JP2004275001A - 新規スクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法の提供。
【解決手段】(1)特定の配列で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩および(2)脂肪酸またはエイコサノイドを用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法などを提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラット、マウス、サルおよびハムスター由来の新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質(GPR40)またはその塩、当該GPR40をコードするDNAおよびそれらの用途、およびヒト由来GPR40を含むGPR40の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
多くのホルモンや神経伝達物質などの生理活性物質は、細胞膜に存在する特異的なレセプター蛋白質を通じて生体の機能を調節している。これらのレセプター蛋白質のうち多くは共役しているguanine nucleotide−binding protein(以下、G蛋白質と略称する場合がある)の活性化を通じて細胞内のシグナル伝達を行ない、また、7個の膜貫通領域を有する共通した構造をもっていることから、G蛋白質共役型レセプター蛋白質あるいは7回膜貫通型レセプター蛋白質(7TMR)と総称される。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質は生体の細胞や臓器の各機能細胞表面に存在し、それら細胞や臓器の機能を調節する分子、例えば、ホルモン、神経伝達物質および生理活性物質等の標的として生理的に重要な役割を担っている。レセプター蛋白質は生理活性物質との結合を介してシグナルを細胞内に伝達し、このシグナルにより細胞の賦活や抑制といった種々の反応が惹起される。
各種生体の細胞や臓器の内の複雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白質、特にはG蛋白質共役型レセプター蛋白質との関係を明らかにすることは、各種生体の細胞や臓器の機能を解明し、それら機能と密接に関連した医薬品開発に非常に重要な手段を提供することとなる。
【0003】
例えば、生体の種々の器官では、多くのホルモン、ホルモン様物質、神経伝達物質あるいは生理活性物質による調節のもとで生理的な機能の調節が行なわれている。特に、生理活性物質は生体内の様々な部位に存在し、それぞれに対応するレセプター蛋白質を通してその生理機能の調節を行っている。生体内には未知のホルモンや神経伝達物質その他の生理活性物質も多く、それらのレセプター蛋白質の構造に関しても、これまで報告されていないものが多い。さらに、既知のレセプター蛋白質においてもサブタイプが存在するかどうかについても分かっていないものが多い。
生体における複雑な機能を調節する物質と、その特異的レセプター蛋白質との関係を明らかにすることは、医薬品開発に非常に重要な手段である。また、レセプター蛋白質に対するアゴニスト、アンタゴニストを効率よくスクリーニングし、医薬品を開発するためには、生体内で発現しているレセプター蛋白質の遺伝子の機能を解明し、それらを適当な発現系で発現させることが必要であった。
近年、生体内で発現している遺伝子を解析する手段として、cDNAの配列をランダムに解析する研究が活発に行なわれており、このようにして得られたcDNAの断片配列がExpressed Sequence Tag(EST)としてデータベースに登録され、公開されている。しかし、多くのESTは配列情報のみであり、その機能を推定することは困難である。
ヒト由来のGPR40のアミノ酸配列およびそれをコードするDNAが報告されている(特許文献1および非特許文献2)。
また、ヒト由来のGPR40のリガンドが脂肪酸であることが報告されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
WO2000−22129号
【0005】
Biochem Biophys Res Commun.1997,Oct 20;239(2):543−547
【0006】
WO02/057783号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、G蛋白質共役型レセプター蛋白質と生理活性物質(すなわち、リガンド)との結合を阻害する物質や、結合して生理活性物質(すなわち、リガンド)と同様なシグナル伝達を引き起こす物質は、これらレセプター蛋白質の特異的なアンタゴニストまたはアゴニストとして、生体機能を調節する医薬品として活用されてきた。従って、このように生体内での生理発現において重要であるばかりでなく、医薬品開発の標的ともなりうるG蛋白質共役型レセプター蛋白質を新規に見出し、その遺伝子(例えばcDNA)をクローニングすることは、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質の特異的リガンドや、アゴニスト、アンタゴニストを見出す際に、非常に重要な手段となる。
しかし、G蛋白質共役型レセプター蛋白質はその全てが見出されているわけではなく、現時点でもなお、未知のG蛋白質共役型レセプター蛋白質、また対応するリガンドが同定されていない、いわゆるオーファンレセプター蛋白質が多数存在しており、新たなG蛋白質共役型レセプター蛋白質の探索および機能解明が切望されている。
G蛋白質共役型レセプター蛋白質は、そのシグナル伝達作用を指標とする、新たな生理活性物質(すなわち、リガンド)の探索、また、該レセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストの探索に有用である。一方、生理的なリガンドが見出されなくても、該レセプター蛋白質の不活化実験(ノックアウト動物)から該レセプター蛋白質の生理作用を解析することにより、該レセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストを作製することも可能である。これら該レセプター蛋白質に対するリガンド、アゴニストまたはアンタゴニストなどは、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の機能不全に関連する疾患の予防/治療薬や診断薬として活用することが期待できる。
さらにまた、G蛋白質共役型レセプター蛋白質の遺伝子変異に基づく、生体での該レセプター蛋白質の機能の低下または昂進が、何らかの疾患の原因となっている場合も多い。この場合には、該レセプター蛋白質に対するアンタゴニストやアゴニストの投与だけでなく、該レセプター遺伝子の生体内(またはある特定の臓器)への導入や、該レセプター遺伝子に対するアンチセンス核酸の導入による、遺伝子治療に応用することもできる。この場合には該レセプター蛋白質の塩基配列は遺伝子上の欠失や変異の有無を調べるために必要不可欠な情報であり、該レセプター蛋白質の遺伝子は、該レセプター蛋白質の機能不全に関与する疾患の予防/治療薬や診断薬に応用することもできる。
本発明は、上記のように有用な新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質を提供するものである。すなわち、新規G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)を含有するポリヌクレオチド(DNA、RNAおよびそれらの誘導体)、該ポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、該組換えベクターを保持する形質転換体、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物、該G蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するリガンドの決定方法、リガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその塩のスクリーニング方法、該スクリーニング用キット、該スクリーニング方法もしくはスクリーニングキットを用いて得られうるリガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)またはその塩、およびリガンドと該G蛋白質共役型レセプター蛋白質との結合性を変化させる化合物(アンタゴニスト、アゴニスト)もしくは該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させる化合物またはその塩を含有してなる医薬などを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ヒトGPR40のリガンドが脂肪酸またはエイコサノイドであることを見出した。さらに、ラット、マウスおよびハムスター由来のGPR40をコードするDNAをクローニングすることに成功した。さらに、GPR40が膵臓ランゲルハンス島で高発現していること、脂肪酸またはエイコサノイドがGPR40に結合することにより細胞内Ca2+濃度上昇およびcAMP生成抑制が起こること、遊離脂肪酸がMIN6細胞からのインスリン分泌を促進することを見出した。さらに、ヒトGPR40のC端ペプチドに対するモノクローナル抗体およびマウスGPR40に対するsiRNAを取得した。本発明者らは、これらの知見に基づいて、さらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(2)配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(3)配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(4)配列番号:17で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(5)配列番号:29で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩、
(6)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩、
(7)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(8)上記(3)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA、
(9)上記(4)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA、
(10)上記(5)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA、
(11)配列番号:2または配列番号:4で表される塩基配列からなるDNA、
(12)配列番号:18で表される塩基配列からなるDNA、
(13)配列番号:30で表される塩基配列からなるDNA、
(14)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(15)上記(14)記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体、
(16)上記(15)記載の形質転換体を培養し、上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を生成せしめることを特徴とする上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法、
(17)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記(6)記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる医薬、
(18)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(19)上記(7)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(20)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは上記(6)記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(21)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のC末端ペプチドまたはその塩を認識するモノクローナル抗体である上記(20)記載の抗体、
(22)配列番号:33で表わされるペプチドまたはその塩を認識するモノクローナル抗体である上記(20)記載の抗体、
(23)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中和抗体である上記(20)記載の抗体、
(24)上記(20)記載の抗体を含有してなる診断薬、
(25)上記(20)記載の抗体を含有してなる医薬、
(26)上記(7)記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
(27)上記(26)記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬、
(28)上記(26)記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬、
(29)上記(7)記載のポリヌクレオチドに対するsiRNA、
(30)配列番号:34で表わされる塩基配列からなるセンス鎖と配列番号:35で表わされる塩基配列からなるアンチセンス鎖で構成されるsiRNAである上記(29)記載のsiRNA、
(31)配列番号:36で表わされる塩基配列からなるセンス鎖と配列番号:37で表わされる塩基配列からなるアンチセンス鎖で構成されるsiRNAである上記(29)記載のsiRNA、
(32)上記(29)記載のsiRNAを含有してなる診断薬、
(33)上記(29)記載のsiRNAを含有してなる医薬、
(34)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤、
(35)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
(36)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤、
(37)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる膵β細胞保護剤、
(38)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる膵臓機能調節剤、
(39)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
(40)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤、
(41)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる膵β細胞保護剤、
(42)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害、肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、脂肪毒性または癌の診断薬、
(43)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害、肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、脂肪毒性または癌の診断薬、
(44)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる膵臓機能調節剤、
(45)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤、
(46)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチドを含有してなる膵臓機能調節剤、
(47)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチドを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤、
(48)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)脂肪酸またはその塩を用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(49)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)脂肪酸またはその塩を含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(50)上記(48)記載のスクリーニング方法または上記(49)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、脂肪酸またはその塩と配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(51)アゴニストである上記(50)記載の化合物またはその塩、
(52)アンタゴニストである上記(50)記載の化合物またはその塩、
(53)上記(50)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(54)脂肪酸またはその塩と配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤、
(55)上記(51)記載のアゴニストを含有してなる医薬、
(56)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
(57)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤、
(58)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる膵β細胞保護剤、
(59)上記(52)記載のアンタゴニストを含有してなる医薬、
(60)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤、
(61)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを用いることを特徴とする当該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(62)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる当該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(63)上記(61)記載のスクリーニング方法または上記(62)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩、
(64)上記(61)記載のスクリーニング方法または上記(62)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩、
(65)上記(61)記載のスクリーニング方法または上記(62)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩、
(66)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤、
(67)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤、
(68)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤、
(69)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる膵β細胞保護剤、
(70)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤、
(71)試験化合物を配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP抑制活性を測定することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法、
(72)上記(71)記載の決定方法で得られるリガンド、
(73)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を用いることを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法、
(74)(1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする上記(73)記載のスクリーニング方法、
(75)(1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定することを特徴とする上記(73)記載のスクリーニング方法、
(76)(1)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とする上記(73)記載のスクリーニング方法、
(77)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット、
(78)上記(73)記載のスクリーニング方法または上記(77)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニスト、
(79)上記(73)記載のスクリーニング方法または上記(77)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニスト、
(80)上記(78)記載のアゴニストを含有してなる医薬、
(81)上記(79)記載のアンタゴニストを含有してなる医薬、
(82)試験化合物が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物である上記(74)〜(76)記載のスクリーニング方法、
(83)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に結合することを確認する方法、
(84)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、▲1▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲2▼インスリン分泌促進薬、▲3▼血糖低下薬または▲4▼膵β細胞保護が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストであることを確認する方法、
(85)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストであることを確認する方法、
(86)各薬を該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、各薬と該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする上記(83)〜(85)記載の確認方法、
(87)(1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(2)各薬および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする上記(83)〜(85)記載の確認方法、
(88)(1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)各薬および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定することを特徴とする上記(83)〜(85)記載の確認方法、
(89)(1)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)各薬および▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とする上記(83)〜(85)記載の確認方法、
(90)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とする、▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に結合することを確認するためのキット、
(91)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストである、▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬、
(92)(1)▲1▼配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニスト、または(および)▲2▼配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物またはその塩、と
(2)▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬、とを組み合わせてなる医薬、
(93)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする外来性のDNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(94)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(93)記載の動物、
(95)ゲッ歯動物がマウスまたはラットである上記(94)記載の動物、
(96)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(97)該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化された上記(96)記載の胚幹細胞、
(98)ネオマイシン耐性である上記(96)記載の胚幹細胞、
(99)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(96)記載の胚幹細胞、
(100)ゲッ歯動物がマウスである上記(99)記載の胚幹細胞、
(101)上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(102)該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が該DNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる上記(101)記載の非ヒト哺乳動物、
(103)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である上記(101)記載の非ヒト哺乳動物、
(104)ゲッ歯動物がマウスである上記(103)記載の非ヒト哺乳動物、
(105)上記(102)記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする上記(1)記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(106)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)エイコサノイドを用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(107)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)エイコサノイドを含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(108)上記(106)記載のスクリーニング方法または上記(107)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、エイコサノイドと配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(109)アゴニストである上記(108)記載の化合物またはその塩、
(110)アンタゴニストである上記(108)記載の化合物またはその塩、
(111)上記(108)記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(112)エイコサノイドと配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤、
(113)上記(109)記載のアゴニストを含有してなる医薬、
(114)上記(110)記載のアンタゴニストを含有してなる医薬、
(115)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を用いることを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法、
(116)(1)▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする上記(115)記載のスクリーニング方法、
(117)(1)▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定することを特徴とする上記(115)記載のスクリーニング方法、
(118)(1)▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とする上記(115)記載のスクリーニング方法、
(119)(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット、
(120)上記(115)記載のスクリーニング方法または上記(119)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニスト、
(121)上記(115)記載のスクリーニング方法または上記(119)記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニスト、
(122)上記(120)記載のアゴニストを含有してなる医薬、
(123)上記(121)記載のアンタゴニストを含有してなる医薬、
(124)試験化合物が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物である上記(116)〜(118)記載のスクリーニング方法、
(125)哺乳動物に対して、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする膵臓機能調節方法、
(126)哺乳動物に対して、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療方法、
(127)哺乳動物に対して、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とするインスリン分泌促進方法または血糖低下方法、
(128)哺乳動物に対して、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする膵β細胞保護剤、
(129)哺乳動物に対して、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
(5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする膵臓機能調節方法、
(130)哺乳動物に対して、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
(5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療方法、
(131)膵臓機能調節剤を製造するための、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用、
(132)糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤を製造するための、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用、
(133)インスリン分泌促進剤または血糖低下剤を製造するための、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用、
(134)膵β細胞保護剤を製造するための、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用、
(135)膵臓機能調節剤を製造するための、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
(5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の使用、および
(136)肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤を製造するための、
(1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
(2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
(3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
(4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
(5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の使用などを提供する。
【0010】
さらに、本発明は、
(137)蛋白質が、a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、b)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、c)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはd)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質である上記(1)記載の蛋白質、
(138)(i)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質(以下、GPR40と略記する)、その部分ペプチドまたはその塩と、脂肪酸またはその塩とを接触させた場合と、(ii)GPR40、その部分ペプチドまたはその塩と、脂肪酸またはその塩および試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(139)(i)標識した脂肪酸またはその塩をGPR40、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(ii)標識した脂肪酸またはその塩および試験化合物をGPR40、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、標識した脂肪酸またはその塩のGPR40、その部分ペプチドまたはその塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(140)(i)標識した脂肪酸またはその塩をGPR40を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)標識した脂肪酸またはその塩および試験化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合における、標識した脂肪酸またはその塩の該細胞に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(141)(i)標識した脂肪酸またはその塩をGPR40を含有する細胞の膜画分に接触させた場合と、(ii)標識した脂肪酸またはその塩および試験化合物をGPR40を含有する細胞の膜画分に接触させた場合における、標識した脂肪酸またはその塩の該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(142)(i)標識した脂肪酸またはその塩を、GPR40をコードするDNAを含有するDNAを含有する組換えベクターで形質転換した形質転換体を培養することによって当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合と、(ii)標識した脂肪酸またはその塩および試験化合物を当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合における、標識した脂肪酸またはその塩のGPR40に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(143)(i)GPR40を活性化する化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)GPR40を活性化する化合物および試験化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合における、GPR40を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(144)GPR40を活性化する化合物を、GPR40をコードするDNAを含有するDNAを含有する組換えベクターで形質転換した形質転換体を培養することによって当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合と、GPR40を活性化する化合物および試験化合物を当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合における、GPR40を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(48)記載のスクリーニング方法、
