JP2004276467A - 平版印刷版用版面処理液 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に施される中和安定化液あるいはエッチ液のような版面処理液に於いて、銀画像の耐刷力を向上させ、かつインキ乗り点を改良する。
【解決手段】銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に用いられる版面処理液において、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物、及びハロゲン化銀溶剤を含有することを特徴とする版面処理液。
【選択図】 なし。
【解決手段】銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に用いられる版面処理液において、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物、及びハロゲン化銀溶剤を含有することを特徴とする版面処理液。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀錯塩拡散転写法(DTR法)を応用した平版印刷版の現像処理後に版面に施される版面処理液に関し、より詳しくは中和安定化液あるいはエッチ液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法によって得られる転写銀画像を直ちにインキ受理性として利用することができる平版印刷版は、既に特公昭48−30562号、特開昭53−21602号、同昭54−103104号、同昭56−9750号等々に記載され、よく知られている。
【0003】
かかる平版印刷版の製版法に適した銀錯塩拡散転写法の代表的な実施法によれば、支持体上に、下塗層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層から構成されており、感光材料を画像露光し、現像処理を行うと潜像が形成されているハロゲン化銀は乳剤層中で黒化銀となる。同時に潜像が形成されていないハロゲン化銀は現像処理液中に含まれるハロゲン化銀錯化剤の作用で溶解し、感光材料の表面に拡散してくる。溶解し拡散してきた銀錯塩が、表面層の物理現像核の上に現像主薬の還元作用によって銀画像として析出する。現像処理によって形成された銀画像の安定化あるいはインキ受理性を高めるために現像処理に続いて中和安定化処理、あるいは印刷開始時にエッチ液が版面に施される。
【0004】
良好な印刷物を得るためには、画線部分と非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大きいことが要求される。
【0005】
前述の銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の製版法は、簡便、確実及び迅速であり、自動化することが出来、高い感度、高い解像力、高い画像再現性という特徴を有しているが、ジアゾ感光材料等の有機コロイドから現実化されている印刷版(PS版)等に比べて、画像部分と非画像部分との親油性及び親水性の差が、十分に大きいものではなかった。かかる欠点を克服するために、特開昭58−127928号、特開平2−207255号、特開平2−207256号、特開平2−251490号公報には、2個以上のメルカプト基あるいはチオン基を有する有機化合物を用いた、版面処理液が開示されている(特許文献1、2)。
【0006】
しかしながら、2個のメルカプト基を有する有機化合物を用いたとき、版面上の画像に対するインキ乗り点が異なるという問題があった。かかる問題点についてさらに詳しく説明すると、焼き付け条件を決める時に、原稿のある網%が焼き付け現像処理後の版面上でその網%がプラス5%以内に入っていることが必要であり、さらに印刷物でもその網%がプラス10%以内に入っていることが必要である。しかしながら、銀画像部の耐刷力を改良するために2個のメルカプト基を有する有機化合物を用いた場合、80%の網原稿が版面上は85%の網画像と問題ないも、印刷物では95%の網画像となり、印刷で画像部が太るという現象、即ちインキ乗り点が異なると言う問題点が新たに発生した。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−127928号(第2頁〜第4頁)
【特許文献2】
特開平2−251490号(第1頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に施される中和安定化液あるいはエッチ液のような版面処理液に於いて、銀画像の耐刷力を向上させ、かつ上記したインキ乗り点を改良することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に用いられる版面処理液において、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物、及びハロゲン化銀溶剤を含有することを特徴とする版面処理液より達成できた。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるハロゲン化銀溶剤は、ヨウ化カリウムおよびヨウ化ナトリウムのようなヨウ素化合物、チオ硫酸アンモニウムおよびチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸およびその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、メソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダンテイン類、アルキルスルホン類、他にT.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物が挙げられる。
