JP2004313977A - 水改質装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルカリ改質水中の溶存水素濃度を高められる水改質装置を提供する。また、気体塩素発生を抑制可能な水改質装置を提供する。
【解決手段】第1電極3と第2電極4に印加する電圧極性を切替えることにより、第1電極3からMg2+イオンを溶出させて電解室2内の水をアルカリ性に改質しつつ、アルカリ整水器1の作動中は連続してH2を発生させて、改質水中における溶存水素濃度を効率よく高めることができる。
また、第2電極4として、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、第2電極に白金を用いた場合における不具合、すなわち第2電極周辺で塩素が発生し、塩素臭が発生する、あるいはこの塩素が反応して有害なトリハロメタンが生成されるという不具合を防止することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】第1電極3と第2電極4に印加する電圧極性を切替えることにより、第1電極3からMg2+イオンを溶出させて電解室2内の水をアルカリ性に改質しつつ、アルカリ整水器1の作動中は連続してH2を発生させて、改質水中における溶存水素濃度を効率よく高めることができる。
また、第2電極4として、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、第2電極に白金を用いた場合における不具合、すなわち第2電極周辺で塩素が発生し、塩素臭が発生する、あるいはこの塩素が反応して有害なトリハロメタンが生成されるという不具合を防止することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水等の原水を電気分解によりアルカリ性に改質する水改質装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水道水等を原水としてアルカリ性の改質水を生成する水改質装置としては、たとえば、電解槽内に配置されるマグネシウム製電極および貴金属あるいは貴金属合金、たとえば白金製電極により水を電気分解し、マグネシウム電極から溶解したマグネシウムイオン(Mg2+)と(OH−)とによりをMg(OH−)2を生成して原水をアルカリ性に改質するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−191078号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、アルカリ改質水における溶存水素濃度を高めることにより、アルカリ改質水の効果を高められることが言われている。
【0005】
しかしながら、上述の水改質装置において、マグネシウム電極と対になる電極として用いられる白金電極の場合、白金電極において発生する水素量が、上述の効果を得るには十分でない。
【0006】
また、水道水中に含まれる塩素が、白金電極において析出し気体となって放出されて、水改質装置から塩素臭が発生する、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルカリ改質水における溶存水素濃度を高めることのできる水改質装置を提供することである。また、もう一つの目的は、気体塩素発生を抑制可能な水改質装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
本発明の請求項1に記載の水改質装置は、水道水等を電解槽へ導入する給水管と、電解槽から外部へ水を流出させる排水管と、電解槽内に配されるマグネシウムから形成される第1電極と、電解槽内に配される塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極と、第1電極および第2電極に電圧を印加する制御手段とを備え、制御手段により第1電極および第2電極に電圧を印加して第1電極からMg2+イオンを溶出させて電解槽内の水をアルカリ性に改質する水改質装置であって、制御手段は、第1電極に高電位電圧を印加すると同時に第2電極に低電位電圧を印加する第1通電モードと、第1電極に低電位電圧を印加すると同時に第2電極に高電位電圧を印加する第2通電モードとを交互に切替える構成とした。
【0009】
マグネシウムから成る第1電極に高電位電圧を印加するとともに、第2電極に低電位電圧を印加すると、第1電極の表面からMg2+イオンが溶出し、水の電気分解で発生した(OH−)と反応してMg(OH)2が析出し、これにより原水がアルカリ性に改質される。そして、第1電極の表面にMg(OH)2が析出し、この析出物質のために第1電極表面におけるMg2+イオンの溶出が不均等となり、第1電極表面に亀裂、あるいは荒れ(凹凸状態)が発生する。この状態が続くと、第1電極表面からの微小なマグネシウム片の剥離が発生して電極の寿命が短縮される。そこで、第1電極および第2電極への印加電圧の極性を入れ換える、つまり、今度は、第1電極に低電位電圧を印加するとともに、第2電極に高電位電圧を印加する。このとき、第1電極の表面に析出したMg(OH)2が水中に溶解されて第1電極の表面が復元される。これにより、第1電極の表面の荒れを防止し、第1電極の寿命を長期化することができる。同時に、第1電極近傍から水素が発生する。マグネシウムは、低電位電圧が印加される場合、つまり陰極として作用する場合に水素を効率良く発生するので、第1電極の復元時においても、アルカリ改質中、つまり第1電極が陽極として作用中と同様に水素を発生させて、改質水中の溶存水素濃度を高めることができる。
【0010】
ところで、従来の水改質装置においては、第2電極として白金が用いられている。白金は、具体的には、チタン製の基材の表面に白金メッキを施して、あるいはチタン製の基材の表面に白金粒子を焼着したものが用いられている。この場合、第1電極の復元時、つまり白金から成る第2電極に高電位電圧が印加され第2電極が陽極として作用すると、第2電極周辺に塩素が発生し、塩素臭が発生するという問題があった。
【0011】
これに対して、本発明の請求項1に記載の水改質装置においては、第2電極を塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成している。
【0012】
ここで、塩素過電圧は、水を電気分解する際の電極として用いたときに、塩素が析出する最低電圧である。
【0013】
第2電極を塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、従来の水改質装置に比較して、塩素の発生量を抑えることができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の水改質装置は、水道水等を電解槽へ導入する給水管と、電解槽から外部へ水を流出させる排水管と、電解槽内に互いに対向して複数個配置され、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極と、電解槽内において2つの第2電極間に配置され、マグネシウムから形成される第1電極と、第1電極に電圧を印加する制御手段とを備え、制御手段により第1電極に電圧を印加して第1電極からMg2+イオンを溶出させて電解槽内の水をアルカリ性に改質する水改質装置であって、制御手段は、互いに対向する第2電極の一方に高電位電圧を印加すると同時に他方に低電位電圧を印加する第3通電モードと、互いに対向する第2電極の一方に低電位電圧を印加すると同時に他方に高電位電圧を印加する第4通電モードとを交互に切替える構成としている。
【0015】
この場合、2つの第2電極間に配置され、マグネシウムから形成される第1電極においては、低電位電圧が印加される第2電極に対向する表面は陽極として作用し、Mg2+イオンが溶出し、水の電気分解で発生した(OH−)と反応してMg(OH)2が析出し、これにより原水がアルカリ性に改質される。一方、高電位電圧が印加される第2電極に対向する表面は陰極として作用し、その表面周辺に水素が発生すると同時に、析出したMg(OH)2によりMg2+イオンの溶出が不均等となり、亀裂、あるいは荒れ(凹凸状態)が発生した第1電極表面が元に復元される。
【0016】