(145)GPR40を活性化する化合物が脂肪酸またはその塩である上記(143)または(144)記載のスクリーニング方法、
(146)GPR40を含有する細胞またはその膜画分を含有することを特徴とする上記(49)記載のスクリーニング用キット、
(147)GRP40をコードするDNAを含有するDNAを含有する組換えベクターで形質転換した形質転換体を培養することによって当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40を含有することを特徴とする上記(49)記載のスクリーニング用キット、
(148)(i)GPR40、その部分ペプチドまたはその塩と、エイコサノイドとを接触させた場合と、(ii)GPR40、その部分ペプチドまたはその塩と、エイコサノイドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(149)(i)標識したエイコサノイドをGPR40、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(ii)標識したエイコサノイドおよび試験化合物をGPR40、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、標識したエイコサノイドのGPR40、その部分ペプチドまたはその塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(150)(i)標識したエイコサノイドをGPR40を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)標識したエイコサノイドおよび試験化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合における、標識したエイコサノイドの該細胞に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(151)(i)標識したエイコサノイドをGPR40を含有する細胞の膜画分に接触させた場合と、(ii)標識したエイコサノイドおよび試験化合物をGPR40を含有する細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したエイコサノイドの該細胞の膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(152)(i)標識したエイコサノイドを、GPR40をコードするDNAを含有するDNAを含有する組換えベクターで形質転換した形質転換体を培養することによって当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合と、(ii)標識したエイコサノイドおよび試験化合物を当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合における、標識したエイコサノイドのGPR40に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(153)(i)GPR40を活性化する化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合と、(ii)GPR40を活性化する化合物および試験化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合における、GPR40を介した細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(154)GPR40を活性化する化合物を、GPR40をコードするDNAを含有するDNAを含有する組換えベクターで形質転換した形質転換体を培養することによって当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合と、GPR40を活性化する化合物および試験化合物を当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40に接触させた場合における、GPR40を介する細胞刺激活性を測定し、比較することを特徴とする上記(106)記載のスクリーニング方法、
(155)GPR40を活性化する化合物がエイコサノイドである上記(153)または(154)記載のスクリーニング方法、
(156)GPR40を含有する細胞またはその膜画分を含有することを特徴とする上記(107)記載のスクリーニング用キット、および
(157)GRP40をコードするDNAを含有するDNAを含有する組換えベクターで形質転換した形質転換体を培養することによって当該形質転換体の細胞膜に発現したGPR40を含有することを特徴とする上記(107)記載のスクリーニング用キットなどを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のG蛋白質共役型レセプター蛋白質(GRP40)は、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するレセプター蛋白質である。
GPR40は、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、膵臓ランゲルハンス島、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)や血球系の細胞、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁頭核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、視床下核、大脳皮質、延髄、小脳、後頭葉、前頭葉、側頭葉、被殻、尾状核、脳染、黒質)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、末梢血球、前立腺、睾丸、精巣、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来する蛋白質であってもよく、また合成蛋白質であってもよい。特に、GPR40は膵臓ランゲルハンス島に高発現している。
【0012】
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と約85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。
本発明の配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、例えば、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などが挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的に同質であることを示す。したがって、リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性が同等(例、約0.01〜100倍、好ましくは約0.5〜20倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
リガンド結合活性やシグナル情報伝達作用などの活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができるが、例えば、後に記載するスクリーニング方法に従って測定することができる。
また、GPR40としては、a)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、b)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、c)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはd)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有する蛋白質なども用いられる。
【0013】
本明細書におけるGPR40は、ペプチド標記の慣例に従って、左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するGPR40をはじめとするGPR40は、C末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。
ここでエステルにおけるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1−6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3−8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6−12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1−2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1−2アルキル基などのC7−14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
GPR40がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のGPR40に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、GPR40には、上記した蛋白質において、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチルなどのC2−6アルカノイル基などのC1−6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖蛋白質などの複合蛋白質なども含まれる。
本発明のGPR40の具体例としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するマウス由来GPR40、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するラット由来GPR40、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列を含有するヒト由来GPR40、配列番号:17で表わされるアミノ酸配列を含有するカニクイザル由来GPR40、配列番号:29で表わされるアミノ酸配列を含有するハムスター由来GPR40などが用いられる。このうちマウス由来GPR40、ラット由来GPR40、カニクイザル由来GPR40およびハムスター由来GPR40は新規な蛋白質である。ヒト由来GPR40は、WO2000−22129、Biochem Biophys Res Commun.1997,Oct 20;239(2):543−547に記載されている公知の蛋白質である。
【0014】
GPR40の部分ペプチド(以下、部分ペプチドと略記する場合がある)としては、上記したGPR40の部分ペプチドであれば何れのものであってもよいが、例えば、GPR40の蛋白質分子のうち、細胞膜の外に露出している部位であって、実質的に同質のレセプター結合活性を有するものなどが用いられる。
具体的には、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列を有するGPR40の部分ペプチドとしては、疎水性プロット解析において細胞外領域(親水性(Hydrophilic)部位)であると分析された部分を含むペプチドである。また、疎水性(Hydrophobic)部位を一部に含むペプチドも同様に用いることができる。個々のドメインを個別に含むペプチドも用い得るが、複数のドメインを同時に含む部分のペプチドでも良い。
本発明の部分ペプチドのアミノ酸の数は、上記した本発明のレセプター蛋白質の構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、より好ましくは100個以上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましい。
実質的に同一のアミノ酸配列とは、これらアミノ酸配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列を示す。
ここで、「実質的に同質のレセプター活性」とは、上記と同意義を示す。「実質的に同質のレセプター活性」の測定は上記と同様に行なうことができる。
また、本発明の部分ペプチドは、上記アミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数個(1〜5個))のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。
また、本発明の部分ペプチドはC末端がカルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート(−COO)、アミド(−CONH)またはエステル(−COOR)の何れであってもよい。本発明の部分ペプチドがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明の部分ペプチドに含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明の部分ペプチドには、上記したGPR40と同様に、N末端のメチオニン残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したGlnがピログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明のGPR40またはその部分ペプチドの塩としては、酸または塩基との生理学的に許容される塩が挙げられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のGPR40またはその塩は、上記したヒトや哺乳動物の細胞または組織から自体公知のレセプター蛋白質の精製方法によって製造することもできるし、後に記載する本発明のGPR40をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、後に記載する蛋白質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
ヒトや哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
【0015】
本発明のGPR40もしくはその部分ペプチドまたはその塩またはそのアミド体の合成には、通常市販の蛋白質合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とする蛋白質の配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂から蛋白質を切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的の蛋白質またはそのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、蛋白質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt、HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するか、または、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂に添加することができる。
【0016】
保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、蛋白質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度は蛋白質結合形成反応に使用され得ることが知られている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することができる。
【0017】
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーペンチルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl−Z、Br−Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アルキルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化などによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t−ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl−Bzl、2−ニトロベンジル、Br−Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
【0018】
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5−トリクロロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N−ヒドロキシスクシミド、N−ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd−炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4−ブタンジチオール、1,2−エタンジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4−ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2−エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
【0019】
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段から適宜選択しうる。
蛋白質のアミド体を得る別の方法としては、例えば、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(蛋白質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いた蛋白質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去した蛋白質とを製造し、この両蛋白質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護蛋白質を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗蛋白質を得ることができる。この粗蛋白質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望の蛋白質のアミド体を得ることができる。
蛋白質のエステル体を得るには、例えば、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、蛋白質のアミド体と同様にして、所望の蛋白質のエステル体を得ることができる。
【0020】
本発明のGPR40の部分ペプチドまたはその塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明のGPR40を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のGPR40を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下のa)〜e)に記載された方法が挙げられる。
a)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
b)SchroederおよびLuebke、ザ ペプチド(The Peptide), Academic Press, New York (1965年)
c)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
d)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 蛋白質の化学IV、 205、(1977年)
e)矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明の部分ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得られる部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0021】
本発明のGPR40をコードするポリヌクレオチドとしては、上記した本発明のGPR40をコードする塩基配列(DNAまたはRNA、好ましくはDNA)を含有するものであればいかなるものであってもよい。該ポリヌクレオチドとしては、本発明のGPR40をコードするDNA、mRNA等のRNAであり、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、センス鎖(すなわち、コード鎖)であっても、アンチセンス鎖(すなわち、非コード鎖)であってもよい。
本発明のGPR40をコードするポリヌクレオチドを用いて、例えば、公知の実験医学増刊「新PCRとその応用」15(7)、1997記載の方法またはそれに準じた方法により、本発明のGPR40のmRNAを定量することができる。
本発明のGPR40をコードするDNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織よりtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、本発明のGPR40をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列を含有するDNA、または配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列からなるGPR40と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAであれば何れのものでもよい。
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0022】
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
該ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するマウスGPR40をコードするDNAとしては、配列番号:2で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するマウスGPR40をコードするDNAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:5で表わされるアミノ酸配列を含有するマウスGPR40をコードするDNAとしては、配列番号:6で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:17で表わされるアミノ酸配列を含有するカニクイザルGPR40をコードするDNAとしては、配列番号:18で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:29で表わされるアミノ酸配列を含有するハムスターGPR40をコードするDNAとしては、配列番号:30で表わされる塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0023】
本発明のGPR40をコードするDNAの塩基配列の一部、または該DNAと相補的な塩基配列の一部を含有してなるポリヌクレオチドとは、下記の本発明の部分ペプチドをコードするDNAを包含するだけではなく、RNAをも包含する意味で用いられる。
本発明に従えば、GPR遺伝子の複製または発現を阻害することのできるアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)を、クローン化した、あるいは決定されたGPR40をコードするDNAの塩基配列情報に基づき設計し、合成しうる。そうしたポリヌクレオチド(核酸)は、GPR40遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいはGPR40関連RNAとの相互作用を介してGPR40遺伝子の発現を調節・制御することができる。GPR関連RNAの選択された配列に相補的なポリヌクレオチド、およびGPR関連RNAと特異的にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドは、生体内および生体外でGPR40遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療または診断に有用である。用語「対応する」とは、遺伝子を含めたヌクレオチド、塩基配列または核酸の特定の配列に相同性を有するあるいは相補的であることを意味する。ヌクレオチド、塩基配列または核酸とペプチド(蛋白質)との間で「対応する」とは、ヌクレオチド(核酸)の配列またはその相補体から誘導される指令にあるペプチド(蛋白質)のアミノ酸を通常指している。GPR40遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、蛋白質コード領域、ORF翻訳開始コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域、および3’端ヘアピンループは好ましい対象領域として選択しうるが、GPR40遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。
【0024】
目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的でハイブリダイズすることができるポリヌクレオチドとの関係は、対象物と「アンチセンス」であるということができる。アンチセンス・ポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリデオキシリボヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリリボヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、あるいは非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販の蛋白質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、さらにDNA:RNAハイブリッドであることができ、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、さらには公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えば蛋白質(ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例えば、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレント化合物(例えば、アクリジン、プソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。こうした修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、あるいはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。
【0025】
本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド(核酸)は、RNA、DNA、あるいは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては核酸の硫黄誘導体やチオホスフェート誘導体、そしてポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものが挙げられるが、それに限定されるものではない。本発明のアンチセンス核酸は次のような方針で好ましく設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンス核酸をより安定なものにする、アンチセンス核酸の細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、そしてもし毒性があるならアンチセンス核酸の毒性をより小さなものにする。
こうして修飾は当該分野で数多く知られており、例えば J. Kawakami et al., Pharm Tech Japan, Vol. 8, pp.247, 1992; Vol. 8, pp.395, 1992; S. T. Crooke et al. ed., Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993 などに開示がある。
本発明のアンチセンス核酸は、変化せしめられたり、修飾された糖、塩基、結合を含有していて良く、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適用されたり、付加された形態で与えられることができうる。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例えば、ホスホリピド、コレステロールなど)といった粗水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例えば、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端あるいは5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端あるいは5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。
アンチセンス核酸の阻害活性は、本発明の形質転換体、本発明の生体内や生体外の遺伝子発現系、あるいはG蛋白質共役型レセプター蛋白質の生体内や生体外の翻訳系を用いて調べることができる。該核酸それ自体公知の各種の方法で細胞に適用できる。
本発明のポリヌクレオチドに対するsiRNAは、GPR40をコードするRNAの一部とそれに相補的なRNAを含有する二重鎖RNAである。具体的には、配列番号:34で表わされる塩基配列からなるセンス鎖と配列番号:35で表わされる塩基配列からなるアンチセンス鎖で構成されるsiRNA、配列番号:36で表わされる塩基配列からなるセンス鎖と配列番号:37で表わされる塩基配列からなるアンチセンス鎖で構成されるsiRNA(図22)などが用いられる。
siRNAは、公知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。
GPR40をコードするRNAの一部を含有するリボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。例えば、公知のリボザイムの配列の一部をGPR40をコードするRNAの一部に置換することによって製造することができる。GPR40をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得るコンセンサス配列NUX(式中、Nはすべての塩基を、XはG以外の塩基を示す)の近傍の配列などが挙げられる。
【0026】
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、上記した本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、上記した細胞・組織由来のcDNA、上記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、上記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT−PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列を有するDNAの部分塩基配列を有するDNA、または(2)配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列からなるGPR40と実質的に同質の活性(例、リガンド結合活性、シグナル情報伝達作用など)を有するレセプター蛋白質をコードするDNAの部分塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列とハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:18または配列番号:30で表わされる塩基配列と約85%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
【0027】
本発明のGPR40またはその部分ペプチド(以下、本発明のGPR40と略記する場合がある)を完全にコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のGPR40の部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のGPR40の一部あるいは全領域をコードするDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
【0028】
DNAの塩基配列の変換は、PCRや公知のキット、例えば、MutanTM−super Express Km(宝酒造(株))、MutanTM−K(宝酒造(株))などを用いて、ODA−LA PCR法、Gapped duplex法、Kunkel法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化されたGPR40をコードするDNAは目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のGPR40の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のGPR40をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
【0029】
ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110、pTP5、pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19、pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMVプロモーター、HSV−TKプロモーターなどが挙げられる。
これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
