JP2004273872A - 半導体製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】容器内に配置されその表面に膜を有する半導体ウェハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、前記処理の所定の間前記ウェハ表面から得られる少なくとも2つの波長についての光の量の変化を検出する検出器と、前記2つの波長のうち一方の波長の光についての量が極大値となる時刻と他方の波長の光についての量が極小値となる時刻との時間と所定の値とを比較して前記エッチング処理の状態を判定する機能と、を備えた。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハをエッチングして半導体素子を製造する装置に関し、エッチングした深さを測定する手段を備えた装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子を形成する工程では、半導体ウエハの表面上に形成された誘電材料,絶縁材料の層等の様々な材料の層を除去するためやこれらの層にパターンを形成するために、ドライエッチングが広く使用されている。このドライエッチングを行う上では、上記の層の加工中に所望のエッチング深さや層の膜厚となるようにエッチングを調節することが重要であり、このためエッチングの終点や膜の厚さを正確に検出することが求められている。
【0003】
ところで、半導体ウエハを、プラズマを用いてドライエッチングする処理の際、プラズマ光に含まれる特定波長の光からの発光の強度が、特定の膜のエッチングが進行するに伴って変化することが知られている。そこで、この半導体ウエハのエッチングの終点や膜厚さといったエッチングの状態の検出する技術の1つとして、ドライエッチング処理中にプラズマからの特定波長の発光強度の変化を検出し、この検出結果に基づいて特定の膜のエッチング終点や膜厚さを検出する技術が知られている。この検出の精度を向上するには、ノイズによる検出波形の変動に起因する誤検出を低減する必要がある。
【0004】
近年は、半導体の微細化,高集積化に伴い開口率(半導体ウエハの被エッチング面積)が小さくなっており、光センサーから光検出器に取り込まれる特定波長の発光強度が微弱になっている。その結果、光検出器からのサンプリング信号のレベルが小さくなり、終点判定部は、光検出器からのサンプリング信号に基づいてエッチングの終点を確実に検出することが困難になっている。
【0005】
また、エッチングの終点を検出し処理を停止させる際、実際には、誘電層の残りの厚さが所定値と等しいことが重要である。従来のプロセスでは、それぞれの層のエッチング速度が一定であるという前提に基づく時間厚さ制御技法を使用して、全体のプロセスを監視している。エッチング速度の値は、例えば、予めサンプルウエハを処理して求める。この方法では、時間監視法により、所定のエッチング膜厚に対応する時間が経過すると同時にエッチング・プロセスが停止する。
【0006】
しかし、実際の膜、例えばLPCVD技法により形成されたSiO2 層は、厚さの再現性が低いことが知られている。LPCVD中のプロセス変動による厚さの許容誤差はSiO2 層の初期厚の約10%に相当する。したがって、時間監視による方法は、シリコン基板上に残るSiO2 層の実際の最終厚さを正確に測定することはできない。そして、残っている層の実際の厚さは、最終的に標準的な分光干渉計技法により測定され、過剰エッチングされていると判明した場合は、そのウエハを不合格として廃棄することになる。
【0007】
このような半導体ウエハのエッチングの終点をウエハ表面を計測して検出する技術としては、特開平5−179467号公報(特許文献1),特開平8−
274082号公報(特許文献2),特開2000−97648号公報(特許文献3),特開2000−106356号公報(特許文献4)等に開示された干渉計を使用するものが知られている。
【0008】
特開平5−179467号公報(特許文献1)においては、赤,緑,青の3種類のカラーフィルタを用いて、干渉光(プラズマ光)を検出し、エッチングの終点検出を行うものであり、特開平8−274082号公報(USP5658418)(特許文献2)では、2つの波長の干渉波形の時間変化とその微分波形を用いて、干渉波形の極値(波形の最大,最小:微分波形の零通過点)をカウントする。カウントが所定値に達するまでの時間を計測することによりエッチング速度を算出し、算出したエッチング速度に基づき所定の膜厚に達するまでの残りのエッチング時間を求め、それに基づきエッチングプロセスの停止を行っている。
【0009】
