JP2004292810A - 防曇被覆用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 部材に対する定着性が良く、有機部材に応用した場合に於いても優れた防曇機能を長期にわたり発現でき、かつ、セルフクリ−ニング性及び防汚性を有する光触媒を利用した防曇被覆用組成物を提供する。
【解決手段】 光触媒(a)を、トリオルガノシラン単位、モノオキシジオルガノシラン単位、ジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られた変性光触媒(A)を含有することを特徴とする防曇被覆用組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は変性光触媒の作用で部材表面を恒久的に親水性に保持することにより、優れた防曇性を有する防曇性部材を提供する防曇被覆用組成物に関する。
寒冷時に自動車その他の乗物の風防ガラスや窓ガラス、建物の窓ガラス、眼鏡のレンズ、および各種計器盤のカバーガラスが凝縮湿分で曇るのはしばしば経験されることである。また、浴室や洗面所の鏡や眼 鏡のレンズが湯気で曇ることも良く遭遇される。物品の表面に曇りが生じるのは、表面が雰囲気の露点以下の温度に置かれると雰囲気中の湿分が凝縮して表面に結露するからである。凝縮水滴が充分に細かく、それらの直径が可視光の波長の1/2程度であれば、水滴は光を散乱し、ガラスや鏡は見かけ上不透明となり、可視性が失われる。湿分の凝縮が更に進行し、細かい凝縮水滴が互いに融合してより大きな離散した水滴に成長すれば、水滴と表面との界面並びに水滴と空気との界面における光の屈折により、表面は翳り、ぼやけ、或いは曇る。その結果、ガラスのような透明物品では透視像が歪んで透視性が低下し、鏡では反射像が乱される。更に、車両の風防ガラスや窓ガラス、建物の窓ガラス、車両のバックミラー、眼鏡のレンズ、マスクやヘルメットのシールドが降雨や水しぶきを受け、離散した多数の水滴が表面に付着すると、それらの表面は翳り、ぼやけ、或いは曇り、やはり可視性が失われる。ここで用いる“防曇”の用語は、このような曇りや凝縮水滴の成長や水滴の付着による光学的障害を防止する技術を広く意味する。
防曇技術は安全性や種々の作業の能率に深い影響を与える。例えば、車両の風防ガラスや窓ガラスやバックミラーが曇り或いは翳ると車両や交通の安全性が損なわれる。内視鏡レンズや歯科用歯鏡が曇ると、的確な診断、手術、処置の障害となる。計器盤のカバーガラスが曇るとデータの読みが困難となる。従来用いられている防曇性組成物は、ポリエチレングリコールのような親水性化合物からなる。しかし、この種の防曇性組成物はあくまで一時的なもので、水や接触によって容易に取り除かれ、早期に効果を失うという難点がある。
近年、上記問題に対して、例えば特開平9−59041号公報、特開平10-81840号公報には、シリコ−ンあるいは無定形シリカの前駆体と光触媒粒子とを溶媒中に均一に分散させてなる防曇性コ−ティング組成物が提案されている。該組成物から得られる塗膜は光触媒粒子が光励起され、塗膜の表面が水との接触核に換算して約10°以下の超親水性を呈する。このように超親水化された塗膜表面に付着した凝縮水や水滴は速やかに水膜化され、表面に一様に広がるので、表面は高度の防曇性を発揮する。
しかしながら、該組成物を塗布する基材がプラスチック等の有機化合物で形成されている場合には、光触媒の光酸化作用によってそれらの有機基材が劣化するため、予め有機基材の表面をシリコ−ン、フッソ樹脂、シリカなどの光酸化作用で分解しにくい樹脂で被覆しておく必要があり、塗布工程が煩雑で作業性が悪いという問題があった。また、有機基材の劣化を防ぐ方法として、コ−ティング組成物にアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化アンチモン、無定形チタニア、含水チタニアのような光酸化抑制剤を配合することも提案されているが、光触媒の超親水性現象は、光触媒による光酸化作用によって実現するため、これらの方法では十分な防曇性能を発現することができず、また塗膜に要求される防汚性、セルフクリ−ニング性等防曇被覆に同時に求められる好ましい性質も失われるため実用上好ましくない。
また、上記光触媒を利用した防曇性コ−ティング組成物をガラス等の無機基材に塗布する場合も、塗布膜厚を非常に薄く(例えば0.5μm以下等)制御しないと、塗膜の割れや虹色干渉縞の発生等の問題を生じるため、特殊な塗布技術が要求される問題もある。
上述した理由により、かねてより、光触媒機能により塗膜表面を恒久的に親水性に保持し、かつ防汚性、セルフクリ−ニング性を兼備し、全ての基材に簡便に使用することができる防曇被覆用組成物が切望されていた。
特開平9-81840号公報 特開平10-81840号公報
本発明の課題は、部材に対する定着性が良く、有機部材に応用した場合に於いても優れた防曇機能を長期にわたり発現できる、光触媒を利用した防曇被覆用組成物を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の変性剤化合物を用いて変性処理された変性光触媒を含有する防曇被覆用組成物により、優れた防曇機能を長期にわたり発現できる部材を提供できることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
発明の第1は光触媒(a)を式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理された変性光触媒(A)を含有することを特徴とする防曇被覆用組成物である。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
Figure 2004292810
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
発明の第2は、該変性光触媒(A)がワックス性状を有することを特徴とする発明の第1の防曇被覆用組成物である。
発明の第3は、該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することによりBET表面積が増加することを特徴とする発明の第1または第2の防曇被覆用組成物である。
発明の第4は、該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加し、次に該光照射を行うことにより20℃における水との接触角が光照射前より10°以上低下することを特徴とする発明の第1〜第3のいずれかの防曇被覆用組成物である。
発明の第5は、該変性剤化合物(b)が、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする発明の第1の防曇被覆用組成物である。
SiO(4−x−y−z)/2 (4)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
発明の第6は、該変性剤化合物(b)が、式(6)及び/または式(8)で表される機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物であることを特徴とする発明の第1〜第5のいずれかの防曇被覆用組成物である。
H−(RSiO)−SiR−Q (6)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2
(8)
(式中、RおよびQは式(6)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
発明の第7は、該変性剤化合物(b)がポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする発明の第1〜第6のいずれかの防曇被覆用組成物。
発明の第8は、該変性剤化合物(b)が、式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)であることを特徴とする発明の第1〜第4の防曇被覆用組成物である。
Figure 2004292810
(式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。wは1〜20の整数である。)
発明の第9は、該変性光触媒(A)が可視光応答型光触媒であることを特徴とする発明の第1〜第8のいずれかの防曇被覆用組成物である。
発明の第10は、該変性光触媒(A)より表面エネルギーの大きな樹脂を更に含有することを特徴とする、発明の第1〜第9のいずれかの防曇被覆用組成物である。
発明の第11は、エタノールを更に含有することを特徴とする、発明の第1〜第10のいずれかの防曇被覆用組成物である。
発明の第12は、噴射剤を更に含有することを特徴とする、発明の第1〜第11のいずれかの防曇被覆用組成物である。
発明の第13は、発明の第1〜第12のいずれかの防曇被覆用組成物で処理された防曇性部材である。
本発明の防曇被覆用組成物からは、光照射により水に対する親和力が大きくなり、長期にわたり優れた防曇性能を発現することが可能な防曇性部材を提供することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明の防曇被覆用組成物は、変性光触媒(A)を含有することを特徴とする。
本発明の防曇被覆用組成物で処理された部材は、長期にわたり優れた防曇性能を発現することが可能となる。
本発明の変性光触媒(A)は、光触媒(a)を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られる。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)、クーロン力または化学結合によるものである。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
本発明において上記光触媒(a)とは、光照射によって酸化、還元反応を起こす物質のことを言う。すなわち伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップよりも大きなエネルギー(すなわち短い波長)の光(励起光)を照射したときに、価電子帯中の電子の励起(光励起)が生じて、伝導電子と正孔を生成しうる物質であり、このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。例えば、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。また、本発明に記載する、超親水性現象は、光触媒による光酸化作用よりも弱い光触媒作用によって実現できるといわれており、光触媒の別の効果として注目されている。
光触媒(a)としては、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を挙げることができる。
これらの光触媒(a)の中でTiO(酸化チタン)は無害であり、化学的安定性にも優れるため好ましい。酸化チタンとしては、アナターゼ、ルチル、ブルッカイトのいずれも使用できる。
また、本発明に使用する光触媒(a)として、可視光(例えば約400〜800nmの波長)の照射により光触媒活性及び/又は親水性を発現することが出来る可視光応答型光触媒を選択すると、本発明の防曇被覆用組成物で処理された防曇性部材は、室内等の紫外線が十分に照射されない場所等においても防曇効果を十分に発現することが出来るため好ましい。
