JP2004278452A - 小型車両用パワーユニット - Google Patents

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Keiichiro Niitsuma
桂一郎 新妻
Hiroyuki Tanaka
宏幸 田中
Hideo Ishikawa
秀男 石川
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Abstract

【課題】後上がりにシリンダ軸線を傾斜させたシリンダボアを有するシリンダブロックを介してクランクケースに結合されるシリンダヘッドに、カムシャフトが回転自在に支承され、クランクシャフトおよびカムシャフト間にはチェーンテンショナを有するタイミング伝動装置が設けられ、変速機の変速機ケースがクランクケースから後方に延設される小型車両用パワーユニットにおいて、変速機ケースの容量が小さくなることを回避しつつシリンダ軸線の後方側への傾斜角度を大きく設定可能として、エンジン高さを低くする。
【解決手段】チェーンテンショナ150Rが、シリンダ軸線CRよりも前方に配置される。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、後上がりにシリンダ軸線を傾斜させたシリンダボアを有するシリンダブロックを介してクランクケースに結合されるシリンダヘッドには、カムシャフトが回転自在に支承され、クランクシャフトおよびカムシャフト間にはチェーンテンショナを有するタイミング伝動装置が設けられ、変速機の変速機ケースが前記クランクケースから後方に延設される小型車両用パワーユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車に搭載されるV型エンジンの後部バンクにおいて、タイミング伝動装置のチェーンテンショナをシリンダ軸線よりも後方側に配置したものが、たとえば特許文献1等で既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−87757号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、シリンダ軸線を後上がりに傾斜させたエンジンを有する自動二輪車等の小型車両用のパワーユニットでは、変速機の変速機ケースがクランクケースから後方に延設されるので、タイミング伝動装置のチェーンテンショナがシリンダ軸線よりも後方側に配置されていると、変速機ケースへのエンジンの干渉を回避するためにシリンダ軸線の後方側への傾斜角度を大きく設定することができず、エンジン高さを低くすることが困難である。またエンジン高さを低くするようにしてシリンダ軸線の後方側への傾斜角度を大きくすると、変速機ケースの容量を小さく設定せざるを得ず、変速機を構成する部品の変速機ケース内での配置上の自由度が狭まってしまう。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、変速機ケースの容量が小さくなることを回避しつつシリンダ軸線の後方側への傾斜角度を大きく設定可能として、エンジン高さを低くすることができるようにした小型車両用パワーユニットを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車体フレームに搭載される頭上カム型4サイクルのエンジンが備えるクランクケースには、車体フレームへの搭載状態で左右方向に沿う軸線を有するクランクシャフトが回転自在に支承され、後上がりにシリンダ軸線を傾斜させたシリンダボアを有するシリンダブロックを介して前記クランクケースに結合されるシリンダヘッドには、前記クランクシャフトと平行な軸線を有するカムシャフトが回転自在に支承され、前記クランクシャフトおよび前記カムシャフト間にはチェーンテンショナを有するタイミング伝動装置が設けられ、前記クランクシャフトからの動力を変速して後輪に伝達する変速機の変速機ケースが前記クランクケースから後方に延設される小型車両用パワーユニットにおいて、前記チェーンテンショナが、前記シリンダ軸線よりも前方に配置されることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、チェーンテンショナが設けられることによってシリンダブロックが後方に膨らむことがないようにし、シリンダ軸線の後方側への傾斜角度を大きく設定しても、変速機ケースの容量が小さくなることを回避しつつシリンダブロックの変速機ケースへの干渉を回避することができ、エンジン高さを低くすることが可能となる。
【0008】
また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記エンジンが、シリンダ軸線を前上がりに傾斜させた前部バンクと、シリンダ軸線を後上がりに傾斜させた後部バンクとを有するV型に構成され、後部バンクの前記チェーンテンショナが該後部バンクのシリンダ軸線よりも前方に配置されることを特徴とし、かかる構成によれば、V型エンジンを、後方側に比較的大きく傾斜させて、エンジン高さを低くすることが可能となる。
【0009】
さらに請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明の構成に加えて、前記前部バンクが備える前部シリンダヘッドの側壁下部、ならびに前記後部バンクが備える後部シリンダヘッドの側壁後部に、排気管がそれぞれ接続されることを特徴とし、かかる構成によれば、後方側に比較的大きく傾斜させたV型エンジンにおける前部バンクの下方に生じるスペースで前部バンクの排気管を良好に取り回すことが可能であり、パワーユニットから下方への排気管の突出を抑え、最低地上高の確保が容易となる。また後部バンクにあっては、チェーンテンショナに関連する部品が後部バンクから後方に突出することはないので、その部品への干渉回避を考慮することなく後部バンクの排気管を容易にレイアウトすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1は自動二輪車の側面図、図2はパワーユニットを図1と同じ方向から見た一部切欠き側面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図4の5−5線矢視図、図6はロッカアームを省略した状態での図5に対応する図、図7は図5の7−7線断面図、図8は図5の8−8線断面図、図9は図4の9−9線断面図、図10は図4の10−10線矢視図、図11は図9の11矢視図である。
【0012】