特開2000−97648号公報(特許文献3)では、処理前の干渉光の光強度パターン(波長をパラメータとする)と処理後または処理中の干渉光の光強度パターンとの差の波形(波長をパラメータとする)を求め、その差波形とデータベース化されている差波形との比較により段差(膜厚)を測定する。特開2000−106356号公報(特許文献4)は回転塗布装置に関し、多波長にわたる干渉光の時間変化を測定して膜厚を求めている。
【0010】
エッチングの終点を検出して処理を停止させる際、実際には、膜層の残りの厚さが所定の値にできるだけ近いか等しいことが重要である。従来の技術では、それぞれの層のエッチングの速度が一定であるという前提に基づいて時間を調節することで上記膜の厚さを監視している。この基準となるエッチング速度の値は、例えば、予めサンプルとなるウエハを処理して求めておく。この技術では、所定の膜厚さに対応した時間が経過するとエッチング・プロセスが停止される。
【0011】
【特許文献1】
特開平5−179467号公報
【特許文献2】
特開平8−274082号公報
【特許文献3】
特開2000−97648号公報
【特許文献4】
特開2000−106356号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、多数の異なる種類の膜の構造を有する半導体ウエハを少量ずつ処理して製造する場合には、それぞれの処理対象であって製品となるべきウエハに対して、多波長微分干渉パターンのデータベースを作成することになり、このために、実際のウエハと同一の膜の構成を有するウエハを用いて、試験的なエッチング処理を行うと、ウエハ自体のコストも高く、さらにこの試験的処理が行われるウエハ分だけ余分にウエハを用意する必要があり、少量の生産ではこの試験に係るコストが高く、ひいては素子の生産のコストを増大させてしまうという問題があった。
【0013】
また、上記従来の技術では、用いられるウエハの膜の厚さを検出し、厚さの検出結果を用いて製品用のウエハを処理する際の半導体製造装置の運転条件を設定する場合にも、厚さ計測のためサンプルのウエハが必要となっていた。例えば、1つのロット中から任意のウエハを選び測定に供していた。このため、計測のための時間やウエハが必要となり、半導体製造のスループットを低下させていた。
【0014】
本発明の目的は、処理のスループットを向上させた半導体製造装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、容器内に配置されその表面に膜を有する半導体ウエハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、前記処理の所定の間前記ウエハ表面から得られる少なくとも2つの波長についての光の量の変化を検出する検出器と、前記2つの波長のうち一方の波長の光についての量が極大値となる時刻と他方の波長の光についての量が極小値となる時刻との時間と所定の値とを比較して前記エッチング処理の状態を判定する機能と、を備えた半導体製造装置により達成される。
【0016】
また、容器内に発生させたプラズマを用いてこの容器内に載置された半導体ウエハをエッチング処理する際にこの処理の所定の間前記ウエハ表面からの光の干渉を検出する検出器と、この検出器から出力された少なくとも2つの波長のうち一方の波長の光についての量が極大値となる時刻と他方の波長の光についての量が極小値となる時刻との時間と所定の値とを比較して前記エッチング処理を調節する制御装置、とを備えた半導体処理装置により達成される。
【0017】
さらには、所定の値よりも前記時間が小さくなったと判定された場合に前記エッチング処理される前記膜の厚さを判定することにより達成される。
【0018】
さらにまた、前記所定の値よりも前記時間が小さくなったと判定された場合に前記エッチング処理を停止することにより達成される。
【0019】
また、上記目的は、容器内に配置されその表面に形成された第1の膜とこの膜の上方に形成された第2の膜とを含む複数層の膜を有する半導体ウエハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、前記第2の膜がエッチング処理される所定の間の前記ウエハ表面から得られる複数の波長の光の量の変化を検出する光検出器と、この検出器の出力から得られた特定の波形に基づいて前記第1の膜の厚さを検出する機能と、を備えた半導体製造装置により達成される。
【0020】
また、容器内に配置されその表面に形成された酸化膜とこの酸化膜の上方に形成された膜とを含む複数層の膜を有する半導体ウエハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、前記上方に形成された膜がエッチング処理される所定の間に前記ウエハ表面から得られる複数の波長の光の量を検出する光検出器と、この検出器の出力から得られた特定の波形に基づいて前記酸化膜の厚さを検出する機能と、を備えた半導体製造装置により達成される。
