい。より好ましくは0.4mg/cm2 以下、特に好ましくは0.2mg/cm2 以下、最も好ましくは0.15mg/cm2 以下である。
また、本発明のガラスを、質量百分率表示濃度が40%であるフッ化アンモニウム水溶液と同表示濃度が50%であるフッ酸水溶液とを体積比で9:1に混合した液(以下、バッファードフッ酸(BHF)液という。)中に25℃で20分間浸漬したとき、その表面が白濁しないことが好ましい。以下、このバッファードフッ酸液を用いた評価を耐BHF性評価といい、前記表面が白濁しない場合を耐BHF性が良好であるという。また、ガラスの表面積と前記浸漬によるガラスの質量変化とから求めたガラスの単位面積当りの質量減少量(ΔWBHF )が0.6mg/cm2 以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5mg/cm2 以下であり、さらに好ましくは0.4mg/cm2 以下である。
本発明のガラスを製造する方法は特に限定されず、各種製造方法を採用できる。たとえば、目標組成となるように通常使用される原料を調合し、これを溶解炉中で1600℃〜1650℃に加熱して溶融する。バブリングや清澄剤の添加や撹拌などによってガラスの均質化を行う。液晶ディスプレイ等のディスプレイ基板やフォトマスク用基板として使用する場合は、周知のプレス法、ダウンドロー法、フロート法などの方法により所定の板厚に成形し、徐冷後、研削、研磨などの加工を行い、所定のサイズ、形状の基板とする。
従って、本発明のガラスのサイズは製造時に適宜選択され任意である。但し、本発明のガラスは、大型のガラス基板において特に有用である。すなわち、コンパクション、すなわちガラスの熱収縮の割合が同一であったとしても、基板のサイズが大きくなると、基板全体としての熱収縮の量(熱収縮の絶対値)は大きくなる。例えば、ディスプレイ用基板のサイズを20インチ(50.8センチメートル)対角から25インチ(63.5センチメートル)対角にすると、基板の対角線の長さもそれに応じて長くなり、基板全体としての熱収縮の量も大きくなる。本発明のガラスは、上記したように、加熱処理の際に発生するコンパクションが低減されているので、基板全体としての熱収縮の量も低減され、この効果は大型の基板ほど顕著となる。
本発明のガラスのサイズは、30センチメートル角以上であることが好ましく、より好ましくは40センチメートル角以上であり、さらに好ましくは80センチメートル角以上であり、さらに好ましくは、1メートル角以上であり、好ましくは1.5メートル角以上であり、2メートル角以上であることが特に好ましい。ガラスの厚みについては、0.3〜1.0mm程度が好適である。
実施例1〜5、比較例
表1のSiO2 〜BaOの欄にモル%表示で示した組成となるように原料を調合し、白金るつぼを用いて、1600℃〜1650℃で溶解した。この際白金スターラを用いて撹拌しガラスの均質化を図った。次に溶融ガラスを流し出し板状に成形し、ガラス組成から予想される徐冷点付近の温度で1時間保持した後、降温速度1℃/分で徐冷して実施例1〜5、および比較例のガラスを得た。
[平均線膨張係数の測定]
得られた実施例1〜5および比較例のガラスを規定の円柱に加工した後、徐冷点(Tan)付近まで加熱し、該温度で1時間保持した後、降温速度1℃/分で徐冷したサンプルを、示差熱膨張計(TMA)を用いて、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350をJIS R3102に規定されている方法で測定した。
[ガラスの平衡密度曲線の作成]
上記により得られた実施例1〜5および比較例のガラスを約4センチ角、厚み2ミリに研磨加工した。加工したガラス試料を徐冷点(Tan)から歪点(Tst)までの複数の温度で16時間以上温度保持した後、カーボン製板に投下し、急冷した。冷却した試料をいわゆるアルキメデス法(JIS Z8807第4節)で密度を測定した。この手順で繰り返し測定を行い、0.0001g/cm3 の桁までの再現性を確認した。複数の温度での密度測定結果から加熱処理温度に対する密度の変化の傾きを回帰して平衡密度曲線を作成し、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)を求めた。
このようにして得られたα50-350およびΔan-st から、Δan-st /α50-350を計算して求めた。
[コンパクションの測定]
上記により得られた実施例1〜5および比較例のガラスを約5ミリ角、厚み0.7ミリに研磨加工した。加工したガラスを900℃まで加熱し、該温度で1分間保持した後、降温速度100℃/分で室温まで冷却して試料Aを得た。次に、試料Aをガラスの粘度が17.8dPa・sとなる温度(理論値)まで昇温速度100℃/時で加熱し、該温度で8時間保持した後、降温速度100℃/時で徐冷して試料Bを得た。得られた試料A、Bの密度(dA、dB)を重液法で決定した。このようにして得られた密度(dA、dB)と下記式を用いてコンパクションC(ppm)を算出した。
C=(1−(dA/dB)1/3 )×106
ガラスの粘度が17.8dPa・sとなる温度は、徐冷点(Tan)(粘度:13.0dPa・s)および歪点(Tst)(粘度:14.5dPa・s)を用いて、横軸を1000/T(K)、縦軸を粘度(dPa・s)としてアレニウスプロットして得た。ここで、徐冷点(Tan)および歪点(Tst)は、をJIS R3103に規定されている方法により測定した。
[T2 ,T4 ,ηL
上記により得られた実施例1〜5および比較例のガラス粘度が102.0 dPa・sとなる温度T2 (単位:℃)および粘度が104 dPa・sとなる温度T4 (単位:℃)を回転粘度計を用いて測定した。
また、回転粘度計によって得られた温度−粘度曲線と液相温度から、液相温度における粘度ηL (単位:dPa・s)を求めた。液相温度については、複数のガラス片をそれぞれ異なる温度で17時間加熱溶解し、結晶が析出しているガラスの中で最も温度が高いガラスのガラス温度と結晶が析出していないガラスの中で最も温度が低いガラスのガラス温度との平均値を液相温度とした。
[耐HCl性(ΔWHCl )]
