JP2004314762A - 車両用摩擦係合装置の制御装置 - Google Patents

車両用摩擦係合装置の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】砂地等の走行に際して熱損の発生を好適に防止する車両用摩擦係合装置の制御装置を提供する。
【解決手段】車両の走行抵抗に応じて摩擦係合装置であるカップリング24の係合力を変更することから、走行抵抗が比較的高い砂地等の走行或いは牽引走行等に際しては、カップリング24の係合力を増加させ或いは最大値とすることで、そのカップリング24に含まれる摩擦要素である制御クラッチ44やメインクラッチ48等の回転速度差を可及的に減少させて発熱を抑制することができる。すなわち、砂地等の走行や牽引走行等に際して熱損の発生を好適に防止する車両用摩擦係合装置の制御装置を提供することができる。
【選択図】 図7

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動力源により発生させられる駆動力を複数の車輪のうち一部の車輪に配分する車両用摩擦係合装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
四輪駆動状態と二輪駆動状態とを選択したり、或いはその四輪駆動状態において前輪と後輪との間の動力配分率を制御したりするためにプロペラシャフトに直列に配設される電磁式クラッチ装置のように、駆動力源により発生させられる駆動力を複数の車輪のうち一部の車輪に配分するための摩擦係合装置を備えた車両が知られている。斯かる車両が砂地等を走行する場合、上記摩擦係合装置により伝達される伝達トルク及びその摩擦係合装置に含まれる摩擦要素同士の回転速度差が大きく、過度の発熱による熱損が発生する可能性がある。この弊害を解消するため、上記摩擦係合装置の発熱量を算出し、算出されたその発熱量が一定値以上で所定時間継続した場合にその摩擦係合装置の係合力を最大値(リジット)とする技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された摩擦係合装置の制御装置がそれである。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−190538号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の摩擦係合装置の制御装置では、その摩擦係合装置の発熱量の算出において誤差が生じがちであり熱損の発生を十分には抑制できなかった。また、前記摩擦係合装置の発熱量に基づいてその係合力を制御するものであることから、走行中に頻繁に係合力が最大値とされることでドライバビリティが悪化するおそれがあった。更には、砂地等から通常の走行路に戻った後も前記摩擦係合装置の係合力が最大値のまま継続することでタイトコーナーブレーキング現象を発生させる可能性があった。すなわち、砂地等の走行に際して熱損の発生を好適に防止する車両用摩擦係合装置の制御装置は、未だ開発されていないのが現状である。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、砂地等の走行に際して熱損の発生を好適に防止する車両用摩擦係合装置の制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、駆動力源により発生させられる駆動トルクを複数の車輪のうち一部の車輪に配分するための車両用摩擦係合装置の制御装置であって、車両の走行抵抗に応じて前記摩擦係合装置の係合力を制御することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の効果】
このようにすれば、前記車両の走行抵抗に応じて前記摩擦係合装置の係合力を制御することから、走行抵抗が比較的高い砂地等の走行或いは牽引走行等に際しては、前記摩擦係合装置の係合力を増加させ或いは最大値とすることで、その摩擦係合装置に含まれる摩擦要素同士の回転速度差を可及的に減少させて発熱を抑制することができる。すなわち、砂地等の走行に際して熱損の発生を好適に防止する車両用摩擦係合装置の制御装置を提供することができる。