【0021】
さらに、前記ウエハ表面からの干渉光の量の時間に伴う変化を複数の波長について検出する前記光検出器と、この光検出器の出力の特徴的な変化を検出することにより達成される。
【0022】
ウエハからの光から極大値,極小値を検出する場合には、予め、被エッチング材料の光学的物性値を用いた理論的な干渉解析より各波長に対する干渉波形変化を求めておき、所定膜厚において異なった2つの波長の干渉波形が山と谷に相当する相関関係にある2つの波長を選択する。さらに、この2つの波長の干渉波形を測定して干渉波形の微分処理により微分値が零点通過する時間を求める。このようにして、それぞれの零点通過する時間が所定の値内になった場合に、所望の膜厚さに達したと判定しても良い。
【0023】
また、上記エッチング処理において得られらた、所定の膜厚までの複数の波長の干渉光についての微分干渉パターンを作成し、この多波長の微分干渉パターンをウエハのエッチング処理毎に蓄積しておき、これらの干渉パターンのデータの値を平均処理して信頼性の高い多波長微分干渉のデータを求めても良い。このデータを用いて上記所定膜厚において山と谷とに想到する相関関係になる異なる2つの波長の干渉波形を選択するようにすることで、膜厚等エッチング条件をより高い精度で検出,判定することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0025】
なお、以下の各実施例において、第1実施例と同様の機能を有するものは第1実施例と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。以下の実施例では、本発明による半導体製造装置及びその被処理材であるウエハのエッチング処理におけるエッチング量(エッチング深さあるいは膜厚)等のエッチング条件を測定する方法について説明する。
【0026】
以下、図1〜図3で本発明の第1の実施例を説明する。図1は、本発明に係る半導体製造装置に係る第1の実施例について構成の概略を縦断面とブロックとを用いて示す図である。図2は、第1の実施例における処理対象となるウエハ上の構成及び光の干渉の概略を示す膜式図である。図3は、第1の実施例で光の干渉を用いて得られるデータの例を示すグラフである。
【0027】
まず、図1を用いて、本発明の膜厚測定装置を備えた半導体ウエハのエッチング装置の全体構成を説明する。
【0028】
エッチング装置1は真空容器2を備えており、その内部に導入されたエッチング用のガスがマイクロ波電力等により分解しプラズマ3となり、このプラズマ3により試料台5上の半導体ウエハ等の被処理材4がエッチングされる。膜厚測定装置10の測定用光源(例えばハロゲン光源)からの多波長の放射光が、光ファイバー8により真空容器2内に導かれ、被処理材4に垂直入射角で当てられる。被処理材4はここではポリシリコン層を含む、放射光はポリシリコン層の上面で反射屈折した放射光と、ポリシリコン層と下地層との間に形成された境界面で反射屈折した放射光により干渉光が形成される。干渉光は光ファイバー8を介して膜厚測定装置10の分光器11に導かれ、その状態に基づき膜厚測定や終点判定の処理を行う。
【0029】
膜厚測定装置10は、分光器11,第1デジタルフィルタ回路12,微分器
13,第2デジタルフィルタ回路14,微分波形データベースである微分データ記憶装置15,微分波形比較器16及び処理状態判定器26と結果表示器17等を備えている。なお、図1は膜厚測定装置10の機能的な構成を示したものであり、膜厚測定装置10の実際の構成は、CPUや、膜厚測定処理プログラムや干渉光の微分波形パターンデータベース等の各種データを保持したROMや測定データ保持用のRAMおよび外部記憶装置等からなる記憶装置,データの入出力装置、及び通信制御装置により構成することができる。
【0030】
本実施例の半導体製造装置では、半導体ウエハ等の被処理材をプラズマエッチングする際に、予め、被処理材の光学的な物性値を用いて光干渉波形を演算したうえ、所定の膜厚に対する干渉光の微分値が零クロスする(あるいは極値をとる)波長群を予め選択し、零クロスが正から負に変わる(あるいは極大値をとる)波長群λ1と零クロスが負から正に変わる(あるいは極小値をとる)波長群λ2のデータを、半導体製造装置本体に備えられた或いは通信可能に構成された、記憶または記録手段に記憶/記録させておくものである。そして、実際の被処理材4の処理においては、これら波長群λ1とλ2の干渉光についてその強度をそれぞれ測定し、測定された干渉光強度の各波長群の微分値が零クロス(極値となる)する時刻を検出し、この零クロスする時刻を所定の値と比較して、被処理材の膜厚を求めるものである。
【0031】
