JP2004291178A - 電動ドライバの正逆回転方向検知装置、回転回数カウント装置、電力供給装置及び電動ドライバ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動ドライバに新たな信号ラインを設けることなく、電動ドライバの回転方向の正逆を検知することである。
【解決手段】電動ドライバ1の直流モータ4と電力供給装置10の等価直流電源V0とを結ぶ電力供給ラインには、交流電源e0によって交流信号が入力される。電動ドライバの正転時には、スイッチ7により端子A−B間及び端子A’−B’間が接続され、地点Dにおける交流信号レベルは比較的高いものとなる。一方、電動ドライバの逆転時には、スイッチ7により端子A−C間及び端子A’−C’間が接続され、地点DはコンデンサCによりアースにバイパスされ、地点Dの交流信号レベルは比較的低いものとなる。この交流信号レベルの違いを比較器16で検出することで、電動ドライバが正転しているのか逆転しているのかを検知する。
【選択図】 図1
【解決手段】電動ドライバ1の直流モータ4と電力供給装置10の等価直流電源V0とを結ぶ電力供給ラインには、交流電源e0によって交流信号が入力される。電動ドライバの正転時には、スイッチ7により端子A−B間及び端子A’−B’間が接続され、地点Dにおける交流信号レベルは比較的高いものとなる。一方、電動ドライバの逆転時には、スイッチ7により端子A−C間及び端子A’−C’間が接続され、地点DはコンデンサCによりアースにバイパスされ、地点Dの交流信号レベルは比較的低いものとなる。この交流信号レベルの違いを比較器16で検出することで、電動ドライバが正転しているのか逆転しているのかを検知する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動ドライバの正逆回転方向検知装置、電動ドライバの回転回数カウント装置、電動ドライバに直流電流を供給する電力供給装置及び電動ドライバ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電動ドライバによりワークに対してネジの締め付けを行う際に発生し得るネジの締付忘れを防止するためのネジ締付忘れ防止装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、電動ドライバの締付トルクが一定値以上になったときに締付完了信号を出力させ、その締付完了信号の出力回数を検出することで、電動ドライバが回転した回数すなわちネジ締付回数を把握するネジ締付忘れ防止装置が開示している。この装置では、ワークに対して予め締付けるべきネジの数を設定しておき、設定したネジ数と上記締付完了信号の出力回数とを比較して、これが一致していればネジ締付作業が完了したと判断し、不一致であれば不完全と判断する。また、この装置においては、電動ドライバに通電した時(電動ドライバが回転した時)から所定時間経過しないうちに締付完了信号が出力された場合は、その締付完了信号の出力回数を計測しないという制御を行う。これにより、ネジの二度締めによる誤カウントを防止して、ワークに対するネジの締付忘れを防止している。
【0003】
また、このネジ締付忘れ防止装置は、電動ドライバ本体とは別体に構成され、この電動ドライバとの間は各種信号ラインによって接続されている。電動ドライバへの電力供給は、上記各種信号ラインのうち、ネジ締付忘れ防止装置に設けられる直流安定化電源からの直流電流を電動ドライバのモータに伝送する電源供給ラインを通じて行われる。また、電動ドライバに設けられるトルクセンサによって締付トルクが一定値以上になったことが検出されたときには、上記各種信号ラインのうちの締付完了信号専用の信号ラインを通じて、締付完了信号がネジ締付忘れ防止装置に向けて出力される。すなわち、このネジ締付忘れ防止装置においては、電動ドライバのネジ締付回数を把握するための締付完了信号を、電源供給ラインとは別の専用の信号ラインを通じて行っている。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−73535号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示のネジ締付忘れ防止装置は、上記所定時間が経過する前に締付完了信号が出力されたか否かによって、ネジが正しく締め付けられたか否かを判断し、ワークに対するネジの締付忘れを適切に防止するものである。しかし、この所定時間は、各ネジを十分に締め付けるのに必要な時間に相当するものに設定されるため、使用するネジの種類等によって異なるものとなる。そのため、ネジの締付忘れを適切に防止するには、電動ドライバによって締め付けるネジの種類等が変わるごとに、上記所定時間を適宜設定し直すという非常に煩雑な作業が必要となる。
【0006】
このような煩雑な作業を必要とすることなく、ネジの締付忘れを適切に防止する方法としては、例えば、電動ドライバの正逆回転方向を検知し、電動ドライバの正転回数だけでなく逆転回数もカウントする方法が考えられる。この方法によれば、ネジを締め付けた回数を示す正転回数からネジを緩めた回数を示す逆転回数を減算することで、ネジを二度締めした場合であっても、ネジ締付回数を適切に把握することができる。この場合、上記特許文献1に開示の装置のように上記所定時間を設定する必要がないため、上述した煩雑な作業を必要とすることなく、ネジの二度締めによって誤カウントを防止でき、ワークに対するネジの締付忘れを適切に防止することができる。
【0007】
ところで、このように電動ドライバの逆転回数をカウントする場合には、電動ドライバが逆転していることを検出する必要がある。電動ドライバの逆転を検出する方法としてまず考えられるのは、従来から知られている電動ドライバの回転回数を把握するための構成と同様の構成を採用する方法である。例えば、電動ドライバ本体でその回転方向の正逆を検出し、電動ドライバが逆転している旨の逆転信号を、電動ドライバ本体から、上記ネジ締付忘れ防止装置等の回転回数をカウントする回転回数カウント装置に出力する。この場合、回転回数カウント装置が逆転信号を受信している間にカウントされた電動ドライバの回転回数は、逆転回数として把握することができる。
【0008】
しかし、上記逆転信号を回転回数カウント装置に受信するための信号ラインとして、上記締付完了信号のときを同様に、電源供給ラインとは別の逆転信号専用の信号ラインを通じて行うと、電動ドライバに、電力供給ラインとは別に新たに専用の信号ラインを設けなくてはならなくなる。
【0009】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、電動ドライバに新たな信号ラインを設けることなく、電動ドライバの回転方向を検知することができる電動ドライバの正逆回転方向検知装置、回転回数カウント装置、電力供給装置及び電動ドライバ装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電動ドライバと該電動ドライバの直流モータに直流電流を供給するための電力供給装置とを結ぶ電力供給ライン上に交流信号を入力する交流信号入力手段と、該電動ドライバがネジを締め付ける向きに正転するときとネジを緩める向きに逆転するときとで、該電力供給ライン上の交流信号の波形を変更する波形変更手段と、該波形変更手段により波形が変更された交流信号を検出する検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置においては、電動ドライバと電力供給装置とを結ぶ電力供給ライン上に交流信号を入力する。この交流信号は、電動ドライバが正転するときと逆転するときとで互いに異なる波形となるため、この交流信号の波形を検出することで、電動ドライバが正転しているのか逆転しているのかを検知することができる。しかも、本装置では、電動ドライバには必ず設けられる電力供給ライン上に交流信号を流し、この交流信号の波形を検出するため、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要はない。
また、請求項2の発明は、請求項1の正逆回転方向検知装置において、上記波形変更手段は、上記電力供給ラインを流れる交流信号の信号レベルを変更するものであることを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置においては、波形変更手段により交流信号の信号レベルが変更されるため、交流信号の信号レベルが所定の閾値以上か否かを比較器等を用いて検出するだけで、電動ドライバの回転方向を検知することができる。
