JP2004307627A - アクリル樹脂、これを用いた難燃性接着剤及び接着フィルム - Google Patents

アクリル樹脂、これを用いた難燃性接着剤及び接着フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスエポキシ基板やフレキシブル基板等プリント配線板等に必要な接着性,ハンダ耐熱性,ノンハロ難燃性,電食性,耐湿熱性を有した接着剤、接着フィルムを提供する。
【解決手段】(A)エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマ、(B)アクリロニトリル、(C)他の共重合性モノマを重合して得られる重量平均分子量500,000〜1,000,000でガラス転移点温度−30℃〜−10℃であるアクリル樹脂50〜89重量%、エポキシ樹脂10〜30重量%、硬化剤1〜10重量%を含む配合物100重量部に対して金属水酸化物35〜65重量部配合してなる難燃性接着剤及びこの難燃性接着剤用いて接着剤層を形成してなる接着フィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル樹脂を用いた難燃性接着剤として好適に用いられる接着剤及び接着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の発達に伴い電子部品の搭載密度が高くなり、低コストが期待できるプリント配線板への半導体のベアチップ実装が進められてきている。
【0003】
半導体チップの実装用基板としては、接続信頼性を確保するため熱膨張係数が比較的小さく、熱を外部に放熱させやすくするため熱伝導率の比較的高いセラミック基板が多く用いられてきた。このようなセラミック基板への半導体チップ実装には銀ペ−ストに代表される液状の接着剤が使われている。
【0004】
また、フィルム状接着剤は、フレキシブルプリント配線板等で用いられており、アクリルニトリルブタジエンゴムを主成分とする系が多く用いられている。プリント配線板関連材料としての検討では、吸湿後のハンダ耐熱性を向上させた物として特開昭60−243180号公報(特許文献1)に示されるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネ−ト及び無機フィラ−を含む接着剤がある。また、特開昭61−138680号公報(特許文献2)に示されるアクリル樹脂、エポキシ樹脂、分子中にウレンタン結合を有する両末端が第1級アミン化合物及び無機フィラ−を含む接着剤がある。しかし、これらはプレッシャ−クッカ−テスト(PCT)処理等の厳しい条件下で耐湿熱性試験を行った場合著しく劣化する。
【0005】
【特許文献1】
特開昭60−243180号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開昭61−138680号公報(特許請求の範囲)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
セラミック基板への半導体チップ実装に銀ペ−スト接着剤を使用すると銀フィラ−の沈降があるため分散が不均一である。そのため、ペ−ストの保存安定性に留意しなければならないとか、半導体チップ実装の作業性がLOC(Lead on Chip)等に比べて劣るなどの問題点があった。また、フィルム状接着剤は、アクリロニトリルブタジエンゴムを主成分とする系が多く用いられてきたが、高温で長時間処理した場合、接着力の低下が大きいことや耐電食性に劣るなどの問題点があった。特に、半導体関連部品の信頼性評価で用いられているPCT処理等の厳しい条件下で耐湿熱試験を行った場合の劣化が大きい。
【0007】
また、特開昭60−243180号公報(特許文献1)、特開昭61−138680号公報(特許文献2)に示されるものでもPCT処理等の厳しい条件下での耐湿熱性試験による劣化が大きい。
【0008】
これらプリント配線板関連材料の接着剤を用いて半導体チップをプリント配線板に実装する場合は、半導体チップとプリント配線板の熱膨張係数の差が大きくリフロ−テスト時にクラックが発生する。さらに、温度サイクルテスト等の厳しい条件下での耐湿熱性試験を行った場合も劣化が大きい。また、難燃性を付与させるために臭素化物等のハロゲン系難燃剤や酸化アンチモン等の金属酸化物を用いることは知られている。しかし、これらは環境に対して有害な物質であり、接着性を低下させるということがあるため、あまり多く用いることができず難燃性と接着性の両立が難しいという問題点がある。
【0009】
本発明は、ガラスエポキシ基板やフレキシブル基板等のプリント配線板に熱膨張係数の差が大きい半導体チップを実装する場合に必要な接着性,耐熱性、耐電食性、耐湿熱性を有し、環境に対して安全性の高い難燃性の接着剤及び接着フィルムを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマ、(B)アクリロニトリル及び(C)他の共重合性モノマを重合して得られる重量平均分子量500,000〜1,000,000でガラス転移点温度が−30℃〜−10℃であるアクリル樹脂に関する。
