JP2004306126A - チタン合金素材の圧延方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に割れなどの疵を生じさせず少ない工数で行え且つ燃料や熱エネルギを低減できるチタン合金素材の圧延方法を提供する。
【解決手段】インゴット(チタン合金素材)W1を例えば1200℃に加熱する加熱工程S1と、係る加熱されたインゴットW1を複数回の熱間分塊圧延により、断面減少率80%以上に縮小した断面のブルーム(中間素材)W2にする第1分塊圧延工程S2と、上記ブルームW2を1150℃以上に加熱する補充加熱工程S3と、補充加熱されたブルームW2′を複数回の熱間分塊圧延により、断面減少率50%以上に縮小した断面のビレット(チタン合金材)W3にする第2分塊圧延工程S4と、を含む、チタン合金素材の圧延方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン合金のインゴットなどを各種製品に加工するため寸法を有するビレットなどに熱間圧延するためのチタン合金素材の圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インゴットなどの形態のチタン合金素材を熱間圧延することで、チタン合金からなる各種の製品を製造するための所要寸法・形状としたビレットなどのチタン合金材が製造されている。係る従来の圧延方法は、以下のように行われていた。
例えばTi−6wt%Al−4wt%Vの組成からなるチタン合金を溶製した後、図示しないインゴットケースに鋳造することにて、図4(B)の上方に示すように、直径が600mmで円柱形を呈するインゴット(チタン合金素材)W1を用意する。次に、係るインゴットW1を、図4(A),(B)に示すように、大気または不活性ガス雰囲気とした均熱炉に挿入し、数時間かけて1150℃に加熱した後、係る温度に約5時間にわたり保持して全体の温度を均一化する(加熱工程s1)。
【0003】
次いで、加熱されたインゴットW1を、図示しない一対の平ロール間に通し、且つ係る一対の平ロール間の隙間を徐々に狭めつつ数10パスにわたる熱間分塊圧延を行うと共に、最後に一対の断面凹形の溝付きロール間を通す(第1分塊圧延工程s2:図4(A)参照)。尚、係る熱間分塊圧延工程s2全体における断面減少率は、90%以上である。
この結果、図4(B)に示すように、一辺が170mmの正方形断面で且つ長尺なブルームW2が得られる。係るブルームW2の両端部e,eには、上記熱間圧延時の平ロールによる塑性変形に伴うほぼ十字形のスリットs,sが位置している。上記ブルームW2を両端部e,eを切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って所定長さに切断して分割することにより、図4(B)に示すやや短尺なブルームW2′を複数個形成する。
【0004】
更に、図4(A),(B)に示すように、常温付近に冷却したブルームW2′の表層全体を、グラインダGによって所定厚さ研削することにより、前記熱間分塊圧延に伴う表面の疵を除去したブルームW2″とする表層研削工程s3を行う。
次に、表層研削されたブルームW2″を、図4(A),(B)に示すように、均熱炉に再度挿入し、数時間かけて1100℃に加熱し且つ当該温度に数時間にわたって保持する(再加熱工程s4)。次いで、加熱したブルームW2″を、図示しない一対の断面凹形の溝付きロール間を通し且つ徐々に小さな溝の溝付きロール間に複数回通す熱間圧延(第2分塊圧延工程s5:図4(A)参照)を行う。尚、係る熱間分塊圧延工程s5全体における断面減少率は、約70%である。
【0005】
その結果、図4(B)に示すように、一辺が最小95mmの正方形断面で長尺なビレットW3が得られる。係るビレットW3における前記同様の両端部e,eを切断し、且つ残りの部分を軸方向における所定長さに切断して分割することで、図4(B)の下端に示すやや短尺なビレットW3′を複数個得ることができる。
しかし、以上のインゴット(チタン合金素材)W1の圧延方法では、当初の加熱工程s1の加熱温度が低いため、第1分塊圧延(熱間圧延)工程s2時における熱間加工性が不十分になり、得られるブルームW2の表面のコーナー付近に割れが生じ易い。これを回避するため、短尺にしたブルームW2′を一旦常温に冷却して煩雑な表層研削工程s3を行う必要がある。しかも、研削したブルームW2″を再加熱(前記工程s4)し、且つ所要の断面寸法にする熱間圧延(前記工程s5)を行うため、燃料および熱エネルギのロスが大きい、という問題があった。
【0006】
