JP2004306046A - 5段圧延機および圧延機列ならびに圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細粒鋼熱延鋼板を製造するうえで好ましい5段圧延機、およびそれを含む圧延機列ならびにそれらを使用する圧延方法を提供する。
【解決手段】片側に小径(直径500mm程度以下)のワークロール13および小径の中間ロール14を配置し、鋼板Pに対して圧下率40%以上の高圧下を行えるよう構成する。小径のワークロール13およびそれに接するロール14・15・16には回転駆動手段を接続せず、対をなす他の側のワークロール11に回転駆動手段を接続する。中間ロール14を圧延方向下流側にオフセットさせ、その中間ロール14に対し圧延方向下流側から、位置調整可能なようにサポートロール16を押し当てる。
【選択図】 図1
【解決手段】片側に小径(直径500mm程度以下)のワークロール13および小径の中間ロール14を配置し、鋼板Pに対して圧下率40%以上の高圧下を行えるよう構成する。小径のワークロール13およびそれに接するロール14・15・16には回転駆動手段を接続せず、対をなす他の側のワークロール11に回転駆動手段を接続する。中間ロール14を圧延方向下流側にオフセットさせ、その中間ロール14に対し圧延方向下流側から、位置調整可能なようにサポートロール16を押し当てる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、フェライト組織の結晶粒径が10μm程度以下という細粒鋼熱延鋼板を製造するのに適した5段圧延機(1スタンドあたり5本のロールによって圧延を行う圧延機。5重圧延機などともいわれる)、およびそれを含む圧延機列、ならびにそれらを使用する圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
細粒フェライトを主体とする微細組織を有するいわゆる細粒鋼熱延鋼板は、機械的性質にすぐれており、それを材料とする装置・設備を軽量化したり、それによって消費エネルギーを削減したり効果をもたらすことから、産業界の注目を集めている。
【0003】
細粒鋼熱延鋼板の製造について記載した文献には下記の特許文献1があり、また、5段圧延機についてたとえば特許文献2がある。
【特許文献1】特開2002−273501号公報
【特許文献2】特開昭62−38706号公報
【0004】
特許文献1には、等価ロール径(一対のロールについて直径の平均値)が500mm程度の小径のワークロール(または大小異径のワークロール)を含む圧延機を後段の複数スタンドに配置するとともに、複数の適切な箇所で圧延板(鋼板)を強冷却するよう設備した熱間圧延機(圧延機列)が記載されている。そのような小径(または異径)のワークロールを含む熱間圧延機によって圧延板に大圧下を加えながら、十分な冷却を行うことにより、圧延中の加工発熱にもかかわらず圧延板を適切な温度域に保ち、もって組織を微細化するとともにその粒成長を防止して、細粒鋼熱延鋼板を製造するのである。
【0005】
特許文献2には、上下ワークロールのうち一方のワークロールを小径にすること等により構成した図8のような5段圧延機において、きわめて高い圧下率が得られる旨が記載されている。なお、図8において符号Pは圧延板、71・73はワークロール、74は中間ロール、72・75はバックアップロール、そして符号76・77は、ワークロール71および中間ロール74のそれぞれを回転させるモータ付きの回転駆動手段である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特許文献1にいう熱間圧延機として5段圧延機を使用することも当然ながら可能であるが、特許文献1には4段の圧延機が例示されていて、細粒鋼熱延鋼板を製造するためにどのような特徴をもつ5段圧延機がもっとも適切であるかという具体的な説明はなされていない。一方、特許文献2には、図2のような5段圧延機が高圧下に適していると記載されてはいるものの、どのような圧延機をどのように使用すれば細粒鋼熱延鋼板を製造することができるかについては、全く記載されていない。
【0007】
請求項に係る発明は、細粒鋼熱延鋼板を製造するうえで好ましい5段圧延機、およびそれを含む圧延機列ならびにそれらを使用する圧延方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した5段圧延機は、片側に小径のワークロールおよび小径の中間ロールを配置し、圧延板に対して圧下率40%以上の高圧下を行えるよう構成したことを特徴とする。5段圧延機であるから、上記した中間ロールの外側(ワークロールや圧延板から遠い側)にバックアップロール(支持ロール)を設けるとともに、それらと対をなす他の側に別のワークロールとバックアップロールとを配置し、圧下に寄与するロールの合計数を5本とする。
なお、この明細書においてロールに関する「小径」とは、直径500mm程度以下のものをさすこととする。したがって、この請求項の発明にあっては、ワークロールおよび中間ロールの直径が500mm程度以下である。ただし、ワークロールについては、中間ロールによって支持されるとはいえ圧延方向(圧延板の送られる方向)に圧延板から力を受けることから、強度上、ロール径(ワークロールの直径)を400mm程度以上とするのが好ましい。
【0009】
一対のうち少なくとも片側のワークロールについて直径が細いことから、特許文献2にも記載されているとおり、この5段圧延機では圧下率の高い圧延を円滑に行うことができる。特定の圧下率を実現するための圧延荷重はワークロールの径が小さいほど小さくなるから、径が小さいと、低い圧延荷重で高圧下率の圧延を行えるのである。圧延荷重が小さくなれば、ロールの偏平化のために高圧下率圧延ができないという現象がなくなるほか、圧延板のエッジ(幅方向の端部)付近に高荷重がかかって圧延ロールが扁平変形することによるエッジドロップ現象も軽減される。
【0010】
そうした特徴をもつこの5段圧延機は、圧下率40%以上の高圧下を行うのであるから、前記の特許文献1に例示された4段圧延機に代えて使用することにより、細粒鋼熱延鋼板の製造を可能にする。すなわち、後段に配置された例示の4段圧延機のうちいずれかをこの請求項の5段圧延機に置き換え、それにて圧下率40%以上の高圧下を行いながら、上記と同様に複数の適切な箇所で圧延板を強冷却すれば、圧延板を適切な温度域に保ちながら大圧下することができ、細粒鋼鋼板が製造される。
【0011】
この請求項の5段圧延機にはさらに、従来の圧延機列において一般的に配置されている4段の既設圧延機をわずかに改変することのみにより構成することもできる、という利点がある。これはつぎのように説明できる。
イ) 細粒鋼鋼板の製造を目的としない通常の圧下率(30%程度)を実現する4段圧延機は、一般に、直径が700〜1000mm程度のワークロールを一対使用するものである。
ロ) この請求項の5段圧延機は、上記のとおり小径のワークロールと小径の中間ロールとを片側に配置したもので、そのワークロールと中間ロールとの直径の合計が、一般の場合のワークロールの直径(上記イ)のとおり700〜1000mm程度)に比べてあまり大きくならない。
ハ) そのため、上記した一般的な圧延機において、圧延機ハウジング(いわゆるウィンドウをなす部分)をそのまま使用しながら、一方のワークロールを小径ワークロールおよび小径中間ロールに置き換えることのみによって、簡単かつ低コストにこの5段圧延機を構成することも可能なのである。
【0012】
請求項2に記載の5段圧延機は、とくに、上記した小径のワークロールおよびそれに接するロール(つまり、上記小径の中間ロールおよびそのバックアップロール、またはさらに後述のサポートロール)には回転駆動手段を接続せず、対をなす他の側のワークロールに回転駆動手段を接続したことを特徴とする。
【0013】
この請求項の5段圧延機では、ワークロールの(うち少なくとも)一方が小径であって等価ロール径が小径であることに加え、対をなす他の側のワークロールのみを回転駆動して圧延板に剪断力を作用させることから、低い圧延荷重で圧下率の高い圧延を実施するうえでとくに有利であり、たとえば圧下率50%の圧延も困難ではない。そのため、細粒鋼熱延鋼板を製造するための大圧下圧延等を比較的小さな圧延荷重で行うことができ、しかも、圧延荷重が小さいために、ロール偏平やエッジドロップによる不都合を回避しやすい。
【0014】
請求項3に記載の5段圧延機はさらに、上記した小径のワークロールを含む一対のワークロールにCVC機能をもたせたことを特徴とする。CVC機能とは、軸長方向に外径が連続的に変化したロール(CVCロール)が軸長方向に移動してロールギャップ形状の変更制御を行う機能をいう(図4を参照)。
【0015】
高圧下率をもたらす高負荷の圧延を行うと、ワークロールがたわんで圧延板の形状精度を低下させやすいことに加え、圧延板の加工発熱に基づいて当該ロールの熱負荷が高くなり、中ほどの部分で径が拡大するサーマルクラウンが発生しやすい。サーマルクラウンは、その程度によってはロールを冷却するだけでは解消しがたく、圧延板の形状が悪くなって安定通板が困難になることもある。そのほか、高圧下率の圧延を行うとロールの摩耗が激しくなり、それによっても圧延板の形状精度が低下しやすい。
しかし、この請求項の5段圧延機では、一対のワークロールにCVC機能をもたせているため、当該機能によりロールギャップ形状を適宜に変更してクラウン制御を実施することができる。したがって、上記のような事情があるにもかかわらず、圧延板の形状をつねに良好に保つことができる。なお、その一対のワークロールに対してベンディング機能(ロールに曲げモーメントを作用させてロールギャップ形状を変化させ得る機能)を付加すると、形状精度の制御性能がさらに向上する。
