JP2004281774A - 電子ビーム露光装置及び電子ビーム露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際に、マスクたわみによるパターン線幅のばらつきを修正する電子ビーム露光装置を提供する。
【解決手段】電子ビーム近接露光装置1を、基本露光に加えて、マスクの各位置のたわみにより変化するマスクと試料との距離に応じて背景露光を行う補助露手段71を備えて構成し、該補助露光手段71を、各たわみ量に対する補助露光量を記憶する補助露光量記憶部73と、該補助露光量に基づいて補助露光量を制御する補助露光量制御部75とを備えて構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】電子ビーム近接露光装置1を、基本露光に加えて、マスクの各位置のたわみにより変化するマスクと試料との距離に応じて背景露光を行う補助露手段71を備えて構成し、該補助露光手段71を、各たわみ量に対する補助露光量を記憶する補助露光量記憶部73と、該補助露光量に基づいて補助露光量を制御する補助露光量制御部75とを備えて構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路などの製造工程で使用される微細パターンを露光する露光装置に関し、特に露光パターンに対応する開口を有するマスクを半導体ウエハなどの試料の表面に近接して配置し、マスクに電子ビームを照射して開口を通過した電子ビームで露光を行う電子ビーム近接露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化のニーズに伴い、回路パターンの一層の微細化が要望されている。現在、微細化の限界を規定しているのは主として露光装置であり、電子ビーム直接描画装置やX線露光装置などの新しい方式の露光装置が開発されている。
【0003】
最近では新しい方式の露光装置として、量産レベルで超微細加工用に使用可能な電子ビーム近接露光装置が開示されている(例えば特許文献1、およびこれに対応する日本国特許出願の特許文献2)。
【0004】
図19は、特許文献1に開示された電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この図を参照して、従来の電子ビーム近接露光装置について簡単に説明する。図示するように、電子光学鏡筒(カラム)10内には、電子ビーム15を発生する電子ビーム源14と整形アパチャ16と電子ビーム15を平行ビームにする照射レンズ18とを有する電子銃12、対となる主偏向器22、24と、対となる副偏向器51、52とを含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段21、露光するパターンに対応する開口を有するマスク30、および表面にレジスト層42が形成された試料(半導体ウエハ)40が設けられている。
マスク30は、厚い外縁部34内の中央に開口の形成された薄膜部32を有しており、試料40は表面がマスク30に近接するように配置される。この状態で、マスクに垂直に電子ビームを照射すると、マスクの開口を通過した電子ビームが試料40の表面のレジスト層42に照射される。
【0005】
電子ビーム15は、走査手段21により偏向されて、図20(a)に示すようにマスク30の薄膜部32上を走査して全面にわたって露光する。ここに電子ビーム15の露光量は、単位面積当たりに照射される電流量と照射時間との積(μA・t/cm2)、または単位面積当たりに照射される電子ビーム15のクーロン量(μC/cm2)により定義される。この露光量の分布にむらがあると、現像後のレジストのパターン線幅の誤差を生じる。したがって、従来はパターン線幅を一定にするためにマスク薄膜部32への電子ビーム15の露光量をできるだけ一定にしていた。図20(b)、(c)は、このような走査方法による図20(a)の経路A−A’、B−Bにおける露光量を示す。
【0006】
また、回路パターンを微細化するためには、マスク30の開口の線幅を狭くする必要がある。そして、このような狭い線幅の開口に電子ビーム15を通過させて微細化されたパターンを精度良くマスクに整形させ、または所望のパターンを得るために位置補正を行うためには、マスク薄膜部32が非常に薄く形成されることが要求される。
その一方で、露光装置のスループットを上げるために、できるだけ大きなパターン(例えば1ダイ分)を同じマスクで露光する必要があり、マスク薄膜部32はその面積を大きく形成されることも要求される。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5,831,272号公報(全体)
【特許文献2】
日本特許第2951947号公報(全体)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の電子ビーム15を完全な平行ビームにすることはできない。その理由は、次の通りである。
第1に、電子ビーム15は、光源である電子ビーム源14から発生し、空間電荷効果などにより、完全な点光源とはならず、それを照射レンズ18によって完全な平行ビームにすることはできない。
第2に、電子ビーム15は、照射レンズ18による収差が含んでいる。
第3に、電子ビーム15が有するクーロン効果により、照射レンズ18が完全な電子ビームを得たとしても、行程が進むにつれ徐々に拡散する。
【0009】
一方で、上述の理由により、マスク薄膜部32は薄くかつ大きく形成されることが要求される。その結果、応力を適切に調節したとしてもマスク薄膜部32は自重による微少なたわみを生じる(図21)。マスク薄膜部32のたわみは、その中央部の開口101cの位置と周辺部の開口101oの位置とで、マスク薄膜部32と試料40との間隔(ギャップ)の相違を生じさせる(通常Dc<Do)。
このように、マスク薄膜部32の中央部と周辺部とではマスク薄膜部32との間隔が異なり、かつ電子ビーム15が完全な平行ビームでないために、マスク薄膜部32の周辺部の開口101oを通過した電子ビーム15oと、中央部の開口101cを通過した電子ビーム15cとはボケ方が相違する。
その結果、マスク薄膜部の中央部と周辺部にある同一形状の開口101cと101oに同じ露光量の電子ビーム15に露光すると、開口101cと101oを通過する電子ビームが照射される試料の40c部分と40o部分とでは、エネルギー蓄積量分布が相違することになる。図22に、試料の40c部分と40o部分とにおけるエネルギー蓄積量分布を示す。
【0010】
電子ビーム15の露光量は、上記露光の後に現像されるレジスト層42上に現れるパターンの線幅が、所望の幅となるように定められる。そして、予め設定されたしきい値以上の露光量が露光されたレジスト層42のみが除去されまたは残留してパターンを形成する。また上述の通り、電子ビーム15の露光量は、単位面積当たりに照射される電流量と照射時間との積(μA・t/cm2)、または単位面積当たりに照射される電子ビーム15のクーロン量(ドーズ量:μC/cm2)により定められる。
【0011】
したがって、図20に示した従来の電子ビーム走査方法によりマスク30全体にわたって露光量が一様になるように露光すると、試料40とマスク薄膜部32との間隔の相違より、エネルギー蓄積量分布が部分的に相違する。
そして、かかるエネルギー蓄積量分布の部分的な相違により、マスク薄膜部32各部の開口を通過する電子ビームにより露光されるパターンには、前記しきい値の露光がなされる線幅のばらつきが生じる。
【0012】
例えば図21の例では、マスクの中央部の開口101cに対応する40c部分では、パターンの線の中心からの距離がWc/2以内の範囲でしきい値Enのエネルギーが蓄積されて線幅Wcのパターンが形成される。これに対してマスクの周辺部の開口101oに対応する40o部分では、パターンの線の中心からの距離がWo/2以内の範囲でしきい値Enのエネルギーが蓄積されて線幅Wo(<Wc)のパターンが形成される。
【0013】
