JP2004297284A - 通信端末装置及び無線通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】上り回線でパケット伝送を行い、パケット伝送方法を適応的に切替える無線通信システムにおいて、基地局装置に固有の信号を送信せず、パケット伝送方法を知らせること。
【解決手段】伝送方法選択部２２３は、第１のパケット伝送方法あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する。ＳＲＱ情報生成部２２４は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、データ量測定部２２１にて測定されたデータ量及び／又はその滞留時間、送信電力算出部２２２にて算出されたパケットデータの送信のために使用可能な送信電力に基づいてＳＲＱ（スケジューリング要求）情報を生成する。一方、第２のパケット伝送方法が選択された場合、ＳＲＱ情報生成部２２４は、ＳＲＱ情報の生成を行わない、あるいは、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を生成する。
【選択図】 図２
【解決手段】伝送方法選択部２２３は、第１のパケット伝送方法あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する。ＳＲＱ情報生成部２２４は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、データ量測定部２２１にて測定されたデータ量及び／又はその滞留時間、送信電力算出部２２２にて算出されたパケットデータの送信のために使用可能な送信電力に基づいてＳＲＱ（スケジューリング要求）情報を生成する。一方、第２のパケット伝送方法が選択された場合、ＳＲＱ情報生成部２２４は、ＳＲＱ情報の生成を行わない、あるいは、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を生成する。
【選択図】 図２
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上り回線においてパケット伝送を行う無線通信システムに用いられる通信端末装置及び無線通信方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
下り回線においてパケットデータを伝送する技術として、ＨＳＤＰＡ（Ｈｉｇｈ−Ｓｐｅｅｄ Ｄｏｗｎｌｉｎｋ Ｐａｃｋｅｔ Ａｃｃｅｓｓ）と呼ばれるパケット伝送方式が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
ＨＳＤＰＡでは、１つの物理チャネルを複数の通信端末装置で時間分割により共有して使用する。このため、基地局装置は、所定の時間単位でパケットデータを送信する先の通信端末装置及びパケットデータの送信パラメータを決定する（一般に「スケジューリング」と呼ばれる）。スケジューリングは、例えば、基地局装置が通信端末装置に送信するデータ量、許容遅延時間、通信品質などに基づいて行われる。
【０００４】
一方、上り回線におけるパケット伝送技術も現在検討されている。この上り回線のパケット伝送方法として、以下の２つが挙げられる。
【０００５】
まず、１つ目は、下り回線と同様に、基地局装置がスケジューリングを行い、複数の通信端末装置の中からパケット送信を許可する通信端末装置を決定する伝送方式（Ｂａｓｅ−ｓｔａｔｉｏｎ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｄ Ｓｃｈｅｄｕｌｅｄ Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ：以下、「第１のパケット伝送方法」という）である。
【０００６】
この方法では、基地局装置で決定されたスケジューリングの情報（データ送信許可）およびその際の送信パラメータ（伝送レート）が、通信中の各通信端末装置に送信され、各通信端末装置では、送信されたスケジューリング情報および送信パラメータに基づいて基地局装置にパケットデータを送信する。
【０００７】
２つ目は、基地局装置がスケジューリングを行わず、各通信端末装置が所定の送信パラメータ（伝送レート）で基地局装置にパケットデータを送信する伝送方式（Ａｕｔｏｎｏｍｏｕｓ Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ：以下、「第２のパケット伝送方法」という）である。
【０００８】
第１のパケット伝送方法は、例えば、データ量が多い通信端末装置に、基地局装置において許容される受信電力の増加分を集中して割り当てれば、高い伝送レートでパケット伝送を行うことができるという利点がある。しかしながら、一方で、第１のパケット伝送方法には、通信端末装置がセル端にいてソフトハンドオーバ（ＳＨＯ）を行っている場合に、スケジューリングにより選択しなかった基地局装置において予想しない受信電力の増加が起こってしまい、他の通信端末において受信品質が劣化してしまうという欠点がある。
【０００９】
また、第２のパケット伝送方法は、基地局装置においてスケジューリングを行う必要がないため、低遅延でデータを伝送することができるという利点がある。しかしながら、一方で、第２のパケット伝送方法には、他セルに対する干渉を抑えるため常に、低い伝送レートでしかパケット伝送を行うことができないという欠点がある。
【００１０】
このように、上記２つの方法にはそれぞれに長所短所があるため、状況に応じてこれらの方法を適応的に切替えて用いることが考えられる。例えば、非特許文献１には、通信端末装置がハンドオーバ状態のときには他セルに対する干渉を抑えるため第２のパケット伝送方法を用い、通常の場合（ハンドオーバー状態ではないとき）には第１のパケット伝送方式を用いることが記載されている。
【００１１】
ここで、上り回線のパケット伝送方法を適応的に切替える場合、通信端末装置がどちらの方法を用いてパケットを伝送するかを通信端末装置から基地局装置に逐次知らせる必要がある。
【００１２】
従来では、通信端末装置から基地局装置にパケット伝送方法を知らせるための固有の信号を送信している。
【００１３】
【特許文献１】
特開２０００−１５１６２３号公報
【非特許文献１】
３ＧＰＰ ＴＳＧ ＲＡＮ ＷＧ１＃３１ Ｒ１−０３−０２８４， Ｌｕｃｅｎｔ ”Ｓｃｈｅｄｕｌｅｄ ａｎｄ Ａｕｔｏｎｏｍｏｕｓ Ｍｏｄｅ Ｏｐｅｒａｔｉｏｎ ｆｏｒ ｔｈｅ Ｅｎｈａｎｃｅｄ Ｕｐｌｉｎｋ”
【００１４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通信端末装置がパケット伝送方法を知らせるために新たな信号を生成して送信することは、上り回線の干渉が増加してしまい、システムのキャパシティが低下し、通信端末装置の消費電力が大きくなってしまうという問題を生じさせる。
【００１５】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、基地局装置に固有の信号を送信せず、システムのキャパシティを低下させずに、また、通信端末装置の消費電力を増加させずに、パケット伝送方法を知らせることができる通信端末装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【００１６】
【課題を解決するための手段】
本発明の通信端末装置は、上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる通信端末装置であって、前記第１あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する伝送方法選択手段と、前記第１のパケット伝送方法時に前記基地局装置がスケジューリングに用いるスケジューリング要求情報を生成し、前記スケジューリング要求情報の生成方法によってパケット伝送方法を区別して表現するスケジューリング要求情報生成手段と、前記スケジューリング要求情報を基地局装置に送信する送信手段とを具備する構成を採る。
【００１７】
この構成により、基地局装置がスケジューリング要求情報を通信端末装置が送信することを利用して、基地局装置に固有の信号を送信せず、システムのキャパシティを低下させずに、また、通信端末装置の消費電力を増加させずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００１８】
本発明の通信端末装置における前記スケジューリング要求情報生成手段は、前記第２のパケット伝送方法時には、前記スケジューリング用情報の生成を停止する構成を採る。
【００１９】
この構成により、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してスケジューリング要求情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してスケジューリング要求情報を送信しないように、スケジューリング要求情報の送信の実行／停止を制御することができ、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００２０】
本発明の通信端末装置における前記スケジューリング要求情報生成手段は、前記第２のパケット伝送方法時には、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を生成する構成を採る。
【００２１】
この構成により、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してテーブルに従ったスケジューリング要求情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してパケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を送信するように、スケジューリング要求情報の内容を制御することができ、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００２２】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、ハンドオーバ状態ではない場合には前記第１のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２３】
この構成により、ハンドオーバ状態にある場合には、基地局装置における予測できない受信電力の増加を抑えるために第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００２４】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、通信中の基地局装置におけるシステム負荷が所定の閾値以下の場合には前記第１のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２５】
