JP2004291872A - ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】操向軸2と、貫通孔50が形成された取付部5が設けられ、操向軸2を支持するハウジング1と、貫通孔50に保持された筒状のブッシュ8と、ブッシュ8に挿通してあり、取付部5を車体に取り付けるボルト7とを備えるステアリング装置において、ボルト7は、頭部71に連なるボルト軸部70の頭部71側にボルト軸部70の先端側外径よりも小径の部分700を有し、部分700に外嵌し、ボルト軸部70の先端側外径よりも内径が小さい内径部721を有する被掛止部72を備え、ブッシュ8は、被掛止部72を掛止する掛止部83,83を備えるようにした。また、掛止部83,83は弾性を有するようにした。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵部材に加えられる操舵トルクを操向車輪へ伝達するステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に装備されるステアリング装置として広く用いられているラックピニオン式ステアリング装置は、操舵部材(ステアリングホイール)に連結されたピニオン軸に噛合するラック軸を、筒状をなすハウジングの内部で軸長方向への移動自在に支持し、操舵部材の回動操作に連動するピニオン軸の回動をラック軸の軸長方向への移動に変換し、ラック軸の両端部夫々に連結された操向車輪を操向するものである。
【0003】
このようなステアリング装置を車体に取り付けるために、一般的には、貫通孔を穿設した複数の取付部を前記ハウジングに設け、貫通孔夫々には、金属筒が内側に配された円筒状のゴムブッシュが保持されている。また、車体には、ゴムブッシュの孔夫々に対応した位置に取付孔を穿設している。ステアリング装置の取り付けは、ゴムブッシュの孔と取付孔との位置を合わせるように前記ハウジングを車体上に載置し、連通したゴムブッシュの孔及び取付孔にボルトを挿通し、ボルトの先端にナットを螺合して締め付けることによりなされている。
【0004】
このようにハウジングを車体に取り付けるようになした場合、前記ハウジング回りのスペース上の制約からゴムブッシュが大型化できず、防振性を高めることができない場合がある。このため、金属筒が内側に配された円筒状のゴムブッシュを車体に設けられた取付孔に保持し、ハウジングの取付部に穿設された貫通孔及びゴムブッシュの孔を挿通するボルトによりハウジングを車体に取り付けるステアリング装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−178936号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の一般的なステアリング装置及び特許文献1に開示されたステアリング装置においては、ステアリング装置を車両に取り付ける場合、ステアリング装置のハウジングを車体上に載置した後にボルトを挿通して固定する。このため、例えば、ハウジングの軸長方向に交叉する方向の一側にのみ取付部が設けられている場合には、ハウジングを車体上に載置してボルトにより固定する前の自立状態において、ハウジングに外力が作用したとき、取付部のない他側の方に転倒し易い。ハウジングが転倒した場合、車体側の部品に当接し、ステアリング装置の構成部品又は車体側の部品が損傷するという問題があった。
【0007】
また、ハウジングの軸長方向に交叉する方向の両側に取付部が設けられている場合でも、車両の組立作業者の体がハウジングに不意に触れた場合は、ハウジングの位置が移動するから載置し直す必要があり、組立効率が悪くなるという問題があった。
【0008】
このような問題は、ラックピニオン式ステアリング装置に限らず、操向車輪が連結された操向軸を支持するハウジングが、ボルトにより車体に固定されるステアリング装置において同様に発生する。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ステアリング装置のハウジングを車体に取り付ける部品の構成を工夫することによりハウジングを車体に載置するだけで仮固定でき、ハウジングが転倒することによる部品の損傷、及び位置ずれに起因する組立効率の悪化を防止することができるステアリング装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係るステアリング装置は、操舵に応じて軸長方向へ移動し、両端部夫々に連結された操向車輪を操向する操向軸と、貫通孔が形成された取付部が設けられ、前記操向軸を支持するハウジングと、前記貫通孔に保持された筒状のブッシュと、該ブッシュに挿通してあり、前記取付部を車体に取り付けるボルトとを備えるステアリング装置において、前記ボルトは、頭部に連なるボルト軸部の前記頭部側に前記ボルト軸部の先端側外径よりも小径の部分を有し、該部分に外嵌してあり、前記ボルト軸部の先端側外径よりも内径が小さい孔を有する被掛止部を備え、前記ブッシュは、前記被掛止部を掛止する掛止部を備えることを特徴とする。