【0011】
これらのハロゲン化銀溶剤の中でも、特にヨウ素化合物が好ましい。ヨウ素化合物としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、またはアンモニウム塩を用いることができる。版面処理液中におけるハロゲン化銀溶剤の含有量は、1ミリモル〜1モル/リットルの範囲内であり、より好ましい使用量は、5ミリモル〜50ミリモル/リットルの範囲内である。
【0012】
本発明に用いられる、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物(以降、単にポリメルカプト化合物と称す)の好ましいものは、芳香族環もしくは含窒素複素環を基本構造とし、これらの環に2個以上のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基を介して間接的に結合した構造からなる。ここで好ましい芳香族環もしくは含窒素複素環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環等が挙げられ、特に好ましいのはベンゼン環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環である。以下に本発明のポリメルカプト化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
【化1】
【0014】
版面処理液におけるポリメルカプト化合物の好ましい使用量は、1ミリモル〜1モル/リットルの範囲内であり、より好ましい使用量は、5ミリモル〜50ミリモル/リットルの範囲内である。
【0015】
本発明の版面処理液には、分子中に一個のメルカプト基を有する有機化合物(以降、単にモノメルカプト化合物と称す)を含有するのが好ましい。このモノメルカプト化合物は、前記したポリメルカプト化合物を併用することで平版印刷版のインキ受容性を高めるのに有効である。
【0016】
上記したモノメルカプト化合物の好ましいものは、芳香族環もしくは含窒素複素環を基本構造とし、これらの環に1個のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基を介して間接的に結合した構造からなる。ここで好ましい芳香族環もしくは含窒素複素環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環等が挙げられ、特に好ましいのはベンゼン環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環である。以下にモノメルカプト化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明の版面処理液に含まれるモノメルカプト化合物の使用量は、100ミリモル/リットル以下で含まれるのが好ましく、特に好ましい使用量は0.2〜50ミリモル/リットルの範囲内である。
【0019】
本発明の版面処理液は、上記したポリメルカプト化合物及びモノメルカプト化合物の溶解性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の水混和性有機溶媒を含有してもよい。
【0020】
本発明の版面処理液はpH4〜9の間で緩衝されていることが好ましい。pHの緩衝剤としては、酢酸、クエン酸、リン酸等、pKa値が4〜9の酸と、それらの塩類の中から選択できる。また、該変換液は各種の他の成分を含んでもよい。例えばヒドロキシエチルセルロースなどの水可溶性ポリマー類、コロイダルシリカなどの表面親水化剤等を含むことができる。
【0021】
本発明の版面処理液には、アミノポリカルボン酸塩(エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなど)等を一種または二種以上を用いることができる。
【0022】
本発明において、前記版面処理液は、例えば中和安定化液あるいはエッチ液として用いられる。中和安定液として用いる場合には、従来からの浸積処理方式、塗布処理方式のいずれも用いることができる。
【0023】
本発明の版面処理液が有効に作用する平版印刷版は、支持体上に少なくとも下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷版であり、例えば、米国特許第3,728,114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号、特公昭62−296143号、特公昭63−226658号、同63−249852号、特公平1−261643号、特開平5−100430号、同平5−80518号、同平5−80519号、同平5−80520号、同平5−66564号公報等に記載されている。
【0024】
上記平版印刷版は、支持体として基紙の両面をポリオレフィン樹脂層で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙、あるいはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂フィルムが好ましく用いられ、該支持体上に上にハレーション防止を兼ねた下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をこの順に有する。下塗り層は、カーボンブラック、現像主薬、マット剤等を含む硬化されたゼラチン層である。下塗り層のゼラチン量は、1〜5g/m2程度が適当であり、更にポリマーラテックスを含有するのが好ましい。