【0008】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、予め定められた関係から前記駆動力源により発生させられる駆動トルクと前記一部の車輪の加速度とに基づいて前記車両の走行抵抗が所定値以上であるか否かを判定する走行抵抗判定手段と、その走行抵抗判定手段により前記車両の走行抵抗が所定値以上であると判定される場合には前記摩擦係合装置の係合力を変更する係合力制御手段とを、含むものである。このようにすれば、前記駆動力源により発生させられる駆動トルク及び前記一部の車輪の加速度から前記車両の走行抵抗が比較的高いと判定される場合には、前記摩擦係合装置の係合力を増加させ或いは最大値とすることで、その摩擦係合装置に含まれる摩擦要素同士の回転速度差を可及的に減少させて発熱を抑制することができるという利点がある。
【0009】
また、好適には、前記摩擦係合装置の差動回転速度を算出する差動回転速度算出手段と、その差動回転速度算出手段により算出される差動回転速度と前記駆動力源により発生させられる駆動トルクとに基づいて前記摩擦係合装置の仕事率を算出する仕事率算出手段と、予め定められた関係からその仕事率算出手段により算出される仕事率とその仕事率の積分値である仕事量とに基づいてその摩擦係合装置の耐久可否を判定する耐久可否判定手段とを、含み、前記係合力制御手段は、その耐久可否判定手段により前記摩擦係合装置が耐久不可と判定される場合にはその摩擦係合装置の係合力を変更するものである。このようにすれば、前記摩擦係合装置の仕事率及び仕事量から耐久性を確保できないと判定される場合には、その摩擦係合装置の係合力を減少させ或いは零とすることで熱損を更に確実に防止することができるという利点がある。
【0010】
また、好適には、前記車両用摩擦係合装置は、四輪駆動車両の駆動力源から前輪及び後輪の何れか一方へ至る動力伝達経路に直列に配設された駆動力配分カップリングである。このようにすれば、低燃費でトラクション性能に優れた駆動系を提供できるという利点がある。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明が適用された駆動力伝達装置10を有する前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両の構成を説明する骨子図である。図1において、エンジン12は、ガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関であって、燃料の燃焼により駆動力を発生させる駆動力源である。このエンジン12により発生させられた駆動力は、変速機14、前輪用差動歯車装置16、及び前輪車軸18を介して主駆動輪である1対の前輪20へ伝達される一方、駆動力伝達軸であるプロペラシャフト22、摩擦係合装置である電磁式の駆動力配分カップリング(以下、単にカップリングと称する)24、後輪用差動歯車装置26、及び後輪車軸28を介して副駆動輪である1対の後輪30へ伝達される。また、上記カップリング24を制御するための電子制御装置32が設けられている。すなわち、図1に示す駆動制御装置10は、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルクを走行状態に応じて前後輪に配分する電子制御トルクスプリット式四輪駆動車両の駆動系の一例である。
【0013】
上記変速機14は、入力された回転を所定の変速比γで減速或いは増速して出力するものであって、例えば手動操作により変速段が切り換えられる同期噛み合い式の手動変速機(マニュアルトランスミッション)である。すなわち、図示しないシフトレバーが操作されることにより、複数の同期噛み合い装置の何れかが選択的に係合或いは解放させられて、前進4段、後退1段、及びニュートラルの何れかが成立させられ、それぞれの変速比γに応じた速度変換が成される。
【0014】