尚、チタン合金の圧延素材を加熱し、係る加熱温度に対応して予め定めた断面減少率で傾斜圧延を行い、次いで係る傾斜圧延後の素材を再加熱または保定した後、孔型圧延機で熱間圧延するプロセスからなるチタン合金の棒や線材の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記製造方法は、加熱したチタン合金の圧延素材を傾斜圧延という特殊な圧延機において圧延することを必須とし、且つチタン合金の棒や線材を製造することが目的である。このため、技術分野がチタン合金からなる各種の製品を製造するための所要寸法および形状としたビレットなどのチタン合金材を製造する本発明に対しては、直接的にも間接的にも適用できないものであった。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−292906号公報 (第1〜6頁)
【0008】
【発明が解決すべき課題】
本発明は、以上に説明した従来の技術における問題点を解決し、表面に割れなどの疵を生じさせず少ない工数で行え且つ燃料や熱エネルギを低減できるチタン合金素材の圧延方法を提供する、ことを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、発明者らの研究および調査の結果、チタン合金素材を当初に加熱する温度を高めとし且つその熱エネルギを有効に活用して熱間分塊圧延する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明におけるチタン合金素材の圧延方法(請求項1)は、チタン合金素材を1150℃超に加熱する加熱工程と、係る加熱されたチタン合金素材を複数回の熱間分塊圧延により断面減少率80%以上に縮小した断面の中間素材にする第1分塊圧延工程と、上記中間素材を1150℃以上に加熱する補充加熱工程と、係る補充加熱された中間素材を複数回の熱間分塊圧延により断面減少率50%以上に縮小した断面のチタン合金材にする第2分塊圧延工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0010】
これによれば、チタン合金素材を1150℃を越える比較的高い温度に加熱するため、第1分塊圧延工程により得られる中間素材の表面に割れや裂けなどが生じにくくなると共に、係る加熱状態の中間素材を1150℃以上になるよう補充的に加熱した後、直ちに第2分塊圧延工程に移行することができる。このため、前述した従来の技術に比べて、工数および時間を格段に短縮できると共に、用いる燃料および熱エネルギもかなり低減することができる。従って、各種のチタン合金からなる製品を製造するための所要寸法および形状としたビレットなどのチタン合金材を、精度および効率良く製造することが可能となる。
【0011】
上記加熱工程の温度が1150℃以下になると、複数回の熱間分塊圧延による第1分塊圧延工程で、熱間加工に伴う割れや裂けなどが中間素材に生じ易くなる。このため、係る温度を1150℃超としたもので、望ましい温度域は、次述するように1200〜1250℃である。また、補充加熱工程の温度が1150℃未満になると、上記同様に第2分塊圧延工程で割れなどがチタン合金材に生じ易くなる。このため、係る温度を1150℃以上としたもので、望ましい温度域は、1150〜1200℃である。更に、第1分塊圧延工程での断面減少率を80%以上とし、且つ第2分塊圧延工程での断面減少率を50%以上としたのは、これら未満では必要な断面形状・寸法のチタン合金材を前記の少ない工程で得にくくなるためであり、第1分塊圧延工程での望ましい断面減少率は85〜90%、第2分塊圧延工程での望ましい断面減少率は60〜75%の範囲である。
尚、前記チタン合金素材には、例えば溶製し且つ鋳造したインゴットが、また、中間素材には、第1分塊圧延工程で熱間分塊圧延された長尺なブルームおよびこれを切断したものなどが、更に上記チタン合金材には、第2分塊圧延工程で熱間分塊圧延された長尺なビレットおよびこれを切断したものなどが含まれる。
【0012】
また、本発明には、前記加熱工程は、均熱炉中において前記チタン合金素材を1200〜1250℃に加熱し且つ数時間以上にわたり保持するものであり、前記補充加熱工程は、前記中間素材の少なくとも表層付近を1150〜1200℃に加熱する、チタン合金素材の圧延方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、前述したように、第1分塊圧延工程および第2分塊圧延工程での熱間加工に伴う割れや裂けなどを確実に防ぐことが可能となる。
【0013】
更に、本発明には、前記第2分塊圧延工程における最終の圧延時における中間素材の温度は、800℃以上である、チタン合金素材の圧延方法(請求項3)も含まれる。これによれば、第2分塊圧延工程での熱間加工に伴う割れや裂けなどがチタン合金素材の表面に生じる事態を一層防止できる。
