JP2004305902A - 濾過機 - Google Patents
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Abstract
【課題】合流式下水道の合流下水管の内壁には前記油分が付着しており、合流下水が流れると前記付着した油分の一部が剥離して油塊となって、合流下水とともに流下し、合流式下水道の越流水を濾過する濾過機のフィルタに固着するという問題点が有った。
【解決手段】環状フィルタ9が回転自在に設けられている濾過機1において、フィルタが金属膜、セラミック膜及び/又は耐熱性樹脂膜を有するものとし、且つ洗浄装置7のノズル7Cから噴射される流体7Dが水蒸気及び/又は熱水であることを特徴とする濾過機1とする。洗浄装置7は移動可能に設置され前記フィルタ全面に高温流体を噴射することができることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】環状フィルタ9が回転自在に設けられている濾過機1において、フィルタが金属膜、セラミック膜及び/又は耐熱性樹脂膜を有するものとし、且つ洗浄装置7のノズル7Cから噴射される流体7Dが水蒸気及び/又は熱水であることを特徴とする濾過機1とする。洗浄装置7は移動可能に設置され前記フィルタ全面に高温流体を噴射することができることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固液分離のための濾過機及び濾過装置に関するものであり、特には合流式下水道の越流水の固液分離のための濾過機及び濾過装置に関するものである。
【0002】
下水道の方式は分流式と合流式とに大別される。分流式下水道は雨水と汚水が別々の管を流れるものであり、雨水は雨水管を通って河川、湖沼、海等の下流水域へ放流され、汚水は汚水管を通って下水処理場へ流入し、処理された後に下流水域へ放流される。
【0003】
合流式下水道は雨水と汚水が同一の管を流れるものであり、図11はその1例を示すフロー図であり、以下図11を参照して合流式下水道の1例を説明する。雨水枡101からの雨水と汚水源102からの汚水は合流下水管103に流入して合流汚水111となり越流堰104Aを具備する雨水吐き室104へ流入する。晴天時には合流汚水111は越流堰104Aを越えず、処理場流入管105を通って下水処理場106へ流入し、処理後、処理水放流管107を通って下流水域へ放流される。処理場流入管105へ流入させ得る水量の上限が越流堰104Aの高さにより設定されていて、大雨等で水量が増大して前記上限を上回ると、上回った分は越流堰104Aを越えて越流水となり下水処理場を経ることなく放流管110を通って直接下流水域へ放流される。このように汚水を含む越流水が処理されないまま下流水域へ放流されると汚染の原因となるので、最近では放流管110の途中に濾過機(図示せず)を設け、この濾過機に越流水を流入させて侠雑物を除去後、放流することが多い。
【0004】
前記濾過機には種々のものがあり、例えば特許文献1には、ドラムの一端から固体分を含む液体が供給される濾過機が示されているので、図面を参照しながら前記濾過機について説明する。図12は濾過機及び槽の斜視図であり、濾過機が見えるようにするため槽を破断して図示している。図13は濾過機の側断面図であり、後述する図14のF−F断面図である。図14は図13のE−E断面図である。
【0005】
ドラム902、環状フィルタ909、樋903及び洗浄装置907を有する濾過機901が槽980に設置される。ドラム902及び環状フィルタ909は水平軸線Aの周りに回転自在に設けられ、樋903及び洗浄装置907は固定して設けられる。環状フィルタ909のフィルタ室911(図13)は、外周部は保持フレーム931(図14)で、両側面部はマイクロフィルタ布921を有するフィルタセグメント920(図14)で、内周部はドラム902で囲われていて、前記内周部のドラム902の開口904を通してドラム902と連通している。
【0006】
回転しない状態で、ドラム902に流入した固体分を含む液体905が開口904を通ってフィルタ室911に入り、フィルタセグメント920のマイクロフィルタ布921により濾過されて、液体分はマイクロフィルタ布921を通過して槽980内に貯留された後槽980外に流出し、固体分はマイクロフィルタ布921の下方部に捕捉されてフィルタ室911内に留まる。このように液体905が、ドラム902からフィルタ室911を介してマイクロフィルタ布921を通過する経路が液体導管906を形成する。
【0007】
環状フィルタ909の下方部のマイクロフィルタ布921に捕捉された固体分の量が増大してマイクロフィルタ布921が目詰まり状態になると、ドラム902及びこれに固着された環状フィルタ909が回転し、マイクロフィルタ布921に捕捉された固体分が前記回転により下方部から上方部に移動し、上方部に設置された洗浄装置907から噴射された水により剥離され目詰まり状態が解消される。前記水と剥離された固体分は樋903に受けられて排出される。以下本明細書においては、このようにフィルタに捕捉された固体分に流体(例えば水)を噴射して剥離し目詰まり状態を解消することを「洗浄」と記述する。この濾過機901は濾過面積を大きくすることができ、洗浄も洗浄装置907から噴射された水により容易に行えるという利点を有する。
【0008】
【特許文献1】
国際公開WO99/30797号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで下水道を流れる汚水に油分が多く含有されていると、下水管の内壁に油分が付着する。特に合流式下水道では雨天時に大量の雨水が下水道に流入すると、付着していた油分が剥離して油塊となって越流水とともに流下して下流水域を汚染する。下水処理場で処理されない越流水中の前記油塊が濾過機901に流入しマイクロフィルタ布921に捕捉される。合流式下水道で越流水が生じるのは大雨等で水量が増大した時であり、このような時は前述のように油塊が合流下水とともに流下する現象が顕著になり、濾過機901に流入しマイクロフィルタ布921に捕捉される油塊も多くなる。前記油塊はマイクロフィルタ布921に強く捕捉され、さらにマイクロフィルタ布921に捕捉された油塊以外の固体分も油塊の油分が付着するとより強く捕捉され、洗浄装置907から噴射された水では洗浄が十分行われなくなるという問題点が有った。