光検出器11が取り込んだ上記の波長群λ1に含まれる1つの波長の発光強度は、それぞれ発光強度に応じた電流検出信号となり電圧信号へ変換される。分光器11によりサンプリング信号として出力された複数の特定波長の信号は、時系列データyijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この時系列データyijは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この平滑化時系列データYijを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdijが算出され、RAM等の記憶装置に収納される。微係数値の時系列データdijは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDijとしてRAM等の記憶装置に収納される。そして、この平滑化微係数時系列データDijから干渉光強度の各波長の微分値の実パターンが求められる。
【0032】
一方、光検出器21が取り込んだ上記の波長群λ2に含まれる1つの波長の発光強度は、それぞれ発光強度に応じた電流検出信号となり電圧信号へ変換される。分光器11によりサンプリング信号として出力された複数の特定波長の信号は、時系列データyijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この時系列データy′ijは次に、第1デジタルフィルタ回路22により平滑化処理され平滑化時系列データY′ijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この平滑化時系列データY′ijを基に、微分器23により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データd′ijが算出され、RAM等の記憶装置に収納される。微係数値の時系列データdijは、第2デジタルフィルタ回路24により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データD′ijとしてRAM等の記憶装置に収納される。そして、この平滑化微係数時系列データD′ijから干渉光強度の各波長の微分値の実パターンが求められる。
【0033】
また、微分データ記憶装置15,25には、膜厚が変化したことによる上記各波長の干渉光強度データ、あるいはこれらの微分データの波形のそれぞれの値とその時刻が収納される。特に、微分データ波形の山,谷となる極大値,極小値とそれらの時刻Tm,T′nとが記憶される。これら各時刻Tm,T′nは、その時刻の間の時間の大きさが微分波形比較器16において、予め設定されるか又は記憶/記録されている所定の値と比較演算される。この所定の値よりもTm,T′n間の時間の大きさが小さい場合には、残り膜厚さが所定の大きさに達したか、ほぼ達したと判定され、被処理材の残り膜厚さが判定される。その結果は、結果表示器17により表示される。
【0034】
発明者らは、半導体ウエハ上に形成された膜のエッチングを行う場合、特定の膜厚さとなる時刻の前後の近傍で、その微分波形データが一方が極大値、他方が極小値となる複数の波長の群が選択でき、これらの群に属する波長の波形が極大または極小となる時刻間の時間は膜厚さが小さくなるに伴ってその大きさが小さくなることを発見した。これにより、特定の膜厚さについて、一方が極大値となる時刻の前後で、他方が極小値をとる時刻との間隔が定まり、この間隔を基準として予め設定しておくことで、上記特定の膜厚さに達したかを判定することができる、という知見を得た。
【0035】
さて、微分データ記憶装置15には、被処理対象である半導体ウエハ4からの干渉光の微分波形データの変化が記憶されるとともに、微分波形のデータが極値(極大値,極小値)をとる時刻が記憶されている。すなわち、膜厚が変化したことによる干渉光強度の山や谷の時刻についてのデータが記憶される。また、この微分データ記憶装置15からは、例えば、エッチング処理を行った際の所定の範囲の波長について、処理中の所定の時間での干渉光データの微分データの値が上記結果表示器17に送信されてこの結果表示器17上に示される。また、複数の波長の干渉光について、その微分値が極大,極小となる時刻についてのデータも、表示器17上に表示可能に構成されている。
【0036】
微分波形比較器16において、実パターンと微分波形パターンデータ値Pjが比較され被処理材の膜厚が求めるられる。その結果は、結果表示器17により表示される。
【0037】
なお、実施例では光検出器11が1個だけの場合を示してあるが、被処理材の面内を広く測定して制御したい場合には、複数の光検出器11を設ければよい。
【0038】