この構成により、システム負荷が所定値よりも大きい場合には、セルの基地局装置における受信電力が許容値を超えること抑えるために第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００２６】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、バッファ内のパケットデータ量が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２７】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、バッファ内のパケットの滞留時間が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２８】
これらの構成により、バッファ内のデータ量が所定値より少ない、あるいは／かつ、滞留時間が所定値より短い場合には、高い伝送レートでパケットデータを送る必要がないことからシステム全体のスループットを上げるため、第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００２９】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、パケットデータを送信するための送信電力が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００３０】
この構成により、送信電力の余裕が所定値以下の場合、第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００３１】
本発明の基地局装置は、上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる基地局装置であって、所定時間内に各通信端末装置から送信されたスケジューリング要求情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する送信端末決定手段と、パケットデータの送信を許可された通信端末装置からのスケジューリング要求情報に基づいてパケットデータ送信時のパラメータを決定する送信パラメータ決定手段とを具備する構成を採る。
【００３２】
本発明の基地局装置は、所定時間内に各通信端末装置からスケジューリング要求情報が送信されたか否かを判定するスケジューリング用情報判定手段を具備し、送信端末決定手段は、前記スケジューリング要求情報を送信した通信端末装置の中からパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する構成を採る。
【００３３】
本発明の基地局装置における送信端末決定手段は、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を送信した通信端末装置を除いた中からパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する構成を採る。
【００３４】
本発明の無線通信方法は、上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる無線通信方法であって、前記通信端末装置が、前記第１あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する工程と、前記第１のパケット伝送方法時に前記基地局装置がスケジューリングに用いるスケジューリング要求情報を生成し、前記スケジューリング要求情報の生成方法によってパケット伝送方法を区別して表現する工程と、前記スケジューリング要求情報を基地局装置に送信する工程とを具備し、前記基地局装置が、前記通信端末装置から送信された前記スケジューリング要求情報に基づいてスケジューリングを行う工程と、パケットの送信を許可する通信端末装置に送信パラメータを送信する工程とを具備する方法をとる。
【００３５】
この方法により、基地局装置がスケジューリング要求情報を通信端末装置が送信することを利用して、基地局装置に固有の信号を送信せず、システムのキャパシティを低下させずに、また、通信端末装置の消費電力を増加させずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００３６】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、上り回線のパケット伝送では通信端末装置がスケジューリング要求情報を基地局装置に送信することに着目し、基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う方法を選択した場合、この選択結果を、スケジューリング要求情報の送信を停止する、あるいは、スケジューリング要求情報の内容を制御することにより基地局装置に知らせることである。
【００３７】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【００３８】
（実施の形態１）
実施の形態１では、通信端末装置が、基地局装置のスケジューリングによらずに予め定められた送信パラメータでパケットデータを送信する場合（第２のパケット伝送方法）、基地局装置に対してスケジューリングを要求する情報（以下、「ＳＲＱ情報」という）を送信しない形態について説明する。なお、ＳＲＱ情報は、通信端末装置が要求するデータ量、伝送レートあるいは使用可能な送信電力を示す情報である。
【００３９】
まず、本実施の形態の基地局装置１００の各構成部分の作用について、図１のブロック図を用いて説明する。
【００４０】
受信無線部１０２は、アンテナ１０１に受信された無線周波数の受信信号をベースバンドのディジタル信号に変換し、逆拡散部１０３及び逆拡散部１２１に出力する。
【００４１】
逆拡散部１０３は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、受信ベースバンド信号に対して逆拡散処理を行い、各通信端末装置から送信された個別チャネルの信号を取り出して復調部１０４に出力する。また、逆拡散部１０３は、逆拡散の際に作成する遅延プロファイルから得られる希望波電力を示す情報をＳＩＲ測定部１０６に出力する。
【００４２】
復調部１０４は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、逆拡散部１０３の出力信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコーディング部１０５に出力する。
【００４３】
チャネルデコーディング部１０５は、復調部１０４の出力信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信データ、下り回線用の送信電力制御コマンド（以下、「ＤＬ−ＴＰＣ」という）及びＳＲＱ情報を取り出す。受信データは上位の制御局に送られ、ＤＬ−ＴＰＣは送信電力制御部１６４に送られ、ＳＲＱ情報はスケジューリング部１０８に送られる。
【００４４】
なお、ＳＲＱ情報は、通信端末装置が望む送信パケットデータの伝送レートを示す情報であり、例えば１〜ｎ（ｎは２以上の自然数）で表される。この伝送レートは、通信端末装置に蓄積されているパケットデータの量及びその滞留時間と通信端末装置においてパケットデータの送信のために使用可能な送信電力に基づいて定められる。また、本実施の形態では、第２のパケット伝送方法を選択した通信端末装置からはＳＲＱ情報は送信されない。
【００４５】
ＳＩＲ測定部１０６は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、希望波電力の分散値から干渉波電力を算出し、希望波電力と干渉波電力との比（以下、「ＳＩＲ」という）を算出し、ＳＩＲを示す情報をＴＰＣ生成部１０７及びスケジューリング部１０８に出力する。
【００４６】
ＴＰＣ生成部１０７は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、上り回線の受信ＳＩＲと目標ＳＩＲとの大小関係により、上り回線の送信電力の増減を指示する上り回線用の送信電力制御コマンド（以下、「ＵＬ−ＴＰＣ」という）を生成し、ＵＬ−ＴＰＣをチャネルコーディング部１６１に出力する。
【００４７】
スケジューリング部１０８は、各通信端末装置からのＳＲＱ情報及びＳＩＲに基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定し、そのパケットデータ送信時のパラメータ（誤り訂正符号化の符号化率、変調多値数、拡散率、送信電力等）を決定する（スケジューリング）。そして、スケジューリング部１０８は、スケジューリングの結果を示す情報（以下、「ＳＡＬ情報」という）をチャネルコーディング部１６１に送り、送信パラメータを示す情報を逆拡散部１２１、復調部１２２及びチャネルデコーディング部１２３に出力する。なお、基地局装置１００は、パケットデータの送信を許可する通信端末装置にはＳＡＬ情報を必ず送信するが、他の通信端末装置には送信しなくても良い。スケジューリング部１０８の処理の詳細については後述する。
【００４８】
逆拡散部１２１は、スケジューリング部１０８からの送信パラメータ情報に示された拡散率で、受信ベースバンド信号に対して逆拡散処理を行い、通信端末装置から送信されたパケット信号を取り出して復調部１２２に出力する。
【００４９】
復調部１２２は、スケジューリング部１０８からの送信パラメータ情報に示された変調多値数で、逆拡散部１２１から出力されたパケット信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコーディング部１２３に出力する。
【００５０】
チャネルデコーディング部１２３は、スケジューリング部１０８からの送信パラメータ情報に示された符号化率で、復調部１２２から出力された復調信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信パケットデータを取り出し、誤り検出部１２４に出力する。
【００５１】
誤り検出部１２４は、チャネルデコーディング部１２３から出力された受信パケットデータに対して誤り検出を行う。そして、誤りが検出されなかった場合、誤り検出部１２４は、受信パケットデータを上位局に出力するとともに、正しく復調できた旨を示すＡＣＫ信号をチャネルコーディング部１６１に出力する。一方、誤りが検出された場合、誤り検出部１２４は、正しく復調できなかった旨を示すＮＡＣＫ信号をチャネルコーディング部１６１に出力する。
【００５２】