また、請求項3の発明は、請求項2の正逆回転方向検知装置において、上記波形変更手段として、上記電動ドライバの直流モータに直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上であって、上記電動ドライバを正転させるときにのみ直流電流が流れるライン部分又は電動ドライバを逆転させるときにのみ直流電流が流れるライン部分を、アースにバイパスするコンデンサを利用したことを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置においては、電動ドライバの直流モータに直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上に、電動ドライバを正転させるときにのみ電流が流れるライン部分と、電動ドライバを逆転させるときにのみ電流が流れるライン部分とが設けられている。そして、これらのライン部分のいずれかをアースにバイパスするコンデンサを設けることにより、交流信号の信号レベルを変更する。例えば、電動ドライバを逆転させるときにのみ電流が流れるライン部分をコンデンサでバイパスした場合、電動ドライバの正転時には交流信号は直流電流とともに電動ドライバの直流モータを流れる。一方、電動ドライバの逆転時には交流信号がコンデンサを通じてアースに流れ、直流モータにはほとんど流れない。この違いにより交流信号の信号レベルが変化する地点でその信号レベルの検出を行えば、電動ドライバの回転方向を検知することができる。
また、請求項4の発明は、請求項3の正逆回転方向検知装置において、上記交流信号入力手段による交流信号が入力される電力供給ライン上の地点よりも、上記直流電流の電源部側の電力供給ライン上にコイルを設けたことを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置は、交流信号の入力地点よりも直流電流の電源部側に電力供給ライン上にコイルが設けられているので、交流信号が直流電流の電源部に流れ込むのを抑制することができる。また、直流電流の電源部の内部インピーダンスが、交流信号に対して上記コンデンサと同程度に低いものであると、電動ドライバの正転時でも逆転時でも、交流信号が直流電流の電源部を通じてアースに流れてしまい、正転時と逆転時とで交流信号の信号レベルの差が少ないものとなってしまう。これに対し、本装置のようにコイルを設けることで、直流電流の電源部側が交流信号に対して高インピーダンスにすることができるので、上記コンデンサにより正転時と逆転時とで交流信号の信号レベルの差が大きくすることができ、電動ドライバの回転方向を安定して検知することが可能となる。
また、請求項5の発明は、電動ドライバがネジを締め付ける向きに正転したときの正転回数と、ネジを緩める向きに逆転したときの逆転回数の少なくとも一方をカウントする電動ドライバの回転回数カウント装置において、上記電動ドライバの回転方向を検知する手段として、請求項1、2、3又は4の正逆回転方向検知装置を用い、該正逆回転方向検知装置による検知結果を利用して、電動ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方をカウントするカウント手段を有することを特徴とするものである。
この電動ドライバの回転回数カウント装置は、電動ドライバの回転方向を検知する手段として、上述した正逆回転方向検知装置を用い、その検出結果を利用して、電動ドライバが正転した回数及び逆転した回数の少なくとも一方をカウントする。よって、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設けることなく電動ドライバの回転方向を検知でき、ドライバの正転回数、逆転回数を把握することができる。また、この回転回数カウント装置は、電動ドライバとは別体に構成してもよい。この場合、電動ドライバには、回転回数カウント装置の構成部品を搭載する必要がないため、電動ドライバの小型化、軽量化を図ることができ、電動ドライバを手に持って作業する作業員の負担等を軽減することができる。しかも、本回転回数カウント装置であれば、電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインとは別個に、新たな信号ラインを設ける必要がない。よって、電動ドライバの大幅な設計変更の必要がなく、既存の電動ドライバを利用して、正転回数、逆転回数を把握することが可能となる。
また、請求項6の発明は、請求項5の回転回数カウント装置において、上記カウント手段は、上記電動ドライバの正転回数及び逆転回数の両方をカウントするものであり、所定のネジ締付回数を設定するためのネジ締付回数設定手段と、該カウント手段がカウントした正転回数を該ネジ締付回数設定手段により設定されたネジ締付回数から減算し、該カウント手段がカウントした逆転回数を該ネジ締付回数に加算する演算手段とを有することを特徴とするものである。
この回転回数カウント装置は、例えば1つのワークにネジ締めするネジの個数を、所定のネジ締付回数として設定することができる。そして、正転回数がカウントされると、そのカウントした正転回数を、設定されたネジ締付回数から減算する演算を行う。このような演算を行うことで、設定されたネジ締付回数がゼロになったときに、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したことを把握することができる。しかも、本装置では、逆転回数がカウントされると、そのカウントした逆転回数が、設定されたネジ締付回数に加算される演算も行われる。よって、ネジ締めを失敗したときに、そのネジを一度緩めてから再度締め直すという二度締めを行った場合でも、そのネジの締め付けは1回のネジ締付回数として適切に処理される。したがって、ネジの二度締めを行っても、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したことを正確に把握することができる。その結果、ネジ締めが完了したこと又は完了していないことを作業員に報知すれば、1つのワークに対するネジの締付忘れを適切に防止することが可能となる。
また、請求項7の発明は、請求項6の回転回数カウント装置において、上記演算手段による演算結果がゼロになったとき、上記ネジ締付回数を上記ネジ締付回数設定手段により最初に設定された所定のネジ締付回数にリセットするリセット手段と、上記演算手段による演算結果がゼロになった回数をカウントするセット数カウント手段とを設けたことを特徴とするものである。
この回転回数カウント装置においては、上述した演算の結果がゼロになって、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したら、上記演算に用いられるネジ締付回数が、最初に設定された所定のネジ締付回数にリセットされる。よって、同種のワークに対して続けてネジ締付作業を行う場合には、ネジ締付回数を設定する作業を繰り返す必要がなくなる。また、本装置では、上記演算の結果がゼロになった回数がカウントされる。これにより、ネジ締付作業が完了したワークの個数を把握することができる。このような構成により、例えば多数ある同種のワークに対してネジ締付作業を行う場合、個々のワークについてネジの締付忘れを適切に防止可能となるとともに、ネジ締付作業が完了したワークの個数も適切に把握可能となる。よって、例えば大量生産を行う生産ラインにおけるネジ締付作業を作業員が正確に行うことが可能となる。
また、請求項8の発明は、電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインを備え、該電力供給ラインを通じて該電動ドライバの直流モータに直流電流を供給する電力供給装置において、上記電動ドライバが正転したときの回数及び逆転したときの回数の少なくとも一方をカウントする回転回数カウント装置を有し、該回転回数カウント装置として、請求項5、6又は7の回転回数カウント装置を用いたことを特徴とするものである。
この電力供給装置は、上述した回転回数カウント装置を備えているので、電動ドライバに接続される電力供給ラインを利用して、電動ドライバへの電力供給とともに、ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方を把握することができる。このとき、本電力供給装置と電動ドライバとの間に、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要がない。また、電動ドライバとは別体に構成すれば、上述した回転回数カウント装置の場合と同様に、既存の電動ドライバに大幅な設計変更を加えることなく、その正転回数、逆転回数を把握することが可能となる。
また、請求項9の発明は、電動ドライバと、該電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインを通じて該電動ドライバに電力を供給する電力供給装置とを備えた電動ドライバ装置において、上記電動ドライバが正転したときの回数及び逆転したときの回数の少なくとも一方をカウントする回転回数カウント装置を有し、該回転回数カウント装置として、請求項5、6又は7の回転回数カウント装置を用いたことを特徴とするものである。
この電源ドライバ装置は、上述した回転回数カウント装置を備えているので、電動ドライバに接続される電力供給ラインを利用して、電動ドライバへの電力供給とともに、ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方を把握することができる。このとき、電力供給装置と電動ドライバとの間に、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要がない。また、回転回数カウント装置を電動ドライバとは別体に構成すれば、上述した回転回数カウント装置の場合と同様に、既存の電動ドライバに大幅な設計変更を加えることなく、その正転回数、逆転回数を把握することが可能となる。なお、回転回数カウント装置は、電力供給装置に内蔵させてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、電動ドライバとこれに電力を供給する電力供給装置とからなる電動ドライバ装置に適用した一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の電動ドライバの内部構造を示す説明図である。