上記可視光応答型光触媒は、可視光で光触媒活性及び/又は親水性を発現するものであれば全て使用することが出来るが、例えばTaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物(例えば特開2002−66333号公報参照)やSmTi等のオキシサルファイド化合物(例えば特開2002−233770号公報参照)、Ta等の窒化化合物、CaIn、SrIn、ZnGa、NaSb等のd10電子状態の金属イオンを含む酸化物(例えば特開2002−59008号公報参照)、アンモニアや尿素等の窒素含有化合物存在下でチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)や高表面酸化チタンを焼成して得られる窒素ドープ酸化チタン(例えば特開2002−29750号公報、特開2002−87818号公報、特開2002−154823号公報、特開2001−207082号公報参照)、チオ尿素等の硫黄化合物存在下にチタン酸化物前駆体(オキシ硫酸チタン、塩化チタン、アルコキシチタン等)を焼成して得られる硫黄ドープ酸化チタン、酸化チタンを水素プラズマ処理したり真空下で加熱処理したりすることによって得られる酸素欠陥型の酸化チタン(例えば特開2001−98219号公報参照)、さらには光触媒粒子をハロゲン化白金化合物で処理したり(例えば特開2002−239353号公報参照)、タングステンアルコキシドで処理(特開2001−286755号公報参照)することによって得られる表面処理光触媒等を好適に挙げることができる。
上記可視光応答型光触媒の中でオキシナイトライド化合物、オキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、特に好適に使用することができる。
本発明において特に好適に使用できるオキシナイトライド化合物は、遷移金属を含むオキシナイトライドであり、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシナイトライドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドであり、更に好ましくはCa、Sr、Ba、Rb、La、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素を更に含むことを特徴とするオキシナイトライドである。
上記遷移金属を含むオキシナイトライドの例としては、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、LaTaON、CaTaON、SrTaON、BaTaON、CaNbON、CaWON、SrWON等の一般式AMO(A=アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIB族金属;M=Ta、Nb、Ti、Zr、W;x+y=3)で表される化合物やTaON、NbON、WON、LiLaTaN等を挙げることができる。これらの中で、LaTiON、LaCaTiON(v+w=3)、LaCaTaON(v+w=3)、TaONが可視光での光触媒活性が非常に大きいため好ましい。
本発明において特に好適に使用できるオキシサルファイド化合物は、遷移金属を含むオキシサルファイドであり、光触媒活性が大きいものとして、好ましくは遷移金属がTa、Nb、Ti、Zr、Wからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とするオキシサルファイドであり、より好ましくは、アルカリ、アルカリ土類及びIIIB族の金属からなる群から選択される少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドであり、更に好ましくは希土類元素を更に含むことを特徴とするオキシサルファイドである。
上記遷移金属を含むオキシサルファイドの例としては、SmTi、NdTi、LaTi、PrTi、SmNbS等を挙げることができる。これらの中で、SmTi、NdTiが可視光での光触媒活性が非常に大きいため非常に好ましい。
また、本発明における光触媒(a)として、アパタイト結晶構造中に光触媒作用を有する金属酸化物がイオン交換によって形成されている金属修飾アパタイト、例えばカルシウムヒドロキシアパタイト結晶中のカルシウムイオンの一部をチタンイオンでイオン交換してなるチタン修飾カルシウムヒドロキシアパタイト(特開2000−327315号広報参照)は、菌やウィルス、汚れ等に対する吸着特性が優れるため非常に好適に使用できる。
更に、上述した光触媒(a)は、好適にPt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したり、多孔質リン酸カルシウム等で被覆したり光触媒(例えば特開平10−244166号公報参照)して使用することもできる。
本発明に使用する光触媒粒子(a)の形態としては、粉体、分散液、ゾルのいずれでも用いることが出来る。本発明における変性剤化合物(b)による変性処理は、効率性、均一性等の理由から光触媒ゾルまたは光触媒分散液を使用することが好ましい。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルおよび光触媒分散液とは、光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.01〜70質量%、さらに好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
ここで、上記光触媒ゾルまたは光触媒分散液に使用される上記有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
上記光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば、実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(例えば特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。
例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも例えば特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとして市販もされている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の固形分は好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。
また、酸化セリウムゾル(例えば特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(例えば特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
さらに、本発明で好適に使用できる可視光応答型の光触媒ゾルも市販されている。(例えば、昭和電工(株)製「NTB−200」、住友化学工業(株)製「TSS−4110」等)
また、本発明で好適に使用できる金属修飾アパタイト可視光応答型の光触媒水分散体も市販されている。(例えば、太平化学産業(株)製「PHTOHAP PDAP-L20」等)
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(例えば特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(例えば特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルも市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が20質量%程度以上含有されていることを意味する。
本発明においては、用いる光触媒粒子(a)の性状が、変性光触媒(A)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明に使用される光触媒粒子(a)としては、1次粒子と2次粒子との混合物(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)の数平均分散粒子径が400nm以下の光触媒粒子が変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために望ましい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒粒子を使用した場合、生成する変性光触媒(A)からなる防曇被覆用組成物からは透明性に優れた皮膜を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒粒子が好適に選択される。なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、その多くは一次粒子の径(結晶粒子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
本発明の防曇被覆用組成物には、光触媒(a)を式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理した変性光触媒(A)を用いる。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
Figure 2004292810
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
本発明において、光触媒(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒(a)と変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b)=1/99〜99.99/0.1、さらに好ましくは(a)/(b)=10/90〜99.9/0.1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱、または(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
上記変性処理に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明の変性光触媒(A)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、酸無水物基等の光触媒粒子(a)と反応性を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えば光触媒粒子(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造、例えばポリオキシアルキレン基、スルホン酸基、カルボキシル基等を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
本発明に使用される変性剤化合物(b)としては、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を用いると、非常に効率よく光触媒(a)の粒子表面を変性することができると共に、種々の機能性基を光触媒(a)に有効に導入することもできるため好ましい。
SiO(4−x−y−z)/2 (4)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
本発明において、光触媒(a)の一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(a)/(b1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(b1)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。
この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒(a)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均粒子径の増加が観察される。
また、光触媒(a)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少、あるいは消失として観測される。
