JP2004209344A - 光触媒組成物、およびそれから形成される光触媒体 - Google Patents

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亮 中林
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Abstract

【課題】有機基材と光触媒体との間の界面劣化や光触媒体自体の劣化を生じることが無く、光照射により長期にわたり、その表面が水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を発現する耐久性に優れた光触媒体や機能性複合体を煩雑な工程を必要とせずに得ることができる光触媒組成物を提供する。
【解決手段】光触媒粒子(a)を、トリオルガノシラン単位、モノオキシジオルガノシラン単位、ジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られた変性光触媒(A)と、ポリシラザン化合物(B)を含有するバインダー成分(B)とからなる光触媒組成物。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光エネルギーによって物質の分解作用や表面の親水化作用を示すことから、環境浄化や防汚、防曇等の分野へ応用が知られている酸化チタンに代表される光触媒の部材表面への固定化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ある種の物質に、その物質の伝導帯と価電子帯との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)よりも大きなエネルギーを持つ光、即ちその物質のバンドギャップに対応する光よりも波長の短い光(励起光)を照射すると、光エネルギーによって価電子帯中の電子の励起(光励起)が起こり、伝導帯に電子が、価電子帯に正孔が生成する。このとき、伝導帯に生成した電子の還元力および/または価電子帯に生成した正孔の酸化力を利用して、種々の化学反応を行うことができる。
【0003】
即ち、上記のような物質は、励起光照射下において触媒のように用いることができる。そのため、上記のような物質は光触媒と呼ばれており、その最も代表的な例として酸化チタンが知られている。
この光触媒によって促進される化学反応の例としては、種々の有機物の酸化分解反応を挙げることができる。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、基材の表面に付着した種々の有機物を、光エネルギーを利用して酸化分解することができることになる。
【0004】
一方、ある種の光触媒に光を照射すると、その光触媒の表面の親水性が高まることが知られている。従って、この光触媒を種々の基材の表面に固定化させれば、光の照射によりその基材の表面の親水性を高めることができるようになる。
近年、上記のような光触媒の特性を、環境浄化、種々の基材の表面への汚れの付着防止や曇りの防止を始めとする、種々の分野に応用するための研究が盛んになってきている。この場合、光触媒を種々の基材の表面に固定化するための方法が非常に重要な役割を担う。
【0005】
光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。
例えば、特開昭60−044053号公報では、光触媒をスパッタリング法により基材の表面に薄膜状にして固定化する方法が開示されている。
それらの方法のうち特に有用な方法の1つとして、光触媒を含む組成物によって基材の表面をコーティングし、光触媒を含む皮膜を形成させることにより、光触媒を基材の表面に固定する方法が注目されている。
【0006】
この方法によって光触媒の固定化を行う場合、
(1)光触媒の活性を損なうことなく、光触媒を基材の表面に強固に固定化できること、および
(2)形成される皮膜およびその皮膜によって被覆された基材が、光触媒の作用で劣化しない耐久性を有することが要求される。
さらに、固定化する基材の適応範囲を広げるための好ましい条件として、
(3)穏和な固定化条件(室温〜150℃程度)で、硬度や耐薬品性等に優れた皮膜を形成することが要求される。
【0007】
コーティングによって光触媒を固定化する方法については、これまでに種々の提案がなされている。
例えば、特開昭60−118236号公報では、光触媒の前駆体、例えば有機チタネートを含有するゾルを基材の表面に塗布した後、焼成によって光触媒の前駆体をゲル化させ、光触媒に変換すると共に、生成した光触媒を基材の表面に固定化する方法が提案されている。しかしこの方法は、光触媒の微粒子状結晶を基材の表面で生成させる工程を含んでおり、この工程には高温での焼成が必要である。そのため、基材の表面積が広い場合には光触媒の固定化が困難になるという欠点がある。
【0008】
特開平6−278241号公報では、光触媒含有ゾルを使用する(従って光触媒の微粒子状結晶の生成過程を必要としない)方法として、水中に解膠させた酸化チタンゾルを用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかし、酸化チタンゾルは穏和な条件下では成膜性がないため、この方法においても高温度での焼成が必要である。その上、生成する被膜は脆く容易に破壊され、光触媒が基材の表面から脱落してしまうため、光触媒が基材の表面で効果を示すようにすることができなくなるという欠点があった。
【0009】
また、光触媒を混合した樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法も提案されている。例えば、特開平7−171408号公報、特開平9−100437号公報および特開平11−188271号公報で提案されているフッ素樹脂やシリコーン樹脂、さらには特開平11−35887号公報、特開2000−53920号公報および特開2000−191960号公報で提案されているポリシラザン化合物等の、光触媒の作用によって分解されにくい樹脂を塗膜形成要素として含む樹脂塗料に光触媒を混合し、この樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかしこれらの方法では、樹脂塗料に対する光触媒の分散性が悪いため、樹脂塗料が白濁してしまう。また、これらの方法によって良好な物性を示す被膜を得るためには、上記の樹脂の使用量を多くする必要があるが、そのようにするとコーティングによって形成された皮膜の中に光触媒が埋没してしまい、十分な活性を示さないという欠点がある。
【0010】
さらに、特開平9−314052号公報では、樹脂塗料と、その樹脂塗料を構成する溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を併用する方法が提案されている。即ち、まず基材の表面に樹脂塗料を塗布し、次いでその樹脂塗料が硬化する前に、樹脂塗料の上に光触媒粒子を塗布する方法が提案されている。しかしこの方法では、工程が煩雑な上、均質で透明な塗膜が得られない欠点がある。なおこの特許公報中では、さらに、工程の簡略化を目的として、溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を樹脂塗料中に混合したものを塗布することによりコーティングを行う方法も提案されている。しかし、溶剤に対する濡れ性を調整しただけでは、コーティングによって形成された皮膜の中への光触媒粒子の埋没を阻止することはできず、ほとんどの光触媒粒子が皮膜の中に完全に埋没してしまうので光触媒粒子が十分な活性を示さないという欠点がある。
【0011】
さらに、光触媒を固定化する基材として、プラスチック成形体、フィルム、有機塗膜等の有機基材を用いた場合、上述した従来技術で得られる光触媒皮膜は光触媒作用により該有機基材を酸化分解し、有機基材と光触媒皮膜との間の界面劣化を生じ、長期にわたる耐久性を維持できないという欠点も有している。
【0012】
上述した従来技術の種々の欠点を克服するための方法として、我々は、表面エネルギーの低いシリコーン化合物で光触媒粒子の表面を変性した変性光触媒と、それより表面エネルギーの高いバインダーからなる光触媒組成物を提案した(WO00−30747号パンフレット)。該光触媒組成物は、光触媒粒子の濃度が有機基材と接する界面近傍では小さく、皮膜表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した皮膜を形成するため、光触媒作用による有機基材との界面劣化が無く、光触媒活性が大きい光触媒皮膜を形成する。しかし、この方法においても、表面エネルギーの高いバインダーとして光触媒分解が比較的おこりにくいシリコーンアクリル樹脂を用いた場合においてさえ、長期間の光触媒作用によるバインダー自体の劣化は完全には防止できず、長期の耐久性に優れた光触媒固定化部材を得ることが困難であるという技術課題を有している。
【0013】
また、特開2001−64583号公報では、光触媒粒子とシリコーンアクリル樹脂と水系溶媒を必須成分とする傾斜塗膜を形成する光触媒含有塗料組成物を提案している。この場合、傾斜塗膜は、シリコーンアクリル樹脂中の疎水性部位であるアクリル樹脂成分が、親水性(表面エネルギーの高い)光触媒粒子と基材との間に割り込む様に配向することによって得られるため、光触媒に分解されやすいアクリル樹脂が必須となり、結果として皮膜自体の耐久性は非常に悪いものとなる。
【0014】
上述した傾斜塗膜を提供する従来技術の欠点を克服するための方法として、さらに我々は、表面エネルギーの低いシリコーン化合物で光触媒粒子の表面を変性した変性光触媒と、表面エネルギーの高い無機バインダーであるフェニルシリコーンからなる光触媒組成物を提案した(特開2002−273233号公報)。しかし、該光触媒組成物からは、期待通り耐久性の良い光触媒含有被膜を形成することが可能であるが、穏和な固定化条件(室温〜150℃程度)で硬度や耐薬品性等に優れた皮膜を形成することが容易ではなかった。
すなわち、コーティングによって光触媒を基材の表面に固定化する方法において、煩雑な工程を必要とせずに上記(1)、(2)のみでなく、(3)の条件までを全て満足するものは未だ知られていない。
【0015】
【特許文献1】
特開昭60−044053号公報
【特許文献2】
特開昭60−118236号公報
【特許文献3】
特開平6−278241号公報
【特許文献4】
特開平7−171408号公報
【特許文献5】
特開平9−100437号公報
【特許文献6】
特開平11−188271号公報
【特許文献7】
特開平11−35887号公報
【特許文献8】
特開2000−53920号公報
【特許文献9】
特開2000−191960号公報
【特許文献10】
特開平9−314052号公報
【特許文献11】
WO00−30747号パンフレット
【特許文献12】
特開2001−64583号公報
【特許文献13】
特開2002−273233号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、煩雑な工程を必要とせずに上記(1)、(2)、(3)の条件を全て満足する光触媒の固定化技術提供することである。具体的には、有機基材と光触媒皮膜との間の界面劣化や光触媒皮膜中のバインダーの劣化を生じることが無く、硬度等と柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)のバランスに優れ、光照射により長期にわたり、その表面が水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を発現する耐久性に優れた機能性複合体を煩雑な工程を必要とせずに得ることができる光触媒組成物を提供することである。また、水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を長期にわたり発現する成形体を、煩雑な工程を必要とせずに得ることができる光触媒材料を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)を含有する光触媒組成物であって、該変性光触媒(A)は、光触媒粒子(a)を、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られることを特徴とする光触媒組成物。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0018】
【化2】
Figure 2004209344
【0019】
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
2.シリコーン化合物(BS)を更に含有することを特徴とする発明1に記載の光触媒組成物。
【0020】
3.該シリコーン化合物(BS)が、式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BSP)及び/又は式(5)で表されるアルキル基含有シリコーン(BSA)であることを特徴とする発明2に記載の光触媒組成物。
SiO(4−s−t)/2 (4)
(式中、Rはフェニル基を表す。Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
SiO(4−u−v)/2 (5)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
【0021】
4.該変性光触媒(A)の数平均粒子径が400nm以下であることを特徴とする発明1〜3のいずれかに記載の光触媒組成物。
5.該変性剤化合物(b)が、式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする発明1〜4のいずれかに記載の光触媒組成物。