先ず図1において、小型車両である自動二輪車の車体フレーム11には、前輪WFおよび後輪WR間に配置されるパワーユニットPが搭載されており、該パワーユニットPは、4サイクルの2気筒であるエンジンEと、該エンジンEおよび後輪WRの車軸18間に設けられる動力伝達装置Tとで構成される。
【0013】
図2〜図4を併せて参照して、前記エンジンEのエンジン本体13は、車体フレーム11の左右方向に延びる水平な軸線を有するクランクシャフト12を回転自在に支承するクランクケース14と、シリンダ軸線CFを前上がりに傾斜させて前記クランクケース14に連設される前部バンクFBと、側面視で前記シリンダ軸線CFとV字状に交差するシリンダ軸線CRを後上がりに傾斜させて前記クランクケース14に連設される後部バンクFRとを有するV型のものであり、両バンクFR,FBがそれぞれ頭上弁型に構成される。
【0014】
前部バンクFBは、前記クランクケース14に結合される前部シリンダブロック15Fと、該前部シリンダブロック15Fに結合される前部シリンダヘッド16Fと、前部シリンダブロック15Fとは反対側で前部シリンダヘッド16Fに結合される前部ヘッドカバー17Fとを備え、後部バンクRBは、前記クランクケース14に結合される後部シリンダブロック15Rと、後部シリンダブロック15Rに結合される後部シリンダヘッド16Rと、後部シリンダブロック15Rとは反対側で後部シリンダヘッド16Rに結合される後部ヘッドカバー17Rとを備える。
【0015】
クランクケース14は、自動二輪車の進行方向前方を向いたときに左側に配置される左側ケース半体19と、自動二輪車の進行方向前方を向いたときに右側に配置される右側ケース半体20とが相互に結合されて成り、両ケース半体19,20は、前記前部および後部バンクFB,RBのシリンダ軸線CF,CRと平行な結合面21で相互に結合される。
【0016】
クランクシャフト12の一端部は、左側ケース半体19に設けられた左側クランクジャーナル部22を貫通して該クランクジャーナル部22で回転自在に支承され、クランクシャフト12の他端部は、右側ケース半体20に設けられた右側クランクジャーナル部23を貫通して該クランクジャーナル部23で回転自在に支承される。
【0017】
クランクシャフト12は、左側クランクジャーナル部22の内方に配置される第1クランクウエイト24と、右側クランクジャーナル部23の内方に配置される第2クランクウエイト25とを有しており、前部シリンダブロック15Fに設けられたシリンダボア26Fに摺動自在に嵌合するピストン27Fに連なるコンロッド28Fの大端部と、後部シリンダブロック15Rに設けられたシリンダボア26Rに摺動自在に嵌合するピストン27Rに連なるコンロッド28Rの大端部とが、第1および第2クランクウエイト24,25間を結んでクランクシャフト12に設けられるクランクピン29に回動可能に連結される。
【0018】
ところで後部シリンダブロック15Rは、前部シリンダブロック15Fからクランクシャフト12の軸線に沿う一端側に偏倚して配置されるものであり、前記両コンロッド28F,28Rの大端部は、前部シリンダブロック15F側のコンロッド28Fが第2クランクウエイト25寄りに配置されるとともに後部シリンダブロック15R側のコンロッド28Rが第1クランクウエイト24寄りに配置されるようにして、第1および第2クランクウエイト24,25間でクランクピン29に連結される。
【0019】
左側クランクジャーナル部22から突出したクランクシャフト12の一端部には発電機30が装着されており、該発電機30は、クランクシャフト12の一端部に固定されるロータ31と、該ロータ31内に収容されるステータ32とで構成される。この発電機30は、クランクケース14の左側ケース半体19に結合される左エンジンカバー33で覆われ、前記ステータ32は左エンジンカバー33に固定される。
【0020】
左クランクジャーナル部22および発電機30間にはクランクシャフト12を同軸に囲繞する被動ギヤ35が配置されており、この被動ギヤ35は、発電機30のロータ31に一方向クラッチ34を介して連結される。またクランクシャフト12と平行な回転軸線を有するスタータモータ36が、前部および後部シリンダブロック15F,15R間に位置するようにしてクランクケース14の上部に支持されており、このスタータモータ36の出力軸に駆動ピニオン37が設けられる。一方、クランクケース14の左側ケース半体19および前記左エンジンカバー33間には、一体に形成された第1および第2中間ギヤ38,39と、第3中間ギヤ40とが、クランクシャフト12と平行な軸線まわりの回転を可能として支承されており、前記駆動ピニオン37が該駆動ピニオン37よりも大径の第1中間ギヤ38に噛合され、第1中間ギヤ38よりも小径の第2中間ギヤ39が、第2中間ギヤ39よりも大径にして被動ギヤ35に噛合している第3中間ギヤ40に噛合される。
【0021】
したがってエンジンEの始動時にスタータモータ36を作動せしめることにより、スタータモータ36からの駆動力が減速されてクランクシャフト12に伝達され、またエンジンEの始動後には、一方向クラッチ34の働きによりクランクシャフト12からの動力がスタータモータ36側に伝達されることはない。
【0022】
右側クランクジャーナル部23から突出したクランクシャフト12の他端部には、一体に成形された一対の駆動スプロケット44F,44Rが固着され、一方の駆動スプロケット44Fには、前部シリンダヘッド16Fに配設される動弁装置45Fを駆動するためのカムチェーン46Fが巻き掛けられ、他方の駆動スプロケット44Rには、後部シリンダヘッド16Rに配設される動弁装置45Rを駆動するためのカムチェーン46Rが巻き掛けられる。而してクランクシャフト12の他端部を覆う右エンジンカバー47が、クランクケース14の右側ケース半体20に結合される。
【0023】
再び図1において、エンジンEの前方斜め上に配置されるエアクリーナ48が車体フレーム11に搭載されるとともに、エアクリーナ48の上方に配置される燃料タンク49が車体フレーム11に搭載されており、前部および後部シリンダヘッド16F,16Rには個別の吸気管50F,50Rを介して前記エアクリーナ48が接続される。また前部および後部シリンダヘッド16F,16Rから排出される排気ガスを導く排気管51F,51Rが、後輪WRの右側に配置される排気マフラー52に共通に接続される。
【0024】
動力伝達装置Tは、クランクシャフト12から出力される動力を自動的にかつ無段階に変速するベルト式の無段変速機53と、該無段変速機53の出力を減速する減速ギヤ列54と、減速ギヤ列54および後輪WRの車軸18間に設けられるチェーン式伝動手段55とを備える。
【0025】
