JP2004291623A - プロピレン系樹脂製多層発泡シートおよびその製造方法 - Google Patents

プロピレン系樹脂製多層発泡シートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
うろこ状の外観不良の少ないプロピレン系樹脂製多層発泡シートを製造する方法を提供する。
【解決手段】
マルチマニホールド方式の多層Tダイを用いてプロピレン系樹脂製多層発泡シートを共押出しにより製造する方法において、該プロピレン系樹脂製多層発泡シートがプロピレン系樹脂発泡層の両面に熱可塑性樹脂層を有し、該多層Tダイが、樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1が10〜50mm、樹脂流路合流部直後の樹脂流路高さt1が3〜8mm、リップランドの長さL2が0〜5mmの多層Tダイであって、プロピレン系樹脂発泡層を構成するプロピレン系樹脂が、極限粘度[η]A=7〜9dl/gの結晶性プロピレン重合体部分(A)を有するプロピレン樹脂を含有し、プロピレン系樹脂発泡層を構成する全樹脂中における前記結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が[式A]のWAwt%に示す範囲であるプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法。
0.5≦WA≦a/(EXP([η]A )+b) [式A]
(ただし、a=250000、b=100、c=1.15)
【選択図】 図1

Description

本発明はプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法およびプロピレン系樹脂製多層発泡シートに関する。
プロピレン系樹脂製発泡シートはその機械物性、軽量性、耐熱性、耐油性等を活かして、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用されている。プロピレン系樹脂製発泡シートを各種用途に用いる場合には、用途に応じたフィルムを発泡層の面に貼合したり、発泡層に非発泡層を積層したりして多層発泡シートとして用いることが多い。
多層発泡シートの製造方法としては、各層に対応する樹脂原料を複数の押出機を用いて可塑化溶融させ、各押出機から供給される溶融樹脂をダイ内で積層一体化させてダイ外へ押し出す共押出法が一般的である。特許文献1には、共押出法においてポリオレフィン系樹脂層(A)と発泡性ポリオレフィン系樹脂層(B)の流動性を一致させて共押出Tダイ発泡を行うことによって、各層の幅方向の厚み分布むらが改良されることが開示されている。
特開平7−16971号公報
このような厚み分布むらは元来、各層の溶融樹脂をダイ内で層状に合流させた後、薄くなりつつ横に広がってゆく流路を通してTダイ出口形状となした多層溶融樹脂をTダイ外へ押出し発泡させるというフィードブロック方式によるTダイ共押出法において、発生しがちな不良である。本発明者らはマルチマニホールド方式の多層Tダイを用いた共押出法により多層発泡シートを製造する方法につき検討してきたところ、通常のマルチマニホールド方式多層Tダイ共押出法においては、特許文献1に記載されたような厚み分布むらという大きなスケールの不良よりも、直径数cm程度のうろこ状の模様が現れるという外観不良が問題となることが分かってきた。本発明は、マルチマニホールド方式の多層Tダイを用いてプロピレン系樹脂製多層発泡シートを共押出しにより製造する場合に、うろこ状の外観不良の少ないプロピレン系樹脂製多層発泡シートを製造する方法を提供するものである。
すなわち本発明は、マルチマニホールド方式の多層Tダイを用いてプロピレン系樹脂製多層発泡シートを共押出しにより製造する方法において、該プロピレン系樹脂製多層発泡シートがプロピレン系樹脂発泡層の両面に熱可塑性樹脂層を有し、該多層Tダイが、樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1が10〜50mm、樹脂流路合流部直後の樹脂流路高さt1が3〜8mm、リップランドの長さL2が0〜5mmの多層Tダイであって、プロピレン系樹脂発泡層を構成するプロピレン系樹脂が、極限粘度[η]A=7〜9dl/gの結晶性プロピレン重合体部分(A)を有するプロピレン樹脂を含有し、プロピレン系樹脂発泡層を構成する全樹脂中における前記結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が[式A]のWAwt%に示す範囲であるプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法である。
0.5≦WA≦a/(EXP([η]A )+b) [式A]
(ただし、a=250000、b=100、c=1.15)
また本発明は、前記プロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法によって製造されるプロピレン系樹脂製多層発泡シートである。
