JP2004278857A - 蓄熱槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】潜熱蓄熱材の体積変化を確実に吸収できる密閉容器を備えた蓄熱槽を提供する。
【解決手段】蓄熱ユニット(40)は密閉容器(43)を備える。この密閉容器(43)には、潜熱蓄熱材(47)及び充填ガスが密封されている。また、密封容器(43)は、蓄熱材貯留部(44)と、ガス貯留部(45)と、連通部(46)とを備えている。ガス貯留部(45)の側壁(61)は、伸縮自在の蛇腹状に形成されている。上記側壁(61)は、潜熱蓄熱材(47)の全てが融解した状態における液面よりも上方に位置している。つまり、この側壁(61)には、常に充填ガスだけが接触しており、潜熱蓄熱材(47)は接触していない。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47)が融解すると、側壁(61)が伸長して密閉容器(43)の容積を増加させる。一方、潜熱蓄熱材(47)が凝固すると、側壁(61)が収縮して密閉容器(43)の容積を減少させる。
【選択図】 図2
【解決手段】蓄熱ユニット(40)は密閉容器(43)を備える。この密閉容器(43)には、潜熱蓄熱材(47)及び充填ガスが密封されている。また、密封容器(43)は、蓄熱材貯留部(44)と、ガス貯留部(45)と、連通部(46)とを備えている。ガス貯留部(45)の側壁(61)は、伸縮自在の蛇腹状に形成されている。上記側壁(61)は、潜熱蓄熱材(47)の全てが融解した状態における液面よりも上方に位置している。つまり、この側壁(61)には、常に充填ガスだけが接触しており、潜熱蓄熱材(47)は接触していない。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47)が融解すると、側壁(61)が伸長して密閉容器(43)の容積を増加させる。一方、潜熱蓄熱材(47)が凝固すると、側壁(61)が収縮して密閉容器(43)の容積を減少させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜熱蓄熱材の相変化を利用して蓄熱を行う蓄熱槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特許文献1に開示されているように、潜熱蓄熱材を利用した蓄熱装置が知られている。この蓄熱装置において、蓄熱槽は、円筒状で縦長の密閉容器により構成されている。この蓄熱槽の内部は、潜熱蓄熱材によって満たされている。つまり、蓄熱槽内には、潜熱蓄熱材だけが充填されている。このように潜熱蓄熱材を蓄熱槽内に密封するのは、酸化による潜熱蓄熱材の劣化を防止するためである。また、蓄熱槽の底部付近には、加熱源である電気ヒータが設置されている。
【0003】
この蓄熱装置において、温熱を蓄える際には、電気ヒータに通電する。つまり、電気ヒータにより潜熱蓄熱材が加熱されて融解し、潜熱蓄熱材の潜熱として温熱が蓄えられる。また、蓄えた温熱を取り出す際には、潜熱蓄熱材が放熱して凝固する。
【0004】
このように、上記蓄熱装置では、温熱の出入りに伴って潜熱蓄熱材が相変化する。この相変化に伴い、潜熱蓄熱材の体積は、例えば5〜10%程度変化する。このため、何の対策も講じなければ、潜熱蓄熱材の体積増加に伴って蓄熱槽の内圧が上昇し、蓄熱槽の破損を招く恐れがある。
【0005】
そこで、上記蓄熱装置では、蓄熱槽の上部の側壁を蛇腹構造とし、潜熱蓄熱材の体積変化を吸収している。つまり、潜熱蓄熱材が融解する際には、蓄熱槽の蛇腹部分が伸長し、潜熱蓄熱材の体積増加に応じて蓄熱槽の内容積が増大する。また、潜熱蓄熱材が凝固する際には、蓄熱槽の蛇腹部分が収縮し、潜熱蓄熱材の体積減少に応じて蓄熱槽の内容積が減少する。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−44495号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記蓄熱装置では、蓄熱槽が潜熱蓄熱材で満たされており、蓄熱槽の蛇腹部分に潜熱蓄熱材が触れている。このため、潜熱蓄熱材によって蛇腹部分の伸縮が阻害され、潜熱蓄熱材の体積変化を吸収できない恐れがあった。この点について説明する。
【0008】
上記蓄熱装置において、蓄熱槽内の潜熱蓄熱材が全て凝固している状態で電気ヒータに通電した場合を仮定する。この場合、電気ヒータの近傍から潜熱蓄熱材が融解してゆく。つまり、蓄熱槽の底部では潜熱蓄熱材が融解しているのに対し、蓄熱槽の上部の蛇腹部分に接する潜熱蓄熱材は凝固したままとなる。このため、融解により潜熱蓄熱材の体積が増大しているにも拘わらず、凝固した潜熱蓄熱材に接する蛇腹部分は伸長できず、蓄熱槽の内容積を増大させることができない。
【0009】
また、温熱を取り出す際にも、蓄熱槽の蛇腹部分に接する潜熱蓄熱材が最後に凝固するとは限らず、逆にその潜熱蓄熱材が最初に凝固する場合もあり得る。従って、この場合にも凝固した潜熱蓄熱材によって蛇腹部分の収縮が阻害され、凝固による潜熱蓄熱材の体積減少を吸収できない恐れがあった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、潜熱蓄熱材の相変化に伴う体積変化を確実に吸収できる蓄熱槽を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、潜熱蓄熱材(47,57)を相変化させて蓄熱する蓄熱槽を対象としている。そして、上記潜熱蓄熱材(47,57)と充填ガスとが密封された密閉容器(43)を備える一方、上記密閉容器(43)には、該密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に、該密閉容器(43)の容積が変化するように変形する変形部分(60)が設けられるものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、密閉容器(43)の変形部分(60)が、伸縮自在の蛇腹状に形成されるものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、密閉容器(43)が、箱状に形成されて潜熱蓄熱材(47,57)が貯留される本体部材(65)と、該本体部材(65)に取り付けられると共に充填ガスが出入り可能な袋状に形成されて変形部分(60)を構成する袋部材(66)とを備えるものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、密閉容器(43)の変形部分(60)が、ゴム製の膜状部材(67)により構成されるものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、上記密閉容器(43)には、変形部分(60)が変形しても容積が一定に保たれる第1空間(63)と、変形部分(60)の変形に伴って容積が変化する第2空間(64)とに該密閉容器(43)の内部を区画する仕切り手段(90)が設けられ、潜熱蓄熱材(47,57)は、上記密閉容器(43)の第1空間(63)だけに貯留され、上記仕切り手段(90)は、上記第1空間(63)と第2空間(64)の間における充填ガスの移動だけを許容して潜熱蓄熱材(47,57)の移動を阻止するように構成されるものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の蓄熱槽において、仕切り手段(90)が、充填ガスの透過だけを許容する気体透過膜(91)により構成されるものである。
【0017】
−作用−
請求項1の発明では、密閉容器(43)内に潜熱蓄熱材(47,57)と充填ガスとが密封されている。また、容器部材には、変形部分(60)が形成されている。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態でも、この変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)の液面よりも上方に位置している。つまり、変形部分(60)には、常に充填ガスだけが接触しており、潜熱蓄熱材(47,57)は接触していない。そして、上記密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が融解すると、変形部分(60)が変形して密閉容器(43)の容積を増加させる。一方、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固すると、変形部分(60)が変形して密閉容器(43)の容積を減少させる。
【0018】
請求項2の発明では、密閉容器(43)の変形部分(60)は、伸縮自在の蛇腹構造を有している。変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)が融解するにつれて伸長する。この変形部分(60)の伸長により、密閉容器(43)の容積が増加する。また、変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固するにつれて収縮する。この変形部分(60)の収縮により、密閉容器(43)の容積が減少する。
【0019】
請求項3の発明では、密閉容器(43)は、本体部材(65)と袋部材(66)とを備えている。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が融解すると、その体積が増加する。それに伴って充填ガスが本体部材(65)から袋部材(66)へと移動し、袋部材(66)が膨らんでゆく。一方、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固すると、その体積が減少する。それに伴って充填ガスが袋部材(66)から本体部材(65)へと移動し、袋部材(66)が萎んでゆく。
【0020】
請求項4の発明では、密閉容器(43)の変形部分(60)は、ゴム製の膜状部材(67)により構成されている。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が融解すると、膜状部材(67)が変形して密閉容器(43)の容積を増加させる。一方、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固すると、膜状部材(67)が変形して密閉容器(43)の容積を減少させる。
