JP2004291540A - 高反射フィルム又はシート材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テトラアルコキシチタン又はその加水分解物、そのキレート剤、テトラメトキシシランの加水分解物、及び溶剤を混合して調整したコーティング用組成物を基材に塗布して高屈折率塗膜層を形成させる。即ち、透明支持体上に、順に、少なくとも1層のハードコート層及び高屈折率塗膜層を有し、該高屈折率塗膜層がテトラアルコキシチタンの加水分解縮合生成物及びテトラメトキシシランの加水分解物の加水分解縮合生成物を含み、該高屈折率塗膜層中のチタンとケイ素の原子比がTi:Si=98:2〜50:50である高反射フィルム又はシート材である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高反射や反射防止を目的として、ポリエチレンテレフタレートフイルム等の透明支持体上に二酸化チタン層を設けたフイルムやシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラス、セラミック、金属、プラスチックなどの基材表面に、種々の目的で無機皮膜を形成させることが行われている。基材表面に無機皮膜を形成させることで基材に電気的特性、光学的特性、機械的特性を付与することが可能となる。このような例として、基材フィルム上に屈折率の異なる材料の薄膜を形成した反射防止フィルム、導電性の高い薄膜を形成した帯電防止フィルム等が知られている(特許文献1)。
【0003】
二酸化チタン薄膜は、高屈折率を有していることから、種々の光学薄膜に利用されており、近年では二酸化チタン薄膜の上に低屈折率の薄膜層を配した反射防止フイルムに多々利用されている(特許文献2)。この反射防止膜はコンピューター用のCRTや液晶ディスプレイ、又はプラズマディスプレイ等の画像表示装置において、外光の映り込みを防止してコンストラストの低下を防ぐために設けられており、その原理には光学干渉を用いている。この光学干渉を利用して、十分に反射率を低減させるためには、支持体上に少なくとも0.1μm程度の薄膜を1層、理想的には2層以上積層する必要がある。
【0004】
一般に反射防止膜は透明支持体上にハードコート層を設け、その上に反射防止膜層として2層以上の薄膜を設ける構成とするが(特許文献3)、コスト的に有利な2層の場合、最表面側から低屈折率層、高屈折率層の順に積層する必要がある。また、反射防止膜はその機能を発揮するために画像表示体の最外層に用いられるので、二酸化チタン薄膜を反射防止膜のような光学干渉フイルムとして用いる場合、基材との十分な密着度、及び物理的な外力に対する十分な耐摩擦性や膜強度を有する必要がある。
高屈折率層の材料としては1.65以上あれば一般的に材料として使用できるが、その高屈折率層の材料としては、屈折率の比較的高い金属酸化物を含むものが多く、その金属酸化物の中でも、安価で非常に屈折率の高い二酸化チタンが重宝されている。薄膜を製膜させる方法としては、蒸着、スパッタリング、プラズマCVD法などのドライコーティング法を用いて、金属酸化物そのものの薄膜を形成させる方法がある。また、熱又は紫外線硬化型樹脂に二酸化チタンの超微粒子を分散させて材料を屈折率の高いものとし塗膜としたものがある。
【0005】
しかし、機械的強度に優れた酸化金属薄膜を形成できる蒸着などのドライコーティング法では、製造工程で真空状態が必要なため大量生産には不向きであり、コストもかかる。また、高屈折率塗膜層がアルコキシチタン等の有機金属化合物とアクリル系化合物とから成る反射防止フィルムが提案されているが(特許文献4)、金属酸化物の超微粒子を樹脂中に分散させる方法は、超微粒子の扱いが難しいことと、樹脂への分散が非常に難しいことから工業的に製造するには技術的に困難な点が多く、更にナノレベルの金属酸化物の超微粒子は非常に高価でもある。またウェット法で比較的容易に酸化金属膜を製膜する方法としてゾルゲル法を利用した方法が知られている。しかし、ゾルゲル法は、400〜600℃の高温での焼成が必要なため、ポリエステルフイルムなどの透明支持体上での形成は不可能であったが、このような目的のためにアルコキシチタンから調製した酸化チタンゾル等と有機ケイ素化合物とから成る反射防止フィルムが提案されている(特許文献5)。しかし、熱又は紫外線で硬化する反応基を有する有機ケイ素を混合することで、熱又は紫外線を照射する工程が入ることと、転写法を用いて薄膜を形成させるため行程が煩雑であるという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−61604
【特許文献2】
特開平10−73701
【特許文献3】
特開平9−281301
【特許文献4】
特開平2000−147208
【特許文献5】
特開平9−222504