本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法は、うろこ状外観不良が少なく、外観美麗なプロピレン系樹脂製多層発泡シートを製造することができる。また、本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートは、うろこ状外観不良が少なく、外観美麗なプロピレン系樹脂製多層発泡シートである。
本発明はマルチマニホールド方式の多層Tダイを用いてプロピレン系樹脂製多層発泡シートを共押出しにより製造する方法である。本発明における多層Tダイは、樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1が10〜50mm、樹脂流路合流部直後の樹脂流路高さt1が3〜8mm、リップランドの長さL2が0〜5mmのマルチマニホールド方式の多層Tダイである。
マルチマニホールド方式の多層Tダイとは、各層を構成する樹脂をTダイに導入して広幅化した後に層状に合流させて、ダイ出口より押出す形式のTダイである。本発明における多層Tダイは、樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1が10〜50mmであり、好ましくは10〜40mmである。樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1が長すぎると、うろこ状の外観不良が発生する傾向がある。
通常樹脂流路合流部直後の樹脂流路高さt1は、ダイ出口のリップ隙間t2と比べて非常に大きい。そのため距離L1が短すぎると、樹脂流路合流部からダイ出口まで樹脂を急圧縮することになり、樹脂の滞留や劣化による発泡シートの外観不良の発生が懸念される。
多層Tダイ中の樹脂合流部直後の樹脂流路高さt1とは、該多層Tダイから樹脂を押出して発泡シートを成形する場合の、押出し方向と発泡シート幅方向とに垂直な方向の高さである。樹脂合流部直後の樹脂流路高さt1は3〜8mmであり、好ましくは5〜7mmである。高さt1が低すぎると、うろこ状の外観不良が発生しやすくなり、高さt1が高すぎるとリップ部の圧力が低下してダイ内で気泡が成長するため、破泡やガス抜けといった外観不良が発生する傾向がある。
本発明において、多層Tダイ中のリップランドの長さL2は0〜5mmであり、好ましくは0〜3mmである。リップランドの長さL2が長すぎると、うろこ状の外観不良が発生しやすい。
多層Tダイにおけるリップ隙間t2は、得ようとする多層発泡シートの全体厚みに応じて適宜設定すればよく、通常0.1〜2mm程度である。例えば発泡倍率が4倍程度であり、厚みが4mm程度の多層発泡シートを製造する場合には、リップ隙間t2は0.6〜0.9mmに設定することが好ましい。
隣り合う樹脂流路の合流角度θは40〜80°であることが好ましく、50〜70°であることがより好ましい。合流角度θが大きすぎると、外観不良が発生しやすくなる傾向がある。一方合流角度θが小さすぎると、合流部の樹脂流路の剛性が不十分となるため樹脂圧によって合流前の各樹脂流路隙間が不均一となり、多層発泡シートの各層の幅方向厚み分布が大きくなる傾向がある。
本発明におけるプロピレン系樹脂製多層発泡シートは、プロピレン系樹脂発泡層を有する。プロピレン系樹脂発泡層を構成するプロピレン系樹脂は、極限粘度[η]A=7〜9dl/gの結晶性プロピレン重合体部分(A)を有するプロピレン樹脂を含有し、プロピレン系樹脂発泡層を構成する全樹脂中における前記結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が[式A]のWAwt%に示す範囲である。
0.5≦WA≦a/(EXP([η]A )+b) [式A]
(ただし、a=250000、b=100、c=1.15)
結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度[η]Aは、7〜9dl/gであり、好ましくは7.2〜8.6dl/gであり、より好ましくは7.4〜8.2dl/gである。極限粘度[η]Aは、ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行うことができる。結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度[η]Aが高すぎても低すぎても、うろこ状の外観不良が発生しやすくなる。
プロピレン系樹脂発泡層は、該プロピレン系樹脂発泡層を構成する全樹脂中における前記結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が下記[式A]のWAwt%に示す範囲である樹脂から構成される。
0.5≦WA≦a/(EXP([η]A )+b) [式A]
(ただし、a=250000、b=100、c=1.15)