【0030】
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(MTX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Ampと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が挙げられる。特に、CHO(dhfr)細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含まない培地によっても選択できる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のレセプター蛋白質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のGPR40をコードするDNAを含有するベクターを用いて、形質転換体を製造することができる。
【0031】
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌の具体例としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology),120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズブチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R,NA87−11A,DKD−5D、20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)などが用いられる。
【0032】
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM 細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In Vivo),13, 213−217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記)、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr)細胞と略記)、マウスL細胞,マウスAtT−20、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞などが用いられる。
【0033】
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メッソズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology), 6, 47−55(1988)などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8新細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
このようにして、GPR40をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体が得られる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
【0034】
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York 1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
【0035】
宿主が昆虫細胞または昆虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace’s Insect Medium(Grace, T.C.C., ネイチャー(Nature), 195, 788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
以上のようにして、形質転換体の細胞内、細胞膜または細胞外に本発明のGPR40を生成せしめることができる。
【0036】
上記培養物から本発明のGPR40を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明のGPR40を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過によりGPR40の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられる。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。培養液中にGPR40が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。
このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれるGPR40の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的新和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0037】
かくして得られるGPR40が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生するGPR40を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のGPR40の活性は、標識したリガンドとの結合実験および特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
【0038】
本発明のGPR40に対する抗体は、本発明のGPR40を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
本発明のGPR40に対する抗体は、本発明のGPR40を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
【0039】
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクローナル抗体産生細胞の作製
本発明のGPR40は、哺乳動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なわれる。用いられる哺乳動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギが挙げられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化レセプター蛋白質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256巻、495頁(1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウイルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0などが挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくは、PEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、約20〜40℃、好ましくは約30〜37℃で約1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。
【0040】
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、レセプター蛋白質の抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したレセプター蛋白質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができるが、通常はHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地などで行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))またはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0041】
(b)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、通常のポリクローナル抗体の分離精製と同様に免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相またはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0042】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(GPR40抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に哺乳動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のGPR40に対する抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造できる。
哺乳動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミン、ウシサイログロブリン、キーホール・リンペット・ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された哺乳動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
具体的には、本発明のGPR40に対する抗体としては、例えば、本発明のGPR40のC末端ペプチドまたはその塩を認識する抗体(特に、モノクローナル抗体)などが好ましい。より具体的には、ヒトGPR40のC末端ペプチドである配列番号:33で表わされるペプチドまたはその塩を認識するモノクローナル抗体などが用いられる。
【0043】
本発明のGPR40のリガンドの1つは脂肪酸またはその塩であり、例えば、食物中や生体内に存在する不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸またはそれらの塩が用いられる。なかでも、炭素数が約10〜30個の不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸またはそれらの塩が好ましく用いられる。具体的には、ファルネシン酸(farnesoic acid)、5.8.11−eicosatriynoic acid、5.8.11.14−eicosatetraynoic acid、オレイン酸(oleic acid)、リノール酸(linoleic acid)、リノレン酸(linolenic acid)、α−リノレン酸(α−linolenic acid)、γ−リノレン酸(γ−linolenic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid,EPA)、エイコサジエン酸(eicosadienoic acid)、エイコサトリエン酸(eicosatrienoic acid)、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid,DHA)、ドコサトリエン酸(docosatrienoic acid)、アドレン酸(adrenic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、またはその塩などが用いられる。
脂肪酸の塩としては、酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、ナトリム、カリウムなどのアルカリ金属;カルシウムなどのアルカリ土類金属)などとの塩が用いられ、とりわけ塩基が好ましい。
以下、本願明細書では、脂肪酸またはその塩を単に「脂肪酸」と略記する。
さらに、本発明のGPR40のリガンドの1つはエイコサノイドであり、例えば、(±)14,15−ジハイドロキシ−5Z,8Z,11Z−エイコサトリエン酸((±)14,15−dihydroxy−5Z,8Z,11Z−eicosatrienoic acid, 14,15−DHT)、(±)5(6)−エポキシ−8Z,11Z,14Z−エイコサトリエン酸((±)5(6)−epoxy−8Z,11Z,14Z−eicosatrienoic acid, 5,6−EET)、(±)8(9)−エポキシ−5Z,11Z,14Z−エイコサトリエン酸((±)8(9)−epoxy−5Z,11Z,14Z−eicosatrienoic acid, 8,9−EET)、(±)11(12)−エポキシ−5Z,8Z,14Z−エイコサトリエン酸((±)11(12)−epoxy−5Z,8Z,14Z−eicosatrienoic acid, 11,12−EET)、(±)14(15)−エポキシ−5Z,8Z,11Z−エイコサトリエン酸((±)14(15)−epoxy−5Z,8Z,11Z−eicosatrienoic acid, 14,15−EET)などが用いられる。
また、本発明のGPR40は、特に膵臓ランゲルハンス島で高発現している。
したがって、本発明のGRP40、GPR40をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)、GPR40に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する場合がある)、本発明のDNAに対するアンチセンスDNA(以下、本発明のアンチセンスDNAと略記する場合がある)、本発明のポリヌクレオチドに対するsiRNA(以下、本発明のsiRNAと略記する場合がある)は、以下の用途を有している。
【0044】
(1)本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤
a)本発明のGPR40またはb)GPR40をコードするDNAを、本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤などの医薬として使用することができる。
例えば、生体内において本発明のGPR40が減少しているために、リガンドである脂肪酸またはエイコサノイドの生理作用が期待できない(GPR40の欠乏症)患者がいる場合に、a)本発明のGPR40を該患者に投与し該GPR40の量を補充したり、b)(イ)本発明のGPR40をコードするDNAを該患者に投与し発現させることによって、あるいは(ロ)対象となる細胞に本発明のGPR40をコードするDNAを挿入し発現させた後に、該細胞を該患者に移植することなどによって、患者の体内におけるGPR40の量を増加させ、リガンドの作用を充分に発揮させることができる。すなわち、本発明のGPR40をコードするDNAは、安全で低毒性な本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌促進剤、血糖低下剤、膵β細胞保護剤などとして有用である。
具体的には、本発明のGPR40または本発明のDNAは、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などの予防・治療剤として使用することができる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のGPR40を上記予防・治療剤として使用する場合は、常套手段に従って製剤化することができる。
一方、本発明のDNAを上記予防・治療剤として使用する場合は、本発明のDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤とともに、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
例えば、a)本発明のGPR40またはb)本発明のDNAは、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、a)本発明のGPR40またはb)本発明のDNAを生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
【0045】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0046】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明のGPR40の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本発明のDNAの投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0047】
(2)遺伝子診断剤
本発明のDNA、アンチセンスDNAおよびsiRNAは、プローブとして使用することにより、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のGPR40またはその部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるいは発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。
本発明のDNA、アンチセンスDNAまたはsiRNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America),第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションにより本発明のGPR40の発現低下が検出された場合は、例えば、本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患である可能性が高いまたは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、ノーザンハイブリダイゼーションにより本発明のGPR40の発現過多が検出された場合は、例えば、本発明のGPR40の過剰発現に起因する疾患である可能性が高いまたは将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患としては、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などが挙げられる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のGPR40の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌などが挙げられる。
【0048】
(3)本発明のGPR40の発現量を変化させる化合物を含有する医薬
本発明のDNAは、プローブとして用いることにより、本発明のGPR40の発現量を変化させる化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、例えば、(i)非ヒト哺乳動物のa)血液、b)特定の臓器、c)臓器から単離した組織もしくは細胞、または(ii)形質転換体等に含まれる本発明のGPR40のmRNA量を測定することによる、本発明のGPR40の発現量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
本発明のGPR40のmRNA量の測定は具体的には以下のようにして行なう。
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。
得られた細胞に含まれる本発明のGPR40のmRNAは、例えば、通常の方法により細胞等からmRNAを抽出し、例えば、TaqManPCRなどの手法を用いることにより定量することができ、自体公知の手段によりノーザンブロットを行うことにより解析することもできる。
(ii)本発明のGPR40を発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、該形質転換体に含まれる本発明のGPR40のmRNAを同様にして定量、解析することができる。
【0049】
本発明のGPR40の発現量を変化させる化合物のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、細胞に含まれる本発明のGPR40のmRNA量を定量、解析することにより行なうことができ、
(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、該形質転換体に含まれる本発明のGPR40のmRNA量を定量、解析することにより行なうことができる。
【0050】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、本発明のGPR40の発現量を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)本発明のGPR40の発現量を増加させることにより、GPR40を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を増強させる化合物、(ロ)本発明のGPR40の発現量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。
該化合物としては、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のGPR40のリガンドは、上記のとおり脂肪酸またはエイコサノイドである。したがって、上記スクリーニング方法で得られる本発明のGPR40の発現量を変化させる化合物は、本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患の予防および/または治療剤として用いることができる。
具体的には、本発明のGPR40の発現量を増加させ、細胞刺激活性を増強させる化合物は、本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌促進剤、血糖低下剤、膵β細胞保護剤として有用である。
本発明のGPR40の発現量を減少させ、細胞刺激活性を減弱させる化合物は、本発明のGPR40の発現過多に起因する疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌抑制剤、血糖上昇剤として有用である。
本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患としては、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などが挙げられる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のGPR40の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌などが挙げられる。
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;カルシウムなどのアルカリ土類金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
以下、塩としては、同様のものが用いられる。
【0051】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場合、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0052】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0053】
(4)本発明のGPR40の定量法および診断方法
本発明の抗体は、本発明のGPR40を特異的に認識することができるので、被検液中のGPR40の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化されたGPR40とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化されたGPR40の割合を測定することを特徴とする被検液中のGPR40の定量法、および
(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中のGPR40の定量法を提供する。
【0054】
上記(ii)の定量法においては、一方の抗体がGPR40のN端部を認識する抗体で、他方の抗体がGPR40のC端部に反応する抗体であることが望ましい。
また、GPR40に対するモノクローナル抗体を用いてGPR40の定量を行うことができるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab’)、Fab’、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いるGPR40の定量法は、 特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、GPR40量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
【0055】
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常GPR40あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラス等があげられる。
サンドイッチ法においては不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のGPR40量を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
【0056】
本発明のサンドイッチ法によるGPR40の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、GPR40の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、GPR40のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のGPR40の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D : Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E : Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I : Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のGPR40を感度良く定量することができる。
【0057】
さらには、本発明の抗体を用いてGPR40の濃度を定量することによって、GPR40の濃度の減少が検出された場合、例えば、GPR40の機能不全に関連する疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、GPR40の濃度の増加が検出された場合には、例えば、GPR40の過剰発現に起因する疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患としては、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などが挙げられる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のGPR40の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌などが挙げられる。
【0058】
(5)GPR40に対する脂肪酸またはエイコサノイド以外のリガンドの決定方法
脂肪酸またはエイコサノイドがGPR40に結合することによって、細胞内Ca2+の濃度上昇、細胞内cAMP生成の抑制が見られることから、GPR40はこの細胞内シグナルを指標としてGPR40に対する脂肪酸またはエイコサノイド以外のリガンドを探索し、または決定するための試薬として有用である。
すなわち、本発明は、試験化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合における、GPR40を介した細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とするGPR40に対するリガンドの決定方法を提供する。
試験化合物としては、公知のリガンド(例えば、アンギオテンシン、ボンベシン、カナビノイド、コレシストキニン、グルタミン、セロトニン、メラトニン、ニューロペプチドY、オピオイド、プリン、バソプレッシン、オキシトシン、PACAP(例、PACAP27,PACAP38)、セクレチン、グルカゴン、カルシトニン、アドレノメジュリン、ソマトスタチン、GHRH、CRF、ACTH、GRP、PTH、VIP(バソアクティブ インテスティナル アンド リレイテッド ポリペプチド)、ソマトスタチン、ドーパミン、モチリン、アミリン、ブラジキニン、CGRP(カルシトニンジーンリレーティッドペプチド)、ロイコトリエン、パンクレアスタチン、プロスタグランジン、トロンボキサン、アデノシン、アドレナリン、ケモカインスーパーファミリー(例、IL−8,GROα,GROβ,GROγ,NAP−2,ENA−78,GCP−2,PF4,IP−10,Mig,PBSF/SDF−1などのCXCケモカインサブファミリー;MCAF/MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,eotaxin,RANTES,MIP−1α、MIP−1β,HCC−1,MIP−3α/LARC、MIP−3β/ELC,I−309,TARC,MIPF−1,MIPF−2/eotaxin−2,MDC,DC−CK1/PARC,SLCなどのCCケモカインサブファミリー;lymphotactinなどのCケモカインサブファミリー;fractalkineなどのCX3Cケモカインサブファミリー等)、エンドセリン、エンテロガストリン、ヒスタミン、ニューロテンシン、TRH、パンクレアティックポリペプタイド、ガラニン、リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1−リン酸など)の他に、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サルなど)の組織抽出物、細胞培養上清、低分子合成化合物などが用いられる。例えば、該組織抽出物、細胞培養上清などを本発明のレセプター蛋白質に添加し、細胞刺激活性などを測定しながら分画し、最終的に単一のリガンドを得ることができる。
【0059】
具体的には、本発明のリガンド決定方法は、組換え型GRP40の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、GPR40を介する細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を有する化合物またはその塩を決定する方法である。
より具体的には、本発明は、次のような決定方法を提供する。
(1)試験化合物をGPR40を含有する細胞に接触させた場合における細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とするGPR40に対するリガンドの決定方法、および
(2)試験化合物をGPR40をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したレセプター蛋白質に接触させた場合におけるGPR40を介する細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とするGPR40に対するリガンドの決定方法を提供する。
特に、試験化合物がGPR40に結合することを確認した後に、上記の試験を行なうことが好ましい。
【0060】
本発明のリガンド決定方法において、GPR40を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法は公知の方法に従って行なうことができる。
GPR40を含有する細胞の膜画分としては、細胞を破砕した後、公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)による破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したGPR40と細胞由来のリン脂質や膜タンパク質などの膜成分が多く含まれる。
【0061】
GPR40を含有する細胞やその細胞膜画分中のGPR40の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
本発明のリガンドを決定方法を実施するためには、GPR40を介する細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。具体的には、まず、GPR40を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。リガンド決定を行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、Ca2+、cAMPなど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP生成抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
本発明のリガンド決定用キットは、GPR40を含有する細胞またはその細胞膜画分を含有するものである。
このようにして決定されるGPR40に対するリガンドは、GPR40に結合してその生理的機能を調節するので、GPR40の機能に関連する疾患の予防・治療剤として用いることができる。
【0062】
(6)本発明のGPR40とリガンドとの結合性を変化させる化合物(アゴニスト、アンタゴニストなど)のスクリーニング方法、および本発明のGPR40とリガンドとの結合性を変化させる化合物を含有する医薬
本発明のGPR40を用いるか、または組換え型GPR40の発現系を構築し、該発現系を用いたレセプター結合アッセイ系を用いることによって、リガンドである脂肪酸またはエイコサノイドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物(例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物など)またはその塩を効率よくスクリーニングすることができる。
このような化合物には、(イ)GPR40を介して細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を有する化合物(いわゆる、本発明のGPR40に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物(いわゆる、本発明のGPR40に対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のGPR40との結合力を増強する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のGPR40との結合力を減少させる化合物などが含まれる。
すなわち、本発明は、(i)本発明のGPR40とリガンドとを接触させた場合と(ii)本発明のGPR40とリガンドおよび試験化合物とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とするリガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、GPR40に対するリガンドの結合量、細胞刺激活性などを測定して、比較することを特徴とする。
【0063】
より具体的には、本発明は、
a)標識したリガンドを、本発明のGPR40に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のGPR40に接触させた場合における、標識したリガンドの該GPR40に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
b)標識したリガンドを、本発明のGPR40を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のGPR40を含有する細胞または該細胞の膜画分に接触させた場合における、標識したリガンドの該細胞または該膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