【0016】
請求項4に記載の5段圧延機は、とくに、上記した小径のワークロールまたは小径の中間ロールに対し、圧延方向下流側から押し当てるようにサポートロール(主として水平方向に支持するためのロール)を配置したことを特徴とする。
【0017】
このようにサポートロールを使用すると、圧延板から水平(圧延方向下流向き)に作用する力に抗するよう上記の小径ワークロールを補強することができる。たとえば、小径のワークロールに対し圧延方向下流側からサポートロールを押し当てると(図7(a)に例示したケース)、上記の水平の力に直接に抗するようにサポートロールがワークロールに作用する。小径の中間ロールを圧延方向下流側にオフセットさせてワークロールに接触させ、その中間ロールに対して圧延方向下流側からサポートロールを押し当てると(図1等に例示したケース)、中間ロールを介してワークロールに伝わるサポートロールの押付力(その水平分力)が、ワークロールにかかる水平の力を減少(相殺)させる。
そのため、この請求項の5段圧延機によればワークロールの径をとくに細くすることができ、結果として、低い圧延荷重による高圧下率の圧延を一層円滑に行うことが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の5段圧延機はとくに、上記した小径の中間ロールを圧延方向下流側にオフセットさせ、その中間ロールに対して圧延方向下流側からサポートロールを押し当て、かつ、そのサポートロールの位置を押し当て方向(つまり圧延方向に概ね沿う方向)に調整可能にしたことを特徴とする。図5は、この請求項の発明にしたがってサポートロールの位置調整を行う例である。
【0019】
こうした5段圧延機では、ワークロールに対してクラウン制御をなすことが可能である。サポートロールの位置を押し当て方向に調整することにより、バックアップロールとワークロールとの間にある中間ロールについて水平面内でのたわみ形状が変化し、それにともなってワークロールは、たとえば図5(c)・(e)に示すように(ワークロールの符号は13)鉛直面内でたわみ形状を変化させるからである。ワークロールについてクラウン制御を行うことができると、やはり圧延板の形状を良好に制御することができる。
【0020】
細粒鋼熱延鋼板を製造する場合、前記のようにワークロールの熱負荷が高いことから、当該ロールに対して冷却スプレーやその冷却水の除去(水切り)手段を付設するのが通常である。また、機械的負荷を考慮してワークロール表面に潤滑剤を供給するための手段を設置することも多い。したがって、ワークロールに対してではなく中間ロールに対してサポートロールを押し当てるというこの請求項の圧延機は、サポートロールの配置を容易にするとともに、ワークロールの全周面に対する円滑な冷却や水切り、潤滑剤供給等を妨げないという技術的メリットをも有するものといえる。
【0021】
請求項6に記載の5段圧延機は、とくに、上記した小径のワークロールおよび小径の中間ロールを、それらと対をなす他の側のワークロールと直径が同等な1本のワークロールに置き換えることにより、4段圧延機への変更を可能にしたことを特徴とする。図6に示す5段圧延機F4はそのような変更を可能にしたものの一例であり、図6(a)は5段圧延機の状態、同(b)は4段圧延機に変更した状態を示している。
【0022】
このような変更を可能にすると、小径のワークロールおよび小径の中間ロールを使用する5段圧延機の状態では圧下率40%以上の高圧下圧延を行い、それら2本のロールを上記1本のワークロールに置き換えて4段圧延機に変更した際には、圧下率40%以下の一般的な圧延を行うことが可能になる。
【0023】
低圧下率(40%以下)の一般的な圧延は5段圧延機の状態のまま行ってもよいが、その場合には、
・ 5段圧延機における小径のワークロールに対して圧延板の先端部が噛み込まれにくい場合がある。
・ 上下一対のワークロールについて外径が異なるため、周速を一致させることが難しく、したがって圧延板の先端部付近が上向きまたは下向きに曲がって送られる場合がある。これを防止するには一対のワークロールについて周速を一致させることが肝要だが、一対のうち片側のみを回転駆動する場合に周速を一致させるには、上下のワークロールを一旦キス(接触)させて非駆動のロールを適切な速度で回転させたのちキスを解く、という複雑な操作が必要である。また、両側のロールとも駆動する場合には、外径が相違する(かつ、外周面における摩耗の進行度合いも相違する)にもかかわらず、それらロール間で周速を一致させるという困難な制御が必要になる。
【0024】
4段圧延機に変更したうえで低圧下率の圧延を行うと、上記のような不都合がない。すなわち、5段圧延機の状態よりも等価ロール径が大きく、かつ直径が同等なワークロールを一対使用するので、圧延板の先端部が噛み込まれやすいうえに、それら一対のワークロールについて双方を同一周速で回転駆動することが容易なのである。
【0025】
請求項7に記載した圧延機列は、最終段を含む後段のスタンドに上述の5段圧延機を設け、最終段を含む後段の複数スタンドの圧延機の出側に、圧延板に対するカーテンウォール型冷却手段を配置したことを特徴とする。カーテンウォール型冷却手段とは、上方および下方から幕のように連ねて大量の冷却水を層流状に流し、それを圧延板の上下面に全幅にわたって当てる形式の冷却手段をいう。図2および図3に示す圧延機列Aは、この請求項の圧延機列に該当するものの一例である。
【0026】
細粒鋼熱延鋼板を製造するための条件は、前掲の特許文献1にも記載があるように、圧延板に大圧下を加えながら、そのような圧延中の加工発熱による温度変化を十分な冷却によって抑制することである。この請求項の圧延機列は、金属組織に対する影響の強い後段のスタンドに上述の5段圧延機を設けるとともに、後段の複数スタンドの圧延機の出側にカーテンウォール型冷却手段を配置したものである。上述の5段圧延機は圧下率の高い圧延を円滑に行えるものであり、またカーテンウォール型冷却手段は、圧延板に対する冷却能力が高く、圧延中および圧延後の圧延板を適切な温度域に保つのに十分なものである。そのため、この請求項の圧延機列によれば、確実かつ円滑に鋼板組織の微細化、つまり細粒鋼熱延鋼板の製造を実現することができる。
【0027】
請求項8に記載した圧延方法は、請求項6に記載の5段圧延機を用いる圧延方法であって、下記▲1▼および▲2▼を行うことを特徴とする。
▲1▼ 小径のワークロールおよび小径の中間ロールを使用する際は、それらと対をなす他の側のワークロールのみを回転駆動して圧下率40%以上の高圧下を行い、
▲2▼ 小径のワークロールおよび小径の中間ロールを上記1本のワークロールに置き換えて4段圧延機に変更した際は、対をなす両側のワークロールを駆動して圧下率40%以下の圧下を行う。
【0028】
この圧延方法によれば、請求項6の圧延機にそれがもつ上述の機能を実際に発揮させ、もって細粒鋼熱延鋼板(上記▲1▼の場合)と細粒鋼でない一般の金属板(上記▲2▼の場合)とを適宜に選択して製造することが可能である。上記▲2▼によって一般の金属板を製造する場合には、▲1▼の場合よりも大径で直径が同等なワークロールを一対使用するので、a)圧延板の先端部を噛み込ませやすい、b)一対のワークロールを同一周速に回転駆動して、圧延板の先端部付近が上向きまたは下向きに曲がって送られる不都合を容易に防止できる−といった利点もある。
【0029】
請求項9に記載の圧延方法は、請求項7に記載の圧延機列を用いる圧延方法であって、累積歪みが0.6以上になるよう圧延するとともに、最終段を含む後段の複数スタンドの圧延機の出側において圧延板にカーテンウォール型冷却手段を使用することを特徴とする。なお、「歪み」とは、各段のスタンドの入り側での圧延板の厚さh0と出側での厚さh1の差を両者の平均厚さで除した
ε=(h0−h1)/{(h0+h1)/2}
をいう。また「累積歪み」とは、上記スタンドのうち後段3スタンド(2スタンドの場合もあり得る)の各段(それらより上流側のスタンドは影響力が小さいので無視する)での歪みを、金属組織に対する影響の強さを考慮して加重積算したもので、最終段とその前段・前々段での歪みをそれぞれεn、εn−1、εn−2とするとき、
εc=εn+εn−1/2+εn−2/4
で表されるεcをいうものとする。圧延板の温度としては、たとえば、最終段スタンドの直後部で計測される板表面温度(圧延終了温度)が、Ar3変態点をはさんで±50℃の範囲になるよう保持するとよい。
【0030】
この圧延方法によれば、請求項7の圧延機列がもつ機能を利用して、細粒鋼熱延鋼板を円滑に製造することができる。累積歪みが0.6以上という高圧下率の圧延を行いながら、後段の複数スタンドの出側においてカーテンウォール型冷却手段により圧延板を強く冷却するため、圧延中の発生熱を奪って適切な温度維持をはかるとともに圧延直後の圧延板を強く冷却して、フェライト組織の結晶粒径をたとえば10μm程度以下にすることができる。なお、上記において累積歪みをさらに高くして0.9以上にする場合には、上記結晶粒径は4μm程度以下にまで微細にできる。
【0031】
【発明の実施の形態】
発明の実施についての一形態を図1〜図6に示す。図1は圧延機F4を示す側面図で、図2はその圧延機F4を含む圧延機列Aの側面図、また図3は、圧延機列Aのうち最終段の圧延機F6の付近を示す側面図である。図4は、圧延機F4等におけるCVC機能を説明するための図、図5は、圧延機F4等におけるサポートロール16によるクラウン制御機能を示す図、そして図6は、圧延機F4等を5段圧延機の状態(図6(a))と4段圧延機の状態(同(b))との間で変更することを示す図である。