結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が前記の範囲である樹脂を発泡層用として用いることにより、うろこ状の外観不良の少ないプロピレン系樹脂製多層発泡シートを製造することができる。発泡層用全樹脂中における結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が少なすぎる場合は、発泡倍率の高い発泡シートを製造することが困難となる傾向がある。
極限粘度[η]A=7〜9dl/gの結晶性プロピレン重合体部分(A)を有するプロピレン樹脂としては、下記に示すプロピレン重合体(T)を用いることが好ましい。すなわち、極限粘度が7〜9dl/g以上の結晶性プロピレン重合体部分(A)を製造する工程および極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン重合体部分(B)を製造する工程を含む重合方法により得られ、極限粘度が3dl/g未満であり、結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が0.5重量%以上35重量%未満であるプロピレン重合体(T)である。
前記のプロピレン重合体(T)は結晶性プロピレン重合体部分(A)を製造する工程および結晶性プロピレン重合体部分(B)を製造する工程を含む重合方法により得られる重合体である。例えば第一段階で結晶性プロピレン重合体部分(A)を重合した後、引き続いて第二段階で(A)を重合したのと同一の重合槽で結晶性プロピレン重合体部分(B)を重合する回分式重合法や、2槽以上の重合槽を直列に配置し、第一段階として(A)を重合した後生成物を次の重合槽へ移送し、その重合槽で第二段階として(B)を重合する連続式重合法等の方法で得られる重合体である。なお、連続式重合法の場合は、第一段階および第二段階それぞれの重合槽は1槽でも2槽以上でもよい。
(A)および(B)は、それぞれポリプロピレン結晶構造を有する結晶性プロピレン重合体部分であり、プロピレンの単独重合体、またはプロピレンと、結晶性を失わない程度の量のエチレンおよび/またはα−オレフィン等のコモノマーとの共重合体が好ましい。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ヘキセン等が挙げられる。結晶性を失わない程度の量とはコモノマーの種類により異なるが、例えばエチレンの場合、共重合体中のエチレン由来の構成単位の量は通常10重量%以下、1−ブテン等の他のα−オレフィンの場合、共重合体中のα−オレフィン由来の構成単位の量は通常30重量%以下である。(A)と(B)とは同一組成であってもよく、異なる組成であってもよい。また(A)と(B)とはブロック的に結合しているものがあってもよい。また(A)と(B)がブロック的に結合したものとそれ以外の(A)および(B)とが共存していてもよい。
結晶性プロピレン重合体部分(B)は、上記以外に結晶性プロピレン重合体中に非晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体が分散している重合体部分であってもよい。
上記プロピレン重合体(T)は、例えばTi原子、Mg原子、ハロゲン原子を含有する固体触媒を使用して製造することができ、具体的には特開平11−228629号公報に記載の方法が挙げられる。
発泡層用樹脂には、本発明の効果を阻害しない程度に低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンなどのエチレン系樹脂等、他のオレフィン系樹脂をブレンドして使用してもよい。本発明における結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合は、発泡層を構成する全樹脂中における割合である。
流動性と加工性の観点から、発泡層を構成する全樹脂のMFRは5g/10分以上30g/10分以下であることが好ましい。MFRが高すぎると、発泡に必要な溶融張力を保持できず、低すぎると加工性への影響、具体的にはせん断による発熱、樹脂温上昇の影響が大きい。より好ましくは8g/10分以上25g/10分以下であり、さらに好ましくは10g/10分以上20g/10分以下である。なお発泡層が複数の樹脂から構成される場合、前記樹脂のMFRは発泡層を構成する樹脂の混合物のMFRである。
本発明で発泡層の形成に用いられる発泡剤は特に限定されるものではなく、公知の物理発泡剤や化学発泡剤を単独、または複数を組み合わせて用いることができる。物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、空気、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタンなどを用いることができ、窒素ガス、炭酸ガス、空気等の安全で環境にやさしい無機ガスを用いることが好ましい。安全性およびプロピレン系樹脂への溶解性の観点から、炭酸ガスを用いることがより好ましい。炭酸ガスを用いる場合は、7.4MPa以上かつ31℃以上の超臨界状態でプロピレン系樹脂へ注入することが、樹脂への拡散、溶解性の観点から好ましい。