この動力伝達装置Tが備える変速機ケース56は、クランクケース14の左側および右側ケース半体19,20に一体に設けられて後方に延びるケース支持部14aの右側に前部が配置されるとともに後輪WRの左側に後部が配置されるようにして前後に延びるケース主体57と、該ケース主体57の前半部右側を覆うようにしてケース主体57に結合される右側ケース58と、ケース主体57の後半部左側を覆うようにしてケース主体57に結合される左側ケース59とで構成されるものであり、ケース主体57の前部はクランクケース14におけるケース支持部14aに締結される。
【0026】
ケース主体57の前半部および右側ケース58間には変速機室60が形成され、ケース主体57の後半部および左側ケース59間にはギヤ室61が形成される。
【0027】
無段変速機53は、変速機室60に収納されるものであり、クランクシャフト12の軸線に直交する平面内で該クランクシャフト12から間隔をあけた位置に配置されてクランクシャフト12と平行な軸線を有するドライブプーリ軸62と、該ドライブプーリ軸62と平行な軸線を有するドリブンプーリ軸63と、ドライブプーリ軸62に装着されるドライブプーリ64と、ドリブンプーリ軸63に装着されるドリブンプーリ65と、ドライブプーリ64およびドリブンプーリ65に巻き掛けられる無端状のVベルト66とを備える。
【0028】
ドライブプーリ軸62は、クランクシャフト12の後方に配置されるものであり、このドライブプーリ軸62の一端部は、クランクケース14の左側ケース半体19に設けられた一端側軸受部67で回転自在に支承され、ドライブプーリ軸62の中間部は、クランクケース14の右側ケース半体20に設けられた中間軸受部68で回転自在に支承され、ドライブプーリ軸62の他端部は、ミッションケース56における右側ケース58に設けられた他端側軸受部69で回転自在に支承される。しかも中間軸受部68は、クランクシャフト12における第2クランクウエイト25の外周が描く回転軌跡に一部を沿わせる形状を有して、クランクケース14の右側ケース半体20に設けられる。
【0029】
クランクシャフト12およびドライブプーリ軸62間には、第1クランクウエイト24よりも外方であって左側クランクジャーナル部22よりも内方に位置する伝動ギヤ列70が設けられ、左側クランクジャーナル部22よりも外方に配置される発電機30は、伝動ギヤ列70の外方に配置されることになる。
【0030】
前記伝動ギヤ列70は、クランクシャフト12に固定される駆動ギヤ71と、ドライブプーリ軸62に固定されて駆動ギヤ71に噛合する被動ギヤ72とから成り、相互に噛合する駆動ギヤ71および被動ギヤ72の噛合部のバックラッシに起因した異音の発生を抑制すべく駆動ギヤ71に噛合する補助ギヤ73が駆動ギヤ72との相対回転を可能としてドライブプーリ軸62に装着され、被動ギヤ72および補助ギヤ73間には両ギヤ72,73を相対回転させる方向のばね力を発揮するばね(図示せず)が設けられる。
【0031】
前記一端側軸受部67には、ドライブプーリ軸62の一端部を回転自在に貫通せしめる軸受孔74が設けられており、該軸受孔74の内面およびドライブプーリ軸62の外面間にはボールベアリング75が介装される。また前記中間軸受部68には、ドライブプーリ軸62の軸方向中間部を回転自在に貫通せしめる軸受孔76が前記軸受孔74と同軸に設けられ、軸受孔76の内面およびドライブプーリ軸62の外面間にボールベアリング77および環状のシール部材78が介装される。さらに前記他端側軸受部69には、ドライブプーリ軸62の他端部を挿入せしめる有底の軸受穴79が前記各軸受孔74,76と同軸に設けられており、軸受穴79の内面およびドライブプーリ軸62の外面間にボールベアリング80が介装される。
【0032】
このようにして伝動ギヤ列70の両側でドライブプーリ軸62が両持ち支持されることになり、それにより中間軸受部68の負荷を軽減し、中間軸受部68を極力小型化してドライブプーリ軸68を第2クランクウエイト25側により近接させることが可能となり、パワーユニットPの前後長をより一層短くし、ホイールベースをさらに短縮化することができる。
【0033】
ドライブプーリ64は、ドライブプーリ軸62の他端部に固定されるドライブ側固定プーリ半体84と、ドライブ側固定プーリ半体84に対する近接・離反を可能としてドライブプーリ軸62にスライド可能に支承されるドライブ側可動プーリ半体85とで構成されるものであり、ドライブプーリ軸62は、クランクシャフト12における第1および第2クランクウエイト24,25の外周が描く回転軌跡に側面視でドライブプーリ64の一部を重ねる位置に配置されている。
【0034】
また前記ドライブ側可動プーリ半体85は、前記カムチェーン46F,46Rが巻き掛けられた駆動スプロケット44F,44Rに前記クランクシャフト12の軸線に沿う方向で対応する位置に配置されるプーリ駆動手段86により軸方向に駆動されるものであり、ドライブ側可動プーリ半体85および前記中間軸受部68間に前記プーリ駆動手段86が配置されている。
【0035】
ボールベアリング77の内輪およびドライブ側固定プーリ半体84間でドライブプーリ軸62には、該ドライブプーリ軸62を囲繞する円筒状のスリーブ87が装着されており、ドライブ側可動プーリ半体85は、該スリーブ87に軸方向スライド可能に支承される。
【0036】
前記プーリ駆動手段86は、前記スリーブ87を囲繞する円筒状に形成されてミッションケース56のケース主体57に固定されるねじ軸88と、該ねじ軸88に螺合されるナット89と、ナット89の外周に一体に形成される被動ギヤ90と、ミッションケース56のケース主体57に支持される電動モータ91(図2参照)の出力軸に設けられる駆動ピニオン92と、電動モータ91の回転動力を減速して駆動ピニオン92から被動ギヤ90に伝達するようにして駆動ピニオン92および被動ギヤ90間に設けられる減速ギヤ機構93とを含む。
【0037】
このようなプーリ駆動手段86によれば、電動モータ91の作動に応じてナット89がドライブプーリ軸62の軸方向に進退作動することになる。しかもナット89はボールベアリング94を介してドライブ側可動プーリ半体85に連結されており、ナット89の上記進退作動に応じてドライブ側可動プーリ半体85がドライブプーリ軸62の軸方向にスライドすることになる。
【0038】