これらのことより、変性剤化合物(b)として一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を選択した場合は、変性光触媒(A)はSi−H基含有ケイ素化合物(b1)と光触媒(a)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できる。
実際、この様にして得られた変性光触媒(A)は、溶媒に対する分散安定性、化学的安定性、耐久性等において非常に優れたものとなる。
本発明において、上記組成式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するための必須の官能基である。これに対し、ケイ素原子に結合したアルコキシ基や水酸基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応が多く、得られる変性光触媒(A)の安定性を悪くするため、その含有量は少ない方が好ましい。
本発明に好適に使用できる上記一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(5)や式(6)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(8)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
Figure 2004292810
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(9)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(RSiO)−SiR (9)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(RSiO)−SiR−Q (6)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
mは整数であり、0≦m≦1000である。)
H−(RSiO)−SiR−H (7)
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2
(8)
(式中、Rは式(5)で定義した通りであり、Qは式(6)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
上記式(5)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
上記式(7)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下で好ましくは50以上のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
上記式(8)で表されるHシリコーン化合物としては、光触媒(a)の変性処理時における分散安定性(光触媒(a)粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が好ましくは100000以下で好ましくは200以上、より好ましくは50000以下で500以上、さらに好ましくは20000以下で好ましくは1000以上のHシリコーン化合物が好適に使用できる。
また、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)として、機能性付与基含有基(Q)を有するもの(式(6)、式(8)であってrが1以上の正数のもの等)を選択すると、本発明で得られる変性光触媒(A)に種々の機能を付与できるため好ましい。
ここで機能性付与基含有基(Q)は下式(10)で表される基であることが好ましい。
−Z−(W) (10)
(式中、Zは分子量14〜50,000のt価の有機基(当該有機基Zの珪素原子との結合以外にt価である基)を表し、Wは式(4)中の機能性付与基(あ)〜(う)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、tは1〜20の整数である。)
例えば機能性付与基含有基(Q)として、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基、アミノ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基[式(4)中の(あ)]を有するものを選択すると、得られる変性光触媒(A)の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなる。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基[式(4)中の(い)]を含有する基を選択すると本発明の変性光触媒(A)は架橋性を有し、表面に強固に固定化されことができるので好ましい。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、分光増感基を有するものを選択すると、本発明の変性光触媒(A)は、紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
ここで、分光増感基とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素(即ち、増感色素)に由来する基を意味する。
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が光触媒(a)の伝導帯のエネルギー準位より高いという特徴を有するものが好ましい。このような増感色素の特徴は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(例えばT.Tani, Photogr. Sci. Eng., 14, 72 (1970); R.W.Berriman et al., ibid., 17. 235 (1973); P.B.Gilman Jr., ibid., 18, 475 (1974)等)、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(例えばT.Tani et al., Photogr. Sci. Eng., 11, 129 (1967); D.M.Sturmer et al., ibid., 17. 146 (1973); ibid., 18, 49 (1974); R.G.Selby et al., J. Opt. Soc. Am., 33, 1 (1970)等)、更には光触媒(a)と分光増感色素によって作成したG ratzel型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって確認することができる。
上記の特徴を有する増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物、2,2−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
本発明において、上述した機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法としては、
(Q−1)−方法として下記一般式(11)で表されるSi−H基含有化合物と、機能性付与基[式(4)中の(あ)〜(う)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法。
(Q−2)−方法として下記一般式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と、反応性基[式(4)中の(い)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させて反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得た後、該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
(x+z)SiO(4−x−y−z)/2 (11)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、0<(x+z)<4、0<y<4、及び(x+y+z)≦4である。)
まず、機能性付与基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−1)の方法[以下(Q−1)−方法]について説明する。
(Q−1)−方法において、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に、機能性付与基として親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、環状酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(12)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルコハク酸無水物等を挙げることができる。
CH=CHCHO(CHCHO) (12)
(式中、tは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
また、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
また、上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に分光増感基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、前述した分光増感色素を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、例えば前述した反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物と、該反応性基と反応性を有する分光増感色素との反応によって容易に得ることができる。
例えば、反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がエポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素であり、逆に反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素が挙げられる。
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とそれに反応性を有する分光増感色素との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、分光増感色素の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
(Q−1)−方法において、上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物(E)と式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1’)を、好ましくは質量比(E)/(b1’)=0.01以上、より好ましくは(E)/(b1’)=0.01〜2、さらに好ましくは(E)/(b1’)=0.01〜1で接触させることにより行うことができる。
上記ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。
また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
次に、機能性付与基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−2)の方法[以下(Q−2)−方法]について説明する。