尚、上記温度が800℃未満になると、割れなどが生じ易くなるため、係る温度範囲を除いたもので、望ましくは830℃以上である。また、当該温度は、割れなどが生じ易い中間素材の少なくとも表面における温度が、830℃またはこれ以上であれば良い。
【0014】
加えて、本発明には、前記チタン合金は、α+β型チタン合金である、チタン合金素材の圧延方法(請求項4)も含まれる。これによれば、前記第1および第2分塊圧延工程、特に後者における割れなどを一層確実に防止することができる。
尚、上記α+β型チタン合金には、Ti−6wt%Al−4wt%V、Ti−3wt%Al−2wt%V、Ti−6wt%Al−7wt%Nb、Ti−6wt%Al−6wt%V−2wt%Sn、Ti−6wt%Al−2wt%Sn−4wt%Zr−6wt%Moなどが含まれる。特に、代表的なTi−6wt%Al−4wt%Vの場合、第2分塊圧延工程での前記温度を830℃以上にすると、割れなどを確実に予防できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の実施に好適な形態を図面と共に説明する。
例えばTi−6wt%Al−4wt%Vからなるチタン合金を溶製した後、図示しないインゴットケースに鋳造することで、図1(B)の上端に示すように、直径:600mm×長さ:1500mmの円柱形を呈するインゴット(チタン合金素材)W1を予め用意する。
先ず、インゴットW1を、図1(A),(B)に示すように、大気またはArなどの不活性ガス雰囲気とした均熱炉に挿入し、約2時間かけて1150〜1250℃、望ましくは1200〜1250℃に加熱した後、係る温度に約5〜6時間にわたり保持して、インゴットW1全体の加熱温度を均一化する(加熱工程S1)。
【0016】
次に、加熱したインゴットW1を、図2(A)に示す一対の平ロールR1,R2間に通して、図2(B)に示すように、断面ほぼ小判形の素材W1aとする。尚、素材W1aの端部eは、上記ロールR1,R2との接触面が延びた塑性変形を受ける。係る素材W1aの送り方向と直交する姿勢を90度ずつ交互に変更し、平ロールR1,R2間の隙間を徐々に狭めつつ約40パスにわたる熱間分塊圧延を行う。その結果、図2(C)に示すように、断面がほぼ正方形でコーナーが湾曲した素材W1bとなる。最後に、図2(D)に示すように、一対の断面長方形の溝g1付きロールR3,R4間に上記素材W1bを通す(第1分塊圧延工程S2:図1(A)参照)。係る熱間分塊圧延全体による断面減少率は、80%以上である。
【0017】
この結果、図2(E)に示すように、一辺が190mmの正方形断面で長尺なブルーム(中間素材)W2が得られる。係るブルームW2の両端部e,eには、図1(B)に示すように、上記熱間圧延時の平ロールR1,R2などの塑性変形に伴うほぼ十字形のスリットs,sが位置している。当該ブルームW2を両端部e,eを切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って熱間切断して分割することにより、図1(B)に示すように、長さ5000mmのブルームW2′を例えば2個形成する。
次いで、約850〜950℃の加熱状態にある上記2個のブルームW2′を、図1(A),(B)に示すように、中間保熱炉に挿入し、約10〜20分間かけて、少なくとも表面が1150〜1200℃になるように熱エネルギを補填する補充加熱を行う(補充加熱工程S3)。
【0018】
更に、中間保熱炉から取り出した各ブルームW2′を、図2(F)に示すように、断面が直角三角形の溝g2付きロールR5,R6間に通し、更に連続して相似形で且つ断面が順次小さくなる溝付きロールRn,Rn間に5〜8パスで通す。最後に、図2(G)に示すように、最終寸法の溝g3付きロールR7,R8に通す熱間分塊圧延(第2分塊圧延工程S4:図1(A)参照)を行う。尚、係る工程S4全体での断面減少率は、50%以上、望ましくは60%以上である。
その結果、図1(B)の下方に示すように、一辺が最小95mmの正方形断面で長尺なビレットW3が得られる。係るビレットW3における前記同様の両端部を切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って切断して分割することで、図1(B)の下端に示すように長さ4000〜6500mmのビレット(チタン合金材)W3′を複数個得ることができる。
【0019】
得られた複数個のビレットW3′は、検査を受け且つ必要な表層研削を図示しないグラインダなどにより施されることで、線材などのチタン合金の製品に加工するためのチタン合金材(チタン製品加工用の素材)となる。