【0010】
下水道以外でも、油分を多く含有する排水が濾過機901に流入すると、マイクロフィルタ布921に捕捉された固体分に付着した油分が固まることにより、前記固体分がマイクロフィルタ布921に強く捕捉され、洗浄装置907から噴射された水では洗浄が十分行われなくなるという問題点が有った。
【0011】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは油分を含有する液体の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することであり、特には油塊を含有する合流式下水道の越流水の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは種々研究の結果、次のような濾過機及び濾過装置とすることにより前記問題点を解決し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、回転自在に設けられたフィルタで液体を濾過する濾過機において、高温流体を前記フィルタに噴射する洗浄装置を設けるとともに、前記フィルタの材料を耐熱性を有するものとしたことを特徴とする濾過機である。
【0013】
本発明において前記洗浄装置は移動可能に設置され前記フィルタ全面に高温流体を噴射することができることが好ましい。
【0014】
本発明において高温流体は水蒸気、熱水または油分を分解する効果を有する酸性水溶液またはアルカリ性水溶液の蒸気又は熱水のような高温流体としても良く、あるいはそれらを併用しても良い。
【0015】
前記フィルタは前記高温流体と接触しても劣化や腐蝕等の変化の生じることの無い材質で形成されていることが望ましく、例えば金属フィルタ、セラミックフィルタ、耐熱性樹脂フィルタ等を好適に使用できる。
【0016】
本発明の濾過機は、合流式下水道の越流水の濾過に特に好適に使用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態の濾過装置100の斜視図であり、液体5の流入方向は図の紙面右から左であり、濾過機1が見えるようにするため槽80を破断して示し、ドラム2の開放端(後述)の上半分、最も開放端側のフィルタセグメント20の上半分、その内部のスポーク43ならびに最も開放端側の枝管7Bの下部及びそれに取り付けられるノズル7Cは図示を省略して環状フィルタ9の内部が見えるようにするとともに、開放端支持部62、閉鎖端支持部73及び駆動部78は図示を省略している。図2は液体5の流入側から見た濾過装置100の正面図である。図3は図2のA−A断面図であり、閉鎖端支持部73及び駆動部78は断面にせず、濾過機1は樋3部分だけを断面で示す。図4は特にドラム2、保持フレーム31、スポーク43、空間9aを示す正面図である。図5は図4のB−B断面図である。図6はフィルタセグメント20を示す正面図である。図7は図4(詳しくは、図4のものを20度回転させた状態)のスポーク43にフィルタセグメント20が取り付けられた状態ならびに樋3及びノズル7Cを示す正面図であり、環2D及び堰板2Bの図示を省略した図である。図8は図7のC−C断面図である。図9は図7のD−D断面図である。図10は本発明の濾過装置を用いた合流式下水道の1例を示すフロー図であり、同一部は図11と同じ参照符号を付す。
【0018】
濾過装置100は濾過機1及びコンクリート製の槽80を有する。濾過機1はドラム2、樋3、洗浄装置7、環状フィルタ9、開放端支持部62、閉鎖端支持部73、駆動部78及びそれらが取り付けられる躯体を有する。なお本実施形態では前記躯体を槽80で代用するので躯体は不要である。
【0019】
液体5が流入するドラム2は筒2A、堰板2B、環2D及びドラム用軸2E(図3)を有する。以下、本明細書では液体5が流入する側のドラム2の端部を「開放端」と記述し、液体5が流入する側と反対側のドラム2の端部を「閉鎖端」と記述し、筒2Aの長手方向を「軸方向」と記述する。筒2Aは円筒形で閉鎖端は袋状に閉塞され、開放端は中心部に流入穴2Baを有する堰板2Bで一部閉塞されている。筒2Aの開放端には環2Dが同軸に外設され、閉鎖端にはドラム用軸2Eが同軸に突設される。筒2Aの後述するフィルタ室11の位置には開口2cを設ける。
【0020】
環状フィルタ9は、フィルタセグメント20、保持フレーム31、スポーク43及びボルト35を有する。図4に示されるスポーク43は図7ではフィルタセグメント20に隠されて見えない。板状のスポーク43はネジ穴43a(図4)を有し、長手方向の一端がドラム2の外周に2枚1組で軸方向にL1寸法(図5、8)の間隔を置いて配設される。スポーク43の長手方向の他端には円環状の保持フレーム31が取り付けられる。このようにドラム2、保持フレーム31及びスポーク43で囲われた略扇形の空間9a(図4)が形成される。本実施形態では空間9aの数は(円周方向に40度ピッチで)9箇所とした。そして前記9箇所の空間9aを含む環状フィルタ9がドラム2の軸方向に間隔を空けて複数取り付けられる。
【0021】
フィルタセグメント20はフィルタ21及びフィルタフレーム22を有する。フィルタ21の平面形状は空間9aよりもやや狭い略扇形(図6の破線で示す)であり、フィルタセグメント20が形成されたとき後述するボルト通し穴22aと重ならない形状とする。フィルタフレーム22の平面形状はフィルタ21の外枠となるような窓形であり、内外周が空間9aに緩挿可能な寸法にする。フィルタフレーム22はネジ穴43aの位置に対応したボルト通し穴22aを有する。フィルタ21がフィルタフレーム22に溶接、ろう付けあるいは接着等の固着手段により固着されてフィルタセグメント20が形成される。フィルタセグメント20が前記2枚1組のスポーク43に軸方向の両側から取り付けられ、ボルト通し穴22aを通したボルト35がネジ穴43aにねじ込まれ、フィルタセグメント20がスポーク43に締結される。
【0022】