この線幅のばらつきは非常に微少ではあるが、半導体集積回路の高集積化に伴い、線幅のばらつきの許容範囲も厳しくなっている。例えば、現状の65nmノードの半導体集積回路では許される許容範囲は6.5nm以内とされる。しかも、電子ビーム近接露光装置のように等倍露光を行う場合では、マスク不均一などの上記以外の理由により生じる、パターン線幅に対する影響が大きい。したがって、上述のマスクたわみと電子ビーム非平行性とによる線幅のばらつきは、可能な限り修正する必要がある。
【0014】
本発明の目的は、電子ビームにより露光を行う際に、完全にコリメートすることができないために生じるマスクのたわみによるパターン線幅のばらつきを修正する電子ビーム近接露光装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る電子ビーム近接露光装置は、マスク全面にわたって一定の露光量で露光するのに加え(以下、「基本露光」と記す)、マスクの各位置のたわみにより変化するマスクと試料との距離に応じて背景露光による補助露光を行う。
このため、本発明に係る電子ビーム近接露光装置は、マスクの各位置のたわみにより変化するマスクと試料との距離に応じて、前記補助露光をおこなう補助露光手段を備える。
そして、補助露光手段は、マスクの各位置において、同じ線幅の前記開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになるように補助露光を行う。
前記補助露光には、基本露光を行う際に使用する電子ビーム源による電子ビームの焦点をぼかせて使用することとしてよい。
【0016】
このように背景露光を基本露光に加えて行うことにより、完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際にマスクがたわみを有していても、同じ線幅のマスクの開口に対して露光されるパターンの線幅が等しくなるように露光されてパターン線幅のばらつきを防止することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る電子ビーム近接露光装置1の基本構成を示す図である。基本構成は、図19に示した構成に類似するため、図19と同一の機能部分には同一の参照符号を付して表す。
図示するように、電子ビーム近接露光装置1のカラム10には、電子ビーム15を発生する電子銃14、整形アパチャ16、電子ビーム15を平行ビームにする照射レンズ18、主偏向器20、および副偏向器50が設けられている。
【0018】
また、電子ビーム近接露光装置1は、偏光器制御部60、電子ビーム強度制御部62、照射レンズ制御部66を備える。偏光器制御部60は、主偏光器20および副偏光器50を制御し、主に電子ビーム15の走査を制御する。電子ビーム強度制御部62は電子銃14から照射される電子ビーム15の強度を制御する。そして、照射レンズ制御部66は照射レンズ18のレンズ強度を制御する。
【0019】
なお、主偏向器20と副偏向器50は、それぞれ1つの偏向器として示してあるが、実際には図19に示したようにそれぞれ2段構成になっている。真空試料室(チャンバ)8には、試料40をウエハチャック44により保持して移動するウエハステージ46が設けられている。なお、ウエハステージ46は、少なくとも2軸方向に移動可能である。
【0020】
補助露光は、基本露光時とは焦点位置をずらした電子ビーム源14の電子ビームを使用して行うのが好適であるが、マスク30を電子ビーム15の経路から外した状態で電子ビーム15を低い露光量で露光して行ってもよい。または、ウエハチャック44により試料40を降下させることにより電子ビーム15をぼかして、露光してもよい。
補助露光に使用する焦点をぼかした電子ビーム15は、例えば以下のような手段で生じさせることが可能である。
整形アパチャ16に、基本露光時に使用する絞り19aとは別に、より小さな絞り19bを設ける。図2に整形アパチャ16の上面図を示す。アパチャ駆動部63は、電子ビーム近接露光装置1が基本露光を行う際には、図2(a)に示すように電子ビーム15が絞り19aを通過するよう整形アパチャ16を移動させ、補助露光を行う際には、図2(b)に示すようにアパチャ絞り19bを通過するようアパチャ16を移動させる。
一方、照射レンズ制御部66は、補助露光を行う際に照射レンズ18のレンズ強度を変更して、電子ビーム15の焦点位置を試料40の鉛直線に沿ってずらすことにより電子ビーム15をぼかす。
【0021】
さらに、電子ビーム近接露光装置1は、補助露光手段71を備える。この補助露光手段71には、補助露光量記憶部73および補助露光量制御部75が設けられている。
【0022】
補助露光量記憶部73は、所定の強度、所定の平行度を有する電子ビーム15により基本露光した場合における、マスク30のたわみにより生じるマスク30と試料40の間隔の変動に対する、補助露光量をテーブルに記憶する。図3〜9を用いて、補助露光量記憶部73に記憶される補助露光量を説明する。
【0023】
図3(a)は、試料40およびレジスト層42の上方に位置する、自重によりたわんだマスク30を示す図である。図示の通りマスク30は、その中央部がたわみにより下降しているため、試料40との間隔(Dc)が周辺部における間隔(Do)よりも狭くなっている(Dc<Do)(図3(b))。
【0024】
図4および図5は、一定の露光量で基本露光を行った際の、マスク30の中央部および周辺部にある同じ線幅の開口を通過して露光された試料40のエネルギー蓄積量分布を示す。周辺部では中央部よりも試料40との間隔が広いために、エネルギー蓄積量分布が中央部よりもボケた分布となる。
図4と図5とは、レジスト層42の露光部分がパターンを形成するために必要な露光量のしきい値(エネルギー蓄積量En)の設定値が異なっている。図4および図5に示すとおり、周辺部および中央部の2つのエネルギー蓄積量分布では、同じエネルギー蓄積量Erがパターン線の中心から同じ位置で露光されるが、図4の場合では、前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量Enが、前記Erよりも高く設定されるのに対し(En>Er)、図5の場合では、EnがErよりも低く設定される(En>Er)。
【0025】
図4に示すように、En>Erのときは、基本露光時にエネルギー蓄積量En以上の露光量を露光されるパターン線幅は、周辺部の場合の方が中央部の場合よりも狭くなる(Wo<Wc)。よって、周辺部と中央部とが同じ線幅Wcでエネルギー蓄積量Enの露光量により解像させるためには、線幅Wcの位置における補助露光量ΔEa1が次式、
ΔEa1=En−E1
となる補助露光を、基本露光に追加して周辺部へ行えばよい。ここで、Enは前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量とし、E1は、線幅Wcの位置における基本露光時の周辺部の露光量とする。このような補助露光によるエネルギー蓄積量分布図を図6(b)に示す。また、図6(c)に、基本露光および上記補助露光を行った場合のエネルギー蓄積量分布を示す。図示するとおり、補助露光により周辺部のエネルギー蓄積量分布が全体に上に移動して、所望の線幅Wcの位置においてエネルギー蓄積量Eの露光量を露光する。
【0026】
En>Erの場合、マスク30と試料40の間隔が大きくなるにつれ、前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量Enと線幅Wcの位置における基本露光時の周辺部の露光量E1の差(En−E1)は大きくなる。したがって、補助露光量は、マスク30と試料40の間隔の増大に伴って大きくなる(図7(a))。また、このような補助露光を行った際にマスク30に露光される全体の露光量を図7(b)に示す。
【0027】
図5に示すように、En<Erのときは、基本露光時にエネルギー蓄積量Enの露光量により解像されるパターン線幅は、中央部の場合の方が周辺部の場合よりも狭くなる(Wo>Wc)。よって、中央部と周辺部とが同じ線幅Woでエネルギー蓄積量Enの露光量を露光するためには、線幅Woの位置における補助露光量ΔEa2が次式、
ΔEa2=En−E2
