JP2004306275A - ヒートシール性ポリエステルフィルム - Google Patents

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Mitsumasa Ono
光正 小野
Atsushi Koyamamatsu
淳 小山松
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Abstract

【課題】製品に悪影響を与えうる元素を除いたヒートシール性ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】基材層とヒートシール層とを少なくとも備えた多層の二軸延伸共押出しフィルムである。少なくとも片側の最表面はヒートシール層である。ヒートシール層はポリエステルからなる熱融着可能な層である。かつヒートシール層を構成するポリエステルに含有されるアンチモン元素の総量が5重量ppm以下である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱融着可能なヒートシール層を備えた積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒートシール性ポリエステルフィルムは、その少なくとも片側の最表面に、熱融着可能なヒートシール層を設けた二軸配向ポリエステルフィルムであり、それ同士を貼合せて包装用として、また、金属板への貼合せコーティング用、等の用途に、ポリエステルフィルムの機械的強度、寸法安定性、耐熱性、透明性、耐薬品性、内容物保香性、等の特性を活かして活用されている。
【0003】
近年は電子部材、特にフレキシブル印刷回路(FPC)基板等に用いられる、銅等の導電性金属箔との貼り合せプラスチックフィルム基板において、プラスチックフィルムと金属箔を接着剤を用いることなしに接着することが、後加工における金属箔のエッチングの際のエッチング液の汚染防止等の観点から求められており、この用途においても、ヒートシール性ポリエステルフィルムは、その特性を充分に生かすことができる。
【0004】
ヒートシール性ポリエステルフィルムのヒートシール層の成分として、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレートのような共重合ポリエステルを用いることが知られており(英国特許第1,465,973号明細書)、この処方によれば、共押出法にてフィルムを製造することもでき、極めて効率的である。
【0005】
【特許文献1】
英国特許第1,465,973号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらヒートシール性ポリエステルフィルムに用いられる原料ポリエステルは、多く、その製造工程において、アンチモン元素の化合物が重縮合の触媒として用いられている。
【0007】
このようなヒートシール性ポリエステルフィルムを、例えば、フレキシブル印刷回路(FPC)基板等に用いると、実装された半導体部材にアンチモン元素が移行することがあり、製品に悪影響を与える可能性が考えられる。
【0008】
また、このようなヒートシール性ポリエステルフィルムを、飲食物の包装、例えば、該フィルムがラミネートされた金属板から作られた缶や、該フィルムを熱融着により貼合せて作られた袋等の形態で用いる場合、その使用条件によっては、内容物にアンチモン元素が移行する可能性が考えられる。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の課題を解消し、製品に悪影響を与えうる元素を除いたヒートシール性ポリエステルフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のヒートシール性ポリエステルフィルムは、基材層とヒートシール層とを少なくとも備えた多層の二軸延伸共押出しフィルムであって、少なくとも片側の最表面はヒートシール層であり、ヒートシール層はポリエステルからなる熱融着可能な層であって、かつヒートシール層を構成するポリエステルに含有されるアンチモン元素の総量が5重量ppm以下であることを特徴とする。
【0011】
すなわち、ヒートシール層としてアンチモン元素の含有量を特定量以下に抑制したポリエステルを用い、製品に悪影響を与えうることのないヒートシール層を実現することにより、前述の要求特性課題を満足するヒートシール性ポリエステルフィルムが得られる。
【0012】
ここでより好ましくは、フィルム中の基材層が、エチレンテレフタレートおよび/またはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなり、該ポリエステルに含有されるアンチモン元素の総量が5重量ppm以下であり、さらに好ましくは、ヒートシール層の面配向係数が、−0.05〜0.05の範囲にあることを特徴とするヒートシール性ポリエステルフィルムである。
【0013】
<ヒートシール層>
本発明のフィルムは、基材層とヒートシール層とを少なくとも備えた積層フィルムである。そして少なくとも片側の最表面は、ポリエステルからなるヒートシール層である。このヒートシール層を構成するポリエステルは、アンチモン元素の含有総量が5重量ppm以下であるが、より好ましくは3重量ppm以下である。
【0014】
さらに好ましくは、このポリエステルは、アルカリ金属元素およびゲルマニウム元素の含有総量が5重量ppm未満である。そして特に好ましくは、ポリエステルに含有されるアンチモン元素および/またはゲルマニウム元素の含有量が、総量および単独量のいずれであっても1重量ppm未満である。ここで、アルカリ金属元素量は、原子吸光分析により定量されるLi、Na、K元素の重量ppm濃度の和である。また、アンチモン元素量およびゲルマニウム元素量は、蛍光X線分析により定量する。
【0015】
該ポリエステルに含有されるアンチモン元素総量が5重量ppmを越すものは、FPC基板等に用いると、実装された半導体部材にアンチモン元素が移行することがあり、また、飲食物の包装に用いる場合、その使用条件によっては、内容物にアンチモン元素が移行する可能性が考えられる。