以上のような本発明におけるチタン合金素材の圧延方法によれば、チタン合金素材W1を加熱工程S1で比較的高い温度に加熱するため、第1分塊圧延工程S2で得られる中間素材W2の表面に割れや裂けなどが生じにくくなると共に、加熱状態の中間素材W2′を1150℃以上になるよう補充加熱(S3)した後、直ちに第2分塊圧延工程S4に移行できる。従って、従来に比べて工数および時間を格段に短縮でき、且つ燃料および熱エネルギのロスも低減することができる。
【0020】
【実施例】
以下において、本発明の具体的な実施例を、比較例と併せて説明する。
Ti−6wt%Al−4wt%Vのチタン合金からなり且つ直径:600mm×長さ:1500mmの円柱形を呈するインゴット(チタン合金素材)W1を2個用意し、一方のインゴットW1を実施例、他方のインゴットW1を比較例とした。
実施例のインゴットW1を均熱炉に挿入し、図3のグラフ中の実線で示すように、2時間かけて1200℃に加熱した後、係る温度に6時間にわたって保持した(加熱工程S1)。一方、比較例のインゴットW1も上記同様の均熱炉に挿入し、図3中の一点鎖線で示すように、2時間かけて1150℃に加熱した後、係る温度に5時間保持した(加熱工程s1)。
【0021】
次に、図3中の実線で示すように、実施例のインゴットW1を、前記図2(A)で示した平ロールR1,R2間に通し且つ得られた素材W1aを隙間を徐々に狭くした平ロールR1,R2間に40パス通す熱間分塊圧延を行った。得られた断面ほぼ正方形の素材W1bを前記溝g1付きロールR3,R4間に通した(第1分塊圧延工程S2)。尚、係る工程S2全体の断面減少率は、87.2%であった。得られた断面正方形で一辺が190mmの実施例のブルームW2に対し、その両端部e,eを切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って熱間で切断して分割することにより、実施例である長さ5000mmのブルームW2′を2個形成した。
【0022】
一方、加熱された比較例の前記インゴットW1についても、図3中の一点鎖線で示すように、上記同様の平ロールR1,R2などおよび溝g1付きロールR3,R4間に通す熱間分塊圧延(第1分塊圧延工程s2)を行い、断面正方形で一辺が170mmの比較例のブルームW2を得た。尚、上記工程s2全体における断面減少率は、89.8%であった。上記ブルームW2の両端部e,eを切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って熱間で切断して分割することにより、比較例で且つ長さ4000mmのブルームW2′を3個形成した。
図3中の一点鎖線で示すように、上記3個のブルームW2′を常温まで空冷した後、それらの表層を前記グラインダGにて4層にわたり研削(表層研削s3)して、表面に位置する割れなどの疵を除去した。
【0023】
次いで、約900℃付近の加熱状態にある実施例の2個の前記ブルームW2′を、中間保熱炉に挿入した後、図3中の実線で示すように、1150℃に20分間かけて補充加熱した(補充加熱工程S3)。
更に、中間保熱炉から取り出した2個のブルームW2′を、図3中の実線で示すように、連続して前記溝g2付きロールR5,R6間とこれよりも順次小さくなる溝付きロールRn,Rn間とに合計8パスで通した。最後に、製品寸法の溝g3付きロールR7,R8に通す熱間圧延(第2分塊圧延工程S4)を行い、一辺が95mmの断面正方形で長尺なチタン合金材W3を得た。この間における断面減少率は、75.0%であった。
上記2個のチタン合金材W3の両端部を切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って熱間で切断して3分割することにより、一辺が95mmの断面正方形で且つ長さ6500mmの実施例のチタン合金材W3′を、合計6個得た。
【0024】
一方、表層研削された3個の比較例のブルームW2′を前記均熱炉にそれぞれ挿入し、図3に示すように、2時間かけて1100℃に加熱した後、2時間保持した(再加熱工程s4)。
更に、均熱炉から取り出した3個のブルームW2′を、図3中の一点鎖線で示すように、前記同様の溝g2付きロールR5,R6間などに合計13パスで通した後、製品寸法の溝g3付きロールR7,R8に通す熱間分塊圧延(第2分塊圧延工程s5)を行った。この結果、一辺が95mmの断面正方形で長尺なチタン合金材W3となった。この間の断面減少率は、68.8%であった。
上記3個のチタン合金材W3の両端部を切断し且つ残りの部分を軸方向に沿って熱間で切断して2分割することにより、一辺が95mmの断面正方形で且つ長さ6000mmの比較例のチタン合金材W3′を、合計6個得た。
