JP2004284126A - 積層体およびそれを用いた包装容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】パウダーを使用しなくても、巻き皺の発生やフィルムの蛇行が押さえられ、スリップ性、耐ブロッキング性が向上し、製袋作業性、充填作業性を改善でき、特に、高速液体充填包装に対しては最も好適に利用でき、また、内容物の衛生性、保存性に優れる包装製品を提供できるものである。
【解決手段】少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とする積層体、およびそれを用いた包装容器を特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とする積層体、およびそれを用いた包装容器を特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体およびそれを用いた包装容器に関し、更に詳しくは、パウダーを使用する必要のない、いわゆるノンパウダーで使用しても、スリップ性、耐ブロッキング性等のスリット加工適性、高速液体充填適性に優れる積層体であって、特に、液体調味料、ス−プ、果汁飲料、その他等の飲食品を充填包装する際、内容物を汚染することなく、衛生性に優れた包装容器に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、醤油、ソ−ス、ドレッシング、ラ−メンス−プ、麺汁、ケチャップ、タバスコ、わさび、からし、その他等の液体調味料、ス−プ、果汁飲料、その他等の液体や粘調体の飲食品等を充填包装するために、その合掌重合縁部をヒートシールして筒状袋体とすると共に、当該袋体内に内容物を充填し、続いて横方向をヒ−トシ−ルして充填包装する内容物、充填条件、その他等に合わせて、任意に選択し、組み合わせて積層し、種々の形態からなる積層材およびそれを使用した包装用容器が、開発され、提案されている。
而して、上記の充填包装に使用される積層体として、少なくとも、基材フィルムとシーラントフィルムとから構成される積層フィルムが広く使用されている。
該基材フィルムとしては、二軸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、二軸配向ナイロンフィルム等があり、シーラントフィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、エチレン系アイオノマ−樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン等が使用されている。
また、上記の積層フィルムには、スリップ性、耐ブロッキング性、高速シール性(ホットタック性)、液中シール性、シール強度、耐衝撃性、耐熱性等の高速充填適性に優れるものが求められている。
【0003】
上記の基材層とシーラント層とからなる積層フィルムでは、積層フィルムのシーラント層と基材層の面同士の滑り性が殆どないために、フィルム成形工程、スリット工程等に巻き皺が発生したり、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、積層体のシーラントと基材が癒着する、いわゆるブロッキング現象が起こり、長期保存や高温状態で保存すると、積層フィルムを使用する際、フィルムの展開性が悪くなり、製袋作業性、充填作業性が著しく低下するという問題点があった。
【0004】
上記課題を解決するために、シーラント押出工程、若しくは、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、ブロッキングを防止し、充填機械のロールやガイド、フォーマーと積層体のシーラント面とのスリップ性を向上させるため、例えば、シーラント押出工程内、その次工程、または、製袋工程前において、積層体のシーラント面にスターチ等のパウダーを散布する方法は広く知られている。
【0005】
また、他の課題を解決する方法として、例えば、基材層とシーラント層とからなる積層フィルムであって、内層フィルムが有効量のアンチブロッキング剤を配合した直鎖状低密度ポリエチレンのフィルムである包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特許第2908593号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のフィルムでは、最内層フィルムであるシーラントフィルムにアンチブロッキング剤を配合することによって、低温シール性等の高速充填適性を損なうという問題がある。
また、シーラントフィルムにパウダーを過度に散布すると衛生性を損なうという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究の結果、本発明は、少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とすることを特徴とする積層体を製造したところ、パウダーを使用する必要のない、いわゆるノンパウダーで使用しても、機械のロールやガイド、フォーマーとのスリップ性、耐ブロッキング性に優れるものであって、上記の積層体を用いて、製袋または製函して包装容器を製造し、これに、液体調味料、ス−プ、果汁飲料、その他等の飲食品を充填包装したところ、液中シール性、高速シール性、シール強度、スリップ性等を損なうことなく、高速充填適性に優れ、かつ、衛生性に優れる包装製品を提供するものである。
また、上記において、前記の易滑性層が、添加剤として、粒径、0.1μm〜100μmからなるアンチブロッキング剤を、メインポリマー100重量部に対し0.01重量部〜10重量部の範囲内で含有することを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のアンチブロッキング剤が、無機化合物の微粒子若しくは有機化合物の微粒子であり、かつ、滑剤が脂肪酸アマイド系からなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記の基材層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層からなる共押共延伸フィルムからなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のポリアミド系樹脂を主成分とする層からなる共押共延伸フィルムが、ナイロン樹脂フィルム、または、ナイロン樹脂層とMXDナイロン樹脂層とナイロン樹脂層とからなる共押共延伸フィルムからなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のシーラント層が、ラミネート側の層(A)と内容物に接する層(B)との2層からなり、ラミネート側の層(A)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、または、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、内容物に接する層(B)は、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、または、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のシーラント層の内容物に接する層(B)が、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、および/または、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドするか、または、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドする樹脂組成物からなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、上記の積層体を用いて、製袋または製函してなることを特徴とする液体、粘体用包装容器を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる積層体およびそれを使用した包装用容器の構成についてその二三を例示して図面を用いて説明すると、図1、図2および図3は、本発明にかかる積層体の層構成を示す概略的断面図であり、図4および図5は、上記の本発明にかかる積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す概略的斜視図である。
【0010】
本発明の積層体10は、図1に示すように、少なくとも、基材層1とシーラント層2とを積層した積層フィルムであって、前記の基材層1が、最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層3とする2種2層の共押出し成膜で形成される延伸フィルムからなる積層体を基本構成とするものである。
なお、必要に応じて、基材層1とシーラント層2との層間の接着力を向上させるために、アンカーコート剤層9を設けてもよい。
【0011】
本発明の積層体10は、図2に示すように、ナイロン樹脂を主成分とし、最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層3Nと、ラミネート側の層4Nとの2種2層の共押出し成膜で形成される延伸フィルムからなる基材フィルム層1と、ラミネート側の層21と、内容物に接する層22とから構成されるシーラント層2とをアンカーコート剤層9を介して積層する積層体を基本構成とするものである。
【0012】
本発明の積層体10は、図3に示すように、ナイロン樹脂を主成分とし、添加剤として、アンチブロッキング剤、および、滑剤を含有するからなる易滑性層3Nと、MXDナイロン樹脂層4Mと、ナイロン樹脂層4Nとの3種3層の共押出し成膜で形成される延伸フィルムからなる基材層1と、ラミネート側の層21と、内容物に接する層22とから構成されるシーラント層2とをアンカーコート剤層9を介して積層する積層体を基本構成とするものである。
【0013】
而して、上記に挙げた例は、本発明にかかる積層体10を構成する二三の例示であり、これによって本発明は限定されるものではなく、例えば、本発明においては、図示しないが、また、図示しないが、必要に応じて、基材層1の一方の面に印刷絵柄層を設けることができる。
また、基材層等の他に、更に、その使用目的、充填包装する内容物、流通経路、販売形態、用途等によって、バリア層等の他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層体を設計して製造することができるものである。
【0014】
次に、本発明において、上記のような積層体10を使用して製袋ないし製函してなる本発明にかかる包装用容器の構成について説明すると、かかる包装容器としては、例えば、上記の図1、図2または図3に示す積層体10を使用して製袋ないし製函した包装容器を例示して説明すると、図4の概略的斜視図に示すように、上記の積層体10を2枚用意し、その最内層に位置するシーラント層2の面を対向させて重ね合わせ、しかる後その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部5を形成して、本発明にかかる三方シ−ル型の包装容器30を製造することができる。