【0032】
図1の圧延機F4は、図2の圧延機列A中に含める鋼板Pの熱間圧延用のもので、圧下に関与する圧延ロールを合計5本配置した5段圧延機である。圧延板すなわち鋼板Pのパスラインに対し、下方位置にワークロール11とバックアップロール12とを設け、パスラインの上方にワークロール13・中間ロール14・バックアップロール15をこの順に配置する。それら5本のロールを圧延機ハウジング10におけるウィンドウ10a内に配置し、ハウジング10の上部または下部に設けた圧下手段(油圧シリンダなど。図示せず)により上下方向に圧下力を加え、もって、ワークロール11・13間に通す鋼板Pを圧延する。具体的には、バックアップロール12・15のうち一方のものの両端(軸受箱)をハウジング10内で一定高さに固定し、他方のものの両端(軸受箱)を圧下手段に接続して上下への変位を可能にする。ワークロール11とバックアップロール12との間、およびワークロール13と中間ロール14とバックアップロール15との各間において胴部の外周面を接触させることにより、バックアップロール12・15に作用させる圧下手段の圧下力がワークロール11・13間に伝わるようにする。
【0033】
圧延機F4におけるバックアップロール12・15の直径はともに1600mmであるが、ワークロール11・13および中間ロール14の胴部の直径は、それぞれ、800mm・500mm・350mmに設定する。そして、これら5本のロールのうち中間ロール14は、その軸心の位置を圧延方向(図1中の白抜き矢印の向き)の下流側にオフセットさせ、その胴部の外周面に当該下流側からサポートロールを押し当てる。中間ロール14のオフセット量(他のロールの軸心から中間ロール14の軸心までの水平距離)は約30mmとし、サポートロール16は、胴長を鋼板Pの幅よりも短く(ワークロール13や中間ロール14の長さの半分以下に)したうえ、油圧シリンダ等を含む移動手段(図示せず)によりその位置を押し当て方向(概ね圧延方向)に調整できるようにする。なお、中間ロール14のオフセット量については、上記した30mmに限らず、10〜50mm程度の範囲で定める(すなわち、ワークロール11上においてサポートロール16との接点が軸心の真上から1°〜10°程度だけ下流寄りの角度位置にあるようにする)とよい。
【0034】
下側のワークロール11にはモータ等の回転駆動手段(図示せず)を連結するが、上側のワークロール13およびそれに接するロール14・15・16には回転駆動手段を連結しない。上記のようにワークロール13が直径500mmと小径で、両ワークロール11・13の等価ロール径も650mmと小さいこと、また、一方のワークロール11のみを回転駆動するために鋼板Pにせん断力を作用させ得ることから、圧延機F4においては、比較的小さな圧下力によって圧下率の高い(たとえば圧下率50%の)圧延を行うことができる。圧延荷重が小さいため、ロール偏平やエッジドロップによる不都合も発生しない。
【0035】
図2の圧延機列Aは、上記の圧延機F4を含む6スタンド型の熱間仕上圧延設備であって、下記a)〜f)のように構成する。すなわち、
a) 最前段を含む前半の3スタンドには、4段圧延機F1〜F3をタンデムに配置する。これらの4段圧延機は、直径が700mm程度のワークロール1・3と、直径が1300mm程度のバックアップロール2・4とを図示のように縦に配置したものである。
【0036】
b) 最終段を含む後半のスタンドには、図1に紹介した圧延機F4を第4スタンドとするほか、その後方に続けて、圧延機F4と同じロール組をもつ圧延機F5・F6をこの順にタンデムに配置する。これらのいずれの圧延機F4〜F6においても、ワークロール13が小径であること等から、圧下力を特別には高くすることなく高圧下率の圧延を行うことができる。前半の圧延機F1〜F3を含む全6スタンドのスタンド間隔は、等しく5.5m程度とする。
【0037】
c) 後半に配置した3スタンドの圧延機F4〜F6各出側には、カーテンウォール型の冷却手段41・42・43を配置する。図3に示すように、同冷却手段42は、上下のヘッダー42a・42bより鋼板Pの全幅表面に向けて大量の常温冷却水を層流状態で幕状(カーテンウォール状。厚さは10mm以上であり最適厚さが16mm)に流し当てることにより、鋼板Pを強く冷却する。冷却水量は、鋼板Pの単位幅(1m)あたり100〜500m3/hの範囲内で調整を可能とし、冷却による鋼板Pの温度降下を20℃/sec以上とする。通常は(下記実施例の場合を含む)単位幅あたりに350m3/hの冷却水を使用し、その場合の鋼板Pの温度降下が、板厚x速度の積が1200mm・mpmであるとき60〜80℃/sec(加工発熱による温度上昇を含めて40℃/sec前後)になるようにする。図2に示した他の冷却手段41・43についても、以上の構成および機能は同じである。このような冷却手段41・42・43を使用することにより、圧延機F4〜F6において加工発熱の激しい高圧下圧延を行っても、それによる鋼板Pの温度上昇を抑制して、その金属組織の微細化と粒成長防止とを実現することができる。なお、図2の圧延機列Aの下流側に設けるランアウトテーブル(図示せず)においても、粒成長を防止すべく冷却水にて10℃/sec以上の速度で鋼板Pを冷却する。
【0038】
d) 圧延機列Aのうち最終段スタンドである圧延機F6の出側には、カーテンウォール型冷却手段43から数百mm〜1mほど離して、水噴射スプレー46を配置する。冷却手段43によって鋼板Pの上面に載った冷却水を除去するためのものである。図3のように、このスプレー46は、上方から鋼板Pに向けて斜め前方へ、鋼板Pの上面との角度が50〜80゜になるように、10kg/cm2前後の加圧水を1個あたり毎分300リットル吹き出すノズル46aを複数個備えている(鋼板Pの長さ方向に間隔をおき、かつその幅方向にも間隔をおいて配置する)。各ノズル46aは、鋼板Pの幅方向に広がるように水を吹き出すもので、鋼板Pの幅方向への広がり角は15〜30゜、長さ方向への広がり角は1〜10゜がよい。このような水噴射スプレー46を使用すれば、冷却手段43等の作用で鋼板P上に載った冷却水を円滑に除去できるので、その下流側にある各種の計測器によって、圧延後の鋼板Pに関する種々の計測を適切に行うことが可能になる。
【0039】
e) 圧延機列Aにおける全圧延機F1〜F6の各ワークロールに対しては、潤滑剤の供給手段を配置する。同手段は、たとえば図3中の符号23・26のようにワークロール11・13(または図2のワークロール1・3)の表面に向いた噴射口と、そこへの潤滑剤の送りポンプ等とからなる。潤滑剤としては、リン酸カルシウムや雲母、炭酸カルシウム等といった微粒の固体潤滑剤をグリース中に含めたものを使用する。それら固体微粒子の配合により、潤滑剤使用時の各ワークロールと鋼板Pとの間は、摩擦係数μが約0.28と高めになりながらもロール表面の摩耗が抑制され、鋼板Pの形状が長く良好に保たれやすい。鉱物油にではなくグリース中に固体微粒子を含めているので、固体微粒子がロール表面上につねに均一に分散されるよう供給されるというメリットもある。
【0040】
f) 全圧延機F1〜F6の各ワークロールに対しては、さらに、図3に示すようにロール冷却用水の噴射ノズル(たとえば符号21・24)やそれによる冷却水を取り除く水切り板(たとえば符号22・25)を配置する。
【0041】
以上に説明した図2・図3の圧延機列Aにおいては、加熱された鋼板Pを、累積歪みが0.6以上となる程度の高圧下圧延を施しながら十分な冷却によってその温度を適切な範囲に保ち、もって、フェライト粒径が10μm以下という細粒鋼熱延鋼板を製造することが可能である。その際、圧下率の高い圧延をするにもかかわらず、鋼板Pの形状を良好に制御することが可能である。このように形状を良好にすることができる理由は、つぎのように説明できる。
【0042】
第一には、後半に設けた圧延機F4〜F6をいわゆるCVCミルとし、図4に示すCVC機能をそれぞれにもたせたからである。すなわち、各圧延機F4〜F6のワークロール11・13に、図4(a)に示すようなクラウン(CVC、すなわち直径の連続的変化)をもたせ、図4(b)・(c)のように上下のワークロール11・13を互いに反対の軸長方向へ同時に移動(シフト)させ得るようにする。そのようにシフトさせることにより、ワークロール11・13間の位置関係、すなわちロールギャップを図のように調整することができる。各ワークロール11・13の最大シフト量は±100mm程度とする。
【0043】
なお、前半に配置した圧延機F1〜F3をこのようなCVCミルにするのも好ましい。後段の圧延機F4〜F6では加工発熱に起因したサーマルクラウン等が発生しやすいことを考慮し、前段の圧延機F1〜F3によってあらかじめ板クラウンを修正し、鋼板Pの中絞り等を軽減するのである。
【0044】
圧延機列Aにおいて鋼板Pの形状が良好に制御される第二の理由は、図5に示すように、圧延機F4等において、中間ロール14とサポートロール16とによるクラウン制御をも行えるからである。圧延機F4(および圧延機F5・F6)では、上記(図3)のようにワークロール11・13に対して潤滑剤供給のための噴射口23・26やロール冷却用水の噴射ノズル21・24および水切り板22・25等を付設するため、干渉物の少ない中間ロール14を下流寄りにオフセットさせたうえそれにサポートロール16を押し当てている。このサポートロール16は、胴長が短いうえ、移動手段(図示せず)によって前記のように押し当て方向に位置調整可能である。サポートロール16等によるクラウン制御は、つぎのように実施できる。