【0025】
ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤は、塩化銀を80モル%以上含むハロゲン化銀乳剤が好ましく、このハロゲン化銀は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−3モルが適当である。ハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.2〜0.5ミクロンの範囲である。
【0026】
ハロゲン化銀乳剤は、高い感度を得るために化学増感が施される。例えば、チオ硫酸ナトリウムやアルキルチオ尿素等に硫黄化合物による硫黄増感、あるいはロダン金や塩化金等の金化合物による金増感、または両者の併用した金−硫黄増感など当該技術分野において良く知られた方法で化学増感することが好ましい。また、走査露光装置のレーザー光に対応するように、ハロゲン化銀乳剤はシアニン、メロシアニン等の分光増感色素によって各種波長に分光増感される。またハロゲン化銀乳剤層は、バインダーとしてゼラチンが主体に用いられており、他に現像主薬、マット剤、硬膜剤等を含有することができる。乳剤層中のハロゲン化銀は硝酸銀に換算して0.5〜4g/m2が適当であり、バインダー量は0.5〜3g/m2の範囲が適当である。
【0027】
物理現像核層の物理現像核としては、銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶であっても良い。物理現像核には、親水性バインダーを含んでいてもいなくても良いが、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子又はそのオリゴマーを含むことができる。更に物理現像核層には、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬や、ホルマリン、ジクロロ−s−トリアジン等の公知の硬膜剤を含んでいてもよい。
【0028】
平版印刷版は、露光した後現像処理が施され、続いて中和安定化処理あるいは必要に応じて印刷開始直前にエッチ液が版面に塗布される。上記平版印刷版の製版に用いられる現像液は、アルカリ性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム等、保恒剤としての亜硫酸塩、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、2−メルカプト安息香酸、アミン等、粘稠剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、特開昭47−26201号公報に記載の化合物等、現像剤、例えばハイドロキノン類、カテコール、1−フェニル−3−ピラゾリドン等、現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、オニウム化合物等を含むことができる。更に現像液には、米国特許第3,776,728号に記載の如き表面銀層のインキ乗りを良くする化合物等を使用することができる。現像液のpHとしては、12〜14が適当である。
【0029】
本発明に用いられる現像液は、実質的に現像主薬を含まない、いわゆるアルカリ性活性化液であっても良い。この場合、平版印刷版の構成層には、現像に必要な量の現像主薬を含有しておく必要がある。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
厚さ175μmのポリエステルフィルム支持体の片面(裏塗り)に導電性カーボン(SD10M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2、を含む第1層、平均粒子サイズ3.5μm(コールター・カウンター法)のシリカ粒子を0.1g/m2含有するマット化層の第2層を設けた。反対側の面にコロナ放電加工後、下記に記述する下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を二層同時塗布した。
【0032】
下塗り層は、ゼラチン3.0g/m2、カーボンブラック、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子、1−フェニル−4メチル−4−ヒドロキシル−3−ピラゾリドン及びホルマリン15mg/m2を含有する。
【0033】
ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1モル当たり5×10−6モルのイリジウム塩及び5×10−7モルのロジウム塩を添加し、ハロゲン化銀粒子は平均粒子サイズ0.33μmで、平均粒子サイズの±30%の範囲に全粒子の90重量%以上が分布している立方体の塩化銀結晶であり、物理熟成終了時に沃化物を添加し、1モル%の沃化銀で表面を置換した。更にハイポ及び金化合物で化学増感された後に、赤色の増感色素をハロゲン化銀1モル当たりそれぞれ4×10−4モル添加した。その後ゼラチン1.0g/m2、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子、2−メルカプト安息香酸、1−フェニル−4メチル−4−ヒドロキシル−3−ピラゾリドン及びホルマリン5mg/m2を添加後、pH4.5に調整し硝酸銀に換算したハロゲン化銀1.2g/m2で塗布して、ハロゲン化銀乳剤層とした。
【0034】
乾燥後、50℃で2日間加温した後、ハロゲン化銀乳剤層の上に特開平8−211614号明細書の実施例1に従い、物理現像核液を塗布し、乾燥することで塗布して平版印刷版を作製した。