而して、上記の三方シ−ル型の包装容器30においては、その上方の開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、各種の包装製品を製造することができる。
【0015】
或いはまた、本発明において、本発明にかかる包装容器としては、図5の概略的斜視図に示すように、上記の図1または図2に示す積層体10を使用し、その最内層に位置するシーラント層2の面を対向させて重ね合わせ、しかる後その外周周辺の端部の二方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部5を形成して、本発明にかかる二方シ−ル型の包装用容器30を製造することができる。
而して、上記の二方シ−ル型の包装容器30においては、上記と同様に、その上方の開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、各種の包装製品を製造することができる。
なお、本発明においては、上記に図示した例示の包装容器に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、種々の形態の包装容器を製造することができることは言うまでもないことである。
本発明にかかる包装容器は、後述するように、上記の3方シ−ル型包装容器の他に、例えば、4方シ−ル型包装容器、自立性包装容器、ガセット型包装容器、その他等、また、その形態としては、小袋、中袋、大袋、その他等の形態を取り得るものである。
【0016】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層体、包装容器等を構成する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明において、本発明にかかる積層体、包装容器等を構成する基材層1としては、包装容器を構成する場合、基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸、または一軸方向、若しくは二軸方向に延伸した延伸フィルムを使用することができる。
中でも、延伸フィルムの方が、強度を有して強靱であり、機械的、物理的、化学的において優れた性質を有するため、好ましいものである。
そのフィルムの厚さとしては、5μm〜100μm位、好ましくは、10μm〜50μm位が望ましい。
【0017】
本発明において、本発明にかかる基材層1として、上記の樹脂の中でも、ポリアミド系樹脂の延伸フィルムが、腰、強度、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性等に優れるため、好ましいものである。
具体的には、例えば、MXDナイロン6フィルム、MXDナイロン樹脂とナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他等の各種のポリアミド系樹脂との2ないし3層以上からなる多層積層フィルム、あるいは、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体と上記のナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他等の各種のポリアミド系樹脂との2ないし3層以上からなる多層積層フィルムを使用することができる。
中でも、MXDナイロン樹脂層と上記のナイロンとの共押出しからなる多層積層フィルムが、高いガスバリア性を有し、更に、保香性、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れるという利点を有する。
而して、上記のナイロンフィルム、あるいは、多層積層フィルムは、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等の通常の2軸延伸方法で2軸方向に延伸加工した2軸延伸ナイロンフィルムを使用することが望ましい。
また、その膜厚としては、10〜200μm位、好ましくは、10〜50μm位が望ましい。
本発明においては、上記のようなポリアミド樹脂系の延伸フィルムを基材として使用することにより、強度、耐衝撃性、耐突き刺し性等の強靱性を有するとともに、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を利用することができる。
【0018】
本発明において、上記の多層積層フィルムの製造法について説明すると、その製造法としては、例えば、性質の異なる樹脂を多層フィルム化する成形方法、例えば、Tダイ法、インフレ−ション法等を採用するものである。
具体的には、フィ−ドブロック法、マルチマニホ−ルド法等の多層Tダイキャスト成形法、あるいは、多層インフレ−ション成形法等の成形方法を使用して、例えば、ナイロン樹脂層/MXDナイロン6樹脂層/ナイロン樹脂層等の2種3層からなる多層積層フィルム等を製造することができるものである。
【0019】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる多層積層フィルムを構成する各層の厚さとしては、例えば、ナイロン樹脂層の厚さとしては、約1〜200μm位が好ましく、5〜100μm位がより好ましい。
また、MXDナイロン樹脂層としては、約1〜100μm位が好ましく、5〜50μm位がより好ましい。
【0020】
次に、前記の基材層1としては、上記のいずれかの樹脂をベースポリマーとし、基材層の最外層に、滑性を与えるとともに、ブロッキングを防止するための、各種の滑剤や、アンチブロッキング剤を添加して、多層共押出し成膜で形成することが必要である。
かかる滑剤や、アンチブロッキング剤を基材層の最外層である易滑性層3の材料に用いられる樹脂に含有させることにより、シーラント面にパウダーを散布することなく、シーラント押出工程、スリット工程、製袋工程、または内容物充填工程等において、シーラント面と基材層とのブロッキングを防止し、充填機械のロールやガイド、フォーマーと積層体のシーラント面とのスリップ性を向上させることができるため、好ましいものである。
その易滑性層3の厚さとしては、0.5μm〜10μm位、好ましくは、1μm〜5μm位が望ましい。
【0021】
かかる滑剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、石油系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、炭素数が8〜22の高級脂肪酸や、高級脂肪酸アルミニウム、高級脂肪酸カルシウム、高級脂肪酸マグネシウム、高級脂肪酸亜鉛、高級脂肪酸リチウムなどの高級脂肪酸の金属塩あるいは、炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコールや、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコールなどの脂肪族アルコールと、炭素数が4〜22の高級脂肪酸と炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコールとのエステルがあり、また、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジー2エチルーヘキシル、アゼライン酸ーnーヘキシル、エタンジオールモンタン酸エステル、ポリ(1,3ブタンジオールアジピン酸)エステル、アセチルリシノール酸メチル、ポリ(1,3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、アジピン酸オクチルアルコール)エステル、糠ろうなどのアルコールと脂肪酸とのエステル、水添食用油脂、ひまし油、スパームアセチワックス、アセチル化モノグリセライドなどのグリセライドがあり、炭素数が16〜18の例えばエチレンビスオレイルアマイドに代表されるエチレンビス脂肪酸アマイド、炭素数が8〜22の高級脂肪酸アマイド、ステアリルエルカアマイド、エルカ酸アマイド、オレイルパルミトアマイドなどの高級脂肪酸アマイドがあり、その他、メチルヒドロジエンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油やロジンやマレイン酸変性ロジンのグリセリンエステル、フッ素樹脂エラストマー等がある。
中でも、脂肪酸のアミド誘導体を主成分とする滑剤は、透明性が高く、印刷絵柄の意匠性を損なうことのないより好ましい。
【0022】
前記の多層からなる基材層の易滑性層3に含有される滑剤の含有量としては、メインポリマー100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲が好ましい。
0.01重量部未満では、滑剤を添加する効果を発現できず、一方、10重量部を越えると、フィルム層の透明性が低下するため、好ましくない。
【0023】
かかるアンチブロッキング剤としては、無機化合物の微粒子、有機化合物の微粒子のいずれのものも使用できるが、フィルムの透明性を損なわずに、また、その面に印刷を施すときにインキが均一に転移できる微粒子が好ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛などの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸リチウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩やカオリン、タルク、けいそう土などの無機化合物がある。
中でも、シリカ微粒子では、透明性を損なわずに、また、ブロッキングを防止できるため、好ましいものである。
また、有機物からなるアンチブロッキング剤には、有機高分子の微粒子である高密度ポリエチレン、分子量が300000以上の超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアマイド、ポリエステル、メラミン樹脂、ヂアリルフタレート樹脂、アクリル系樹脂などの微粉末を単独あるいは上記の無機系アンチブロッキング剤と混合して使用できる。
【0024】
前記の多層からなる基材層の易滑性層3に含有されるアンチブロッキング剤の添加量としては、易滑性層のメインポリマー100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲が好ましい。
0.01重量部未満では、アンチブロッキング剤を添加する効果が発現せず、一方、10重量部を越えると、表面の平滑性が低下し、印刷効果を阻害し、フィルム層の透明性が低下するため、好ましくない。
【0025】
また、前記の多層からなる基材層において、ラミネート側の層4の表面には、必要に応じて、アンカ−コ−ト剤等をコ−ティングした表面処理、あるいは、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことができる。
そのラミネート側の層4の厚さとしては、1μm〜200μm位が好ましく、5μm〜100μm位がより好ましい。
【0026】
なお、本発明においては、上記のような基材層1には、例えば、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示のために、文字、絵柄、図形、記号等の任意の印刷層を、一方の面に設けることができる。