このように側面視でドライブプーリ64の一部を発電機30に重ねる位置に配置されるドライブプーリ軸62の中間部が、クランクケース14に設けられる中間軸受部68で回転自在に支承され、中間軸受部68の一部は、クランクシャフト12が備える第1および第2クランクウエイト25の外周が描く回転軌跡に沿う形状に形成されており、ドライブプーリ軸62に固定されるドライブ側固定プーリ84とともにドライブプーリ64を構成するドライブ側可動プーリ85をドライブプーリ軸63に沿ってスライド駆動するプーリ駆動手段86は、クランクシャフト12の軸方向に沿って駆動スプロケット44F,44Rに対応する位置に配置されるので、ドライブプーリ64をその一部が側面視で発電機30に重なるようにしてクランクシャフト12側に近接させることが可能となり、その結果、パワーユニットPの前後長を短くし、ひいてはホイールベースを短縮化することができる。
【0039】
ドリブンプーリ軸63の一端部は、ケース主体57を回転自在に貫通してギヤ室61に突入され、ケース主体57およびドリブンプーリ軸63間にはボールベアリング95が介装される。またドリブンプーリ軸63の他端部は、ボールベアリング96を介して右側ケース58に回転自在に支承される。
【0040】
ドリブンプーリ65は、ドリブンプーリ軸63に軸線方向の位置を一定として相対回転可能に支承されるドリブン側固定プーリ半体97と、ドリブン側固定プーリ半体97に対する近接・離反を可能としてドリブン側固定プーリ半体97にスライド可能かつ相対回転可能に支承されるとともにドリブン側固定プーリ半体97に向けてばね付勢されるドリブン側可動プーリ半体98とで構成される。
【0041】
ドリブン側固定プーリ半体97には、相対回転を可能としてドリブンプーリ軸63を同軸に囲繞する円筒状のガイド部97aが一体に設けられており、ミッションケース56における右側ケース58側から前記ドリブン側固定プーリ半体97に対向するドリブン側可動プーリ半体98は、前記ガイド部97aでスライド可能に支承される。しかも前記ガイド部97aの右側ケース58側の端部に固定されるばね受け部材99およびドリブン側可動プーリ半体98間に、ドリブン側可動プーリ半体98をドリブン側固定プーリ半体97側に付勢するばね100が設けられる。
【0042】
前記ドリブン側固定プーリ半体97のガイド部97aおよびドリブンプーリ軸63間には遠心クラッチ101が設けられており、前記ドリブン側固定プーリ半体97がドリブンプーリ軸63の軸線まわりに所定値以上の回転数で回転するのに応じて、ドリブンプーリ65の回転動力がドリブンプーリ軸63に伝達される。
【0043】
減速ギヤ列54は、前記ドリブンプーリ軸63の一端からの回転動力が中間軸102を経て出力軸103に減速されつつ伝達されるように構成されてギヤ室61に収納されており、中間軸102および出力軸103はケース主体57および左側ケース59に回転自在に支承され、出力軸103の一端は左側ケース59から突出される。
【0044】
チェーン式伝動手段55は、前記出力軸103に同軸にかつ相対回転不能に連結される駆動軸104に固定される駆動スプロケット105と、後輪WRの車軸18に固定された被動スプロケット106とに、無端状のチェーン107が巻き掛けられて成るものであり、後輪WRの左側に配置されるチェーンケース108に収納される。
【0045】
左側ケース59には、前記出力軸103の左側ケース59からの突出部を囲繞する円筒状の支軸109が締結されており、前記チェーンケース108の前部がラジアルベアリング110を介して揺動可能に支承される。また駆動軸104はチェーンケース107にボールベアリング111,111を介して回転可能に支承される。
【0046】
一方、ミッションケース56のケース主体57には、前記出力軸103および駆動軸104と同軸の揺動軸112がラジアルベアリング113を介して揺動可能に支承されており、後輪WRの右側に配置されて前後に延びるアーム114の前部が前記揺動軸112に固定される。而して後輪WRの車軸18はチェーンケース108の後部および前記アーム114の後部間で回転可能に軸支されている。
【0047】
ところで、ベルト式無段変速機53のドリブンプーリ65において、ドリブン側可動プーリ半体98は、外方からドリブン側固定プーリ半体97に対向するものであり、ドリブン側固定プーリ半体97に対して近接、離反するものであるので、ミッションケース56の外側面である右側ケース58は、その後部が前部よりも外側方に***した形状に形成される。すなわち右側ケース58には、ドライブプーリ64を覆う低位部58aと、ドリブンプーリ65を覆うようにして低位部58aよりも外側方に***しつつ前記低位部58aの後部に連なる高位部58bとが形成される。
【0048】
前記ドライブプーリ軸62の周囲で前記低位部58aには変速機室60に通じる複数の透孔115…が設けられ、ドライブプーリ64におけるドライブ側固定プーリ半体84には、前記各透孔115…から変速機室60内に空気を吸引する複数の羽根84a…が一体に形成される。すなわちドライブ側固定プーリ半体84はファンとしても機能する。
【0049】
ミッションケース56の右側ケース58には、低位部58aを覆う空気導入カバー116が取付けられており、前記各透孔115…に通じるとともに前記高位部58bの前端部側に臨んで開口する空気導入通路117が空気導入カバー116および前記低位部58a間に形成される。
【0050】
また高位部58bの前部内には、前記空気導入通路117の開口端に対応して円弧状に形成される空気排出通路118が変速機室60内に通じるようにして形成されており、この空気排出通路118は、前記空気導入孔117の後方で下方に向けて開放する。
【0051】
而してドライブ側固定プーリ半体84の回転に応じて、空気導入通路117から透孔115…を経て変速機室60に導入された空気により、無段変速機53が冷却されることになり、冷却後の空気は、変速機室60から空気排出通路118を経てミッションケース56の外部に排出されることになる。
【0052】
クランクケース14内には、クランクシャフト12の大部分およびドライブプーリ軸62の一端部を収容するクランク室124と、クランクシャフト12の後方側に配置されるオイル貯留室125とが、クランクケース14に設けられる隔壁14bによって相互に区画されるようにして形成されており、前記オイル貯留室125は、ドライブプーリ軸62の左側に延びるようにして左エンジンカバー33内にも連なって形成されている。
【0053】
而してオイル貯留室125内のオイルは図示しないフィードポンプによりエンジンEの各部潤滑部に供給され、潤滑後にクランク室124内に戻ったオイルは図示しないリターンポンプによりオイル貯留室125に戻される。
【0054】