【0016】
上記のような含有元素量にするために、本発明におけるポリエステルを製造する際の重縮合反応に使用する触媒としては、アンチモン化合物およびゲルマニウム化合物以外の化合物を用いることが好ましい。具体的には、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、チタン化合物が挙げられる。そのなかでも、特にチタン化合物を用いることがより好ましい。チタン化合物としては、例えばチタンテトラブトキシド、酢酸チタンなどが好ましく挙げられる。チタン化合物を用いる場合、ポリエステル中のチタン金属元素濃度が4〜50重量ppmの範囲が好ましい。4重量ppm未満であると、ポリエステルの重縮合反応の速度が低下し、所定の固有粘度を有するポリエステルが製造できなくなり、他方50重量ppmを超えるとポリエステルの耐熱性が低下する。
【0017】
本発明においては、ポリエステルに含まれるアンチモン元素の他にも、アルカリ金属元素およびゲルマニウム元素の総量を5重量ppm以下とすることが好ましい。従来のポリエステルでは、アルカリ金属化合物を添加することによりポリエステル製造時に副生するジエチレングリコールなどのエーテルグリコールを抑制し、フィルムの耐熱性低下を抑制させたり、特公昭37−6142号公報に開示されているフィルム製膜時の静電印加キャスト法におけるピンニング性を向上させることが行われてきた。しかしその場合、耐加水分解性の低下などの課題があった。また、従来ポリエステルの重縮合触媒としてアンチモン化合物やゲルマニウム化合物を用いてきた。しかしこの場合には、アンチモン化合物では上述の移行の課題や、ゲルマニウム化合物では高価であるためフィルムのコストが上昇する課題があった。本発明者らは、かかる課題を解決するため、アルカリ金属および重縮合触媒の種類、添加量について研究を行った結果、実質的にアルカリ金属、アンチモン化合物およびゲルマニウム化合物を用いずに、例えば重縮合触媒にチタン化合物を特定範囲量添加することで、上記課題を解決している。
【0018】
本発明フィルムのヒートシール層は、共重合ポリエステルからなるものであることが好ましい。その場合の共重合成分は、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。このジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等が例示でき、またジオール成分としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール、ビスフェノールAの如き芳香族ジオールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。これらの共重合成分のうち、諸特性の発揮のしやすさ、原料の入手のしやすさ、共重合ポリエステルの製造のしやすさなどから、イソフタル酸、および/または、2,6−ナフタレンジカルボン酸が特に好ましく用いられる。
【0019】
ヒートシール層に用いるポリエステルに上述の成分を含有させる方法は、特に限定されない。重合時に上述の成分を導入して共重合ポリエステルとしたり、上述の成分を含有するポリエステルを他のポリエステルとブレンドする方法でも良い。
【0020】
本発明のフィルムのヒートシール層に用いるポリエステルは、ジカルボン酸、エチレングリコール、必要に応じてさらに共重合成分を加えてエステル化反応させ、次いで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて製造することができる。あるいはこのポリエステルは、ジカルボン酸のジメチルエステル、エチレングリコールを、また必要に応じて更に共重合成分を加えてエステル交換反応させ、ついで得られた反応生成物を目的とする重合度になるまで重縮合反応させて製造することができる。また、上記の方法(溶融重合)により得られたポリエステルは、必要に応じて固相状態での重合方法(固相重合)により、さらに重合度の高いポリマーとすることができる。これらのエステル交換反応、重縮合反応に使用する触媒としては、上述したようなチタン化合物などが好ましく挙げられる。
【0021】
本発明のフィルムのヒートシール層は、その面配向係数が、−0.05〜0.05の範囲にあることが好ましい。面配向係数は、フィルム内における分子鎖の配向状態を表す指標といえるものであり、この絶対値が0.05を越えると、分子鎖が過度に配向しているため、ヒートシールが困難になる場合がある。
【0022】
ここで面配向係数とは、アッベ法にて測定されたフィルムの各方向成分の屈折率から、次式(1)によって計算されたものを意味する。
P=(nMD+nTD)/2−nZ…(1)
計算式(1)中のPは面配向係数、nMDはフィルムのMD方向の屈折率、nTDはフィルムのTD方向の屈折率、nZはフィルム面に垂直な厚み方向の屈折率を示す。さらにここで、「MD方向」とはフィルムの面に平行で且つフィルム連続製膜方向に沿った方向を、「TD方向」とはフィルムの面に平行で且つ製膜方向に垂直な方向を示す。
【0023】
また、本発明のフィルムのヒートシール層は、結晶化していないことが、シートシールのしやすさの面から好ましく、たとえば、低角入射X線回折において、顕著な回折ピークが検出されないようなものが好ましい。
【0024】
さらに、本発明のフィルムのヒートシール層は、そのガラス転移温度が40〜115℃であることが好ましい。40℃未満ではヒートシールしない状態においてもスティッキングなどが起こる可能性があり、また115℃を超すと、ヒートシール可能な温度範囲が狭くなって実用上不利になる可能性がある。ここで、ポリエステルのガラス転移温度測定は、融解後急冷サンプルについて、示差走査熱量測定装置(Du Pont Instruments 910 DSC)を用い、昇温速度20℃/分でガラス転移に基づく比熱変化部分を求める方法による。なおサンプル量は20mgとする。