空間9aの軸方向両側面部がフィルタ21有するフィルタセグメント20で囲われてフィルタ室11が形成される。本実施形態では回転方向に隣接する9箇所のフィルタ室11間には、仕切りが無くつながったものとする。環状フィルタ9のフィルタ室11は、外周部は保持フレーム31で、両側面部はフィルタ21を有するフィルタセグメント20で、内周部はドラム2で囲われていて、前記内周部のドラム2の筒2Aの開口2cを通してドラム2と連通している。開口2cの軸方向寸法L2(図9)はフィルタ室11の軸方向寸法L1に対してL2≦L1となるようにし、ドラム2の強度を損なわない範囲でできるだけ大きくすることが好ましい。開口2cの周方向寸法L3(図7)はドラム2の強度を損なわない範囲でできるだけ大きくすることが好ましい。L2あるいはL3が小さいと、後述する洗浄により剥離落下する固形物の開口2cの通過に支障を来たす。
【0023】
樋3は、長手方向において開放端側が低くなるように傾斜してドラム2内上部に設けられ、開放端側はドラム2外に位置する。樋3の閉鎖端側端部には堰板3Aが具備され、後述する洗浄排液5Bの溢出を防止する。樋3は槽80に固定して取り付けられるが、樋3位置及び前記傾斜角度を調整可能にしておくと、液体5の性状が変化した場合の対応が容易であるし、試運転時の調整にも便利であり好ましい。
【0024】
洗浄装置7は元管7A、枝管7B及びノズル7Cを有する。元管7Aは環状フィルタ9の上側に略水平に配設される。枝管7Bは元管7Aの下部に連通して、軸方向に隣接する環状フィルタ9の間隔部に、略垂直に配設される。枝管7Bに配設されるノズル7Cは環状フィルタ9に対向しており高温流体7Dを環状フィルタ9に噴射する。このとき環状フィルタ9を回転させることにより環状フィルタ9全面を洗浄することができる。環状フィルタ9全面を残さず洗浄するにはノズル7Cを密に配置する必要がありノズル数が多くなる。ノズル数が多いと高温流体の供給源の容量も大きくする必要が生じ設備コストが増大する。少ないノズル数で環状フィルタ9全面を残さず洗浄するにはノズル7Cを回転する環状フィルタ9の径方向に移動可能に設置すれば良い。例えばノズル7Cを環状フィルタ9の濾過面に対して平行面上を揺動させるのである。又は直線移動であっても良い。ノズル7Cを移動可能にするには洗浄装置7全体を移動させるとよい。洗浄装置7は槽80に固定して取り付けられるが、ノズル7C位置を調整可能にしておくと、液体5の性状が変化した場合の対応が容易であるし、試運転時の調整にも便利であり好ましい。前記ノズル7C位置を調整可能にしておく方法の一例として、元管7A及び/又は枝管7Bの一部あるいは途中にフレキシブル継ぎ手あるいはねじ込み継ぎ手等を設置してことが行われる。1本の枝管7Bに配設されるノズル7Cの数は単数あるいは複数個のいずれでも良く機能を満足する任意の数とすれば良い。そして枝管7Bに配設されたノズル7Cの間あるいは上端のノズル7Cの上もしくは下端のノズル7Cの下にノズル取り付け可能なネジ穴を設け、そこを栓で閉じておき、必要に応じてノズル取り付け可能にしておくと、前述のような液体5の性状が変化した場合の対応が容易であるし、試運転時の調整にも便利であり好ましい。
【0025】
開放端支持部62(図2、3)は開放端支持板62A、円筒62B及び円筒用軸62Cを有する。円筒用軸62Cは円筒62Bを軸通し、両端が2枚の開放端支持板62Aに軸装される。開放端支持板62Aは槽80に取り付けられる。このようにして円筒62Bが槽80に対して回転自在に設けられる。槽80に取り付けられた閉鎖端支持板72に、ドラム用軸2Eが回転自在に軸装される。ドラム用軸2E及び閉鎖端支持板72が閉鎖端支持部73を形成する。2組の開放端支持部62の円筒62Bが環2Dの両側面下部に当接し、閉鎖端支持部73とともに、ドラム2を回転自在に槽80に支持する。開放端支持部62あるいは閉鎖端支持部73に必要に応じてベアリング装置を具備することは回転を円滑にするために有効である。
【0026】
ドラム用軸2Eの端部には従動スプロケット74が取り付けられる。槽80に取り付けられた駆動装置である電動機75の出力軸には、駆動スプロケット76が軸方向位置を従動スプロケット74に合わせて取り付けられ、チェン77を介して駆動スプロケット76の回転を従動スプロケット74に伝道できるので、電動機75の回転出力をドラム用軸2Eならびにそれに固着されたドラム2及び環状フィルタ9に伝道し、ドラム2及び環状フィルタ9を回転させることができる。電動機75、駆動スプロケット76、従動スプロケット74及びチェン77から駆動部78が形成される。
【0027】
このようにドラム2及びドラム2に取り付けられた環状フィルタ9は回転自在に槽80に設けられる。前述のように本実施形態では躯体を槽80で代用し躯体は不要としたが、躯体を槽80で代用せず躯体を用いる場合は開放端支持板62A、閉鎖端支持板72及び電動機75は躯体に取り付けられる。
【0028】
濾過機1の材料の内、鉄製のものについては、少なくともその一部をメッキ付あるいはSUS304、SUS316等のステンレルスチール製とすると、腐食しにくく寿命を長くできるので好ましい。
【0029】
回転しない状態で、流入穴2Baからドラム2に流入した固体分ならびに油分及び/又は油塊を含む液体5が開口2cを通って下方のフィルタ室11に流入し、フィルタセグメント20のフィルタ21により濾過されて、液体分である濾過液5A(図1)はフィルタ21を通過してフィルタ室11から槽80内に移動し、流出口80a(図1、3)から槽80外に流出し、固体分(図示せず)はフィルタ21に捕捉されて下方のフィルタ室11内に留まる。
【0030】
下方のフィルタ室11のフィルタ21に捕捉された前記固体分の量が増大してフィルタ21が目詰まり状態になると、ドラム2を図7において、矢印方向に40度回転させ(すなわちドラム2に固着された環状フィルタ9を40度回転させ)目詰まりした環状フィルタJを矢印方向に移動させ、目詰まりしていない隣接する環状フィルタKを下方(回転させる前に環状フィルタJが存在していた位置)に移動させる。回転と同時に洗浄装置7から流体7Dを噴射して環状フィルタLを洗浄して目詰まりを解消する。前記目詰まり状態を検出し環状フィルタ9を回転させる操作もしくは制御は、人が目視等で検出し、電動機75を駆動するようにしても良いが、例えばレベル計(図示せず)により目詰まり状態にともなうドラム2の液体5の液面上昇を検出して電動機75を駆動するようにしても良い。