化学発泡剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸などの有機酸、重曹、アゾジカルボンアミド、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネート化合物、アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジンなどのアゾ、ジアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジドなどのヒドラジン誘導体、N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ・テレフタルアミドなどのニトロソ化合物、P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4’オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジドなどのセミカルバジド化合物、アジ化合物、トリアゾール化合物などを使用することができる。特に、重曹、クエン酸、アゾジカルボンアミドのいずれかを用いることが好ましい。
化学発泡剤を使用する場合には、分解温度や分解速度を調整するために発泡助剤を併用してもよい。例えば、アゾジカルボンアミド単体では分解温度が約200℃と高いため、低温で加工する場合には発泡助剤として酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素などを少量添加して使用することができる。
物理発泡剤を用いる場合には、気泡核剤を併用してもよい。気泡核剤としては、タルク、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、マイカ、クレー、ワラストナイト、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、PMMA等のポリマービーズ、合成アルミノシリケートや上記の化学発泡剤等を使用することができる。
本発明におけるプロピレン系樹脂製多層発泡シートは、プロピレン系樹脂発泡層の両面に熱可塑性樹脂層を有する。プロピレン系樹脂発泡層の片面に積層される熱可塑性樹脂層は1層でもよく、2層以上が積層されていていもよい。また発泡層の両側に位置する熱可塑性樹脂層は、同じ組成であってもよく、異なる樹脂から構成されていてもよい。
熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等のエチレン系樹脂や、プロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂等が挙げられる。また発泡層を構成する樹脂とは同じ樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は1種類であってもよく、2種類以上の樹脂を併用してもよい。熱可塑性樹脂層を構成する樹脂の50重量%以上がプロピレン系樹脂であることが好ましい。
本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートは、発泡層および前記熱可塑性樹脂層以外の層を有していてもよい。プロピレン系樹脂製多層発泡シートの両最外層を構成する樹脂は、MFR0.1〜10g/10分のプロピレン系樹脂であることが剛性や耐衝撃性の点から好ましい。本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートが3層の場合、最外層は前記熱可塑性樹脂層である。
プロピレン系樹脂製多層発泡シートを構成する各層には、必要に応じて各種の低分子型あるいは高分子型の添加剤を配合してもよい。例えば、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、銅害防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、発泡剤、接着性改良剤等が用いられる。とりわけ最外層に用途に応じた添加剤を配合することにより、用途に応じた機能を付与することができる。
本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法は、前記したようなマルチマニホールド方式の多層Tダイを用いて、プロピレン系樹脂製多層発泡シートを構成する樹脂として前述したような樹脂を用いる以外は、公知の多層発泡シートの製造方法を採用することができる。例えば、各層を構成する樹脂と発泡剤等とを押出機中で溶融混練を行ない、押出機中の溶融樹脂組成物を樹脂流路を通って押出機に接続したマルチマニホールド方式の多層Tダイ内へ送る。該多層Tダイ内で広幅化した各層を構成する溶融樹脂組成物は、樹脂流路合流部で層状に合流し、ダイ出口から大気中に共押出される。押出された平板状の溶融シートを、ダイ直後に設置した冷却温調された多数のロールに接触させる、あるいは冷却温調された2枚のプレート状の平板の間を接触させながら通過させる等の公知の冷却成形方法で冷却成形した後、ニップロールを設けた引取機で引き取り、切断機で所定寸法に切断してプロピレン系樹脂製多層発泡シートを製造する方法である。