この電動ドライバ1には、後述する電力供給装置に接続される電力供給ラインを構成する接続ケーブル2と、ネジ締め用のビット3と、ビット3に伝達される回転トルクを発生させる直流モータ4とが設けられている。また、この電動ドライバ1には、直流モータ4の回転速度を減速させる減速部5と、ネジ締めトルクが一定値に達したときに直流モータ4からのトルク伝達を遮断するクラッチ機構6とが設けられている。また、この電動ドライバ1には、直流モータ4への通電をON/OFFするON/OFFスイッチ7と、ビット3の回転方向を切り替えるためた正逆切替スイッチ8とが設けられている。
【0012】
図3は、本実施形態の電力供給装置の外観を示す斜視図である。
この電力供給装置10は、商用電源コンセントに接続される電源ケーブル11と、上記電動ドライバ1に接続された接続ケーブルと接続する接続コネクタ12と、作業員が操作するための各種操作スイッチ13a,13b,13cとを備えている。また、この電力供給装置10には、残りネジ締付回数を表示する第1表示部14と、完了したセット数であるワーク数を表示する第2表示部15とが設けられている。各種操作スイッチ13a,13b,13cの操作内容や、これらの表示部14,15に表示される数値については後述する。
【0013】
図1(a)及び(b)は、本電動ドライバ装置における、電動ドライバ1の直流モータ4に電力を供給するための回路を含む電気回路の説明図である。
図中符号V0は、上記商用電源コンセントから電源ケーブル11を介して供給される電圧を直流に変換したものに相当する等価直流電源を示す。作業員がビット3を正転させるように正逆切替スイッチ8を操作すると、図1(a)に示すように、端子A−B間及び端子A’−B’間が接続される。そして、作業員が電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、等価直流電源V0からの直流電流は、端子A−B間、直流モータ4、端子A’−B’間の順に流れる。よって、直流モータ4には、これを正転方向に回転させる向きの直流電流がながれ、ビット3が正転方向に回転する。一方、作業員がビット3を逆転させるように正逆切替スイッチ8を操作すると、今度は、図1(b)に示すように、端子A−C間及び端子A’−C’間が接続される。そして、作業員が電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、等価直流電源V0からの直流電流は、端子A−C間、直流モータ4、端子A’−C’間の順に流れる。よって、直流モータ4にはこれを逆転方向に回転させる向きの直流電流がながれ、ビット3が逆転方向に回転する。
【0014】
また、本実施形態の電力供給装置10には、ON/OFFスイッチ7よりも等価直流電源V0側で、この等価直流電源V0に対して交流信号入力手段としての交流電源e0が並列に接続されている。なお、交流電源e0に直列接続されている抵抗r0は、交流電源e0の内部抵抗を示している。この交流電源e0によって入力される交流信号は、等価直流電源V0によって供給される直流成分に重畳して、回路中を流れることになる。
また、本実施形態では、図示のように、交流電源e0が入力される電力供給ライン上の地点Dよりも、等価直流電源V0側の電力供給ライン上にコイルLを設けている。このコイルLは、直流に対してはインピーダンスが非常に低いが、上記交流信号に対してはインピーダンスが非常に高いものとなっている。よって、等価直流電源V0による直流モータ4への直流電流の供給を妨げることなく、交流信号が等価直流電源V0に流れ込むのを抑止することができる。
【0015】
ここで、作業員がビット3を正転させるように正逆切替スイッチ8を操作した後、電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、交流信号は、端子A−B間、直流モータ4及び端子A’−B’間を流れる。なお、交流信号は、コイルLが設けられているため、等価直流電源V0を流れることはない。よって、等価直流電源V0の交流信号に対するインピーダンスが非常に低くても、この等価直流電源V0が交流信号に影響を及ぼすことはない。したがって、図中符号Dで示す地点に現れる交流電位(交流信号の信号レベル)は、交流電源e0の交流電圧値が直流モータ4の抵抗と内部抵抗r0とで分圧された値を示すことになる。
一方、作業員がビット3を逆転させるように正逆切替スイッチ8を操作した後、電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、交流信号は、端子A−C間及び波形変更手段を構成するコンデンサCを流れる。なお、交流信号がコイルLによって等価直流電源V0を流れることはない。このコンデンサCは、直流に対してはインピーダンスが非常に高いが、上記交流信号に対してはインピーダンスが非常に低いものとなっている。また、本実施形態において、このコンデンサCは、電動ドライバ1の直流モータ4に直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上で、電動ドライバ1の逆転時にのみ電流が流れるライン部分とアースとをバイパスしている。よって、地点Dに現れる交流信号の信号レベルは、上記コンデンサCを介してアースに落とされる結果、正転時に比べて非常に低い値を示すことになる。
【0016】
本実施形態では、電動ドライバ1の正転時と逆転時とで電力供給ライン上の地点Dにおける交流信号の信号レベルの違いを利用して、電動ドライバ1の回転方向を検知する。具体的には、上記地点Dに接続された検出手段としての比較器16を用いて、電動ドライバ1の回転方向を検出する。この比較器16は、マイナス入力端子に上記地点Dの電圧が入力され、プラス入力端子には、正転時と逆転時との間で交流信号の信号レベルを区別するための閾値となる所定電圧が入力されている。
【0017】
正転時には、上述したように、地点Dに比較的大きな信号レベルをもつ交流信号が現れる。これにより、比較器16のマイナス入力端子には、上記閾値を越える電圧が入力される。よって、比較器16の出力はHレベルとなる。一方、逆転時には、上述したように、地点Dは交流成分についてアースに落とされるため、比較器16のマイナス入力端子には、上記閾値よりも小さい電圧が入力されることになる。よって、比較器16の出力はLレベルとなる。したがって、比較器16の出力がHレベルであれば電動ドライバ1が正転しており、Lレベルであれば電動ドライバ1が逆転しているということを把握することができる。
【0018】
本実施形態では、比較器16の出力に基づいて電動ドライバ1の回転方向を把握した上で、カウント手段としてのカウンタ18により、電動ドライバ1の正転回数及び逆転回数の両方をカウントする。このカウンタ18としては、74HC161等の市販のICを利用することができる。このカウンタ18は、電動ドライバ1の回転回数をカウントするためのH/L入力端子と、電動ドライバ1の回転方向を把握するためのU/D入力端子とを備えている。H/L入力端子には、直流モータ4の端子電圧と、上記比較器16の出力信号とが、OR回路17を介して入力される。よって、作業員が正逆切替スイッチ8を正逆いずれに操作した場合であっても、ON/OFFスイッチ7がONの間は、H/L入力端子にHレベルの信号が入力され、ON/OFFスイッチ7がOFFの間は、H/L入力端子にLレベルの信号が入力される。そして、カウンタ18は、H/L入力端子にHレベルの信号が入力された回数をカウントする。一方、U/D入力端子には、上記比較器16の出力信号が入力される。よって、電動ドライバ1が正転している間は、U/D入力端子にはHレベルの信号が入力され、電動ドライバ1が逆転している間は、U/D入力端子にはLレベルの信号が入力される。これにより、カウンタ18は、電動ドライバ1の回転方向を把握することができる。
【0019】
また、本実施形態では、作業員が電力供給装置10の操作スイッチ13aを操作することで、図示しない1つのワークに対してネジ締めするネジの個数、すなわち、1つのワークに対するネジ締付回数が設定値としてカウンタ18に入力される。また、カウンタ18は、後述する演算結果を表示制御部19に出力する。そして、この演算結果を受け取った表示制御部19は、その演算結果に基づいて、第1表示部14に1つのワークに対する残りネジ締付回数を表示し、第2表示部15にネジ締付作業が完了したワーク数を表示させる。
【0020】
次に、上記カウンタ18の動作について説明する。
図4は、本実施形態のカウンタ18の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