【0031】
ところで、この捕捉された固体分に付着した(あるいは含有された)前記油分及び/又は油塊が固まることにより、前記固体分がフィルタ21に強く捕捉され、図12を参照して説明した従来の濾過機では洗浄が十分行われなくなる。そこで本実施形態では、捕捉された固体分に洗浄装置7から噴射する流体7Dを水蒸気とし、前記水蒸気の熱により固まった油分及び/又は油塊を溶解するとともに、水蒸気の噴射圧力により固体分をフィルタ21から剥離して洗浄するようにした。洗浄された固体分及び油分及び/又は油塊ならびに前記水蒸気の凝縮水である洗浄排液5B(図1)は落下し、開口2cを通って樋3に受け止められて排出される。
【0032】
フィルタ21の材料は金属フィルタ、セラミックフィルタあるいは耐熱性樹脂フィルタのいずれでも良く、噴射される水蒸気の熱に耐えられる耐熱性を有する任意の材料とすることができる。合流式下水道の越流水を濾過する濾過機の場合は、フィルタ21の材料として金網あるいはエキスパンドメタルのような比較的目の大きもの(これらは広義の金属膜である)が選択され、前記金網あるいはエキスパンドメタルは、メッキ付鉄製あるいはSUS304、SUS316等のステンレルスチール製とすると、腐食しにくく寿命を長くできるので好ましい。前記目の大きさは濾過しようとする液体の性状に応じて適切に設定される。1台のフィルタ21の材料及び/又は目の大きさが異なるものを組み合わせても良い。そして、合流式下水道の(越流水でなく)合流下水を濾過する濾過機、分流式下水道の雨水又は汚水を濾過する濾過機あるいは下水道以外の排水の侠雑物を濾過する濾過機の場合も同様である。
【0033】
このような濾過装置100が設置された合流式下水道の1例を図10のフロー図を参照して説明する。雨水枡101からの雨水と汚水源102からの汚水は合流下水管103に流入して合流汚水111となり越流堰104Aを具備する雨水吐き室104へ流入する。通常、合流汚水111は越流堰104Aを越えず、処理場流入管105を通って下水処理場106へ流入し、処理後、処理水放流管107を通って下流水域へ放流される。そして処理場流入管105へ流入させ得る水量の上限が越流堰104Aの高さにより設定されていて、大雨等で水量が増大して前記上限を上回ると、上回った分は越流堰104Aを越えて越流水となり下水処理場へ流入せず、放流管108を通って濾過装置100へ流入し、濾過後、濾過液5Aは濾過液放流管112を通って下流水域へ放流され、洗浄排液5Bは洗浄排液流入管109を通って下水処理場106へ流入し、処理後、処理水放流管107を通って下流水域へ放流される。このように越流水を直接下流水域へ放流せず、濾過装置100で濾過後、放流することにより下流水域を汚濁する度合いを軽減できる。
【0034】
なお、分流式下水道でも汚水管において油塊が生じるが、汚水が全量下水処理場で処理されるので放流先の下流水域を汚濁するという問題は無い。分流式下水道の雨水管において油塊が生じる場合があるが、極めて少量であるので放流先の下流水域を著しく汚濁するという問題は無いが、汚水管の途中に濾過装置100を設置して濾過後、放流することにより下流水域の汚濁防止をより高度に行うことができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、油分を含有する液体の濾過機及び濾過装置において、フィルタに捕捉された固体分に付着した(あるいは含有された)油分が固まって、従来の洗浄では剥離困難となった場合でも、洗浄装置7から噴射する流体7Dを水蒸気あるいは熱水のような高温流体とし、前記高温流体の熱により固まった油分を溶解するとともに、高温流体の噴射圧力により固体分をフィルタ21から剥離して洗浄するようにしたことにより、油分を含有する液体の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することができる。特に、本発明によれば合流式下水道の油塊を含む越流水の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の濾過装置の斜視図である。
【図2】濾過装置の正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】ドラム2、保持フレーム31、スポーク43、空間9aを示す正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】フィルタセグメント20を示す正面図である。
【図7】図4のスポーク43にフィルタセグメント20が取り付けられた状態ならびに樋3及びノズル7Cを示す正面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図7のD−D断面図である。
【図10】本発明の濾過装置を用いた合流式下水道の1例を示すフロー図である。
【図11】従来の合流式下水道の1例を示すフロー図である。
【図12】従来の濾過機及び槽の斜視図である。
【図13】従来の濾過機の側断面図であり、図14のF−F断面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【符号の説明】
1 濾過機
2 ドラム
2A 筒
2B 堰板
2Ba 流入穴
2c 開口
2D 環
2E ドラム用軸
3 樋
3A 堰板
5 液体
5A 濾過液
5B 洗浄排液
7 洗浄装置
7A 元管
7B 枝管
7C ノズル
7D 高温流体
9、J、K、L 環状フィルタ
9a 空間
11 フィルタ室
20 フィルタセグメント
21 フィルタ
22 フィルタフレーム
22a 穴
31 保持フレーム
35 ボルト
43 スポーク
43a ネジ穴
62 開放端支持部
62A 開放端支持板
62B 円筒
62C 円筒用軸
72 閉鎖端支持板
73 閉鎖端支持部
74 従動スプロケット
75 電動機
76 駆動スプロケット
77 チェン
78 駆動部
80 槽
80a 流出口