チャネルコーディング部１６１は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、各通信端末装置に個別チャネルで送信する送信データに、パイロット信号（ＰＬ）、ＡＣＫ／ＮＡＣＫ、ＵＬ−ＴＰＣ及びＳＡＬ情報を多重し、多重化後のデータに対して誤り訂正符号化処理を行い、符号化処理によって得られた信号を変調部１６２に出力する。なお、送信データには、無線ネットワーク制御装置等の上位装置にて、システム負荷を示す情報（以下、「ＳＹＬ情報」という）、ソフトハンドオーバ状態か否かを示す情報（以下、「ＳＨＯ情報」という）が多重されるが、基地局装置は送信データを扱うのみで内容を認識しないためこれらの情報を知ることはない。また、ＳＹＬ情報は、少なくとも１つの基地局装置におけるシステム負荷から生成されるものであり、システム負荷を示す指標として、（１）基地局装置における受信電力と熱雑音電力の和、（２）通信中の通信端末装置の数、（３）使用中の伝送レートの和、等が挙げられる。
【００５３】
変調部１６２は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、チャネルコーディング部１６１の出力信号に対して変調処理を行い、変調信号を拡散部１６３に出力する。
【００５４】
拡散部１６３は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、変調部１６２の出力信号に対して拡散処理を行って増幅部１６５に出力する。
【００５５】
送信電力制御部１６４は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、ＤＬ−ＴＰＣに従って増幅部１６５の増幅量を制御する。増幅部１６５は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、送信電力制御部１６４の制御に従って、拡散部１６３の出力信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部１６６に出力する。
【００５６】
送信無線部１６６は、増幅部１６５の出力信号を無線周波数にアップコンバートしてアンテナ１０１から無線送信する。
【００５７】
以上が、本実施の形態に係る基地局装置１００の構成の説明である。
【００５８】
次に、本実施の形態の通信端末装置２００の各構成部分の作用について、図２のブロック図を用いて説明する。
【００５９】
受信無線部２０２は、アンテナ２０１に受信された無線周波数の受信信号をベースバンドのディジタル信号に変換し、逆拡散部２０３に出力する。
【００６０】
逆拡散部２０３は、受信ベースバンド信号に対して逆拡散処理を行い、基地局装置から送信された個別チャネルの信号を取り出して復調部２０４に出力する。また、逆拡散部２０３は、逆拡散の際に作成する遅延プロファイルから得られる希望波電力を示す情報をＳＩＲ測定部２０６に出力する。
【００６１】
復調部２０４は、逆拡散部２０３の出力信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコーディング部２０５に出力する。チャネルデコーディング部２０５は、復調部２０４の出力信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信データ、ＳＡＬ情報、ＵＬ−ＴＰＣ及びＡＣＫ／ＮＡＣＫを取り出す。なお、ＳＨＯ情報及びＳＹＬ情報は、受信データより取り出される。ＳＡＬ情報は送信パラメータ設定部２４１に送られ、ＵＬ−ＴＰＣは送信電力制御部２２８に送られ、ＡＣＫ／ＮＡＣＫはバッファ２４２に送られ、ＳＨＯ情報及びＳＹＬ情報は伝送方法選択部２２３に送られる。
【００６２】
ＳＩＲ測定部２０６は、希望波電力の分散値から干渉波電力を算出し、希望波電力と干渉波電力とからＳＩＲを算出し、ＳＩＲを示す信号をＴＰＣ生成部２０７に出力する。
【００６３】
ＴＰＣ生成部２０７は、下り回線の受信ＳＩＲと目標ＳＩＲとの大小関係により、下り回線の送信電力の増減を指示するＤＬ−ＴＰＣを生成し、ＤＬ−ＴＰＣをチャネルコーディング部２２５に出力する。
【００６４】
データ量測定部２２１は、後述するバッファ２４２内のデータ量及びそのデータの滞留時間を測定し、測定結果をＳＲＱ情報生成部２２４に出力する。また、データ量測定部２２１は、データ量が所定の閾値以上か否か、及び、そのデータの滞留時間が所定の閾値以上か否かをそれぞれ判定し、判定結果を示す情報を伝送方法選択部２２３に出力する。なお、サービスの種類に応じて上記の閾値を適応的に制御すれば、サービスごとに品質を確保した上で、ＳＲＱ情報の送信頻度を低減することができる。
【００６５】
送信電力算出部２２２は、予め定められている送信電力の最大値から、後述する送信無線部２４８において送信される全ての信号の送信電力を減算して、パケットデータの送信のために使用可能な送信電力を算出し、算出結果をＳＲＱ情報生成部２２４に出力する。また、送信電力算出部２２２は、パケットデータの送信のために使用可能な送信電力が所定の閾値以上か否かを判定し、判定結果を示す情報を伝送方法選択部２２３に出力する。なお、使用可能な送信電力の計算において、パケットデータの電力及び／又はＳＲＱ情報の電力を考慮する／考慮しないは、システムに応じて適宜決定することができる。
【００６６】
伝送方法選択部２２３は、ＳＨＯ情報、ＳＹＬ情報、データ量測定部２２１の判定結果、送信電力算出部２２２の判定結果の少なくとも１つに基づいて、第１のパケット伝送方法あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択し、選択したパケット伝送方法を示す情報をＳＲＱ情報生成部２２４及び送信パラメータ設定部２４１に出力する。なお、第１のパケット伝送方法と第２のパケット伝送方法は、１つのアルゴリズムにおける異なる動作として実現されていてもよい。例えば、１つのアルゴリズムにおいて基地局がスケジューリングするかしないかの違いであってもよい。伝送方法選択部２２３の具体的な処理内容は後述する。
【００６７】
ＳＲＱ情報生成部２２４は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、データ量測定部２２１にて測定されたデータ量及び／又はその滞留時間、送信電力算出部２２２にて算出されたパケットデータの送信のために使用可能な送信電力に基づいてＳＲＱ情報を生成し、生成したＳＲＱ情報をチャネルコーディング部２２５に出力する。一方、第２のパケット伝送方法が選択された場合、ＳＲＱ情報生成部２２４は、ＳＲＱ情報の生成を行わない。
【００６８】
チャネルコーディング部２２５は、ＤＬ−ＴＰＣ及びＳＲＱ情報を多重し、多重化後のデータに対して誤り訂正符号化処理を行い、符号化処理によって得られた信号を変調部２２６に出力する。
【００６９】
変調部２２６は、チャネルコーディング部２２５の出力信号に対して変調処理を行い、変調信号を拡散部２２７に出力する。拡散部２２７は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、変調部２２６の出力信号に対して拡散処理を行って増幅部２２９に出力する。
【００７０】
送信電力制御部２２８は、ＵＬ−ＴＰＣに従って増幅部２２９の増幅量を制御する。増幅部２２９は、送信電力制御部２２８の制御に従って、拡散部２２７の出力信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部２４８に出力する。
【００７１】
送信パラメータ設定部２４１は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、ＳＡＬ情報によって示される送信パラメータをバッファ２４２、チャネルコーディング部２４３、変調部２４４、拡散部２４５、送信電力制御部２４６に出力する。この結果、通信端末装置２００が、基地局装置１００のスケジューリングに基づいてパケットデータを送信することになる。一方、第２のパケット伝送方法が選択された場合、送信パラメータ設定部２４１は、予め定められた送信パラメータをバッファ２４２、チャネルコーディング部２４３、変調部２４４、拡散部２４５、送信電力制御部２４６に出力する。この結果、通信端末装置２００が、基地局装置１００のスケジューリングによらず、パケットデータを送信することになる。なお、送信パラメータ２４１は、常にＳＡＬ情報が示すパラメータを設定してもよく、バッファ内のデータ量が指定された伝送レートより低くても送信可能な場合等、他の要因を加味してＳＡＬ情報が示すパラメータよりも低い送信電力、伝送レートとなるものを設定してもよい。また、第２のパケット伝送方法選択時の送信パラメータは、常に固定の値でもよく、通信開始時もしくは通信中に上位局から指示されるとしてもよい。または、基地局装置からのＳＡＬ情報に基づいて決めてもよい。例えば、最後に受け取ったＳＡＬ情報を使い続ける、所定期間のうち最低レートのＳＡＬ情報を使用する、ＳＡＬ情報から決まる伝送レートを所定期間で平均化する、あるいは、ＳＡＬ情報を受け取ってからの時間に応じて伝送レートを下げていく、等である。
【００７２】
バッファ２４２は、送信パケットデータを一時的に蓄積し、送信パラメータ設定部２４１に指示されたパケットデータを指示された時間でチャネルコーディング部２４３に出力する。このとき、ＡＣＫを入力した場合、バッファ２４２は、送信済みのパケットデータを廃棄し、新規のパケットデータを出力する。一方、ＮＡＣＫを入力したとき、バッファ２４２は、前回送信したパケットデータを再出力する。
【００７３】
チャネルコーディング部２４３は、送信パラメータ設定部２４１に指示された符号化率でパケットデータに対して誤り訂正符号化処理を行い、符号化処理によって得られたパケット信号を変調部２４４に出力する。
【００７４】
変調部２４４は、送信パラメータ設定部２４１に指示された変調多値数でチャネルコーディング部２４３から出力されたパケット信号に対して変調処理を行い、変調後のパケット信号を拡散部２４５に出力する。
【００７５】
拡散部２４５は、送信パラメータ設定部２４１に指示された拡散率で変調部２４４から出力されたパケット信号に対して拡散処理を行い、拡散後のパケット信号を増幅部２４７に出力する。
【００７６】
送信電力制御部２４６は、送信パラメータ設定部２４１の指示に従って増幅部２４７の増幅量を制御する。増幅部２４７は、送信電力制御部２４６の制御に従って、拡散部２４５から出力されたパケット信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部２４８に出力する。
【００７７】
送信無線部２４８は、増幅部２４７及び増幅部２２９の出力信号を無線周波数にアップコンバートしてアンテナ２０１から無線送信する。
【００７８】
以上が本実施の形態に係る通信端末装置２００の構成の説明である。
【００７９】