【0045】
図5(a)に示すサポートロール16は、圧延中、たとえば図5(b)のようにこれを上流側に移動して中間ロール14の中央付近をワークロール13の真上に近づけると、ワークロール13は、その中間ロール14に中ほどを押されて図5(c)のとおり下向きに凸となるように曲がる。逆に、図5(d)のようにサポートロール16を下流側に移動して中間ロール14の中央付近をワークロール13の真上から遠ざけると、ワークロール13は、圧延荷重によって図5(e)のとおり上向きに凸となるように曲がる。こうしてワークロール11・13間のロールギャップを調整すれば、前述したCVC機能とともに、広い範囲で良好に鋼板Pのクラウン制御を行えることになる。
【0046】
圧延機列A中の圧延機F4〜F6は、前述のとおり小径のワークロール13を含む5段圧延機であるが、各圧延機F4〜F6は、図6(b)に示す4段圧延機に切り換えて使用することができる。すなわち、図6(a)のように5段圧延機として使用するワークロール13と中間ロール14とを、それらより大径であってワークロール11と同径のワークロール33に差し替えるのである。圧延機F4〜F6における圧延ロール11〜15は、胴部表面の研磨を繰り返す必要上、圧延機一般における通常の機能として交換容易に配置されている。しかも、ワークロール13と中間ロール14との胴部直径の和は850mmであって、差し替えるワークロール33の胴部直径(800mm)との差が小さい。したがって、圧延機F4〜F6では、ハウジング10およびそのウィンドウ10aに全く変更を加えず、かつ同じ圧下手段を用い、その圧下手段において適宜にライナーを付加したり初期圧下量をやや変更したりすることのみにより、5段圧延機状態(図6(a))と4段圧延機状態(同(b))との間での正逆の切り換えを行うことができる。下方のロール11・12は直径を変更せずに使用するので、当然ながらパスライン高さの変更もない。
【0047】
圧延機F4〜F6は、5段圧延機の状態では前記のように高圧下率の圧延をして細粒鋼鋼板の製造を可能にするが、図6(b)のように4段圧延機に切り換えた場合、そのような製造には適さない。ワークロール11・33の直径がともに太いことから、圧下率を高くすることが難しくなるからである。そのため、4段圧延機の状態にした場合には、各圧延機F4〜F6において圧下率が30%程度の通常の圧延を行い、圧延機列Aとしても細粒鋼鋼板の製造は行わない。そしてそのような場合、上下のワークロール11・33は、いずれにも回転駆動手段(図示せず)を連結して等速度で回転させる。そうすれば、鋼板Pの先端部を噛み込みやすくなるうえ、ワークロール間の周速差に起因して鋼板Pが上向きまたは下向きに曲がって送られるという不都合も生じにくい。なお、圧延機F4〜F6を4段圧延機の状態にした場合には、高圧下にともなう加工発熱が少ないため、鋼板Pの冷却は、最終段スタンドとしての圧延機F6の出側のみにおいて図2の冷却手段43にて行えば足りるケースが多い。
【0048】
図1〜図6の例ではサポートロール16を中間ロール14に押し当てることとしたが、サポートロールをワークロールに押し当てることとして5段圧延機を構成するのもよい。図7(a)の圧延機f4はその一例であり、鋼板Pのパスラインの下方にワークロール51(胴部の直径が700mm)とバックアップロール52(同1300mm)とを設け、パスラインの上方にワークロール53(同400mm)・中間ロール54(同500mm)・バックアップロール55(同1300mm)を配置し、ワークロール53の胴部外周面に、下流側やや上方からサポートロール56(直径350mm)を押し当てる。このサポートロール56により、5本のうちで最も細くしたワークロール53を補強して圧延方向下流側にたわむことを防止するのである。
【0049】
図7(a)の圧延機f4についても、小径のワークロール53と中間ロール54とを同(b)のように1本のワークロール63に置き換えて、4段圧延機状態に切り換えることが容易である。下方のワークロール51と直径(700mm)の等しいワークロール63を上方に使用すれば、小径のワークロール53と中間ロール14とを使用する場合に比べて直径合計値に大きな差が生じない(図中の寸法h、すなわち上側バックアップロール55の高さの差が200mmを超えない)ため、前記の例(図6)と同様にハウジングと圧下手段とをそのまま使用できるからである。図7(b)の場合、ワークロール51・63の直径を700mm程度の同一径にしたうえ双方を回転駆動させる場合には、鋼板Pの先端部を噛み込みやすくなり、鋼板Pが上向きまたは下向きに曲がって送られる不都合が防止されるというメリットももたらされる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載した5段圧延機によれば、ロールの偏平化やエッジドロップ現象を軽減しながら、圧下率が40%以上という高圧下圧延を円滑に行うことができる。そのため、この圧延機が圧延機列内に適切に配置されたうえ圧延板に対する適切な冷却が施されるなら、フェライト粒径が10μm程度以下という細粒鋼熱延鋼板の製造が可能になる。また、この5段圧延機は、一般的な圧延機列に配置されている4段の既設圧延機をわずかに改変することにより簡単かつ低コストに構成することも可能である。
請求項2に記載の5段圧延機なら、低い圧延荷重で高圧下率の圧延を行ううえでとくに有利であり、細粒鋼熱延鋼板を製造することも一層円滑に行える。
【0051】
請求項3に記載の5段圧延機ではさらに、高負荷圧延を行う際にはワークロールがたわんだりサーマルクラウンを発生したりしやすいという事情があるにもかかわらず、好ましい形状制御が行えて、形状精度の高い細粒鋼熱延鋼板等を得ることができる。
【0052】
請求項4に記載の5段圧延機では、水平に作用する力に抗するよう、小径のワークロールを適切に補強することができる。そのため、ワークロールの径を一層に細くすることができ、低い圧延荷重による高圧下率の圧延を一層円滑に行うことが可能になる。
請求項5の5段圧延機では、サポートロールを位置調整してワークロールのクラウン制御を実施することにより、圧延板の形状を良好に制御することが可能である。ワークロールに対する円滑な冷却や水切り、潤滑剤供給等を妨げないという利点もある。
【0053】
請求項6に記載の5段圧延機なら、ロールの交換をすることにより圧延機の形式を変更して、高圧下率の圧延とそうでない一般的な圧延とをともに円滑に行うことができる。一般的な圧延を行う場合、圧延板の先端部をワークロール間に噛み込ませやすく、また、圧延板の先端部付近が上向きまたは下向きに曲がって送られることを回避しやすい。
【0054】
請求項7に記載した圧延機列によれば、確実かつ円滑に細粒鋼熱延鋼板を製造することができる。
請求項8に記載した圧延方法によれば、請求項6の圧延機にそれがもつ機能を実際に発揮させて、細粒鋼熱延鋼板と細粒鋼でない一般の金属板とを適宜に選択して製造することが可能になる。
請求項9に記載の圧延方法によれば、請求項7の圧延機列がもつ機能を利用して、細粒鋼熱延鋼板を円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施についての一形態である圧延機F4を示す側面図である。
【図2】図1の圧延機F4を含む圧延機列Aの全体を模式的に示す側面図である。
【図3】図2の圧延機列Aのうち最終段の圧延機F6の付近を示す側面図である。
【図4】図4(a)・(b)・(c)は、圧延機F4等におけるCVC機能を説明するための模式図である。
【図5】圧延機F4等におけるサポートロール16を用いるクラウン制御機能を示す模式図で、図5(a)はロール配置を示す側面図である。同(b)は、サポートロール16を圧延方向上流側に移動したときのワークロール13と中間ロール14・サポートロール16を上から見た図、同(c)は、同(b)の状態にあるワークロール11・13と鋼板Pとを圧延方向下流側から見た図である。また、同(d)は、サポートロール16を圧延方向下流側に移動したときのワークロール13等を上から見た図、同(e)は、同(d)の状態にあるワークロール13等を圧延方向下流側から見た図である。
【図6】圧延機F4(またはF5もしくはF6)を5段圧延機の状態(図6(a))と4段圧延機の状態(同(b))との間で変更することを示す模式図である。
【図7】発明の実施に関する他の形態の圧延機f4についてロール配置を示す図で、図7(a)は5段圧延機にした状態を示し、同(b)は4段圧延機にした状態を示す。
【図8】従来の5段圧延機におけるロール配置を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
A 圧延機列
F4・F5・F6 圧延機
P 鋼板(圧延板)
10 ハウジング
11・13 ワークロール
12・15 バックアップロール
14 中間ロール
16 サポートロール
41・42・43 カーテンウォール型冷却手段
f4 圧延機
51・53 ワークロール
52・55 バックアップロール
54 中間ロール
56 サポートロール
【発明の属する技術分野】
請求項に係る発明は、フェライト組織の結晶粒径が10μm程度以下という細粒鋼熱延鋼板を製造するのに適した5段圧延機(1スタンドあたり5本のロールによって圧延を行う圧延機。5重圧延機などともいわれる)、およびそれを含む圧延機列、ならびにそれらを使用する圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