本実施形態においては、作業員が入力したネジ締付回数が設定値として入力されると(S1)、この設定値はネジ締付カウント値としてカウンタ18に記憶される(S2)。そして、作業員によりON/OFFスイッチ7がONにされてH/L入力端子に入力されるHレベルの信号が入力されると(S3)、U/D入力端子がHレベルかLレベルかを判断する(S4)。U/D入力端子がHレベルであると判断されると、カウンタ18は電動ドライバ1が1回正転したと認識し、ネジ締付カウント値から「1」を減算する処理を行う(S5)。一方、U/D入力端子がLレベルであると判断されると、カウンタ18は電動ドライバ1が1回逆転したと認識し、ネジ締付カウント値に「1」を加算する処理を行う(S6)。このような演算処理を行うことで、ネジを二度締めしたとしても、ネジ締付カウント値がゼロになったときには、ワークに対するネジ締めがすべて完了したことになる。その後、H/L入力端子に入力される信号がLレベルになる、すなわち、作業員によりON/OFFスイッチ7がOFFにされるのを待って(S7)、表示制御部19にネジ締付カウント値を出力する(S8)。この出力を受け取った表示制御部19は、そのネジ締付カウント値を第1表示部14に表示させる。したがって、作業員は、第1表示部14を見ることで、現在作業しているワークについて残り何個のネジを締めなければならないかを把握することができる。
【0021】
次に、カウンタ18は、ネジ締付カウント値がゼロであるか否かを判断する(S9)。ネジ締付カウント値がゼロでないと判断された場合には、上記S3の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、カウント値がゼロであると判断された場合、ワークに対するネジ締めがすべて完了しているので、カウンタ18に記憶されているワークカウント値に「1」を加算する処理を行う(S10)。そして、カウンタ18は、そのワークカウント値を表示制御部19に出力する(S11)。この出力を受け取った表示制御部19は、そのワークカウント値を第2表示部15に表示させる。これにより、作業員は、第2表示部15を見ることで、何個のワークについてネジ締付作業を終えたかを把握することができる。その後、カウンタ18は、ネジ締付カウント値を、上記S1で作業員が入力した設定値にリセットする(S12)。そして、上記S3の処理に戻り、次のワークに対するネジ締付作業についても、同様の処理を行う。
【0022】
このような動作により、作業員は、ワークに対するすべてのネジ締めを終えたときに第1表示部14を見ることで、二度締めを行ったとしても、ワークに対するネジの締付忘れを防止することができる。すなわち、ネジを締付忘れた作業員は、すべてのネジ締めを終えたと思っても、第1表示部14に表示されているカウント値が最初に自分が設定した設定値に戻っていないのを見れば、ネジの締付忘れに気づくことができる。
【0023】
以上のように、本実施形態においては、交流電源e0、コンデンサC及び比較器16を含む回路部分から構成される正逆回転方向検知装置によって、電力供給ライン上を流れる交流信号から、電動ドライバ1の回転方向を把握することができる。よって、電動ドライバ1と電力供給装置10との間に電力供給ラインとは別個に、電動ドライバ1の回転方向を把握するための信号ラインを設ける必要がなくなる。そして、この正逆回転方向検知装置、カウンタ18、表示制御部19、第1表示部14及び第2表示部15から構成される回転回数カウント装置により、電動ドライバ1の正転回数及び逆転回数をカウントし、これを作業員に向けて表示する。これにより、作業員は、ネジの締付忘れに気づくことができ、また、自分が作業を終えたワーク数を把握することができる。また、本実施形態では、この回転回数カウント装置が、電動ドライバ1の直流モータ4に直流電流を供給するための電力供給ラインを備える電力供給装置10に内蔵されているため、ネジ締付作業に必要となる設備点数が電動ドライバ1と電力供給装置10だけで済む。よって、作業員の作業スペースを広く確保することができる。また、電動ドライバ1の内部回路にコンデンサCを設ける以外は、既存の電動ドライバ1の構成をそのまま利用することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、第2表示部15に表示されるワークカウント値は、カウントアップ方式であるが、第1表示部14に表示されるカウント値と同様に、予め自分が作業するワーク数を作業員が入力し、この入力値からカウントダウンしていくように構成してもよい。
また、本実施形態では、回転回数カウント装置を電力供給装置10に内蔵した構成について説明したが、これらを別体に構成してもよい。この場合、大幅な設計変更をすることなく、既存の電力供給装置を利用することが可能となる。
また、本実施形態では、作業員が第1表示部14を見ることで、ネジの締付忘れに気づくように構成されているが、作業員が第1表示部14を見なくても、ネジの締付忘れに気づくように構成することもできる。例えば、ワークを所定のワーク台に設置して作業を行う場合、そのワーク台にワークの取外しを検出する検出手段を設け、その検出結果が上記電力供給装置10に入力される構成とする。そして、上記ネジ締付カウント値がゼロになる前にワーク台からワークが取り外されたことが検知されると、例えば、ブザーが鳴らしたり、ランプを点滅させたりする等の報知手段を利用して、作業員にネジ締付忘れを報知するようにする。
【0025】
【発明の効果】
請求項1乃至9の発明によれば、電動ドライバ1に新たな信号ラインを設けることなく、電動ドライバ1の回転方向を検知することができるという優れた効果がある。
また、請求項2乃至4の発明によれば、簡単な構成で電動ドライバの回転方向を検知することができるという優れた効果がある。
また、請求項4の発明によれば、電動ドライバの回転方向を安定して検知することが可能となるという優れた効果がある。
また、請求項5乃至9の発明によれば、電動ドライバの回転方向を検知するために電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要がなく、ドライバの正転回数、逆転回数を把握することができるという優れた効果がある。
また、請求項6の発明によれば、ネジの二度締めを行っても、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したことを正確に把握することができるという優れた効果がある。
また、請求項7の発明によれば、多数ある同種のワークに対してネジ締付作業を行う場合、個々のワークについてネジの締付忘れを適切に防止可能となるとともに、ネジ締付作業が完了したワークの個数も適切に把握可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、実施形態に係る電動ドライバ装置における、電動ドライバ1の直流モータに電力を供給するための回路を含む電気回路の説明図。
【図2】同電動ドライバ装置を構成する電動ドライバ1の内部構造を示す説明図。
【図3】同電動ドライバ装置を構成する電力供給装置の外観を示す斜視図。
【図4】同電力供給装置に設けられるカウンタ18の動作の流れを説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1 電動ドライバ1
2 接続ケーブル
3 ビット
4 直流モータ
7 ON/OFFスイッチ
8 正逆切替スイッチ
10 電力供給装置
13a,13b,13c 操作スイッチ
14 第1表示部
15 第2表示部
16 比較器
18 カウンタ
19 表示制御部
C コンデンサ
e0 交流電源
L コイル
r0 内部抵抗
V0 等価直流電源
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動ドライバの正逆回転方向検知装置、電動ドライバの回転回数カウント装置、電動ドライバに直流電流を供給する電力供給装置及び電動ドライバ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電動ドライバによりワークに対してネジの締め付けを行う際に発生し得るネジの締付忘れを防止するためのネジ締付忘れ防止装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、電動ドライバの締付トルクが一定値以上になったときに締付完了信号を出力させ、その締付完了信号の出力回数を検出することで、電動ドライバが回転した回数すなわちネジ締付回数を把握するネジ締付忘れ防止装置が開示している。この装置では、ワークに対して予め締付けるべきネジの数を設定しておき、設定したネジ数と上記締付完了信号の出力回数とを比較して、これが一致していればネジ締付作業が完了したと判断し、不一致であれば不完全と判断する。また、この装置においては、電動ドライバに通電した時(電動ドライバが回転した時)から所定時間経過しないうちに締付完了信号が出力された場合は、その締付完了信号の出力回数を計測しないという制御を行う。これにより、ネジの二度締めによる誤カウントを防止して、ワークに対するネジの締付忘れを防止している。
【0003】
また、このネジ締付忘れ防止装置は、電動ドライバ本体とは別体に構成され、この電動ドライバとの間は各種信号ラインによって接続されている。電動ドライバへの電力供給は、上記各種信号ラインのうち、ネジ締付忘れ防止装置に設けられる直流安定化電源からの直流電流を電動ドライバのモータに伝送する電源供給ラインを通じて行われる。また、電動ドライバに設けられるトルクセンサによって締付トルクが一定値以上になったことが検出されたときには、上記各種信号ラインのうちの締付完了信号専用の信号ラインを通じて、締付完了信号がネジ締付忘れ防止装置に向けて出力される。すなわち、このネジ締付忘れ防止装置においては、電動ドライバのネジ締付回数を把握するための締付完了信号を、電源供給ラインとは別の専用の信号ラインを通じて行っている。