(Q−2)−方法において使用される反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物としては、(Q−1)−方法において述べたものを挙げることができる。また、上述した式(11)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と該反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応は、(Q−1)−方法で述べたヒドロシリル化反応と同じ条件で実施することができる。
(Q−2)−方法によると、上記ヒドロシリル化反応によって反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得ることができる。この反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物とそれに反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、Si−H基の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
また、本発明に使用される変性剤化合物(b)として、一般式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)を使用すると、該フッ素系樹脂で変性された変性光触媒(A)は、防汚性と有機基材保護性の両立に優れるため好ましい。
Figure 2004292810
(式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基(当該有機基Yの主鎖との結合以外にw価である基、好ましくはフッ化メチレン単位を有する基、より好ましくはパーフルオロアルキル基を有する基)を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。ただし、k=0の時は、好ましくはA〜Aの少なくとも1つがフッ素原子、より好ましくはA、Aが共にフッ素原子を表す。wは1〜20の整数である。)
本発明において、光触媒(a)の式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒(a)と該フッ素系樹脂(b2)を好ましくは質量比(a)/(b2)=1/99〜99.99/0.01、より好ましくは(a)/(b2)=10/90〜99.9/0.1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合し、好ましくは(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
上記フッ素系樹脂(b2)の好ましい例としては、例えば式(14)で表される構造を有するパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(b2’)を挙げることができる。該パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(b2’)は、エタノールと水の混合溶媒には溶解するが、水単独にはほとんど溶解しないため、例えば光触媒(a)とエタノールと水の混合溶媒に溶解させた該パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマー(b2’)を、好ましくは質量比(a)/(b2’)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(b2’)=10/90〜99/1の割合で好ましくは0〜200℃にて混合した後、該混合物からエタノールを(減圧)蒸留等により除去することにより効率的に光触媒(a)を変性することができる。
Figure 2004292810
(式中、xは1〜1000000の整数であり、yは1〜100000の整数を表す。また、mは0〜20の整数であり、nは0〜20の整数を表す。)
本発明に用いる変性光触媒(A)としてワックス性状を有するものは、それを含有する防曇被覆用組成物の部材への塗布性能が良好となるため非常に好ましい。
ここで、本発明におけるワックス性状とはJIS K 2236試験における塗り広げやすさ及びふき取りやすさの評価に合格するものを意味する。
また、本発明におけるワックス性状を有する変性光触媒は、下記方法で測定した塗り伸ばし性が10cm以上あるものが好ましく、さらに塗り伸ばし性が50cm以上のものが好ましく、塗り伸ばし性が200cm以上のものが非常に好ましい。
(塗り伸ばし性試験)
1)5質量%となるように溶媒(沸点150℃以下の溶媒、好ましくは水)に分散させた変性光触媒の分散液を約0.03g(スポイトで1滴)ガラス板の上に滴下する。
2)サンプルを滴下したガラス板を105℃で30分間乾燥させる。
3)23℃、55%湿度の状態で30分冷却する。
4)乾燥した変性光触媒を、プラスチック製のヘラで伸ばし、形成する変性光触媒皮膜が途切れ始めるまでの長さを測定し、変性光触媒質量0.01gあたりの伸び(cm)を計算し、この値を塗り伸ばし性とする。
また、本発明に用いる変性光触媒(A)として、該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)を照射することによりBET表面積が、好ましくは10m/g以上、より好ましくは20m/g以上、更に好ましくは50m/g以上増加するものを選択すると、変性光触媒(A)は部材に強固に固定化されたまま(該部材が有機基材の場合には、基材保護性を有した状態で)、優れた防曇性能を発現するため好ましい。
ここで、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)の光源としては、例えば太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
また、本発明に用いる変性光触媒(A)であって、該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加し、次に該光照射を行うことにより20℃における水との接触角が光照射前より10°以上低下するものは、上述した光照射によるBET表面積の増加する能力が大きく好ましい。
上述したワックス性状及び/又は光照射によりBET表面積が増加する変性光触媒(A)は、例えば光触媒(a)を式(6)及び/または式(8)で表される機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を変性剤化合物(b)として用いて変性処理することにより好適に得ることができる。
H−(RSiO)−SiR−Q (6)
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2
(8)
(式中、RおよびQは式(6)で定義した通りである。
pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
また、例えば光触媒(a)を、ポリオキシアルキレン基を有する変性剤化合物(b)、例えば機能性付与基含有基(Q)としてポリオキシアルキレン基、好ましくは下式(17)で表されるポリオキシエチレン基を有する上記式(6)及び/または式(8)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物で変性処理して得られる変性光触媒(A)は、上述したワックス性状を発現しやすく、また上述した光照射によるBET表面積の増加能力も有するため好ましい。
−CHCHO(CHCHO) (17)
(式中、tは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
ここで、上記式(6)及び/または式(8)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物中の上記ポリオキシアルキレン基の含有量は、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは5〜90質量%である。
本発明の防曇被覆用組成物は、上記変性光触媒(A)が溶媒に対して分散した状態が好ましい。この際、該防曇被覆用組成物中の上記変性光触媒(A)の含有量は、好ましくは0.0001〜30質量%、より好ましくは0.001〜30質量%である。防曇被覆用組成物中の変性光触媒(A)の含有量が0.0001質量%未満では、部材に多量にスプレーしなければ十分な効果が得られず、また30質量%を越えると変性光触媒(A)が必要以上に何層にも部材に付着し効率的でない。
本発明の防曇被覆用組成物に用いる溶媒としては、例えば水及び/又は有機溶剤を挙げることができる。
上記有機溶剤としては、炭素数8〜20の炭化水素系溶剤、アルコール、多価アルコール等のアルコール系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。該炭化水素系溶剤の具体例としては、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィンもしくはイソパラフィン等が挙げられ、アルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2―ブタノール、変性エタノール(8−アセチル蔗糖変性アルコール)、エチレングリコールもしくはグリセリン等が挙げられ、エーテル系溶剤の具体例としては、アルキル鎖の炭素数が1〜12のモノアルキルモノグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプ ロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール モノブチルエーテル又はジないしテトラエチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
本発明の防曇被覆用組成物に好適に用いる溶媒としては、水及び/又は水溶性の有機溶剤が好ましく、該水溶性の有機溶剤としては上記具体例のうち、特にエタノール、変性エタノール、グリセリン、アルキル鎖の炭素数が3〜8のモノアルキルモノグリセリルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル又はジないしテトラエチレングリコールモノフェニルエーテルが好ましい。
これらの中で、安全性の点等から特にエタノールが望ましい。
本発明の防曇被覆用組成物は、噴射剤を含有するエアゾール組成物として使用すると、部材に吹き付けるだけで本発明の変性光触媒(A)等が部材に展着し、簡単に防汚効果を発現する部材を得ることができるため好ましい。
上記噴射剤としては、通常のエアゾールに使用されるいずれの噴射剤でもよく、例えば、窒素ガス、亜酸化窒素ガス、二酸化炭素、代替フロンガス、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエ−テルなどを単独又は組み合わせて使用できる。噴射剤の配合量としては、防曇被覆用組成物全体量に対して好ましくは30〜98質量%であり、より好ましくは80〜98質量%である。
本発明の防曇被覆用組成物に含有される変性光触媒(A)は、それ自身に成膜性を有するため、部材に密着性の良い皮膜を形成し、優れた防曇性能を発現できる。
また、本発明の防曇被覆用組成物には、部材への接着性を補助する目的で、樹脂(F)を、本発明の変性光触媒(A)に対し、質量比(A)/(F)=0.1/99.9〜99/1、好ましくは(A)/(F)=1/99〜90/10で含むものを使用することもできる。
本発明の防曇被覆用組成物に使用できる樹脂(F)としては、全ての合成樹脂及び天然樹脂が使用可能である。
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂、さらには水ガラスやジルコニウム化合物、過酸化チタン等の無機系化合物等を挙げることができる。