SiO(4−x−y−z)/2 (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
また、式中Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
【0022】
6.発明1〜5のいずれかに記載の光触媒組成物から形成されてなる光触媒体。
7.該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする発明6に記載の光触媒体。
8.該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、該変性光触媒(A)を構成する光触媒粒子(a)の近傍に存在する珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部が水酸基及び/又はシロキサン結合に置換されてなることを特徴とする発明6または7に記載の光触媒体。
9.皮膜であることを特徴とする発明6〜8のいずれかに記載の光触媒体。
【0023】
10.発明6〜9のいずれかに記載の光触媒体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
11.該光触媒体が変性光触媒(A)の分布について異方性を有し、該変性光触媒(A)の濃度が、該光触媒体の基材に接する面より他方の露出面の方が高いことを特徴とする発明10に記載の機能性複合体。
12.成形体であることを特徴とする発明6〜8のいずれかに記載の光触媒体。13.該光触媒体が変光触媒(A)の分布について異方性を有し、該変性光触媒(A)の濃度が、該成形体の内部より表面の方が高いことを特徴とする発明12に記載の光触媒体。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の光触媒組成物は、変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)を含有することを特徴とする。本発明の光触媒組成物からは硬度、耐薬品性、耐候性等に優れた、長期にわたり光触媒活性及び/又は親水性を発現することが可能な光触媒体を形成することができる。
【0025】
本発明において光触媒活性とは、光照射によって酸化、還元反応を起こすことを言う。これらの光触媒活性は、例えば材料表面の光照射時における色素等の有機物の分解性を測定することにより判定することができる。光触媒活性を有する表面は、優れた汚染有機物質の分解活性や耐汚染性を発現する。
また、本発明において親水性とは、好ましくは20℃での水の接触角が60゜以下である場合を言うが、特に水の接触角が20゜以下の親水性を有する表面は、降雨等の水による自己浄化能(セルフクリーニング)による耐汚染性を発現するので好ましい。さらに優れた耐汚染性発現や防曇性発現の点からは表面の水の接触角は10゜以下であることが好ましく、更に好ましくは5゜以下である。
【0026】
本発明の変性光触媒(A)は、光触媒粒子(a)を、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られる。
本発明において変性とは、後述する少なくとも1種の変性剤化合物(b)を、光触媒粒子(a)の表面に固定化することを意味する。上記の変性剤化合物の光触媒粒子の表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、変性剤化合物と光触媒との相互作用が強く、変性剤化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
【0027】
本発明において使用可能な光触媒粒子(a)の例としては、例えばTiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)や、窒素ドープ酸化チタン(例えば特開平13−278625号公報、特開平13−278627号公報、特開平13−335321号公報、特開平14−029750号公報、特開平13−207082号公報等参照)や、酸素欠陥型の酸化チタン(例えば特開平13−212457号公報参照)の如き、可視光応答型酸化チタン光触媒も好適に使用することができる。また、TaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物やSmTi等のオキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、好適に使用することができる。
【0028】
更に、これらの光触媒粒子に、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及び/又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触媒(例えば特開平10−244166号公報参照)等を使用することもできる。
上記光触媒粒子(a)の結晶粒子径(1次粒子径)は1〜400nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nmの光触媒が好適に選択される。
これらの光触媒粒子(a)のうち、酸化チタンは無毒であり、化学的安定性にも優れると共に、光照射により、酸化チタン自体の親水性が非常に高まるため好ましい。
該酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうち、いずれの結晶形を使用してもよい。また、可視光応答性である上記窒素ドープ酸化チタンや酸素欠陥型の酸化チタンも、該酸化チタンとして好適に使用できる。
【0029】
本発明においては、用いる光触媒の性状が、変性光触媒(A)の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明に使用される光触媒粒子(a)としては、1次粒子と2次粒子との混合物(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)の数平均分散粒子径が400nm以下の光触媒粒子が変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために望ましい。特に数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒粒子を使用した場合、生成する変性光触媒(A)と後述するバインダー成分(B)からなる光触媒組成物からは透明性に優れた皮膜を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは80nm以下3nm以上、さらに好ましくは50nm以下3nm以上の光触媒粒子が好適に選択される。
【0030】
これらの光触媒粒子(a)としては、以下の理由から、光触媒粉体ではなく光触媒ゾルを使用することが好ましい。一般に微細な粒子からなる粉体は、単結晶粒子(一次粒子)が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄にする表面特性が多いが、一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。これに対して、光触媒ゾルの場合、光触媒粒子は溶解せずに一次粒子に近い形で存在しているため表面特性を有効に利用でき、それから生成する変性光触媒は分散安定性、成膜性等に優れるばかりか、種々の機能を有効に発現するので好ましく使用することができる。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルとは、光触媒粒子が水及び/又は有機溶媒中に0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子及び/または二次粒子として分散されたものである。
【0031】
ここで、上記光触媒ゾルに使用される上記有機溶媒としては、例えばエチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0032】
該光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。(ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80質量%程度以上含有されていることを意味する。)かかるゾルの調整は公知であり、容易に製造できる(例えば特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。例えば、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した含水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させると酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、又はアンモニア等の作用の下に解膠させ水熱処理等を行うことにより酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも例えば特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
【0033】
上述した酸化チタンヒドロゾルはチタニアゾルとしても市販されている。(例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等)
上記酸化チタンヒドロゾル中の酸化チタンは好ましくは50質量%以下、好ましくは30質量%以下である。さらに好ましくは30質量%以下0.1質量%以上である。
このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低い。本発明においては、ヒドロゾルの粘度は、0.5mPa・s〜2000mPa・s程度の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは1mPa・s〜1000mPa・s、さらに好ましくは1mPa・s〜500mPa・sである。
【0034】
また、例えば酸化セリウムゾル(例えば特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物のゾル(例えば特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
【0035】
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解及び/又は可溶化する化合物)で処理し有機溶媒で希釈したり(例えば特開平10−167727号公報)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で水に不溶性の有機溶剤中に分散移行させてゾルを調整する方法(例えば特開昭58−29863号公報)やブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80質量%程度以上含有されていることを意味する。
【0036】
本発明において、変性光触媒(A)を得るのに用いられる少なくとも1種の変性剤化合物(b)は、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる。
Si− (1)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す)
−(RSiO)− (2)
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
【0037】
【化3】
Figure 2004209344
【0038】
(式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
上述した構造単位を有する変性剤化合物(b)で光触媒粒子表面が変性処理された変性光触媒(A)は、その粒子表面の表面エネルギーが非常に小さくなる。
本発明において、光触媒粒子(a)の変性剤化合物(b)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、前述した光触媒粒子(a)と、同じく前述した変性剤化合物(b)を好ましくは質量比(a)/(b)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(A)/(b)=10/90〜99/1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃にて加熱したり、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
【0039】
ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0040】
本発明の変性光触媒(A)を得るのに使用される上記変性剤化合物(b)としては、例えばSi−H基、加水分解性シリル基(アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、(環状)酸無水物基等の光触媒粒子(a)と反応性を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
【0041】
また、上記変性剤化合物(b)の他の例としては、例えば光触媒粒子(a)とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造、例えばポリオキシアルキレン基等を有する、ケイ素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
本発明において、上記変性剤化合物(b)として、組成式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を用いると、非常に効率よく光触媒粒子表面を変性することができるため好ましい。