図2は、前記カップリング24の構成例を説明する概略断面図である。この図2に示すように、前記カップリング24は、前記プロペラシャフト22と同軸に且つ一体的に形成された第1ハウジング34と、電磁ソレノイド36を含みその第1ハウジング34の内周側に固設された第2ハウジング38と、上記第1ハウジング34と同軸にその軸心まわりに相対回転可能に配設された出力シャフト40と、その出力シャフト40と同軸にその軸心まわりに相対回転可能に配設された制御カム42と、上記第1ハウジング34と制御カム42との相対回転を阻止したりスリップさせたりするための制御クラッチ44と、上記第2ハウジング38との間にその制御クラッチ44を構成するクラッチプレートを挟圧するために上記出力シャフト40と同軸にその軸心方向に相対移動可能に配設された環状鉄片であるアーマチュア46と、上記第1ハウジング34と出力シャフト40との相対回転を阻止したりスリップさせたりするためのメインクラッチ48と、上記第1ハウジング34との間にそのメインクラッチ48を構成するクラッチプレートを挟圧するために上記出力シャフト40と同軸にその軸心まわりの相対回転不能且つ軸心方向の相対移動可能に配設されたメインカム50とを、備えて構成されている。また、上記制御カム42及びメインカム50の相対向する側にはそれぞれのカム面に対応する複数の凹部が形成されており、その制御カム42とメインカム50の間には各凹部に嵌め入れられるように複数のボール52が配設されている。
【0015】
前記カップリング24において、上記電磁ソレノイド36が非励磁状態である場合には、上記制御クラッチ44及びメインクラッチ48の何れも非係合状態とされるため、前記プロペラシャフト22の駆動力は上記出力シャフト40に伝達されない。一方、上記電磁ソレノイド36が励磁状態である場合には、その電磁ソレノイド36の周囲に磁束が生じることにより、上記アーマチュア46が第2ハウジング38側へ引き付けられて上記制御クラッチ44が上記電磁ソレノイド36への制御電流に応じて係合或いはスリップさせられる。その制御クラッチ44が係合させられた後、上記制御カム42とメインカム50との間に回転速度差が生じると、上記ボール52が制御カム42における凹部の斜面に押されてメインカム50側へ押し付けられ、延いてはそのメインカム50が前記プロペラシャフト22側へ押し付けられて上記メインクラッチ48が係合させられ、前記プロペラシャフト22の駆動力が上記出力シャフト40に伝達される。
【0016】
前記カップリング24の係合力すなわち前記メインクラッチ48の係合力は、そのカップリング24により伝達される伝達トルクを一義的に定めるものであり、前記電磁ソレノイド36に供給される電流により決定される。すなわち、前記電磁ソレノイド36に供給される電流が比較的小さい場合には、前記アーマチュア46が第2ハウジング38側へ引き付けられる力が比較的弱く、前記制御クラッチ44の係合力が比較的小さいことから、前記制御カム42とメインカム50との間の回転速度差が小さくなり、延いては前記メインカム50がプロペラシャフト22側へ押し付けられる力が比較的弱くなって前記カップリング24の係合力は比較的小さくなる。一方、前記電磁ソレノイド36に供給される電流が比較的大きい場合には、前記アーマチュア46が第2ハウジング38側へ引き付けられる力が比較的強く、前記制御クラッチ44の係合力が比較的大きいことから、前記制御カム42とメインカム50との間の回転速度差が大きくなり、延いては前記メインカム50がプロペラシャフト22側へ押し付けられる力が比較的強くなって前記カップリング24の係合力は比較的大きくなり、前記電磁ソレノイド36に供給される電流が所定値以上になると直結四輪駆動車両に近い状態で前後輪に駆動力が伝達される。以上の構成により、前記変速機14から出力された全駆動力に対する前記後輪30に伝達される駆動力の比率が零乃至0.5の範囲内で無段階に制御される。
【0017】
図1に戻って、前記電子制御装置32は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェイス等から成る所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する。例えば、前記電磁ソレノイド36に供給される電流を制御することにより前記カップリング24の係合力制御等を実行する。前記動力伝達装置10には、車速に対応する前記後輪30の実際の回転速度である車輪速を検出する車輪速センサ54、前記変速機14の変速段を検出するシフト段センサ56、図示しないアクセルペダルの操作量に対応するスロットル開度を検出するスロットルセンサ58、前記エンジン12の実際の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ60、及び前後Gセンサ62等が設けられており、それぞれのセンサから車輪速vを表す信号、シフト段を表す信号、スロットル開度thを表す信号、エンジン回転速度neを表す信号、及び前後加速度gを表す信号等が前記電子制御装置32に供給されるようになっている。