c)標識したリガンドを、本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現したGPR40に接触させた場合と、標識したリガンドおよび試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のGPR40に接触させた場合における、標識したリガンドの該GPR40に対する結合量を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
【0064】
d)本発明のGPR40を活性化する化合物(例えば、本発明のGPR40に対するリガンドなど)を本発明のGPR40を含有する細胞に接触させた場合と、本発明のGPR40を活性化する化合物および試験化合物を本発明のGPR40を含有する細胞に接触させた場合における、GPR40を介した細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
e)本発明のGPR40を活性化する化合物(例えば、本発明のGPR40に対するリガンドなど)を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のGPR40に接触させた場合と、本発明のGPR40を活性化する化合物および試験化合物を本発明のDNAを含有する形質転換体を培養することによって細胞膜上に発現した本発明のGPR40に接触させた場合における、レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を測定し、比較することを特徴とするリガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
リガンドとしては、上述した脂肪酸またはエイコサノイドが用いられる。
さらに、リガンドとしては、脂肪酸またはエイコサノイドとGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩を用いることもできる。この脂肪酸またはエイコサノイドとGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩は、例えば、リガンドとして脂肪酸またはエイコサノイドを用いて、後述する本発明のスクーニング方法を実施することによって得ることができる。
脂肪酸またはエイコサノイドとGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩としては、低分子合成化合物が好ましく、新規または公知の何れの化合物であってもよい。特に、GPR40アンタゴニストをスクリーニングする場合には、天然リガンドに代えて、アゴニスト活性を有する低分子合成化合物を用いるのが好ましい。
低分子合成化合物は、天然リガンドに比べて標識が容易であるため、スクリーニングに適している。
【0065】
本発明のスクリーニング方法の具体的な説明を以下にする。
まず、本発明のスクリーニング方法に用いる本発明のGPR40としては、上記した本発明のGPR40を含有するものであれば何れのものであってもよいが、本発明のGPR40を含有する哺乳動物の臓器の細胞膜画分が好適である。しかし、特にヒト由来の臓器は入手が極めて困難なことから、スクリーニングに用いられるものとしては、組換え体を用いて大量発現させたヒト由来のGPR40などが適している。
【0066】
本発明のGPR40を製造するには、上記の方法が用いられるが、本発明のDNAを哺乳細胞や昆虫細胞で発現することにより行なうことが好ましい。目的とする蛋白質部分をコードするDNA断片には相補DNAが用いられるが、必ずしもこれに制約されるものではない。例えば、遺伝子断片や合成DNAを用いてもよい。本発明のGPR40をコードするDNA断片を宿主動物細胞に導入し、それらを効率よく発現させるためには、該DNA断片を昆虫を宿主とするバキュロウイルスに属する核多角体病ウイルス(nuclear polyhedrosis virus;NPV)のポリヘドリンプロモーター、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒトヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどの下流に組み込むのが好ましい。発現したレセプター蛋白質の量と質の検査はそれ自体公知の方法で行うことができる。例えば、文献〔Nambi,P.ら、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.),267巻,19555〜19559頁,1992年〕に記載の方法に従って行なうことができる。
したがって、本発明のスクリーニング方法において、本発明のGPR40を含有するものとしては、それ自体公知の方法に従って精製したGPR40であってもよいし、該GPR40を含有する細胞を用いてもよく、また該GPR40を含有する細胞の膜画分を用いてもよい。
【0067】
本発明のスクリーニング方法において、本発明のGPR40を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化してもよい。固定化方法はそれ自体公知の方法に従って行なうことができる。
本発明のGPR40を含有する細胞としては、該GPR40を発現した宿主細胞をいうが、該宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌、酵母、昆虫細胞、動物細胞などが好ましい。
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したGPR40と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該GPR40を含有する細胞や膜画分中のGPR40の量は、1細胞当たり10〜10分子であるのが好ましく、10〜10分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
【0068】
リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする上記のa)〜c)を実施するためには、例えば、適当なGPR40画分と、標識したリガンドが必要である。
GPR40画分としては、天然型のGPR40画分か、またはそれと同等の活性を有する組換え型GPR40画分などが望ましい。ここで、同等の活性とは、同等のリガンド結合活性、シグナル情報伝達作用などを示す。
標識したリガンドとしては、標識したリガンド、標識したリガンドアナログ化合物などが用いられる。例えば〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識されたリガンドなどが用いられる。
具体的には、リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物のスクリーニングを行なうには、まず本発明のGPR40を含有する細胞または細胞の膜画分を、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりGPR40標品を調製する。バッファーには、pH4〜10(望ましくはpH6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどのリガンドとGPR40との結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプター蛋白質やリガンドの分解を抑える目的でPMSF、ロイペプチン、E−64(ペプチド研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。0.01ml〜10mlの該レセプター蛋白質溶液に、一定量(5000cpm〜500000cpm)の標識したリガンドを添加し、同時に10−4M〜10−10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識のリガンドを加えた反応チューブも用意する。反応は約0〜50℃、望ましくは約4〜37℃で、約20分から24時間、望ましくは約30分から3時間行う。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで計測する。拮抗する物質がない場合のカウント(B)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が、例えば、50%以下になる試験化合物を拮抗阻害能力のある候補物質として選択することができる。
【0069】
リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物をスクリーニングする上記のd)〜e)の方法を実施するためには、例えば、GPR40を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など、特に細胞内Ca2+濃度上昇活性、細胞内cAMP生成抑制活性)を公知の方法または市販の測定用キットを用いて測定することができる。
具体的には、まず、本発明のGPR40を含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれの方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、Ca2+、cAMPなど)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP生成抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
細胞刺激活性を測定してスクリーニングを行なうには、適当なGPR40を発現した細胞が必要である。本発明のGPR40を発現した細胞としては、天然型の本発明のGPR40を有する細胞株、上記の組換え型GPR40を発現した細胞株などが望ましい。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが用いられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
また、試験化合物としては、GPR40の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物が好ましく用いられる。GPR40の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置の測定は、公知の方法あるいはそれに準じる方法を用いて行うことができる。
リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物がアゴニストであるかアンタゴニストであるかの具体的な評価方法は以下の(i)または(ii)に従えばよい。
(i)前記a)〜c)のスクリーニング方法を行い、リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる(特に、結合を阻害する)化合物またはその塩を得た後、該化合物またはその塩が上記した細胞刺激活性を有しているか否かを測定する。具体的には、上記した本発明のGPR40に対するアゴニストのスクリーニング方法を用いて確認することができ、該細胞刺激活性を有する化合物またはその塩はアゴニストであり、該細胞刺激活性を有しない化合物またはその塩はアンタゴニストである。
(ii)(a)試験化合物を本発明のGPR40を含有する細胞に接触させ、上記した細胞刺激活性を測定する。細胞刺激活性を有する試験化合物は本発明のGPR40に対するアゴニストである。
(b)本発明のGPR40を活性化する化合物(例えば、リガンド)を本発明のGPR40を含有する細胞に接触させた場合と、本発明のGPR40を活性化する化合物および試験化合物を本発明のGPR40を含有する細胞に接触させた場合における細胞刺激活性を測定し、比較する。本発明のGPR40を活性化する化合物による細胞刺激活性を減少させ得る試験化合物は本発明のGPR40に対するアンタゴニストである。
より具体的には、実施例35に記載の評価基準を用いることができる。
【0070】
リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キットは、本発明のGPR40、本発明のGPR40を含有する細胞、または本発明のGPR40を含有する細胞の膜画分を含有するものなどである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
1.スクリーニング用試薬
a)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks’ Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
b)GPR40標品
本発明のGPR40を発現させたCHO細胞を、12穴プレートに5×10個/穴で継代し、37℃、5%CO、95%airで2日間培養したもの。
c)標識リガンド
市販の〔H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したリガンド
水溶液の状態のものを4℃あるいは−20℃にて保存し、用時に測定用緩衝液にて1μMに希釈する。
d)リガンド標準液
リガンドを0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
【0071】
2.測定法
a)12穴組織培養用プレートにて培養した本発明のGPR40発現CHO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
b)10−3〜10−10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、標識リガンドを5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物の代わりに10−3Mのリガンドを5μl加えておく。
c)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識リガンドを0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
d)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式で求める。
PMB=[(B−NSB)/(B−NSB)]×100
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non−specific Binding(非特異的結合量)
:最大結合量
【0072】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、リガンドと本発明のGPR40との結合性を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介して細胞刺激活性を有する化合物(いわゆる、本発明のGPR40に対するアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性を有しない化合物(いわゆる、本発明のGPR40に対するアンタゴニスト)、(ハ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型GPR40との結合力を増強する化合物、あるいは(ニ)リガンドと本発明のG蛋白質共役型GPR40との結合力を減少させる化合物である。
該化合物としては、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
また、化合物は、前記したGPR40の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて設計された化合物であってもよい。
本発明のGPR40に対するアゴニストは、本発明のGPR40に対するリガンドである脂肪酸またはエイコサノイドが有する生理活性と同様の作用を有しているので、脂肪酸またはエイコサノイドが有する生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のGPR40に対するアンタゴニストは、本発明のGPR40に対するリガンドである脂肪酸またはエイコサノイドが有する生理活性を抑制することができるので、脂肪酸またはエイコサノイドの生理活性を抑制するための安全で低毒性な医薬として有用である。
リガンドと本発明のG蛋白質共役型GPR40との結合力を増強する化合物は、本発明のGPR40に対するリガンドが有する生理活性を増強することができるので、脂肪酸またはエイコサノイドが有する生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。
リガンドと本発明のG蛋白質共役型GPR40との結合力を減少させる化合物は、本発明のGPR40に対するリガンドが有する生理活性を減少させることができるので、脂肪酸またはエイコサノイドの生理活性を抑制するための安全で低毒性な医薬として有用である。
具体的には、本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる▲1▼GPR40に対するアゴニストまたは▲2▼リガンドと本発明のG蛋白質共役型GPR40との結合力を増強する化合物またはその塩は、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などの疾患に対する予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌促進剤、血糖低下剤、膵β細胞保護剤として有用である。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる▲1▼GPR40に対するアンタゴニストまたは▲2▼リガンドと本発明のG蛋白質共役型GPR40との結合力を減少させる化合物またはその塩は、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌などの疾患に対する予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌抑制剤、血糖上昇剤として有用である。
【0073】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、後述するGPR40の発現量を変化させる化合物またはその塩、発現上記疾患に対する他の薬物や、他の糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、化学療法剤、免疫療法剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記することがある)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、例えばアゴニスト1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
他の糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等)など)、インスリン感受性増強剤(例、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロジグリタゾンまたはそのマレイン酸塩、JTT−501、MCC−555、YM−440、GI−262570、KRP−297、FK−614、CS−011等)、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン等)、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド等)やその他のインスリン分泌促進剤(例、レパグリニド、セナグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物、GLP−1、ナテグリニド等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、ホスホチロシンホスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤等)、SGLT(sodium−glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095等)等が挙げられる。
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、ミナルレスタット(ARI−509)、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、プロテインキナーゼC(PKC)阻害薬(例、LY−333531等)等)、AGE阻害剤(例、ALT−945、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウムブロミド(ALT−766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チオプリド等)等が挙げられる。
【0074】
抗高脂血剤としては、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩等)等)、スクアレン合成酵素阻害剤あるいはトリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等)等が挙げられる。
降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、ロサルタン、カンデサルタン、シレキセチル等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等)、クロニジン等が挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルアミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL−962等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、AJ−9677、AZ40140等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。
利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0075】
化学療法剤としては、例えばアルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシル等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポキシドなどが挙げられる。なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンあるいはネオフルツロンなどが好ましい。
免疫療法剤としては、例えば微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン等)などが挙げられ、なかでもIL−1、IL−2、IL−12などが好ましい。
さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン等)〔キャンサー・リサーチ(Cancer Research)、第49巻、5935〜5939頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncology)、第12巻、213〜225頁、1994年〕、糖質ステロイド(例、デキサメサゾン等)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸等)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体なども本発明製剤と併用することができる。
さらに、糖化阻害剤(例、ALT−711等)、神経再生促進薬(例、Y−128、VX853、prosaptide等)、抗うつ薬(例、デシプラミン、アミトリプチリン、イミプラミン)、抗てんかん薬(例、ラモトリジン)、抗不整脈薬(例、メキシレチン)、アセチルコリン受容体リガンド(例、ABT−594)、エンドセリン受容体拮抗薬(例、ABT−627)、モノアミン取り込み阻害薬(例、トラマドル)、麻薬性鎮痛薬(例、モルヒネ)、GABA受容体作動薬(例、ギャバペンチン)、α2受容体作動薬(例、クロニジン)、局所鎮痛薬(例、カプサイシン)、抗不安薬(例、ベンゾチアゼピン)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、シルデナフィル)、ドーパミン受容体作動薬(例、アポモルフィン)なども本発明製剤と併用することができる。
【0076】
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩を上記の医薬組成物として使用する場合、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
【0077】
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0078】
(7)各種薬物の作用メカニズムの解明方法
本発明のGPR40を用いることによって、各種薬物がGPR40を介して薬理効果を発揮しているか否かを確認することができる。
すなわち、本発明は、
(1)GPR40を用いることを特徴とする、▲1▼膵臓機能調節薬(例、膵臓機能改善薬)、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に結合することを確認する方法、
(2)GPR40を用いることを特徴とする、▲1▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲2▼インスリン分泌促進薬、▲3▼血糖低下薬または▲4▼膵β細胞保護が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストであることを確認する方法、
(3)GPR40を用いることを特徴とする、▲1▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬、▲2▼インスリン分泌抑制薬または▲3▼血糖上昇薬が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストであることを確認する方法、
(4)各薬をGPR40に接触させた場合における、各薬とGPR40との結合量を測定することを特徴とする上記(1)〜(3)記載のスクリーニング方法を提供する。
この確認方法は、前記したリガンドとGPR40との結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法において、試験化合物に代えて、上記の薬物を使用することによって実施することができる。
また、本発明の確認方法用キットは、前記したリガンドとGPR40との結合性を変化させる化合物のスクリーニング用キットにおいて、試験化合物に代えて、上記の薬物を含有するものである。
このように、本発明の確認方法を用いることによって、市販または開発途中の各種薬物がGPR40を介して薬理効果を発揮していることを確認することができる。
【0079】
(8)細胞膜における本発明のGPR40またはその部分ペプチドの量を変化させる化合物を含有する医薬
本発明の抗体は、本発明のGPR40を特異的に認識することができるので、細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち本発明は、例えば、
(i)非ヒト哺乳動物のa)血液、b)特定の臓器、c)臓器から単離した組織もしくは細胞等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる本発明のGPR40を定量することによる、細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(ii)本発明のGPR40を発現する形質転換体等を破壊した後、細胞膜画分を単離し、細胞膜画分に含まれる本発明のGPR40を定量することによる、細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる化合物のスクリーニング方法、
(iii)非ヒト哺乳動物のa)血液、b)特定の臓器、c)臓器から単離した組織もしくは細胞等を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該受容体蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することによる、細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
(iv)本発明のGPR40を発現する形質転換体等を切片とした後、免疫染色法を用いることにより、細胞表層での該受容体蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することによる、細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
【0080】
細胞膜画分に含まれる本発明のGPR40の定量は具体的には以下のようにして行なう。
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細胞等を、例えば、適当な緩衝液(例えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、ヘペス緩衝液など)等に懸濁し、臓器、組織あるいは細胞を破壊し、界面活性剤(例えば、トリトンX100TM、ツイーン20TMなど)などを用い、さらに遠心分離や濾過、カラム分画などの手法を用いて細胞膜画分を得る。
細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したGPR40と細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
細胞膜画分に含まれる本発明のGPR40は、例えば、本発明の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定法、ウエスタンブロット解析などにより定量することができる。
かかるサンドイッチ免疫測定法は上記の方法と同様にして行なうことができ、ウエスタンブロットは自体公知の手段により行なうことができる。
(ii)本発明のGPR40を発現する形質転換体を上記の方法に従い作製し、細胞膜画分に含まれる本発明のGPR40を定量することができる。
【0081】
細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる化合物のスクリーニングは、
(i)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物に対して、薬剤あるいは物理的ストレスなどを与える一定時間前(30分前〜24時間前、好ましくは30分前〜12時間前、より好ましくは1時間前〜6時間前)もしくは一定時間後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、または薬剤あるいは物理的ストレスと同時に被検化合物を投与し、投与後一定時間経過後(30分後〜3日後、好ましくは1時間後〜2日後、より好ましくは1時間後〜24時間後)、細胞膜における本発明のGPR40の量を定量することにより行なうことができ、
(ii)形質転換体を常法に従い培養する際に被検化合物を培地中に混合させ、一定時間培養後(1日後〜7日後、好ましくは1日後〜3日後、より好ましくは2日後〜3日後)、細胞膜における本発明のGPR40の量を定量することにより行なうことができる。
細胞膜画分に含まれる本発明のGPR40の確認は具体的には以下のようにして行なう。
(iii)正常あるいは疾患モデル非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど、より具体的には痴呆ラット、肥満マウス、動脈硬化ウサギ、担癌マウスなど)に対して、薬剤(例えば、抗痴呆薬、血圧低下薬、抗癌剤、抗肥満薬など)あるいは物理的ストレス(例えば、浸水ストレス、電気ショック、明暗、低温など)などを与え、一定時間経過した後に、血液、あるいは特定の臓器(例えば、脳、肝臓、腎臓など)、または臓器から単離した組織、あるいは細胞を得る。得られた臓器、組織または細胞等を、常法に従い組織切片とし、本発明の抗体を用いて免疫染色を行う。細胞表層での該受容体蛋白質の染色度合いを定量化することにより、細胞膜上の該蛋白質を確認することにより、定量的または定性的に、細胞膜における本発明のGPR40の量を確認することができる。
(iv)本発明のGPR40を発現する形質転換体等を用いて同様の手段をとることにより確認することもできる。
【0082】
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、細胞膜における本発明のGPR40の量を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)細胞膜における本発明のGPR40の量を増加させることにより、G蛋白質共役型レセプター蛋白質を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を増強させる化合物、(ロ)細胞膜における本発明のGPR40の量を減少させることにより、該細胞刺激活性を減弱させる化合物である。
該化合物としては、ペプチド、蛋白、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
細胞膜における本発明のGPR40の量を増加させることにより、細胞刺激活性を増強させる化合物は、本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌促進剤、血糖低下剤、膵β細胞保護剤として有用である。
細胞膜における本発明のGPR40の量を減少させることにより、細胞刺激活性を減弱させる化合物は、本発明のGPR40の発現過多に起因する疾患に対する安全で低毒性な予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌抑制剤、血糖上昇剤として有用である。
具体的には、本発明のGPR40の量を増加する化合物またはその塩は、例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などの疾患に対する予防・治療剤として使用することができる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のGPR40の量を減少させる化合物またはその塩は、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌などの疾患に対する予防・治療剤として使用することができる。
また、前記した併用薬剤と併用することができる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩を医薬組成物として使用する場合、常套手段に従って製剤化することができる。
例えば、該化合物は、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、該化合物を生理学的に認められる公知の担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
【0083】
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤(例、ポリソルベート80TM、HCO−50)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤である安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、上記予防・治療剤は、例えば、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填される。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより差異はあるが、経口投与の場合、一般的に例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。非経口的に投与する場合は、その1回投与量は投与対象、対象臓器、症状、投与方法などによっても異なるが、例えば、注射剤の形では通常例えば、糖尿病患者(60kgとして)においては、一日につき約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0084】
(9)本発明のGPR40に対する抗体を含有してなる医薬
本発明のGPR40に対する抗体の中和活性とは、該GPR40の関与するシグナル伝達機能を不活性化する活性を意味する。従って、該抗体が中和活性を有する場合は、該GPR40の関与するシグナル伝達、例えば、該GPR40を介する細胞刺激活性(例えば、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)を不活性化することができる。