細粒フェライトを主体とする微細組織を有するいわゆる細粒鋼熱延鋼板は、機械的性質にすぐれており、それを材料とする装置・設備を軽量化したり、それによって消費エネルギーを削減したり効果をもたらすことから、産業界の注目を集めている。
【0003】
細粒鋼熱延鋼板の製造について記載した文献には下記の特許文献1があり、また、5段圧延機についてたとえば特許文献2がある。
【特許文献1】特開2002−273501号公報
【特許文献2】特開昭62−38706号公報
【0004】
特許文献1には、等価ロール径(一対のロールについて直径の平均値)が500mm程度の小径のワークロール(または大小異径のワークロール)を含む圧延機を後段の複数スタンドに配置するとともに、複数の適切な箇所で圧延板(鋼板)を強冷却するよう設備した熱間圧延機(圧延機列)が記載されている。そのような小径(または異径)のワークロールを含む熱間圧延機によって圧延板に大圧下を加えながら、十分な冷却を行うことにより、圧延中の加工発熱にもかかわらず圧延板を適切な温度域に保ち、もって組織を微細化するとともにその粒成長を防止して、細粒鋼熱延鋼板を製造するのである。
【0005】
特許文献2には、上下ワークロールのうち一方のワークロールを小径にすること等により構成した図8のような5段圧延機において、きわめて高い圧下率が得られる旨が記載されている。なお、図8において符号Pは圧延板、71・73はワークロール、74は中間ロール、72・75はバックアップロール、そして符号76・77は、ワークロール71および中間ロール74のそれぞれを回転させるモータ付きの回転駆動手段である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した特許文献1にいう熱間圧延機として5段圧延機を使用することも当然ながら可能であるが、特許文献1には4段の圧延機が例示されていて、細粒鋼熱延鋼板を製造するためにどのような特徴をもつ5段圧延機がもっとも適切であるかという具体的な説明はなされていない。一方、特許文献2には、図2のような5段圧延機が高圧下に適していると記載されてはいるものの、どのような圧延機をどのように使用すれば細粒鋼熱延鋼板を製造することができるかについては、全く記載されていない。
【0007】
請求項に係る発明は、細粒鋼熱延鋼板を製造するうえで好ましい5段圧延機、およびそれを含む圧延機列ならびにそれらを使用する圧延方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した5段圧延機は、片側に小径のワークロールおよび小径の中間ロールを配置し、圧延板に対して圧下率40%以上の高圧下を行えるよう構成したことを特徴とする。5段圧延機であるから、上記した中間ロールの外側(ワークロールや圧延板から遠い側)にバックアップロール(支持ロール)を設けるとともに、それらと対をなす他の側に別のワークロールとバックアップロールとを配置し、圧下に寄与するロールの合計数を5本とする。
なお、この明細書においてロールに関する「小径」とは、直径500mm程度以下のものをさすこととする。したがって、この請求項の発明にあっては、ワークロールおよび中間ロールの直径が500mm程度以下である。ただし、ワークロールについては、中間ロールによって支持されるとはいえ圧延方向(圧延板の送られる方向)に圧延板から力を受けることから、強度上、ロール径(ワークロールの直径)を400mm程度以上とするのが好ましい。
【0009】
一対のうち少なくとも片側のワークロールについて直径が細いことから、特許文献2にも記載されているとおり、この5段圧延機では圧下率の高い圧延を円滑に行うことができる。特定の圧下率を実現するための圧延荷重はワークロールの径が小さいほど小さくなるから、径が小さいと、低い圧延荷重で高圧下率の圧延を行えるのである。圧延荷重が小さくなれば、ロールの偏平化のために高圧下率圧延ができないという現象がなくなるほか、圧延板のエッジ(幅方向の端部)付近に高荷重がかかって圧延ロールが扁平変形することによるエッジドロップ現象も軽減される。
【0010】
そうした特徴をもつこの5段圧延機は、圧下率40%以上の高圧下を行うのであるから、前記の特許文献1に例示された4段圧延機に代えて使用することにより、細粒鋼熱延鋼板の製造を可能にする。すなわち、後段に配置された例示の4段圧延機のうちいずれかをこの請求項の5段圧延機に置き換え、それにて圧下率40%以上の高圧下を行いながら、上記と同様に複数の適切な箇所で圧延板を強冷却すれば、圧延板を適切な温度域に保ちながら大圧下することができ、細粒鋼鋼板が製造される。
【0011】
この請求項の5段圧延機にはさらに、従来の圧延機列において一般的に配置されている4段の既設圧延機をわずかに改変することのみにより構成することもできる、という利点がある。これはつぎのように説明できる。
イ) 細粒鋼鋼板の製造を目的としない通常の圧下率(30%程度)を実現する4段圧延機は、一般に、直径が700〜1000mm程度のワークロールを一対使用するものである。
ロ) この請求項の5段圧延機は、上記のとおり小径のワークロールと小径の中間ロールとを片側に配置したもので、そのワークロールと中間ロールとの直径の合計が、一般の場合のワークロールの直径(上記イ)のとおり700〜1000mm程度)に比べてあまり大きくならない。
ハ) そのため、上記した一般的な圧延機において、圧延機ハウジング(いわゆるウィンドウをなす部分)をそのまま使用しながら、一方のワークロールを小径ワークロールおよび小径中間ロールに置き換えることのみによって、簡単かつ低コストにこの5段圧延機を構成することも可能なのである。
【0012】
請求項2に記載の5段圧延機は、とくに、上記した小径のワークロールおよびそれに接するロール(つまり、上記小径の中間ロールおよびそのバックアップロール、またはさらに後述のサポートロール)には回転駆動手段を接続せず、対をなす他の側のワークロールに回転駆動手段を接続したことを特徴とする。
【0013】
この請求項の5段圧延機では、ワークロールの(うち少なくとも)一方が小径であって等価ロール径が小径であることに加え、対をなす他の側のワークロールのみを回転駆動して圧延板に剪断力を作用させることから、低い圧延荷重で圧下率の高い圧延を実施するうえでとくに有利であり、たとえば圧下率50%の圧延も困難ではない。そのため、細粒鋼熱延鋼板を製造するための大圧下圧延等を比較的小さな圧延荷重で行うことができ、しかも、圧延荷重が小さいために、ロール偏平やエッジドロップによる不都合を回避しやすい。
【0014】
請求項3に記載の5段圧延機はさらに、上記した小径のワークロールを含む一対のワークロールにCVC機能をもたせたことを特徴とする。CVC機能とは、軸長方向に外径が連続的に変化したロール(CVCロール)が軸長方向に移動してロールギャップ形状の変更制御を行う機能をいう(図4を参照)。
【0015】
高圧下率をもたらす高負荷の圧延を行うと、ワークロールがたわんで圧延板の形状精度を低下させやすいことに加え、圧延板の加工発熱に基づいて当該ロールの熱負荷が高くなり、中ほどの部分で径が拡大するサーマルクラウンが発生しやすい。サーマルクラウンは、その程度によってはロールを冷却するだけでは解消しがたく、圧延板の形状が悪くなって安定通板が困難になることもある。そのほか、高圧下率の圧延を行うとロールの摩耗が激しくなり、それによっても圧延板の形状精度が低下しやすい。
しかし、この請求項の5段圧延機では、一対のワークロールにCVC機能をもたせているため、当該機能によりロールギャップ形状を適宜に変更してクラウン制御を実施することができる。したがって、上記のような事情があるにもかかわらず、圧延板の形状をつねに良好に保つことができる。なお、その一対のワークロールに対してベンディング機能(ロールに曲げモーメントを作用させてロールギャップ形状を変化させ得る機能)を付加すると、形状精度の制御性能がさらに向上する。
【0016】
請求項4に記載の5段圧延機は、とくに、上記した小径のワークロールまたは小径の中間ロールに対し、圧延方向下流側から押し当てるようにサポートロール(主として水平方向に支持するためのロール)を配置したことを特徴とする。
【0017】
このようにサポートロールを使用すると、圧延板から水平(圧延方向下流向き)に作用する力に抗するよう上記の小径ワークロールを補強することができる。たとえば、小径のワークロールに対し圧延方向下流側からサポートロールを押し当てると(図7(a)に例示したケース)、上記の水平の力に直接に抗するようにサポートロールがワークロールに作用する。小径の中間ロールを圧延方向下流側にオフセットさせてワークロールに接触させ、その中間ロールに対して圧延方向下流側からサポートロールを押し当てると(図1等に例示したケース)、中間ロールを介してワークロールに伝わるサポートロールの押付力(その水平分力)が、ワークロールにかかる水平の力を減少(相殺)させる。
そのため、この請求項の5段圧延機によればワークロールの径をとくに細くすることができ、結果として、低い圧延荷重による高圧下率の圧延を一層円滑に行うことが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の5段圧延機はとくに、上記した小径の中間ロールを圧延方向下流側にオフセットさせ、その中間ロールに対して圧延方向下流側からサポートロールを押し当て、かつ、そのサポートロールの位置を押し当て方向(つまり圧延方向に概ね沿う方向)に調整可能にしたことを特徴とする。図5は、この請求項の発明にしたがってサポートロールの位置調整を行う例である。
【0019】