【0021】
請求項5の発明では、密閉容器(43)に仕切り手段(90)が設けられる。この仕切り手段(90)により、密閉容器(43)の内部は、第1空間(63)と第2空間(64)とに仕切られる。第1空間(63)の容積は、変形部分(60)が変形しても変化しない。一方、第2空間(64)の容積は、変形部分(60)の変形に伴って増減する。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)は,第1空間(63)だけに貯留されている。従って、第2空間(64)は、充填ガスだけで満たされている。潜熱蓄熱材(47,57)が融解する際には、充填ガスだけが第1空間(63)から第2空間(64)へと移動し、第2空間(64)の容積が増加する。逆に、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固する際には、充填ガスだけが第2空間(64)から第1空間(63)へと移動し、第2空間(64)の容積が減少する。
【0022】
請求項6の発明では、仕切り手段(90)が気体透過膜(91)によって構成される。第1空間(63)と第2空間(64)の間では、充填ガスだけが気体透過膜(91)を通過して移動できる。つまり、潜熱蓄熱材(47,57)は、気体透過膜(91)を通過できず、第1空間(63)から第2空間(64)へは移動しない。
【0023】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る蓄熱槽である蓄熱ユニット(40,50)を備える給湯装置(10)である。
【0024】
《給湯装置の全体構成》
図1に示すように、本実施形態の給湯装置(10)は、2つの加熱ユニット(11,12)を備えている。第1加熱ユニット(11)は、第1熱源ユニット(20)と第1蓄熱ユニット(40)とを備えている。一方、第2加熱ユニット(12)は、第2熱源ユニット(30)と第2蓄熱ユニット(50)とを備えている。また、この給湯装置(10)は、給湯用回路(80)と追焚き用回路(86)とを備えている。
【0025】
第1,第2蓄熱ユニット(40,50)には、不活性ガスである窒素が充填ガスとして密封されると共に、それぞれ異なる物質が潜熱蓄熱材(47,57)として密封されている。具体的に、第1蓄熱ユニット(40)には、融点31℃の硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)が潜熱蓄熱材(47)として密封され、第2蓄熱ユニット(50)には、融点55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)が潜熱蓄熱材(57)として密封されている。また、第1蓄熱ユニット(40)には、加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とが設けられ、第2蓄熱ユニット(50)には、加熱用伝熱管(58)と、出湯用伝熱管(59)と、追焚き用伝熱管(88)とが設けられている。尚、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の詳細については後述する。
【0026】
上記第1,第2熱源ユニット(20,30)は、それぞれが熱源回路(22,32)を備え、ヒートポンプを構成している。
【0027】
上記第1熱源ユニット(20)の熱源回路(22)では、冷媒の循環方向に、レシーバ(23)と、電動膨張弁(24)と、室外熱交換器(25)と、アキュムレータ(26)と、圧縮機(27)とが順に配管接続されている。一方、上記第2熱源ユニット(30)の熱源回路(32)では、冷媒の循環方向に、レシーバ(33)と、電動膨張弁(34)と、室外熱交換器(35)と、アキュムレータ(36)と、圧縮機(37)とが順に配管接続されている。
【0028】
第1,第2熱源ユニット(20,30)の熱源回路(22,32)は、その一端が加熱用伝熱管(48,58)の一端に、その他端が加熱用伝熱管(48,58)の他端に接続されている。そして、熱源回路(22,32)を加熱用伝熱管(48,58)に接続することで、閉回路の冷媒回路(21,31)が構成されている。この冷媒回路(21,31)には、HCFC冷媒やR410A等のHFC冷媒、プロパン等のHC冷媒、或いは炭酸ガスなどが冷媒として充填されている。尚、上記加熱用伝熱管(48,58)は、潜熱蓄熱材(47,57)に温熱を付与する冷媒を流すために設けられている。
【0029】
各熱源回路(22,32)の圧縮機(27,37)は、いわゆる全密閉型の圧縮機(27,37)である。また、各熱源回路(22,32)の室外熱交換器(25,35)は、冷媒を室外空気と熱交換させるためのものであって、いわゆるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。
【0030】
上記給湯用回路(80)は、その始端が上水道に接続され、終端が給湯栓(81)に接続されている。給湯用回路(80)には、各蓄熱ユニット(40,50)の出湯用伝熱管(49,59)が接続されている。この給湯用回路(80)では、第1蓄熱ユニット(40)の出湯用伝熱管(49)の下流側に第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)が接続されている。尚、上記出湯用伝熱管(49,59)は、潜熱蓄熱材(47,57)から温熱を受け取る上水を流すために設けられている。
【0031】
上記給湯用回路(80)には、バイパス管(82)が設けられている。バイパス管(82)は、その一端が第1蓄熱ユニット(40)の出湯用伝熱管(49)の上流側に接続され、その他端が第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)の下流側に混合弁(83)を介して接続されている。この混合弁(83)を操作すると、第2蓄熱ユニット(50)からの温水とバイパス管(82)からの上水との混合割合が変化する。
【0032】
また、上記給湯用回路(80)には、風呂注湯管(84)が接続されている。風呂注湯管(84)は、その始端が給湯用回路(80)における混合弁(83)と給湯栓(81)との間に接続され、その終端が上記追焚き用回路(86)を介して浴槽(15)に接続されている。この風呂注湯管(84)には、風呂注湯弁(85)が設けられている。
【0033】
上記追焚き用回路(86)は、その両端が浴槽(15)に接続されている。この追焚き用回路(86)では、追焚き用ポンプ(87)と第2蓄熱ユニット(50)の追焚き用伝熱管(88)とが順に接続されている。
【0034】
《蓄熱ユニットの構成》
上記蓄熱ユニット(40,50)の構成について説明する。ここでは、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、追焚き用伝熱管(88)が設けられている点と潜熱蓄熱材(47,57)の種類が異なる点を除き、第2蓄熱ユニット(50)の構成も第1蓄熱ユニット(40)と同じである。
【0035】
図2に示すように、第1蓄熱ユニット(40)は、ケーシング(42)を備えている。このケーシング(42)は、ガルバリウム鋼板などの表面処理された金属板により構成された、直方体状の箱である。また、ケーシング(42)の上面中央付近には、通気孔(92)が開口している。
【0036】
上記ケーシング(42)内には、密閉容器(43)が収納されている。この密閉容器(43)は、ポリプロピレン等の樹脂からなる中空容器であって、その内部に潜熱蓄熱材(47)と充填ガスとが密封されている。また、密封容器(43)は、蓄熱材貯留部(44)と、ガス貯留部(45)と、連通部(46)とを備えている。
【0037】
上記蓄熱材貯留部(44)は、密閉容器(43)の内側面に沿うような直方体状に形成されている。蓄熱材貯留部(44)の高さは、ケーシング(42)の高さの約3/4程度となっている。
【0038】
上記ガス貯留部(45)は、概ね直方体状に形成されており、蓄熱材貯留部(44)の上方に配置されている。ガス貯留部(45)の側壁(61)は、断面が波形の蛇腹状に形成されている。つまり、この側壁(61)は、伸縮自在の蛇腹状に形成されており、密閉容器(43)の変形部分(60)を構成している。そして、この蛇腹状の側壁(61)が伸縮すると、ガス貯留部(45)の高さが変化し、それに伴ってガス貯留部(45)の容積も変化する。
【0039】
上記連通部(46)は、比較的小径で短い管状に形成されている。この連通部(46)は、その上端がガス貯留部(45)の下面に接続し、その下端が蓄熱材貯留部(44)の上面に接続している。そして、この連通部(46)は、蓄熱材貯留部(44)の内部とガス貯留部(45)の内部とを連通させている。
【0040】
上記密閉容器(43)において、蓄熱材貯留部(44)の内部には、潜熱蓄熱材(47)の全部と充填ガスの一部とが存在し、ガス貯留部(45)の内部には充填ガスだけが存在している。また、蓄熱材貯留部(44)の容積は、融解して完全に液相となった状態での潜熱蓄熱材(47)の体積よりも大きくなっている。更には、蓄熱材貯留部(44)の上方にガス貯留部(45)が配置されている。従って、この密閉容器(43)において、蛇腹状に形成されたガス貯留部(45)の側壁(61)は、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態における液面よりも常に上方に位置している。
【0041】
上記密閉容器(43)には、仕切り手段(90)として気体透過膜(91)が設けられている。この気体透過膜(91)は、充填ガスだけを透過させて潜熱蓄熱材(47)は透過させないように構成された膜であって、上記連通部(46)の断面を横断するように取り付けられている。
【0042】
密閉容器(43)の内部空間は、この気体透過膜(91)によって第1空間(63)と第2空間(64)とに仕切られている。具体的には、気体透過膜(91)の下側の空間、即ち蓄熱材貯留部(44)の内部空間が第1空間(63)となり、気体透過膜(91)の上側の空間、即ちガス貯留部(45)の内部空間が第2空間(64)となっている。従って、この密閉容器(43)において、ガス貯留部(45)の側壁(61)の伸縮に伴って第2空間(64)の容積は変化するが、第1空間(63)の容積は変化しない。また、第1空間(63)と第2空間(64)の間では、気体透過膜(91)を透過可能な充填ガスだけが行き来する。