次に、伝送方法選択部２２３の具体的な処理内容について説明する。伝送方法選択部２２３は、ＳＨＯ情報、ＳＹＬ情報、データ量測定部２２１の判定結果、送信電力算出部２２２の判定結果の少なくとも１つに基づいて、第１のパケット伝送方法あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する。
【００８０】
例えば、（１）ＳＨＯ情報に基づいて自局（通信端末装置２００）がハンドオーバ状態にあるか否かを判断し、ハンドオーバ状態にある場合には、基地局装置における予測できない受信電力の増加を抑えるために第２のパケット伝送方法を選択する。（２）ＳＹＬ情報に基づいて通信セルのシステム負荷が所定値より大きいか否かを判断し、システム負荷が所定値よりも大きい場合には、セルの基地局装置における受信電力が許容値を超えること抑えるために第２のパケット伝送方法を選択する。（３）データ量測定部２２１の判定結果に基づいてデータ量を判断し、バッファ２４２内のデータ量が所定値より少ない、あるいは／かつ、滞留時間が所定値より短い場合には、高い伝送レートでパケットデータを送る必要がないことからシステム全体のスループットを上げるため、第２のパケット伝送方法を選択する。（４）送信電力算出部２２２の判定結果に基づいてパケットデータの送信のために使用可能な送信電力の大きさを判断し、送信電力の余裕が所定値以下の場合は高い伝送レートでパケットデータを送ることができないため、第２のパケット伝送方法を選択する。
【００８１】
また、伝送方法選択部２２３は、上記（１）〜（４）の判断基準を組み合わせてパケット伝送方法を選択することもできる。例えば、通信端末装置が通信している基地局装置のセルのシステム負荷が小さい場合、たとえ通信端末装置がハンドオーバ状態であったとしても高い伝送レートでパケットデータを送信可能であることから、図３に示すように、通信端末装置がハンドオーバ状態であって、かつ、システム負荷が所定値よりも大きい場合にのみ、第２のパケット伝送方法を選択してＳＲＱ情報を送信しないようにする、等である。
【００８２】
以上の結果、図４に示すように、ＳＲＱ情報は、通信端末装置２００が第１のパケット伝送方法を選択したときには基地局装置１００に送信され、通信端末装置２００が第２のパケット伝送方法を選択したときには基地局装置１００に送信されないこととなる。
【００８３】
次に、スケジューリング部１０８の処理の詳細について図５を用いて説明する。図５は、スケジューリング部１０８の内部構成を示すブロック図である。
【００８４】
スケジューリング部１０８は、ＳＲＱ情報判定部３０１と、送信端末決定部３０２と、送信パラメータ決定部３０３とから主に構成される。
【００８５】
ＳＲＱ情報判定部３０１は、所定時間内に各通信端末装置からＳＲＱ情報が送信されたか否かを判定し、送信が確認されたＳＲＱ情報とこれを送信した通信端末装置とを対応付けて送信端末決定部３０２に出力する。
【００８６】
送信端末決定部３０２は、ＳＲＱ情報を送信した通信端末装置の中で、当該ＳＲＱ情報とＳＩＲ情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する。決定の方法として、例えば、ＳＲＱ情報から各通信端末装置の送信電力の余裕を読み取り、これとＳＩＲに基づいて誤りなく受信できる伝送デートを通信端末装置ごとに求め、最も伝送レートが高い通信端末装置にパケットデータの送信を許可する、等が考えられる。
【００８７】
送信パラメータ決定部３０３は、パケットデータの送信を許可された通信端末装置からのＳＲＱ情報に基づいてパケットデータ送信時のパラメータ（誤り訂正符号化の符号化率、変調多値数、拡散率、送信電力等）を決定し、パケットデータの送信を許可された通信端末装置に対応するチャネルコーディング部１６１にＳＡＬ情報を出力する。
【００８８】
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置において、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してＳＲＱ情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してＳＲＱ情報を送信しないように、ＳＲＱ情報の送信の実行／停止を制御することにより、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００８９】
（実施の形態２）
実施の形態２では、通信端末装置が、基地局装置のスケジューリングによらずに予め定められた送信パラメータでパケットデータを送信する場合（第２のパケット伝送方法）、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を送信する形態について説明する。
【００９０】
なお、実施の形態２において、基地局装置及び通信端末装置の構成は、実施の形態の図１、図２と同様であり、基地局装置のスケジューリング部１０８の内部構成、通信端末装置のＳＲＱ情報生成部２２４の動作のみが異なる。
【００９１】
本実施の形態のＳＲＱ情報生成部２２４は、図６に示すようなバッファ２４２内のデータ量、使用可能な送信電力とＳＲＱ情報とが関係付けられたテーブルを保持している。なお、使用可能な送信電力は、送信電力算出部２２２により計算された値に対しての比としてデシベル（ｄＢ）で表される。
【００９２】
そして、ＳＲＱ情報生成部２２４は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、図６のテーブルに従ってＳＲＱ情報を生成する。例えば、バッファ２４２内のデータ量が３５０ｂｉｔで、使用可能な送信電力が３ｄＢの場合、これらの最小値に対応するＳＲＱ情報「２」が生成される。
【００９３】
一方、ＳＲＱ情報生成部２２４は、第２のパケット伝送方法が選択された場合、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を一義的に生成する。ここで、特定の値としては、送信可能な伝送レートが最も低いことを示す値、バッファ内のパケットデータ量が最も少ないことを示す値（図６の場合、「０」）、あるいは、ＳＲＱ情報としてテーブル上で未使用の値（図６の場合、「７」）等が考えられる。
【００９４】
本実施の形態のスケジューリング部１０８は、図７に示すように、実施の形態１と比較してＳＲＱ情報判定部３０１が不要となる。
【００９５】
送信端末決定部３０２は、通信中の全ての通信端末装置の中で、ＳＲＱ情報とＳＩＲ情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する。この場合、特定の値のＳＲＱ情報を送信した通信端末装置にパケットデータの送信を許可することはない。
【００９６】
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置において、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してテーブルに従ったＳＲＱ情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してパケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を送信するように、ＳＲＱ情報の内容を制御することにより、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００９７】
なお、上記各実施の形態では、基地局装置がＳＩＲ情報に基づいてスケジューリングを行う場合について説明したが、本発明はこれに限られず、逆拡散前電力、逆拡散後電力等に基づいてスケジューリングを行ってもよい。また、本発明では、基地局装置が同時に送信を許可する通信端末装置は複数であってもよい。
【００９８】
また、上記各実施の形態では、通信端末装置が第１のパケット伝送方法と第２のパケット伝送方法とのどちらかを選択する場合について説明したが、データ量が全くない場合等にパケット伝送の停止を選択することもできる。なお、パケット伝送を停止する場合には、当然、通信端末装置は基地局装置にＳＲＱ情報を送信しない。
【００９９】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通信端末装置において選択したパケット伝送方法によって、スケジューリング要求情報の送信の実行／停止を制御する、あるいは、スケジューリング要求情報の内容を制御することにより、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態１に係る基地局装置の構成を示すブロック図
【図２】本発明の実施の形態１に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図３】本発明の実施の形態１に係る通信端末装置のパケット伝送方法選択の一例を示す図
【図４】本発明の実施の形態１に係るパケット伝送方法とＳＲＱ情報の送受との関係を示す図
【図５】本発明の実施の形態１に係る基地局装置のスケジューリング部の内部構成を示すブロック図
【図６】本発明の実施の形態２に係る通信端末装置のＳＲＱ情報生成部に保持されるテーブルの一例を示す図
【図７】本発明の実施の形態２に係る基地局装置のスケジューリング部の内部構成を示すブロック図
【符号の説明】
１０６ ＳＩＲ測定部
１０８ スケジューリング部
１２１ 逆拡散部
１２２ 復調部
１２３ チャネルデコーディング部
１２４ 誤り検出部
１６１ チャネルコーディング部
２０５ チャネルデコーディング部
２２１ データ量測定部
２２２ 送信電力算出部
２２３ 伝送方法選択部
２２４ ＳＲＱ情報生成部
２２５ チャネルデコーディング部
２４１ 送信パラメータ設定部
２４２ バッファ
２４３ チャネルコーディング部
２４４ 変調部
２４５ 拡散部
２４６ 送信電力制御部
２４７ 増幅部
【発明の属する技術分野】
本発明は、上り回線においてパケット伝送を行う無線通信システムに用いられる通信端末装置及び無線通信方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
下り回線においてパケットデータを伝送する技術として、ＨＳＤＰＡ（Ｈｉｇｈ−Ｓｐｅｅｄ Ｄｏｗｎｌｉｎｋ Ｐａｃｋｅｔ Ａｃｃｅｓｓ）と呼ばれるパケット伝送方式が知られている（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
ＨＳＤＰＡでは、１つの物理チャネルを複数の通信端末装置で時間分割により共有して使用する。このため、基地局装置は、所定の時間単位でパケットデータを送信する先の通信端末装置及びパケットデータの送信パラメータを決定する（一般に「スケジューリング」と呼ばれる）。スケジューリングは、例えば、基地局装置が通信端末装置に送信するデータ量、許容遅延時間、通信品質などに基づいて行われる。
