JP2004270044A - 熱接着性繊維 - Google Patents

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博之 渡邉
Toshishige Ezuka
利繁 江塚
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Abstract

【課題】主体繊維の特徴を損なうことなく、寸法安定性及び柔軟性に優れた不織布を得ることができる熱接着性繊維を提供する。
【解決手段】結晶開始温度80〜140℃、融点130〜200℃である結晶性低融点ポリエステルからなることを特徴とする熱接着性繊維。
結晶開始温度80〜140℃、融点130〜200℃である結晶性低融点ポリエステルを鞘部に、融点または流動開始温度が200℃以下であり、かつ鞘部の結晶性低融点ポリエステルとの融点または流動開始温度の差が50℃以下である低融点ポリエステルを芯部とした芯鞘型複合繊維であることを特徴とする熱接着性繊維。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常のポリエステルに比べて低い融点を示すポリエステルからなる熱接着性能を有する繊維であって、不織布等としたときに繊維の全成分が溶融し、柔軟性及び寸法安定性に優れた不織布を得るのに好適な熱接着性繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成繊維、特にポリエステル繊維は、その優れた寸法安定性、耐候性、機械的特性、耐久性、さらにはリサイクル性等から、衣料、産業資材として不可欠のものとなっており、様々な分野において、ポリエステル繊維が多く使用されている。
特に、ルーフィング資材、自動車用内装材、カーペットの基布等に用いる不織布、枕やマットレス等の寝装用品の詰物、キルティング用の中入れ綿等の繊維構造体においては、構成繊維(主体繊維という)相互間を接着する目的で、熱接着性繊維が広く普及している。
【0003】
これらの繊維構造体の主体繊維としては、比較的安価で、優れた物性を有するポリエステル繊維が最も多く使用されており、これを接着する熱接着性繊維もポリエステル系のものが好ましく、種々のポリエステル系熱接着性繊維及びそれを用いて接着したポリエステル繊維構造物が提案されている。
【0004】
従来のポリエステル繊維からなる繊維構造体を熱接着するために用いられる熱接着性繊維は、一般的に、芯成分にポリエチレンテレフタレート(PET)、鞘成分にイソフタル酸を共重合した低融点ポリマーを配した芯鞘型複合短繊維が用いられている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、前記のようなイソフタル酸を共重合した低融点ポリマーは、非晶性で明確な融点を示さず、ガラス転移点以上となれば軟化が始まるものである。このため、繊維の製造時に熱処理を施すことが困難であり、不織布等にした後の加熱接着処理をする際に収縮が発生する。したがって、得られる不織布等の製品の寸法安定性が悪くなったり、また、高温雰囲気下で使用すると接着強力が低下したり変形が発生するという問題があった。
【0006】
このような問題点を解決するものとして、鞘成分に結晶性を有する共重合低融点ポリマーを配し、芯成分に融点220℃以上のポリアルキレンテレフタレートを配した芯鞘型複合短繊維が提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0007】
しかしながら、このような結晶性を有する共重合低融点ポリマーを配した芯鞘型複合繊維を用いても、得られる繊維構造体は高温雰囲気下に対する耐熱性は改善されるが、その芯部にはホモポリエステルが用いられた芯鞘複合構造となっているため、主体繊維と混綿し、熱接着性繊維の鞘部の融点よりも高い温度で熱処理し、接着加工を行って繊維構造体となした後も芯部が溶融せず、残存することとなる。したがって、不織布を得る際には、主体繊維と熱接着性繊維の芯部とが網目構造を形成し、形態安定性には優れるが、主体繊維の動きが制約され、柔軟性に劣る不織布となっていた。
【0008】
【特許文献1】
特許第3313878号公報
【特許文献2】
特開平11−217731号公報
【特許文献3】
特開平11−12349号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決し、主体繊維の特徴を損なうことなく、寸法安定性及び柔軟性に優れた不織布を得ることができる熱接着性繊維を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)、(2)を要旨とするものである。