【0043】
上記密閉容器(43)の内部には、加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とが収納されている。加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とは、何れも第1空間(63)内に配置されて潜熱蓄熱材(47)と接触している。
【0044】
−運転動作−
上記給湯装置(10)の運転動作について説明する。この給湯装置(10)は、いわゆる瞬間湯沸器と同様に、上水道から送り込まれた上水を連続的に加熱して温水を生成し、得られた温水を給湯栓(81)や浴槽(15)へ順次供給する。
【0045】
《給湯装置の給湯動作》
ここでは、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)が満蓄熱状態、即ち両蓄熱ユニット(40,50)の潜熱蓄熱材(47,57)の全部が融解して液体となっている状態から説明を始める。
【0046】
給湯栓(81)又は風呂注湯弁(85)が開かれると、給湯用回路(80)で上水が流通し始める。それに応じて、第1,第2熱源ユニット(20,30)が運転され、各冷媒回路(21,31)において、冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。 各冷媒回路(21,31)で行われる冷凍サイクルでは、加熱用伝熱管(48,58)が凝縮器となり、室外熱交換器(25,35)が蒸発器となる。第1熱源ユニット(20)では、第1蓄熱ユニット(40)の加熱用伝熱管(48)における冷媒の凝縮温度が約40℃となるように、第2熱源ユニット(30)では、第2蓄熱ユニット(50)の加熱用伝熱管(58)における冷媒の凝縮温度が約65℃となるように、それぞれ冷凍サイクルの高圧が設定されている。
【0047】
上記給湯用回路(80)を流れる上水は、第1蓄熱ユニット(40)の出湯用伝熱管(49)を流れる間に、第1蓄熱ユニット(40)の潜熱蓄熱材(47)と加熱用伝熱管(48)を流れる冷媒の両方から吸熱し、その温度が35℃程度まで上昇する。その際、第1蓄熱ユニット(40)の潜熱蓄熱材(47)は、出湯用伝熱管(49)を流れる上水に対して放熱し、その一部が凝固する。
【0048】
第1蓄熱ユニット(40)の潜熱蓄熱材(47)及び出湯用伝熱管(49)により温められた上水は、第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)を流れる間に、第2蓄熱ユニット(50)の潜熱蓄熱材(57)と加熱用伝熱管(58)を流れる冷媒の両方から吸熱し、その温度が60℃程度まで上昇する。その際、第2蓄熱ユニット(50)の潜熱蓄熱材(57)は、出湯用伝熱管(59)を流れる上水に対して放熱し、その一部が凝固する。
【0049】
第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)から送り出された温水は、混合弁(83)でバイパス管(82)からの上水、即ち冷水と混入される。混合弁(83)を操作すると、温水と冷水の混合割合が変化する。そして、冷水と混合されて温度調節された温水が、給湯栓(81)や浴槽(15)へ供給される。
【0050】
第1,第2蓄熱ユニット(40,50)に蓄えられた温熱量は、潜熱蓄熱材(47,57)の放熱に伴って減少してゆく。そして、その蓄熱量が所定値を下回ると、給湯の停止中に第1,第2熱源ユニット(20,30)が運転されて、各蓄熱ユニット(40,50)に温熱が蓄えられる。つまり、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)では、潜熱蓄熱材(47,57)が加熱用伝熱管(48,58)を流れる冷媒により加熱されて融解し、潜熱蓄熱材(47,57)の融解熱として温熱が蓄えられる。
【0051】
また、浴槽(15)内の温水を再加熱する必要が生じると、追焚き用ポンプ(87)と第2熱源ユニット(30)とが運転される。上記追焚き用ポンプ(87)を運転すると、浴槽(15)内の温水が第2蓄熱ユニット(50)の追焚き用伝熱管(88)へ導入される。そして、追焚き用伝熱管(88)へ導入された温水は、加熱用伝熱管(58)の冷媒と潜熱蓄熱材(57)の両方から吸熱し、その後に浴槽(15)へ送り返される。
【0052】
《蓄熱ユニットの動作》
上記第1,第2蓄熱ユニット(40,50)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47,57)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。ここでは、第1蓄熱ユニット(40)を例に説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0053】
図2(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、ガス貯留部(45)の側壁(61)は収縮している。潜熱蓄熱材(47)が加熱されて融解し始めると、その体積増加に伴って液面が上昇する。液面が上昇するにつれ、充填ガスだけが第1空間(63)から気体透過膜(91)を通って第2空間(64)へと移動し、ガス貯留部(45)の側壁(61)が伸長してゆく。この側壁(61)の伸長に伴って第2空間(64)の容積が増加する。また、ガス貯留部(45)の側壁(61)が伸長するにつれ、ケーシング(42)内の空気が通気孔(92)からケーシング(42)外へと押し出されてゆく。そして、図2(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、ガス貯留部(45)の側壁(61)の伸長幅は最大となっている。尚、この状態において、密閉容器(43)の上面は、ケーシング(42)の上面に接していない。
【0054】
一方、潜熱蓄熱材(47)が冷却されて凝固し始めると、その体積減少に伴って液面が下降する。液面が下降するにつれ、充填ガスだけが第2空間(64)から気体透過膜(91)を通って第1空間(63)へと移動し、ガス貯留部(45)の側壁(61)が収縮してゆく。この側壁(61)の収縮に伴って第2空間(64)の容積が減少する。また、ガス貯留部(45)の側壁(61)が収縮するにつれて、通気孔(92)を通って空気がケーシング(42)内へ流れ込む。
【0055】
−実施形態1の効果−
本実施形態1の蓄熱ユニット(40,50)において、密閉容器(43)のガス貯留部(45)の側壁(61)は、潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に設けられている。そして、通常の運転をする限り、この側壁(61)が潜熱蓄熱材(47,57)と接触ことはあり得ない。このため、密閉容器(43)のガス貯留部(45)の側壁(61)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを防ぐことができ、付着した潜熱蓄熱材(47,57)の凝固により側壁(61)の変形が妨げられるといった事態を確実に回避できる。従って、本実施形態によれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化を確実に吸収可能な密閉容器(43)を備えた蓄熱ユニット(40,50)を提供することができる。
【0056】
このように、本実施形態よれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化に応じて密閉容器(43)の容積を確実に変化させることができる。つまり、本実施形態の蓄熱ユニット(40,50)では、ガス貯留部(45)の側壁(61)の変形が妨げられて密閉容器(43)の内圧が上昇した場合を想定して、密閉容器(43)の耐圧性を過度に高める必要がない。従って、本実施形態によれば、密閉容器(43)の強度を必要最小限に抑えることができ、蓄熱ユニット(40,50)の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態の蓄熱ユニット(40,50)では、気体透過膜(91)によって密閉容器(43)内を第1空間(63)と第2空間(64)とに区画している。このため、例えば搬送中や据付作業中に蓄熱ユニット(40,50)を誤って倒してしまった場合であっても、第1空間(63)から第2空間(64)へ潜熱蓄熱材(47,57)が侵入するのを阻止することができる。従って、本実施形態によれば、ガス貯留部(45)の側壁(61)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを確実に防止でき、蓄熱ユニット(40,50)の信頼性を向上させることができる。
【0058】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の給湯装置(10)において、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。尚、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0059】
図3に示すように、本実施形態の蓄熱ユニット(40)において、密閉容器(43)は、その全体が直方体状に形成されている。この密閉容器(43)には、潜熱蓄熱材(47)と充填ガスとが密封されている。また、密閉容器(43)の内部には、加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とが収納されており、その何れもが潜熱蓄熱材(47)と接触している。
【0060】
本実施形態の密閉容器(43)において、その側壁の上部には伸縮部(62)が形成されている。この伸縮部(62)は、断面が波形の蛇腹状に形成されており、変形部分(60)を構成している。蛇腹状の伸縮部(62)が伸縮すると、それに伴って密閉容器(43)の容積が増減する。また、上記密閉容器(43)の側壁において、伸縮部(62)は、密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に形成されている。従って、この伸縮部(62)の内面は、潜熱蓄熱材(47)が凝固しているか融解しているかに拘わらず、常に充填ガスだけに接している。