100 濾過装置
101 雨水枡
102 汚水源
103 合流下水管
104 雨水吐き室
104A 越流堰
105 処理場流入管
106 下水処理場
107 処理水放流管
108 放流管
109 洗浄排液流入管
111 合流汚水
112 濾過液放流管
【発明の属する技術分野】
本発明は、固液分離のための濾過機及び濾過装置に関するものであり、特には合流式下水道の越流水の固液分離のための濾過機及び濾過装置に関するものである。
【0002】
下水道の方式は分流式と合流式とに大別される。分流式下水道は雨水と汚水が別々の管を流れるものであり、雨水は雨水管を通って河川、湖沼、海等の下流水域へ放流され、汚水は汚水管を通って下水処理場へ流入し、処理された後に下流水域へ放流される。
【0003】
合流式下水道は雨水と汚水が同一の管を流れるものであり、図11はその1例を示すフロー図であり、以下図11を参照して合流式下水道の1例を説明する。雨水枡101からの雨水と汚水源102からの汚水は合流下水管103に流入して合流汚水111となり越流堰104Aを具備する雨水吐き室104へ流入する。晴天時には合流汚水111は越流堰104Aを越えず、処理場流入管105を通って下水処理場106へ流入し、処理後、処理水放流管107を通って下流水域へ放流される。処理場流入管105へ流入させ得る水量の上限が越流堰104Aの高さにより設定されていて、大雨等で水量が増大して前記上限を上回ると、上回った分は越流堰104Aを越えて越流水となり下水処理場を経ることなく放流管110を通って直接下流水域へ放流される。このように汚水を含む越流水が処理されないまま下流水域へ放流されると汚染の原因となるので、最近では放流管110の途中に濾過機(図示せず)を設け、この濾過機に越流水を流入させて侠雑物を除去後、放流することが多い。
【0004】
前記濾過機には種々のものがあり、例えば特許文献1には、ドラムの一端から固体分を含む液体が供給される濾過機が示されているので、図面を参照しながら前記濾過機について説明する。図12は濾過機及び槽の斜視図であり、濾過機が見えるようにするため槽を破断して図示している。図13は濾過機の側断面図であり、後述する図14のF−F断面図である。図14は図13のE−E断面図である。
【0005】
ドラム902、環状フィルタ909、樋903及び洗浄装置907を有する濾過機901が槽980に設置される。ドラム902及び環状フィルタ909は水平軸線Aの周りに回転自在に設けられ、樋903及び洗浄装置907は固定して設けられる。環状フィルタ909のフィルタ室911(図13)は、外周部は保持フレーム931(図14)で、両側面部はマイクロフィルタ布921を有するフィルタセグメント920(図14)で、内周部はドラム902で囲われていて、前記内周部のドラム902の開口904を通してドラム902と連通している。
【0006】
回転しない状態で、ドラム902に流入した固体分を含む液体905が開口904を通ってフィルタ室911に入り、フィルタセグメント920のマイクロフィルタ布921により濾過されて、液体分はマイクロフィルタ布921を通過して槽980内に貯留された後槽980外に流出し、固体分はマイクロフィルタ布921の下方部に捕捉されてフィルタ室911内に留まる。このように液体905が、ドラム902からフィルタ室911を介してマイクロフィルタ布921を通過する経路が液体導管906を形成する。
【0007】
環状フィルタ909の下方部のマイクロフィルタ布921に捕捉された固体分の量が増大してマイクロフィルタ布921が目詰まり状態になると、ドラム902及びこれに固着された環状フィルタ909が回転し、マイクロフィルタ布921に捕捉された固体分が前記回転により下方部から上方部に移動し、上方部に設置された洗浄装置907から噴射された水により剥離され目詰まり状態が解消される。前記水と剥離された固体分は樋903に受けられて排出される。以下本明細書においては、このようにフィルタに捕捉された固体分に流体(例えば水)を噴射して剥離し目詰まり状態を解消することを「洗浄」と記述する。この濾過機901は濾過面積を大きくすることができ、洗浄も洗浄装置907から噴射された水により容易に行えるという利点を有する。
【0008】
【特許文献1】
国際公開WO99/30797号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで下水道を流れる汚水に油分が多く含有されていると、下水管の内壁に油分が付着する。特に合流式下水道では雨天時に大量の雨水が下水道に流入すると、付着していた油分が剥離して油塊となって越流水とともに流下して下流水域を汚染する。下水処理場で処理されない越流水中の前記油塊が濾過機901に流入しマイクロフィルタ布921に捕捉される。合流式下水道で越流水が生じるのは大雨等で水量が増大した時であり、このような時は前述のように油塊が合流下水とともに流下する現象が顕著になり、濾過機901に流入しマイクロフィルタ布921に捕捉される油塊も多くなる。前記油塊はマイクロフィルタ布921に強く捕捉され、さらにマイクロフィルタ布921に捕捉された油塊以外の固体分も油塊の油分が付着するとより強く捕捉され、洗浄装置907から噴射された水では洗浄が十分行われなくなるという問題点が有った。
【0010】
下水道以外でも、油分を多く含有する排水が濾過機901に流入すると、マイクロフィルタ布921に捕捉された固体分に付着した油分が固まることにより、前記固体分がマイクロフィルタ布921に強く捕捉され、洗浄装置907から噴射された水では洗浄が十分行われなくなるという問題点が有った。
【0011】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは油分を含有する液体の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することであり、特には油塊を含有する合流式下水道の越流水の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは種々研究の結果、次のような濾過機及び濾過装置とすることにより前記問題点を解決し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、回転自在に設けられたフィルタで液体を濾過する濾過機において、高温流体を前記フィルタに噴射する洗浄装置を設けるとともに、前記フィルタの材料を耐熱性を有するものとしたことを特徴とする濾過機である。