(1)結晶開始温度80〜140℃、融点130〜200℃である結晶性低融点ポリエス テルからなることを特徴とする熱接着性繊維。
(2)結晶開始温度80〜140℃、融点130〜200℃である結晶性低融点ポリエステルを鞘部に、融点または流動開始温度が200℃以下であり、かつ鞘部の結晶性低融点ポリエステルとの融点または流動開始温度の差が50℃以下である低融点ポリエステルを芯部とした芯鞘型複合繊維であることを特徴とする熱接着性繊維。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の熱接着性繊維は、結晶開始温度が80〜140℃、好ましくは85〜120℃、融点が130〜200℃、好ましくは150〜185℃である結晶性低融点ポリエステルを少なくとも鞘部に用いた、全融タイプのバインダー繊維である。
【0012】
結晶開始温度(Tc)が80℃未満では、好適な結晶性を得ることが困難となる。一方、140℃を超えると、融点(Tm)が200℃を超えることとなり好ましくない。
融点(Tm)が130℃未満であると、たとえ繊維化しても、高温雰囲気下で使用した場合の耐熱性を得ることができない。一方、200℃を超えると、熱接着加工温度を高くする必要があり、加工性、経済性が劣るばかりか、主体繊維の熱変化を招き、風合い等の主体繊維の特徴を損ねるため好ましくない。
【0013】
また、結晶性低融点ポリエステルはガラス転移点(Tg)が20〜80℃であることが好ましく、さらに好ましくは30〜70℃である。Tgが20℃未満であると、溶融紡糸時に単糸間の密着が発生し、製糸性が悪くなりやすく、一方、Tgが80℃を超えると、製糸工程において高温で延伸することが必要となり、延伸による塑性変形と同時に部分的な結晶化が始まり、糸切れが発生するなど延伸性が低下しやすくなる。
【0014】
本発明の熱接着性繊維は、上記のような結晶性低融点ポリエステルのみからなるものとしてもよいが、結晶性低融点ポリエステルを鞘成分に用いた芯鞘複合繊維としてもよい。
芯鞘複合繊維とする場合は、芯部を構成するポリエステル成分も融点または流動開始温度が200℃以下である低融点ポリエステル成分とし、鞘部の結晶性低融点ポリエステルとの融点または流動開始温度の差を50℃以下とする。
【0015】
芯部を構成する低融点ポリエステル成分は、融点または流動開始温度が200℃以下であり、さらに好ましくは180℃以下である。つまり、芯部を構成するポリエステル成分は結晶性のものでも非晶性のものでもよく、結晶性のものの場合は融点を、非晶性のものの場合は流動開始温度を200℃以下とする。これらの温度が200℃を超えると、熱接着加工温度を高くする必要があり、加工性、経済性が劣るばかりか、主体繊維の熱変化を招き、風合い等の主体繊維の特徴を損ねるため好ましくない。
【0016】
低融点ポリエステルの融点または流動開始温度の下限は、繊維製造過程で問題が生ぜず、繊維特性が得られる範囲であれば特に限定しないが、得られた不織布の熱安定性を考慮すると概ね80℃以上が好ましく、より好ましくは130℃以上である。
【0017】
さらに、鞘部を構成する結晶性低融点ポリエステルとの融点または流動開始温度の差が50℃以下であることが必要であり、さらに好ましくは30℃以下とする。鞘部と芯部のどちらが高融点であっても構わない。
融点または流動開始温度の差が50℃を超えると、芯部または鞘部のいずれかの融点または流動開始温度の高い側の温度よりも高い温度で熱接着処理をすることが必要となり、融点または流動開始温度の低い側が溶融した後も高温下に曝されることになり、経済的に好ましくないばかりか、熱処理により、融点または流動開始温度の低い側の重合体の分解が起こりやすくなり好ましくない。
【0018】
なお、融点とは、結晶性を有する熱可塑性樹脂のDSC測定における結晶融解温度を意味し、流動開始温度とは、結晶性を有しない熱可塑性樹脂のフローテスト時の流動し始める温度を意味する。
そして、本発明においては、融点は示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、昇温速度20℃/分で測定するものである。
一方、流動開始温度は、フロテスター(島津製作所CFT−500型)を用い、荷重10MPa、ノズル径0.5mmの条件で、初期温度50℃より10℃/分の割合で昇温していき、ポリマーがダイから流出し始める温度を求めるものである。
【0019】
また、結晶開始温度(Tc)とガラス転移点(Tg)は、融点と同様に示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用い、昇温速度20℃/分で測定するものである。
【0020】