【0004】
【特許文献1】
特公平5−73535号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に開示のネジ締付忘れ防止装置は、上記所定時間が経過する前に締付完了信号が出力されたか否かによって、ネジが正しく締め付けられたか否かを判断し、ワークに対するネジの締付忘れを適切に防止するものである。しかし、この所定時間は、各ネジを十分に締め付けるのに必要な時間に相当するものに設定されるため、使用するネジの種類等によって異なるものとなる。そのため、ネジの締付忘れを適切に防止するには、電動ドライバによって締め付けるネジの種類等が変わるごとに、上記所定時間を適宜設定し直すという非常に煩雑な作業が必要となる。
【0006】
このような煩雑な作業を必要とすることなく、ネジの締付忘れを適切に防止する方法としては、例えば、電動ドライバの正逆回転方向を検知し、電動ドライバの正転回数だけでなく逆転回数もカウントする方法が考えられる。この方法によれば、ネジを締め付けた回数を示す正転回数からネジを緩めた回数を示す逆転回数を減算することで、ネジを二度締めした場合であっても、ネジ締付回数を適切に把握することができる。この場合、上記特許文献1に開示の装置のように上記所定時間を設定する必要がないため、上述した煩雑な作業を必要とすることなく、ネジの二度締めによって誤カウントを防止でき、ワークに対するネジの締付忘れを適切に防止することができる。
【0007】
ところで、このように電動ドライバの逆転回数をカウントする場合には、電動ドライバが逆転していることを検出する必要がある。電動ドライバの逆転を検出する方法としてまず考えられるのは、従来から知られている電動ドライバの回転回数を把握するための構成と同様の構成を採用する方法である。例えば、電動ドライバ本体でその回転方向の正逆を検出し、電動ドライバが逆転している旨の逆転信号を、電動ドライバ本体から、上記ネジ締付忘れ防止装置等の回転回数をカウントする回転回数カウント装置に出力する。この場合、回転回数カウント装置が逆転信号を受信している間にカウントされた電動ドライバの回転回数は、逆転回数として把握することができる。
【0008】
しかし、上記逆転信号を回転回数カウント装置に受信するための信号ラインとして、上記締付完了信号のときを同様に、電源供給ラインとは別の逆転信号専用の信号ラインを通じて行うと、電動ドライバに、電力供給ラインとは別に新たに専用の信号ラインを設けなくてはならなくなる。
【0009】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、電動ドライバに新たな信号ラインを設けることなく、電動ドライバの回転方向を検知することができる電動ドライバの正逆回転方向検知装置、回転回数カウント装置、電力供給装置及び電動ドライバ装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、電動ドライバと該電動ドライバの直流モータに直流電流を供給するための電力供給装置とを結ぶ電力供給ライン上に交流信号を入力する交流信号入力手段と、該電動ドライバがネジを締め付ける向きに正転するときとネジを緩める向きに逆転するときとで、該電力供給ライン上の交流信号の波形を変更する波形変更手段と、該波形変更手段により波形が変更された交流信号を検出する検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置においては、電動ドライバと電力供給装置とを結ぶ電力供給ライン上に交流信号を入力する。この交流信号は、電動ドライバが正転するときと逆転するときとで互いに異なる波形となるため、この交流信号の波形を検出することで、電動ドライバが正転しているのか逆転しているのかを検知することができる。しかも、本装置では、電動ドライバには必ず設けられる電力供給ライン上に交流信号を流し、この交流信号の波形を検出するため、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要はない。
また、請求項2の発明は、請求項1の正逆回転方向検知装置において、上記波形変更手段は、上記電力供給ラインを流れる交流信号の信号レベルを変更するものであることを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置においては、波形変更手段により交流信号の信号レベルが変更されるため、交流信号の信号レベルが所定の閾値以上か否かを比較器等を用いて検出するだけで、電動ドライバの回転方向を検知することができる。
また、請求項3の発明は、請求項2の正逆回転方向検知装置において、上記波形変更手段として、上記電動ドライバの直流モータに直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上であって、上記電動ドライバを正転させるときにのみ直流電流が流れるライン部分又は電動ドライバを逆転させるときにのみ直流電流が流れるライン部分を、アースにバイパスするコンデンサを利用したことを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置においては、電動ドライバの直流モータに直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上に、電動ドライバを正転させるときにのみ電流が流れるライン部分と、電動ドライバを逆転させるときにのみ電流が流れるライン部分とが設けられている。そして、これらのライン部分のいずれかをアースにバイパスするコンデンサを設けることにより、交流信号の信号レベルを変更する。例えば、電動ドライバを逆転させるときにのみ電流が流れるライン部分をコンデンサでバイパスした場合、電動ドライバの正転時には交流信号は直流電流とともに電動ドライバの直流モータを流れる。一方、電動ドライバの逆転時には交流信号がコンデンサを通じてアースに流れ、直流モータにはほとんど流れない。この違いにより交流信号の信号レベルが変化する地点でその信号レベルの検出を行えば、電動ドライバの回転方向を検知することができる。
また、請求項4の発明は、請求項3の正逆回転方向検知装置において、上記交流信号入力手段による交流信号が入力される電力供給ライン上の地点よりも、上記直流電流の電源部側の電力供給ライン上にコイルを設けたことを特徴とするものである。
この正逆回転方向検知装置は、交流信号の入力地点よりも直流電流の電源部側に電力供給ライン上にコイルが設けられているので、交流信号が直流電流の電源部に流れ込むのを抑制することができる。また、直流電流の電源部の内部インピーダンスが、交流信号に対して上記コンデンサと同程度に低いものであると、電動ドライバの正転時でも逆転時でも、交流信号が直流電流の電源部を通じてアースに流れてしまい、正転時と逆転時とで交流信号の信号レベルの差が少ないものとなってしまう。これに対し、本装置のようにコイルを設けることで、直流電流の電源部側が交流信号に対して高インピーダンスにすることができるので、上記コンデンサにより正転時と逆転時とで交流信号の信号レベルの差が大きくすることができ、電動ドライバの回転方向を安定して検知することが可能となる。
また、請求項5の発明は、電動ドライバがネジを締め付ける向きに正転したときの正転回数と、ネジを緩める向きに逆転したときの逆転回数の少なくとも一方をカウントする電動ドライバの回転回数カウント装置において、上記電動ドライバの回転方向を検知する手段として、請求項1、2、3又は4の正逆回転方向検知装置を用い、該正逆回転方向検知装置による検知結果を利用して、電動ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方をカウントするカウント手段を有することを特徴とするものである。
この電動ドライバの回転回数カウント装置は、電動ドライバの回転方向を検知する手段として、上述した正逆回転方向検知装置を用い、その検出結果を利用して、電動ドライバが正転した回数及び逆転した回数の少なくとも一方をカウントする。よって、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設けることなく電動ドライバの回転方向を検知でき、ドライバの正転回数、逆転回数を把握することができる。また、この回転回数カウント装置は、電動ドライバとは別体に構成してもよい。この場合、電動ドライバには、回転回数カウント装置の構成部品を搭載する必要がないため、電動ドライバの小型化、軽量化を図ることができ、電動ドライバを手に持って作業する作業員の負担等を軽減することができる。しかも、本回転回数カウント装置であれば、電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインとは別個に、新たな信号ラインを設ける必要がない。よって、電動ドライバの大幅な設計変更の必要がなく、既存の電動ドライバを利用して、正転回数、逆転回数を把握することが可能となる。