したがって、本発明のGPR40に対する中和抗体は、GPR40の過剰発現などに起因する疾患(例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌など)の予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌抑制剤、血糖上昇剤として用いることができる。
また、前記した併用薬剤と併用することができる。
【0085】
(10)本発明のアンチセンスDNAまたはsiRNAを含有してなる医薬
本発明のアンチセンスDNAまたはsiRNAは、GPR40の過剰発現などに起因する疾患(例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌など)の予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌抑制剤、血糖上昇剤として用いることができる。
また、前記した併用薬剤と併用することができる。
例えば、該アンチセンスDNAまたはsiRNAを用いる場合、該アンチセンスDNAまたはsiRNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
【0086】
(11)本発明のDNA導入動物の作製
本発明は、外来性の本発明のDNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
〔1〕本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
〔2〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第〔1〕記載の動物、
〔3〕ゲッ歯動物がマウスまたはラットである第〔2〕記載の動物、および
〔4〕本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、***およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移することによって作出することができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。なかでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6C3F系統,BDF系統,B6D2F系統,BALB/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどがあげられる。
【0087】
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれる。
該異常DNAとしては、異常な本発明のGPR40を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明のGPR40の機能を抑制するGPR40を発現させるDNAなどが用いられる。
本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺乳動物を作出することができる。
【0088】
本発明のGPR40の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウイルスなどのレトロウイルス、ワクシニアウイルスまたはバキュロウイルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。
上記のDNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、▲1▼ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモーター、▲2▼各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のプロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサイトメガロウイルスプロモーター、ヒトペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
上記ベクターは、DNA転移哺乳動物において目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する配列(一般にターミネーターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウイルス由来および各種哺乳動物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミアンウイルスのSV40ターミネーターなどが用いられる。
【0089】
その他、目的とする外来性DNAをさらに高発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域の5’上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3’下流 に連結することも目的により可能である。
正常な本発明のGPR40の翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された相補DNAを原料として取得することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組織より得られた正常なGPR40の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDNA工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを有する。
本発明の外来性正常DNAを転移させた非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有する。
導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するように繁殖継代することができる。
【0090】
本発明の正常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進することにより最終的に本発明のGPR40の機能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、本発明のGPR40の機能亢進症や、本発明のGPR40が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のGPR40の増加症状を有することから、本発明のGPR40に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、本発明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とする外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原料として用いることができる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製することができる。受精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
【0091】
本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明のGPR40の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明のGPR40の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のGPR40の機能不活性型不応症における本発明の異常GPR40による正常GPR40の機能阻害(dominant negative作用)を解明するモデルとなる。
また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のGPR40の増加症状を有することから、本発明のGPR40またはの機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、上記2種類の本発明のDNA転移動物のその他の利用可能性として、例えば、
▲1▼組織培養のための細胞源としての使用、
▲2▼本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現されたGPR40組織を分析することによる、本発明のGPR40により特異的に発現あるいは活性化するGPR40との関連性についての解析、
▲3▼DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
▲4▼上記▲3▼記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリーニング、および
▲5▼本発明の変異GPR40を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のGPR40の機能不活性型不応症などを含む、本発明のGPR40に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、また、本発明のGPR40に関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さらに、本発明のGPR40産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発明のGPR40およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のGPR40の機能不活性型不応症を含む、本発明のGPR40に関連する疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明のGPR40が関連する疾患のDNA治療法を検討、開発することが可能である。
【0092】
(12)ノックアウト動物
本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
〔1〕本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
〔2〕該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された第〔1〕項記載の胚幹細胞、
〔3〕ネオマイシン耐性である第〔1〕項記載の胚幹細胞、
〔4〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第〔1〕項記載の胚幹細胞、
〔5〕ゲッ歯動物がマウスである第〔4〕項記載の胚幹細胞、
〔6〕本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
〔7〕該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる第〔6〕項記載の非ヒト哺乳動物、
〔8〕非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第〔6〕項記載の非ヒト哺乳動物、
〔9〕ゲッ歯動物がマウスである第〔8〕項記載の非ヒト哺乳動物、および
〔10〕第〔7〕項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしている本発明のGPR40の活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明のGPR40の発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
【0093】
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知 EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDFマウス(C57BL/6とDBA/2とのF)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDFマウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
【0094】
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例としてあげることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約10個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1〜10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001〜0.5%トリプシン/0.1〜5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1〜3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschman ら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明のGPR40または本発明のGPR40の細胞生物学的検討において有用である。
【0095】
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明のGPR40のヘテロ発現不全個体であり、本発明のGPR40のヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明のGPR40のホモ発現不全個体を得ることができる。
【0096】
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のGPR40により誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のGPR40の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
【0097】
(12a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものがあげられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、蛋白質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
【0098】
該スクリーニング方法において、試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の血糖値が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約50%以上低下した場合、該試験化合物を上記の疾患に対して治療・予防効果を有する化合物として選択することができる。
該スクリーニング方法を用いて得られる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のGPR40の欠損や損傷などによって引き起こされる疾患(例えば、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害など)に対する安全で低毒性な治療・予防剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌促進剤、血糖低下剤、膵β細胞保護剤などの医薬として使用することができる。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸など)や塩基(例、アルカリ金属;カルシウムなどのアルカリ土類金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のGPR40とリガンドとの結合性を変化させる化合物を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、該化合物を経口投与する場合、一般的に糖尿病患者(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、該化合物を注射剤の形で通常、糖尿病患者(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0099】
(12b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記スクリーニング方法において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうるものが用いられる。
試験化合物としては、前記と同様のものがあげられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明のGPR40をコードするDNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明のGPR40の発現する組織で、本発明のGPR40の代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のGPR40の動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明のGPR40欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、上記と同様の塩が用いられる。
【0100】
本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のGPR40の発現を促進し、該GPR40の機能を促進することができるので、例えば、本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患などの予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌促進剤、血糖低下剤、膵β細胞保護剤などの医薬として有用である。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発明のGPR40の発現を阻害し、該GPR40の機能を阻害することができるので、例えば、本発明のGPR40の発現過多に関連する疾患などの予防・治療剤、膵臓機能調節剤(例、膵臓機能改善剤)、インスリン分泌抑制剤、血糖上昇剤などの医薬として有用である。
本発明のGPR40の機能不全に関連する疾患としては、糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害などが挙げられる。糖尿病には、インスリン依存型(I型)糖尿病、インスリン非依存型(II型)糖尿病などが含まれる。
本発明のGPR40の過剰発現に起因する疾患としては、例えば、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性、癌などが挙げられる。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
【0101】
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のGPR40またはその塩とリガンドとの結合性を変化させる化合物を含有する医薬と同様にして製造することができる。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に糖尿病患者(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤の形で通常、糖尿病患者(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
このように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく貢献することができる。
また、本発明のGPR40のプロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に種々のタンパク質をコードする遺伝子を連結し、これを動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのGPR40を合成させ、その生体での作用を検討することも可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポータ遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株を樹立すれば、本発明のGPR40そのものの体内での産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ低分子化合物の探索系として使用できる。
【0102】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
Figure 2004275001
【0103】
Figure 2004275001
【0104】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Figure 2004275001
【0105】
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
配列番号:1
本発明のマウス脾臓由来GPR40のアミノ酸配列を示す。
配列番号:2
本発明のマウス脾臓由来GPR40をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:3
本発明のラット脾臓由来GPR40のアミノ酸配列を示す。
配列番号:4
本発明のラット脾臓由来GPR40をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:5
本発明のヒト由来GPR40のアミノ酸配列を示す。
配列番号:6
本発明のヒト由来GPR40をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:7
以下の実施例2におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
配列番号:8
以下の実施例2におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
配列番号:9
以下の実施例3におけるPCR反応で使用したプライマー3の塩基配列を示す。
配列番号:10
以下の実施例4におけるPCR反応で使用したプライマー4の塩基配列を示す。
配列番号:11
以下の実施例4におけるTaqMan PCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:12
以下の実施例4におけるTaqMan PCR反応で使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:13
以下の実施例4におけるTaqMan PCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:14
以下の実施例4におけるTaqMan PCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:15
以下の実施例4におけるTaqMan PCR反応で使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:16
以下の実施例4におけるTaqMan PCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:17
本発明のカニクイザル由来GPR40のアミノ酸配列を示す。
配列番号:18
本発明のカニクイザル由来GPR40をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:19
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:20
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:21
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:22
以下の実施例5におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:23
以下の実施例7におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:24
以下の実施例7におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:25
以下の実施例7におけるPCR反応で使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:26
以下の実施例8におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:27
以下の実施例8におけるPCR反応で使用したプローブの塩基配列を示す。
配列番号:28
以下の実施例9におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:29
本発明のハムスター由来GPR40のアミノ酸配列を示す。
配列番号:30
本発明のハムスター由来GPR40をコードするcDNAの塩基配列を示す。
配列番号:31
以下の実施例9におけるPCR反応で使用したプライマー1の塩基配列を示す。
配列番号:32
以下の実施例9におけるPCR反応で使用したプライマー2の塩基配列を示す。
配列番号:33
本発明のヒト由来GPR40のC末端ペプチドのアミノ酸配列を示す。
配列番号:34
siRNA m40i103のセンス鎖の塩基配列を示す。
配列番号:35
siRNA m40i103のアンチセンス鎖の塩基配列を示す。
配列番号:36
siRNA m40i256のセンス鎖の塩基配列を示す。
配列番号:37
siRNA m40i103のアンチセンス鎖の塩基配列を示す。
配列番号:38
以下の実施例20におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:39
以下の実施例20におけるPCR反応で使用したプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:40
以下の参考例1におけるPCR反応で使用したセンス鎖プライマーの塩基配列を示す。
配列番号:41
以下の参考例1におけるPCR反応で使用したアンチセンス鎖プライマーの塩基配列を示す。
【0106】
後述の実施例2で得られた形質転換体Escherichia coli TOP10/Zero Blunt−mGPR40は2002年3月18日から茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)の独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7967として、2002年2月14日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17−85(郵便番号532−8686)の財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16762として寄託されている。
後述の実施例3で得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pCR2.1−rGPR40は2002年3月18日から独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−7968として、2002年2月14日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16763として寄託されている。
後述の実施例5で得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pCR2.1−monkey GPR40は2002年7月23日から独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−8125として寄託されている。
後述の実施例9で得られた形質転換体Escherichia coli JM109/pTA hamstarGPR40は、形質転換体Escherichia coli JM109/pTAhamsterGPR40として、2002年12月11日から独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−8258として寄託されている。
後述の実施例21で得られた形質転換体Escherichia coli DH5α/pGT−GPR40は2002年12月11日から独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−8259として寄託されている。
【0107】
【実施例】
以下に参考例および実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子は、モレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載されている方法に従った。
【0108】
参考例1 ヒトGPR40の発現ベクターの構築
ヒトGPR40をコードするDNA断片は以下のようなPCR法により取得した。すなわち、5’>CGTCGACCCGGCGGCCCCATGGACCTGCCCCCG<3’で示されるオリゴDNA(配列番号:40)をセンス鎖プライマーとして、5’>CATCGATTAGCAGTGGCGTTACTTCTGGGACTT<3’で示されるオリゴDNA(配列番号:41)をアンチセンス鎖プライマーとして、各々20pmol、10×Advantage(登録商標)2 PCR Buffer(CLONTECH)5μl、50×dNTP mix(CLONTECH)1μl、50×Advantage 2 Polymerase Mix(CLONTECH)1μl、鋳型DNAとしてヒト膵臓cDNA液(CLONTECH)1μlを含む混合液50μlを調製し、サーマルサイクラー(GeneAmp(登録商標) PCR system model9700(Applied Biosystems))を用いて96℃、1分、続いて96℃、30秒→61℃、30秒→72℃、120秒を35サイクル繰り返し、さらに72℃、10分で伸長反応させるプログラムでPCR反応を行った。反応終了液をアガロースゲル電気泳動することにより単一のプロダクトを得、TAクローニングキット(Invitrogen)を用いてクローニングし、遺伝子配列を確認した。PCRエラーがないクローンについて、制限酵素SalI(宝酒造)、ClaI(宝酒造)で二重消化した後、アガロースゲル電気泳動して、単一のプロダクトを切り出した。得られた断片(約1kb)をpAKKO−111ベクターに導入し、CHO細胞のトランスフェクション用に用いた。
【0109】
【実施例1】ヒト由来GPR40に対する脂肪酸の反応性の確認
CHO−K1細胞株は、特に記載が無い限り10% 牛胎児血清(Invitrogen)を含むハムF−12培地(Invitrogen)を用いて培養した。トランスフェクションを行う前日に10cmあたり4.5x10個の細胞を播き、5%CO濃度に調整されたCO培養器にて37℃で15時間以上培養した。トランスフェクションはLipofectamine試薬(Invitrogen)を用い、試薬添付の方法に準じて操作を行った。培養器に6−wellプレートを使用する場合は、以下のように行った。まず、1.5ml容チューブを2本用意し、それぞれにOpti−MEM−I培地(Invitrogen)を100μl分注した。次に、片方のチューブに発現ベクターを1μg、もう片方にLipofectamine試薬を6μl添加後、両者を混合し、20分間室温に静置した。この溶液にOpti−MEM−I培地を800μl加えたトランスフェクション用混合液を、あらかじめOpti−MEM−I培地を用いて洗浄したCHO−K1細胞に添加後、CO培養器にて6時間培養した。培養後の細胞は、PBS(Invitrogen)を用いてリンスした後、0.05% トリプシン・EDTA溶液(Invitrogen)を用いて剥がし、遠心操作にて回収した。得られた細胞の数を測定し、培地200μlあたり5x10個の細胞が含まれるように希釈し、Black walled 96−well plate(Costar)に1穴あたり200μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。上記トランスフェクション操作にて一過性に受容体を発現したCHO−K1細胞に各種試験サンプルを添加し、この際の細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。FLIPRにて細胞内カルシウム濃度の変動を測定するために、以下の前処置を施した。まず、細胞に蛍光色素Fluo−3AM(DOJIN)を添加するため、あるいはFLIPRアッセイを行う直前に細胞を洗浄するためのアッセイバッファーを作成した。HBSS(Invitrogen)1000mlに1M HEPES(pH7.4)(DOJIN)20mlを加えた溶液(以下、HBSS/HEPES溶液)に、プロべネシド(Sigma)710mgを1NNaOH 5mlに溶解後さらにHBSS/HEPES溶液5mlを加え混合した溶液10mlを添加し、この溶液をアッセイバッファーとした。次にFluo−3AM 50μgを21μl DMSO(DOJIN)に溶解し、さらに等量の20%プルロン酸(Molecular Probes)を加え混合後、105μlの牛胎児血清を添加した10.6mlのアッセイバッファーに加え、蛍光色素溶液を調製した。トランスフェクション処理を施したCHO−K1細胞の培地を除き、直ちに蛍光色素溶液を1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて1時間培養し、細胞に蛍光色素を取り込ませた。培養後の細胞は上記のアッセイバッファーを用いて洗浄した後、FLIPRにセットした。また、受容体発現CHO−K1細胞に添加する試験サンプルはアッセイバッファーを用いて調製し、同時にFLIPRにセットした。以上の前処置を施した後、FLIPRにて各種試験サンプル添加後の細胞内カルシウム濃度の変動を測定した。その結果、ファルネシン酸(farnesoic acid),5.8.11−eicosatriynoic acid,5.8.11.14−eicosatetraynoic acid,オレイン酸(oleic acid),リノール酸(linoleic acid),リノレン酸(linolenic acid),アラキドン酸(arachidonic acid),エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid, EPA),エイコサジエン酸(eicosadienoic acid)、エイコサトリエン酸(eicosatrienoic acid)、ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid, DHA)、ドコサトリエン酸(docosatrienoic acid)、アドレン酸(adrenic acid)、ラウリン酸(lauric acid)等を10−5M〜10−6M加えたときに、GPR40受容体を発現するCHO−K1細胞が特異的に応答(細胞内カルシウム濃度の上昇)することが分かった〔図1〜13〕。コントロールの発現ベクターのみを導入したCHO−K1細胞では、このような応答は見られなかった。すなわち、GPR40の内因性リガンドが脂肪酸であることが明らかになった。
【0110】
【実施例2】マウス脾臓由来のGPR40をコードするcDNAのクローニングとその塩基配列の決定
マウス脾臓cDNA(Marathon−ReadyTM cDNA;Clontech社)を鋳型として、2個のプライマー、プライマー1(配列番号:7)及びプライマー2(配列番号:8)を用いてPCRを行なった。PCRにはPyrobest DNA polymerase(宝酒造)を用い、▲1▼98℃・1分の後、▲2▼98℃・10秒、55℃・30秒、72℃・60秒を40回の後、▲3▼72℃・2分の伸長反応を行なった。反応後、増幅産物をZero Blunt PCRクローニングキット(Invitrogen社)の処方にしたがってプラスミドベクターpCR−Blunt(Invitrogen社)にクローニングした。これを大腸菌TOP10(Invitrogen社)に導入して、プラスミドを持つクローンをkanamycineを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの塩基配列を解析した結果、新規Gタンパク共役型受容体タンパクをコードするcDNA配列(配列番号:2)を得た。このcDNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:1)を含有する新規タンパクをmGPR40と命名した。また形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)TOP10/Zero Blunt−mGPR40と命名した。