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
上記樹脂(F)として本発明に用いる変性光触媒(A)より表面エネルギーが大きいもの(表面エネルギー差が、好ましくは2mN/m以上、より好ましくは5mN/m以上、更に好ましくは10mN/m以上のもの)を選択すると、本発明の防曇被覆用組成物は変性光触媒(A)の分布について大きな自己傾斜性を有することが可能となり好ましい。
ここで自己傾斜性とは、該変性光触媒(A)と樹脂(F)を含む防曇被覆用組成物から皮膜を形成する際、その形成過程において変性光触媒(A)が、皮膜が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、変性光触媒(A)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味し、光触媒表面が表面エネルギーの非常に小さい構造を有する変性剤化合物(b)で変性処理された変性光触媒(A)は空気と接する皮膜表面に多く存在するようになる。
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
本発明において、上記表面エネルギーや表面エネルギーの相対差は、例えばPolymer Handbook(米国 A Wiley-interscience publication 出版)等を参照したり、以下の方法で測定したりすることにより好ましく求めることができる。
例えば、樹脂(F)の皮膜を有する基材を調整し、脱イオン水を滴下して20℃における接触角(θ)を測定し、下記のSellとNeumannの実験式により、表面エネルギーを求めることもできる。
Figure 2004292810
[式中、γsは脱イオン水の接触角を測定した表層部の表面エネルギー(mN/m)を表し、γlは水の表面エネルギー{72.8mN/m(20℃)}を表わす。]
本発明の防曇被覆用組成物に好適に用いることができる表面エネルギーの比較的大きな樹脂(F)としては、例えば、下式(15)で表されるフェニル基含有シリコーン(BP)を挙げることができる。
SiO(4−p−q−r)/2 (15)
(式中、各Rはフェニル基を表し、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。そしてp、q及びrは、0<p<4、0≦q<4、0≦r<4、及び0<(p+q+r)<4であり、そして0.05≦p/(p+q)≦1である。)
また、上記フェニル基含有シリコーン(BP)として、下記式(16)で表されるアルキル基を含有しないフェニル基含有シリコーン(BP1)は、表面エネルギーがより高くなり、好ましい。
SiO(4−s−t)/2 (16)
(式中、Rはフェニル基を表し、Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表し、s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
さらに、水酸基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体分子鎖の末端及び/又は側鎖に有するアクリル重合体も、表面エネルギーが比較的高く、耐候性に優れるため、上記樹脂(F)として好ましく用いることができる。
また、本発明の防曇被覆用組成物には、部材への濡れ性を良好にし、密着性や塗工性、塗り伸ばし性を向上させる目的で、界面活性剤を添加するのが好ましい。添加できる界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、高級アルキルスルフォン酸、スルフォン酸アルキルアリル、スルフォン化ひまし油、スルフォこはく酸エステル、アルケニルコハク酸等の塩に代表されるアニオン性界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤、シリコーンポリマー鎖にエチレングリコール鎖、もしくはプロピレングリコール鎖がブロックポリマー型、側鎖変性型、または末端変性型で結合したものに代表されるシリコーン界面活性剤、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、パーフルオロアルキルアルコキシレート、フッ素化アルキルエステル等のフッ素系界面活性剤等やそれらの併用が挙げられる。
また、本発明の防曇被覆用組成物には、レベリング剤として、例えばジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-ブトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-プロポキシ-2-プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングコリールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチレンアルコール、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸ドデシル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、デカメチルシクロペンタシロキサン、シリコーン油、アボガド油、ホホバ油、ラノリン、2-エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ヘキサデシルアルコール、イソステアリン酸、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、フタル酸ブチル、オクタン酸セチル、アジピン酸ジイソアジペート等を添加することもできる。
また、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、消泡剤、ワックス類、香料、殺菌剤、防カビ剤、キレート剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機フィラー等を配合することができる。
また、本発明の変性光触媒(A)は、光触媒(a)表面が光触媒活性によって骨格構造が変化しない変性剤化合物(b)で変性処理されているため、光触媒(a)が直接に部材や上記樹脂(F)等に接触しにくい。そのため、本発明の防曇被覆用組成物を有機部材の処理に用いる場合においても、有機部材を保護するためのベースコートを必要とせずに、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)を照射することにより優れた汚れ分解性能を発現すると共に、防曇性能を長期にわたり発現することができる。
ここで、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)の光源としては、例えば太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯、LED等の光が利用できる。
本発明の防曇被覆用組成物の部材への付着量は、特に制限はないが、皮膜の厚みとして0.05〜10μm程度が好ましく、防曇機能をより効果的に発揮させると共に、塗布皮膜が長期的に安定に密着、保持されるためには、0.05〜5μmがより好ましく、0.05〜2μmがさらに好ましい。
この際、防曇被覆用組成物の付着の状態は、連続膜であっても、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
本発明における変性光触媒(A)を部材に付着させる方法としては、例えば上記防曇被覆用組成物を部材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行う方法を挙げることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
また、本発明の防曇被覆用組成物を塗液とする場合、その商品形態は、スプレータイプ、のりタイプ、ウェットワイパータイプ、スクイージータイプ等、種々の形態から任意に選択できる。
さらに、本発明の防曇被覆用組成物に用いる変性光触媒(A)が上述したワックス性状の場合は、部材に塗り伸ばしながら固定化する方法や、部材に過剰に塗布した後に布等で余剰分を拭き取る方法で変性光触媒(A)を好適に固定化させることができる。
本発明の防曇被覆用組成物を塗布する基材(本発明の帯電防止機能塗装品に用いられる基材でもある)としては、特に限定はされないが、たとえば、無機質基材、有機質基材およびこれらの基材のいずれかの表面に有機物被膜を有する有機塗装基材等やそれらの複合基材が挙げられる。無機質基材としては、特に限定はされないが、たとえば、金属基材、ガラス基材、ホーロー、水ガラス化粧板、無機質硬化体等の無機質建材、セラミックス等が挙げられる。これらの中で、透明なガラスや透明な合成樹脂等が好適に利用できる。
金属基材としては、特に限定はされないが、たとえば、非鉄金属〔たとえば、アルミニウム(JIS−H4000等)、アルミニウム合金(ジュラルミン等)、銅、亜鉛等〕、鉄、鋼〔たとえば、圧延鋼(JIS−G3101等)、溶融亜鉛めっき鋼(JIS−G3302等)、(圧延)ステンレス鋼(JIS−G43 04、G4305等)等〕、ブリキ(JIS−G3303等)、その他の金属全般(合金含む)が挙げられる。
ガラス基材としては、特に限定はされないが、たとえば、ナトリウムソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。前記ホーローとは、金属表面にガラス質のホーローぐすりを焼き付け、被覆したものである。その素地金属としては、たとえば、軟鋼板、鋼板、鋳鉄、アルミニウム等が挙げられるが、特に限定はされない。ホーローぐすりも通常のものを用いればよく、特に限定はされない。
前記水ガラス化粧板とは、たとえば、ケイ酸ソーダをスレートなどのセメント基材に塗布し、焼き付けた化粧板などを指す。無機質硬化体としては、特に限定はされないが、たとえば、繊維強化セメント板(JIS−A5430等)、窯業系サイディング(JIS−A5422等)、木毛セメント板(JIS−A5404等)、パルプセメント板(JIS−A5414等)、スレート・木毛セメント積層板(JIS−A5426等)、石膏ボード製品(JIS−A6901等)、粘土瓦(JIS−A5208等)、厚形スレート(JIS−A5402等)、陶磁器質タイル(JIS−A5209等)、建築用コンクリートブロック(JIS−A5406等)、テラゾ(JIS−A5411等)、プレストレストコンクリートダブルTスラブ(JIS−A5412等)、ALCパネル(JIS−A5416等)、空洞プレストレストコンクリートパネル(JIS−A6511等)、普通煉瓦(JIS−R1250等)等の無機材料を硬化、成形させた基材全般を指す。
セラミックス基材としては、特に限定はされないが、たとえば、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。
有機質基材としては、特に限定はされないが、たとえば、プラスチック、木、木材、紙等が挙げられる。プラスチック基材としては、特に限定はされないが、たとえば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性もしくは熱可塑性プラスチックおよびこれらのプラスチックをガラス繊維、ナイロン繊維、カーボン繊維等の繊維で強化した繊維強化プラスチック(FRP)等が挙げられる。
有機塗装基材を構成する有機物被膜としては、特に限定はされないが、例えば、アクリル系、アルキド系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、アクリルシリコン系、塩化ゴム系、フェノール系、メラミン系等の有機樹脂を含むコーティング材の硬化被膜等が挙げられる。