【0061】
上記蓄熱ユニット(40)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。
【0062】
図3(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、密閉容器(43)の伸縮部(62)は収縮している。潜熱蓄熱材(47)の融解によってその体積が増加し始めると、それにつれて伸縮部(62)が伸長し、密閉容器(43)の容積が増加してゆく。そして、図3(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、伸縮部(62)は、その伸長幅が最大となっている。一方、潜熱蓄熱材(47)の凝固によってその体積が減少し始めると、それにつれて伸縮部(62)が収縮し、密閉容器(43)の容積が減少してゆく。
【0063】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3は、上記実施形態1の給湯装置(10)において、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。尚、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0064】
図4に示すように、本実施形態の蓄熱ユニット(40)において、密閉容器(43)は、本体部材(65)と袋部材(66)の2つの部材から構成されている。
【0065】
上記本体部材(65)は、ポリプロピレン等の樹脂からなる中空容器であって、箱状に形成されている。本体部材(65)上面には、円形の開口部(68)が形成されている。また、本体部材(65)の上面には、開口部(68)を覆うように袋部材(66)が取り付けられている。袋部材(66)は、塩化ビニル製で袋状に形成されており、変形部分(60)を構成している。尚、上記袋部材(66)は、ゴム膜により形成されていてもよい。そして、本体部材(65)の内部と袋部材(66)の内部とは、開口部(68)によって連通されている。
【0066】
上記本体部材(65)には、潜熱蓄熱材(47)の全部と充填ガスの一部とが貯留されている。一方、袋部材(66)には、充填ガスだけが満たされている。本体部材(65)の容積は、融解して完全に液相となった状態での潜熱蓄熱材(47)の体積よりも大きくなっている。つまり、本実施形態の密閉容器(43)において、本体部材(65)の上面に取り付けられた袋部材(66)は、本体部材(65)内に貯留された潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態における液面よりも常に上方に位置している。また、本体部材(65)の内部には、図示しないが、加熱用伝熱管と出湯用伝熱管とが収納されている。尚、本体部材(65)内で加熱用伝熱管及び出湯用伝熱管が潜熱蓄熱材(47)に接している点は、上記実施形態1の場合と同様である。
【0067】
上記蓄熱ユニット(40)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。
【0068】
図4(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、袋部材(66)は収縮している。潜熱蓄熱材(47)の融解によってその体積が増加し始めると、それにつれて充填ガスだけが本体部材(65)から袋部材(66)へと移動し、袋部材(66)が膨らんで、密閉容器(43)の容積が増加してゆく。そして、図4(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、袋部材(66)は完全に膨らんでいる。一方、潜熱蓄熱材(47)の凝固によってその体積が減少し始めると、充填ガスだけが袋部材(66)から本体部材(65)へと移動し、袋部材(66)が萎んで、密閉容器(43)の容積が減少してゆく。
【0069】
−実施形態3の変形例−
上記実施形態3において、本体部材(65)の開口部(68)に、仕切り手段として気体透過膜を設けるようにしてもよい。尚、気体透過膜の構成は、上記実施形態1の場合と同様である。
【0070】
図4に示すように、密閉容器(43)の内部空間は、この気体透過膜によって第1空間と第2空間とに仕切られている。具体的には、気体透過膜の下側の空間、即ち本体部材(65)の内部空間が第1空間となり、気体透過膜の上側の空間、即ち袋部材(66)の内部空間が第2空間となっている。この密閉容器(43)において、袋部材(66)が膨らんだり萎んだりすることによって第2空間の容積は変化するが、第1空間の容積は変化しない。また、第1空間と第2空間の間では、気体透過膜を透過可能な充填ガスだけが行き来する。
【0071】
【発明の実施の形態4】
本発明の実施形態3は、上記実施形態1の給湯装置(10)において、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。尚、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0072】
図5に示すように、本実施形態の蓄熱ユニット(40)において、密閉容器(43)は、その全体が直方体状に形成されている。この密閉容器(43)には、潜熱蓄熱材(47)と充填ガスとが密封されている。また、密閉容器(43)には、図示しないが、加熱用伝熱管と出湯用伝熱管とが収納されており、その何れもが潜熱蓄熱材(47)と接触している。
【0073】
本実施形態の密閉容器(43)において、その上面には円形の開口が形成されている。また、密閉容器(43)の上面には、円形の開口を覆うように、膜状部材(67)が取り付けられている。この膜状部材(67)は、伸縮自在なゴム膜により形成されて、変形部分(60)を構成している。そして、膜状部材(67)が伸縮することにより、密閉容器(43)の容積が増減する。また、膜状部材(67)は、密閉容器(43)の内側へ凹んだ状態においても、潜熱蓄熱材(47)に接触しないように取り付けられている。つまり、膜状部材(67)は、常に充填ガスだけに接している。
【0074】
上記蓄熱ユニット(40)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。
【0075】
図5(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、膜状部材(67)は、密閉容器(43)の内側へ凹んだ状態となっている。潜熱蓄熱材(47)の融解によってその体積が増加し始めると、それにつれて膜状部材(67)が押し上げられ、密閉容器(43)の容積が増加してゆく。そして、図5(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、膜状部材(67)は、密閉容器(43)の外側へ膨出した状態となる。一方、潜熱蓄熱材(47)の凝固によってその体積が減少し始めると、それにつれて膨出していた膜状部材(67)が萎んでゆき、密閉容器(43)の容積が減少してゆく。
【0076】
【発明の効果】
本発明の蓄熱槽(41,51)において、密閉容器(43)の変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)の全てが融解した状態における液面よりも上の部位に設けられている。そして、通常の運転をする限り、変形部分(60)が潜熱蓄熱材(47,57)と接触ことはあり得ない。このため、密閉容器(43)の変形部分(60)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを防ぐことができ、付着した潜熱蓄熱材(47,57)の凝固により変形部分(60)の変形が妨げられるといった事態を確実に回避できる。従って、本発明によれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化を確実に吸収可能な密閉容器(43)を備えた蓄熱槽(41,51)を提供することができる。
【0077】
このように、本発明によれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化に応じて密閉容器(43)の容積を確実に変化させることができる。つまり、本発明の蓄熱槽(41,51)では、変形部分(60)の変形が妨げられて密閉容器(43)の内圧が上昇した場合を想定して、密閉容器(43)の耐圧性を過度に高める必要がない。従って、本発明によれば、密閉容器(43)の強度を必要最小限に抑えることができ、蓄熱槽(41,51)の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0078】
また、請求項5の発明では、仕切り手段(90)によって密閉容器(43)内を第1空間(63)と第2空間(64)とに区画している。このため、例えば搬送中や据付作業中に蓄熱槽(41,51)が多少傾いた場合であっても、第1空間(63)から第2空間(64)へ潜熱蓄熱材(47,57)が侵入するのを阻止することができる。従って、この発明によれば、変形部分(60)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを確実に防止でき、蓄熱槽(41,51)の信頼性を向上させることができる。
【0079】
特に、請求項6の発明では、気体透過膜(91)によって仕切り手段(90)を構成している。このため、例えば搬送中などに誤って蓄熱槽(41,51)を倒してしまった場合でも、第1空間(63)から第2空間(64)へ潜熱蓄熱材(47,57)が侵入するのを阻止することができる。従って、この発明によれば、蓄熱槽(41,51)の信頼性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における給湯装置の概略構成図である。
【図2】実施形態1における蓄熱ユニットの概略構成図である。
【図3】実施形態2における蓄熱ユニットの概略構成図である。
【図4】実施形態3における密閉容器の概略構成図である。
【図5】実施形態4における密閉容器の概略構成図である。
【符号の説明】
(43) 密閉容器
(47),(57) 潜熱蓄熱材