【0035】
上記平版印刷版を633nmで発光するレーザーダイオードスキャナーFT−R3050(大日本スクリーン製造株式会社製)で画像を焼き付け、これを印刷用サンプルとした。この時の画像原稿に175線の網画像20%,50%、80%が入っているものを用いた。
【0036】
画像露光した各印刷版を下記の現像液で30℃、15秒間現像した。
<現像液>
水 700ml
水酸化ナトリウム 18g
水酸化カリウム 7g
無水亜硫酸ナトリウム 50g
2−メルカプト安息香酸 1g
ウラシル 10g
2−メチルアミノエタノ−ル 30g
5−フェニル−2−メルカプト 0.1g
−1,3,4−オキサジアゾール
臭化カリウム 1g
水を加えて1リットルとする。
【0037】
現像処理後、該原版を2本の絞りローラー間に通し、余分の現像液を除去し、直ちに下記組成を有する中和安定化液で25℃20秒間処理し、絞りローラーで余分の液を除去し室温で乾燥した。
【0038】
<中和安定化液>
水 600ml
クエン酸 10g
クエン酸ナトリウム 35g
コロイダルシリカ(20%液) 5ml
エチレングリコール 5ml
水を加えて1リットルとする。
【0039】
以上の操作により作成した平版印刷版の析出銀部を100%の網画像とし、黒化銀部を0%の網画像として、20%,50%,80%の網画像をそれぞれ大日本スクリーン社製DM−800反射濃度計にて、反射の網%を測定した。
【0040】
つぎに、得られた平版印刷版をリョービ3200CD(リョービ社製オフセット印刷機の商標)印刷機に装着し、以下に示す版面処理液(エッチ液)で版面をエッチングした後、大日本インキ製Fグロス墨85N、給湿液にOD30(三菱製紙社製給湿液)を使用して、網点再現の確認および耐刷力の確認のため印刷を行った。
【0041】
<エッチ液>
第一リン酸カリウム 15g
水酸化ナトリウム 0.5g
90%トリエタノールアミン 10g
ジエチレングリコール 50g
2−へプチル−5−nヘプチルオキサジアゾール 0.5g
ポリメルカプト化合物 0.5g
ハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム) 2.5g
エチテンジアミン四酢酸ナトリウム 0.2g
水を加えて1リットルとする。(PH=7に調整)
【0042】
上記で用いたポリメルカプト化合物の具体例を表1に示す。また、比較としてハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム)を含有しないエッチ液、及び単なる水道水、給湿液を用いた。用いたエッチ液の詳細を表1に示す。
【0043】
印刷でのインキ乗り点の評価は、印刷した網画像の反射濃度(網%)を測定しその結果を示した。また、耐刷性については、印刷した結果から、銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。評価結果を併せて表1に示す。
○ 10,000枚以上でも問題なし
△ 5,000〜10,000枚未満で銀画像部の欠落有り
× 5,000枚未満で銀画像部の欠落有り
【0044】
【表1】
表中のP2,P3,P4はポリメルカプト化合物の例示化合物であり、KIはヨウ化カリウムである。
【0045】
本発明のエッチ液を用いることによって、耐刷性が向上し、かつ原稿の網画像を印刷上でほぼ再現しインキ乗り点を殆ど変えることがないエッチ液が得られた。
【0046】
実施例2
実施例1の現像液および以下の中和安定化液を用いて印刷版を作成し、エッチ液は実施例1の比較例2を用いて同様の印刷試験を行った。
【0047】
<中和安定化液>
水 600ml
第一リン酸カリウム 15g
水酸化ナトリウム 0.5g
無水亜硫酸ナトリウム 10g
トリエタノールアミン 10g
ジエチレングリコール 50g
2−メエルカプト−5−nへプチルオキサジアゾール 0.5g
ポリメルカプト化合物 0.5g
ハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム) 2.5g
水を加えて1リットルとする。(PH=7に調整)
【0048】
上記で用いたポリメルカプト化合物の具体例を表2に示す。また、比較として中和安定化液を用いない場合、ハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム)を含有しない中和安定化液あるいはポリメルカプト化合物含有しない中和安定化液を用いた。用いた中和安定化液の詳細を表2に示す。実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
表中のP2,P3,P4はポリメルカプト化合物の例示化合物であり、KIはヨウ化カリウムである。
【0050】
前記の結果から、本発明の中和安定化液によれば、耐刷性を損なうことなく、原稿の網画像を印刷上でほぼ再現しインキ乗り点を殆ど変えることがない中和液が得られた。
【0051】
【発明の効果】
本発明の版面処理液を用いることによって、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版のインキ乗り点の改善、すなわち版面上で画像と判断できるところからインキが乗り、画像再現の向上が図れ、かつ耐刷性に優れた印刷版が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀錯塩拡散転写法(DTR法)を応用した平版印刷版の現像処理後に版面に施される版面処理液に関し、より詳しくは中和安定化液あるいはエッチ液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀錯塩拡散転写法によって得られる転写銀画像を直ちにインキ受理性として利用することができる平版印刷版は、既に特公昭48−30562号、特開昭53−21602号、同昭54−103104号、同昭56−9750号等々に記載され、よく知られている。