【０００４】
一方、上り回線におけるパケット伝送技術も現在検討されている。この上り回線のパケット伝送方法として、以下の２つが挙げられる。
【０００５】
まず、１つ目は、下り回線と同様に、基地局装置がスケジューリングを行い、複数の通信端末装置の中からパケット送信を許可する通信端末装置を決定する伝送方式（Ｂａｓｅ−ｓｔａｔｉｏｎ Ｃｏｎｔｒｏｌｌｅｄ Ｓｃｈｅｄｕｌｅｄ Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ：以下、「第１のパケット伝送方法」という）である。
【０００６】
この方法では、基地局装置で決定されたスケジューリングの情報（データ送信許可）およびその際の送信パラメータ（伝送レート）が、通信中の各通信端末装置に送信され、各通信端末装置では、送信されたスケジューリング情報および送信パラメータに基づいて基地局装置にパケットデータを送信する。
【０００７】
２つ目は、基地局装置がスケジューリングを行わず、各通信端末装置が所定の送信パラメータ（伝送レート）で基地局装置にパケットデータを送信する伝送方式（Ａｕｔｏｎｏｍｏｕｓ Ｔｒａｎｓｍｉｓｓｉｏｎ：以下、「第２のパケット伝送方法」という）である。
【０００８】
第１のパケット伝送方法は、例えば、データ量が多い通信端末装置に、基地局装置において許容される受信電力の増加分を集中して割り当てれば、高い伝送レートでパケット伝送を行うことができるという利点がある。しかしながら、一方で、第１のパケット伝送方法には、通信端末装置がセル端にいてソフトハンドオーバ（ＳＨＯ）を行っている場合に、スケジューリングにより選択しなかった基地局装置において予想しない受信電力の増加が起こってしまい、他の通信端末において受信品質が劣化してしまうという欠点がある。
【０００９】
また、第２のパケット伝送方法は、基地局装置においてスケジューリングを行う必要がないため、低遅延でデータを伝送することができるという利点がある。しかしながら、一方で、第２のパケット伝送方法には、他セルに対する干渉を抑えるため常に、低い伝送レートでしかパケット伝送を行うことができないという欠点がある。
【００１０】
このように、上記２つの方法にはそれぞれに長所短所があるため、状況に応じてこれらの方法を適応的に切替えて用いることが考えられる。例えば、非特許文献１には、通信端末装置がハンドオーバ状態のときには他セルに対する干渉を抑えるため第２のパケット伝送方法を用い、通常の場合（ハンドオーバー状態ではないとき）には第１のパケット伝送方式を用いることが記載されている。
【００１１】
ここで、上り回線のパケット伝送方法を適応的に切替える場合、通信端末装置がどちらの方法を用いてパケットを伝送するかを通信端末装置から基地局装置に逐次知らせる必要がある。
【００１２】
従来では、通信端末装置から基地局装置にパケット伝送方法を知らせるための固有の信号を送信している。
【００１３】
【特許文献１】
特開２０００−１５１６２３号公報
【非特許文献１】
３ＧＰＰ ＴＳＧ ＲＡＮ ＷＧ１＃３１ Ｒ１−０３−０２８４， Ｌｕｃｅｎｔ ”Ｓｃｈｅｄｕｌｅｄ ａｎｄ Ａｕｔｏｎｏｍｏｕｓ Ｍｏｄｅ Ｏｐｅｒａｔｉｏｎ ｆｏｒ ｔｈｅ Ｅｎｈａｎｃｅｄ Ｕｐｌｉｎｋ”
【００１４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、通信端末装置がパケット伝送方法を知らせるために新たな信号を生成して送信することは、上り回線の干渉が増加してしまい、システムのキャパシティが低下し、通信端末装置の消費電力が大きくなってしまうという問題を生じさせる。
【００１５】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、基地局装置に固有の信号を送信せず、システムのキャパシティを低下させずに、また、通信端末装置の消費電力を増加させずに、パケット伝送方法を知らせることができる通信端末装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【００１６】
【課題を解決するための手段】
本発明の通信端末装置は、上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる通信端末装置であって、前記第１あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する伝送方法選択手段と、前記第１のパケット伝送方法時に前記基地局装置がスケジューリングに用いるスケジューリング要求情報を生成し、前記スケジューリング要求情報の生成方法によってパケット伝送方法を区別して表現するスケジューリング要求情報生成手段と、前記スケジューリング要求情報を基地局装置に送信する送信手段とを具備する構成を採る。
【００１７】
この構成により、基地局装置がスケジューリング要求情報を通信端末装置が送信することを利用して、基地局装置に固有の信号を送信せず、システムのキャパシティを低下させずに、また、通信端末装置の消費電力を増加させずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００１８】
本発明の通信端末装置における前記スケジューリング要求情報生成手段は、前記第２のパケット伝送方法時には、前記スケジューリング用情報の生成を停止する構成を採る。
【００１９】
この構成により、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してスケジューリング要求情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してスケジューリング要求情報を送信しないように、スケジューリング要求情報の送信の実行／停止を制御することができ、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００２０】
本発明の通信端末装置における前記スケジューリング要求情報生成手段は、前記第２のパケット伝送方法時には、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を生成する構成を採る。
【００２１】
この構成により、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してテーブルに従ったスケジューリング要求情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してパケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を送信するように、スケジューリング要求情報の内容を制御することができ、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００２２】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、ハンドオーバ状態ではない場合には前記第１のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２３】
この構成により、ハンドオーバ状態にある場合には、基地局装置における予測できない受信電力の増加を抑えるために第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００２４】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、通信中の基地局装置におけるシステム負荷が所定の閾値以下の場合には前記第１のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２５】
この構成により、システム負荷が所定値よりも大きい場合には、セルの基地局装置における受信電力が許容値を超えること抑えるために第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００２６】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、バッファ内のパケットデータ量が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２７】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、バッファ内のパケットの滞留時間が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００２８】
これらの構成により、バッファ内のデータ量が所定値より少ない、あるいは／かつ、滞留時間が所定値より短い場合には、高い伝送レートでパケットデータを送る必要がないことからシステム全体のスループットを上げるため、第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００２９】
本発明の通信端末装置における前記伝送方法選択手段は、パケットデータを送信するための送信電力が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択する構成を採る。
【００３０】
この構成により、送信電力の余裕が所定値以下の場合、第２のパケット伝送方法を選択することができる。
【００３１】
本発明の基地局装置は、上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる基地局装置であって、所定時間内に各通信端末装置から送信されたスケジューリング要求情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する送信端末決定手段と、パケットデータの送信を許可された通信端末装置からのスケジューリング要求情報に基づいてパケットデータ送信時のパラメータを決定する送信パラメータ決定手段とを具備する構成を採る。
【００３２】
本発明の基地局装置は、所定時間内に各通信端末装置からスケジューリング要求情報が送信されたか否かを判定するスケジューリング用情報判定手段を具備し、送信端末決定手段は、前記スケジューリング要求情報を送信した通信端末装置の中からパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する構成を採る。
【００３３】
本発明の基地局装置における送信端末決定手段は、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を送信した通信端末装置を除いた中からパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する構成を採る。
【００３４】