そして、所定時間経過後に、2つの第1電極への印加電圧の極性を入れ換える、つまり、低電位電圧が印加されていた第2電極に高電位電圧を印加し、高電位電圧が印加されていた第2電極に低電位電圧を印加することにより、第1電極において、その両面の極性を反転させることができる。これにより、第1電極の両面をほぼ均等に消耗させて、第1電極の寿命を延長することができる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の水改質装置においても、本発明の請求項1に記載の水改質装置と同様に、印加電圧の極性切替えに関係なく水素を発生させて、改質水中の溶存水素濃度を高めることができる。さらに、第2電極を塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、従来の水改質装置に比較して、塩素の発生量を抑えることができ、塩素臭の発生を防止することができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の水改質装置は、給水管の途中に、電解槽に導入する水にカルシウムを添加するカルシウム添加手段を設ける構成としている。これにより、第2電極の材質としてマグネシウムを、あるいはマグネシウムとカルシウムの合金を用いた従来の水改質装置と比較して、より豊富にカルシウムを含有する改質水を生成することができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載の水改質装置は、カルシウム添加手段は、水を濾過する濾過手段を備える構成としている。これにより、カルシウム添加手段内のカルシウム製剤やその細片が電解槽に導入されることを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による水改質装置を、主として飲料用水をアルカリ性に改質するアルカリ整水器に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1におけるカルシウム添加装置7の構成を示す説明図である。
【0023】
図3は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の電気回路構成図である。
【0024】
アルカリ整水器1は、外部の上水道管に接続された蛇口12の下流側に、切替え弁10を介して接続されている。この切替え弁10を操作することにより、水道水をそのまま放水管13から流出させる、あるいはアルカリ整水器1に流入させて改質水を吐水管9から流出ることを必要に応じて切替えることができる。
【0025】
アルカリ整水器1は、大きくは、図1に示すように、第1電極3および第2電極4を備える電解槽2と、第1電極3および第2電極4へ電圧を印加する制御手段である制御装置5と、外部の上水道管14に接続された蛇口12からの水を電解室2に導入する給水管6と、給水管6の途中に設けられたカルシウム添加手段であるカルシウム添加装置7と、電解室2内の改質水を外部へ流出させる排水管である吐水管9とを備えている。このような構成により、上水道水を、外部の上水道管14から蛇口12を介して電解室2へ導入する途中において、カルシウム添加装置7を通過させて上水道水中にカルシウムを添加し、続いて、電解槽2内においてマグネシウムで形成された第1電極3を用いて電気分解してアルカリ性に改質するものである。
【0026】
電解槽2は、耐腐食性に富む材料、たとえばプラスチックなどの材料で形成されている。また、電解槽2には、図1に示すように、2種類の電極、すなわちマグネシウムから形成される第1電極3と塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極4とが互いに対向して配置されている。また、第1電極3、第2電極4は、後述する制御装置5に電気的に接続されている。
【0027】
ここで、第1電極3は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においてはマグネシウムの鋳造材を用いているが、他の製法によるマグネシウム材、たとえば圧延材、焼結材、押出し材等を用いてもよい。
【0028】
電解槽2の下部には、図1に示すように、蛇口12からの水を電解槽2に導入する給水管6が接続されている。また、給水管6の途中には後述するカルシウム添加装置7が設置されている。さらに、給水管6のカルシウム添加装置7より上流側には、給水管6の水流を検出する流水センサ8が取付けられている。この流水センサ8は、後述する制御装置5に検出信号を出力可能に電気的に接続されている。一方、電解槽2の上部には、電解槽2から外部へ水を流出させる排水管である吐水管9が接続されている。
【0029】
また、給水管6の途中、つまり蛇口12と電解槽2との中間には、図1に示すように、電解槽2に導入する水にカルシウムを添加するカルシウム添加装置7が設けられている。カルシウム添加装置7は、図2に示すように、給水管6に接続されるベース部72およびカルシウム製剤等を内蔵するカートリッジ部71とから構成されている。
【0030】
ベース部72は、樹脂等から形成され、カートリッジ部71を固定するためのボス部72aを備えている。ボス部72aの外周には雄ねじ(図示せず)が設けられ、これと螺合することによりカートリッジ部71がベース部72に固定される。また、ベース部72には、カートリッジ部71へ水を導入する通路である給水路72b、カートリッジ部71からの水を排出する通路である排水路72cが形成されている。
【0031】
カートリッジ部71は、図2に示すように、樹脂等から形成されたケース71a内に、カルシウムである、たとえばペレット状(比較的均一な寸法を有する成形材)に形成されたカルシウム製剤71bと、水を濾過する濾過手段であるフィルタ71cとを収容保持している。カルシウム製剤71bとしては、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム等が用いられている。一方、フィルタ71cとしては、カルシウム製剤71bより小さい直径の小孔を多数設けた板材と中空糸膜等を積層したものが用いられている。したがって、フィルタ71cによりカルシウム製剤71bがカートリッジ部71から下流側へ流出し電解槽2へ侵入することを防止できる。さらに、蛇口12からの水に含まれる種々の異物も、フィルタ71cにより捕集除去することができる。カートリッジ部71は、ボス部72aにねじ込むことによりベース部72に固定される。また、カートリッジ部71、ベース部72間の気密はO−リング73により保たれている。
【0032】
カルシウム添加装置7を上述のような構成としたことにより、アルカリ整水器1の使用過程においてカルシウム製剤71bが消耗し補給が必要となった場合、カートリッジ71を交換するという簡単な作業でカルシウム製剤71bを補給することができる。
【0033】
蛇口12からの水は、カルシウム添加装置7の内部を、図2中において矢印で示す方向に流れ、この間にカルシウム製剤71bの表面からカルシウムイオン(Ca2+)が水中に溶出する。これにより、電解槽2により生成される改質水に、Ca2+、すなわちミネラル成分を豊富に含有させることができる
次に、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の電気回路構成について説明する。
【0034】
本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1は、一般的な家庭用電源である100Vの交流電源11から電力の供給を受けて作動する。
【0035】
第1電極3、第2電極4への電圧印加を制御する制御装置5は、図3に示すように、100Vの交流電源11からの交流電力を所定電圧の直流に変換する電源部51と、電源部51からの直流電力により作動し駆動部53に対して第1電極3、第2電極4への電圧印加・印加停止制御信号を出力する制御部52と、制御部52からの電圧印加・印加停止制御信号にしたがって第1電極3、第2電極4への電圧印加、あるいは電圧印加停止を行う駆動部53とを備えている。また、制御装置5の制御部52には、流水センサ8が接続されている。
【0036】
本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、電源部51は、制御部52へ直流5Vを、駆動部53へ直流24Vを、それぞれ供給している。
【0037】
制御部52は、駆動部53に対して第1電極3、第2電極4への電圧印加・印加停止制御信号を出力する。すなわち、駆動部53に対して、第1電極3に高電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極4に低電位電圧として0Vを印加する第1通電モードと、第1電極3に低電位電圧として0Vを印加すると共に第2電極4に高電位電圧として24Vを印加する第2通電モードとを交互に繰返させるように制御信号を出力している。
【0038】
ここで、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1通電モードの通電時間と第2通電モードの通電時間とは等しくなるように設定されており、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、それぞれ3分間に設定されている。また、制御部52には、流水センサ8が接続されている。流水センサ8により給水管6内に水が流れている、つまり、電解槽2へ水道水が流入していることを検出すると、制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4に電圧印加するように制御信号を出力する。一方、流水センサ8により給水管6内に水が流れていない、つまり、電解槽2へ水道水が流入していないことを検出すると、制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4への電圧印加を停止するように制御信号を出力する。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の作動について説明する。
【0040】