【0011】
また本発明は、(A)エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマ5〜15重量%、(B)アクリロニトリル15〜35重量%及び(C)他の共重合性モノマ50〜80重量%を含む重合性モノマを重合して得られる前記のアクリル樹脂に関する。
【0012】
また本発明は、アクリル樹脂50〜89重量%、エポキシ樹脂0〜15重量%、リン含有エポキシ樹脂10〜30重量%、硬化剤1〜10重量%を含む配合物100重量部に対して金属水酸化物35〜65重量部配合してなる難燃性接着剤に関する。
【0013】
さらに本発明は、前記難燃性接着剤を用いて接着剤層を形成してなる接着フィルムに関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において使用する(A)エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマとしては、グリシジルメタクリレ−ト,グリシジルアクリレート等の共重合性二重結合を有する化合物が使用される。また、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、塩素イオン及び加水分解性イオンの含有量が合計で1ppm以下のエポキシ基を有する(メタ)アクリレートモノマが使用されることが好ましい。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートモノマ及びメタクリレートモノマを意味する。
【0015】
さらに、イオン性不純物の吸着を防止するためイオン補足剤を使用することができる。イオン補足剤としては、例えば、銅がイオン化して溶出するのを防止するための銅害防止剤として知られているトリアジンチオール化合物,ビスフェノール系還元剤を使用することができる。
【0016】
エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマの使用量は、全重合性モノマに対して5〜15重量%が好ましく、7〜13重量%がより好ましい。5重量%未満では、ハンダ耐熱性が低下する傾向があり、15重量%を超えると必要な接着性が得られない傾向がある。
【0017】
本発明において使用する(B)アクリロニトリルの使用量は、全重合性モノマの使用量に対して15〜35重量%が好ましく、20〜30重量%がより好ましい。15重量%未満では、必要な弾性率が得られない傾向があり、35重量%を越えると弾性率が高くなりすぎる傾向がある。
【0018】
本発明に使用される(C)他の共重合性モノマとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又は(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸N−メチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル、(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、酢酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニル誘導体、マレイン酸、フマル酸等の不飽和二塩基酸、その酸無水物、そのモノメチルエステル等のモノエステル、若しくはそのジメチルエステル、ジエチルエステル等のジエステルがある。
【0019】
なお、(C)成分の官能基モノマのうちカルボキシル基を含む(メタ)アクリル酸を用いると架橋反応が進行するため、接着力を低下させることがあるため好ましくない。
【0020】
他の共重合性モノマの使用量は、前記(A)(B)及び(C)成分の総量に対して50〜80重量%が好ましい。50重量%未満では必要な弾性率が得られない傾向があり、80重量%を超えると弾性率が高くなりすぎる傾向がある。樹脂組成物の重合は、上記重合性モノマを使用する以外は常法に従って行うことができる。
【0021】
本発明のアクリル樹脂の重量平均分子量は、特性のバランスから500,000〜1,000,000であることが好ましく、600,000〜900,000がより好ましい。重量平均分子量が500,000未満であると、シ−ト状,フィルム状での強度,可とう性及び耐熱性が低下し、1,000,000を超えると接着性が低下する。重量平均分子量は、ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−法(GPC)により標準ポリスチレンによって検量線を用いて測定される。
【0022】