本発明の無線通信方法は、上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる無線通信方法であって、前記通信端末装置が、前記第１あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する工程と、前記第１のパケット伝送方法時に前記基地局装置がスケジューリングに用いるスケジューリング要求情報を生成し、前記スケジューリング要求情報の生成方法によってパケット伝送方法を区別して表現する工程と、前記スケジューリング要求情報を基地局装置に送信する工程とを具備し、前記基地局装置が、前記通信端末装置から送信された前記スケジューリング要求情報に基づいてスケジューリングを行う工程と、パケットの送信を許可する通信端末装置に送信パラメータを送信する工程とを具備する方法をとる。
【００３５】
この方法により、基地局装置がスケジューリング要求情報を通信端末装置が送信することを利用して、基地局装置に固有の信号を送信せず、システムのキャパシティを低下させずに、また、通信端末装置の消費電力を増加させずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００３６】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、上り回線のパケット伝送では通信端末装置がスケジューリング要求情報を基地局装置に送信することに着目し、基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う方法を選択した場合、この選択結果を、スケジューリング要求情報の送信を停止する、あるいは、スケジューリング要求情報の内容を制御することにより基地局装置に知らせることである。
【００３７】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【００３８】
（実施の形態１）
実施の形態１では、通信端末装置が、基地局装置のスケジューリングによらずに予め定められた送信パラメータでパケットデータを送信する場合（第２のパケット伝送方法）、基地局装置に対してスケジューリングを要求する情報（以下、「ＳＲＱ情報」という）を送信しない形態について説明する。なお、ＳＲＱ情報は、通信端末装置が要求するデータ量、伝送レートあるいは使用可能な送信電力を示す情報である。
【００３９】
まず、本実施の形態の基地局装置１００の各構成部分の作用について、図１のブロック図を用いて説明する。
【００４０】
受信無線部１０２は、アンテナ１０１に受信された無線周波数の受信信号をベースバンドのディジタル信号に変換し、逆拡散部１０３及び逆拡散部１２１に出力する。
【００４１】
逆拡散部１０３は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、受信ベースバンド信号に対して逆拡散処理を行い、各通信端末装置から送信された個別チャネルの信号を取り出して復調部１０４に出力する。また、逆拡散部１０３は、逆拡散の際に作成する遅延プロファイルから得られる希望波電力を示す情報をＳＩＲ測定部１０６に出力する。
【００４２】
復調部１０４は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、逆拡散部１０３の出力信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコーディング部１０５に出力する。
【００４３】
チャネルデコーディング部１０５は、復調部１０４の出力信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信データ、下り回線用の送信電力制御コマンド（以下、「ＤＬ−ＴＰＣ」という）及びＳＲＱ情報を取り出す。受信データは上位の制御局に送られ、ＤＬ−ＴＰＣは送信電力制御部１６４に送られ、ＳＲＱ情報はスケジューリング部１０８に送られる。
【００４４】
なお、ＳＲＱ情報は、通信端末装置が望む送信パケットデータの伝送レートを示す情報であり、例えば１〜ｎ（ｎは２以上の自然数）で表される。この伝送レートは、通信端末装置に蓄積されているパケットデータの量及びその滞留時間と通信端末装置においてパケットデータの送信のために使用可能な送信電力に基づいて定められる。また、本実施の形態では、第２のパケット伝送方法を選択した通信端末装置からはＳＲＱ情報は送信されない。
【００４５】
ＳＩＲ測定部１０６は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、希望波電力の分散値から干渉波電力を算出し、希望波電力と干渉波電力との比（以下、「ＳＩＲ」という）を算出し、ＳＩＲを示す情報をＴＰＣ生成部１０７及びスケジューリング部１０８に出力する。
【００４６】
ＴＰＣ生成部１０７は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、上り回線の受信ＳＩＲと目標ＳＩＲとの大小関係により、上り回線の送信電力の増減を指示する上り回線用の送信電力制御コマンド（以下、「ＵＬ−ＴＰＣ」という）を生成し、ＵＬ−ＴＰＣをチャネルコーディング部１６１に出力する。
【００４７】
スケジューリング部１０８は、各通信端末装置からのＳＲＱ情報及びＳＩＲに基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定し、そのパケットデータ送信時のパラメータ（誤り訂正符号化の符号化率、変調多値数、拡散率、送信電力等）を決定する（スケジューリング）。そして、スケジューリング部１０８は、スケジューリングの結果を示す情報（以下、「ＳＡＬ情報」という）をチャネルコーディング部１６１に送り、送信パラメータを示す情報を逆拡散部１２１、復調部１２２及びチャネルデコーディング部１２３に出力する。なお、基地局装置１００は、パケットデータの送信を許可する通信端末装置にはＳＡＬ情報を必ず送信するが、他の通信端末装置には送信しなくても良い。スケジューリング部１０８の処理の詳細については後述する。
【００４８】
逆拡散部１２１は、スケジューリング部１０８からの送信パラメータ情報に示された拡散率で、受信ベースバンド信号に対して逆拡散処理を行い、通信端末装置から送信されたパケット信号を取り出して復調部１２２に出力する。
【００４９】
復調部１２２は、スケジューリング部１０８からの送信パラメータ情報に示された変調多値数で、逆拡散部１２１から出力されたパケット信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコーディング部１２３に出力する。
【００５０】
チャネルデコーディング部１２３は、スケジューリング部１０８からの送信パラメータ情報に示された符号化率で、復調部１２２から出力された復調信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信パケットデータを取り出し、誤り検出部１２４に出力する。
【００５１】
誤り検出部１２４は、チャネルデコーディング部１２３から出力された受信パケットデータに対して誤り検出を行う。そして、誤りが検出されなかった場合、誤り検出部１２４は、受信パケットデータを上位局に出力するとともに、正しく復調できた旨を示すＡＣＫ信号をチャネルコーディング部１６１に出力する。一方、誤りが検出された場合、誤り検出部１２４は、正しく復調できなかった旨を示すＮＡＣＫ信号をチャネルコーディング部１６１に出力する。
【００５２】
チャネルコーディング部１６１は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、各通信端末装置に個別チャネルで送信する送信データに、パイロット信号（ＰＬ）、ＡＣＫ／ＮＡＣＫ、ＵＬ−ＴＰＣ及びＳＡＬ情報を多重し、多重化後のデータに対して誤り訂正符号化処理を行い、符号化処理によって得られた信号を変調部１６２に出力する。なお、送信データには、無線ネットワーク制御装置等の上位装置にて、システム負荷を示す情報（以下、「ＳＹＬ情報」という）、ソフトハンドオーバ状態か否かを示す情報（以下、「ＳＨＯ情報」という）が多重されるが、基地局装置は送信データを扱うのみで内容を認識しないためこれらの情報を知ることはない。また、ＳＹＬ情報は、少なくとも１つの基地局装置におけるシステム負荷から生成されるものであり、システム負荷を示す指標として、（１）基地局装置における受信電力と熱雑音電力の和、（２）通信中の通信端末装置の数、（３）使用中の伝送レートの和、等が挙げられる。
【００５３】
変調部１６２は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、チャネルコーディング部１６１の出力信号に対して変調処理を行い、変調信号を拡散部１６３に出力する。
【００５４】
拡散部１６３は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、変調部１６２の出力信号に対して拡散処理を行って増幅部１６５に出力する。
【００５５】
送信電力制御部１６４は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、ＤＬ−ＴＰＣに従って増幅部１６５の増幅量を制御する。増幅部１６５は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、送信電力制御部１６４の制御に従って、拡散部１６３の出力信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部１６６に出力する。
【００５６】
送信無線部１６６は、増幅部１６５の出力信号を無線周波数にアップコンバートしてアンテナ１０１から無線送信する。
【００５７】
以上が、本実施の形態に係る基地局装置１００の構成の説明である。
【００５８】
次に、本実施の形態の通信端末装置２００の各構成部分の作用について、図２のブロック図を用いて説明する。
【００５９】
受信無線部２０２は、アンテナ２０１に受信された無線周波数の受信信号をベースバンドのディジタル信号に変換し、逆拡散部２０３に出力する。
【００６０】
逆拡散部２０３は、受信ベースバンド信号に対して逆拡散処理を行い、基地局装置から送信された個別チャネルの信号を取り出して復調部２０４に出力する。また、逆拡散部２０３は、逆拡散の際に作成する遅延プロファイルから得られる希望波電力を示す情報をＳＩＲ測定部２０６に出力する。
【００６１】
復調部２０４は、逆拡散部２０３の出力信号に対して復調処理を行い、復調信号をチャネルデコーディング部２０５に出力する。チャネルデコーディング部２０５は、復調部２０４の出力信号に対して誤り訂正復号等の復号処理を行い、受信データ、ＳＡＬ情報、ＵＬ−ＴＰＣ及びＡＣＫ／ＮＡＣＫを取り出す。なお、ＳＨＯ情報及びＳＹＬ情報は、受信データより取り出される。ＳＡＬ情報は送信パラメータ設定部２４１に送られ、ＵＬ−ＴＰＣは送信電力制御部２２８に送られ、ＡＣＫ／ＮＡＣＫはバッファ２４２に送られ、ＳＨＯ情報及びＳＹＬ情報は伝送方法選択部２２３に送られる。