(60) 変形部分
(63) 第1空間
(64) 第2空間
(65) 本体部材
(66) 袋部材
(67) 膜状部材
(90) 仕切り手段
(91) 気体透過膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、潜熱蓄熱材の相変化を利用して蓄熱を行う蓄熱槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特許文献1に開示されているように、潜熱蓄熱材を利用した蓄熱装置が知られている。この蓄熱装置において、蓄熱槽は、円筒状で縦長の密閉容器により構成されている。この蓄熱槽の内部は、潜熱蓄熱材によって満たされている。つまり、蓄熱槽内には、潜熱蓄熱材だけが充填されている。このように潜熱蓄熱材を蓄熱槽内に密封するのは、酸化による潜熱蓄熱材の劣化を防止するためである。また、蓄熱槽の底部付近には、加熱源である電気ヒータが設置されている。
【0003】
この蓄熱装置において、温熱を蓄える際には、電気ヒータに通電する。つまり、電気ヒータにより潜熱蓄熱材が加熱されて融解し、潜熱蓄熱材の潜熱として温熱が蓄えられる。また、蓄えた温熱を取り出す際には、潜熱蓄熱材が放熱して凝固する。
【0004】
このように、上記蓄熱装置では、温熱の出入りに伴って潜熱蓄熱材が相変化する。この相変化に伴い、潜熱蓄熱材の体積は、例えば5〜10%程度変化する。このため、何の対策も講じなければ、潜熱蓄熱材の体積増加に伴って蓄熱槽の内圧が上昇し、蓄熱槽の破損を招く恐れがある。
【0005】
そこで、上記蓄熱装置では、蓄熱槽の上部の側壁を蛇腹構造とし、潜熱蓄熱材の体積変化を吸収している。つまり、潜熱蓄熱材が融解する際には、蓄熱槽の蛇腹部分が伸長し、潜熱蓄熱材の体積増加に応じて蓄熱槽の内容積が増大する。また、潜熱蓄熱材が凝固する際には、蓄熱槽の蛇腹部分が収縮し、潜熱蓄熱材の体積減少に応じて蓄熱槽の内容積が減少する。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−44495号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記蓄熱装置では、蓄熱槽が潜熱蓄熱材で満たされており、蓄熱槽の蛇腹部分に潜熱蓄熱材が触れている。このため、潜熱蓄熱材によって蛇腹部分の伸縮が阻害され、潜熱蓄熱材の体積変化を吸収できない恐れがあった。この点について説明する。
【0008】
上記蓄熱装置において、蓄熱槽内の潜熱蓄熱材が全て凝固している状態で電気ヒータに通電した場合を仮定する。この場合、電気ヒータの近傍から潜熱蓄熱材が融解してゆく。つまり、蓄熱槽の底部では潜熱蓄熱材が融解しているのに対し、蓄熱槽の上部の蛇腹部分に接する潜熱蓄熱材は凝固したままとなる。このため、融解により潜熱蓄熱材の体積が増大しているにも拘わらず、凝固した潜熱蓄熱材に接する蛇腹部分は伸長できず、蓄熱槽の内容積を増大させることができない。
【0009】
また、温熱を取り出す際にも、蓄熱槽の蛇腹部分に接する潜熱蓄熱材が最後に凝固するとは限らず、逆にその潜熱蓄熱材が最初に凝固する場合もあり得る。従って、この場合にも凝固した潜熱蓄熱材によって蛇腹部分の収縮が阻害され、凝固による潜熱蓄熱材の体積減少を吸収できない恐れがあった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、潜熱蓄熱材の相変化に伴う体積変化を確実に吸収できる蓄熱槽を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、潜熱蓄熱材(47,57)を相変化させて蓄熱する蓄熱槽を対象としている。そして、上記潜熱蓄熱材(47,57)と充填ガスとが密封された密閉容器(43)を備える一方、上記密閉容器(43)には、該密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に、該密閉容器(43)の容積が変化するように変形する変形部分(60)が設けられるものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、密閉容器(43)の変形部分(60)が、伸縮自在の蛇腹状に形成されるものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、密閉容器(43)が、箱状に形成されて潜熱蓄熱材(47,57)が貯留される本体部材(65)と、該本体部材(65)に取り付けられると共に充填ガスが出入り可能な袋状に形成されて変形部分(60)を構成する袋部材(66)とを備えるものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、密閉容器(43)の変形部分(60)が、ゴム製の膜状部材(67)により構成されるものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1に記載の蓄熱槽において、上記密閉容器(43)には、変形部分(60)が変形しても容積が一定に保たれる第1空間(63)と、変形部分(60)の変形に伴って容積が変化する第2空間(64)とに該密閉容器(43)の内部を区画する仕切り手段(90)が設けられ、潜熱蓄熱材(47,57)は、上記密閉容器(43)の第1空間(63)だけに貯留され、上記仕切り手段(90)は、上記第1空間(63)と第2空間(64)の間における充填ガスの移動だけを許容して潜熱蓄熱材(47,57)の移動を阻止するように構成されるものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の蓄熱槽において、仕切り手段(90)が、充填ガスの透過だけを許容する気体透過膜(91)により構成されるものである。
【0017】
−作用−
請求項1の発明では、密閉容器(43)内に潜熱蓄熱材(47,57)と充填ガスとが密封されている。また、容器部材には、変形部分(60)が形成されている。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態でも、この変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)の液面よりも上方に位置している。つまり、変形部分(60)には、常に充填ガスだけが接触しており、潜熱蓄熱材(47,57)は接触していない。そして、上記密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が融解すると、変形部分(60)が変形して密閉容器(43)の容積を増加させる。一方、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固すると、変形部分(60)が変形して密閉容器(43)の容積を減少させる。
【0018】
請求項2の発明では、密閉容器(43)の変形部分(60)は、伸縮自在の蛇腹構造を有している。変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)が融解するにつれて伸長する。この変形部分(60)の伸長により、密閉容器(43)の容積が増加する。また、変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固するにつれて収縮する。この変形部分(60)の収縮により、密閉容器(43)の容積が減少する。
【0019】
請求項3の発明では、密閉容器(43)は、本体部材(65)と袋部材(66)とを備えている。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が融解すると、その体積が増加する。それに伴って充填ガスが本体部材(65)から袋部材(66)へと移動し、袋部材(66)が膨らんでゆく。一方、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固すると、その体積が減少する。それに伴って充填ガスが袋部材(66)から本体部材(65)へと移動し、袋部材(66)が萎んでゆく。
【0020】
請求項4の発明では、密閉容器(43)の変形部分(60)は、ゴム製の膜状部材(67)により構成されている。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が融解すると、膜状部材(67)が変形して密閉容器(43)の容積を増加させる。一方、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固すると、膜状部材(67)が変形して密閉容器(43)の容積を減少させる。
【0021】
請求項5の発明では、密閉容器(43)に仕切り手段(90)が設けられる。この仕切り手段(90)により、密閉容器(43)の内部は、第1空間(63)と第2空間(64)とに仕切られる。第1空間(63)の容積は、変形部分(60)が変形しても変化しない。一方、第2空間(64)の容積は、変形部分(60)の変形に伴って増減する。密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)は,第1空間(63)だけに貯留されている。従って、第2空間(64)は、充填ガスだけで満たされている。潜熱蓄熱材(47,57)が融解する際には、充填ガスだけが第1空間(63)から第2空間(64)へと移動し、第2空間(64)の容積が増加する。逆に、潜熱蓄熱材(47,57)が凝固する際には、充填ガスだけが第2空間(64)から第1空間(63)へと移動し、第2空間(64)の容積が減少する。
【0022】
請求項6の発明では、仕切り手段(90)が気体透過膜(91)によって構成される。第1空間(63)と第2空間(64)の間では、充填ガスだけが気体透過膜(91)を通過して移動できる。つまり、潜熱蓄熱材(47,57)は、気体透過膜(91)を通過できず、第1空間(63)から第2空間(64)へは移動しない。
【0023】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態は、本発明に係る蓄熱槽である蓄熱ユニット(40,50)を備える給湯装置(10)である。
【0024】
《給湯装置の全体構成》