【0018】
図3は、前記電子制御装置32による前記カップリング24の係合力制御機能の要部を示す機能ブロック線図である。この図3における車輪加速度算出手段64は、前記車輪速センサ54により検出される前記後輪30の車輪速vの微分値である車輪加速度dvを算出する。前記後輪30は副駆動輪であり、その車輪速vは車速に対応するものであることから、車輪加速度算出手段64は、換言すれば、副駆動輪加速度算出手段或いは車両加速度算出手段である。
【0019】
差動回転速度算出手段66は、前記カップリング24の入力回転速度と出力回転速度の速度差である差動回転速度dnを算出する。例えば、前記エンジン回転速度センサ60により検出されるエンジン回転速度ne及びシフト段センサ56により検出される前記変速機14のシフト段に対応する変速比γから入力回転速度である前記プロペラシャフト22の回転速度を、前記車輪速センサ54により検出される車輪速vから出力回転速度である前記出力シャフト40の回転速度を算出し、その速度差を算出する。
【0020】
駆動トルク算出手段68は、前記エンジン12により発生させられる駆動トルクtinを算出する。例えば、予め定められた関係から前記エンジン回転速度センサ60により検出されるエンジン回転速度neと、前記スロットルセンサ58により検出されるスロットル開度thと、前記シフト段センサ56により検出される前記変速機14のシフト段に対応する変速比γとに基づいて前記プロペラシャフト22により伝達される駆動トルクtinの理論値を算出する。
【0021】
伝達トルク指令値算出手段70は、前記カップリング24の伝達トルク指令値toutを算出する。例えば、次の(1)式に示す予め定められた関係からトルク配分比KSTと、前記差動回転速度算出手段66により算出される差動回転速度dnと、上記駆動トルク算出手段68により算出される駆動トルクtinとに基づいて伝達トルク指令値toutを算出する。通常の制御において、トルク配分比KSTは、タイトコーナーブレーキング現象が発生しないように0.2程度とされる。また、(1)式に示すh(dn)は、例えば図4に示すように、差動回転速度dnが所定値未満では零、所定値以上では比例関係を示す関数であり、差動回転速度dnの増加に伴って副駆動輪である前記後輪30に配分される駆動力を増加させるための適合係数である。
【0022】
[数式1]
tout=KST×tin+h(dn)×tin・・・(1)
【0023】
カップリング仕事率算出手段72は、前記差動回転速度算出手段66により算出される差動回転速度dnと前記駆動トルク算出手段68により算出される駆動トルクtinとに基づいて前記カップリング24の仕事率qを算出する。例えば、前記伝達トルク指令値算出手段70により算出される伝達トルク指令値toutと前記差動回転速度算出手段66により算出される前記カップリング24の差動回転速度dnとの積である前記カップリング24の仕事率qを算出する。
【0024】
カップリング仕事量算出手段74は、上記カップリング仕事率算出手段72により算出される前記カップリング24の仕事率qの積分値である仕事量qiを算出する。この仕事量qiは、前記カップリング24の制御クラッチ44やメインクラッチ48の摩擦によって発生させられる発熱量に対応するものであることから、カップリング仕事量算出手段74は、換言すれば、前記カップリング24の発熱量を算出する発熱量算出手段である。
【0025】
耐久可否判定手段76は、予め定められた関係から前記カップリング仕事率算出手段72により算出される仕事率qと前記カップリング仕事量算出手段74により算出される仕事量qiとに基づいてそのカップリング24の耐久可否を判定する。図5は、前記カップリング24の仕事量qi及び仕事率qに応じた耐久可否区分の一例を説明する図であり、この図5において斜線で示す領域すなわち前記カップリング24の仕事率qが仕事量qiの関数であるg(qi)以上である領域が耐久不可範囲、それ以外の領域が耐久可能範囲である。
【0026】