本発明の熱接着性繊維においては、繊維の全体もしくは少なくとも鞘成分に結晶性の低融点ポリエステルを用いる必要がある。一般に低融点ポリエステルは結晶性に乏しいが、結晶性に乏しいポリエステルや非結晶性のポリエステルを用いると、繊維の製造工程で熱処理を施すことが出来ないため、不織布等の加工に適した低熱収縮率の繊維を得るのが困難である。本発明においては、このように繊維の全体もしくは少なくとも鞘成分に結晶性の低融点ポリエステルを用い、繊維の製造過程で熱処理を施すことを可能としたので、繊維の熱収縮率(乾熱収縮率)を低減することが可能となった。
【0021】
つまり、本発明の熱接着性繊維においては、概ね乾熱収縮率を30%以下のものとすることができる。
【0022】
次に、本発明の熱接着性繊維を構成する結晶性低融点ポリエステル成分としては、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、1,4−ブタンジオール成分、脂肪族ラクトン成分及びアジピン酸成分の少なくとも一成分を含有する共重合ポリエステルであることが好ましい。
【0023】
まず、脂肪族ラクトン成分を含有する場合、その共重合量は全酸成分に対して20モル%以下とすることが好ましく、10〜20モル%とするのがより好ましい。脂肪族ラクトン成分の割合が少ないと結晶性はよくなるが、Tmが高くなり、200℃以下とすることが困難になることがある。一方、20モル%より多いと結晶性が低下し、Tgが低くなりやすく、紡糸時に単糸密着が発生して製糸性が悪くなり、好ましくない。
【0024】
脂肪族ラクトン成分としては、炭素数4〜11のラクトンが好ましく、特に好ましいラクトンとしては、ε−カプロラクトン(ε−CL)が挙げられる。
【0025】
次に、1,4−ブタンジオール成分を共重合する場合、全グリコール成分に対して40〜60モル%となるようにすることが好ましい。共重合量が40モル%未満であったり、60モル%を超えると、Tm、Tcが上がる傾向となり、本発明で規定する範囲外のものとなりやすい。
【0026】
アジピン酸成分を共重合する場合、その共重合量は全酸成分に対して、20モル%以下とすることが好ましく、10〜20モル%とするのがより好ましい。アジピン酸成分の共重合量が10モル%未満であると、結晶性はよくなるが、Tmが高くなり、200℃以下とすることが困難になることがある。一方、20モル%より多いと結晶性が低下し、Tgが低くなりやすく、紡糸時に単糸密着が発生して製糸性が悪くなり、好ましくない。
【0027】
本発明の複合繊維の芯成分を構成する低融点ポリエステル成分としては、上記したように、融点または流動開始温度が200℃以下であり、鞘成分との融点または流動開始温度の差が50℃以下のものであれば、結晶性、非晶性のいずれのものでもよいが、中でも、製糸性やコストの点からイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
イソフタル酸共重合PETは一般に非晶性であり、イソフタル酸の共重合量は20〜40モル%とすることが好ましい。
【0028】
なお、これらの芯、鞘成分の低融点ポリエステルには、発明の効果を妨げない範囲であれば、酸化チタンなどの顔料、ヒンダードフェノール系化合物などの抗酸化剤その他各種添加剤を含有していてもよい。また、その特性を損なわない範囲で、イソフタル酸、フタル酸、セバシン酸、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の共重合成分を少量含有していてもよい。
【0029】
本発明の熱接着性繊維を複合繊維とする場合、構成する芯部と鞘部の比率は特に限定しないが、体積比(芯/鞘)として30/70〜70/30の範囲が好ましく、さらに好ましくは40/60〜60/40である。
また、本発明の熱接着性繊維の断面形状は特に規定するものではなく、丸断面のみならず、多角形や多葉断面形状のもの等が挙げられる。
【0030】
さらに、本発明の熱接着性繊維の繊度や繊維長は特に限定されるものではなく、マルチフィラメント、モノフィラメント、長繊維、短繊維のいずれであってもよく、用途、加工方法等、目的に応じて適宜選択すればよい。繊維の製造の容易さからは短繊維とすることが好ましく、繊度は2〜20dtex、繊維長は25〜76mmとすることが好ましい。
【0031】
次に、本発明の熱接着性繊維の製造方法について、芯鞘複合繊維であって、短繊維形状のものを得る場合の製造例を用いて説明する。
上記したような芯成分及び鞘成分用低融点ポリエステルを常用の複合紡糸装置を用いて複合繊維を溶融紡糸する。紡出された糸条を冷却固化した後、紡糸油剤を付与し、集束して糸条束とし、延伸した後に定張又は緊張熱処理を施す。このとき、延伸工程で配向結晶させた後、鞘成分(熱接着成分)の低融点ポリエステルの結晶融点より低い温度、例えば110〜140℃のヒートドラムを用い、緊張率1.00〜1.03倍の定張又は緊張熱処理を行うことが好ましい。続いて仕上げ油剤を付与し、捲縮を施すことなく、カットして短繊維とする。