図1に示すように、本実施形態の給湯装置(10)は、2つの加熱ユニット(11,12)を備えている。第1加熱ユニット(11)は、第1熱源ユニット(20)と第1蓄熱ユニット(40)とを備えている。一方、第2加熱ユニット(12)は、第2熱源ユニット(30)と第2蓄熱ユニット(50)とを備えている。また、この給湯装置(10)は、給湯用回路(80)と追焚き用回路(86)とを備えている。
【0025】
第1,第2蓄熱ユニット(40,50)には、不活性ガスである窒素が充填ガスとして密封されると共に、それぞれ異なる物質が潜熱蓄熱材(47,57)として密封されている。具体的に、第1蓄熱ユニット(40)には、融点31℃の硫酸ナトリウム10水和物(Na2SO4・10H2O)が潜熱蓄熱材(47)として密封され、第2蓄熱ユニット(50)には、融点55℃の酢酸ナトリウム3水和物(CH3COONa・3H2O)が潜熱蓄熱材(57)として密封されている。また、第1蓄熱ユニット(40)には、加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とが設けられ、第2蓄熱ユニット(50)には、加熱用伝熱管(58)と、出湯用伝熱管(59)と、追焚き用伝熱管(88)とが設けられている。尚、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の詳細については後述する。
【0026】
上記第1,第2熱源ユニット(20,30)は、それぞれが熱源回路(22,32)を備え、ヒートポンプを構成している。
【0027】
上記第1熱源ユニット(20)の熱源回路(22)では、冷媒の循環方向に、レシーバ(23)と、電動膨張弁(24)と、室外熱交換器(25)と、アキュムレータ(26)と、圧縮機(27)とが順に配管接続されている。一方、上記第2熱源ユニット(30)の熱源回路(32)では、冷媒の循環方向に、レシーバ(33)と、電動膨張弁(34)と、室外熱交換器(35)と、アキュムレータ(36)と、圧縮機(37)とが順に配管接続されている。
【0028】
第1,第2熱源ユニット(20,30)の熱源回路(22,32)は、その一端が加熱用伝熱管(48,58)の一端に、その他端が加熱用伝熱管(48,58)の他端に接続されている。そして、熱源回路(22,32)を加熱用伝熱管(48,58)に接続することで、閉回路の冷媒回路(21,31)が構成されている。この冷媒回路(21,31)には、HCFC冷媒やR410A等のHFC冷媒、プロパン等のHC冷媒、或いは炭酸ガスなどが冷媒として充填されている。尚、上記加熱用伝熱管(48,58)は、潜熱蓄熱材(47,57)に温熱を付与する冷媒を流すために設けられている。
【0029】
各熱源回路(22,32)の圧縮機(27,37)は、いわゆる全密閉型の圧縮機(27,37)である。また、各熱源回路(22,32)の室外熱交換器(25,35)は、冷媒を室外空気と熱交換させるためのものであって、いわゆるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器により構成されている。
【0030】
上記給湯用回路(80)は、その始端が上水道に接続され、終端が給湯栓(81)に接続されている。給湯用回路(80)には、各蓄熱ユニット(40,50)の出湯用伝熱管(49,59)が接続されている。この給湯用回路(80)では、第1蓄熱ユニット(40)の出湯用伝熱管(49)の下流側に第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)が接続されている。尚、上記出湯用伝熱管(49,59)は、潜熱蓄熱材(47,57)から温熱を受け取る上水を流すために設けられている。
【0031】
上記給湯用回路(80)には、バイパス管(82)が設けられている。バイパス管(82)は、その一端が第1蓄熱ユニット(40)の出湯用伝熱管(49)の上流側に接続され、その他端が第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)の下流側に混合弁(83)を介して接続されている。この混合弁(83)を操作すると、第2蓄熱ユニット(50)からの温水とバイパス管(82)からの上水との混合割合が変化する。
【0032】
また、上記給湯用回路(80)には、風呂注湯管(84)が接続されている。風呂注湯管(84)は、その始端が給湯用回路(80)における混合弁(83)と給湯栓(81)との間に接続され、その終端が上記追焚き用回路(86)を介して浴槽(15)に接続されている。この風呂注湯管(84)には、風呂注湯弁(85)が設けられている。
【0033】
上記追焚き用回路(86)は、その両端が浴槽(15)に接続されている。この追焚き用回路(86)では、追焚き用ポンプ(87)と第2蓄熱ユニット(50)の追焚き用伝熱管(88)とが順に接続されている。
【0034】
《蓄熱ユニットの構成》
上記蓄熱ユニット(40,50)の構成について説明する。ここでは、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、追焚き用伝熱管(88)が設けられている点と潜熱蓄熱材(47,57)の種類が異なる点を除き、第2蓄熱ユニット(50)の構成も第1蓄熱ユニット(40)と同じである。
【0035】
図2に示すように、第1蓄熱ユニット(40)は、ケーシング(42)を備えている。このケーシング(42)は、ガルバリウム鋼板などの表面処理された金属板により構成された、直方体状の箱である。また、ケーシング(42)の上面中央付近には、通気孔(92)が開口している。
【0036】
上記ケーシング(42)内には、密閉容器(43)が収納されている。この密閉容器(43)は、ポリプロピレン等の樹脂からなる中空容器であって、その内部に潜熱蓄熱材(47)と充填ガスとが密封されている。また、密封容器(43)は、蓄熱材貯留部(44)と、ガス貯留部(45)と、連通部(46)とを備えている。
【0037】
上記蓄熱材貯留部(44)は、密閉容器(43)の内側面に沿うような直方体状に形成されている。蓄熱材貯留部(44)の高さは、ケーシング(42)の高さの約3/4程度となっている。
【0038】
上記ガス貯留部(45)は、概ね直方体状に形成されており、蓄熱材貯留部(44)の上方に配置されている。ガス貯留部(45)の側壁(61)は、断面が波形の蛇腹状に形成されている。つまり、この側壁(61)は、伸縮自在の蛇腹状に形成されており、密閉容器(43)の変形部分(60)を構成している。そして、この蛇腹状の側壁(61)が伸縮すると、ガス貯留部(45)の高さが変化し、それに伴ってガス貯留部(45)の容積も変化する。
【0039】
上記連通部(46)は、比較的小径で短い管状に形成されている。この連通部(46)は、その上端がガス貯留部(45)の下面に接続し、その下端が蓄熱材貯留部(44)の上面に接続している。そして、この連通部(46)は、蓄熱材貯留部(44)の内部とガス貯留部(45)の内部とを連通させている。
【0040】
上記密閉容器(43)において、蓄熱材貯留部(44)の内部には、潜熱蓄熱材(47)の全部と充填ガスの一部とが存在し、ガス貯留部(45)の内部には充填ガスだけが存在している。また、蓄熱材貯留部(44)の容積は、融解して完全に液相となった状態での潜熱蓄熱材(47)の体積よりも大きくなっている。更には、蓄熱材貯留部(44)の上方にガス貯留部(45)が配置されている。従って、この密閉容器(43)において、蛇腹状に形成されたガス貯留部(45)の側壁(61)は、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態における液面よりも常に上方に位置している。
【0041】
上記密閉容器(43)には、仕切り手段(90)として気体透過膜(91)が設けられている。この気体透過膜(91)は、充填ガスだけを透過させて潜熱蓄熱材(47)は透過させないように構成された膜であって、上記連通部(46)の断面を横断するように取り付けられている。
【0042】
密閉容器(43)の内部空間は、この気体透過膜(91)によって第1空間(63)と第2空間(64)とに仕切られている。具体的には、気体透過膜(91)の下側の空間、即ち蓄熱材貯留部(44)の内部空間が第1空間(63)となり、気体透過膜(91)の上側の空間、即ちガス貯留部(45)の内部空間が第2空間(64)となっている。従って、この密閉容器(43)において、ガス貯留部(45)の側壁(61)の伸縮に伴って第2空間(64)の容積は変化するが、第1空間(63)の容積は変化しない。また、第1空間(63)と第2空間(64)の間では、気体透過膜(91)を透過可能な充填ガスだけが行き来する。
【0043】
上記密閉容器(43)の内部には、加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とが収納されている。加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とは、何れも第1空間(63)内に配置されて潜熱蓄熱材(47)と接触している。
【0044】
−運転動作−
上記給湯装置(10)の運転動作について説明する。この給湯装置(10)は、いわゆる瞬間湯沸器と同様に、上水道から送り込まれた上水を連続的に加熱して温水を生成し、得られた温水を給湯栓(81)や浴槽(15)へ順次供給する。
【0045】
《給湯装置の給湯動作》
ここでは、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)が満蓄熱状態、即ち両蓄熱ユニット(40,50)の潜熱蓄熱材(47,57)の全部が融解して液体となっている状態から説明を始める。
【0046】
給湯栓(81)又は風呂注湯弁(85)が開かれると、給湯用回路(80)で上水が流通し始める。それに応じて、第1,第2熱源ユニット(20,30)が運転され、各冷媒回路(21,31)において、冷媒が循環して蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。 各冷媒回路(21,31)で行われる冷凍サイクルでは、加熱用伝熱管(48,58)が凝縮器となり、室外熱交換器(25,35)が蒸発器となる。第1熱源ユニット(20)では、第1蓄熱ユニット(40)の加熱用伝熱管(48)における冷媒の凝縮温度が約40℃となるように、第2熱源ユニット(30)では、第2蓄熱ユニット(50)の加熱用伝熱管(58)における冷媒の凝縮温度が約65℃となるように、それぞれ冷凍サイクルの高圧が設定されている。