かかる印刷層は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法等によって形成することができる。
【0027】
次に、本発明において、積層体を構成するヒ−トシ−ル層の材料としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μm〜300μm位が好ましく、10μm〜100μm位がより好ましい。
【0028】
次にまた、上記において、上記のシーラント層2としては、ラミネート側の層21と内容物に接する層22の2層から構成されるものが好ましい。
前記のラミネート側の層21は、包装用容器を構成するシ−ル層を形成する際の加熱加圧等に対し、それ自身の被膜性と共に内容物に接する層22の被膜性等を保持し、その膜厚等の変形等を防止する強度を有し、更に、基材フィルム1と内容物に接する層22との密接着性に優れ、その両者の接着剤層としての機能を有し、更に、小袋形態等からなる包装用容器を開封する際のカット性に優れている性質を有することを必要とされるものである。
また、内容物に接する層22は、上記の樹脂を成分とすることにより、ヒートシール性の機能を有するものである。
【0029】
本発明において、ラミネート側の層21としては、特に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、若しくは、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用することが好ましいものである。
上記の樹脂層の膜厚としては、5〜100μm位が好ましく、10〜60μm位がより好ましい。
上記の樹脂を使用することによって、シーラント層の耐熱性に優れ、高速液体充填適性に優れるという利点を有するものである。
而して、上記で使用するメタロセン触媒とは、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである。
【0030】
本発明において、内容物に接する層22は、上記の樹脂を成分とすることにより、ヒートシール性の機能を有するものである。
而して、本発明において、内容物に接する層22としては、特に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、若しくは、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用することが好ましいものである。
上記の樹脂を使用することによって、液体充填する際、耐熱性に優れ、かつ、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性、およびホットタック性を兼ね備えるという特性を有するため、液体充填速度の高速化することができ、生産性が向上するため、好ましいものである。
また、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂やメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドすることにより、低温ヒートシール性を向上により、液体充填速度の高速化できるという利点を有するため、好ましいものである。
上記の樹脂層の膜厚としては、5〜100μm位が好ましく、10〜60μm位がより好ましい。
【0031】
更に、本発明において、シーラント層としては、上記のラミネート側の層21と内容物に接する層22を共押し出してなる共押し出し積層フィルム等を使用することができ、高速液体充填適性に優れるという利点を有するものである。
【0032】
次にまた、本発明において、本発明にかかる積層体、包装容器等を構成するバリア層としては、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材を使用することができ、図示しないが、例えば、基材フィルム1とシーラント層2との間に設けることができる。
上記の酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウムの蒸着膜、酸化珪素あるいは酸化アルミウニム等の無機酸化物の蒸着膜、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層、ビニルアルコ−ル樹脂層、エチレン−ビニアルコ−ル共重合体層、ポリアクリロニトリル樹脂層、ポリアミド系樹脂層、その他等を使用することができる。而して、本発明においては、上記のようなバリア性層は、前述の基材フィルムの片面に、物理気相成長法あるいは化学気相成長法等による蒸着方式、あるいは、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング方式、グラビア印刷、オフセット印刷、転写印刷、その他等の印刷方式等によりバリア性層を形成し、その両者からなる複合化した形態からなる材料を使用することができる。
上記において、アルミニウム箔としては、厚さ5〜20μm位、アルミニウムの蒸着膜、あるいは、酸化珪素あるいは酸化アルミウニム等の無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ50〜2000Å位、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層、ビニルアルコ−ル樹脂層、エチレン−ビニアルコ−ル共重合体層、ポリアクリロニトリル樹脂層、または、ポリアミド系樹脂層等からなる樹脂層としては、厚さ数μm〜50μm位が好ましいものである。
その他、本発明において、バリア性層としては、樹脂に顔料等の着色剤、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を積層することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、対候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスティック配合剤や添加剤等を添加することができる。
その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0034】
次に、本発明において、積層体を構成するアンカ−コ−ト剤層9を形成するアンカ−コ−ト剤としては、例えば、アルキルチタネ−ト等の有機チタン系アンカ−コ−ト剤、イソシアネ−ト系アンカ−コ−ト剤、ポリエチレンイミン系アンカ−コ−ト剤、ポリブタジエン系アンカ−コ−ト剤、その他等を使用することができる。而して、本発明においては、上記と同様に、アンカ−コ−ト剤を、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法でコ−ティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥して、本発明にかかるアンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層を形成することができる。上記のおいて、アンカ−コ−ト剤の塗布量としては、0.1g/m2〜5g/m2 (乾燥状態)位が好ましい。
【0035】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装容器30がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層体10を使用し、その内層のシーラント層2の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層体10を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0036】
次にまた、包装容器30として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層体として、紙基材を積層した積層体を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0037】
更に、本発明において、本発明にかかる積層体10を使用し、個包装化のために、小袋形態とし、かつ、内容物7として、ソ−ス、醤油等の液状飲食品を充填包装するダイロール充填包装装置についてその一例を例示すると、図6に示すように、まず、本発明にかかる積層体10を巻き取りロ−ル11から給紙し、更に、該積層体10を段差ロ−ル12、12・・・等を介してその供給を調整しながら、ガイドロ−ル13に案内する。次に、ガイドロ−ル13に案内された積層体10を、通常の三角板(図示せず)等を通して、そのシーラント層の面を対向させるべく、二つ折りし、更に、二つ折りした積層体10を案内するガイド枠14を通って、一対の縦シ−ル用ロ−ル15、15に給紙する。次いで、上記の一対の縦シ−ル用ロ−ル15、15により、二つ折りした積層体10の外側辺の外周周辺の端部を加熱加圧してサイドシ−ルして外側辺のシ−ル部5を形成し、更に、二つ折りした積層体10を、一対の第1の横シ−ル用ロ−ル16、16に給紙し、その一対の横シ−ル用ロ−ル16、16により、上辺と底辺に相当する横シ−ル部5を形成する。
【0038】
他方、上方に配置されているソ−ス、醤油等の液状飲食品を充填する充填ノズル17から、上記で外側辺のシ−ル部5と横シ−ル部5とを形成した包装用容器内に、ソ−ス、醤油等の液状飲食品を連続的に供給して充填する。而して、上記で内容物を連続して供給しながら充填し、併せて、外側辺のシ−ル部5と横シ−ル部5とを同期して順次に繰り返して形成し、しかる後、一対の第2の横シ−ル用ロ−ル18、18にて安定したシ−ル強度を得るために、上記の横シ−ル部5の部分に、もう一度熱と圧力を加え、更に、冷却し、次に、光電管装置19を配置して上記の横シ−ル部5の中心線を見地し、しかる後、カッタ−装置20、20で、上記の横シ−ル部5の中心線を切断して底辺のシ−ル部5と上辺のシ−ル部8とを形成し、内容物7が充填包装された3方シ−ル型の小袋形態からなる包装製品40を製造することができる。
【0039】
図示しないが、例えば、外側辺のシ−ル部等に、内容物を取り出し易くするために、V型ノッチ、I型ノッチ等の切口部等を任意に設けることができる。
また、上記の例は、3方シ−ル型の小袋形態からなる包装製品を製造する例を例示したが、4方シ−ル型の小袋形態からなる包装製品を製造することもでき、また、多列にして大量に生産することもできるものである。
【0040】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、液体飲料、菓子類、粉末状、液状、あるいは、固形状調味料、その他等の各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、洗剤、その他等の化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装に使用されるものである。
なお、本発明にかかる積層材は、例えば、プラスチック成形容器のフランジ部に貼り合わせて、蓋材としても使用することができるものである。
特に、本発明においては、ノンパウダーで使用しても、フィルムの蛇行や、皺を発生することなく、スリップ性、耐ブロッキング性に優れるものであって、また、風味、食味等を損なうことなく、その内容物の保存性、衛生性等に優れ、特に、ソ−ス、醤油、ドレッシング、ラ−メンス−プ、麺汁、ケチャップ、タバスコ、わさび、からし、その他等の液状調味料、ス−プ、その他等の液状飲食品を高速での充填包装に適して、小袋包装製品を製造するに有用なものである。