【0025】
本発明のフィルムのヒートシール層中には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、滑剤、紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、および難燃剤等を含有させることができる。また、その表面には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、プライマー層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などを施してもよい。これらの処理は、フィルム製造後に施されるものでも、フィルム製造工程内にて施されるものであっても良い。
【0026】
<基材層>
本発明フィルム中の基材層は、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、透明性、耐薬品性、内容物保香性、およびアンチモン元素移行防止の面から、次の構成であることが好ましい。すなわち基材層は、エチレンテレフタレートおよび/またはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなり、基材層を構成するポリエステルに含有されるアンチモン元素の総量が5重量ppm以下であることが好ましい。ここでエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルとは、ポリエチレンテレフタレートまたはエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合物を含むものである。またエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルは、ポリエチレン−2,6−ナフタレートまたはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合物を含むものである。
【0027】
ここで、アンチモン元素の総量は、より好ましくは3重量ppm以下である。そしてまた、ポリエステルに含有されるアルカリ金属元素およびゲルマニウム元素の総量が、5重量ppm未満であることが好ましい。さらに特に好ましくは、ポリエステルに含有されるアンチモン元素および/またはゲルマニウム元素の含有量は、総量および単独量のいずれであっても1重量ppm未満である。
【0028】
基材層を構成するポリエステルが共重合ポリエステルの場合の共重合成分は、ヒートシール層の項で述べたのと同じようなものを使用することができる。また、共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果として、ポリマー融点が245℃〜270℃(ホモポリマーの融点)の範囲になる割合である。融点が245℃未満では基材の耐熱性が劣ることになる。また熱収縮率が大きく、フィルムの平面性が低下する。ここで、ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0029】
基材層に用いるポリエステルは、ヒートシール層の項で述べたのと同じような方法にて製造することができる。
【0030】
基材層がヒートシール層と反対側の最表面に位置する場合には、滑剤微粒子を添加してフィルムの作業性(滑り性)を確保することが好ましい。透明性を維持する必要がある場合には、滑剤微粒子の平均粒径および添加量を最適範囲に調整することが好ましい。ここで滑剤微粒子としては、無機系滑剤ではシリカ(塊状、多孔質、球状のものを含む)、二酸化チタン、酸化アルミニウム(特に、結晶系がγ、δ、θ型)、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを用いることができる。また有機系滑剤では、球状シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子を用いることができる。滑剤粒子の種類は、1種類でも2種類以上でも良く、2種類以上の場合は、平均粒径が異なるものの組合せでも良い。滑剤微粒子の平均粒径は5μm以下のものが好ましく、また添加量は10重量ppm以上であることが好ましい。
【0031】
<フィルム厚み>
本発明のフィルムの厚みは5μm以上、350μm以下であることが好ましい。用途が包装用の場合は、7μm以上60μm以下、金属板貼合せの場合は、10μm以上80μm以下、金属箔貼合せ基板として用いる場合は、25μm以上250μm以下、の範囲内であることが好ましい。
【0032】
各層の厚みは、ヒートシール層は全厚みの3%以上50%以下が好ましく、更に好ましくは4%以上40%以下、特に好ましくは5%以上30%以下である。2層フィルムの場合は、基材層が全厚みの50%以上97%以下が好ましく、更に好ましくは60%以上96%以下、特に好ましくは70%以上95%以下である。
【0033】
<製膜法>
本発明におけるヒートシール性ポリエステルフィルムは、基本的には従来から知られている、あるいは当業界に蓄積されている方法で製造することができる。しかし、本発明の要件を満足するため細心の注意が肝要である。例えば、先ず未配向積層フィルムを製造し、次いで該フィルムを二軸配向させることで得ることができる。この未配向積層フィルムは、従来から蓄積された積層フィルムの製造法で製造することができる。例えば、ポリエステルA層と、反対面を形成するポリエステルB層(必要に応じてC層)とを、ポリエステルの溶融状態又は冷却固化された状態で積層する方法を用いることができる。さらに具体的には、例えば共押出やエクストルージョンラミネート等の方法で製造できる。本発明は共押出法を採る。
【0034】