【0047】
上記給湯用回路(80)を流れる上水は、第1蓄熱ユニット(40)の出湯用伝熱管(49)を流れる間に、第1蓄熱ユニット(40)の潜熱蓄熱材(47)と加熱用伝熱管(48)を流れる冷媒の両方から吸熱し、その温度が35℃程度まで上昇する。その際、第1蓄熱ユニット(40)の潜熱蓄熱材(47)は、出湯用伝熱管(49)を流れる上水に対して放熱し、その一部が凝固する。
【0048】
第1蓄熱ユニット(40)の潜熱蓄熱材(47)及び出湯用伝熱管(49)により温められた上水は、第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)を流れる間に、第2蓄熱ユニット(50)の潜熱蓄熱材(57)と加熱用伝熱管(58)を流れる冷媒の両方から吸熱し、その温度が60℃程度まで上昇する。その際、第2蓄熱ユニット(50)の潜熱蓄熱材(57)は、出湯用伝熱管(59)を流れる上水に対して放熱し、その一部が凝固する。
【0049】
第2蓄熱ユニット(50)の出湯用伝熱管(59)から送り出された温水は、混合弁(83)でバイパス管(82)からの上水、即ち冷水と混入される。混合弁(83)を操作すると、温水と冷水の混合割合が変化する。そして、冷水と混合されて温度調節された温水が、給湯栓(81)や浴槽(15)へ供給される。
【0050】
第1,第2蓄熱ユニット(40,50)に蓄えられた温熱量は、潜熱蓄熱材(47,57)の放熱に伴って減少してゆく。そして、その蓄熱量が所定値を下回ると、給湯の停止中に第1,第2熱源ユニット(20,30)が運転されて、各蓄熱ユニット(40,50)に温熱が蓄えられる。つまり、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)では、潜熱蓄熱材(47,57)が加熱用伝熱管(48,58)を流れる冷媒により加熱されて融解し、潜熱蓄熱材(47,57)の融解熱として温熱が蓄えられる。
【0051】
また、浴槽(15)内の温水を再加熱する必要が生じると、追焚き用ポンプ(87)と第2熱源ユニット(30)とが運転される。上記追焚き用ポンプ(87)を運転すると、浴槽(15)内の温水が第2蓄熱ユニット(50)の追焚き用伝熱管(88)へ導入される。そして、追焚き用伝熱管(88)へ導入された温水は、加熱用伝熱管(58)の冷媒と潜熱蓄熱材(57)の両方から吸熱し、その後に浴槽(15)へ送り返される。
【0052】
《蓄熱ユニットの動作》
上記第1,第2蓄熱ユニット(40,50)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47,57)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。ここでは、第1蓄熱ユニット(40)を例に説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0053】
図2(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、ガス貯留部(45)の側壁(61)は収縮している。潜熱蓄熱材(47)が加熱されて融解し始めると、その体積増加に伴って液面が上昇する。液面が上昇するにつれ、充填ガスだけが第1空間(63)から気体透過膜(91)を通って第2空間(64)へと移動し、ガス貯留部(45)の側壁(61)が伸長してゆく。この側壁(61)の伸長に伴って第2空間(64)の容積が増加する。また、ガス貯留部(45)の側壁(61)が伸長するにつれ、ケーシング(42)内の空気が通気孔(92)からケーシング(42)外へと押し出されてゆく。そして、図2(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、ガス貯留部(45)の側壁(61)の伸長幅は最大となっている。尚、この状態において、密閉容器(43)の上面は、ケーシング(42)の上面に接していない。
【0054】
一方、潜熱蓄熱材(47)が冷却されて凝固し始めると、その体積減少に伴って液面が下降する。液面が下降するにつれ、充填ガスだけが第2空間(64)から気体透過膜(91)を通って第1空間(63)へと移動し、ガス貯留部(45)の側壁(61)が収縮してゆく。この側壁(61)の収縮に伴って第2空間(64)の容積が減少する。また、ガス貯留部(45)の側壁(61)が収縮するにつれて、通気孔(92)を通って空気がケーシング(42)内へ流れ込む。
【0055】
−実施形態1の効果−
本実施形態1の蓄熱ユニット(40,50)において、密閉容器(43)のガス貯留部(45)の側壁(61)は、潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に設けられている。そして、通常の運転をする限り、この側壁(61)が潜熱蓄熱材(47,57)と接触ことはあり得ない。このため、密閉容器(43)のガス貯留部(45)の側壁(61)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを防ぐことができ、付着した潜熱蓄熱材(47,57)の凝固により側壁(61)の変形が妨げられるといった事態を確実に回避できる。従って、本実施形態によれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化を確実に吸収可能な密閉容器(43)を備えた蓄熱ユニット(40,50)を提供することができる。
【0056】
このように、本実施形態よれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化に応じて密閉容器(43)の容積を確実に変化させることができる。つまり、本実施形態の蓄熱ユニット(40,50)では、ガス貯留部(45)の側壁(61)の変形が妨げられて密閉容器(43)の内圧が上昇した場合を想定して、密閉容器(43)の耐圧性を過度に高める必要がない。従って、本実施形態によれば、密閉容器(43)の強度を必要最小限に抑えることができ、蓄熱ユニット(40,50)の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0057】
また、本実施形態の蓄熱ユニット(40,50)では、気体透過膜(91)によって密閉容器(43)内を第1空間(63)と第2空間(64)とに区画している。このため、例えば搬送中や据付作業中に蓄熱ユニット(40,50)を誤って倒してしまった場合であっても、第1空間(63)から第2空間(64)へ潜熱蓄熱材(47,57)が侵入するのを阻止することができる。従って、本実施形態によれば、ガス貯留部(45)の側壁(61)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを確実に防止でき、蓄熱ユニット(40,50)の信頼性を向上させることができる。
【0058】
【発明の実施の形態2】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1の給湯装置(10)において、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。尚、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0059】
図3に示すように、本実施形態の蓄熱ユニット(40)において、密閉容器(43)は、その全体が直方体状に形成されている。この密閉容器(43)には、潜熱蓄熱材(47)と充填ガスとが密封されている。また、密閉容器(43)の内部には、加熱用伝熱管(48)と出湯用伝熱管(49)とが収納されており、その何れもが潜熱蓄熱材(47)と接触している。
【0060】
本実施形態の密閉容器(43)において、その側壁の上部には伸縮部(62)が形成されている。この伸縮部(62)は、断面が波形の蛇腹状に形成されており、変形部分(60)を構成している。蛇腹状の伸縮部(62)が伸縮すると、それに伴って密閉容器(43)の容積が増減する。また、上記密閉容器(43)の側壁において、伸縮部(62)は、密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に形成されている。従って、この伸縮部(62)の内面は、潜熱蓄熱材(47)が凝固しているか融解しているかに拘わらず、常に充填ガスだけに接している。
【0061】
上記蓄熱ユニット(40)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。
【0062】
図3(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、密閉容器(43)の伸縮部(62)は収縮している。潜熱蓄熱材(47)の融解によってその体積が増加し始めると、それにつれて伸縮部(62)が伸長し、密閉容器(43)の容積が増加してゆく。そして、図3(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、伸縮部(62)は、その伸長幅が最大となっている。一方、潜熱蓄熱材(47)の凝固によってその体積が減少し始めると、それにつれて伸縮部(62)が収縮し、密閉容器(43)の容積が減少してゆく。
【0063】
【発明の実施の形態3】
本発明の実施形態3は、上記実施形態1の給湯装置(10)において、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。尚、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0064】
図4に示すように、本実施形態の蓄熱ユニット(40)において、密閉容器(43)は、本体部材(65)と袋部材(66)の2つの部材から構成されている。
【0065】
上記本体部材(65)は、ポリプロピレン等の樹脂からなる中空容器であって、箱状に形成されている。本体部材(65)上面には、円形の開口部(68)が形成されている。また、本体部材(65)の上面には、開口部(68)を覆うように袋部材(66)が取り付けられている。袋部材(66)は、塩化ビニル製で袋状に形成されており、変形部分(60)を構成している。尚、上記袋部材(66)は、ゴム膜により形成されていてもよい。そして、本体部材(65)の内部と袋部材(66)の内部とは、開口部(68)によって連通されている。