本発明のアクリル樹脂のガラス転移点温度は、−30〜−10℃であることが好ましく、−25〜−15℃であることがより好ましい。ガラス点移転温度が−30℃より低いと弾性率が低く成りすぎるため他特性のバランスから好ましくなく、−10℃を超えると接着性が低下する。
【0023】
上記のアクリル樹脂は、エポキシ樹脂,リン含有エポキシ樹脂、硬化剤及び金属酸化物を配合することにより本発明の難燃性接着剤を得ることができる。得られる難燃性接着剤は、この接着剤から接着層を形成する接着フィルムとすることができる。
【0024】
本発明の樹脂組成物中の塩素イオン及び加水分解性塩素イオン濃度はイオンクロマトグラフで測定した場合、1ppm以下であることが好ましい。また、本発明の難燃性接着剤及び接着フィルム中の塩素イオン及び加水分解性塩素イオン濃度は、イオンクロマトグラフで測定した場合、合計で1ppm以下であることが好ましい。
【0025】
難燃性接着剤及び接着フィルムの塩素イオン及び加水分解性塩素イオンの測定方法は、厚さ25μmの接着フィルム1gに超純水10mlを加え、120℃の温度で20時間加熱し抽出する。この抽出液1gを採り、イオンクロマトグラフにて塩素イオン濃度を測定する。イオンクロマトの装置は、横河アナリティカルシステムズ株式会社のIC7000であり、カラムも横河アナリティカルシステムズ株式会社のICS−A23を用いた。
【0026】
本発明のアクリル樹脂は、公知の重合法によって行われ、特にその方法が限定されるものではない。好ましくは前記(A),(B)及び(C)成分からなるモノマ溶液を公知のラジカル重合法によって溶液重合することにより得られる。この場合、有機溶剤としてトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、四塩化炭素等の塩素系溶剤が使用できる。また、重合に際し、重合開始剤としては、ベンゾイルパ−オキサイド、ジクミルパ−オキサイド、ジブチルパ−オキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾビス系化合物が使用される。
【0027】
溶液重合開始時のモノマ濃度は好ましくは90〜100重量%、より好ましくは95〜100重量%とする。モノマ濃度が90重量%未満であると分子量を高くできない傾向がある。また、反応温度は好ましくは80〜90℃である。90℃より高いと重合体の分子量が低くなる傾向にあり、80℃未満になると反応が停止する傾向にある。反応停止時の重合率は好ましくは30〜50%、より好ましくは35〜45%である。重合率が低いと収率が低下し、高いと分子量分散度が広がる傾向にある。目標の分子量分散度は、好ましくは2.0〜3.0、より好ましくは2.0〜2.5である。また、重合開始剤濃度は(A),(B)及び(C)成分の合計量100重量部に対して好ましくは0.01〜0.1重量部、より好ましくは0.02〜0.07重量部である。0.1重量部を超えると分子量が低くなる傾向にあり、少ないと反応しない傾向にある。
【0028】
(A),(B)及び(C)成分を重合して得られる樹脂組成物中の各構造単位を(a),(b)及び(c)成分とすると、その構造単位の組成は、重合に使用した(A)、(B)及び(C)成分からなるモノマ組成とほぼ同じ組成になる。
【0029】
本発明において用いられるエポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を呈するものであればよく、二官能以上で、好ましくは分子量が5,000未満のエポキシ樹脂が使用される。例えば、フェノ−ルノボラック型,クレゾ−ルノボラック型等の多官能エポキシ樹脂,ビスフェノールA型,ビスフェノールF型等の液状エポキシ樹脂を用いることができ、東都化成株式会社の商品名YD128,YDF170,日本化薬株式会社の商品名EPPN−201,EOCN1012,EOCN1025,住友化学工業株式会社のESCN−001,ESCN−19,油化シェルエポキシ株式会社製エピコ−ト807,エポコ−ト827,エピコ−ト828などが使用できる。
【0030】
エポキシ樹脂は、アクリル樹脂50〜89重量%に対して0〜15重量%配合することが好ましい。エポキシ樹脂の配合量が15重量%を超えると接着性が低下する傾向がある。
【0031】
本発明において用いられるリン含有エポキシ樹脂としては、例えばZX−1548−1(リン含有量:2.0重量%)、ZX−1548−2(リン含有量:2.5重量%)、ZX−1548−3(リン含有量:3.0重量%)、ZX−1548−4(リン含有量:4.0重量%)(以上、東都化成株式会社製商品名)等があげられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0032】