押出機としては、単軸や多軸の押出機を用いることができ、複数の押出機を組み合わせたタンデム押出機も使用可能である。発泡層を構成する樹脂および発泡剤の混練に用いる押出機としては、2軸押出機が好ましく、スクリュー1回転あたりの押出量が多くて所定の押出量を低回転で得ることができ、スクリュー回転によるせん断発熱の少ない構造の押出機を用いることがより好ましい。スクリュー本体に冷却媒体を循環させ、温調してもよい。
押出機と多層Tダイとの間にギアポンプを設けてもよく、原料供給用に定量フィーダーを設けてもよい。ギアポンプ入口圧力を一定に制御するため、ギアポンプ入口圧力値をスクリューまたはギアポンプの回転数や原料供給量へフィードバックする制御システムも押出発泡状態の安定化に有効である。
押出機と多層Tダイをつなぐアダプタには、スタティックミキサーなどを挿入して樹脂温度均一化をはかることも発泡シート内部の発泡状態の均一化に有効である。
物理発泡剤を用いる場合、発泡層用押出機は樹脂混練途中で物理発泡剤を圧入できる構造である。物理発泡剤は樹脂を十分に溶融可塑化した後に圧入する。物理発泡剤圧入以降は樹脂と発泡剤を十分に混合して均一化させ、発泡に適した樹脂温度に制御する。
本発明における多層Tダイ共押出法はマルチマニホールド方式の多層Tダイを用いる方法であるが、製造するプロピレン系樹脂製多層発泡シートが例えば5層以上である場合には、ダイの重量やコストが嵩むため、予めフィードブロックで積層した層状溶融シートを、本発明で用いるマルチマニホールド方式の多層Tダイ内でさらに他の層と積層して多層化してもよい。
本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートの発泡倍率や厚みは特に限定されるものではないが、通常、シート全体の発泡倍率は1.3〜7倍、シート全体の厚みは1〜7mmである。
各最外層の厚みがシート全体厚みに占める割合は0.05〜1%であることが好ましい。このような場合、例えばシート全体の厚みが4mmであるとき、最外層はそれぞれ2〜40μmと非常に薄肉となる。最外層は用途に応じた機能を付与するため、帯電防止剤や顔料などを添加することが多い。最外層を薄くすることにより、添加剤の添加を少量とすることができるため、低コストで高機能のプロピレン系樹脂製多層発泡シートを得ることができる。
最外層が薄く、うろこ状の外観不良の少ないプロピレン系樹脂製多層発泡シートは、本発明の製造方法によって製造することで初めて得られるものである。
本発明の多層発泡シートには、通常、プロピレン系樹脂製発泡シートの表面に施される、コロナ処理、オゾン処理や帯電防止剤塗布などの表面処理を必要に応じて行うこともできる。
本発明で得られる多層発泡シートの片面もしくは両面に、用途に応じてシートやフィルム等の表皮材を積層貼合してもよい。積層用のシートやフィルム等の表皮材としては用途に応じて公知のものを使用することができ、例えば、アルミニウムや鉄等の金属、熱可塑性樹脂、紙、合成紙等から構成される薄板が挙げられる。熱可塑性樹脂もしくは麻等の植物素材やガラス等の無機材料からなる不織布や織布を積層してもよい。また、用いる薄板表面にエンボスや印刷などの加飾が施されていてもよい。発泡体を表皮材として積層貼合してもよい。
例えばプロピレン系樹脂製多層発泡シートを食品包装用に使用する場合には、10〜100μm厚みのプロピレン系樹脂製フィルムやガスバリア樹脂製フィルムを積層して用いることが好ましい。ガスバリア樹脂としては、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアミドなどを使用することができる。なお、これらガスバリア樹脂は単独または混合して使用してもよいし、ガスバリア樹脂からなるフィルムを2種類以上積層して使用してもよい。
プロピレン系樹脂製多層発泡シートを自動車内装材用に用いる場合には、不織布、織布、カーペット等を積層することが好ましい。他に包装用途、例えば、箱の仕切り板として使用する場合には、内容物保護のために緩衝シートを積層してもよい。
プロピレン系樹脂製多層発泡シートへの表皮材の積層方法は特に限定されることはなく、例えば、接着剤を発泡シート表面に塗布して積層する方法、接着樹脂製フィルムがラミネートされた表皮材を用い、該接着樹脂製フィルム面を加熱溶融させて発泡シートと積層する方法、ヒーターや熱風などを用いて表皮材と発泡シートとの積層面を溶融させて積層する方法、溶融樹脂を表皮材と発泡シートとの間に押出しラミネートして積層する方法等が挙げられる。
本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートあるいは表皮材積層多層発泡シートに真空成形等の熱成形を施すことも可能である。熱成形としては、真空成形や熱罫線加工等、公知の方法により熱成形することができる。本発明の多層発泡シートは厚み分布が小さく気泡微細であるため、熱成形性に優れている。