【0111】
【実施例3】ラット脾臓由来のGPR40をコードするcDNAのクローニングとその塩基配列の決定
ラット脾臓cDNA(Marathon−ReadyTM cDNA;Clontech 社)を鋳型として、2個のプライマー、プライマー3(配列番号:9)及びプライマー4(配列番号:10)を用いてPCRを行なった。PCRには Advantage 2 Polymerase mix(Clontech)を用い、▲1▼96℃・1分、▲2▼96℃・10秒、72℃・2分を5回、▲3▼96℃・10秒、70℃・2分を25回の後、72℃・5分の伸長反応を行なった。反応後、増幅産物をTOPO TA Cloning Kit(Invitrogen社)の処方にしたがってプラスミドベクターpCR2.1TOPO(Invitrogen社)にクローニングした。これを大腸菌JM109(宝酒造)に導入して、プラスミドを持つクローンをampicilinを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの塩基配列を解析した結果、新規Gタンパク共役型受容体タンパクをコードするcDNA配列(配列番号:4)を得た。このcDNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:3)を含有する新規タンパク質をrGPR40と命名した。また形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)JM109/pCR2.1−rGPR40と命名した。
【0112】
【実施例4】発現分布
(1)細胞および培地
NIH−3T3およびB104細胞はATCCから購入した。マウス膵臓β細胞株MIN6は文献(Jun−ichi Miyazaki et al. Endocrinology, Vol.127, No.1, p126−132)記載のものを使用した。それぞれの細胞は10%FCSを含むDMEM培地(Invitrogen社)でプレコンフルエントになるまで培養した。
(2)RNAの抽出およびcDNA合成
ヒトおよびマウスの組織における発現分布に用いたcDNAは、ヒトおよびマウスの各種組織由来のpolyA+RNA(クロンテック社)1μgからランダムプライマーを用いて逆転写反応した。逆転写酵素SuperScriptII(GIBCO BRL社)を使用し、添付のプロトコールにしたがって反応させ、エタノール沈殿してTE 100μlに溶解した。
マウスの細胞由来のcDNAは、細胞をTrypsin−EDTAではがし細胞数を測定した後、RNeasy mini KIT(QIAGEN社)のマニュアルに従ってtotal RNAを抽出精製した。抽出したRNA 1μgはSuperScript II (Invitrogen社)のマニュアルに従ってランダムを用いてfirst strand cDNAを合成後エタノール沈殿してTE 10μlに溶解した。
(3)TaqMan を用いた定量
組織由来cDNA(5ng RNA相当)および細胞株由来cDNA(25 ng RNA相当)に対し、増幅反応試薬TaqMan(商標)Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)、GPR40検出用TaqMan(商標)Probe Kit (配列:11〜16、アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)を用い、15μlの合計反応液量に調製後反応を行った。各プライマー、プローブの最終濃度はマニュアルに従った。
TaqMan(商標)PCRは、ABI PRISM(商標)7900HT配列検出システム(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)で行い、使用した温度周期はTaqMan(商標)Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)のマニュアルに従った。
増幅生成物の定量的TaqMan解析は、7900HT SDSソフトウェア(アプライドバイオシステムズジャパン株式会社)を用いて行った。コピー数の算出に用いた検量線は、増幅領域全長を含む濃度既知のcDNA 断片(ヒトGPR40)またはPlasmid DNA(マウス GPR40)を用いた10コピー/wellから10コピー/wellまでの対数6点におけるC値から作成した。
ヒト各種組織でのGPR40 mRNAの発現分布を図14に、マウス各種細胞でのGPR40mRNAの発現分布を図15に示す。ヒト組織では、膵臓、肺、海馬、視床下部、脊髄に相対的に高い発現が認められた。マウスでは膵臓癌由来の細胞に極めて高い発現が認められた。
【0113】
【実施例5】カニクイザル由来のGPR40をコードするcDNAのクローニングとその塩基配列の決定
カニクイザルDNAを鋳型として、プライマー(配列番号:19)及びプライマー2(配列番号:20)を用いてPCRを行なった。PCRには Pyrobest DNA Polymerase (TAKARA)を用い、▲1▼95℃・1分、▲2▼95℃・10秒、58℃・20秒、72℃・1分30秒を40回の後、72℃・7分の伸長反応を行なった。反応後、増幅産物を1/ 50希釈したものを鋳型として、プライマー(配列番号:21)及びプライマー2(配列番号:22)を用いてnested PCRを行なった。反応後、増幅産物をTOPO TA Cloning Kit(Invitrogen社)の処方にしたがってプラスミドベクターpCR2.1TOPO(Invitrogen社)にクローニングした。これを大腸菌JM109(宝酒造)に導入して、プラスミドを持つクローンをampicilinを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの塩基配列を解析した結果、新規Gタンパク共役型受容体タンパクをコードするcDNA配列(配列番号:18)を得た。このcDNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:17)を含有する新規タンパクをmonkey GPR40と命名した。また形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)JM109/pCR2.1−monkey GPR40と命名した。
【0114】
【実施例6】マウスインスリノーマMIN6細胞における遊離脂肪酸のインスリン分泌促進作用
MIN6細胞は特に記載が無い限り15%FCS(Trace Scientific Ltd.)、55μM 2−メルカプトエタノール、100U/ml ペニシリン、および100μg/ml ストレプトマイシンを含むDMEM(高グルコース、Invitrogen)を用いて培養した。96ウェルプレートに1ウェル当り10個のMIN6細胞を播き、5%CO濃度に調整されたCO培養器にて37℃で3日間培養した。培地を10%FCS(Trace Scientific Ltd.)、5.5mM グルコース、100U/mlペニシリン、および100μg/ml ストレプトマイシンを含むRPMI1640(グルコース不含、Invitrogen)に交換しさらに24時間培養した。培地を吸引により除去した後、10%FCS(Trace Scientific Ltd.)、11mM グルコース、100U/mlペニシリン、および100μg/ml ストレプトマイシンを含むRPMI1640(グルコース不含、Invitrogen)で希釈した遊離脂肪酸−牛血清アルブミン(BSA)混合液(4:1、モル比)を添加し、5%CO濃度に調整されたCO培養器にて37℃で90分間(または60分間)反応させた。反応後の96ウェルプレートを1500rpm、5分間遠心した後、培養上清を回収した。この培養上清液中に分泌されたインスリン量をラットインスリンRIAシステム(アマシャムファルマシア)を用いるラジオイムノアッセイ法(RIA)にて測定した。その結果、パルミチン酸(Palmitic acid) (図16、図17)、γ―リノレン酸(γ−linolenic acid)(図16)、およびオレイン酸(oleic acid)(図17)などの遊離脂肪酸を300μM〜1000μM加えたときに、MIN6細胞によるインスリン分泌が促進することが分かった。すなわち、遊離脂肪酸がマウスインスリノーマMIN6細胞におけるインスリン分泌を促進させる作用を有することが明らかになった。MIN6細胞は、実施例4(図15)で記載している通りGPR40を特異的に非常に多く発現していることから、本反応は、添加した脂肪酸がGPR40を介してインスリン分泌を促進するものと判断される。
【0115】
【実施例7】ラット膵臓ランゲルハンス島におけるGPR40の発現
ラット膵臓からのランゲルハンス島の単離は以下のようにして行った。ウィスターラット(雄性、8週齢)を断頭、脱血した後、ハサミで切除して開腹させ、総胆管の十二指腸側出口をクランプで結束した。次に総胆管の肝臓側に注射針で穴を開け、カニューレを挿入した。あらかじめHBSSに溶解し、氷冷させておいた1mg/ml コラゲナーゼ XI(シグマ、C−7657)溶液の5mlをカニューレより注入した。膵臓を他の組織から切り離し、37℃水浴中にて3分間振とうした。10mlのHBSSを添加して5〜6回ピペッティングした後、10mlのHBSSを添加して2回ピペッティングした。20mlのHBSSを添加し、4分間静置した後、上清をすて、再度10mlのHBSSを添加して2回ピペッティングした。さらに10mlのHBSSを添加して2回ピペッティングした後、20mlのHBSSを添加し、3分間静置した。上清を捨て、適当量のHBSSを添加して懸濁したものを底を黒く塗ったシャーレに移した。別のシャーレに10%FCS(Trace Scientific Ltd.)、5.5mM グルコース、100U/mlペニシリン、および100μg/ml ストレプトマイシンを含むRPMI1640(グルコース不含、Invitrogen)を入れ、底を黒く塗ったシャーレより実体顕微鏡下にて選んだランゲルハンス島をピペットチップを用いてこのシャーレに移した。
膵臓全体および上記で得られたランゲルハンス島をIsogen(ニッポンジーン社)を加えてホモジナイズし、マニュアルにしたがってtotalRNAを調製した。得られたtotalRNA1μgからランダムプライマー、逆転写酵素としてSuperScriptII逆転写酵素(GIBCO BRL社)を用い、添付のマニュアルに従って42℃で反応を行い、反応終了後にエタノール沈殿して蒸留水40μlに溶解した。GPR40mRNAの発現量の定量はSequence Detection System Prism 7700(ABI社)を用いて行った。目的遺伝子の増幅と検出のためのプライマーとして5’−CACAGCTCTCCTTCGCTCTCTAT−3’(配列番号:23),5’−CAGTTTCGCGTGGGACACT−3’(配列番号:24) およびTaqMan probeとして5’−(Fam)TCAGCCTTTGCACTAGGCTTTCCATTGAAC−(Tamra)−3’(配列番号:25)を使用した。RT−PCR反応液はTaqManUniversal PCR Master Mix(PE Biosystems社)12.5μlに、それぞれ100μMのプライマー溶液を0.225μl、5μMのTaqMan probeを1.25μl、および上記で調製したcDNA溶液を1μl加え、蒸留水で総反応液量を25μlとした。PCR反応は50℃ 2分、95℃ 10分の後、95℃ 15秒、60℃ 1分のサイクルを40回繰り返した。その結果単離したランゲルハンス島ではGPR40が高発現していることが確認された(図18)。
【0116】
【実施例8】カニクイザル膵臓ランゲルハンス島におけるGPR40の発現
カニクイザル膵臓からのランゲルハンス島の単離は以下のようにして行った。カニクイザル(雌性、体重3kg)の両脇および大腿部をメスで切開し、放血した後、ハサミで切除して開腹させ、総胆管の十二指腸側出口および肝臓側出口をクランプで結束した。次に総胆管の肝臓側に注射針で穴を開け、カニューレを挿入した。あらかじめHBSSに溶解し、氷冷させておいた1mg/ml コラゲナーゼ V(シグマ、C−9263)溶液の25mlをカニューレより注入した。膵臓を他の組織から切り離し、ハサミで5mm四方程度になるまで細かく切った後、37℃水浴中にて20分間振とうした。数十mlのHBSSの添加とピペッティングを数回繰り返した後、4分間静置し、上清をすてた。沈澱物に再度、あらかじめHBSSに溶解し、氷冷させておいた1.7mg/ml コラゲナーゼ XI(シグマ、C−7657)溶液の15mlを添加して37℃水浴中にて15分間振とうした。数十mlのHBSSの添加とピペッティングを繰り返した後、3分間静置し、上清をすてた。沈澱物に適当量のHBSSを添加し、懸濁したものを底を黒く塗ったシャーレに移した。別のシャーレにHBSSを入れ、底を黒く塗ったシャーレより実体顕微鏡下にて選んだランゲルハンス島をピペットチップを用いてこのシャーレに移した。
膵臓全体および上記で得られたランゲルハンス島から実施例7と同様の方法でtotalRNAを調製、cDNAを合成して、Sequence Detection System Prism 7700によりGPR40 mRNAの発現量を求めた。ただしサル型のGPR40mRNAの増幅と検出のため、プライマーとして5’−GCCCGCTTCAGCCTCTCT−3’(配列番号:26), 5’−GAGGCAGCCCACGTAGCA−3’(配列番号:27) およびTaqMan probeとして5’−(Fam)CTGCTTTTTTTCCTGCCCTTGGCC−(Tamra)−3’(配列番号:28)を使用した。その結果、霊長類においてもランゲルハンス島でGPR40が高発現していることが確認された(図19)。
【0117】
【実施例9】ハムスター由来のGPR40をコードするcDNAのクローニングとその塩基配列の決定
ハムスター細胞株HIT−T15cDNAを鋳型として、プライマー1(配列番号:31)及びプライマー2(配列番号:32)を用いてPCRを行なった。PCRには Klentaq DNA Polymerase(クローンテック)を用い、▲1▼95℃・2分、▲2▼98℃・10秒、63℃・20秒、72℃・1分を35回の後、72℃・7分の伸長反応を行なった。反応後、増幅産物をTOPO TA Cloning Kit(Invitrogen社)の処方にしたがってプラスミドベクターpCR2.1TOPO(Invitrogen社)にクローニングした。これを大腸菌JM109(宝酒造)に導入して、プラスミドを持つクローンをampicilinを含むLB寒天培地中で選択した。個々のクローンの塩基配列を解析した結果、新規Gタンパク共役型受容体タンパクをコードするcDNA配列(配列番号:30)を得た。このcDNAより導き出されるアミノ酸配列(配列番号:29)を含有する新規タンパク質をhamstarGPR40と命名した。また、形質転換体を大腸菌(Escherichia coli)JM109/pTA hamstarGPR40と命名した。
【0118】
【実施例10】ヒトGPR40のC端ペプチドを含む免疫原の作製および免疫
ヒトGPR40のC端ペプチド、Cys Ala Ala Arg Thr Gln Gly Gly Lys Ser Gln Lys(配列番号:33;公知手法に準じて合成した)とBSAとの複合体を作製し免疫原とした。すなわち、BSA 20mgを、0.1Mリン酸緩衝液(pH6.7)2.0mlに溶解させ、N−(γ−マレイミドブチリロキシ)サクシニミド(GMBS)2.8mgを含むDMSO溶液200μlと混合し、室温で30分反応させた。2mMEDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.5)で平衡化したセファデックスG−25カラムで過剰のGMBS試薬を除去した後、マレイミド基の導入されたBSA5mgと0.1mlの水に溶解させたC端ペプチド0.84mgとを混合し、4℃で1夜反応させた。反応後、生理食塩水に対し、4℃で2日間透析した。8週齢のBALB/C雌マウスに、上記、C端ペプチド−BSA複合体、約0.05mg/匹をアジュバントとともに皮下免疫した。2週間後さらに2週間後同量の免疫原をアジュバントとともに追加免疫し、その1週間後に採血した。
【0119】
【実施例11】西洋ワサビパーオキシダーゼ(HRP)標識化C端ペプチドの作製
上記のC端ペプチド(配列番号:33)とHRP(酵素免疫測定法用、ベーリンガーマンハイム社製)とを架橋し、酵素免疫測定法(EIA)の標識体とした。すなわち、HRP 23mgを2.3mlの0.1M リン酸緩衝液、pH6.7に溶解させ、GMBS 1.6mgを含むDMF溶液0.23m1と混合し、室温で30分間反応させたのち、2mM EDTAを含む0.1M リン酸緩衝液、pH6.5で平衡化させたセファデックスG−25カラムで分画した。このようにして作製したマレイミド基の導入されたHRP 2.3mgとC鎖N端ペプチド1mgとを混合し、4℃で1日反応させた。反応後、0.1M リン酸緩衝液、pH6.5で平衡化させたウルトロゲルAcA54(ファルマシア社製)カラムで分画し、HRP標識化C端ペプチドを得た。
【0120】
【実施例12】C端ペプチドを免疫したマウスの抗血清中の抗体価の測定
マウス抗血清中の抗体価を以下の方法により測定した。抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートを作製するため、まずヤギ抗マウスイムノグロブリン抗体(IgG画分、カッペル社製)を0.1mg/ml含む0.1M 炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレートに0.1m1ずつ分注し、4℃で24時間放置した。次に、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐため25%ブロックエース(雪印乳業社製)および0.05% NaNを含むPBS、pH7.2を0.3m1ずつ分注し、4℃で少なくとも24時間処理した。
上記、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウエルにバッファーEC[0.2%BSA、0.4M NaCl、0.4%ブロックエース、0.05% CHAPS〔3−〔(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕プロパンスルホン酸〕、2mM EDTAおよび0.05% NaNを含む0.02M リン酸緩衝液、pH7.0]で希釈したマウス抗血清0.14mlを加え4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPBS、pH7.4で洗浄したのち、バッファーC[1%BSA、0.4M NaCl、および2mM EDTAを含む0.02M リン酸緩衝液、PH7.0]で1000倍に希釈した上記実施例で作製したHRP標識C端ペプチド0.1mlを加え4℃で1日反応させた。次に、該プレートをPBS、pH7.4で洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBマイクロウェルパーオキシダーゼ基質システム(KIRKEGAARD&PERRY LAB.フナコシ薬品取り扱い)0.1mlを加え室温で20分間反応させることにより測定した。反応を1Mリン酸0.1mlを加え停止させたのち、450nmの吸光度(Abs.450)をプレートリーダー(MTP−120、コロナ社製またはMultiskan Ascent、Labsystems社製)で測定した。免疫したマウス全てにC端ペプチドに対する抗体価の上昇が認められた。
【0121】
【実施例13】抗C端ペプチドモノクローナル抗体の作製
実施例12において比較的高い抗体価を示したマウスに対してBSAとして0.08〜0.1mgのC端ペプチド−BSAを静脈内に投与することにより最終免疫を行なった。最終免疫3日後のマウスから脾臓を摘出し、脾臓細胞浮遊液を得た。細胞融合に用いる細胞として、BALB/Cマウス由来ミエローマ細胞P3−X63.Ag 8.U1(P3U1)を用いた〔カレント・トピックス・イン・マイクロバイオロジー・アンド・イムノロジー、81、1(1978)〕。細胞融合は、原法〔ネイチャー、256、495(1975)〕に準じて行なった。すなわち、脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ血清を含有しない培地で3度洗浄し、脾臓紬砲とP3U1数の比率を6.6:1になるよう混合して、750回転で15分間遠心を行なって細胞を沈澱させた。上清を充分に除去した後、沈殿を軽くほぐし、45%ポリエチレン・グリコール(PEG)6000(コッホライト社製)を0.3m1加え、37℃温水槽中で7分間静置して融合を行なった。融合後細胞に徐々にMEMを添加し、合計15mlのMEMを加えた後750回転15分間遠心して上清を除去した。この細胞沈殿物を10%牛胎児血清を含有するGITメデイウム(和光純薬)(GIT−10%FCS)にP3U1が1m 1当リ2×10個になるように浮遊し、96穴マルチディッシュ(リンブロ社製)に1ウェル0.1mlずつ192ウェルに播種した。播種後、細胞を37℃で5%炭酸ガスインキュベーター中で培養した。24時間後HAT(ヒポキサンチン1×10−4M、アミノプテリン4×10−7M、チミジン1.6×10−3M)を含んだGIT−10%FCS培地(HAT培地)を1ウェル当リ0.1mlずつ添加することにより、HAT選択培養を開始した。HAT選択培養は、培養開始5、8日後に旧液を0.1ml捨てたあと、0.1mlのHAT培地を添加することにより継続し、細胞融合後9日目に上清を採取した。
培養上清中の抗体価は、実施例に記載の方法に準じて実施した。すなわち、抗マウスイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウエルに培養上清0.07mlおよびバッファーEC0.07mlを加え4℃で1夜反応させた後、バッファーCで1000倍に希釈したHRP標識化A鎖N端ペプチド0.1mlを非標識C端ペプチド0.002mMの存在下あるいは非存在下室温で7時間反応させた。該プレートをPBSで洗浄したのち、実施例13に記載の方法に従い固相上の酵素活性を測定した。その結果、168ウェルの中から特異的な抗体価の認められたウェルを選択し、ハイブリドーマを凍結保存した。さらにウェルのハイブリドーマについては、希釈法によるクローニングに付した。クローニング後、培養上清中の抗体価を同様の方法に従って測定した。
陽性クローンの中から、抗C端ペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを選択した。
【0122】
【実施例14】モノクローナル抗体の精製
ハイブリドーマからのモノクローナル抗体をプロテイン−Aカラムにより精製した。即ち、ハイブリドーマ上清約25mlを等量の結合緩衝液(3.5M NaCl、0.05% NaNを含む1.5M グリシン、pH9.0)で希釈したのち、あらかじめ結合緩衝液で平衡化したリコンビナントプロテイン−A−アガロース(Repligen社製)カラムに供し、特異抗体を溶離緩衝液(0.05% NaNを含む0.1M クエン酸緩衝液、pH3.0)で溶出した。溶出液はPBS、pH7.4に対して4℃、2日間透析したのち、0.22μmのフィルター(ミリポア社製)により除菌濾過し4℃あるいは−80℃で保存した。
【0123】
【実施例15】C端ペプチドを免疫したウサギの抗血清中の抗体価の測定とポリクローナル抗体の調整
ウサギ抗血清中の抗体価を以下の方法により測定した。抗ウサギイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートを作製するため、まずヤギ抗ウサギイムノグロブリン抗体(IgG画分、カッペル社製)を0.1mg/ml含む0.1M 炭酸緩衝液、pH9.6溶液を96ウェルマイクロプレートに0.1m1ずつ分注し、4℃で24時間放置した。次に、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐため25%ブロックエース(雪印乳業社製)および0.05% NaNを含むPBS、pH7.2を0.3m1ずつ分注し、4℃で少なくとも24時間処理した。上記、抗ウサギイムノグロブリン抗体結合マイクロプレートの各ウエルにバッファーEC [0.2% BSA、0.4M NaCl、0.4%ブロックエース、0.05% CHAPS〔3−〔(コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ〕プロパンスルホン酸〕、2mM EDTAおよび0.05% NaNを含む0.02M リン酸緩衝液、pH7.0]で希釈したウサギ抗血清0.14mlを加え4℃で16時間反応させた。次に、該プレートをPBS、pH7.4で洗浄したのち、バッファーC[1% BSA、0.4M NaCl、および2mM EDTAを含む0.02 Mリン酸緩衝液、PH7.0]で1000倍に希釈した上記実施例で作製したHRP標識C端ペプチド0.1mlを加え4℃で1日反応させた。次に、該プレートをPBS、pH7.4で洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBマイクロウェルパーオキシダーゼ基質システム(KIRKEGAARD&PERRY LAB.フナコシ薬品取り扱い)0.1mlを加え室温で20分間反応させることにより測定した。反応を1Mリン酸0.1mlを加え停止させたのち、450nmの吸光度(Abs.450)をプレートリーダー(MTP−120、コロナ社製またはMultiskan Ascent、Labsystems社製)で測定した。免疫したウサギ三匹中二匹にC端ペプチドに対する抗体価の上昇が認められた。さらに抗体価の上昇したウサギの血清を採取し、定法に従い抗原精製を行い、ポリクローナル抗体を得た。
【0124】
【実施例16】細胞内カルシウム濃度変化を指標とした本レセプターに対するアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法の設定
GPR40に対するアゴニストおよびアンタゴニストの探索を行うための系を設定するために、アゴニストとして同定されたパルミチン酸を用いて、アッセイ系を設定した。
参考例1で作製したヒトGPR40発現ベクターを用いて自体公知の方法で作製したヒトGPR40を発現させたCHO細胞株(CHO−hGPR40 No.104)を3x10個/100μlの細胞が含まれるように希釈し、Black walled 96−well plate(Costar)に1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。方法を以下に記載した。
Fluo−3AM(DOJIN) 50μgを21μl DMSO(DOJIN)に溶解し、さらに等量の20%プルロン酸(Molecular Probes)を加え混合後、105μlの牛胎児血清を添加した10.6mlのアッセイバッファー[HBSS(Invitrogen)に 1M HEPES(pH7.4)(DOJIN)を20ml添加し、プロべネシド(Sigma)710mgを1N NaOH 5mlに溶解後さらに上記のHBSS/HEPES溶液5mlを加え混合した溶液10mlを添加し調製する。]に加え、蛍光色素溶液を調製した。細胞プレートの培地を除き、直ちに蛍光色素溶液を1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて1時間培養し、細胞に蛍光色素を取り込ませた。培養後の細胞は上記のアッセイバッファーを用いて洗浄した。細胞に添加するパルミチン酸はアッセイバッファーを用いて各々の濃度に希釈し、プレートに分注した。アンタゴニスト測定用に12μMγリノレン酸溶液(反応時の終濃度で3μM)をプレートに分注し、同時にFLIPRにセットした。以上の前処置を施した後、FLIPRにてパルミチン酸添加後の細胞内カルシウム濃度の変動を測定しアゴニスト作用を、続いてγリノレン酸を添加してアンタゴニスト作用の検討を行った。パルミチン酸はアゴニストであるために、パルミチン酸を用いた実験ではアンタゴニストの評価は成立しないが、アンタゴニスト作用のみもつ化合物を添加した場合には、γリノレン酸の反応を抑制する活性が観測されるはずである。反応開始30秒後の蛍光強度値の変化を用いた用量反応曲線より、EC50値を算出した。
【0125】
【実施例17】脂肪酸添加によるhGPR40発現CHO細胞でのMAPキナーゼ活性化
参考例1で作製したヒトGPR40発現ベクターを用いて自体公知の方法で作製したヒトGPR40発現CHO細胞(CHO−hGPR40 NO.104)またはCHO−mock細胞を3x10/wellの濃度で6ウェルプレートに撒いて、血清低濃度培地(核酸不含MEMα培地に0.5%の透析ウシ胎児血清を添加したもの)にて一晩培養し、さらに無血清培地(核酸不含MEMα培地)に交換して一晩培養した。新しい無血清培地に交換して4時間培養後、10μMの各種脂肪酸を添加した。10分間インキュベーションしたのち、サンプルバッファー(TEFCO社)で細胞を溶解・抽出しSDS−PAGEによって分離を行った。その後PhosphoPlus p44/42 MAP kinase(Thr202/Tyr204) Antibody Kit(Cell Signaling Technology,Inc)を用いたウエスタンブロッテイングを行った。その結果、図20に示す通り、ヒトGPR40発現CHO細胞でのみ、脂肪酸添加後にMAPキナーゼのリン酸化によって示される当該タンパク質の活性化が起こることが分かった。
【0126】
【実施例18】マウスGPR40の配列に特異的なsiRNA導入によるマウスGPR40−GFP融合タンパク質の発現抑制
自体公知の方法にて作製した、マウスGPR40とGFPの融合タンパク質発現CHO細胞を3x10/wellにて96ウェルプレートにまいて1日培養した。HVJ Envelope VECTOR KIT GenomONETM(石原産業)を用いて、Elbasirらの報告(Nature 411(6836),494−498(2001))に従って作製した種々の配列のsiRNA(Dharmacon社)(2.86pmol/0.5μlあるいは8.57pmol/1.5μlの濃度)を細胞に導入後さらに1日培養した。マウスGPR40−GFPの発現量の検出は以下に示す通りのエンザイムイムノアッセイにて行った。培養上清を捨ててHBSS(インビトロゲン)にて洗浄後、0.01%グルタルアルデヒド(和光純薬)で5分間固定し、2%BSAを含むPBS(宝酒造)にてブロッキングした。500倍希釈した抗GFPモノクローナル抗体3E6(ニッポンジーン)を添加後室温で2時間インキュベーションした後、洗浄し500倍希釈したHRP標識化抗マウスIgG抗体(ICN)を添加し、室温で2時間インキュベーションした。洗浄後、TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質(フナコシ)を添加し、30分間インキュベーション後、硫酸を添加して発色反応を停止させ、450nmで吸光度を測定した。その結果、図21に示す通り、マウスGPR40−GFP発現CHO細胞に対し、マウスGPR40特異的なsiRNAであるm40i103(センス鎖は配列番号:34、アンチセンス鎖は配列番号:35)、m40i256(センス鎖は配列番号:36、アンチセンス鎖は配列番号:37)を添加することによりGPR40−GFPの発現量の低下が認められた。このことからm40i103、m40i256がマウスGPR40発現を特異的に抑制させることが分かった。m40i103およびm40i256の配列を図22に示す。
【0127】
【実施例19】ヒトGPR40を膵臓β細胞特異的に発現するマウス作製用DNA断片の構築
ヒトGPR40をマウス膵臓β細胞で特異的に発現させるためにマウスインスリンIIプロモーターに下流に、poly(A)+付加シグナルを含むヒトGPR40遺伝子を導入したDNA断片を作製した。
マウスゲノムからPCRによってクロ−ニングしたマウスインスリンIIプロモ−タ−(MluI−SalI断片:673bp)の下流に、同じくヒトゲノムからPCRによってクロ−ニングした、開始コドンからpoly(A)+付加シグナルの下流まで含むヒトGPR40遺伝子(SalI−SpeI断片:2256bp)断片を挿入し、マウスインスリンIIプロモ−タ−の制御下にヒトGPR40遺伝子を発現する発現ユニットを作製した。このようにして得られた発現ユニットをMluI、SpeIの二重消化により2928bp断片を切り出し、C57BL/6Jマウスの受精卵にマイクロインジェクションするDNA断片とした。
【0128】
【実施例20】マウスGPR40遺伝子のクローニング
マウスGPR40 ORFを含む領域を増幅できるプライマ−(配列番号:38、配列番号:39)を用いてPCRによってマウス129SvJBACゲノムライブラリー(Invitrogen社)のスクリ−ニングを行い、384コロニ−が混ざった状態の独立な3つのポジティブクロ−ンを得た。この384コロニ−が混ざった状態の独立な3つのポジティブクロ−ンを、上記の配列番号:38および配列番号:39によるPCRで得られたDNA断片(1.6kbp)をプロ−ブにしてコロニ−ハイブリダイゼーションを行い、最終的に3つのポジティブなシングルクロ−ンを単離した。
このクロ−ンが保持するBAC DNAを常法により単離した後、GPR40遺伝子が存在していると思われる領域約25kbについてシークエンサー(パーキンエルマー社)を用いて塩基配列を決定し、この塩基配列情報をもとにして制限酵素地図を作製した(図23)。
【0129】
【実施例21】GPR40遺伝子ターゲッティングベクターの構築
マウスGPR40遺伝子ターゲッティングベクターの構築は、基本ベクタ−pGT−N−28(New England Biolabs社)にGPR40遺伝子の5’上流側のア−ムとして
【実施例20】で得られた11151bp BamHI断片、3’下流側のア−ムとして3458bp Ecl136II(SacI)断片を導入し、ポジティブセレクションマ−カ−にネオマイシン耐性遺伝子、ネガティブセレクションマ−カ−に単純ヘルペスウイルスチミジンキナ−ゼ遺伝子を持つマウスGPR40遺伝子ターゲッティングベクターpGT−GPR40を構築した(図23)。これを大腸菌DH5αに導入して、形質転換体として大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pGT−GPR40を得た。
【0130】
【実施例22】ヒト由来GPR40に対するエイコサノイドの反応性の確認
参考例1で作製したヒトGPR40発現ベクターを用いて自体公知の方法で作製したヒトGPR40を発現させたCHO細胞株(CHO−hGPR40 No.104)は特に記載が無い限り10% 透析牛胎児血清(Invitrogen)を含むMEMα培地(Invitrogen)を用いて培養した。培養細胞は、PBS(Invitrogen)を用いてリンスした後、0.05% トリプシン・EDTA溶液(Invitrogen)を用いて剥がし、遠心操作にて回収した。得られた細胞の数を測定し、培地100μlあたり3x10個の細胞が含まれるように希釈し、Black walled 96−well plate(Costar)に1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。上記CHO細胞株に各種試験サンプルを添加し、この際の細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。FLIPRにて細胞内カルシウム濃度の変動を測定するために、以下の前処置を施した。まず、細胞に蛍光色素Fluo3−AM(DOJIN)を添加するため、あるいはFLIPRアッセイを行う直前に細胞を洗浄するためのアッセイバッファーを作成した。HBSS(Invitrogen)1000mlに1M HEPES(pH7.4)(DOJIN)20mlを加えた溶液(以下、HBSS/HEPES溶液)に、プロベネシド(Sigma)710mgを1N NaOH 5mlに溶解後さらにHBSS/HEPES溶液5mlを加え混合した溶液10mlを添加し、この溶液をアッセイバッファーとした。次にFluo3−AM 50μgを21μl DMSO(DOJIN)に溶解し、さらに等量の20%プルロン酸(Molecular Probes)を加え混合後、105μlの牛胎児血清を添加した10.6mlのアッセイバッファーに加え、蛍光色素溶液を調製した。培養CHO細胞株の培地を除き、直ちに蛍光色素溶液を1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて1時間培養し、細胞に蛍光色素を取り込ませた。培養後の細胞は上記のアッセイバッファーを用いて洗浄した後、FLIPRにセットした。また、CHO細胞株に添加する試験サンプルはアッセイバッファーを用いて調製し、同時にFLIPRにセットした。以上の前処置を施した後、FLIPRにて各種試験サンプル添加後の細胞内カルシウム濃度の変動を測定した。その結果、(±)14,15−ジハイドロキシ−5Z,8Z,11Z−エイコサトリエン酸((±)14,15−dihydroxy−5Z,8Z,11Z−eicosatrienoic acid, 14,15−DHT)、(±)5(6)−エポキシ−8Z,11Z,14Z−エイコサトリエン酸((±)5(6)−epoxy−8Z,11Z,14Z−eicosatrienoic acid, 5,6−EET)、(±)8(9)−エポキシ−5Z,11Z,14Z−エイコサトリエン酸((±)8(9)−epoxy−5Z,11Z,14Z−eicosatrienoic acid, 8,9−EET)、(±)11(12)−エポキシ−5Z,8Z,14Z−エイコサトリエン酸((±)11(12)−epoxy−5Z,8Z,14Z−eicosatrienoic acid, 11,12−EET)、(±)14(15)−エポキシ−5Z,8Z,11Z−エイコサトリエン酸((±)14(15)−epoxy−5Z,8Z,11Z−eicosatrienoic acid,14,15−EET)を10−5M〜10−6M加えたときに、GPR40受容体を発現するCHO細胞株が特異的に応答(細胞内カルシウム濃度の上昇)することが分かった。コントロールの発現ベクターのみを導入したCHO細胞株(Mock細胞株)では、このような応答は見られなかった。従ってGPR40は、これらの化合物にも反応することが判明した。