となる補助露光を、基本露光に追加して中央部へ行えばよい。ここで、Enは前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量とし、E2は、線幅Woの位置における基本露光時の周辺部の露光量とする。このような補助露光によるエネルギー蓄積量分布図を図8(b)に示す。また、図8(c)に、基本露光および上記補助露光を行った場合のエネルギー蓄積量分布を示す。図示するとおり、補助露光により中央部のエネルギー蓄積量分布が全体に上に移動して、所望の線幅Woの位置においてエネルギー蓄積量Enの露光量を露光する。
【0028】
En<Erの場合、マスク30と試料40の間隔が大きくなるにつれ、前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量Enと線幅Wcの位置における基本露光時の中央部の露光量E2の差(En−E2)は小さくなる。したがって、補助露光量は、マスク30と試料40の間隔の増大に伴って小さくなる(図9(a))。また、このような補助露光を行った際にマスク30に露光される全体の露光量を図9(b)に示す。
【0029】
補助露光手段71は、基本露光に追加して補助露光を行う。
その際、補助露光量制御部75は、補助露光量記憶部73に記憶した補助露光量に基づき、電子ビーム15の強度を電子ビーム強度制御部62により制御して、および/または電子ビーム15の走査速度を偏光器制御部60により制御して、電子ビーム15の補助露光量を制御する。補助露光量制御部75による電子ビーム15の補助露光量の制御を図10〜13を用いて説明する。
【0030】
図10は、偏光器20および50により走査される電子ビーム15の経路を示す図であり、ここに、電子ビーム15は、図示するようにA〜Kの順でマスク30上を走査される。また図11(a)〜(f)は、図7(a)の補助露光量に基づき露光量を修正した場合の、それぞれ経路A−B、E−F、I−J、B−C、F−G、J−Kにおける電子ビーム15の露光量を示した図である。
【0031】
上述の通り、図7(a)の補助露光量は、マスク30と試料40との間隔が狭いほど小さくなるように定められている。したがって露光量制御部75は、図11に示すとおりマスク30と試料40との間隔が狭くなる中心部を走査するにしたがって、補助露光量が小さくなるように露光量を修正する。
一方、露光量制御部75が、図9(a)の補助露光量に基づき露光量を修正する場合は、図12に示すように、マスク30と試料40との間隔が狭くなる中心部を走査するにしたがって、補助露光量が大きくなるように制御する。
【0032】
露光量は、単位面積当たりの電流値と照射時間との積により定められるので、と照射時間との積により定められる。したがって、補助露光量制御部75は、電子ビーム15の走査速度を偏光器制御部60によって変更するか、および/または強度を電子ビーム強度制御部62によって補助露光量を修正する。図13(a)〜(c)は、図7(a)の補助露光量に基づく経路A−B、E−F、I−Jにおける補助露光の走査速度を示したグラフであり、図13(d)〜(f)は、同補助露光量に基づく経路A−B、E−F、I−Jにおける補助露光の電子ビーム強度を示したグラフである。
【0033】
以上により、完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際に、マスク30がたわみを有していても、同じ線幅のマスクの開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになるように、マスク30へ背景露光を行うことにより、パターン線幅のばらつきを防止することが可能となる。
【0034】
図14は、本発明の実施例に係る電子ビーム近接露光装置のブロック構成図である。本実施例の電子ビーム近接露光装置1は、上述の基本構成に加えて、ビーム強度検出部81、たわみ量検出部83およびビーム平行度検出部85を備える。
ビーム強度検出部81は、電子ビーム強度センサ82により電子ビーム15の強度を検出し、その検出量を補助露光手段71内の補助露光量記憶部73に出力する。電子ビーム強度センサ82は、例えばウエハステージ46上に設けられるファラデーカップや、カラム内ファラデーカップとすることができる。
たわみ量検出部83およびビーム平行度検出部85は、それぞれウエハステージ46上に設けられたたわみ量センサ84ならびにビーム平行度センサ86から入力する検出信号により、マスク30のたわみ量および電子ビーム15の平行度を検出し、それぞれの検出量を補助露光量記憶部73に出力する。図15(a)にウエハステージ46上に設けられたたわみ量センサ84ならびにビーム平行度センサ86を示す。
【0035】
たわみ量センサ84は、ウエハステージ46によって移動されて、マスク30の各開口の下に位置する試料40の各位置に位置付けられ、その位置における試料40とマスク30との間隔を測定してたわみ量を検出する。たわみ量センサ84としては、静電容量センサを使用してよい。
たわみ量検出部83は、たわみ量センサ84からの検出信号に基づき、マスク30の全ての開口位置におけるたわみ量を補助露光量記憶部73に出力する。
この際に、たわみ量センサ84が、マスク30の全ての開口の位置についてのたわみ量を検出してもよく、または、たわみ量検出部83が、マスク30の全ての開口位置についてのたわみ量を、たわみ量センサ84が検出したサンプル位置におけるたわみ量に基づいて近似して求めてもよい。
【0036】
図15(b)に、ビーム平行度センサ86の構成の一例を示す。ビーム平行度センサ86は、その上部に電子ビーム15を成形して通過させるスリット87と、スリット87から間隔dを隔てて設けられ、スリット87によって成形された電子ビーム15の像を検出するビーム像検出体88を備えている。
ビーム平行度検出部85は、ビーム像検出体88に照射された電子ビーム15の像の大きさから、電子ビーム15の平行度を検出する。
【0037】
補助露光手段71内の補助露光量記憶部73は、所定幅のパターンで所定の基本露光を行った場合の、電子ビーム15の各強度、各平行度、マスク30の各たわみ量における、マスクへの補助露光量をテーブルに記憶する。
【0038】
図16は、本発明の実施例に係る電子ビーム近接露光装置の動作フローチャートである。まず、マスク30全体にわたって一定の露光量で基本露光を行う(S201)。そして、たわみ量検出部83により、マスク30の各開口の位置における試料40とマスク30との間隔を検出する(S203)。次にビーム平行度検出部85により、電子ビーム15の平行度を検出する(S205)。
【0039】
露光量制御部75は、検出された試料40とマスク30との間隔と電子ビーム15の平行度に対応する、焦点をぼかした電子ビームの露光量の補助露光量を補助露光量記憶部73に記憶されるテーブルから選択する(S207)。そして、補助露光量制御部75は、アパチャ駆動部64および照射レンズ制御部66により焦点をぼかした電子ビームを生じさせ(S209)、電子ビーム15の強度を電子ビーム強度制御部62により制御し、および/または電子ビーム15の走査速度を偏光器制御部60により制御し、焦点をぼかした電子ビーム15の露光量を制御して補助露光を行う(S211)。
【0040】
補助露光量は、マスク各開口位置のたわみ量に応じて、各部における基本露光量の不足分を補って、同じ線幅の開口に対して露光されるパターンが同じ線幅となるように定められる。
補助露光量を算出する方法の一例を図17および図18を用いて説明する。ここに図7は、補助露光量を算出する方法の一例を示すフローチャートであり、図18(a)は、あるビーム強度、ビーム平行度およびマスクたわみ量において、所定の線幅のパターンにより所定の基本露光を行った場合の、エネルギー蓄積量分布図である。
【0041】
まず、図18(a)に示したエネルギー蓄積量分布図から、所望のパターン線幅Wdの縁部位置における基本露光によるエネルギー蓄積量Edを算出する(S101)。
次に所定の補助露光量の補助露光による前記縁部位置のエネルギー蓄積量Ebを算出する(S103)。図18(b)に所定の補助露光量におけるエネルギー蓄積量分布部を示す。
予め設定されているしきい値露光量に対応するエネルギー蓄積量Enと、基本露光による縁部位置のエネルギー蓄積量Edとの差(Ed−En)を算出する(S105)。
前記エネルギー蓄積量の差(Ed−En)と補助露光量時の前記縁部位置のエネルギー蓄積量Edの比(Ed−En)/Ebを求め(図18(b))、これを前記所定の補助露光量を乗じて補助露光量を得る(S107)。