本発明のプロピレン系樹脂製多層発泡シートは、包装、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。実施例および比較例で用いた評価方法について以下に示す。
(1)重合体の極限粘度
ウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。なお、結晶性プロピレン重合体部分(B)の極限粘度は結晶性プロピレン重合体部分(A)および全体のプロピレン重合体(T)の極限粘度より加成性が成り立つとして、特開平11−228629に記載の計算式より求めた。
(2)MFR
JIS K7210に従い、温度230℃、荷重2.16kgfで測定した。単位はg/10分。
(3)発泡倍率
JIS K7112に従い、水中置換法によって多層発泡シート全体の密度ρfを求め、多層発泡シートを構成する樹脂の密度ρ0(0.9g/cm)との比、すなわち、ρ0/ρfによって多層発泡シート全体の発泡倍率を計算した。
(4)表面抵抗率
多層発泡シートの幅方向に、100mm×100mmのサイズで5箇所サンプリングし、各サンプルの表面抵抗率を表面抵抗測定器(東亜電波工業株式会社製SME−8310)を用いて50%相対湿度、23℃室温において測定した。サンプル表裏、幅方向5箇所の対数平均値を代表値として求めた。
[参考例1](プロピレン系樹脂PP1の製造)
[1](固体触媒成分の合成)
攪拌機付きの200リットルSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80リットル、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/リットルのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51リットルを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後室温でさらに1時間攪拌した後室温で固液分離体ルエン70リットルでの洗浄を3回繰り返した。
次いで、スラリー濃度が0.6Kg/リットルになるようにトルエンを加えた後、n−ブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加え、さらにフタル酸クロライドを20.8モル加えて110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンでの洗浄を2回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後同温度で固液分離した後、95℃でトルエン90リットルでの洗浄を2回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90リットルでの洗浄を3回行った。
次いで、スラリー濃度を0.6Kg/リットルに調整した後、n−ブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン137モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90リットルでの洗浄を3回行った後、さらにヘキサン90リットルでの洗浄を3回した後減圧乾燥して固体触媒成分11.0Kgを得た。
固体触媒成分はチタン原子1.9重量%、マグネシウム原子20重量%、フタル酸エステル8.6重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.21重量%を含有し、微粉のない良好な粒子性状を有していた。
[2](固体触媒成分の予備活性化)
内容積3リットルのSUS製、攪拌機付きオートクレーブに十分に脱水、脱気処理したn−ヘキサン1.5リットル、トリエチルアルミニウム37.5ミリモル、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン3.75ミリモル、上記[1]で得られた固体触媒成分15gを添加し、槽内温度を5〜15℃に保ちながらプロピレン15gを30分かけて連続的に供給して予備活性化を行った。
[3](結晶性プロピレン重合体部分(A)の重合)
SUS製の内容積300リットルの重合槽において、重合温度60℃、重合圧力27kg/cmGを保持するように液状プロピレンを57kg/hで供給しながら、トリエチルアルミニウム1.3ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン0.13ミリモル/hおよび予備活性化された固体触媒成分0.51g/hを連続的に供給し、水素の実質的非存在下でプロピレン重合を行い、2.0kg/hの重合体が得られた。この時の重合体生成量は触媒1g当たり3920gであり、その一部をサンプリングして分析した結果、極限粘度[η]Aは7.7dl/gであった。得られた重合体はそのまま第二槽目に連続的に移送した。
[4](結晶性プロピレン重合体部分(B)の重合)