図2に、ゲートエッチング処理に用いられる半導体ウエハ等の被処理材4の縦断面形状の例を示す。図2において、処理対象の膜である被処理部材(ポリシリコン)40は、半導体ウエハ(基板)4の上に下地材である酸化膜42、その上に形成されており、さらにこの被処理部材40上にマスク材41が積層されている。例えばゲート膜のエッチングを行う場合、被処理部材40の下地材はSiO2 の絶縁膜であり、ソース,ドレーン間に対応して多結晶の下地材の上にポリシリコンのゲート層が形成される。また、各素子のゲート電極部48の独立動作を保証するために素子分離用溝49が酸化膜により形成されている。また、本実施の例では、マスク71の下部には素子分離溝(Shallow Trench Isolation, STI)42が形成された側方にゲート電極部48が構成されている。
【0039】
分光器11或いはプラズマ3から放出された複数の波長域に亙る光は、被処理部材40と下地材である酸化膜42の積層構造を含む被処理材4にほぼ垂直な入射角で当てられる。下地材42が薄いゲート電極部48へ導かれた放射光は、被エッチング材40の上面で反射した放射光と、被処理部材40と下地材42との間に形成された境界面で反射した放射光により干渉光95Aが形成される。また同様に、下地材42が厚い素子分離部49へ導かれた放射光は、被処理部材40の上面で反射した放射光と、被処理部材40と下地材42との間に形成された境界面で反射した放射光により干渉光95Bが形成される。これらの干渉光は下地酸化膜厚さが薄くなると干渉強度が弱くなるため、95B>95Aに関係がある。
【0040】
反射した光は分光器11に導かれ、エッチング中の被エッチング材40の層の厚さによって強さが変化する信号を生成する。分光器11を通して検出される干渉光は、処理膜が厚い部分からの干渉光95Bの方が干渉光95Aよりも支配的で、本実施例において、干渉光を用いて検出される膜厚さ,エッチング溝深さ等のエッチング状態は素子分離溝42上のもの(例えば膜厚さ46等)の方が精度が高くなる。
【0041】
結果表示器17は、液晶やCRTを用いたディスプレイや、所定の膜厚さや終点に到達したことを光,音等で報知する報知手段あるいはこれらの組み合わせ等が考えられる。本実施例では、計測データをグラフとして表示するディスプレイと光,音で報知する手段とを備えた結果表示器17を備えている。
【0042】
さらに、本実施例の装置では、結果表示器17に表示される計測データを用い、この表示されたデータを視認した使用者が望む特定の情報を表示したり、特定の情報を検出または演算するために必要な情報を使用者に指定させたりする機能を備えている。例えば、結果表示器17上に表示された時間−波長の座標上の特定の点や任意の点、或いはそのデータを指定するためのポインタ等の指定機能や、指定した点におけるデータの値やこれらの値から特定の量、例えば特定の時刻間の時間や波長,エッチングの速度や膜厚さ等エッチングの状態を示す量を演算あるいは検出する機能、これらの量を所定の位置に使用者が認識し易く表示する機能を備えている。
【0043】
上記の量を演算するための手段は、装置に備えられた演算器でもよく、装置とは距離が離れた場所に配置され計測または検出したデータを通信手段を介して授受可能な別の演算器を用いても良い。
【0044】
なお、図1は、エッチング量の測定装置の機能的な構成を示したものであり、結果表示器17と分光器を除いた計測器152の実際の構成は、CPUや、エッチング深さ及び膜厚測定処理プログラムや干渉光の微分波形パターンデータベース等の各種データを保持したROMや測定データ保持用のRAMおよび外部記憶装置等からなる記憶装置,データの入出力装置、及び通信制御装置により構成することができる。これは、以下説明する他の実施例についても同様である。
【0045】
図3は、本実施例の半導体製造装置で検出される干渉光データを微分したデータについて、複数波長について、その時間変化を示したグラフである。この図に示すように、幾つかの波長の組合せで、一方が極値(極大値)となる時刻の前後の時刻で、データが極小値となる波長を選択できることが分かる。発明者らは、2つの波長のそれぞれで極大−極小となる時刻の間の時間差が、処理が進むにつれて(膜厚が減少するに伴って)小さくなり、この時間差と膜厚との間に相関関係があって、時間差を判定することで残り膜厚さ(エッチング(溝)深さ)や終点を判定することができるという知見を得て、これを元に本発明を想起したものである。
【0046】
図4は、図1に示す半導体製造装置の動作の流れを示し、特に、被処理部材のエッチングの状態を検出してエッチング処理を調節する動作の流れを示す図である。
【0047】