【0042】
このように定まる補助露光量で補助露光することにより、図18(a)に示すような基本露光によるエネルギー蓄積量分布が、図18(c)に示すように上方へ移動し、所望のパターンの線幅Wd内において、エネルギー蓄積量Enの露光がなされることになる。以上により、同じ線幅の開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになる。
【0043】
補助露光量記憶部73は、ビーム強度検出部81により検出されたビーム強度、たわみ量検出部83により検出されたたわみ量、およびビーム平行度検出部85により検出された電子ビームの平行度に対応する補助露光量を、補助露光量制御部75に出力する。
補助露光量制御部75は、補助露光量記憶部73により出力された補助露光量に基づいて、試料40各部に補助露光を行う際の電子ビーム15の強度、および/または走査速度を修正して電子ビーム照射量を修正する。
【0044】
なお、補助露光は、基本露光時とは焦点位置をずらした(デフォーカスした)電子ビーム源14の電子ビームを使用して行うのが好適であるが、マスク30を電子ビーム15の経路から外した状態で電子ビーム15を低い露光量で露光して行ってもよい。または、ウエハチャック44により試料40を降下させることにより電子ビーム15をぼかして露光してもよい。焦点位置をずらした電子ビームは、基本構成に関して例示した方法以外により実現することとしてもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際に、マスクのたわみによるパターン線幅のばらつきを修正する電子ビーム近接装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。
【図2】整形アパチャ16の上面図である。
【図3】試料およびレジスト層の上方に位置し、自重によりたわんだマスクを示す図である。
【図4】マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された、基本露光によるエネルギー蓄積量分布図(その1)である。
【図5】マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された、基本露光によるエネルギー蓄積量分布図(その2)である。
【図6】(a)は、マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された基本露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(b)はマスク周辺部に露光する補助露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(c)はマスク周辺部に露光する基本露光および補助露光によるエネルギー蓄積量分布図である。
【図7】(a)は、図4に示すエネルギー蓄積量分布の場合の、マスクと試料との間隔と補助露光量の関係を示すグラフであり、(b)は、試料との間隔とマスク露光量の関係を示すグラフである。
【図8】(a)は、マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された基本露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(b)はマスク中央部に露光する補助露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(c)はマスク中央部に露光する基本露光および補助露光によるエネルギー蓄積量分布図である。
【図9】(a)は、図5に示すエネルギー蓄積量分布の場合の、マスクと試料との間隔と補助露光量の関係を示すグラフであり、(b)は、試料との間隔とマスク露光量の関係を示すグラフである。
【図10】本発明に係る電子ビーム近接露光装置による電子ビーム15の経路の例を示す図である。
【図11】図7(a)の補助露光量を適用した場合の、それぞれ経路における電子ビーム15の補助露光量を示す図である。
【図12】図9(c)の補助露光量を適用した場合の、それぞれ経路における電子ビーム15の補助露光量を示す図である。
【図13】図7(a)の補助露光量に基づき露光量を修正した場合の、それぞれの経路における補助露光の走査速度と電子ビーム強度を示す図である。
【図14】本発明に係る第1実施例である電子ビーム近接露光装置のブロック構成図である。
【図15】(a)は、ウエハステージ46上に設けられたたわみ量センサおよびビーム平行度センサを示す図であり、(b)はビーム平行度センサの構成の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施例に係る電子ビーム近接露光装置の動作フローチャートである。
【図17】補助露光量を算出する方法の一例を示すフローチャートである。
【図18】(a)は、基本露光により所定の線幅のパターンを露光したエネルギー蓄積量分布図であり、(b)は、補助露光のエネルギー蓄積量分布図であり、(c)は、基本露光後に補助露光したエネルギー蓄積量分布図である。
【図19】従来の電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。
【図20】(a)は、従来の電子ビーム近接露光装置の電子ビームの走査例を示す図であり、(b)、(c)は(a)の経路A−A’、B−Bにおける露光量を示すグラフである。
【図21】マスク薄膜部に生ずる自重によるたわみを示す図である。
【図22】マスクの中央部と周辺部の開口を通過して試料に照射するエネルギー蓄積量分布図である。
【符号の説明】
1…電子ビーム近接露光装置
14…電子ビーム源
15…電子ビーム
20…主偏光器
50…副偏光器
30…マスク
32…薄膜部
34…外縁部
40…試料(半導体ウエハ)
42…レジスト層
60…偏光器制御部
62…電子ビーム強度制御部
71…補助露光手段
73…補助露光量記憶部
75…補助露光量制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路などの製造工程で使用される微細パターンを露光する露光装置に関し、特に露光パターンに対応する開口を有するマスクを半導体ウエハなどの試料の表面に近接して配置し、マスクに電子ビームを照射して開口を通過した電子ビームで露光を行う電子ビーム近接露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の高集積化のニーズに伴い、回路パターンの一層の微細化が要望されている。現在、微細化の限界を規定しているのは主として露光装置であり、電子ビーム直接描画装置やX線露光装置などの新しい方式の露光装置が開発されている。
【0003】
最近では新しい方式の露光装置として、量産レベルで超微細加工用に使用可能な電子ビーム近接露光装置が開示されている(例えば特許文献1、およびこれに対応する日本国特許出願の特許文献2)。
【0004】
図19は、特許文献1に開示された電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この図を参照して、従来の電子ビーム近接露光装置について簡単に説明する。図示するように、電子光学鏡筒(カラム)10内には、電子ビーム15を発生する電子ビーム源14と整形アパチャ16と電子ビーム15を平行ビームにする照射レンズ18とを有する電子銃12、対となる主偏向器22、24と、対となる副偏向器51、52とを含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段21、露光するパターンに対応する開口を有するマスク30、および表面にレジスト層42が形成された試料(半導体ウエハ)40が設けられている。
マスク30は、厚い外縁部34内の中央に開口の形成された薄膜部32を有しており、試料40は表面がマスク30に近接するように配置される。この状態で、マスクに垂直に電子ビームを照射すると、マスクの開口を通過した電子ビームが試料40の表面のレジスト層42に照射される。
【0005】