また、請求項6の発明は、請求項5の回転回数カウント装置において、上記カウント手段は、上記電動ドライバの正転回数及び逆転回数の両方をカウントするものであり、所定のネジ締付回数を設定するためのネジ締付回数設定手段と、該カウント手段がカウントした正転回数を該ネジ締付回数設定手段により設定されたネジ締付回数から減算し、該カウント手段がカウントした逆転回数を該ネジ締付回数に加算する演算手段とを有することを特徴とするものである。
この回転回数カウント装置は、例えば1つのワークにネジ締めするネジの個数を、所定のネジ締付回数として設定することができる。そして、正転回数がカウントされると、そのカウントした正転回数を、設定されたネジ締付回数から減算する演算を行う。このような演算を行うことで、設定されたネジ締付回数がゼロになったときに、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したことを把握することができる。しかも、本装置では、逆転回数がカウントされると、そのカウントした逆転回数が、設定されたネジ締付回数に加算される演算も行われる。よって、ネジ締めを失敗したときに、そのネジを一度緩めてから再度締め直すという二度締めを行った場合でも、そのネジの締め付けは1回のネジ締付回数として適切に処理される。したがって、ネジの二度締めを行っても、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したことを正確に把握することができる。その結果、ネジ締めが完了したこと又は完了していないことを作業員に報知すれば、1つのワークに対するネジの締付忘れを適切に防止することが可能となる。
また、請求項7の発明は、請求項6の回転回数カウント装置において、上記演算手段による演算結果がゼロになったとき、上記ネジ締付回数を上記ネジ締付回数設定手段により最初に設定された所定のネジ締付回数にリセットするリセット手段と、上記演算手段による演算結果がゼロになった回数をカウントするセット数カウント手段とを設けたことを特徴とするものである。
この回転回数カウント装置においては、上述した演算の結果がゼロになって、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したら、上記演算に用いられるネジ締付回数が、最初に設定された所定のネジ締付回数にリセットされる。よって、同種のワークに対して続けてネジ締付作業を行う場合には、ネジ締付回数を設定する作業を繰り返す必要がなくなる。また、本装置では、上記演算の結果がゼロになった回数がカウントされる。これにより、ネジ締付作業が完了したワークの個数を把握することができる。このような構成により、例えば多数ある同種のワークに対してネジ締付作業を行う場合、個々のワークについてネジの締付忘れを適切に防止可能となるとともに、ネジ締付作業が完了したワークの個数も適切に把握可能となる。よって、例えば大量生産を行う生産ラインにおけるネジ締付作業を作業員が正確に行うことが可能となる。
また、請求項8の発明は、電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインを備え、該電力供給ラインを通じて該電動ドライバの直流モータに直流電流を供給する電力供給装置において、上記電動ドライバが正転したときの回数及び逆転したときの回数の少なくとも一方をカウントする回転回数カウント装置を有し、該回転回数カウント装置として、請求項5、6又は7の回転回数カウント装置を用いたことを特徴とするものである。
この電力供給装置は、上述した回転回数カウント装置を備えているので、電動ドライバに接続される電力供給ラインを利用して、電動ドライバへの電力供給とともに、ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方を把握することができる。このとき、本電力供給装置と電動ドライバとの間に、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要がない。また、電動ドライバとは別体に構成すれば、上述した回転回数カウント装置の場合と同様に、既存の電動ドライバに大幅な設計変更を加えることなく、その正転回数、逆転回数を把握することが可能となる。
また、請求項9の発明は、電動ドライバと、該電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインを通じて該電動ドライバに電力を供給する電力供給装置とを備えた電動ドライバ装置において、上記電動ドライバが正転したときの回数及び逆転したときの回数の少なくとも一方をカウントする回転回数カウント装置を有し、該回転回数カウント装置として、請求項5、6又は7の回転回数カウント装置を用いたことを特徴とするものである。
この電源ドライバ装置は、上述した回転回数カウント装置を備えているので、電動ドライバに接続される電力供給ラインを利用して、電動ドライバへの電力供給とともに、ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方を把握することができる。このとき、電力供給装置と電動ドライバとの間に、電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要がない。また、回転回数カウント装置を電動ドライバとは別体に構成すれば、上述した回転回数カウント装置の場合と同様に、既存の電動ドライバに大幅な設計変更を加えることなく、その正転回数、逆転回数を把握することが可能となる。なお、回転回数カウント装置は、電力供給装置に内蔵させてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、電動ドライバとこれに電力を供給する電力供給装置とからなる電動ドライバ装置に適用した一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態の電動ドライバの内部構造を示す説明図である。
この電動ドライバ1には、後述する電力供給装置に接続される電力供給ラインを構成する接続ケーブル2と、ネジ締め用のビット3と、ビット3に伝達される回転トルクを発生させる直流モータ4とが設けられている。また、この電動ドライバ1には、直流モータ4の回転速度を減速させる減速部5と、ネジ締めトルクが一定値に達したときに直流モータ4からのトルク伝達を遮断するクラッチ機構6とが設けられている。また、この電動ドライバ1には、直流モータ4への通電をON/OFFするON/OFFスイッチ7と、ビット3の回転方向を切り替えるためた正逆切替スイッチ8とが設けられている。
【0012】
図3は、本実施形態の電力供給装置の外観を示す斜視図である。
この電力供給装置10は、商用電源コンセントに接続される電源ケーブル11と、上記電動ドライバ1に接続された接続ケーブルと接続する接続コネクタ12と、作業員が操作するための各種操作スイッチ13a,13b,13cとを備えている。また、この電力供給装置10には、残りネジ締付回数を表示する第1表示部14と、完了したセット数であるワーク数を表示する第2表示部15とが設けられている。各種操作スイッチ13a,13b,13cの操作内容や、これらの表示部14,15に表示される数値については後述する。
【0013】
図1(a)及び(b)は、本電動ドライバ装置における、電動ドライバ1の直流モータ4に電力を供給するための回路を含む電気回路の説明図である。
図中符号V0は、上記商用電源コンセントから電源ケーブル11を介して供給される電圧を直流に変換したものに相当する等価直流電源を示す。作業員がビット3を正転させるように正逆切替スイッチ8を操作すると、図1(a)に示すように、端子A−B間及び端子A’−B’間が接続される。そして、作業員が電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、等価直流電源V0からの直流電流は、端子A−B間、直流モータ4、端子A’−B’間の順に流れる。よって、直流モータ4には、これを正転方向に回転させる向きの直流電流がながれ、ビット3が正転方向に回転する。一方、作業員がビット3を逆転させるように正逆切替スイッチ8を操作すると、今度は、図1(b)に示すように、端子A−C間及び端子A’−C’間が接続される。そして、作業員が電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、等価直流電源V0からの直流電流は、端子A−C間、直流モータ4、端子A’−C’間の順に流れる。よって、直流モータ4にはこれを逆転方向に回転させる向きの直流電流がながれ、ビット3が逆転方向に回転する。
【0014】
また、本実施形態の電力供給装置10には、ON/OFFスイッチ7よりも等価直流電源V0側で、この等価直流電源V0に対して交流信号入力手段としての交流電源e0が並列に接続されている。なお、交流電源e0に直列接続されている抵抗r0は、交流電源e0の内部抵抗を示している。この交流電源e0によって入力される交流信号は、等価直流電源V0によって供給される直流成分に重畳して、回路中を流れることになる。