各層の厚み配分に配慮し、上述の方法で積層されたフィルムは、更に従来から蓄積された二軸配向フィルムの製造法に準じて縦および横方向に延伸し、二軸配向フィルムとすることができる。例えば、融点(Tm:℃)ないし(Tm+70)℃の温度でポリエステルを溶融・共押出して未延伸積層フィルムを得、該未延伸積層フィルムを一軸方向(縦方向又は横方向)に(Tg(基材層)−10)〜(Tg(基材層)+70)℃の温度(但し、Tg:ポリエステルのガラス転移温度)で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸し、次いで上記延伸方向と直角方向にTg(基材層)〜(Tg(基材層)+70)℃の温度で2.5倍以上、好ましくは3倍以上の倍率で延伸するのが好ましい。さらに必要に応じて縦方向および/又は横方向に再度延伸してもよい。このようにして全延伸倍率は、面積延伸倍率として9倍以上が好ましく、12〜35倍がさらに好ましく、15〜30倍が特に好ましい。
【0035】
さらにまた、二軸配向フィルムは、(Tg(基材層)+70)℃〜(Tm(基材層)−10)℃の温度、または、ヒートシール層のポリエステルが結晶性のものである場合は、(Tm(ヒートシール層)+10)℃〜(Tm(基材層)−10)℃の温度(で熱固定することができ、例えば基材層がポリエチレンテレフタレートの場合は180〜245℃で熱固定するのが好ましい。この工程において、ヒートシール層の二軸延伸による分子配向を解消させ、無配向、非晶のものとすることができる。用途によって熱収縮率が問題になる場合には、熱固定温度を225〜235℃とするのが好ましい。熱固定時間は1〜60秒が好ましい。
【0036】
上記工程中にプライマー層などを塗設する場合は、例えば縦延伸後にフィルムの片面ないし両面に、水分散性の塗剤を塗布し、横延伸の前に乾燥してフィルムに皮膜を形成させることが好ましい。塗工法は限定されないが、リバースロールコーターによる塗工が好ましい。
【0037】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明を説明する。各特性値ならびに評価法は下記の方法によって測定、評価した。
【0038】
(ア)面配向係数
得られたフィルムのヒートシール面について、各方向の屈折率をアッベ法にて測定し、前述の計算式(1)によって計算した。
【0039】
(イ)アンチモン元素の移行性
得られたフィルムのヒートシール面を、シリコンウェハー(100mmφ)に重ね、98kPaの圧力にてプレスし、100℃にて1時間加熱する。得られた重合せサンプルから、フィルムを取除き、シリコンウェハー表面を、蛍光X線にて測定する。得られた結果から、下記基準に基づき評価する。
○:アンチモン元素が検出されない。
×:アンチモン元素が検出される。
【0040】
(ウ)ラミネート強度
得られたフィルムを、ヒートシール面同士を合せて、チャック掴み代を残して、140℃、275kPaにて2秒間圧着し、ラミネートサンプルを作成する。得られたラミネートサンプルを25mm幅にスリットし、引張試験機(東洋ボールドウィン社製の商品名「テンシロン」)のクロスヘッドのチャックに掴み代を挟み、たるみの無いようにクロスヘッド位置を調整する。100mm/分のクロスヘッド速度で引張ってラミネートサンプルを剥離させ、試験機に装着されたロードセルで荷重を測定し、ラミネート強度とする(単位:N/25mm)。
【0041】
[実施例1]
ジメチルテレフタレート、ジメチル−2,6−ナフタレートとエチレングリコールとを、重合触媒としてチタンテトラブトキシド(TBT)を添加して常法により重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレート−2,6−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:35モル%)(PET/NDCA35)を得た。このポリエステル(PET/NDCA35)のペレットを攪拌しながら110℃で10時間加熱し表面を結晶化させたものを、170℃で3時間乾燥後、押出機に供給し、溶融温度295℃で溶融後フィルターで濾過し、2層ダイの片側(A側)から押出した。別の押出機に、ジメチルテレフタレートとエチレングリコールとを、重合触媒としてチタンテトラブトキシドを、さらに滑剤として平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子をポリマーに対して0.07重量%になるように添加して常法により重合し、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。このポリエチレンテレフタレートのペレットを170℃で3時間乾燥後、押出機に供給し、上記と同条件で上記2層ダイの反対側(B側)から押出した。この2層溶融物を表面温度20℃の回転冷却ドラム上に押出し、全厚み1404μm、各層厚みA/B=210/1194μmの未延伸フィルムを得た。
【0042】
このようにして得られた未延伸フィルムを75℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で15mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1本にて加熱して縦方向に3.6倍に延伸した。
【0043】
続いてステンターに供給し、120℃にて横方向に3.9倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを230℃の温度で5秒間熱固定し、100μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を上記の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0044】
[実施例2]
A側に供給するポリエステルを、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレート−2,6−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:20モル%)(PET/NDCA20)とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0045】
[実施例3]