【0041】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
(実施例1)
まず、基材フィルム1として、最外層に、ナイロン樹脂100重量部に対し、無機化合物の微粒子からなるアンチブロッキング剤0.3重量部と、不飽和脂肪酸アマイドからなる滑剤0.3重量部とを含有する易滑性層3Nと、ナイロン樹脂とを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、前者の易滑性層3N(厚さ5μm)と、後者のナイロン樹脂からなる厚さ10μmのラミネート側の層4Nとの共押し出しフィルム(基材フィルム1)を製膜し、15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを得た。
次いで、上記で得られた15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、ウレタン系アンカ−コ−ト剤をグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングして厚さ1μm(乾燥状態)からなるアンカーコート剤層9を形成した。
次いで、上記で形成したアンカーコート剤層9の面に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物と、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した低密度ポリエチレン樹脂組成物とを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、前者の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmのラミネート側の層21と、後者のメタロセン触媒を用いて重合した低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmの内容物に接する層22の共押し出しフィルム(シーラント層2)を製膜し、本発明にかかる積層体10を製造した。
【0042】
次に、上記で製造した積層体10を使用し、更に、ダイロール小袋充填包装機(三光機械株式会社製:FR−1)を使用し、内容物としての麺つゆを充填温度90℃にて充填包装して、小袋包装製品40を製造した。
上記で製造した小袋包装製品40は、ノンパウダーで使用しても、皺を発生せず、フィルムの蛇行も押さえらえられ、耐ブロッキング性、スリップ性、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れ、高速充填包装を行うことができ、衛生性に優れる包装製品40が得られた。
【0043】(実施例2)
まず、基材フィルム1として、最外層に、ナイロン樹脂100重量部に対し、無機化合物の微粒子からなるアンチブロッキング剤0.3重量部と、不飽和脂肪酸アマイドからなる滑剤0.3重量部とを含有する易滑性層3Nと、MXDナイロン樹脂4Mと、ナイロン樹脂4Nを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、ナイロン樹脂層(厚さ5μm)/MXDナイロン6樹脂層(厚さ5μm)/ナイロン樹脂層(厚さ5μm)の2種3層からなる共押しフィルム(基材フィルム1)を製膜し、15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを得た。
次いで、上記で得られた15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、ウレタン系アンカ−コ−ト剤をグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングして厚さ1μm(乾燥状態)からなるアンカーコート剤層9を形成した。
次いで、上記で形成したアンカーコート剤層9の面に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物と、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した低密度ポリエチレン樹脂組成物とを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、前者の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmのラミネート側の層21と、後者のメタロセン触媒を用いて重合した低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmの内容物に接する層22の共押し出しフィルム(シーラント層2)を製膜し、本発明にかかる積層体10を製造した。
【0044】
次に、上記で製造した積層体10を使用し、更に、ダイロール小袋充填包装機を使用し、内容物としての麺つゆを充填温度90℃にて充填包装して、小袋包装製品40を製造した。
上記で製造した小袋包装製品40は、ノンパウダーで使用しても、皺を発生せず、フィルムの蛇行も押さえらえられ、耐ブロッキング性、スリップ性、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れ、高速充填包装を行うことができ、かつ、内容物の保存性、衛生性に優れる包装製品40が得られた。
【0045】(比較例1)
基材フィルム1として、15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製、製品名「N1102」)を使用し、それ以外は、実施例1と同じ材料、方法を用いて比較例1にかかる積層体を得た。
次いで、上記で製造した積層体を使用し、更に、ダイロール小袋充填包装機を使用し、内容物としての麺つゆを充填温度90℃にて充填包装して、小袋包装製品を製造した。
上記で製造した小袋包装製品は、ノンパウダーで使用した結果、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、ブロッキングが発生し、また、スリップ性に劣るため、フィルム成形工程、スリット工程等に巻き皺が発生し、また、フィルムの蛇行がみられ、フィルムの展開性が悪くなり、製袋作業性、充填作業性が著しく低下し、好ましくないものであった。
【0046】
上記の結果から明らかなように、実施例1、実施例2の積層体10は、ノンパウダーで使用しても、シーラント押出工程、若しくは、積層体スリット工程、製袋工程、内容物充填工程、等において、積層体のシーラントと基材がブロッキングすることなく、製袋工程、内容物充填工程等において、充填機械のロールやガイド、フォーマーと積層体シーラントとのスリップ性が良好であり、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れ、低温ヒ−トシ−ル性等の高速充填包装適性があり、内容物の保存性、衛生性に優れるものであった。
比較例1の積層体10は、ブロッキングが発生し、スリップ性に劣るため、製袋作業性、充填作業性が著しく低下し、好ましくないものであった。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とすることを特徴とする積層体を製造し、更に当該積層体を用いて、シーラント層面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部をヒ−トシ−ルしてヒ−トシ−ル部を設けた包装容器を製造し、当該包装容器の開口部から内容物を充填包装することにより、パウダーを使用しなくても、巻き皺の発生やフィルムの蛇行が押さえられ、スリップ性、耐ブロッキング性を向上させることによって、製袋作業性、充填作業性を改善でき、特に、高速液体充填包装に対しては最も好適に利用でき、内容物の衛生性、保存性に優れる包装製品を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる積層体10の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる積層体10の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる積層体10の層構成を示す概略的断面図である。
【図4】本発明にかかる積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図5】本発明にかかる積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】本発明にかかる積層体を使用し、個包装化のために、小袋形態とし、かつ、液状飲食品を充填包装する充填包装装置についてその一例を例示する概略的構成図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 シーラント層
3 易滑性層
3N ナイロン樹脂層からなる易滑性層
4 ラミネート側の層
4M MXDナイロン樹脂層からなる中間層
4N ナイロン樹脂層からなるラミネート側の層
5 シ−ル部
6 開口部
7 内容物
8 上方シ−ル部
9 アンカーコート剤層
10 積層体
11 巻き取りロ−ル
12 段差ロ−ル
13 ガイドロ−ル
14 ガイド枠
15 縦シ−ル用ロ−ル
16 第1の横シ−ル用ロ−ル
17 充填ノズル
18 第2の横シ−ル用ロ−ル
19 光電管装置
20 カッタ−装置
21 積層補助剤層
A ラミネート側の層
B 内容物に接する層
30 包装容器
40 包装製品
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体およびそれを用いた包装容器に関し、更に詳しくは、パウダーを使用する必要のない、いわゆるノンパウダーで使用しても、スリップ性、耐ブロッキング性等のスリット加工適性、高速液体充填適性に優れる積層体であって、特に、液体調味料、ス−プ、果汁飲料、その他等の飲食品を充填包装する際、内容物を汚染することなく、衛生性に優れた包装容器に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、醤油、ソ−ス、ドレッシング、ラ−メンス−プ、麺汁、ケチャップ、タバスコ、わさび、からし、その他等の液体調味料、ス−プ、果汁飲料、その他等の液体や粘調体の飲食品等を充填包装するために、その合掌重合縁部をヒートシールして筒状袋体とすると共に、当該袋体内に内容物を充填し、続いて横方向をヒ−トシ−ルして充填包装する内容物、充填条件、その他等に合わせて、任意に選択し、組み合わせて積層し、種々の形態からなる積層材およびそれを使用した包装用容器が、開発され、提案されている。
而して、上記の充填包装に使用される積層体として、少なくとも、基材フィルムとシーラントフィルムとから構成される積層フィルムが広く使用されている。
該基材フィルムとしては、二軸ポリエチレンテレフタレ−トフィルム、二軸配向ナイロンフィルム等があり、シーラントフィルムとしては、ポリエチレン系樹脂、エチレン系アイオノマ−樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン等が使用されている。
また、上記の積層フィルムには、スリップ性、耐ブロッキング性、高速シール性(ホットタック性)、液中シール性、シール強度、耐衝撃性、耐熱性等の高速充填適性に優れるものが求められている。