上記リン含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は200〜500であることが好ましく、250〜400であることがより好ましい。リン含有エポキシ樹脂は、アクリル樹脂50〜89重量%に対して10〜30重量%配合することが望ましい。リン含有エポキシ樹脂の配合量が10重量%未満では、難燃性が不足する傾向があり、30重量%を超えると接着性が低下する傾向がある。
【0033】
また、エポキシ樹脂と相溶性のあるフェノキシ樹脂を使用することができる。フェノキシ樹脂としては、例えば東都化成株式会社の商品名フェノ−トYP−40,フェノ−トYP−50,フェノ−トYP−60が使用できる。
【0034】
本発明において用いられる硬化剤としては、アミン,ポリアミド,酸無水物及びポリスルフィド等が使用できる。特に、吸湿時の耐電食性に優れるフェノ−ルノボラック樹脂またはクレゾ−ルノボラック樹脂等を用いるのが好ましく、大日本インキ化学工業株式会社の商品名フェノライトLF2882,フェノライトLF2822,フェノライトTD−2090,フェノライトTD−2149,フェノライトVH4150,フェノライトVH4170が使用できる。
【0035】
硬化剤は、樹脂組成物、エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂及び硬化剤の総量100重量部に対して1〜10重量部配合することが好ましい。硬化剤の配合量が1重量部未満では、耐熱性が低下する傾向があり、10重量部を超えると接着性が低下する傾向がある。
【0036】
硬化剤と共に硬化促進剤を用いるのが好ましく、硬化促進剤としては、各種のイミダゾ−ル系化合物が使用できる。例えば、2−メチルイミダゾ−ル,2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル,1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾ−ル,1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテ−ト等が使用でき、四国化成工業株式会社の商品名2E4MZ,2PZ−CN,2PZ−CNSが使用できる。硬化促進剤は、樹脂組成物、エポキシ樹脂及び硬化剤の総量100重量部に対して0.1〜0.5重量部配合することが好ましい。
【0037】
難燃性接着剤あるいは接着フィルムには、界面の結合をよくするためカップリング剤を配合することもできる。カップリング剤としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤として例えば、γ−グリシドプロピルトリメトキシシラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン,N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が使用できる。カップリング剤は、樹脂組成物、エポキシ樹脂及び硬化剤の総量100重量部に対して0.1〜1重量部配合することが好ましい。
【0038】
本発明において用いられる金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウムが好ましい。金属水酸化物の配合量は、樹脂組成物、エポキシ樹脂及び硬化剤の総量100重量部に対して35〜65重量部配合することが好ましい。配合量が35重量部未満では難燃性が得られない傾向があり、65重量部を超えると接着性が低下し、難燃性と接着性の両立ができなくなる傾向がある。
【0039】
本発明の接着フィルムは、前記の各成分を溶剤に溶解して分散してワニスとし、好ましくは25〜100μmの基材フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去し、接着剤層を形成して得られる。基材フィルムとしては例えば東レ株式会社およびデュポン株式会社のポリイミドフィルム(商品名カプトン)、ポリエチレンテレフタレートフィルムが使用できる。
【0040】
ワニス化の溶剤は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤が使用できる。また、接着剤の製造は、金属水酸化物の分散を考慮すると三本ロ−ル、ビ−ズミル等で分散させることが好ましい。
【0041】
本発明のアクリル樹脂は、室温付近での弾性率が低い。また、難燃性接着剤組成物、接着フィルム中の樹脂組成物の配合比を大きくすることで半導体チップとプリント配線板の熱膨張係数の差に起因している温度サイクルテスト時の加熱冷却過程で発生する応力を緩和する効果により、クラックを抑制することができる。
【0042】
また、本発明のアクリル樹脂は、エポキシ樹脂,リン含有エポキシ樹脂、硬化剤及び金属水酸化物を配合することにより、有害なハロゲン系難燃剤や酸化アンチモン等の金属酸化物を用いることなく高接着性の難燃性接着剤を得ることができる。さらに、高分子量の樹脂組成物にすることで従来の接着フィルムの強度低下、可とう性の低下、タック性増大等の作業性の問題点を解決している。