電子ビーム15は、走査手段21により偏向されて、図20(a)に示すようにマスク30の薄膜部32上を走査して全面にわたって露光する。ここに電子ビーム15の露光量は、単位面積当たりに照射される電流量と照射時間との積(μA・t/cm2)、または単位面積当たりに照射される電子ビーム15のクーロン量(μC/cm2)により定義される。この露光量の分布にむらがあると、現像後のレジストのパターン線幅の誤差を生じる。したがって、従来はパターン線幅を一定にするためにマスク薄膜部32への電子ビーム15の露光量をできるだけ一定にしていた。図20(b)、(c)は、このような走査方法による図20(a)の経路A−A’、B−Bにおける露光量を示す。
【0006】
また、回路パターンを微細化するためには、マスク30の開口の線幅を狭くする必要がある。そして、このような狭い線幅の開口に電子ビーム15を通過させて微細化されたパターンを精度良くマスクに整形させ、または所望のパターンを得るために位置補正を行うためには、マスク薄膜部32が非常に薄く形成されることが要求される。
その一方で、露光装置のスループットを上げるために、できるだけ大きなパターン(例えば1ダイ分)を同じマスクで露光する必要があり、マスク薄膜部32はその面積を大きく形成されることも要求される。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第5,831,272号公報(全体)
【特許文献2】
日本特許第2951947号公報(全体)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の電子ビーム15を完全な平行ビームにすることはできない。その理由は、次の通りである。
第1に、電子ビーム15は、光源である電子ビーム源14から発生し、空間電荷効果などにより、完全な点光源とはならず、それを照射レンズ18によって完全な平行ビームにすることはできない。
第2に、電子ビーム15は、照射レンズ18による収差が含んでいる。
第3に、電子ビーム15が有するクーロン効果により、照射レンズ18が完全な電子ビームを得たとしても、行程が進むにつれ徐々に拡散する。
【0009】
一方で、上述の理由により、マスク薄膜部32は薄くかつ大きく形成されることが要求される。その結果、応力を適切に調節したとしてもマスク薄膜部32は自重による微少なたわみを生じる(図21)。マスク薄膜部32のたわみは、その中央部の開口101cの位置と周辺部の開口101oの位置とで、マスク薄膜部32と試料40との間隔(ギャップ)の相違を生じさせる(通常Dc<Do)。
このように、マスク薄膜部32の中央部と周辺部とではマスク薄膜部32との間隔が異なり、かつ電子ビーム15が完全な平行ビームでないために、マスク薄膜部32の周辺部の開口101oを通過した電子ビーム15oと、中央部の開口101cを通過した電子ビーム15cとはボケ方が相違する。
その結果、マスク薄膜部の中央部と周辺部にある同一形状の開口101cと101oに同じ露光量の電子ビーム15に露光すると、開口101cと101oを通過する電子ビームが照射される試料の40c部分と40o部分とでは、エネルギー蓄積量分布が相違することになる。図22に、試料の40c部分と40o部分とにおけるエネルギー蓄積量分布を示す。
【0010】
電子ビーム15の露光量は、上記露光の後に現像されるレジスト層42上に現れるパターンの線幅が、所望の幅となるように定められる。そして、予め設定されたしきい値以上の露光量が露光されたレジスト層42のみが除去されまたは残留してパターンを形成する。また上述の通り、電子ビーム15の露光量は、単位面積当たりに照射される電流量と照射時間との積(μA・t/cm2)、または単位面積当たりに照射される電子ビーム15のクーロン量(ドーズ量:μC/cm2)により定められる。
【0011】
したがって、図20に示した従来の電子ビーム走査方法によりマスク30全体にわたって露光量が一様になるように露光すると、試料40とマスク薄膜部32との間隔の相違より、エネルギー蓄積量分布が部分的に相違する。
そして、かかるエネルギー蓄積量分布の部分的な相違により、マスク薄膜部32各部の開口を通過する電子ビームにより露光されるパターンには、前記しきい値の露光がなされる線幅のばらつきが生じる。
【0012】
例えば図21の例では、マスクの中央部の開口101cに対応する40c部分では、パターンの線の中心からの距離がWc/2以内の範囲でしきい値Enのエネルギーが蓄積されて線幅Wcのパターンが形成される。これに対してマスクの周辺部の開口101oに対応する40o部分では、パターンの線の中心からの距離がWo/2以内の範囲でしきい値Enのエネルギーが蓄積されて線幅Wo(<Wc)のパターンが形成される。
【0013】
この線幅のばらつきは非常に微少ではあるが、半導体集積回路の高集積化に伴い、線幅のばらつきの許容範囲も厳しくなっている。例えば、現状の65nmノードの半導体集積回路では許される許容範囲は6.5nm以内とされる。しかも、電子ビーム近接露光装置のように等倍露光を行う場合では、マスク不均一などの上記以外の理由により生じる、パターン線幅に対する影響が大きい。したがって、上述のマスクたわみと電子ビーム非平行性とによる線幅のばらつきは、可能な限り修正する必要がある。
【0014】
本発明の目的は、電子ビームにより露光を行う際に、完全にコリメートすることができないために生じるマスクのたわみによるパターン線幅のばらつきを修正する電子ビーム近接露光装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る電子ビーム近接露光装置は、マスク全面にわたって一定の露光量で露光するのに加え(以下、「基本露光」と記す)、マスクの各位置のたわみにより変化するマスクと試料との距離に応じて背景露光による補助露光を行う。
このため、本発明に係る電子ビーム近接露光装置は、マスクの各位置のたわみにより変化するマスクと試料との距離に応じて、前記補助露光をおこなう補助露光手段を備える。
そして、補助露光手段は、マスクの各位置において、同じ線幅の前記開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになるように補助露光を行う。
前記補助露光には、基本露光を行う際に使用する電子ビーム源による電子ビームの焦点をぼかせて使用することとしてよい。
【0016】
このように背景露光を基本露光に加えて行うことにより、完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際にマスクがたわみを有していても、同じ線幅のマスクの開口に対して露光されるパターンの線幅が等しくなるように露光されてパターン線幅のばらつきを防止することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る電子ビーム近接露光装置1の基本構成を示す図である。基本構成は、図19に示した構成に類似するため、図19と同一の機能部分には同一の参照符号を付して表す。
図示するように、電子ビーム近接露光装置1のカラム10には、電子ビーム15を発生する電子銃14、整形アパチャ16、電子ビーム15を平行ビームにする照射レンズ18、主偏向器20、および副偏向器50が設けられている。
【0018】
また、電子ビーム近接露光装置1は、偏光器制御部60、電子ビーム強度制御部62、照射レンズ制御部66を備える。偏光器制御部60は、主偏光器20および副偏光器50を制御し、主に電子ビーム15の走査を制御する。電子ビーム強度制御部62は電子銃14から照射される電子ビーム15の強度を制御する。そして、照射レンズ制御部66は照射レンズ18のレンズ強度を制御する。
【0019】
なお、主偏向器20と副偏向器50は、それぞれ1つの偏向器として示してあるが、実際には図19に示したようにそれぞれ2段構成になっている。真空試料室(チャンバ)8には、試料40をウエハチャック44により保持して移動するウエハステージ46が設けられている。なお、ウエハステージ46は、少なくとも2軸方向に移動可能である。
【0020】
補助露光は、基本露光時とは焦点位置をずらした電子ビーム源14の電子ビームを使用して行うのが好適であるが、マスク30を電子ビーム15の経路から外した状態で電子ビーム15を低い露光量で露光して行ってもよい。または、ウエハチャック44により試料40を降下させることにより電子ビーム15をぼかして、露光してもよい。