【0003】
上記の基材層とシーラント層とからなる積層フィルムでは、積層フィルムのシーラント層と基材層の面同士の滑り性が殆どないために、フィルム成形工程、スリット工程等に巻き皺が発生したり、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、積層体のシーラントと基材が癒着する、いわゆるブロッキング現象が起こり、長期保存や高温状態で保存すると、積層フィルムを使用する際、フィルムの展開性が悪くなり、製袋作業性、充填作業性が著しく低下するという問題点があった。
【0004】
上記課題を解決するために、シーラント押出工程、若しくは、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、ブロッキングを防止し、充填機械のロールやガイド、フォーマーと積層体のシーラント面とのスリップ性を向上させるため、例えば、シーラント押出工程内、その次工程、または、製袋工程前において、積層体のシーラント面にスターチ等のパウダーを散布する方法は広く知られている。
【0005】
また、他の課題を解決する方法として、例えば、基材層とシーラント層とからなる積層フィルムであって、内層フィルムが有効量のアンチブロッキング剤を配合した直鎖状低密度ポリエチレンのフィルムである包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特許第2908593号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のフィルムでは、最内層フィルムであるシーラントフィルムにアンチブロッキング剤を配合することによって、低温シール性等の高速充填適性を損なうという問題がある。
また、シーラントフィルムにパウダーを過度に散布すると衛生性を損なうという問題がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意研究の結果、本発明は、少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とすることを特徴とする積層体を製造したところ、パウダーを使用する必要のない、いわゆるノンパウダーで使用しても、機械のロールやガイド、フォーマーとのスリップ性、耐ブロッキング性に優れるものであって、上記の積層体を用いて、製袋または製函して包装容器を製造し、これに、液体調味料、ス−プ、果汁飲料、その他等の飲食品を充填包装したところ、液中シール性、高速シール性、シール強度、スリップ性等を損なうことなく、高速充填適性に優れ、かつ、衛生性に優れる包装製品を提供するものである。
また、上記において、前記の易滑性層が、添加剤として、粒径、0.1μm〜100μmからなるアンチブロッキング剤を、メインポリマー100重量部に対し0.01重量部〜10重量部の範囲内で含有することを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のアンチブロッキング剤が、無機化合物の微粒子若しくは有機化合物の微粒子であり、かつ、滑剤が脂肪酸アマイド系からなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記の基材層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層からなる共押共延伸フィルムからなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のポリアミド系樹脂を主成分とする層からなる共押共延伸フィルムが、ナイロン樹脂フィルム、または、ナイロン樹脂層とMXDナイロン樹脂層とナイロン樹脂層とからなる共押共延伸フィルムからなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のシーラント層が、ラミネート側の層(A)と内容物に接する層(B)との2層からなり、ラミネート側の層(A)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、または、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、内容物に接する層(B)は、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、または、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、前記のシーラント層の内容物に接する層(B)が、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、および/または、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドするか、または、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドする樹脂組成物からなることを特徴とする積層体を提供することができる。
また、上記の積層体を用いて、製袋または製函してなることを特徴とする液体、粘体用包装容器を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の本発明について以下に更に詳しく説明する。
まず、本発明にかかる積層体およびそれを使用した包装用容器の構成についてその二三を例示して図面を用いて説明すると、図1、図2および図3は、本発明にかかる積層体の層構成を示す概略的断面図であり、図4および図5は、上記の本発明にかかる積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す概略的斜視図である。
【0010】
本発明の積層体10は、図1に示すように、少なくとも、基材層1とシーラント層2とを積層した積層フィルムであって、前記の基材層1が、最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層3とする2種2層の共押出し成膜で形成される延伸フィルムからなる積層体を基本構成とするものである。
なお、必要に応じて、基材層1とシーラント層2との層間の接着力を向上させるために、アンカーコート剤層9を設けてもよい。
【0011】
本発明の積層体10は、図2に示すように、ナイロン樹脂を主成分とし、最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層3Nと、ラミネート側の層4Nとの2種2層の共押出し成膜で形成される延伸フィルムからなる基材フィルム層1と、ラミネート側の層21と、内容物に接する層22とから構成されるシーラント層2とをアンカーコート剤層9を介して積層する積層体を基本構成とするものである。
【0012】
本発明の積層体10は、図3に示すように、ナイロン樹脂を主成分とし、添加剤として、アンチブロッキング剤、および、滑剤を含有するからなる易滑性層3Nと、MXDナイロン樹脂層4Mと、ナイロン樹脂層4Nとの3種3層の共押出し成膜で形成される延伸フィルムからなる基材層1と、ラミネート側の層21と、内容物に接する層22とから構成されるシーラント層2とをアンカーコート剤層9を介して積層する積層体を基本構成とするものである。
【0013】
而して、上記に挙げた例は、本発明にかかる積層体10を構成する二三の例示であり、これによって本発明は限定されるものではなく、例えば、本発明においては、図示しないが、また、図示しないが、必要に応じて、基材層1の一方の面に印刷絵柄層を設けることができる。
また、基材層等の他に、更に、その使用目的、充填包装する内容物、流通経路、販売形態、用途等によって、バリア層等の他の基材を任意に積層して、種々の形態の積層体を設計して製造することができるものである。
【0014】
次に、本発明において、上記のような積層体10を使用して製袋ないし製函してなる本発明にかかる包装用容器の構成について説明すると、かかる包装容器としては、例えば、上記の図1、図2または図3に示す積層体10を使用して製袋ないし製函した包装容器を例示して説明すると、図4の概略的斜視図に示すように、上記の積層体10を2枚用意し、その最内層に位置するシーラント層2の面を対向させて重ね合わせ、しかる後その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部5を形成して、本発明にかかる三方シ−ル型の包装容器30を製造することができる。
而して、上記の三方シ−ル型の包装容器30においては、その上方の開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、各種の包装製品を製造することができる。
【0015】
或いはまた、本発明において、本発明にかかる包装容器としては、図5の概略的斜視図に示すように、上記の図1または図2に示す積層体10を使用し、その最内層に位置するシーラント層2の面を対向させて重ね合わせ、しかる後その外周周辺の端部の二方をヒ−トシ−ルしてシ−ル部5を形成して、本発明にかかる二方シ−ル型の包装用容器30を製造することができる。
而して、上記の二方シ−ル型の包装容器30においては、上記と同様に、その上方の開口部から内容物を充填し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして、各種の包装製品を製造することができる。
なお、本発明においては、上記に図示した例示の包装容器に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、種々の形態の包装容器を製造することができることは言うまでもないことである。
本発明にかかる包装容器は、後述するように、上記の3方シ−ル型包装容器の他に、例えば、4方シ−ル型包装容器、自立性包装容器、ガセット型包装容器、その他等、また、その形態としては、小袋、中袋、大袋、その他等の形態を取り得るものである。
【0016】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる積層体、包装容器等を構成する材料、その製造法等について説明すると、まず、本発明において、本発明にかかる積層体、包装容器等を構成する基材層1としては、包装容器を構成する場合、基本素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ耐熱性を有する樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−ト、その他等を使用することができる。而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸、または一軸方向、若しくは二軸方向に延伸した延伸フィルムを使用することができる。
中でも、延伸フィルムの方が、強度を有して強靱であり、機械的、物理的、化学的において優れた性質を有するため、好ましいものである。
そのフィルムの厚さとしては、5μm〜100μm位、好ましくは、10μm〜50μm位が望ましい。
【0017】
本発明において、本発明にかかる基材層1として、上記の樹脂の中でも、ポリアミド系樹脂の延伸フィルムが、腰、強度、酸素ガス、水蒸気等に対するガスバリア性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性等に優れるため、好ましいものである。