【0032】
本発明の熱接着性繊維は不織布を得るのに好適なものであり、主体繊維のバインダー繊維として用いると、寸法安定性及び柔軟性に優れた不織布を得ることができる。そして、主体繊維は、用途等に応じてポリマー種類、繊度、強伸度等適宜選択すればよい。
そして、本発明の熱接着性繊維を用いて不織布を製造する際には、上記のようにして得た短繊維状の熱接着性繊維と主体繊維(短繊維状)とを質量比で10/90〜50/50に混合することが好ましい。熱接着性繊維の割合が10質量%に満たない場合、熱接着性繊維と主体繊維との接着点が少ないため、充分な強力が得られにくい。一方、50質量%を超えると、接着点が多くなるため、繊維構造体の風合いが硬くなりやすい。
【0033】
【作用】
本発明の熱接着性繊維は、結晶開始温度、融点を特定の範囲とした結晶性低融点ポリエステルを少なくとも鞘部に用いている全融タイプのバインダー繊維であるため、主体繊維と混綿して不織布とする際にはバインダー繊維が良好に溶融、接着し、柔軟性に優れたものとすることができる。すなわち、結晶性低融点ポリエステルを少なくとも鞘部に配しているため、製造工程において熱処理を施すことができ、低熱収縮率の繊維とすることができ、不織布等にする際の熱処理工程で収縮することなく柔軟性に優れた不織布とすることができる。また、不織布等にする際、その融点よりも高い温度で熱処理すると、バインダー繊維全体が水滴状に溶融し、主体繊維の繊維同士が重なる交点部分に溶融したポリマーが移動し、その位置で繊維間を接着させるので、溶融した接着成分が主体繊維の動きを制約することがなく、柔軟性に優れた不織布を得ることができる。
【0034】
【実施例】
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における各特性値の測定方法及び評価方法は次の通りである。
(1)Tc及びTm
前記の方法で測定した。
(2)流動開始温度
前記の方法で測定した。
(3)極限粘度
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(4)繊度
JIS L−1015−7−5−1Aの方法により測定した。
(5)繊維長
JIS L−1015−7−4−1Cの方法により測定した。
(6)操業性
紡糸、延伸の状況で下記の2段階で評価した。
○:紡糸時の切れ糸回数が3回/日・錘以下であり、繊維の密着がなく、かつ、延伸時にローラ巻き付きの発生がない場合
×:紡糸時の切れ糸回数が3回/日・錘を超えるか、繊維の密着が発生するか、または延伸時にローラ巻き付きの発生があった場合
(7)不織布の風合い
得られた不織布を15cm×15cmの正方形に切断し、パネラーによる手触りにより、風合いのソフト性を下記の2段階で官能評価した。
○:良好
×:不良
(8)乾熱収縮率
JIS L−1015−7−15の方法に従い、熱処理温度を120℃として測定した。
【0035】
実施例1
1,4−ブタンジオールを50mol%共重合した極限粘度0.78、Tc98℃、Tm181℃、Tg48℃の結晶性低融点ポリエチレンテレフタレートを用い、紡糸温度270℃、吐出量410g/分、紡糸速度1050m/分の条件で、孔数225個の丸型断面の紡糸ノズルで紡出し、未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を集束し、12ktexの糸条束にした後、延伸倍率3.4倍、延伸温度50℃で延伸し、110℃のヒートドラムで緊張率1.01倍の緊張熱処理を施し、仕上げ油剤を0.12質量%付与後、押し込み式クリンパーで捲縮を施し、切断して単糸繊度5.5dtex、繊維長51mmの接着性繊維を得た。
この熱接着性繊維30質量%と、繊度6.6dtex、繊維長51mm、強度3.9cN/dtex、伸度60%のPETからなる中空ポリエステル繊維70質量%を混合し、カード機にかけウェブとした後、連続熱処理機にて180℃、1分の熱処理をおこない、目付100g/m のポリエステル系短繊維不織布を得た。
【0036】
比較例1
イソフタル酸を33.0モル%共重合した極限粘度0.68、Tm135℃、Tg69℃の低融点ポリエチレンテレフタレート(流動開始温度135℃)を用いた以外は実施例1と同様にして熱接着性繊維を得た。そして、ウェブの熱処理温度を変更した以外は、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
【0037】
実施例2