上記により得られた実施例1〜5および比較例のガラスを濃度0.1モル/リットルの塩酸水溶液中に90℃で20時間浸漬させて、浸漬の前後におけるガラスの質量変化を求めて、これとガラスの表面積とからガラスの単位表面積当りの質量減少量(ΔWHCl (mg/cm2 ))を求めた。
[耐BHF性(ΔWBHF ,白濁)]
上記により得られた実施例1〜5および比較例のガラスをバッファードフッ酸(BHF)(質量百分率表示濃度が40%であるフッ化アンモニウム水溶液と同表示濃度が50%であるフッ酸水溶液とを体積比で9:1に混合した液)中に25℃で20分間浸漬させて、浸漬の前後におけるガラスの質量変化を求めて、これとガラスの表面積とからガラスの単位表面積当りの質量減少量(ΔWBHF (mg/cm2 ))を求めた。また、浸漬後のガラス表面における白濁の有無を目視により確認した。ここでガラス表面に白濁が認められなかった場合、耐BHF性が良好である(評価:○)とした。
これらの結果を表1に示した。ここで比重(密度)(g/cm3 )は、平衡密度曲線を作成する手順で得た徐冷点(Tan)から急冷させたサンプルの密度から変換した数値である。
実施例6〜14
実施例1と同様に、表1に示す組成になるように原料を調製し、溶融炉で溶解した溶融ガラスを板状に成形して、その後徐冷し実施例6〜14のガラスを得る。得られるガラスについて、α30-350、比重(密度)、歪点(Tst)、徐冷点(Tan)、T2 およびT4 を求める。Δan-st については、各ガラス成分(SiO2 、Al2 3 、B2 3 、MgO、CaO、SrOの6成分)のΔに対する寄与度ai (i=1〜6(上記6成分))を回
帰計算により求め、Σai i +b(Xi は各ガラス成分のモル分率、bは定数)から計
算により求める。α50-350、比重(密度)、歪点(Tst)、T2 およびT4 についてもΔan-st と同様に、各ガラス成分の寄与度により計算により求める。コンパクションについては、ΔとC(コンパクション)を直線回帰し、回帰式に基づき計算により求める。得られる結果を表1に示す。
Figure 2004315354
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Claims (12)

  1. 徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.64未満であることを特徴とする無アルカリガラス。
  2. 主として以下の構成要素よりなる無アルカリガラス。
    68%≦SiO2 ≦80%
    0%≦Al2 3 <12%
    0%<B2 3 <7%
    0%≦MgO≦12%
    0%≦CaO≦15%
    0%≦SrO≦4%
    0%≦BaO≦1%
    5%≦RO≦18%
    ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
  3. 主として以下の構成要素よりなることを特徴とする請求項1に記載の無アルカリガラス。
    68%≦SiO2 ≦80%
    0%≦Al2 3 <12%
    0%<B2 3 <7%
    0%≦MgO≦12%
    0%≦CaO≦15%
    0%≦SrO≦4%
    0%≦BaO≦1%
    5%≦RO≦18%
    ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
  4. 前記徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.5以下であることを特徴とする請求項1または3に記載の無アルカリガラス。
  5. 前記SiO2 の含有割合が68%≦SiO2 ≦75%であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  6. 前記Al2 3 の含有割合が5%≦Al2 3 ≦11.5%であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  7. 前記B2 3 の含有割合が2%≦B2 3 <7%であることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  8. 前記MgOの含有割合が3%≦MgO≦10%であることを特徴とする請求項2ないし7のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  9. 前記CaOの含有割合が0.5%≦CaO≦12%であることを特徴とする請求項2ないし8のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  10. 前記ROの割合が5.5%≦RO≦18%であることを特徴とする請求項2ないし9のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  11. 液相温度における粘度ηL が、103.8 dPa・s以上であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の無アルカリガラス。
  12. 主として以下の構成要素よりなり、徐冷点(Tan)付近から歪点(Tst)付近までの温度領域における平衡密度曲線の勾配Δan-st (ppm/℃)と、50〜350℃における平均線膨張係数α50-350(×10-6/℃)と、の比(Δan-st /α50-350)が、0以上3.5以下であり、液相温度における粘度ηL が、103.8 dPa・s以上であることを特徴とする無アルカリガラス。
    68%≦SiO2 ≦72.5%
    8%≦Al2 3 ≦10.5%
    4.5%≦B2 3 <7%
    3%≦MgO≦10%
    2.5%≦CaO≦7%
    0%≦SrO≦4%
    0%≦BaO≦1%
    5.5%≦RO≦18%
    ここで、%は上記構成要素の合計を100%とした場合のモル%であり、ROはMgO+CaO+SrO+BaOを表している。
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