A側に供給するポリエステルを、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(イソフタル酸含有量:20モル%)とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0046】
[実施例4]
B側に供給するポリエステルを、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートとし、縦方向延伸時の予熱温度を115℃、横方向の延伸温度を145℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0047】
[比較例1]
A側に供給するポリエステルの重合に用いた重合触媒を、酸化ゲルマニウムに変えた以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0048】
[比較例2]
A側に供給するポリエステルを、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフタレート、B側に供給するポリエステルを、固有粘度(オルソクロロフェノール、35℃)0.65のポリエチレン−2,6−ナフタレートとし、縦方向延伸時の予熱温度を115℃、横方向の延伸温度を145℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0049】
[比較例3]
熱固定の温度を180℃とした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの特性を前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
Figure 2004306275
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、製品に悪影響を与えうる元素を除いたヒートシール性ポリエステルフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。

Claims (15)

  1. 基材層とヒートシール層とを少なくとも備えた多層の二軸延伸共押出しフィルムであって、少なくとも片側の最表面はヒートシール層であり、ヒートシール層はポリエステルからなる熱融着可能な層であって、かつヒートシール層を構成するポリエステルに含有されるアンチモン元素の総量が5重量ppm以下であることを特徴とするヒートシール性ポリエステルフィルム。
  2. 基材層が、エチレンテレフタレートおよび/またはエチレン−2,6−ナフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルからなり、基材層を構成するポリエステルに含有されるアンチモン元素の総量が5重量ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  3. 基材層またはヒートシール層の少なくともいずれかを構成するポリエステルは、アルカリ金属元素およびゲルマニウム元素の含有量が、総量で5重量ppm未満であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  4. 基材層またはヒートシール層の少なくともいずれかを構成するポリエステルは、アンチモン元素および/またはゲルマニウム元素の含有量が、総量および単独量のいずれであっても1重量ppm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  5. ヒートシール層の面配向係数が、−0.05〜0.05の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  6. ヒートシール層を構成するポリエステルは、その酸成分の5〜95モル%がイソフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  7. ヒートシール層は、熱融着により金属箔および/または金属板に対して貼り合せて用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  8. 貼り合せの対象が導電性の金属箔であることを特徴とする請求項7記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  9. 電子部材の構成部材として用いられることを特徴とする請求項7〜8のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  10. 電子部材がフレキシブル印刷回路基板であることを特徴とする請求項9記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  11. 金属板表面の被覆材として用いられることを特徴とする請求項7記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  12. 金属板は、飲食物容器用の缶に成形されるものであることを特徴とする請求項11記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  13. ヒートシール層同士を熱融着により貼合せて用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  14. 物品の包装に用いられることを特徴とする請求項13に記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
  15. 袋やトレーの形態として食品の包装に用いられることを特徴とする請求項14に記載のヒートシール性ポリエステルフィルム。
JP2003098991A 2003-04-02 2003-04-02 ヒートシール性ポリエステルフィルム Pending JP2004306275A (ja)

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