使用者が、蛇口12および切替え弁10を操作して、水道水が給水管6に流入すると、流水センサ8がこれを検出し、この流水センサ8からの検出信号に基づいて、制御装置5の制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4に電圧印加するように制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、駆動部53は両電極3、4に電圧を印加する。
【0041】
すなわち、第1電極3に高電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極4に低電位電圧として0Vを印加する第1通電モードと、第1電極3に低電位電圧として0Vを印加すると共に第2電極4に高電位電圧として24Vを印加する第2通電モードとを3分間毎に繰返す。
【0042】
上述のような電圧印加により、電解槽2内においては、水の電気分解が進行する。なお、図1は、第1通電モード、すなわち第1電極3に24V、第2電極4に0Vが印加されている状態を示している。第1通電モード時には、図1に示すように、24Vが印加される第1電極3が+極、0Vが印加される第2電極4が−極として作用する。したがって、電解室2において、+極として作用する第1電極3の表面3aからMg2+イオンが溶出し、−極として作用する第2電極4の表面4aからH2が発生する。そのため、下記(化1)〜(化4)式に示すような反応が生じ、電解室2内の水がアルカリ性に改質される。
【0043】
【化1】2H2O→2H++2OH−
【0044】
【化2】2H++2e−→H2↑
【0045】
【化3】Mg→Mg2++2e−
【0046】
【化4】Mg2++2OH―→Mg(OH)2
上述の第1通電モードが3分間経過すると、こんどは、制御装置5により第2通電モードに切替えられて、第1電極3に0V、第2電極4に24Vが印加され、第1電極3が−極、第2電極4が+極として作用する。このとき、第1電極3では、表面3aからH2が発生するとともに、表面3に生成されたMg(OH)2が水中に溶解されてMg2+が表面に付着する、つまり第1電極の表面が復元される。また、第2電極4の表面4aからO2が発生する。この第2通電モードが3分間経過すると、再び第1通電モードに切替えられる。
【0047】
そして、使用者が、切替え弁10を放水管13側に切替える、あるいは蛇口12を閉じることにより給水管6内の水流が停止する、言い換えると電解槽2内への水道水の流入が停止すると、流水センサ8はこれを検知し、この流水センサ8からの検出信号に基づいて、制御装置5の制御部52は、駆動部53に対して両電極3、4に電圧印加を停止するように制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、駆動部53は両電極3、4への電圧印加を停止する。
【0048】
以上説明した、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、その作動中において、第1通電モードのときは、第1電極3からはMg2+イオンが溶出して電解室2内の水がアルカリ性に改質され、第2電極4からはH2が発生する。一方、第2通電モードのときは、第1電極3からはH2が発生するとともに、表面3に生成されたMg(OH)2が水中に溶解されてMg2+が表面に付着する、つまり第1電極の表面が復元され、第2電極からはO2が発生する。
【0049】
これにより、第1通電モードにおいて第1電極3からMg2+イオンを溶出させて電解室2内の水をアルカリ性に改質しつつ、第1通電モードおよび第2通電モードにおいて、言い換えると、アルカリ整水器1の作動中は連続してH2を発生させて、改質水中における溶存水素濃度を効率よく高めることができる。
【0050】
また、第2通電モードにおいて、第1電極3の表面3状態を良好に復元して、第1電極3の表面の荒れを防止し、第1電極3の寿命を長期化することができる。
【0051】
また、第2電極4として、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、第2電極に白金を用いた場合における不具合、すなわち第2電極周辺で塩素が発生し、塩素臭が発生する不具合を防止することができる。さらに、第2電極からO2を発生させることができるので、改質水のpHが過度に高くなることを効果的に抑制することができる。
【0052】
さらに、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、給水管6の途中にカルシウム添加装置7を設け、電解槽2に導入する水中にカルシウムを添加している。これにより、第1電極としてマグネシウムとカルシウムとの合金を用いた従来の水改質装置の場合と比較して、より豊富にカルシウムを含有する改質水を生成することができる。
【0053】
なお、以上説明した本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1通電モードと第2通電モードの通電時間をそれぞれ3分間としているが、3分間に限る必要は無く、必要に応じて増減してよい。
【0054】
また、第1通電モードと第2通電モードの通電時間を等しくしているが、両者の通電時間が異なる構成としてもよい。
【0055】
図4は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の変形例における電解槽2内の各電極配置を示す説明図である。
【0056】
この変形例においては、第1電極3を2個、第2電極4を1個設け、図4に示すように、2個の第1電極3を並列接続して同電位の電極として作動させている。
【0057】
なお、この場合、図4において、第1電極3と第2電極4を入れ替える、つまり、第1電極3を1個、第2電極4を2個設け、2個の第2電極4を並列接続して同電位の電極として作動させてもよい。
【0058】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【0059】
本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1は、先に説明した、本発明の第1実施形態にアルカリ整水器1に対して、電解槽2内における、第1電極および第2電極4の構成を変更したものである。なお、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1において、第1電極3、第2電極4の材質は、第1実施形態の場合と同様である。
【0060】
したがって、以下に、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の特徴である電解槽2内における両電極3、4の構成、特に第1電極および第2電極4の配置方法および制御装置5との電気的接続方法とその作動について説明し、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1と同一構成部分については説明を省略する。
【0061】
本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、図5に示すように、電解槽2内には、2つの第2電極41、42が対向して配置され、且つこれらの第2電極4の間には第1電極3が2つ配置されている。すなわち、4つの電極が等間隔で重なるように配置されている。そして、2つの第2電極41、42は、それぞれ制御装置5に電気的に接続されており、両電極41、42間に制御装置5により電圧が印加される。一方、2つの第1電極3は、制御装置5に接続されていない。
【0062】
制御装置5の構成、作動は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様であるが、制御装置5が電圧を印加する2つの電極が第1実施形態とは異なっている。
【0063】
すなわち、互いに対向する第2電極41、42の一方である第2電極41に高電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極41、42の他方である第2電極42に低電位電圧として0Vを印加する第3通電モードと、互いに対向する第2電極41、42の一方である第2電極41に低電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極41、42の他方である第2電極42に高電位電圧として0Vを印加する第4通電モードとを交互に繰返している。また、両通電モードの通電時間は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様に、等しく且つそれぞれ3分間に設定されている。
【0064】
次に、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の作動、特に両電極41、42への電圧印加時における電解槽2内の反応について説明する。
【0065】
なお、図5は、第3通電モード、すなわち第2電極41に24V、第2電極42に0Vが印加されている状態を示している。
【0066】