こうした5段圧延機では、ワークロールに対してクラウン制御をなすことが可能である。サポートロールの位置を押し当て方向に調整することにより、バックアップロールとワークロールとの間にある中間ロールについて水平面内でのたわみ形状が変化し、それにともなってワークロールは、たとえば図5(c)・(e)に示すように(ワークロールの符号は13)鉛直面内でたわみ形状を変化させるからである。ワークロールについてクラウン制御を行うことができると、やはり圧延板の形状を良好に制御することができる。
【0020】
細粒鋼熱延鋼板を製造する場合、前記のようにワークロールの熱負荷が高いことから、当該ロールに対して冷却スプレーやその冷却水の除去(水切り)手段を付設するのが通常である。また、機械的負荷を考慮してワークロール表面に潤滑剤を供給するための手段を設置することも多い。したがって、ワークロールに対してではなく中間ロールに対してサポートロールを押し当てるというこの請求項の圧延機は、サポートロールの配置を容易にするとともに、ワークロールの全周面に対する円滑な冷却や水切り、潤滑剤供給等を妨げないという技術的メリットをも有するものといえる。
【0021】
請求項6に記載の5段圧延機は、とくに、上記した小径のワークロールおよび小径の中間ロールを、それらと対をなす他の側のワークロールと直径が同等な1本のワークロールに置き換えることにより、4段圧延機への変更を可能にしたことを特徴とする。図6に示す5段圧延機F4はそのような変更を可能にしたものの一例であり、図6(a)は5段圧延機の状態、同(b)は4段圧延機に変更した状態を示している。
【0022】
このような変更を可能にすると、小径のワークロールおよび小径の中間ロールを使用する5段圧延機の状態では圧下率40%以上の高圧下圧延を行い、それら2本のロールを上記1本のワークロールに置き換えて4段圧延機に変更した際には、圧下率40%以下の一般的な圧延を行うことが可能になる。
【0023】
低圧下率(40%以下)の一般的な圧延は5段圧延機の状態のまま行ってもよいが、その場合には、
・ 5段圧延機における小径のワークロールに対して圧延板の先端部が噛み込まれにくい場合がある。
・ 上下一対のワークロールについて外径が異なるため、周速を一致させることが難しく、したがって圧延板の先端部付近が上向きまたは下向きに曲がって送られる場合がある。これを防止するには一対のワークロールについて周速を一致させることが肝要だが、一対のうち片側のみを回転駆動する場合に周速を一致させるには、上下のワークロールを一旦キス(接触)させて非駆動のロールを適切な速度で回転させたのちキスを解く、という複雑な操作が必要である。また、両側のロールとも駆動する場合には、外径が相違する(かつ、外周面における摩耗の進行度合いも相違する)にもかかわらず、それらロール間で周速を一致させるという困難な制御が必要になる。
【0024】
4段圧延機に変更したうえで低圧下率の圧延を行うと、上記のような不都合がない。すなわち、5段圧延機の状態よりも等価ロール径が大きく、かつ直径が同等なワークロールを一対使用するので、圧延板の先端部が噛み込まれやすいうえに、それら一対のワークロールについて双方を同一周速で回転駆動することが容易なのである。
【0025】
請求項7に記載した圧延機列は、最終段を含む後段のスタンドに上述の5段圧延機を設け、最終段を含む後段の複数スタンドの圧延機の出側に、圧延板に対するカーテンウォール型冷却手段を配置したことを特徴とする。カーテンウォール型冷却手段とは、上方および下方から幕のように連ねて大量の冷却水を層流状に流し、それを圧延板の上下面に全幅にわたって当てる形式の冷却手段をいう。図2および図3に示す圧延機列Aは、この請求項の圧延機列に該当するものの一例である。
【0026】
細粒鋼熱延鋼板を製造するための条件は、前掲の特許文献1にも記載があるように、圧延板に大圧下を加えながら、そのような圧延中の加工発熱による温度変化を十分な冷却によって抑制することである。この請求項の圧延機列は、金属組織に対する影響の強い後段のスタンドに上述の5段圧延機を設けるとともに、後段の複数スタンドの圧延機の出側にカーテンウォール型冷却手段を配置したものである。上述の5段圧延機は圧下率の高い圧延を円滑に行えるものであり、またカーテンウォール型冷却手段は、圧延板に対する冷却能力が高く、圧延中および圧延後の圧延板を適切な温度域に保つのに十分なものである。そのため、この請求項の圧延機列によれば、確実かつ円滑に鋼板組織の微細化、つまり細粒鋼熱延鋼板の製造を実現することができる。
【0027】
請求項8に記載した圧延方法は、請求項6に記載の5段圧延機を用いる圧延方法であって、下記▲1▼および▲2▼を行うことを特徴とする。
▲1▼ 小径のワークロールおよび小径の中間ロールを使用する際は、それらと対をなす他の側のワークロールのみを回転駆動して圧下率40%以上の高圧下を行い、
▲2▼ 小径のワークロールおよび小径の中間ロールを上記1本のワークロールに置き換えて4段圧延機に変更した際は、対をなす両側のワークロールを駆動して圧下率40%以下の圧下を行う。
【0028】
この圧延方法によれば、請求項6の圧延機にそれがもつ上述の機能を実際に発揮させ、もって細粒鋼熱延鋼板(上記▲1▼の場合)と細粒鋼でない一般の金属板(上記▲2▼の場合)とを適宜に選択して製造することが可能である。上記▲2▼によって一般の金属板を製造する場合には、▲1▼の場合よりも大径で直径が同等なワークロールを一対使用するので、a)圧延板の先端部を噛み込ませやすい、b)一対のワークロールを同一周速に回転駆動して、圧延板の先端部付近が上向きまたは下向きに曲がって送られる不都合を容易に防止できる−といった利点もある。
【0029】
請求項9に記載の圧延方法は、請求項7に記載の圧延機列を用いる圧延方法であって、累積歪みが0.6以上になるよう圧延するとともに、最終段を含む後段の複数スタンドの圧延機の出側において圧延板にカーテンウォール型冷却手段を使用することを特徴とする。なお、「歪み」とは、各段のスタンドの入り側での圧延板の厚さh0と出側での厚さh1の差を両者の平均厚さで除した
ε=(h0−h1)/{(h0+h1)/2}
をいう。また「累積歪み」とは、上記スタンドのうち後段3スタンド(2スタンドの場合もあり得る)の各段(それらより上流側のスタンドは影響力が小さいので無視する)での歪みを、金属組織に対する影響の強さを考慮して加重積算したもので、最終段とその前段・前々段での歪みをそれぞれεn、εn−1、εn−2とするとき、
εc=εn+εn−1/2+εn−2/4
で表されるεcをいうものとする。圧延板の温度としては、たとえば、最終段スタンドの直後部で計測される板表面温度(圧延終了温度)が、Ar3変態点をはさんで±50℃の範囲になるよう保持するとよい。
【0030】
この圧延方法によれば、請求項7の圧延機列がもつ機能を利用して、細粒鋼熱延鋼板を円滑に製造することができる。累積歪みが0.6以上という高圧下率の圧延を行いながら、後段の複数スタンドの出側においてカーテンウォール型冷却手段により圧延板を強く冷却するため、圧延中の発生熱を奪って適切な温度維持をはかるとともに圧延直後の圧延板を強く冷却して、フェライト組織の結晶粒径をたとえば10μm程度以下にすることができる。なお、上記において累積歪みをさらに高くして0.9以上にする場合には、上記結晶粒径は4μm程度以下にまで微細にできる。
【0031】
【発明の実施の形態】
発明の実施についての一形態を図1〜図6に示す。図1は圧延機F4を示す側面図で、図2はその圧延機F4を含む圧延機列Aの側面図、また図3は、圧延機列Aのうち最終段の圧延機F6の付近を示す側面図である。図4は、圧延機F4等におけるCVC機能を説明するための図、図5は、圧延機F4等におけるサポートロール16によるクラウン制御機能を示す図、そして図6は、圧延機F4等を5段圧延機の状態(図6(a))と4段圧延機の状態(同(b))との間で変更することを示す図である。
【0032】
図1の圧延機F4は、図2の圧延機列A中に含める鋼板Pの熱間圧延用のもので、圧下に関与する圧延ロールを合計5本配置した5段圧延機である。圧延板すなわち鋼板Pのパスラインに対し、下方位置にワークロール11とバックアップロール12とを設け、パスラインの上方にワークロール13・中間ロール14・バックアップロール15をこの順に配置する。それら5本のロールを圧延機ハウジング10におけるウィンドウ10a内に配置し、ハウジング10の上部または下部に設けた圧下手段(油圧シリンダなど。図示せず)により上下方向に圧下力を加え、もって、ワークロール11・13間に通す鋼板Pを圧延する。具体的には、バックアップロール12・15のうち一方のものの両端(軸受箱)をハウジング10内で一定高さに固定し、他方のものの両端(軸受箱)を圧下手段に接続して上下への変位を可能にする。ワークロール11とバックアップロール12との間、およびワークロール13と中間ロール14とバックアップロール15との各間において胴部の外周面を接触させることにより、バックアップロール12・15に作用させる圧下手段の圧下力がワークロール11・13間に伝わるようにする。
【0033】
圧延機F4におけるバックアップロール12・15の直径はともに1600mmであるが、ワークロール11・13および中間ロール14の胴部の直径は、それぞれ、800mm・500mm・350mmに設定する。そして、これら5本のロールのうち中間ロール14は、その軸心の位置を圧延方向(図1中の白抜き矢印の向き)の下流側にオフセットさせ、その胴部の外周面に当該下流側からサポートロールを押し当てる。中間ロール14のオフセット量(他のロールの軸心から中間ロール14の軸心までの水平距離)は約30mmとし、サポートロール16は、胴長を鋼板Pの幅よりも短く(ワークロール13や中間ロール14の長さの半分以下に)したうえ、油圧シリンダ等を含む移動手段(図示せず)によりその位置を押し当て方向(概ね圧延方向)に調整できるようにする。なお、中間ロール14のオフセット量については、上記した30mmに限らず、10〜50mm程度の範囲で定める(すなわち、ワークロール11上においてサポートロール16との接点が軸心の真上から1°〜10°程度だけ下流寄りの角度位置にあるようにする)とよい。