図5〜図9において、前部バンクFBの前部シリンダヘッド16Fには、ピストン27Fの頂部を臨ませて前部シリンダブロック15Fおよび前部シリンダヘッド16F間に形成される燃焼室126への吸気管50Fからの吸気を制御する一対の吸気弁127…が、クランクシャフト12の軸線に沿う方向に並んで開閉自在に配設されるとともに、前記燃焼室126から排気管51Fへの排気を制御する一対の排気弁128…が、前記吸気弁127…と平行に並んで開閉自在に配設されており、両吸気弁127…は前部シリンダヘッド16Fとの間に介装されるコイル状の吸気側弁ばね129…で閉弁方向に付勢され、両排気弁128…は前部シリンダヘッド16Fとの間に介装されるコイル状の排気側弁ばね130…で閉弁方向に付勢される。
【0055】
前記両吸気弁127…および前記両排気弁128…を開閉駆動する動弁装置45Fは、前部シリンダヘッド16Fおよび前部ヘッドカバー17F間に形成される動弁室123Fに収容されるものであり、タイミング伝動装置43Fによってクランクシャフト12から1/2に減速される回転動力で回転駆動されるようにして前部シリンダヘッド16Fに回転自在に支承されるカムシャフト131と、該カムシャフト131と平行な軸線を有して前部シリンダヘッド16Fに支持される第1および第2ロッカシャフト132,133と、第1および第2ロッカシャフト132,133でそれぞれ揺動可能に支承される第1および第2ロッカアーム134,135とを備える。
【0056】
前記カムシャフト131は、その軸線をほぼシリンダ軸線CF上に配置するようにして吸気側弁ばね129…および排気側弁ばね130…間で前部シリンダヘッド16Fに回転自在に支承される。前部シリンダヘッド16Fには、カムシャフト131の軸方向に間隔をあけて複数たとえば一対の支持部136,137が一体に設けられており、それらの支持部136,137には、カムシャフト131を回転自在に支承するための軸受孔138,139が設けられる。而して支持部136における軸受孔138の内面およびカムシャフト131の外周間にはボールベアリング140が介装され、支持部137における軸受孔139の内面およびカムシャフト131の外周間にはボールベアリング141が介装される。
【0057】
前記両支持部136,137間でカムシャフト131には、吸気弁127…および排気弁127…の一方、この実施例では吸気弁127…を駆動するための第1カム142と、吸気弁127…および排気弁128…の他方、この実施例では排気弁128…を駆動するための第2カム143とが一体に設けられる。しかも第2カム143は、第1カム142よりも小さく形成されるものであり、カムシャフト131の軸線に沿う方向にそれぞれ並ぶ吸気側および排気側弁ばね129…,130…のうち軸方向一方側(図5および図6の左側)の吸気側および排気側弁ばね129,130間に配置されるのに対し、第1カム142は、前記軸方向一方側の吸気側および排気側弁ばね129,130からさらに前記軸方向に沿う一方側にずれた位置に配置される。
【0058】
第1および第2ロッカシャフト132,133は、シリンダ軸線CFに沿う方向から見たときにカムシャフト131を上下から挟む位置で前部シリンダヘッド16Fに支持されており、第2ロッカシャフト133が第1ロッカシャフト132の下方に配置される。しかも第2ロッカシャフト133およびクランクシャフト12間の距離が第1ロッカシャフト132およびクランクシャフト12間の距離よりも小さく設定される。すなわち第2ロッカシャフト133は第1ロッカシャフト132よりも距離ΔLだけクランクシャフト12に近い位置に配置される。
【0059】
第1ロッカシャフト132には、一対の吸気弁127…にそれぞれ当接する当接腕134a,134bを有する第1ロッカアーム134が揺動可能に支承されており、この第1ロッカアーム134には、カムシャフト131の第1カム142に転がり接触するローラ144がローラベアリング145を介して軸支される。また第2ロッカシャフト134には、一対の排気弁128…にそれぞれ当接する当接腕135a,135bを有する第2ロッカアーム135が揺動可能に支承されており、この第2ロッカアーム135には、カムシャフト131の第2カム143に摺接するカムスリッパ146が設けられる。
【0060】
タイミング伝動装置43Fは、クランクケース14から前部シリンダブロック15F、前部シリンダヘッド16Fおよび前部ヘッドカバー17Fまでの間にわたって形成されるカムチェーン室148Fに収容されるものであり、クランクシャフト12に固着された駆動スプロケット44Fと、前記シリンダヘッド16Fにおける支持部136から突出したカムシャフト131の一端部に固着される被動スプロケット149Fと、駆動スプロケット44Fおよび被動スプロケット149Fに巻き掛けられるカムチェーン46Fと、該カムチェーン46Fの緩み側に一定の張りを与えるべくカムチェーン46Fに摺動自在に当接される弓形のチェーンテンショナ150Fと、該チェーンテンショナ150Fの長手方向中央部を一定の荷重をもって押圧するようにして前部シリンダブロック15Fに取付けられる公知のテンショナリフタ151Fと、カムチェーン46Fの緊張側に摺接するようにして前部シリンダブロック15Fに取付けられるチェーンガイド152Fとを備える。
【0061】
ところで、クランクシャフト12は図4の矢印153で示す方向に回転するものであり、タイミング伝動装置43Fにおいてカムチェーン46Fは、シリンダ軸線CFよりも前側、すなわちシリンダ軸線CFが前上がりに傾斜しているのでシリンダ軸線CFよりも下側が緩み側となるものであり、チェーンテンショナ150Fおよびテンショナリフタ151Fもシリンダ軸線CFよりも前側に配置される。
【0062】
前記被動スプロケット149Fは、前部シリンダヘッド16Fにおける支持部136から突出したカムシャフト131の一端部に圧入等によって固定される支持部材154に、複数たとえば一対のボルト155,155によって固着される。
【0063】
図10において、後部バンクRB側の動弁装置45Rは、後部シリンダヘッド16Rおよび後部ヘッドカバー17R間に形成される動弁室123Rに収容されており、タイミング伝動装置43Rによってクランクシャフト12から1/2に減速される回転動力で回転駆動されるようにして後部シリンダヘッド16Rに回転自在に支承されるカムシャフト131と、該カムシャフト131と平行な軸線を有して後部シリンダヘッド16Rに支持される第1および第2ロッカシャフト132,133と、第1および第2ロッカシャフト132,133でそれぞれ揺動可能に支承される第1および第2ロッカアーム134,135とを有して、前部バンクFB側の動弁装置45Fと同様に構成される。
【0064】
而して動弁装置45Rの構成については、前部バンクFB側の動弁装置45Fに対応する部分に同一の参照符号を付して図示するのみとし、詳細な説明を省略する。
【0065】