蛇口12あるいは切替え弁10が使用者により操作され、水道水が電解槽2に導入されると、制御装置5は、両電極41、42への電圧印加制御を開始する。電圧給水管6に流入すると、流水センサ8がこれを検出し、この流水センサ8からの検出信号に基づいて、制御装置5の制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4に電圧印加するように制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、駆動部53は両電極3、4に電圧を印加する。
【0067】
先ず、第3通電モードとして第2電極41に高電位電圧として24Vが、第2電極42に低電位電圧として0Vが3分間印加される。つまり、第2電極41が+極、第2電極42が−極として作用する。
【0068】
この場合、隣合う各電極間の隙間長さは等しくなるように設定されているので、隣合う2つの電極間の電位差は8V(24V/3)となっている。
【0069】
また、+極である第2電極41と−極である第2電極42との間に介在する2つの第1電極3では、図5に示すように、+極である第2電極41側の表面3aが−極として、−極である第2電極42側の表面3bが+極として作用する。したがって、電解室2内において、+極として作用する各第1電極3の表面3bからMg2+イオンが溶出し、−極として作用する各第1電極3の表面3aからH2が発生する。そして、(化1)〜(化4)式に示すような反応が生じ、電解室2内の水がアルカリ性に改質される。
【0070】
さらに、+極として作用する第2電極41の表面からはO2が発生し、−極として作用する第2電極42の表面からはH2が発生する。
【0071】
上述の第3通電モードが実施されて3分間経過すると、制御装置5により第4通電モードに切替えられる。
【0072】
第4通電モードにおいては、第2電極41に低電位電圧として0Vが、第2電極42に高電位電圧として24Vが3分間印加される。つまり、今度は、第2電極41が−極、第2電極42が+極として作用する。これにより、両第1電極3においては、第3通電モード時とは両表面3a、3bの極性が反転する。すなわち、第3通電モード時に−極として作用した表面3aが+極として作用し、表面3aからMg2+イオンが溶出する。一方、第3通電モード時に+極として作用した表面3bが−極として作用し、表面3bからH2が発生する。
【0073】
さらに、−極として作用する第2電極41の表面からはH2が発生し、+極として作用する第2電極42の表面からはO2が発生する。
【0074】
以上説明した、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第3通電モードおよび第4通電モード時、つまり改質作動中において、Mg2+イオンの溶出、H2の発生、O2の発生するが連続して行われる。これにより、Mg2+イオンを溶出させて電解室2内の水をアルカリ性に改質しつつ、アルカリ整水器1の作動中は連続してH2を発生させて、改質水中における溶存水素濃度を効率よく高めることができる。さらに、発生したO2により、改質水のpHが過度に高くなることを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、第2電極4として、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様に、第2電極に白金を用いた場合における不具合、すなわち第2電極周辺で塩素が発生し、塩素臭が発生するという不具合を防止することができる。
【0076】
また、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においても、第3通電モードと第4通電モードを繰返すことで、マグネシウムから成る第1電極3の両面3a、3bにおいて、Mg2+イオンの溶出〜Mg(OH)2の析出と、析出したMg(OH)2の溶解および表面の復元を繰返すことができるので、第1電極3の表面3a、3bの荒れを防止し、第1電極3の寿命を長期化することができる。
【0077】
なお、以上説明した本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第3通電モードと第4通電モードの通電時間をそれぞれ3分間としているが、3分間に限る必要は無く、必要に応じて増減してよい。
【0078】
また、第3通電モードと第4通電モードの通電時間を等しくしているが、両者の通電時間が異なる構成としてもよい。
【0079】
また、以上説明した、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1電極3の個数を2個としているが、2個に限る必要は無く、1個あるいは3個以上としてもよい。
【0080】
図6には、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の変形例による電解槽2内の各電極配置を示す。
【0081】
この変形例においては、図6に示すように、3個の第2電極41、42、43を設けるとともに、両端に位置する第2電極41、43を並列接続して同電位の電極として作動させている。そして、第2電極41、42間、第2電極42、43間にそれぞれ2つの第1電極3を配置している。
【0082】
この変形例の電極構成によっても、上述の本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様にアルカリ性改質水を生成することができる。この場合、第2電極41、42間、第2電極42、43間に配置する第1電極3の枚数を、1枚、あるいは3枚以上としてもよい。
【0083】
なお、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、制御装置5の電源を100Vの交流電源11としているが、他の電源、たとえば、200Vの交流電源、あるいは蓄電池、太陽電池等の直流電源を用いてもよい。
【0084】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1電極3、第2電極4を板形状としているが、板形状に限定されるものではなく他の形状であってもよい。たとえば螺旋形状としてもよい。
【0085】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、給水管6の途中にカルシウム添加装置7を設けているが、このカルシウム添加装置7を省略してもよい。
【0086】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態は、本発明による水改質装置を、主として飲料用水をアルカリ性に改質するアルカリ整水器1に適用した場合を例に説明してきたが、本発明による水改質装置の用途は飲料水改質用に限定されるものではなく、他の用途、たとえば浴水改質用、あるいは栽培作物に散布する農業用水改質用等に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1におけるカルシウム添加装置7の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の電気回路構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の変形例における電解槽2内の各電極配置を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の変形例による電解槽2内の各電極配置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アルカリ整水器(水改質装置)
2 電解槽
3 第1電極
3a、3b 表面
4 第2電極
41、42、43 第2電極
5 制御装置(制御手段)
51 電源部
52 制御部
53 駆動部
6 給水管
7 カルシウム添加装置(カルシウム添加手段)
71 カートリッジ部
71a ケース
71b カルシウム製剤(カルシウム)
71c フィルタ(濾過手段)
72 ベース部
72a ボス部
72b 給水路
72c 排水路
73 O−リング
8 流水センサ
9 吐出管(排水管)
10 切替え弁
11 交流電源
12 蛇口
13 放水管
14 上水道管
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道水等の原水を電気分解によりアルカリ性に改質する水改質装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水道水等を原水としてアルカリ性の改質水を生成する水改質装置としては、たとえば、電解槽内に配置されるマグネシウム製電極および貴金属あるいは貴金属合金、たとえば白金製電極により水を電気分解し、マグネシウム電極から溶解したマグネシウムイオン(Mg2+)と(OH−)とによりをMg(OH−)2を生成して原水をアルカリ性に改質するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−191078号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、アルカリ改質水における溶存水素濃度を高めることにより、アルカリ改質水の効果を高められることが言われている。