【0003】
かかる平版印刷版の製版法に適した銀錯塩拡散転写法の代表的な実施法によれば、支持体上に、下塗層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層から構成されており、感光材料を画像露光し、現像処理を行うと潜像が形成されているハロゲン化銀は乳剤層中で黒化銀となる。同時に潜像が形成されていないハロゲン化銀は現像処理液中に含まれるハロゲン化銀錯化剤の作用で溶解し、感光材料の表面に拡散してくる。溶解し拡散してきた銀錯塩が、表面層の物理現像核の上に現像主薬の還元作用によって銀画像として析出する。現像処理によって形成された銀画像の安定化あるいはインキ受理性を高めるために現像処理に続いて中和安定化処理、あるいは印刷開始時にエッチ液が版面に施される。
【0004】
良好な印刷物を得るためには、画線部分と非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大きいことが要求される。
【0005】
前述の銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版の製版法は、簡便、確実及び迅速であり、自動化することが出来、高い感度、高い解像力、高い画像再現性という特徴を有しているが、ジアゾ感光材料等の有機コロイドから現実化されている印刷版(PS版)等に比べて、画像部分と非画像部分との親油性及び親水性の差が、十分に大きいものではなかった。かかる欠点を克服するために、特開昭58−127928号、特開平2−207255号、特開平2−207256号、特開平2−251490号公報には、2個以上のメルカプト基あるいはチオン基を有する有機化合物を用いた、版面処理液が開示されている(特許文献1、2)。
【0006】
しかしながら、2個のメルカプト基を有する有機化合物を用いたとき、版面上の画像に対するインキ乗り点が異なるという問題があった。かかる問題点についてさらに詳しく説明すると、焼き付け条件を決める時に、原稿のある網%が焼き付け現像処理後の版面上でその網%がプラス5%以内に入っていることが必要であり、さらに印刷物でもその網%がプラス10%以内に入っていることが必要である。しかしながら、銀画像部の耐刷力を改良するために2個のメルカプト基を有する有機化合物を用いた場合、80%の網原稿が版面上は85%の網画像と問題ないも、印刷物では95%の網画像となり、印刷で画像部が太るという現象、即ちインキ乗り点が異なると言う問題点が新たに発生した。
【0007】
【特許文献1】
特開昭58−127928号(第2頁〜第4頁)
【特許文献2】
特開平2−251490号(第1頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に施される中和安定化液あるいはエッチ液のような版面処理液に於いて、銀画像の耐刷力を向上させ、かつ上記したインキ乗り点を改良することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に用いられる版面処理液において、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物、及びハロゲン化銀溶剤を含有することを特徴とする版面処理液より達成できた。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明に用いられるハロゲン化銀溶剤は、ヨウ化カリウムおよびヨウ化ナトリウムのようなヨウ素化合物、チオ硫酸アンモニウムおよびチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸およびその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、メソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダンテイン類、アルキルスルホン類、他にT.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物が挙げられる。
【0011】
これらのハロゲン化銀溶剤の中でも、特にヨウ素化合物が好ましい。ヨウ素化合物としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、またはアンモニウム塩を用いることができる。版面処理液中におけるハロゲン化銀溶剤の含有量は、1ミリモル〜1モル/リットルの範囲内であり、より好ましい使用量は、5ミリモル〜50ミリモル/リットルの範囲内である。
【0012】
本発明に用いられる、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物(以降、単にポリメルカプト化合物と称す)の好ましいものは、芳香族環もしくは含窒素複素環を基本構造とし、これらの環に2個以上のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基を介して間接的に結合した構造からなる。ここで好ましい芳香族環もしくは含窒素複素環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環等が挙げられ、特に好ましいのはベンゼン環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環である。以下に本発明のポリメルカプト化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