【0025】
以上のような実施例および比較例の温度履歴と所要時間との関係を、図3のグラフによって模式的に示した。これによれば、実施例は、比較例に比べて、明らかに工数全体の時間が短く且つ熱エネルギのロスの少ないことが判明した。
また、前記実施例の6個のチタン合金材W3′および比較例の6個のチタン合金材W3′全てについて、それらの表面全体を目視により検査し、グラインダなどで補修可能な軽微な表面疵を除く、製品加工用には不向きである補修不能な深さ5.0mm以上の割れや裂けなどの表面疵の有無を調査した。
その結果、実施例のチタン合金材W3′では、6個全てで補修可能な軽微な表面疵のみが認められた。一方、比較例のチタン合金材W3′では、6個のうち2個において補修不能な割れが少なくとも1つ以上認められた。これは、比較例では、加熱工程s1および再加熱工程s4、特に後者の加熱温度が低かったため、その後の第2分塊圧延工程s5の熱間加工で割れを誘発したものと推定される。
以上のような実施例の結果から、本発明の作用および効果が裏付けられた。
【0026】
本発明は、以上に説明した実施の形態および実施例に限定されない。
例えば、前記第1分塊圧延工程S2では、平ロールR1,R2は、当初の数パスのみとし、その後の数10パスを全て溝付きロールR3,R4などを用いて熱間分塊圧延しても良い。
また、前記中間保熱炉は、前記均熱炉と兼用して用いることも可能である。
更に、チタン合金素材は、前記円柱形のインゴットW1に限らず、四角柱形状のインゴットであっても良い。
尚、本発明の対象となるチタン合金には、前述したα+β型チタン合金に限らず、α型チタン合金、およびβ型チタン合金も含まれる。
【0027】
【発明の効果】
本発明のチタン合金素材の圧延方法(請求項1)によれば、チタン合金素材を加熱工程で比較的高い温度に加熱するため、第1分塊圧延工程で得られる中間素材の表面に割れや裂けなどが生じにくくなる。しかも、加熱状態の中間素材を前記温度以上になるよう補充加熱した後、直ちに第2分塊圧延工程に移行できるため、従来に比べて工数および時間を格段に短縮でき、且つ燃料および熱エネルギのロスも低減することができる。
また、請求項2〜4のチタン合金素材の圧延方法によれば、前記第1分塊圧延工程および第2分塊圧延工程の双方または少なくとも後者の熱間加工に伴う割れや裂けなどを確実に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の製造方法を示す各工程の流れ図、(B)は(A)に対応した各工程の概略を示す流れ図。
【図2】(A)〜(G)は上記製造方法における第1・第2分塊圧延工程を示す概略図。
【図3】実施例および比較例の温度履歴と時間との関係を模式的に示すグラフ。
【図4】(A)は従来の製造方法を示す各工程の流れ図、(B)は(A)に対応した各工程の概略を示す流れ図。
【符号の説明】
S1……………加熱工程
S2……………第1分塊圧延工程
S3……………補充加熱工程
S4……………第2分塊圧延工程
W1……………インゴット(チタン合金素材)
W2,W2′…ブルーム(中間素材)
W3,W3′…ビレット(チタン合金材)

Claims (4)

  1. チタン合金素材を1150℃超に加熱する加熱工程と、
    上記加熱されたチタン合金素材を複数回の熱間分塊圧延により断面減少率80%以上に縮小した断面の中間素材にする第1分塊圧延工程と、
    上記中間素材を1150℃以上に加熱する補充加熱工程と、
    上記補充加熱された中間素材を複数回の熱間分塊圧延により断面減少率50%以上に縮小した断面のチタン合金材にする第2分塊圧延工程と、を含む、
    ことを特徴とするチタン合金素材の圧延方法。
  2. 前記加熱工程は、均熱炉中にて前記チタン合金素材を1200〜1250℃に加熱し且つ数時間以上にわたり保持するものであり、前記補充加熱工程は、前記中間素材の少なくとも表層付近を1150〜1200℃に加熱する、ことを特徴とする請求項1に記載のチタン合金素材の圧延方法。
  3. 前記第2分塊圧延工程における最終の圧延時における中間素材の温度は、800℃以上である、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のチタン合金素材の圧延方法。
  4. 前記チタン合金は、α+β型チタン合金である、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のチタン合金素材の圧延方法。
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