【0013】
本発明において前記洗浄装置は移動可能に設置され前記フィルタ全面に高温流体を噴射することができることが好ましい。
【0014】
本発明において高温流体は水蒸気、熱水または油分を分解する効果を有する酸性水溶液またはアルカリ性水溶液の蒸気又は熱水のような高温流体としても良く、あるいはそれらを併用しても良い。
【0015】
前記フィルタは前記高温流体と接触しても劣化や腐蝕等の変化の生じることの無い材質で形成されていることが望ましく、例えば金属フィルタ、セラミックフィルタ、耐熱性樹脂フィルタ等を好適に使用できる。
【0016】
本発明の濾過機は、合流式下水道の越流水の濾過に特に好適に使用できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態の濾過装置100の斜視図であり、液体5の流入方向は図の紙面右から左であり、濾過機1が見えるようにするため槽80を破断して示し、ドラム2の開放端(後述)の上半分、最も開放端側のフィルタセグメント20の上半分、その内部のスポーク43ならびに最も開放端側の枝管7Bの下部及びそれに取り付けられるノズル7Cは図示を省略して環状フィルタ9の内部が見えるようにするとともに、開放端支持部62、閉鎖端支持部73及び駆動部78は図示を省略している。図2は液体5の流入側から見た濾過装置100の正面図である。図3は図2のA−A断面図であり、閉鎖端支持部73及び駆動部78は断面にせず、濾過機1は樋3部分だけを断面で示す。図4は特にドラム2、保持フレーム31、スポーク43、空間9aを示す正面図である。図5は図4のB−B断面図である。図6はフィルタセグメント20を示す正面図である。図7は図4(詳しくは、図4のものを20度回転させた状態)のスポーク43にフィルタセグメント20が取り付けられた状態ならびに樋3及びノズル7Cを示す正面図であり、環2D及び堰板2Bの図示を省略した図である。図8は図7のC−C断面図である。図9は図7のD−D断面図である。図10は本発明の濾過装置を用いた合流式下水道の1例を示すフロー図であり、同一部は図11と同じ参照符号を付す。
【0018】
濾過装置100は濾過機1及びコンクリート製の槽80を有する。濾過機1はドラム2、樋3、洗浄装置7、環状フィルタ9、開放端支持部62、閉鎖端支持部73、駆動部78及びそれらが取り付けられる躯体を有する。なお本実施形態では前記躯体を槽80で代用するので躯体は不要である。
【0019】
液体5が流入するドラム2は筒2A、堰板2B、環2D及びドラム用軸2E(図3)を有する。以下、本明細書では液体5が流入する側のドラム2の端部を「開放端」と記述し、液体5が流入する側と反対側のドラム2の端部を「閉鎖端」と記述し、筒2Aの長手方向を「軸方向」と記述する。筒2Aは円筒形で閉鎖端は袋状に閉塞され、開放端は中心部に流入穴2Baを有する堰板2Bで一部閉塞されている。筒2Aの開放端には環2Dが同軸に外設され、閉鎖端にはドラム用軸2Eが同軸に突設される。筒2Aの後述するフィルタ室11の位置には開口2cを設ける。
【0020】
環状フィルタ9は、フィルタセグメント20、保持フレーム31、スポーク43及びボルト35を有する。図4に示されるスポーク43は図7ではフィルタセグメント20に隠されて見えない。板状のスポーク43はネジ穴43a(図4)を有し、長手方向の一端がドラム2の外周に2枚1組で軸方向にL1寸法(図5、8)の間隔を置いて配設される。スポーク43の長手方向の他端には円環状の保持フレーム31が取り付けられる。このようにドラム2、保持フレーム31及びスポーク43で囲われた略扇形の空間9a(図4)が形成される。本実施形態では空間9aの数は(円周方向に40度ピッチで)9箇所とした。そして前記9箇所の空間9aを含む環状フィルタ9がドラム2の軸方向に間隔を空けて複数取り付けられる。
【0021】
フィルタセグメント20はフィルタ21及びフィルタフレーム22を有する。フィルタ21の平面形状は空間9aよりもやや狭い略扇形(図6の破線で示す)であり、フィルタセグメント20が形成されたとき後述するボルト通し穴22aと重ならない形状とする。フィルタフレーム22の平面形状はフィルタ21の外枠となるような窓形であり、内外周が空間9aに緩挿可能な寸法にする。フィルタフレーム22はネジ穴43aの位置に対応したボルト通し穴22aを有する。フィルタ21がフィルタフレーム22に溶接、ろう付けあるいは接着等の固着手段により固着されてフィルタセグメント20が形成される。フィルタセグメント20が前記2枚1組のスポーク43に軸方向の両側から取り付けられ、ボルト通し穴22aを通したボルト35がネジ穴43aにねじ込まれ、フィルタセグメント20がスポーク43に締結される。
【0022】
空間9aの軸方向両側面部がフィルタ21有するフィルタセグメント20で囲われてフィルタ室11が形成される。本実施形態では回転方向に隣接する9箇所のフィルタ室11間には、仕切りが無くつながったものとする。環状フィルタ9のフィルタ室11は、外周部は保持フレーム31で、両側面部はフィルタ21を有するフィルタセグメント20で、内周部はドラム2で囲われていて、前記内周部のドラム2の筒2Aの開口2cを通してドラム2と連通している。開口2cの軸方向寸法L2(図9)はフィルタ室11の軸方向寸法L1に対してL2≦L1となるようにし、ドラム2の強度を損なわない範囲でできるだけ大きくすることが好ましい。開口2cの周方向寸法L3(図7)はドラム2の強度を損なわない範囲でできるだけ大きくすることが好ましい。L2あるいはL3が小さいと、後述する洗浄により剥離落下する固形物の開口2cの通過に支障を来たす。
【0023】
樋3は、長手方向において開放端側が低くなるように傾斜してドラム2内上部に設けられ、開放端側はドラム2外に位置する。樋3の閉鎖端側端部には堰板3Aが具備され、後述する洗浄排液5Bの溢出を防止する。樋3は槽80に固定して取り付けられるが、樋3位置及び前記傾斜角度を調整可能にしておくと、液体5の性状が変化した場合の対応が容易であるし、試運転時の調整にも便利であり好ましい。