SiO(4−x−y−z)/2 (6)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
【0042】
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基(本願において環状酸無水物基と非環状酸無水物基をまとめて表す)、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
【0043】
本発明において、光触媒粒子(a)の上記組成式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、水及び/又は有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒粒子(a)と該Si−H基含有ケイ素化合物(b1)を好ましくは質量比(a)/(b1)=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは(a)/(b1)=10/90〜99/1の割合で、好ましくは0〜200℃にて混合することにより実施できる。この変性の操作により混合液からは水素ガスが発生すると共に、光触媒粒子(a)として光触媒ゾルを用いた場合、その平均分散粒子径の増加が観察される。また、例えば光触媒粒子(a)として酸化チタンを用いた場合、上記変性の操作により、Ti−OH基の減少がIRスペクトルにおける3630〜3640cm−1の吸収の減少として観測される。
【0044】
これらのことより、変性剤化合物(b)として上記式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)を選択した場合は、本発明の変性光触媒(A)は、Si−H基含有ケイ素化合物(b1)と光触媒粒子(a)との単なる混合物ではなく、両者の間には化学反応に伴う何らかの相互作用を生じていることが予測できるため非常に好ましい。実際、この様にして得られた変性光触媒(A)は、有機溶媒に対する分散安定性や化学的安定性、耐久性等等において非常に優れたものとなる。
【0045】
本発明において、光触媒粒子(a)の上記式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)による変性処理は、Si−H基に対する脱水素縮合触媒を使用して好ましくは0〜150℃で実施することもできる。
この場合、あらかじめ光還元法等の方法で脱水素縮合触媒を光触媒粒子(a)に固定し、上記Si−H基含有ケイ素化合物(b1)で変性処理しても良いし、脱水素縮合触媒の存在下に上記Si−H基含有化合物ケイ素(b1)で光触媒粒子(a)を変性処理しても良い。
ここでSi−H基に対する脱水素縮合触媒とは、Si−H基と光触媒表面に存在する水酸基(酸化チタンの場合はTi−OH基)やチオール基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素基、さらには水等との脱水素縮合反応を加速する物質を意味し、該脱水素縮合触媒を使用することにより温和な条件で光触媒粒子表面を変性することが可能となる。
【0046】
該脱水素縮合触媒としては、例えば白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の単体及びその化合物や、銀、鉄、銅、コバルト、ニッケル、錫等の単体及びその化合物が挙げられる。これらの中で白金族触媒が好ましく、白金の単体及びその化合物が特に好ましい。
ここで、上記白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体等を使用することができる。
【0047】
本発明の上記式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物において、Si−H基は光触媒を穏和な条件で選択性良く変性するために好ましい官能基である。これに対し、加水分解性基は、同様に光触媒の変性に利用することもできるが、副反応を抑制し、得られる変性光触媒の安定性を向上するためには、その含有量は少ない方が好ましい。
即ち、本発明で好適に利用できるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(7)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
R’SiO(4−x−y−z)/2 (7)
(式中、R’は各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基を表す。
【0048】
また、式中Qは、又は下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
【0049】
また、本発明に好適に使用できる上記一般式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)としては、例えば式(8)や式(9)で表されるモノSi−H基含有化合物、式(10)で表される両末端Si−H基含有化合物、式(11)で表されるHシリコーン化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のSi−H基含有ケイ素化合物を挙げることができる。
【0050】
【化4】
Figure 2004209344
【0051】
(式中、Rは各々独立して直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のフルオロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(12)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(R SiO)−SiR ・・・(12)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
H−(R SiO)−SiR −Q ・・・(9)
(式中、Rは式(8)で定義した通りである。Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
【0052】
(あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
(い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
(う)少なくとも1つの分光増感基。
mは整数であり、0≦m≦1000である。)
H−(R SiO)−SiR −H ・・・(10)
(式中、Rは式(8)で定義した通りである。mは整数であり、0≦m≦1000である。)
(RHSiO)(R SiO)(RQSiO)(R SiO1/2・・・(11)
(式中、Rは式(8)で定義した通りであり、Qは式(9)で定義した通りである。pは1以上の整数であり、q及びrは0又は1以上の整数であり、(p+q+r)≦10000であり、そしてsは0又は2である。但し、(p+q+r)が2以上の整数であり且つs=0の場合、該Hシリコーン化合物は環状シリコーン化合物であり、s=2の場合、該Hシリコーン化合物は鎖状シリコーン化合物である。)
【0053】
本発明において、上記式(8)で表されるモノSi−H基含有化合物の具体例としては、例えばビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)エチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)i−プロピルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ブチルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)n−ヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)シクロヘキシルシラン、ビス(トリメチルシロキシ)フェニルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)メチルシラン、ビス(トリエチルシロキシ)エチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、トリス(トリエチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,1,3,3,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,5,6,6−ノナメチルテトラシロキサン、トリメチルシラン、エチルジメチルシラン、メチルジエチルシラン、トリエチルシラン、フェニルジメチルシラン、ジフェニルメチルシラン、シクロヘキシルジメチルシラン、t−ブチルジメチルシラン、ジ−t−ブチルメチルシラン、n−オクタデシルジメチルシラン、トリ−n−プロピルシラン、トリ−i−プロピルシラン、トリ−i−ブチルシラン、トリ−n−ヘキシルシラン、トリフェニルシラン、アリルジメチルシラン、1−アリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、クロロメチルジメチルシラン、7−オクテニルジメチルシラン等を挙げることができる。
【0054】
これらのモノSi−H基含有化合物の中で、光触媒の変性処理時におけるSi−H基の反応性(脱水素縮合反応)の良さや表面エネルギーの低さから、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、ペンタメチルジシロキサン等の分子中にシロキシ基を有するものが好ましい。
本発明において、上記式(10)で表される両末端Si−H基含有化合物の具体例としては、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジメチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタエチルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジエチルシロキサン類や、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサフェニルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルテトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリジフェニルシロキサン類や、1,3−ジフェニル−1,3−ジメチル−ジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニル−トリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニル−テトラシロキサン等の数平均分子量50000以下のH末端ポリフェニルメチルシロキサン類や、ジメチルシラン、エチルメチルシラン、ジエチルシラン、フェニルメチルシラン、ジフェニルシラン、シクロヘキシルメチルシラン、t−ブチルメチルシラン、ジ−t−ブチルシラン、n−オクタデシルメチルシラン、アリルメチルシラン等を例示することができる。
【0055】
本発明に用いる上記式(10)で表される両末端Si−H基含有化合物としては、光触媒の変性処理時における分散安定性(光触媒粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が、好ましくは10000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下の両末端Si−H基含有化合物が好適に使用できる。
本発明に用いることができる上記式(11)で表されるHシリコーン化合物としては、光触媒の変性処理時における分散安定性(光触媒粒子の凝集の防止)の点より、数平均分子量が、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、さらに好ましくは2000以下のHシリコーン化合物が好適に使用できる。
【0056】
また、上記一般式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)として、機能性付与基含有基(Q)を有するもの(式(9)、式(11)であってrが1以上の正数のもの等)を選択すると、本発明で得られる変性光触媒(A)に種々の機能を付与できるため好ましい。
ここで機能性付与基含有基(Q)は下式(13)で表される基であることが好ましい。
−Z−(W) ・・・(13)
(式中、Zは分子量14〜50,000のa価の有機基を表し、Wは上記式(6)中の機能性付与基(あ)〜(う)からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、aは1〜20の整数である。)
例えば機能性付与基含有基(Q)として、カルボキシル基あるいはその塩を含む1価の基、リン酸基あるいはその塩を含む1価の基、スルホン酸基あるいはその塩を含む1価の基、アミノ基あるいはその塩を含む1価の基、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基[式(6)中の(あ)]を有するものを選択すると、得られる変性光触媒(A)の水に対する分散安定性が非常に良好なものとなる。
【0057】
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基[式(6)中の(い)]を含有する基を選択すると本発明の変性光触媒(A)は架橋性を有し、本発明の光触媒組成物から形成される光触媒体の硬度や耐薬品性が向上するため好ましい。