【0011】
第1発明においては、ボルトの小径部分に外嵌する被掛止部の孔は、ボルト軸部の先端側外径よりも内径が小さいから、ボルト軸部が被掛止部から抜脱することがない。また、取付部の貫通孔に保持されたブッシュが備える掛止部は、被掛止部を掛止するから、ボルトが取付部から脱落することがない。よって、取付部の貫通孔に保持されたブッシュを挿通したボルトと車体の取付孔との位置を合わせるようにハウジングを車体上に載置することによりボルトが取付孔に挿入される。これによりハウジングに外力が加わっても、ボルトがハウジングの支持部材として機能するから、ハウジングと車体とが仮固定され、ハウジングの転倒及び位置ずれを防止できる。
【0012】
第2発明に係るステアリング装置は、第1発明における前記掛止部が弾性を有することを特徴とする。
【0013】
第2発明においては、掛止部が弾性変形することが可能であるから、被掛止部を掛止部に掛止することが容易にできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1は本発明に係るステアリング装置のハウジングを示す斜視図である。
【0016】
図において1は円筒状をなすラックハウジングであり、ラックハウジング(ハウジング)1の内部には、図3及び図4に示すラック軸(操向軸)2が軸長方向への移動自在に支持されている。このラック軸2の両端部は、夫々図示しない操向車輪に連結されている。ラックハウジング1の一端部側には、円筒状をなすピニオンハウジング3が軸心間に適宜の距離を持って交叉するように連設されており、このピニオンハウジング3の内部には、ピニオン軸4が回動自在に支持されている。ピニオンハウジング3の内部に延設されたピニオン軸4の一端部には、図示しないピニオンが一体的に形成されており、このピニオンは、ラック軸2に形成された図示しないラック歯に噛合している。ピニオン軸4の他端部は、ピニオンハウジング3から突出しており、図示しない操舵部材に連結されている。
【0017】
以上の構成により操舵部材が回動操作された場合は、ピニオン軸4が連動して回動する。ピニオン軸4とラック軸2とが噛合し、ラック軸2が軸長方向への移動自在に支持されているから、ピニオン軸4の回動は、ラック軸2の軸長方向への移動に変換され、ラック軸2が軸長方向へ移動することにより、両端部夫々に連結された操向車輪を操向する。
【0018】
このように構成されたステアリング装置を車体に取り付けるために、ラックハウジング1の両端部夫々には、後述する貫通孔50,50(図3参照)が形成された取付部5,5が一体的に設けられている。これらの取付部5,5は、平面視において矩形をなし、適宜の厚さとされ、双方ともラックハウジング1の軸長方向に交叉する方向の一側に設けられている。貫通孔50,50には、円筒状をなすブッシュ8,8が保持されており、このブッシュ8,8には、取付部5,5を車体に固定するためのボルト7,7が挿通されている。
【0019】
図2は、ボルト7及びブッシュ8を示した斜視図である。ボルト7,7及びブッシュ8,8は、夫々同一の構成のため、以下は一のボルト7及びブッシュ8について説明する。
【0020】
ボルト7は金属製であり、頭部71にボルト軸部70が連なる六角ボルトである。ボルト軸部70の長さは、ブッシュ8の軸長方向の長さよりも適宜の寸法だけ長く形成されており、ボルト軸部70の頭部71側には、ボルト軸部70の先端側外径よりも小径の部分である小径部700が、頭部71との連設位置から軸長方向へ適長に亘って設けられている。この小径部700には、ねじが形成されておらず、座金(被掛止部)72が外嵌している。この座金72の内径部(孔)721は、小径部700の外径よりも大きく、ボルト軸部70の先端側外径よりも小さく形成されていることから、座金72は、小径部700の軸長方向の長さの範囲内において移動自在となり、ボルト軸部70から抜脱しないように構成されている。
【0021】