走行抵抗判定手段78は、予め定められた関係から前記車輪加速度算出手段64により算出される車輪加速度dvと前記駆動トルク算出手段68により算出される駆動トルクtinとに基づいて前記車両の走行抵抗が所定値以上であるか否かを判定する。この走行抵抗とは、走行路の路面状態に応じた車輪の転がり抵抗Frや、坂路を走行する場合に生じる勾配抵抗Facc等である。図6は、駆動トルクtin及び車輪加速度dvから判定される走行路の路面状態を説明する図であり、この図6において右下がりの斜線で示す領域が平坦路の走行に、右上がりの斜線で示す領域すなわち車輪加速度dvが駆動トルクtinの関数であるf(tin)未満である領域が例えば砂地等の高抵抗路の走行に対応する。このような高抵抗路では、車速が20乃至30km/hといった比較的低速であり且つ前記カップリング24により伝達される伝達トルクが比較的高い状態が長時間継続することから、そのカップリング24の発熱による熱損が発生し易いのである。走行抵抗判定手段78は、例えば、車輪加速度dvが駆動トルクtinの関数であるf(tin)未満であるか否かを判定するものであり、換言すれば、走行路の走行抵抗が所定値以上であるか否かを判定する高抵抗路判定手段である。
【0027】
カップリング係合力制御手段80は、前記電磁ソレノイド36に供給される電流を前記伝達トルク指令値toutに従って制御することにより前記カップリング24の係合力を制御する。例えば、前記耐久可否判定手段76により前記カップリング24が耐久不可と判定される場合にはそのカップリング24の係合力を変更する。すなわち、前記カップリング24の仕事率qが仕事量qiの関数であるg(qi)以上であると判定される場合には、そのカップリング24の係合力を減少させ或いは零とするカップリング保護制御を実行する。
【0028】
また、カップリング係合力制御手段80は、前記走行抵抗判定手段78により前記車両の走行抵抗が所定値以上であると判定される場合には前記カップリング24の係合力を変更する。すなわち、車輪加速度dvが駆動トルクtinの関数であるf(tin)未満であると判定される場合には、前述した(1)式におけるトルク配分比KSTを1.0とした伝達トルク指令値toutに従って前記電磁ソレノイド36に供給される電流を制御することで、前記カップリング24の係合力を増加させ或いは最大値(リジット)とする高抵抗路制御を実行する。
【0029】
図7は、前記電子制御装置32によるカップリング係合力制御作動の要部を説明するフローチャートであり、数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
【0030】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記エンジン回転速度センサ60によりエンジン回転速度neが検出され、S2において、前記スロットルセンサ58によりスロットル開度thが検出され、S3において、前記シフト段センサ56により検出されるシフト段に対応する前記変速機14の変速比γが算出される。
【0031】
次に、前記車輪加速度算出手段64に対応するS4において、前記車輪速センサ54により検出される前記後輪30の車輪速vの微分値である車輪加速度dvが算出される。次に、前記差動回転速度算出手段66に対応するS5において、S1にて検出されたエンジン回転速度ne及びS3にて検出された変速比γから入力回転速度である前記プロペラシャフト22の回転速度が、前記車輪速センサ54により検出される車輪速vから出力回転速度である前記出力シャフト40の回転速度が算出され、その速度差である差動回転速度dnが算出される。次に、前記駆動トルク算出手段68に対応するS6において、予め定められた関係からS1にて検出されたエンジン回転速度neと、S2にて検出されたスロットル開度thと、S3にて算出された変速比γとに基づいて前記プロペラシャフト22により伝達される駆動トルクtinの理論値が算出される。
【0032】
次に、前記伝達トルク指令値算出手段70に対応するS7において、トルク配分比KSTと、S5にて算出された差動回転速度dnと、S6にて算出された駆動トルクtinとに基づいて前述した(1)式から伝達トルク指令値toutが算出される。次に、前記カップリング仕事率算出手段72に対応するS8において、S5にて算出された差動回転速度dnとS6にて算出された駆動トルクtinとに基づいて前記カップリング24の仕事率qが算出される。次に、前記カップリング仕事量算出手段74に対応するS9において、S8にて算出されたカップリング仕事率qの積分値である仕事量qiが算出される。
【0033】