【0034】
下側のワークロール11にはモータ等の回転駆動手段(図示せず)を連結するが、上側のワークロール13およびそれに接するロール14・15・16には回転駆動手段を連結しない。上記のようにワークロール13が直径500mmと小径で、両ワークロール11・13の等価ロール径も650mmと小さいこと、また、一方のワークロール11のみを回転駆動するために鋼板Pにせん断力を作用させ得ることから、圧延機F4においては、比較的小さな圧下力によって圧下率の高い(たとえば圧下率50%の)圧延を行うことができる。圧延荷重が小さいため、ロール偏平やエッジドロップによる不都合も発生しない。
【0035】
図2の圧延機列Aは、上記の圧延機F4を含む6スタンド型の熱間仕上圧延設備であって、下記a)〜f)のように構成する。すなわち、
a) 最前段を含む前半の3スタンドには、4段圧延機F1〜F3をタンデムに配置する。これらの4段圧延機は、直径が700mm程度のワークロール1・3と、直径が1300mm程度のバックアップロール2・4とを図示のように縦に配置したものである。
【0036】
b) 最終段を含む後半のスタンドには、図1に紹介した圧延機F4を第4スタンドとするほか、その後方に続けて、圧延機F4と同じロール組をもつ圧延機F5・F6をこの順にタンデムに配置する。これらのいずれの圧延機F4〜F6においても、ワークロール13が小径であること等から、圧下力を特別には高くすることなく高圧下率の圧延を行うことができる。前半の圧延機F1〜F3を含む全6スタンドのスタンド間隔は、等しく5.5m程度とする。
【0037】
c) 後半に配置した3スタンドの圧延機F4〜F6各出側には、カーテンウォール型の冷却手段41・42・43を配置する。図3に示すように、同冷却手段42は、上下のヘッダー42a・42bより鋼板Pの全幅表面に向けて大量の常温冷却水を層流状態で幕状(カーテンウォール状。厚さは10mm以上であり最適厚さが16mm)に流し当てることにより、鋼板Pを強く冷却する。冷却水量は、鋼板Pの単位幅(1m)あたり100〜500m3/hの範囲内で調整を可能とし、冷却による鋼板Pの温度降下を20℃/sec以上とする。通常は(下記実施例の場合を含む)単位幅あたりに350m3/hの冷却水を使用し、その場合の鋼板Pの温度降下が、板厚x速度の積が1200mm・mpmであるとき60〜80℃/sec(加工発熱による温度上昇を含めて40℃/sec前後)になるようにする。図2に示した他の冷却手段41・43についても、以上の構成および機能は同じである。このような冷却手段41・42・43を使用することにより、圧延機F4〜F6において加工発熱の激しい高圧下圧延を行っても、それによる鋼板Pの温度上昇を抑制して、その金属組織の微細化と粒成長防止とを実現することができる。なお、図2の圧延機列Aの下流側に設けるランアウトテーブル(図示せず)においても、粒成長を防止すべく冷却水にて10℃/sec以上の速度で鋼板Pを冷却する。
【0038】
d) 圧延機列Aのうち最終段スタンドである圧延機F6の出側には、カーテンウォール型冷却手段43から数百mm〜1mほど離して、水噴射スプレー46を配置する。冷却手段43によって鋼板Pの上面に載った冷却水を除去するためのものである。図3のように、このスプレー46は、上方から鋼板Pに向けて斜め前方へ、鋼板Pの上面との角度が50〜80゜になるように、10kg/cm2前後の加圧水を1個あたり毎分300リットル吹き出すノズル46aを複数個備えている(鋼板Pの長さ方向に間隔をおき、かつその幅方向にも間隔をおいて配置する)。各ノズル46aは、鋼板Pの幅方向に広がるように水を吹き出すもので、鋼板Pの幅方向への広がり角は15〜30゜、長さ方向への広がり角は1〜10゜がよい。このような水噴射スプレー46を使用すれば、冷却手段43等の作用で鋼板P上に載った冷却水を円滑に除去できるので、その下流側にある各種の計測器によって、圧延後の鋼板Pに関する種々の計測を適切に行うことが可能になる。
【0039】
e) 圧延機列Aにおける全圧延機F1〜F6の各ワークロールに対しては、潤滑剤の供給手段を配置する。同手段は、たとえば図3中の符号23・26のようにワークロール11・13(または図2のワークロール1・3)の表面に向いた噴射口と、そこへの潤滑剤の送りポンプ等とからなる。潤滑剤としては、リン酸カルシウムや雲母、炭酸カルシウム等といった微粒の固体潤滑剤をグリース中に含めたものを使用する。それら固体微粒子の配合により、潤滑剤使用時の各ワークロールと鋼板Pとの間は、摩擦係数μが約0.28と高めになりながらもロール表面の摩耗が抑制され、鋼板Pの形状が長く良好に保たれやすい。鉱物油にではなくグリース中に固体微粒子を含めているので、固体微粒子がロール表面上につねに均一に分散されるよう供給されるというメリットもある。
【0040】
f) 全圧延機F1〜F6の各ワークロールに対しては、さらに、図3に示すようにロール冷却用水の噴射ノズル(たとえば符号21・24)やそれによる冷却水を取り除く水切り板(たとえば符号22・25)を配置する。
【0041】
以上に説明した図2・図3の圧延機列Aにおいては、加熱された鋼板Pを、累積歪みが0.6以上となる程度の高圧下圧延を施しながら十分な冷却によってその温度を適切な範囲に保ち、もって、フェライト粒径が10μm以下という細粒鋼熱延鋼板を製造することが可能である。その際、圧下率の高い圧延をするにもかかわらず、鋼板Pの形状を良好に制御することが可能である。このように形状を良好にすることができる理由は、つぎのように説明できる。
【0042】
第一には、後半に設けた圧延機F4〜F6をいわゆるCVCミルとし、図4に示すCVC機能をそれぞれにもたせたからである。すなわち、各圧延機F4〜F6のワークロール11・13に、図4(a)に示すようなクラウン(CVC、すなわち直径の連続的変化)をもたせ、図4(b)・(c)のように上下のワークロール11・13を互いに反対の軸長方向へ同時に移動(シフト)させ得るようにする。そのようにシフトさせることにより、ワークロール11・13間の位置関係、すなわちロールギャップを図のように調整することができる。各ワークロール11・13の最大シフト量は±100mm程度とする。
【0043】
なお、前半に配置した圧延機F1〜F3をこのようなCVCミルにするのも好ましい。後段の圧延機F4〜F6では加工発熱に起因したサーマルクラウン等が発生しやすいことを考慮し、前段の圧延機F1〜F3によってあらかじめ板クラウンを修正し、鋼板Pの中絞り等を軽減するのである。
【0044】
圧延機列Aにおいて鋼板Pの形状が良好に制御される第二の理由は、図5に示すように、圧延機F4等において、中間ロール14とサポートロール16とによるクラウン制御をも行えるからである。圧延機F4(および圧延機F5・F6)では、上記(図3)のようにワークロール11・13に対して潤滑剤供給のための噴射口23・26やロール冷却用水の噴射ノズル21・24および水切り板22・25等を付設するため、干渉物の少ない中間ロール14を下流寄りにオフセットさせたうえそれにサポートロール16を押し当てている。このサポートロール16は、胴長が短いうえ、移動手段(図示せず)によって前記のように押し当て方向に位置調整可能である。サポートロール16等によるクラウン制御は、つぎのように実施できる。
【0045】
図5(a)に示すサポートロール16は、圧延中、たとえば図5(b)のようにこれを上流側に移動して中間ロール14の中央付近をワークロール13の真上に近づけると、ワークロール13は、その中間ロール14に中ほどを押されて図5(c)のとおり下向きに凸となるように曲がる。逆に、図5(d)のようにサポートロール16を下流側に移動して中間ロール14の中央付近をワークロール13の真上から遠ざけると、ワークロール13は、圧延荷重によって図5(e)のとおり上向きに凸となるように曲がる。こうしてワークロール11・13間のロールギャップを調整すれば、前述したCVC機能とともに、広い範囲で良好に鋼板Pのクラウン制御を行えることになる。
【0046】
圧延機列A中の圧延機F4〜F6は、前述のとおり小径のワークロール13を含む5段圧延機であるが、各圧延機F4〜F6は、図6(b)に示す4段圧延機に切り換えて使用することができる。すなわち、図6(a)のように5段圧延機として使用するワークロール13と中間ロール14とを、それらより大径であってワークロール11と同径のワークロール33に差し替えるのである。圧延機F4〜F6における圧延ロール11〜15は、胴部表面の研磨を繰り返す必要上、圧延機一般における通常の機能として交換容易に配置されている。しかも、ワークロール13と中間ロール14との胴部直径の和は850mmであって、差し替えるワークロール33の胴部直径(800mm)との差が小さい。したがって、圧延機F4〜F6では、ハウジング10およびそのウィンドウ10aに全く変更を加えず、かつ同じ圧下手段を用い、その圧下手段において適宜にライナーを付加したり初期圧下量をやや変更したりすることのみにより、5段圧延機状態(図6(a))と4段圧延機状態(同(b))との間での正逆の切り換えを行うことができる。下方のロール11・12は直径を変更せずに使用するので、当然ながらパスライン高さの変更もない。