ブッシュ8は、ゴム等の弾性材料により円筒状に形成された外周部80と、外周部80の内側に接着して設けられ、金属材料により円筒状に形成された内周部81とを備えて構成されている。外周部80の外側形状は、樽形状をなした部分の両端部夫々にフランジ82,84を設けたような形状をしており、内周部81の内径は、ボルト7のボルト軸部70が挿通できる寸法とされている。フランジ82,84の外径は、座金72の外径と略同一にされており、樽形状をなした部分の外径よりも適宜の寸法だけ大きくされている。また、フランジ82,84間の長さは、取付部5の厚さに対応している。
【0022】
外周部80の一端部側のフランジ82には、外周に連設された2つの掛止部83,83がフランジ82の径方向に対向するように形成されている。この掛止部83,83は、外周部80と同一材料にて一体的に形成されており、平面視においてフランジ82と略同軸の外周面830,830と内周面831,831とを備える扇状をしている。掛止部83,83の厚さは、フランジ82の厚さよりも適宜の寸法だけ厚く形成されており、掛止部83,83は、外周部80の一端部の端面よりも突出している。この突出した部分に内周面831,831が形成されており、この内周面831,831の直径は、座金72の外径よりも適宜の寸法だけ小さくされている。また、内周面831,831には、座金72の厚さ及び外径に対応し、外周部80の一端部の端面に沿って形成された掛止溝832,832が設けられている。
【0023】
図3は、ボルト7及びブッシュ8が組み付けられた取付部5の断面図であり、図4は、車体上に載置されたラックハウジング1の取付部5の断面図である。取付部5,5近傍の構成は双方とも同一の構成のため、以下は一の取付部5の近傍の構成について説明する。
【0024】
図において50は、取付部5に穿設された貫通孔であり、貫通孔50は、本発明に係るステアリング装置が取り付けられる車体のクロスメンバ9に臨む取付面51と、この取付面51に対向する面とを貫通するように設けられている。貫通孔50の内径は、外周部80の樽形状をなした部分の外径に対応しており、この貫通孔50にはブッシュ8が保持されている。ブッシュ8は、外周部80の他端部側が取付面51側になるように、取付面51に対向する面側から、貫通孔50に圧入され、他端部側のフランジ84が貫通孔50を通過し、他端部側のフランジ84と一端部側のフランジ82との間に取付部5を挟み込むように組み付けられる。
【0025】
ブッシュ8には、ボルト7が挿通されており、座金72が掛止部83,83に掛止されている。掛止部83,83の内周面831,831の直径は、座金72の外径よりも小さいが、掛止部83,83が外周部80と同一の弾性材料にて形成されており、弾性を有するから、掛止部83,83を弾性変形させて掛止溝832,832に座金72を容易に掛止することができる。
【0026】
以上の構成により本発明に係るステアリング装置は、車体のクロスメンバ9上にラックハウジング1を載置すべく、取付部5の取付面51を下側にした場合、ボルト7は、頭部71が座金72に当接し、ボルト軸部70の先端側がブッシュ8から突出する。
【0027】
この状態において、ボルト7のボルト軸部70とクロスメンバ9の取付孔90との位置を合わせてラックハウジング1をクロスメンバ9上に載置することにより、図4に示すように、ボルト7のボルト軸部70がクロスメンバ9の取付孔90に挿通される。
【0028】
これにより、外力がラックハウジング1に作用しても、ボルト7は、取付部5の貫通孔50に保持されたブッシュ8を挿通して座金72が掛止部83,83に掛止されており、ボルト7のボルト軸部70がクロスメンバ9の取付孔90に挿通されているから、ボルト7がラックハウジング1の支持部材として機能する。ボルト7がラックハウジング1を支持することにより、ラックハウジング1がクロスメンバ9上に仮固定され、ラックハウジング1の転倒及び位置ずれを防止でき、転倒及び位置ずれに起因する部品の損傷及び組立効率の悪化がない。
【0029】
ラックハウジング1とクロスメンバ9との固定は、取付孔90を挿通したボルト7のボルト軸部70の先端にナット91を組み付けることによりなされる。
【0030】
本発明に係るステアリング装置においては、ブッシュ8の掛止部83,83にボルト7の座金72が掛止されている。この座金72とボルト軸部70との相対移動は、小径部700の長さの範囲内に規制され、ボルト軸部70が座金72から抜脱することがない。よって、例えば、ラックハウジング1を車体のクロスメンバ9に載置してからボルト7のボルト軸部70の先端にナット91を組み付けるまでの間に外力がボルト7に加わっても、ボルト7がブッシュ8から脱落することがない。
【0031】
また、ボルト7が予め取付部5に組み付けられているから、車両の組立ラインにおいてボルト7を組み付ける手間がない。