本実施例において、半導体製造装置は、ステップ800で、被処理部材40であるポリシリコン膜に対するエッチング処理の条件を取得する。このステップでは、予め記憶装置,記録装置等に記憶,記録された処理条件のデータベース上のデータを受信しても良く、また、使用者が上記結果表示器17に備えられたキーボード,マウス等の入力装置によって入力したものを受信しても良く、また、予め半導体ウエハ4を収容したカセットや半導体ウエハ4自身に記録された膜の構成を示すデータを取得して、図示してはいない演算手段等で検出してもよい。
【0048】
次に、ステップ801において、上記微分データ記憶装置に記憶されたデータを用いて、あるいは別の記憶/記録装置上に記憶/記録された各波長と各強度の微分データとを比較して、エッチング状態を判定するための波長群λ1,λ2を検出し、これらの波長での上記零クロスの際の方向を検出する。さらには、上記逆の極値となる時刻同士の時間差について基準となる時間差ΔTを設定する。
【0049】
ステップ802,803,804では、実際の半導体ウエハ4を処理して得られた干渉光の波形データを検出するとともに、ステップ801で設定した判定用の波長群λ1,λ2の干渉波形を微分して、それぞれの波長群において微分データが極値となる時刻T1,T2を演算する。
【0050】
ステップ805は、上記の通り、微分波形比較器16を用いてステップ804で演算したT1,T2との時間差とステップ801で設定された基準となる時間差ΔTとを比較する。時間差ΔTの方が小さいと判断されると、所望の膜厚に達していないと判定されてステップ803に戻り、被対象部材40の処理を継続する。一方、ΔTの方が大きいと判断されると、所望の膜厚に達したかそれ以下の膜厚となったと判定される。
【0051】
本実施例は、ここでエッチングを停止し、分光器11を介した波長群λ1,λ2の干渉光のサンプリングも停止する。
【0052】
さて、発明者らによれば、下地膜(酸化膜)42の影響を考慮した被処理部材(ポリシリコン膜)40の理論的な干渉解析によると、ポリシリコン40がエッチングされ膜厚が変化した時に現れる干渉波形は下地膜(酸化膜)の厚さに依存することがわかった。
【0053】
図5,図6は、図1に示す装置においてエッチング処理を行った場合で、測定した波長400nm及び380nmの光の検出結果の微分値が負から正に零クロスする際に、ポリシリコン層の膜から得られるこれらの波長の干渉光が受ける下地酸化膜の厚さからの影響(下地酸化膜依存性)と、その膜厚での上記波長の光の検出結果の微分値が正から負に零クロスする際の下地酸化膜依存性とを示すグラフである。
【0054】
図5(a)は、ポリシリコン膜厚約60nmにおいて、零クロスが負から正に変化する(極小値に達した)波長400nm光の下地酸化膜厚さに対するポリシリコン膜厚を示す。この図に示されるように、下地酸化膜厚さ約130nmの周期性を持ってポリシリコン膜厚が変化する。これは、ポリシリコン膜の干渉が繋がって下地酸化膜の干渉が続くためである。
【0055】
すなわち、sin(4πnd/λ)の周期性を持つ。ここで、nは下地酸化膜の屈折率、dは下地酸化膜の厚さ、λは波長である。図5(b)に、波長400nm光の零クロスが負から正に変化するポリシリコン膜厚の時に、干渉光の零クロスが正から負に変化する(極大値に達した)波長群を示す。図に示されるように、その波長群は約430から500nmにわたり存在する。したがって、波長400nm光と約430から500nmの波長群を測定することにより、下地酸化膜に大まかな厚みを求めることができる。
【0056】
例えば、波長400nmと波長440nmの極値が一致した場合、下地酸化膜は約数nm〜130nm,約170nm〜260nm、または約330nm〜380nmと求まる。
【0057】
また、波長400nmと波長440nmそして480nmの零クロスが一致した場合、下地酸化膜は約140nm〜170nm,約300nm〜330nmであると求まる。さらに、ウエハの製品仕様を考慮するとより下地酸化膜膜厚が限定される。このようにして求めた下地酸化膜厚さ(約300nm〜330nm)を用いて、図6(a)に示される測定波長380nmが負から正に零クロス時に、正から負に零クロスする波長群λ2が約410nmから420nmと狭帯域化(約410nmから450nm)される(図6(b)参照)と共に、ポリシリコン膜厚判定が約48nm〜56nmであったものが約52nm〜55nmへと精度向上が図れる。
【0058】
なお、被処理材の面内を広く測定して制御したい場合には、複数の分光器を設けてもよい。
【0059】