【化1】
【0014】
版面処理液におけるポリメルカプト化合物の好ましい使用量は、1ミリモル〜1モル/リットルの範囲内であり、より好ましい使用量は、5ミリモル〜50ミリモル/リットルの範囲内である。
【0015】
本発明の版面処理液には、分子中に一個のメルカプト基を有する有機化合物(以降、単にモノメルカプト化合物と称す)を含有するのが好ましい。このモノメルカプト化合物は、前記したポリメルカプト化合物を併用することで平版印刷版のインキ受容性を高めるのに有効である。
【0016】
上記したモノメルカプト化合物の好ましいものは、芳香族環もしくは含窒素複素環を基本構造とし、これらの環に1個のメルカプト基が直接にあるいはアルキレン基、アリーレン基、アミド基を介して間接的に結合した構造からなる。ここで好ましい芳香族環もしくは含窒素複素環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環等が挙げられ、特に好ましいのはベンゼン環、テトラゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、トリアジン環である。以下にモノメルカプト化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明の版面処理液に含まれるモノメルカプト化合物の使用量は、100ミリモル/リットル以下で含まれるのが好ましく、特に好ましい使用量は0.2〜50ミリモル/リットルの範囲内である。
【0019】
本発明の版面処理液は、上記したポリメルカプト化合物及びモノメルカプト化合物の溶解性を良くするために、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の水混和性有機溶媒を含有してもよい。
【0020】
本発明の版面処理液はpH4〜9の間で緩衝されていることが好ましい。pHの緩衝剤としては、酢酸、クエン酸、リン酸等、pKa値が4〜9の酸と、それらの塩類の中から選択できる。また、該変換液は各種の他の成分を含んでもよい。例えばヒドロキシエチルセルロースなどの水可溶性ポリマー類、コロイダルシリカなどの表面親水化剤等を含むことができる。
【0021】
本発明の版面処理液には、アミノポリカルボン酸塩(エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなど)等を一種または二種以上を用いることができる。
【0022】
本発明において、前記版面処理液は、例えば中和安定化液あるいはエッチ液として用いられる。中和安定液として用いる場合には、従来からの浸積処理方式、塗布処理方式のいずれも用いることができる。
【0023】
本発明の版面処理液が有効に作用する平版印刷版は、支持体上に少なくとも下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をこの順に有する平版印刷版であり、例えば、米国特許第3,728,114号、同第4,134,769号、同第4,160,670号、同第4,336,321号、同第4,501,811号、同第4,510,228号、同第4,621,041号、特公昭62−296143号、特公昭63−226658号、同63−249852号、特公平1−261643号、特開平5−100430号、同平5−80518号、同平5−80519号、同平5−80520号、同平5−66564号公報等に記載されている。
【0024】
上記平版印刷版は、支持体として基紙の両面をポリオレフィン樹脂層で被覆したポリオレフィン樹脂被覆紙、あるいはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル樹脂フィルムが好ましく用いられ、該支持体上に上にハレーション防止を兼ねた下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像核層をこの順に有する。下塗り層は、カーボンブラック、現像主薬、マット剤等を含む硬化されたゼラチン層である。下塗り層のゼラチン量は、1〜5g/m2程度が適当であり、更にポリマーラテックスを含有するのが好ましい。
【0025】
ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤は、塩化銀を80モル%以上含むハロゲン化銀乳剤が好ましく、このハロゲン化銀は、ロジウム塩、イリジウム塩、パラジウム塩、ルテニウム塩、ニッケル塩、白金塩等の重金属塩を含んでいてもよく、添加量はハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−3モルが適当である。ハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.2〜0.5ミクロンの範囲である。
【0026】
ハロゲン化銀乳剤は、高い感度を得るために化学増感が施される。例えば、チオ硫酸ナトリウムやアルキルチオ尿素等に硫黄化合物による硫黄増感、あるいはロダン金や塩化金等の金化合物による金増感、または両者の併用した金−硫黄増感など当該技術分野において良く知られた方法で化学増感することが好ましい。また、走査露光装置のレーザー光に対応するように、ハロゲン化銀乳剤はシアニン、メロシアニン等の分光増感色素によって各種波長に分光増感される。またハロゲン化銀乳剤層は、バインダーとしてゼラチンが主体に用いられており、他に現像主薬、マット剤、硬膜剤等を含有することができる。乳剤層中のハロゲン化銀は硝酸銀に換算して0.5〜4g/m2が適当であり、バインダー量は0.5〜3g/m2の範囲が適当である。