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたもので、高屈折率でかつ硬度や耐擦傷性、密着性などの物理的強度にも優れ、安価で、生産性に優れた高反射フィルム又はシート材及びそのためのコーティング組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、既に同様な目的の下でいくつかの発明を完成させてきたが(特願2002−75507、特願2002−275122)、テトラアルコキシチタン又はその加水分解物にテトラメトキシシランの加水分解物を混合して調整したコーティング用組成物を基材に塗布して高屈折率塗膜層を形成させることにより、このような課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、透明支持体上に、順に、少なくとも1層のハードコート層及び高屈折率塗膜層を有し、該高屈折率塗膜層がテトラアルコキシチタンの加水分解縮合生成物及びテトラメトキシシラン(TMOS)の加水分解縮合生成物を含み、該高屈折率塗膜層中のチタンとケイ素の原子比がTi:Si=98:2〜50:50である高反射フィルム又はシート材である。この高屈折率塗膜層の形成時に、コーティング組成物に含まれるアルコキシチタン又はその加水分解物は更に加水分解縮合して二酸化チタンを生成し、テトラメトキシシラン又はその加水分解物は更に加水分解縮合して二酸化ケイ素を生成すると考えられる。
【0010】
本発明は、また、透明支持体上に、順に、少なくとも1層のハードコート層及び高屈折率塗膜層を有し、該高屈折率塗膜層が下記コーティング組成物を塗布し乾燥することにより成り、該高屈折率塗膜層中のチタンとケイ素の原子比がTi:Si=98:2〜50:50である高反射フィルム又はシート材である。
このコーティング組成物は、
(1)アルコキシ基の炭素数が1〜5であるテトラアルコキシチタン又はその加水分解物、
(2)一般式(1)
R1−R2−CmH2m−R3−R4 (1)
(式中、R2及びR3はそれぞれ
のいずれか、好ましくは
のいずれか、より好ましくは
のいずれか、更に好ましくは
のいずれかを表し(但し、これらの基はその炭素原子が−CmH2m−に隣接するように結合する。)、R1及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を表し、−CmH2m−は直鎖であり、mは2又は3の整数を表す。)で表されるキレート剤又はその誘導体、
(3)テトラメトキシシランの加水分解物、及び
(4)有機溶剤から成る。
【0011】
また、本発明はこのコーティング組成物である。
更に、本発明は、上記の高反射フィルム又はシート材の高屈折率塗膜層上に、更に、該高屈折率塗膜層面の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率塗膜層を設けた高反射フィルム又はシート材である。
また、本発明は、上記の高反射フィルム又はシート材をその表面上に設けた液晶表示体である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の透明支持体は、基材上に順に少なくとも一層のハードコート層及び高屈折率塗膜層並びに任意に低屈折率塗膜層を有する。これらは基材の最外層に配されればよく、ハードコート層と高屈折率塗膜層との間に接着層など他のいかなる層を有するものであってもよい。
この透明支持体はフィルム又はシート状のいかなる透明基材であってもよいが、好ましくは透明プラスチックフィルムである。この透明支持体として、例えば、ガラス板、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)、ポリカーボネートフィルム(PC)等を使用することができる。
【0013】
また本発明の高反射フィルム又はシート材は、支持体の上に少なくとも一層のハードコート層を有する。このハードコート層は電離放射線硬化型樹脂を主成分とするものである。
この電離放射線硬化型樹脂は、電子線(EB)又は紫外線を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル樹脂(メタクリル樹脂を含む。)、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂及びエポキシアクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。好ましいものとしては分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートが挙げられ、具体的には、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
更に、上記の多官能アクリレートの他に2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートや、硬度を調整する目的で末端(メタ)アクリレートポリメチルメタクリレート等の重合性オリゴマ−を配合してもよい。また、電離放射線硬化型樹脂はベンゾフェノン系開始剤、ジケトン系開始剤、アセトフェノン系開始剤、ベンゾイン系開始剤、チオキサントン系開始剤、キノン系開始剤等の重合開始剤を含んでもよい。
【0014】
高屈折率塗膜層を形成するためのコーティング組成物としては、(1)テトラアルコキシチタン又はその加水分解物、(2)キレート剤又はその誘導体、(3)テトラメトキシシランの加水分解物、及び(4)有機溶剤から成るコーティング組成物が好ましい。
【0015】
(1)テトラアルコキシチタンとして、例えば、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラオクチルオキシチタン等が挙げられる。