図4に特に注目して、タイミング伝動装置43Rは、クランクケース14から後部シリンダブロック15R、後部シリンダヘッド16Rおよび後部ヘッドカバー17Rまでの間にわたって形成されるカムチェーン室148Rに収容されるものであり、クランクシャフト12に固着された駆動スプロケット44Rと、カムシャフト131の一端部に固着される被動スプロケット149Rと、駆動スプロケット44Rおよび被動スプロケット149Rに巻き掛けられるカムチェーン46Rと、該カムチェーン46Rの緩み側に一定の張りを与えるべくカムチェーン46Rに摺動自在に当接される弓形のチェーンテンショナ150Rと、該チェーンテンショナ150Rの長手方向中央部を一定の荷重をもって押圧するようにして後部シリンダブロック15Rに取付けられる公知のテンショナリフタ151Rと、カムチェーン46Rの緊張側に摺接するようにして後部シリンダブロック15Rに取付けられるチェーンガイド152Rとを備える。
【0066】
しかも矢印153で示す方向にクランクシャフト12が回転するのに伴い、タイミング伝動装置43Rのカムチェーン46Rは、後部バンクRBのシリンダ軸線CRよりも前側が緩み側となるものであり、チェーンテンショナ150Rおよびテンショナリフタ151Rは、後上がりに傾斜したシリンダ軸線CRよりも前方に配置されることになる。
【0067】
前記被動スプロケット149Rは、カムシャフト131の一端部に圧入等によって固定されるカムパルサ156にたとえば一対のボルト157,157によって固着されており、カムパルサ156には、その周方向に間隔をあけた3箇所で半径方向外方に突出する突部156a…が突設され、後部シリンダヘッド16Rには、前記各突部156a…を検出することでピストン27Rの圧縮上死点を検出するための圧縮上死点検出センサ158が取付けられる。
【0068】
ところで、圧縮上死点の検出にあたっては基準の気筒、この実施例では後部バンクRBでの圧縮上死点を検出し、図示しないクランク角センサで他の気筒、この実施例では前部バンクFBの位相を判別することで前部バンクFBでの圧縮上死点を検出することが可能となるのであるが、カムパルサが単一の突部しか有しないものである場合にはノイズによって信号が乱れたときに、カムシャフト131の1回転分の圧縮上死点判別ができなくなってしまう。そこで、上述のように3つの突部156a…をカムパルサ156に設けることで、ノイズが混入してもカムシャフト131の半回転(クランクシャフト12の1回転)で復帰し得るようにしている。
【0069】
前部バンクFBおよび後部バンクRBにおいて、シリンダヘッド16F,16Rには、燃焼室126に先端部を臨ませるようにして点火プラグ158…がそれぞれ取付けられるのであるが、吸気弁127…および排気弁128…間にカムシャフト131…が配置されているので、シリンダ軸線CF,CRを含むとともにカムシャフト131…の軸線と平行な平面(図9で示す平面)への投影図上で、被動スプロケット149F,149Rとは反対側へのカムシャフト131…の軸線の延長線と角度をなして交差する軸線を有するようにして、点火プラグ158…が斜め側方からシリンダヘッド16F,16Rに取付けられている。
【0070】
すなわちシリンダ軸線CF,CRに関してカムチェーン室148F,148Rとは反対側でシリンダヘッド16F,16Rのヘッドカバー17F,17R寄り外側面には、点火プラグ158…を取り付けるために内方側に窪んだ取付け用凹部159…が設けられており、燃焼室126…に臨むようにしてシリンダヘッド16F,16Rに設けられた取付孔160…に前記取付け用凹部159…から点火プラグ158…がねじ込まれる。
【0071】
このような点火プラグ158…の取付け構造において、点火プラグ158…をシリンダヘッド16F,16Rに取り付けるための工具が、シリンダヘッド16F,16Rおよびヘッドカバー17F,17Rの結合部に干渉するのは防止しなければならず、その観点から、ヘッドカバー17F,17Rを結合すべくシリンダヘッド16F,16Rに設けられるヘッドカバー結合面161F,161Rは、カムシャフト131…の軸線に沿って前記被動スプロケット149F,149R側に向かうにつれてシリンダブロック15F,15Rとの間の距離が小さくなるようにして、シリンダ軸線CF、CRに直交する平面と斜めに交差する傾斜面として形成される。
【0072】
ところで、第1および第2カム142,143を一体に有するカムシャフト131…は、支持部136,137との間に介在させるボールベアリング140,141を装着した状態で、支持部136,137の軸受孔138,139に前記ボールベアリング140,141の外輪を圧入するようにして組付けられるものであり、前記点火プラグ158…とは反対側で前記シリンダヘッド16F,16Rの側壁には、図11で示すように、前記各軸受孔138,139へのカムシャフト131…の装着時に該カムシャフト131…を挿通させることを可能とした半円状の凹部162F,162Rが前記ヘッドカバー結合面161F,161Rに両端を連ならせるようにして設けられる。
【0073】
また前記ヘッドカバー結合面161F,161Rとの間にガスケット164…を介在させてシリンダヘッド16F,16Rに結合されるヘッドカバー17F,17Rには、該ヘッドカバー17F,17Rを前記シリンダヘッド16F,16Rに結合するのに応じて前記凹部162F,162Rを閉塞する半円状の蓋部163…が一体に設けられる。
【0074】
ところで、支持部136,137の軸受孔138,139へのカムシャフト131…の装着時に、カムシャフト131…が備える第1および第2カム142,143のうち大きな第1カム142が支持部136の軸受孔138を挿通するようにするために、前記軸受孔138は完全な円形ではなく、第1カム142の高位部142aを通し得るようにして一部が外方に膨らんだ形状に形成される。
【0075】
次にこの実施例の作用について説明すると、V型であるエンジンEにおける前部および後部バンクFB,RBの動弁装置45F,45Rにおいて、第1および第2カム142,143がそれぞれ設けられるカムシャフト131…が、その軸線をほぼシリンダ軸線CF,CR上に配置してシリンダヘッド16F,16Rに支承されており、吸気側および排気側弁ばね129,130間に配置される第2カム143…が第1カム142…よりも小さく形成され、第1カム142…はカムシャフト131…の軸線に沿う方向で吸気側および排気側弁ばね129,130間からずれた位置に配置されている。
【0076】