【0027】
物理現像核層の物理現像核としては、銀、アンチモン、ビスマス、カドミウム、コバルト、鉛、ニッケル、パラジウム、ロジウム、金、白金等の金属コロイド微粒子や、これらの金属の硫化物、多硫化物、セレン化物、又はそれらの混合物、混晶であっても良い。物理現像核には、親水性バインダーを含んでいてもいなくても良いが、ゼラチン、澱粉、ジアルデヒド澱粉、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ビニルイミダゾールとアクリルアミドの共重合体、ポリビニルアルコール等の親水性高分子又はそのオリゴマーを含むことができる。更に物理現像核層には、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、カテコール等の現像主薬や、ホルマリン、ジクロロ−s−トリアジン等の公知の硬膜剤を含んでいてもよい。
【0028】
平版印刷版は、露光した後現像処理が施され、続いて中和安定化処理あるいは必要に応じて印刷開始直前にエッチ液が版面に塗布される。上記平版印刷版の製版に用いられる現像液は、アルカリ性物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム等、保恒剤としての亜硫酸塩、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、2−メルカプト安息香酸、アミン等、粘稠剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、特開昭47−26201号公報に記載の化合物等、現像剤、例えばハイドロキノン類、カテコール、1−フェニル−3−ピラゾリドン等、現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、オニウム化合物等を含むことができる。更に現像液には、米国特許第3,776,728号に記載の如き表面銀層のインキ乗りを良くする化合物等を使用することができる。現像液のpHとしては、12〜14が適当である。
【0029】
本発明に用いられる現像液は、実質的に現像主薬を含まない、いわゆるアルカリ性活性化液であっても良い。この場合、平版印刷版の構成層には、現像に必要な量の現像主薬を含有しておく必要がある。
【0030】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、勿論本発明はこれだけに限定されるものではない。
【0031】
実施例1
厚さ175μmのポリエステルフィルム支持体の片面(裏塗り)に導電性カーボン(SD10M、大日本インキ製)2g/m2、ゼラチン1.5g/m2、を含む第1層、平均粒子サイズ3.5μm(コールター・カウンター法)のシリカ粒子を0.1g/m2含有するマット化層の第2層を設けた。反対側の面にコロナ放電加工後、下記に記述する下塗り層とハロゲン化銀乳剤層を二層同時塗布した。
【0032】
下塗り層は、ゼラチン3.0g/m2、カーボンブラック、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子、1−フェニル−4メチル−4−ヒドロキシル−3−ピラゾリドン及びホルマリン15mg/m2を含有する。
【0033】
ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1モル当たり5×10−6モルのイリジウム塩及び5×10−7モルのロジウム塩を添加し、ハロゲン化銀粒子は平均粒子サイズ0.33μmで、平均粒子サイズの±30%の範囲に全粒子の90重量%以上が分布している立方体の塩化銀結晶であり、物理熟成終了時に沃化物を添加し、1モル%の沃化銀で表面を置換した。更にハイポ及び金化合物で化学増感された後に、赤色の増感色素をハロゲン化銀1モル当たりそれぞれ4×10−4モル添加した。その後ゼラチン1.0g/m2、平均粒子サイズ3.5μmのシリカ粒子、2−メルカプト安息香酸、1−フェニル−4メチル−4−ヒドロキシル−3−ピラゾリドン及びホルマリン5mg/m2を添加後、pH4.5に調整し硝酸銀に換算したハロゲン化銀1.2g/m2で塗布して、ハロゲン化銀乳剤層とした。
【0034】
乾燥後、50℃で2日間加温した後、ハロゲン化銀乳剤層の上に特開平8−211614号明細書の実施例1に従い、物理現像核液を塗布し、乾燥することで塗布して平版印刷版を作製した。
【0035】
上記平版印刷版を633nmで発光するレーザーダイオードスキャナーFT−R3050(大日本スクリーン製造株式会社製)で画像を焼き付け、これを印刷用サンプルとした。この時の画像原稿に175線の網画像20%,50%、80%が入っているものを用いた。
【0036】
画像露光した各印刷版を下記の現像液で30℃、15秒間現像した。
<現像液>
水 700ml
水酸化ナトリウム 18g
水酸化カリウム 7g
無水亜硫酸ナトリウム 50g
2−メルカプト安息香酸 1g
ウラシル 10g
2−メチルアミノエタノ−ル 30g
5−フェニル−2−メルカプト 0.1g
−1,3,4−オキサジアゾール
臭化カリウム 1g
水を加えて1リットルとする。
【0037】
現像処理後、該原版を2本の絞りローラー間に通し、余分の現像液を除去し、直ちに下記組成を有する中和安定化液で25℃20秒間処理し、絞りローラーで余分の液を除去し室温で乾燥した。
【0038】
<中和安定化液>
水 600ml
クエン酸 10g
クエン酸ナトリウム 35g
コロイダルシリカ(20%液) 5ml
エチレングリコール 5ml
水を加えて1リットルとする。
【0039】