テトラアルコキシチタンの加水分解物は単量体としてのテトラアルコキシチタンが多くとも100単量体、好ましくは10単量体加水分解したものが好ましい。即ち、この加水分解物のチタン数は好ましくは100以下、より好ましくは10以下である。
このテトラアルコキシチタンの加水分解物は
R5O(Ti(OR5)2O)nR5 や
[−Ti(OR6)2O−]o + oH2O
(式中、R5及びR6は、それぞれ同じであっても異なってもよく、炭素数が1〜5のアルキル基を表し、n及びoは1〜100、好ましくは1〜10を表す。)等の一般式で表されると考えられる。
コーティング組成物中のテトラアルコキシチタン又はその加水分解物の割合は、通常0.5〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0016】
(2)キレート剤は、上記テトラアルコキシチタン又はその加水分解物に含まれるチタンに対するキレート配位子として機能すると考えられる。nが2の場合には上記キレート剤は7員環のキレート環を形成し、nが3の場合には上記キレート剤は8員環のキレート環を形成する。
【0017】
このキレート環がエチレングリコールやアセチルアセトンのように5又は6員環を形成する場合は、得られたキレート錯体は安定性が高く、加熱して酸化チタン膜を形成するためには400℃以上の高温が必要となるため、熱可塑性のフィルム上では困難である。9員環以上になるとキレートを生成しにくいため塗膜の安定性が低い。
7又は8員環のキレートを生成する材料としてコハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸とその誘導体、ブチレングリコール、ペンチレングリコールのジアルコールとその誘導体などが挙げられる。即ち、上記キレート剤として、例えば、1,4ブタンジアルデヒド、1,5ペンタンジアルデヒド、コハク酸、グルタル酸、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、へキシレングリコール、アルコキシ基の炭素数が1〜4である4−アルコキシブタノール、4アミノ1−ブタノール、4イミドイル1−ブタノール、アルコキシ基の炭素数1〜4の4アルコキシ酪酸、炭素数が13以下である1,4−ジケトン、1,5−ジケトン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、4−イミドイル1−アミノブタン、5−イミドイル1−アミノペンタン、1,4−ジイミドイルブタン、1,5−ジイミドイルペンタン、4アミノ酪酸、4イミドイル酪酸、とこれら化合物の誘導体及びナトリウム塩、カリウム塩を用いることができる。特に好ましくはコハク酸、アルコキシ基の炭素数が1〜4である4アルコキシ酪酸のナトリウム塩が挙げられる。
またキレート剤の誘導体とは、例えば、この化合物の末端(即ち、一般式(1)のR1又はR4)がカルボキシル基の場合に、当該末端がエステルや金属塩であるもの等をいう。
テトラアルコキシチタン又はその加水分解物に対するキレート剤のモル比は1〜3であることが好ましい。また、コーティング組成物中のキレート剤の割合は、通常0.1〜25.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%である。
【0018】
(3)テトラメトキシシランの加水分解物は、その重量平均分子量は、好ましくは300〜2000、より好ましくは500〜700である。
このテトラメトキシシランの加水分解物は、下記一般式
CH3O(Si(OCH3)2O)pCH3
(式中、pは2以上で分子量に見合う整数を表す。)で表されると考えられる。テトラアルコキシチタン又はその加水分解物に対するこのテトラメトキシシランの加水分解物の量は、Ti:Si(原子比)=98:2〜50:50、好ましくは90:10〜70:30となるようにする。
【0019】
また、本発明のコーティング組成物は更に無機酸塩を含んでもよい。この無機塩としては特に限定はないが、成膜性向上の点で、ナトリウム、マグネシウム、鉄、カリウム、カルシウム又はアルミニウムの無機酸塩が好ましく、マグネシウム塩がより好ましい。この無機酸としては硝酸、硫酸、蓚酸又は塩酸が好ましく、硝酸がより好ましい。この無機酸塩はエタノールに可溶であれば更に好ましい。これらの塩は混合して用いてもよい。
上記コーティング組成物中のテトラアルコキシチタン又はその加水分解物に対する無機酸塩のモル比は0.001〜0.1であることが好ましい。
【0020】
(4)有機溶剤としては、含水率が5重量%以下である溶剤が適当であり、アルコール類、ケトン類、カルボン酸類、エステル類、セロソルブ類、エーテル類、グリコール類、炭化水素類若しくはこれらの誘導体又はこれらの混合物、好ましくは沸点150℃以下のアルコール類又はセロソルブ類を用いることができる。このような有機溶剤として、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2メチルプロパノール、1,1−ジメチルエタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、3−メチル1−ブタノール、3−メチル2−ブタノール、2−メチル1−ブタノール、2−メチル2−ブタノール、1,2−ジメチルプロパノール、2,2−ジメチルプロパノール、2−エチルブタノール、4−メチル2−ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルが挙げられ、特に好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノールが挙げられる。