【0005】
しかしながら、上述の水改質装置において、マグネシウム電極と対になる電極として用いられる白金電極の場合、白金電極において発生する水素量が、上述の効果を得るには十分でない。
【0006】
また、水道水中に含まれる塩素が、白金電極において析出し気体となって放出されて、水改質装置から塩素臭が発生する、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アルカリ改質水における溶存水素濃度を高めることのできる水改質装置を提供することである。また、もう一つの目的は、気体塩素発生を抑制可能な水改質装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、以下の技術的手段を採用する。
本発明の請求項1に記載の水改質装置は、水道水等を電解槽へ導入する給水管と、電解槽から外部へ水を流出させる排水管と、電解槽内に配されるマグネシウムから形成される第1電極と、電解槽内に配される塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極と、第1電極および第2電極に電圧を印加する制御手段とを備え、制御手段により第1電極および第2電極に電圧を印加して第1電極からMg2+イオンを溶出させて電解槽内の水をアルカリ性に改質する水改質装置であって、制御手段は、第1電極に高電位電圧を印加すると同時に第2電極に低電位電圧を印加する第1通電モードと、第1電極に低電位電圧を印加すると同時に第2電極に高電位電圧を印加する第2通電モードとを交互に切替える構成とした。
【0009】
マグネシウムから成る第1電極に高電位電圧を印加するとともに、第2電極に低電位電圧を印加すると、第1電極の表面からMg2+イオンが溶出し、水の電気分解で発生した(OH−)と反応してMg(OH)2が析出し、これにより原水がアルカリ性に改質される。そして、第1電極の表面にMg(OH)2が析出し、この析出物質のために第1電極表面におけるMg2+イオンの溶出が不均等となり、第1電極表面に亀裂、あるいは荒れ(凹凸状態)が発生する。この状態が続くと、第1電極表面からの微小なマグネシウム片の剥離が発生して電極の寿命が短縮される。そこで、第1電極および第2電極への印加電圧の極性を入れ換える、つまり、今度は、第1電極に低電位電圧を印加するとともに、第2電極に高電位電圧を印加する。このとき、第1電極の表面に析出したMg(OH)2が水中に溶解されて第1電極の表面が復元される。これにより、第1電極の表面の荒れを防止し、第1電極の寿命を長期化することができる。同時に、第1電極近傍から水素が発生する。マグネシウムは、低電位電圧が印加される場合、つまり陰極として作用する場合に水素を効率良く発生するので、第1電極の復元時においても、アルカリ改質中、つまり第1電極が陽極として作用中と同様に水素を発生させて、改質水中の溶存水素濃度を高めることができる。
【0010】
ところで、従来の水改質装置においては、第2電極として白金が用いられている。白金は、具体的には、チタン製の基材の表面に白金メッキを施して、あるいはチタン製の基材の表面に白金粒子を焼着したものが用いられている。この場合、第1電極の復元時、つまり白金から成る第2電極に高電位電圧が印加され第2電極が陽極として作用すると、第2電極周辺に塩素が発生し、塩素臭が発生するという問題があった。
【0011】
これに対して、本発明の請求項1に記載の水改質装置においては、第2電極を塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成している。
【0012】
ここで、塩素過電圧は、水を電気分解する際の電極として用いたときに、塩素が析出する最低電圧である。
【0013】
第2電極を塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、従来の水改質装置に比較して、塩素の発生量を抑えることができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の水改質装置は、水道水等を電解槽へ導入する給水管と、電解槽から外部へ水を流出させる排水管と、電解槽内に互いに対向して複数個配置され、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極と、電解槽内において2つの第2電極間に配置され、マグネシウムから形成される第1電極と、第1電極に電圧を印加する制御手段とを備え、制御手段により第1電極に電圧を印加して第1電極からMg2+イオンを溶出させて電解槽内の水をアルカリ性に改質する水改質装置であって、制御手段は、互いに対向する第2電極の一方に高電位電圧を印加すると同時に他方に低電位電圧を印加する第3通電モードと、互いに対向する第2電極の一方に低電位電圧を印加すると同時に他方に高電位電圧を印加する第4通電モードとを交互に切替える構成としている。
【0015】
この場合、2つの第2電極間に配置され、マグネシウムから形成される第1電極においては、低電位電圧が印加される第2電極に対向する表面は陽極として作用し、Mg2+イオンが溶出し、水の電気分解で発生した(OH−)と反応してMg(OH)2が析出し、これにより原水がアルカリ性に改質される。一方、高電位電圧が印加される第2電極に対向する表面は陰極として作用し、その表面周辺に水素が発生すると同時に、析出したMg(OH)2によりMg2+イオンの溶出が不均等となり、亀裂、あるいは荒れ(凹凸状態)が発生した第1電極表面が元に復元される。
【0016】
そして、所定時間経過後に、2つの第1電極への印加電圧の極性を入れ換える、つまり、低電位電圧が印加されていた第2電極に高電位電圧を印加し、高電位電圧が印加されていた第2電極に低電位電圧を印加することにより、第1電極において、その両面の極性を反転させることができる。これにより、第1電極の両面をほぼ均等に消耗させて、第1電極の寿命を延長することができる。
【0017】
本発明の請求項2に記載の水改質装置においても、本発明の請求項1に記載の水改質装置と同様に、印加電圧の極性切替えに関係なく水素を発生させて、改質水中の溶存水素濃度を高めることができる。さらに、第2電極を塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、従来の水改質装置に比較して、塩素の発生量を抑えることができ、塩素臭の発生を防止することができる。
【0018】
本発明の請求項3に記載の水改質装置は、給水管の途中に、電解槽に導入する水にカルシウムを添加するカルシウム添加手段を設ける構成としている。これにより、第2電極の材質としてマグネシウムを、あるいはマグネシウムとカルシウムの合金を用いた従来の水改質装置と比較して、より豊富にカルシウムを含有する改質水を生成することができる。
【0019】
本発明の請求項4に記載の水改質装置は、カルシウム添加手段は、水を濾過する濾過手段を備える構成としている。これにより、カルシウム添加手段内のカルシウム製剤やその細片が電解槽に導入されることを防止できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による水改質装置を、主として飲料用水をアルカリ性に改質するアルカリ整水器に適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【0022】
図2は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1におけるカルシウム添加装置7の構成を示す説明図である。
【0023】
図3は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の電気回路構成図である。
【0024】
アルカリ整水器1は、外部の上水道管に接続された蛇口12の下流側に、切替え弁10を介して接続されている。この切替え弁10を操作することにより、水道水をそのまま放水管13から流出させる、あるいはアルカリ整水器1に流入させて改質水を吐水管9から流出ることを必要に応じて切替えることができる。
【0025】
アルカリ整水器1は、大きくは、図1に示すように、第1電極3および第2電極4を備える電解槽2と、第1電極3および第2電極4へ電圧を印加する制御手段である制御装置5と、外部の上水道管14に接続された蛇口12からの水を電解室2に導入する給水管6と、給水管6の途中に設けられたカルシウム添加手段であるカルシウム添加装置7と、電解室2内の改質水を外部へ流出させる排水管である吐水管9とを備えている。このような構成により、上水道水を、外部の上水道管14から蛇口12を介して電解室2へ導入する途中において、カルシウム添加装置7を通過させて上水道水中にカルシウムを添加し、続いて、電解槽2内においてマグネシウムで形成された第1電極3を用いて電気分解してアルカリ性に改質するものである。
【0026】
電解槽2は、耐腐食性に富む材料、たとえばプラスチックなどの材料で形成されている。また、電解槽2には、図1に示すように、2種類の電極、すなわちマグネシウムから形成される第1電極3と塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極4とが互いに対向して配置されている。また、第1電極3、第2電極4は、後述する制御装置5に電気的に接続されている。