【0066】
上記本体部材(65)には、潜熱蓄熱材(47)の全部と充填ガスの一部とが貯留されている。一方、袋部材(66)には、充填ガスだけが満たされている。本体部材(65)の容積は、融解して完全に液相となった状態での潜熱蓄熱材(47)の体積よりも大きくなっている。つまり、本実施形態の密閉容器(43)において、本体部材(65)の上面に取り付けられた袋部材(66)は、本体部材(65)内に貯留された潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態における液面よりも常に上方に位置している。また、本体部材(65)の内部には、図示しないが、加熱用伝熱管と出湯用伝熱管とが収納されている。尚、本体部材(65)内で加熱用伝熱管及び出湯用伝熱管が潜熱蓄熱材(47)に接している点は、上記実施形態1の場合と同様である。
【0067】
上記蓄熱ユニット(40)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。
【0068】
図4(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、袋部材(66)は収縮している。潜熱蓄熱材(47)の融解によってその体積が増加し始めると、それにつれて充填ガスだけが本体部材(65)から袋部材(66)へと移動し、袋部材(66)が膨らんで、密閉容器(43)の容積が増加してゆく。そして、図4(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、袋部材(66)は完全に膨らんでいる。一方、潜熱蓄熱材(47)の凝固によってその体積が減少し始めると、充填ガスだけが袋部材(66)から本体部材(65)へと移動し、袋部材(66)が萎んで、密閉容器(43)の容積が減少してゆく。
【0069】
−実施形態3の変形例−
上記実施形態3において、本体部材(65)の開口部(68)に、仕切り手段として気体透過膜を設けるようにしてもよい。尚、気体透過膜の構成は、上記実施形態1の場合と同様である。
【0070】
図4に示すように、密閉容器(43)の内部空間は、この気体透過膜によって第1空間と第2空間とに仕切られている。具体的には、気体透過膜の下側の空間、即ち本体部材(65)の内部空間が第1空間となり、気体透過膜の上側の空間、即ち袋部材(66)の内部空間が第2空間となっている。この密閉容器(43)において、袋部材(66)が膨らんだり萎んだりすることによって第2空間の容積は変化するが、第1空間の容積は変化しない。また、第1空間と第2空間の間では、気体透過膜を透過可能な充填ガスだけが行き来する。
【0071】
【発明の実施の形態4】
本発明の実施形態3は、上記実施形態1の給湯装置(10)において、第1,第2蓄熱ユニット(40,50)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記実施形態1と異なる点を説明する。尚、第1蓄熱ユニット(40)を例に構成を説明するが、第2蓄熱ユニット(50)についても同じである。
【0072】
図5に示すように、本実施形態の蓄熱ユニット(40)において、密閉容器(43)は、その全体が直方体状に形成されている。この密閉容器(43)には、潜熱蓄熱材(47)と充填ガスとが密封されている。また、密閉容器(43)には、図示しないが、加熱用伝熱管と出湯用伝熱管とが収納されており、その何れもが潜熱蓄熱材(47)と接触している。
【0073】
本実施形態の密閉容器(43)において、その上面には円形の開口が形成されている。また、密閉容器(43)の上面には、円形の開口を覆うように、膜状部材(67)が取り付けられている。この膜状部材(67)は、伸縮自在なゴム膜により形成されて、変形部分(60)を構成している。そして、膜状部材(67)が伸縮することにより、密閉容器(43)の容積が増減する。また、膜状部材(67)は、密閉容器(43)の内側へ凹んだ状態においても、潜熱蓄熱材(47)に接触しないように取り付けられている。つまり、膜状部材(67)は、常に充填ガスだけに接している。
【0074】
上記蓄熱ユニット(40)では、密閉容器(43)の容積が潜熱蓄熱材(47)の相変化に伴う体積変化に追従して増減する。この密閉容器(43)の動作について説明する。
【0075】
図5(A)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が凝固した状態において、膜状部材(67)は、密閉容器(43)の内側へ凹んだ状態となっている。潜熱蓄熱材(47)の融解によってその体積が増加し始めると、それにつれて膜状部材(67)が押し上げられ、密閉容器(43)の容積が増加してゆく。そして、図5(B)に示すように、潜熱蓄熱材(47)が全て融解した状態において、膜状部材(67)は、密閉容器(43)の外側へ膨出した状態となる。一方、潜熱蓄熱材(47)の凝固によってその体積が減少し始めると、それにつれて膨出していた膜状部材(67)が萎んでゆき、密閉容器(43)の容積が減少してゆく。
【0076】
【発明の効果】
本発明の蓄熱槽(41,51)において、密閉容器(43)の変形部分(60)は、潜熱蓄熱材(47,57)の全てが融解した状態における液面よりも上の部位に設けられている。そして、通常の運転をする限り、変形部分(60)が潜熱蓄熱材(47,57)と接触ことはあり得ない。このため、密閉容器(43)の変形部分(60)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを防ぐことができ、付着した潜熱蓄熱材(47,57)の凝固により変形部分(60)の変形が妨げられるといった事態を確実に回避できる。従って、本発明によれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化を確実に吸収可能な密閉容器(43)を備えた蓄熱槽(41,51)を提供することができる。
【0077】
このように、本発明によれば、潜熱蓄熱材(47,57)の体積変化に応じて密閉容器(43)の容積を確実に変化させることができる。つまり、本発明の蓄熱槽(41,51)では、変形部分(60)の変形が妨げられて密閉容器(43)の内圧が上昇した場合を想定して、密閉容器(43)の耐圧性を過度に高める必要がない。従って、本発明によれば、密閉容器(43)の強度を必要最小限に抑えることができ、蓄熱槽(41,51)の小型化や低コスト化を図ることができる。
【0078】
また、請求項5の発明では、仕切り手段(90)によって密閉容器(43)内を第1空間(63)と第2空間(64)とに区画している。このため、例えば搬送中や据付作業中に蓄熱槽(41,51)が多少傾いた場合であっても、第1空間(63)から第2空間(64)へ潜熱蓄熱材(47,57)が侵入するのを阻止することができる。従って、この発明によれば、変形部分(60)に潜熱蓄熱材(47,57)が付着するのを確実に防止でき、蓄熱槽(41,51)の信頼性を向上させることができる。
【0079】
特に、請求項6の発明では、気体透過膜(91)によって仕切り手段(90)を構成している。このため、例えば搬送中などに誤って蓄熱槽(41,51)を倒してしまった場合でも、第1空間(63)から第2空間(64)へ潜熱蓄熱材(47,57)が侵入するのを阻止することができる。従って、この発明によれば、蓄熱槽(41,51)の信頼性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1における給湯装置の概略構成図である。
【図2】実施形態1における蓄熱ユニットの概略構成図である。
【図3】実施形態2における蓄熱ユニットの概略構成図である。
【図4】実施形態3における密閉容器の概略構成図である。
【図5】実施形態4における密閉容器の概略構成図である。
【符号の説明】
(43) 密閉容器
(47),(57) 潜熱蓄熱材
(60) 変形部分
(63) 第1空間
(64) 第2空間
(65) 本体部材
(66) 袋部材
(67) 膜状部材
(90) 仕切り手段
(91) 気体透過膜
Claims (6)
- 潜熱蓄熱材(47,57)を相変化させて蓄熱する蓄熱槽であって、
上記潜熱蓄熱材(47,57)と充填ガスとが密封された密閉容器(43)を備える一方、
上記密閉容器(43)には、該密閉容器(43)内の潜熱蓄熱材(47,57)が全て融解した状態における液面よりも上の部位に、該密閉容器(43)の容積が変化するように変形する変形部分(60)が設けられている蓄熱槽。 - 請求項1に記載の蓄熱槽において、
密閉容器(43)の変形部分(60)は、伸縮自在の蛇腹状に形成されている蓄熱槽。 - 請求項1に記載の蓄熱槽において、
密閉容器(43)は、箱状に形成されて潜熱蓄熱材(47,57)が貯留される本体部材(65)と、該本体部材(65)に取り付けられると共に充填ガスが出入り可能な袋状に形成されて変形部分(60)を構成する袋部材(66)とを備えている蓄熱槽。 - 請求項1に記載の蓄熱槽において、
密閉容器(43)の変形部分(60)は、ゴム製の膜状部材(67)により構成されている蓄熱槽。 - 請求項1に記載の蓄熱槽において、
上記密閉容器(43)には、変形部分(60)が変形しても容積が一定に保たれる第1空間(63)と、変形部分(60)の変形に伴って容積が変化する第2空間(64)とに該密閉容器(43)の内部を区画する仕切り手段(90)が設けられ、
潜熱蓄熱材(47,57)は、上記密閉容器(43)の第1空間(63)だけに貯留され、
上記仕切り手段(90)は、上記第1空間(63)と第2空間(64)の間における充填ガスの移動だけを許容して潜熱蓄熱材(47,57)の移動を阻止するように構成されている蓄熱槽。 - 請求項5に記載の蓄熱槽において、
仕切り手段(90)は、充填ガスの透過だけを許容する気体透過膜(91)により構成されている蓄熱槽。
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- 2003-03-13 JP JP2003068381A patent/JP2004278857A/ja active Pending
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