また、上記実施例のように、真空室103内に光を供給する光源を用いないで、真空室103内に発生するプラズマ3からの光を利用して干渉光を分光器11を用いて計測器で計測してもよい。この場合は、半導体ウエハ4表面からのプラズマ光の反射が分光器である光検出器11に供給されることになる。また、プラズマ光の変化を計測するため、真空室103の側壁に計測ポート,光学伝送手段が内側の光を受光可能に配置され、これにより検出された信号を参照光とする。この参照光は、ウエハ表面から直接入射する光路を通る光ではなく、かつプラズマ光の変化が検出可能な光であることが必要であり、本実施例では、プラズマの光を側壁に設けた受光器で得ている。
【0060】
次に、本発明の第2の実施例について、図7,図8,図9を用いて説明する。
【0061】
図7,図8は、本発明の第2の実施例に係る半導体製造装置により検出される干渉波形を示す図である。
【0062】
図7は、左側のグラフは縦軸に波長を、横軸に膜厚(処理時刻)をとって、干渉光の強度変化を示したものであり、右側のグラフは、左側のグラフ上に点線で示す特定の時刻の300nm未満の波長から700nm以上の波長に亙る波長域の強度の変化を示すグラフである。
【0063】
この図のように、干渉光は、特定の波長の前後で急激な変化を示し、その強度の微分データは大きく上下していることが分かる。図8は、図7と同様に、縦軸に波長、横軸に膜厚(処理時刻)をとって、干渉光の強度変化を示した膜であり、(a)では、被処理部材40であるポリシリコン下方に形成された膜である酸化膜42の厚さが290nmの場合、(b)は、下地の酸化膜が330nmの場合である。これらの図から分かるように、発明者らは、下地の酸化膜42の厚さによって、干渉光の微分データの強度が大きく上下に変化する波長の値が変化し、この波長と下地酸化膜42の厚さとに相関関係があることから、下方の酸化膜の厚さを、その上方にある被処理対象の膜のエッチング処理の際に得た干渉光のデータを用いて検出できるとの知見を得た。本発明の実施例はこの知見に基づいて想起されたものである。
【0064】
図9は、図7,図8に係る干渉波形を得た実施例の半導体製造装置の動作の流れを示す流れ図である。この実施例では、ポリシリコンゲートエッチング時に、波長が約300nmから700nm領域の波長の干渉光強度を検出しその微分データを得て、処理対象のポリシリコン膜40の膜厚が減少する際に、零クロスする(極値となる)波長が、順次短波長側にシフトする性質とは異なり、下地の酸化膜厚さによって、長い波長の側の波長より先に短い側の波長がする性質を利用して、その反転する波長から下地酸化膜厚さを算出するものである。
【0065】
これにより、これまで任意のサンプルとなるウエハを選んで計測して判定していた、下方の膜(下地酸化膜)の厚さを、その上方の膜を処理する際の干渉光のデータを用いることで検出できるので、サンプルの計測を行うために低下していたスループットや製造コストの上昇を抑制できる。
【0066】
さらに、このように、算出された下地酸化膜の厚さを用いて被処理部材である、ポリシリコンの所定膜厚判定の精度を向上することが可能である。
【0067】
図9では、被処理部材(ポリシリコン)膜に対するエッチング条件(エッチング放電条件,エッチング残膜厚さ条件)を入力し(ステップ900)、エッチング残膜厚さ条件からデータ記憶装置に記憶されたデータから判定用2波長群λ1,λ2とそれぞれの零クロス時の方向(極大か極小か(微係数の傾き))と判定時間の幅ΔTとの設定する(ステップ901)。
【0068】
次に、半導体ウエハ4のエッチング開始及びサンプリング開始し(ステップ902)、分光器からの多波長出力信号yi,jから微係数時系列データDi,jを算出し(ステップ903)、微係数時系列データDi,jとDm,jの零クロス時刻TiとTmとが反転する波長λiを算出する(904)。ここで、iは長波長側を、mは短波長側の測定波長である。
【0069】
下地酸化膜の影響がない波長領域では、時刻TiとTmとはTi<Tmの関係が成り立つが、下地酸化膜の影響がある波長領域では、時刻TiとTmとはTi>Tmとなる。この波長λiを予めデータベースとして持っている下地酸化膜厚さと歪み波長値により下地酸化膜を算出する(ステップ905)。算出した下地酸化膜厚さを用いて、微分零クロステーブルから判定用2波長群λ1,λ2や零クロスの向きや判定時間ΔT等の再設定を行う(ステップ906)。
【0070】
再設定された判定用2波長群λ1,λ2の干渉波形の微分処理を行い(ステップ907)、零クロス時刻T1とT2との比較(T1−ΔT≦T2≦T1+ΔTの判定 ステップ908)により、エッチング終了及びサンプリング終了の設定を行う(ステップ909)。零クロス時刻T1とT2との比較(T1−ΔT≦T2≦T1+ΔTの判定 ステップ908)がNOの場合は、ステップ903から動作を繰り返す。ただし、下地酸化膜が算出できた時には、ステップ903から処理905は必ずしも行わなくてもよい。
【0071】