【0027】
ここで、第1電極3は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においてはマグネシウムの鋳造材を用いているが、他の製法によるマグネシウム材、たとえば圧延材、焼結材、押出し材等を用いてもよい。
【0028】
電解槽2の下部には、図1に示すように、蛇口12からの水を電解槽2に導入する給水管6が接続されている。また、給水管6の途中には後述するカルシウム添加装置7が設置されている。さらに、給水管6のカルシウム添加装置7より上流側には、給水管6の水流を検出する流水センサ8が取付けられている。この流水センサ8は、後述する制御装置5に検出信号を出力可能に電気的に接続されている。一方、電解槽2の上部には、電解槽2から外部へ水を流出させる排水管である吐水管9が接続されている。
【0029】
また、給水管6の途中、つまり蛇口12と電解槽2との中間には、図1に示すように、電解槽2に導入する水にカルシウムを添加するカルシウム添加装置7が設けられている。カルシウム添加装置7は、図2に示すように、給水管6に接続されるベース部72およびカルシウム製剤等を内蔵するカートリッジ部71とから構成されている。
【0030】
ベース部72は、樹脂等から形成され、カートリッジ部71を固定するためのボス部72aを備えている。ボス部72aの外周には雄ねじ(図示せず)が設けられ、これと螺合することによりカートリッジ部71がベース部72に固定される。また、ベース部72には、カートリッジ部71へ水を導入する通路である給水路72b、カートリッジ部71からの水を排出する通路である排水路72cが形成されている。
【0031】
カートリッジ部71は、図2に示すように、樹脂等から形成されたケース71a内に、カルシウムである、たとえばペレット状(比較的均一な寸法を有する成形材)に形成されたカルシウム製剤71bと、水を濾過する濾過手段であるフィルタ71cとを収容保持している。カルシウム製剤71bとしては、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム等が用いられている。一方、フィルタ71cとしては、カルシウム製剤71bより小さい直径の小孔を多数設けた板材と中空糸膜等を積層したものが用いられている。したがって、フィルタ71cによりカルシウム製剤71bがカートリッジ部71から下流側へ流出し電解槽2へ侵入することを防止できる。さらに、蛇口12からの水に含まれる種々の異物も、フィルタ71cにより捕集除去することができる。カートリッジ部71は、ボス部72aにねじ込むことによりベース部72に固定される。また、カートリッジ部71、ベース部72間の気密はO−リング73により保たれている。
【0032】
カルシウム添加装置7を上述のような構成としたことにより、アルカリ整水器1の使用過程においてカルシウム製剤71bが消耗し補給が必要となった場合、カートリッジ71を交換するという簡単な作業でカルシウム製剤71bを補給することができる。
【0033】
蛇口12からの水は、カルシウム添加装置7の内部を、図2中において矢印で示す方向に流れ、この間にカルシウム製剤71bの表面からカルシウムイオン(Ca2+)が水中に溶出する。これにより、電解槽2により生成される改質水に、Ca2+、すなわちミネラル成分を豊富に含有させることができる
次に、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の電気回路構成について説明する。
【0034】
本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1は、一般的な家庭用電源である100Vの交流電源11から電力の供給を受けて作動する。
【0035】
第1電極3、第2電極4への電圧印加を制御する制御装置5は、図3に示すように、100Vの交流電源11からの交流電力を所定電圧の直流に変換する電源部51と、電源部51からの直流電力により作動し駆動部53に対して第1電極3、第2電極4への電圧印加・印加停止制御信号を出力する制御部52と、制御部52からの電圧印加・印加停止制御信号にしたがって第1電極3、第2電極4への電圧印加、あるいは電圧印加停止を行う駆動部53とを備えている。また、制御装置5の制御部52には、流水センサ8が接続されている。
【0036】
本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、電源部51は、制御部52へ直流5Vを、駆動部53へ直流24Vを、それぞれ供給している。
【0037】
制御部52は、駆動部53に対して第1電極3、第2電極4への電圧印加・印加停止制御信号を出力する。すなわち、駆動部53に対して、第1電極3に高電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極4に低電位電圧として0Vを印加する第1通電モードと、第1電極3に低電位電圧として0Vを印加すると共に第2電極4に高電位電圧として24Vを印加する第2通電モードとを交互に繰返させるように制御信号を出力している。
【0038】
ここで、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1通電モードの通電時間と第2通電モードの通電時間とは等しくなるように設定されており、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、それぞれ3分間に設定されている。また、制御部52には、流水センサ8が接続されている。流水センサ8により給水管6内に水が流れている、つまり、電解槽2へ水道水が流入していることを検出すると、制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4に電圧印加するように制御信号を出力する。一方、流水センサ8により給水管6内に水が流れていない、つまり、電解槽2へ水道水が流入していないことを検出すると、制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4への電圧印加を停止するように制御信号を出力する。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の作動について説明する。
【0040】
使用者が、蛇口12および切替え弁10を操作して、水道水が給水管6に流入すると、流水センサ8がこれを検出し、この流水センサ8からの検出信号に基づいて、制御装置5の制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4に電圧印加するように制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、駆動部53は両電極3、4に電圧を印加する。
【0041】
すなわち、第1電極3に高電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極4に低電位電圧として0Vを印加する第1通電モードと、第1電極3に低電位電圧として0Vを印加すると共に第2電極4に高電位電圧として24Vを印加する第2通電モードとを3分間毎に繰返す。
【0042】
上述のような電圧印加により、電解槽2内においては、水の電気分解が進行する。なお、図1は、第1通電モード、すなわち第1電極3に24V、第2電極4に0Vが印加されている状態を示している。第1通電モード時には、図1に示すように、24Vが印加される第1電極3が+極、0Vが印加される第2電極4が−極として作用する。したがって、電解室2において、+極として作用する第1電極3の表面3aからMg2+イオンが溶出し、−極として作用する第2電極4の表面4aからH2が発生する。そのため、下記(化1)〜(化4)式に示すような反応が生じ、電解室2内の水がアルカリ性に改質される。
【0043】
【化1】2H2O→2H++2OH−
【0044】
【化2】2H++2e−→H2↑
【0045】
【化3】Mg→Mg2++2e−
【0046】
【化4】Mg2++2OH―→Mg(OH)2
上述の第1通電モードが3分間経過すると、こんどは、制御装置5により第2通電モードに切替えられて、第1電極3に0V、第2電極4に24Vが印加され、第1電極3が−極、第2電極4が+極として作用する。このとき、第1電極3では、表面3aからH2が発生するとともに、表面3に生成されたMg(OH)2が水中に溶解されてMg2+が表面に付着する、つまり第1電極の表面が復元される。また、第2電極4の表面4aからO2が発生する。この第2通電モードが3分間経過すると、再び第1通電モードに切替えられる。
【0047】
そして、使用者が、切替え弁10を放水管13側に切替える、あるいは蛇口12を閉じることにより給水管6内の水流が停止する、言い換えると電解槽2内への水道水の流入が停止すると、流水センサ8はこれを検知し、この流水センサ8からの検出信号に基づいて、制御装置5の制御部52は、駆動部53に対して両電極3、4に電圧印加を停止するように制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、駆動部53は両電極3、4への電圧印加を停止する。