また、本発明の防曇被覆用組成物で処理された防曇性部材は、様々な用途に用いることができ、例えば、浴室用又は洗面所用鏡、自動車におけるドアミラーやフェンダーミラー及び自動二輪車におけるバックミラーのような車両用バックミラー;歯科用歯鏡、道路鏡のような鏡;眼鏡レンズ、光学レンズ、写真機レンズ、複写機用レンズ、内視鏡レンズ、照明用レンズ、半導体製造用レンズ、車両用後方確認カメラレンズのようなレンズ;プリズム;建物や監視塔の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の窓ガラス;自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、オートバイ、ロープウエイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船のような乗物の風防ガラス;防護用又はスポーツ用ゴ-グル又はマスク(潜水用マスクを含む)のシールド;ヘルメットのシールド;冷凍食品陳列ケースのガラス、中華饅頭等の保温食品用陳列ケースのガラス;計測機器のカバー、車両用後方確認カメラレンズのカバー、レーザー歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサー等のレーザー光検知用センサーのカバー、赤外線センサーのカバー、カメラ用フィルター及びそれら物品表面に貼着可能なフィルム、シート、シール等を挙げることが出来る。
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。
1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
クロロホルム(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2質量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.透明性
日本電色工業製ヘーズメーター(NDH2000)を用い、Haze値を測定することにより評価した。
6.ワックス性状(塗り広げやすさ、ふき取りやすさ)
JIS K 2236に準じて実施した。
7.ワックス性状(塗り伸ばし性)
下記手順に従い、評価した。
1)0.03gに秤量したの5質量%変性光触媒水分散液をスポイトでガラス板の上に滴下した。
2)サンプルを滴下したガラス板を105℃で30分間乾燥させた。
3)23℃、55%湿度の状態で30分冷却した。
4)乾燥した変性光触媒を、プラスチック製のヘラで伸ばし、形成する変性光触媒皮膜が途切れ始めるまでの長さを測定し、変性光触媒質量0.01gあたりの伸び(cm)を計算し、この値を塗り伸ばし性とした。
8.BET表面積
ユアサアイオニクス製窒素吸着装置(オートソーブ−1−MP)を用いて測定した。
9.水の接触角
試料の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
10.光触媒活性
試料表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を24時間照射後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
なおこのとき、トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
11.防曇性
試料表面に息を吹きかけて曇りの発生程度を以下の3段階で評価した。
○:全面曇りなし
△:部分的に曇りあり
×:全面に曇りあり
12.耐光性
試料にブラックライト(東芝ライテック製FL20S BLB型)の光を30日間照射後、試料の外観(目視で評価)に基づき、耐光性を以下の3段階で評価した。
このとき、紫外線強度はトプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整した。
○:外観変化なし
△:光触媒層の剥がれ
×:部材の部分的分解
[参考例1]
変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、脱水したジオキサン50gと、HMS−301−100GM(メチルハイドロジェンシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマーの商品名(チッソ製)、Si−H基含量4.52mmol/g、重量平均分子量5400)50gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]25gと塩化白金(IV)酸六水和物の5質量%イソプロパノール溶液0.53gを脱水したジオキサン62.5gに溶解した溶液を80℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに80℃にて2時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(1)を得た。
得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(1)4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。
また、得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(1)2.23gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において45.2mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有ケイ素化合物(1)を含む溶液1g当りのSi−H基含量は0.825mmol/g(HMS−301−100GMの1g当たりに換算したSi−H基含量は約3.1mmol/g)であった。
続いて、還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器にタイノックA6[アナターゼ型酸化チタンゾルの商品名(多木化学製)、アンモニア解膠型、TiO濃度6質量%、平均結晶子径10nm(カタログ記載値)]400gを入れ、これに合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(1)10.3gを室温30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて10時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−1)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(1)の反応に伴い生成した水素ガス量は16℃において80mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、図1、図2にそれぞれ変性処理前のタイノックA6及び得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布を示す。得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は13nm)であり、さらに変性処理前のタイノックA6の単一分散(数平均粒子径は10nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが分かる。
[参考例2]
変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に、LS−8600[1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの商品名(信越化学工業製)]474g、LS−8620[オクタメチルシクロテトラシロキサンの商品名(信越化学工業製)]76.4g、LS−8490[1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサンの商品名(信越化学工業製)408g、LS−7130[ヘキサメチルジシロキサンの商品名(信越化学工業製)40.5g、及び硫酸化ジルコニア20gを仕込み、50℃で3時間攪拌した後、さらに80℃に加熱したまま5時間攪拌した。硫酸化ジルコニアをろ過したのち、130℃、真空下で低沸分を除去し、重量平均分子量6600、Si−H基含量7.93mmol/gのメチルハイドロジェンシロキサン−メチルフェニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー(合成シリコーン化合物)780gを得た。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、脱水したジオキサン100gと、上記合成シリコーン化合物100gを入れ、撹拌下90℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]160gと脱水したジオキサン155g、およびジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)の0.25質量%ジオキサン溶液4.9gを混合した溶液を90℃にて攪拌下約1時間かけて添加し、さらに90℃にて5時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)を得た。
得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)4gに水100gを加えると、わずかに白濁した分散液となった。
また、得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)0.88gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において41.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)1g当りのSi−H基含量は1.89mmol/g(合成シリコーン化合物1g当たりに換算したSi−H基含量は約6.81mmol/g)であった。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TKS−203[酸化チタンヒドロゾルの商品名(テイカ製)、中性、TiO濃度19.2質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの]117.2gと水107.8gを入れた後、これに合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)40.5gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−2)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において940mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は24nm)であり、さらに変性処理前のTKS203の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)は、JIS K 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は50cmで有り、良好な結果を示した。
更に、変性光触媒ヒドロゾル(A−2)から溶媒を除去することにより、変性光触媒粉体(A−2’)を得た。得られた変性光触媒粉体(A−2’)のBET表面積は10m/gであった。この変性光触媒粉体(A−2’)に東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整]を10日間照射すると、BET表面積は50m/gに増加した。
[参考例3]