補助露光に使用する焦点をぼかした電子ビーム15は、例えば以下のような手段で生じさせることが可能である。
整形アパチャ16に、基本露光時に使用する絞り19aとは別に、より小さな絞り19bを設ける。図2に整形アパチャ16の上面図を示す。アパチャ駆動部63は、電子ビーム近接露光装置1が基本露光を行う際には、図2(a)に示すように電子ビーム15が絞り19aを通過するよう整形アパチャ16を移動させ、補助露光を行う際には、図2(b)に示すようにアパチャ絞り19bを通過するようアパチャ16を移動させる。
一方、照射レンズ制御部66は、補助露光を行う際に照射レンズ18のレンズ強度を変更して、電子ビーム15の焦点位置を試料40の鉛直線に沿ってずらすことにより電子ビーム15をぼかす。
【0021】
さらに、電子ビーム近接露光装置1は、補助露光手段71を備える。この補助露光手段71には、補助露光量記憶部73および補助露光量制御部75が設けられている。
【0022】
補助露光量記憶部73は、所定の強度、所定の平行度を有する電子ビーム15により基本露光した場合における、マスク30のたわみにより生じるマスク30と試料40の間隔の変動に対する、補助露光量をテーブルに記憶する。図3〜9を用いて、補助露光量記憶部73に記憶される補助露光量を説明する。
【0023】
図3(a)は、試料40およびレジスト層42の上方に位置する、自重によりたわんだマスク30を示す図である。図示の通りマスク30は、その中央部がたわみにより下降しているため、試料40との間隔(Dc)が周辺部における間隔(Do)よりも狭くなっている(Dc<Do)(図3(b))。
【0024】
図4および図5は、一定の露光量で基本露光を行った際の、マスク30の中央部および周辺部にある同じ線幅の開口を通過して露光された試料40のエネルギー蓄積量分布を示す。周辺部では中央部よりも試料40との間隔が広いために、エネルギー蓄積量分布が中央部よりもボケた分布となる。
図4と図5とは、レジスト層42の露光部分がパターンを形成するために必要な露光量のしきい値(エネルギー蓄積量En)の設定値が異なっている。図4および図5に示すとおり、周辺部および中央部の2つのエネルギー蓄積量分布では、同じエネルギー蓄積量Erがパターン線の中心から同じ位置で露光されるが、図4の場合では、前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量Enが、前記Erよりも高く設定されるのに対し(En>Er)、図5の場合では、EnがErよりも低く設定される(En>Er)。
【0025】
図4に示すように、En>Erのときは、基本露光時にエネルギー蓄積量En以上の露光量を露光されるパターン線幅は、周辺部の場合の方が中央部の場合よりも狭くなる(Wo<Wc)。よって、周辺部と中央部とが同じ線幅Wcでエネルギー蓄積量Enの露光量により解像させるためには、線幅Wcの位置における補助露光量ΔEa1が次式、
ΔEa1=En−E1
となる補助露光を、基本露光に追加して周辺部へ行えばよい。ここで、Enは前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量とし、E1は、線幅Wcの位置における基本露光時の周辺部の露光量とする。このような補助露光によるエネルギー蓄積量分布図を図6(b)に示す。また、図6(c)に、基本露光および上記補助露光を行った場合のエネルギー蓄積量分布を示す。図示するとおり、補助露光により周辺部のエネルギー蓄積量分布が全体に上に移動して、所望の線幅Wcの位置においてエネルギー蓄積量Eの露光量を露光する。
【0026】
En>Erの場合、マスク30と試料40の間隔が大きくなるにつれ、前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量Enと線幅Wcの位置における基本露光時の周辺部の露光量E1の差(En−E1)は大きくなる。したがって、補助露光量は、マスク30と試料40の間隔の増大に伴って大きくなる(図7(a))。また、このような補助露光を行った際にマスク30に露光される全体の露光量を図7(b)に示す。
【0027】
図5に示すように、En<Erのときは、基本露光時にエネルギー蓄積量Enの露光量により解像されるパターン線幅は、中央部の場合の方が周辺部の場合よりも狭くなる(Wo>Wc)。よって、中央部と周辺部とが同じ線幅Woでエネルギー蓄積量Enの露光量を露光するためには、線幅Woの位置における補助露光量ΔEa2が次式、
ΔEa2=En−E2
となる補助露光を、基本露光に追加して中央部へ行えばよい。ここで、Enは前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量とし、E2は、線幅Woの位置における基本露光時の周辺部の露光量とする。このような補助露光によるエネルギー蓄積量分布図を図8(b)に示す。また、図8(c)に、基本露光および上記補助露光を行った場合のエネルギー蓄積量分布を示す。図示するとおり、補助露光により中央部のエネルギー蓄積量分布が全体に上に移動して、所望の線幅Woの位置においてエネルギー蓄積量Enの露光量を露光する。
【0028】
En<Erの場合、マスク30と試料40の間隔が大きくなるにつれ、前記しきい値の露光量に対応するエネルギー蓄積量Enと線幅Wcの位置における基本露光時の中央部の露光量E2の差(En−E2)は小さくなる。したがって、補助露光量は、マスク30と試料40の間隔の増大に伴って小さくなる(図9(a))。また、このような補助露光を行った際にマスク30に露光される全体の露光量を図9(b)に示す。
【0029】
補助露光手段71は、基本露光に追加して補助露光を行う。
その際、補助露光量制御部75は、補助露光量記憶部73に記憶した補助露光量に基づき、電子ビーム15の強度を電子ビーム強度制御部62により制御して、および/または電子ビーム15の走査速度を偏光器制御部60により制御して、電子ビーム15の補助露光量を制御する。補助露光量制御部75による電子ビーム15の補助露光量の制御を図10〜13を用いて説明する。
【0030】
図10は、偏光器20および50により走査される電子ビーム15の経路を示す図であり、ここに、電子ビーム15は、図示するようにA〜Kの順でマスク30上を走査される。また図11(a)〜(f)は、図7(a)の補助露光量に基づき露光量を修正した場合の、それぞれ経路A−B、E−F、I−J、B−C、F−G、J−Kにおける電子ビーム15の露光量を示した図である。
【0031】
上述の通り、図7(a)の補助露光量は、マスク30と試料40との間隔が狭いほど小さくなるように定められている。したがって露光量制御部75は、図11に示すとおりマスク30と試料40との間隔が狭くなる中心部を走査するにしたがって、補助露光量が小さくなるように露光量を修正する。
一方、露光量制御部75が、図9(a)の補助露光量に基づき露光量を修正する場合は、図12に示すように、マスク30と試料40との間隔が狭くなる中心部を走査するにしたがって、補助露光量が大きくなるように制御する。
【0032】
露光量は、単位面積当たりの電流値と照射時間との積により定められるので、と照射時間との積により定められる。したがって、補助露光量制御部75は、電子ビーム15の走査速度を偏光器制御部60によって変更するか、および/または強度を電子ビーム強度制御部62によって補助露光量を修正する。図13(a)〜(c)は、図7(a)の補助露光量に基づく経路A−B、E−F、I−Jにおける補助露光の走査速度を示したグラフであり、図13(d)〜(f)は、同補助露光量に基づく経路A−B、E−F、I−Jにおける補助露光の電子ビーム強度を示したグラフである。
【0033】
以上により、完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際に、マスク30がたわみを有していても、同じ線幅のマスクの開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになるように、マスク30へ背景露光を行うことにより、パターン線幅のばらつきを防止することが可能となる。