【0047】
圧延機F4〜F6は、5段圧延機の状態では前記のように高圧下率の圧延をして細粒鋼鋼板の製造を可能にするが、図6(b)のように4段圧延機に切り換えた場合、そのような製造には適さない。ワークロール11・33の直径がともに太いことから、圧下率を高くすることが難しくなるからである。そのため、4段圧延機の状態にした場合には、各圧延機F4〜F6において圧下率が30%程度の通常の圧延を行い、圧延機列Aとしても細粒鋼鋼板の製造は行わない。そしてそのような場合、上下のワークロール11・33は、いずれにも回転駆動手段(図示せず)を連結して等速度で回転させる。そうすれば、鋼板Pの先端部を噛み込みやすくなるうえ、ワークロール間の周速差に起因して鋼板Pが上向きまたは下向きに曲がって送られるという不都合も生じにくい。なお、圧延機F4〜F6を4段圧延機の状態にした場合には、高圧下にともなう加工発熱が少ないため、鋼板Pの冷却は、最終段スタンドとしての圧延機F6の出側のみにおいて図2の冷却手段43にて行えば足りるケースが多い。
【0048】
図1〜図6の例ではサポートロール16を中間ロール14に押し当てることとしたが、サポートロールをワークロールに押し当てることとして5段圧延機を構成するのもよい。図7(a)の圧延機f4はその一例であり、鋼板Pのパスラインの下方にワークロール51(胴部の直径が700mm)とバックアップロール52(同1300mm)とを設け、パスラインの上方にワークロール53(同400mm)・中間ロール54(同500mm)・バックアップロール55(同1300mm)を配置し、ワークロール53の胴部外周面に、下流側やや上方からサポートロール56(直径350mm)を押し当てる。このサポートロール56により、5本のうちで最も細くしたワークロール53を補強して圧延方向下流側にたわむことを防止するのである。
【0049】
図7(a)の圧延機f4についても、小径のワークロール53と中間ロール54とを同(b)のように1本のワークロール63に置き換えて、4段圧延機状態に切り換えることが容易である。下方のワークロール51と直径(700mm)の等しいワークロール63を上方に使用すれば、小径のワークロール53と中間ロール14とを使用する場合に比べて直径合計値に大きな差が生じない(図中の寸法h、すなわち上側バックアップロール55の高さの差が200mmを超えない)ため、前記の例(図6)と同様にハウジングと圧下手段とをそのまま使用できるからである。図7(b)の場合、ワークロール51・63の直径を700mm程度の同一径にしたうえ双方を回転駆動させる場合には、鋼板Pの先端部を噛み込みやすくなり、鋼板Pが上向きまたは下向きに曲がって送られる不都合が防止されるというメリットももたらされる。
【0050】
【発明の効果】
請求項1に記載した5段圧延機によれば、ロールの偏平化やエッジドロップ現象を軽減しながら、圧下率が40%以上という高圧下圧延を円滑に行うことができる。そのため、この圧延機が圧延機列内に適切に配置されたうえ圧延板に対する適切な冷却が施されるなら、フェライト粒径が10μm程度以下という細粒鋼熱延鋼板の製造が可能になる。また、この5段圧延機は、一般的な圧延機列に配置されている4段の既設圧延機をわずかに改変することにより簡単かつ低コストに構成することも可能である。
請求項2に記載の5段圧延機なら、低い圧延荷重で高圧下率の圧延を行ううえでとくに有利であり、細粒鋼熱延鋼板を製造することも一層円滑に行える。
【0051】
請求項3に記載の5段圧延機ではさらに、高負荷圧延を行う際にはワークロールがたわんだりサーマルクラウンを発生したりしやすいという事情があるにもかかわらず、好ましい形状制御が行えて、形状精度の高い細粒鋼熱延鋼板等を得ることができる。
【0052】
請求項4に記載の5段圧延機では、水平に作用する力に抗するよう、小径のワークロールを適切に補強することができる。そのため、ワークロールの径を一層に細くすることができ、低い圧延荷重による高圧下率の圧延を一層円滑に行うことが可能になる。
請求項5の5段圧延機では、サポートロールを位置調整してワークロールのクラウン制御を実施することにより、圧延板の形状を良好に制御することが可能である。ワークロールに対する円滑な冷却や水切り、潤滑剤供給等を妨げないという利点もある。
【0053】
請求項6に記載の5段圧延機なら、ロールの交換をすることにより圧延機の形式を変更して、高圧下率の圧延とそうでない一般的な圧延とをともに円滑に行うことができる。一般的な圧延を行う場合、圧延板の先端部をワークロール間に噛み込ませやすく、また、圧延板の先端部付近が上向きまたは下向きに曲がって送られることを回避しやすい。
【0054】
請求項7に記載した圧延機列によれば、確実かつ円滑に細粒鋼熱延鋼板を製造することができる。
請求項8に記載した圧延方法によれば、請求項6の圧延機にそれがもつ機能を実際に発揮させて、細粒鋼熱延鋼板と細粒鋼でない一般の金属板とを適宜に選択して製造することが可能になる。
請求項9に記載の圧延方法によれば、請求項7の圧延機列がもつ機能を利用して、細粒鋼熱延鋼板を円滑に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施についての一形態である圧延機F4を示す側面図である。
【図2】図1の圧延機F4を含む圧延機列Aの全体を模式的に示す側面図である。
【図3】図2の圧延機列Aのうち最終段の圧延機F6の付近を示す側面図である。
【図4】図4(a)・(b)・(c)は、圧延機F4等におけるCVC機能を説明するための模式図である。
【図5】圧延機F4等におけるサポートロール16を用いるクラウン制御機能を示す模式図で、図5(a)はロール配置を示す側面図である。同(b)は、サポートロール16を圧延方向上流側に移動したときのワークロール13と中間ロール14・サポートロール16を上から見た図、同(c)は、同(b)の状態にあるワークロール11・13と鋼板Pとを圧延方向下流側から見た図である。また、同(d)は、サポートロール16を圧延方向下流側に移動したときのワークロール13等を上から見た図、同(e)は、同(d)の状態にあるワークロール13等を圧延方向下流側から見た図である。
【図6】圧延機F4(またはF5もしくはF6)を5段圧延機の状態(図6(a))と4段圧延機の状態(同(b))との間で変更することを示す模式図である。
【図7】発明の実施に関する他の形態の圧延機f4についてロール配置を示す図で、図7(a)は5段圧延機にした状態を示し、同(b)は4段圧延機にした状態を示す。
【図8】従来の5段圧延機におけるロール配置を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
A 圧延機列
F4・F5・F6 圧延機
P 鋼板(圧延板)
10 ハウジング
11・13 ワークロール
12・15 バックアップロール
14 中間ロール
16 サポートロール
41・42・43 カーテンウォール型冷却手段
f4 圧延機
51・53 ワークロール
52・55 バックアップロール
54 中間ロール
56 サポートロール
Claims (9)
- 片側に小径のワークロールと小径の中間ロールとを配置し、圧延板に対して圧下率40%以上の高圧下を行えるよう構成したことを特徴とする5段圧延機。
- 上記した小径のワークロールおよびそれに接するロールには回転駆動手段を接続せず、対をなす他の側のワークロールに回転駆動手段を接続したことを特徴とする請求項1に記載の5段圧延機。
- 上記した小径のワークロールを含む一対のワークロールにCVC機能をもたせたことを特徴とする請求項1または2に記載の5段圧延機。
- 上記した小径のワークロールまたは小径の中間ロールに対し圧延方向下流側から押し当てるようにサポートロールを配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の5段圧延機。
- 上記した小径の中間ロールを圧延方向下流側にオフセットさせ、その中間ロールに対して圧延方向下流側からサポートロールを押し当て、かつ、そのサポートロールの位置を押し当て方向に調整可能にしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の5段圧延機。
- 上記した小径のワークロールおよび小径の中間ロールを、それらと対をなす他の側のワークロールと直径が同等な1本のワークロールに置き換えることにより、4段圧延機への変更を可能にしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の5段圧延機。
- 最終段を含む後段のスタンドに請求項1〜6のいずれかに記載の5段圧延機を設け、最終段を含む後段の複数スタンドの圧延機の出側に、圧延板に対するカーテンウォール型冷却手段を設けたことを特徴とする圧延機列。
- 請求項6に記載の5段圧延機を用いる圧延方法であって、
小径のワークロールおよび小径の中間ロールを使用する際は、それらと対をなす他の側のワークロールのみを回転駆動して圧下率40%以上の高圧下を行い、小径のワークロールおよび小径の中間ロールを上記1本のワークロールに置き換えて4段圧延機に変更した際は、対をなす両側のワークロールを駆動して圧下率40%以下の圧下を行う
ことを特徴とする圧延方法。 - 請求項7に記載の圧延機列を用いる圧延方法であって、
累積歪みが0.6以上になるよう圧延するとともに、最終段を含む後段の複数スタンドの圧延機の出側において圧延板にカーテンウォール型冷却手段を使用することを特徴とする圧延方法。
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