【0131】
【実施例23】in situハイブリダイゼーション法によるGPR40mRNAのisletにおける発現分布の検討
Wistarラットを屠殺し、胆管十二指腸開口部を結索したのち胆管から1mg/mlの冷コラゲナーゼ/HBSSを膵臓に注入した。コラゲナーゼの注入された膵臓を切り離してコニカルチューブに移し、37℃で浸透しながら10分間インキュベートした。HBSSを加え、ピペッティングにより組織をよく分散させたのち、3〜4分の静置によりisletを含む組織を沈殿させ、上清を除いた。この操作を2回繰り返した後、HBSSに再懸濁し、実体顕微鏡下でisletをピックアップした。以上のようにして単離したisletをO・C・Tコンパウンド中で液体窒素により凍結し、−80℃で保存した。
GPR40アンチセンス、センスプローブは以下の方法で調製した。まず、プラスミドベクターpCRII TOPO(インビトロジェン社)に自体公知の方法でラット型GPR40cDNAを挿入した。このcDNAを、M13プライマー(インビトロジェン社)・Advantage GC2ポリメラーゼ(クロンテック社)を用いたPCRにて増幅・直鎖化し、エタノール沈殿法により精製した。このcDNAから、DIG RNA Labelling KIT(SP6/T7)(ロッシュ社)にてSP6もしくはT7によるin vitro transcriptionを行い(40μlスケール)、生成されたDIGラベルリボプローブをさらに40mM NaHCO,60mMNaCO pH10.2により400bpにアルカリ加水分解した後エタノール沈殿により精製した。精製したプローブは大塚精製水100μlに溶解した。cDNAの挿入方向から、SP6により生成されたDIGラベルリボプローブがアンチセンスプローブ、T7により生成されたDIGラベルリボプローブがセンスプローブであった。
In situハイブリダイゼーションには単離isletの新鮮凍結切片を使用した。まず前述した単離isletをクライオスタットCM3050(ライカ社)を用いてシランコートスライド上に16μmの厚さで薄切した。切片を4%パラホルムアルデヒドを含むPBSにて10分間固定した後、PBSにてよく洗い、0.25%無水酢酸を含む0.1Mトリエタノールアミン(pH 8.0)による処理(室温・10分)にてアセチル化を行った。Hybridization反応には、hybridization buffer(50%ホルムアミド,10mM Tris−HCl pH7.5,1×Denhardt’s solution,200μg/ml tRNA,10%デキストラン硫酸,600mM NaCl,0.25% SDS,1mM EDTA)でアンチセンスプローブもしくはセンスプローブを1000倍に希釈し、85℃で10分変性した後、切片に加え50℃で12時間以上反応させた。引き続き、非特異的にhybridizationしたプローブを洗浄するため以下の操作を行った。1)2×SSC(SSC;1×SSC=150mM NaCl,15mMクエン酸ナトリウム,pH7.0)/50%ホルムアミド処理(60℃・30分 1回)、2)2×SSC処理(60℃・15分 1回)、3)0.1×SSC処理(60℃・15分 2回)。以上の操作を行った後、DIGラベルプローブを検出するための免疫組織化学を行った。まず、DIG−1(100mM Tris−HCl pH 7.5,150mM NaCl,0.1% Tween20)で洗浄した後、1.5% Blocking reagent(ロッシュ社)を含むDIG−1による処理(37℃・1時間)にて非特異反応のブロッキングを行い、anti−DIG fab−fragment antibody conjugated with alkaline phosphatase(ロッシュ社)を含むDIG−1(1:1000)を室温で1時間反応させた。DIG−1で十分洗浄した後、DIG−3(100mM Tris−HCl pH 9.5,100mM NaCl,50mM MgCl)でリンスし、0.18mg/ml 5−bromo−4−chloro−3−indolyl−phosphate(BCIP)を含むジメチルホルムアミド、および 0.34mg/ml4−nitroblue tetrazolium(NBT)を含む70%ジメチルホルムアミド、およびpolyvinylalcholを、DIG−3 10mlにつきそれぞれ0.35ml、0.45ml、3%加えた溶液によって、室温にて発色反応を行った。適時に発色をPBS洗浄により止めた後、インスリン・グルカゴン免疫組織化学の操作に移行した。
まず、1%BSAを含むPBSにより非特異反応のブロッキングを行い、ウサギ抗インスリン血清(H−86:Santa Cruz,1/200)および抗グルカゴンモノクローナル抗体(K79bB10:SIGMA,1/8000)を含む0.5%BSA/PBSで12時間インキュベートした。PBSで洗浄後、10μg/ml Alexa488−conjugated goat anti−mouse IgG(Molecular Probes社)および10μg/ml Alexa 594−conjugated goat anti−rabbit IgG(Molecular Probe社)を含む0.5%BSA/PBSと室温で2時間反応させた。PBSで洗浄後、90%グリセロールを含むPBSで封入し、光学顕微鏡、および蛍光顕微鏡で観察した。
GPR40アンチセンスプローブにより、単離isletにおいて陽性シグナルが観察された。陽性シグナルはislet全体に散見された。これらの領域においてセンスプローブによる発色は検出されなかった。一方、蛍光顕微鏡観察では、既知の通りislet周辺部の細胞にグルカゴン免疫陽性シグナル、その他の部分にインスリン免疫陽性シグナルが観察された。GPR40アンチセンスプローブによるシグナルとインスリン・グルカゴンの免疫陽性シグナルを比較すると、GPR40のシグナルはインスリン免疫陽性細胞に観察されたが、グルカゴン免疫陽性細胞ではクリアなGPR40のシグナルは観察されなかった。以上の結果から、isletにおいてGPR40mRNAはβ細胞に特異的に発現している可能性が示唆された。
【0132】
【実施例24】脂肪酸添加によるMIN6細胞でのMAPキナーゼ活性化
培地は4.5g/lのグルコースを含むDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、インビトロゲン社)に15%ウシ胎児血清(ThermoTrace社)、5.5μM 2−メルカプトエタノール(インビトロゲン社)、20mM HEPES pH7.3、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを添加したものを用いた。マウス膵臓β細胞株MIN6細胞を2x10/wellの濃度で12ウェルプレートにまいて一晩培養し、翌朝培地を交換してさらに一晩培養した。翌朝、再び培地を交換して3時間培養後、22mMグルコースを含むKRBHにて1時間プレインキュベーションを行った。各種脂肪酸は10μMの濃度でKRBH(22mMグルコース)に溶かしてMIN6細胞に添加し、2.5分間(あるいは5分間)インキュベーションした。MAPK阻害剤(PD98059)は50μMの濃度でプレインキュベーション・インキュベーションの際にKRBHに添加した。サンプルバッファー(TEFCO社)で細胞を溶解・抽出後、SDS−PAGEにより分離し、PhosphoPlus p44/42 MAP kinase(Thr202/Tyr204)Antibody Kit(Cell Signaling Technology,Inc)を用いたウエスタンブロッテイングを行った。その結果、図24に示す通り、GPR40発現CHO細胞を用いたFLIPRアッセイでアゴニスト活性を有する脂肪酸(レーン2,3,4)を添加したときのみMAPキナーゼのリン酸化によって示される当該タンパク質の活性化が起こること、また、PD98059を添加することでMAPKの活性化はほぼ抑えられることが分かった。GPR40発現CHO細胞同様にアゴニスト活性を示す脂肪酸でMIN6においてもMAPK活性化が起こることから、脂肪酸のMIN6刺激の少なくとも一部にはGPR40が関与していることが強く支持された。
【0133】
【実施例25】各種脂肪酸によるMIN6からのインスリン分泌促進
フラスコ内で培養したマウス膵臓β細胞株MIN6を、2.5mMのEDTAを含むPBSを用いてはがした後、96ウェルプレートに撒いて2日間培養した。培地は実施例24と同じ4.5g/lのグルコースを含むDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、インビトロゲン社)に15%ウシ胎児血清(ThermoTrace社)、5.5μM 2−メルカプトエタノール(インビトロゲン社)、20mM HEPES pH7.3、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを添加したものを用いた。細胞を改変したKrebs−Ringer bicarbonate buffer(KRBH、116mM NaCl、4.7mM KCl、1.2mM KHPO、1.2mM MgSO、2.5mM CaCl、25mM NaHCO、24mM HEPES pH7.3)で2回洗浄した後、37℃5%CO条件下で30分間プレインキュベーションした。上記のKRBHに22mMグルコースを添加したバッファーで希釈・調製した脂肪酸を、プレインキュベーション後の細胞に添加し、37℃5%CO条件下で90分間培養した。培養後、細胞の上清を回収し、凍結保存した。上清中のインスリン含量は市販のインスリンイムノアッセイキット(アマシャムファルマシア社)で測定した。その結果、図25に示す通り、GPR40発現CHO細胞を用いた細胞内カルシウムイオン動員アッセイにおいて顕著な活性を示した脂肪酸である、オレイン酸(oleic acid)、リノール酸(linoleic acid)、α−リノレン酸(α−linolenic acid)、γ−リノレン酸(γ−linolenic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、DHAにより有意なインスリン分泌上昇活性が認められた。一方、GPR40にアゴニスト活性を示さないリノール酸メチル(methyl linolate=linoleic methyl)や酪酸(Butyricacid)は有意なインスリン分泌上昇活性を示さなかった。GPR40アゴニスト活性とインスリン分泌上昇活性がほぼ相関することから、GPR40が脂肪酸によるインスリン分泌上昇作用の少なくとも一部を担っていることが証明された。
【0134】
【実施例26】GPR40を介したインスリン分泌上昇活性のグルコース依存性
実施例25の方法に基づき、脂肪酸添加時のグルコース濃度の影響について検討した。脂肪酸添加時のKRBHに添加するグルコース濃度を0、5.5、11、22mMに変えて検討した結果、図26に示す通り、オレイン酸(oleicacid)、リノール酸(linoleic acid)によるインスリン分泌上昇活性は11mM以上の高グルコース濃度条件下で顕著であることが分かった。このことから、GPR40にアゴニスト活性を示す脂肪酸によるインスリン分泌上昇作用は、高血糖条件下でのインスリン分泌上昇作用・血糖効果作用が期待された。
【0135】
【実施例27】siRNA導入MIN6における、脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性の抑制効果
実施例18においてGPR40特異的siRNAであるm40i103がマウスGPR40の発現を顕著に抑制させることが確認済である。実施例18の方法に基づきHVJ Envelope VECTOR KIT GenomONEを用いてm40i103を導入させたMIN6細胞におけるインスリン分泌上昇活性について検討した。実施例25の方法により脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性について調べた結果、図27に示す通り、m40i103導入MIN6ではリノール酸(linoleic acid)、γ−リノレン酸(γ−linolenic acid)によるインスリン分泌上昇活性が認められなくなった。一方、ランダム配列siRNAであるScramble II duplex siRNAを導入したMIN6では上記脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性が保持されていることが示された。この結果から、GPR40が、脂肪酸によるインスリン分泌上昇機構の少なくとも一部を担っていることが確認された。
【0136】
【実施例28】ラット膵臓ランゲルハンス島初代培養における脂肪酸のインスリン分泌活性
8週齢の雄Wister ラット(Charles River Japan)の膵臓からコラゲナーゼ消化法によりランゲルハンス島を単離した。6匹分のおよそ1000個の単離ランゲルハンス島をKRBH(2.8mM Glucose)で2回洗浄し、そのまま37℃、30分間、5%CO存在下でプレインキュベーションした。遠沈後、上清を捨て再びKRBH(2.8mM Glucose)に140個/mLの濃度で均一に懸濁し、96穴プレートに100μLずつ分注した。各種脂肪酸サンプルのリノール酸(linoleic acid)、γ−リノレン酸(γ−Linolenic acid)、リノール酸メチル(methyl linolate)(それぞれ最終30μMもしくは3μM)を含むKRBH(最終16.5mM Glucose)を100μLずつ加え、37℃、90分間、5%CO存在下でインキュベートした。上清中のインスリン含量は市販のイムノアッセイキット(アマシャム)にて測定した。その結果、図28に示す通りGPR40にアゴニスト活性を示す脂肪酸で処理することによりラット膵臓ランゲルハンス島においてもインスリンの分泌促進活性が確認された。実施例25〜27で検討したβ細胞株MIN6のみならず正常膵臓ランゲルハンス島においてもGPR40がインスリン分泌に関与していることが確認された。
【0137】
【実施例29】GPR40を介したインスリン分泌におけるCa2+イオンの必要性
実施例25の方法に基づき、細胞外液中のCa2+イオンの必要性について検討した。プレインキュベーションおよびサンプルとのインキュベーションにおいて、Ca2+イオンを抜き、さらにCa2+イオンをキレートする試薬であるEGTAを0.1mM添加した場合の脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性を調べた。その結果、図29に示す通り、通常のバッファーでは認められるオレイン酸(oleic acid)、リノール酸(linoleic acid)、γ−リノレン酸(γ−linolenic acid)によるインスリン分泌上昇活性がCa2+イオン不含・0.1mM EGTA含有バッファーでは認められないことが確かめられた。このことから、脂肪酸によるGPR40を介したインスリン分泌上昇活性にはCa2+イオンが不可欠であることが確認された。
【0138】
【実施例30】GPR40を介したインスリン分泌における各種阻害剤の効果
実施例25の方法に基づき、Ca2+チャネルブロッカー(ニフェジピン、Nifedipine)およびMAPキナーゼ阻害剤(PD98059)の影響について検討した。プレインキュベーションおよびサンプルとのインキュベーションにおいて、Nifedipine(10μM)或いはPD98059(50μM)を添加した場合の脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性を調べた。その結果、図30に示す通り、通常のバッファーでは認められるオレイン酸(oleicacid)、リノール酸(linoleic acid)によるインスリン分泌上昇活性がニフェジピン含有バッファーでは認められなかった。これは実施例29でCa2+イオンを除去した際に得られた結果とも符合し、脂肪酸によるGPR40を介したインスリン分泌上昇活性にはCa2+イオンが不可欠であることが再び確認された。また、PD98059含有バッファーでは通常のバッファーと同様の結果が得られたことから、MAPキナーゼが活性化されていない状態でも脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性は起こる、つまり、脂肪酸刺激によるMAPキナーゼの活性化は、インスリン分泌上昇活性に必ずしも必要でないことが分かった。GPR40はインスリン分泌のみならず、β細胞の増殖などにも機能を発揮する可能性が考えられた。
【0139】
【実施例31】GPR40を介したインスリン分泌におけるBSAの影響
脂肪酸はアルブミンに結合する性質が知られている。実施例25の方法に基づき、ウシ血清アルブミン(BSA)が存在した場合の影響について検討した。プレインキュベーションおよびサンプルとのインキュベーションにおいて、バッファー中に0.1%BSAを添加し、脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性を調べた。その結果、図31示す通り、通常のバッファーでは認められるオレイン酸(oleic acid)、リノール酸(linoleic acid)によるインスリン分泌上昇活性が、0.1% fatty acid−free BSA含有バッファーではほぼ抑制された。インスリン分泌上昇活性はBSAに結合している脂肪酸よりはむしろ結合していない状態の脂肪酸により引き起こされることが分かった。BSAに結合するという脂肪酸特有の性質が反応性に反映された結果といえる。
【0140】
【実施例32】ヒト、マウスおよびラット由来GPR40に対する脂肪酸のEC50値の決定
EC50値の決定にはヒト、マウスおよびラット由来GPR40を安定発現したCHO細胞株を用いた。特に記載が無い限りこれらのCHO細胞株は10%牛胎児血清(Invitrogen)を含むα−MEM培地(Invitrogen)を用いて培養した。
アッセイ前日に、ほぼコンフルエントになるまで培養した細胞を、PBS(Invitrogen)を用いてリンスした後、0.05%Trypsin・EDTA溶液(Invitrogen)を用いて剥がし、遠心操作にて回収した。得られた細胞の数を測定し、培地1mLあたり3x10個の細胞が含まれるように希釈し、Black welled 96−well plate(coster)に1穴あたり100μLずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。このように調整したCHO細胞に各種試験サンプルを添加し、この際の細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。FLIPRにて細胞内カルシウム濃度の変動を測定するために、以下の前処置を施した。
まず、細胞に蛍光色素Fluo3−AM(DOJIN)を添加するため、あるいはFLIPRアッセイを行う直前に細胞を洗浄するためのアッセイバッファーを作成した。HBSS(Invitrogen)1000mLに1M HEPES(pH 7.4)(DOJIN)20mLを加えた溶液(以下、HBSS/HEPES溶液)に、プロべネシド(Sigma)710mgを1N NaOH 5mLに溶解後、さらにHBSS/HEPES溶液5mLを加え混合した溶液10mLを添加し、この溶液をアッセイバッファーとした。次にFluo3−AM50μgを21μL DMSO(Wako)に溶解し、さらに等量の20%プルロン酸(Molecular Probes)を加え混合後、105μLの牛胎児血清を添加した10.6mLのアッセイバッファーに加え、蛍光色素溶液を調製した。アッセイ前日にBlack welled 96−well plateにまきなおしたCHO細胞の培地を除き、直ちに蛍光色素溶液を1穴あたり100μLずつ分注後、CO培養器にて1時間培養し、細胞に蛍光色素を取り込ませた。培養後の細胞は上記のアッセイバッファーを用いて洗浄した後、FLIPRにセットした。また、試験サンプルはアッセイバッファーを用いて調製し、終濃度が30,10,3,1,0.3μMになるように希釈し、同時にFLIPRにセットした。以上の前処置を施した後、FLIPRにて各種試験サンプル添加後の細胞内カルシウム濃度の変動を測定した。そしてそれらの結果より、各脂肪酸での容量反応曲線を作成し、EC50値を算出した。その結果を表1に示した。
【表1】
Figure 2004275001
【0141】
【実施例33】ヒトおよびマウスGPR40発現CHO細胞のcAMP産生に対する脂肪酸の影響
ヒトおよびマウスGPR40発現CHO細胞を、1×10/wellの濃度で 96−well Plateで20時間培養した。細胞は100μlのAssay Buffer(0.1mM IBMX(和光純薬)および0.1mM Ro−20−1724(Biomol)を含むDMEM(Invitrogen))で2回洗浄後、2μMのフォルスコリン(Forskolin、和光純薬)を含むまたは含まないAssay Bufferに溶解したDHA、リノール酸およびγ−リノレン酸(ともにSIGMA)を加えて37℃で10分間反応した。反応後、cAMP Screen(ABI)の処方に従って細胞を溶解し、細胞内のcAMP量を測定した。その結果、フォルスコリンを含まない条件では、各脂肪酸はヒトおよびマウスのGPR40発現CHO細胞に対してcAMP産生活性は示さなかった。一方、フォルスコリン存在下では、ヒトGPR40発現CHO細胞に対しては弱いcAMP産生抑制活性を示したが、マウスGPR40発現CHO細胞に対しては活性を示さなかった(図32)。
【0142】
【実施例34】MIN6を用いたFLIPRアッセイ
フラスコ内で培養したマウス膵臓β細胞株MIN6を、2.5mMのEDTAを含むPBSを用いてはがした後、培地1mLあたり3x10個の細胞が含まれるように希釈し、Black welled 96−well plate(coster)に1穴あたり100μLずつ分注後、CO培養器にて2日間培養した。培地は4.5g/lのグルコースを含むDulbecco’s Modified Eagle Medium(DMEM、インビトロゲン社)に15%ウシ胎児血清(ThermoTrace社)、5.5μM 2−メルカプトエタノール(インビトロゲン社)、20mM HEPES pH7.3、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを添加したものを用いた。このように調整したMIN6細胞に各種脂肪酸(10μM)を添加し、この際の細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。FLIPRにて細胞内カルシウム濃度の変動を測定するための方法は、実施例24に記載の方法に従った。その結果、GPR40のリガンドであるγ−リノレン酸(γ−linolenic acid)、リノール酸(linoleic acid)、オレイン酸(oleic acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の添加で、MIN6の細胞内Ca2+濃度が上昇することが確認された。一方、GPR40のリガンドではないリノール酸メチルや酪酸ではこのような活性は見られなかった(図33)。
【0143】
【実施例35】GPR40に対するアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法の設定およびアゴニスト候補を選択する基準
(1)細胞内カルシウム濃度変化を指標としたGPR40に対するアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法の設定
GPR40に対するアゴニストおよびアンタゴニストの探索を行うための系を設定するために、アゴニストとして同定されたパルミチン酸を用いて、アッセイ系を設定した。
参考例1で作製したヒトGPR40発現ベクターを用いて自体公知の方法で作製したヒトGPR40を発現させたCHO細胞株(CHO−hGPR40 No.104)を3x10個/100μlの細胞が含まれるように希釈し、Black walled 96−well plate(Costar)に1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて一晩培養した。細胞内カルシウム濃度の変動をFLIPR(Molecular Device)を用いて測定した。方法を以下に記載した。
Fluo−3AM(DOJIN)50μgを21μl DMSO(DOJIN)に溶解し、さらに等量の20%プルロン酸(Molecular Probes)を加え混合後、105μlの牛胎児血清を添加した10.6mlのアッセイバッファー[HBSS(Invitrogen)に1M HEPES(pH7.4)(DOJIN)を20ml添加し、プロべネシド(Sigma)710mgを1N NaOH 5mlに溶解後さらに上記のHBSS/HEPES溶液5mlを加え混合した溶液10mlを添加し調製する。]に加え、蛍光色素溶液を調製した。細胞プレートの培地を除き、直ちに蛍光色素溶液を1穴あたり100μlずつ分注後、CO培養器にて37℃で1時間培養し、細胞に蛍光色素を取り込ませた。培養後の細胞は上記のアッセイバッファーを用いて洗浄した。細胞に添加するパルミチン酸はアッセイバッファーを用いて各々の濃度に希釈し、プレートに分注した。アンタゴニスト測定用に12μM γ−リノレン酸溶液(反応時の終濃度で3μM)をプレートに分注し、同時にFLIPRにセットした。以上の前処置を施した後、FLIPRにてパルミチン酸添加後の細胞内カルシウム濃度の変動を測定しアゴニスト作用を、続いてγ−リノレン酸を添加してアンタゴニスト作用の検討を行った。パルミチン酸はアゴニストであるために、パルミチン酸を用いた実験ではアンタゴニストの評価は成立しないが、アンタゴニスト作用のみもつ化合物を添加した場合には、後で加えるγ−リノレン酸の反応を抑制する活性が観測される。反応開始30秒後もしくは40秒後の蛍光強度値の変化を用いた用量反応曲線より、EC50値を算出した。
(2)FLIPRアッセイの結果からアゴニスト候補を選択する基準
アゴニスト候補を選出するための被検体化合物は、予めその濃度が10mMとなるようにDMSO(Wako)で希釈し、測定時に上記のアッセイバッファーで希釈して使用した。そして、それらの被検体化合物を用いて上記と同様の方法で、参考例1で作製したヒトGPR40発現ベクターを用いて自体公知の方法で作製したヒトGPR40を発現させたCHO細胞株(CHO−hGPR40 No.104)、ヒトヒスタミンH1受容体発現ベクターを用いて自体公知の方法で作製したヒトヒスタミンH1受容体を発現させたCHO細胞株(CHO−H1)、およびMockのCHO細胞株に対する反応開始30秒もしくは40秒後の蛍光強度値を測定した。さらに、30μM γ−リノレン酸のCHO−hGPR40に対する蛍光強度を100%としたときの相対値を算出し、その値がCHO−hGPR40に対し50もしくは100%以上であり、かつヒトヒスタミンH1受容体およびMockのCHO細胞株の両方が25%以下を満たす被検体化合物をヒトGPR40特異的アゴニスト候補とした。
【0144】
【実施例36】マウスGPR40の配列に特異的なsiRNA導入によるマウスGPR40mRNAの発現抑制
MIN6細胞を24ウェルプレートに撒いて一日培養した後、実施例18の方法に基づきHVJ Envelope VECTOR KIT GenomONEを用いてm40i103またはランダム配列siRNAであるScramble II duplex siRNAを導入した。2日培養後、同細胞のtotalRNAを実施例7と同様にIsogen(ニッポンジーン社)を用い、付属のマニュアルにしたがって調製した。得られたtotalRNA 1μgに対し100ngランダムヘキサマ−をプライマ−として、SuperScriptII reverse transcriptase(インビトロジェン社)を用いてcDNAを合成後、40μlTE buffer(pH8.0)に溶解した。マウスGPR40およびマウスGAPDH mRNAの発現量は実施例4に記載した方法で行った。その結果、図34に示したように、m40i103を導入させたMIN6胞では、ランダム配列のsiRNAを導入したMIN6細胞よりGPR40mRNAの発現が低下していることが明らかとなった。
【0145】
【発明の効果】
本発明のGPR40、その部分ペプチドまたはその塩、または本発明のGPR40もしくはその部分ペプチドをコードするDNAは、糖尿病などの予防・治療剤として有用である。
本発明のGPR40、その部分ペプチドまたはその塩とリガンドである脂肪酸とを用いることによって、脂肪酸と本発明のGRP40、その部分ペプチドまたはその塩との結合性を変化させる化合物を効率良くスクリーニングすることができる。
【0146】
【配列表フリーテキスト】
Figure 2004275001
【0147】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】ファルネシン酸(farnesoic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図2】5.8.11−eicosatriynoic acidを添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図3】5.8.11.14−eicosatetraynoic acidを添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図4】リノール酸(linoleic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図5】リノレン酸(linolenic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図6】アラキドン酸(arachidonic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図7】エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid, EPA)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図8】エイコサジエン酸(eicosadienoic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図9】エイコサトリエン酸(eicosatrienoic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図10】ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid,DHA)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図11】ドコサトリエン酸(docosatrienoic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図12】アドレン酸(adrenic acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図13】ラウリン酸(lauric acid)を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度、横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。○はGPR40発現CHO−K1細胞、△はコントロールのCHO−K1細胞を示す。
【図14】ヒト各種組織でのGPR40mRNAの発現分布を示す。横軸はpoly(A)RNA(ng)当たりのコピー数を示す。
【図15】マウス各種細胞でのGPR40mRNAの発現分布を示す。Min−6はMIN6細胞を、NIH logはNIH/3T3の対数増殖期を、NiHconfはNIH/3T3の定常期を、B104 logはがん遺伝子neuで形質転換させたNIH/3T3の対数増殖期を、B104 confはがん遺伝子neuで形質転換させたNIH/3T3の定常期を、mLiverはマウス肝臓を、mSpleenマウス脾臓 を示す。横軸は総RNA(25ng)当たりのコピー数を示す。(+)は逆転写酵素添加を、(−)は逆転写酵素非添加を示す。
【図16】MIN6細胞をパルミチン酸、γ−リノレン酸またはポジティブコントロールであるグリベンクラミドで90分間刺激したときのインスリン分泌の変化を調べた結果を示す。横軸は添加した化合物とその濃度(μM)を示す。縦軸はインスリン分泌濃度(ng/ml)を示す。
【図17】MIN6細胞をパルミチン酸、オレイン酸またはポジティブコントロールであるグリベンクラミドで60分間刺激したときのインスリン分泌の変化を調べた結果を示す。横軸は添加した化合物とその濃度(μM)を示す。縦軸はインスリン分泌濃度(ng/ml)を示す。
【図18】ラット膵臓およびランゲルハンス島におけるGPR40 mRNAの発現量をRT−PCR法によって求めた結果を示す。膵臓全体は2匹の平均値で示した。
【図19】カニクイザル膵臓およびランゲルハンス島におけるGPR40 mRNAの発現量をRT−PCR法によって求めた結果を示す。膵臓全体は2匹の平均値で示した。
【図20】脂肪酸によるCHO−hGPR40#104でのMAPキナーゼ活性化の検出結果を示す。γ−linoはγ−リノレン酸を、Oleはオレイン酸を、DHAは4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z−ドコサヘキサエン酸を、Methylはリノール酸メチルを、C2は酢酸を示す。CHO−mockはヒトGPR40を発現していないCHO細胞を、CHO−hGPR40#104はヒトGPR40を発現しているCHO細胞株を示す。p44はp44MAPキナーゼのバンドを、p42はp42MAPキナーゼのバンドを示す。
【図21】マウスGPR40の配列に特異的なsiRNA導入によるマウスGPR40−GFP融合タンパク質の発現抑制を調べた結果を示す。MockはGPR40−GFPを導入していないコントロール細胞を示す。NoTFはトランスフェクションを行わなかった細胞、No siはsiRNAを含まないトランスフェクションを示す。m40i103およびm40i256はマウスGPR40配列に特異的なsiRNAを、si scramble、si GL2はネガティブコントロールとして添加したGPR40の配列とは全く相同性を持たないsiRNAを示す。縦軸はGPR40の発現量(450nmでの吸光度)を示す。N=3で行った実験の平均値+標準偏差で表した。
【図22】m40i103およびm40i256の配列を示す。
【図23】GPR40遺伝子ターゲッティングベクターの構築図を示す。
【図24】脂肪酸によるMIN6でのMAPキナーゼ活性化の検出結果を示す。レーン1はコントロールを、レーン2はオレイン酸(oleic acid)添加、レーン3はリノール酸(linoleic acid)添加、レーン4はγ−リノレン酸(γ−linolenic acid)添加、レーン5はリノール酸メチル(methyl linolate)添加、レーン6はリノール酸(linoleic acid)添加、レーン7はリノール酸(linoleic acid)+PD98059(50μM)添加を示す。レーン1〜5は2.5分間、レーン6〜7は5分間インキュベートした結果である。各脂肪酸の濃度は10μMである。p44はp44MAPキナーゼのバンドを、p42はp42MAPキナーゼのバンドを示す。