また、本実施形態では、図示のように、交流電源e0が入力される電力供給ライン上の地点Dよりも、等価直流電源V0側の電力供給ライン上にコイルLを設けている。このコイルLは、直流に対してはインピーダンスが非常に低いが、上記交流信号に対してはインピーダンスが非常に高いものとなっている。よって、等価直流電源V0による直流モータ4への直流電流の供給を妨げることなく、交流信号が等価直流電源V0に流れ込むのを抑止することができる。
【0015】
ここで、作業員がビット3を正転させるように正逆切替スイッチ8を操作した後、電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、交流信号は、端子A−B間、直流モータ4及び端子A’−B’間を流れる。なお、交流信号は、コイルLが設けられているため、等価直流電源V0を流れることはない。よって、等価直流電源V0の交流信号に対するインピーダンスが非常に低くても、この等価直流電源V0が交流信号に影響を及ぼすことはない。したがって、図中符号Dで示す地点に現れる交流電位(交流信号の信号レベル)は、交流電源e0の交流電圧値が直流モータ4の抵抗と内部抵抗r0とで分圧された値を示すことになる。
一方、作業員がビット3を逆転させるように正逆切替スイッチ8を操作した後、電動ドライバ1のON/OFFスイッチ7を押すと、交流信号は、端子A−C間及び波形変更手段を構成するコンデンサCを流れる。なお、交流信号がコイルLによって等価直流電源V0を流れることはない。このコンデンサCは、直流に対してはインピーダンスが非常に高いが、上記交流信号に対してはインピーダンスが非常に低いものとなっている。また、本実施形態において、このコンデンサCは、電動ドライバ1の直流モータ4に直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上で、電動ドライバ1の逆転時にのみ電流が流れるライン部分とアースとをバイパスしている。よって、地点Dに現れる交流信号の信号レベルは、上記コンデンサCを介してアースに落とされる結果、正転時に比べて非常に低い値を示すことになる。
【0016】
本実施形態では、電動ドライバ1の正転時と逆転時とで電力供給ライン上の地点Dにおける交流信号の信号レベルの違いを利用して、電動ドライバ1の回転方向を検知する。具体的には、上記地点Dに接続された検出手段としての比較器16を用いて、電動ドライバ1の回転方向を検出する。この比較器16は、マイナス入力端子に上記地点Dの電圧が入力され、プラス入力端子には、正転時と逆転時との間で交流信号の信号レベルを区別するための閾値となる所定電圧が入力されている。
【0017】
正転時には、上述したように、地点Dに比較的大きな信号レベルをもつ交流信号が現れる。これにより、比較器16のマイナス入力端子には、上記閾値を越える電圧が入力される。よって、比較器16の出力はHレベルとなる。一方、逆転時には、上述したように、地点Dは交流成分についてアースに落とされるため、比較器16のマイナス入力端子には、上記閾値よりも小さい電圧が入力されることになる。よって、比較器16の出力はLレベルとなる。したがって、比較器16の出力がHレベルであれば電動ドライバ1が正転しており、Lレベルであれば電動ドライバ1が逆転しているということを把握することができる。
【0018】
本実施形態では、比較器16の出力に基づいて電動ドライバ1の回転方向を把握した上で、カウント手段としてのカウンタ18により、電動ドライバ1の正転回数及び逆転回数の両方をカウントする。このカウンタ18としては、74HC161等の市販のICを利用することができる。このカウンタ18は、電動ドライバ1の回転回数をカウントするためのH/L入力端子と、電動ドライバ1の回転方向を把握するためのU/D入力端子とを備えている。H/L入力端子には、直流モータ4の端子電圧と、上記比較器16の出力信号とが、OR回路17を介して入力される。よって、作業員が正逆切替スイッチ8を正逆いずれに操作した場合であっても、ON/OFFスイッチ7がONの間は、H/L入力端子にHレベルの信号が入力され、ON/OFFスイッチ7がOFFの間は、H/L入力端子にLレベルの信号が入力される。そして、カウンタ18は、H/L入力端子にHレベルの信号が入力された回数をカウントする。一方、U/D入力端子には、上記比較器16の出力信号が入力される。よって、電動ドライバ1が正転している間は、U/D入力端子にはHレベルの信号が入力され、電動ドライバ1が逆転している間は、U/D入力端子にはLレベルの信号が入力される。これにより、カウンタ18は、電動ドライバ1の回転方向を把握することができる。
【0019】
また、本実施形態では、作業員が電力供給装置10の操作スイッチ13aを操作することで、図示しない1つのワークに対してネジ締めするネジの個数、すなわち、1つのワークに対するネジ締付回数が設定値としてカウンタ18に入力される。また、カウンタ18は、後述する演算結果を表示制御部19に出力する。そして、この演算結果を受け取った表示制御部19は、その演算結果に基づいて、第1表示部14に1つのワークに対する残りネジ締付回数を表示し、第2表示部15にネジ締付作業が完了したワーク数を表示させる。
【0020】
次に、上記カウンタ18の動作について説明する。
図4は、本実施形態のカウンタ18の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
本実施形態においては、作業員が入力したネジ締付回数が設定値として入力されると(S1)、この設定値はネジ締付カウント値としてカウンタ18に記憶される(S2)。そして、作業員によりON/OFFスイッチ7がONにされてH/L入力端子に入力されるHレベルの信号が入力されると(S3)、U/D入力端子がHレベルかLレベルかを判断する(S4)。U/D入力端子がHレベルであると判断されると、カウンタ18は電動ドライバ1が1回正転したと認識し、ネジ締付カウント値から「1」を減算する処理を行う(S5)。一方、U/D入力端子がLレベルであると判断されると、カウンタ18は電動ドライバ1が1回逆転したと認識し、ネジ締付カウント値に「1」を加算する処理を行う(S6)。このような演算処理を行うことで、ネジを二度締めしたとしても、ネジ締付カウント値がゼロになったときには、ワークに対するネジ締めがすべて完了したことになる。その後、H/L入力端子に入力される信号がLレベルになる、すなわち、作業員によりON/OFFスイッチ7がOFFにされるのを待って(S7)、表示制御部19にネジ締付カウント値を出力する(S8)。この出力を受け取った表示制御部19は、そのネジ締付カウント値を第1表示部14に表示させる。したがって、作業員は、第1表示部14を見ることで、現在作業しているワークについて残り何個のネジを締めなければならないかを把握することができる。
【0021】
次に、カウンタ18は、ネジ締付カウント値がゼロであるか否かを判断する(S9)。ネジ締付カウント値がゼロでないと判断された場合には、上記S3の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、カウント値がゼロであると判断された場合、ワークに対するネジ締めがすべて完了しているので、カウンタ18に記憶されているワークカウント値に「1」を加算する処理を行う(S10)。そして、カウンタ18は、そのワークカウント値を表示制御部19に出力する(S11)。この出力を受け取った表示制御部19は、そのワークカウント値を第2表示部15に表示させる。これにより、作業員は、第2表示部15を見ることで、何個のワークについてネジ締付作業を終えたかを把握することができる。その後、カウンタ18は、ネジ締付カウント値を、上記S1で作業員が入力した設定値にリセットする(S12)。そして、上記S3の処理に戻り、次のワークに対するネジ締付作業についても、同様の処理を行う。
【0022】
このような動作により、作業員は、ワークに対するすべてのネジ締めを終えたときに第1表示部14を見ることで、二度締めを行ったとしても、ワークに対するネジの締付忘れを防止することができる。すなわち、ネジを締付忘れた作業員は、すべてのネジ締めを終えたと思っても、第1表示部14に表示されているカウント値が最初に自分が設定した設定値に戻っていないのを見れば、ネジの締付忘れに気づくことができる。
【0023】
以上のように、本実施形態においては、交流電源e0、コンデンサC及び比較器16を含む回路部分から構成される正逆回転方向検知装置によって、電力供給ライン上を流れる交流信号から、電動ドライバ1の回転方向を把握することができる。よって、電動ドライバ1と電力供給装置10との間に電力供給ラインとは別個に、電動ドライバ1の回転方向を把握するための信号ラインを設ける必要がなくなる。そして、この正逆回転方向検知装置、カウンタ18、表示制御部19、第1表示部14及び第2表示部15から構成される回転回数カウント装置により、電動ドライバ1の正転回数及び逆転回数をカウントし、これを作業員に向けて表示する。これにより、作業員は、ネジの締付忘れに気づくことができ、また、自分が作業を終えたワーク数を把握することができる。また、本実施形態では、この回転回数カウント装置が、電動ドライバ1の直流モータ4に直流電流を供給するための電力供給ラインを備える電力供給装置10に内蔵されているため、ネジ締付作業に必要となる設備点数が電動ドライバ1と電力供給装置10だけで済む。よって、作業員の作業スペースを広く確保することができる。また、電動ドライバ1の内部回路にコンデンサCを設ける以外は、既存の電動ドライバ1の構成をそのまま利用することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、第2表示部15に表示されるワークカウント値は、カウントアップ方式であるが、第1表示部14に表示されるカウント値と同様に、予め自分が作業するワーク数を作業員が入力し、この入力値からカウントダウンしていくように構成してもよい。