また、例えば機能性付与基含有基(Q)として、分光増感基を有するものを選択すると、本発明の変性光触媒(A)は、紫外線領域だけでなく、可視光領域及び/又は赤外光領域の光の照射によっても触媒活性や光電変換機能を発現することができる。
【0058】
ここで、分光増感基とは、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を持つ種々の金属錯体や有機色素(即ち、増感色素)に由来する基を意味する。
増感色素としては、例えばキサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、ローダシアニン系色素、スチリル系色素、ヘミシアニン系色素、メロシアニン系色素、フタロシアニン系色素(金属錯体を含む)、ポルフィリン系色素(金属錯体を含む)、トリフェニルメタン系色素、ペリレン系色素、コロネン系色素、アゾ系色素、ニトロフェノール系色素、さらには例えば特開平1−220380号公報や特許出願公表平5−504023号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄、亜鉛の錯体や、他にルテニウムレッド等の金属錯体を挙げることができる。
【0059】
これらの増感色素の中で、400nm以上の波長領域で吸収を持ち、かつ最低空軌道のエネルギー準位(励起状態の酸化還元電位)が光触媒の伝導帯のエネルギー準位より高いという特徴を有するものが好ましい。このような増感色素の特徴は、赤外・可視・紫外領域における光の吸収スペクトルの測定、電気化学的方法による酸化還元電位の測定(例えばT.Tani, Photogr. Sci. Eng., 14, 72 (1970); R.W.Berriman et al., ibid., 17. 235 (1973); P.B.Gilman Jr., ibid., 18, 475 (1974)等)、分子軌道法を用いたエネルギー準位の算定(例えばT.Tani etal., Photogr. Sci. Eng., 11, 129 (1967); D.M.Sturmer et al., ibid., 17.146 (1973); ibid., 18, 49 (1974); R.G.Selby et al., J. Opt. Soc. Am., 33, 1 (1970)等)、更には光触媒と分光増感色素によって作成したGratzel型湿式太陽電池の光照射による起電力の有無や効率等によって確認することができる。
【0060】
上記の特徴を有する増感色素の例としては、9−フェニルキサンテン骨格を有する化合物、2,2−ビピリジン誘導体を配位子として含むルテニウム錯体、ペリレン骨格を有する化合物、フタロシアニン系金属錯体、ポルフィリン系金属錯体等を挙げることができる。
【0061】
本発明において、上述した機能性付与基含有基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法としては、
(Q−1):下記一般式(14)で表されるSi−H基含有化合物と、機能性付与基[式(6)中の(あ)〜(う)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させる方法。
(Q−2):下記一般式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と、反応性基[式(6)中の(い)]を有する炭素−炭素不飽和結合化合物をヒドロシリル化反応させて反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得た後、該反応性基と反応性を有する機能性付与基含有化合物を反応させる方法が挙げられる。
(x+z)SiO(4−x−y−z)/2 (14)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基を表す。
【0062】
また、0<(x+z)<4、0<y<4、及び(x+y+z)≦4である。)まず、機能性付与基(Q)を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−1)の方法[以下(Q−1)−方法]について説明する。
【0063】
(Q−1)−方法において、上記式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に、機能性付与基として親水性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基、(環状)酸無水物からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0064】
上記親水性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えば式(15)で表されるポリオキシエチレン基含有アリルエーテルや、さらには5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、アリルコハク酸無水物等を挙げることができる。
CH=CHCHO(CHCHO) (15)
(式中、bは1〜1000の整数を表す。Rは、水素原子或いは直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基を表す。)
また、上記式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に反応性基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1種の反応性基を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。
【0065】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の好ましい具体例として、例えばアリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ジアリルエーテル、ジアリルフタレート、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ヘキセン−2−オン、アリルイソシアネート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルアミン、アリルイソチオシアネート、アリルセミカルバジド、(メタ)アクリル酸ヒドラジド、4−アリルオキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン等を挙げることができる。
【0066】
また、上記式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物に分光増感基を導入するのに用いる炭素−炭素不飽和結合化合物としては、前述した分光増感色素を有するオレフィン類、アリルエーテル類、アリルエステル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、例えば前述した反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物と、該反応性基と反応性を有する分光増感色素との反応によって容易に得ることができる。
【0067】
例えば、反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がエポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基の場合は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素であり、逆に反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物の反応性基がアミノ基、カルボキシル基、水酸基、ヒドラジン残基、(メタ)アクリロイル基の場合は、エポキシ基、(環状)酸無水物、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基、ケト基、(メタ)アクリロイル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有する分光増感色素が挙げられる。
【0068】
上記反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とそれに反応性を有する分光増感色素との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、分光増感色素の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
(Q−1)−方法において、上記炭素−炭素不飽和結合化合物と上記式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物とのヒドロシリル化反応は、好ましくは触媒の存在下、有機溶媒の存在下あるいは非存在下において0〜200℃で炭素−炭素不飽和結合化合物(F)と式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1’)を、重量比(F)/(b1’)=0.01以上、より好ましくは(F)/(b1’)=0.01〜2、さらに好ましくは(F)/(b1’)=0.01〜1で接触させることにより行うことができる。
【0069】
上記ヒドロシリル化反応の触媒としては、白金族触媒、すなわちルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の化合物が適しているが、特に白金の化合物とパラジウムの化合物が好適である。白金の化合物としては、例えば塩化白金(II)、テトラクロロ白金酸(II)、塩化白金(IV)、ヘキサクロロ白金酸(IV)、ヘキサクロロ白金(IV)アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)カリウム、水酸化白金(II)、二酸化白金(IV)、ジクロロ−ジシクロペンタジエニル−白金(II)、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体、白金−オレフィン錯体や白金の単体、アルミナやシリカや活性炭に固体白金を担持させたものが挙げられる。パラジウムの化合物としては、例えば塩化パラジウム(II)、塩化テトラアンミンパラジウム(II)酸アンモニウム、酸化パラジウム(II)等が挙げられる。
【0070】
また、ヒドロシリル化反応に使用できる有機溶媒としては、例えばトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0071】
次に、機能性付与基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得る方法として、上述した(Q−2)の方法[以下(Q−2)−方法]について説明する。
(Q−2)−方法において使用される反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物としては、(Q−1)−方法において述べたものを挙げることができる。また、上述した式(14)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物と該反応性基を有する炭素−炭素不飽和結合化合物とのヒドロシリル化反応は、(Q−1)−方法で述べたヒドロシリル化反応と同じ条件で実施することができる。
【0072】
(Q−2)−方法によると、上記ヒドロシリル化反応によって反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物を得ることができる。この反応性基を有するSi−H基含有ケイ素化合物とそれに反応性を有する機能性付与基含有化合物との反応は、各々の反応性基の種類に応じた反応温度、反応圧力、溶媒等の反応条件を選択して実施できる。その際、Si−H基の安定性の点から、反応温度としては300℃以下が好ましく、150℃以下0℃以上がさらに好ましい。
【0073】
また、本発明の変性光触媒(A)の好ましい形態は、変性光触媒の一次粒子と二次粒子(1次粒子、2次粒子何れかのみでも良い)との混合物の数平均分散粒子径が400nm以下、さらに好ましくは1nm以上100nm以下、特に好ましくは5nm以上80nm以下である。ゾルの状態であることが好ましい。
また、特に数平均分散粒子径が100nm以下の変性光触媒ゾルを本発明の光触媒組成物に用いると、それから形成される光触媒体において、該変性光触媒粒子の濃度が光触媒体の内部、あるいは光触媒体が基材と接する界面近傍では小さく、光触媒体の露出面である表層部の表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した光触媒体を形成するのに有利となり、光触媒活性が大きい光触媒体を形成するため非常に好ましい。この様な変性光触媒ゾルは、上記変性剤化合物(b)で変性処理をする光触媒粒子(a)として前述した光触媒ゾルを用いることにより得ることができる。
【0074】
なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、多くの場合一次粒子径(結晶子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
また、特に数平均分散粒子径が100nm以下の変性光触媒ゾルを本発明の光触媒組成物に用いると、変性光触媒粒子の濃度が光触媒体の内部、あるいは光触媒体が基材と接する界面近傍では小さく、光触媒体の露出面である表層部の表面近傍では大きく分布するような表面方向に異方分布した光触媒体を形成するのに有利となり、光触媒活性が大きい光触媒体を形成するため非常に好ましい。この様な変性光触媒ゾルは、上記変性剤化合物(b)で変性処理をする光触媒として前述した光触媒ゾルを用いることにより得ることができる。