具体的には、例えば、MXDナイロン6フィルム、MXDナイロン樹脂とナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他等の各種のポリアミド系樹脂との2ないし3層以上からなる多層積層フィルム、あるいは、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体と上記のナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他等の各種のポリアミド系樹脂との2ないし3層以上からなる多層積層フィルムを使用することができる。
中でも、MXDナイロン樹脂層と上記のナイロンとの共押出しからなる多層積層フィルムが、高いガスバリア性を有し、更に、保香性、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れるという利点を有する。
而して、上記のナイロンフィルム、あるいは、多層積層フィルムは、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等の通常の2軸延伸方法で2軸方向に延伸加工した2軸延伸ナイロンフィルムを使用することが望ましい。
また、その膜厚としては、10〜200μm位、好ましくは、10〜50μm位が望ましい。
本発明においては、上記のようなポリアミド樹脂系の延伸フィルムを基材として使用することにより、強度、耐衝撃性、耐突き刺し性等の強靱性を有するとともに、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性を利用することができる。
【0018】
本発明において、上記の多層積層フィルムの製造法について説明すると、その製造法としては、例えば、性質の異なる樹脂を多層フィルム化する成形方法、例えば、Tダイ法、インフレ−ション法等を採用するものである。
具体的には、フィ−ドブロック法、マルチマニホ−ルド法等の多層Tダイキャスト成形法、あるいは、多層インフレ−ション成形法等の成形方法を使用して、例えば、ナイロン樹脂層/MXDナイロン6樹脂層/ナイロン樹脂層等の2種3層からなる多層積層フィルム等を製造することができるものである。
【0019】
次に、本発明において、上記のような本発明にかかる多層積層フィルムを構成する各層の厚さとしては、例えば、ナイロン樹脂層の厚さとしては、約1〜200μm位が好ましく、5〜100μm位がより好ましい。
また、MXDナイロン樹脂層としては、約1〜100μm位が好ましく、5〜50μm位がより好ましい。
【0020】
次に、前記の基材層1としては、上記のいずれかの樹脂をベースポリマーとし、基材層の最外層に、滑性を与えるとともに、ブロッキングを防止するための、各種の滑剤や、アンチブロッキング剤を添加して、多層共押出し成膜で形成することが必要である。
かかる滑剤や、アンチブロッキング剤を基材層の最外層である易滑性層3の材料に用いられる樹脂に含有させることにより、シーラント面にパウダーを散布することなく、シーラント押出工程、スリット工程、製袋工程、または内容物充填工程等において、シーラント面と基材層とのブロッキングを防止し、充填機械のロールやガイド、フォーマーと積層体のシーラント面とのスリップ性を向上させることができるため、好ましいものである。
その易滑性層3の厚さとしては、0.5μm〜10μm位、好ましくは、1μm〜5μm位が望ましい。
【0021】
かかる滑剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、石油系ワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、炭素数が8〜22の高級脂肪酸や、高級脂肪酸アルミニウム、高級脂肪酸カルシウム、高級脂肪酸マグネシウム、高級脂肪酸亜鉛、高級脂肪酸リチウムなどの高級脂肪酸の金属塩あるいは、炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコールや、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトール、トリエチレングリコールなどの脂肪族アルコールと、炭素数が4〜22の高級脂肪酸と炭素数が8〜18の直鎖脂肪族1価アルコールとのエステルがあり、また、アセチルクエン酸トリブチル、アジピン酸ジー2エチルーヘキシル、アゼライン酸ーnーヘキシル、エタンジオールモンタン酸エステル、ポリ(1,3ブタンジオールアジピン酸)エステル、アセチルリシノール酸メチル、ポリ(1,3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、アジピン酸オクチルアルコール)エステル、糠ろうなどのアルコールと脂肪酸とのエステル、水添食用油脂、ひまし油、スパームアセチワックス、アセチル化モノグリセライドなどのグリセライドがあり、炭素数が16〜18の例えばエチレンビスオレイルアマイドに代表されるエチレンビス脂肪酸アマイド、炭素数が8〜22の高級脂肪酸アマイド、ステアリルエルカアマイド、エルカ酸アマイド、オレイルパルミトアマイドなどの高級脂肪酸アマイドがあり、その他、メチルヒドロジエンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン油やロジンやマレイン酸変性ロジンのグリセリンエステル、フッ素樹脂エラストマー等がある。
中でも、脂肪酸のアミド誘導体を主成分とする滑剤は、透明性が高く、印刷絵柄の意匠性を損なうことのないより好ましい。
【0022】
前記の多層からなる基材層の易滑性層3に含有される滑剤の含有量としては、メインポリマー100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲が好ましい。
0.01重量部未満では、滑剤を添加する効果を発現できず、一方、10重量部を越えると、フィルム層の透明性が低下するため、好ましくない。
【0023】
かかるアンチブロッキング剤としては、無機化合物の微粒子、有機化合物の微粒子のいずれのものも使用できるが、フィルムの透明性を損なわずに、また、その面に印刷を施すときにインキが均一に転移できる微粒子が好ましく、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛などの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸リチウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸塩、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩やカオリン、タルク、けいそう土などの無機化合物がある。
中でも、シリカ微粒子では、透明性を損なわずに、また、ブロッキングを防止できるため、好ましいものである。
また、有機物からなるアンチブロッキング剤には、有機高分子の微粒子である高密度ポリエチレン、分子量が300000以上の超高分子ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアマイド、ポリエステル、メラミン樹脂、ヂアリルフタレート樹脂、アクリル系樹脂などの微粉末を単独あるいは上記の無機系アンチブロッキング剤と混合して使用できる。
【0024】
前記の多層からなる基材層の易滑性層3に含有されるアンチブロッキング剤の添加量としては、易滑性層のメインポリマー100重量部に対して、0.01重量部〜10重量部の範囲が好ましい。
0.01重量部未満では、アンチブロッキング剤を添加する効果が発現せず、一方、10重量部を越えると、表面の平滑性が低下し、印刷効果を阻害し、フィルム層の透明性が低下するため、好ましくない。
【0025】
また、前記の多層からなる基材層において、ラミネート側の層4の表面には、必要に応じて、アンカ−コ−ト剤等をコ−ティングした表面処理、あるいは、コロナ放電処理、プラズマ放電処理、火炎処理、オゾン処理等の易接着処理を施すことができる。
そのラミネート側の層4の厚さとしては、1μm〜200μm位が好ましく、5μm〜100μm位がより好ましい。
【0026】
なお、本発明においては、上記のような基材層1には、例えば、必要に応じて、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示のために、文字、絵柄、図形、記号等の任意の印刷層を、一方の面に設けることができる。
かかる印刷層は、例えば、通常のインキ組成物を使用してオフセット印刷あるいはグラビア印刷、フレキソ印刷、凸版印刷、シルクスクリーン印刷、その他等の通常の印刷法等によって形成することができる。
【0027】
次に、本発明において、積層体を構成するヒ−トシ−ル層の材料としては、熱によって溶融し相互に融着し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記のフィルムないしシ−トは、その樹脂を含む組成物によるコ−ティング膜の状態で使用することができる。
その膜もしくはフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μm〜300μm位が好ましく、10μm〜100μm位がより好ましい。
【0028】
次にまた、上記において、上記のシーラント層2としては、ラミネート側の層21と内容物に接する層22の2層から構成されるものが好ましい。
前記のラミネート側の層21は、包装用容器を構成するシ−ル層を形成する際の加熱加圧等に対し、それ自身の被膜性と共に内容物に接する層22の被膜性等を保持し、その膜厚等の変形等を防止する強度を有し、更に、基材フィルム1と内容物に接する層22との密接着性に優れ、その両者の接着剤層としての機能を有し、更に、小袋形態等からなる包装用容器を開封する際のカット性に優れている性質を有することを必要とされるものである。
また、内容物に接する層22は、上記の樹脂を成分とすることにより、ヒートシール性の機能を有するものである。
【0029】
本発明において、ラミネート側の層21としては、特に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、若しくは、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用することが好ましいものである。
上記の樹脂層の膜厚としては、5〜100μm位が好ましく、10〜60μm位がより好ましい。
上記の樹脂を使用することによって、シーラント層の耐熱性に優れ、高速液体充填適性に優れるという利点を有するものである。
而して、上記で使用するメタロセン触媒とは、現行の触媒が、活性点が不均一でマルチサイト触媒と呼ばれているのに対し、活性点が均一であることからシングルサイト触媒とも呼ばれているものである。
【0030】
本発明において、内容物に接する層22は、上記の樹脂を成分とすることにより、ヒートシール性の機能を有するものである。
而して、本発明において、内容物に接する層22としては、特に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、若しくは、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用することが好ましいものである。