【0024】
洗浄装置7は元管7A、枝管7B及びノズル7Cを有する。元管7Aは環状フィルタ9の上側に略水平に配設される。枝管7Bは元管7Aの下部に連通して、軸方向に隣接する環状フィルタ9の間隔部に、略垂直に配設される。枝管7Bに配設されるノズル7Cは環状フィルタ9に対向しており高温流体7Dを環状フィルタ9に噴射する。このとき環状フィルタ9を回転させることにより環状フィルタ9全面を洗浄することができる。環状フィルタ9全面を残さず洗浄するにはノズル7Cを密に配置する必要がありノズル数が多くなる。ノズル数が多いと高温流体の供給源の容量も大きくする必要が生じ設備コストが増大する。少ないノズル数で環状フィルタ9全面を残さず洗浄するにはノズル7Cを回転する環状フィルタ9の径方向に移動可能に設置すれば良い。例えばノズル7Cを環状フィルタ9の濾過面に対して平行面上を揺動させるのである。又は直線移動であっても良い。ノズル7Cを移動可能にするには洗浄装置7全体を移動させるとよい。洗浄装置7は槽80に固定して取り付けられるが、ノズル7C位置を調整可能にしておくと、液体5の性状が変化した場合の対応が容易であるし、試運転時の調整にも便利であり好ましい。前記ノズル7C位置を調整可能にしておく方法の一例として、元管7A及び/又は枝管7Bの一部あるいは途中にフレキシブル継ぎ手あるいはねじ込み継ぎ手等を設置してことが行われる。1本の枝管7Bに配設されるノズル7Cの数は単数あるいは複数個のいずれでも良く機能を満足する任意の数とすれば良い。そして枝管7Bに配設されたノズル7Cの間あるいは上端のノズル7Cの上もしくは下端のノズル7Cの下にノズル取り付け可能なネジ穴を設け、そこを栓で閉じておき、必要に応じてノズル取り付け可能にしておくと、前述のような液体5の性状が変化した場合の対応が容易であるし、試運転時の調整にも便利であり好ましい。
【0025】
開放端支持部62(図2、3)は開放端支持板62A、円筒62B及び円筒用軸62Cを有する。円筒用軸62Cは円筒62Bを軸通し、両端が2枚の開放端支持板62Aに軸装される。開放端支持板62Aは槽80に取り付けられる。このようにして円筒62Bが槽80に対して回転自在に設けられる。槽80に取り付けられた閉鎖端支持板72に、ドラム用軸2Eが回転自在に軸装される。ドラム用軸2E及び閉鎖端支持板72が閉鎖端支持部73を形成する。2組の開放端支持部62の円筒62Bが環2Dの両側面下部に当接し、閉鎖端支持部73とともに、ドラム2を回転自在に槽80に支持する。開放端支持部62あるいは閉鎖端支持部73に必要に応じてベアリング装置を具備することは回転を円滑にするために有効である。
【0026】
ドラム用軸2Eの端部には従動スプロケット74が取り付けられる。槽80に取り付けられた駆動装置である電動機75の出力軸には、駆動スプロケット76が軸方向位置を従動スプロケット74に合わせて取り付けられ、チェン77を介して駆動スプロケット76の回転を従動スプロケット74に伝道できるので、電動機75の回転出力をドラム用軸2Eならびにそれに固着されたドラム2及び環状フィルタ9に伝道し、ドラム2及び環状フィルタ9を回転させることができる。電動機75、駆動スプロケット76、従動スプロケット74及びチェン77から駆動部78が形成される。
【0027】
このようにドラム2及びドラム2に取り付けられた環状フィルタ9は回転自在に槽80に設けられる。前述のように本実施形態では躯体を槽80で代用し躯体は不要としたが、躯体を槽80で代用せず躯体を用いる場合は開放端支持板62A、閉鎖端支持板72及び電動機75は躯体に取り付けられる。
【0028】
濾過機1の材料の内、鉄製のものについては、少なくともその一部をメッキ付あるいはSUS304、SUS316等のステンレルスチール製とすると、腐食しにくく寿命を長くできるので好ましい。
【0029】
回転しない状態で、流入穴2Baからドラム2に流入した固体分ならびに油分及び/又は油塊を含む液体5が開口2cを通って下方のフィルタ室11に流入し、フィルタセグメント20のフィルタ21により濾過されて、液体分である濾過液5A(図1)はフィルタ21を通過してフィルタ室11から槽80内に移動し、流出口80a(図1、3)から槽80外に流出し、固体分(図示せず)はフィルタ21に捕捉されて下方のフィルタ室11内に留まる。
【0030】
下方のフィルタ室11のフィルタ21に捕捉された前記固体分の量が増大してフィルタ21が目詰まり状態になると、ドラム2を図7において、矢印方向に40度回転させ(すなわちドラム2に固着された環状フィルタ9を40度回転させ)目詰まりした環状フィルタJを矢印方向に移動させ、目詰まりしていない隣接する環状フィルタKを下方(回転させる前に環状フィルタJが存在していた位置)に移動させる。回転と同時に洗浄装置7から流体7Dを噴射して環状フィルタLを洗浄して目詰まりを解消する。前記目詰まり状態を検出し環状フィルタ9を回転させる操作もしくは制御は、人が目視等で検出し、電動機75を駆動するようにしても良いが、例えばレベル計(図示せず)により目詰まり状態にともなうドラム2の液体5の液面上昇を検出して電動機75を駆動するようにしても良い。
【0031】
ところで、この捕捉された固体分に付着した(あるいは含有された)前記油分及び/又は油塊が固まることにより、前記固体分がフィルタ21に強く捕捉され、図12を参照して説明した従来の濾過機では洗浄が十分行われなくなる。そこで本実施形態では、捕捉された固体分に洗浄装置7から噴射する流体7Dを水蒸気とし、前記水蒸気の熱により固まった油分及び/又は油塊を溶解するとともに、水蒸気の噴射圧力により固体分をフィルタ21から剥離して洗浄するようにした。洗浄された固体分及び油分及び/又は油塊ならびに前記水蒸気の凝縮水である洗浄排液5B(図1)は落下し、開口2cを通って樋3に受け止められて排出される。
【0032】