内容積1mの攪拌機付き流動床反応器において、重合温度80℃、重合圧力18Kg/cmG、気相部の水素濃度8vol%を保持するようにプロピレンおよび水素を供給しながら、第一槽目より移送された触媒含有重合体およびトリエチルアルミニウム60ミリモル/h、t−ブチル−n−プロピルジメトキシシラン6ミリモル/hを供給しながらプロピレン重合を連続的に継続することにより18.2kg/hの重合体(T)が得られた。この重合体(T)の極限粘度は1.9dl/gであった。
以上の結果から(B)の重合時の重合体生成量は触媒1gあたり31760gであり、第一槽目と第二槽目の重合重量比は11:89であり、(B)の極限粘度は1.2dl/gと求められた。
[5](重合体(T)のペレット化)
[4]で得られた重合体(T)粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、MFRが12g/10分のペレット(プロピレン系樹脂PP1)を得た。
[実施例1](押出発泡試験)
下記に示す方法にて熱可塑性樹脂層/発泡層/熱可塑性樹脂層の2種3層のプロピレン系樹脂製多層発泡シートを作製した。本実施例1では、熱可塑性樹脂層が最外層に相当する。
発泡層用押出機として先端にギアポンプを設けた104mmφ同方向回転2軸押出機(L/D=32、Lはスクリュー有効長さ、Dはスクリュー径)を、熱可塑性樹脂層用押出機として75mmφ単軸押出機(L/D=32)を使用し、ダイ出口流路幅が1600mmである図1および図2に例示するマルチマニホールド方式の多層Tダイを使用した。なお、多層Tダイ中の樹脂流路合流角度θは60°、樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1は36mm、リップランドの長さL2は3mm、合流部直後の流路隙間t1は6mm、リップ隙間t2が0.6mmであった。
上記参考例1[5]で得られたプロピレン系樹脂PP1(MFR=12g/10分)を50重量部、プロピレン系樹脂PP2(住友化学工業(株)製、ノーブレンAW191A(MFR=11g/10分))を40重量部、直鎖状低密度ポリエチレンPE1(住友化学工業(株)製、スミカセンE、FV401(MFR=4g/10分))を10重量部混合した混合物に対して、気泡核剤(日本ベーリンガーインゲルハイム(株)製、ハイドロセロールCF40E)を0.5PHRブレンドした発泡層用樹脂を、定量フィーダーを経て発泡層用押出機ホッパーに投入して押出機中で溶融混錬を行い、溶融が進んだ位置(L/D=20)で液化炭酸ガス0.5PHRをダイヤフラム式定量ポンプを用いて高圧で注入した。溶融樹脂と炭酸ガスを十分溶融混練したのち、180℃に冷却・調整し、吐出量160Kg/hでギアポンプを用いて安定してマルチマニホールド方式多層Tダイ内に導入した。
なお、結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度[η]Aは7.7dl/g、また、発泡層用全樹脂中の結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量WAは5.50wt%、[式A]の右辺は7.16であり、[式A]を満足していた。また、PP1、PP2およびPE1からなる発泡層用樹脂のMFRは11g/10分であった。
次に、熱可塑性樹脂層用樹脂としてプロピレン系樹脂PP3(住友化学工業(株)製、ノーブレンAS171G(MFR=1g/10分))を80重量部、帯電防止剤(三洋化成工業(株)製、ペレスタット300)を20重量部混合したものを用いた。前記混合物を定量フィーダーを経て最外層用押出機ホッパーに投入して押出機中で溶融混錬を行い、200℃に冷却・調整し、吐出量5Kg/hでマルチマニホールド方式多層Tダイ内に導入した。発泡層を構成する溶融樹脂と熱可塑性樹脂層を構成する溶融樹脂は、樹脂流路合流部で合流して層状に積層された後、ダイ出口から平板状溶融シートとして押出された。該平板状溶融シートを、ダイ直後に設置した約60℃に冷却温調された多数の210φロールにより冷却成形し、ニップロールを備えた引取機で引取ったのち、切断機にて所定寸法に切断した。
得られた多層発泡シートは全体で発泡倍率4.0倍、厚み4.0mmであり、熱可塑性樹脂層の厚みはそれぞれ17μm、片方の熱可塑性樹脂層がシート全体厚みに占める割合は0.43%であった。該多層発泡シートにうろこ状の外観不良は見られず、表面抵抗率は10の11乗Ω/□であった。
[参考例2](プロピレン系樹脂PP4の製造)
参考例1と同様に下記の直鎖状プロピレン系樹脂PP4を製造した。
(A)の極限粘度8.5dl/g(9.5wt%)、(B)の極限粘度1.2dl/g(90.5wt%)、(T)の極限粘度1.9dl/g、(T)のMFRは11g/10分。
[比較例1]