上記の樹脂を使用することによって、液体充填する際、耐熱性に優れ、かつ、耐ブロッキング性、低温ヒートシール性、およびホットタック性を兼ね備えるという特性を有するため、液体充填速度の高速化することができ、生産性が向上するため、好ましいものである。
また、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂やメタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドすることにより、低温ヒートシール性を向上により、液体充填速度の高速化できるという利点を有するため、好ましいものである。
上記の樹脂層の膜厚としては、5〜100μm位が好ましく、10〜60μm位がより好ましい。
【0031】
更に、本発明において、シーラント層としては、上記のラミネート側の層21と内容物に接する層22を共押し出してなる共押し出し積層フィルム等を使用することができ、高速液体充填適性に優れるという利点を有するものである。
【0032】
次にまた、本発明において、本発明にかかる積層体、包装容器等を構成するバリア層としては、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材を使用することができ、図示しないが、例えば、基材フィルム1とシーラント層2との間に設けることができる。
上記の酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性素材としては、例えば、アルミニウム箔、アルミニウムの蒸着膜、酸化珪素あるいは酸化アルミウニム等の無機酸化物の蒸着膜、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層、ビニルアルコ−ル樹脂層、エチレン−ビニアルコ−ル共重合体層、ポリアクリロニトリル樹脂層、ポリアミド系樹脂層、その他等を使用することができる。而して、本発明においては、上記のようなバリア性層は、前述の基材フィルムの片面に、物理気相成長法あるいは化学気相成長法等による蒸着方式、あるいは、ロ−ルコ−ト、グラビアロ−ルコ−ト、キスコ−ト、その他等のコ−ティング方式、グラビア印刷、オフセット印刷、転写印刷、その他等の印刷方式等によりバリア性層を形成し、その両者からなる複合化した形態からなる材料を使用することができる。
上記において、アルミニウム箔としては、厚さ5〜20μm位、アルミニウムの蒸着膜、あるいは、酸化珪素あるいは酸化アルミウニム等の無機酸化物の蒸着膜としては、厚さ50〜2000Å位、ポリ塩化ビニリデン系樹脂層、ビニルアルコ−ル樹脂層、エチレン−ビニアルコ−ル共重合体層、ポリアクリロニトリル樹脂層、または、ポリアミド系樹脂層等からなる樹脂層としては、厚さ数μm〜50μm位が好ましいものである。
その他、本発明において、バリア性層としては、樹脂に顔料等の着色剤、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を積層することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0033】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、対候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスティック配合剤や添加剤等を添加することができる。
その添加量としては、極微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。
上記において、一般的な添加剤としては、例えば、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
【0034】
次に、本発明において、積層体を構成するアンカ−コ−ト剤層9を形成するアンカ−コ−ト剤としては、例えば、アルキルチタネ−ト等の有機チタン系アンカ−コ−ト剤、イソシアネ−ト系アンカ−コ−ト剤、ポリエチレンイミン系アンカ−コ−ト剤、ポリブタジエン系アンカ−コ−ト剤、その他等を使用することができる。而して、本発明においては、上記と同様に、アンカ−コ−ト剤を、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法でコ−ティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥して、本発明にかかるアンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層を形成することができる。上記のおいて、アンカ−コ−ト剤の塗布量としては、0.1g/m2〜5g/m2 (乾燥状態)位が好ましい。
【0035】
次に、本発明において、上記のような積層体を使用して製袋ないし製函する方法について説明すると、例えば、包装容器30がプラスチックフィルム等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造した積層体10を使用し、その内層のシーラント層2の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。
而して、その製袋方法としては、上記の積層体10を、その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造することができる。
その他、例えば、自立性包装袋(スタンディングパウチ)等も製造することが可能であり、更に、本発明においては、上記の積層材を使用してチュ−ブ容器等も製造することができる。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。なお、本発明においては、上記のような包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ−等を任意に取り付けることができる。
【0036】
次にまた、包装容器30として、紙基材を含む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層体として、紙基材を積層した積層体を製造し、これから所望の紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブランク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例えば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベルトップタイプの液体用紙容器等を製造することができる。
また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0037】
更に、本発明において、本発明にかかる積層体10を使用し、個包装化のために、小袋形態とし、かつ、内容物7として、ソ−ス、醤油等の液状飲食品を充填包装するダイロール充填包装装置についてその一例を例示すると、図6に示すように、まず、本発明にかかる積層体10を巻き取りロ−ル11から給紙し、更に、該積層体10を段差ロ−ル12、12・・・等を介してその供給を調整しながら、ガイドロ−ル13に案内する。次に、ガイドロ−ル13に案内された積層体10を、通常の三角板(図示せず)等を通して、そのシーラント層の面を対向させるべく、二つ折りし、更に、二つ折りした積層体10を案内するガイド枠14を通って、一対の縦シ−ル用ロ−ル15、15に給紙する。次いで、上記の一対の縦シ−ル用ロ−ル15、15により、二つ折りした積層体10の外側辺の外周周辺の端部を加熱加圧してサイドシ−ルして外側辺のシ−ル部5を形成し、更に、二つ折りした積層体10を、一対の第1の横シ−ル用ロ−ル16、16に給紙し、その一対の横シ−ル用ロ−ル16、16により、上辺と底辺に相当する横シ−ル部5を形成する。
【0038】
他方、上方に配置されているソ−ス、醤油等の液状飲食品を充填する充填ノズル17から、上記で外側辺のシ−ル部5と横シ−ル部5とを形成した包装用容器内に、ソ−ス、醤油等の液状飲食品を連続的に供給して充填する。而して、上記で内容物を連続して供給しながら充填し、併せて、外側辺のシ−ル部5と横シ−ル部5とを同期して順次に繰り返して形成し、しかる後、一対の第2の横シ−ル用ロ−ル18、18にて安定したシ−ル強度を得るために、上記の横シ−ル部5の部分に、もう一度熱と圧力を加え、更に、冷却し、次に、光電管装置19を配置して上記の横シ−ル部5の中心線を見地し、しかる後、カッタ−装置20、20で、上記の横シ−ル部5の中心線を切断して底辺のシ−ル部5と上辺のシ−ル部8とを形成し、内容物7が充填包装された3方シ−ル型の小袋形態からなる包装製品40を製造することができる。
【0039】
図示しないが、例えば、外側辺のシ−ル部等に、内容物を取り出し易くするために、V型ノッチ、I型ノッチ等の切口部等を任意に設けることができる。
また、上記の例は、3方シ−ル型の小袋形態からなる包装製品を製造する例を例示したが、4方シ−ル型の小袋形態からなる包装製品を製造することもでき、また、多列にして大量に生産することもできるものである。
【0040】
本発明において、上記のようにして製造した包装用容器は、液体飲料、菓子類、粉末状、液状、あるいは、固形状調味料、その他等の各種の飲食品、接着剤、粘着剤等の化学品、洗剤、その他等の化粧品、医薬品、ケミカルカイロ等の雑貨品、その他等の種々の物品の充填包装に使用されるものである。
なお、本発明にかかる積層材は、例えば、プラスチック成形容器のフランジ部に貼り合わせて、蓋材としても使用することができるものである。
特に、本発明においては、ノンパウダーで使用しても、フィルムの蛇行や、皺を発生することなく、スリップ性、耐ブロッキング性に優れるものであって、また、風味、食味等を損なうことなく、その内容物の保存性、衛生性等に優れ、特に、ソ−ス、醤油、ドレッシング、ラ−メンス−プ、麺汁、ケチャップ、タバスコ、わさび、からし、その他等の液状調味料、ス−プ、その他等の液状飲食品を高速での充填包装に適して、小袋包装製品を製造するに有用なものである。
【0041】
【実施例】
上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
(実施例1)
まず、基材フィルム1として、最外層に、ナイロン樹脂100重量部に対し、無機化合物の微粒子からなるアンチブロッキング剤0.3重量部と、不飽和脂肪酸アマイドからなる滑剤0.3重量部とを含有する易滑性層3Nと、ナイロン樹脂とを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、前者の易滑性層3N(厚さ5μm)と、後者のナイロン樹脂からなる厚さ10μmのラミネート側の層4Nとの共押し出しフィルム(基材フィルム1)を製膜し、15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを得た。
次いで、上記で得られた15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、ウレタン系アンカ−コ−ト剤をグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングして厚さ1μm(乾燥状態)からなるアンカーコート剤層9を形成した。