なお、従来、二酸化チタンなどで単に粒径として表示されている数値は、多くの場合一次粒子径(結晶子径)であり、凝集による二次粒子径を考慮した数値ではない。
【0075】
本発明の光触媒組成物は、上述した変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)を含有することを特徴とし、その質量比(A)/(B)は0.1/99.9〜95/5であることが好ましく、(A)/(B)が1/99〜50/50で含むことがより好ましい。
ポリシラザン化合物は、光触媒粒子のバインダーとして従来から一般的に用いられているシリコーン化合物に比べ、短時間で、より体積収縮の少ない状態で硬化することが可能であるため、基材表面に強固でクラックや剥離が生じにくい皮膜を形成することができることが知られている。また、本発明の変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)とを含む光触媒組成物からは、光触媒含有量が比較的少ない場合においてさえ光触媒活性や親水化能力等に優れた光触媒体を得ることができるため、該光触媒体はバインダーとして作用するポリシラザン化合物の優れた特性を十分に発揮することができる。
【0076】
本発明で好適に使用できるポリシラザン化合物(B)としては、例えば下式(16)で表される構造単位からなる主骨格を有する、好ましくは数平均分子量が100〜50000のポリシラザン(BZ)を挙げることができる。
【0077】
【化5】
Figure 2004209344
【0078】
(式中、Rは各々独立に水素原子、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、水酸基、もしくは式(12)で表されるシロキシ基から選ばれた1種以上からなる基を表す。
−O−(R SiO)−SiR ・・・(12)
(式中、Rはそれぞれ独立に直鎖状または分岐状の炭素数が1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基から選ばれた1種以上からなる基を表す。また、nは整数であり、0≦n≦1000である。))
【0079】
また、本発明におけるポリシラザン化合物(B)としては、上記式(16)で表されるポリシラザン(BZ)の誘導体、例えば、上記ポリシラザン(BZ)とアルコキシシランを加熱反応させて得られるアルコキシシラン付加ポリシラザン(特開平5−238827号公報)、上記ポリシラザン(BZ)とグリシドールを加熱反応させて得られるグリシドール付加ポリシラザン(例えば特開平6−122852号公報)、上記ポリシラザン(BZ)とアルコールを加熱反応させて得られるアルコール付加ポリシラザン(例えば特開平6−240208号公報)、上記ポリシラザン(BZ)とニッケル、チタン、白金、ロジウム等を含む金属カルボン酸塩を反応させて得られる金属カルボン酸塩/ポリシラザン(例えば特開平6−299118号公報)、上記ポリシラザン(BZ)とアセチルアセトナト錯体(金属としてNi、Pt、Pd、Al、Rh等を含む)を加熱反応させて得られるアセチルアセトナト錯体付加ポリシラザン(例えば特開平6−306329号公報)等も使用できる。
【0080】
本発明に用いるポリシラザン化合物(B)としては、数平均分子量が300〜5000のものが好ましく用いられ、数平均分子量が1000〜1400のものが更に好ましく用いられる。
また、本発明において、ポリシラザン化合物(B)は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。ポリシラザン化合物は、本発明の光触媒組成物の調製時に出発原料として用いられるが、該組成物の調製後に、水や有機溶剤と反応して別の化合物となってもよい。
【0081】
本発明に用いるポリシラザン化合物(B)において、分子内に少なくともSi−H結合、あるいはN−H結合を有するポリシラザン化合物は、反応性が良好であり好ましい。特に、上記式(16)において全てのRが水素原子であるペルヒドロポリシラザンは、Si又はNに結合しているのが全てHであるため、立体障害が小さく反応を妨げないばかりか、有機基のように酸化・分解されることがない。したがって、常温・大気中で保持するだけで酸化、或いは空気中の水蒸気による加水分解が進んで硬化し、しかも完全無機質バインダーとして機能するため光触媒作用によって分解することがなく寿命の長い光触媒体を形成することができるため好ましい。
また、本発明の光触媒組成物において上記ポリシラザン化合物(B)の硬化を促進する硬化触媒を好ましく使用することができる。
【0082】
該硬化触媒としては、例えば特開平6−299118号で開示されている金属カルボン酸塩、具体的には一般式(RCOO)nM〔Mはn価の金属〕で示され、金属〔M〕として例えばニッケル、チタン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オスミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムなどの群から選択される少なくとも一種の金属を有するものや、特開平6−306329号で開示されている各種金属のアセチルアセトナト錯体、具体的にはアセチルアセトン(2、4−ペンタジオン)から酸解離により生じた陰イオンが金属原子に配位した錯体であり、一般式(CHCOCHCOCH)nM〔Mはn価の金属〕で示され、金属〔M〕として例えばニッケル、白金、パラジウム、アルミニウム、ロジウム、ジルコニウムなどを有するものなどを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。該酸化触媒の配合量は、酸化触媒/ポリシラザン化合物質量比が0.000001〜2、好ましくは0.001〜1、さらに好ましくは0.01〜0.5になるように加える。
【0083】
本発明の光触媒組成物に用いるバインダー成分として、上記ポリシラザン化合物(B)とシリコーン化合物(BS)を、好ましくは質量比(B)/(BS)=0.1/99.9〜99/1、より好ましくは(B)/(BS)=1/99〜90/10で含むものを使用すると、該光触媒組成物から形成される光触媒体は、耐久性、耐薬品性、機械的強度が非常に優れたものとなり好ましい。
上記シリコーン化合物(BS)としては、例えば一般式(17)、(18)、(19)及び(20)で表されるシロキサン結合の少なくとも1種の構造を含むシリコーン化合物を含有するものを挙げることができる。
【0084】
【化6】
Figure 2004209344
【0085】
−(R SiO)− ・・・(18)
【0086】
【化7】
Figure 2004209344
【0087】
(式中、Rは同じか又は異なり、水素原子又は炭素数1〜30である一価の有機基を表す。)
【0088】
【化8】
Figure 2004209344
【0089】
上述した構造を含むシリコーンは、例えば一般式RSiX(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の一価の有機基を表す。各Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる一つの反応性基を表す。以下同様。)で表される3官能シラン誘導体及び/又は一般式R SiXで表される2官能シラン誘導体及び/又は一般式SiXで表される4官能シラン誘導体や、それらを部分的に加水分解・縮重合させ、必要により一般式R SiXで表される1官能シラン誘導体及び/又はアルコール類によって末端停止させることにより調製できる。この様にして得られるシラン誘導体モノマーの部分縮合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、好ましくは100〜100,000、より好ましくは400〜50,000である。
【0090】
上述した1〜3官能のシラン誘導体中、Rは水素原子又は炭素数1〜30の一価の有機基であれば 特に限定はされないが、同一または異種の置換もしくは非置換で炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好適であり、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ペプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラ ルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を例示することができる。
【0091】
本発明の光触媒組成物のバインダー成分に用いることができるシリコーン化合物(BS)における好ましい様態として、下式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BSP)及び下式(5)で表されるアルキル基含有シリコーン(BSA)の、好ましくは質量比(BSP)/(BSA)=5/95〜95/5で混合した系を挙げることができる。
SiO(4−s−t)/2 (4)
(式中、Rはフェニル基を表す。Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
SiO(4−u−v)/2 (5)
(式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
【0092】
この際、上記フェニル基含有シリコーン(BSP)及び上記アルキル基含有シリコーン(BSA)の各々の、GPCで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が、好ましくは100〜10,000、より好ましくは500〜6,000、さらに好ましくは700〜4,000であるものを使用すると、表面エネルギーが高いフェニル基含有シリコーン(BSP)とアルキル基含有シリコーン(BSA)は、連続層でない相が好ましくは1nm〜1μm、より好ましくは10nm〜0.1μm、さらに好ましくは10nm〜0.001μmの大きさのドメインを形成してミクロ相分離することが可能となる。この場合、本発明の光触媒組成物から形成される光触媒体の耐候性は更に優れたものとなるため好ましい。
【0093】
さらに、上記フェニル基含有シリコーン(BSP)と混合する上記アルキル基含有シリコーン組成物(BSA)として、式(21)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位(D)と式(22)で表されるジオキシオルガノシラン単位(T)の構造を有する化合物を、モル比(D)/(T)=100/0〜5/95、好ましくは90/10〜10/90の割合で有する構造のものを用いると、フェニル基含有シリコーン(BSP)とアルキル基含有シリコーン(BSA)のミクロ相分離構造に由来する応力緩和作用が増加し、本発明の光触媒組成物から形成する光触媒体の耐クラック性が向上する結果、耐候性が非常に優れたものとなる。
【0094】
−(R SiO)− (21)
【0095】
【化9】
Figure 2004209344
【0096】
(式中、Rは式(5)で定義した通りである。)
また、本発明の光触媒組成物は、必要に応じてポリシラザン化合物(B)やシリコーン化合物(BS)の硬化触媒を含有しても良い。該硬化触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドのごとき塩基性化合物類;トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン類、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシランのごときアミン化合物;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートのようなチタン化合物;アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウムのようなアルミニウム化合物;錫アセチルアセトナート、ジブチル錫オクチレート、ジブチル錫ジラウレートのような錫化合物;コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナートのごとき含金属化合物類;リン酸、硝酸、フタル酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸のごとき酸性化合物類などが挙げられる。
【0097】
また、本発明の光触媒組成物には、必要に応じてバインダー成分として樹脂(E)を、本発明の変性光触媒(A)に対し、質量比(A)/(E)=0.1/99.9〜99/1、好ましくは(A)/(E)=1/99〜90/10で含むものを選択して使用することもできる。
本発明の光触媒組成物に使用できる樹脂(E)としては、全ての合成樹脂及び天然樹脂が使用可能である。また、その形態については、無溶媒の状態(ペレット、粉体、液体等)であっても溶媒に溶解あるいは分散した形態であっても良く、特に制限はない。
【0098】
上記合成樹脂としては、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂等)の使用が可能であり、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルホン樹脂ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。
【0099】
また、上記天然高分子としては、ニトロセルロース等のセルロース系樹脂、天然ゴム等のイソプレン系樹脂、カゼイン等のタンパク質系樹脂やでんぷん等を挙げることができる。