フィルタ21の材料は金属フィルタ、セラミックフィルタあるいは耐熱性樹脂フィルタのいずれでも良く、噴射される水蒸気の熱に耐えられる耐熱性を有する任意の材料とすることができる。合流式下水道の越流水を濾過する濾過機の場合は、フィルタ21の材料として金網あるいはエキスパンドメタルのような比較的目の大きもの(これらは広義の金属膜である)が選択され、前記金網あるいはエキスパンドメタルは、メッキ付鉄製あるいはSUS304、SUS316等のステンレルスチール製とすると、腐食しにくく寿命を長くできるので好ましい。前記目の大きさは濾過しようとする液体の性状に応じて適切に設定される。1台のフィルタ21の材料及び/又は目の大きさが異なるものを組み合わせても良い。そして、合流式下水道の(越流水でなく)合流下水を濾過する濾過機、分流式下水道の雨水又は汚水を濾過する濾過機あるいは下水道以外の排水の侠雑物を濾過する濾過機の場合も同様である。
【0033】
このような濾過装置100が設置された合流式下水道の1例を図10のフロー図を参照して説明する。雨水枡101からの雨水と汚水源102からの汚水は合流下水管103に流入して合流汚水111となり越流堰104Aを具備する雨水吐き室104へ流入する。通常、合流汚水111は越流堰104Aを越えず、処理場流入管105を通って下水処理場106へ流入し、処理後、処理水放流管107を通って下流水域へ放流される。そして処理場流入管105へ流入させ得る水量の上限が越流堰104Aの高さにより設定されていて、大雨等で水量が増大して前記上限を上回ると、上回った分は越流堰104Aを越えて越流水となり下水処理場へ流入せず、放流管108を通って濾過装置100へ流入し、濾過後、濾過液5Aは濾過液放流管112を通って下流水域へ放流され、洗浄排液5Bは洗浄排液流入管109を通って下水処理場106へ流入し、処理後、処理水放流管107を通って下流水域へ放流される。このように越流水を直接下流水域へ放流せず、濾過装置100で濾過後、放流することにより下流水域を汚濁する度合いを軽減できる。
【0034】
なお、分流式下水道でも汚水管において油塊が生じるが、汚水が全量下水処理場で処理されるので放流先の下流水域を汚濁するという問題は無い。分流式下水道の雨水管において油塊が生じる場合があるが、極めて少量であるので放流先の下流水域を著しく汚濁するという問題は無いが、汚水管の途中に濾過装置100を設置して濾過後、放流することにより下流水域の汚濁防止をより高度に行うことができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、油分を含有する液体の濾過機及び濾過装置において、フィルタに捕捉された固体分に付着した(あるいは含有された)油分が固まって、従来の洗浄では剥離困難となった場合でも、洗浄装置7から噴射する流体7Dを水蒸気あるいは熱水のような高温流体とし、前記高温流体の熱により固まった油分を溶解するとともに、高温流体の噴射圧力により固体分をフィルタ21から剥離して洗浄するようにしたことにより、油分を含有する液体の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することができる。特に、本発明によれば合流式下水道の油塊を含む越流水の濾過を容易に行える濾過機及び濾過装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の濾過装置の斜視図である。
【図2】濾過装置の正面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】ドラム2、保持フレーム31、スポーク43、空間9aを示す正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【図6】フィルタセグメント20を示す正面図である。
【図7】図4のスポーク43にフィルタセグメント20が取り付けられた状態ならびに樋3及びノズル7Cを示す正面図である。
【図8】図7のC−C断面図である。
【図9】図7のD−D断面図である。
【図10】本発明の濾過装置を用いた合流式下水道の1例を示すフロー図である。
【図11】従来の合流式下水道の1例を示すフロー図である。
【図12】従来の濾過機及び槽の斜視図である。
【図13】従来の濾過機の側断面図であり、図14のF−F断面図である。
【図14】図13のE−E断面図である。
【符号の説明】
1 濾過機
2 ドラム
2A 筒
2B 堰板
2Ba 流入穴
2c 開口
2D 環
2E ドラム用軸
3 樋
3A 堰板
5 液体
5A 濾過液
5B 洗浄排液
7 洗浄装置
7A 元管
7B 枝管
7C ノズル
7D 高温流体
9、J、K、L 環状フィルタ
9a 空間
11 フィルタ室
20 フィルタセグメント
21 フィルタ
22 フィルタフレーム
22a 穴
31 保持フレーム
35 ボルト
43 スポーク
43a ネジ穴
62 開放端支持部
62A 開放端支持板
62B 円筒
62C 円筒用軸
72 閉鎖端支持板
73 閉鎖端支持部
74 従動スプロケット
75 電動機
76 駆動スプロケット
77 チェン
78 駆動部
80 槽
80a 流出口
100 濾過装置
101 雨水枡
102 汚水源
103 合流下水管
104 雨水吐き室
104A 越流堰
105 処理場流入管
106 下水処理場
107 処理水放流管
108 放流管
109 洗浄排液流入管
111 合流汚水
112 濾過液放流管
Claims (5)
- 回転自在に設けられたフィルタで液体を濾過する濾過機において、高温流体を前記フィルタに噴射する洗浄装置を設けるとともに、前記フィルタの材料を耐熱性を有するものとしたことを特徴とする濾過機。
- 前記洗浄装置は移動可能に設置され前記フィルタ全面に高温流体を噴射することのできる請求項1記載の濾過機。
- 前記洗浄装置が水蒸気及び/又は熱水を噴射することを特徴とする請求項1又は2に記載の濾過機。
- 前記フィルタが金属フィルタ、セラミックフィルタ及び耐熱性樹脂フィルタの何れかである請求項1乃至3の何れかに記載の濾過機。
- 合流式下水道の越流水の濾過に用いられることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の濾過機。
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