次に、前記耐久可否判定手段76に対応するS10において、S8にて算出された仕事率qがS9にて算出された仕事量qiの関数であるg(qi)以上であるか否かが判断される。このS10の判断が肯定される場合には、S13において、前記カップリング24の係合力が零とされるカップリング保護制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S10の判断が否定される場合には、前記走行抵抗判定手段78に対応するS11において、S4にて算出された車輪加速度dnがS6にて算出された駆動トルクtinの関数であるf(tin)未満であるか否かが判断される。このS11に判断が否定される場合には、S14において、通常の係合力制御が実行された後、本ルーチンが終了させられるが、S11の判断が肯定される場合には、S12において、前記カップリング24の係合力が最大値とされる高抵抗路制御が実行された後、本ルーチンが終了させられる。以上のS12乃至S14が、前記カップリング係合力制御手段80に対応する。
【0034】
このように、本実施例によれば、前記車両の走行抵抗に応じて摩擦係合装置である前記カップリング24の係合力を制御することから、走行抵抗が比較的高い砂地等の走行或いは牽引走行等に際しては、前記カップリング24の係合力を増加させ或いは最大値とすることで、そのカップリング24に含まれる摩擦要素である前記制御クラッチ44やメインクラッチ48等の回転速度差を可及的に減少させて発熱を抑制することができる。すなわち、砂地等の走行や牽引走行等に際して熱損の発生を好適に防止する車両用摩擦係合装置の制御装置を提供することができる。
【0035】
また、予め定められた関係から駆動力源である前記エンジン12により発生させられる駆動トルクtinと副駆動輪である前記後輪30の加速度dvとに基づいて前記車両の走行抵抗が所定値以上であるか否かを判定する走行抵抗判定手段78(S11)と、その走行抵抗判定手段78により前記車両の走行抵抗が所定値以上であると判定される場合には前記カップリング24の係合力を変更するカップリング係合力制御手段80(S12乃至S14)とを含むものであるため、前記エンジン12により発生させられる駆動トルクtin及び車輪加速度dvから前記車両の走行抵抗が比較的高いと判定される場合には、前記カップリング24の係合力を増加させ或いは最大値とすることで、前記制御クラッチ44やメインクラッチ48等の回転速度差を可及的に減少させて発熱を抑制することができるという利点がある。
【0036】
また、前記カップリング24の差動回転速度dnを算出する差動回転速度算出手段66(S5)と、その差動回転速度算出手段66により算出される差動回転速度dnと前記エンジンにより発生させられる駆動トルクtinとに基づいて前記カップリング24の仕事率qを算出するカップリング仕事率算出手段72(S8)と、予め定められた関係からそのカップリング仕事率算出手段72により算出される仕事率qとその仕事率qの積分値である仕事量qiとに基づいてそのカップリング24の耐久可否を判定する耐久可否判定手段76(S10)とを含み、前記カップリング係合力制御手段80は、その耐久可否判定手段76により前記カップリング24が耐久不可と判定される場合にはそのカップリング24の係合力を変更するものであるため、そのカップリング24の仕事率q及び仕事量qiから耐久性を確保できないと判定される場合には、そのカップリング24の係合力を減少させ或いは零とすることで熱損を更に確実に防止することができるという利点がある。
【0037】
また、前記カップリング24は、前記エンジン12から前輪20及び後輪30の何れか一方へ至る動力伝達経路に直列に配設された駆動力配分カップリングであるため、低燃費でトラクション性能に優れた駆動系を提供できるという利点がある。
【0038】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0039】
例えば、前述の実施例では、摩擦係合装置として電磁式カップリング24に本発明が適用されていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、油圧式カップリングに本発明が適用されてもよい。この場合、前記カップリング係合力制御手段80は、例えば、その油圧式カップリングに作動油圧を供給する油圧制御回路に設けられたリニアソレノイド弁に供給される電流を制御することによりその油圧式カップリングの伝達トルクを制御する。また、磁粉式カップリングに本発明が適用されても構わない。