以上の操作により作成した平版印刷版の析出銀部を100%の網画像とし、黒化銀部を0%の網画像として、20%,50%,80%の網画像をそれぞれ大日本スクリーン社製DM−800反射濃度計にて、反射の網%を測定した。
【0040】
つぎに、得られた平版印刷版をリョービ3200CD(リョービ社製オフセット印刷機の商標)印刷機に装着し、以下に示す版面処理液(エッチ液)で版面をエッチングした後、大日本インキ製Fグロス墨85N、給湿液にOD30(三菱製紙社製給湿液)を使用して、網点再現の確認および耐刷力の確認のため印刷を行った。
【0041】
<エッチ液>
第一リン酸カリウム 15g
水酸化ナトリウム 0.5g
90%トリエタノールアミン 10g
ジエチレングリコール 50g
2−へプチル−5−nヘプチルオキサジアゾール 0.5g
ポリメルカプト化合物 0.5g
ハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム) 2.5g
エチテンジアミン四酢酸ナトリウム 0.2g
水を加えて1リットルとする。(PH=7に調整)
【0042】
上記で用いたポリメルカプト化合物の具体例を表1に示す。また、比較としてハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム)を含有しないエッチ液、及び単なる水道水、給湿液を用いた。用いたエッチ液の詳細を表1に示す。
【0043】
印刷でのインキ乗り点の評価は、印刷した網画像の反射濃度(網%)を測定しその結果を示した。また、耐刷性については、印刷した結果から、銀画像部の欠落による画像飛びが生じて印刷に供せなくなった時の印刷枚数で、次の評価基準により判定した。評価結果を併せて表1に示す。
○ 10,000枚以上でも問題なし
△ 5,000〜10,000枚未満で銀画像部の欠落有り
× 5,000枚未満で銀画像部の欠落有り
【0044】
【表1】
表中のP2,P3,P4はポリメルカプト化合物の例示化合物であり、KIはヨウ化カリウムである。
【0045】
本発明のエッチ液を用いることによって、耐刷性が向上し、かつ原稿の網画像を印刷上でほぼ再現しインキ乗り点を殆ど変えることがないエッチ液が得られた。
【0046】
実施例2
実施例1の現像液および以下の中和安定化液を用いて印刷版を作成し、エッチ液は実施例1の比較例2を用いて同様の印刷試験を行った。
【0047】
<中和安定化液>
水 600ml
第一リン酸カリウム 15g
水酸化ナトリウム 0.5g
無水亜硫酸ナトリウム 10g
トリエタノールアミン 10g
ジエチレングリコール 50g
2−メエルカプト−5−nへプチルオキサジアゾール 0.5g
ポリメルカプト化合物 0.5g
ハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム) 2.5g
水を加えて1リットルとする。(PH=7に調整)
【0048】
上記で用いたポリメルカプト化合物の具体例を表2に示す。また、比較として中和安定化液を用いない場合、ハロゲン化銀溶剤(ヨウ化カリウム)を含有しない中和安定化液あるいはポリメルカプト化合物含有しない中和安定化液を用いた。用いた中和安定化液の詳細を表2に示す。実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
表中のP2,P3,P4はポリメルカプト化合物の例示化合物であり、KIはヨウ化カリウムである。
【0050】
前記の結果から、本発明の中和安定化液によれば、耐刷性を損なうことなく、原稿の網画像を印刷上でほぼ再現しインキ乗り点を殆ど変えることがない中和液が得られた。
【0051】
【発明の効果】
本発明の版面処理液を用いることによって、銀錯塩拡散転写法を利用した平版印刷版のインキ乗り点の改善、すなわち版面上で画像と判断できるところからインキが乗り、画像再現の向上が図れ、かつ耐刷性に優れた印刷版が得られる。
Claims (5)
- 銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版の現像処理後に用いられる版面処理液において、2個以上のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物、及びハロゲン化銀溶剤を含有することを特徴とする版面処理液。
- 更に1個のメルカプト基もしくはチオン基を有する有機化合物を含有する請求項1に記載の版面処理液。
- 前記ハロゲン化銀溶剤が、ヨウ素化合物である請求項1に記載の版面処理液。
- 前記版面処理液が中和安定化液もしくはエッチ液である請求項1に記載の版面処理液。
- 前記銀錯塩拡散転写法を用いた平版印刷版が、ポリオレフィン樹脂被覆紙またはポリエステル樹脂フイルムからなる支持体上に、少なくとも下塗り層、ハロゲン化銀乳剤層、及び物理現像層をこの順に有する平版印刷版である請求項1に記載の版面処理液。
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CN104194035A (zh) * | 2014-08-13 | 2014-12-10 | 张春凡 | 一种降解剂及将废线路板和废树脂板制成板材的方法 |
CN104448384A (zh) * | 2014-08-13 | 2015-03-25 | 张春凡 | 利用废线路板及废树脂材料制成塑纤板材的方法 |
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2003
- 2003-03-17 JP JP2003072457A patent/JP2004276467A/ja active Pending
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