変性光触媒ヒドロゾル(A−3)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、NTB−200[可視光応答型酸化チタンゾルの商品名(昭和電工製)、TiO濃度2.5質量%、平均結晶子径10nm(カタログ記載値)]100gを入れた後、これに参考例2で合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(2)4.5gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−3)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(2)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において100mlであった。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−3)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は18nm)であり、さらに変性処理前のNTB−200の単一分散(数平均粒子径は16nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
[参考例4]
変性光触媒ヒドロゾル(A−4)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、NTB−200(参考例3で使用したものと同じ)120gを入れ、これにAciplex−SS910[パーフルオロカーボンスルホン酸ポリマーの5質量%エタノール−水(質量比1:1)溶液の商品名(旭化成製)]15gを30℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに30℃にて1時間撹拌を続けた後、得られた分散液をエバポレーターにて90gまで濃縮し(この際、分散液からエタノール臭は消失)、水30gを添加することにより、非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−4)を得た。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−4)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は34nm)であり、さらに変性処理前のNTB−200の単一分散(数平均粒子径は16nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
[参考例5]
変性光触媒オルガノゾル(A−5)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251[酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)]40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン8gを40℃にて約5分かけて添加し、さらに40℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A−5)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、得られた変性光触媒オルガノゾル(A−5)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は17nm)であり、さらに変性処理前のTKS−251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
[参考例6]
フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量2600のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BSP−1)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(BSP−1)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の平均組成式は、(Ph)(OCH0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
[参考例7]
変性光触媒ヒドロゾル(A−6)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に参考例2で合成した合成シリコーン化合物40gを入れ、撹拌下80℃に昇温した。これにユニオックスPKA−5118[ポリオキシエチレンアリルメチルエーテルの商品名(日本油脂社製)、重量平均分子量800]200gと脱水したメチルエチルケトン200g、および塩化白金酸6水和物5質量%イソプロパノール溶液1.0gを混合した溶液を攪拌下で約1時間かけて添加し、さらに80℃にて5時間攪拌を続けた後室温にまで冷却することにより、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)を得た。
得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)4gに水100gを加えると、透明な水溶液となった。
また、得られたSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)3.97gにブチルセロソルブ8gを添加・混合した後、1N水酸化ナトリウム水溶液8mlを添加すると、水素ガスが発生し、その体積は21℃において21.0mlであった。この水素ガス生成量から求めた、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)1g当りのSi−H基含量は0.22mmol/g(合成シリコーン化合物1g当たりに換算したSi−H基含量は約2.37mmol/g)であった。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TKS−203[酸化チタンヒドロゾルの商品名(テイカ製)、中性、TiO濃度19.2質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)のもの]78.1gと水221.9gを入れた後、これに合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)41.3gを40℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに40℃にて12時間撹拌を続けた後、減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、水を加えて5質量%の非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−6)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において210mlであった。また、得られた変性酸化チタンヒドロゾル(A−6)をKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は55nm)であり、さらに変性処理前のTKS203の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)は、JIS K 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は450cmで有り、非常に良好であった。
[参考例8]
変性光触媒ヒドロゾル(A−7)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を取りつけた反応器に、TSS4110[可視光応答型酸化チタンゾルの商品名(住友化学工業製)、光触媒濃度10質量%]15gと水15gを入れた後、これに参考例7で合成したSi−H基含有ケイ素化合物溶液(3)4.1gを40℃にて攪拌下約30分かけて添加し、さらに40℃にて12時間撹拌を続けた後、減圧蒸留によりメチルエチルケトンを除去し、水を加えて5質量%の非常に分散性の良好な変性光触媒ヒドロゾル(A−7)を得た。この時、Si−H基含有ケイ素化合物溶液(3)の反応に伴い生成した水素ガス量は20℃において25mlであった。
また、得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−7)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は29nm)であり、さらに変性処理前のTSS4110の単一分散(数平均粒子径は13nm)の粒径分布が大きな粒径側に平行移動していることが確認できた。
得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−7)は、JIS K 2236における塗り広げやすさ、ふき取りやすさの試験に合格し、ワックス性状であることが確認できた。また、塗り伸ばし試験は400cmで有り、非常に良好であった。
[実施例1]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gをLPG155gと共に充填して容量500mlの防曇被覆組成物入りスプレー缶(C−1)を得た。
ノズル径0.4mmを使用し、得られた防曇被覆用組成物入りスプレー(C−1)を5cm×5cmのポリカ−ボネ−ト板に1秒間塗布し、室温で2日乾燥した後、東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計(受光部:トプコン製UD−36型受光部)を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整]を48時間照射して光触媒担持試料(D−1)を作成した。
この試料(D−1)の防曇性評価の結果は良好(○)であった。
また、この試料(D−1)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−1)を用いて再度防曇性評価したところ、良好な防曇性(○)を保持していた。
[実施例2]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gの代わりに、参考例1で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)110gとS−753[水溶性アクリル樹脂ウォーターゾルの商品名(大日本インキ製)、固形分50%]10gの混合物を用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−2)を作成した。
この試料(D−2)の防曇性、の結果は良好(○)であった。
また、この試料(D−2)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−2)を用いて再度防曇性評価したところ、良好な防曇性(○)を保持していた。
[実施例3]
参考例2で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gの代わりに、参考例5で得られた変性光触媒オルガノゾル(A−5)12gと、参考例6で得られたフェニル基含有シリコ−ン(BSP−1)6gをトルエン42gとイソプロパノ−ル50gの混合溶液に溶かした溶液との混合物を用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−3)を作成した。
この試料(D−3)の防曇性の結果は良好(○)であった。
また、この試料(D−3)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−3)を用いて再度防曇性を評価したところ、良好な防曇性(○)を保持していた。