【００６２】
ＳＩＲ測定部２０６は、希望波電力の分散値から干渉波電力を算出し、希望波電力と干渉波電力とからＳＩＲを算出し、ＳＩＲを示す信号をＴＰＣ生成部２０７に出力する。
【００６３】
ＴＰＣ生成部２０７は、下り回線の受信ＳＩＲと目標ＳＩＲとの大小関係により、下り回線の送信電力の増減を指示するＤＬ−ＴＰＣを生成し、ＤＬ−ＴＰＣをチャネルコーディング部２２５に出力する。
【００６４】
データ量測定部２２１は、後述するバッファ２４２内のデータ量及びそのデータの滞留時間を測定し、測定結果をＳＲＱ情報生成部２２４に出力する。また、データ量測定部２２１は、データ量が所定の閾値以上か否か、及び、そのデータの滞留時間が所定の閾値以上か否かをそれぞれ判定し、判定結果を示す情報を伝送方法選択部２２３に出力する。なお、サービスの種類に応じて上記の閾値を適応的に制御すれば、サービスごとに品質を確保した上で、ＳＲＱ情報の送信頻度を低減することができる。
【００６５】
送信電力算出部２２２は、予め定められている送信電力の最大値から、後述する送信無線部２４８において送信される全ての信号の送信電力を減算して、パケットデータの送信のために使用可能な送信電力を算出し、算出結果をＳＲＱ情報生成部２２４に出力する。また、送信電力算出部２２２は、パケットデータの送信のために使用可能な送信電力が所定の閾値以上か否かを判定し、判定結果を示す情報を伝送方法選択部２２３に出力する。なお、使用可能な送信電力の計算において、パケットデータの電力及び／又はＳＲＱ情報の電力を考慮する／考慮しないは、システムに応じて適宜決定することができる。
【００６６】
伝送方法選択部２２３は、ＳＨＯ情報、ＳＹＬ情報、データ量測定部２２１の判定結果、送信電力算出部２２２の判定結果の少なくとも１つに基づいて、第１のパケット伝送方法あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択し、選択したパケット伝送方法を示す情報をＳＲＱ情報生成部２２４及び送信パラメータ設定部２４１に出力する。なお、第１のパケット伝送方法と第２のパケット伝送方法は、１つのアルゴリズムにおける異なる動作として実現されていてもよい。例えば、１つのアルゴリズムにおいて基地局がスケジューリングするかしないかの違いであってもよい。伝送方法選択部２２３の具体的な処理内容は後述する。
【００６７】
ＳＲＱ情報生成部２２４は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、データ量測定部２２１にて測定されたデータ量及び／又はその滞留時間、送信電力算出部２２２にて算出されたパケットデータの送信のために使用可能な送信電力に基づいてＳＲＱ情報を生成し、生成したＳＲＱ情報をチャネルコーディング部２２５に出力する。一方、第２のパケット伝送方法が選択された場合、ＳＲＱ情報生成部２２４は、ＳＲＱ情報の生成を行わない。
【００６８】
チャネルコーディング部２２５は、ＤＬ−ＴＰＣ及びＳＲＱ情報を多重し、多重化後のデータに対して誤り訂正符号化処理を行い、符号化処理によって得られた信号を変調部２２６に出力する。
【００６９】
変調部２２６は、チャネルコーディング部２２５の出力信号に対して変調処理を行い、変調信号を拡散部２２７に出力する。拡散部２２７は、無線通信を行う通信端末装置の数だけ用意され、変調部２２６の出力信号に対して拡散処理を行って増幅部２２９に出力する。
【００７０】
送信電力制御部２２８は、ＵＬ−ＴＰＣに従って増幅部２２９の増幅量を制御する。増幅部２２９は、送信電力制御部２２８の制御に従って、拡散部２２７の出力信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部２４８に出力する。
【００７１】
送信パラメータ設定部２４１は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、ＳＡＬ情報によって示される送信パラメータをバッファ２４２、チャネルコーディング部２４３、変調部２４４、拡散部２４５、送信電力制御部２４６に出力する。この結果、通信端末装置２００が、基地局装置１００のスケジューリングに基づいてパケットデータを送信することになる。一方、第２のパケット伝送方法が選択された場合、送信パラメータ設定部２４１は、予め定められた送信パラメータをバッファ２４２、チャネルコーディング部２４３、変調部２４４、拡散部２４５、送信電力制御部２４６に出力する。この結果、通信端末装置２００が、基地局装置１００のスケジューリングによらず、パケットデータを送信することになる。なお、送信パラメータ２４１は、常にＳＡＬ情報が示すパラメータを設定してもよく、バッファ内のデータ量が指定された伝送レートより低くても送信可能な場合等、他の要因を加味してＳＡＬ情報が示すパラメータよりも低い送信電力、伝送レートとなるものを設定してもよい。また、第２のパケット伝送方法選択時の送信パラメータは、常に固定の値でもよく、通信開始時もしくは通信中に上位局から指示されるとしてもよい。または、基地局装置からのＳＡＬ情報に基づいて決めてもよい。例えば、最後に受け取ったＳＡＬ情報を使い続ける、所定期間のうち最低レートのＳＡＬ情報を使用する、ＳＡＬ情報から決まる伝送レートを所定期間で平均化する、あるいは、ＳＡＬ情報を受け取ってからの時間に応じて伝送レートを下げていく、等である。
【００７２】
バッファ２４２は、送信パケットデータを一時的に蓄積し、送信パラメータ設定部２４１に指示されたパケットデータを指示された時間でチャネルコーディング部２４３に出力する。このとき、ＡＣＫを入力した場合、バッファ２４２は、送信済みのパケットデータを廃棄し、新規のパケットデータを出力する。一方、ＮＡＣＫを入力したとき、バッファ２４２は、前回送信したパケットデータを再出力する。
【００７３】
チャネルコーディング部２４３は、送信パラメータ設定部２４１に指示された符号化率でパケットデータに対して誤り訂正符号化処理を行い、符号化処理によって得られたパケット信号を変調部２４４に出力する。
【００７４】
変調部２４４は、送信パラメータ設定部２４１に指示された変調多値数でチャネルコーディング部２４３から出力されたパケット信号に対して変調処理を行い、変調後のパケット信号を拡散部２４５に出力する。
【００７５】
拡散部２４５は、送信パラメータ設定部２４１に指示された拡散率で変調部２４４から出力されたパケット信号に対して拡散処理を行い、拡散後のパケット信号を増幅部２４７に出力する。
【００７６】
送信電力制御部２４６は、送信パラメータ設定部２４１の指示に従って増幅部２４７の増幅量を制御する。増幅部２４７は、送信電力制御部２４６の制御に従って、拡散部２４５から出力されたパケット信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号を送信無線部２４８に出力する。
【００７７】
送信無線部２４８は、増幅部２４７及び増幅部２２９の出力信号を無線周波数にアップコンバートしてアンテナ２０１から無線送信する。
【００７８】
以上が本実施の形態に係る通信端末装置２００の構成の説明である。
【００７９】
次に、伝送方法選択部２２３の具体的な処理内容について説明する。伝送方法選択部２２３は、ＳＨＯ情報、ＳＹＬ情報、データ量測定部２２１の判定結果、送信電力算出部２２２の判定結果の少なくとも１つに基づいて、第１のパケット伝送方法あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する。
【００８０】
例えば、（１）ＳＨＯ情報に基づいて自局（通信端末装置２００）がハンドオーバ状態にあるか否かを判断し、ハンドオーバ状態にある場合には、基地局装置における予測できない受信電力の増加を抑えるために第２のパケット伝送方法を選択する。（２）ＳＹＬ情報に基づいて通信セルのシステム負荷が所定値より大きいか否かを判断し、システム負荷が所定値よりも大きい場合には、セルの基地局装置における受信電力が許容値を超えること抑えるために第２のパケット伝送方法を選択する。（３）データ量測定部２２１の判定結果に基づいてデータ量を判断し、バッファ２４２内のデータ量が所定値より少ない、あるいは／かつ、滞留時間が所定値より短い場合には、高い伝送レートでパケットデータを送る必要がないことからシステム全体のスループットを上げるため、第２のパケット伝送方法を選択する。（４）送信電力算出部２２２の判定結果に基づいてパケットデータの送信のために使用可能な送信電力の大きさを判断し、送信電力の余裕が所定値以下の場合は高い伝送レートでパケットデータを送ることができないため、第２のパケット伝送方法を選択する。
【００８１】
また、伝送方法選択部２２３は、上記（１）〜（４）の判断基準を組み合わせてパケット伝送方法を選択することもできる。例えば、通信端末装置が通信している基地局装置のセルのシステム負荷が小さい場合、たとえ通信端末装置がハンドオーバ状態であったとしても高い伝送レートでパケットデータを送信可能であることから、図３に示すように、通信端末装置がハンドオーバ状態であって、かつ、システム負荷が所定値よりも大きい場合にのみ、第２のパケット伝送方法を選択してＳＲＱ情報を送信しないようにする、等である。
【００８２】
以上の結果、図４に示すように、ＳＲＱ情報は、通信端末装置２００が第１のパケット伝送方法を選択したときには基地局装置１００に送信され、通信端末装置２００が第２のパケット伝送方法を選択したときには基地局装置１００に送信されないこととなる。
【００８３】
次に、スケジューリング部１０８の処理の詳細について図５を用いて説明する。図５は、スケジューリング部１０８の内部構成を示すブロック図である。
【００８４】
スケジューリング部１０８は、ＳＲＱ情報判定部３０１と、送信端末決定部３０２と、送信パラメータ決定部３０３とから主に構成される。
【００８５】
ＳＲＱ情報判定部３０１は、所定時間内に各通信端末装置からＳＲＱ情報が送信されたか否かを判定し、送信が確認されたＳＲＱ情報とこれを送信した通信端末装置とを対応付けて送信端末決定部３０２に出力する。
【００８６】
送信端末決定部３０２は、ＳＲＱ情報を送信した通信端末装置の中で、当該ＳＲＱ情報とＳＩＲ情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する。決定の方法として、例えば、ＳＲＱ情報から各通信端末装置の送信電力の余裕を読み取り、これとＳＩＲに基づいて誤りなく受信できる伝送デートを通信端末装置ごとに求め、最も伝送レートが高い通信端末装置にパケットデータの送信を許可する、等が考えられる。
【００８７】