【0043】
さらに、本発明のアクリル樹脂に含まれるエポキシ基とエポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂が部分的に反応し、全体が橋架けしてゲル化するために流動性を抑制し、作業性を損なうことがない。
【0044】
難燃性接着剤の乾燥でアクリル樹脂に含まれるエポキシ基やエポキシ樹脂及びリン含有エポキシ樹脂が共に反応するが、本発明のエポキシ基を含有するアクリル樹脂は、分子量が高く分子鎖中にエポキシ基が含まれるため反応が若干進んだ場合でもゲル化する。
【0045】
通常、示差走査熱分析(DSC)を用いて測定した場合、全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態、すなわちA又はBステ−ジ前半の段階で反応し、エポキシ樹脂等の未反応成分を多く含んだ状態でゲル化しているため、溶融粘度がゲル化していない場合に比べて大幅に増大している。従って、作業性を損なうことがない。更に、難燃性接着剤組成物がエポキシ樹脂等の未反応成分を多く含んだ状態でフィルム化できるため、接着フィルムのライフ(有効使用期間)が長くなる利点がある。
【0046】
従来のエポキシ樹脂系接着剤ではBステ−ジの後半から、Cステ−ジ状態で初めてゲル化が起こり、この段階で未反応成分が少ないため流動性がよく、圧力がかかった場合でもゲル中より染み出す未反応成分が少ないため接着性が低下する。また、アクリル樹脂に含まれるエポキシ基とエポキシ樹脂との反応性について明らかではないが、両者は同程度の反応性を有していればよく、アクリル樹脂に含まれるエポキシ基のみが選択的に反応する必要はない。
【0047】
なお、この場合のA、B、Cステ−ジは、接着剤の硬化程度を示すもので、Aステ−ジは、ほぼ未硬化でゲル化していない状態であり、DSCを用いた硬化発熱量が全硬化発熱量の0〜20%の発熱を終えた状態である。Bステ−ジは、若干硬化が進んだ状態であり、硬化発熱量が全硬化発熱量の20〜60%の発熱を終えた状態である。Cステ−ジは、かなり硬化した状態であり、硬化発熱量が全硬化発熱量の60〜100%の発熱を終えた状態である。ゲル化の判定については、テトラヒドロフラン(THF)等の浸透性の大きい溶剤中に接着剤を浸漬し、25℃で20時間放置した後、接着剤が完全に溶解しないで膨潤した状態にあるものをゲル化と判定した。
【0048】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、例中特に断らない限り、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0049】
〔アクリル樹脂A〜Eの製造法〕
混合機及び冷却器を備え付けた反応器に表1に示す配合物(I)を入れ、80〜85℃に加熱し、表1に示す配合物(II)を添加し、4〜8時間保温し、重合率35〜40%反応させた樹脂組成物を得る。冷却後メタノ−ルを加えポリマ−を沈澱させ、上澄み液を取り除く。ポリマ−中に残ったメタノ−ルを乾燥させ、続いてメチルエチルケトンを固形分が15重量%になるように加える。
【0050】
この樹脂組成物A〜Fの重量平均分子量は、以下に示す方法で測定した。
〔重量平均分子量の測定方法〕
ゲルパ−ミエ−ションクロマトグラフィ−法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定する。
【0051】
・使用機器:日立635型HPLC[(株)日立製作所製]
・カラム:ゲルパックR440、R450、R400M[日立化成工業(株)製商品名]
・溶離液:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、検出器:2.0ml/min
・検出器:示差屈折計
・測定結果は、表1に示す。なお、ガラス転移点温度は、計算値であり、参考デ−タとして塗料用合成樹脂入門(北岡協三著)のデ−タを使用した。
【0052】
【表1】
Figure 2004307627
【0053】
(実施例1〜5及び比較例1〜3)
得られたアクリル樹脂組成物に対して表2に示す材料(*〜*)を加え、3本ロ−ルで分散し、難燃性接着剤を得た。得られた接着剤を厚さ35μmのポリイミドフィルム(カプトン,東レデュポン製商品名)上に塗布し、140℃で1時間加熱乾燥して塗膜を形成し、膜厚25μmのBステ−ジ状態の接着剤層付ポリイミドフィルムを作製した。
【0054】
【表2】
Figure 2004307627
【0055】
なお、表2における*〜*の材料を以下に示す。
:クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(住友化学株式会社製ESCN001を使用)。