【0048】
以上説明した、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、その作動中において、第1通電モードのときは、第1電極3からはMg2+イオンが溶出して電解室2内の水がアルカリ性に改質され、第2電極4からはH2が発生する。一方、第2通電モードのときは、第1電極3からはH2が発生するとともに、表面3に生成されたMg(OH)2が水中に溶解されてMg2+が表面に付着する、つまり第1電極の表面が復元され、第2電極からはO2が発生する。
【0049】
これにより、第1通電モードにおいて第1電極3からMg2+イオンを溶出させて電解室2内の水をアルカリ性に改質しつつ、第1通電モードおよび第2通電モードにおいて、言い換えると、アルカリ整水器1の作動中は連続してH2を発生させて、改質水中における溶存水素濃度を効率よく高めることができる。
【0050】
また、第2通電モードにおいて、第1電極3の表面3状態を良好に復元して、第1電極3の表面の荒れを防止し、第1電極3の寿命を長期化することができる。
【0051】
また、第2電極4として、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、第2電極に白金を用いた場合における不具合、すなわち第2電極周辺で塩素が発生し、塩素臭が発生する不具合を防止することができる。さらに、第2電極からO2を発生させることができるので、改質水のpHが過度に高くなることを効果的に抑制することができる。
【0052】
さらに、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、給水管6の途中にカルシウム添加装置7を設け、電解槽2に導入する水中にカルシウムを添加している。これにより、第1電極としてマグネシウムとカルシウムとの合金を用いた従来の水改質装置の場合と比較して、より豊富にカルシウムを含有する改質水を生成することができる。
【0053】
なお、以上説明した本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1通電モードと第2通電モードの通電時間をそれぞれ3分間としているが、3分間に限る必要は無く、必要に応じて増減してよい。
【0054】
また、第1通電モードと第2通電モードの通電時間を等しくしているが、両者の通電時間が異なる構成としてもよい。
【0055】
図4は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の変形例における電解槽2内の各電極配置を示す説明図である。
【0056】
この変形例においては、第1電極3を2個、第2電極4を1個設け、図4に示すように、2個の第1電極3を並列接続して同電位の電極として作動させている。
【0057】
なお、この場合、図4において、第1電極3と第2電極4を入れ替える、つまり、第1電極3を1個、第2電極4を2個設け、2個の第2電極4を並列接続して同電位の電極として作動させてもよい。
【0058】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【0059】
本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1は、先に説明した、本発明の第1実施形態にアルカリ整水器1に対して、電解槽2内における、第1電極および第2電極4の構成を変更したものである。なお、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1において、第1電極3、第2電極4の材質は、第1実施形態の場合と同様である。
【0060】
したがって、以下に、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の特徴である電解槽2内における両電極3、4の構成、特に第1電極および第2電極4の配置方法および制御装置5との電気的接続方法とその作動について説明し、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1と同一構成部分については説明を省略する。
【0061】
本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、図5に示すように、電解槽2内には、2つの第2電極41、42が対向して配置され、且つこれらの第2電極4の間には第1電極3が2つ配置されている。すなわち、4つの電極が等間隔で重なるように配置されている。そして、2つの第2電極41、42は、それぞれ制御装置5に電気的に接続されており、両電極41、42間に制御装置5により電圧が印加される。一方、2つの第1電極3は、制御装置5に接続されていない。
【0062】
制御装置5の構成、作動は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様であるが、制御装置5が電圧を印加する2つの電極が第1実施形態とは異なっている。
【0063】
すなわち、互いに対向する第2電極41、42の一方である第2電極41に高電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極41、42の他方である第2電極42に低電位電圧として0Vを印加する第3通電モードと、互いに対向する第2電極41、42の一方である第2電極41に低電位電圧として24Vを印加すると同時に第2電極41、42の他方である第2電極42に高電位電圧として0Vを印加する第4通電モードとを交互に繰返している。また、両通電モードの通電時間は、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様に、等しく且つそれぞれ3分間に設定されている。
【0064】
次に、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の作動、特に両電極41、42への電圧印加時における電解槽2内の反応について説明する。
【0065】
なお、図5は、第3通電モード、すなわち第2電極41に24V、第2電極42に0Vが印加されている状態を示している。
【0066】
蛇口12あるいは切替え弁10が使用者により操作され、水道水が電解槽2に導入されると、制御装置5は、両電極41、42への電圧印加制御を開始する。電圧給水管6に流入すると、流水センサ8がこれを検出し、この流水センサ8からの検出信号に基づいて、制御装置5の制御部52は、駆動部53に対して、両電極3、4に電圧印加するように制御信号を出力する。この制御信号に基づいて、駆動部53は両電極3、4に電圧を印加する。
【0067】
先ず、第3通電モードとして第2電極41に高電位電圧として24Vが、第2電極42に低電位電圧として0Vが3分間印加される。つまり、第2電極41が+極、第2電極42が−極として作用する。
【0068】
この場合、隣合う各電極間の隙間長さは等しくなるように設定されているので、隣合う2つの電極間の電位差は8V(24V/3)となっている。
【0069】
また、+極である第2電極41と−極である第2電極42との間に介在する2つの第1電極3では、図5に示すように、+極である第2電極41側の表面3aが−極として、−極である第2電極42側の表面3bが+極として作用する。したがって、電解室2内において、+極として作用する各第1電極3の表面3bからMg2+イオンが溶出し、−極として作用する各第1電極3の表面3aからH2が発生する。そして、(化1)〜(化4)式に示すような反応が生じ、電解室2内の水がアルカリ性に改質される。
【0070】
さらに、+極として作用する第2電極41の表面からはO2が発生し、−極として作用する第2電極42の表面からはH2が発生する。
【0071】
上述の第3通電モードが実施されて3分間経過すると、制御装置5により第4通電モードに切替えられる。
【0072】
第4通電モードにおいては、第2電極41に低電位電圧として0Vが、第2電極42に高電位電圧として24Vが3分間印加される。つまり、今度は、第2電極41が−極、第2電極42が+極として作用する。これにより、両第1電極3においては、第3通電モード時とは両表面3a、3bの極性が反転する。すなわち、第3通電モード時に−極として作用した表面3aが+極として作用し、表面3aからMg2+イオンが溶出する。一方、第3通電モード時に+極として作用した表面3bが−極として作用し、表面3bからH2が発生する。
【0073】
さらに、−極として作用する第2電極41の表面からはH2が発生し、+極として作用する第2電極42の表面からはO2が発生する。
【0074】
以上説明した、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第3通電モードおよび第4通電モード時、つまり改質作動中において、Mg2+イオンの溶出、H2の発生、O2の発生するが連続して行われる。これにより、Mg2+イオンを溶出させて電解室2内の水をアルカリ性に改質しつつ、アルカリ整水器1の作動中は連続してH2を発生させて、改質水中における溶存水素濃度を効率よく高めることができる。さらに、発生したO2により、改質水のpHが過度に高くなることを効果的に抑制することができる。