【0021】
このコーティング組成物には必要に応じて公知の有機又は無機のバインダーや添加剤を加えてもよい。但し、屈折率を低下させる可能性があるため、コーティング組成物にはこれら添加剤を加えない方が好ましい。
【0022】
低屈折率塗膜層は透明であれば公知のいかなる塗膜であってもよい。その塗膜は、有機ケイ素化合物又はフッ素化合物を含有することが好ましく、フッ素化合物を主成分とすることがより好ましく、含フッ素ビニルモノマーを重合して得られるポリマーを主成分とすることが更に好ましい。
これら化合物として、例えば、二酸化ケイ素微粒子と樹脂を混合したものやアルコキシシリケート、アルキルトリアルコキシシラン、コルコート40(コルコート社製)、MS51(三菱化学製)、スノーテックス(日産化学製)、オプスターJN7212(JSR製)、16Fep(共栄社化学製)、ザフロンFC−110(東亜合成化学製)、セクラルコートA−402B(セントラル硝子製)、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルメトキシシラン、トリフルオロプロピルメトキシシラン等が挙げられる。
【0023】
高屈折率塗膜層及び低屈折率塗膜層は公知のいかなる方法で製造してもよい。これらの塗膜層は、例えば、グラビア、マイクログラビア、バー、コンマ、キャップ、ディップ、スロットダイ、スライドダイ、カーテンダイ、スピンコート等の塗工方式で塗工し、25〜150℃、好ましくは40〜100℃の乾燥温度で30秒〜2分乾燥して得ることができる。反応を進めるために100〜150℃で1時間以上加熱すると好ましい。
形成した高屈折率塗膜層面の屈折率は1.90以上であることが好ましい。
またこの高屈折率塗膜層及び低屈折率塗膜層の厚さはそれぞれ50〜200nmであることが好ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
実施例1
テトライソプロピルチタネート(商品名A1;日本曹達製)による固形分濃度が5重量%となるように、イソプロピルアルコールへ窒素雰囲気中で溶解させ100重量部とした。これにエチレングリコール(和光純薬製)をTiに対して2等量モルを加え、窒素雰囲気中で1時間攪拌した。これに硝酸マグネシウム六水和物(関東化学)0.5重量部を添加し2時間攪拌し、溶液(A)を得た。沈殿などは生じず、淡黄色透明な状態を保った。
上記溶液(A)にテトラメチルシリケートのオリゴマーであるMS51(三菱化学製、重量平均分子量500〜700)をTi:Si=98:2(モル)となるように添加し、塗料を作製した。
この塗料を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に130℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0025】
実施例2
上記溶液(A)にテトラメチルシリケートのオリゴマーであるMS51(三菱化学製)をTi:Si=90:10(モル)となるように添加した。
この塗料を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に130℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0026】
実施例3
上記溶液(A)にテトラメチルシリケートのオリゴマーであるMS51(三菱化学製)をTi:Si=80:20(モル)となるように添加した。
この塗料を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に130℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0027】
実施例4
テトライソプロポキシチタネート(商品名A1;日本曹達製)100重量部を窒素雰囲気中で密閉式容器に入れ、n−ブタノール(関東化学製、特級)2900重量部を1分間に100重量部の速度でゆっくり加え希釈した。これにエチレングリコール(和光純薬製)40重量部に硝酸マグネシウム六水和物(関東化学)0.5部を添加したものを1分間に10重量部の速度で添加した。この塗料を大気下で2時間攪拌し、溶液(B)を得た。溶液(B)は沈殿などは生じず、無色透明な状態を保った。
上記溶液(B)にテトラメチルシリケートのオリゴマー塗料にシリケートのオリゴマーであるMS51(三菱化学製)を0.228量部添加し、塗料中のSiを30モル%としたところ塗工液に若干濁りが見られた。
この塗料を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に110℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0028】
比較例1
溶液(A)を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に130℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0029】