【0034】
図14は、本発明の実施例に係る電子ビーム近接露光装置のブロック構成図である。本実施例の電子ビーム近接露光装置1は、上述の基本構成に加えて、ビーム強度検出部81、たわみ量検出部83およびビーム平行度検出部85を備える。
ビーム強度検出部81は、電子ビーム強度センサ82により電子ビーム15の強度を検出し、その検出量を補助露光手段71内の補助露光量記憶部73に出力する。電子ビーム強度センサ82は、例えばウエハステージ46上に設けられるファラデーカップや、カラム内ファラデーカップとすることができる。
たわみ量検出部83およびビーム平行度検出部85は、それぞれウエハステージ46上に設けられたたわみ量センサ84ならびにビーム平行度センサ86から入力する検出信号により、マスク30のたわみ量および電子ビーム15の平行度を検出し、それぞれの検出量を補助露光量記憶部73に出力する。図15(a)にウエハステージ46上に設けられたたわみ量センサ84ならびにビーム平行度センサ86を示す。
【0035】
たわみ量センサ84は、ウエハステージ46によって移動されて、マスク30の各開口の下に位置する試料40の各位置に位置付けられ、その位置における試料40とマスク30との間隔を測定してたわみ量を検出する。たわみ量センサ84としては、静電容量センサを使用してよい。
たわみ量検出部83は、たわみ量センサ84からの検出信号に基づき、マスク30の全ての開口位置におけるたわみ量を補助露光量記憶部73に出力する。
この際に、たわみ量センサ84が、マスク30の全ての開口の位置についてのたわみ量を検出してもよく、または、たわみ量検出部83が、マスク30の全ての開口位置についてのたわみ量を、たわみ量センサ84が検出したサンプル位置におけるたわみ量に基づいて近似して求めてもよい。
【0036】
図15(b)に、ビーム平行度センサ86の構成の一例を示す。ビーム平行度センサ86は、その上部に電子ビーム15を成形して通過させるスリット87と、スリット87から間隔dを隔てて設けられ、スリット87によって成形された電子ビーム15の像を検出するビーム像検出体88を備えている。
ビーム平行度検出部85は、ビーム像検出体88に照射された電子ビーム15の像の大きさから、電子ビーム15の平行度を検出する。
【0037】
補助露光手段71内の補助露光量記憶部73は、所定幅のパターンで所定の基本露光を行った場合の、電子ビーム15の各強度、各平行度、マスク30の各たわみ量における、マスクへの補助露光量をテーブルに記憶する。
【0038】
図16は、本発明の実施例に係る電子ビーム近接露光装置の動作フローチャートである。まず、マスク30全体にわたって一定の露光量で基本露光を行う(S201)。そして、たわみ量検出部83により、マスク30の各開口の位置における試料40とマスク30との間隔を検出する(S203)。次にビーム平行度検出部85により、電子ビーム15の平行度を検出する(S205)。
【0039】
露光量制御部75は、検出された試料40とマスク30との間隔と電子ビーム15の平行度に対応する、焦点をぼかした電子ビームの露光量の補助露光量を補助露光量記憶部73に記憶されるテーブルから選択する(S207)。そして、補助露光量制御部75は、アパチャ駆動部64および照射レンズ制御部66により焦点をぼかした電子ビームを生じさせ(S209)、電子ビーム15の強度を電子ビーム強度制御部62により制御し、および/または電子ビーム15の走査速度を偏光器制御部60により制御し、焦点をぼかした電子ビーム15の露光量を制御して補助露光を行う(S211)。
【0040】
補助露光量は、マスク各開口位置のたわみ量に応じて、各部における基本露光量の不足分を補って、同じ線幅の開口に対して露光されるパターンが同じ線幅となるように定められる。
補助露光量を算出する方法の一例を図17および図18を用いて説明する。ここに図7は、補助露光量を算出する方法の一例を示すフローチャートであり、図18(a)は、あるビーム強度、ビーム平行度およびマスクたわみ量において、所定の線幅のパターンにより所定の基本露光を行った場合の、エネルギー蓄積量分布図である。
【0041】
まず、図18(a)に示したエネルギー蓄積量分布図から、所望のパターン線幅Wdの縁部位置における基本露光によるエネルギー蓄積量Edを算出する(S101)。
次に所定の補助露光量の補助露光による前記縁部位置のエネルギー蓄積量Ebを算出する(S103)。図18(b)に所定の補助露光量におけるエネルギー蓄積量分布部を示す。
予め設定されているしきい値露光量に対応するエネルギー蓄積量Enと、基本露光による縁部位置のエネルギー蓄積量Edとの差(Ed−En)を算出する(S105)。
前記エネルギー蓄積量の差(Ed−En)と補助露光量時の前記縁部位置のエネルギー蓄積量Edの比(Ed−En)/Ebを求め(図18(b))、これを前記所定の補助露光量を乗じて補助露光量を得る(S107)。
【0042】
このように定まる補助露光量で補助露光することにより、図18(a)に示すような基本露光によるエネルギー蓄積量分布が、図18(c)に示すように上方へ移動し、所望のパターンの線幅Wd内において、エネルギー蓄積量Enの露光がなされることになる。以上により、同じ線幅の開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになる。
【0043】
補助露光量記憶部73は、ビーム強度検出部81により検出されたビーム強度、たわみ量検出部83により検出されたたわみ量、およびビーム平行度検出部85により検出された電子ビームの平行度に対応する補助露光量を、補助露光量制御部75に出力する。
補助露光量制御部75は、補助露光量記憶部73により出力された補助露光量に基づいて、試料40各部に補助露光を行う際の電子ビーム15の強度、および/または走査速度を修正して電子ビーム照射量を修正する。
【0044】
なお、補助露光は、基本露光時とは焦点位置をずらした(デフォーカスした)電子ビーム源14の電子ビームを使用して行うのが好適であるが、マスク30を電子ビーム15の経路から外した状態で電子ビーム15を低い露光量で露光して行ってもよい。または、ウエハチャック44により試料40を降下させることにより電子ビーム15をぼかして露光してもよい。焦点位置をずらした電子ビームは、基本構成に関して例示した方法以外により実現することとしてもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明により、完全に平行にはできない電子ビームにより露光を行う際に、マスクのたわみによるパターン線幅のばらつきを修正する電子ビーム近接装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。
【図2】整形アパチャ16の上面図である。
【図3】試料およびレジスト層の上方に位置し、自重によりたわんだマスクを示す図である。
【図4】マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された、基本露光によるエネルギー蓄積量分布図(その1)である。
【図5】マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された、基本露光によるエネルギー蓄積量分布図(その2)である。
【図6】(a)は、マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された基本露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(b)はマスク周辺部に露光する補助露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(c)はマスク周辺部に露光する基本露光および補助露光によるエネルギー蓄積量分布図である。
【図7】(a)は、図4に示すエネルギー蓄積量分布の場合の、マスクと試料との間隔と補助露光量の関係を示すグラフであり、(b)は、試料との間隔とマスク露光量の関係を示すグラフである。