:フェノ−ルノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製プライオ−フェンLF2822を使用)。
:フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製フェノト−トYP−50を使用)。
:1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾ−ルル(四国化成株式会社製キュアゾ−ル2PZ−CNを使用)。
:アクリロニトリルブタジエンゴム(JSR株式会社製PNR−1を使用)。
:水酸化アルミ(昭和電工株式会社製ハイジライトH−42STEを使用)。
:ビフェニル型リン酸エステル(大八化学工業株式会社製CR−747を使用)。
:リン含有エポキシ樹脂(東都化成株式会社製ZA−1548−2を使用)。
【0056】
(比較例1)
実施例1のアクリル樹脂500部をフェノキシ樹脂*に変更(フェノキシ樹脂75部)した以外は、実施例と同様にして接着剤付ポリイミドフィルムを作製した。
【0057】
(比較例2)
実施例1のアクリル樹脂500部をフェノキシ樹脂*に変更(フェノキシ樹脂75部)し、ビフェニル型リン酸エステル*を10部配合した以外は、実施例と同様にして接着剤付ポリイミドフィルムを作製した。
【0058】
(比較例3)
実施例1のアクリル樹脂500.0部をアクリロニトリルブタジエンゴム*に変更(アクリロニトリルブタジエンゴム75部)した以外は、実施例と同様にして接着剤付ポリイミドフィルムを作製した。
【0059】
得られた接着剤層付ポリイミドフィルムを用いて接着性,ハンダ耐熱性,難燃性,電食性,耐湿熱性を以下に示す方法で調べた。その結果を表3に示す。
【0060】
<接着性>
接着層付ポリイミドフィルムを圧延銅箔に120℃で加熱しながらロ−ルラミネ−トし180℃で2時間加熱硬化させ試験用試料とした。この試料の90°ピ−ル剥離強度を23℃で測定した。
【0061】
<ハンダ耐熱性>
接着層付ポリイミドフィルムを圧延銅箔に120℃で加熱しながらロ−ルラミネ−トし180℃で2時間加熱硬化させ試験用試料とした。この試料を溶融したハンダ浴に3分間浸漬し外観に変化(剥離,フクレ,変色等)が生じるまでの温度を測定した。
【0062】
<難燃性>
接着層付ポリイミドフィルム(PI)を圧延銅箔に120℃で加熱しながらロ−ルラミネ−トし180℃で2時間加熱硬化させ試験用試料とした。この試料を用いてUL−94規格の難燃性試験方法に準じて測定した。
【0063】
<電食性>
アクリル樹脂組成物に対して表2に示す材料(*〜*)を加え、3本ロ−ルで分散し、難燃性接着剤を得た。得られた接着剤を銅基板に硬化膜厚が25μm、ラインアンドスペ−スが100μmのくし形になるように塗布し、140℃で1時間加熱乾燥後さらに180℃で2時間加熱硬化させ試験用試料とした。この試料を用いて85℃で湿度85%の雰囲気下において500時間放置したときの接着剤層と銅基板の層間絶縁抵抗値を測定した。
<耐湿熱性>
接着層付ポリイミドフィルム(PI)を圧延銅箔に120℃で加熱しながらロ−ルラミネ−トし180℃で2時間加熱硬化させ試験用試料とした。この試料を用いてプレッシャ−クッカ−テスト(PCT:121℃/湿度98%)で96時間処理し、外観(剥離,変色等)を調べ、変化のあったものを不良とした。
【0064】
【表3】
Figure 2004307627
【0065】
【発明の効果】
本発明のアクリル樹脂及び難燃性接着剤、接着フィルムは、接着性,ハンダ耐熱性,難燃性,電食性,耐湿熱性に優れ、特に高接着性で非ハロゲン系の難燃性を有する。

Claims (5)

  1. (A)エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマ、(B)アクリロニトリル及び(C)他の共重合性モノマを重合して得られる重量平均分子量500,000〜1,000,000でガラス転移点温度が−30℃〜−10℃であるアクリル樹脂。
  2. (A)エポキシ基を含む(メタ)アクリレートモノマ5〜15重量%、(B)アクリロニトリル15〜35重量%及び(C)他の共重合性モノマ50〜80重量%を含む重合性モノマを重合して得られる請求項1記載のアクリル樹脂。
  3. 請求項1記載のアクリル樹脂に加えて、エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂,硬化剤及び金属水酸化物を含有してなる難燃性接着剤。
  4. 請求項1記載のアクリル樹脂50〜89重量%、エポキシ樹脂0〜15重量%、リン含有エポキシ樹脂10〜30重量%、硬化剤1〜10重量%を含む配合物100重量部に対して金属水酸化物35〜65重量部を配合してなる難燃性接着剤。
  5. 請求項3又は4記載の難燃性接着剤を用いて接着剤層を形成してなる接着フィルム。
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