比較例2
溶液(A)にシリケートのオリゴマーであるMS51(三菱化学製)をTi:Si=99:1(モル)となるように添加した。
この塗料を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に130℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0030】
比較例3
溶液(B)にテトラエトキシシリケート(関東化学製)を0.030量部添加し、塗料中のSiを10モル%とした。
この塗料を、ハードコート膜を形成したTACフィルム(日本製紙製、ZTAC−HC)上にマイヤーバー(RDS社製)を用い、乾燥後の膜厚が約80nmになるように塗布し、塗布後、送風乾燥機で60℃で1分間乾燥させ、更に110℃で1時間加熱処理を行った。得られた塗膜は均一な透明膜であった。
【0031】
各実施例と比較例のフィルムについて行った評価結果を表1に示す。
耐擦傷性の評価は、堅牢度試験(JIS P8136)に基づいて行った。条件は、スチールウール0000、500g/cm2荷重である。結果は下記5段階で評価した。5:傷無し、4:1〜10本、3:11〜25本、2:26〜40本、1:全面傷
膜厚と屈折率は、FILMETRICS社製薄膜測定器で測定した。屈折率は550nmの値である。
密着度はゴバン目試験(JIS K5400)にて評価した。
【表1】
Claims (14)
- 透明支持体上に、順に、少なくとも1層のハードコート層及び高屈折率塗膜層を有し、該高屈折率塗膜層がテトラアルコキシチタンの加水分解縮合生成物及びテトラメトキシシランの加水分解縮合生成物を含み、該高屈折率塗膜層中のチタンとケイ素の原子比がTi:Si=98:2〜50:50である高反射フィルム又はシート材。
- 透明支持体上に、順に、少なくとも1層のハードコート層及び高屈折率塗膜層を有し、該高屈折率塗膜層が、(1)アルコキシ基の炭素数が1〜5であるテトラアルコキシチタン又はその加水分解物、(2)一般式(1)
R1−R2−CmH2m−R3−R4 (1)
(式中、R2及びR3はそれぞれ
のいずれかを表し(但し、これらの基はその炭素原子が−CmH2m−に隣接するように結合する。)、R1及びR4はそれぞれ水素原子又は炭素数が1〜5のアルキル基を表し、−CmH2m−は直鎖であり、mは2又は3の整数を表す。)で表されるキレート剤又はその誘導体、(3)テトラメトキシシランの加水分解物、及び(4)有機溶剤から成るコーティング組成物を塗布し乾燥することにより成り、該高屈折率塗膜層中のチタンとケイ素の原子比がTi:Si=98:2〜50:50である高反射フィルム又はシート材。 - 前記テトラアルコキシチタン又はその加水分解物に対する前記キレート剤のモル比が1〜3である請求項1又は2に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記コーティング組成物が更に無機酸塩を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記無機酸塩がマグネシウム塩であり、前記テトラアルコキシチタン又はその加水分解物に対する前記無機酸塩のモル比が0.001〜0.1である請求項4に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記テトラメトキシシランの加水分解物の重量平均分子量が300〜2000である請求項1〜5のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記高屈折率塗膜層面の屈折率が1.90以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記高屈折率塗膜層の厚さが50〜200nmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材の高屈折率塗膜層上に、更に、該高屈折率塗膜層面の屈折率より低い屈折率を有する低屈折率塗膜層を設けた高反射フィルム又はシート材。
- 前記低屈折率塗膜層が有機ケイ素化合物又はフッ素化合物を含有する請求項9に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記低屈折率層が含フッ素ビニルモノマーを重合して得られるポリマーを主成分とする請求項9又は10に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 前記低屈折率塗膜層の厚さが50〜200nmである請求項9〜11のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材。
- 請求項9〜12のいずれか一項に記載の高反射フィルム又はシート材をその表面上に設けた液晶表示体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003089864A JP4490641B2 (ja) | 2003-03-28 | 2003-03-28 | 高反射フィルム又はシート材 |
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