このようにして、従来技術においては、行われていたサンプルウエハを用いた測定により、処理のスループットやコストの上昇が生じていたのに対し、本発明では、上層の膜を製品として処理した際に得られたデータから下層の膜厚さを検出することができ、装置を用いた全体としての処理のスループットが向上し、コストの上昇を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例になる膜厚測定装置を備えた半導体ウエハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図2】ゲートエッチング処理の対象となる被処理材70の縦断面形状例を示す図である。
【図3】上記図2のエッチング処理途中におけるいくつかの波長に対する干渉光の時間変化の例を示す図である。
【図4】図1の膜厚測定装置でエッチング処理を行う際に、被処理材の膜厚を求める手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の実施例から得られる被処理対象材の膜厚の下地酸化膜依存性とその膜厚で微分値が正より負に零クロスする波長の下地酸化膜依存性を示す図である。
【図6】図1の実施例から得られる被処理対象材の膜厚の下地酸化膜依存性とその膜厚で微分値が正より負に零クロスする波長の下地酸化膜依存性を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例になる多波長微分干渉パターンと、ポリシリコン膜厚における微分値の波長依存性を示す図である。
【図8】下地酸化膜厚みが異なる場合の多波長微分干渉パターンと、ポリシリコン膜厚における微分値の波長依存性を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…エッチング装置、2…真空容器、3…プラズマ、4…被処理材、5…試料台、8…光ファイバー、10…膜厚測定装置、11…分光器、12…第1デジタルフィルタ回路、13…微分器、14…第2デジタルフィルタ回路、15…微分零クロス時刻蓄積器、16…微分零クロス時刻比較器、17…結果表示器。
Claims (7)
- 容器内に配置されその表面に膜を有する半導体ウエハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、
前記処理の所定の間前記ウエハ表面から得られる少なくとも2つの波長についての光の量の変化を検出する検出器と、前記2つの波長のうち一方の波長の光についての量が極大値となる時刻と他方の波長の光についての量が極小値となる時刻との時間と所定の値とを比較して前記エッチング処理の状態を判定する機能と、を備えた半導体製造装置。 - 容器内に発生させたプラズマを用いてこの容器内に載置された半導体ウエハをエッチング処理する際にこの処理の所定の間前記ウエハ表面からの光の干渉を検出する検出器と、この検出器から出力された少なくとも2つの波長のうち一方の波長の光についての量が極大値となる時刻と他方の波長の光についての量が極小値となる時刻との時間と所定の値とを比較して前記エッチング処理を調節する制御装置、とを備えた半導体処理装置。
- 請求項1に記載の半導体製造装置であって、前記所定の値よりも前記時間が小さくなったと判定された場合に前記エッチング処理される前記膜の厚さを判定する半導体製造装置。
- 請求項1または2に記載の半導体製造装置であって、前記所定の値よりも前記時間が小さくなったと判定された場合に前記エッチング処理を停止する半導体製造装置。
- 容器内に配置されその表面に形成された第1の膜とこの膜の上方に形成された第2の膜とを含む複数層の膜を有する半導体ウエハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、
前記第2の膜がエッチング処理される所定の間の前記ウエハ表面から得られる複数の波長の光の量の変化を検出する光検出器と、この検出器の出力から得られた特定の波形に基づいて前記第1の膜の厚さを検出する機能と、を備えた半導体製造装置。 - 容器内に配置されその表面に形成された酸化膜とこの酸化膜の上方に形成された膜とを含む複数層の膜を有する半導体ウエハをこの容器内に発生させたプラズマを用いてエッチング処理する半導体製造装置であって、前記上方に形成された膜がエッチング処理される所定の間に前記ウエハ表面から得られる複数の波長の光の量を検出する光検出器と、この検出器の出力から得られた特定の波形に基づいて前記酸化膜の厚さを検出する機能と、を備えた半導体製造装置。
- 請求項5または6に記載の半導体製造装置であって、前記ウエハ表面からの干渉光の量の時間に伴う変化を複数の波長について検出する前記光検出器と、この光検出器の出力の特徴的な変化を検出する半導体製造装置。
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