イソフタル酸を33.0モル%共重合した極限粘度0.68の低融点ポリエチレンテレフタレート(流動開始温度135℃)を芯成分に、ε−CLを15mol%、1,4−ブタンジオールを60mol%共重合した極限粘度0.78、Tc94℃、Tm158℃の結晶性低融点ポリエチレンテレフタレートを鞘成分に用いた。両ポリエステルを複合体積比(芯/鞘)50/50とし、紡糸温度270℃、吐出量410g/分、紡糸速度1050m/分の条件で、孔数225個の丸型断面の複合紡糸ノズルで紡出し、未延伸糸を得た。
得られた未延伸糸を集束し、12ktexの糸条束にした後、延伸倍率3.4倍、延伸温度50℃で延伸し、110℃のヒートドラムで緊張率1.01倍の緊張熱処理を施し、仕上げ油剤を0.12質量%付与後、押し込み式クリンパーで捲縮を施し、切断して単糸繊度5.5dtex、繊維長51mmの芯鞘型熱接着性複合繊維を得た。
この熱接着性複合繊維30質量%と、繊度6.6dtex、繊維長51mm、強度3.9cN/dtex、伸度60%のPETからなる中空ポリエステル繊維70質量%を混合し、カード機にかけウェブとした後、連続熱処理機にて180℃、1分の熱処理をおこない、目付100g/m のポリエステル系短繊維不織布を得た。
【0038】
実施例3〜7、比較例2〜5
芯及び鞘部の低融点ポリエステルの成分を表1に記載のように種々変更した以外は実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得た。そして、ウェブの熱処理温度を変更した以外は、実施例1と同様にして短繊維不織布を得た。
【0039】
実施例1〜7、比較例1〜5で得られた熱接着性繊維と短繊維不織布の評価結果を表1、2に示す。
【0040】
【表1】
Figure 2004270044
【0041】
【表2】
Figure 2004270044
【0042】
表1、2から明らかなように、実施例1〜7の熱接着性繊維及びそれから得られた短繊維不織布は、本発明の要件を満たすものであり、操業性よく得ることができ、優れた柔軟性、機械的性能、熱安定性(耐熱性)を有していた。
一方、比較例1の熱接着性繊維は、低融点ポリエステルに結晶性がないため、延伸時に熱処理出来ず、繊維の乾熱収縮率が高く、得られた短繊維不織布は地合の悪い物であり柔軟性に乏しいものであった。比較例2の熱接着性複合繊維は、芯成分に用いた低融点ポリエステルの流動開始温度が高かったため、芯部が溶融せず、得られた不織布の柔軟性が不十分であった。比較例3の熱接着性芯鞘複合繊維は、鞘部に用いた結晶性低融点ポリエステルのε−カプロラクトン共重合量が多かったため、Tc、Tgが低く、熱接着性芯鞘複合繊維の紡糸時に単繊維同士の密着が生じ、また、得られた短繊維不織布は地合の悪い物であり柔軟性に乏しいものであった。比較例4の熱接着性複合繊維は、芯成分と鞘成分の融点の差が大きすぎたため、鞘成分が溶融する温度では芯成分が熱劣化し、着色が発生した。比較例5の熱接着性複合繊維は、鞘部に用いた結晶性低融点ポリエステルの1,4−ブタンジオールの共重合量が少なかったため、Tm、Tc、Tgともに高くなり、熱接着処理時に鞘成分が溶融しなかったため、主体繊維が接着されず、不織布を得ることができなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の熱接着性繊維は、少なくとも鞘部に特定の結晶開始温度及び融点を有する結晶性低融点ポリエステルを用いているので、低熱収縮率のバインダー繊維とすることができ、かつ、操業性よく得ることが可能であり、不織布にしたときには、主体繊維の特徴を損なうことなく、寸法安定性及び柔軟性に優れた不織布を得ることが可能となる。

Claims (4)

  1. 結晶開始温度80〜140℃、融点130〜200℃である結晶性低融点ポリエステルからなることを特徴とする熱接着性繊維。
  2. 結晶開始温度80〜140℃、融点130〜200℃である結晶性低融点ポリエステルを鞘部に、融点または流動開始温度が200℃以下であり、かつ鞘部の結晶性低融点ポリエステルとの融点または流動開始温度の差が50℃以下である低融点ポリエステルを芯部とした芯鞘型複合繊維であることを特徴とする熱接着性繊維。
  3. 結晶性低融点ポリエステルが、テレフタル酸成分、エチレングリコール成分を含有し、1,4−ブタンジオール成分、脂肪族ラクトン成分及びアジピン酸成分の少なくとも一成分を含有する共重合ポリエステルである請求項1又は2記載の熱接着性繊維。
  4. 芯部を構成する低融点ポリエステル成分が、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートである請求項2又は3記載の熱接着性繊維。
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