送信パラメータ決定部３０３は、パケットデータの送信を許可された通信端末装置からのＳＲＱ情報に基づいてパケットデータ送信時のパラメータ（誤り訂正符号化の符号化率、変調多値数、拡散率、送信電力等）を決定し、パケットデータの送信を許可された通信端末装置に対応するチャネルコーディング部１６１にＳＡＬ情報を出力する。
【００８８】
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置において、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してＳＲＱ情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してＳＲＱ情報を送信しないように、ＳＲＱ情報の送信の実行／停止を制御することにより、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００８９】
（実施の形態２）
実施の形態２では、通信端末装置が、基地局装置のスケジューリングによらずに予め定められた送信パラメータでパケットデータを送信する場合（第２のパケット伝送方法）、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を送信する形態について説明する。
【００９０】
なお、実施の形態２において、基地局装置及び通信端末装置の構成は、実施の形態の図１、図２と同様であり、基地局装置のスケジューリング部１０８の内部構成、通信端末装置のＳＲＱ情報生成部２２４の動作のみが異なる。
【００９１】
本実施の形態のＳＲＱ情報生成部２２４は、図６に示すようなバッファ２４２内のデータ量、使用可能な送信電力とＳＲＱ情報とが関係付けられたテーブルを保持している。なお、使用可能な送信電力は、送信電力算出部２２２により計算された値に対しての比としてデシベル（ｄＢ）で表される。
【００９２】
そして、ＳＲＱ情報生成部２２４は、第１のパケット伝送方法が選択された場合、図６のテーブルに従ってＳＲＱ情報を生成する。例えば、バッファ２４２内のデータ量が３５０ｂｉｔで、使用可能な送信電力が３ｄＢの場合、これらの最小値に対応するＳＲＱ情報「２」が生成される。
【００９３】
一方、ＳＲＱ情報生成部２２４は、第２のパケット伝送方法が選択された場合、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を一義的に生成する。ここで、特定の値としては、送信可能な伝送レートが最も低いことを示す値、バッファ内のパケットデータ量が最も少ないことを示す値（図６の場合、「０」）、あるいは、ＳＲＱ情報としてテーブル上で未使用の値（図６の場合、「７」）等が考えられる。
【００９４】
本実施の形態のスケジューリング部１０８は、図７に示すように、実施の形態１と比較してＳＲＱ情報判定部３０１が不要となる。
【００９５】
送信端末決定部３０２は、通信中の全ての通信端末装置の中で、ＳＲＱ情報とＳＩＲ情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する。この場合、特定の値のＳＲＱ情報を送信した通信端末装置にパケットデータの送信を許可することはない。
【００９６】
このように、本実施の形態によれば、通信端末装置において、第１のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してテーブルに従ったＳＲＱ情報を送信し、第２のパケット伝送方法を選択した場合には基地局装置に対してパケットデータの送信が許可されることのない特定の値のＳＲＱ情報を送信するように、ＳＲＱ情報の内容を制御することにより、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【００９７】
なお、上記各実施の形態では、基地局装置がＳＩＲ情報に基づいてスケジューリングを行う場合について説明したが、本発明はこれに限られず、逆拡散前電力、逆拡散後電力等に基づいてスケジューリングを行ってもよい。また、本発明では、基地局装置が同時に送信を許可する通信端末装置は複数であってもよい。
【００９８】
また、上記各実施の形態では、通信端末装置が第１のパケット伝送方法と第２のパケット伝送方法とのどちらかを選択する場合について説明したが、データ量が全くない場合等にパケット伝送の停止を選択することもできる。なお、パケット伝送を停止する場合には、当然、通信端末装置は基地局装置にＳＲＱ情報を送信しない。
【００９９】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、通信端末装置において選択したパケット伝送方法によって、スケジューリング要求情報の送信の実行／停止を制御する、あるいは、スケジューリング要求情報の内容を制御することにより、基地局装置に固有の信号を送信せずに、パケット伝送方法を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態１に係る基地局装置の構成を示すブロック図
【図２】本発明の実施の形態１に係る通信端末装置の構成を示すブロック図
【図３】本発明の実施の形態１に係る通信端末装置のパケット伝送方法選択の一例を示す図
【図４】本発明の実施の形態１に係るパケット伝送方法とＳＲＱ情報の送受との関係を示す図
【図５】本発明の実施の形態１に係る基地局装置のスケジューリング部の内部構成を示すブロック図
【図６】本発明の実施の形態２に係る通信端末装置のＳＲＱ情報生成部に保持されるテーブルの一例を示す図
【図７】本発明の実施の形態２に係る基地局装置のスケジューリング部の内部構成を示すブロック図
【符号の説明】
１０６ ＳＩＲ測定部
１０８ スケジューリング部
１２１ 逆拡散部
１２２ 復調部
１２３ チャネルデコーディング部
１２４ 誤り検出部
１６１ チャネルコーディング部
２０５ チャネルデコーディング部
２２１ データ量測定部
２２２ 送信電力算出部
２２３ 伝送方法選択部
２２４ ＳＲＱ情報生成部
２２５ チャネルデコーディング部
２４１ 送信パラメータ設定部
２４２ バッファ
２４３ チャネルコーディング部
２４４ 変調部
２４５ 拡散部
２４６ 送信電力制御部
２４７ 増幅部
Claims (12)
- 上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる通信端末装置であって、
前記第１あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する伝送方法選択手段と、前記第１のパケット伝送方法時に前記基地局装置がスケジューリングに用いるスケジューリング要求情報を生成し、前記スケジューリング要求情報の生成方法によってパケット伝送方法を区別して表現するスケジューリング要求情報生成手段と、前記スケジューリング要求情報を基地局装置に送信する送信手段とを具備することを特徴とする通信端末装置。 - 前記スケジューリング要求情報生成手段は、前記第２のパケット伝送方法時には、前記スケジューリング用情報の生成を停止することを特徴とする請求項１記載の通信端末装置。
- 前記スケジューリング要求情報生成手段は、前記第２のパケット伝送方法時には、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を生成することを特徴とする請求項１記載の通信端末装置。
- 前記伝送方法選択手段は、ハンドオーバ状態ではない場合には前記第１のパケット伝送方法を選択することを特徴とする請求項１から請求項３のいずれかに記載の通信端末装置。
- 前記伝送方法選択手段は、通信中の基地局装置におけるシステム負荷が所定の閾値以下の場合には前記第１のパケット伝送方法を選択することを特徴とする請求項１から請求項４のいずれかに記載の通信端末装置。
- 前記伝送方法選択手段は、バッファ内のパケットデータ量が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択することを特徴とする請求項１から請求項５のいずれかに記載の通信端末装置。
- 前記伝送方法選択手段は、バッファ内のパケットの滞留時間が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択することを特徴とする請求項１から請求項６のいずれかに記載の通信端末装置。
- 前記伝送方法選択手段は、パケットデータを送信するための送信電力が所定の閾値以下の場合には前記第２のパケット伝送方法を選択することを特徴とする請求項１から請求項７のいずれかに記載の通信端末装置。
- 上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる基地局装置であって、
所定時間内に各通信端末装置から送信されたスケジューリング要求情報に基づいてパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定する送信端末決定手段と、パケットデータの送信を許可された通信端末装置からのスケジューリング要求情報に基づいてパケットデータ送信時のパラメータを決定する送信パラメータ決定手段とを具備することを特徴とする基地局装置。 - 所定時間内に各通信端末装置からスケジューリング要求情報が送信されたか否かを判定するスケジューリング用情報判定手段を具備し、送信端末決定手段は、前記スケジューリング要求情報を送信した通信端末装置の中からパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定することを特徴とする請求項９記載の基地局装置。
- 送信端末決定手段は、パケットデータの送信が許可されることのない特定の値のスケジューリング要求情報を送信した通信端末装置を除いた中からパケットデータの送信を許可する通信端末装置を決定することを特徴とする請求項９記載の基地局装置。
- 上り回線でパケット伝送を行い、基地局装置のスケジューリングに従って通信端末装置がパケット伝送を行う第１のパケット伝送方法と基地局装置がスケジューリングを行わずに通信端末装置がパケット伝送を行う第２のパケット伝送方法とを適応的に切替える無線通信システムに用いられる無線通信方法であって、
前記通信端末装置が、前記第１あるいは第２のパケット伝送方法のいずれかを選択する工程と、前記第１のパケット伝送方法時に前記基地局装置がスケジューリングに用いるスケジューリング要求情報を生成し、前記スケジューリング要求情報の生成方法によってパケット伝送方法を区別して表現する工程と、前記スケジューリング要求情報を基地局装置に送信する工程とを具備し、
前記基地局装置が、前記通信端末装置から送信された前記スケジューリング要求情報に基づいてスケジューリングを行う工程と、パケットの送信を許可する通信端末装置に送信パラメータを送信する工程とを具備することを特徴とする無線通信方法。
Priority Applications (6)
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