【図8】(a)は、マスクの中央部および周辺部にある開口を通過して露光された基本露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(b)はマスク中央部に露光する補助露光によるエネルギー蓄積量分布図であり、(c)はマスク中央部に露光する基本露光および補助露光によるエネルギー蓄積量分布図である。
【図9】(a)は、図5に示すエネルギー蓄積量分布の場合の、マスクと試料との間隔と補助露光量の関係を示すグラフであり、(b)は、試料との間隔とマスク露光量の関係を示すグラフである。
【図10】本発明に係る電子ビーム近接露光装置による電子ビーム15の経路の例を示す図である。
【図11】図7(a)の補助露光量を適用した場合の、それぞれ経路における電子ビーム15の補助露光量を示す図である。
【図12】図9(c)の補助露光量を適用した場合の、それぞれ経路における電子ビーム15の補助露光量を示す図である。
【図13】図7(a)の補助露光量に基づき露光量を修正した場合の、それぞれの経路における補助露光の走査速度と電子ビーム強度を示す図である。
【図14】本発明に係る第1実施例である電子ビーム近接露光装置のブロック構成図である。
【図15】(a)は、ウエハステージ46上に設けられたたわみ量センサおよびビーム平行度センサを示す図であり、(b)はビーム平行度センサの構成の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施例に係る電子ビーム近接露光装置の動作フローチャートである。
【図17】補助露光量を算出する方法の一例を示すフローチャートである。
【図18】(a)は、基本露光により所定の線幅のパターンを露光したエネルギー蓄積量分布図であり、(b)は、補助露光のエネルギー蓄積量分布図であり、(c)は、基本露光後に補助露光したエネルギー蓄積量分布図である。
【図19】従来の電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。
【図20】(a)は、従来の電子ビーム近接露光装置の電子ビームの走査例を示す図であり、(b)、(c)は(a)の経路A−A’、B−Bにおける露光量を示すグラフである。
【図21】マスク薄膜部に生ずる自重によるたわみを示す図である。
【図22】マスクの中央部と周辺部の開口を通過して試料に照射するエネルギー蓄積量分布図である。
【符号の説明】
1…電子ビーム近接露光装置
14…電子ビーム源
15…電子ビーム
20…主偏光器
50…副偏光器
30…マスク
32…薄膜部
34…外縁部
40…試料(半導体ウエハ)
42…レジスト層
60…偏光器制御部
62…電子ビーム強度制御部
71…補助露光手段
73…補助露光量記憶部
75…補助露光量制御部
Claims (14)
- 電子ビームを発生する電子ビーム源と、
前記電子ビームの経路中に配置され開口を有するマスクとを備え、
前記マスクの開口を通過した電子ビームで、前記試料の表面に前記開口に対応するパターンを露光する電子ビーム露光装置であって、
前記マスクの各位置のたわみにより変化する、前記マスクと前記試料との距離に応じて、背景露光を行う補助露光手段を備えることを特徴とする電子ビーム露光装置。 - 前記補助露光手段は、前記マスクの各位置のたわみにより変化する前記マスクと前記試料との距離に応じて、焦点をぼかした電子ビームにより前記背景露光を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子ビーム露光装置。
- 前記補助露光手段は、前記マスクの各位置において、同じ線幅の前記開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになるように、前記焦点をぼかした電子ビームを露光することを特徴とする請求項2に記載の電子ビーム露光装置。
- 前記電子ビームを走査して前記マスクに一様に露光する基本露光を行い、焦点をぼかした電子ビームによる前記背景露光を前記基本露光に追加して行うことを特徴とする請求項2に記載の電子ビーム露光装置。
- 前記電子ビームの露光を前記電子ビームを走査して行い、
前記補助露光手段は、前記電子ビームの走査速度を変更することにより前記焦点をぼかした電子ビームの露光量を変更することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の電子ビーム露光装置。 - 前記電子ビームの露光を前記電子ビームを走査して行い、
前記補助露光手段は、前記電子ビーム源の前記電子ビーム強度を変更することにより前記焦点をぼかした電子ビームの露光量を変更することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の電子ビーム露光装置。 - さらに、前記マスクのたわみ量を検出するたわみ量検出部を備え、
前記補助露光手段は、検出された前記たわみ量に基づき、前記焦点をぼかした電子ビームの露光量を変更することを特徴とする請求項2〜4の何れか一項に記載の電子ビーム露光装置。 - 電子ビーム源から発生する電子ビームを、露光するパターンに対応する開口を有するマスクに照射し、前記開口を通過する電子ビームで、試料表面に前記開口に対応するパターンを露光する電子ビーム露光方法であって、
前記マスクの各位置のたわみにより変化する、前記マスクと前記試料との距離に応じて、背景露光を行う補助露光ステップを備えることを特徴とする電子ビーム電子ビーム露光方法。 - 前記補助露光ステップは、前記マスクの各位置のたわみにより変化する前記マスクと前記試料との距離に応じて、焦点をぼかした電子ビームにより前記背景露光を行うことを特徴とする請求項8に記載の電子ビーム露光方法。
- 前記補助露光ステップは、前記マスクの各位置において、同じ線幅の前記開口に対して露光されるパターンの線幅が同じになるように、前記焦点をぼかした電子ビームを露光することを特徴とする請求項8に記載の電子ビーム露光方法。
- 前記電子ビームを走査して前記マスクに一様に露光する基本露光ステップを備え、前記補助露光ステップを前記基本露光ステップに追加して行うことを特徴とする請求項8に記載の電子ビーム露光方法。
- 前記電子ビームの露光を前記電子ビームを走査して行い、
前記補助露光ステップは、前記電子ビームの走査速度を変更することにより前記焦点をぼかした電子ビームの露光量を変更することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電子ビーム露光方法。 - 前記電子ビームの露光を前記電子ビームを走査して行い、
前記補助露光ステップは、前記電子ビーム源の前記電子ビーム強度を変更することにより前記焦点をぼかした電子ビームの露光量を変更することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電子ビーム露光方法。 - さらに、前記マスクのたわみ量を検出するたわみ量検出ステップを備え、
前記補助露光ステップは、検出された前記たわみ量に基づき、前記焦点をぼかした電子ビームの露光量を変更することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の電子ビーム露光方法。
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---|---|---|---|
JP2003072117A JP2004281774A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 電子ビーム露光装置及び電子ビーム露光方法 |
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JP (1) | JP2004281774A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111880383A (zh) * | 2020-09-11 | 2020-11-03 | 华中科技大学 | 一种高密度光刻图案处理方法 |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072117A patent/JP2004281774A/ja active Pending
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