したがって第1および第2カム142,143と、吸気側および排気側弁ばね129,130との干渉を回避しつつ、吸気弁127および排気弁128の弁軸の挟み角を比較的小さく設定することができ、燃焼室126…のコンパクト化を図って高い圧縮比を得ることができるとともに、カムシャフト131…を含む動弁装置45F,45Rのコンパクト化ひいてはシリンダヘッド16F,16Rの小型化を図ることができる。
【0077】
しかもカムシャフト131の両側で、該カムシャフト131の軸線に沿う方向に並ぶ一対ずつの吸気弁127…および排気弁128…が、前部および後部バンクFB,RBにおけるシリンダヘッド16F,16Rに開閉自在に配設されるので、4バルブの頭上カム型エンジンにおいて、燃焼室126…のコンパクト化を図って高い圧縮比を得ることができるとともに、カムシャフト131…を含む動弁装置45F,45Rのコンパクト化ひいてはシリンダヘッド16F,16Rの小型化を図ることができる。
【0078】
またクランクシャフト12の軸線を水平とした姿勢で自動二輪車の前輪WFよりも後方で車体フレーム11に搭載されるエンジン本体13の前部バンクFBにおいて、第1カム142に従動する第1ロッカアーム134がカムシャフト131と平行な軸線を有する第1ロッカシャフト132で揺動可能に支承され、第2カム143に従動する第2ロッカアーム135が、カムシャフト131と平行な軸線を有して第1ロッカシャフト132よりも下方に配置された第2ロッカシャフト133で揺動可能に支承され、第2ロッカシャフト133およびクランクシャフト12間の距離が第1ロッカシャフト132およびクランクシャフト12間の距離よりも小さく設定されている。
【0079】
このため前部バンクFBではシリンダ軸線CFが前上がりに傾斜しているにもかかわらず、クランクシャフト12からエンジン本体13の前端下部までの距離を極力短縮することが可能であり、前輪WFとの干渉を回避しつつエンジン本体13を前輪WF側に近接させて自動二輪車のホイールベース短縮に寄与することができたり、あるいは前輪WFのホイールストロークを長く設定することができる。
【0080】
しかもエンジンEはV型のものであり、前部シリンダヘッド16Fを前輪WFとの干渉を回避しつつ前輪WF側に近接させることが可能であり、エンジン本体13を極力下方位置に配置して、エンジン本体13の上方に他の部品を確保するためのスペースを大きく確保することや、乗員用シートの高さを低くすることが可能となる。
【0081】
また第1ロッカアーム134には、第1カム142に転がり接触するローラ144が軸支され、第2ロッカアーム135には第2カム143に摺接するカムスリッパ146が設けられるので、吸気側および排気側弁ばね129,130間に配置される第2カム143には配置スペースが比較的小さくてすむカムスリッパ146を摺接させて吸気弁127および排気弁128の弁軸の挟み角が大きくなることを回避してシリンダヘッド16F,16Rの小型化を図ることができ、また吸気側および排気側弁ばね129,130間からずれた位置に配置されているので前記挟み角に影響を及ぼすことがない第1カム142には、配置スペースが比較的大きくなるローラ144を転がり接触させることにより、動弁装置45F,45Rでの摩擦損失低減に寄与することができる。
【0082】
また後上がりにシリンダ軸線CRを傾斜させた後部バンクRBにおいて、クランクシャフト12およびカムシャフト131間にはチェーンテンショナ150Rを有するタイミング伝動装置43Rが設けられ、クランクシャフト12からの動力を変速して後輪WRに伝達する変速機53の変速機ケース56がクランクケース14から後方に延設されるのであるが、前記チェーンテンショナ150Rが、前記シリンダ軸線CRよりも前方に配置されている。
【0083】
したがってチェーンテンショナ150Rの配置によって後部シリンダブロック15Rが後方側に膨らむことがないようにし、前記シリンダ軸線CRの後方側への傾斜角度を大きく設定しても、変速機ケース56の容量が小さくなることを回避しつつ後部シリンダブロック15Rの変速機ケース56への干渉を回避することができ、エンジンEの高さを低くすることが可能となる。
【0084】
またエンジンEが、シリンダ軸線CFを前上がりに傾斜させた前部バンクFBと、シリンダ軸線CRを後上がりに傾斜させた後部バンクRBとを有するV型に構成されており、V型のエンジンEを、後方側に比較的大きく傾斜させて、エンジンEの高さを低くすることが可能となる。
【0085】
さらに前部バンクFBが備える前部シリンダヘッド16Fの側壁下部、ならびに後部バンクRBが備える後部シリンダヘッド16Rの側壁後部に、排気管51F,51Rがそれぞれ接続されており、後方側に比較的大きく傾斜させたV型のエンジンEにおける前部バンクFBの下方に生じるスペースで前部バンクFBの排気管51Fを良好に取り回すことが可能であり、パワーユニットPから下方への排気管51Fの突出を抑え、最低地上高の確保が容易となる。また後部バンクRBにあっては、チェーンテンショナ150Rに関連する部品すなわちテンショナリフト151Rが後部バンクRBから後方に突出することはないので、その部品への干渉回避を考慮することなく後部バンクRBの排気管151Rを容易にレイアウトすることができる。
【0086】
ところで、前部および後部バンクFB,RBでは、その動弁装置45F,45Rにおけるカムシャフト131…の一端部に被動スプロケット149F,149Rが固着されており、被動スプロケット149F,149Rとは反対側へのカムシャフト131の軸線の延長線と角度をなして交差する軸線を有する点火プラグ158…が前部および後部シリンダヘッド16F,16Rに取付けられており、ヘッドカバー17F,17Rを結合すべく各シリンダヘッド16F,16Rに設けられるヘッドカバー結合面161F,161Rは、カムシャフト131…の軸線に沿って前記被動スプロケット149F,149R側に向かうにつれてシリンダブロック15F,15Rとの間の距離が小さくなるようにして、各シリンダ軸線CF、CRに直交する平面と斜めに交差する傾斜面として形成されている。
【0087】
このようにヘッドカバー結合面161F,161Rが、カムシャフト131…の軸線に沿って被動スプロケット149F,149R側に向かうにつれてシリンダブロック15F,15Rに近づくように傾斜すると、点火プラグ158…に対応する部分で前記ヘッドカバー結合面161F,161Rはシリンダブロック15F,15Rから最も離隔した位置にある。したがって燃焼室126…の中央部に臨ませるように点火プラグ158…の取付け姿勢を立ち上げても、シリンダヘッド16F,16Rの大型化およびヘッドカバー17F、17Rの小型化による剛性低下を回避しつつ、点火プラグ用工具がシリンダヘッド16F、16Rおよびヘッドカバー17F,17Rの結合部に干渉するのを回避することが可能であり、点火プラグ158…の取付け自由度も増大することができる。