本発明に使用する樹脂として、水酸基及び/又は炭素数1〜20のアルコキシ基、エノキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの加水分解性基と結合したケイ素原子を有するシリル基を重合体分子鎖の末端及び/又は側鎖に有する重合体は、光触媒に対し比較的難分解性を示すため、好ましく用いることができる。
【0100】
また、本発明の光触媒組成物には、それから形成される光触媒体の硬度や耐擦傷性、親水性を向上させる目的でシリカ、アルミナ、酸化アンチモン、希土類酸化物等の金属酸化物微粒子を粉末あるいはゾルの状態で添加しても良い。
本発明の光触媒組成物は、無溶媒の状態(液体、固体)であっても溶媒に溶解あるいは分散した状態であっても良く、特に制限はないが、コーティング剤として用いる場合は、溶媒に対し溶解あるいは分散した状態が好ましい。この際、該光触媒組成物中の変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)を含有するバインダー成分の総量は、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは0.1〜70質量%である。
【0101】
本発明の光触媒組成物に用いる溶媒としては、例えば水やエチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は組み合わせて用いられる。
【0102】
本発明の光触媒組成物に於いて、ポリシラザン化合物(B)としてペルヒドロポリシラザンを用いる場合、該光触媒組成物に用いることができる溶媒としては、ペルヒドロポリシラザンとの反応性を有するOH基含有有機溶媒は用いない方が好ましい。
また、本発明における光触媒組成物には、レベリング剤として、例えばジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1−プロポキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングコリールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチレンアルコール等を添加することもできる。
【0103】
さらに、本発明の光触媒組成物(C)には、必要により通常、塗料や成型用樹脂に添加配合される成分、例えば、顔料、硬化触媒、架橋剤、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、防錆剤、染料、防腐剤等がそれぞれの目的に応じて選択、組み合わせて配合することができる。
本発明の変性光触媒(A)は、光触媒粒子表面が表面エネルギーの非常に小さい構造を有する変性剤化合物(b)で変性処理されているため、該変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)を含有する本発明の光触媒組成物は、変性光触媒(A)の分布について自己傾斜性を有することが可能となる。ここで自己傾斜性とは、光触媒組成物から光触媒体を形成する際、その形成過程において変性光触媒(A)が、光触媒体が接する界面の性状(特に親水/疎水性)に対応して、変性光触媒(A)の濃度勾配を有する構造を自律的に形成することを意味する。
【0104】
この場合、接した面に性状(親水/疎水性)の差があれば、その差に対応して濃度勾配が生じ、また、当該光触媒体の内部と該界面の間で濃度勾配が生じる。
この際、本発明における光触媒組成物から形成される光触媒体中における変性光触媒(A)の濃度は、光触媒体内部や光触媒体が基材と接する面から他方の露出面に向かって徐々に高くなっても良いし、単に光触媒体内部や光触媒体が基材に接する面での光触媒濃度が低く、他方の露出面における光触媒濃度が高く、その間の変化が不連続であっても良い。
【0105】
本発明の光触媒組成物において、変性光触媒(A)の自己傾斜性が非常に高い場合(即ち、光触媒体中の変性光触媒(A)含有量(濃度)100に対し、光触媒体の露出面と接する表面近傍の相対濃度が好ましくは150以上、より好ましくは200以上である場合)、該光触媒組成物において変性光触媒(A)とポリシラザン化合物(B)を含有するバインダー成分(B’)の質量比は、好ましくは(A)/(B’)=0.1/99.9〜40/60、より好ましくは(A)/(B’)=0.1/99.9〜30/70という変性光触媒(A)の含有量が非常に少ない範囲においてさえ形成される光触媒体は、光照射による十分な親水化能力(超親水化能力:20℃における水の接触角が10゜以下)や優れた光触媒活性を有する。また、この様に光触媒含有量が少ない光触媒体はバインダー成分(B’)本来の物性を発現するため、強度や柔軟性(耐屈曲性、耐衝撃性)等に優れたものとなる。
【0106】
本発明において光触媒体は本発明の光触媒組成物から形成したものである。
本発明の光触媒体は、皮膜状または成形体の様態であることが好ましい。
本発明における光触媒体を皮膜状とする場合は、例えば上記光触媒組成物を基材に塗布し、乾燥した後、所望により好ましくは20℃〜500℃、より好ましくは40℃〜250℃の熱処理や紫外線照射等を行い、基材上に皮膜を形成することにより得ることができる。上記塗布方法としては、例えばスプレー吹き付け法、フローコーティング法、ロールコート法、刷毛塗り法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、スクリーン印刷法、キャスティング法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等が挙げられる。
この際、本発明の光触媒組成物から形成される皮膜の膜厚は、好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1.5〜10μmである。
【0107】
なお、本明細書では、皮膜という表現を使用しているが、必ずしも連続膜である必要はなく、不連続膜、島状分散膜等の態様であっても構わない。
この様にして得られた基材上に本発明の光触媒体である皮膜を有する機能性複合体は、光照射により疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を発現することが可能である。即ち、本発明の別の態様においては、本発明の光触媒組成物から形成される光触媒体として、成形体や、基材上に皮膜を有する機能性複合体が提供される。
【0108】
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、特に限定はされなく、例えば本発明で開示した用途に使用される基材は全て用いることができる。
本発明の機能性複合体を得るのに用いられる基材としては、例えば合成樹脂、天然樹脂等の有機基材や、金属、セラミックス、ガラス、石、セメント、コンクリート等の無機基材や、それらの組み合わせ等を挙げることができる。また、合成樹脂、天然樹脂等を原料とする塗料で表面がコートされた基材も含まれる。
【0109】
本発明の機能性複合体においては、光触媒で分解する有機基材を用いた場合でも、耐久性は非常に優れたものとなる。すなわち、本発明の光触媒組成物は、耐久性の問題から従来用いることができなかった有機基材に対しても、耐久性の優れた機能性複合体を提供することができる。
本発明の機能性複合体の製造方法は、基材上に本発明の光触媒体を形成する場合に限定されない。基材と本発明の光触媒組成物を同時に成形、たとえば、一体成形、してもよい。また、本発明の光触媒組成物を成形後、基材の成形を行ってもよい。また、本発明の光触媒組成物と基材を個別に成形後、接着、融着等により機能性複合体としてもよい。上記方法で、本来の基材と接しない状態で成形する場合は別の基材を用いても良い。この場合の基材は固体に限定されず、本発明の効果を損なわない範囲で、液体、気体でも良い。
【0110】
本発明の成形体または機能性複合体は、必要により、樹脂成形に用いる方法により、フィルム、シート、ブロック、ペレットさらに複雑な形状の成形体とすることができる。成形にあたり、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂と併用する事も可能である。
上記成形や上記併用のための混合を、本発明の成形体または機能性複合体や他の樹脂を粉体あるいは予めペレットとして行うことができる。一部に液状成分を含んでも良い。また、混合後の樹脂を下記方法でペレットに成形し、さらに成形に供する方法も可能である。ペレットは本発明の成形体または機能性複合体を他の樹脂中に高濃度に含有した所謂マスターバッチとすることもできる。
【0111】
本発明のための成形方法は、押出し成形法、射出成形法、プレス成形法等が可能である。また、熱可塑性樹脂を併用する等、樹脂の選定によってはカレンダー成形法も可能である。また、天然繊維を含む有機繊維、ガラス等の無機繊維(及びこれらの織物を含む)などを補強材に用いて本発明の成形体または機能性複合体、及びこれらと他の樹脂混合物を含浸し、積層成形する事も可能である。
本発明の成形体または機能性複合体は繊維状とすることもできる。繊維状に加工するにためには、本発明の効果を阻害しない範囲で通常の紡糸方法が使用できる。当該紡糸方法としては溶融紡糸、溶液紡糸が用いられる。紡糸に当って、前述の他の樹脂とともに用いて繊維状に加工する事もできる。例えば、通常の樹脂(熱可塑性樹脂が成形上は好ましい)、たとえばポリエステル、ナイロン等に本発明の成形体または機能性複合体をブレンドしたり、あるいは本発明の成形体または機能性複合体とこれら樹脂を複合紡糸(鞘芯、サイドバイサイド型等)してもよい。
【0112】
繊維は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよく、断面形状においても丸型、三角、L型、T型、Y型、W型、八葉型、偏平、ドッグボーン型等の多角形型、多葉型、中空型や不定形なものでもよい。
繊維状とした本発明の成形体または機能性複合体は織物や不織布(短繊維又は長繊維)として用いる事もできる。
又、使用できる繊維の形態は、糸条、糸条の集合体であるチーズ状、織物、編物、不織布等が挙げられ、他の樹脂の繊維と混用されていても良い。糸条の形態としては、原糸、仮撚糸(延伸仮撚糸を含む)、先撚仮撚糸、空気噴射加工糸、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸等の紡績糸、マルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、混繊糸等が挙げられる。又、混用する繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、ポリビニル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系等の弾性繊維(酸化マグネシウ ム、酸化亜鉛に代表される金属酸化物、金属水酸化物等の塩素水劣化防止剤を添加したものを含む)等の合成繊維や、綿、麻、ウール、絹等の天然繊維やキュプラ、レーヨン、ポリノジック等のセルロース系繊維やアセテート系繊維がある。
【0113】
上記繊維状に加工した本願発明の成形体または機能性複合体は抗菌、防汚、防臭、有毒ガス分解を目的として衣料用、ガス、液体のフィルター用に用いることができる。
本発明の光触媒体、あるいは光触媒体が基材に固定化された上記の機能性複合体は、それに含まれる変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)を照射することにより疎水性あるいは親水性及び/又は光触媒活性、さらには光電変換機能を示す。
【0114】
この際、変性光触媒(A)が、上述した式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物で変性処理されたものである場合、励起光照射により該変性光触媒(A)を構成する光触媒粒子(a)の近傍に存在する該変性剤化合物の珪素原子に結合した有機基(R)の少なくとも一部(好ましくは該変性剤化合物に含まれる珪素原子に結合した有機基(R)の1mol%以上)は、光触媒の分解作用により水酸基に置換される。その結果、本発明の光触媒体表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士が脱水縮合反応してシロキサン結合が生成した場合には、該光触媒体の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
【0115】
また、バインダー成分として有機基を有するポリシラザン化合物(B)を用いた場合や、上述したシリコーン化合物(BS)を含有するものを用いたときも同様に、励起光照射により光触媒粒子(a)の近傍に存在するシリコーン(ポリシラザン化合物(B)、シリコーン化合物(BS))の珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部(好ましくは該シリコーンに含まれる珪素原子に結合した有機基(R)の1mol%以上)は、光触媒の分解作用により水酸基に置換され、本発明の光触媒体表面の親水性が高まると共に、生成した水酸基同士の脱水縮合反応が進行しシロキサン結合が生成した場合には、該光触媒体の硬度が非常に高くなる。この様な状態は、本発明の様態において好ましい。
【0116】
本発明において、変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光(該変性光触媒(A)が分光増感色素を有する場合は、該分光増感色素の吸収光を含む光)の光源としては、太陽光や室内照明灯等の一般住宅環境下で得られる光の他、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯等の光が利用できる。