【図25】22mMのグルコースを含むKRBHで調製した各種脂肪酸によるMIN6からのインスリン分泌促進作用を示す。横軸のConcentrationsは添加した脂肪酸の濃度(μM)を示す。Baseは無添加、Oleicはオレイン酸添加、Linoleicはリノール酸添加、α−Linolenicはα−リノレン酸添加、γ−Linolenicはγ−リノレン酸添加、Arachidonicはアラキドン酸添加、DHAはドコサヘキサエン酸添加、Methyl linolateはリノール酸メチル添加、Butyricは酪酸添加の場合を示す。縦軸はインスリン濃度(ng/ml)を示す。値は平均+標準誤差(n=4)を示す。**はp<0.01を、*はp<0.05(Student’s t test)を示す。
【図26】脂肪酸によるMIN6からのインスリン分泌促進活性のグルコース濃度依存性を示す。横軸は添加した脂肪酸(10μM)の種類を示す。Baseは無添加、Oleicはオレイン酸添加、Linoleicはリノール酸添加、Methylはリノール酸メチル添加、Butyricは酪酸添加の場合を示す。Glcはグルコースを示す。縦軸はインスリン濃度(ng/ml)を示す。値は平均+標準誤差(n=4)を示す。**はp<0.01を、*はp<0.05(Student’s t test)を示す。
【図27】siRNA導入MIN6における、脂肪酸によるインスリン分泌上昇活性の抑制効果を示す。横軸は添加した脂肪酸の濃度(μM)を示す。Baseは無添加、Linoleicはリノール酸添加、Gamma−Linolenicはγ−リノレン酸添加、Methyl linolateはリノール酸メチル添加の場合を示す。縦軸はインスリン分泌量を示し、Baseに対する%値で表した。□カラムはm40i103導入、■カラムはScramble II duplex siRNA導入の場合をします。値は平均+標準誤差(n=4)を示す。**はp<0.01(Student’s t test vs Base)を示す。
【図28】脂肪酸によるラット膵臓ランゲルハンス島からのインスリン分泌促進作用を示す。横軸は添加した脂肪酸の濃度(μM)を示す。Baseは無添加、Linoleicはリノール酸、γ−Linolenicはγ−リノレン酸、Methyl linolateはリノール酸メチルを示す。縦軸はislet当たりのインスリン分泌量(ng)を示す。値はn=3およびn=4で計2回行った実験の総和で、平均+標準誤差を示す。**はp<0.01を、*はp<0.05(Student’s t test)を示す。
【図29】脂肪酸によるMIN6からのインスリン分泌促進におけるCa2+イオンの必要性を調べた結果を示す。横軸は添加した脂肪酸を示す。Baseは無添加、Oleicはオレイン酸、Linoleicはリノール酸、γ−Linolenicはγ−リノレン酸、Methyl linolateはリノール酸メチルを示す。左の群は22mMのグルコースを含むKRBHで調製した脂肪酸(10μM)を添加した場合、EGTA/Ca2+freeで示される右の群は22mMグルコースを含むKRBHでCa2+イオンを除き0.1mM EGTAを添加したKRBHで調製した脂肪酸(10μM)を添加した場合を示す。縦軸はインスリン分泌量(ng/ml)を示す。値は平均+標準誤差(n=4)を示す。**はp<0.01(Student’s t test vs Base)を示す。
【図30】脂肪酸によるMIN6からのインスリン分泌促進における各種阻害剤の効果を示す。横軸は添加した脂肪酸を示す。Baseは無添加、Oleicはオレイン酸、Linoleicはリノール酸、Methyl linolateはリノール酸メチルを示す。No inhibitor群は22mMグルコース含有KRBHで調製した脂肪酸(10μM)を、Nifedipine群は22mMグルコース含有KRBHにニフェジピン(Nifedipine)10μMを添加したバッファーで調製した脂肪酸(10μM)を、PD98059群は22mMグルコース含有KRBHにPD98059(50μM)を添加したバッファーで調製した脂肪酸(10μM)を添加した場合を示す。縦軸はインスリン分泌量(ng/ml)を示す。値は平均+標準誤差(n=4)を示す。**はp<0.01(Student’s t test vs Base)を示す。
【図31】脂肪酸によるMIN6からのインスリン分泌促進におけるBSAの影響を示す。横軸は添加した脂肪酸(10μM)を示す。Baseは無添加、Oleicはオレイン酸、Linoleicはリノール酸、Methyl linolateはリノール酸メチルを示す。No BSAはバッファーにBSAを添加しない条件を、0.1% BSAは0.1% BSAを添加した条件下を示す。縦軸はインスリン分泌量(ng/ml)を示す。値は平均+標準誤差(n=4)を示す。**はp<0.01(Student’s t test vs Base)を示す。
【図32】ヒトGPR40発現CHO 細胞(CHO−hGPR40;左)およびマウスGPR40発現CHO細胞(CHO−mGPR40;右)のcAMP産生に対する各種脂肪酸の影響を示す。横軸のFFA concentrations(μM)は添加した脂肪酸の濃度を示す。縦軸は96−wellプレート1well当りのcAMP量(pmol/well)を示す。実線は2μM フォルスコリン存在下を、点線はフォルスコリン非存在下を示す。●はドコサヘキサエン酸(DHA)、◇はリノール酸、□はγ−リノレン酸をそれぞれ添加した場合を示す。*はp<0.05(Student’s t test)を示す。
【図33】MIN6細胞に各種脂肪酸を添加したときの細胞内Ca2+濃度の変化を調べた結果を示す。縦軸は細胞内Ca2+濃度を示す蛍光強度を示す。横軸はサンプル添加後の時間経過を示す。□はγ−リノレン酸(γ−linolenic acid)、◇はリノール酸(linoleic acid)、■はリノール酸メチル(methyl linolate)、△はオレイン酸(oleic acid)、▲はアラキドン酸(arachidonic acid)、●はドコサヘキサエン酸(DHA)、○は酪酸(butyric acid)をそれぞれ添加した場合を示す。
【図34】マウスGPR40の配列に特異的なsiRNA導入によるマウスGPR40mRNAの発現抑制を示す。横軸のm40i103はマウスGPR40に特異的なsiRNAを、またScrambleは対照となるランダム配列siRNAのScramble II duplex siRNAを示す。縦軸のmRNAの発現量(GRP40/GAPDH)はGPR40の発現量のGAPDHに対する相対値(n=2+SEM)を示す。

Claims (136)

  1. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  2. 配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有することを特徴とするG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  3. 配列番号:1または配列番号:3で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  4. 配列番号:17で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  5. 配列番号:29で表されるアミノ酸配列からなるG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩。
  6. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質の部分ペプチドまたはその塩。
  7. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  8. 請求項3記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA。
  9. 請求項4記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA。
  10. 請求項5記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNA。
  11. 配列番号:2または配列番号:4で表される塩基配列からなるDNA。
  12. 配列番号:18で表される塩基配列からなるDNA。
  13. 配列番号:30で表される塩基配列からなるDNA。
  14. 請求項7記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  15. 請求項14記載の組換えベクターで形質転換させた形質転換体。
  16. 請求項15記載の形質転換体を培養し、請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を生成せしめることを特徴とする請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の製造法。
  17. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは請求項6記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる医薬。
  18. 請求項7記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬。
  19. 請求項7記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬。
  20. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくは請求項6記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  21. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のC末端ペプチドまたはその塩を認識するモノクローナル抗体である請求項20記載の抗体。
  22. 配列番号:33で表わされるペプチドまたはその塩を認識するモノクローナル抗体である請求項20記載の抗体。
  23. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質のシグナル伝達を不活性化する中和抗体である請求項20記載の抗体。
  24. 請求項20記載の抗体を含有してなる診断薬。
  25. 請求項20記載の抗体を含有してなる医薬。
  26. 請求項7記載のポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド。
  27. 請求項26記載のポリヌクレオチドを含有してなる診断薬。
  28. 請求項26記載のポリヌクレオチドを含有してなる医薬。
  29. 請求項7記載のポリヌクレオチドに対するsiRNA。
  30. 配列番号:34で表わされる塩基配列からなるセンス鎖と配列番号:35で表わされる塩基配列からなるアンチセンス鎖で構成されるsiRNAである請求項29記載のsiRNA。
  31. 配列番号:36で表わされる塩基配列からなるセンス鎖と配列番号:37で表わされる塩基配列からなるアンチセンス鎖で構成されるsiRNAである請求項29記載のsiRNA。
  32. 請求項29記載のsiRNAを含有してなる診断薬。
  33. 請求項29記載のsiRNAを含有してなる医薬。
  34. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤。
  35. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤。
  36. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤。
  37. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を含有してなる膵β細胞保護剤。
  38. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる膵臓機能調節剤。
  39. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤。
  40. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤。
  41. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる膵β細胞保護剤。
  42. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害、肥満、高脂血症、低血糖症、高血圧、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、脂肪毒性または癌の診断薬。
  43. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良、記憶学習障害、肥満、低血糖症、高血圧、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、脂肪毒性または癌の診断薬。
  44. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる膵臓機能調節剤。
  45. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤。
  46. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチドを含有してなる膵臓機能調節剤。
  47. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチドを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤。
  48. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)脂肪酸またはその塩を用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  49. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)脂肪酸またはその塩を含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  50. 請求項48記載のスクリーニング方法または請求項49記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、脂肪酸またはその塩と配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩。
  51. アゴニストである請求項50記載の化合物またはその塩。
  52. アンタゴニストである請求項50記載の化合物またはその塩。
  53. 請求項50記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  54. 脂肪酸またはその塩と配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤。
  55. 請求項51記載のアゴニストを含有してなる医薬。
  56. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤。
  57. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤。
  58. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストを含有してなる膵β細胞保護剤。
  59. 請求項52記載のアンタゴニストを含有してなる医薬。
  60. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストを含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤。
  61. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを用いることを特徴とする当該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  62. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含有してなる当該G蛋白質共役型レセプター蛋白質の発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  63. 請求項61記載のスクリーニング方法または請求項62記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩。
  64. 請求項61記載のスクリーニング方法または請求項62記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩。
  65. 請求項61記載のスクリーニング方法または請求項62記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩。
  66. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤。
  67. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤。
  68. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなるインスリン分泌促進剤または血糖低下剤。
  69. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる膵β細胞保護剤。
  70. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させ、膵臓機能を調節する作用を有する化合物またはその塩を含有してなる肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤。
  71. 試験化合物を配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質を含有する細胞に接触させた場合における細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP抑制活性を測定することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩に対するリガンドの決定方法。
  72. 請求項71記載の決定方法で得られるリガンド。
  73. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を用いることを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法。
  74. (1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする請求項73記載のスクリーニング方法。
  75. (1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定することを特徴とする請求項73記載のスクリーニング方法。
  76. (1)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とする請求項73記載のスクリーニング方法。
  77. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット。
  78. 請求項73記載のスクリーニング方法または請求項77記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニスト。
  79. 請求項73記載のスクリーニング方法または請求項77記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニスト。
  80. 請求項78記載のアゴニストを含有してなる医薬。
  81. 請求項79記載のアンタゴニストを含有してなる医薬。
  82. 試験化合物が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物である請求項74〜76記載のスクリーニング方法。
  83. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に結合することを確認する方法。
  84. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、▲1▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲2▼インスリン分泌促進薬、▲3▼血糖低下薬または▲4▼膵β細胞保護が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストであることを確認する方法。
  85. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩を用いることを特徴とする、肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニストであることを確認する方法。
  86. 各薬を該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、各薬と該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする請求項83〜85記載の確認方法。
  87. (1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(2)各薬および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする請求項83〜85記載の確認方法。
  88. (1)▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)各薬および▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、▲1▼標識された脂肪酸またはその塩または▲2▼該標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定することを特徴とする請求項83〜85記載の確認方法。
  89. (1)▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)各薬および▲1▼脂肪酸またはその塩または▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩と脂肪酸またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とする請求項83〜85記載の確認方法。
  90. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩を含有することを特徴とする、▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬が該レセプター蛋白質またはその塩に結合することを確認するためのキット。
  91. 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニストである、▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬。
  92. (1)▲1▼配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニストまたはアンタゴニスト、または(および)▲2▼配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を変化させる化合物またはその塩、と(2)▲1▼膵臓機能調節薬、▲2▼糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療薬、▲3▼インスリン分泌促進薬、▲4▼血糖低下薬、▲5▼膵β細胞保護薬または▲6▼肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療薬、とを組み合わせてなる医薬。
  93. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードする外来性のDNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物。
  94. 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である請求項93記載の動物。
  95. ゲッ歯動物がマウスまたはラットである請求項94記載の動物。
  96. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
  97. 該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化された請求項96記載の胚幹細胞。
  98. ネオマイシン耐性である請求項96記載の胚幹細胞。
  99. 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である請求項96記載の胚幹細胞。
  100. ゲッ歯動物がマウスである請求項99記載の胚幹細胞。
  101. 請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物。
  102. 該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が該DNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる請求項101記載の非ヒト哺乳動物。
  103. 非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である請求項101記載の非ヒト哺乳動物。
  104. ゲッ歯動物がマウスである請求項103記載の非ヒト哺乳動物。
  105. 請求項102記載の動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする請求項1記載のG蛋白質共役型レセプター蛋白質をコードするDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  106. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)エイコサノイドを用いることを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  107. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)エイコサノイドを含有することを特徴とする該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット。
  108. 請求項106記載のスクリーニング方法または請求項107記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、エイコサノイドと配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩。
  109. アゴニストである請求項108記載の化合物またはその塩。
  110. アンタゴニストである請求項108記載の化合物またはその塩。
  111. 請求項108記載の化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  112. エイコサノイドと配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩との結合性を変化させる化合物またはその塩を含有してなる膵臓機能調節剤。
  113. 請求項109記載のアゴニストを含有してなる医薬。
  114. 請求項110記載のアンタゴニストを含有してなる医薬。
  115. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を用いることを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング方法。
  116. (1)▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩に接触させた場合における、▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩との結合量を測定することを特徴とする請求項115記載のスクリーニング方法。
  117. (1)▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、▲1▼標識されたエイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる標識された化合物またはその塩と、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分との結合量を測定することを特徴とする請求項115記載のスクリーニング方法。
  118. (1)▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(2)試験化合物および▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を、該レセプター蛋白質を含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、細胞内Ca2+濃度上昇活性または細胞内cAMP生成抑制活性を測定することを特徴とする請求項115記載のスクリーニング方法。
  119. (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質、その部分ペプチドまたはその塩および(2)▲1▼エイコサノイドまたは▲2▼該レセプター蛋白質またはその塩とエイコサノイドとの結合性を変化させる化合物またはその塩を含有することを特徴とする、該レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニストまたはアンタゴニストのスクリーニング用キット。
  120. 請求項115記載のスクリーニング方法または請求項119記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアゴニスト。
  121. 請求項115記載のスクリーニング方法または請求項119記載のスクリーニング用キットを用いて得られうる、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩に対するアンタゴニスト。
  122. 請求項120記載のアゴニストを含有してなる医薬。
  123. 請求項121記載のアンタゴニストを含有してなる医薬。
  124. 試験化合物が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその塩の活性部位の原子座標およびリガンド結合ポケットの位置に基づいて、リガンド結合ポケットに結合するように設計された化合物である請求項116〜118記載のスクリーニング方法。
  125. 哺乳動物に対して、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする膵臓機能調節方法。
  126. 哺乳動物に対して、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療方法。
  127. 哺乳動物に対して、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とするインスリン分泌促進方法または血糖低下方法。
  128. 哺乳動物に対して、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする膵β細胞保護剤。
  129. 哺乳動物に対して、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
    (5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする膵臓機能調節方法。
  130. 哺乳動物に対して、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
    (5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の有効量を投与することを特徴とする肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療方法。
  131. 膵臓機能調節剤を製造するための、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用。
  132. 糖尿病、耐糖能障害、ケトーシス、アシドーシス、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、高脂血症、性機能障害、皮膚疾患、関節症、骨減少症、動脈硬化、血栓性疾患、消化不良または記憶学習障害の予防・治療剤を製造するための、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用。
  133. インスリン分泌促進剤または血糖低下剤を製造するための、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用。
  134. 膵β細胞保護剤を製造するための、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアゴニスト、または
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を増加させる化合物またはその塩の使用。
  135. 膵臓機能調節剤を製造するための、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
    (3)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドに対するsiRNA、
    (4)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質に対するアンタゴニスト、または
    (5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の使用。
  136. 肥満、高脂血症、2型糖尿病、低血糖症、高血圧、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、浮腫、インスリン抵抗性症候群、不安定糖尿病、脂肪萎縮、インスリンアレルギー、インスリノーマ、動脈硬化、血栓性疾患、脂肪毒性または癌の予防・治療剤を製造するための、
    (1)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質もしくはその部分ペプチドまたはその塩に対する抗体、
    (2)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドと相補的な塩基配列またはその一部を含有してなるポリヌクレオチド、
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    (5)配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:17または配列番号:29で表されるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するG蛋白質共役型レセプター蛋白質またはその部分ペプチドの発現量を減少させる化合物またはその塩の使用。
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