【0088】
さらに前部および後部シリンダヘッド16F,16Rには、カムシャフト131…を回転自在に支承する軸受孔138,139をそれぞれ有する一対の支持部136,137が一体に設けられ、点火プラグ158…とは反対側でシリンダヘッド16F,16Rの側壁には、各軸受孔138,139への前記カムシャフト131…の装着時に該カムシャフト131…を挿通させ得る半円状の凹部162F,162Rが前記ヘッドカバー結合面161F,161Rに両端を連ならせるようにして設けられる。
【0089】
このため凹部162F,162Rから切削工具を挿入して各支持部136,137の軸受孔138,139を切削加工することが可能であり、良好な加工性を確保するとともに部品点数を低減しつつカムシャフト131…をシリンダヘッド16F,16Rで支持することができる。
【0090】
またヘッドカバー17F,17Rには、該ヘッドカバー17F,17Rをシリンダヘッド16F,16Rに結合するのに応じて前記凹部162F,162Rを閉塞する半円状の蓋部163…が一体に設けられるので、凹部162F,162Rを塞ぐためにヘッドカバー17F,17R以外の部品は不要であり、凹部162F,162Rを設けることによて部品点数が増大することを防止することができる。
【0091】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0092】
たとえば本発明を、自動二輪車だけでなく、自動三輪車等の小型車両に適用することもできる。
【0093】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の発明によれば、後上がりに傾斜したシリンダ軸線の後方側への傾斜角度を大きく設定しても、変速機ケースの容量が小さくなることを回避しつつシリンダブロックの変速機ケースへの干渉を回避することができ、エンジン高さを低くすることが可能となる。
【0094】
また請求項2記載の発明によれば、V型エンジンを、後方側に比較的大きく傾斜させて、エンジン高さを低くすることが可能となる。
【0095】
さらに請求項3記載の発明によれば、後方側に比較的大きく傾斜させたV型エンジンにおける前部バンクの下方に生じるスペースで前部バンクの排気管を良好に取り回すことが可能であり、パワーユニットから下方への排気管の突出を抑え、最低地上高の確保が容易となる。また後部バンクにあっては、チェーンテンショナに関連する部品が後部バンクから後方に突出することはないので、その部品への干渉回避を考慮することなく後部バンクの排気管を容易にレイアウトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動二輪車の側面図である。
【図2】パワーユニットを図1と同じ方向から見た一部切欠き側面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】図4の5−5線矢視図である。
【図6】ロッカアームを省略した状態での図5に対応する図である。
【図7】図5の7−7線断面図である。
【図8】図5の8−8線断面図である。
【図9】図4の9−9線断面図である。
【図10】図4の10−10線矢視図である。
【図11】図9の11矢視図である。
【符号の説明】
11・・・車体フレーム
12・・・クランクシャフト
14・・・クランクケース
15R・・・シリンダブロック
16F・・・前部シリンダヘッド
16R・・・後部シリンダヘッド
26R・・・シリンダボア
43R・・・タイミング伝動装置
51F,51R・・・排気管
53・・・変速機
56・・・変速機ケース
131・・・カムシャフト
150R・・・チェーンテンショナ
CR,CF・・・シリンダ軸線
E・・・エンジン
FB・・・前部バンク
P・・・パワーユニット
RB・・・後部バンク

Claims (3)

  1. 車体フレーム(11)に搭載される頭上カム型4サイクルのエンジン(E)が備えるクランクケース(14)には、車体フレーム(11)への搭載状態で左右方向に沿う軸線を有するクランクシャフト(12)が回転自在に支承され、後上がりにシリンダ軸線(CR)を傾斜させたシリンダボア(26R)を有するシリンダブロック(15R)を介して前記クランクケース(14)に結合されるシリンダヘッド(16R)には、前記クランクシャフト(12)と平行な軸線を有するカムシャフト(131)が回転自在に支承され、前記クランクシャフト(12)および前記カムシャフト(131)間にはチェーンテンショナ(150R)を有するタイミング伝動装置(43R)が設けられ、前記クランクシャフト(12)からの動力を変速して後輪に伝達する変速機(53)の変速機ケース(56)が前記クランクケース(14)から後方に延設される小型車両用パワーユニットにおいて、前記チェーンテンショナ(150R)が、前記シリンダ軸線(CR)よりも前方に配置されることを特徴とする小型車両用パワーユニット。
  2. 前記エンジン(E)が、シリンダ軸線(CF)を前上がりに傾斜させた前部バンク(FB)と、シリンダ軸線(CF)を後上がりに傾斜させた後部バンク(RB)とを有するV型に構成され、後部バンク(RB)の前記チェーンテンショナ(150R)が該後部バンク(RB)のシリンダ軸線(CR)よりも前方に配置されることを特徴とする請求項1記載の小型車両用パワーユニット。
  3. 前記前部バンク(FB)が備える前部シリンダヘッド(16F)の側壁下部、ならびに前記後部バンク(RB)が備える後部シリンダヘッド(16R)の側壁後部に、排気管(51F,51R)がそれぞれ接続されることを特徴とする請求項2記載の小型車両用パワーユニット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012140965A (ja) * 2007-08-31 2012-07-26 Yamaha Motor Co Ltd エンジン及び鞍乗型車両
JP2014214749A (ja) * 2013-04-25 2014-11-17 マーレ インターナショナルゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテルハフツングMAHLE International GmbH 軸受フレーム又はシリンダヘッドカバー、軸受フレーム又はシリンダヘッドカバーを備えた内燃機関、及び軸受フレーム又はシリンダヘッドカバーに対するカムシャフトの取付方法

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