本発明によって提供される上記成形体又は機能性複合体であって、有機物分解等の光触媒活性を有するものは、抗菌、防汚、防臭、NOx分解等の様々な機能を発現し、大気、水等の環境浄化等の用途に使用することができる。
【0117】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が60゜以下(好ましくは10゜以下)となった親水性のもの(親水性膜、及び該親水性膜で被覆された基材等)は、鏡やガラスの曇りを防止する防曇技術、さらには建築外装等に対する防汚技術や帯電防止技術等への応用が可能である。
【0118】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防汚技術分野への応用例としては、例えば建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、住宅等建築設備、特に便器、浴槽、洗面台、照明器具、照明カバー、台所用品、食器、食器洗浄器、食器乾燥器、流し、調理レンジ、キッチンフード、換気扇等、また、乗物の外装および塗装、用途によってはその内装にも使用でき、車両用照明灯のカバー、窓ガラス、計器、表示盤等透明性が要求される部材での使用に効果があり、また、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装、表示機器、そのカバー、交通標識、各種表示装置、広告塔等の表示物、道路用、鉄道用等の遮音壁、橋梁、ガードレールの外装および塗装、トンネル内装および塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー等外部で使用される電子、電気機器の外装部、特に透明部材、ビニールハウス、温室等の外装、特に透明部材、また、室内にあっても汚染のおそれのある環境、たとえば医療用や体育用の施設、装置等の用途を挙げることができる。
【0119】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の防曇技術分野への応用例としては、例えば鏡(車両用後方確認ミラー、浴室用鏡、洗面所用鏡、歯科用鏡、道路鏡等)、レンズ(眼鏡レンズ、光学レンズ、照明用レンズ、半導体用レンズ、複写機用レンズ、車両用後方確認カメラレンズ等)、プリズム、建物や環視塔の窓ガラス、乗物の窓ガラス(自動車、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、乗物の風防ガラス(自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、船舶、潜水艇、雪上車、スノーモービル、ロープウェイのゴンドラ、遊園地のゴンドラ、宇宙船等)、防護用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、防護用マスクのシールド、スポーツ用マスクのシールド、ヘルメットのシールド、冷凍食品陳列ケースのガラス、保温食品の陳列ケースのガラス、計測機器のカバー、車両用後方確認カメラレンズのカバー、レーザー歯科治療器等の集束レンズ、車間距離センサー等のレーザー光検知用センサーのカバー、赤外線センサーのカバー、カメラ用フィルター等の用途を挙げることができる。
【0120】
本発明の光触媒体又は機能性複合体の帯電防止技術分野への応用例としては、例えばブラウン管、磁気記録メディア、光記録メディア、光磁気記録メディア、オーディオテープ、ビデオテープ、アナログレコード、家庭用電気製品のハウジングや部品や外装および塗装、OA機器製品のハウジングや部品や外装および塗装、建材、建物外装、建物内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装および塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバーおよび塗装等の用途を挙げることができる。
【0121】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって、光照射により20℃における水との接触角が70゜以上(好ましくは90゜以上)となった疎水性のもの(疎水性の成形体や疎水性膜、及び該疎水性膜で被覆された基材等)は、防滴性や水切れ性の付与、水系汚れの付着防止や流水洗浄性を利用した防汚技術、さらには着氷雪防止技術等への応用が可能であり、窓ガラス、風防ガラス、鏡、レンズ、ゴーグル、カバー、碍子、建材、建物外装、建物内装、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、各種表示装置、照明装置、住宅設備、食器、台所用品、家庭用電気製品、屋根材、アンテナ、送電線、氷雪滑走具等の用途に使用することができる。
【0122】
本発明によって提供される上記光触媒体又は機能性複合体であって光電変換機能を有するものは、太陽エネルギーの電力変換等の機能を発現することが可能であり、(湿式)太陽電池等に用いる光半導体電極等の用途に使用することができる。
また、本発明によって提供される、光照射によって水との濡れ性が変化(疎水性から親水性への変化、あるいは親水性から疎水性への変化)する部材は、オフセット印刷用原版等への応用に対し非常に有用である。
【0123】
【実施例】
以下の実施例、参考例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例、参考例及び比較例中において、各種の物性は下記の方法で測定した。1.粒径分布及び数平均粒子径
試料中の光触媒含有量が1〜20質量%となるよう適宜溶媒を加えて希釈し、湿式粒度分析計(日機装製マイクロトラックUPA−9230)を用いて測定した。
【0124】
2.重量平均分子量
ポリスチレン標品を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めた。
GPCの条件は以下の通りである。
・装置:東ソー製HLC−8020 LC−3A型クロマトグラフ
・カラム:TSKgel G1000HXL、TSKgel G2000HXLおよびTSKgel G4000HXL(いずれも東ソー製)を直列に接続して用いた。
・データ処理装置:島津製作所製CR−4A型データ処理装置
・移動相:
テトラヒドロフラン(フェニル基含有シリコーンの分析に使用)
クロロホルム(フェニル基を含有しないシリコーンの分析に使用)
・流速:1.0ml/min.
・サンプル調製法
移動相に使用する溶媒で希釈(濃度は0.5〜2重量%の範囲で適宜調節した)して分析に供した。
【0125】
3.赤外線吸収スペクトル
日本分光製FT/IR−5300型赤外分光計を用いて測定した。
4.29Si核磁気共鳴の測定
日本電子製JNM−LA400を用いて測定した。
5.皮膜硬度
JIS−K5400に準じ、鉛筆硬度(皮膜のすり傷)として求めた。
6.紫外線照射後の皮膜硬度
皮膜表面に、東芝ライテック製FL20S BLB型ブラックライトの光を7日間照射後、上記の方法(5)にて測定した。
なおこのとき、日本国トプコン製UVR−2型紫外線強度計{受光部として、日本国トプコン製UD−36型受光部(波長310〜400nmの光に対応)を使用}を用いて測定した紫外線強度が1mW/cmとなるよう調整した。
【0126】
7.皮膜表面に対する水の接触角
皮膜の表面に脱イオン水の滴を乗せ、20℃で1分間放置した後、協和界面科学製CA−X150型接触角計を用いて測定した。
皮膜に対する水の接触角が小さいほど、皮膜表面は親水性が高い。
8.紫外線照射前後の、皮膜表面の親水性(疎水性)の変化
皮膜の表面に、上記6の方法で紫外線を7日間照射した後、上記7の方法にて水の接触角を測定した。
【0127】
9.皮膜の光触媒活性
皮膜表面にメチレンブルーの5質量%エタノール溶液を塗布した後、上記6の方法にて紫外線を5日間照射した。
その後、光触媒の作用によるメチレンブルーの分解の程度(皮膜表面の退色の程度に基づき、目視で評価)に基づき、光触媒の活性を以下の3段階で評価した。
◎:メチレンブルーが完全に分解。
△:メチレンブルーの青色がわずかに残る。
×:メチレンブルーの分解はほとんど観測されず。
10.皮膜の耐候性(光沢保持率)
スガ試験器製DPWL−5R型デューパネル光コントロールウェザーメーターを使用して曝露試験(照射:60℃4時間、暗黒・湿潤:40℃4時間)を行った。曝露500時間後の60°−60°鏡面反射率を最終的な光沢値として測定し、これを初期光沢値で割り、この値を光沢保持率として算出した。
【0128】
11.光触媒の傾斜構造の評価
試料を5mm×10mmに切り出した後、ガラスナイフにてカッティングを施した。その後ライカ社製ULTRACUT−R型ミクロトームにより0.2mm×0.7mmの試料を作成し、カーボン蒸着させた後、SEMにより皮膜断面の観察を実施した。
SEM観察の条件は以下の通りである。
・装置:日本電子製 JSM−5600LV型
・加速電圧:20kV
また、光触媒酸化チタンの存在場所は、Ti元素のEDX分析により解析した。
【0129】
12.耐衝撃性
JIS−K5400に準じ、デュポン式(500g×50cm)で評価した。13.耐汚染性
試験板を一般道路(トラック通行量500〜1000台/日程度)に面したフェンスに3ケ月間張りつけた後、試験板表面を水洗し、汚染の度合いを目視にて評価した。
14.耐薬品性
皮膜表面を、アセトンを浸した綿棒で20回こすり、皮膜表面の外観(目視で評価)に基づき、耐薬品性を以下の3段階で評価した。
◎:変化無し。
△:わずかに白化。
×:皮膜が破壊。
【0130】
[参考例1]
フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたジオキサン78gにフェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
【0131】
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後さらに25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量2600のラダ−骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BSP−1)を得た。(得られたフェニル基含有シリコーン(BSP−1)には、IRスペクトルにおけるラダ−骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。)
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の平均組成式は、(Ph)(OCH0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
【0132】
[参考例2]
アルキル基含有シリコーン(BSA−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入れたメタノール300gにメチルトリメトキシシラン136g(1モル)、及びジメチルジメトキシシラン120g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに氷冷下で、0.05Nの塩酸水溶液12.6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それぞれ撹拌した。
その後、得られた反応液から60℃で減圧下に溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のアルキル基含有シリコーン(BSA−1)を得た。得られたアルキル基含有シリコーン(BSA−1)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定したところ、T構造とD構造を示すシグナルが確認され、その比率はT構造:D構造=1:1であった。
また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記アルキル基含有シリコーン(BSA−1)の平均組成式は、(CH1.5(OCH0.27SiO1.12であった。
【0133】
[参考例3]
変性光触媒(A−1)の合成。
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値)}40gにビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン8gを40℃にて約5分かけて添加し、さらに40℃で12時間撹拌を続けることにより、非常に分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A−1)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしIRスペクトルを測定したところ、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
また、図1、図2にそれぞれ変性処理前のTKS−251及び得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布を示す。得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は17nm)であり、さらに変性処理前のTKS−251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が完全に消失していることが分かる。
【0134】
[実施例1]
20質量%のポリペルヒドロシラザンのm−キシレン溶液35.0gに、トルエン23.0gを添加し、これに参考例3で調整した変性光触媒オルガノゾル(A−1)9.0gを室温にて撹拌下において添加して光触媒組成物(C−1)を得た。