【0075】
また、第2電極4として、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成することにより、本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様に、第2電極に白金を用いた場合における不具合、すなわち第2電極周辺で塩素が発生し、塩素臭が発生するという不具合を防止することができる。
【0076】
また、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においても、第3通電モードと第4通電モードを繰返すことで、マグネシウムから成る第1電極3の両面3a、3bにおいて、Mg2+イオンの溶出〜Mg(OH)2の析出と、析出したMg(OH)2の溶解および表面の復元を繰返すことができるので、第1電極3の表面3a、3bの荒れを防止し、第1電極3の寿命を長期化することができる。
【0077】
なお、以上説明した本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第3通電モードと第4通電モードの通電時間をそれぞれ3分間としているが、3分間に限る必要は無く、必要に応じて増減してよい。
【0078】
また、第3通電モードと第4通電モードの通電時間を等しくしているが、両者の通電時間が異なる構成としてもよい。
【0079】
また、以上説明した、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1電極3の個数を2個としているが、2個に限る必要は無く、1個あるいは3個以上としてもよい。
【0080】
図6には、本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の変形例による電解槽2内の各電極配置を示す。
【0081】
この変形例においては、図6に示すように、3個の第2電極41、42、43を設けるとともに、両端に位置する第2電極41、43を並列接続して同電位の電極として作動させている。そして、第2電極41、42間、第2電極42、43間にそれぞれ2つの第1電極3を配置している。
【0082】
この変形例の電極構成によっても、上述の本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の場合と同様にアルカリ性改質水を生成することができる。この場合、第2電極41、42間、第2電極42、43間に配置する第1電極3の枚数を、1枚、あるいは3枚以上としてもよい。
【0083】
なお、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、制御装置5の電源を100Vの交流電源11としているが、他の電源、たとえば、200Vの交流電源、あるいは蓄電池、太陽電池等の直流電源を用いてもよい。
【0084】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、第1電極3、第2電極4を板形状としているが、板形状に限定されるものではなく他の形状であってもよい。たとえば螺旋形状としてもよい。
【0085】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態によるアルカリ整水器1においては、給水管6の途中にカルシウム添加装置7を設けているが、このカルシウム添加装置7を省略してもよい。
【0086】
また、以上説明した本発明の第1実施形態および第2実施形態は、本発明による水改質装置を、主として飲料用水をアルカリ性に改質するアルカリ整水器1に適用した場合を例に説明してきたが、本発明による水改質装置の用途は飲料水改質用に限定されるものではなく、他の用途、たとえば浴水改質用、あるいは栽培作物に散布する農業用水改質用等に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1におけるカルシウム添加装置7の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の電気回路構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるアルカリ整水器1の変形例における電解槽2内の各電極配置を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態による水改質装置であるアルカリ整水器1の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるアルカリ整水器1の変形例による電解槽2内の各電極配置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アルカリ整水器(水改質装置)
2 電解槽
3 第1電極
3a、3b 表面
4 第2電極
41、42、43 第2電極
5 制御装置(制御手段)
51 電源部
52 制御部
53 駆動部
6 給水管
7 カルシウム添加装置(カルシウム添加手段)
71 カートリッジ部
71a ケース
71b カルシウム製剤(カルシウム)
71c フィルタ(濾過手段)
72 ベース部
72a ボス部
72b 給水路
72c 排水路
73 O−リング
8 流水センサ
9 吐出管(排水管)
10 切替え弁
11 交流電源
12 蛇口
13 放水管
14 上水道管
Claims (4)
- 水道水等を電解槽へ導入する給水管と、
前記電解槽から外部へ水を流出させる排水管と、
前記電解槽内に配されるマグネシウムから形成される第1電極と、
前記電解槽内に配される塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極と、
前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加する制御手段とを備え、前記制御手段により前記第1電極および前記第2電極に電圧を印加して前記第1電極からMg2+イオンを溶出させて前記電解槽内の水をアルカリ性に改質する水改質装置であって、
前記制御手段は、前記第1電極に高電位電圧を印加すると同時に前記第2電極に低電位電圧を印加する第1通電モードと、前記第1電極に低電位電圧を印加すると同時に前記第2電極に高電位電圧を印加する第2通電モードとを交互に切替えることを特徴とする水改質装置。 - 水道水等を電解槽へ導入する給水管と、
前記電解槽から外部へ水を流出させる排水管と、
前記電解槽内に互いに対向して複数個配置され、塩素過電圧が白金の塩素過電圧よりも高い材質から形成される第2電極と、
前記電解槽内において2つの前記第2電極間に配置され、マグネシウムから形成される第1電極と、
前記第2電極に電圧を印加する制御手段とを備え、前記制御手段により前記第2電極に電圧を印加して前記第1電極からMg2+イオンを溶出させて前記電解槽内の水をアルカリ性に改質する水改質装置であって、
前記制御手段は、互いに対向する前記第2電極の一方に高電位電圧を印加すると同時に他方に低電位電圧を印加する第3通電モードと、互いに対向する前記第2電極の一方に低電位電圧を印加すると同時に他方に高電位電圧を印加する第4通電モードとを交互に切替えることを特徴とする水改質装置。 - 前記給水管の途中に、前記電解槽に導入する水にカルシウムを添加するカルシウム添加手段を設けることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれかに記載の水改質装置。
- 前記カルシウム添加手段は、水を濾過する濾過手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の水改質装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012102252A (ja) * | 2010-11-11 | 2012-05-31 | Asahi Glass Co Ltd | 高濃度ポリテトラフルオロエチレン水性分散液の製造方法及び電気濃縮槽 |
JP2013532044A (ja) * | 2009-12-30 | 2013-08-15 | ガブリエル カペッティーニ,セルジョ | 水分子の加水分解を経てヒドロキシルイオンを生成することにより水を浄化するためのプロセスおよび装置 |
KR101357876B1 (ko) | 2011-05-20 | 2014-02-06 | 나정숙 | 알카리 전해수 제조장치 |
WO2014123063A1 (ja) * | 2013-02-08 | 2014-08-14 | Mori Yukinobu | 水素水製造装置及び水素水の製造方法 |
CN110668536A (zh) * | 2019-11-12 | 2020-01-10 | 上海莒纳新材料科技有限公司 | 一种电解水设备 |
-
2003
- 2003-04-17 JP JP2003113206A patent/JP2004313977A/ja active Pending
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