プロピレン系樹脂PP1に代わって、プロピレン系樹脂PP4を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度[η]Aは8.5dl/gであった。発泡層用全樹脂中の結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量WAは4.75wt%と多く、[式A]の右辺は2.04であるため、[式A]を満足していなかった。また、PP4、PP2およびPE1からなる発泡層用全樹脂のMFRは10g/10分であった。
結果、うろこ状の外観不良が目立ち、熱可塑性樹脂層厚みや表面抵抗率の評価は不可能であった。
[実施例2]
リップ隙間t2を1.0mmとした。また、発泡層用樹脂としてプロピレン系樹脂PP4を12.5重量部、プロピレン系樹脂PP2を77.5重量部、直鎖状低密度ポリエチレンPE1を10重量部の配合物を用いた。液化炭酸ガスの添加量は0.38PHRとし、発泡層の吐出量は300Kg/hとした。
なお、発泡層用樹脂中の結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度[η]Aは8.5dl/g、また、含有量WAは1.19wt%、[式A]の右辺は2.04であるため、[式A]を満足していた。また、発泡層用全樹脂のMFRは10g/10分であった。
上記以外は実施例1と同様に実施した結果、得られた多層発泡シートは全体で発泡倍率3.0倍、厚み4.0mmであり、熱可塑性樹脂層の厚みはそれぞれ11μm、片方の熱可塑性樹脂層がシート全体厚みに占める割合は0.28%であった。熱可塑性樹脂層の厚みはそれぞれ17μm、片方の熱可塑性樹脂層がシート全体厚みに占める割合は0.43%であった。また、うろこ状の外観不良は見られず、表面抵抗率も10の11乗Ω/□と良好であった。
[比較例2]
発泡層用樹脂としてプロピレン系樹脂PP4を25重量部、プロピレン系樹脂PP2を65重量部、直鎖状低密度ポリエチレンPE1を10重量部の配合物を用いた以外は実施例2と同様に実施した。
なお、結晶性プロピレン重合体部分(A)の極限粘度[η]Aは8.5dl/g、発泡層用全樹脂中の結晶性プロピレン重合体部分(A)の含有量WAは2.38wt%、[式A]の右辺は2.04であるため、[式A]を満足していなかった。また、PP4、PP2およびPE1からなる発泡層用樹脂のMFRは10g/10分であった。
結果、うろこ状の外観不良が目立ち、熱可塑性樹脂層厚みや表面抵抗率の評価は不可能であった。
[比較例3]
合流部からダイ出口までの距離L1を48mm、リップランドの長さL2は15mmとした以外は実施例1と同様に実施したところ、うろこ状の外観不良が目立ち、熱可塑性樹脂層厚みや表面抵抗率の評価は不可能であった。
本発明におけるマルチマニホールド方式による多層Tダイの流路断面の1例を示す図面である。 図1における樹脂流路合流部を拡大した樹脂流路断面の1例を示す図面である。
符号の説明
1:マルチマニホールド方式の多層Tダイ
2:リップ(上)
3:リップ(下)
4:発泡層用マニホールド
5:発泡層用チョークバー
6:熱可塑性樹脂層用マニホールド(上)
7:熱可塑性樹脂層用チョークバー(上)
8:熱可塑性樹脂層用マニホールド(下)
9:熱可塑性樹脂層用チョークバー(下)
10:樹脂流路合流部
11:樹脂流路
12:樹脂流路
13:樹脂流路
L1:樹脂流路合流部からダイ出口までの距離
L2:リップランドの長さ
t1:樹脂流路高さ
t2:リップ隙間
θ:樹脂流路合流角度

Claims (3)

  1. マルチマニホールド方式の多層Tダイを用いてプロピレン系樹脂製多層発泡シートを共押出しにより製造する方法において、該プロピレン系樹脂製多層発泡シートがプロピレン系樹脂発泡層の両面に熱可塑性樹脂層を有し、該多層Tダイが、樹脂流路合流部からダイ出口までの距離L1が10〜50mm、樹脂流路合流部直後の樹脂流路高さt1が3〜8mm、リップランドの長さL2が0〜5mmの多層Tダイであって、プロピレン系樹脂発泡層を構成するプロピレン系樹脂が、極限粘度[η]A=7〜9dl/gの結晶性プロピレン重合体部分(A)を有するプロピレン樹脂を含有し、プロピレン系樹脂発泡層を構成する全樹脂中における前記結晶性プロピレン重合体部分(A)の割合が[式A]のWAwt%に示す範囲であるプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法。
    0.5≦WA≦a/(EXP([η]A )+b) [式A]
    (ただし、a=250000、b=100、c=1.15)
  2. 請求項1に記載のプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法において、プロピレン系樹脂製多層発泡シートの両最外層を構成する樹脂がMFR=0.1〜10g/10分のプロピレン樹脂であって、プロピレン系樹脂製多層発泡シートの全厚みに占める各最外層の割合が0.05〜1%であるプロピレン系樹脂製多層発泡シートの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法で製造されるプロピレン系樹脂製多層発泡シート。

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