次いで、上記で形成したアンカーコート剤層9の面に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物と、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した低密度ポリエチレン樹脂組成物とを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、前者の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmのラミネート側の層21と、後者のメタロセン触媒を用いて重合した低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmの内容物に接する層22の共押し出しフィルム(シーラント層2)を製膜し、本発明にかかる積層体10を製造した。
【0042】
次に、上記で製造した積層体10を使用し、更に、ダイロール小袋充填包装機(三光機械株式会社製:FR−1)を使用し、内容物としての麺つゆを充填温度90℃にて充填包装して、小袋包装製品40を製造した。
上記で製造した小袋包装製品40は、ノンパウダーで使用しても、皺を発生せず、フィルムの蛇行も押さえらえられ、耐ブロッキング性、スリップ性、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れ、高速充填包装を行うことができ、衛生性に優れる包装製品40が得られた。
【0043】(実施例2)
まず、基材フィルム1として、最外層に、ナイロン樹脂100重量部に対し、無機化合物の微粒子からなるアンチブロッキング剤0.3重量部と、不飽和脂肪酸アマイドからなる滑剤0.3重量部とを含有する易滑性層3Nと、MXDナイロン樹脂4Mと、ナイロン樹脂4Nを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、ナイロン樹脂層(厚さ5μm)/MXDナイロン6樹脂層(厚さ5μm)/ナイロン樹脂層(厚さ5μm)の2種3層からなる共押しフィルム(基材フィルム1)を製膜し、15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを得た。
次いで、上記で得られた15μmの2軸延伸ナイロンフィルムを使用し、ウレタン系アンカ−コ−ト剤をグラビアロ−ルコ−ト法でコ−ティングして厚さ1μm(乾燥状態)からなるアンカーコート剤層9を形成した。
次いで、上記で形成したアンカーコート剤層9の面に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂組成物と、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した低密度ポリエチレン樹脂組成物とを使用し、これらをTダイ共押出機にて、共押し出しし、前者の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmのラミネート側の層21と、後者のメタロセン触媒を用いて重合した低密度ポリエチレン樹脂からなる厚さ25μmの内容物に接する層22の共押し出しフィルム(シーラント層2)を製膜し、本発明にかかる積層体10を製造した。
【0044】
次に、上記で製造した積層体10を使用し、更に、ダイロール小袋充填包装機を使用し、内容物としての麺つゆを充填温度90℃にて充填包装して、小袋包装製品40を製造した。
上記で製造した小袋包装製品40は、ノンパウダーで使用しても、皺を発生せず、フィルムの蛇行も押さえらえられ、耐ブロッキング性、スリップ性、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れ、高速充填包装を行うことができ、かつ、内容物の保存性、衛生性に優れる包装製品40が得られた。
【0045】(比較例1)
基材フィルム1として、15μmの2軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡社製、製品名「N1102」)を使用し、それ以外は、実施例1と同じ材料、方法を用いて比較例1にかかる積層体を得た。
次いで、上記で製造した積層体を使用し、更に、ダイロール小袋充填包装機を使用し、内容物としての麺つゆを充填温度90℃にて充填包装して、小袋包装製品を製造した。
上記で製造した小袋包装製品は、ノンパウダーで使用した結果、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、ブロッキングが発生し、また、スリップ性に劣るため、フィルム成形工程、スリット工程等に巻き皺が発生し、また、フィルムの蛇行がみられ、フィルムの展開性が悪くなり、製袋作業性、充填作業性が著しく低下し、好ましくないものであった。
【0046】
上記の結果から明らかなように、実施例1、実施例2の積層体10は、ノンパウダーで使用しても、シーラント押出工程、若しくは、積層体スリット工程、製袋工程、内容物充填工程、等において、積層体のシーラントと基材がブロッキングすることなく、製袋工程、内容物充填工程等において、充填機械のロールやガイド、フォーマーと積層体シーラントとのスリップ性が良好であり、透明性、耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性、耐突き刺し性、柔軟性、耐薬品性等に優れ、低温ヒ−トシ−ル性等の高速充填包装適性があり、内容物の保存性、衛生性に優れるものであった。
比較例1の積層体10は、ブロッキングが発生し、スリップ性に劣るため、製袋作業性、充填作業性が著しく低下し、好ましくないものであった。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明は、少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とすることを特徴とする積層体を製造し、更に当該積層体を用いて、シーラント層面を対向させて重ね合わせ、その外周周辺の端部をヒ−トシ−ルしてヒ−トシ−ル部を設けた包装容器を製造し、当該包装容器の開口部から内容物を充填包装することにより、パウダーを使用しなくても、巻き皺の発生やフィルムの蛇行が押さえられ、スリップ性、耐ブロッキング性を向上させることによって、製袋作業性、充填作業性を改善でき、特に、高速液体充填包装に対しては最も好適に利用でき、内容物の衛生性、保存性に優れる包装製品を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる積層体10の層構成を示す概略的断面図である。
【図2】本発明にかかる積層体10の層構成を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる積層体10の層構成を示す概略的断面図である。
【図4】本発明にかかる積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図5】本発明にかかる積層体を使用して製袋ないし製函した包装用容器の構成を示す概略的斜視図である。
【図6】本発明にかかる積層体を使用し、個包装化のために、小袋形態とし、かつ、液状飲食品を充填包装する充填包装装置についてその一例を例示する概略的構成図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 シーラント層
3 易滑性層
3N ナイロン樹脂層からなる易滑性層
4 ラミネート側の層
4M MXDナイロン樹脂層からなる中間層
4N ナイロン樹脂層からなるラミネート側の層
5 シ−ル部
6 開口部
7 内容物
8 上方シ−ル部
9 アンカーコート剤層
10 積層体
11 巻き取りロ−ル
12 段差ロ−ル
13 ガイドロ−ル
14 ガイド枠
15 縦シ−ル用ロ−ル
16 第1の横シ−ル用ロ−ル
17 充填ノズル
18 第2の横シ−ル用ロ−ル
19 光電管装置
20 カッタ−装置
21 積層補助剤層
A ラミネート側の層
B 内容物に接する層
30 包装容器
40 包装製品
Claims (8)
- 少なくとも、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであって、かつ、前記の基材層が、多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/または、アンチブロッキング剤を含有する易滑性層とすることを特徴とする積層体。
- 前記の易滑性層が、添加剤として、粒径、0.1μm〜100μmからなるアンチブロッキング剤を、メインポリマー100重量部に対し0.01重量部〜10重量部の範囲内で含有することを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記のアンチブロッキング剤が、無機化合物の微粒子若しくは有機化合物の微粒子からなり、かつ、滑剤が脂肪酸アマイド系からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の積層体。
- 前記の基材層が、ポリアミド系樹脂を主成分とする層からなる共押共延伸フィルムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記のポリアミド系樹脂を主成分とする層からなる共押共延伸フィルムが、ナイロン樹脂フィルム、または、ナイロン樹脂層とMXDナイロン樹脂層とナイロン樹脂層とからなる共押共延伸フィルムからなることを特徴とする請求項4のいずれかに記載の積層体。
- 前記のシーラント層が、ラミネート側の層(A)と内容物に接する層(B)との2層からなり、ラミネート側の層(A)は、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、または、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなり、内容物に接する層(B)は、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、または、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 前記のシーラント層の内容物に接する層(B)が、メタロセン系シングルサイト触媒を使用して重合した直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、および/または、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドするか、または、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂に、オレフィン系エラストマー樹脂をブレンドする樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の積層体を用いて、製袋または製函してなることを特徴とする液体、粘体用包装容器。
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-
2003
- 2003-03-20 JP JP2003077368A patent/JP2004284126A/ja not_active Withdrawn
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