また、本実施形態では、回転回数カウント装置を電力供給装置10に内蔵した構成について説明したが、これらを別体に構成してもよい。この場合、大幅な設計変更をすることなく、既存の電力供給装置を利用することが可能となる。
また、本実施形態では、作業員が第1表示部14を見ることで、ネジの締付忘れに気づくように構成されているが、作業員が第1表示部14を見なくても、ネジの締付忘れに気づくように構成することもできる。例えば、ワークを所定のワーク台に設置して作業を行う場合、そのワーク台にワークの取外しを検出する検出手段を設け、その検出結果が上記電力供給装置10に入力される構成とする。そして、上記ネジ締付カウント値がゼロになる前にワーク台からワークが取り外されたことが検知されると、例えば、ブザーが鳴らしたり、ランプを点滅させたりする等の報知手段を利用して、作業員にネジ締付忘れを報知するようにする。
【0025】
【発明の効果】
請求項1乃至9の発明によれば、電動ドライバ1に新たな信号ラインを設けることなく、電動ドライバ1の回転方向を検知することができるという優れた効果がある。
また、請求項2乃至4の発明によれば、簡単な構成で電動ドライバの回転方向を検知することができるという優れた効果がある。
また、請求項4の発明によれば、電動ドライバの回転方向を安定して検知することが可能となるという優れた効果がある。
また、請求項5乃至9の発明によれば、電動ドライバの回転方向を検知するために電力供給ラインとは別個に新たな信号ラインを設ける必要がなく、ドライバの正転回数、逆転回数を把握することができるという優れた効果がある。
また、請求項6の発明によれば、ネジの二度締めを行っても、1つのワークに対するすべてのネジ締めが完了したことを正確に把握することができるという優れた効果がある。
また、請求項7の発明によれば、多数ある同種のワークに対してネジ締付作業を行う場合、個々のワークについてネジの締付忘れを適切に防止可能となるとともに、ネジ締付作業が完了したワークの個数も適切に把握可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は、実施形態に係る電動ドライバ装置における、電動ドライバ1の直流モータに電力を供給するための回路を含む電気回路の説明図。
【図2】同電動ドライバ装置を構成する電動ドライバ1の内部構造を示す説明図。
【図3】同電動ドライバ装置を構成する電力供給装置の外観を示す斜視図。
【図4】同電力供給装置に設けられるカウンタ18の動作の流れを説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
1 電動ドライバ1
2 接続ケーブル
3 ビット
4 直流モータ
7 ON/OFFスイッチ
8 正逆切替スイッチ
10 電力供給装置
13a,13b,13c 操作スイッチ
14 第1表示部
15 第2表示部
16 比較器
18 カウンタ
19 表示制御部
C コンデンサ
e0 交流電源
L コイル
r0 内部抵抗
V0 等価直流電源
Claims (9)
- 電動ドライバと該電動ドライバの直流モータに直流電流を供給するための電力供給装置とを結ぶ電力供給ライン上に交流信号を入力する交流信号入力手段と、該電動ドライバがネジを締め付ける向きに正転するときとネジを緩める向きに逆転するときとで、該電力供給ライン上の交流信号の波形を変更する波形変更手段と、
該波形変更手段により波形が変更された交流信号を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする電動ドライバの正逆回転方向検知装置。 - 請求項1の正逆回転方向検知装置において、
上記波形変更手段は、上記電力供給ラインを流れる交流信号の信号レベルを変更するものであることを特徴とする正逆回転方向検知装置。 - 請求項2の正逆回転方向検知装置において、
上記波形変更手段として、上記電動ドライバの直流モータに直流電流が流れ込む前の電力供給ライン上であって、上記電動ドライバを正転させるときにのみ直流電流が流れるライン部分又は電動ドライバを逆転させるときにのみ直流電流が流れるライン部分を、アースにバイパスするコンデンサを利用したことを特徴とする正逆回転方向検知装置。 - 請求項3の正逆回転方向検知装置において、
上記交流信号入力手段による交流信号が入力される電力供給ライン上の地点よりも、上記直流電流の電源部側の電力供給ライン上にコイルを設けたことを特徴とする正逆回転方向検知装置。 - 電動ドライバがネジを締め付ける向きに正転したときの正転回数と、ネジを緩める向きに逆転したときの逆転回数の少なくとも一方をカウントする電動ドライバの回転回数カウント装置において、
上記電動ドライバの回転方向を検知する手段として、請求項1、2、3又は4の正逆回転方向検知装置を用い、
該正逆回転方向検知装置による検知結果を利用して、該電動ドライバの正転回数及び逆転回数の少なくとも一方をカウントするカウント手段を有することを特徴とする電動ドライバの回転回数カウント装置。 - 請求項5の回転回数カウント装置において、
上記カウント手段は、上記電動ドライバの正転回数及び逆転回数の両方をカウントするものであり、
所定のネジ締付回数を設定するためのネジ締付回数設定手段と、
該カウント手段がカウントした正転回数を該ネジ締付回数設定手段により設定されたネジ締付回数から減算し、該カウント手段がカウントした逆転回数を該ネジ締付回数に加算する演算手段とを有することを特徴とする回転回数カウント装置。 - 請求項6の回転回数カウント装置において、
上記演算手段による演算結果がゼロになったとき、上記ネジ締付回数を上記ネジ締付回数設定手段により最初に設定された所定のネジ締付回数にリセットするリセット手段と、
上記演算手段による演算結果がゼロになった回数をカウントするセット数カウント手段とを設けたことを特徴とする回転回数カウント装置。 - 電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインを備え、
該電力供給ラインを通じて該電動ドライバの直流モータに直流電流を供給する電力供給装置において、
上記電動ドライバが正転したときの回数及び逆転したときの回数の少なくとも一方をカウントする回転回数カウント装置を有し、
該回転回数カウント装置として、請求項5、6又は7の回転回数カウント装置を用いたことを特徴とする電力供給装置。 - 電動ドライバと、
該電動ドライバとの間を結ぶ電力供給ラインを通じて該電動ドライバに電力を供給する電力供給装置とを備えた電動ドライバ装置において、
上記電動ドライバが正転したときの回数及び逆転したときの回数の少なくとも一方をカウントする回転回数カウント装置を有し、
該回転回数カウント装置として、請求項5、6又は7の回転回数カウント装置を用いたことを特徴とする電動ドライバ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003088700A JP2004291178A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 電動ドライバの正逆回転方向検知装置、回転回数カウント装置、電力供給装置及び電動ドライバ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003088700A JP2004291178A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 電動ドライバの正逆回転方向検知装置、回転回数カウント装置、電力供給装置及び電動ドライバ装置 |
Publications (1)
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JP2004291178A true JP2004291178A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33402759
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003088700A Withdrawn JP2004291178A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 電動ドライバの正逆回転方向検知装置、回転回数カウント装置、電力供給装置及び電動ドライバ装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004291178A (ja) |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088700A patent/JP2004291178A/ja not_active Withdrawn
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