【0032】
以上の実施の形態では、取付部5,5が、双方ともラックハウジング1の軸長方向に交叉する方向の一側に設けられた構成としたが、取付部5,5の構成は前述の構成に限らず、例えば、ラックハウジング1の軸長方向に交叉する方向の両側夫々に取付部5,5が設けられてもよい。
【0033】
また、ボルト7,7を六角ボルトとしたが、ボルト7,7は六角ボルトに限らない。
【0034】
また、掛止部83,83は、2つの掛止部83,83がフランジ82の径方向に対向するように形成されているが、掛止部83,83の数は2つに限らず、また対向するように形成される必要もない。
【0035】
また、掛止部83,83は、平面視においてフランジ82と略同軸の外周面830,830と内周面831,831とを備える扇状とし、内周面831,831に掛止溝832,832を設けたが、掛止部83,83の形状及び構成はこれに限らない。
【0036】
さらに、以上の実施の形態においては、ラックピニオン式ステアリング装置についての適用例として説明したが、本発明は、ラックピニオン式ステアリング装置に限らず、両端部夫々に操向車輪が連結された操向軸のハウジングに設けられた取付部をボルトにより車体に固定するステアリング装置であれば、適用することが可能である。
【0037】
【発明の効果】
以上、詳述したように、第1発明に係るステアリング装置においては、ボルトが備える座金を、取付部の貫通孔に保持されたブッシュの掛止部に掛止するから、ボルトが取付部から脱落することがなく、ボルトとクロスメンバの取付孔との位置を合わせてラックハウジングをクロスメンバ上に載置することにより、ボルトがクロスメンバの取付孔に挿通される。これにより、ラックハウジングに外力が加わっても、ボルトがラックハウジングの支持部材として機能してラックハウジングとクロスメンバとが仮固定され、ラックハウジングの転倒及び位置ずれに起因する部品の損傷及び組立効率の悪化が防止できる。
【0038】
また、第2発明に係るステアリング装置においては、掛止部が弾性変形することが可能であるから、ボルトの座金を掛止部に掛止することが容易にできる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置のハウジングを示す斜視図である。
【図2】ボルト及びブッシュを示した斜視図である。
【図3】ボルト及びブッシュが組み付けられた取付部の断面図である。
【図4】車体上に載置されたラックハウジングの取付部の断面図である。
【符号の説明】
1 ラックハウジング(ハウジング)
2 ラック軸(操向軸)
5 取付部
7 ボルト
8 ブッシュ
50 貫通孔
70 ボルト軸部
71 (ボルトの)頭部
72 座金(被掛止部)
83 掛止部
700 小径部(ボルト軸部の先端側外径よりも小径の部分)
721 内径部(孔)
Claims (2)
- 操舵に応じて軸長方向へ移動し、両端部夫々に連結された操向車輪を操向する操向軸と、貫通孔が形成された取付部が設けられ、前記操向軸を支持するハウジングと、前記貫通孔に保持された筒状のブッシュと、該ブッシュに挿通してあり、前記取付部を車体に取り付けるボルトとを備えるステアリング装置において、
前記ボルトは、頭部に連なるボルト軸部の前記頭部側に前記ボルト軸部の先端側外径よりも小径の部分を有し、
該部分に外嵌してあり、前記ボルト軸部の先端側外径よりも内径が小さい孔を有する被掛止部を備え、
前記ブッシュは、前記被掛止部を掛止する掛止部を備える
ことを特徴とするステアリング装置。 - 前記掛止部は弾性を有することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
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JP2003088724A JP4258245B2 (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | ステアリング装置 |
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JP2007099054A (ja) * | 2005-10-04 | 2007-04-19 | Toyota Motor Corp | 車両用操舵装置 |
KR100944877B1 (ko) | 2008-02-27 | 2010-03-03 | 쌍용자동차 주식회사 | 자동차의 기어박스 마운팅 구조 |
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