【0040】
また、前述の実施例では、前記カップリング24の第1ハウジング34は、前記プロペラシャフト22と一体的に形成されており、そのプロペラシャフト22が前記カップリング24の入力軸として機能していたが、例えば、前記プロペラシャフト22とカップリング24との間にトランスファ装置等が設けられていても構わない。また、前記カップリング24は、前記後輪用差動歯車装置26側に設けられていたが、前記前輪用差動歯車装置16側に設けられていても当然に構わない。
【0041】
また、前述の実施例では、前記メインクラッチ48が係合状態とされることにより駆動力を前記後輪30に配分するカップリング24について説明したが、前記メインクラッチ48が解放状態とされることにより駆動力を一部の車輪すなわち副駆動輪に配分する駆動系に本発明が適用されても構わない。
【0042】
また、前述の実施例では、手動変速機14を備えた駆動力伝達装置10について説明したが、自動変速機すなわちオートマチックトランスミッションを備えた駆動力伝達装置に本発明が適用されても構わない。
【0043】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された駆動力伝達装置を有する前置エンジン前輪駆動を基本とする前後輪駆動車両の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の駆動力伝達装置に設けられたカップリングの構成例を説明する概略断面図である。
【図3】図1の駆動力伝達装置に設けられた電子制御装置のカップリング係合力制御機能の要部を示す機能ブロック線図である。
【図4】図2のカップリングの差動回転速度の増加に伴って後輪に配分される駆動力を増加させるための適合係数について説明する図である。
【図5】図2のカップリングの仕事量及び仕事率に応じた耐久可否区分の一例を説明する図である。
【図6】図1のエンジンから出力される駆動トルク及び車輪加速度から判定される走行路の路面状態を説明する図である。
【図7】図3の電子制御装置によるカップリング係合力制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
12:エンジン(駆動力源)
20:前輪(車輪)
24:カップリング(摩擦係合装置)
30:後輪(車輪)
66:差動回転速度算出手段
72:カップリング仕事率算出手段
76:耐久可否判定手段
78:走行抵抗判定手段
80:カップリング係合力制御手段

Claims (4)

  1. 駆動力源により発生させられる駆動トルクを複数の車輪のうち一部の車輪に配分するための車両用摩擦係合装置の制御装置であって、
    車両の走行抵抗に応じて前記摩擦係合装置の係合力を制御することを特徴とする車両用摩擦係合装置の制御装置。
  2. 予め定められた関係から前記駆動力源により発生させられる駆動トルクと前記一部の車輪の加速度とに基づいて前記車両の走行抵抗が所定値以上であるか否かを判定する走行抵抗判定手段と、
    該走行抵抗判定手段により前記車両の走行抵抗が所定値以上であると判定される場合には前記摩擦係合装置の係合力を変更する係合力制御手段と
    を、含むものである請求項1の車両用摩擦係合装置の制御装置。
  3. 前記摩擦係合装置の差動回転速度を算出する差動回転速度算出手段と、
    該差動回転速度算出手段により算出される差動回転速度と前記駆動力源により発生させられる駆動トルクとに基づいて前記摩擦係合装置の仕事率を算出する仕事率算出手段と、
    予め定められた関係から該仕事率算出手段により算出される仕事率と該仕事率の積分値である仕事量とに基づいて該摩擦係合装置の耐久可否を判定する耐久可否判定手段と
    を、含み、
    前記係合力制御手段は、該耐久可否判定手段により前記摩擦係合装置が耐久不可と判定される場合には該摩擦係合装置の係合力を変更するものである請求項1又は2の車両用摩擦係合装置の制御装置。
  4. 前記車両用摩擦係合装置は、四輪駆動車両の駆動力源から前輪及び後輪の何れか一方へ至る動力伝達経路に直列に配設された駆動力配分カップリングである請求項1から3の何れかの車両用摩擦係合装置の制御装置。
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