50mm×60mmに裁断した厚さ1mmのアルミ板(JIS,H,4000(A1050P))にマイティラック白{アクリルウレタン樹脂塗料(2液混合型)の商品名(日本ペイント製)}をスプレー塗布し、室温にて3日間乾燥した。得られたアクリルウレタン塗装を行ったアルミ板に上記光触媒組成物(C−1)を膜厚が3μmとなるようにスプレー塗布した後、室温で1週間乾燥し、光触媒含有皮膜を有する試験板(D−1)を得た。
【0135】
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−1)の鉛筆硬度は3Hであり、水との接触角は97゜であった。また、耐薬品性も非常に良好(◎)であった。得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−1)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良好(◎)であった。
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は89%であり、良好な耐候性を示した。
【0136】
また、得られた試験板(D−1)の耐汚染性評価の結果は、試験板表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−1)の皮膜断面をSEMによる観察を行った結果、基材であるアクリルウレタン皮膜との界面には変性光触媒粒子は存在せず、光触媒含有皮膜表面は全て変性光触媒粒子で覆われていることが観察された。
【0137】
[実施例2]
参考例1で合成したフェニル基含有シリコーン(BSP−1)3.5gと参考例2で合成したアルキル基含有シリコーン(BSA−1)1.8gを混合したものに、トルエン44.0gを添加し、室温で撹拌した後、20質量%のポリペルヒドロシラザンのm−キシレン溶液8.75gを添加した。これに参考例3で調整した変性光触媒オルガノゾル(A−1)9.0gを室温にて撹拌下において添加して光触媒組成物(C−2)を得た。
【0138】
得られた光触媒組成物(C−2)を用い、実施例1と同様の操作を行って光触媒含有皮膜を有する試験板(D−2)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−2)の鉛筆硬度はHであり、水との接触角は110゜であった。また、耐衝撃性試験は合格した。また、耐薬品性も非常に良好(◎)であった。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−2)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良好(◎)であった。
【0139】
さらに、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる曝露試験(1000時間後)による光沢保持率は97%であり、非常に良好な耐候性を示した。また、得られた試験板(D−2)の耐汚染性評価の結果は、試験板表面に全く汚れは見受けられず、非常に良好な耐汚染性を示した。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−2)の皮膜断面をSEMによる観察を行った結果、基材であるアクリルウレタン皮膜との界面には変性光触媒粒子は存在せず、光触媒含有皮膜表面は全て変性光触媒粒子で覆われていることが観察された。
【0140】
[比較例1]
参考例3で調整した変性光触媒オルガノゾル(A−1)9.0gの代わりにTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)}6.2gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い光触媒組成物(C−3)を得た。
得られた光触媒組成物(C−3)を用い、実施例1と同様の操作を行って光触媒含有皮膜(酸化チタン含量は実施例1と同量)を有する試験板(D−3)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−3)の鉛筆硬度は4Hであり、水との接触角は82゜であった。
【0141】
また、得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−3)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は4Hであり、水の接触角は68゜であった。さらに光触媒活性評価は悪い結果(×)であった。
また、得られた試験板(D−3)の耐汚染性評価の結果は、試験板表面には雨筋汚れが生じており、耐汚染性が悪いものであった。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−3)の皮膜断面をSEMによる観察を行った結果、光触媒含有皮膜表面に存在する光触媒粒子が少ないことが観察された。
【0142】
[比較例2]
参考例3で調整した変性光触媒オルガノゾル(A−1)9.0gの代わりにTKS−251{酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)}15.0gを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い光触媒組成物(C−4)を得た。
得られた光触媒組成物(C−4)を用い、実施例1と同様の操作を行って光触媒含有皮膜(酸化チタン含量は実施例2の2倍量)を有する試験板(D−4)を得た。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−4)の鉛筆硬度は3Hであり、水との接触角は62゜であった。
【0143】
また、得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−4)の紫外線(ブラックライト)照射後の鉛筆硬度は5Hであり、水の接触角は0゜であった。さらに光触媒活性評価の結果も非常に良好(◎)であった。
しかし、デューパネル光コントロールウェザーメーターによる200時間の曝露試験で、光沢保持率は10%以下となり、チョーキング現象が観察された。
得られた光触媒含有皮膜を有する試験板(D−4)の皮膜断面をSEMによる観察を行った結果、基材であるアクリルウレタン皮膜との界面に光触媒粒子が多く存在していることが観察された。
【0144】
[比較例3]
20質量%のポリペルヒドロシラザンのm−キシレン溶液8.75gを用いない以外は、実施例2と同様の操作を行い光触媒組成物(C−5)を得た。
得られた光触媒組成物(C−5)を用い、実施例1と同様の操作を行ったが、鉛筆硬度は5B以下である、硬化が不完全な光触媒含有皮膜を有する試験板(D−5)しか得られなかった。また、耐薬品性も非常に悪い結果(×)であった。
【0145】
【発明の効果】
本発明の光触媒組成物は、有機基材との間の界面劣化や光触媒体中のバインダーの劣化を生じることが無く、光照射により長期にわたり、その表面が水の濡れ性(親水性、疎水性)の制御能及び/又は光触媒活性を発現する耐久性に優れた機能性複合体を煩雑な工程を必要とせずに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、変性処理前のTKS251(市販の酸化チタンオルガノゾル)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。
【図2】図2は、参考例3で上記TKS−251を変性処理して得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布を、湿式粒度分析計を使用して測定した結果を示す図である。

Claims (13)

  1. 変性光触媒粒子(A)とポリシラザン化合物(B)を含有する光触媒組成物であって、該変性光触媒(A)は、光触媒粒子(a)を、式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位、及びフッ化メチレン(―CF−)単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物類よりなる群から選ばれる少なくとも1種の変性剤化合物(b)を用いて変性処理することによって得られることを特徴とする光触媒組成物。
    Si− (1)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。)
    −(RSiO)− (2)
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
    Figure 2004209344
    (式中、Rは式(1)で定義した通りである。)
  2. シリコーン化合物(BS)を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の光触媒組成物。
  3. 該シリコーン化合物(BS)が、式(4)で表されるフェニル基含有シリコーン(BSP)及び/又は式(5)で表されるアルキル基含有シリコーン(BSA)であることを特徴とする請求項2に記載の光触媒組成物。
    SiO(4−s−t)/2 (4)
    (式中、Rはフェニル基を表す。Xは各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。s及びtは、0<s<4、0≦t<4、そして0<(s+t)<4である。)
    SiO(4−u−v)/2 (5)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、又は直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基を表す。Xは、各々独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシロキシ基、アミノキシ基、炭素数1〜20のオキシム基、ハロゲン原子を表す。u及びvは、0<u<4、0≦v<4、そして0<(u+v)<4である。)
  4. 該変性光触媒(A)の数平均粒子径が400nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光触媒組成物。
  5. 該変性剤化合物(b)が、式(6)で表されるSi−H基含有ケイ素化合物(b1)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光触媒組成物。
    SiO(4−x−y−z)/2 (6)
    (式中、Rは各々独立に直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30個のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30個のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、又は水酸基を表す。
    また、式中Qは、下記(あ)〜(う)からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能性付与基を含有する基である。
    (あ)カルボキシル基あるいはその塩、リン酸基あるいはその塩、スルホン酸基あるいはその塩、アミノ基あるいはその塩、ポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれた少なくとも1つの親水性基。
    (い)エポキシ基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、(環状)酸無水物基、ケト基、カルボキシル基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、水酸基、アミノ基、環状カーボネート基、チオール基、エステル基からなる群から選ばれた少なくとも1つの反応性基。
    (う)少なくとも1つの分光増感基。
    また、0<x<4、0<y<4、0≦z<4、及び(x+y+z)≦4である。)
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の光触媒組成物から形成されてなる光触媒体。
  7. 該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより光触媒活性及び/又は親水性を示すことを特徴とする請求項6に記載の光触媒体。
  8. 該変性光触媒(A)のバンドギャップエネルギーよりも高いエネルギーの光を照射することにより、該変性光触媒(A)を構成する光触媒粒子(a)の近傍に存在する珪素原子に結合した有機基の少なくとも一部が水酸基及び/又はシロキサン結合に置換されてなることを特徴とする請求項6または7に記載の光触媒体。
  9. 皮膜であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の光触媒体。
  10. 請求項6〜9のいずれか一項に記載の光触媒体が基材上に形成されてなる機能性複合体。
  11. 該光触媒体が変性光触媒(A)の分布について異方性を有し、該変性光触媒(A)の濃度が、該光触媒体の基材に接する面より他方の露出面の方が高いことを特徴とする請求項10に記載の機能性複合体。
  12. 成形体であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の光触媒体。
  13. 該光触媒体が変光触媒(A)の分布について異方性を有し、該変性光触媒(A)の濃度が、該成形体の内部より表面の方が高いことを特徴とする請求項12に記載の光触媒体。
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