[実施例4]
参考例3で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−3)100gをLPG155gと共に充填して容量500mlの防曇被覆組成物入りスプレー缶(C−4)を得た。
ノズル径0.4mmを使用し、得られた防曇被覆用組成物入りスプレー(C−4)を5cm×5cmのポリカ−ボネ−ト板に1秒間塗布し、室温で2日乾燥した後、太陽光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計を用いて測定した紫外線強度{受光部として、UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}が0.1〜0.3mW/cm、同紫外線強度計を用いて測定した可視光強度{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}が2〜3mW/cmとなるように調整]を6時間照射して光触媒担持試料(D−4)を作成した。
この試料(D−4)の防曇性の結果は良好(○)であった。
また、この試料(D−4)の耐光性も良好(○)であった。
さらに、耐光性試験後の試料(D−4)を用いて再度防曇性を評価したところ、良好な防曇性(○)を保持していた。
[実施例5]
参考例7で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−6)をスプレー缶に入れ、10cm×10cmのアクリル板に吹き付け、室温で30分乾燥させた後、タオルで拭き伸ばすことにより光触媒担持試料(D−8)を作成した。
得られた試料(D−8)は、非常に透明であり(ヘイズ値は0.1)、水の接触角は8゜であった。試料(D−8)に東芝ライテック製FL20SBLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計(受光部:トプコン製UD−36型受光部)を用いて測定した紫外線強度が2mW/cmとなるよう調整]を4時間照射すると、水の接触角は109゜となり、更に20時間照射すると水の接触角は0゜となった[試料(D−8’)]。
また、試料(D−8’)の光触媒活性は非常に良好(◎)であり、防曇性も良好(○)であった。
[実施例6]
参考例7で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)の代わりに、参考例8で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−7)用いる以外は実施例5と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−9)を作成した。
得られた試料(D−9)は、非常に透明であり(ヘイズ値は0.2)、水の接触角は12゜であった。試料(D−9)に太陽光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−40型受光部(波長370〜490nmの光に対応)を使用}を用いて測定した可視光強度が0.5〜0.6mW/cmとなるよう調整]を4時間照射すると、水の接触角は104゜となり、更に20時間照射すると水の接触角は0゜となった[試料(D−9’)]。
また、試料(D−9’)の光触媒活性は非常に良好(◎)であり、防曇性も良好(○)であった。
[実施例7]
参考例7で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−6)を20cm×20cmnガラス板に厚さ約2μmとなるようにバーコートした後、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光[トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整]を14日間照射することにより、光触媒担持試料(D−10)を作成した。
得られた試料(10)は、透明性が良好(ヘイズ値は1.8)であり、水の接触角は0゜であった。また、この試料(D−7)は優れた防曇性(○)を有していた。
また、得られた試料(D−10)から金属製のへらを用いて剥ぎ取った光触媒皮膜のBET表面積は170m/gであった。これに対し、光照射前の変性光触媒ヒドロゾル(A−6)皮膜のBET表面積は0m/gであり、試料(D−10)の皮膜のBET表面積は光照射によりが増加したことがわかる。
[比較例1]
参考例2で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−2)120gの代わりにTKS203(参考例2と同じ)60gを水60gで希釈したものを用いる以外は実施例1と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−5)を作成した。
この試料(D−5)の防曇性評価の結果は良好(○)であったが、光触媒担持試料(D−5)からは容易に光触媒が脱落した。また、この試料(D−5)の耐光性は非常に悪かった(×)。
[比較例2]
参考例1で合成した変性光触媒ヒドロゾル(A−1)110gの代わりにタイノックA6(参考例1と同じ)110gを用いる以外は実施例2と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−6)を作成した。
この試料(D−6)の防曇性評価の結果はやや良好(△)であった。
また、この試料(D−6)の耐光性は非常に悪かった(×)。
[比較例3]
参考例3で得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−3)100gの代わりにTKS203(参考例2と同じ)12gを水88gで希釈したものを用いる以外は実施例4と同様の操作を行って光触媒担持試料(D−7)を作成した。
この試料(D−7)の防曇性評価の結果は悪く(×)、光触媒担持試料(D−7)からは容易に光触媒が脱落した。また、この試料(D−7)の耐光性も非常に悪い結果(×)となった。
[比較例4]
TKS203(参考例2と同じ)を5質量%に水で希釈したものをスプレー缶に入れ、10cm×10cmのアクリル板に吹き付け、室温で30分乾燥させた後、タオルで拭き伸ばそうとしたが不可能であった。
本発明の防曇被覆用組成物は、部材に対する定着性が良く、有機部材に応用した場合に於いても優れた防曇機能を長期にわたり発現できる。
図1は、変性処理前のタイノックA6(市販の酸化チタンヒドロゾル)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。 図2は、参考例1で上記タイノックA6を変性処理して得られた変性光触媒ヒドロゾル(A−1)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。

Claims (13)

  1. 光触媒(a)を式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理された変性光触媒(A)を含有することを特徴とする防曇被覆用組成物。
    Si− (1)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
    −(RSiO)− (2)
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
    Figure 2004292810
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
  2. 該変性光触媒(A)がワックス性状を有することを特徴とする請求項1記載の防曇被覆用組成物。
  3. 該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することによりBET表面積が増加することを特徴とする請求項1または2に記載の防曇被覆用組成物。
  4. 該変性光触媒(A)が、そのバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、20℃における水との接触角が光照射前より10°以上増加し、次に該光照射を行うことにより20℃における水との接触角が光照射前より10°以上低下することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
  5. 該変性剤化合物(b)が、一般式(4)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
    SiO(4−x−y−z)/2 (4)
    (式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
    また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。
    また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
  6. 該変性剤化合物(b)が、式(6)及び/または式(8)で表される機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
    H−(RSiO)−SiR−Q (6)
    (式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
    また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
    (RHSiO)(RSiO)(RQSiO)(RSiO1/2
    (8)
    (式中、RおよびQは式(6)で定義した通りである。
    pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
  7. 該変性剤化合物(b)がポリオキシアルキレン基を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
  8. 該変性剤化合物(b)が、式(13)で表される構造を有するフッ素系樹脂(b2)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
    Figure 2004292810
    (式中、A〜Aは同一でも異なっていても良く、それぞれフッ素原子、水素原子、塩素原子、炭素数1〜6のアルキル基、及び炭素数1〜6のハロ置換アルキル基から選ばれる1種を示す。Yは分子量14〜50000のw価の有機基を表す。Vは、エポキシ基、水酸基、アセトアセチル基、チオール基、環状酸無水物基、カルボキシル基、スルホン酸基、ポリオキシアルキレン基、加水分解性シリル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を表す。kは0以上1000000以下の整数であり、lは1以上100000以下の整数を表す。wは1〜20の整数である。)
  9. 該変性光触媒(A)が可視光応答型光触媒であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
  10. 該変性光触媒(A)より表面エネルギーの大きな樹脂を更に含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
  11. エタノールを更に含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
  12. 噴射剤を更に含有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の防曇被覆用組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の防曇被覆用組成物で処理された防曇性部材。
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